説明

感光体の保管方法及び画像形成装置

【課題】感光体を特定の複合フィルムで密封、保管する事により、保管経時での感度劣化を防止すること、及び保管後の繰り返し使用時の露光後電位を安定化させ、使用時の帯電低下を防止することを目的とする。
【解決手段】ポリエステルを外表面とするポリエステル31/アルミ箔33/ポリエチレン34の層構成でドライラミネートした複合フィルムにより感光体を密封、保管する方法において、感光体対向面側のポリエチレン/アルミ箔の間に調湿機能性組成物層32を直接又は接着層35、36を介して設けた事を特徴とする感光体の保管方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、感光体の保管方法に関する。
【背景技術】
【0002】
感光体は製造後、特性変化が経時に渡って生じやすく、特に電荷発生材料としてチタニルフタロシアニンを用いた感光体では、経時での特性変化が起こりやすい欠点を有している。
特許文献1には、感光体あるいはプロセスカートリッジをポリオレフィンフィルムの外面に他のフィルムを接合したラミネートフィルムにより密封、保管する方法において、ポリオレフィンフィルムと他のフィルムとの接着層が、有機溶剤を使用せずに設けられている事により感光体あるいはプロセスカートリッジを長期にわたって感度劣化を生じることなく保存し、使用する方法が示されている。
しかしながら、この方法は、ポリオレフィンフィルム外面に有機溶剤を使用せずに他のフィルムを接合したラミネートフィルムにより感光体を密封、保管する事により長期にわたって感度劣化を生じることなく保存する事を目的としているが、密封状態内部の水分量を制御しておらず、感光体の電荷発生材としてチタニルフタロシアニン顔料の様な顔料中の水分量により感度、帯電性が影響を受けるような感光体に対しては不十分である。
【0003】
特許文献2では、感光体を温湿度を調整した環境に曝して、感光体を構成する有機化合物を含む全層に含まれる水分の含有量を0.02重量%〜5重量%の範囲内とする事により電気特性のばらつきの少ない電子写真用有機感光体を提供することが示されている。
しかしながら、実使用において長期間温湿度を調整した環境に感光体を曝す事はコスト的に困難である。また特許文献1の場合と同じ理由から感光体の電荷発生材としてチタニルフタロシアニン顔料を用いた場合は前記水分の含有量は0.02重量%以下が好ましい。
【0004】
特許文献3では、フィルム基材上にポリエチレン層を介して積層されかつ熱可塑性樹脂100重量部に対し化学式MgSO4・nH2O(但し、0≦n≦3)で示される硫酸マグネシウムが5〜400重量部配合された調湿機能性組成物層と、この調湿機能性組成物層にポリエチレン層を介し積層された接着層とでその主要部が構成される保存容器用シール材により保存容器内の湿度条件を一定に保つ事によりマイクロプレート等保存容器内に固相化された抗原、抗体等についてその活性が長期に亘り維持される保存容器用シール材を提供することが記載されている。
しかしながら、この特許文献3には、調湿機能性組成物層を有すると保存容器用シール材の用途として電子写真感光体の長期保管に関する記載はない。
【0005】
特許文献4には、被包装物に対向する側の材料層の一部又は全てが乾燥剤含有又は吸湿性、あるいは水分吸着性を有する層、被包装物と対向しない側の材料層に防湿性、気密性、保温性を有する海面状材料層を複数貼り合わせた包装材により感光体を包装する事により感光体の特性劣化を防止することが示されている。
しかしながら、前記特許文献1と同じ理由によりチタニルフタロシアニン顔料を用いた感光体では長期保存時に感度劣化、繰返使用後の露光後電位上昇等の不具合が発生してしまう。
【0006】
特許文献5には、感光体を不活性ガス、酸素吸収剤を内包する容器内に保存する事により長期保存後も特性が安定し、良好な画像形成を行う事が出来る感光体を提供する事が記載されている。
しかしながら、この特許文献5に記載の発明は、感光体を不活性ガス、酸素吸収剤を内包する容器内に保存する事により感光体構成材料の酸化防止を狙っているが、酸化以外のハザードに対しては効果が無い。
【特許文献1】特開2006−23615号公報
【特許文献2】特開平9−90645号公報
【特許文献3】特開平9−12060号公報
【特許文献4】特開平4−128165号公報
【特許文献5】特公平3−15738号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は感光体を特定の複合フィルムで密封、保管する事により、保管経時での感度劣化を防止すること、及び保管後の繰り返し使用時の露光後電位を安定化させ、使用時の帯電低下を防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は上記課題を解決するため下記の構成よりなる。
(1)ポリエステルを外表面とするポリエステル/アルミ箔/ポリエチレンの層構成でドライラミネートした複合フィルムにより感光体を密封、保管する方法において、感光体対向面側のポリエチレン/アルミ箔の間に調湿機能性組成物層を直接又は接着層を介して設けた事を特徴とする感光体の保管方法。
