説明

感熱記録多重シート及びその製造方法

【課題】開示情報と非開示情報とを同時に感熱記録でき、生産性が良好で、製造コストも低い感熱記録多重シートを提供する。
【解決手段】第一の基材の片面上に第一の感熱記録層が形成された第一の感熱記録シートの前記第一の感熱記録層側に、擬似接着層を介して、第二の基材の片面上に第二の感熱記録層27が形成された第二の感熱記録シートが貼付されており、前記第二の感熱記録シートが、情報開示部28aと情報非開示部とから構成され、かつ前記第二の感熱記録シート上の前記情報非開示部に対応する位置に遮蔽層30が設けられていることを特徴とする感熱記録多重シート21を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基材の片面上に感熱記録層が形成された感熱記録シートの前記感熱記録層側に、他の基材が擬似接着層を介して剥離可能に貼付された感熱記録多重シートに関する。
また、本発明は感熱記録材料に関し、特に感熱記録と同時に感熱複写が行われる感熱多重記録シートの製造方法に関する。
本願は、2004年12月27日に日本に出願された特願2004−376251号、2005年2月17日に日本に出願された特願2005−39951号、2005年3月25日に日本に出願された特願2005−88781号、2005年4月8日に日本に出願された特願2005−111890号、2005年4月12日に日本に出願された特願2005−114261号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
【背景技術】
【0002】
感熱記録方式は、現像が不要である、支持体が紙の場合は紙質が一般紙に近い、取り扱いが容易である、発色濃度が高い、記録装置が簡単であり、小型化可能で安価である、記録時の騒音がない、複数枚同時に同じ記録ができる等の特徴があることから様々な分野で用いられている。特に、複数枚同時に同じ記録ができるという特徴は、インクジェット、電子写真などの他の記録方式に比べて優れた特徴であり、領収書、伝票、連絡書などの、複数枚に同じ記録が必要とされる分野で広く使用されている。特に、スーパーのレジ等で使用される領収書のような巻き取り状の多重シートは、記録装置として小型のものが望まれることから、感熱記録方式が望まれている。
【0003】
従来から知られる感熱多重記録シートとしては以下の3種の方式で得られるものが一般的である。
【0004】
(1)感熱記録シート重ね方式
上葉感熱記録シートと下葉感熱シートとを重ねまたは擬似粘着する感熱多重記録シート(特許文献1〜5)が知られている。
【0005】
(2)着色インキ熱転写併用方式
支持体の表面に、熱により反応して発色する2成分系発色剤の両成分を含む感熱発色層を形成し、該支持体の裏面に、熱溶融性ワックスとカーボンブラックなどの色材とを主成分とする熱熔融性インクを塗設し、該熱溶融性インクを下側のシートに転写し複写を得る感熱多重記録シート(特許文献6)が知られている。
【0006】
(3)反応性熱転写併用方式
支持体の表面に、熱により反応して発色する2成分系発色剤の両成分を含む感熱発色層を形成し、該支持体の裏面に、前記2成分系発色剤(仮にAおよびBとする)の一方の成分Aを主成分として含有する熱溶融性転写層を塗設した上葉記録シートを作成し、他方の成分Bを主成分として含有する転写受理記録層を支持体上に塗設した下葉記録シートを作成する。次に上葉記録シートの熱溶融性転写層と下葉記録シートの転写受理記録層とを相対峙させて重ね合わせることによる感熱多重記録シートが知られている,(特許文献7〜10)
【0007】
一方、領収書、給与明細書、各種通知書、健康診断結果通知書等のように、多重シートの表面には誰でも確認できる開示情報が記録され、その内部には秘密情報が記録された情報記録物が一般的に用いられている。
このような情報記録物に用いられる多重シートには、記録効率の向上のために、表面に開示情報を記録すると同時に、その内面に、開示情報とは異なる情報を記録できることが望まれる。
このような場合に用いられる多重シートとしては、現在、主に上述した反応性熱転写併用方式の多重シートや、同様の構成の感圧記録方式の多重シートが用いられている(たとえば特許文献11参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開昭49‐73144号公報(特許請求の範囲)
【特許文献2】特開昭49‐98640号公報(特許請求の範囲)
【特許文献3】特開昭49‐133041号公報(特許請求の範囲)
【特許文献4】特開昭50‐160048号公報(特許請求の範囲)
【特許文献5】特開昭50‐14351号公報(特許請求の範囲)
【特許文献6】特開昭52‐115229号公報(請求項1)
【特許文献7】特開昭48−47844号公報
【特許文献8】特開昭50−68143号公報
【特許文献9】特開昭54−1041号公報
【特許文献10】特開昭57−12693号公報
【特許文献11】登録実用新案第3046499号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記の(2)着色インキ熱転写併用方式、(3)反応性熱転写併用方式により得られる感熱多重記録シートは、原理的に記録前に貼り合わせることができないため(記録前にあらかじめ貼り合わせると下葉記録シートに汚れが生じたり、貼り合わせた糊などが上葉記録シ一トの熱溶融性インクまたは熱溶融性転写層の転移を阻害し記録濃度を著しく低下せしめる等の問題がある。)巻き取り状にすることが難しく、2枚を重ね合わせ端部を点または部分接着し短冊状に帳票を作成せざるを得ないため、生産性が劣りコストアップの要因となっていた。また、記録装置側においても、記録前シートの装着トレーの設置、連続印字が難しいなどの問題があり、専用プリンターを使用せざるを得ないという問題があった。
かかる現状に鑑み、本発明者等は(1)感熱記録シート重ね方式により得られる感熱多重記録シートに注目し、その改良に関して検討した。
【0010】
本発明は、開示情報と非開示情報とを同時に感熱記録でき、生産性が良好で、製造コストも低い感熱記録多重シートを提供することを課題とする。
【0011】
また、感熱紙重ね方式によって得られる感熱多重記録シートは容易に巻き取り状にすることができるが、下葉感熱記録シートの画質、記録濃度を向上させるという課題がある。この課題の解決法としては(A)下葉感熱記録シートの感熱記録層の熱応答性を高めるか、(B)上葉感熱記録シートから下葉感熱記録シートヘの熱伝達量を高める方法が考えられるが共に以下の課題がある。
【0012】
(A)下葉感熱記録シートの記録感度を高くすることについては,感熱層塗布時の乾燥温度低減などの生産性低下を伴なったり、保存安定性の点から限界がある。
(B)上葉感熱記録シートから下葉感熱記録シートヘの熱伝達量を高める方法としては上葉感熱記録シートの支持体中の空隙を減らして密度を上げて厚さを低減するのがもっとも有効である。
【0013】
しかし、上葉感熱記録シートの支持体の厚さを低減する場合には以下の加工上の課題がある。
(1)木材パルプを主成分とする紙においては感熱層を塗布する際に、紙の吸水による紙力低下に伴い、伸び、皺、断紙等の問題があり、生産性が著しく悪く、薄くてもせいぜい坪量40g/m、かつ密度0.85〜1.3g/cm程度の支持体が限度である,また、坪量40g/m(密度0.85〜1.3g/cm)以上では上葉感熱記録シートの厚さが厚く下葉感熱記録シートに十分な熱を伝達することが困難である。
(2)合成樹脂を主成分とする支持体を用いる場合においては、感熱層塗布時にフィルムが熱で変形したり、フィルムの腰が弱く扱い難いという点から薄くてもせいぜい坪量40g/m2、かつ密度0.9〜1.6g/cm程度が限度である,また、坪量40g/m2(密度0.9〜1.6g/cm)以上では上葉感熱記録シートの厚さが厚く下葉感熱記録シートに十分な熱を伝達することが困難である。
【0014】
そこで本発明の課題は、感熱多重記録体に関し、坪量が5〜40g/m(紙支持体にあっては密度0.85〜1.3g/cm、フィルム支持体にあっては密度0.9〜1.6g/cm)という薄手の上葉感熱記録シートの支持体を用いて製造する際に皺などが入らない感熱多重記録シートの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記課題を解決する本発明は、下記の態様を有する。
[1] 第一の基材の片面上に第一の感熱記録層が形成された第一の感熱記録シートの前記第一の感熱記録層側に、擬似接着層を介して、第二の基材の片面上に第二の感熱記録層が形成された第二の感熱記録シートが貼付されており、
前記第二の感熱記録シートが、情報開示部と情報非開示部とから構成され、かつ
前記第二の感熱記録シート上の前記情報非開示部に対応する位置に遮蔽層が設けられていることを特徴とする感熱記録多重シート。
[2] 前記擬似接着層が、擬似接着剤を含有する塗工液を前記第一の感熱記録層側または前記第二の基材側に塗工し、前記第一の感熱記録層と前記第二の基材とを積層した後乾燥することにより形成されたものである[1]記載の感熱記録多重シート。
[3] 第一の基材上に、擬似接着層を介して、光透過性を有する第二の基材が貼付されており、
前記擬似接着層が反応性染料および顕色剤を含有し、
前記第二の基材が、情報開示部と情報非開示部とから構成され、前記情報開示部と前記情報非開示部との間が切断されているかまたは切断可能とされており、かつ
前記第二の基材上の前記情報非開示部に対応する位置に遮蔽層が設けられていることを特徴とする感熱記録多重シート。
[4] 第一の基材上に、擬似接着層を介して、第二の基材の片面上に第二の感熱記録層が形成された感熱記録シートが貼付されており、
前記擬似接着層が反応性染料および顕色剤を含有し、
前記感熱記録シートが、情報開示部と情報非開示部とから構成され、前記情報開示部と前記情報非開示部との間が切断されているかまたは切断可能とされており、かつ
前記感熱記録シート上の前記情報非開示部に対応する位置に遮蔽層が設けられていることを特徴とする感熱記録多重シート。
[5] 前記擬似接着層が、擬似接着剤、反応性染料および顕色剤を含有する塗工液を前記第一の基材上または前記第二の基材上に塗工し、前記第一の基材と前記第二の基材とを積層した後、乾燥することにより形成されたものである[3]または[4]記載の感熱記録多重シート。
[6] 前記疑似接着層における第一の感熱記録シートと第二の基材との間の接着強さが、JIS K 6854−3に規定されるT形はく離試験法に準拠して、50〜1000mN/25mm(はく離速度300mm/min.)である[1]、[3]、[4]のいずれか一項に記載の感熱記録多重シート。
[7] 前記遮蔽層が、印刷により形成されたものである[1]、[3]、[4]のいずれか一項に記載の感熱記録多重シート。
[8] 前記遮蔽層が、インクジェット記録装置または熱転写記録装置により形成されたものである[1]、[3]、[4]のいずれか一項に記載の感熱記録多重シート。
【0016】
[9] 第一の基材の片面上に第一の感熱記録層が形成された第一の感熱記録シートの感熱記録層が形成されていない全面、およびまたは第二の基材の遮蔽層含む全面に紫外線硬化型樹脂層を設けた[1]記載の感熱記録多重シート。
[10] 前記第二の基材が、切断されているかまたは切断可能とされている[1]記載の感熱記録多重シート。
【0017】
[11] 少なくとも2枚の感熱記録シートを重ね合わせる感熱多重記録シートの製造方法において、第一の感熱記録シートの記録層側に擬似接着層を介して第二の基材を貼着することにより、第一の感熱記録シート/擬似接着層/第二の基材からなる積層シートを得る第1工程と、前記第1工程によって得られた積層シートにおける第二の基材表面に感熱記録層を形成する第2工程とにより得られる感熱多重記録シートの製造方法。
[12] 第二の基材の秤量が5〜40g/mであり、かつ密度0.85〜1.3g/cm3である木材パルプを主成分とする紙である[11]記載の感熱記録多重シートの製造方法。
[13] 第二の基材の秤量が5〜40g/m2であり、かつ密度0.9〜1.6 g/cm3である合成樹脂を主成分とするフィルムである[11]記載の感熱多重記録シートの製造方法。
[14] 第一の基材の厚みが40〜100μmである[11]記載の感熱多重記録シートの製造方法。
[15] 前記第1工程の擬似接着層の形成において、疑似接着剤が第二の基材を積層した後乾燥されることを特徴とする[11]項記載の感熱多重記録シートの製造方法。
[16] 擬似接着層が酢酸ビニル系の接着剤からなる接着層である[11]記載の感熱多重記録シートの製造方法。
[17] 擬似接着剤による第一の感熱記録シートと第二の感熱記録シートとのISO 11339: 2003に基づくT型はく離試験法による接着強さが、50から1000mN/25mm(引っ張り速度300mm/min.)である[11]記載の感熱多重記録シートの製造方法。
【0018】
[18] 第一の基材の片面上に第一の感熱記録層が形成された第一の感熱記録シートと、前記第一の感熱記録層側に擬似接着層を介して積層された、第二の基材の片面上に第二の感熱記録層が形成された第二の感熱記録シートとを備える[1]記載の感熱記録多重シートに対し、該感熱記録多重シートの前記第二の感熱記録層側から、前記第二の感熱記録層が発色し、かつ前記第一の感熱記録層が発色しない熱エネルギーT1により感熱記録を施すことにより、前記第二の感熱記録層に記録Aを記録する工程と、
前記感熱記録多重シートに対し、該感熱記録多重シートの前記第二の感熱記録層側から、前記第一の感熱記録層が発色する熱エネルギーT2により感熱記録を施すことにより、前記第一の感熱記録層に、前記記録Aとは異なる記録Bを記録する工程とを有することを特徴とする[11]項記載の感熱記録物の製造方法。
[19] 前記記録Aが目隠し印字部である[18]項記載の感熱記録物の製造方法。
[20] 前記擬似接着層が、擬似接着剤を含有する塗工液を前記第一の感熱記録層上または前記第二の基材上に塗工し、前記第一の感熱記録層と前記第二の基材とを積層した後、乾燥することにより形成されたものである[18]項記載の感熱記録物の製造方法。
【0019】
[21] 第一の基材の片面上に情報が記録された情報記録層が形成された第一のシートの前記情報記録層上に、擬似接着層を介して、第二のシートが貼着された情報記録物の製造方法であって、
前記第一のシートの前記情報記録層上または前記第二のシート上に、疑似接着剤を含有する塗工液を塗工して塗工層を形成し、該塗工層が湿潤状態にあるうちに、該塗工層を介して第一のシートと第二のシートとを貼り合わせた後、前記塗工層を乾燥して疑似接着層を形成することを特徴とする情報記録物の製造方法。
[22] 前記疑似接着層による第一のシートと第二のシートとの間の接着強さが、JIS K6854−3に規定されるT形はく離試験法に準拠して、50〜1000mN/25mm(はく離速度300mm/分)である[21]記載の情報記録物の製造方法。
【0020】
[23] [21]または[22]記載の情報記録物の製造方法により製造される情報記録物。
[24] ハガキとして使用される[23]記載の情報記録物。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、開示情報と非開示情報とを同時に感熱記録でき、生産性が良好で、製造コストも低い感熱記録多重シートが提供できる。
すなわち、本発明の感熱記録多重シートにおいては、第一の感熱記録層に記録された開示情報は情報開示部に表示され、第一の感熱記録層に記録された非開示情報は、遮蔽層により外部から視認できないようになっている。そのため、本発明の感熱記録多重シートに対して、開示情報と非開示情報とを同時に感熱記録することができる。
また、本発明の感熱記録多重シートは、第二の基材が擬似接着層を介して第一の感熱記録層上に貼付されていることにより、巻き取り状にしやすく、生産性が良好である。また、巻き取り状とすることができるため、該感熱記録多重シートへの記録に用いられる記録装置においても、記録前の感熱記録多重シートの装着トレーの設置、連続印字が容易である。
さらに、本発明の感熱記録多重シートは、秘密情報に対するセキュリティ性が高い。すなわち、第二の基材が擬似接着層を介して第一の感熱記録層上に貼付されていることにより、一旦剥離された第二の基材を再接着することは困難であり、たとえば暗証番号やパスワード等の秘密情報を本人が確認する以前に他者が第二の基材の情報非開示部を剥離して見たかどうかがわかる。
【0022】
また、本発明の製造方法を用いることにより、坪量5〜40g/m(紙基材にあっては密度0.85〜1.3g/cm3、フィルム基材にあっては密度0.9〜1.6g/cm)の第二の基材を用いて製造する際に皺などが入らない感熱多重記録シートが得られる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の感熱記録多重シートの第一実施形態を示す上面図である。
【図2】図1に示す感熱記録多重シートの位置A−A’における縦断面図である。
【図3】本発明の感熱記録多重シートの第二実施形態を示す上面図である。
【図4】図3に示す感熱記録多重シートの位置A−A’における縦断面図である。
【図5】本発明の感熱記録多重シートの第一実施形態を示す上面図である。
【図6】図5に示す感熱記録多重シートの位置A−A’における縦断面図である。
