説明

感圧接着剤組成物およびそれを用いた情報担持用シート

【課題】 紙への定着性、接着剤皮膜の凝集力がともに強く、印刷機やプリンターなどを走行中に接着剤が摩耗したり、脱落しない感圧接着剤組成物の提供。および、そのような感圧接着剤組成物を用いた情報担持用シートの提供。
【解決手段】 メタクリル酸メチルグラフト共重合天然ゴム系粘着剤固形分100質量部に、ポリスチレンエマルジョンをその固形分が5〜50質量部となるように配合してなる接着剤基剤100質量部に対して、この接着剤基剤に対し非親和性を示す微粒状充填剤を100〜250質量部配合した感圧接着剤組成物を用いる。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、感圧接着剤組成物およびそれを用いた情報担持用シートに関し、さらに詳しくは、折り重ねや切り重ねにより重ね合わせた面を情報担持面としてなる折り畳みシート、重ね合わせシートのような親展性を有する情報伝達用シートや、寸法拡大可能な整理シート、複写用紙などの事務用シートなどの情報伝達用シート、およびこれに使用する感圧接着剤組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、重ね合わせ面に情報を担持する情報担持用シートにおいては、その重ね合わせ面同士が接着するように、通常、重ね合わせた際に対接するようなパターンで、重ね合わせ面の全面や特定部分、あるいは線状に感圧接着剤の接着層が設けられている。この感圧接着剤は自接着性感圧接着剤とも言われ、その接着層同士を対接させた状態で強圧をかけることにより、互いの高分子が自己拡散により密着するタイプものであって、組成物の種類や加圧の程度により、永久接着性や再剥離接着性を具現するものである。
【0003】従来、この種の情報担持用シートで使用される感圧接着剤の主成分は、一般にメタクリル酸メチルグラフト共重合天然ゴム系粘着剤やメタクリル酸メチル・スチレングラフト共重合天然ゴム系粘着剤を主成分として含むものである。しかし、メタクリル酸メチルグラフト共重合天然ゴム系粘着剤を主成分として含む感圧接着剤は、紙への定着性、接着剤皮膜の凝集力がともに弱く、印刷機やプリンターなどを走行中に接着剤が摩耗し、脱落するという問題があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の第1の目的は、従来の問題を解決したメタクリル酸メチルグラフト共重合天然ゴム系粘着剤を主成分として含む感圧接着剤組成物であって、紙への定着性、接着剤皮膜の凝集力がともに強く、印刷機やプリンターなどを走行中に接着剤が摩耗したり、脱落することのない感圧接着剤組成物を提供することであり、本発明の第2の目的は、そのような感圧接着剤組成物を用いた情報担持用シートを提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者等は前記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、メタクリル酸メチルグラフト共重合天然ゴム系粘着剤に、ポリスチレンエマルジョンを特定量配合した接着剤基剤に対して、非親和性を示す微粒状充填剤を特定量配合した感圧接着剤組成物を用いることにより課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0006】すなわち、本発明の請求項1記載の感圧接着剤組成物は、シートの重ね合わせ面に塗布され、乾燥処理により通常状態では接着しない接着層を形成し、前記重ね合わせ面同士を対接させ所定の圧力を付与することにより、その重ね合わせ面同士を剥離可能に接着させる感圧接着剤であって、メタクリル酸メチルグラフト共重合天然ゴム系粘着剤固形分100質量部に、ポリスチレンエマルジョンをその固形分が5〜50質量部となるように配合してなる接着剤基剤100質量部に対して、この接着剤基剤に対し非親和性を示す微粒状充填剤を100〜250質量部配合したことを特徴とする。