(2)上記(1)記載の感光体の保管方法において、前記調湿機能性組成物層が結晶水を有する硫酸マグネシウム、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、ケイ酸マグネシウムから選ばれた無機化合物を少なくとも1種含有する事を特徴とする感光体の保管方法。
(3)上記(2)に記載の感光体の保管方法において、前記調湿機能性組成物層が熱可塑性樹脂100重量部に対し前記無機化合物を5〜60重量部配合された調湿機能性組成物層である事を特徴とする感光体の保管方法。
【0009】
(4)上記(1)〜(3)のいずれか1項に記載の感光体の保管方法において、前記調湿機能性組成物層の膜厚が20〜100μmである事を特徴とする感光体の保管方法。
(5)上記(1)〜(4)のいずれか1項に記載の感光体の保管方法において、前記感光体が電荷発生物質チタニルフタロシアニンを含有する事を特徴とする感光体の保管方法。
(6)上記(1)〜(5)のいずれか1項に記載の感光体の保管方法において、前記感光体が、製造後1年以上保管されることを特徴とする感光体の保管方法。
(7)上記(1)〜(6)のいずれか1項に記載の感光体の保管方法において、帯電手段、現像手段、転写手段、クリーニング手段のうち少なくとも1つ以上の手段が該感光体に当接している事を特徴とする感光体の保管方法。
(8)上記(7)記載の感光体の保管方法において、感光体が、感光体、帯電手段、現像手段、クリーニング手段と一体に支持され画像形成装置本体に着脱自在であるプロセスカートリッジとして保管される事を特徴とする感光体の保管方法。
(9)電子写真感光体、帯電手段、現像手段、転写手段、クリーニング手段を有する画像形成装置において、電子写真感光体が上記(1)〜(8)のいずれか1項に記載の感光体の保管方法により保管された感光体であることを特徴とする画像形成装置。
【発明の効果】
【0010】
ポリエステルを外表面とするポリエステル/アルミ箔/ポリエチレンの層構成でドライラミネートした複合フィルムにより感光体を密封、保管する方法において、感光体対向面側のポリエチレン/アルミ箔の間に調湿機能性組成物層を直接又は接着層を介して設け、感光体をこの複合フィルム密封、保管する事により、長期間感光層中の含水分量を一定に保つことが出来る。そのため、電荷発生層にチタニルフタロシアニンのような適度な水分が必要な顔料を用いた場合でも保管経時での感度劣化を防止する事が可能となる。
【0011】
調湿機能性組成物層が結晶水を有する硫酸マグネシウム、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、ケイ酸マグネシウムから選ばれた無機化合物である事により、保管容器中の含水分をこれらの無機化合物が吸収する。これらの無機化合物は一定量以上の水分を吸収した時点で、それ以上の水分を吸収しなくなる。本発明の様に密閉状態でこれらの無機化合物を用いる事により常に一定の湿度状態を密閉状態中に作り出す事が可能となる。この事により保管経時での感度劣化防止、保管後の繰り返し使用時の露光後電位を安定化させる事が出来る。
調湿機能性組成物層に熱可塑性樹脂100重量部に対し前記の無機化合物を5〜60重量部配合する事、また膜厚を20〜100μmとする事により感光体保管に最適な湿度状態を密閉状態で作ることが出来る
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、図面に沿って本発明を説明する。
図1(a)は本発明に用いるの複合フィルムの模式断面図を示したものであり、感光体に対向する側からポリエチレン31、調湿機能性組成物層32、アルミ箔33、ポリエステル34から構成される。図1(b)は調湿機能性組成物層32を接着層35、36を介して設けた場合の模式断面図である。
感光体に対向する側のポリエチレン31は厚さ8〜60μmの低密度ポリエチレンが好ましく、調湿機能性組成物層32の膜厚は20〜100μmが好ましい。アルミ箔33の膜厚は5〜60μm、ポリエステル34の膜厚は10〜100μmが好ましい。
【0013】
調湿機能性組成物層は結晶水を有する硫酸マグネシウム、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、ケイ酸マグネシウムから選ばれた無機化合物が好ましい。硫酸マグネシウムの結晶水はn=7が安定であるが、調湿機能を発揮する為には結晶水数nが0〜3の不安定で、外部から水分を取り込める方が好ましい。市販されている硫酸マグネシウムには結晶水が0、1.5、2.5、7のものが有る。酸化アルミニウムではAl23・nH2O;n=1,3、二酸化ケイ素ではSiO2・nH2O、3SiO2・H2O、ケイ酸マグネシウムではMg3Si411・H2O、2MgO・3SiO4・nH2O等のうち結晶水が不足している無機化合物が用いられる。複合フィルムにより保管される感光体の感光層の残留水分量を一定範囲に保持するために、調湿機能性組成物層は、熱可塑性樹脂100重量部に対し無機化合物を5〜60重量部配合されたものが好ましい。また、複合フィルム製保管後の感光層の残留水分量は100〜1000ppmとなることが好ましく、100〜200ppmとなることがより好ましい。感光層中の残留水分量が多いと感光体の帯電特性が低下する。さらに電荷輸送層にポリカーボネート樹脂を用いる感光体では樹脂の加水分解が発生し、感光体の繰返使用により摩耗量が増加する場合が有る。
【0014】
