説明

感放射線性屈折率変化性組成物およびその利用

【課題】 材料の屈折率変化を簡易な方法で行うとともに、その変化した屈折率差が十分大きな値となり、しかもその後の使用条件によらずに安定な屈折率パターンおよび光学材料を与える組成物ならびにそれを形成するための方法を提供すること。
【解決手段】 (A)分解性化合物、(B)テトラブトキシチタン、テトラメトキシジルコニウム、テトラメトキシゲルマニウム、テトラメトキシシランの如きアルコキシドあるいはテトラクロロシランの如きハロゲン化合物の加水分解生成物および(C)感放射線分解剤を含有する感放射線性組成物。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、感放射線性屈折率変化性組成物、屈折率変化法、屈折率パターン形成法、屈折率パターンおよび光学材料に関する。さらに詳しくは、光エレクトロニクスやディスプレイ分野に応用される新規な屈折率パターンや光学材料を与える屈折率パターン形成法、屈折率変化法およびそのために好適に用いられる感放射線性屈折率変化性組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】マルチメディア社会といわれる現在、異なる屈折率領域から構成される屈折率分布型光学成形体の需要は極めて大きい。そのような例として情報伝達を担う光ファイバーは勿論、周期的な屈折率変化を有する光回折格子、屈折率の異なる部位によって情報が書き込まれた光メモリ、微細な屈折率パターンを有する光集積回路等の光結合素子、光制御素子、光変調素子、光伝送素子が挙げられる。
【0003】なお、ここで屈折率分布型光学成形体とは、GI型光ファイバー等のような成形体中で屈折率が連続的に分布している場合(以下、GRIN光学成形体という)と、光回折格子、SI型光導波路等のように屈折率の分布形状が不連続的な場合の両方をいう。
【0004】GRIN光学成形体は、次世代の光学成形体として注目されている。例えば、光ファイバーのコアの中心軸から周辺部へ放物線状に屈折率を減少させたGI型光ファイバーは大容量の情報伝送を可能とし、また、レンズ中で屈折率が連続的に変化したGRINレンズは、平面でも屈折力を持つことや、球面収差を生じない等の特長を生かし、コピー機などに用いる読み取りレンズ、ファイバー同士をつなぐ球状レンズ、あるいはマイクロレンズなどに応用される。
【0005】上述のようなGRIN光学成形体の製造方法としては、これまで数多くの提案がなされている。例えば低分子あるいはモノマーをポリマー中に分散させ、その濃度を連続的に分布させることによってGI型光ファイバーを得る方法が特開平9−133813号公報、特開平8−336911号公報、特開平8−337609号公報、特開平3−192310号公報、特開平5−60931号公報、WO93/19505国際公開特許公報およびWO94/04949国際公開特許公報に開示されている。また、特開昭62−25705号は屈折率および反応比の異なる2種類以上のビニルモノマーを光で共重合させることによりGI型のロッド状光学成形体あるいは光ファイバーを得るものである。さらに特開平7−56026号公報は光反応性の官能基を有する重合体Aを形成し、重合体Aより低屈折率である化合物Bを重合体Aの中に拡散させ、化合物Bの濃度分布を形成した後、光で重合体Aと化合物Bを反応させ屈折率分布を得る方法である。
【0006】また無機材料についてのGRIN光学成形体の製造方法もいくつか提案されており、例えばケイ素や鉛などを主成分とするロッド状のガラスに高屈折率のタリウムを加え、低屈折率のカリウムを含む溶融液に浸漬し、イオン交換によりカリウムの濃度分布を形成させてGI型ロッドとする方法である。
【0007】GRINレンズは、上述の方法を、短いロッドつまりレンズ状の光学成形体について適用すれば同様に得ることができる。あるいは上述の方法で作成したGI型ロッドを輪切りにしてもよい。
【0008】また前述した光回折格子、光集積回路等のような屈折率の微細なパターンを有する光学成形体の製造方法としては、光照射により成形体中に光化学反応を誘起させ、それに伴う屈折率変化を得るという技術が知られている。例えば、無機材料の場合、ゲルマニウムをドープしたガラスに光照射し、屈折率を変化させて光回折格子を作製する方法などが挙げられる。また、有機材料においては、フォトクロミック反応あるいはフォトブリーチングとして知られており、光化学反応活性な低分子をポリマー中に分散させた材料にレーザー光を照射することによって屈折率変化を誘起し、光回折格子とする技術が特開平7−92313号公報などで開示されている。さらに最近では、この技術をGRIN光学成形体の製造に応用することが特開平9−178901号公報によって提案されている。この方法は成形体に照射した光が吸収されて強度が弱くなるのを利用し、照射に対して深さ方向に連続的な屈折率分布を付与するものである。
【0009】しかしながら、上記した従来の材料で得られる屈折率分布は、その最大屈折率差がせいぜい0.001〜0.02程度であり、光学損失の防止や回路の誤作動の抑制といった目的に対して、さらに大幅な屈折率分布を持たせることを達成することは難しい。
【0010】また、一旦屈折率分布を形成した後、屈折率を変化させるために使用した波長付近の光が通過する条件下で使用すると、徐々に屈折率の変化を引き起こし劣化してしまう現象を防止することはできなかった。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来の技術における上記した実情に鑑みてなされたものである。
【0012】すなわち、本発明の目的は、材料の屈折率変化を簡易な方法で行うとともに、その変化した屈折率差が十分大きな値となり、しかもその後の使用条件によらずに安定な屈折率パターンおよび光学材料、ならびにそれを形成するための新規な方法を提供することにある。
【0013】本発明のさらに他の目的および利点は以下の説明から明らかになろう。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、本発明の上記目的および利点は、第1に、(A)分解性化合物、(B)下記式(1’)
M(OR)mn ...(1’)
ここで、Mは+2〜5価の原子であり、Rはアルキル基またはアリール基であり、Yは水素原子、アルキル基、アリール基、水酸基、アルコキシル基またはアリールオキシ基でありそしてmおよびnは互いに独立に0または1以上の整数である。但しm+nはMの原子価に等しいものとする、で表されるアルコキシドおよび下記式(2’)
MXmn ...(2’)
ここで、M、Y、mおよびnの定義は式(1’)に同じでありそしてXはハロゲン原子を表す、で表されるハロゲン化合物よりなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物の加水分解生成物、並びに(C)感放射線分解剤を含有することを特徴とする組成物によって達成される。
【0015】本発明の上記目的および利点は、第2に、感放射線性屈折率変化性である本発明の組成物に放射線を照射することを特徴とする屈折率変化方法によって達成される。
【0016】本発明の上記目的および利点は、第3に、上記感放射線性屈折率変化性組成物の一部に放射線を照射することを特徴とする屈折率パターン形成方法によって達成される。
【0017】本発明の上記目的および利点は、第4に、上記屈折率パターン形成方法によって形成された屈折率パターンによって達成される。
【0018】本発明の上記目的および利点は、第5に、上記屈折率パターン形成方法によって形成された光学材料によって達成される。
【0019】なお、本発明において、「屈折率パターン」とは、屈折率の異なる領域から構成される屈折率分布型材料を意味する。
【0020】以下、本発明で使用される屈折率変化性組成物の各成分について詳細に説明する。
【0021】(A)分解性化合物本発明で使用する(A)分解性化合物は、酸分解性化合物または塩基分解性化合物であることができる。また、分解性化合物(A)の重量平均分子量は、好ましくは100〜500,000、さらに好ましくは100〜300,000である。
【0022】酸分解性化合物としては、下記式(1)〜(6)および(7)で表される構造のうち少なくとも一つを有する化合物を挙げることができる。これらの化合物は単独で、あるいは2種以上を一緒に用いることができる。
【0023】
【化15】


【0024】(式(1)において、R1はアルキレン基、パーフロロアルキレン基、アルキルシリレン基、アルキレンアリーレンアルキレン基またはアリーレン基でありそしてR2はアルキレン基、パーフロロアルキレン基、アルキレンアリーレンアルキレン基、アリーレン基、アルキルシリレン基またはアルキルゲルミレン基であり、そして上記アルキレン基またはパーフロロアルキレン基は−O−、−CO−、−COO−または−OCOO−結合を含んでいてもよい。)
【0025】
【化16】


【0026】(式(2)において、MはSiまたはGeであり、R3はアルキレン基、パーフロロアルキレン基、アルキレンアリーレンアルキレン基、アリーレン基、アルキルシリレン基、アルキルゲルミレン基または単結合であり、R4は酸素原子、アルキレン基、パーフロロアルキレン基、アルキレンアリーレンアルキレン基、アリーレン基、アルキルシリレン基または単結合であり、R5、R6、R7およびR8はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、アリール基、アルコキシル基、チオアルキル基、アルコキシエステル基、パーフロロアルキル基、パーフロロアルコキシル基、パーフロロアルコキシエステル基またはパーフロロアリール基であり、そしてmは0から2までの整数であり、そして上記アルキレン基またはパーフロロアルキレン基は−O−、−CO−、−COO−または−OCOO−結合を含んでいてもよい。)
【0027】
【化17】


【0028】(式(3)において、R9およびR10はそれぞれ独立に、アルキレン基、パーフロロアルキレン基、アルキレンアリーレンアルキレン基、アリーレン基、アルキルシリレン基またはアルキルゲルミレン基であり、そして上記アルキレン基またはパーフロロアルキレン基は−O−、−CO−、−COO−または−OCOO−結合を含んでいてもよい。)
【0029】
【化18】


【0030】(式(4)において、R11はオキシアルキレン基または単結合でありそしてR12は水素原子、アルキル基、アルコキシル基、アルコキシエステル基、パーフロロアルキル基、パーフロロアルコキシエステル基、パーフロロアリール基、アルキレンアリーレンアルキレン基またはアリール基である。)
【0031】
【化19】


【0032】(式(5)において、R13は水素原子、アルキル基、アルコキシル基、アルコキシエステル基、パーフロロアルキル基、パーフロロアルコキシル基、パーフロロアルコキシエステル基、パーフロロアリール基またはアリール基である。)
【0033】
【化20】


【0034】(式(6)において、R14は、アルキレン基、下記式(6)−1、(6)−2、または(6)−3で表される構造である。)
【0035】
【化21】


【0036】(式(6)−1において、R15、R16、R17およびR18は互いに独立に水素原子、炭素数1〜6の鎖状アルキル基、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、水酸基、メルカプト基、カルボキシル基、炭素数1〜6のアルコキシル基、炭素数1〜6のアルキルチオ基、炭素数1〜6のハロゲン化アルキル基、炭素数1〜6のハロゲン化アルコキシル基、炭素数1〜6のハロゲン化アルキルチオ基、炭素数1〜6のヒドロキシアルキル基、炭素数1〜6のメルカプトアルキル基、炭素数1〜6のヒドロキシアルコキシル基、炭素数1〜6のメルカプトアルキルチオ基、炭素数6〜10のアリール基または炭素数7〜11のアラルキル基である。)
【0037】
【化22】


【0038】(式(6)−2において、R19はアルキレン基である。)
【0039】
【化23】


【0040】(式(6)−3において、R20はアルキレン基である。)
【0041】
【化24】


【0042】(式(7)において、R21はアルキレン基、アルキレンアリーレンアルキレン基、またはアリーレン基である。)
【0043】また、塩基分解性化合物としては、下記式(8)〜(11)で表される構造を有する化合物を挙げることができる。これらの化合物は単独で、あるいは2種以上を一緒に用いることができる。
【0044】
【化25】


【0045】(式(8)において、R22はアルキレン基、アラルキレン基、またはアリーレン基であり、R23はアルキレン基、アラルキレン基、アリーレン基、アルキレンアリーレンアルキレン基、アルキルシリレン基、またはアルキルゲルミレン基であり、R24、R25、R26およびR27はそれぞれ独立して水素原子、アルキル基、アリール基、アルコキシル基またはチオアルキル基であり、iおよびjはそれぞれ独立に0または1である。)
【0046】
【化26】


【0047】(式(9)において、R28はアルキレン基、アラルキレン基またはアリーレン基であり、R29はアルキレン基、アラルキレン基、アリーレン基、アルキレンアリーレンアルキレン基、アルキルシリレン基またはアルキルゲルミレン基である。)
【0048】
【化27】


【0049】(式(10)において、R30およびR31はそれぞれ独立にアルキレン基、アラルキレン基、アリーレン基、アルキレンアリーレンアルキレン基、アルキルシリレン基、またはアルキルゲルミレン基である。)
【0050】
【化28】


【0051】(式(11)において、R32およびR33はそれぞれ独立に、アルキレン基、アラルキレン基、アリーレン基、アルキレンアリーレンアルキレン基、アルキルシリレン基、またはアルキルゲルミレン基である。)
【0052】上記全てのアルキレンアリーレンアルキレン基としては、それぞれ独立に、例えば下記式(12)または(13)で示される構造が挙げられる。
【0053】
【化29】


【0054】((12)式中、R34、R35、R36およびR37は互いに独立に水素原子、炭素数1〜6の鎖状アルキル基または6〜10のアリール基を示し、R38、R39、R40およびR41は互いに独立に水素原子、塩素原子、臭素原子、水酸基、メルカプト基、アルコキシル基、チオアルキル基、アルキルエステル基、アルキルチオエステル基、アリール基、シアノ基またはニトロ基である。)
【0055】
【化30】


【0056】((13)式中、 R42、R43、R44およびR45は互いに独立に水素原子、炭素数1〜6の鎖状アルキル基または6〜10のアリール基を示し、R46、R47、R48、R49、R50、R51、R52およびR53は互いに独立に水素原子、塩素原子、臭素原子、水酸基、メルカプト基、アルコキシル基、チオアルキル基、アルキルエステル基、アルキルチオエステル基、アリール基、シアノ基またはニトロ基を示し、A1は−S−、−O−、−SO2−、−CO−、−COO−、−OCOO−、−CH2−または−C(R542−を示しそしてR54は炭素数1〜6の鎖状アルキル基である。)
【0057】上記全てのアリーレン基としては、それぞれ独立に、例えば下記式(14)で示される構造が挙げられる。
【0058】
【化31】


【0059】(ここで、R55〜R62は互いに独立に水素原子、塩素原子、臭素原子、水酸基、メルカプト基、アルコキシル基、チオアルキル基、アルキルエステル基、アルキルチオエステル基、アリール基、シアノ基またはニトロ基を示し、A2は−S−、−O−、−SO2−、−CO−、−COO−、−OCOO−、−CH2−または−C(R632−を示しそしてR63は炭素数1〜6の鎖状アルキル基である。)
【0060】上記全てのアルキルシリレン基としては、互いに独立に、例えば下記式(15)に示す構造が挙げられる。
【0061】
【化32】


【0062】(ここで、R64、R65、R66およびR67は互いに独立に水素原子、炭素数1〜6の鎖状アルキル基または炭素数6〜10のアリール基を示し、A3は−O−、アルキレン基またはアリーレン基を示しそしてaは0か1の整数を表わす。)
【0063】上記全てのアルキルゲルミレン基としては、互いに独立に、例えば下記式(16)に示す構造が挙げられる。
【0064】
【化33】


