説明

感熱記録方法及び感熱プリンタ

【課題】負荷変動による画像欠陥を解消する感熱記録方法及び感熱プリンタを提供する。
【解決手段】描画する2値画像Aを網点領域a1と、2値画像Aから該網点領域a1を除いた画像領域a2に分割し、始めに網点領域a1を描画し、その後画像領域a2を描画して2値画像Aの描画を行う感熱記録方法。及び前記網点領域a1と、前記2値画像Aから該網点領域a1を除いた画像領域a2の描画位置を合わせる位置合わせ手段を有する感熱プリンタ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発熱素子がライン状に配置されたサーマルヘッドを感熱記録材料に押圧しつつ、前記サーマルヘッドの配置方向と直交する方向に前記感熱記録材料を搬送しながら、1ライン毎に2値画像の描画を行う感熱記録方法及び感熱プリンタに関する。
【背景技術】
【0002】
サーマルプリンタには、主に感熱記録層を有する感熱記録材料にサーマルヘッドを直接押圧し、画像の記録を行う直接感熱方式のプリンタと、サーマルヘッドをインクリボンを介して感熱記録材料に押圧し、インクリボンのインクを感熱記録材料に熱転写させて画像の描画を行う感熱転写方式のプリンタがある。
【0003】
一般的にサーマルプリンタでは、安定的に加熱して画質の良い画像を得るために、サーマルヘッドとプラテンローラで、感熱記録材料を挟持押圧しながら搬送して感熱描画を行っている。サーマルヘッドには、感熱記録材料の搬送方向に対して直交する方向(以降主走査方向と称す)に複数の発熱素子がライン状に配置されており、各発熱素子の加熱・非加熱によって主走査方向に1ライン分の2値画像を描画している。そして、感熱記録材料を順次搬送し1ライン記録を繰り返すことにより感熱記録材料に2値画像が記録される。このため、正確に画像を描画するには感熱記録材料の搬送精度が重要であるが、サーマルヘッドと接している表面(直接感熱方式では感熱記録材料の感熱記録面であり、熱転写方式ではインクリボンの背面)は加熱すると摩擦抵抗が変化するため、記録される画像によって感熱記録材料の搬送負荷の変化、いわゆる負荷変動が起こり感熱記録材料の搬送精度に悪影響を与える。特に、1ライン全て加熱から1ライン全て非加熱となる様な大きな負荷変動が発生するところでは、描画ラインの間隔にズレが生じ易い。例えば、主走査方向に平行な直線画像の延長線上に網点画像がある場合、該延長線上に存在する網点の伸縮が起こり、巨視的には白線(非画像部の色の線)、或いは黒線(感熱発色された色の線)状に見える画像欠陥が現れる。
【0004】
感熱記録材料としては、FAX用紙、キャッシュレジスターのレシート用紙等で用いられる直接感熱方式の感熱記録紙、熱転写方式の一つである昇華熱転写方式で用いられるインクリボンと受像シートの組み合わせや、溶融熱転写方式で用いられるインクリボンと受像シートの組み合わせ等が挙げられるが、近年、サーマルヘッドの広幅化、高精細化が進み印刷原版用途の感熱記録材料も開示されている。例えば、支持体上の最表層として少なくとも水溶性高分子化合物と熱可塑性樹脂と発色剤(電子供与性染料前駆体)とを含有する感熱層を有する感熱性平版印刷原版が、特開2009−255498号公報、特開2011−115970号公報、特開2011−88386号公報により開示されている。印刷原版用途の感熱記録材料は、高精細に画像を描画する必要があるため特に高い搬送精度が要求される。このため負荷変動の影響も受け易く、前述した網点の伸縮による白線、或いは黒線状の画像欠陥を解消することは特に重要な課題である。
【0005】