また、調湿機能性組成物層を構成する熱可塑性樹脂としては任意の熱可塑性材料が適用でき、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン;ポリエチレンテレフタレート(以下PETと略称する)、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル;ナイロン−6、ナイロン−66等のポリアミド;ポリ塩化ビニル、ポリイミド、ポリカーボネート等の公知の熱可塑性樹脂が挙げられ、これ等を1種若しくは2種以上混合して適用することができる。
【0015】
調湿機能性組成物層は直接若しくは接着層を介して積層する事ができる。アルミ箔側に接着層を設けることにより、アルミ箔33との良好な接着性、耐折れ性等に優れた複合フィルムとする事が出来る。
調湿機能性組成物層とアルミ箔の間に設ける樹脂又は粘着剤からなる接着層は有機溶媒を用いないで設けることが望ましい。ポリエステル系接着剤、ポリエーテル系接着剤を有機溶剤で希釈して設けた場合、有機溶剤が樹脂又は粘着剤からガスとして徐々に出て密閉された感光体に影響を与え、保管時間が1年以上の長期間保管の場合には、有機溶剤ガスの出てくる量が微量であっても、密封空間から流出していくことはないので感光体の感度劣化が生じ、問題になってしまう。
【0016】
有機溶剤を用いずに樹脂又は粘着剤からなる接着層を形成する方法としては、加熱のみにより樹脂又は粘着剤の粘度を調整後、塗布して接着層を形成するノンソルベントラミネート法、溶融した低密度ポリエチレンを流し込むポリサンドラミネート法等のドライラミネートを例示することができる。
さらに接着層はアルミ箔33とポリエステル34の間に設けても良い。
【0017】
図2に本発明に用いる感光体の層構成の一例を示す。支持体21上に下引き層22、電荷発生層23、電荷輸送層24からなる3層構成からなる。感光体の導電性支持体としては、体積抵抗10-10Ω・cm以下の導電性を示すもの、例えば、アルミニウム、ニッケル、クロム、ニクロム、銅、金、銀、白金などの金属、酸化スズ、酸化インジウムなどの金属酸化物を、蒸着又はスパッタリングにより、フィルム状もしくは円筒状のプラスチック、紙に被覆したもの、あるいはアルミニウム、アルミニウム合金、ニッケル、ステンレスなどの板及びそれらを、押し出し、引き抜きなどの工法で素管化後、切削、超仕上げ、研摩などの表面処理した管などを使用することができる。また、特開昭52−36016号公報に開示されたエンドレスニッケルベルト、エンドレスステンレスベルトも導電性支持体として用いることができる。
【0018】
下引層22は支持体側からの電荷注入防止、接着性を向上する、モアレなどを防止する、上層の塗工性を改良する、残留電位を低減するなどの目的で設けられる。下引き層は熱硬化性樹脂と酸化チタン、シリカ、アルミナ、酸化ジルコニウム、酸化スズ、酸化インジウム等で例示できる金属酸化物、あるいは金属硫化物、金属窒化物などの無機顔料微粉末を単独もしくは二種類以上を適宜選択し、ボールミル、サンドミル、アトライター等により分散して用いる。特に高純度の酸化チタンが好ましい。無機顔料を分散する溶媒としては樹脂の溶解性、無機顔料の分散性からケトン系溶媒、特にシクロヘキサノン、シクロヘキサノール、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンが好ましい。これらの溶媒を用いる事により無機顔料を一次粒径迄分散して凝集物の無い均一な塗工液を製造することが可能となる。
【0019】
下引層22に用いる樹脂としてはその上の感光層が溶剤を用いて塗布することを考えると、一般の有機溶剤に対して耐溶解性の高い樹脂、例えば、活性水素(−OH基、−NH2基、−NH基等の水素)を複数個含有する化合物とイソシアネート基を複数個含有する化合物及び/またはエポキシ基を複数個含有する化合物とを熱重合させた熱硬化性樹脂が挙げられる。活性水素を複数個含有する化合物としては、例えばポリビニルブチラール、フェノキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリアミド、ポリエステル、ヒドロキシエチルメタアクリレート基等の活性水素を含有するアクリル系樹脂等が挙げられる。イソシアネート基を複数個含有する化合物としては、例えばトリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート等とこれらのプレポリマー等が挙げられ、エポキシ基を複数有する化合物としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂等が挙げられる。特にオイルフリーアルキド樹脂とアミノ樹脂例えばブチル化メラミン樹脂等を熱重合させた熱硬化性樹脂が好ましい。アルミニウム基体上への下引き層22の形成は、ロールコート法、浸漬塗工法、スプレーコート法、ノズルコート法、ブレード塗工法等により成膜される。塗布後は乾燥や加熱より乾燥あるいは硬化される。下引き層23の膜厚さは0.1〜20μm、好ましくは0.2〜10μmとするのが適当である。下引き層22に用いる無機顔料Pと熱硬化性樹脂Rとの比率が重量比で4/1〜9/1である事により繰り返し使用時の帯電低下を防止する事ができる。P/Rが4/1未満では繰り返し使用時の帯電低下に対して効果が少ない。一方、P/Rが9/1を越えると繰り返し使用時微小な粒状地汚れに対する効果が少ない。