【図7】本発明の感熱記録多重シートの第二実施形態を示す上面図である。
【図8】図7に示す感熱記録多重シートの位置A−A’における縦断面図である。
【図9】本発明の感熱記録多重シートの他の実施形態を示す縦断面図である。
【図10】本発明の感熱記録多重シートの他の実施形態を示す縦断面図である。
【図11】本発明の感熱記録多重シートの他の実施形態を示す縦断面図である。
【図12】本発明の製造方法により製造される本発明の情報記録物の一実施形態を示す断面図である。
【図13】本発明の製造方法に使用できる装置の一例を示す概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
≪第一実施形態≫
図1〜2、5〜6に、本発明の感熱記録多重シートの第一実施形態を示す。図1、5は本実施形態の感熱記録多重シート11の上面図であり、図2、6は、図1、5中の位置A−A’における縦断面図である。
感熱記録多重シート11は、第一の基材12の片面上に第一の感熱記録層13が形成された第一の感熱記録シート14の第一の感熱記録層13上に、擬似接着層15aを介して、光透過性を有する第二の基材16が貼付されたものである。
第二の基材16は、情報開示部16aと情報非開示部16bとから構成される。
第二の基材16上の情報非開示部16bに対応する位置には、遮蔽層18が設けられている。また、第一の基材12上の情報非開示部16bに対応する位置には、第二の遮蔽層19が設けられている。
第二の基材16の裏面および第二の遮蔽層18を覆うように紫外線硬化型樹脂層32が設けられる。
第一の基材12の表面および第一の遮蔽層19を覆うように紫外線硬化型樹脂層33が設けられる。
紫外線硬化型樹脂層32,33は必須ではないがこれらの層を設けることにより、耐水性、耐傷性、が増し、プラスティックカードに近い性能となるので好ましい。
任意の位置にハーフカット加工17が施され、第2の基材16が切断される。
ハーフカット17は必須ではないが第一の感熱記録シート14と第二の基材16とを剥離する時、剥離しやすくなるので好ましい。
以下、本実施形態の感熱記録多重シート11の各構成について詳述する。
【0025】
<第一の基材12>
第一の基材12としては、特に限定されるものではなく、紙、各種合成樹脂が適宜必要に応じて使用される。好ましくは透気性を有する基材が用いられ、最も好ましくは紙である。
第一の基材12の厚さは、特に限定されないが、接着加工適性、取り扱い性などの点から、40〜100μmが好ましい。
【0026】
<第一の感熱記録層13>
第一の感熱記録層13は、反応性染料(染料前駆体)と顕色剤とを含有する層である。かかる層においては、熱により反応性染料と顕色剤とが反応して発色する。
第一の感熱記録層13は、反応性染料および顕色剤を含む単一の層であってもよく、また、反応性染料を含み且つ顕色剤を含まない層と、顕色剤を含み且つ反応性染料を含まない層とを含む二層以上の多層であってもよい。反応性、熱応答性に優れることから、単一の層であることが好ましい。
【0027】
反応性染料および顕色剤は、各種公知のものを使用でき、具体的な反応性染料と顕色剤との組み合わせとしては、ロイコ化合物(ロイコ染料)と電子受容性物質、イミノ化合物とイソシアナート化合物、長鎖脂肪酸鉄塩と多価フェノール等が挙げられる。これらの中で、ロイコ化合物と電子受容性物質との組み合わせは、熱応答性が良いこと、発色濃度が高いこと、比較的安定であることから好ましい。また、イミノ化合物とイソシアナート化合物との組み合わせは、その発色が界面活性剤の影響を受けにくく、保存安定性に優れるため好ましい。
以下に、反応性染料および顕色剤の具体例を示す。
【0028】
ロイコ化合物としては、例えば、トリフェニルメタン系,フルオラン系,フェノチアジン系,オーラミン系,スピロピラン系,インドリノフタリド系等の化合物が挙げられる。具体的には、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−フタリド、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジエチルアミノフタリド、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−クロルフタリド、3,3−ビス(p−ジブチルアミノフェニル)フタリド、3−シクロヘキシルアミノ−6−クロルフルオラン、3−ジメチルアミノ−5,7−ジメチルフルオラン、3−N−メチル−N−イソブチル−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−N−エチル−N−イソアミル−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−クロロフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−メチルフルオラン、3−ジエチルアミノ−7,8−ベンズフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−クロルフルオラン、3−(N−エチル−N−p−トリル)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−p−トリル−N−エチルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ピロリジノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、2−{N−3’−トリフルオルメチルフェニル)アミノ}−6−ジエチルアミノフルオラン、2−{3,6−ビス(ジエチルアミノ)−9−(o−クロルアニリノ)キサンチル安息香酸ラクタム}、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(m−トリクロロメチルアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(o−クロルアニリノ)フルオラン、3−ジブチルアミノ−7−(o−クロルアニリノ)フルオラン、3−N−メチル−N−アミルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−N−メチル−N−シクロヘキシルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(2’,4’−ジメチルアニリノ)フルオラン、3−(N,N−ジエチルアミノ)−5−メチル−7−(N ,N−ジベンジルアミノ)フルオラン、ベンゾイルロイコメチレンブルー、6’−クロロ−8’−メトキシ−ベンゾインドリノ−ピリロスピラン、6’−ブロモ−3’−メトキシ−ベンゾインドリノ−ピリロスピラン、3−(2’−ヒドロキシ−4’−ジメチルアミノフェニル)−3−(2−メトキシ−5’−クロルフェニル)フタリド、3−(2’−ヒドロキシ−4’−ジメチルアミノフェニル)−3−(2’−メトキシ−5’−ニトロフェニル)フタリド、3−(2’−ヒドロキシ−4’−ジエチルアミノフェニル)−3−(2’−メトキシ−5’−メチルフェニル)フタリド、3−(2’−メトキシ−4’−ジメチルアミノフェニル)−3−(2’−ヒドロキシ−4’−クロル−5’−メチルフェニル)フタリド、3−モルホリノ−7−(N−プロピル−トリフルオロメチルアニリノ)フルオラン、3−ピロリジノ−7−トリフルオロメチルアニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−5−クロロ−7−(N−ベンジル−トリフルオロメチルアニリノ)フルオラン、3−ピロリジノ−7−(ジ−p−クロルフェニル)メチルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−5−クロル−7−(α−フェニルエチルアミノ)フルオラン、3−(N−エチル−p−トルイジノ)−7−(α−フェニルエチルアミノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(o−メトキシカルボニルフェニルアミノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−5−メチル−7−(α−フェニルエチルアミノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−7−ピペリジノフルオラン、2−クロロ−3−(N−メチルトルイジノ)−7−(p−n−ブチルアニリノ)フルオラン、3−(N−メチル−N−イソプロピルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3,6−ビス(ジメチルアミノ)フルオレンスピロ(9,3’)−6’−ジメチルアミノフタリド、3−(N−ベンジル−N−シクロヘキシルアミノ)−5,6−ベンゾ−7−α−ナフチルアミノ−4’−ブロモフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−クロル−7−アニリノフルオラン、3−N−エチル−N−(2−エトキシプロピル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−N−エチル−N−テトラヒドロフルフリルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−メシチジノ−4’,5’−ベンゾフルオラン等が挙げられる。これらのロイコ化合物は、単独で配合しても良く、2種以上を併用しても良い。
【0029】
ロイコ化合物と接触してこれを発色させる電子受容性物質としては、特に限定されず、例えば、フェノール性化合物、チオフェノール性化合物、チオ尿素誘導体、有機酸及びその金属塩等が挙げられる。具体的には4−tert−ブチルフェノール、4−アセチルフェノール、4−tert−オクチルフェノール、4,4’−sec−ブチリデンジフェノール、4−フェニルフェノール、4,4’−ジヒドロキシジフェニルメタン、4,4’−イソプロピリデンジフェノール、4,4’−シクロヘキシリデンジフェノール、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルサルファイド、4,4’−チオビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、2,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−4’−イソプロポキシジフェニルスルホン、およびビス(3−アリル−4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(p−ヒドロキシフェニル)酢酸ブチル、ビス(p−ヒドロキシフェニル)酢酸メチル、などのフェノール性化合物、4−ヒドロキシベンゾフェノン、4−ヒドロキシフタル酸ジメチル、4−ヒドロキシ安息香酸メチル、4−ヒドロキシ安息香酸プロピル、4−ヒドロキシ安息香酸−sec−ブチル、4−ヒドロキシ安息香酸フェニル、4−ヒドロキシ安息香酸ベンジル、4−ヒドロキシ安息香酸トリル、4−ヒドロキシ安息香酸クロロフェニル、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテルなどのフェノール性化合物、または、安息香酸、p−tert−ブチル安息香酸、トリクロル安息香酸、テレフタル酸、サリチル酸、3−tert−ブチルサリチル酸、3−イソプロピルサリチル酸、3−ベンジルサリチル酸、3−(α−メチルベンジル)サリチル酸、3,5−ジ−tert−ブチルサリチル酸などの芳香族カルボン酸、およびこれらフェノール性化合物、芳香族カルボン酸と例えば亜鉛、マグネシウム、アルミニウム、カルシウムなどの多価金属との塩などの有機酸性物質、N−p−トルエンスルホニル−N’−3−(p−トルエンスルホニルオキシ)フェニルウレア、N−(p−トルエンスルホニル)−N’−(p−ブトキシカルボイル)ウレア、N−p−トリルスルホニル−N’−フェニルウレア等のウレア化合物が挙げられる。これらの電子受容性物質は、単独で配合しても良く、2種以上を併用しても良い。
【0030】
イミノ化合物は、少なくとも1個のイミノ基(=NH)を有する化合物であり、例えば下記一般式で表わされる常温固形の無色または淡色の化合物が挙げられる。
【0031】
【化1】

[式中、Xは、隣接するC=Nと共役系を形成しうる芳香族性化合物残基を表す。]
【0032】
イミノ化合物として、具体的には、3−イミノイソインドリン−1−オン、3−イミノ−4,5,6,7−テトラクロロイソインドリン−1−オン、3−イミノ−4,5,6,7−テトラブロモイソインドリン−1−オン、3−イミノ−4,5,6,7−テトラフルオロイソインドリン−1−オン、3−イミノ−5,6−ジクロロイソインドリン−1−オン、3−イミノ−4,5,7−トリクロロ−6−メトキシ−イソインドリン−1−オン、3−イミノ−4,5,7−トリクロロ−6−メチルメルカプト−イソインドリン−1−オン、3−イミノ−6−ニトロイソインドリン−1−オン、3−イミノ−イソインドリン−1−スピロ−ジオキソラン、1,1−ジメトキシ−3−イミノ−イソインドリン、1,1−ジエトキシ−3−イミノ−4,5,6,7−テトラクロロイソインドリン、1−エトキシ−3−イミノ−イソインドリン、1,3−ジイミノイソインドリン、1,3−ジイミノ−4,5,6,7−テトラクロロイソインドリン、1,3−ジイミノ−6−メトキシイソインドリン、1,3−ジイミノ−6−シアノイソインドリン、1,3−ジイミノ−4,7−ジチア−5,5,6,6−テトラヒドロイソインドリン、7−アミノ−2,3−ジメチル−5−オキソピロロ〔3,4b〕ピラジン、7−アミノ−2,3−ジフェニル−5−オキソピロロ〔3,4b〕ピラジン、1−イミノナフタル酸イミド、1−イミノジフェン酸イミド、1−フェニルイミノ−3−イミノイソインドリン、1−(3’−クロロフェニルイミノ)−3−イミノイソインドリン、1−(2’,5’−ジクロロフェニルイミノ)−3−イミノイソインドリン、1−(2’,4’,5’−トリクロロフェニルイミノ)−3−イミノイソインドリン、1−(2’−シアノ−4’−ニトロフェニルイミノ)−3−イミノイソインドリン、1−(2’−クロロ−5’−シアノフェニルイミノ)−3−イミノイソインドリン、1−(2’,6’−ジクロロ−4’−ニトロフェニルイミノ)−3−イミノイソインドリン、1−(2’,5’−ジメトキシフェニルイミノ)−3−イミノイソインドリン、1−(2’,5’−ジエトキシフェニルイミノ)−3−イミノイソインドリン、1−(2’−メチル−4’−ニトロフェニルイミノ)−3−イミノイソインドリン、1−(5’−クロロ−2’−フェノキシフェニルイミノ)−3−イミノイソインドリン、1−(4’−N,N−ジメチルアミノフェニルイミノ)−3−イミノイソインドリン、1−(3’−N,N−ジメチルアミノ−4’−メトキシフェニルイミノ)−3−イミノイソインドリン、1−(2’−メトキシ−5’−N−フェニルカルバモイルフェニルイミノ)−3−イミノイソインドリン、1−(2’−クロロ−5’−トリフルオロメチルフェニルイミノ)−3−イミノイソインドリン、1−(5’,6’−ジクロロベンゾチアゾリル−2’−イミノ)−3−イミノイソインドリン、1−(6’−メチルベンゾチアゾリル−2’−イミノ)−3−イミノイソインドリン、1−(4’−フェニルアミノフェニルイミノ)−3−イミノイソインドリン、1−(p−フェニルアゾフェニルイミノ)−3−イミノイソインドリン、1−(ナフチル−1’−イミノ)−3−イミノイソインドリン、1−(アンスラキノン−1’−イミノ)−3−イミノイソインドリン、1−(5’−クロロアンスラキノン−1’−イミノ)−3−イミノイソインドリン、1−(N−エチルカルバゾリル−3’−イミノ)−3−イミノイソインドリン、1−(ナフトキノン−1’−イミノ)−3−イミノイソインドリン、1−(ピリジル−4’−イミノ)−3−イミノイソインドリン、1−(ベンズイミダゾロン−6’−イミノ)−3−イミノイソインドリン、1−(1’−メチルベンズイミダゾロン−6’−イミノ)−3−イミノイソインドリン、1−(7’−クロロベンズイミダゾロン−5’−イミノ)−3−イミノイソインドリン、1−(ベンズイミダゾリル−2’−イミノ)−3−イミノイソインドリン、1−(ベンズイミダゾリル−2’−イミノ)−3−イミノ−4,5,6,7−テトラクロロイソインドリン、1−(2’,4’−ジニトロフェニルヒドラゾン)−3−イミノイソインドリン、1−(インダゾリル−3’−イミノ)−3−イミノイソインドリン、1−(インダゾリル−3’−イミノ)−3−イミノ−4,5,6,7−テトラブロモイソインドリン、1−(インダゾリル−3’−イミノ)−3−イミノ−4,5,6,7−テトラフルオロイソインドリン、1−(ベンズイミダゾリル−2’−イミノ)−3−イミノ−4,7−ジチアテトラヒドロイソインドリン、1−(4’,5’−ジシアノイミダゾリル−2’−イミノ)−3−イミノ−5,6−ジメチル−4,7−ピラジイソインドリン、1−(シアノベンゾイルメチレン)−3−イミノイソインドリン、1−(シアノカルボンアミドメチレン)−3−イミノイソインドリン、1−(シアノカルボメトキシメチレン)−3−イミノイソインドリン、1−(シアノカルボエトキシメチレン)−3−イミノイソインドリン、1−(シアノ−N−フェニルカルバモイルメチレン)−3−イミノイソインドリン、1−〔シアノ−N−(3’−メチルフェニル)−カルバモイルメチレン〕−3−イミノイソインドリン、1−〔シアノ−N−(4’−クロロフェニル)−カルバモイルメチレン〕−3−イミノイソインドリン、1−〔シアノ−N−(4’−メトキシフェニル)−カルバモイルメチレン〕−3−イミノイソインドリン、1−〔シアノ−N−(3’−クロロ−4’−メチルフェニル)−カルバモイルメチレン〕−3−イミノイソインドリン、1−(シアノ−p−ニトロフェニルメチレン)−3−イミノイソインドリン、1−(ジシアノメチレン)−3−イミノイソインドリン、1−〔シアノ−1’,2’,4’−トリアゾリル−(3’)−カルバモイルメチレン〕−3−イミノイソインドリン、1−〔シアノチアゾイル−(2’)−カルバモイルメチレン〕−3−イミノイソインドリン、1−〔シアノベンズイミダゾリル−(2’)−カルバモイルメチレン〕−3−イミノイソインドリン、1−〔シアノベンゾチアゾリル−(2’)−カルバモイルメチレン〕−3−イミノイソインドリン、1−〔シアノベンズイミダゾリル−(2’)−メチレン〕−3−イミノイソインドリン、1−〔シアノベンズイミダゾリル−(2’)−メチレン〕−3−イミノ−4,5,6,7−テトラクロロイソインドリン、1−〔(シアノベンズイミダゾリル−2’)−メチレン〕−3−イミノ−5−メトキシイソインドリン、1−〔(シアノベンズイミダゾリル−2’)−メチレン〕−3−イミノ−6−クロロイソインドリン、1−〔(1’−フェニル−3’−メチル−5−オキソ)−ピラゾリデン−4’〕−3−イミノイソインドリン、1−〔(シアノベンズイミダゾリル−2’)−メチレン〕−3−イミノ−4,7−ジチアテトラヒドロイソインドリン、1−〔(シアノベンズイミダゾリル−2’)−メチレン〕−3−イミノ−5,6−ジメチル−4,7−ピラジイソインドリン、1−〔(1’−メチル−3’−n−ブチル)−バルビツル酸−5’〕−3−イミノイソインドリン、3−イミノ−1−スルホ安息香酸イミド、3−イミノ−1−スルホ−6−クロロ安息香酸イミド、3−イミノ−1−スルホ−5,6−ジクロロ安息香酸イミド、3−イミノ−1−スルホ−4,5,6,7−テトラクロロ安息香酸イミド、3−イミノ−1−スルホ−4,5,6,7−テトラブロモ安息香酸イミド、3−イミノ−1−スルホ−4,5,6,7−テトラフルオロ安息香酸イミド、3−イミノ−1−スルホ−6−ニトロ安息香酸イミド、3−イミノ−1−スルホ−6−メトキシ安息香酸イミド、3−イミノ−1−スルホ−4,5,7−トリクロロ−6−メチルメルカプト安息香酸イミド、3−イミノ−1−スルホナフトエ酸イミド、3−イミノ−1−スルホ−5−ブロモナフトエ酸イミド、3−イミノ−2−メチル−4,5,6,7−テトラクロロイソインドリン−1−オン等が挙げられる。