【0007】本発明の請求項1記載の感圧接着剤組成物によれば、メタクリル酸メチルグラフト共重合天然ゴム系粘着剤に、ポリスチレンエマルジョンを特定量配合した接着剤基剤に対して、非親和性を示す微粒状充填剤を特定量配合した感圧接着剤組成物を用いたので、シートの重ね合わせ面に塗布し、乾燥処理により通常状態では接着しない接着層を形成し、重ね合わせ面同士を対接させた状態で強圧をかけて密着させて接着した後は必要に応じて剥離する際は容易に剥離できる。そして、本発明の請求項1記載の感圧接着剤組成物は、紙への定着性、接着剤皮膜の凝集力がともに適当に強く、印刷機やプリンターなどを走行中に接着剤が摩耗したり、脱落することがない。
【0008】本発明の請求項2記載の情報担持用シートは、基体シートの重ね合わせ面の所定部に請求項1記載の感圧接着剤組成物の接着層を有してなることを特徴とする。
【0009】請求項2記載の情報担持用シートでは、重ね合わせ面同士を対接させた状態で強圧をかけ密着させて接着すると十分な接着力が得られると共に、必要に応じて剥離する際は容易に剥離できる。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。本発明の感圧接着剤組成物は、通常状態では接着することがなく、加圧により接着し、かつ必要時に剥離しうる接着層、いわゆる粘着層を形成する透明性を有するものであって、接着剤基剤として、メタクリル酸メチルグラフト共重合天然ゴム系粘着剤固形分100質量部に対してポリスチレンエマルジョンをその固形分が5〜50質量部となるように配合した混合物を用い、これに当該接着剤基剤100質量部に対し非親和性を示す微粒状充填剤を100〜250質量部を配合してなる。
【0011】本発明の感圧接着剤組成物において用いられるメタクリル酸メチルグラフト共重合天然ゴム系粘着剤は、メタクリル酸メチルでグラフト共重合した天然ゴム系粘着剤(天然ゴム100重量部に対してメタクリル酸メチル10〜40質量部程度グラフト化したもの)であり、従来、天然ゴム系粘着剤の基剤として慣用されている天然ゴムラテックスを用いることができる。
【0012】本発明の感圧接着剤組成物において用いられるポリスチレンエマルジョンは、一般に含浸、他のラテックスの補強などの成分として慣用されている合成ラテックスであり、ポリスチレンを水性溶媒中に分散させたエマルジョンである。この際、粒子を分散安定化させるためには乳化剤が必要であるが、この乳化剤としては、一般にロジンセッケン、ナフタレンスルホン酸塩、脂肪酸セッケン、アルキルベンゼンスルホン酸塩などのアニオン系界面活性剤が用いられる。
【0013】本発明の感圧接着剤組成物において用いられる市販のポリスチレンエマルジョンの具体例としては例えば、ニポールLX−303(日本ゼオン(株))、旭化成ラテックスL−8801(旭化成(株))、C−20(昭和高分子(株))などを挙げることができる。
【0014】メタクリル酸メチルグラフト共重合天然ゴム系粘着剤と上記のポリスチレンエマルジョンの混合物に、必要に応じて合成樹脂エマルジョンを混合することができる。合成樹脂エマルジョンとしては、ポリ酢酸ビニル系エマルジョン、酢酸ビニル−エチレン共重合体系エマルジョン、ポリアクリル酸エステル系エマルジョン、ポリ塩化ビニル系エマルジョンなどが用いられる。これらの合成樹脂エマルジョンを分散安定化するためには、前記乳化剤を用いることができる。この合成樹脂エマルジョンとしては、ガラス転移点−20℃ないし10℃のものが好適である。
【0015】ポリスチレンエマルジョンの配合割合は、メタクリル酸メチルグラフト共重合天然ゴム系粘着剤固形分100質量部に対してポリスチレンエマルジョンの固形分が5〜50質量部、好ましくは10〜50質量部となるように配合する。