また、下引き層の乾燥条件を適宜調節し、下引き層中の残留溶媒を10〜1000ppmとする事によりそれにより塗膜欠陥、繰り返し使用時の微小な粒状地汚れの発生防止、また、長期間保管時の感光体露光後電位を安定化させる事が可能となる。
【0020】
電荷発生層23は電荷発生物質を主成分とする層で、必要に応じてバインダー樹脂を用いることもある。電荷発生物質としては、無機系材料と有機系材料を用いることができる。
無機系材料には、結晶セレン、アモルファス・セレン、セレン−テルル、セレン−テルル−ハロゲン、セレン−ヒ素化合物等が挙げられる。
一方、有機系材料としては、公知の材料を用いることが出来る。例えば、無金属フタロシアニン、金属フタロシアニンなどのフタロシアニン系顔料、アズレニウム塩顔料、スクエアリック酸メチン顔料、カルバゾール骨格を有するアゾ顔料、トリフェニルアミン骨格を有するアゾ顔料、ジフェニルアミン骨格を有するアゾ顔料、ジベンゾチオフェン骨格を有するアゾ顔料、フルオレノン骨格を有するアゾ顔料、オキサジアゾール骨格を有するアゾ顔料、ビススチルベン骨格を有するアゾ顔料、ジスチリルオキサジアゾール骨格を有するアゾ顔料、ジスチリルカルバゾール骨格を有するアゾ顔料、ペリレン系顔料、アントラキノン系または多環キノン系顔料、キノンイミン系顔料、ジフェニルメタン及びトリフェニルメタン系顔料、ベンゾキノン及びナフトキノン系顔料、シアニン及びアゾメチン系顔料、インジゴイド系顔料、ビスベンズイミダゾール系顔料などが挙げられる。これらの電荷発生物質は、単独または2種以上の混合物として用いることが出来る。アゾ顔料としては、カルバゾール骨格を有するアゾ顔料、トリフェニルアミン骨格を有するアゾ顔料、ジフェニルアミン骨格を有するアゾ顔料、ジベンゾチオフェン骨格を有するアゾ顔料、フルオレノン骨格を有するアゾ顔料、オキサジアゾール骨格を有するアゾ顔料、ビススチルベン骨格を有するアゾ顔料、ジスチリルオキサジアゾール骨格を有するアゾ顔料、ジスチリルカルバゾール骨格を有するアゾ顔料、また、アゾ顔料に加えて金属フタロシアニン、無金属フタロシアニンなどのフタロシアニン系顔料、アズレニウム塩顔料、スクエアリック酸メチン顔料、ペリレン系顔料、アントラキノン系または多環キノン系顔料、キノンイミン系顔料、ジフェニルメタン及びトリフェニルメタン系顔料、ベンゾキノン及びナフトキノン系顔料、シアニン及びアゾメチン系顔料、インジゴイド系顔料、ビスベンズイミダゾール系顔料などを1種以上含有しても良い。
【0021】
これら有機系電荷発生材料の中でもチタニルフタロシアニン、特にCuKαの特性X線(波長1.514Å)に対するブラッグ角2θの最大回折ピークを27.2±0.2゜に有するチタニルフタロシアニンが高感度である。
しかしながら、チタニルフタロシアニンの高感度を維持する為には適度な含水分を感光層中に保持する必要が有る。感光体を1年以上の長期間保管する場合、通常の保管環境では感光体の高感度維持に必要な含水分を一定に維持出来ない。また、密閉状態で保管した場合は感光層から水分が抜け出て高感度を維持できない場合が発生する。このため、本発明の様な調湿機能性組成物層を有する包材を使用した保管方法が必要である。チタニルフタロシアニンを用いた感光体を高温高湿下で長期間保管後、繰返使用した場合帯電性の低下による地肌汚れ、細線カスレが発生する。
【0022】
電荷発生層に必要に応じて用いられるバインダー樹脂としては、ポリアミド、ポリウレタン、エポキシ樹脂、ポリケトン、ポリカーボネート、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルケトン、ポリスチレン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリアクリルアミドなどが用いられる。これらのバインダー樹脂は、単独または2種以上の混合物として用いることが出来る。
【0023】
また、必要に応じて電荷輸送物質を添加してもよい。また、電荷発生層のバインダー樹脂として上述のバインダー樹脂の他に、高分子電荷輸送物質が良好に用いられる。
電荷発生層の電荷発生材料と樹脂との比率は重量比で1/1〜10/1であることにより感光層と下引層との接着性向上、露光後電位の安定化させる事ができる。
【0024】
電荷発生層を形成する方法には、溶液分散系からのキャスティング法が主に用いられる。キャスティング法によって電荷発生層を設けるには、上述した無機系もしくは有機系電荷発生物質を必要ならばバインダー樹脂と共にテトラヒドロフラン、シクロヘキサノン、ジオキサン、ジクロロエタン、ブタノン、メチルエチルケトン等の溶媒を用いてボールミル、アトライター、サンドミル等により分散し、分散液を適度に希釈して塗布することにより、形成できる。塗布は、浸漬塗工法やスプレーコート、ビードコート法などを用いて行なうことができる。
以上のようにして設けられる電荷発生層の膜厚は、0.01〜5μm程度が適当であり、好ましくは0.05〜2μmである。
【0025】
電荷輸送層24は帯電電荷を保持させ、かつ露光により電荷発生層24で発生分離した電荷を移動させて保持していた帯電電荷と結合させることを目的とする層である。さらに電荷輸送層25は帯電電荷を保持させる目的達成のために電気抵抗が高いことが要求され、また保持していた帯電電荷で高い表面電位を得る目的を達成するためには、誘電率が小さくかつ電荷移動性が良いことが要求される。