【0033】
イミノ化合物と接触してこれを発色させるイソシアナート化合物としては、常温固体の無色または淡色の芳香族イソシアナート化合物または複素環イソシアナート化合物が挙げられ、具体的には、2,6−ジクロロフェニルイソシアナート、p−クロロフェニルイソシアナート、1,3−フェニレンジイソシアナート、1,4−フェニレンジイソシアナート、1,3−ジメチルベンゼン−4,6−ジイソシアナート、1,4−ジメチルベンゼン−2,5−ジイソシアナート、1−メトキシベンゼン−2,4−ジイソシアナート、1−メトキシベンゼン−2,5−ジイソシアナート、1−エトキシベンゼン−2,4−ジイソシアナート、2,5−ジメトキシベンゼン−1,4−ジイソシアナート、2,5−ジエトキシベンゼン−1,4−ジイソシアナート、2,5−ジブトキシベンゼン−1,4−ジイソシアナート、アゾベンゼン−4,4’−ジイソシアナート、ジフェニルエーテル−4,4’−ジイソシアナート、ナフタリン−1,4−ジイソシアナート、ナフタリン−1,5−ジイソシアナート、ナフタリン−2,6−ジイソシアナート、ナフタリン−2,7−ジイソシアナート、3,3’−ジメチル−ビフェニル−4,4’−ジイソシアナート、3,3’−ジメトキシビフェニル−4,4’−ジイソシアナート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアナート、ジフェニルジメチルメタン−4,4’−ジイソシアナート、ベンゾフェノン−3,3’−ジイソシアナート、フルオレン−2,7−ジイソシアナート、アンスラキノン−2,6−ジイソシアナート、9−エチルカルバゾール−3,6−ジイソシアナート、ビレン−3,8−ジイソシアナート、ナフタレン−1,3,7−トリイソシアナート、ビフェニル−2,4,4’−トリイソシアナート、4,4’,4”−トリイソシアナート−2,5−ジメトキシトリフェニルアミン、4,4’,4”−トリイソシアナートトリフェニルアミン、p−ジメチルアミノフェニルイソシアナート、トリス(4−フェニルイソシアナート)チオフォスフェート等が挙げられる。これらのイソシアナート化合物は、必要に応じて、フェノール類、ランタム類、オキシム類等との付加化合物である、いわゆるブロックイソシアナートの形で用いてもよく、ジイソシアナートの2量体、例えば1−メチルベンゼン−2,4−ジイソシアナートの2量体、および3量体であるイソシアヌレートの形で用いてもよく、また、各種のポリオール等でアダクト化したポリイソシアナートとして用いることも可能である。
【0034】
第一の感熱記録層13中、反応性染料の配合量は、発色性を考慮すると、感熱記録層13の全固形分に対して10〜50質量%が好ましく、10〜20質量%がより好ましい。
第一の感熱記録層13中、顕色剤の配合量は、反応性染料の合計100質量部に対し、100〜700質量部が好ましく、150〜400質量部がより好ましい。
【0035】
第一の感熱記録層13は、反応性染料および顕色剤に加えてさらに、接着剤を含有する。
接着剤としては、例えばポリビニルアルコール及びその誘導体、澱粉及びその誘導体、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース等のセルロース誘導体、ポリアクリル酸ソーダ、ポリビニルピロリドン、アクリルアミド−アクリル酸エステル共重合体、アクリルアミド−アクリル酸エステル−メタアクリル酸エステル共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、イソブチレン−無水マレイン酸共重合体、カゼイン、ゼラチン及びそれらの誘導体等の水溶性高分子材料、並びに、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸エステル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリブチルメタクリレート、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のエマルジョンやスチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−ブタジエン−アクリル系共重合体などの水不溶性重合体のラテックスなどをあげることができる。
第一の感熱記録層13中、接着剤の配合量は、第一の感熱記録層13の全固形分の5〜40質量%が好ましく、10〜30質量%がより好ましい。
【0036】
第一の感熱記録層13は、さらに、発色感度を調節するために、増感剤を含有することが好ましい。増感剤としては、従来から感熱記録体の増感剤として知られている化合物を使用することができ、たとえば比較的低融点で反応性染料、顕色剤に相溶性の良好な有機物(以下、熱可融性物質という)が挙げられる。熱可融性物質は、反応性染料、顕色剤と相溶することによりこの両成分の接触確率を高めて増感作用を発揮する。熱可融性物質としては、例えばパラベンジルビフェニル、ジベンジルテレフタレート、1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸フェニル、シュウ酸ジベンジル、アジピン酸ジ−o−クロルベンジル、1,2−ジ(3−メチルフェノキシ)エタン、シュウ酸ジ−p−メチルベンジル、シュウ酸ジ−p−クロルベンジル、1,2−ビス(3,4−ジメチルフェニル)エタン、1,3−ビス(2−ナフトキシ)プロパンなどをあげることができる。
第一の感熱記録層13中、熱可融性物質の配合量は、反応性染料の合計100質量部に対し、25〜500質量部が好ましく、100〜300質量部がより好ましい。
【0037】
第一の感熱記録層13は、さらに、感熱記録画像の保存性向上を主な目的として、画像安定化剤を含有してもよい。画像安定化剤としては、例えば1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−シクロヘキシルフェニル)ブタン、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタン、1,1−ビス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタン、4,4’−〔1,4−フェニレンビス(1−メチルエチリデン)〕ビスフェノール、および4,4’−〔1,3−フェニレンビス(1−メチルエチリデン)〕ビスフェノールなどのフェノール系の化合物、4−ベンジルオキシフェニル−4’−(2−メチル−2,3−エポキシプロピルオキシ)フェニルスルホン、4−(2−メチル−1,2−エポキシエチル)ジフェニルスルホン、および4−(2−エチル−1,2−エポキシエチル)ジフェニルスルホン等のエポキシ化合物、並びに1,3,5−トリス(2,6−ジメチルベンジル−3−ヒドロキシ−4−tert−ブチル)イソシアヌル酸などのイソシアヌル酸化合物から選ばれた1種以上を含むものを用いることができる。もちろん、画像安定化剤はこれらに限定されるものではなく、又必要に応じて2種類以上の化合物を併用することもできる。
第一の感熱記録層13中、画像安定化剤の配合量は、反応性染料の合計100質量部に対し、5〜100質量部が好ましく、10〜60質量部がより好ましい。
【0038】
また、第一の感熱記録層13には、耐水性を向上させるために、上述した接着剤を三次元硬化させるための架橋剤を含有させることができる。
架橋剤としては、例えば、グリオキザール等のアルデヒド系化合物、ポリエチレンイミン等のポリアミン系化合物、エポキシ系化合物、ポリアミド樹脂、メラミン樹脂、ジメチロールウレア化合物、アジリジン化合物、ブロックイソシアネート化合物、並びに過硫酸アンモニウムや塩化第二鉄、および塩化マグネシウム、四ホウ酸ソーダ、四ホウ酸カリウム等の無機化合物又はホウ酸、ホウ酸トリエステル、ホウ素系ポリマー等が挙げられる。
第一の感熱記録層13中、架橋剤の配合量は、感熱記録層13の全固形分に対し1〜10質量%の範囲内であることが好ましい。
【0039】
第一の感熱記録層13には、顔料を含有させることもできる。顔料としては、たとえば、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、カオリン、クレー、タルク、焼成クレー、シリカ、ケイソウ土、合成ケイ酸アルミニウム、酸化亜鉛、酸化チタン、水酸化アルミニウム、硫酸バリウム、表面処理された炭酸カルシウムやシリカなどの無機顔料、並びに、尿素−ホルマリン樹脂、スチレン−メタクリル酸共重合樹脂、ポリスチレン樹脂等の有機顔料が挙げられる。
第一の感熱記録層13中、顔料の配合量は、発色濃度を低下させない程の量であることが好ましく、感熱記録層13の全固形分に対して50質量%以下であることが好ましい。
また、反応性染料100質量部に対し、1〜100質量部が好ましく、5〜50質量部がより好ましい。
【0040】
第一の感熱記録層13には、さらに必要に応じて、感熱記録体に一般的に用いられている各種添加剤を添加することができる。該添加剤としては、たとえば、ワックス類、金属石鹸、有色染料、蛍光染料、撥油剤、消泡剤、粘度調節剤等が挙げられる。
ワックス類としては、例えば、パラフィンワックス、カルナバロウワックス、マイクロクリスタリンワックス、およびポリエチレンワックス等のポリオレフィンワックスなどのワックス類、並びに例えばステアリン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミドなどの高級脂肪酸アミド、高級脂肪酸エステル、およびその誘導体などをあげることができる。特にメチロール化脂肪酸アミドを感熱記録層に添加すると、耐地肌かぶり性を悪化せずに増感効果を得ることができる。
金属石鹸としては、高級脂肪酸多価金属塩、例えばステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸カルシウム、およびオレイン酸亜鉛等をあげることができる。
【0041】
感熱記録層13は、たとえば、反応性染料、顕色剤および接着剤、ならびに任意の成分を水等の分散媒体に分散して塗工液を調製し、この塗工液を第1の基材12の片面上に塗布し、乾燥させることにより形成できる。
このとき、反応性染料と顕色剤とを別々に分散媒体に分散し、感熱記録層を形成する際にそれらの分散液を混合することが好ましい。
分散液の調製は、たとえばボールミル、アトライター、サンドミルなどの攪拌・粉砕機を用いて行うことができる。
塗工液の塗工方法としては、例えば、エアーナイフコーティング、バリバーブレードコーティング、ピュアーブレードコーティング、ロッドブレードコーティング、ショートドウェルコーティング、カーテンコーティング、ダイコーティング、グラビアコーティング等が挙げられる。
また感熱記録層13を、スーパーカレンダーやソフトカレンダーなどの既知の平滑化方法を用いて平滑化処理してもよい。これにより、その発色感度を高めることができる。平滑化処理においては、感熱記録層13表面を、カレンダーの金属ロールおよび弾性ロールのいずれに当てて処理してもよい。
感熱記録層13の塗工量としては、発色性を考慮すると、1〜10g/mが好ましく、2〜5g/mがより好ましい。
【0042】
<擬似接着層15a>
擬似接着層15aは、再剥離性を有すると同時に、再貼付ができない性質を有するものであれば特に限定されず、たとえば一般的に擬似接着に用いられている擬似接着剤、および任意に含有される接着力調節剤から構成される層であってよい。
擬似接着層15aを構成する擬似接着剤としては、特に制限はなく、一般的に擬似接着に使用されているもの、たとえば天然ゴム、合成ゴム等のゴム系接着剤;アクリル酸および/またはアクリル酸エステルを主なモノマー成分として含有するアクリル系接着剤;酢酸ビニル重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)等の、酢酸ビニルを主なモノマー成分として含有する酢酸ビニル系接着剤;澱粉、アルギン酸ナトリウム等の多糖系接着剤やデキストリン系接着剤等の水溶性接着剤などが使用できる。
本発明においては、ゴム系、アクリル系、酢酸ビニル系、デキストリン系の接着剤が、接着性を任意に幅広くコントロールできるため好ましい。接着性は、たとえば第一の基材や第二の基材の強度、第一の基材と第二の基材との間の接着強度等を考慮して適宜設定される。これらの中でも、特に、後述するように、擬似接着層15aをウェットラミネート法で形成する場合には、酢酸ビニル系および/またはデキストリン系の接着剤が好ましい。
擬似接着層15a中、擬似接着剤の配合量は、擬似接着層15aの全固形分の10〜100質量%が好ましく、20〜80質量%がより好ましい。
【0043】
擬似接着層15aは、擬似接着剤以外に、接着力調節剤を含有することが好ましい。
接着力調節剤としては、上述したポリエチレンワックス等のワックス類、金属石鹸、無機顔料および有機顔料等が挙げられる。これらの接着力調節剤は、擬似接着層15a中に分散し、擬似接着層15aの凝集力を低減する効果を有している。擬似接着層15aの凝集力を低減することにより、第二の基材を再剥離しやすくなる。
擬似接着層15a中、接着力調節剤の配合量は、第一の感熱記録シート14と第二の基材16との間の接着強さや擬似接着層15aの凝集力等を考慮して適宜決定される。特に、第一の感熱記録シート14と第二の基材16との間の接着強さが下記の範囲内となる量配合されることが好ましく、たとえば擬似接着層15aの全固形分の0〜90質量%が好ましく、20〜80質量%がより好ましい。
【0044】
擬似接着層15aにおける第一の感熱記録シート14と第二の基材16との間の接着強さは、JIS K 6854−3に規定されるT形はく離試験法に準拠して、50〜1000mN/25mm(はく離速度300mm/min.)であることが好ましく、更に、80〜600mN/25mm(はく離速度300mm/min.)であることがより好ましい。
T形はく離試験法による接着強さが50mN/25mm未満であると、第二の基材が剥離したり、カールや皺が生じて外観が悪化する恐れがある。またT形はく離試験法による接着強さが1000mN/25mmより大きいと、剥離する際に、第二の基材の情報非表示部が破損したり、流れ方向に強いカールが付き筒状になり易くなるおそれがある。
T形はく離試験法による接着強さは、使用される擬似接着剤の種類や第二の基材への浸透性、塗布量、塗布してから張り合わせるまでの時間、乾燥温度などによって適宜調節することができる。
ここで、JIS K 6854−3に規定されるT形はく離試験法による接着強さは以下の手順で測定できる。すなわち、試料を23℃、50%RHの環境下に24時間以上放置した後、300mm/分のはく離速度ではく離試験を行う。接着強さは試験サンプル巾25mm当りのmNで示される。
【0045】