【0016】本発明においては、天然ゴムにグラフトしたメタクリル酸メチルとポリスチレンエマルジョンの合計量が20〜60質量部(固形分)の範囲になるようにポリスチレンエマルジョンを配合することが好ましい。
【0017】メタクリル酸メチルグラフト共重合天然ゴム系粘着剤とポリスチレンエマルジョンとの配合割合は、接着層の接着力と、紙、合成紙等の素材からなる基体シートへの定着性や接着層皮膜の凝集力とのバランスに影響するため、適度に調整する必要がある。ポリスチレンエマルジョンの固形分が5質量部未満でメタクリル酸メチルグラフト共重合天然ゴム系粘着剤が過多の場合は、接着層の基体シート面への定着性が低下するとともに耐摩耗性が劣り、逆にポリスチレンエマルジョンの固形分が50質量部を超える場合は、重ね合わせ面における接着層同士の接着力が低下し、適切な剥離性能が得られないとともに耐摩耗性が劣る。したがって、メタクリル酸メチルグラフト共重合天然ゴム系粘着剤とポリスチレンエマルジョンの配合割合は上記の範囲にある必要がある。
【0018】このようにして得られるメタクリル酸メチルグラフト共重合天然ゴム系粘着剤とポリスチレンエマルジョンとの混合物からなる接着剤基剤には、所望に応じて、粘着剤に慣用されている添加剤、例えば粘着付与剤、粘度調整剤、老化防止剤、安定剤、着色剤などを添加することができる。
【0019】本発明の感圧接着剤組成物においては、接着剤基剤に対して非親和性を示す微粒子充填剤を配合する。微粒子充填剤としては、接着剤基剤との親和力が小さいものであって、接着層が透明性を阻害しないようにする必要から、粒子形状が規則的に整ったものを用いるのがよい。このようなものとしては、例えば、各種デンプン系、合成ゼオライト、微球状アクリル樹脂、微球状メタクリル樹脂、微球状ポリエチレン、球状アルミナ、ガラス粉末、シラスバルーン、活性白土などが挙げられる。これらの微粒子充填剤は、単独で用いてもよいし、2種以上組み合わせて用いてもよい。しかしながら、従来からこの種の感圧接着剤組成物の微粒子充填剤として使用されているシリカ、酸化チタン、酸化亜鉛などは、その粒子形状が不規則なため、接着層に光の乱反射作用を促して透明性を損なうおそれがある。したがって、これらは添加しないか、添加する場合でも、その添加量を10質量%以下にするのがよい。なお、これらの微粒子充填剤は、その平均粒子径が10μm以下、好ましくは0.5μmの範囲にあるものが好適である。特に平均粒子径0.1μm以下のコロイダルシリカ(シリカゲル)を用いると、UVインキへの定着性を向上させることができるので有利である。
【0020】また、本発明の感圧接着剤組成物においては、接着剤基剤100質量部に対して、この接着剤基剤に対し非親和性を示す微粒子充填剤を100〜250質量部、好ましくは130〜250質量部、より好ましくは150〜200質量部の範囲で配合する。100質量部未満で微粒子充填剤の配合量が少なすぎると、耐ブロッキング性が低下したり、また、接着力が強すぎて剥離しにくくなるし、また、250質量部を超えて多すぎると接着力が低くなりすぎ、十分な粘着性を示さなくなる。
【0021】本発明の感圧接着剤組成物は、グラビアコーター、フレキソ、エアナイフコーター、バーコーターなどの塗布手段により基体シート面に塗布され、二つ折り、三つ折り、切り重ね、あるいは別体同士の重ね合わせなど、各種の重ね合わせの形で、一時的には接着するが、必要に応じて容易に剥離できる見開き面を有するハガキ、各種帳票、通知書、各種カードなどに好適に利用できる。
【0022】次に、本発明の感圧接着剤組成物が塗布される基体シートとしては、通常の紙の他に、合成紙、あるいはポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、塩化ビニルなどの合成フィルムを用いることもできる。これらの合成フィルムを用いる場合には、基体シートの表面をマット処理、コロナ処理などの表面処理を施すのが好ましい。また、基体シート面への感圧接着剤組成物の塗布量は、接着層の接着性、剥離性、あるいは透明性維持のため、1〜30g/m2、好ましくは3〜20g/m2 、さらに好ましくは5〜15g/m2 とするのがよい。さらに、形成された剥離可能な接着層を加圧ローラにて加圧することにより、耐ブロッキング性をさらに向上させることができる。