この様な負荷変動に伴う画像欠陥を解消する方法として、特開2005−246868号公報(特許文献1)では隣り合う発熱素子が感熱記録材料の搬送方向に4回分順次オフセットされ鋸刃状に繰り返し配置されているサーマルヘッドを用い、同じオフセット量の発熱素子をグループにして4分割して描画することにより負荷変動を軽減する方法が開示され、特開2005−246869号公報(特許文献2)では画像データから記録濃度が急激に変化する部分の負荷変動量を算出し、負荷変動量が複数ラインで収束する様に印加エネルギー量を補正して描画する方法が開示され、特開2010−214717号公報(特許文献3)では感熱記録材料の全面を発色しない程度に加熱した後に画像を描画する方法が提案されている。しかしながら、特許文献1は、1ラインを4つに分割することにより負荷変動は軽減されるが、分割位置はサーマルヘッドに依存しており、描画する画像によっては十分に負荷変動を抑制できない。また、特許文献2は、描画する画像によって印加エネルギー量を補正するが、環境温度や感熱記録材料の温度変化によっては補正が不十分である。そして、特許文献3は、非画像部も含めて、環境温度や感熱記録材料の温度変化による影響を軽減し感熱記録材料の寸法精度も安定化させるが負荷変動による画像欠陥を解消するまでには至っていなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−246868号公報
【特許文献2】特開2005−246869号公報
【特許文献3】特開2010−214717号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は上述の課題を解決するためになされたものであり、負荷変動による画像欠陥を解消する感熱記録方法及び感熱プリンタを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題は、発熱素子がライン状に配置されたサーマルヘッドを感熱記録材料に押圧しつつ、前記サーマルヘッドの配置方向と直交する方向に前記感熱記録媒体を搬送しながら、1ライン毎に2値画像の描画を行う感熱記録方法であって、描画する2値画像Aを網点領域a1と、2値画像Aから該網点領域a1を除いた画像領域a2に分割し、始めに網点領域a1を描画し、その後画像領域a2を描画して2値画像Aの描画を行うことを特徴とする感熱記録方法によって基本的に達成された。
【0009】
また、上記の感熱記録方法に用いる感熱プリンタであって、前記網点領域a1と、前記2値画像Aから該網点領域a1を除いた画像領域a2の描画位置を合わせる位置合わせ手段を有することを特徴とする感熱プリンタによって基本的に達成された。
【発明の効果】
【0010】
本発明により、描画する画像に依存せず、負荷変動による画像欠陥を解消する感熱記録方法及び感熱プリンタを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の方法で描画される2値画像の一例を示す図
【図2】本発明の感熱記録方法で感熱記録する感熱プリンタの一例を示す概略断面図
【図3】本発明の感熱記録方法で感熱記録する感熱プリンタの別の一例を示す概略断面図
【図4】本発明の感熱記録方法で感熱記録する感熱プリンタの別の一例を示す概略断面図
【図5】本発明の感熱記録方法で感熱記録する感熱プリンタの別の一例を示す概略断面図
【図6】本発明の感熱記録方法の別の一例を示す概略断面図
【図7】本発明の感熱記録方法の別の一例を示す概略断面図
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の感熱記録方法は、感熱転写方式、直接感熱記録方式のどちらにも適用できる。感熱転写方式としては、溶融熱転写方式、昇華熱転写方式等が知られている。溶融熱転写方式において用いる受像シートとしては、紙、フィルム等の支持体上に溶融熱転写インク受像層を最表層として有するものであれば有効に使用できる。溶融熱転写インク受像層は顔料とバインダーから構成されることが好ましい。顔料、バインダーには公知の材料を使用できる。支持体上に溶融熱転写インク受像層を設けた後、カレンダー処理等により溶融熱転写インク受像層の平滑性を上げ溶融熱転写記録適性を向上させる等の公知の技術を使用することは何ら問題はない。
