説明

愛玩動物飼育用製剤及びその製造方法

【課題】愛玩動物の食物、飲料、補助食品又は洗浄剤の成分として有用な愛玩動物飼育用製剤を提供する。
【解決手段】竹炭を製造する際に生成する灰から水溶性成分を抽出した竹炭灰抽出液と、竹炭から水溶性成分を抽出した竹炭抽出液とを含む愛玩動物飼育用製剤。愛玩動物飼育用製剤を含有する愛玩動物用の食物、飲料又は補助食品、及び愛玩動物飼育用製剤の洗浄作用を利用した愛玩動物用洗剤。
【効果】本製剤を含有する食品を給餌された愛玩動物の体臭、排泄物の悪臭が低減される。また、洗浄剤として使用することにより、愛玩動物の悪臭、汚れを完全に除去できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、愛玩動物の飼育用製剤に関するものであり、更に詳しくは、竹炭を製造する際に生じる灰から水溶性成分を抽出した竹炭灰抽出液と、竹炭から水溶性成分を抽出した竹炭抽出液とを混合して得られた愛玩動物飼育用製剤に関するものである。本発明は、特に、愛玩動物用の食品、飲料、補助食品又は洗浄剤の構成成分として有用な愛玩動物飼育用製剤を提供するものである。近年増加の一途をたどっている愛玩動物を飼育している家庭において、特に、屋内での飼育環境の改善と愛玩動物の健康を増進し、更には、人の住環境の健全化を達成することを可能とする新しい愛玩動物飼育用製剤を提供するものである。
【背景技術】
【0002】
犬や猫などの哺乳類から、鳥類、爬虫類、魚類等の、愛玩動物類を飼育・保有し、これらを愛玩する家庭は近年増加の一途をたどっている。とりわけ、人間と同様に感情を表現することのできる犬や猫等のほ乳類は、特に、日常生活におけるパートナーとして位置付けられ、家族同様に家庭に迎えられることが多くなっている。また、近年、集合住宅において愛玩用の動物類が飼育される機会が増加するなどの住宅事情により、愛玩動物が人間と同じ住居内で飼われることが多くなっている。
【0003】
このような状況下、かかる愛玩動物類の健康管理、及び体臭や愛玩動物の排出物から発せられる臭気を除去することについて一層関心が高まってきており、これらの問題を解決する方法が様々模索され、数多くの提案がなされている。しかしながら、従来から提案されている愛玩動物用の健康補助食品等による健康管理や、動物ないしその排出物から発せられる臭気を脱臭又は消臭するための様々な資材によっては、未だ抜本的な解決には至っておらず、その解決が望まれている。
【0004】
従来、健康増進や脱臭を達成するための資材の一つとして竹炭や竹酢が注目され、多くの提案がなされてきた。例えば、竹炭を愛玩動物用の健康補助食品として使用することにより、それらの健康を増進させる共に、排泄物等の悪臭を低減させることが可能となり、また、固形状の竹炭類を洗浄剤の原料として使用した新たな洗浄剤の開発や、その洗浄効果の改善が図られてきた。次に、竹炭類を利用した従来技術を例示しながら説明する。
【0005】
竹炭を利用した健康食品又は補助食品類に関しては、ペットフードに粉末状の竹炭を0.01〜10重量%含有させてペットの糞尿臭、口腔臭、手足の肉玉臭及び体臭を低減又は削減することができる竹炭入りのペットフードが提案されている(特許文献1参照)。また、動物の体臭や排出物の臭気を効果的に除去し、愛玩用の動物が抵抗なく摂取することができる動物用飲料添加剤として、竹酢液を竹炭に吸収してなる動物用飲料添加剤が提案されている(特許文献2参照)。更に、近年のペットの住環境の悪化に起因した健康障害を防止又は軽減するための健康補助食品として、竹炭微粉末、竹酢、にがり、水、及び乾燥孟宗竹粉末からなる混合物を飼料に添加してペットに与えることが提案されている(特許文献3参照)。
【0006】