擬似接着層15aは、擬似接着剤を含有する塗工液(酢酸ビニル系等の擬似接着剤を水系エマルジョンとしたもの、水溶性の擬似接着剤(たとえばデキストリン系)を水に溶解して水溶液としたもの、溶媒として有機溶剤を用いたもの等)、溶媒を用いないもの、エネルギー線硬化型にしたもの等を用いて形成できる。塗工液の溶媒としては、水または有機溶媒を使用することが出来るが、水を使用することがコスト的に望ましい。具体的には、たとえば塗工液を用いる場合、擬似接着剤を含有する塗工液を第一の感熱記録層13上または第二の基材16上に塗工し、乾燥することにより形成できる。
【0046】
本発明においては、特に、擬似接着層15aが、擬似接着剤を含有する塗工液を第一の感熱記録層13上または第二の基材16上に塗工し、第一の感熱記録層と前記第二の基材とを貼り合わせた後、乾燥することにより形成されたもの、すなわちウェットラミネート法により形成されたものであることが好ましい。
ウェットラミネート法は、たとえば第一の感熱記録層上に塗工液を塗工し、乾燥させた後に第二の基材と強い圧力で圧着するドライラミネート法の場合に比べて、様々な利点を有する。たとえば、貼り合わせに強い圧力を必要とせず、たとえばドライラミネート法では通常20kg/cm程度の圧力で圧着する必要があるが、ウェットラミネート法ではほとんど圧力を必要とせず、1kg/cm以下程度でも充分に擬似接着できる。また、ドライラミネート法の場合に比べて擬似接着層15aの塗工量が少なくてよい。擬似接着層15aの塗工量が少ないことで、情報開示部16aと情報非開示部16bとの間にハーフカット加工17を施す際に、加工に用いる刃に擬似接着剤が付着しにくくできる。また、第二の基材のと貼り合わせや乾燥に要する時間が短い。さらに第二の基材として、厚さのごく薄いもの、たとえば約5μm程度のものも用いることができる。
そのため、高速で大量生産することができるなど、生産性が高く、製造コストも低い。また、第二の基材16や擬似接着層15aを薄くできるため、第一の感熱記録層13への熱の伝達が良好であり、明瞭な記録を行うことができる。
なお、ウェットラミネート法で擬似接着層を形成する場合は、第一の基材および第二の基材の少なくとも一方、好ましくは両方が、紙等の透気性の基材であることが好ましい。
【0047】
塗工液の塗工は、上記感熱記録層13において挙げた塗工方法と同様にして行うことができる。
擬似接着層15aの塗工量としては、記録特性に優れることから、0.5〜10g/mが好ましく、1〜5g/mがより好ましい。擬似接着層の塗工量を1g/mにすることで、より塗りむらが生じにくく、5g/m以下にすることで、より熱の伝達性が良くなる。
【0048】
擬似接着層15aは、押出しラミ法によるドライラミネート法により形成されたものであってもよい。
【0049】
<擬似接着層15>
本発明において、擬似接着層15は、再剥離性を有すると同時に、再貼付ができない性質を有するものであり、反応性染料と顕色剤とを含有する以外は前記擬似接着層15aと同様の構成とすることができる。
本発明において、擬似接着層15は、反応性染料(染料前駆体)と顕色剤とを含有していてもよく、そのため、感熱記録処理を行うと、加熱された部分の反応性染料と顕色剤とが反応して発色する。
擬似接着層15は、反応性染料および顕色剤を含む単一の層であってもよく、また、反応性染料を含み且つ顕色剤を含まない層と、顕色剤を含み且つ反応性染料を含まない層とを含む二層以上の多層であってもよい。反応性、熱応答性に優れることから、単一の層であることが好ましい。
【0050】
反応性染料および顕色剤は、各種公知のものを使用でき、具体的な反応性染料と顕色剤との組み合わせとしては、ロイコ化合物(ロイコ染料)と電子受容性物質、イミノ化合物とイソシアナート化合物、長鎖脂肪酸鉄塩と多価フェノール等が挙げられる。これらの中で、ロイコ化合物と電子受容性物質との組み合わせは、熱応答性が良いこと、発色濃度が高いこと、比較的安定であることから好ましい。また、イミノ化合物とイソシアナート化合物との組み合わせは、その発色が界面活性剤の影響を受けにくく、保存安定性に優れるため好ましい。
反応性染料および顕色剤は、具体的には上記感熱記録層13において挙げた反応性染料および顕色剤と同様のものを使用できる。
【0051】
擬似接着層15中、反応性染料の配合量は、発色性を考慮すると、擬似接着層15の全固形分に対して10〜50質量%が好ましく、10〜20質量%がより好ましい。
擬似接着層15中、顕色剤の配合量は、反応性染料の合計100質量部に対し、100〜700質量部が好ましく、150〜400質量部がより好ましい。
【0052】
擬似接着層15は、さらに、発色感度を調節するために、増感剤を含有することが好ましい。増感剤としては、従来から感熱記録体の増感剤として知られている化合物を使用することができ、たとえば比較的低融点で反応性染料、顕色剤に相溶性の良好な有機物(以下、熱可融性物質という)が挙げられる。熱可融性物質は、反応性染料、顕色剤と相溶することによりこの両成分の接触確率を高めて増感作用を発揮する。熱可融性物質としては、例えばパラベンジルビフェニル、ジベンジルテレフタレート、1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸フェニル、シュウ酸ジベンジル、アジピン酸ジ−o−クロルベンジル、1,2−ジ(3−メチルフェノキシ)エタン、シュウ酸ジ−p−メチルベンジル、シュウ酸ジ−p−クロルベンジル、1,2−ビス(3,4−ジメチルフェニル)エタン、1,3−ビス(2−ナフトキシ)プロパンなどをあげることができる。
擬似接着層15中、熱可融性物質の配合量は、反応性染料の合計100質量部に対し、25〜500質量部が好ましく、100〜300質量部がより好ましい。
【0053】
擬似接着層15は、さらに、感熱記録画像の保存性向上を主な目的として、画像安定化剤を含有してもよい。画像安定化剤としては、例えば1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−シクロヘキシルフェニル)ブタン、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタン、1,1−ビス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタン、4,4’−〔1,4−フェニレンビス(1−メチルエチリデン)〕ビスフェノール、および4,4’−〔1,3−フェニレンビス(1−メチルエチリデン)〕ビスフェノールなどのフェノール系の化合物、4−ベンジルオキシフェニル−4’−(2−メチル−2,3−エポキシプロピルオキシ)フェニルスルホン、4−(2−メチル−1,2−エポキシエチル)ジフェニルスルホン、および4−(2−エチル−1,2−エポキシエチル)ジフェニルスルホン等のエポキシ化合物、並びに1,3,5−トリス(2,6−ジメチルベンジル−3−ヒドロキシ−4−tert−ブチル)イソシアヌル酸などのイソシアヌル酸化合物から選ばれた1種以上を含むものを用いることができる。もちろん、画像安定化剤はこれらに限定されるものではなく、又必要に応じて2種類以上の化合物を併用することもできる。
擬似接着層15中、画像安定化剤の配合量は、反応性染料の合計100質量部に対し、5〜100質量部が好ましく、10〜60質量部がより好ましい。
【0054】
擬似接着層15には、さらに必要に応じて、感熱記録体に一般的に用いられている各種添加剤を添加することができる。該添加剤としては、たとえば有色染料、蛍光染料、消泡剤等が挙げられる。
【0055】
擬似接着層15の塗工液および塗工方法は、擬似接着剤15aと同様のものが使用できる。
【0056】
<第二の基材16>
第二の基材16は、光透過性を有する必要がある。ここで、「光透過性を有する」とは、外部から第一の感熱記録層13に記録された情報を視認できればよく、完全に透明であってもよく、また、半透明であってもよい。
かかる光透過性を有する基材の材料としては、透明材料が挙げられる。また、厚さを薄くすることによって、外部から第一の感熱記録層13に記録された情報を視認できる光透過性を確保できる半透明材料も用いることができる。
透明材料からなる基材としては、ポリエチレンテレフタレートフィルム,ポリブチレンテレフタレートフィルム,ポリエチレンフィルム,ポリプロピレンフィルム,ポリカーボネートフィルム,ポリウレタンフィルム,ポリイミドフィルム,ポリ塩化ビニルフィルム,セロファン,三酢酸セルロースフィルム,二酢酸等セルロースフィルム,テトラフルオロエチレンフィルム,ポリ弗化ビニリデンフィルム,ポリモノクロロトリフルオロエチレンフィルム等の合成樹脂を主成分とする基材(フィルム基材)が挙げられる。
半透明材料からなる基材としては、パルプを主成分とする紙基材、フィルム基材に白色無機顔料等の着色剤を含有させたもの等が挙げられる。パルプを主成分とする基材としては上質紙、再生紙、グラシン紙等の紙が一般的である。特に、密度が高く、熱伝導性が高く、透明性も高いことから、グラシン紙が好ましい。
これらの中でも、特に、擬似接着層を上述したようにウェットラミネート法で形成する場合は、第二の基材として透気性の基材を用いることが好ましく、特に紙基材が好ましい。
【0057】
第二の基材16は、情報開示部16aと情報非開示部16bとから構成されている。第一の感熱記録シート14と第二の基材との剥離を容易にするため任意の位置に第二の基材16と第一の感熱記録シート14との間の深さまで切り込んだハーフカット加工17により切断しても良い。
【0058】
第二の基材16が光透過性を有することにより、情報開示部16aでは、第一の感熱記録層に記録された情報が外部から視認可能に表示される。
また、第二の基材16は、第一の感熱記録層の保護層としても機能する。そのため、たとえば感熱記録層が感熱記録シートの外表面に設けられている場合に比べて、スクラッチが生じにくく、記録画像の保存性が高い。
【0059】
第二の基材16の厚さは、特に限定されないが、厚さが薄いほど、第一の感熱記録層13に伝達される熱量が大きく、第一の感熱記録層13に記録される情報の記録濃度が高くなり、鮮明な記録画像が得られる。一方、厚さが厚いほど、第二の基材16の加工性が向上し、また、情報開示部16bを剥離する際に破損しにくくなる。そのため、第二の基材16としては、坪量が3〜60g/mであることが好ましく、5〜40g/mであることがより好ましい。
また、第二の基材16の密度が高いほど、第一の感熱記録層13に伝達される熱量が大きく、第一の感熱記録層13に記録される情報の記録濃度が高くなり、鮮明となる。特に木材パルプを主成分とする基材の場合、透明性も高くなる。そのため、第二の基材16としては、密度が0.80g/cm以上のものが好ましく、0.85〜1.6g/cmの範囲内のものがより好ましい。特に、紙基材にあっては密度0.85〜1.3g/cmのものが好ましく、フィルム基材にあっては密度0.9〜1.6g/cmのものが好ましい。
【0060】
<遮蔽層18>
遮蔽層18は、少なくとも情報非開示部16b全体を覆うように設けられる。例えば図1、2に示すように、遮蔽層18の位置と情報非開示部16bの位置とが完全に一致していてもよく、また、遮蔽層18の方が情報非開示部16bよりも大きくても良い。
遮蔽層18は、情報非開示部上の全面に設けられていてもよく、所定の形状のパターン(たとえば帯状、網目状、千鳥状、スポット状、文字、地紋等)であって、該パターンが複数、情報非開示部上に設けられていてもよい。
【0061】
遮蔽層18は、第一の感熱記録層13への熱の伝達を阻害しにくく、高い記録濃度で感熱記録でき、所定のパターンを形成しやすく、コストも低い等の点で、遮蔽層は、印刷により形成されたものであることが好ましい。
印刷方法は、特に限定はなく、たとえばオフセット印刷方式、グラビア印刷方式、フレキソ印刷方式等の通常の方法を適用することができる。
【0062】
遮蔽層18は、インクジェット記録装置または熱転写記録装置により形成されたものであることも好ましい。この場合、印刷等に比べて、即時性が優れている。すなわち、印刷のように予め版を製造しなくてもよいため、図柄の変更を即時に行うことができ、たとえばインクジェット記録装置または熱転写記録装置と感熱記録装置とを直列に配し、感熱記録装置で秘密情報を記録した後、または記録する前に、インクジェット記録装置または熱転写記録装置で遮蔽層を形成できる。また、このとき、インクジェット記録装置または熱転写記録装置で、遮蔽層以外にも任意の文字や画像を記録できる。
なお、熱転写記録装置を用いる場合には、熱転写記録装置のヘッドの温度は第二の感熱記録層13が発色しない温度とする。
【0063】
遮蔽層18は、光透過性を有さない基材、たとえば金属箔、金属蒸着フィルム等を情報非開示部16b上に貼付することにより形成されたものであってもよい。
遮蔽層に用いるインクとしては、少量で遮蔽効果があり、かつ第一の基材への熱伝達が損なわれないため、金属粉末を含有したインクが好ましい。金属粉末としては、アルミニウム、亜鉛、すず、銀、金等があるが経済性、安定性の点からアルミニウムが好適である。
アルミニウム粉顔料、アルミニウムペースト(アルミニウム粉末を含有する塗料)としては、JIS K5906−1991、コンバーテック1995年8月号第46〜49頁などに詳細な記載があるもの挙げられる。具体的には、溶剤系ペーストTD120T、TD180T、TD200T、TD280T、水性ペースト93−2070、93−2071、93−2072、93−2073、93−2074(東洋アルミニウム株式会社製)、HR、CR−808CM、SF−808C、AW−7000R、AW−808C等(旭化成工業株式会社製)が用いられる。
また、金蔵粉末を主成分にするインキに各種の着色染料・顔料を添加することにより、各色に着色された遮蔽層が得られる。更に金属粉末を含有したインクを塗布した遮蔽層上に酸化チタン、炭酸カルシウム、タルク、クレーなどの白色顔料を含有するインクを塗布し、しかる後にその上に必要とされる多色印刷を行うことも好ましい。
【0064】
<遮蔽層19>
遮蔽層19は、第一の基材12上の、前記情報非開示部16bに対応する位置に設けられている以外は前記遮蔽層18と同様である。
遮蔽層19は、本発明においては必須ではないが、遮蔽層19を設けることにより秘密情報のセキュリティ性がさらに向上する。すなわち、遮蔽層19が設けられていることにより、感熱記録多重シートを第一の基材12側から見た場合に、第一の基材12の内側の第一の感熱記録層13に記録された秘密情報が透けて見える可能性を低減できる。
【0065】
本態様の感熱記録多重シート11は、たとえば以下のようにして使用できる。すなわち、感熱記録多重シート11に対し、感熱記録装置を用いて感熱記録処理を行うことにより、第一の感熱記録層13に開示情報および非開示情報を同時に記録し、情報記録物を得る。
このとき、第二の基材16の情報開示部16aの下方に記録された情報(開示情報)は、第二の基材16が光透過性を有するため、外部から視認できる。一方、第二の基材16の情報非開示部16bの下方に記録された情報(非開示情報)は、遮蔽層18により外部から遮られ、視認できないようになっている。また、たとえば該情報記録物を第三者が光に透かして見た時にも、非開示情報が知られてしまう可能性が低い。さらに、遮蔽層19が設けられていることにより、これらの効果がさらに向上している。
そして、記録された非開示情報を知る権利を有する者が、得られた情報記録物を入手し、第二の基材16を遮蔽層18とともに剥離することにより、その下方に記録された非開示情報を視認して非開示情報を得ることができる。
また、このとき、非開示情報を知る権利を有する者が情報記録物を入手する前に第三者が第二の基材16を剥離して見た場合、擬似接着層15aを介して第二の基材16を再貼付することは困難であるため、本人が確認する以前に他者が第二の基材16を剥離して情報非開示部16bを見たかどうかがわかる。
【0066】
≪第二実施形態≫
図3〜4、7〜8に、本発明の感熱記録多重シートの第二実施形態を示す。図3、7は本実施形態の感熱記録多重シート21の上面図であり、図4、8は、図3、7中の位置A−A’における縦断面図である。
感熱記録多重シート21は、第一の基材22の片面上に第一の感熱記録層23が形成された第一の感熱記録シート24の前記第一の感熱記録層23上に、擬似接着層25aを介して、第二の基材26の片面上に第二の感熱記録層27が形成された第二の感熱記録シート28の前記第二の基材26が貼付されたものである。
第二の感熱記録シート28は、情報開示部28aと情報非開示部28bとから構成され、情報開示部28aと情報非開示部28bとの間は、ハーフカット加工29により切断される。
第二の感熱記録シート28上の情報非開示部28bに対応する位置には、遮蔽層30が設けられている。また、第一の基材22上の情報非開示部28bに対応する位置には、第二の遮蔽層31が設けられている。第二の基材22の裏面および第二の遮蔽層31を覆うように紫外線硬化型樹脂層35が設けられる、
第一の感熱記録シート27の表面および第一の遮蔽層30を覆うように紫外線硬化型樹脂層34が設けられる。
紫外線硬化型樹脂層34,35は必須ではないがこれらの層を設けることにより、耐水性、耐傷性、が増し、プラスティックカードに近い性能となるので好ましい。
任意の位置にハーフカット加工29が施され、第二の感熱記録シート28が切断される。
ハーフカット29は必須ではないが第一の感熱記録シー24と第二の感熱記録シート28とを剥離する時、剥離しやすくなるので好ましい。
【0067】