【0013】
溶融熱転写方式にて利用する溶融熱転写インクリボンとしては、紙、フィルム等のテープ状支持体上に熱溶融インク層を有するものであれば有効に利用できる。熱溶融インク層は色材となる顔料とバインダーから構成される。顔料、バインダーには公知の材料を使用できる。また、受像シートとの接着性を向上させるために熱溶融インク層の上に感熱接着層を設けても良い。また、支持体と熱溶融インク層の間に剥離層を設けてインクの転写性を向上させる等の公知の技術を使用することは何ら問題はない。
【0014】
昇華熱転写方式において用いる受像シートとしては、紙、フィルム等の支持体上に昇華熱転写インク受像層を最表層として有するものであれば有効に使用できる。本発明に用いられる昇華熱転写インク受像層は、熱により昇華して移行する染料に対して染着性を有するものであり、その昇華熱転写インク受像層を構成する染料染着性のバインダー樹脂としては、例えばエステル結合を有する化合物等、染料との相互作用が強く、染料が安定して樹脂中へ拡散し得るものであれば好適に使用できる。また、支持体と昇華熱転写インク受像層の間に断熱性やクッション性を高めるために中間層を設けたり、中間層上に易接着性処理を施して昇華熱転写インク受像層と中間層との接着性を向上させる等、公知の技術を使用して昇華熱転写記録適性を向上させることもできる。
【0015】
昇華熱転写インクリボンとしては、紙、フィルム等のテープ状支持体上に熱拡散インク層を有するものであれば有効に利用できる。熱拡散インク層は色材となる熱拡散性染料とバインダーから構成される。熱拡散性染料、バインダーには公知の材料を使用できる。また、インクリボンの受像シートへの融着を防ぐために熱拡散インク層の中に離型剤を含有させる等の公知の技術を使用することは何ら問題はない。
【0016】
本発明に用いられる直接感熱方式の感熱記録材料としては、紙、フィルム等の支持体上に感熱記録層を有するものであれば有効に使用できる。本発明に係わる感熱記録層に用いられる発色剤、顕色剤に関しては、一般に感熱記録用紙に用いられているものであれば特に制限されない。例えば、発色剤としては、トリアリルメタン系化合物、ジアリールメタン系化合物、キサンテン系化合物、チアジン系化合物、スピロピラン系化合物、ジフェニルメタン系染料、スピロ系染料、ラクタム系染料、フルオラン系染料等が使用できる。また、顕色剤としては、フェノール誘導体、芳香族カルボン酸誘導体或いはその金属化合物、N,N′−ジアリールチオ尿素誘導体等の電子受容性の物質が使用できる。感熱記録層は更にバインダー、増感剤、顔料等により構成される。また、感熱記録層上には保護層と、感熱記録層と支持体との間には断熱性、クッション性を付与する中間層を有していても良い。
【0017】
本発明の感熱記録方法及び感熱プリンタは、特に負荷変動による搬送精度の影響を受けやすい高精細な2値画像を描画する直接感熱方式の印刷版用途に好適であり、例えば、特開2006−247937号公報や特開2006−272945号公報に記載される、支持体上に感熱層と親水性層とをこの順に有する平版印刷原版や、特開平06−182959号公報に記載される感熱孔版原版、特開平09−099662号公報に記載される感熱転写方式を利用したオフセット印刷原版等が挙げられるが、優れた耐刷性や耐汚れ性を両立できる観点から、前述の特開2009−255498号公報、特開2011−115970号公報等に記載される支持体上の最表層として水溶性高分子化合物と熱可塑性樹脂、及び特定の化合物を含有する感熱層を有する感熱性平版印刷原版が好適に用いられる。以降、感熱記録材料として直接感熱方式の感熱性平版印刷原版を用いた場合を例に挙げて本発明を説明する。
【0018】
本発明の感熱記録方法及び感熱プリンタを、図面を用いて詳細に説明する。
【0019】