【0065】(ここで、R68、R69、R70およびR71は互いに独立に水素原子、炭素数1〜6の鎖状アルキル基または炭素数6〜10のアリール基を示し、A4は−O−、アルキレン基またはアリーレン基を示しそしてbは0か1の整数を表わす。)
【0066】上記全てのアルキレン基は、炭素数1〜10までの直鎖、分岐、または環状のアルキレン基であることができ、これらに含まれる水素原子の一部がフッ素原子に置換されていてもよく、もしくはこれらに含まれる水素原子の一部または全部が塩素原子、臭素原子、パーフロロアルキル基、水酸基、メルカプト基、チオアルキル基、アルコキシル基、パーフロロアルコキシル基、アルキルエステル基、アルキルチオエステル基、パーフロロアルキルエステル基、シアノ基またはニトロ基に置換されたものであってもよい。
【0067】上記全てのアルキル基、アルコキシル基、チオアルキル基、アルキルエステル基およびアルキルチオエルテル基中に含まれるアルキル基は炭素数1〜10までの直鎖、分岐、または環状のアルキルであることができ、これらに含まれる水素原子の一部がフッ素原子に置換されていてもよくあるいはこれらに含まれる水素原子の一部または全部が塩素原子、臭素原子、パーフロロアルキル基、水酸基、メルカプト基、チオアルキル基、アルコキシル基、パーフロロアルコキシル基、アルキルエステル基、アルキルチオエステル基、パーフロロアルキルエステル基、シアノ基、ニトロ基またはアリール基に置換されたものであってもよい。
【0068】上記全てのパーフロロアリール基としては、パーフロロフェニル基、パーフロロナフチル基、パーフロロアントラセニル基、パーフロロビフェニル基などが挙げられ、また、これらに含まれるフッ素原子が水酸基、パーフロロアルコキシル基、パーフロロアルキル基、パーフロロアルキルエステル基、シアノ基またはニトロ基に置換されていてもよい。
【0069】上記全てのアリール基としては、互いに独立に、例えばフェニル基、ナフチル基、アントラセニル基またはビフェニル基およびこれらの水素原子が塩素原子、臭素原子、水酸基、メルカプト基、アルコキシル基、チオアルキル基、アルキルエステル基、アルキルチオエステル基、シアノ基またはニトロ基で置換されたものを挙げることができる。
【0070】本発明における上記式(1)〜(7)で表される構造を例えば繰り返し単位として有する酸分解性化合物の製造方法は公知である。
【0071】上記式(1)で表わされる構造を有する化合物の製造方法は、PolymerBull.,1.199(1978)、特開昭62−136638号公報、EP225,454、US806,597、特開平4−303843号公報、特開平7−56354号公報等に開示されている。
【0072】上記式(2)で表わされる構造を有する化合物の製造方法は、Macromolecules 29,5529(1996)、Polymer 17,1086(1976)および特開昭60−37549号公報等に開示されている。
【0073】上記式(3)で表わされる構造を有する化合物の製造方法は、Electrochem.Soc.,Solid State Sci.Technol.,133(1)181(1986)、J.Imaging Sci.,30(2)59(1986)およびMacromol.Chem.,Rapid Commun.,7,121(1986)等に開示されている。
【0074】上記式(4)で表わされる構造を有する化合物の製造方法は、米国特許第3,894,253号明細書、特開昭62−190211号公報、特開平2−146544号公報、Macromol.Chem.,23,16(1957)、特開昭63−97945号公報、Polymer Sci.,A−1,8,2375(1970)、米国特許第4,247,611号明細書、EP41,657、特開昭57−31674号公報、特開昭64−3647号公報および特開昭56−17345号公報等に開示されている。
【0075】上記式(5)で表わされる構造を有する化合物の製造方法は、Prepr.Eur.Disc Meet.Polymer Sci.,Strasbourg,p106(1978)およびMacromol.Chem.,179,1689(1978)等に開示されている。
【0076】上記式(6)で表わされる構造を有する化合物の製造方法は、米国特許第3,894,253号明細書、米国特許第3,940,507号明細書および特開昭62−190211号公報等に開示されている。
【0077】上記式(7)で表わされる構造を有する化合物の製造方法は、J. Am. Chem. Soc., 54, 1579(1932)、J. Polym. Sci., 29, 343(1958)、J. Polym. Sci., PartA, Polym. Chem., 25, 3373(1958)、Macromolecules, 25, 12, (1992)、Macromolecules, 20, 705, (1997)、Macromolecules, 21, 1925, (1998)、Macromol. Chem., Rapid Commun., 11, 83(1990)等に開示されている。
【0078】分解性化合物(A)の重量平均分子量は、好ましくは100〜500,000、さらに好ましくは100〜300,000である。
【0079】また、上記式(8)〜(11)で表される構造を例えば繰り返し単位として有する塩基分解性化合物の製造方法もまた公知である。
【0080】上記式(8)で表される構造を有する化合物の製造方法は、Macromol. Chem.,Rapid Commun., 5, 151 (1984)、Macromol. Chem., 189, 2229 (1988)、Macromol. Chem., 187, 2525 (1986)、Polym. J., 22, 803 (1990)等に開示されている。
【0081】上記式(9)で表される構造を有する化合物の製造方法は、J. Polym. Sci.,47, 1523 (1993)、J. Appl. Polym. Sci., 35, 85 (1985)、J. Polym. Sci., Polym. Chem. Ed., 22, 1579 (1984)、J. Polym. Sci., Polym. Chem. Ed., 14, 655 (1976)、J. Polym. Sci., Polym. Chem. Ed., 17, 2429 (1979)等に開示されている。
【0082】上記式(10)で表される構造を有する化合物の製造方法は、J. Macromol. Sci.-Chem., A9, 1265 (1975)等に開示されている。
【0083】上記式(11)で表される構造を有する化合物の製造方法はPolym. Bull., 14, 85 (1985)、Macromol. Chem., 189, 1323 (1988)等に開示されている。
【0084】分解性化合物(A)の重量平均分子量は、好ましくは100〜500,000、さらに好ましくは100〜300,000である。
【0085】分解性化合物(A)を便宜的に屈折率により分類すると、屈折率1.5以下の化合物としては、下記構造(i)〜(vii)のうち少なくとも一つを有する化合物が好ましい。
【0086】(i)式(1)において、R1およびR2はそれぞれ独立にアルキレン基、パーフロロアルキレン基またはアルキルシリレン基でありそして上記アルキレン基またはパーフロロアルキレン基は−O−、−CO−、−COO−または−OCOO−結合を含んでいてもよい構造。
【0087】(ii)式(2)において、MはSiまたはGeであり、R3はアルキレン基またはパーフロロアルキレン基であり、R4はアルキレン基、パーフロロアルキレン基、アルキルシリレン基または単結合であり、R5、R6、R7およびR8はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、アルコキシル基、アルコキシエステル基、パーフロロアルキル基、パーフロロアルコキシル基、パーフロロアルコキシエステル基またはパーフロロアリール基であり、mは0から2までの整数でありそして上記アルキレン基またはパーフロロアルキレン基は−O−、−CO−、−COO−または−OCOO−結合を含んでいてもよい構造。
【0088】(iii)式(3)において、R9およびR10はそれぞれ独立に、アルキレン基またはパーフロロアルキレン基でありそして上記アルキレン基またはパーフロロアルキレン基は−O−、−CO−、−COO−または−OCOO−結合を含んでいてもよい構造。
【0089】(iv)式(4)において、R11はオキシアルキレン基または単結合でありそしてR12は水素原子、アルキル基、アルコキシル基、アルコキシエステル基、パーフロロアルキル基、パーフロロアルコキシエステル基またはパーフロロアリール基である構造。
【0090】(v)式(5)において、R13は水素原子、アルキル基、アルコキシル基、アルコキシエステル基、パーフロロアルキル基、パーフロロアルコキシル基、パーフロロアルコキシエステル基またはパーフロロアリール基である構造。
【0091】(vi)式(6)で表わされる構造。
(vii)式(7)において、R21がアルキレン基である構造。
【0092】また、屈折率1.5を超える化合物としては下記構造(viii)〜(xiv)のうち一つを有する化合物が好ましい。
【0093】(viii)式(1)において、R1はアルキレン基、アルキレンアリーレンアルキレン基またはアリーレン基でありそしてR2はアルキレン基、アルキレンアリーレンアルキレン基、アリーレン基、アルキルシリレン基またはアルキルゲルミレン基である構造。
【0094】(ix)式(2)において、MはSiまたはGeであり、R3はアルキレン基、アルキレンアリーレンアルキレン基、アリーレン基、アルキルシリレン基またはアルキルゲルミレン基であり、R4は酸素原子、アルキレン基、アルキレンアリーレンアルキレン基、アリーレン基または単結合であり、R5、R6、R7およびR8はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、アリール基、アルコキシル基またはチオアルキル基であり、そしてmは0から2までの整数である構造。
【0095】(x)式(3)において、R9およびR10はそれぞれ独立に、アルキレン基、アルキレンアリーレンアルキレン基、アリーレン基、アルキルシリレン基またはアルキルゲルミレン基である構造。
【0096】(xi)式(4)において、R11はオキシアルキレン基または単結合でありそしてR12は水素原子、アルキル基、アルキレンアリーレンアルキレン基またはアリール基である構造。
(xii)式(5)において、R13は水素原子、アルキル基またはアリール基である構造。
(xiii)式(7)で表わされる構造。
(xiv)式(8)〜(11)で表わされる各構造。
【0097】(B)加水分解生成物本発明で使用される(B)成分は、下記式(1’)で表される金属アルコキシドおよび式(2’)で表される金属ハロゲン化物M(OR)mn ...(1’)
MXmn ...(2’)
(但し、上記式(1’)および(2’)で、Mは+2〜5価の原子を表し、Rはアルキル基またはアリール基を表し、Yは水素原子、アルキル基、アリール基、水酸基、アルコキシル基またはアリールオキシ基を表し、Xはハロゲン原子を表しそしてmおよびnは0または1以上の整数である。但しm+nは原子Mの原子価数に等しい)。よりなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物の加水分解物である。
【0098】上記加水分解物には、原料中の加水分解されうる部分の全部が加水分解されたもの、およびその一部が加水分解され一部が加水分解されずに残存するものも包含されると解するべきである。
【0099】上記式(1’)および(2’)における+2〜5価の原子Mとしては、例えばB、Si、Pまたは金属原子を挙げることができる。金属原子としては、例えば周期律表2A族、3B族および遷移金属が好ましい。
【0100】上記全てのアルキル基およびアルコキシル基中に含まれるアルキル基は炭素数1〜10までの直鎖、分岐、または環状のアルキルであることができ、これらに含まれる水素原子の一部がフッ素原子に置換されていてもよくあるいはこれらに含まれる水素原子の一部または全部が塩素原子、臭素原子、パーフロロアルキル基、水酸基、メルカプト基、チオアルキル基、アルコキシル基、パーフロロアルコキシル基、アルキルエステル基、アルキルチオエステル基、パーフロロアルキルエステル基、シアノ基、ニトロ基またはアリール基に置換されたものであってもよい。
【0101】上記全てのアリール基およびアリールオキシ基中のアリール基としては、互いに独立に、例えばフェニル基、ナフチル基、アントラセニル基またはビフェニル基およびこれらの水素原子が塩素原子、臭素原子、水酸基、メルカプト基、アルコキシル基、チオアルキル基、アルキルエステル基、アルキルチオエステル基、シアノ基またはニトロ基で置換されたものを挙げることができる。
【0102】また、ハロゲン原子としては、例えばフッ素、塩素および臭素を好ましいものとして挙げることができる。
【0103】上記式(1’)で示される化合物を示すと、例えば珪素化合物としてテトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン(通称TEOS)、テトラ−n−プロピルオキシシラン、テトライソプロピルオキシシラン、テトラ−n−ブトキシシランの如きテトラアルコキシシラン;メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリ−n−プロピルオキシシラン、エチルトリエトキシシラン、シクロヘキシルトリエトキシシランの如きモノアルキルトリアルコキシシラン;フェニルトリエトキシシラン、ナフチルトリエトキシシラン、4−クロロフェニルトリエトキシシラン、4−シアノフェニルトリエトキシシラン、4−アミノフェニルトリエトキシシラン、4−ニトロフェニルトリエトキシシラン、4−メチルフェニルトリエトキシシラン、4−ヒドロキシフェニルトリエトキシシランの如きモノアリールトリアルコキシシラン;フェノキシトリエトキシシラン、ナフチルオキシトリエトキシシラン、4−クロロフェニルオキシトリエトキシシラン、4−シアノフェニルトリオキシエトキシシラン、4−アミノフェニルオキシトリエトキシシラン、4−ニトロフェニルオキシトリエトキシシラン、4−メチルフェニルオキシトリエトキシシラン、4−ヒドロキシフェニルオキシトリエトキシシランの如きモノアリールオキシトリアルコキシシラン;モノヒドロキシトリメトキシシラン、モノヒドロキシトリエトキシシラン、モノヒドロキシトリ−n−プロピルオキシシランの如きモノヒドロキシトリアルコキシシラン;ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジメチルジ−n−プロピルオキシシラン、メチル(エチル)ジエトキシシラン、メチル(シクロヘキシル)ジエトキシシランの如きジアルキルジアルコキシシラン;メチル(フェニル)ジエトキシシランの如きモノアルキルモノアリールジアルコキシシラン;ジフェニルジエトキシシランの如きジアリールジアルコキシシラン;ジフェノキシジエトキシシランの如きジアリールオキシジアルコキシシラン;メチル(フェノキシ)ジエトキシシランの如きモノアルキルモノアリールオキシジアルコキシシラン;フェニル(フェノキシ)ジエトキシシランの如きモノアリールモノアリールオキシジアルコキシシラン;ジヒドロキシジメトキシシラン、ジヒドロキシジエトキシシラン、ジヒドロキシジ−n−プロピルオキシシランの如きジヒドロキシジアルコキシシラン;メチル(ヒドロキシ)ジメトキシシランの如きモノアルキルモノヒドロキシジアルコキシシラン;フェニル(ヒドロキシ)ジメトキシシランの如きモノアリールモノヒドロキシジアルコキシシラン;トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、トリメチル−n−プロピルオキシシラン、ジメチル(エチル)エトキシシラン、ジメチル(シクロヘキシル)エトキシシランの如きトリアルキルモノアルコキシシラン;ジメチル(フェニル)エトキシシランの如きジアルキルモノアリールモノアルコキシシラン;メチル(ジフェニル)エトキシシランの如きモノアルキルジアリールモノアルコキシシラン;トリフェノキシエトキシシランの如きトリアリールオキシモノアルコキシシラン;メチル(ジフェノキシ)エトキシシランの如きモノアルキルジアリールオキシモノアルコキシシラン;フェニル(ジフェノキシ)エトキシシランの如きモノアリールジアリールオキシモノアルコキシシラン;ジメチル(フェノキシ)エトキシシランの如きジアルキルモノアリールオキシモノアルコキシシラン;ジフェニル(フェノキシ)エトキシシランの如きジアリールモノアリールオキシモノアルコキシシラン;メチル(フェニル)(フェノキシ)エトキシシランの如きモノアルキルモノアリールモノアリールオキシモノアルコキシシラン;トリヒドロキシメトキシシラン、トリヒドロキシエトキシシラン、トリヒドロキシ−n−プロピルオキシシランの如きトリヒドロキシモノアルコキシシラン;およびテトラメトキシシランの2〜5量体の如き上記化合物のオリゴマー等が挙げられる。
【0104】上記式(2’)で示される化合物の具体例を珪素化合物として例示すると、テトラクロロシラン、テトラブロモシラン、テトラヨードシラン、トリクロロブロモシラン、ジクロロジブロモシランの如きテトラハロゲノシラン;メチルトリクロロシラン、メチルジクロロブロモシラン、シクロヘキシルトリクロロシランの如きモノアルキルトリハロゲノシラン;フェニルトリクロロシラン、ナフチルトリクロロシラン、4−クロロフェニルトリクロロシラン、フェニルジクロロブロモシランの如きモノアリールトリハロゲノシラン;フェノキシトリクロロシラン、フェノキシジクロロブロモシランの如きモノアリールオキシトリハロゲノシラン;メトキシトリクロロシラン、エトキシトリクロロシランの如きモノアルコキシトリハロゲノシラン;ジメチルジクロロシラン、メチル(エチル)ジクロロシラン、メチル(シクロヘキシル)ジクロロシランの如きジアルキルジハロゲノシラン;メチル(フェニル)ジクロロシランの如きモノアルキルモノアリールジハロゲノシラン;ジフェニルジクロロシランの如きジアリールジハロゲノシラン;ジフェノキシジクロロシランの如きジアリールオキシジハロゲノシラン;メチル(フェノキシ)ジクロロシランの如きモノアルキルモノアリールオキシジハロゲノシラン;フェニル(フェノキシ)ジクロロシランの如きモノアリールモノアリールオキシジハロゲノシラン;ジエトキシジクロロシランの如きジアルコキシジハロゲノシラン;メチル(エトキシ)ジクロロシランの如きモノアルキルモノアルコキシジクロロシラン;フェニル(エトキシ)ジクロロシランの如きモノアリールモノエトキシジクロロシラン;トリメチルクロロシラン、ジメチル(エチル)クロロシラン、ジメチル(シクロヘキシル)クロロシランの如きトリアルキルモノハロゲノシラン;ジメチル(フェニル)クロロシランの如きジアルキルモノアリールモノハロゲノシラン;メチル(ジフェニル)クロロシランの如きモノアルキルジアリールモノハロゲノシラン;トリフェノキシクロロシランの如きトリアリールオキシモノハロゲノシラン;メチル(ジフェノキシ)クロロシランの如きモノアルキルジアリールオキシモノハロゲノシラン;フェニル(ジフェノキシ)クロロシランの如きモノアリールジアリールオキシモノハロゲノシラン;ジメチル(フェノキシ)クロロシランの如きジアルキルモノアリールオキシモノハロゲノシラン;ジフェニル(フェノキシ)クロロシランのジアリールモノアリールオキシモノハロゲノシラン;メチル(フェニル)(フェノキシ)クロロシランの如きモノアルキルモノアリールモノアリールオキシモノハロゲノシラン;トリエトキシクロロシランの如きトリエトキシモノハロゲノシラン;およびテトラクロロシランの2〜5量体の如き上記化合物のオリゴマー等が挙げられる。
【0105】上記式(1’)または上記式(2’)で表される化合物としては、その他例えばジエトキシベリリウム、ジクロロベリリウム、トリエトキシホウ素、トリクロロホウ素、ジエトキシマグネシウム、ジクロロマグネシウム、トリエトキシアルミニウム、トリクロロアルミニウム、トリエトキシリン、トリクロロリン、ペンタエトキシリン、ペンタクロロリン、ジエトキシカルシウム、ジクロロカルシウム、トリエトキシスカンジウム、トリクロロスカンジウム、テトラエトキシチタン、テトラブトキシチタン、テトラクロロチタン、ジエトキシマンガン、ジクロロマンガン、ジエトキシ鉄、ジクロロ鉄、トリエトキシ鉄、トリクロロ鉄、ジエトキシコバルト、ジクロロコバルト、ジエトキシニッケル、ジクロロニッケル、ジエトキシ亜鉛、ジクロロ亜鉛、トリエトキシガリウム、トリクロロガリウム、テトラメトキシゲルマニウム、テトラエトキシゲルマニウム、テトラクロロゲルマニウム、ジエトキシストロンチウム、ジクロロストロンチウム、トリエトキシイットリウム、トリクロロイットリウム、テトラメトキシジルコニウム、テトラエトキシジルコニウム、テトラクロロジルコニウム、ジエトキシカドミウム、ジクロロカドミウム、トリエトキシインジウム、トリクロロインジウム、テトラエトキシテルル、テトラクロロテルル、ジエトキシバリウム、ジクロロバリウム、トリエトキシランタン、トリクロロランタン、トリエトキシネオジム、トリクロロネオジム、トリエトキシイッテルビウム、トリクロロイッテルビウム、ヘキサエトキシタングステン、ヘキサクロロタングステン、ペンタエトキシタンタル、ペンタクロロタンタル、ジエトキシ鉛、ジクロロ鉛、トリエトキシビスマス、トリクロロビスマス、テトラエトキシトリウム、テトラクロロトリウムの如きアルコキシドおよびハロゲン化物を同様に挙げることができる。
【0106】これらのうち、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシランの如きテトラアルコキシシラン;トリエトキシアルミニウムの如きトリアルコキシアルミニウム;テトラエトキシチタンの如きテトラアルコキシチタン;テトラクロロシランの如きテトラハロゲノシラン;トリクロロアルミニウムの如きトリハロゲノアルミニウム;テトラクロロチタンの如きテトラハロゲノチタン類等が好適に使用される。さらに好適にはテトラメトキシシラン、テトラエトキシシランの如きテトラアルコキシシラン;トリエトキシアルミニウムの如きトリアルコキシアルミニウム;テトラクロロシランの如きテトラハロゲノシランが、最も好適にはテトラエトキシシランの如きテトラアルコキシシランが使用される。なお、これら例示された化合物のうち任意の複数を任意の組成で併用してもよい。
【0107】上記の化合物を、加水分解反応に付すことより本発明で使用される(B)成分とすることができる。加水分解反応は、好ましくは適当な溶媒中で行われる。このような溶媒としては、例えばメタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロピルアルコール、n−ブタノール、イソブチルアルコール、t−ブチルアルコール、アセトン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、アセトニトリルの如き水溶性溶剤またはそれらの水溶液が挙げられる。
【0108】これらの水溶性溶剤は後の工程で除去されるので、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロピルアルコール、アセトン、テトラヒドロフラン等の比較的沸点の低いものが好適であり、原料溶解性の点でメタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類がさらに好ましく、最も好ましいのはエタノールである。
【0109】(B)成分を合成するための加水分解反応は、好ましくは、酸触媒(例えば、塩酸、硫酸、硝酸、蟻酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、トリフルオロメタンスルホン酸、酸性イオン交換樹脂、各種ルイス酸等)または塩基触媒(例えば、アンモニア、1級アミン類、2級アミン類、3級アミン類、ピリジン等の含窒素芳香族化合物、塩基性イオン交換樹脂、水酸化ナトリウム等の水酸化物、炭酸カリウム等の炭酸塩、酢酸ナトリウム等のカルボン酸塩、各種ルイス塩基等)存在下で行われる。水の含有量、反応温度、反応時間は適宜設定される。例えば下記の条件が採用できる。
【0110】水の含有量;上記式(1’)または(2’)で表される化合物中のアルコキシル基とハロゲン原子の合計量1モルに対して、2モル以下、好ましくは1.5モル以下、より好ましくは1分子以下の量である。
【0111】反応温度;好ましくは40〜200℃、より好ましくは50〜150℃である。
【0112】反応時間;好ましくは30分〜24時間、より好ましくは1〜12時間である。
【0113】本発明では、上記加水分解生成物と一緒に無機酸化物粒子を使用することができる。かかる無機酸化物粒子としては、好ましくは後述の(C)感放射線分解剤から発せられる酸または塩基に対して安定であり、使用する波長領域の光が粒子を通過する際に吸収が起こらず光学的に透明性が高いものである。酸化物粒子の屈折率は、その用途により好ましい値のものを任意に選択して使用することができる。