一方、竹炭や竹酢を利用した洗浄剤としては、例えば、保温・保湿・殺菌・脱臭等の効果に加えて、人体に対して安全であり、しかも無公害である竹炭含有洗浄剤が提案されている。この洗浄剤は、乾燥竹材を炭化させてから粉末とし、この竹炭粉末と油脂、カセイソーダを混ぜて加熱・鹸化し固化させることにより製造される(特許文献4参照)。また、孟宗竹を炭化して得た板状の竹炭を粉砕して小片とした洗浄用竹炭を封入した袋を洗濯物と共に水中に存在させることにより、化学洗剤等を使用することなく、あるいは使用してもわずかな量の化学洗剤を使用して洗濯を行うことを可能とした洗浄剤が提案されている(特許文献5参照)。また、生竹を4日間150〜200℃で燻煙処理し、その後、3ヶ月間自然乾燥した後、炭焼炉で650〜750℃で炭化処理し、得た竹炭を粉砕し更に微粉末化する。この竹炭の微細粉末を洗浄剤素地と混合して鹸化し洗浄剤とする竹炭入り洗浄剤が提案されている(特許文献6参照)。
【0007】
このように、竹炭や竹酢を利用した食品類や洗浄剤に関しては多くの提案が成されているが、これらの従来技術では、固形の竹炭を使用しているため固形状竹炭の微粉砕工程を必要とすると共に、微粉状竹炭の食品中への均一な混合が困難となり、毎回均等な量を摂取させることは容易ではなく、その上、食品又は洗浄剤としての性能も満足できるものではなかった。また、微粉砕しているとはいえ固形物が混入しているために口当たり、食品の風味等を悪化させるなどの問題があった。
【0008】
【特許文献1】特開2006−197910号公報
【特許文献2】特開2006−230209号公報
【特許文献3】登録実用新案3099628号公報
【特許文献4】特開2002−20789号公報
【特許文献5】特開平11−140492号公報
【特許文献6】特開2003−213294号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
このような状況のなかで、本発明者らは、上記従来技術に鑑みて、上記従来技術の諸問題を抜本的に解決することが可能な新しい愛玩動物飼育用製剤を開発することを目標として鋭意研究を積み重ねた結果、竹炭を製造する際に生成する竹炭灰及び竹炭に水を加えて抽出して製造した抽出液を主体とする混合物が、愛玩動物の食品添加剤あるいは洗浄剤として有用であることを見出し、更に研究を重ねることにより本発明を完成させるに至った。
【0010】
すなわち、本発明は、竹炭を製造する際に生じる灰から水溶性成分を抽出した竹炭灰抽出液と、竹炭から水溶性成分を抽出した竹炭抽出液とを混合して得られた愛玩動物飼育用製剤を製造し提供することを目的とするものである。また、本発明は、愛玩動物飼育用製剤を含有する愛玩動物用の食物又は飲料あるいは補助食品を提供することを目的とするものである。また、本発明は、愛玩動物飼育用製剤の洗浄作用を利用した愛玩動物用の洗浄剤を提供することを目的とするものである。また、本発明は、愛玩用動物の健康管理と健康の維持に有用な愛玩動物用の食物、飲料又は補助食品類を提供することを目的とするものである。また、本発明は、愛玩動物の排泄物の脱臭又は消臭に有用な食品類を提供することを目的とするものである。また、本発明は、愛玩動物の臭気を洗浄するために有用であり、しかも動物の健康に害を及ぼさない愛玩動物用の洗浄剤を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するための本発明は、以下の技術的手段から構成される。
(1)竹炭を製造する際に生じる灰から水溶性成分を抽出した竹炭灰抽出液と、竹炭から水溶性成分を抽出した竹炭抽出液を含有することを特徴とする愛玩動物飼育用製剤。
(2)カリウム含量が2,000ppm以上であり、かつケイ酸含量が5,000ppm以上であることを特徴とする上記(1)に記載の愛玩動物飼育用製剤。
(3)竹酢液をさらに配合したことを特徴とする上記(1)又は(2)に記載の愛玩動物飼育用製剤。