図1は本発明の方法で描画する2値画像の一例を示す図であり、図1(a)に示す2値画像Aは、既知の方法で抽出することにより図1(b)に示す網点領域a1と図1(c)に示す網点領域を除いた画像領域a2に分割される。網点領域の抽出方法としては、例えば、特開2005−190383号公報、特開2005−191607号公報、特開2010−232795号公報等に記載される方法が利用できる。
【0020】
網点領域a1を構成する網点は、サイズ変調(AM:Amplitude Modulation)型網点、空間周波数変調(FM:Frequency Modulation)型網点の何れでもよい。網点領域a1を構成する網点の網点面積率の範囲に制限はないが、網点面積率の高い部分(シャドー部分)は、網点面積率100%のいわゆるベタ画像との摩擦抵抗の差が小さいことから網点領域a1に含めなくてもよい。網点面積率の範囲としては1%〜70%の範囲である時に本発明はとりわけ有効に作用する。
【0021】
画像領域a2は、2値画像Aから網点領域a1を除いた2値画像であり、網点面積率が100%のいわゆるベタ画像や、網点化されていない罫線・枠線・文字等で構成されている。
【0022】
本発明の特徴は、分割された2値画像において、始めに該網点領域a1を描画しその後該画像領域a2を重ね描きして2値画像Aを感熱記録材料に描画することであり、本発明の方法により負荷変動により網点部に発生する白線、或いは黒線状の画像欠陥を解消できる。
【0023】
図2は本発明の感熱記録方法で感熱記録する感熱プリンタの一例を示す概略断面図である。図2に示す様に、本発明の感熱プリンタは少なくとも、感熱性平版印刷原版Pを搬送するための搬送ロール対1、5、8及び搬送ロール対1、5、8に接続されている図示しない搬送モータ、サーマルヘッド2、プラテンロール6、クリーニングロール対3、4、カッター7で構成されている。図2に示す感熱プリンタによる図1(a)に示す2値画像Aの描画を例にして、本発明を説明する。
【0024】
本発明において、感熱性平版印刷原版Pに画像を描画する時の搬送方向としては、F方向、B方向何れでも適用できる。F方向に搬送しながら描画を行う場合、感熱性平版印刷原版Pを安定した搬送速度で搬送するためには少なくとも搬送ロール対5で感熱性平版印刷原版Pを牽引する必要がある。そのためには、描画する前に感熱性平版印刷原版Pを搬送ロール対5まで搬送させる必要があり、サーマルヘッド2と搬送ロール対5の間の長さ分が感熱性平版印刷原版Pに描画できない領域となる。一方、B方向に搬送しながら描画を行う場合、感熱性平版印刷原版Pを安定した搬送速度で搬送するためには少なくとも搬送ロール対1で感熱性平版印刷原版Pを牽引する必要があるが、感熱性平版印刷原版Pはサーマルヘッド2に達する前に、搬送ロール対1に挟持されており、描画する前に感熱性平版印刷原版Pを搬送ロール対1まで送り出す必要はない。このため、所定長さ分F方向へ感熱性平版印刷原版Pを送り出しその後B方向に搬送しながら描画を行うと、前述の描画できない領域はなくなり、効率的に感熱性平版印刷原版Pを使えるため、B方向に搬送しながら描画を行う方が好ましい。
【0025】
ロール状の感熱性平版印刷原版Pは、まず搬送ロール対1、5、8によって、サーマルヘッド2の描画位置Cを基準に版長さLだけF方向へ搬送される。そして、サーマルヘッド2とプラテンロール6で挟持押圧され、その後B方向へ搬送されながらサーマルヘッド2で図1(b)に示す網点領域a1の2値画像を描画される。
【0026】
次に、サーマルヘッド2が感熱性平版印刷原版Pから離れ、再度感熱性平版印刷原版Pは搬送ロール対1、5、8によってサーマルヘッド2の描画位置Cを基準に版長さLだけF方向へ搬送される。そして、サーマルヘッド2とプラテンロール6で挟持押圧され、その後B方向へ搬送されながらサーマルヘッド2で図1(c)に示す網点領域を除いた画像領域a2の2値画像が描画される。最後に、感熱性平版印刷原版Pは、F方向に搬送され、カッター7により版長さLにカットされ排出される。