【0114】このような酸化物粒子としては、例えば、Be、Mg、Ca、Sr、Ba、Sc、Y、La、Ce、Gd、Tb、Dy、Yb、Lu、Ti、Zr、Hf、Nb、Mo、W、Zn、B、Al、Si、Ge、Sn、Pb、Bi、Te等の原子を含む酸化物が好適に用いられ、さらに好ましい具体例としては例えば、BeO、MgO、CaO、SrO、BaO、Sc23、Y23、La23、Ce23、Gd23、Tb23、Dy23、Yb23、Lu23、TiO2、ZrO2、HfO2、Nb25、MoO3、WO3、ZnO、B23、Al23、SiO2、GeO2、SnO2、PbO、Bi23、TeO2等の酸化物およびこれらを含む複合酸化物、例えばAl23−MgO、Al23−SiO2、ZnO−Y23、ZrO2−Ce23、ZrO2−TiO2−SnO2、TeO2−BaO−ZnO、TeO2−WO3−Ta25、TeO2−WO3−Bi23、TeO2−BaO−PbO、CaO−Al23、CaO−Al23−BaO、CaO−Al23−Na2O、CaO−Al23−K2O、CaO−Al23−SiO2、PbO− Bi23−BaO、PbO−Bi23−ZnO、PbO−Bi23、PbO− Bi23−BaO−ZnO、PbO− Bi23−CdO−Al23、PbO−Bi23−GeO2、PbO− Bi23−GeO2−Tl2O、BaO−PbO−Bi23、BaO−PbO−Bi23−ZnO、Bi23−Ga23−PbO、Bi23−Ga23−CdO、Bi23−Ga23−(Pb,Cd)O等が挙げられる。
【0115】酸化物粒子の粒子径は、本発明の屈折率変化性組成物を使用する光の波長よりも小さいものが好ましく、例えば2μm以下とすることができ、0.2μm以下であることがさらに好ましく、0.1μm以下であることが特に好ましい。粒子径が2μmを超えると、得られる屈折率変化性組成物の透明性が低下したり、膜としたときの表面状態に問題が生じる場合がある。
【0116】酸化物粒子の形状は特に制限されないが、略球形であるものが、入射光の散乱性が少ない点から好ましく使用される。
【0117】上記酸化物粒子は、シランカップリング剤、界面活性剤、または酸化物を構成する金属原子への配位能を持つ配位性化合物等と接触させることにより、粒子表面を改質した後に使用することもできる。
【0118】無機酸化物粒子は、加水分解生成物100重量部に対し、好ましくは500重量部以下、より好ましくは300重量部以下で用いられる。
【0119】(B)成分の屈折率nBは(A)成分の分解性重合体の屈折率nAと下記式(1)または(2)のいずれかの関係にあるのが特に好ましい。
B−nA≧0.05 ...(1)
A−nB≧0.05 ...(2)
また、(B)成分は(A)成分との合計が100重量部になるようにしたとき、10重量部から90重量部であることが好ましく、20重量部から70重量部であることがさらに好ましい。(B)成分が10重量部未満の場合、屈折率変化性組成物が脆くなりやすく、90重量部を超える場合は得られる屈折率差が小さくなりやすい。
【0120】(C)感放射線分解剤本発明に用いる(C)感放射線分解剤は、感放射線酸発生剤または感放射線塩基発生剤であることができる。
【0121】上記感放射線酸発生剤としては、例えばトリクロロメチル−s−トリアジン類、ジアリールヨードニウム塩類、トリアリールスルホニウム塩類、第四アンモニウム塩類、スルホン酸エステル類等を用いることができる。
【0122】上記トリクロロメチル−s−トリアジン類としては、例えば2,4,6−トリス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−フェニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−クロロフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(3−クロロフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(2−クロロフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(3−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(2−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−メチルチオフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(3−メチルチオフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(2−メチルチオフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−メトキシナフチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(3−メトキシナフチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(2−メトキシナフチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−メトキシ−β−スチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(3−メトキシ−β−スチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(2−メトキシ−β−スチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(3,4,5−トリメトキシ−β−スチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−メチルチオ−β−スチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(3−メチルチオ−β−スチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(3−メチルチオ−β−スチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−ピペロニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−[2−(フラン−2−イル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−[2−(5−メチルフラン−2−イル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−[2−(4−ジエチルアミノ−2−メチルフェニル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン等が挙げられる。
【0123】上記ジアリールヨードニウム塩類としては、例えばジフェニルヨードニウムテトラフルオロボレート、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスホネート、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロアルセネート、ジフェニルヨードニウムトリフルオロメタンスルホナート、ジフェニルヨードニウムトリフルオロアセテート、ジフェニルヨードニウム−p−トルエンスルホナート、ジフェニルヨードニウムブチルトリス(2,6−ジフルオロフェニル)ボレート、ジフェニルヨードニウムヘキシルトリス(p−クロロフェニル)ボレート、ジフェニルヨードニウムヘキシルトリス(3−トリフルオロメチルフェニル)ボレート、4−メトキシフェニルフェニルヨードニウムテトラフルオロボレート、4−メトキシフェニルフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスホネート、4−メトキシフェニルフェニルヨードニウムヘキサフルオロアルセネート、4−メトキシフェニルフェニルヨードニウムトリフルオロメタンスルホナート、4−メトキシフェニルフェニルヨードニウムトリフルオロアセテート、4−メトキシフェニルフェニルヨードニウム−p−トルエンスルホナート、4−メトキシフェニルフェニルヨードニウムブチルトリス(2,6−ジフルオロフェニル)ボレート、4−メトキシフェニルフェニルヨードニウムヘキシルトリス(p−クロロフェニル)ボレート、4−メトキシフェニルフェニルヨードニウムヘキシルトリス(3−トリフルオロメチルフェニル)ボレート、ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムテトラフルオロボレート、ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロアルセネート、ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムトリフルオロメタンスルホナート、ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムトリフルオロアセテート、ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウム−p−トルエンスルホナート、ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムブチルトリス(2,6−ジフルオロフェニル)ボレート、ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムヘキシルトリス(p−クロロフェニル)ボレート、ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムヘキシルトリス(3−トリフルオロメチルフェニル)ボレート等が挙げられる。
【0124】上記トリアリールスルホニウム塩類としては、例えばトリフェニルスルホニウムテトラフルオロボレート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスホネート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアルセネート、トリフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホナート、トリフェニルスルホニウムトリフルオロアセテート、トリフェニルスルホニウム−p−トルエンスルホナート、トリフェニルスルホニウムブチルトリス(2,6−ジフルオロフェニル)ボレート、トリフェニルスルホニウムヘキシルトリス(p−クロロフェニル)ボレート、トリフェニルスルホニウムヘキシルトリス(3−トリフルオロメチルフェニル)ボレート、4−メトキシフェニルジフェニルスルホニウムテトラフルオロボレート、4−メトキシフェニルジフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスホネート、4−メトキシフェニルジフェニルスルホニウムヘキサフルオロアルセネート、4−メトキシフェニルジフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホナート、4−メトキシフェニルジフェニルスルホニウムトリフルオロアセテート、4−メトキシフェニルジフェニルスルホニウム−p−トルエンスルホナート、4−メトキシフェニルジフェニルスルホニウムブチルトリス(2,6−ジフルオロフェニル)ボレート、4−メトキシフェニルジフェニルスルホニウムヘキシルトリス(p−クロロフェニル)ボレート、4−メトキシフェニルジフェニルスルホニウムヘキシルトリス(3−トリフルオロメチルフェニル)ボレート、4−フェニルチオフェニルジフェニルスルホニウムテトラフルオロボレート、4−フェニルチオフェニルジフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスホネート、4−フェニルチオフェニルジフェニルスルホニウムヘキサフルオロアルセネート、4−フェニルチオフェニルジフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホナート、4−フェニルチオフェニルジフェニルスルホニウムトリフルオロアセテート、4−フェニルチオフェニルジフェニルスルホニウム−p−トルエンスルホナート、4−フェニルチオフェニルジフェニルスルホニウムブチルトリス(2,6−ジフルオロフェニル)ボレート、4−フェニルチオフェニルジフェニルスルホニウムヘキシルトリス(p−クロロフェニル)ボレート、4−フェニルチオフェニルジフェニルスルホニウムヘキシルトリス(3−トリフルオロメチルフェニル)ボレート、4−ヒドロキシ−1−ナフタレニルジメチルスルホニウムテトラフルオロボレート、4−ヒドロキシ−1−ナフタレニルジメチルスルホニウムヘキサフルオロホスホネート、4−ヒドロキシ−1−ナフタレニルジメチルスルホニウムヘキサフルオロアルセネート、4−ヒドロキシ−1−ナフタレニルジメチルスルホニウムトリフルオロメタンスルホナート、4−ヒドロキシ−1−ナフタレニルジメチルスルホニウムトリフルオロアセテート、4−ヒドロキシ−1−ナフタレニルジメチルスルホニウム−p−トルエンスルホナート、4−ヒドロキシ−1−ナフタレニルジメチルスルホニウムブチルトリス(2,6−ジフルオロフェニル)ボレート、4−ヒドロキシ−1−ナフタレニルジメチルスルホニウムヘキシルトリス(p−クロロフェニル)ボレート、4−ヒドロキシ−1−ナフタレニルジメチルスルホニウムヘキシルトリス(3−トリフルオロメチルフェニル)ボレート等が挙げられる。
【0125】上記第四アンモニウム塩類としては、例えばテトラメチルアンモニウムテトラフルオロボレート、テトラメチルアンモニウムヘキサフルオロホスホネート、テトラメチルアンモニウムヘキサフルオロアルセネート、テトラメチルアンモニウムトリフルオロメタンスルホナート、テトラメチルアンモニウムトリフルオロアセテート、テトラメチルアンモニウム−p−トルエンスルホナート、テトラメチルアンモニウムブチルトリス(2,6−ジフルオロフェニル)ボレート、テトラメチルアンモニウムヘキシルトリス(p−クロロフェニル)ボレート、テトラメチルアンモニウムヘキシルトリス(3−トリフルオロメチルフェニル)ボレート、テトラブチルアンモニウムテトラフルオロボレート、テトラブチルアンモニウムヘキサフルオロホスホネート、テトラブチルアンモニウムヘキサフルオロアルセネート、テトラブチルアンモニウムトリフルオロメタンスルホナート、テトラブチルアンモニウムトリフルオロアセテート、テトラブチルアンモニウム−p−トルエンスルホナート、テトラブチルアンモニウムブチルトリス(2,6−ジフルオロフェニル)ボレート、テトラブチルアンモニウムヘキシルトリス(p−クロロフェニル)ボレート、テトラブチルアンモニウムヘキシルトリス(3−トリフルオロメチルフェニル)ボレート、ベンジルトリメチルアンモニウムテトラフルオロボレート、ベンジルトリメチルアンモニウムヘキサフルオロホスホネート、ベンジルトリメチルアンモニウムヘキサフルオロアルセネート、ベンジルトリメチルアンモニウムトリフルオロメタンスルホナート、ベンジルトリメチルアンモニウムトリフルオロアセテート、ベンジルトリメチルアンモニウム−p−トルエンスルホナート、ベンジルトリメチルアンモニウムブチルトリス(2,6−ジフルオロフェニル)ボレート、ベンジルトリメチルアンモニウムヘキシルトリス(p−クロロフェニル)ボレート、ベンジルトリメチルアンモニウムヘキシルトリス(3−トリフルオロメチルフェニル)ボレート、ベンジルジメチルフェニルアンモニウムテトラフルオロボレート、ベンジルジメチルフェニルアンモニウムヘキサフルオロホスホネート、ベンジルジメチルフェニルアンモニウムヘキサフルオロアルセネート、ベンジルジメチルフェニルアンモニウムトリフルオロメタンスルホナート、ベンジルジメチルフェニルアンモニウムトリフルオロアセテート、ベンジルジメチルフェニルアンモニウム−p−トルエンスルホナート、ベンジルジメチルフェニルアンモニウムブチルトリス(2,6−ジフルオロフェニル)ボレート、ベンジルジメチルフェニルアンモニウムヘキシルトリス(p−クロロフェニル)ボレート、ベンジルジメチルフェニルアンモニウムヘキシルトリス(3−トリフルオロメチルフェニル)ボレート、N−シンナミリデンエチルフェニルアンモニウムテトラフルオロボレート、N−シンナミリデンエチルフェニルアンモニウムヘキサフルオロホスホネート、N−シンナミリデンエチルフェニルアンモニウムヘキサフルオロアルセネート、N−シンナミリデンエチルフェニルアンモニウムトリフルオロメタンスルホナート、N−シンナミリデンエチルフェニルアンモニウムトリフルオロアセテート、N−シンナミリデンエチルフェニルアンモニウム−p−トルエンスルホナート、N−シンナミリデンエチルフェニルアンモニウムブチルトリス(2,6−ジフルオロフェニル)ボレート、N−シンナミリデンエチルフェニルアンモニウムヘキシルトリス(p−クロロフェニル)ボレート、Nーシンナミリデンエチルフェニルアンモニウムヘキシルトリス(3−トリフルオロメチルフェニル)ボレート等が挙げられる。
【0126】上記スルホン酸エステル類としては、例えばα−ヒドロキシメチルベンゾイン−p−トルエンスルホン酸エステル、α−ヒドロキシメチルベンゾイン−トリフルオロメタンスルホン酸エステル、α−ヒドロキシメチルベンゾイン−メタンスルホン酸エステル、ピロガロール−トリ(p−トルエンスルホン酸)エステル、ピロガロール−トリ(トリフルオロメタンスルホン酸)エステル、ピロガロール−トリメタンスルホン酸エステル、2,4−ジニトロベンジル−p−トルエンスルホン酸エステル、2,4−ジニトロベンジル−トリフルオロメタンスルホン酸エステル、2,4−ジニトロベンジル−メタンスルホン酸エステル、2,4−ジニトロベンジル−1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸エステル、2,6−ジニトロベンジル−p−トルエンスルホン酸エステル、2,6−ジニトロベンジル−トリフルオロメタンスルホン酸エステル、2,6−ジニトロベンジル−メタンスルホン酸エステル、2,6−ジニトロベンジル−1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸エステル、2−ニトロベンジル−p−トルエンスルホン酸エステル、2−ニトロベンジル−トリフルオロメタンスルホン酸エステル、2−ニトロベンジル−メタンスルホン酸エステル、2−ニトロベンジル−1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸エステル、4−ニトロベンジル−p−トルエンスルホン酸エステル、4−ニトロベンジル−トリフルオロメタンスルホン酸エステル、4−ニトロベンジル−メタンスルホン酸エステル、4−ニトロベンジル−1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸エステル、N−ヒドロキシナフタルイミド−p−トルエンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシナフタルイミド−トリフルオロメタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシナフタルイミド−メタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシ−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボキシイミド−p−トルエンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシ−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボキシイミド−トリフルオロメタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシ−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボキシイミド−メタンスルホン酸エステル、2,4,6,3’,4’,5’−ヘキサヒドロキシベンゾフェノン−1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸エステル、1,1,1−トリ(p−ヒドロキシフェニル)エタン−1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸エステル等が挙げられる。
【0127】これらの化合物のうち、トリクロロメチル−s−トリアジン類としては、2−(3−クロロフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−メチルチオフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−メトキシ−β−スチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−ピペロニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−[2−(フラン−2−イル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−[2−(5−メチルフラン−2−イル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−[2−(4−ジエチルアミノ−2−メチルフェニル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジンまたは2−(4−メトキシナフチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン;ジアリールヨードニウム塩類としては、ジフェニルヨードニウムトリフルオロアセテート、ジフェニルヨードニウムトリフルオロメタンスルホナート、4−メトキシフェニルフェニルヨードニウムトリフルオロメタンスルホナートまたは4−メトキシフェニルフェニルヨードニウムトリフルオロアセテート;トリアリールスルホニウム塩類としては、トリフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホナート、トリフェニルスルホニウムトリフルオロアセテート、4−メトキシフェニルジフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホナート、4−メトキシフェニルジフェニルスルホニウムトリフルオロアセテート、4−フェニルチオフェニルジフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホナートまたは4−フェニルチオフェニルジフェニルスルホニウムトリフルオロアセテート;
【0128】第四アンモニウム塩類としては、テトラメチルアンモニウムブチルトリス(2,6−ジフルオロフェニル)ボレート、テトラメチルアンモニウムヘキシルトリス(p−クロロフェニル)ボレート、テトラメチルアンモニウムヘキシルトリス(3−トリフルオロメチルフェニル)ボレート、ベンジルジメチルフェニルアンモニウムブチルトリス(2,6−ジフルオロフェニル)ボレート、ベンジルジメチルフェニルアンモニウムヘキシルトリス(p−クロロフェニル)ボレート、ベンジルジメチルフェニルアンモニウムヘキシルトリス(3−トリフルオロメチルフェニル)ボレート;スルホン酸エステル類としては、2,6−ジニトロベンジル−p−トルエンスルホン酸エステル、2,6−ジニトロベンジル−トリフルオロメタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシナフタルイミド−p−トルエンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシナフタルイミド−トリフルオロメタンスルホン酸エステルをそれぞれ好ましいものとして挙げることができる。
【0129】上記感放射線塩基発生剤としては、特開平4−330444号公報、「高分子」p242−248、46巻6号(1997年)、米国特許第5,627,010号明細書等に記載されているものが好適に用いられる。しかしながら、機能として放射線の照射により塩基が発生すればこれらに限定されない。
【0130】本発明における好ましい感放射線塩基発生剤としては、例えばトリフェニルメタノール、ベンジルカルバメートおよびベンゾインカルバメート等の光活性なカルバメート;o−カルバモイルヒドロキシルアミド、o−カルバモイルオキシム、アロマティックスルホンアミド、アルファーラクタムおよびN−(2−アリルエチニル)アミド等のアミドならびにその他のアミド;オキシムエステル、α−アミノアセトフェノン、コバルト錯体等を挙げることができる。
【0131】感放射線塩基発生剤の例としては、例えば下記一般式(17)〜(27)で表される化合物が挙げられる。
【0132】
【化34】