(4)食塩をさらに配合したことを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれか1項に記載の愛玩動物飼育用製剤。
(5)上記(1)〜(4)のいずれかに記載の愛玩動物飼育用製剤を含有することを特徴とする愛玩動物用の食物、飲料又は補助食品。
(6)上記(1)〜(4)のいずれかに記載の愛玩動物飼育用製剤の洗浄作用を利用したことを特徴とする愛玩動物飼育用洗剤。
(7)竹材を炭化して竹炭を得る際に生じる灰を水に加えて、カリウム含量が5,000ppm以上であり、かつケイ酸含量が10,000ppm以上である竹炭灰抽出液を得る工程と、竹炭を水に加えて、カリウム含量が1,000ppm以上であり、かつケイ酸含量が1,000ppm以上である竹炭抽出液を得る工程と、前記竹炭灰抽出液と竹炭抽出液とを混合してカリウム含量が2,000ppm以上であり、かつケイ酸含量が5,000ppm以上の混合液を得る工程とからなることを特徴とする愛玩動物飼育用製剤の製造方法。
【0012】
本発明は、愛玩動物用飼育用製剤に関するものであり、特に、該製剤を含有する愛玩動物用の食品又は補助食品、及び愛玩動物用洗浄剤に係るものである。本発明の製剤を含有する愛玩動物用食品又は補助食品は、猫、犬、ウサギ、フェレット、モルモット、リス等の家庭で飼育可能な小動物向けの食餌の中で、特に猫および犬用の餌に適している。猫および犬は、肉または魚を主食とするため、胃腸および口腔内に悪臭ガスを発生しやすく、糞尿臭や口腔臭などが他のペットと比較して強いため、本発明の食品を食することにより猫や犬の糞尿臭、口腔臭、手足の肉玉臭および体臭を低減または削減することができると共に愛玩動物の健康増進にも有用である。また、家畜類についても同様に体臭を低減することができる。
【0013】
本発明の愛玩動物飼育用製剤は、例えば、飼料構成成分として、畜肉、魚介類、野菜類、穀物、豆類、小麦粉、澱粉、油脂類、食物繊維、乳製品、油粕、魚粉、ビタミン類、ミネラル類等を配合して製造された愛玩動物飼育用の食品又は補助食品中に添加して、あるいは液状のままで使用される。本発明の愛玩動物飼育用製剤は腸内で発生する悪臭ガス等を低減することができるため、糞尿臭を低減または削減することができる。
【0014】
また、本発明の愛玩動物飼育用製剤は、口腔臭を低減または削減することができる。このように、食品と共に摂取された本発明の製剤は、体内を浄化し、愛玩動物の健康状態を良好にし、体臭を低減することができる。また、本発明の製剤は、食品中に含まれている肉類や魚類などの臭いがペットの体内に蓄積して、皮脂腺から出る皮脂と一緒に分泌されるのを防止するため、体表面の悪臭が低減され猫や犬等の手足の肉玉臭を低減することができる。そして、愛玩動物用の食品中に本発明の製剤を0.1〜10重量%添加し、食させることにより愛玩動物が発する臭気の低減及び健康の増進を達成することができる。
【0015】
本発明の愛玩動物飼育用製剤は洗浄剤としても有用である。本発明の洗浄液は、愛玩動物の洗浄用に使用する場合は、石鹸や合成洗剤の代わりに適量をそのまま従来の洗浄剤と同様に使用すればよい。本発明の洗浄剤により汚れが除去されるのは、一つには、竹炭灰及び竹炭から抽出されるミネラルの作用により水のクラスターが小さくなり、このクラスターの隙間に汚れが取り込まれるためであると考えられる。なお、竹炭灰抽出液のみでは本発明ほどの洗浄効果は得られないが、竹炭抽出液と混合することによって、カルシウム及びマグネシウム等が補充され、ミネラル含有量のバランスが改善されて洗浄効果がより向上すると考えられる。
【0016】