【0027】
サーマルヘッド2は、主走査方向に複数の発熱素子が1列に配置されており、各発熱素子の通電状態によって主走査方向の1ライン描画を行う。感熱性平版印刷原版Pを順次搬送し1ライン描画を繰り返すことにより、感熱性平版印刷原版Pに2値画像が形成される。描画に必要なエネルギー(以下描画エネルギーと称す)はサーマルヘッドの単位面積あたりの熱量(J/mm)で示される。例えば、前述の支持体上の最表層として水溶性高分子化合物と熱溶融性微粒子、及び特定の化合物を含有する感熱層を有する感熱性平版印刷原版では、10〜100mJ/mmの範囲が適当な描画エネルギーの範囲である。
【0028】
サーマルヘッド2としては、厚膜または薄膜のサーマルラインヘッドが好ましく使用できる。記録エネルギー密度は、円滑な出力速度を得るために10〜100mJ/mmであることが好ましく、また商業印刷に耐えうる高品質な出力画像を得るためにサーマルヘッドの画像記録密度(出力解像度)が600dpi以上であることが好ましい。
【0029】
搬送ロール対1、5、8、プラテンロール6としては、感熱性平版印刷原版Pが滑らず、また、感熱性平版印刷原版Pの表面を傷つけない程度の面質であれば良く、例えばニトリルゴム(NBR)製、エチレンプロピレンゴム(EPDM)製のロール等が好適に用いられる。
【0030】
感熱性平版印刷原版Pに付着した紙粉等の塵埃が、サーマルヘッド2に付着すると、描画不良、サーマルヘッドの異常加熱等の原因になるので、サーマルヘッド2の前後に設けられた表面が微粘着質であるクリーニングロール対3、4で紙粉等の塵埃を除去している。クリーニングロール対3、4としては、粘着性ゴムローラ(例えば金陽社製クリンタック)等が好適に用いられる。
【0031】
カッター7は、感熱性平版印刷原版Pを、紙粉、バリ等がなく裁断できればよく、例えば円盤状の回転刃と固定刃で構成され、固定刃に沿って回転刃をスライドさせて裁断するローラーカッター等が好適に用いられる。
【0032】
図3は本発明の感熱記録方法で感熱記録する感熱プリンタの別の一例を示す概略断面図である。図3に示す感熱プリンタは、2つのサーマルヘッドを用い1方向の搬送で分割された2つの2値画像を描画している。図3に示す様に、本発明の感熱プリンタは少なくとも、感熱性平版印刷原版Pを搬送するための搬送ロール対11、15、21、25、18及び搬送ロール対11、15、21、25、18に接続されている図示しない搬送モータ、サーマルヘッド12、22、プラテンロール16、26、クリーニングロール対13、14、カッター17で構成されている。図3に示す感熱プリンタによる図1(a)に示す2値画像Aの描画を例にして、本発明を説明する。
【0033】
ロール状の感熱性平版印刷原版Pは、まず搬送ロール対11、15、21、25、18によって、サーマルヘッド22の描画位置Cを基準に版長さLだけF方向へ搬送され、その後サーマルヘッド22とプラテンロール26、及びサーマルヘッド12とプラテンロール16で挟持押圧される。そして、B方向へ搬送されながらサーマルヘッド22で図1(b)に示す網点領域a1の2値画像を描画され、B方向へ距離Dだけ搬送されたところで、サーマルヘッド12で図1(c)に示す網点領域を除いた画像領域a2の2値画像が描画される。最後に、感熱性平版印刷原版Pは、F方向に搬送され、カッター17により版長さLにカットされ排出される。
【0034】
クリーニングロール対13、14は、図2で示す感熱プリンタで示すクリーニングロール対3、4と同様の部品であり、サーマルヘッド12、22は、図2で示すサーマルヘッド2と同様の部品であり、搬送ロール対11、15、21、25、18は、図2で示す搬送ロール対1、5、8と同様の部品であり、プラテンロール16、26は、図2で示すプラテンロール6と同様の部品であり、カッター17は、図2に示すカッター7と同様の部品である。