【0133】(ここでR72は、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシル基、炭素数1〜6のチオアルキル基、炭素数1〜6のジアルキルアミノ基、ピペリジル基、ニトロ基、ヒドロキシ基、メルカプト基、炭素数2〜6のアルケニル基もしくはアルキニル基、炭素数6〜20のアリール基、フッ素原子、塩素原子または臭素原子であり、kは0〜3の整数であり、R73は水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数2〜6のアルケニル基もしくはアルキニル基または炭素数6〜20のアリール基であり、R74およびR75はそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数2〜6のアルケニル基もしくはアルキニル基または炭素数6〜20のアリール基もしくはベンジル基であり、またはR74とR75とで炭素数5〜6の環状構造を形成してもよい。)
【0134】
【化35】


【0135】(ここでR76は、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシル基、炭素数1〜6のチオアルキル基、炭素数1〜6のジアルキルアミノ基、ピペリジル基、ニトロ基、ヒドロキシ基、メルカプト基またはアリール基であり、R77は水素原子、炭素数1〜6のアルキル基またはアリール基であり、R78およびR79はそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、アリール基もしくはベンジル基でありまたはR78とR79とで炭素数5〜6の環状構造を形成してもよい。)
【0136】
【化36】


【0137】(ここでR80は炭素数1〜6のアルキル基またはアリール基であり、R81およびR82はそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、アリール基もしくはベンジル基でありまたはR81とR82とで炭素数5〜6の環状構造を形成していてもよい。)
【0138】
【化37】


【0139】(ここでR83およびR84はそれぞれ独立に炭素数1〜6のアルキル基またはアリール基である。)
【0140】
【化38】


【0141】(ここでR85、R86およびR87は、それぞれ独立に炭素数1〜6のアルキル基またはアリール基である。)
【0142】
【化39】


【0143】(ここでR88は、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシル基、炭素数1〜6のチオアルキル基、炭素数1〜6のジアルキルアミノ基、ピペリジル基、ニトロ基、ヒドロキシ基、メルカプト基またはアリール基であり、R89は水素原子、炭素数1〜6のアルキル基またはアリール基であり、R90、R91およびR92はそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、アリール基またはベンジル基である。)
【0144】
【化40】


【0145】(ここでR93は、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシル基、炭素数1〜6のチオアルキル基、炭素数1〜6のジアルキルアミノ基、ピペリジル基、ニトロ基、ヒドロキシ基、メルカプト基またはアリール基であり、R94およびR95はそれぞれ独立に水素原子、水酸基、メルカプト基、シアノ基、フェノキシ基、炭素数1〜6のアルキル基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子またはアリール基であり、R96およびR97はそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、アリール基もしくはベンジル基でありまたはR96とR97とで炭素数5〜6の環状構造を形成していてもよい。)
【0146】
【化41】


【0147】(ここでR98およびR99はそれぞれ独立に炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシル基、炭素数1〜6のチオアルキル基、炭素数1〜6のジアルキルアミノ基、ピペリジル基、ニトロ基、ヒドロキシ基、メルカプト基またはアリール基であり、R100〜R103はそれぞれ独立に水素原子、水酸基、メルカプト基、シアノ基、フェノキシ基、炭素数1〜6のアルキル基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子またはアリール基であり、A5はモノアルキルアミン、ピペラジン、芳香族ジアミンまたは脂肪族ジアミンの1個または2個の窒素原子に結合する2個の水素原子を除いて生ずる二価の原子団である。)
【0148】
【化42】


【0149】(ここでR104およびR105はそれぞれ独立に炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシル基、炭素数1〜6のチオアルキル基、炭素数1〜6のジアルキルアミノ基、ピペリジル基、ニトロ基、ヒドロキシ基、メルカプト基またはアリール基であり、R106およびR107はそれぞれ独立に水素原子、水酸基、メルカプト基、シアノ基、フェノキシ基、炭素数1〜6のアルキル基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子またはアリール基であり、R108〜R111はそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、アリール基もしくはベンジル基でありまたはR108とR109もしくはR110とR111とで炭素数5〜6の環状構造を形成していてもよく、A6は炭素数1〜6のアルキレン基、シクロヘキシレン基、フェニレン基または単結合である。)
【0150】
【化43】


【0151】(ここでR112〜R114はそれぞれ独立に水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルケニル基、炭素数1〜6のアルキニル基、炭素数1〜6のアルコキシル基またはアリール基である。)
【0152】
【化44】