本発明の洗浄剤を、木炭を用いた洗浄剤と比較すると、竹炭及び竹炭灰は木炭及び木炭灰と比較してミネラル含有量が多く、より少量で同等の効果が得られる。特に、竹炭及び竹炭灰は木炭及び木炭灰と比較してケイ酸を多く含み、これらの成分がガラス状に固まって微細な粒子を形成し、これが汚れに対して物理的に作用して、汚れを落とす機能が増強されると考えられる。また、竹材は木材と比較してリグニンの含量が少なく、炭化するとタール分の少ない炭が得られ、洗浄剤中の不純物が少なくなるので、濾過等の不純物除去がより容易であり、長期間使用しても愛玩動物の毛並みや皮膚に損傷を与えることのない洗浄剤が得られる。
【0017】
本発明の愛玩動物飼育用製剤は、竹炭灰抽出液と竹炭抽出液を主成分とするものであり、竹炭灰抽出液は、竹材を炭窯で約600℃以上好ましくは約700〜800℃の温度で炭化する際に生じる灰を水に加えて、好ましくは加熱・撹拌することにより得ることができ、好ましくは、カリウム含量が5,000ppm以上、ケイ酸含量が10,000ppm以上、pHが約9〜13になるように調整する。加熱条件は、竹の種類等にもよるが、目安としては約40℃以上の温度で約1時間程度である。
【0018】
竹炭抽出液は、竹炭を水中で加熱することにより得られ、好ましくは、カリウム含量が1,000ppm以上、カルシウム含量が100ppm以上、マグネシウム含量が2000ppm以上、ケイ酸含量が1,000ppm以上、pHが約8〜10になるように調整する。加熱条件は、上記竹炭灰抽出液と同様、竹の種類等によって異なるが、約80℃以上の温度で所望のミネラル濃度が得られるまで水との加熱を継続し、必要に応じて途中で炭を1回〜数回取り換えればよい。
【0019】
上記竹炭灰抽出液及び竹炭抽出液は、濾過により、固形物、浮遊物等を除去して使用する。濾過の方法は特に限定されず、従来から使用される種々の方法を用いることができるが、原料に起因する不純物や製造中に混入する不純物を、微細なものまで効率的に除去しうる点でカーボンフィルターが特に好適に使用される。
【0020】
本発明の愛玩動物飼育用製剤は、上記竹炭灰抽出液と竹炭抽出液とを配合し、必要に応じて、更に、竹酢液、食塩、植物由来の発泡性成分のうちの1種又は2種以上を配合して製造される。抽出液の混合割合は、混合液の成分含量でカリウム含量2,000ppm以上、カルシウム含量100ppm以上、マグネシウム含量100ppm以上、ケイ酸含量5,000ppm以上となるように調整するのが好ましい。竹炭灰抽出液と竹炭抽出液とを配合する場合は、pHが約9〜11の範囲(重量比で50:50〜70:30程度)になるように調整するのが好ましい。竹酢液を配合する場合は、好ましくはpHが約5以下、より好ましくは約3.5〜4.0の範囲内になるように調整する。また、食塩を配合する場合は、混合液100リットル当たり好ましくは約20〜40g、より好ましくは30g程度添加することが好ましい。
【0021】
上記各成分の混合には、従来から使用されている各種撹拌方法が用いられるが、液中に微細気泡を発生させる工程を経ることが好ましい。微細気泡とは、好ましくは直径10〜30μm程度の気泡である。微細気泡を発生させることにより混合効率を向上させ、また液中の微細な浮遊物を凝集させ、除去することが可能となる。また、水のクラスターを小さくし、洗浄効果をより向上させる効果もあると考えられる。
【0022】
本発明の愛玩動物飼育用製剤には竹酢液を添加することができる。竹酢液を飲用に供した場合には、肝臓病や、成人病である動脈硬化、糖尿病、花粉症等に効果があり、また、肌の手入れにも最適である化粧クリームとの併用も可能であることが知られているが、本発明の愛玩動物飼育用製剤の成分としても使用できる。竹酢液は竹炭の製造の際に発生する煙を冷却して得られるものであり、従来からの製法により製造されたものを使用できるが、十分精製されていることが好ましい。製造方法及び精製方法の好ましい例を以下に挙げる。
【0023】