【0026】
これらの要件を満足させるための電荷輸送層25は、電荷輸送物質、バインダー樹脂、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、1,4−ジオキサン、ジオキソラン、トルエン、ジメトキシメタンなどの環状エーテル系溶剤に溶解した塗工液を塗布して形成される。必要により電荷輸送物質及びバインダー樹脂以外に、可塑剤、酸化防止剤、レベリング剤等を適量添加することもできる。環境面からはジクロロメタン、クロロホルム、モノクロロベンゼン、トリクロロエタン、トリクロロメタンなどの塩素系溶媒が敬遠されている。これらの環状エーテル系溶剤を用いる事により感光層と支持体又は下引層との接着性を向上させる事が出来る。
【0027】
電荷輸送層中の残留環状エーテル系溶剤量は20〜5000ppmが好ましい。20ppm未満では支持体、又は下引き層との接着性低下、5000ppmを越えると感光体露光後電位の上昇の不具合が発生してしまう。
【0028】
電荷輸送物質としては、正孔輸送物質と電子輸送物質とがある。
電子輸送物質としては、たとえばクロルアニル、ブロムアニル、テトラシアノエチレン、テトラシアノキノジメタン、2,4,7−トリニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロキサントン、2,4,8−トリニトロチオキサントン、2,6,8−トリニトロ−4H−インデノ〔1,2−b〕チオフェン−4オン、1,3,7−トリニトロジベンゾチオフェン−5,5−ジオキサイドなどの電子受容性物質が挙げられる。これらの電子輸送物質は、単独または2種以上の混合物として用いることが出来る。また、ハイドロキノン系以外のモノフェノール系化合物、高分子フェノール系化合物、パラフェニレンジアミン類、有機硫黄化合物類等の酸化防止剤も併用して使用しても良い。
【0029】
パラフェニレンジアミン類
N−フェニル−N’−イソプロピル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジ−sec−ブチル−p−フェニレンジアミン、N−フェニル−N−sec−ブチル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジ−イソプロピル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジメチル−N,N’−ジ−tーブチル−p−フェニレンジアミンなど。
有機硫黄化合物類
ジラウリル−3,3’−チオジプロピオネート、ジステアリル−3,3’−チオジプロピオネート、ジテトラデシル−3,3’−チオジプロピオネートなど。
有機燐化合物類
トリフェニルホスフィン、トリ(ノニルフェニル)ホスフィン、トリ(ジノニルフェニル)ホスフィン、トリクレジルホスフィン、トリ(2,4−ジブチルフェノキシ)ホスフィンなど。
【0030】
正孔輸送物質としては、以下に表わされる電子供与性物質が挙げられ、良好に用いられる。たとえば、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、トリフェニルアミン誘導体、9−(p−ジエチルアミノスチリルアントラセン)、1,1−ビス−(4−ジベンジルアミノフェニル)プロパン、スチリルアントラセン、スチリルピラゾリン、フェニルヒドラゾン類、α−フェニルスチルベン誘導体、チアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、フェナジン誘導体、アクリジン誘導体、ベンゾフラン誘導体、ベンズイミダゾール誘導体、チオフェン誘導体などが挙げられる。これらの正孔輸送物質は、単独または2種以上の混合物として用いることが出来る。
【0031】
電荷輸送層に併用できるバインダー樹脂としては、ポリカーボネート(ビスフェノールAタイプ、ビスフェノールZタイプ)、ポリエステル、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリエチレン、塩化ビニル、酢酸ビニル、ポリスチレン、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン、ポリ塩化ビニリデン、アルキッド樹脂、シリコーン樹脂、ポリビニルカルバゾール、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリアクリレート、ポリアクリルアミド、フェノキシ樹脂などが用いられる。これらのバインダーは、単独または2種以上の混合物として用いることが出来る。
電荷輸送層の膜厚は、5〜100μm程度が適当である。
【0032】
可塑剤としては、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレート、ビスベンジルベンゼン誘導体などの可塑剤として使用されているものがそのまま使用でき、その使用量は結着樹脂100重量部に対して0〜30重量部程度が適当である。
【0033】
酸化防止剤としては、例えば以下のものが使用される。
モノフェノール系化合物