【0153】(ここでLは、アンモニア、ピリジン、イミダゾール、エチレンジアミン、トリメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、プロピレンジアミン、1,2−シクロヘキサンジアミン、N,N−ジエチルエチレンジアミン、ジエチレントリアミンから選ばれる少なくとも一種の配位子であり、nは2〜6の整数であり、R115はアリール基であり、R116は炭素数1〜18のアルキル基である。)
【0154】上式(17)〜(27)の全てにおいて、アルキル基とは直鎖状、分岐鎖状、環状であることができる。またアリール基とは、ビニル基、プロピレニル基などのアルケニル基;アセチレニル基などのアルキニル基;フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基をも包括しており、またこれらの水素原子がフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ハロゲン化アルキル基、水酸基、カルボキシル基、メルカプト基、シアノ基、ニトロ基、アジド基、ジアルキルアミノ基、アルコキシル基またはチオアルキル基に置換されたものも含むものとする。
【0155】これらの感放射線塩基発生剤のうち、2−ニトロベンジルシクロヘキシルカルバメート、トリフェニルメタノール、o−カルバモイルヒドロキシルアミド、o−カルバモイルオキシム、[[(2,6−ジニトロベンジル)オキシ]カルボニル]シクロヘキシルアミン、ビス[[(2−ニトロベンジル)オキシ]カルボニル]ヘキサン1,6−ジアミン、4−(メチルチオベンゾイル)−1−メチル−1−モルホリノエタン、(4−モルホリノベンゾイル)−1−ベンジル−1−ジメチルアミノプロパン、N−(2−ニトロベンジルオキシカルボニル)ピロリジン、ヘキサアンミンコバルト(III)トリス(トリフェニルメチルボレート)、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン等が好ましいものとして挙げられる。
【0156】上記(C)感放射線分解剤は、(A)分解性化合物と(B)加水分解生成物の合計が100重量部当り、0.01重量部以上用いることが好ましく、0.05重量部以上用いることがさらに好ましい。(C)成分が0.01重量部未満の場合、照射光に対する感度が低下しやすくなる。上限値は好ましくは30重量部、より好ましくは20重量部である。
【0157】(D)安定化剤本発明の屈折率変化性組成物は、上記(A),(B)および(C)成分の他に、任意成分として(D)安定化剤を含有することができる。
【0158】本発明で使用される(D)安定化剤は、放射線照射後の屈折率変化性組成物に残存する(A)分解性化合物を安定化し、酸または塩基に対する安定性を付与する機能を有する。この安定化処理により、本発明の方法により形成された屈折率パターンは、屈折率を変化させるために使用した波長付近の光が通過する条件下で使用しても、屈折率の変化が引き起こされることがなく、劣化することがない。
【0159】上記(D)安定化剤としては、例えばアミノ化合物、エポキシ化合物、チイラン化合物、オキセタン化合物、アルコキシメチル化メラミン化合物、アルコキシメチル化グリコールウリル化合物、アルコキシメチル化ベンゾグアナミン化合物、アルコキシメチル化尿素化合物、イソシアネート化合物、シアネート化合物、オキサゾリン化合物、オキサジン化合物およびシリル化合物(ハロゲン化シリル化合物、その他のシリル化合物)等を挙げることができる。
【0160】上記アミノ化合物としては、例えばトリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、トリペンチルアミン、トリヘキシルアミン、トリシクロヘキシルアミン、トリフェニルアミン、トリベンジルアミン、アニリン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、1,3−ジアミノプロパン、1,4−ジアミノブタン、1,5−ジアミノペンタン、1,6−ジアミノヘキサン、1,7−ジアミノヘプタン、1,8−ジアミノオンタン、1,9−ジアミノノナン、1,10−ジアミノデカン、1,11−ジアミノウンデカン、1,12−ジアミノドデカン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、1,3−シクロヘキサンビス(メチルアミン)、1,3−プロパン−2−オール、2,2’,2”−トリアミノトリエチルアミン、1,4−ジアミノ−2,2,3,3−テトラフロロペンタン、1,5−ジアミノ−2,2,3,3,4,4−ヘキサフロロペンタン、メラミン、ベンゾグアナミン、アセトグアナミン、アクリログアナミン、パラミン、アミドール、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、p,p’ −ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルフォン、1,8−ジアミノナフタレン、3,5−ジアミノ−1,2,4−トリアゾール、2−クロロ−4,6−ジアミノ−S−トリアジン、2、6−ジアミノピリジン、3,3’−ジアミノベンジジン、ビス(4−アミノフェニル)エーテル、m−キシリレンジアミン、p−キシリレンジアミン、1,2,4,5−ベンゼンテトラミン、2,4−ジアミノ−1,3,5−トリアジン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,3’,4,4’−テトラアミノベンゾフェノン、トリアミノベンゼン、4,4’−チオジアニリン、2,3,5,6−テトラブロモ−p−キシリレンジアミン、2,3,5,6−テトラクロロ−p−キシリレンジアミン、4,5−メチレンジオキシ−1,2−フェニレンジアミン、2,2’−ビス(5−アミノピリジル)サルファイド等を挙げることができる。
【0161】上記エポキシ化合物としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、環式脂肪族エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ化合物、脂肪族ポリグリシジルエーテル等を挙げることができる。
【0162】これらの市販品として、以下のものを例示することができる。ビスフェノールA型エポキシ樹脂としては、エピコート1001、同1002、同1003、同1004、同1007、同1009、同1010、同828(以上、油化シェルエポキシ(株)製)等を、ビスフェノールF型エポキシ樹脂としては、エピコート807(油化シェルエポキシ(株)製)等を、フェノールノボラック型エポキシ樹脂としては、エピコート152、同154(以上、油化シェルエポキシ(株)製)、EPPN201、同202(以上、日本化薬(株)製)等を、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂としては、EOCN−102、EOCN−103S、EOCN−104S、EOCN−1020、EOCN−1025、EOCN−1027(以上、日本化薬(株)製)、エピコート180S75(油化シェルエポキシ(株)製)等を、環式脂肪族エポキシ樹脂としては、CY175、CY177、CY179(以上、CIBA−GEIGY A.G製)、ERL−4234、ERL−4299、ERL−4221、ERL−4206(以上、U.C.C社製)、ショーダイン509(昭和電工(株)製)、アラルダイトCY−182、同CY−192、同CY−184(以上、CIBA−GEIGY A.G製)、エピクロン200、同400(以上、大日本インキ工業(株)製)、エピコート871、同872(以上、油化シェルエポキシ(株)製)、ED−5661、ED−5662(以上、セラニーズコーティング(株)製)等を、脂肪族ポリグリシジルエーテルとしては、エポライト100MF(共栄社化学(株)製)、エピオールTMP(日本油脂(株)製)等を挙げることができる。
【0163】上記以外にもフェニルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、3,3,3−トリフロロメチルプロピレンオキシド、スチレンオキシド、ヘキサフロロプロピレンオキシド、シクロヘキセンオキシド、N−グリシジルフタルイミド、(ノナフロロ−N−ブチル)エポキシド、パーフロロエチルグリシジルエーテル、エピクロロヒドリン、エピブロモヒドリン、N,N−ジグリシジルアニリン、3−[2−(パーフロロヘキシル)エトキシ]−1,2−エポキシプロパン等がエポキシ化合物として好適に使用できる。
【0164】上記チイラン化合物としては、上記エポキシ化合物のエポキシ基を、例えばJ.Org. Chem., 28, 229 (1963)に示されるようにしてエチレンスルフィド基に置換したものを使用することができる。
【0165】上記オキセタン化合物としては、ビス〔(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル〕ベンゼン(商品名「XDO」、東亞合成(株)製)、ビス〔(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル−フェニル〕メタン、ビス〔(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル−フェニル〕エーテル、ビス〔(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル−フェニル〕プロパン、ビス〔(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル−フェニル〕スルホン、ビス〔(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル−フェニル〕ケトン、ビス〔(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル−フェニル〕ヘキサフロロプロパン、トリ〔(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル〕ベンゼン、テトラ〔(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル〕ベンゼン等を挙げることができる。
【0166】上記アルコキシメチル化メラミン化合物、アルコキシメチル化ベンゾグアナミン化合物、アルコキシメチル化グリコールウリル化合物およびアルコキシメチル化尿素化合物は、それぞれメチロール化メラミン化合物、メチロール化ベンゾグアナミン化合物、メチロール化グリコールウリル化合物およびメチロール化尿素化合物のメチロール基をアルコキシメチル基に変換することにより得られる。このアルコキシメチル基の種類については特に限定されるものではなく、例えばメトキシメチル基、エトキシメチル基、プロポキシメチル基、ブトキシメチル基等とすることができる。
【0167】これらの市販品としては、例えばサイメル300、同301、同303、同370、同325、同327、同701、同266、同267、同238、同1141、同272、同202、同1156、同1158、同1123、同1170、同1174、同UFR65、同300(以上、三井サイアナミッド(株)製)、ニカラックMx−750、同Mx−032、同Mx−706、同Mx−708、同Mx−40、同Mx−31、同Ms−11、同Mw−30(以上、三和ケミカル(株)製)等を挙げることができる。
【0168】上記イソシアネート化合物としては、例えばフェニレン−1,3−ジイソシアネート、フェニレン−1,4−ジイソシアネート、1−メトキシフェニレン−2,4−ジイソシアネート、1−メチルフェニレン−2,4−ジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、1,3−キシリレンジイソシアネート、1,4−キシリレンジイソシアネート、ビフェニレン−4,4’−ジイソシアネート、3,3’−ジメトキシビフェニレン−4,4’−ジイソシアネート、3,3’−ジメチルビフェニレン−4,4’−ジイソシアネート、ジフェニルメタン−2,4’−ジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、3,3’−ジメトキシジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、3,3’−ジメチルジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、ナフチレン−1,5−ジイソシアネート、シクロブチレン−1,3−ジイソシアネート、シクロペンチレン−1,3−ジイソシアネート、シクロヘキシレン−1,3−ジイソシアネート、シクロヘキシレン−1,4−ジイソシアネート、1−メチルシクロヘキシレン−2,4−ジイソシアネート、1−メチルシクロヘキシレン−2,6−ジイソシアネート、1−イソシアネート−3,3,5−トリメチル−5−イソシアネートメチルシクロヘキサン、シクロヘキサン−1,3−ビス(メチルイソシアネート)、シクロヘキサン−1,4−ビス(メチルイソシアネート)、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−2,4’−ジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート、エチレンジイソシアネート、テトラメチレン−1,4−ジイソシアネート、ヘキサメチレン−1,6−ジイソシアネート、ドデカメチレン−1,12−ジイソシアネート、リジンジイソシアネートメチルエステル等や、これらの有機ジイソシアネートの化学量論的過剰量と2官能性活性水素含有化合物との反応により得られる両末端イソシアネートプレポリマー等を挙げることができる。
【0169】また、場合により上記ジイソシアネートとともに、例えばフェニル−1,3,5−トリイソシアネート、ジフェニルメタン−2,4,4’−トリイソシアネート、ジフェニルメタン−2,5,4’−トリイソシアネート、トリフェニルメタン−2,4’,4”−トリイソシアネート、トリフェニルメタン−4,4’,4”−トリイソシアネート、ジフェニルメタン−2,4,2’,4’−テトライソシアネート、ジフェニルメタン−2,5,2’,5’−テトライソシアネート、シクロヘキサン−1,3,5−トリイソシアネート、シクロヘキサン−1,3,5−トリス(メチルイソシアネート)、3,5−ジメチルシクロヘキサン−1,3,5−トリス(メチルイソシアネート)、1,3,5−トリメチルシクロヘキサン−1,3,5−トリス(メチルイソシアネート)、ジシクロヘキシルメタン−2,4,2’−トリイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−2,4,4’−トリイソシアネート等の3官能以上の有機ポリイソシアネートや、これらの3官能以上の有機ポリイソシアネートの化学量論的過剰量と2官能以上の多官能性活性水素含有化合物との反応により得られる末端イソシアネートプレポリマー等を併用してもよい。
【0170】上記シアネート化合物としては、1,3−ジシアナートベンゼン、1,4−ジシアナートベンゼン、1,3,5−トリシアナートベンゼン、1,3−、1,4−、1,6−、1,8−、2,6−、または2,7−ジシアナートナフタレン、1,3,6−トリシアナートナフタレン、2,2’−または4,4’−ジシアナートビフェニル、ビス(4−シアナートフェニル)メタン、2,2−ビス(4−シアナートフェニル)プロパン、2,2’−ビス(3,5−ジクロロ−4−シアナートフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−シアナートフェニル)エタン、ビス(4−シアナートフェニル)エーテル、ビス(4−シアナートフェニル)チオエーテル、ビス(4−シアナートフェニル)スルホン、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2,2−ビス(4−シアナートフェニル)プロパン、トリス(4−シアナートフェニル)ホスファイト、トリス(4−シアナートフェニル)ホスフェート、およびフェノール樹脂とハロゲン化シアンの反応より得られるベンゼン多核体のポリイソシアネート化合物(例えば、特公昭45−11712号および55−9433号公報)などを挙げることができる。入手が容易でありかつ、成形性および最終硬化物に良好な性質を与えるという点から、2,2−ビス(4−シアナートフェニル)プロパンのようなビスフェノールから誘導された2価のシアン酸エステル化合物は、特に良好に使用される。また、フェノールとホルムアルデヒドとの初期縮合物にハロゲン化シアンを反応させて得られるポリシアナートも有用である。
【0171】上記オキサゾリン化合物としては、2,2’−ビス(2−オキサゾリン)、4−フラン−2−イルメチレン−2−フェニル−4H−オキサゾール−5−オン、1,4−ビス(4,5−ジヒドロ−2−オキサゾリル)ベンゼン、1,3−ビス(4,5−ジヒドロ−2−オキサゾリル)ベンゼン、2,3−ビス(4−イソプロペニル−2−オキサゾリン−2−イル)ブタン、2,2’−ビス−4−ベンジル−2−オキサゾリン、2,6−ビス(イソプロピル−2−オキサゾリン−2−イル)ピリジン、2,2’−イソプロピリデンビス(4−tert−ブチル−2−オキサゾリン)、2,2’−イソプロピリデンビス(4−フェニル−2−オキサゾリン)、2,2’−メチレンビス(4−tert−ブチル−2−オキサゾリン)、2,2’−メチレンビス(4−フェニル−2−オキサゾリン)等が挙げられる。
【0172】上記オキサジン化合物としては、2,2’−ビス(2−オキサジン)、4−フラン−2−イルメチレン−2−フェニル−4H−オキサジル−5−オン、1,4−ビス(4,5−ジヒドロ−2−オキサジル)ベンゼン、1,3−ビス(4,5−ジヒドロ−2−オキサジル)ベンゼン、2,3−ビス(4−イソプロペニル−2−オキサジン−2−イル)ブタン、2,2’−ビス−4−ベンジル−2−オキサジン、2,6−ビス(イソプロピル−2−オキサジン−2−イル)ピリジン、2,2’−イソプロピリデンビス(4−tert−ブチル−2−オキサジン)、2,2’−イソプロピリデンビス(4−フェニル−2−オキサジン)、2,2’−メチレンビス(4−tert−ブチル−2−オキサジン)、2,2’−メチレンビス(4−フェニル−2−オキサジン)等が挙げられる。
【0173】上記ハロゲン化シリル化合物としては、テトラクロロシラン、テトラブロモシラン、テトラヨードシラン、トリクロロブロモシラン、ジクロロジブロモシラン等のテトラハロゲノシラン類、メチルトリクロロシラン、メチルジクロロブロモシラン、シクロヘキシルトリクロロシラン等のモノアルキルトリハロゲノシラン類、フェニルトリクロロシラン、ナフチルトリクロロシラン、4−クロロフェニルトリクロロシラン、フェニルジクロロブロモシラン等のモノアリールトリハロゲノシラン類、フェノキシトリクロロシラン、フェノキシジクロロブロモシラン等のモノアリールオキシトリハロゲノシラン類、メトキシトリクロロシラン、エトキシトリクロロシラン等のモノアルコキシトリハロゲノシラン類、ジメチルジクロロシラン、メチル(エチル)ジクロロシラン、メチル(シクロヘキシル)ジクロロシラン等のジアルキルジハロゲノシラン類、メチル(フェニル)ジクロロシラン等のモノアルキルモノアリールジハロゲノシラン類、ジフェニルジクロロシラン等のジアリールジハロゲノシラン類、ジフェノキシジクロロシラン等のジアリールオキシジハロゲノシラン類、メチル(フェノキシ)ジクロロシラン等のモノアルキルモノアリールオキシジハロゲノシラン類、フェニル(フェノキシ)ジクロロシラン等のモノアリールモノアリールオキシジハロゲノシラン類、ジエトキシジクロロシラン等のジアルコキシジハロゲノシラン類、メチル(エトキシ)ジクロロシラン等のモノアルキルモノアルコキシジクロロシラン類、フェニル(エトキシ)ジクロロシラン等のモノアリールモノエトキシジクロロシラン類、トリメチルクロロシラン、ジメチル(エチル)クロロシラン、ジメチル(シクロヘキシル)クロロシラン等のトリアルキルモノハロゲノシラン類、ジメチル(フェニル)クロロシラン等のジアルキルモノアリールモノハロゲノシラン類、メチル(ジフェニル)クロロシラン等のモノアルキルジアリールモノハロゲノシラン類、トリフェノキシクロロシラン等のトリアリールオキシモノハロゲノシラン類、メチル(ジフェノキシ)クロロシラン等のモノアルキルジアリールオキシモノハロゲノシラン類、フェニル(ジフェノキシ)クロロシラン等のモノアリールジアリールオキシモノハロゲノシラン類、ジメチル(フェノキシ)クロロシラン等のジアルキルモノアリールオキシモノハロゲノシラン類、ジフェニル(フェノキシ)クロロシラン等のジアリールモノアリールオキシモノハロゲノシラン類、メチル(フェニル)(フェノキシ)クロロシラン等のモノアルキルモノアリールモノアリールオキシモノハロゲノシラン類、トリエトキシクロロシラン等のトリエトキシモノハロゲノシラン類およびテトラクロロシランの2〜5量体等の上記化合物のオリゴマー等が挙げられる。
【0174】上記その他のシリル化合物としては、ヘキサメチルジシラザン、t−ブチルジメチルクロロシラン、ビス(トリメチルシリル)トリフルオロアセトアミド、ジエチルアミノトリメチルシラン、トリメチルシラノール、ヘキサメチルジシロキサン、クロルメチルジメチルエトキシシラン、アセチルトリフェニルシラン、エトキシトリフェニルシラン、トリフェニルシラノール、トリエチルシラノール、トリプロピルシラノール、トリブチルシラノール、ヘキサエチルジシロキサン、トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、トリエチルメトキシシラン、トリエチルエトキシラン、アセトキシエチルジメチルクロロシラン、1,3−ビス(ヒドロキシブチル)テトラメチルジシロキサン、1,3−ビス(ヒドロキシプロピル)テトラメチルジシロキサン、γ−アミノプロピルメトキシシラン、γ−アミノプロピルエトキシシラン、N−β(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アニリノプロピルトリメトキシシラン、γ−ジブチルアミノプロピルトリメトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、N−β(N−ビニルベンジルアミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン・塩酸塩、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリクロルシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、トリメチルクロロシラン、ヘキサメチルジシラザン、N−トリメチルシリルイミダゾール、ビス(トリメチルシリル)ウレア、トリメチルシリルアセトアミド、ビストリメチルシリルアセトアミド、トリメチルシリルイソシアネート、トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、t−ブチルジメチルクロロシラン、t−ブチルジフェニルクロロシラン、トリイソプロピルクロロシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、n−ヘキシルトリメトキシシラン、n−デシルトリメトキシシラン、n−ヘキサデシルトリメトキシシラン、1,6−ビス(トリメトキシシリル)ヘキサン、ジメチルシリルジイソシアネート、メチルシリルトリイソシアネート、フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、およびフェニルシリルトリイソシアネート等が挙げられる。