本実施形態の感熱記録多重シート21は、第二の基材26の片面上に第二の感熱記録層27が形成されており、第二の基材26が光透過性を有していなくてもよい点で上記第一実施形態と異なっている。すなわち、第二の基材26上に第二の感熱記録層27が形成されていることにより、開示情報が第一の感熱記録層23および第二の感熱記録層27に同時に記録され、結果、第一の感熱記録層23に記録された開示情報が外部から視認可能に表示されることとなる。
感熱記録多重シート21は、かかる構成を有することにより、情報開示部28aに、よりコントラストの高い明瞭な印字を与えるという利点を有する。
【0068】
第一の基材22、第一の感熱記録層23、第一の感熱記録シート24、擬似接着層25a、擬似接着層25、情報開示部28a、情報非開示部28b、遮蔽層30,31についての説明は、上記第一実施形態における第一の基材12、第一の感熱記録層13、第一の感熱記録シート14、擬似接着層15a、擬似接着層15、情報開示部16a、情報非開示部16b、遮蔽層18,19についての説明と同様である。
【0069】
第二の基材26としては、第一の基材と同様の材料が挙げられるが、第二の基材26は光透過性を有していなくてもよい。
【0070】
第二の感熱記録層27を構成する成分としては、第一実施形態における第一の感熱記録層13と同様のものが挙げられる。
第二の感熱記録層27は、第一の感熱記録層と同様、第二の感熱記録層27を構成する各種成分を含有する塗工液を第二の基材26上に塗工することにより形成できる。
このとき、第二の感熱記録層27の形成は、第二の基材26を、第一の感熱記録層23上に、擬似接着層25を介して貼付した後に行われることが好ましい。これにより、第二の基材26に皺などが生じにくく、外観に優れた感熱記録多重シートが得られる。すなわち、第二の基材26の厚さが薄くなるほど、第一の感熱記録層23の記録濃度が向上するが、加工性が低下する。たとえば紙基材を用いる場合、擬似接着層25を形成する際に水を吸収して、伸び、皺、断紙等が生じる問題があり、フィルム基材を用いる場合にも、フィルムの腰が弱く、皺等の変形が生じたり、扱いにくくなる。これに対し、擬似接着層25を介して貼付した後に第二の基材26上に第二の感熱記録層27を形成することにより、これらの問題を改善できる。
【0071】
本態様の感熱記録多重シート21は、たとえば以下のようにして使用できる。すなわち、感熱記録多重シート21に対し、感熱記録装置を用いて感熱記録処理を行うことにより、第一の感熱記録層23に開示情報および非開示情報を同時に記録し、情報記録物を得る。
このとき、第二の感熱記録シート28の情報開示部28aの下方に記録された情報(開示情報)は、同時に、第二の感熱記録層27にも記録されているため、外部から視認できる。一方、第二の感熱記録シート28の情報非開示部28bの下方に記録された情報(非開示情報)は、遮蔽層30により外部から遮られ、視認できないようになっている。また、たとえば該情報記録物を第三者が光に透かして見た時にも、非開示情報が知られてしまう可能性が低い。さらに、遮蔽層31が設けられていることにより、これらの効果がさらに向上している。
そして、記録された非開示情報を知る権利を有する者が、得られた情報記録物を入手し、第二の感熱記録シート28の情報非開示部28bを遮蔽層30とともに剥離することにより、その下方に記録された非開示情報を視認して非開示情報を得ることができる。
また、このとき、非開示情報を知る権利を有する者が情報記録物を入手する前に第三者が第二の感熱記録シート28の情報非開示部28bを剥離して見た場合、擬似接着層25を介して第二の感熱記録シート28を再貼付することは困難であるため、本人が確認する以前に他者が第二の感熱記録シート28の情報非開示部28bを剥離して見たかどうかがわかる。
さらに、本実施形態においては、情報開示部28aを剥離して保持することができる。具体的には、たとえば第一の感熱記録シート24を領収書等として提供し、剥離した情報開示部28aをその控えとして保持することができる。
【0072】
本発明の感熱記録多重シートは上述した実施形態に限定されない。
例えば、第一および第二の実施形態においては、第二の基材がハーフカット加工により切断されているが、本発明はこれに限定されず、たとえば第二の基材にミシン目等を設けることにより切断可能とされていてもよい。
また、第一および第二の実施形態においては、第二の感熱記録層に記録される秘密情報が裏側から見えないように、第一の基材の裏面の前記情報非開示部に対応する位置に第二の遮蔽層が設けられているが、本発明はこれに限定されず、第二の遮蔽層が第一の基材上全体に設けられていてもよい。また、第二の遮蔽層が設けられていなくてもよく、たとえば第一の基材として、第一の感熱記録層の記録の判別が可能な範囲の色付きの基材や、光透過性を低減するための二酸化チタン等を内添した基材を使用すると、同様の効果が得られる。
また、上述した第一実施形態では、第二の基材16の表面上に遮蔽層18が形成されているが、第二の基材16と遮蔽層18との間に、第二実施形態に示したのと同様に、第二の感熱記録層が設けられていてもよい。
また、上述した第二実施形態においては、第一の感熱記録層23上に、擬似接着層25を介して、第二の感熱記録シート28の第二の基材26が貼付されているが、第二の感熱記録シート28の第二の感熱記録層27が貼付されていてもよい。
また、上述した第二実施形態では、第二の感熱記録層27の表面上に遮蔽層30が形成されているが、第二の感熱記録層27の表面上に、さらに、第一実施形態における第二の基材16と同様の、光透過性を有する基材が擬似接着層を介して貼付されていてもよい。
また、上述した第二実施形態においては、第二の感熱記録シート28が複数枚設けられていてもよい。この場合、遮蔽層30は、最外層の第二の感熱記録層27上に設ければよい。
【0073】
さらに、本発明の感熱記録多重シートにおいては、第一の基材および/または第2の基材上に、遮蔽以外の目的の任意の文字や画像が印刷されていても良い。
また、本発明の感熱記録多重シートにおいては、第一の感熱記録層と第二の基材との間、たとえば第二の基材の擬似接着層側表面や第一の感熱記録層の擬似接着層側表面に、剥離剤層を設けてもよい。剥離剤層は、たとえば、シリコン樹脂、ポリエチレンワックス等の剥離剤を塗布する等により形成できる。
【0074】
本発明の感熱記録多重シートは、さらに、第一の基材と第一の感熱記録層との間に下塗層を設けることができる。下塗層は、通常、顔料および接着剤を主体とし構成される層であり、下塗層としては、従来から公知の感熱記録材料に使用されている下塗層を利用することができる。下塗層の顔料として、シリカ、焼成カオリンなどのような空隙率の高い顔料を使用することにより、その上の感熱記録層の発色感度をあげることができる。また下塗層中にプラスチックピグメント、中空粒子、発泡体などを含有させることにより、下塗層上に形成される感熱記録層の発色感度向上に効果がある。
本発明の感熱記録多重シートは、さらに、第一の感熱記録層および/または第二の感熱記録層の上に保護層を設けることができる。保護層は、通常、顔料および接着剤を主体とし構成される層であり、保護層としては、従来から公知の感熱記録材料に使用されている保護層を利用することができる。保護層には、サーマルヘッドに対するスティッキングを防止する目的で、ポリオレフィンワックス、ステアリン酸亜鉛のような滑剤を添加することが好ましい。また、紫外線吸収剤を含むこともできる。また、光沢のある保護層を設けることにより、製品の付加価値を高めることもできる。保護層は、1層であってもよく、2層以上で構成することもできる。
上記各層を形成する方法としては、エアーナイフ法、ブレード法、グラビア法、ロールコーター法、スプレー法、ディップ法、バー法、およびエクストルージョン法などの既知の塗布方法のいずれを利用してもよい。
また、本発明の感熱記録多重シートは、第一の基材の裏面からの油や可塑剤の浸透の抑制のため、またはカールコントロールのために、第一の基材の裏面上にバック層を設けることもできる。
【0075】
本発明の感熱記録多重シートは、さらに加工を施し、より高い機能を付与した感熱記録体とすることができる。例えば、第一の基材の裏面に粘着剤、再湿接着剤、ディレードタック型の粘着剤などによる塗布加工を施すことにより、粘着紙、再湿接着紙、ディレードタック紙として使用することができる。また、裏面に磁気加工を施すことにより、裏面に磁気記録可能な層(磁気記録層)を有する感熱記録体とすることができる。また、表面の一部に、たとえばストライプ状に磁気記録層を設けてもよい。
【0076】
また、前述したように、第二の基材は薄ければ薄いほど第一の感熱記録シートに移る熱量が増え、記録が鮮明となるため第二の基材には薄いことが求められる。従来の製造法では第二の感熱記録シートと第一の感熱記録シートとを別個に製造したのち擬似接着加工を施し目的とする複写シートを作るが、坪量5〜40g/m、かつ密度0.85〜1.3g/cm3、好ましくは秤量10〜30g/m、かつ密度0.85〜1.3g/cmという薄手の第二の基材を用いて製造する際に木材パルプを主成分とする基材を用いると、該基材上に水系感熱塗料を塗布する際、基材が吸水して波打、しわなどが入ったり、原紙の紙力が低下し塗有中に紙が切れるなどのトラブルが生じる。
【0077】
更に、坪量5〜40g/m、かつ密度0.9〜1.6g/cm3、好ましくは坪量10〜30g/m、かつ密度0.9〜1.6g/cmという薄手の第二の基材として合成樹脂を主成分とする基材を用いると水系感熱塗料を塗布する際、乾燥工程で熱により伸びたり、薄く扱い難いため部分的に皺が発生したりする問題が生じる。
【0078】
本発明ではかかる課題を解決するため、第一の感熱記録シートの記録層上に擬似接着層を介して、第二の基材として坪量5〜40g/mであり、紙基材にあっては密度0.85〜1.3g/cm、フィルム基材にあっては密度0.9〜1.6g/cm、好ましくは坪量10〜30g/mであり、紙基材にあっては密度0.85〜1.3g/cm、フィルム基材にあっては密度0.9〜1.6g/cmという薄手の木材パルプを主成分とする基材または合成樹脂を主成分とする基材を貼着することにより、第一の感熱記録シート/擬似接着層/第二の基材の積層シートを得る第1工程と、前記第1工程によって得られた積層シートにおける第二の基材面に感熱記録層を形成する第2工程とにより感熱多重記録シートを製造するものである。
【0079】
尚、第二の感熱記録シートは複数枚設けてもよい。この場合、第2工程後に得られた積層感熱記録シートに擬似接着層をさらに設け、基材として坪量5〜40g/m、かつ紙基材にあっては密度0.85〜1.3g/cm、フィルム基材にあっては密度0.9〜1.6g/cm、好ましくは秤量10〜30g/m、かつ紙基材にあっては密度0.85〜1.3g/cm、フィルム基材にあっては密度0.9〜1.6g/cmという薄手の木材パルプを主成分とする基材または合成樹脂を主成分とする基材を接着し、その後、感熱記録層を増設すればよい。
上記の第二の基材は、木材パルプを主成分とするものとしては上質紙、再生紙等の紙が一般的である。また、合成樹脂を主成分とする基材としては、ポリエチレンテレフタレートフィルム,ポリブチレンテレフタレートフィルム,ポリエチレンフィルム,ポリプロピレンフィルム,ポリカーボネートフィルム,ポリウレタンフィルム,ポリイミドフィルム,ポリ塩化ビニルフィルム,セロファン,三酢酸セルロースフィルム,二酢酸等セルロースフィルム,テトラフルオロエチレンフィルム,ポリ弗化ビニリデンフィルム,ポリモノクロロトリフルオロエチレンフィルムが挙げられこれらに白色無機顔料等を含有せしめることも好適である。
【0080】
尚、第一の感熱記録シートの基材としては特に限定されるものではなく、紙、各種合成樹脂が適宜必要に応じて使用されるが紙がもっとも一般的である。また、接着加工適性、取り扱い性などの点から厚みが40〜100μmのものが好ましい。
【0081】
擬似接着剤としては特に制限は無いが、アクリル系、ゴム系、酢酸ビニル系が接着性を任意に幅広くコントロールできるので使用可能であり、これらの水系エマルジョンとしたもの、溶媒として有機溶剤を用いたもの、溶媒を用いないもの、エネルギー線硬化型にしたものなどが用いられる。しかし、特に本発明のように巻き取り状で第二の基材を疑似接着するには接着剤を乾燥後圧着するよりも未乾燥状態で第一の感熱記録シートの感熱記録層上に塗布し、その後乾燥するのが好ましい。使用される接着剤は剛直な疑似接着層が形成できる点で酢酸ビニル系の接着剤がより好ましく使用される。また、塗布量としては1〜5g/m程度が好ましい。
【0082】
また、擬似接着剤による第一の感熱記録シートと第二の感熱記録シートのT型はく離試験法による接着強さが50から1000mN/25mm(引っ張り速度300mm/min.)であることが好ましく、更に、80から600mN/25mm(引っ張り速度300mm/min.)であることがより好ましい。
T型はく離試験法による接着強さが50mN/25mm未満であると第2工程での感熱層塗布時にロール間でストレスにより、第二の感熱記録シートがカールして皺が入り易く、剥離してしまうという問題が生じる恐れがある。
またT型はく離試験法による接着強さ1000mN/25mmより大きいと、はがす時に破れが生じる恐れがあり、流れ方向に強いカールが付き筒状になり易いという恐れがある。
T型はく無試験法による接着強さをコントロールするには、使用される接着剤の種類や第二の基材への浸透性、塗布量、塗布してから張り合わせるまでの時間、乾燥温度などによって適宜調節することができる。
【0083】
尚、T型はく離試験法による接着強さの測定は以下の方法を用いて測定した。
・T型はく離試験法による接着強さ
試料を23℃、50%RHの環境下に24時間以上放置した後、ISO 11339: 2003に準じて、300mm/minの引張速度で剥無試験を行った。接着強さは試験サンプル巾25mm当りのmNで示した。
【0084】
接着加工方法としては通常本業界で使用される、ウエットラミネーション、ドライラミネーション等の手段が用いられる。すなわち、第二の基材の裏面に擬似接着糊を塗布乾燥後、第一の感熱記録シートと加圧または加熱により貼り合わせても良いし、第一の感熱記録シートの感熱記録面に擬似接着糊を塗布乾燥後、第二の基材の裏面と加圧または加熱により貼り合わせても良い。更に、前述したように本発明では擬似接着糊を塗布後未乾燥状態で貼り合わせた後乾燥するウエットラミネーションは糊の圧着工程が省略できるため好ましい方法である。尚、ウエットラミネーションで接着層を形成する場合は第二の基材は紙が好ましい。
【0085】
本発明の感熱記録層の感熱発色成分は、従来公知の発色系が適用される。代表的には口イコ染料と電子受容性物質との反応によるもの、イミノ化合物とイソシアナート化合物との反応によるもの、長鎖脂肪酸鉄塩と多価フェノールとの反応によるものがあるが、特にロイコ染料と電子受容性物質との反応によるものが好適に用いられる。
【0086】
ロイコ化合物と該ロイコ化合物と接触してこれを発色させる電子受容性の化合物とを主成分とする塗工層からなる感熱記録層は、ロイコ化合物と電子受容性の化合物と結合剤とを必須の成分とし、これに公知の添加剤、例えば、顔料,界面活性剤,熱可融性物質(滑剤)等を混合した塗工剤による塗工層として形成される。
【0087】
ロイコ化合物は単独でもあるいは2種以上の混合物であっても良く、前述した第一の感熱記録層13と同様のものが挙げられる。
【0088】
前述のロイコ化合物と接触してこれを発色させる電子受容性の顕色剤は特に限定するものではないが、前述した第一の感熱記録層13と同様のものが挙げられる。
【0089】
顕色材は通常、染料前駆体の合計100質量部に対し、100〜700質量部の量で用いられることが好ましく、より好ましくは150〜400質量部の割合で使用される。もちろん必要に応じて、2種類以上の顕色剤を併用することもできる。
【0090】
本発明においては、主に発色記録画像の保存性向上のために、画像安定化剤を用いてもよい。このような画像安定化剤としては、前述した第一の感熱記録層13と同様のものが挙げられる。もちろん、画像安定化剤はこれらに限定されるものではなく、又必要に応じて2種類以上の化合物を併用することもできる。
【0091】
感熱記録体の感熱記録層の発色感度を調節するために、感熱記録層に熱可融性物質を増感剤として含有させることができる。増感剤としては、従来から感熱記録体の増感剤として知られている化合物を使用することができ、前述した第一の感熱記録層13と同様のものが挙げられる。
【0092】
本発明において使用される顕色剤、画像安定化剤および増感剤などの添加剤は、染料前駆体を固体微粒子状態で使用する時と同じ方法で水中に分散させ、感熱記録層形成塗料の調製の際にこれに混合すればよい。また、これらの添加剤を溶剤に溶解し、水溶性高分子化合物を乳化剤として用いて水中に乳化して使用することもできる。
【0093】
本発明においては、感熱記録層の白色度向上、および画像の均一性向上のため、白色度が高く、平均粒径が10μm以下の微粒子顔料を感熱記録層に含有させることができる。前述した第一の感熱記録層13と同様のものが挙げられる。サーマルヘッドに対するかす付着、およびスティッキングの防止のためには、吸油量が50ml/100g以上の顔料を使用することが好ましい。顔料の配合量は、発色濃度を低下させない程の量、すなわち、感熱記録層の全固形分重量に対して50質量%以下であることが好ましい。