2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ブチル化ヒドロキシアニソール、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、ステアリル−β−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、3-t-ブチル-4-ヒドロキシニソールなど。
ビスフェノール系化合物
2,2’−メチレン−ビス−(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレン−ビス−(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)など。
【0034】
高分子フェノール系化合物
1,1,3−トリス−(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、テトラキス−[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、ビス[3,3’−ビス(4’−ヒドロキシ−3’−t−ブチルフェニル)ブチリックアシッド]グリコールエステル、トコフェノール類など。
パラフェニレンジアミン類
N−フェニル−N’−イソプロピル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジ−sec−ブチル−p−フェニレンジアミン、N−フェニル−N−sec−ブチル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジ−イソプロピル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジメチル−N,N’−ジ−t−ブチル−p−フェニレンジアミンなど。
【0035】
ハイドロキノン類
2,5−ジ−t−オクチルハイドロキノン、2,6−ジドデシルハイドロキノン、2−ドデシルハイドロキノン、2−ドデシル−5−クロロハイドロキノン、2−t−オクチル−5−メチルハイドロキノン、2−(2−オクタデセニル)−5−メチルハイドロキノンなど。
有機硫黄化合物類
ジラウリル−3,3’−チオジプロピオネート、ジステアリル−3,3’−チオジプロピオネート、ジテトラデシル−3,3’−チオジプロピオネートなど。
有機燐化合物類
トリフェニルホスフィン、トリ(ノニルフェニル)ホスフィン、トリ(ジノニルフェニル)ホスフィン、トリクレジルホスフィン、トリ(2,4−ジブチルフェノキシ)ホスフィンなど。
【0036】
電荷輸送層中にレベリング剤を添加してもかまわない。レベリング剤としては、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル等のシリコーンオイル類や、測鎖にパーフルオロアルキル基を有するポリマーあるいはオリゴマーが使用され、その使用量は、バインダー樹脂100重量部に対して、0〜1重量部が適当である。
【0037】
電荷輸送層上に保護層を設けても良い。
保護層は結着樹脂中に金属、又は金属酸化物の微粒子を分散した層である。結着樹脂としては可視、赤外光に対して透明で電気絶縁性、機械的強度、接着性に優れた物が望ましい。保護層の結着樹脂としてはABS樹脂、ACS樹脂、オレフィン−ビニルモノマー共重合体、塩素化ポリエーテル、アリル樹脂、フェノール樹脂、ポリアセタール、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリアクリレート、ポリアリルスルホン、ポリブチレン、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリエーテルスルホン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリイミド、アクリル樹脂、ポリメチルベンテン、ポリプロピレン、ポリフェニレンオキシド、ポリスルホン、ポリスチレン、AS樹脂、ブタジエン−スチレン共重合体、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、エポキシ樹脂等の樹脂が挙げられる。金属酸化物としては酸化チタン、酸化錫、チタン酸カリウム、TiO、TiN、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化アンチモン等が挙げられる。保護層にはその他、耐摩耗性を向上する目的でポリテトラフルオロエチレンのような弗素樹脂、シリコーン樹脂、及びこれらの樹脂に等の無機材料を分散したもの等を添加することができる。保護層の形成法としては通常の塗布法が採用される。なお保護層の厚さは0.1〜10μm程度が適当である。
【0038】
図3に本発明の画像形成装置の一例を示す。
図3は、本発明の画像形成装置の模式断面図である。
図中11は本発明に用いる感光体ドラムであり、本発明の保管方法により保管されていたものである。まず接触帯電手段12により、感光体ドラム11は、帯電する。感光体ドラムが帯電された後、レーザー光によるイメージ露光13を受け、露光された部分で、電荷が発生し、感光体ドラム表面に静電潜像が形成される。感光体ドラム表面に静電潜像を形成した後、現像手段14を介して現像剤と接触し、トナー像を形成する。感光体ドラム表面に形成されたトナー像は、接触転写手段16により紙などの転写部材15へ転写され、定着手段19を通過してハードコピーとなる。感光体ドラム11上の残留トナーはクリーニングブレードからなるクリーニング手段17により除去され、残留電荷は除電手段18で除かれて、次の電子写真サイクルに移る。接触帯電装置では感光体の摩耗により帯電電位は上昇する。