【0175】本発明に用いられる(D)安定化剤としては、上記のうち、アミノ化合物、エポキシ化合物、チイラン化合物、オキセタン化合物、オキサゾリン化合物、オキサジン化合物、シリル化合物、イソシアネート化合物およびシアネート化合物が好ましく、その中でもアミノ化合物、エポキシ化合物、チイラン化合物、オキセタン化合物、オキサゾリン化合物およびオキサジン化合物がさらに好ましく用いられる。そのうちでも特に、エチレンジアミン、フェニルグリシジルエーテル、3−フェノキシプロピレンスルフィド、3,3,3,−トリフロロプロピレンオキシド、ヘキサメチルジシラザン、γ−アミノプロピルメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、メチルシリルトリイソシアネート等が好ましく用いられる。
【0176】これらの(D)安定化剤は、単独でまたは2種類以上を組み合わせて用いることができる。また(D)成分の使用割合は、(A)分解性化合物の残存部が十分に反応するように過剰に用いることができるが、通常(A)成分100重量部に対して10重量部以上、好ましくは30重量部以上を使用することができる。(D)成分の量が10重量部未満であると、反応が不十分となり、屈折率変化性組成物の安定性が不足することがある。
【0177】また(D)安定化剤とともに触媒を使用することができる。触媒の使用により、(D)成分と(A)分解性化合物の残存部との反応が促進される。
【0178】このような触媒としては、例えば酸触媒、塩基触媒、第四オニウム塩類などが挙げられる。
【0179】上記酸触媒としては、酢酸、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、トリフルオロ酢酸、トリフルオロメタンスルホン酸のような有機酸や、塩酸、硫酸、硝酸のような無機酸が、上記塩基触媒としては、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムまたは炭酸リチウムのようなアルカリ金属炭酸塩類;炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウムまたは炭酸水素リチウムのようなアルカリ金属重炭酸塩類;酢酸ナトリウムのようなアルカリ金属酢酸塩類;水素化リチウム、水素化ナトリウムまたは水素化カリウムのようなアルカリ金属水素化物類;水酸化ナトリウム、水酸化カリウムまたは水酸化リチウムのようなアルカリ金属水酸化物類;ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムt−ブトキシドまたはリチウムメトキシドのようなアルカリ金属アルコキシド類;メチルメルカプタンナトリウムまたはエチルメルカプタンナトリウムのようなメルカプタンアルカリ金属類;トリエチルアミン、トリブチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、N−メチルモルホリン、ピリジン、4−(N,N−ジメチルアミノ)ピリジン、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジエチルアニリン、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ−5−エン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO)または1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデク−7−エン(DBU)のような有機アミン類;メチルリチウム、エチルリチウムまたはブチルリチウムのようなアルキルリチウム類;リチウムジイソプロピルアミドまたはリチウムジシクロヘキシルアミドのようなリチウムアルキルアミド類などが、さらに上記第四オニウム塩類としては、例えばテトラブチルアンモニウムクロライド、テトラブチルアンモニウムブロミド、テトラブチルアンモニウムヨード、テトラブチルアンモニウムアセテート、テトラブチルホスホニウムクロライド、テトラブチルホスホニウムブロミド、セチルトリメチルアンモニウムブロミド、テトラプロピルアンモニウムブロミド、ベンジルトリエチルアンモニウムクロライド、その他を挙げることができる。また、18−クラウン−6−エーテルと、塩化カリウム、臭化カリウム、沃化カリウム、塩化セシウム、カリウムフェノキシド、ナトリウムフェノキシド、安息香酸カリウムなどの塩類とを組み合わせて触媒として用いることもできる。
【0180】これらの中で好ましい触媒としては、p−トルエンスルホン酸、塩酸、硫酸、水酸化ナトリウム、カリウムt−ブトキシド、トリエチルアミン、DBU、テトラブチルアンモニウムブロミド、テトラブチルホスホニウムブロミド、18−クラウン−6−エーテル/カリウムフェノキシドを挙げることができる。
【0181】これらの触媒の使用量は、(D)成分としてアミノ化合物、アルコキシメチル化メラミン化合物、アルコキシメチル化グリコールウリル化合物、アルコキシメチル化ベンゾグアナミン化合物、アルコキシメチル化尿素化合物、およびハロゲン化シリル化合物を用いるときは、(D)成分1当量に対して、2モル以下の使用量が好ましく用いられる。
【0182】また、(D)成分としてエポキシ化合物、チイラン化合物、オキセタン化合物、イソシアネート化合物、シアネート化合物、オキサゾリン化合物、オキサジン化合物、その他のシリル化合物を用いるときは、(D)成分1当量に対して、0.2モル以下の使用量が好ましく用いられる。
【0183】なおここで(D)成分の使用当量数は、(D)成分の使用量(モル)に当該(D)成分中に含まれる反応性基の数を乗じて得られる値であり、反応性基の数とは、(D)成分の種類により下記のように定義される。
【0184】アミノ化合物の場合;窒素原子の数エポキシ化合物の場合;エポキシ基の数チイラン化合物の場合;エチレンスルフィド基の数オキセタン化合物の場合;オキセタニル基の数アルコキシメチル化メラミン化合物、アルコキシメチル化グリコールウリル化合物、アルコキシメチル化ベンゾグアナミン化合物およびアルコキシメチル化尿素化合物の場合;アルコキシメチル基の数イソシアネート化合物の場合;イソシアネート基の数シアネート化合物の場合;シアネート基の数オキサゾリン化合物の場合;オキサゾリル基の数オキサジン化合物の場合;オキサジル基の数ハロゲン化シリル化合物;ケイ素原子に結合しているハロゲン原子の数その他のシリル化合物;ケイ素原子の数
【0185】<その他の成分>本発明の屈折率変化性組成物には、本発明の目的を損なわない限りにおいて、その他の添加剤が含有されていてもよい。このような添加剤としては、紫外線吸収剤、増感剤、界面活性剤、酸化防止剤、耐熱性改良剤、接着助剤等が挙げられる。
【0186】上記紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾトリアゾ−ル類、サリシレ−ト類、ベンゾフェノン類、置換アクリロニトリル類、キサンテン類、クマリン類、フラボン類、カルコン類化合物等の紫外線吸収剤が挙げられる。具体的にはチバ・スペシャルティ−・ケミカルズ社製のチヌビン234(2−(2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル)−2H−ベンゾトリアゾ−ル)、チヌビン571(ヒドロキシフェニルベンゾトリアゾ−ル誘導体)、チヌビン1130(メチル−3−(3−t−ブチル−5−(2H−ベンゾトリアゾ−ル−2−イル)−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネ−ト−ポリエチレングリコ−ル(分子量300)との縮合物)、1,7−ビス(4−ヒドロキシ−3−メトキシフェニル)−1,6−ヘプタジエン−3,5−ジオン、ジベンジリデンアセトンなどがある。
【0187】紫外線吸収剤を添加することにより、本発明の屈折率変化性組成物における放射線照射部の表面からの深さが深くなるにつれ(C)成分からの酸または塩基発生量を徐々に減少させることができ、GRIN形成手段として有用である。これらの紫外線吸収剤の使用割合は、(A)成分と(B)成分の合計100重量部に対して、好ましくは30重量部以下、より好ましくは20重量部以下である。
【0188】上記増感剤としては、例えば3−位および/または7−位に置換基を有するクマリン類、フラボン類、ジベンザルアセトン類、ジベンザルシクロヘキサン類、カルコン類、キサンテン類、チオキサンテン類、ポルフィリン類、フタロシアニン類、アクリジン類、アントラセン類等を用いることができる。
【0189】増感剤の使用割合は、(A)成分と(B)成分の合計100重量部に対して、好ましくは30重量部以下、より好ましくは20重量部以下である。
【0190】また、上記界面活性剤は、塗布性の改善例えばストリエーションの防止や、現像性の改良を行うために添加することができる。
【0191】界面活性剤としては、例えばポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等のポリオキシエチレンアリールエーテル類、ポリエチレングリコールジラウレート、ポリエチレングリコールジステアレート等のポリエチレングリコールジアルキルエステル類の如きノニオン系界面活性剤;エフトップEF301、同EF303、同EF352(以上、新秋田化成(株)製)、メガファックF171、同F172、同F173(以上、大日本インキ工業(株)製)、フロラードFC430、同FC431(以上、住友スリーエム(株)製)、アサヒガードAG710、サーフロンS−382、SC−101、SC−102、SC−103、SC−104、SC−105、SC−106(以上、旭硝子(株)製)等の商品名で市販されている弗素系界面活性剤;オルガノシロキサンポリマーKP341(信越化学工業(株)製)、アクリル酸系またはメタクリル酸系(共)重合体ポリフローNo.57、95(共栄社化学(株)製)等の商品名で市販されているその他の界面活性剤を用いることができる。
【0192】これらの界面活性剤の使用割合は、(A)成分と(B)成分の合計量100重量部に対して、好ましくは2重量部以下、より好ましくは1重量部以下である。
【0193】酸化防止剤としては、例えば、フェノール系(ヒンダードフェノール類など)、アミン系、リン系、イオウ系、ヒドロキノン系、キノリン系酸化防止剤などが含まれる。
【0194】フェノール系酸化防止剤としては、例えば、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、1,6−ヘキサンジオール−ビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、トリエチレングリコール−ビス[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、n−オクタデシル−3−(4’,5’−ジ−t−ブチルフェノール)プロピオネート、n−オクタデシル−3−(4’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェノール)プロピオネート、ステアリル−2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェノール)プロピオネート、ジステアリル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホネート、2−t−ブチル−6−(3−t−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、N,N’−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンムアミド)、3,9−ビス{2−[3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]−1,1−ジメチルエチル}−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、4,4’−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェノール)ブタンの如きヒンダードフェノール類を挙げることができる。
【0195】アミン系酸化防止剤としては、例えば、フェニル−1−ナフチルアミン、フェニル−2−ナフチルアミン、N,N’−ジフェニル−1,4−フェニレンジアミン、N−フェニル−N’−シクロヘキシル−1,4−フェニレンジアミン、4,4’−ジ(α,α−ジメチルベンジル)ジフェニルアミンなどを挙げることができる。
【0196】リン系酸化防止剤としては、例えば、トリイソデシルホスファイト、トリフェニルホスファイト、トリスノニルフェニルホスファイト、ジフェニルイソデシルホスファイト、フェニルジイソデシルホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)オクチルホスファイト、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェニル)ジトリデシルホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(2−t−ブチル−4−メチルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−アミルフェニル)ホスファイト、トリス(2−t−ブチルフェニル)ホスファイト、ビス(2−t−ブチルフェニル)フェニルホスファイト、トリス[2−(1,1−ジメチルプロピル)−フェニル]ホスファイト、トリス[2,4−(1,1−ジメチルプロピル)−フェニル]ホスファイト、トリス(2−シクロヘキシルフェニル)ホスファイト、トリス(2−t−ブチル−4−フェニルフェニル)ホスファイトなどのホスファイト化合物;トリエチルホスフィン、トリプロピルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、ジフェニルビニルホスフィン、アリルジフェニルホスフィン、トリフェニルホスフィン、メチルフェニル−p−アニシルホスフィン、p−アニシルジフェニルホスフィン、p−トリルジフェニルホスフィン、ジ−p−アニシルフェニルホスフィン、ジ−p−トリルフェニルホスフィン、トリ−m−アミノフェニルホスフィン、トリ−2,4−ジメチルフェニルホスフィン、トリ−2,4,6―トリメチルフェニルホスフィン、トリ−o−トリルホスフィン、トリ−m−トリルホスフィン、トリ−p−トリルホスフィン、トリ−o―アニシルホスフィン、トリ−p−アニシルホスフィン、1,4−ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタンなどのホスフィン化合物などを挙げることができる。
【0197】ヒドロキノン系酸化防止剤としては、例えば、2,5−ジ−t−ブチルヒドロキノンなど、キノリン系酸化防止剤としては、例えば、6−エトキシ−2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリンなど、およびイオウ系酸化防止剤としては、例えば、ジラウリルチオジプロピオネート、ジステアリルチオジプロピオネートなどを挙げることができる。
【0198】これらの酸化防止剤のうち、好ましい酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤(特に、ヒンダードフェノール類)であり、ヒンダードフェノール類の中でも、特に、ポリオール−ポリ[(炭素数3〜6の分岐アルキル基およびヒドロキシ基置換フェニル)プロピオネート]例えば、1,6−ヘキサンジオール−ビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]などの炭素数2〜10のアルキレンジオール−ビス[3−(3,5−ジ−炭素数3〜6の分岐アルキル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート];例えば、トリエチレングリコール−ビス[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]などのジまたはトリオキシ炭素数2〜4のアルキレンジオール−ビス[3−(3,5−ジ−炭素数3〜6の分岐アルキル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート];例えば、グリセリントリス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]などの炭素数3〜8のアルカントリオール−ビス[3−(3,5−ジ−炭素数3〜6の分岐アルキル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート];例えば、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]などの炭素数4〜8のアルカンテトラオールテトラキス[3−(3,5−ジ−炭素数3〜6の分岐アルキル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]などが好ましい。
【0199】これらの酸化防止剤は単独で、または二種以上一緒に使用できる。酸化防止剤の含有量は、(A)成分100重量部に対して、好ましくは5重量部以下、より好ましくは0.05〜2.5重量部、特に好ましくは0.1〜1重量部程度である。
【0200】また、上記接着助剤は、基板との密着性を改良するために添加することができ、シランカップリング剤等が好ましく用いられる。
【0201】上記耐熱性改良剤としては、多価アクリレート等の不飽和化合物などを添加することができる。
【0202】さらに、本発明で使用する屈折率変化性組成物においては、必要に応じて、帯電防止剤、保存安定剤、ハレーション防止剤、消泡剤、顔料、熱酸発生剤等を添加することもできる。
【0203】<屈折率パターンの形成>本発明において、上記の屈折率変化性組成物を用いることにより、例えば次のようにして屈折率パターンを形成することができる。
【0204】先ず、屈折率変化性組成物を、例えばその固形分の濃度が5〜70重量%となるよう溶剤に溶解または分散し、組成物溶液を調製する。必要に応じて孔径0.1〜10μm程度のフィルターで濾過した後に使用してもよい。
【0205】その後、この組成物溶液をシリコンウェハー等の基板の表面に塗布し、プレベークを行うことにより溶剤を除去して屈折率変化性組成物の塗膜を形成する。次いで、形成された塗膜に、例えばパターンマスクを介して、その一部に対して放射線照射処理を行い、放射線照射後ベーク処理(PEB処理)を行うことにより屈折率変化性組成物の放射線照射部と放射線未照射部での屈折率差が形成される。
【0206】放射線の照射により(C)成分の感放射線分解剤から酸または塩基が生成され、この酸または塩基が(A)成分に作用して(A)成分を分解し、この分解物は主に放射線照射後ベーク時に逃散する。その結果、放射線照射部と放射線未照射部との間に屈折率の差が生じることになる。
【0207】本発明に使用される屈折率変化性組成物を含有する溶液を調製するための溶媒としては、上記(A)、(B)、(C)および任意に添加される(D)成分やその他の添加剤の各成分を均一に溶解または分散し、各成分と反応しないものが用いられる。
【0208】具体的には、例えばメタノール、エタノール、プロパノール、iso−プロパノール、ブタノール、エチレングリコール、プロピレングリコールなどのアルコール類;テトラヒドロフランなどのエーテル類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルなどのグリコールエーテル類;メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテートなどのエチレングリコールアルキルエーテルアセテート類;ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテルなどのジエチレングリコール類;プロピレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコールエチルエーテル、プロピレングリコールプロピルエーテル、プロピレングリコールブチルエーテルなどのプロピレングリコールモノアルキルエーテル類;プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールプロピルエーテルアセテート、プロピレングリコールブチルエーテルアセテートなどのプロピレングリコールアルキルエーテルアセテート類;プロピレングリコールメチルエーテルプロピオネート、プロピレングリコールエチルエーテルプロピオネート、プロピレングリコールプロピルエーテルプロピオネート、プロピレングリコールブチルエーテルプロピオネートなどのプロピレングリコールアルキルエーテルアセテート類;トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類;メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノンなどのケトン類;
【0209】および酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、2−ヒドロキシプロピオン酸エチル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸メチル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、ヒドロキシ酢酸メチル、ヒドロキシ酢酸エチル、ヒドロキシ酢酸ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸プロピル、乳酸ブチル、3−ヒドロキシプロピオン酸メチル、3−ヒドロキシプロピオン酸エチル、3−ヒドロキシプロピオン酸プロチル、3−ヒドロキシプロピオン酸ブチル、2−ヒドロキシ−3−メチルブタン酸メチル、メトキシ酢酸メチル、メトキシ酢酸エチル、メトキシ酢酸プロピル、メトキシ酢酸ブチル、エトキシ酢酸メチル、エトキシ酢酸エチル、エトキシ酢酸プロピル、エトキシ酢酸ブチル、プロポキシ酢酸メチル、プロポキシ酢酸エチル、プロポキシ酢酸プロピル、プロポキシ酢酸ブチル、ブトキシ酢酸メチル、ブトキシ酢酸エチル、ブトキシ酢酸プロピル、ブトキシ酢酸ブチル、2−メトキシプロピオン酸メチル、2−メトキシプロピオン酸エチル、2−メトキシプロピオン酸プロピル、2−メトキシプロピオン酸ブチル、2−エトキシプロピオン酸メチル、2−エトキシプロピオン酸エチル、2−エトキシプロピオン酸プロピル、2−エトキシプロピオン酸ブチル、2−ブトキシプロピオン酸メチル、2−ブトキシプロピオン酸エチル、2−ブトキシプロピオン酸プロピル、2−ブトキシプロピオン酸ブチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸プロピル、3−メトキシプロピオン酸ブチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸プロピル、3−エトキシプロピオン酸ブチル、3−プロポキシプロピオン酸メチル、3−プロポキシプロピオン酸エチル、3−プロポキシプロピオン酸プロピル、3−プロポキシプロピオン酸ブチル、3−ブトキシプロピオン酸メチル、3−ブトキシプロピオン酸エチル、3−ブトキシプロピオン酸プロピル、3−ブトキシプロピオン酸ブチル、などのエステル類;