竹材を600℃以上で加熱焼成する際に発生する温度約80〜150℃の煙を採取し、冷却、液化させて容器に入れて数ヶ月間静置し、タール等の沈殿物を除去して竹酢液原液とする。この原液に水を加えてpHを約2.5〜3.5に調整したのち、必要に応じて濾過を繰り返すことにより、精製した竹酢液が得られる。
【0024】
竹酢液は必ずしも必要ではないが、水のクラスターを小さくする効果を有し、水や有効成分の繊維への浸透力を向上させるものと考えられる。したがって、竹酢液を添加することによって、洗浄力や防臭効果、健康増進作用の更なる向上が期待でき、液性が強酸性に近付けば殺菌力による腐敗臭の低減効果が期待できる。また、洗浄した愛玩動物の毛並みの風合いを向上させる効果を有する。
【0025】
本発明の愛玩動物飼育用製剤に、食塩を添加することによりその効果を増進させることができる。精製塩が使用可能であるが、カリウム、カルシウム、マグネシウム等のミネラルを多量に含有することから天然塩であることがより好ましい。食塩は必ずしも必要ではないが、食塩を加えることにより塩素イオンから次亜塩素酸が生じ、抗菌効果が得られると考えられる。また、食塩に由来するミネラル分が洗浄効果を増強させると考えられる。
【0026】
本発明の愛玩動物用製剤を洗浄剤として使用するにあたっては、必要に応じて植物由来発泡性成分を加えることもできる。発泡性成分とは、例えば、ドウカンソウ、サボンソウ、ムクロジ、セッケンボク等の植物から得られるサポニンを含む成分であり、これらを加えて適度な泡立ちを生じるようにすることにより液だれがしなくなり、洗浄剤としての使い勝手が良くなり、より少量の洗浄剤でより良好な洗浄効果が得られる。
【発明の効果】
【0027】
本発明により次のような効果が奏される。
(1)愛玩動物用の食品類中に本発明の愛玩動物飼育用製剤を0.1〜10重量%含有させることにより、これを食した愛玩動物の糞尿臭、口腔臭、手足の肉玉臭および体臭を低減または削減させことができる。
(2)本発明の愛玩動物飼育用製剤を愛玩動物用の食品中に添加しても愛玩動物の嗜好性は変わらない。
(3)本発明の愛玩動物飼育用製剤を給餌された動物類の健康が増進される。
(4)本発明の愛玩動物飼育用製剤は洗浄作用を有するため、愛玩動物の発汗、汚物の付着等による悪臭を簡便に洗い流すことができる洗浄剤として有用である。
(5)本発明の愛玩動物飼育用製剤を連続して洗浄剤として使用しても、愛玩動物の皮膚や毛に悪影響を及ぼすことがない。
(6)本発明の愛玩動物飼育用製剤は、食品類との均一混合が容易であり、摂取量のばらつきを低く押さえることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
次に、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明は、以下の実施例によって何ら限定されるものではない。
【実施例1】
【0029】
次のようにして、本発明の愛玩動物飼育用製剤を調製した。
1.竹炭灰抽出液の製造
乾燥生竹材を約700℃で炭化し、竹炭を得た際に生じた灰を、精製活水浄水器を通した地下水1リットルに対し10重量%の割合で加えて、ステンレス製回転釜を用いて約40〜45℃で1時間加熱し、カーボンフィルター(内外醸造工業(株)製、ニュースーパーカーボンフィルター、12吋20段)で濾過することにより竹炭灰抽出液を得た。この竹炭灰抽出液はpH12.0であり、主な成分の含有量(ppm)は以下のとおりであった。
【0030】
カリウム 8,650
カルシウム 138
マグネシウム 60
ケイ酸 19,500
【0031】
2.竹炭抽出液の製造
上記と同じ浄水器を通した地下水30リットルに、上記により得られた竹炭5kgを入れて、上記と同じステンレス製回転釜を用いて約80℃以上で10分間加熱後、冷却し、上記と同じカーボンフィルターで濾過して竹炭抽出液を得た。この竹炭抽出液はpH9.0であり、主な成分の含有量(ppm)は以下のとおりであった。