【0023】次に、本発明の情報担持用シートの構成について添付図面に基づき詳細に説明する。ここで、図1は本発明の三つ折りハガキの表面展開図、図2はこのハガキの裏面展開図、図3は図1のX−X線断面図、図4は図1のハガキを折り込む際の状態説明図、図5は本発明の二つ折りハガキの表面展開図、図6はこのハガキの裏面展開図、図7は図5のハガキを折り込む際の状態説明図、図8は本発明の部分二つ折りハガキの表面展開図、図9はこのハガキの裏面展開図、図10は図8のハガキを折り込む際の状態説明図である。
【0024】先ず、図1ないし図3に示す三つ折りハガキ1は、定型ハガキサイズの3倍のサイズを有する基体シート2から構成され、折り線3a、3bによって3つの領域に区画されるものである。左側区画領域Aの表面には、郵便番号、宛て名、住所等の宛て先情報印刷4が、また中央区画領域Bの表裏面及び右側区画領域Cの表面には隠蔽情報印刷5が、基体シート2に直接印刷されている。さらに、この印刷された基体シート2の区画領域B及びCの表面全体と区画領域A及びBの裏面全体に対し、本発明の感圧接着剤組成物が塗布されて剥離可能な接着層6が形成されている。このように構成された三つ折りハガキ1は、図4に示すように、各区画の重ね合わせ面を折り線3a、3bにてZ型に折り込んで接着層同士を対接させ、この状態でドライシーラーで加圧することにより、その接着層6が活性化されて接着される。
【0025】次に、図5及び図6に示す二つ折りハガキ11は、定型ハガキサイズの2倍のサイズを有する基体シート2から構成され、中央部の折り線3によって2つの領域D及びEに区画されるものである。左側区画領域Dの表面には、郵便番号、宛て名、住所等の宛て先情報印刷4が、また区画領域D及びEの裏面には隠蔽情報印刷5が、基体シート2に直接印刷されている。さらに、この印刷された基体シート2の区画領域D及びEの裏面全体に対し、本発明の感圧接着剤組成物が塗布されて剥離可能な接着層6が形成されている。このように構成された二つ折りハガキ11は、図7に示すように、上記の三つ折りハガキと同様に、左右区画裏面の接着層同士が対接するように折り線3で折り込んで加圧することにより、その接着層6が活性化されて接着される。
【0026】また、図8及び図9に示す部分二つ折りハガキ21は、定型ハガキサイズの1.5倍のサイズを有する基体シート2から構成され、折り線3によってサイズの異なる左右2つの領域F及びGに区画されるものである。左側区画領域Fの表面には、郵便番号、宛て名、住所等の宛て先情報印刷4が、また右側区画領域Gの裏面には隠蔽情報印刷5が、基体シート2に直接印刷されている。さらに、この印刷された基体シート2の区画領域Gの裏面全体及び区画領域Gを折り線3で折り込んだ際に重ね合わされる区画領域Fの一部裏面に対し、本発明の感圧接着剤組成物が塗布されて剥離可能な接着層6が形成されている。このように構成された部分二つ折りハガキ21は、図10に示すように、上記の二つ折りハガキと同様に、左右区画裏面の接着層同士が対接するように折り線3で折り込んで加圧することにより、その接着層6が活性化されて接着される。
【0027】また、本発明の感圧接着組成物により形成される剥離可能な接着層は、それ自体印刷インキ及びトナーの受容性をも有するため、必要に応じ、さらにその表面に通常の印刷装置あるいはノンインパクトプリンタで付加情報(図示せず)をプリントすることができる。
【0028】
【実施例】以下実施例および比較例により本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に何ら制約されるものではない。