【0210】トリフルオロメチルベンゼン、1,3−ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン、ヘキサフルオロベンゼン、ヘキサフルオロシクロヘキサン、ペルフルオロジメチルシクロヘキサン、ペルフルオロメチルシクロヘキサン、オクタフルオロデカリン、1,1,2−トリクロロ−1,2,2−トリフルオロエタンなどのフッ素原子含有溶媒が挙げられる。
【0211】これらの溶剤の中で、溶解性、各成分との反応性および塗膜の形成のしやすさから、アルコール類、グリコールエーテル類、エチレングリコールアルキルエーテルアセテート類、プロピレングリコールアルキルエーテルアセテート類、ケトン類、エステル類およびジエチレングリコール類が好ましく用いられる。
【0212】さらに前記溶媒とともに高沸点溶媒を併用することもできる。併用できる高沸点溶媒としては、例えばN−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルホルムアニリド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、ベンジルエチルエーテル、ジヘキシルエーテル、アセトニルアセトン、イソホロン、カプロン酸、カプリル酸、1−オクタノール、1−ノナノール、ベンジルアルコール、酢酸ベンジル、安息香酸エチル、シュウ酸ジエチル、マレイン酸ジエチル、γ−ブチロラクトン、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、フェニルセロソルブアセテートなどが挙げられる。
【0213】本発明で使用される屈折率変化性組成物は、放射線を照射するにあたり、用途を考慮した上で各種形状に成形される。例えばロッド状、ファイバー状、長板状、球状、フィルム状、レンズ状などが挙げられるがこれに限定されるものではない。その成形方法についても通常用いられる方法を用いることができる。例えば射出成形、圧縮成形、ブロー成形、押し出し、箱枠内重合法、削り出し法、引き延ばし法、加熱冷却法、CVD蒸着法、焼結法、スキャン法などが挙げられる。また光学成形体の用途によってはスピンコート法、スリット法、バーコート法、溶媒キャスト法、LB法、スプレー法、ロールコート法、凸版印刷法、スクリーン印刷法等も用いることができる。
【0214】この成形処理において加熱処理(以下、「プレベーク」という。)を行なうのが好ましい。その加熱条件は、本発明の材料の配合組成、各添加剤の種類等により変わるが、好ましくは30〜200℃、より好ましくは40〜150℃であり、ホットプレートやオーブン、赤外線などを使用して加熱することができる。
【0215】放射線照射処理に使用される放射線としては、波長365nmのi線、404nmのh線、436nmのg線、キセノンランプ等の広域波長光源等の紫外線、波長248nmのKrFエキシマレーザー、波長193nmのArFエキシマレーザー等の遠紫外線、シンクロトロン放射線等のX線あるいは電子線等の荷電粒子線、可視光およびこれらの混合線等が挙げられる。これらのうち、紫外光および可視光が好ましい。照度としては照射波長などにもよるが、0.1mW/cm2〜100mW/cm2とすることが最も反応効率が良く好ましい。これらの放射線は、パターンマスクを介して照射することで、感放射線性屈折率変化性組成物をパターニングすることが可能である。パターニング精度としては、使用する光源などにも影響を受けるが、0.2μm程度の解像性をもつ屈折率変化分布の光学部品の製造が可能である。
【0216】本発明においては、露光後に加熱処理(放射線照射後ベーク)を行なうのが好ましい。その加熱には、上記プレベークと同様な装置が使用でき、その条件は任意に設定することができる。好ましい加熱温度は30〜150℃であり、より好ましくは30〜130℃である。
【0217】本発明の屈折率変化性組成物が任意成分である(D)成分を含有していないときには、次に(D)安定化剤による安定化処理を行うのが好ましい。
【0218】本発明で使用される(D)安定化剤は、放射線照射後の屈折率変化性組成物に残存する(A)分解性化合物を安定化し、酸または塩基に対する安定性を付与する機能を有する。この安定化処理により、本発明の方法により形成された屈折率パターンは、屈折率を変化させるために使用した波長付近の光が通過する条件下で使用しても、屈折率の変化が引き起こされることがなく、劣化することがない。
【0219】上記(D)安定化剤としては、例えばアミノ化合物、エポキシ化合物、チイラン化合物、オキセタン化合物、アルコキシメチル化メラミン化合物、アルコキシメチル化グリコールウリル化合物、アルコキシメチル化ベンゾグアナミン化合物、アルコキシメチル化尿素化合物、イソシアネート化合物、シアネート化合物、オキサゾリン化合物、オキサジン化合物、ハロゲン化シリル化合物、その他のシリル化合物等を挙げることができる。
【0220】これらの化合物の具体例としては、安定化剤(D)として前記したと同じ化合物を挙げることができる。ただし、アミノ化合物としては前記した具体例の他に、アンモニアやトリメチルアミンの如き低沸点化合物を使用することもできる。
【0221】これらの(D)安定化剤は、単独でまたは2種類以上を組み合わせて用いることができる。また(D)成分の使用割合は、(A)分解性化合物の残存部が十分に反応するように過剰に用いることができるが、通常(A)成分100重量部に対して10重量部以上、好ましくは15重量部以上を使用することができる。(D)成分の量が10重量部未満であると、反応が不十分となり、屈折率変化性組成物の安定性が不足することがある。
【0222】また(D)安定化剤とともに触媒を使用することができる。触媒の使用により、(D)成分と(A)分解性化合物の残存部との反応が促進される。
【0223】このような触媒としては、既に(D)安定化剤に関して記載した触媒と同じものを使用することができる。
【0224】安定化処理における放射線照射後の屈折率変化性組成物と(D)安定化剤との接触には、適宜の方法を採用できるが、例えば(D)成分および場合により触媒を適当な溶媒に溶解して溶液状態で屈折率変化性組成物と接触することができ、あるいは、(D)成分が接触条件下で液体または気体の場合には(D)成分100%の状態でそのまま接触させることもできる。
【0225】上記(D)安定化剤と(A)成分との反応において溶媒を使用する場合の溶媒は、(D)成分および任意に添加される触媒を溶解し、(A)成分を溶解しないものが好ましい。このような溶媒を選択すれば、得られる屈折率パターンの表面に荒れが生ずることがない。
【0226】このような溶媒としては、例えば水;メタノール、エタノール、iso−プロパノール、n−プロパノール、n−ブタノール、iso−ブタノール、tert−ブタノール、シクロヘキサノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコールなどのアルコール類;ジエチルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルなどのグリコールエーテル類;メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテートなどのエチレングリコールアルキルエーテルアセテート類;ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテルなどのジエチレングリコール類;プロピレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコールエチルエーテルなどのプロピレングリコールモノアルキルエーテル類;プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールエチルエーテルアセテートなどのプロピレングリコールアルキルエーテルアセテート類;プロピレングリコールメチルエーテルプロピオネート、プロピレングリコールエチルエーテルプロピオネート、プロピレングリコールプロピルエーテルプロピオネート、プロピレングリコールブチルエーテルプロピオネートなどのプロピレングリコールアルキルエーテルアセテート類;トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類;n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタンなどの脂肪族炭化水素類;メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチルイソブチルケトン、メチルアミルケトン、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノンなどのケトン類;および酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、2−ヒドロキシプロピオン酸エチル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸メチル、ヒドロキシ酢酸エチル、ヒドロキシ酢酸ブチル、乳酸エチル、乳酸プロピル、乳酸ブチル、3−ヒドロキシプロピオン酸メチル、2−ヒドロキシ−3−メチルブタン酸メチル、メトキシ酢酸エチル、メトキシ酢酸ブチル、2−メトキシプロピオン酸エチル、2−メトキシプロピオン酸ブチル、2−エトキシプロピオン酸ブチル、2−ブトキシプロピオン酸ブチル、3−メトキシプロピオン酸ブチル、3−エトキシプロピオン酸ブチル、3−プロポキシプロピオン酸ブチル、3−ブトキシプロピオン酸ブチルなどのエステル類、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンなどの非プロトン性極性溶媒、トリフルオロメチルベンゼン、1,3−ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン、ヘキサフルオロベンゼン、ヘキサフルオロシクロヘキサン、ペルフルオロジメチルシクロヘキサン、ペルフルオロメチルシクロヘキサン、オクタフルオロデカリン、1,1,2−トリクロロ−1,2,2−トリフルオロエタンなどのフッ素原子含有溶媒が挙げられる。
【0227】これらの溶剤の中で、水、アルコール類、グリコールエーテル類、エチレングリコールアルキルエーテルアセテート類、およびフッ素原子含有溶媒が好ましく用いられる。
【0228】(D)安定化剤と(A)分解性化合物の残存部との反応を行う際の反応温度は通常0〜130℃とすることができ、反応時間は通常10秒〜1時間とすることができる。
【0229】また、本発明の屈折率変化性組成物が任意成分である(D)安定化剤を含有する場合には、放射線照射後ベースと連続してあるいは別個に、残存する(A)成分と(D)成分とを反応させる安定化のための加熱処理を行うのが好ましい。安定化のための加熱処理は35〜200℃が好ましく、より好ましくはPEBの温度より10℃以上高い温度であり、さらに好ましくはPEBの温度より20℃以上高い温度である。
【0230】さらに、放射線未照射部に残存する(C)成分などを分解し、材料の安定性をさらに高めるために再露光処理を行うことができる。
【0231】再露光処理は、例えば、屈折率を変化させる工程で用いた放射線と同様の波長の放射線を、同様の露光量にてパターン全面に照射することで実施できる。
【0232】所望によりさらに加熱処理を行うことにより材料の安定性をさらに高めることができる。このときの加熱には材料成形時のプレベ−クと同様な装置が使用でき、その条件は任意に設定することができる。
【0233】上記のようにして形成された本発明の屈折率パターンは、放射線照射部の屈折率の方が放射線未照射部の屈折率より大きくなる。この差は、本発明に用いる屈折率変化性組成物中の(A)成分と(B)成分の種類と含有量を調整することにより、任意に調整でき、例えば屈折率差の最大値を0.02より大きい値とすることができる。
【0234】また、本発明の屈折率パターンは、前述のように屈折率を変化させるために使用した波長付近の光が通過する条件下で使用しても、屈折率の変化が引き起こされることがなく、劣化することがないため、光エレクトロニクスやディスプレイ分野に使用される光学材料として極めて有用である。
【0235】
【実施例】以下、本発明を以下の実施例によって説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0236】また、以下において、各重合体のポリスチレン換算重量平均分子量は、昭和電工(株)製のGPCクロマトグラフSYSTEM-21を用いて測定した。
【0237】(A)成分の合成例(A)成分の合成例1窒素置換した1Lのフラスコに3,3,4,4,5,5,5−ヘプタフロロペンタンアルデヒド63.62g、およびテトラヒドロフラン500gを仕込み、−78℃に冷却した。これに、三フッ化ホウ素エーテル錯体0.64gを加え、窒素雰囲気下において−78℃で48時間撹拌した。
【0238】得られた反応溶液に無水酢酸0.8gとピリジン0.6gを冷却した状態で加え、引き続き−78℃で2時間攪拌を行った。反応液を減圧下、60℃の加熱により全量を100mlに濃縮後、5Lのイオン交換水に10分間で連続的に投入した。析出物をテトラヒドロフラン50重量部で再溶解させ、5Lのイオン交換水で再沈精製し、50℃にて真空乾燥を行い43.31gの重合体(A−1)を得た。得られた重合体の重量平均分子量は2,700であった。
【0239】(A)成分の合成例2アルゴン雰囲気下で1Lの三つ口フラスコに、ヘキサフロログルタール酸ジクロリド83.08gを400mlのクロロホルムに溶解させた溶液を仕込み、そこにエチレングリコール18.62gと水酸化カリウム33.66gを200mlのイオン交換水に溶解させた溶液を加えて攪拌し界面重縮合を行った。反応を6時間行ったあと、テトラヒドロフラン−メタノールで2度再沈精製を行った。析出した重合体をろ別後、50℃にて真空乾燥を行い59.87gの重合体(A−2)を得た。得られた重合体の重量平均分子量は16,700であった。
【0240】(A)成分の合成例31Lのフラスコに単量体としてo−フタルアルデヒド50重量部とテトラヒドロフラン500重量部を、窒素置換した反応容器に仕込み、−78℃に冷却した。これに、n−ブチルリチウム(1.5モル/l)のn−ヘキサン溶液1.0重量部を加え、窒素雰囲気下において−78℃で48時間冷却下で撹拌した。得られた反応溶液に無水酢酸0.8重量部とピリジン0.6重量部を冷却した状態で加え、引き続き−78℃で2時間攪拌を行った。反応液を減圧下、60℃の加熱により100mlに濃縮後、5Lのイオン交換水に10分間で投入した。析出物をテトラヒドロフラン50重量部で再溶解させ、5Lのイオン交換水で再沈精製し、50℃にて真空乾燥を行い45重量部の重合体(A−3)を得た。得られた重合体の重量平均分子量は26,000であった。
【0241】(A)成分の合成例4アルゴン雰囲気下で500mlの三つ口フラスコにテレフタル酸クロリド61.51gを150mlのクロロホルムに溶解させ、そこに1,4−ベンゼンチオール33.05gと水酸化カリウム33.66gを150mlのイオン交換水に溶解させたものを加えて攪拌し界面重縮合を行った。反応を6時間行ったあと、テトラヒドロフラン−メタノールで2度再沈精製を行った。析出した重合体をろ別後、50℃にて真空乾燥を行い75.98gの重合体(A−4)を得た。得られた重合体の重量平均分子量は33,600であった。
【0242】(B)成分の合成例(B)成分の合成例1テトラブトキシチタン200gを無水トルエン100gに溶解して溶液を調製し、この溶液を85℃に加熱した。次いで、この溶液中に、イオン交換水20.1gとn−ブチルアルコール400gとの混合溶液を85℃で1時間かけて滴下し、滴下終了後、さらに85℃で3時間加熱撹拌した。このようにして得られた反応生成液を、減圧下(0.1mmHg)150℃に加熱して揮発成分を溜去した。この際の重合体(B−1)の重量平均分子量は1,870であった。
【0243】(B)成分の合成例2テトラメトキシジルコニウム100gをエタノール300gに溶解して溶液を調製し、この溶液を70℃に加熱した。次いで、この溶液中に、イオン交換水7.5gとエタノール200gとの混合溶液を70℃で1時間かけて滴下し、滴下終了後、さらに70℃で3時間加熱撹拌した。このようにして得られた反応生成液を、減圧下(0.1mmHg)150℃に加熱して揮発成分を溜去した。この際の重合体(B−2)の重量平均分子量は1,360であった。
【0244】(B)成分の合成例3テトラメトキシゲルマニウム100gを無水トルエン100gに溶解して溶液を調製し、この溶液を85℃に加熱した。次いで、この溶液中に、イオン交換水8.7gとエタノール400gとの混合溶液を70℃で1時間かけて滴下し、滴下終了後、さらに70℃で3時間加熱撹拌した。このようにして得られた反応生成液を、減圧下(0.1mmHg)150℃に加熱して揮発成分を溜去した。この際の重合体(B−3)の重量平均分子量は1,510であった。
【0245】(B)成分の合成例41Lの三つ口フラスコにテトラメトキシシラン15.22g、メチルトリメトキシシラン27.24gをとり、エチレングリコールエチルメチルエーテル100gを加えて溶解させ、得られた混合溶液をマグネチックスターラにより撹拌しながら60℃に加温した。これに、イオン交換水5.20gを1時間かけて連続的に添加した。そして、60℃で4時間反応させた後、得られた反応液を室温まで冷却した。その後、反応副生成物であるメタノール9.20gを反応液から減圧留去した。この際の重合体(B−4)の重量平均分子量は1,600であった。
【0246】実施例1(A)成分として重合体(A−1)を50重量部、(B)成分として重合体(B−1)を50重量部、および(C)成分として2−(4−メトキシフェニル)−ビス(4,6−トリクロロメチル)−s−トリアジン1重量部を、全体の固形分濃度が20%になるようにジエチレングリコールエチルメチルエーテルに溶解させた後、孔径0.2μmのメンブランフィルターで濾過し、屈折率変化性組成物を調製した。
【0247】■塗膜の形成シリコン基板上にスピンナーを用いて、上記の溶液を塗布した後、90℃で2分間ホットプレート上でプリベークして膜厚1.0μmの塗膜を形成した。
【0248】■屈折率パターンの形成上記のようにして得られた塗膜に、NSR1505i6A縮小投影放射線照射機((株)ニコン製、NA=0.45,λ=365nm)により最適焦点深度にて、露光量100mJ/cm2で、パターンマスクを介して放射線照射処理を行った。次いで、130℃にて2分間の露光後ベーク処理を行うことにより、放射線照射部と放射線未照射部で屈折率差を有する屈折率パターンを形成した。以下、ここで形成された屈折率パターンについて、放射線照射部を「屈折率変化部」、放射線未照射部を「屈折率未変化部」という。
【0249】■屈折率の測定上記で形成した屈折率パターンの屈折率変化部、屈折率未変化部のそれぞれの屈折率を、Auto EL IV NIR III(ルドルフリサーチ社製)エリプソメーターを用いて633nmで測定した。結果を表1に示す。
【0250】■透明性の評価シリコン基板の代わりにガラス基板「コーニング1737(コーニング社製)」を用いた以外は上記■および■と同様にしてガラス基板上に屈折率パターンを形成した。以下、ここで形成されたガラス基板上の屈折率パターンについても、放射線照射部を「屈折率変化部」、放射線未照射部を「屈折率未変化部」という。次いで、この屈折率パターンを有するガラス基板につき、屈折率変化部、屈折率未変化部のそれぞれの透過率を分光光度計「150−20型ダブルビーム(日立製作所製)」を用いて400〜800nmの波長で測定した。このとき最低透過率が95%を超える場合、透過率は良好であり、それ以下の場合は不良といえる。結果を表1に示す。
【0251】■安定化処理(D)成分として2,2,3,3,4,4,4−ヘプタフロロブチルオキシラン(10mol%テトラブチルアンモニウムブロミド添加)の20%ジメチルホルムアミド溶液を100℃に加熱して、ここに上記のようにして形成したシリコン基板上、およびガラス基板上の屈折率パターンを100℃にて2分間、浸漬した後、超純水で1分間洗浄した。ついで、Canon PLA−501Fでフィルターを用いずパターン全面に対して4.5mW/cm2にて1分間の再露光処理を行い、さらにオーブンにて200℃で10分間加熱し、屈折率パターンの安定化処理を行った。
【0252】■屈折率、および透明性の評価上記で安定化処理を行ったシリコン基板上の屈折率パターンについて、上記■と同様にして、屈折率変化部および屈折率未変化部の屈折率の測定を行った。結果を表2に示す。また、安定化処理を行ったガラス基板上の屈折率パターンについて、上記■と同様にして、屈折率変化部および屈折率未変化部の透明性の測定を行った。結果を表2に示す。
【0253】■屈折率パターンの安定性評価上記で安定化処理を行ったシリコン基板上の屈折率パターン、およびガラス基板上の屈折率パターンについて、Canon PLA−501Fでフィルターを用いずパターン全面に対して4.5mW/cm2にて30分間の露光処理を行い、放射線照射の加速処理を実施した。
【0254】この処理を行ったシリコン基板上の屈折率パターンについて、上記■と同様にして、屈折率変化部および屈折率未変化部の屈折率の測定を行った。結果を表2に示す。
【0255】また、安定化処理を行ったガラス基板上の屈折率パターンについて、上記■と同様にして、屈折率変化部および屈折率未変化部の透明性の測定を行った。結果を表2に示す。
【0256】実施例2(B)成分として重合体(B−2)を50重量部を用いた以外は実施例1と同様にして評価を行った。結果については表1および表2にまとめた。
【0257】実施例3(A)成分として、重合体(A−2)を50重量部、(B)成分として重合体(B−3)を50重量部、(C)成分として、N−(2−ニトロベンジルオキシカルボニル)ピロリジンを5重量部を用い、工程■(屈折率パターンの形成)における放射線照射量および露光後ベークの温度を表1に記載の通りとし、工程■(安定化処理)における(D)成分の種類および安定化処理温度を表2に記載の通りとした以外は実施例1と同様にして評価を行った。結果については表1および表2にまとめた。
【0258】実施例4(A)成分として、重合体(A−3)を50重量部、(B)成分として重合体(B−4)を50重量部用い、工程■(屈折率パターンの形成)における放射線照射量および露光後ベーク温度を表1に記載の通りとし、工程■(安定化処理)における(D)成分の種類を表2に記載の通りとした以外は実施例1と同様にして評価を行った。結果については表1および表2にまとめた。
【0259】実施例5(A)成分として、重合体(A−4)を50重量部、(B)成分として重合体(B−4)を50重量部、(C)成分としてN−(2−ニトロベンジルオキシカルボニル)ピロリジンを5重量部用い、工程■(屈折率パターンの形成)における放射線照射量および露光後ベーク温度を表1に記載の通りとし、工程■(安定化処理)における(D)成分の種類を表2に記載の通りとした以外は実施例1と同様にして評価を行った。結果については表1および表2にまとめた。
【0260】
【表1】