【0032】
カリウム 1,740
カルシウム 240
マグネシウム 420
ケイ酸 1,860
【0033】
3.愛玩動物飼育用製剤の製造
上記により得られた竹炭灰抽出液及び竹炭抽出液を、重量比で60:40の割合で配合して、微細気泡発生装置((有)バブルタンク製、EOXMICRO)を用いて微細気泡を30分間発生させ攪拌・混合することにより混合液の均一化と活性化(水のクラスターの細分化等)を図り、本発明の愛玩動物飼育用製剤(pH10.0)を得た。
【実施例2】
【0034】
上記により得られた竹炭灰抽出液及び竹炭抽出液と竹酢液を、重量比で40:30:30の割合で配合して、微細気泡発生装置((有)バブルタンク製、EOXMICRO)を用いて微細気泡を30分間発生させ攪拌・混合することにより混合液の均一化と活性化(水のクラスターの細分化等)を図り、本発明の愛玩動物飼育用製剤(pH3.5)を得た。
なお、竹酢液は次の方法により製造及び精製して用いた。すなわち、竹材を約700℃で炭化する際に発生した温度約80〜150℃の煙を冷却して採取し、容器に入れて6ヶ月間静置し、タール等の沈殿物を除去したものを、定圧式蒸留装置を用いて、常圧、温度100℃で蒸留して、pH2.5の竹酢液原液を得た。
【実施例3】
【0035】
本実施例においては、上記実施例1で製造した愛玩動物飼育用製剤を5重量%ペットフードに添加して、猫3匹に給餌し、その糞尿臭、口腔内臭、手足の肉玉臭および体臭を官能試験により評価した。
【0036】
1.ペットフード
各々の猫の臭いの基準とする、トウモロコシ40%、魚粉35%、小麦粉20%、大豆5%を含む配合飼料を固形状のペットフードに調製し、これを各々の猫に7日間連続して給餌し、7日目以降に糞尿をサンプリングした後、各々10gずつ密閉容器に入れて直ちに冷凍保管した。
【0037】
口腔内臭気、手足の肉玉臭および体臭については、官能評価開始前に香料の少ないペット用シャンプーで各々のネコを洗浄し、それ以前に付着していた体臭を取り除いた状態にした後7日間給餌して評価した。
【0038】
2.本発明の愛玩動物飼育用製剤入りペットフード
前記のペットフードに実施例1で製造した本発明の製剤を5重量%添加した。本発明の製剤とペットフードを十分混合した後、これを各々の猫に7日間連続して与え、7日目以降に糞尿のサンプリング後、各々10gずつ密閉容器に入れて直ちに冷凍保管した。また同時に、糞尿臭、口腔内臭気の評価を行い、手足の肉玉臭および体臭について官能評価した。
【0039】
3.評価
官能評価試験の結果では、本発明の製剤を含まない基準ペットフードを給餌した場合と、本発明の製剤を含むペットフードを給餌した後の臭いを比較すると、本発明の製剤入りペットフードを給餌した場合には、糞尿臭、口腔臭、手足の肉玉臭および体臭がいずれも減少し改善された。また、本発明の製剤入りペットフードを給餌した場合には、各々の猫の排泄物中の悪臭物質が大幅に低減されることが認められた。また、本発明の製剤入りペットフードへの嗜好性に変化はなかった。
【実施例4】
【0040】
本発明の実施例2で製造した愛玩動物飼育用製剤を、室内犬であるマルチーズの飼料に2%添加して4週間給餌したが、マルチーズは何の違和感も訴えず、従来と同じ様に飼料を食べ続けた。また、マルチーズの健康に悪影響を与えることはなく、以前より毛並みの艶は良くなり健康が増進したと認められると共に、体臭も低減した。
【実施例5】
【0041】
本発明の実施例1で製造した愛玩動物飼育用製剤を使用して、マルチーズの全身を洗浄した。洗浄は、3日に一度の割合で1ヶ月間継続した。洗浄後のマルチーズの体は付着していた汚れ、悪臭が完全に除去されていた。また、1ヶ月後のマルチーズの毛並みはふさふさとして良好であり、皮膚に炎症等の悪影響は認められなかった。