【0094】
本発明において、感熱記録層を構成する他の成分材料として、接着剤が用いられ、さらに必要により、架橋剤、ワックス類、金属石鹸、有色染料、有色顔料、および蛍光染料などを用いることができる。接着剤としては、前述した第一の感熱記録層13と同様のものが挙げられる。
【0095】
また、感熱記録層の耐水性を向上させるために、接着剤を三次元硬化させるための架橋剤を感熱記録層中に含有させることができる。前述した第一の感熱記録層13と同様のものが挙げられ、その中から選ばれた少なくとも1種の架橋性化合物を感熱記録層の全固形分重量に対し1〜10重量%の範囲で用いることが好ましい。
【0096】
また感熱記録層にはワックス類を添加することもでき、例えば、パラフィンワックス、カルナパロウワックス、マイクロクリスタリンワックス、ポリオレフィンワックス、およびポリエチレンワックスなどのワックス類、並びに例えばステアリン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミドなどの高級脂肪酸アミド、高級脂肪酸エステル、およびその誘導体などをあげることができる。特にメチロール化脂肪酸アミドを感熱記録層に添加すると、耐地肌かぶり性を悪化せずに増感効果を得ることができる。
【0097】
感熱記録層に添加できる金属石鹸としては、高級脂肪酸多価金属塩、例えばステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸カルシウム、およびオレイン酸亜鉛等をあげることができる。また必要に応じて、本発明の効果を損なわない範囲で、感熱記録層中に、さらに撥油剤、消泡剤、粘度調節剤など各種添加剤を添加することができる。
【0098】
感熱記録層に使用するロイコ染料、顕色剤、その他各種成分の種類や量は目的に応じて適宜調整されるものであるが、通常、ロイコ染料100質量部に対し、顕色剤が100〜700質量部、増感剤が25〜500質量部、微粒子顔料が10〜500質量部、接着剤は全固形分の10〜25質量%程度が使用される。
【0099】
本発明においてはさらに加工を施し、より高い機能を付与した多層感熱記録体とすることができる,例えば、第一の基材の裏面に粘着剤、再湿接着剤、ディレードタック型の粘着剤などによる塗布加工を施すことにより粘着紙、再湿接着紙、ディレードタック紙として使用することもでき、或は磁気加工を施すことにより裏面に磁気記録可能な層を有する感熱記録体とすることができる。
【0100】
本発明においては、感熱記録層の上に保護層を設けたり、第一の感熱記録層の下に下塗層を設けることができる。これらの追加層として、従来から公知の感熱記録材料に使用されている保護層、および下塗層を利用することができる。保護層、および下塗層は、ともに顔料、および接着剤を主体とし構成される。特に保護層には、サーマルヘッドに対するスティッキングを防止する目的で、ポリオレフィンワックス、ステアリン酸亜鉛のような滑剤を添加することが好ましく、紫外線吸収剤を含むこともでき、またこれを2層以上に構成することもできる。また光沢のある保護層を設けることにより、製品の付加価値を高めることもできる。
【0101】
下塗り層には、シリカ、焼成カオリンなどのような空隙率の高い顔料を使用することにより、その上の感熱記録層の発色感度をあげることができる。また下塗り層中にプラスチックピグメント、中空粒子、発泡体などを含有させることもその上に形成される感熱記録層の発色感度向上に効果がある。
【0102】
本発明の感熱記録層上にUV硬化樹脂、EB硬化樹脂を含む保護層を設けることもできる,保護層にシリコンなどの離型剤を用い、感熱記録シートの裏面に粘着加工を施すことにより本発明の感熱記録材料をライナーレスの粘着ラベルとして利用することもできる。
【0103】
更に第一の感熱記録シートの基材の感熱記録層付設面及び/又は感熱記録面に擬似接着剤を設ける前にあらかじめ必要な情報を印刷したり、第二の基材の感熱記録層付設面に感熱記録層を敷設する前にあらかじめ印刷を施し、これら印刷情報を隠蔽するために第二の感熱記録シートの感熱記録層に遮蔽印刷を施すことなどにより偽造防止などの効果が期待でき、その使用範囲が格段に増すので好ましい。
【0104】
基材上に上記各層を形成する方法としては、エアーナイフ法、ブレード法、グラビア法、ロールコークー法、スプレー法、ディップ法、バー法、およびエクストルージョン法などの既知の塗布方法のいずれを利用してもよい。感熱記録層用塗料は、第二の感熱記録層、第一の感熱記録層とも基材の一表面に乾燥後の質量が1〜10g/mとなるように塗布され、それによって感熱記録層が形成される,また、記録材料裏面からの油や可塑剤の浸透を抑制させることや、又はカールコントロールのためにバック層を設けることもできる。また感熱記録層をスーパーカレンダーやソフトカレンダーなどの既知の平滑化方法を用いて平滑化処理することは、その発色感度を高める事に効果がある。感熱記録層表面を、カレンダーの金属ロールおよび弾性ロールのいずれに当てて処理してもよい。
【0105】
本発明の感熱記録物の製造方法は、第一の基材の片面上に第一の感熱記録層が形成された第一の感熱記録シートと、前記第一の感熱記録層上に擬似接着層を介して積層された、第二の基材の片面上に第二の感熱記録層が形成された第二の感熱記録シートとを備える感熱記録多重シートを用いて行われる方法であり、下記の2つの工程を有することを特徴とする。
・前記感熱記録多重シートに対し、該感熱記録多重シートの前記第二の感熱記録層側から、前記第二の感熱記録層が発色し、かつ前記第一の感熱記録層が発色しない熱エネルギーT1により感熱記録を施すことにより、前記第二の感熱記録層に記録Aを記録する工程(以下、工程Aということがある)。
・前記感熱記録多重シートに対し、該感熱記録多重シートの前記第二の感熱記録層側から、前記第一の感熱記録層が発色する熱エネルギーT2により感熱記録を施すことにより、前記第一の感熱記録層に、前記記録Aとは異なる記録Bを記録する工程(以下、工程Bということがある)。
【0106】
工程Aにおいては、熱エネルギーT1により第二の感熱記録層に記録Aが記録される。
記録Aとしては、特に制限はなく、任意の文字や画像であってよい。特に、本発明の製造方法においては、第一の感熱記録層のみに記録された情報、たとえば各種個人情報や秘密情報に対するセキュリティ性の高い情報記録物を得るために、記録Aが、目隠し印字部であることが好ましい。これにより、印刷等の他の記録方式により、第二の感熱記録層上に別途目隠し印字部を形成しなくてもよく、より生産性が向上し、コストが低減される。
また、目隠し印字部が第二の感熱記録層に形成されることにより、たとえば印刷等により第二の感熱記録層上に目隠し印字部を形成する場合に比べて、第一の感熱記録層へ感熱記録の際に熱の伝達が阻害されにくく、高い記録濃度で感熱記録できる。
目隠し印字部は、第二の感熱記録層全体に設けてもよく、一部に設けてもよい。
また、目隠し印字部は、塗りつぶした状態であってもよく、所定の形状のパターン(たとえば帯状、網目状、千鳥状、スポット状、文字、地紋等)が複数配置されたものであってもよい。
【0107】
また、第一の感熱記録層に記録される記録Bが、後述するように、開示情報と非開示情報とから構成される場合は、第二の感熱記録層の、前記非開示情報に対応する位置(情報非開示部)に目隠し印字部を設けることが好ましい。これにより、工程Bにおいて、熱エネルギーT2による感熱記録により、開示情報が第一の感熱記録層に記録されると同時に第二の感熱記録層にも記録される一方、非開示情報は、第一の感熱記録層には記録されるものの、第二の感熱記録層には判別可能な程度に記録されないようにすることができる。
そのため、得られる感熱記録物は、領収書、給与明細書、各種通知書、健康診断結果通知書等のように、多重シートの内部には秘密情報が記録され、その表面には誰でも確認できる開示情報が記録された情報記録物として広く利用できる。
この場合、目隠し印字部は、少なくとも、情報非開示部全体に設けられることが好ましく、たとえば、目隠し印字部の位置と情報非開示部の位置とが完全に一致していてもよく、また、目隠し印字部の方が情報非開示部より大きくても良い。
目隠し印字部は、情報非開示部の全面にわたって形成されていてもよく、上述のような所定の形状のパターンが複数、情報非開示部に設けられていてもよい。
【0108】
工程Bにおいては、熱エネルギーT2により第一の感熱記録層に記録Bが記録される。
このとき、たとえば第二の感熱記録層に目隠し印字部が設けられていない場合は、熱エネルギーT2により第二の感熱記録層にも同じ記録Bが記録され、記録Bが外部から視認できる。
工程Bにおいて、熱エネルギーT2により第一の感熱記録層に記録される記録Bとしては、前記記録Aと異なっていれば特に制限はなく、任意の文字や画像であってよい。
記録Bとしては、特に文字情報、たとえば領収書、給与明細書、各種通知書、健康診断結果通知書等に記載されているような情報が好ましい。これらの情報は、通常、個人情報、秘密情報など、外部から視認できないようにしたい情報(非開示情報)と、該非開示情報を知る権利を有する個人の氏名、住所など、外部から視認できるようにしたい情報(開示情報)とから構成されている。
【0109】
本発明において、工程Aと工程Bとは別個に行ってもよく、同時に行ってもよい。
ここで、「別個に行う」とは、サーマルヘッドで、記録Aを記録した後記録Bを記録するか、または記録Bを記録した後記録Aを記録することを意味する。このとき、記録Aの記録と記録Bの記録とは、直列に配された2つのサーマルヘッドを用いて行うことができる。また、1つのサーマルヘッドで、一方の記録を行った後、熱エネルギーを代えて他方の記録を行ってもよい。
また、「同時に行う」とは、1つのサーマルヘッドで、熱エネルギーT1による記録Aの記録と、熱エネルギーT2による記録Bの記録とを同時進行させることを意味する。
工程Aと工程Bとを別個に行う場合、まず工程Aを行ってから工程Bを行ってもよいし、逆に、工程Bを行ってから工程Aを行ってもよく、どちらでも良い。
【0110】
本発明に用いられる感熱記録多重シートは上記の例に限定されない。
例えば、上記の例においては、情報開示部と情報非開示部との間がハーフカット加工により切断されているが、本発明はこれに限定されず、たとえばハーフカット加工が施されていなくてもよく、また、ハーフカット加工に代えて、ミシン目等を設けることにより切断可能とされていてもよい。
また、上記の例においては、第一の感熱記録層23に記録される秘密情報が裏側から見えないように、第一の基材22の裏面の前記情報非開示部28bに対応する位置に遮蔽層31が設けられているが、本発明はこれに限定されず、遮蔽層31が第一の基材22上全体に設けられていてもよい。また、遮蔽層31が設けられていなくてもよく、たとえば第一の基材22として、第二の感熱記録シートを剥離した際に第一の感熱記録層の記録が判別が可能な程度の色付きの基材や、光透過性を低減するための二酸化チタン等を内添した基材を使用すると、同様の効果が得られる。
【0111】
また、上記の例においては、第一の感熱記録層23上に、擬似接着層25を介して、第二の感熱記録シート28の第二の基材26が貼付されているが、第二の感熱記録シート28の第二の感熱記録層27が貼付されていてもよい。
また、第二の感熱記録層27の表面上に、さらに光透過性を有する基材が擬似接着層を介して貼付されていてもよい。
また、第一の感熱記録シート24および第二の感熱記録シート28は、それぞれ、複数枚設けられていてもよく、たとえば熱エネルギーT1および/またはT2による感熱記録により複数枚に同じ情報が記録されてもよい。
さらに、本発明においては、たとえば、第二の感熱記録シート28上に更に第三の感熱記録シートが擬似接着層を介して同様な方法で設けた感熱記録多重シートを用い、該感熱記録多重シートに対し、上述した熱エネルギーT1および/またはT2による感熱記録に加え、第二の感熱記録シートが発色しないが第三の感熱記録シートが発色する熱エネルギーT3による感熱記録を施すことにより、3枚の異なった記録を得ることも可能である。
【0112】
本発明の情報記録物の製造方法は、第一の基材の片面上に情報が記録された情報記録層が形成された第一のシートの前記情報記録層上または前記第二のシート上に、疑似接着剤を含有する塗工液を塗工して塗工層を形成し、該塗工層が湿潤状態にあるうちに、該塗工層を介して第一のシートと第二のシートとを貼り合わせた後、前記塗工層を乾燥して疑似接着層を形成することにより行われる。
また、本発明の情報記録物は、本発明の情報記録物の製造方法により製造されるものである。
【0113】
以下、図面を用いて本発明の情報記録物の製造方法および情報記録物をより詳細に説明する。
図12は、本発明の第一実施形態により製造される情報記録物の構成を示す概略断面図である。本実施形態において製造される情報記録物110は、第一の基材111と、該第一の基材111の片面上に形成された情報記録層112とからなる第一のシート113の前記情報記録層112上に、擬似接着層114を介して、第二のシート115が貼付されたものである。
かかる情報記録物110の製造は、たとえば以下の工程(1)〜(2)により行うことができる。
工程(1):第一の基材111の片面上に情報が記録された情報記録層112が形成された第一のシート113を用意する工程。
工程(2):第一のシート113の情報記録層112上に、疑似接着剤を含有する塗工液を塗工して塗工層を形成し、該塗工層が湿潤状態にあるうちに該塗工層上に第二のシート115を貼付した後、前記塗工層を乾燥して疑似接着層114を形成する工程。
【0114】
以下、各工程について説明する。
・工程(1)
情報記録層112の形成には、一般的に情報の記録に用いられている記録方式を用いることができ、たとえば(1)印刷方式、および(2)感圧記録方式、感熱記録方式、熱転写記録方式、インクジェット記録方式、磁気記録方式等により、当該記録方式に対する記録適性を備えたシートに対して記録を行う方式等が挙げられる。
これらの記録方式は、いずれか1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用しても良い。
これらの中で、(1)の印刷方式は、第一の基材上に直接情報記録層を形成でき、所定のパターンを形成しやすく、コストも低い等の点から好ましい。
また、(2)の方式のうち、印刷等に比べて、即時性が優れていることから、インクジェット記録方式または熱転写記録方式が好ましい。すなわち、印刷のように予め版を製造しなくてもよいため、図柄の変更を即時に行うことができる。
【0115】
(1)の印刷方式としては、たとえばオフセット印刷方式、グラビア印刷方式、フレキソ印刷方式等の通常の方法を適用することができる。
【0116】
(2)の方式において、「記録適性を備えたシート」としては、用いる記録方式によって異なるものが用いられる。
たとえばインクジェット記録方式においては、一般に、インク吸収性を具備するように、シリカなどの多孔性顔料およびバインダーが内添されたシートや、それらの成分を含有する記録層が基材上に設けられたシートなどが用いられている。これらのシートには、さらに、印字の耐水性を高めるために染料固着剤なども適宜添加されている。
ここで使用されるシリカなどの多孔性顔料としては、100ml/100g以上の吸油量を有するものが好ましく、かかる多孔性顔料としては無定形シリカなどが挙げられる。
バインダーとしては、たとえばポリビニルアルコール、カチオン変性ポリビニルアルコールなどが挙げられる。
染料固着剤としては、たとえばポリエチレンイミン、ポリビニルピリジン、ポリジアルキルアミノエチルメタクリレートなどのカチオン性吸着剤が挙げられる。
また、熱転写記録方式においては、インクの受理性を向上させるため、シリカ、合成ケイ酸アルミニウム等の多孔性顔料と上記と同様のバインダーとが内添されたシートや、それらの成分を含有する記録層が基材上に設けられたシートなどが用いられている。
記録層が設けられたシートの場合、記録層は、単一の層であってもよく、また、組成の異なる二層以上の多層であってもよい。
【0117】
情報記録層112に記録される情報としては、特に制限はない。たとえば各種親展ハガキにおいて記載されているような特定個人に対する情報(たとえば電気・ガス・水道・電話等の公共料金の通知・請求、暗証番号やパスワードなどの秘密情報等)や、種々のダイレクトメールに記載されているようなある程度の人数に対する共通した固定情報(たとえば店舗から顧客に対して提供される各種案内、カタログ等)などが記録できる。
【0118】
・工程(2)
次いで、工程(2)を行う。工程(2)では、第一のシート113の情報記録層112上に、疑似接着剤を含有する塗工液を塗工して塗工層を形成し、該塗工層が湿潤状態にあるうちに該塗工層上に第二のシート115を貼付した後、前記塗工層を乾燥して疑似接着層114を形成する。つまり、本発明においては、擬似接着層14がウエットラミネート法により形成される。
ウェットラミネート法は、上述したようなドライラミネート法の場合に比べて、様々な利点を有する。たとえば、貼り合わせに強い圧力を必要とせず、たとえばドライラミネート法では通常20kg/cm程度の圧力で圧着する必要があるが、ウェットラミネート法ではほとんど圧力を必要とせず、1kg/cm以下程度でも充分に擬似接着できる。また、ドライラミネート法の場合に比べて擬似接着層114の塗工量が少なくてよい。また、第二のシート115のと貼り合わせや乾燥に要する時間が短いなど、製造コストが低い。また、大きな圧力を必要としないため、広幅の原紙を用いて製造することができる。そのため、高速での大量生産が可能であるなど、生産性が高く、製造コストも低い。