【0039】
接触転写手段16は半導電性発泡ポリウレタン等の材質で構成されトナー像を効率良く転写部材15に転写できる様工夫されている。接触転写手段16の長手方向両端には感光体ドラム11との接触圧を一定にするため樹脂製のコロ(図示せず)が設けられている。
【0040】
本発明の画像形成装置は帯電手段、現像手段、クリーニング手段等が、一体構成となっているプロセスカートリッジを構成していてもよく、本発明の感光体の保管方法においては、感光体をプロセスカートリッジとして保管することができる。プロセスカートリッジにする事により画像形成装置の小型化、取り付け、取り外しなどが簡便となる。
【実施例】
【0041】
以下に実施例を示す。「部」は重量部を意味する。
[複合フィルムの製造例1]
低密度ポリエチレン樹脂内に硫酸マグネシウム(平均粒径8μm;1分子に対し結晶水を0≦n≦3有する)を20重量%含有するように混練して調製されたペレットを用いインフレーション法により成膜された厚さ40μmの調湿機能性組成物層を形成した。続いて厚さ50μmのポリエステルにロールコーターによりポリエステル系接着剤を溶融塗布して厚さ約3μmの接着層を形成後、厚さ10μmのアルミ箔を圧接した。続いてアルミ箔面に同様に接着層を形成し、調湿機能性組成物層を積層して圧着、さらに調湿機能性組成物層にポリエステル系接着剤を溶融塗布して厚さ約3μmの接着層を形成後、厚さ30μmのポリエチレンフィルムを積層して圧着し、ドライラミネートして複合フィルムを作成した。
【0042】
[複合フィルムの製造例2]
製造例1において、硫酸マグネシウムの添加量を40重量%にした以外は製造例1と全く同様にして複合フィルムを作成した。
[複合フィルムの製造例3]
製造例2において、硫酸マグネシウムを酸化アルミニウムに変更した以外は製造例2と全く同様にして複合フィルムを作成した。
[複合フィルムの製造例4]
製造例2において、調湿機能性組成物層の膜厚を80μmに変更した以外は製造例2と全く同様にして複合フィルムを作成した。
【0043】
[複合フィルムの製造例5]
製造例1において、硫酸マグネシウムの添加量を80重量%にした以外は製造例1と全く同様にして複合フィルムを作成した。
[複合フィルムの製造例6]
製造例1において、調湿機能性組成物層の膜厚を120μmに変更した以外は製造例1と全く同様にして複合フィルムを作成した。
[複合フィルムの製造例7]
製造例1において、調湿機能性組成物層の膜厚を10μmに変更した以外は製造例1と全く同様にして複合フィルムを作成した。
[複合フィルムの比較製造例1]
製造例1において、硫酸マグネシウムを除いた以外は製造例1と全く同様にして複合フィルムを作成した。
【0044】
[感光体の製造例1]
下記組成の混合物をボールミルポットに取りφ5mmジルコニアボールを使用し120時間ボールミリングした。
酸化チタン(CR−60:石原産業製) 72部
アルキッド樹脂
(ベッコライトM6401−50大日本インキ化学工業製;固形分50wt%)
14.4部
メラミン樹脂
(スーパーベッカミンL−121−60大日本インキ化学工業製;固形分60wt%)
8部
メチルエチルケトン(関東化学製) 21部
シクロヘキサノン(関東化学製) 9部
このミリング液をφ30mm×L340mmのアルミニウムドラム上に浸漬塗布し、135℃で20分間乾燥して、膜厚3.5μmの下引き層を形成した。ミリング液中の酸化チタンの平均粒径は遠心式粒度分布測定機(CAPA700;堀場製作所製)で測定したところ0.39μmであった。
続いて化学式Iの電荷発生物質2部、固形分濃度2wt%のポリビニルブチーラール樹脂(BX−1;積水化学製)/メチルエチルケトン溶液60部からなる混合物をボールミルポットに取りφ2mmのYTZボールを使用し24時間ボールミリングして電荷発生層塗布液を調整した。この塗布液を下引き層上に浸漬塗布し、95℃で20分間乾燥し、厚さ0.1μmの電荷発生層を形成した。
【化1】

【0045】
次に下記組成の電荷輸送層塗工液を調整し、この塗布液を電荷発生層上に浸漬塗布し、135℃で25分間乾燥し、厚さ32μmの電荷輸送層を形成した。
電荷輸送物質(化学式(II))(リコー製) 7部
【化2】

ポリカーボネート樹脂(TS−2050、帝人化成製) 10部
シリコーンオイル(KF−50、信越化学製) 0.002部
テトラヒドロフラン(関東化学製) 77.4部
【0046】
実施例1〜7、比較例1
製造例1の感光体を9本準備し、反転現像方式のデジタル複写機(当社製イマジオMF2200)で白紙、細線画像をコピーした。続いてイマジオMF2200の現像ローラをはずして電位計のプローブを取り付けたユニットで初期の帯電電位、露光後電位を測定した。その後、これらの8本の感光体を製造例1〜7、比較製造例1の複合フィルムを用いて複合フィルムのポリエチレン面が製造例1の感光体側となるようにヒートシールして感光体を密閉した。これらの感光体を2年間30℃90%の環境下で保管後、常温常湿に戻してから保存前に使用した反転現像方式のデジタル複写機(当社製イマジオMF2200)を用いて白紙画像、細線画像のコピー、現像ローラをはずしての帯電電位、露光後電位測定を行った。