【実施例6】
【0042】
本発明の愛玩動物飼育用製剤を調製した。実施例1と同様にして竹炭灰及び竹炭を製造した。竹炭灰300gに水を100〜200Lを加えて1時間加熱して竹炭灰抽出液を製造した。また、竹炭1kgに水100〜200Lを加え1時間加熱して竹炭抽出液を製造した。次いで、製造した各抽出液をカーボンフィルターでろ過した後、両者を1:1の割合で混合した。次に、竹炭焼成時に生成する噴煙を冷却採取(1次蒸留)したものを更に低圧式蒸留精製装置で再留(2次蒸留)して竹酢液を製造した。前記混合抽出液に竹酢液濃度が1ppmとなるように添加して愛玩動物飼育用製剤を製造した。次いで、マイクロバブルを30分間吹き込み処理を行って、マイクロバブルの浮遊分離効果により汚れを除去して精製された愛玩用動物飼育用製剤を得た。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明は、愛玩動物の飼育用製剤に係るものであり、特に、愛玩動物用の食品又は洗浄剤の成分として有用な製剤を提供するものである。本発明は、竹炭を製造する際に生じる灰から水溶性成分を抽出した竹炭灰抽出液と、竹炭から水溶性成分を抽出した竹炭抽出液とを混合して得た混合液を主成分とする愛玩動物飼育用製剤に係るものである。本発明は、近年増加の一途をたどっている愛玩動物を飼育している家庭において特に有用な飼育用製剤を提供するものであり、家庭内での飼育環境の改善と愛玩動物の健康増進、更には、人の住環境の健全化を達成することを可能とする新しい製剤を提供するものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
竹炭を製造する際に生じる灰から水溶性成分を抽出した竹炭灰抽出液と、竹炭から水溶性成分を抽出した竹炭抽出液とを含有することを特徴とする愛玩動物飼育用製剤。
【請求項2】
カリウム含量が2,000ppm以上であり、かつケイ酸含量が5,000ppm以上であることを特徴とする請求項1に記載の愛玩動物飼育用製剤。
【請求項3】
竹酢液をさらに配合したことを特徴とする請求項1又は2に記載の愛玩動物飼育用製剤。
【請求項4】
食塩をさらに配合したことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の愛玩動物飼育用製剤。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の愛玩動物飼育用製剤を含有することを特徴とする愛玩動物用の食物、飲料又は補助食品。
【請求項6】
請求項1〜4のいずれかに記載の愛玩動物飼育用製剤の洗浄作用を利用したことを特徴とする愛玩動物飼育用洗剤。
【請求項7】
竹材を炭化して竹炭を得る際に生じる灰を水に加えて、カリウム含量が5,000ppm以上であり、かつケイ酸含量が10,000ppm以上である竹炭灰抽出液を得る工程と、竹炭を水に加えて、カリウム含量が1,000ppm以上であり、かつケイ酸含量が1,000ppm以上である竹炭抽出液を得る工程と、前記竹炭灰抽出液と竹炭抽出液とを混合してカリウム含量が2,000ppm以上であり、かつケイ酸含量が5,000ppm以上の混合液を得る工程とからなることを特徴とする愛玩動物飼育用製剤の製造方法。

【公開番号】特開2009−82087(P2009−82087A)
【公開日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−258103(P2007−258103)
【出願日】平成19年10月1日(2007.10.1)
【出願人】(507325703)
【出願人】(507325714)
【出願人】(507325725)
【出願人】(507325769)
【Fターム(参考)】