【0119】
工程(2)は、一般的にウェットラミネート法に用いられている装置を用いて行うことができる。
図13は、本発明において工程(2)に好適に用いられる装置の一例を示す概略構成図である。この装置120は、基本的に、第一のシート113または第二のシート115を供給する繰出部121,122と、塗工液を塗工する塗工部(ロールコーター)123と、2つのロール(ラバーロールおよびスチールロール)から構成される貼合部124と、乾燥部125と、巻取部126とを備えている。
この装置120においては、たとえば、繰出部121から第一のシート113を供給し、塗工部123で、第一のシート113の情報記録層側の表面上に、擬似接着層を形成するための塗工液(擬似接着層形成用塗工液)を塗工して塗工層を形成した後、該塗工層が湿潤状態にあるうちに、貼合部124で、塗工層上に第二のシート115を貼付する。次いで、得られた積層体を乾燥部125で熱風等により加熱し、塗工層を乾燥することにより擬似接着層を形成し、情報記録物110を得る。得られた情報記録物110は巻取部126で巻き取られる。
ここで、第一のシート113と第二のシート115とは逆でも良い。すなわち、繰出部122から第一のシート113を供給し、繰出部121から第二のシート115を供給することにより情報記録物110を製造しても良い。
【0120】
このようにして得られる情報記録物110は、擬似接着層114を介して第一のシート113と第二のシート115とを剥離後再貼付することは困難であるため、情報記録層に記録されている情報を知る権利を有する者が情報記録物を入手する前に第三者が第一のシート113と第二のシート115とを剥離してその情報を見たかどうかがわかるなどセキュリティ性の高いものであり、多様な用途に用いることができる。
情報記録物110は、特に、情報記録物110の表面に種々の情報(たとえば情報記録層に記録された情報を通知する個人の氏名や住所、差出人に関する情報など)を記録して、電気・ガス・水道・電話等の公共料金の通知・請求等に用いられる各種親展ハガキや、種々のダイレクトメール等のハガキとして使用されることが好ましい。
【0121】
本発明においては、さらに加工を施し、より高い機能を付与した情報記録物とすることができる。例えば、第一の基材の裏面に粘着剤、再湿接着剤、ディレードタック型の粘着剤などによる塗布加工を施すことにより、粘着紙、再湿接着紙、ディレードタック紙として使用することができる。
【実施例】
【0122】
以下、実施例を示して本発明をより具体的に説明するが、本発明は、これらの例に限定されるものではない。また、特に断りのない限り、例中の「部」および「%」はそれぞれ「質量部」および「質量%」を示す。
実施例1
図3,4に示す構成の感熱記録多重シートを以下の手順で作成した。
<感熱発色成分の調整>
(1)A液調製(ロイコ染料の分散)
3−ジ(n−ブチル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン20部、メチルセルロースの5%水溶液5部及び水15部からなる組成物をサンドミルで平均粒子径が1.0μmになるまで粉砕した。
(2)B液調製(顕色剤の分散)
ビス(3−アリル−4−ヒドロキシフェニル)スルホン20部、メチルセルロースの5%水溶液5部及び水15部からなる組成物をサンドミルで平均粒子径が1.0μmになるまで粉砕した。
(3)C液調製(増感剤の分散)
1,2−ジ(3−メチルフェノキシ)エタン20部、メチルセルロースの5%水溶液5部及び水15部からなる組成物をサンドミルで平均粒子径が1.0μmになるまで粉砕した。
【0123】
<感熱記録層用塗工液の調製>
シリカ(商品名:ミズカシルP−527、水沢化学製)の30質量%分散液60部、A液20部、B液50部、C液10部、ステアリン酸亜鉛の水分散液(商品名:ハイドリンZ−7−30、固形分31.5質量%、中京油脂社製)13部、SBRラテックス(商品名:L−1571、濃度48%、旭化成社製)40部、およびケイ素変性ポリビニルアルコール(商品名:R−1130、分子量1700、クラレ社製))の10質量%水溶液40部を混合攪拌して感熱記録層用塗工液を得た。
【0124】
<第一の感熱記録シートの作成>
坪量50g/mの上質紙(中性紙)、厚み62μmの一方の面に、上記の感熱記録層用塗工液を、グラビアコーターで乾燥後の塗布量が5g/mとなるように塗布乾燥して第一の感熱記録層を形成した後、スーパーキャレンダーを施して第一の感熱記録シートを得た。
【0125】
<積層シートの形成>
第一の感熱記録層上に、グラビアコーターで、擬似接着糊(商品名:フルタイトFB131(酢酸ビニル系接着剤)、有効成分44%(残部成分:水)、三井物産ソルベントコート株式会社製)を、乾燥後の塗工量が2g/mとなるように塗工した後、該塗工層上に、第二の基材としてグラシン紙(坪量25g/m、密度0.92g/m)を貼付し、乾燥することにより、第一の感熱記録シート/擬似接着層/第二の基材の積層シート(1)を得た。
次に、得られた積層シート(1)の第二の基材上に、グラビアコーターで、上記の感熱記録用塗液を、乾燥後の塗工量が5g/mとなるように塗工、乾燥して第二の感熱記録層を形成した後、スーパーキャレンダーを施して、第一の感熱記録シート/擬似接着層/第二の感熱記録シートの積層シート(2)を得た。この時、第一の感熱記録シートと第二の感熱記録シートとの間のT形はく離試験法による接着強さは480mN/25mm(はく離速度300mm/min.)であった。
【0126】
<遮蔽層の形成>
得られた積層シート(2)の第一の基材上および第二の感熱記録層上に、フレキソ印刷により、黒色インクで、印字率90%の網目状パターンを印刷し、図3に示す形状の遮蔽層を形成した。
【0127】
〈紫外線硬化型樹脂層の形成〉
遮蔽層を形成された積層シートの(2)の第一の基材上および第二の感熱記録層上に、フレキソ印刷により、紫外線硬化型インク(商品名:UV MC−315ニス T&K TOKA製)で全面印刷し、図4に示す形状の紫外線硬化型樹脂層を形成した。
【0128】
<ハーフカット加工>
次いで、第二の感熱記録シートにハーフカット加工を施し、感熱記録多重シートを得た。
【0129】
実施例2
実施例1で調製したA〜C液および感熱記録層用塗工液を用い、図1,2に示す構成の感熱記録多重シートを以下の手順で作成した。
<第一の感熱記録シートの作成>
坪量50g/mの上質紙(中性紙)、厚み62μmの一方の面に、上記の感熱記録層用塗工液を、グラビアコーターで乾燥後の塗布量が5g/mとなるように塗布乾燥して第一の感熱記録層を形成した後、スーパーキャレンダーを施して第一の感熱記録シートを得た。
<積層シートの形成>
第一の感熱記録層上に、グラビアコーターで、擬似接着糊(商品名:フルタイトFB131(酢酸ビニル系接着剤)、有効成分44%(残部成分:水)、三井物産ソルベントコート株式会社製)を、乾燥後の塗工量が2g/mとなるように塗工した後、該塗工層上に、第二の基材としてグラシン紙(坪量25g/m、密度0.92g/m)を貼付し、乾燥することにより、第一の感熱記録シート/擬似接着層/第二の基材の積層シート(1)を得た。この時、第一の感熱記録シートと第二の基材との間のT形はく離試験法による接着強さは480mN/25mm(引っ張り速度300mm/min.)であった。
<遮蔽層の形成>
得られた積層シート(1)の第一の基材および第二の基材上に、フレキソ印刷により、黒色インクで、印字率90%の網目状パターンを印刷し、図2に示す形状の遮蔽層を形成した。
【0130】
〈紫外線硬化型樹脂層の形成〉
遮蔽層を形成された積層シート(1)の第一の基材上および第二の基材上に、フレキソ印刷により、紫外線硬化型インク(商品名:UV MC−315ニス T&K TOKA製)で全面印刷し、図2に示す形状の紫外線硬化型樹脂層を形成した。
<ハーフカット加工>
次いで、ハーフカット加工を施し、感熱記録多重シートを得た。
【0131】
実施例3
実施例1で調製したA〜C液および感熱記録層用塗工液を用い、実施例1と同様の方法で第一の感熱記録シートを作成した。
《第1工程:第一の感熱記録シート/擬似接着層/第二の基材の積層シートの作成》
ラミネ一ターを用いて第一の感熱記録シートの感熱記録層上にグラビアコーターで擬似接着糊(三井物産ソルベントコート株式会社製 フルタイトFB2403 アクリル系 有効成分33%)を乾燥固形量で2g/m塗布し乾燥した後、第二の基材としてグラシン紙、秤量25g/m(密度0.92g/m3)を圧着し、第一の感熱記録シート/擬似接着層/第二の基材の積層シートを得た。
【0132】
《第2工程:感熱多重記録シートの作成》
第1工程で得た積層シートの上に上記の感熱記録用塗液をグラビアコーターで乾燥後の塗布量が5g/mとなるように塗布乾燥して感熱記録層を形成した後、スーパーキャレンダーを施し実施例3の感熱多重記録シートを得た。この時のT型はく離試験法による接着強さは480mN/25mm(引っ張り速度300mm/min.)であった。
【0133】
実施例4
実施例3の《第1工程:第一の感熱記録シート/擬似接着層/第二の基材の積層シートの作成》において擬似接着糊(三井物産ソルベントコート株式会社製 フルタイトFB2403 アクリル系 有効成分33%)に代えて、擬似接着糊(三井物産ソルベントコート株式会社製 フルタイトFB1708 ゴム系 有効成分30%)とした以外は実施例3と同様にして実施例4の感熱多重記録シートを得た。この時のT型はく離試験法による接着強さは320mN/25mm(引っ張り速度300mm/min.)であった。
【0134】
実施例5
実施例3の《第1工程:第一の感熱記録シート/擬似接着層/第二の基材の積層シートの作成》において、ラミネーターを用いて第一の感熱記録シートの感熱記録層上にグラビアコーターで擬似接着糊(三井物産ソルベントコート株式会社製 フルタイトFB131 酢酸ビニル系 有効成分44%(残部成分:水))を乾燥固形量で3g/m塗布した後未乾燥状態で、グラシン紙、坪量25g/m(密度0.92g/m)を圧着したのち乾燥し、第一の感熱記録シート/擬似接着層/第二の基材の積層シートを得た以外は実施例3と同様にして実施例5の感熱多重記録シートを得た。この時のT型はく離試験法による接着強さは250mN/25mm(引っ張り速度300mm/min.)であった。
【0135】
実施例6
実施例5において、擬似接着糊(三井物産ソルベントコート株式会社製 フルタイトFB131.酢酸ビニル系 有効成分44%(残部成分:水))を乾燥固形量で4.3g/m塗布した以外は実施例5と同様にして実施例6の感熱多重記録シートを得た。この時のT型はく離試験法による接着強さは870mN/25mm(引っ張り速度300mm/min.)であった。
【0136】
実施例7
実施例3において、グラシン紙、坪量25g/m2(密度0.92g/m)に代えてポリプロピレンフィルム、坪量25g/m(密度0.93g/m3)にした以外は実施例3と同様にして実施例7の感熱多重記録シートを得た。この時のT型はく離試験法による接着強さは550mN/25mm(引っ張り速度300mm/min.)であった。
【0137】
実施例8
実施例5において、擬似接着糊(三井物産ソルベントコート株式会社製 フルタイトFB131 酢酸ビニル系 有効成分44%(残部成分:水))を乾燥固形量で5.7g/m塗布した以外は実施例5と同様にして実施例8の感熱多重記録シートを得た。この時のT型はく離試験法による接着強さは1300mN/25mm(引っ張り速度300mm/min.)であった。
【0138】
実施例9
実施例5において、擬似接着糊(三井物産ソルベントコート株式会社製 フルタイトFB131 酢酸ビニル系 有効成分44%(残部成分:水))を乾燥固形量で0.8g/m塗布した以外は実施例5と同様にして実施例9の感熱多重記録シートを得た。この時のT型はく離試験法による接着強さは42mN/25mm(引っ張り速度300mm/min.)であった。
【0139】
比較例1
上葉感熱紙の支持体(第二の基材)としてグラシン紙、坪量25g/m(密度0.92g/m)に上記感熱記録用塗液をグラビアコーターで乾燥後の塗布量が5g/mとなるように塗布乾燥したが、断紙、吸水皺が発生し、工業的に感熱多重記録シートを得ることができなかった。
【0140】
比較例2
上葉感熱紙の支持体(第二の基材)としてポリプロピレンフィルム、坪量25g/m(密度0.93g/m)に上記感熱記録用塗液をグラビアコーターで乾燥後の塗布量が5g/mとなるように塗布乾燥したが、熱によるひずみ伸び皺が発生し、工業的に熱多重記録シートを得ることができなかった。
【0141】
《実施例3〜9の評価結果》
かくして得られた実施例3〜7の感熱多重記録シートは製造時に第二の感熱記録シートの皺や波打ち、熱変形もなく、感熱プリンター(エプソン株式会社:M−165A)にて印字した2枚の剥離性も良好でかつ第二の感熱記録シートおよび第一の感熱記録シートとも明瞭で合同な記録が得られた。特にウエットラミネーションで疑似接着剤を塗布した実施例5および6は第一の基材を圧着する工程が省け、巻取り状の感熱多重記録シートを効率的に生産することができるだけでなく、疑似接着剤として酢酸ビニルを使用しているため、第二の感熱記録層を塗布する前の基材が剛直で取扱いがし易い優れた生産性を有する生産方法であった。
なお、実施例8ではT型はく離試験法による接着強さが強いため剥離性にやや難があり、上葉感熱紙を剥離する際、極一部に破れが認められたが、使用可能範囲であった。更に実施例9ではT型はく離試験法による接着強さが弱いため、第2工程の感熱層塗布時にロール間でのストレスにより、極一部に剥離による皺が生じたが、使用可能範囲であった。
【0142】
実施例10
≪感熱発色性擬似接着糊の調製≫
擬似接着糊(商品名:フルタイトFB131(酢酸ビニル系接着剤)、有効成分44%、三井物産ソルベントコート株式会社製)100部、A液10部、B液20部、C液10部からなる組成物を混合撹拌して擬似接着糊を得た。
【0143】
≪積層シート(1)の形成≫
ラミネーターを用いて、第一の基材である上質紙(坪量80g/m、中性紙)上に、グラビアコーターで、上記の擬似接着糊を、乾燥固形量が4g/mとなるように塗工した後、該塗工層が未乾燥状態で、第二の基材であるグラシン紙(坪量25g/m、密度0.92g/m)を貼付したのち乾燥し、第一の基材/擬似接着層/第二の基材の積層シート(1)を得た。この時の第一の基材と第二の基材との間のT形はく離試験法による接着強さは240mN/25mm(はく離速度300mm/分)であった。
【0144】
≪遮蔽層の形成≫
得られた積層シート(1)の第一の基材上および第二の基材上に、フレキソ印刷により、 黒色インクで、印字率90%の網目状パターンを印刷し、図7に示す形状の遮蔽層を形成した。
≪ハーフカット加工≫
次いで、遮蔽層と情報表示部との境界部分にハーフカット加工を施し、図5,6に示した第一実施形態の感熱記録多重シートを得た。
【0145】
実施例11
≪感熱記録層用塗工液の調製≫
シリカ(商品名:ミズカシルP−527、水沢化学製)の30%分散液60部、A液20部、B液50部、C液10部、ステアリン酸亜鉛の水分散液(商品名:ハイドリンZ−7−30、固形分31.5質量%、中京油脂社製)13部、SBRラテックス(商品名:L−1571、濃度48%、旭化成社製)40部 、およびケイ素変性ポリビニルアルコール(商品名:R−1130、分子量1700、クラレ社製)の10%水溶液40部からなる組成物を混合撹拌して感熱記録層用塗工液を得た。
【0146】
≪感熱記録多重シートの作成≫
実施例10と同様にして積層シート(1)を作成し、該積層シート(1)の第二の基材上に、上記の感熱記録層用塗工液を、グラビアコーターで乾燥固形量が5g/mとなるように塗布乾燥して感熱記録層を形成した後、スーパーキャレンダーを施して積層シート(2)を得た。この時の第一の基材と第二の基材との間のT形はく離試験法による接着強さは250mN/25mm(はく離速度300mm/分)であった。
得られた積層シート(2)に対し、実施例10と同様にして遮蔽層を形成し、ハーフカット加工を施して、図7,8に示した第二実施形態の感熱記録多重シートを得た。
【0147】
実施例12
実施例10の≪感熱発色性擬似接着糊の調製≫における組成物を、擬似接着糊(商品名:カネビノールTV965(デキストリン系接着剤)、有効成分16%、日本エヌエスシー株式会社製)100部、A液5部、B液10部、C液5部からなる組成物に代えた以外は実施例10と同様にして第一実施形態の感熱記録多重シートを得た。この時の第一の基材と第二の基材との間のT形はく離試験法による接着強さは170mN/25mm(はく離速度300mm/分)であった。
【0148】
実施例13
実施例12で作成した第一実施形態の感熱記録多重シートの第二の基材上に、実施例11で調製した感熱記録層用塗工液を、グラビアコーターで乾燥固形量が5g/mとなるように塗布乾燥して感熱記録層を形成した後、スーパーキャレンダーを施して、第二実施形態の感熱記録多重シートを得た。この時の第一の基材と第二の基材との間のT形はく離試験法による接着強さは190mN/25mm(はく離速度300mm/分)であった。
【0149】
実施例14