【0261】
【表2】


【0262】ただし、表2において、(D)成分の記号は、それぞれ以下のものを表す。
D−1;2,2,3,3,4,4,4−ヘプタフロロブチルオキシラン(10mol%テトラブチルアンモニウムブロミド添加)の20%ジメチルホルムアミド溶液D−2;エチレンジアミンの1%水溶液D−3;ビスフェノールAジグリシジルエーテル(10mol%テトラブチルアンモニウムブロミド添加)の20%ジメチルホルムアミド溶液以上のように、本発明の方法により形成された屈折率パターンは、充分に大きな屈折率差を有し、しかも形成された屈折率差は光、熱に対して安定であることから、光エレクトロニクスやディスプレイ分野に使用される光学材料として極めて有用である。本発明の屈折率パターンは、その他フォトアレイ、レンズ各種、フォトカプラ、フォトインタラプタ、偏光ビームスプリッタ、ホログラム、シングルモード/マルチモード等光ファイバ、バンドルファイバ、ライトガイド各種、単芯/多芯/光電気結合等光コネクタ、光アイソレータ、偏光子、フォトダイオード/フォトトランジスタ/フォトIC/CCDイメージセンサ/CMOSイメージセンサ/光ファイバセンサ、光ファイバジャイロ等光センサ各種、CD/LD/PD/DVD等光ディスク各種、光スイッチ各種、導波路、光学式タッチパネル、回折格子、導光板、光拡散板、反射防止板、光学封止材等の光学材料に用いられる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】 (A)分解性化合物、(B)下記式(1’)
M(OR)mn ...(1’)
ここで、Mは+2〜5価の原子であり、Rはアルキル基またはアリール基であり、Yは水素原子、アルキル基、アリール基、水酸基、アルコキシル基またはアリールオキシ基でありそしてmおよびnは互いに独立に0または1以上の整数である。但しm+nはMの原子価に等しいものとする、で表されるアルコキシドおよび下記式(2’)
MXmn ...(2’)
ここで、M、Y、mおよびnの定義は式(1’)に同じでありそしてXはハロゲン原子を表す、で表されるハロゲン化合物よりなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物の加水分解生成物、並びに(C)感放射線分解剤を含有することを特徴とする組成物。
【請求項2】 感放射線性屈折率変化性である請求項1に記載の組成物。
【請求項3】 (D)安定化剤をさらに含有する請求項1に記載の組成物。
【請求項4】 (B)成分の屈折率nBが(A)成分の屈折率nAと下記式(1)
B− nA≧0.05 ・・・・・ (1)
の関係にある、請求項1〜3のいずれかに記載の組成物。
【請求項5】 (B)成分の屈折率nBが(A)成分の屈折率nAと下記式(2)
A−nB≧0.05 ・・・・・ (2)
の関係にある、請求項1〜3のいずれかに記載の組成物。
【請求項6】 (A)分解性化合物が、下記式(1)〜(7)または(8)〜(11)
【化1】


(式(1)において、R1はアルキレン基、パーフロロアルキレン基、アルキルシリレン基、アルキレンアリーレンアルキレン基またはアリーレン基でありそしてR2はアルキレン基、パーフロロアルキレン基、アルキレンアリーレンアルキレン基、アリーレン基、アルキルシリレン基またはアルキルゲルミレン基であり、そして上記アルキレン基またはパーフロロアルキレン基は−O−、−CO−、−COO−または−OCOO−結合を含んでいてもよい。)
【化2】


(式(2)において、MはSiまたはGeであり、R3はアルキレン基、パーフロロアルキレン基、アルキレンアリーレンアルキレン基、アリーレン基、アルキルシリレン基、アルキルゲルミレン基または単結合であり、R4は酸素原子、アルキレン基、パーフロロアルキレン基、アルキレンアリーレンアルキレン基、アリーレン基、アルキルシリレン基または単結合であり、R5、R6、R7およびR8はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、アリール基、アルコキシル基、チオアルキル基、アルコキシエステル基、パーフロロアルキル基、パーフロロアルコキシル基、パーフロロアルコキシエステル基またはパーフロロアリール基であり、そしてmは0から2までの整数であり、そして上記アルキレン基またはパーフロロアルキレン基は−O−、−CO−、−COO−または−OCOO−結合を含んでいてもよい。)
【化3】


(式(3)において、R9およびR10はそれぞれ独立に、アルキレン基、パーフロロアルキレン基、アルキレンアリーレンアルキレン基、アリーレン基、アルキルシリレン基またはアルキルゲルミレン基であり、そして上記アルキレン基またはパーフロロアルキレン基は−O−、−CO−、−COO−または−OCOO−結合を含んでいてもよい。)
【化4】


(式(4)において、R11はオキシアルキレン基または単結合でありそしてR12は水素原子、アルキル基、アルコキシル基、アルコキシエステル基、パーフロロアルキル基、パーフロロアルコキシエステル基、パーフロロアリール基、アルキレンアリーレンアルキレン基またはアリール基である。)
【化5】


(式(5)において、R13は水素原子、アルキル基、アルコキシル基、アルコキシエステル基、パーフロロアルキル基、パーフロロアルコキシル基、パーフロロアルコキシエステル基、パーフロロアリール基またはアリール基である。)
【化6】


(式(6)において、R14は、アルキレン基、下記式(6)−1、(6)−2、または(6)−3で表される構造である。)
【化7】


(式(6)−1において、R15、R16、R17およびR18は互いに独立に水素原子、炭素数1〜6の鎖状アルキル基、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、水酸基、メルカプト基、カルボキシル基、炭素数1〜6のアルコキシル基、炭素数1〜6のアルキルチオ基、炭素数1〜6のハロゲン化アルキル基、炭素数1〜6のハロゲン化アルコキシル基、炭素数1〜6のハロゲン化アルキルチオ基、炭素数1〜6のヒドロキシアルキル基、炭素数1〜6のメルカプトアルキル基、炭素数1〜6のヒドロキシアルコキシル基、炭素数1〜6のメルカプトアルキルチオ基、炭素数6〜10のアリール基または炭素数7〜11のアラルキル基である。)
【化8】


(式(6)−2において、R19はアルキレン基である。)
【化9】


(式(6)−3において、R20はアルキレン基である。)
【化10】


(式(7)において、R21はアルキレン基、アルキレンアリーレンアルキレン基、またはアリーレン基である。)
【化11】


(式(8)において、R22はアルキレン基、アラルキレン基、またはアリーレン基であり、R23はアルキレン基、アラルキレン基、アリーレン基、アルキレンアリーレンアルキレン基、アルキルシリレン基、またはアルキルゲルミレン基であり、R24、R25、R26およびR27はそれぞれ独立して水素原子、アルキル基、アリール基、アルコキシル基またはチオアルキル基であり、iおよびjはそれぞれ独立に0または1である。)
【化12】


(式(9)において、R28はアルキレン基、アラルキレン基またはアリーレン基であり、R29はアルキレン基、アラルキレン基、アリーレン基、アルキレンアリーレンアルキレン基、アルキルシリレン基またはアルキルゲルミレン基である。)
【化13】


(式(10)において、R30およびR31はそれぞれ独立にアルキレン基、アラルキレン基、アリーレン基、アルキレンアリーレンアルキレン基、アルキルシリレン基、またはアルキルゲルミレン基である。)
【化14】


(式(11)において、R32およびR33はそれぞれ独立に、アルキレン基、アラルキレン基、アリーレン基、アルキレンアリーレンアルキレン基、アルキルシリレン基、またはアルキルゲルミレン基である。)で表される構造のうち、少なくとも一つを含有する重合体である請求項1〜5のいずれかに記載の組成物。
【請求項7】 (B)成分が上記加水分解生成物とともに無機酸化物粒子を含有する請求項1〜6のいずれかに記載の組成物。
【請求項8】 請求項1〜3のいずれかに記載の組成物に放射線を照射することを特徴とする屈折率変化方法。
【請求項9】 請求項1〜3のいずれかに記載の組成物の一部に放射線を照射することを特徴とする屈折率パターン形成方法。
【請求項10】 請求項1または2に記載の組成物の一部に放射線を照射し、次いで(D)安定化剤で処理することを特徴とする屈折率パターンの形成方法。
【請求項11】請求項3に記載の組成物の一部に放射線を照射し、次いで(D)安定化剤が(A)分解性化合物と反応し得る温度で処理することを特徴とする屈折率パターンの形成方法。
【請求項12】 放射線照射部と放射線未照射部の屈折率の最大差が0.02以上である、請求項9〜11のいずれかに記載の屈折率パターン形成方法。
【請求項13】 請求項9〜12のいずれかに記載の方法で形成された屈折率パターン。
【請求項14】 請求項9〜12のいずれかに記載の方法で形成された光学材料。