【0047】
比較例2
複合フィルムに入れないままの感光体も同時に30℃90%の環境下で2年間保管後同様の画像評価、電位測定を行った。
【0048】
続いてこれら実施例1〜7、比較例1〜2の感光体を画像密度5%で3万枚のコピーを行ない、1万枚後と3万枚後において、白紙、細線画像のコピー、現像ローラをはずしての帯電電位、露光後電位測定を行った。
白紙画像では黒ポチ画像の個数をカラーイメージプロセッサーSPICCA(日本アビオニクス社製)を用いて黒ポチの大きさと個数を測定し、φ0.05mm以上の黒ポチの1cm2当たりの個数により判定した。黒ポチ(粒状地汚れ)評価の判定基準を表1に示す。なお、判定における◎、○、△は実用上特に問題のないことを、×の場合は実用に適さないことを意味する。また、1ドットライン画像から細線の再現性を評価した。評価の判定基準を表2に示す。判定における◎、○、△は実用上特に問題のないことを、×の場合は実用に適さないことを意味する。
なお、感光層中の残留水分量は、2年間保管後、複合フィルムを開封し、感光体端部で画像形成に用いない部分から剥離した感光層を微量水分測定装置(CA−100;三菱化学製)によりを測定した。
これらの結果を表3に示す。
【0049】
【表1】

【0050】
【表2】

【0051】
【表3】

【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明に用いる複合フィルムの一例の模式断面図である。
【図2】本発明に用いる感光体の層構成の一例の模式断面図である。
【図3】本発明の画像形成装置の一例の模式断面図である。
【符号の説明】
【0053】
11;感光体ドラム
12;帯電手段
13;イメージ露光
14;現像手段
15;転写部材
16;転写手段
17;クリーニング手段
18;除電手段
19;定着手段
21;導電性基体
22;下引き層
23;電荷発生層
24;電荷輸送層
31;ポリエチレン
32;調湿機能性組成物層
33;アルミ箔
34;ポリエステル
35、36;接着層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリエステルを外表面とするポリエステル/アルミ箔/ポリエチレンの層構成でドライラミネートした複合フィルムにより感光体を密封、保管する方法において、感光体対向面側のポリエチレン/アルミ箔の間に調湿機能性組成物層を直接又は接着層を介して設けた事を特徴とする感光体の保管方法。
【請求項2】
請求項1記載の感光体の保管方法において、前記調湿機能性組成物層が結晶水を有する硫酸マグネシウム、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、ケイ酸マグネシウムから選ばれた無機化合物を少なくとも1種含有する事を特徴とする感光体の保管方法。
【請求項3】
請求項2に記載の感光体の保管方法において、前記調湿機能性組成物層が熱可塑性樹脂100重量部に対し前記無機化合物を5〜60重量部配合された調湿機能性組成物層である事を特徴とする感光体の保管方法。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の感光体の保管方法において、前記調湿機能性組成物層の膜厚が20〜100μmである事を特徴とする感光体の保管方法。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の感光体の保管方法において、前記感光体が電荷発生物質チタニルフタロシアニンを含有する事を特徴とする感光体の保管方法。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の感光体の保管方法において、前記感光体が、製造後1年以上保管されることを特徴とする感光体の保管方法。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の感光体の保管方法において、帯電手段、現像手段、転写手段、クリーニング手段のうち少なくとも1つ以上の手段が該感光体に当接している事を特徴とする感光体の保管方法。
【請求項8】
請求項7記載の感光体の保管方法において、感光体が、帯電手段、現像手段、クリーニング手段と一体に支持され画像形成装置本体に着脱自在であるプロセスカートリッジとして保管される事を特徴とする感光体の保管方法。
【請求項9】
電子写真感光体、帯電手段、現像手段、転写手段、クリーニング手段を有する画像形成装置において、電子写真感光体が請求項1〜8のいずれか1項に記載の感光体の保管方法により保管された感光体であることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2008−299243(P2008−299243A)
【公開日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−147870(P2007−147870)
【出願日】平成19年6月4日(2007.6.4)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】