(実施例1)メタクリル酸メチル(MMA)グラフト共重合天然ゴム系粘着剤として、天然ゴム(NR)100質量部とMMA10重量部とを混合してグラフト共重合して得たMMAグラフト共重合天然ゴムエマルジョン100質量部(固形分)に対して、ポリスチレンエマルジョン(ニポールLX303、日本ゼオン(株))あるいは旭化成ラテックスL−8801(旭化成(株))あるいは、C−20(昭和高分子(株))を固形分が10質量部となるように配合した接着剤基剤100質量部に対し、シリカゲル50質量部、スターチ125質量部配合して本発明の感圧接着剤組成物を調製した。この本発明の感圧接着剤組成物を連量110kgのコート紙にグラビアオフセット方式により10g/m2 の割合で塗布し、接着層を形成し、次いで、120℃、30秒間加熱を行い、乾燥処理した。このようにして作った情報担持用シートの製造直後の90°剥離(T型剥離)接着力、耐ブロッキング性、耐摩耗性を下記の方法により評価し、評価結果を表1に示す。
【0029】(1)90°剥離(T型剥離)接着力の測定方法;得られた情報担持用シートを、幅25mm、長さ100mmに裁断して試料を作成し、この試料2枚を25mmの長さで重ね合わせ9.8Paの荷重を加えて圧着した。接着剤の剥離接着強さ試験方法JISK6854に準じて、オートグラフAGS50(島津製作所製)を用いて90°剥離(T型剥離)接着力を測定する。
◎:100〜150(gf/25mm)
○:150〜200(gf/25mm)あるいは50〜100(gf/25mm)
△:200〜300(gf/25mm)あるいは30〜 50(gf/25mm)
×:300(gf/25mm)以上あるいは30(gf/25mm)以下◎:優、○:良、△:可、×:不可
【0030】(2)耐ブロッキング性テストサンプルの接着層面同士を合わせ、500g/cm2 の圧力を加え、50℃にて30分間放置後、剥離強度を測定した。耐ブロッキング性(剥離強度)(g/cm)が、2以下のものを◎、2〜5の範囲のものを○、5〜10の範囲のものを△、10以上のものを×とした。剥離強度の測定には島津製作所社製の引張試験機オートグラフAGS50型を使用した。
◎:優、○:良、△:可、×:不可
【0031】(3)耐摩耗性板紙耐摩耗試験機を用い、100回摩耗した際の接着層表面を目視により判定し消耗度を調べた。その結果、試験した面積のうち破壊された面積の割合が、10%以下の場合:◎、30%以下の場合:○、50%以下の場合:△、51%以上の場合:×とした。
◎:優、○:良、△:可、×:不可
【0032】(実施例2〜8)表1に示した各成分の配合割合とした以外は、実施例1と同様にして本発明の感圧接着剤組成物を調製し、実施例1と同様にして得た情報担持用シートの90°剥離(T型剥離)接着力、耐ブロッキング性、耐摩耗性を評価し、評価結果を表1に示す。
【0033】(比較例1)微粒状充填剤の配合量を本発明の範囲の上限値より多くし、表2に示した各成分の配合割合とした以外は、実施例1と同様にして比較の感圧接着剤組成物を調製し、実施例1と同様にして得た情報担持用シートの90°剥離(T型剥離)接着力、耐ブロッキング性、耐摩耗性を評価し、評価結果を表2に示す。
【0034】(比較例2)微粒状充填剤の配合量を本発明の範囲の下限値より少なくし、表2に示した各成分の配合割合とした以外は、実施例1と同様にして比較の感圧接着剤組成物を調製し、実施例1と同様にして得た情報担持用シートの90°剥離(T型剥離)接着力、耐ブロッキング性、耐摩耗性を評価し、評価結果を表2に示す。
【0035】(比較例3)ポリスチレンエマルジョンの配合量を本発明の範囲の下限値より少なくし、表2に示した各成分の配合割合とした以外は、実施例1と同様にして比較の感圧接着剤組成物を調製し、実施例1と同様にして得た情報担持用シートの90°剥離(T型剥離)接着力、耐ブロッキング性、耐摩耗性を評価し、評価結果を表2に示す。