図11に示す構成の感熱記録多重シートを以下の手順で作成した。
<第一の感熱記録シート用感熱記録層用塗工液の調製>
A液20部、B液50部、C液50部、SBRラテックス(商品名:L−1571、濃度48%、旭化成社製)20部、およびケイ素変性ポリビニルアルコール(商品名:R−1130、分子量1700、クラレ社製))の10%水溶液20部からなる組成物を混合攪拌して第一の感熱記録シートの感熱記録層用塗工液を得た。
<第二の感熱記録シート用感熱記録層用塗工液の調製>
シリカ(商品名:ミズカシルP−527、水沢化学製)の30%分散液60部、A液20部、B液50部、C液10部、ステアリン酸亜鉛の水分散液(商品名:ハイドリンZ−7−30、固形分31.5%、中京油脂社製)13部、SBRラテックス(商品名:L−1571、濃度48%、旭化成社製)40部、およびケイ素変性ポリビニルアルコール(商品名:R−1130、分子量1700、クラレ社製))の10%水溶液40部からなる組成物を混合攪拌して第二の感熱記録シートの感熱記録層用塗工液を得た。
【0150】
<第一の感熱記録シートの作成>
坪量50g/mの上質紙(中性紙)、厚み62μmの一方の面に、上記の第一の感熱記録シート用感熱記録層用塗工液を、グラビアコーターで乾燥後の塗布量が4g/mとなるように塗布乾燥して第一の感熱記録層を形成した後、スーパーキャレンダーを施して第一の感熱記録シートを得た。
【0151】
<積層シートの形成>
第一の感熱記録層上に、グラビアコーターで、擬似接着糊(商品名:フルタイトFB131(酢酸ビニル系接着剤)、有効成分44%(残部成分:水)、三井物産ソルベントコート株式会社製)を、乾燥後の塗工量が2g/mとなるように塗工した後、該塗工層上に、第二の基材としてグラシン紙(坪量25g/m、密度0.92g/m)を貼付し、乾燥することにより、第一の感熱記録シート/擬似接着層/第二の基材の積層シート(1)を得た。
次に、得られた積層シート(1)の第二の基材上に、グラビアコーターで、上記の第二の感熱記録シート用感熱記録用塗液を、乾燥後の塗工量が5g/mとなるように塗工、乾燥して第二の感熱記録層を形成した後、スーパーキャレンダーを施して、第一の感熱記録シート/擬似接着層/第二の感熱記録シートの積層シート(2)を得た。この時、第一の感熱記録シートと第二の感熱記録シートとの間のT形はく離試験法による接着強さは480mN/25mm(はく離速度300mm/分)であった。
【0152】
<遮蔽層の形成>
得られた積層シート(2)の第一の基材上に、フレキソ印刷により、黒色インクで、印字率90%の網目状パターンを印刷して遮蔽層を形成した。
【0153】
<ハーフカット加工>
次いで、第二の感熱記録シートの情報を表示するための部分(情報表示部)と、目隠し印字部を形成するための部分(前記遮蔽層に対応する部分)との境界部分にハーフカット加工を施して感熱記録多重シートを得た。
【0154】
製造例1
実施例14で得られた感熱記録多重シートを用い、下記のプリンターおよび印字条件を用い、下記の手順で感熱記録物を作成した。
・プリンター:(株)サトー製Barlabe300・印字条件:印字速度3インチ/秒、ドット密度8本/mm(203dpi)
感熱記録多重シートに対し、0.327mJ/ドットの印字エネルギー(熱エネルギーT1)で記録を行い、第二の感熱記録シートの目隠し印字部を形成するための部分にベタ印字を施して目隠し印字部を形成するとともに、情報表示部には宛名印字を施した。次に、感熱記録多重シートに対し、0.537mJ/ドットの印字エネルギー(熱エネルギーT2)で記録を行い、第一の感熱記録シートの、前記目隠し印字部の下の部分に、非公開情報である数字(非開示数字)を印字して情報記録物を得た。
印字後、目隠し印字部の下の部分の数字は視認できなかった。一方、第一の感熱記録シートと第二の感熱記録シートとを剥離したところ、第一の感熱記録シートには非開示数字のみが記録されていた。
【0155】
製造例2
熱エネルギーT1による記録と熱エネルギーT2による記録とを逆の順番で行った以外は製造例1と同様の処理を行ったところ、製造例1と同様の情報記録物が得られた。
【0156】
製造例3
熱エネルギーT1による記録と熱エネルギーT2による記録とを同時に行った以外は製造例1と同様の処理を行ったところ、製造例1と同様の情報記録物が得られた。
【0157】
実施例15
紙幅1100mmの80g/cmの上質紙の片面に、オフセット印刷で、限定された顧客に対して提供される案内を内容とする印刷を施して第1のシートを得た。次いで、ウェットラミネーターを用いて、この第1のシートの印刷面上にグラビアコーターで擬似接着糊(商品名:フルタイトFB131(酢酸ビニル系接着剤)、有効成分44%(残部成分:水)、三井物産ソルベントコート株式会社製)を乾燥後の塗工量が2g/mとなるように塗工した後、未乾燥状態で、該塗工層上に第2のシート(坪量65g/mの上質紙)を貼付し、乾燥することにより情報記録物を得た。このときの生産速度は200m/分であった。また、この時の第一のシートと第二のシートとの間のT形はく離試験法による接着強さは280mN/25mm(はく離速度300mm/分)であった。
さらに、得られた情報記録物の第2のシート上にインクジェットプリンターで宛名を記録した後、A4版に平板カットして、上記の案内を目隠し情報として内部に備える個人向け情報記録物を得た。
【0158】
実施例16
紙幅1100mmの80g/cmの上質紙の片面に、インクジェット記録で個人情報を記録して第1のシートを得た。次いで、ウェットラミネーターを用いて、この第1のシートの記録面上にグラビアコーターで擬似接着糊(商品名:フルタイトFB131(酢酸ビニル系接着剤)、有効成分44%(残部成分:水)、三井物産ソルベントコート株式会社製)を乾燥後の塗工量が2g/mとなるように塗工した後、未乾燥状態で、該塗工層上に、上質紙の片面にインクジェット記録層を備えた第2のシート(上質紙の坪量65g/m)を貼付し、乾燥することにより情報記録物を得た。このときの生産速度は200m/分であった。
また、この時の第一のシートと第二のシートとの間のT形はく離試験法による接着強さは250mN/25mm(はく離速度300mm/分)であった。
さらに、得られた情報記録物の第2のシート上に、各個人情報に対応する宛名をインクジェットプリンターで記録した後、A4版に平板カットして、上記の個人情報を目隠し情報として内部に備える個人向け情報記録物を得た。
【0159】
実施例17
実施例1の擬似接着糊(商品名:フルタイトFB131(酢酸ビニル系接着剤)、有効成分44%、三井物産ソルベントコート株式会社製)を擬似接着糊(商品名:カネビノールTV965(デキストリン系接着剤)、有効成分16%(残部成分:水)、日本エヌエスシー株式会社製)に代えた以外は実施例15と同様にして情報記録物を得た。このときの生産速度は200m/分であった。また、この時の第一のシートと第二のシートとの間のT形はく離試験法による接着強さは150mN/25mm(はく離速度300mm/分)であった。
【産業上の利用可能性】
【0160】
本発明によれば、開示情報と非開示情報とを同時に感熱記録でき、生産性が良好で、製造コストも低い感熱記録多重シートが提供できる。
すなわち、本発明の感熱記録多重シートにおいては、第一の感熱記録層に記録された開示情報は情報開示部に表示され、第一の感熱記録層に記録された非開示情報は、遮蔽層により外部から視認できないようになっている。そのため、本発明の感熱記録多重シートに対して、開示情報と非開示情報とを同時に感熱記録することができる。
また、本発明の感熱記録多重シートは、第二の基材が擬似接着層を介して第一の感熱記録層上に貼付されていることにより、巻き取り状にしやすく、生産性が良好である。また、巻き取り状とすることができるため、該感熱記録多重シートへの記録に用いられる記録装置においても、記録前の感熱記録多重シートの装着トレーの設置、連続印字が容易である。
さらに、本発明の感熱記録多重シートは、秘密情報に対するセキュリティ性が高い。すなわち、第二の基材が擬似接着層を介して第一の感熱記録層上に貼付されていることにより、一旦剥離された第二の基材を再接着することは困難であり、たとえば暗証番号やパスワード等の秘密情報を本人が確認する以前に他者が第二の基材の情報非開示部を剥離して見たかどうかがわかる。
【0161】
多重感熱記録体の製造方法に関し、坪量5〜40g/m、かつ紙基材にあっては密度0.85〜1.3g/cm、フィルム基材にあっては密度0.9〜1.6g/cmという薄手の第二の基材を用いて製造する際に皺などが入らない製造方法が提供でき、複数枚の合同の記録が必要とされる領収書、伝票、連絡書などに適用できる。
【符号の説明】
【0162】
11 感熱記録多重シート
12 第一の基材
13 第一の感熱記録層
14 第一の感熱記録シート
15 擬似接着層
15a 擬似接着層
16 第二の基材
16a 情報開示部
16b 情報非開示部
17 ハーフカット加工
18 遮蔽層
19 遮蔽層
21 感熱記録多重シート
22 第一の基材
23 第一の感熱記録層
24 第一の感熱記録シート
25 擬似接着層
25a 擬似接着層
26 第二の基材
27 第二の感熱記録層
28 第二の感熱記録シート
28a 情報開示部
28b 情報非開示部
29 ハーフカット加工
30 遮蔽層
31 遮蔽層
32 紫外線硬化型樹脂層
33 紫外線硬化型樹脂層
34 紫外線硬化型樹脂層
35 紫外線硬化型樹脂層
110 情報記録物
111 第1の基板
112 情報記録層
113 第1のシート
114 擬似接着層
115 第2のシート
120 装置
121 繰出部
122 繰出部
123 塗工部
124 貼合部
125 乾燥部
126 巻取部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一の基材の片面上に第一の感熱記録層が形成された第一の感熱記録シートの前記第一の感熱記録層側に、擬似接着層を介して、第二の基材の片面上に第二の感熱記録層が形成された第二の感熱記録シートが貼付されており、
前記第二の感熱記録シートが、情報開示部と情報非開示部とから構成され、かつ
前記第二の感熱記録シート上の前記情報非開示部に対応する位置に遮蔽層が設けられていることを特徴とする感熱記録多重シート。
【請求項2】
前記擬似接着層が、擬似接着剤を含有する塗工液を前記第一の感熱記録層側または前記第二の基材側に塗工し、前記第一の感熱記録層と前記第二の基材とを積層した後乾燥することにより形成されたものである請求項1記載の感熱記録多重シート。
【請求項3】
第一の基材上に、擬似接着層を介して、光透過性を有する第二の基材が貼付されており、
前記擬似接着層が反応性染料および顕色剤を含有し、
前記第二の基材が、情報開示部と情報非開示部とから構成され、前記情報開示部と前記情報非開示部との間が切断されているかまたは切断可能とされており、かつ
前記第二の基材上の前記情報非開示部に対応する位置に遮蔽層が設けられていることを特徴とする感熱記録多重シート。
【請求項4】
第一の基材上に、擬似接着層を介して、第二の基材の片面上に第二の感熱記録層が形成された感熱記録シートが貼付されており、
前記擬似接着層が反応性染料および顕色剤を含有し、
前記感熱記録シートが、情報開示部と情報非開示部とから構成され、前記情報開示部と前記情報非開示部との間が切断されているかまたは切断可能とされており、かつ
前記感熱記録シート上の前記情報非開示部に対応する位置に遮蔽層が設けられていることを特徴とする感熱記録多重シート。
【請求項5】
前記擬似接着層が、擬似接着剤、反応性染料および顕色剤を含有する塗工液を前記第一の基材上または前記第二の基材上に塗工し、前記第一の基材と前記第二の基材とを積層した後、乾燥することにより形成されたものである請求項3または4記載の感熱記録多重シート。
【請求項6】
前記疑似接着層における第一の感熱記録シートと第二の基材との間の接着強さが、JIS K 6854−3に規定されるT形はく離試験法に準拠して、50〜1000mN/25mm(はく離速度300mm/min.)である請求項1、3、4のいずれか一項に記載の感熱記録多重シート。
【請求項7】
前記遮蔽層が、印刷により形成されたものである請求項1、3、4のいずれか一項に記載の感熱記録多重シート。
【請求項8】
前記遮蔽層が、インクジェット記録装置または熱転写記録装置により形成されたものである請求項1、3、4のいずれか一項に記載の感熱記録多重シート。
【請求項9】
第一の基材の片面上に第一の感熱記録層が形成された第一の感熱記録シートの感熱記録層が形成されていない全面、およびまたは第二の基材の遮蔽層含む全面に紫外線硬化型樹脂層を設けた請求項1記載の感熱記録多重シート。
【請求項10】
前記第二の基材が、切断されているかまたは切断可能とされている請求項1記載の感熱記録多重シート。
【請求項11】
少なくとも2枚の感熱記録シートを重ね合わせる感熱多重記録シートの製造方法において、第一の感熱記録シートの記録層側に擬似接着層を介して第二の基材を貼着することにより、第一の感熱記録シート/擬似接着層/第二の基材からなる積層シートを得る第1工程と、前記第1工程によって得られた積層シートにおける第二の基材表面に感熱記録層を形成する第2工程とにより得られる感熱多重記録シートの製造方法。
【請求項12】
第二の基材の秤量が5〜40g/mであり、かつ密度0.85〜1.3g/cm3である木材パルプを主成分とする紙である請求項11記載の感熱多重記録シートの製造方法。
【請求項13】
第二の基材の秤量が5〜40g/m2であり、かつ密度0.9〜1.6 g/cm3である合成樹脂を主成分とするフィルムである請求項11記載の感熱多重記録シートの製造方法。
【請求項14】
第一の基材の厚みが40〜100μmである請求項11記載の感熱多重記録シートの製造方法。
【請求項15】
前記第1工程の擬似接着層の形成において、疑似接着剤が第二の基材を積層した後乾燥されることを特徴とする請求項11項記載の感熱多重記録シートの製造方法。
【請求項16】
擬似接着層が酢酸ビニル系の接着剤からなる接着層である請求項11記載の感熱多重記録シートの製造方法。
【請求項17】
擬似接着剤による第一の感熱記録シートと第二の感熱記録シートとのISO 11339: 2003に基づくT型はく離試験法による接着強さが、50から1000mN/25mm(引っ張り速度300mm/min.)である請求項11記載の感熱多重記録シートの製造方法。
【請求項18】
第一の基材の片面上に第一の感熱記録層が形成された第一の感熱記録シートと、前記第一の感熱記録層側に擬似接着層を介して積層された、第二の基材の片面上に第二の感熱記録層が形成された第二の感熱記録シートとを備える請求項1記載の感熱記録多重シートに対し、該感熱記録多重シートの前記第二の感熱記録層側から、前記第二の感熱記録層が発色し、かつ前記第一の感熱記録層が発色しない熱エネルギーT1により感熱記録を施すことにより、前記第二の感熱記録層に記録Aを記録する工程と、
前記感熱記録多重シートに対し、該感熱記録多重シートの前記第二の感熱記録層側から、前記第一の感熱記録層が発色する熱エネルギーT2により感熱記録を施すことにより、前記第一の感熱記録層に、前記記録Aとは異なる記録Bを記録する工程とを有することを特徴とする請求項11項記載の感熱記録物の製造方法。
【請求項19】
前記記録Aが目隠し印字部である請求項18項記載の感熱記録物の製造方法。
【請求項20】
前記擬似接着層が、擬似接着剤を含有する塗工液を前記第一の感熱記録層上または前記第二の基材上に塗工し、前記第一の感熱記録層と前記第二の基材とを積層した後、乾燥することにより形成されたものである請求項18項記載の感熱記録物の製造方法。
【請求項21】
第一の基材の片面上に情報が記録された情報記録層が形成された第一のシートの前記情報記録層上に、擬似接着層を介して、第二のシートが貼着された情報記録物の製造方法であって、
前記第一のシートの前記情報記録層上または前記第二のシート上に、疑似接着剤を含有する塗工液を塗工して塗工層を形成し、該塗工層が湿潤状態にあるうちに、該塗工層を介して第一のシートと第二のシートとを貼り合わせた後、前記塗工層を乾燥して疑似接着層を形成することを特徴とする情報記録物の製造方法。
【請求項22】
前記疑似接着層による第一のシートと第二のシートとの間の接着強さが、JIS K6854−3に規定されるT形はく離試験法に準拠して、50〜1000mN/25mm(はく離速度300mm/分)である請求項21記載の情報記録物の製造方法。
【請求項23】
請求項21または22記載の情報記録物の製造方法により製造される情報記録物。
【請求項24】
ハガキとして使用される請求項23記載の情報記録物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2011−173426(P2011−173426A)
【公開日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−89357(P2011−89357)
【出願日】平成23年4月13日(2011.4.13)
【分割の表示】特願2006−550771(P2006−550771)の分割
【原出願日】平成17年12月26日(2005.12.26)
【出願人】(000122298)王子製紙株式会社 (2,055)
【出願人】(000191320)王子特殊紙株式会社 (79)
【出願人】(500104059)王子パッケージング株式会社 (21)
【Fターム(参考)】