【0036】(比較例4)微粒状充填剤の配合量を本発明の範囲の上限値より多くし、表2に示した各成分の配合割合とした以外は、実施例1と同様にして比較の感圧接着剤組成物を調製し、実施例1と同様にして得た情報担持用シートの90°剥離(T型剥離)接着力、耐ブロッキング性、耐摩耗性を評価し、評価結果を表2に示す。
【0037】(比較例5)微粒状充填剤の配合量を本発明の範囲の下限値より少なくし、表2に示した各成分の配合割合とした以外は、実施例1と同様にして比較の感圧接着剤組成物を調製し、実施例1と同様にして得た情報担持用シートの90°剥離(T型剥離)接着力、耐ブロッキング性、耐摩耗性を評価し、評価結果を表2に示す。
【0038】(比較例6)ポリスチレンエマルジョンの配合量を本発明の範囲の上限値より多くし、表2に示した各成分の配合割合とした以外は、実施例1と同様にして比較の感圧接着剤組成物を調製し、実施例1と同様にして得た情報担持用シートの90°剥離(T型剥離)接着力、耐ブロッキング性、耐摩耗性を評価し、評価結果を表2に示す。
【0039】
【表1】


【0040】
【表2】


【0041】表1および表2から、実施例1〜8の本発明の感圧接着剤組成物は90°剥離(T型剥離)接着力、耐ブロッキング性、耐摩耗性がいずれも優れているが、それに対して比較例1〜6の感圧接着剤組成物はこれらのいずれか1つあるいは2つ以上が劣ることが判る。
【0042】
【発明の効果】本発明の請求項1記載の感圧接着剤組成物は、メタクリル酸メチルグラフト共重合天然ゴム系粘着剤を主成分として含む感圧接着剤組成物であって、紙への定着性、接着剤皮膜の凝集力がともに適当に強く、印刷機やプリンターなどを走行中に接着剤が摩耗したり、脱落することがない顕著な効果を奏する。
【0043】また、請求項2記載の情報担持用シートでは、重ね合わせ面同士を対接させた状態で強圧をかけ密着させて接着すると十分な接着力が得られると共に、必要に応じて剥離する際は、容易にできるといった効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の三つ折りハガキの表面展開図。
【図2】図1のハガキの裏面展開図。
【図3】図1のX−X線断面図。
【図4】図1のハガキを折り込む際の状態説明図。
【図5】本発明の二つ折りハガキの表面展開図。
【図6】図5のハガキの裏面展開図。
【図7】図5のハガキを折り込む際の状態説明図。
【図8】本発明の部分二つ折りハガキの表面展開図。
【図9】図8のハガキの裏面展開図。
【図10】図8のハガキを折り込む際の状態説明図。
【符号の説明】
2、12、22 基体シート
3、3a、3b 折り線
5 隠蔽情報印刷
6 剥離可能な接着層

【特許請求の範囲】
【請求項1】 シートの重ね合わせ面に塗布され、乾燥処理により通常状態では接着しない接着層を形成し、前記重ね合わせ面同士を対接させ所定の圧力を付与することにより、その重ね合わせ面同士を剥離可能に接着させる感圧接着剤であって、メタクリル酸メチルグラフト共重合天然ゴム系粘着剤固形分100質量部に、ポリスチレンエマルジョンをその固形分が5〜50質量部となるように配合してなる接着剤基剤100質量部に対して、この接着剤基剤に対し非親和性を示す微粒状充填剤を100〜250質量部配合したことを特徴とする感圧接着剤組成物。
【請求項2】 基体シートの重ね合わせ面の所定部に請求項1記載の感圧接着剤組成物の接着層を有してなる情報担持用シート。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2001−240832(P2001−240832A)
【公開日】平成13年9月4日(2001.9.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2000−51421(P2000−51421)
【出願日】平成12年2月28日(2000.2.28)
【出願人】(000110217)トッパン・フォームズ株式会社 (989)
【Fターム(参考)】