【0035】
図4は本発明の感熱記録方法で感熱記録する感熱プリンタの別の一例を示す概略断面図である。図4に示す様に、本発明の感熱プリンタは少なくとも、感熱性平版印刷原版Pを搬送するための搬送ロール対31、35、38及び搬送ロール対31、35、38に接続されている図示しない搬送モータ、サーマルヘッド32、プラテンロール36、クリーニングロール対33、34、カッター37、及び位置検出センサ39で構成されている。本発明の感熱プリンタが有する位置合わせ手段は、この位置検出センサ39と、前述した搬送モータが接続された少なくとも1組の搬送ロール対、より好ましくは2組以上の搬送ロール対から構成される。図4に示す感熱プリンタによる図1(a)に示す2値画像Aの描画を例にして、本発明を説明する。
【0036】
ロール状の感熱性平版印刷原版Pは、まず搬送ロール対31、35、38によって、サーマルヘッド32の描画位置Cを基準に版長さLだけF方向へ搬送され、その後サーマルヘッド32とプラテンロール36で挟持押圧され、サーマルヘッド32によって位置決めマークMが描画される。
【0037】
次に感熱性平版印刷原版Pは、サーマルヘッド32とプラテンロール36に挟持された状態でサーマルヘッド32の描画位置Cと位置検出センサ39の検出位置Xとの間の距離SだけF方向へ搬送され停止する。位置決めマークMが検出位置Xの近傍に達したところで、感熱性平版印刷原版Pの搬送を一旦停止し、その後感熱性平版印刷原版PをF方向、或いはB方向に搬送させて、位置検出センサ39で位置決めマークMを検出し、精密に感熱性平版印刷原版Pを位置決めする。
【0038】
次に感熱性平版印刷原版Pは、搬送ロール対31、35、38によってB方向へ搬送され、距離Sの長さだけ搬送された後サーマルヘッド32で図1(b)に示す網点領域a1の2値画像を描画される。
【0039】
次に、サーマルヘッド32が感熱性平版印刷原版Pから離れ、再度感熱性平版印刷原版Pは搬送ロール対31、35、38によってF方向へ搬送される。そして、位置決めマークMが検出位置Xの近傍に達したところで感熱性平版印刷原版Pの搬送を一旦停止し、その後感熱性平版印刷原版PをF方向、或いはB方向に搬送させて位置検出センサ39で位置決めマークMを検出し、再度精密に感熱性平版印刷原版Pを位置決めする。
【0040】
そして感熱性平版印刷原版Pは、再度サーマルヘッド32とプラテンロール36で挟持押圧されながら搬送ロール対31、35、38によってB方向へ搬送され、距離Sの長さだけ搬送された後サーマルヘッド32で図1(c)に示す網点領域を除いた画像領域a2の2値画像が描画される。最後に、感熱性平版印刷原版Pは、F方向に搬送され、カッター37により版長さLにカットされ排出される。
【0041】
位置検出センサ39としては、CCDカメラで位置決めマークMを撮影し得られた画像をパターン認識して位置決めマークMの位置を検出するタイプの位置検出センサ(例えば、OMRON製視覚センサ、形FQシリーズ)、位置決めマークMと非画像部の光学濃度差により位置決めマークMの位置を検出するタイプの位置検出センサ(例えば、OMRON製光電センサ、形E3C−LDAシリーズ)等が好適に用いられる。そして、感熱性平版印刷原版Pが透明体の場合、透過光タイプの位置検出センサが用いられ。感熱性平版印刷原版Pが不透明体の場合、反射光タイプの位置検出センサが用いられる。
【0042】
サーマルヘッド32の描画位置Cと位置検出センサ39の検出位置Xとの間の距離Sは、サーマルヘッド32、位置検出センサ39の大きさ、位置検出センサの検出距離により物理的制約を受けるが、距離Sは、網点領域a1と2値画像Aから該網点領域a1を除いた画像領域a2の位置合わせを精密に行う上でできる限り短いことが好ましい。
【0043】
クリーニングロール対33、34は、図2で示す感熱プリンタで示すクリーニングロール対3、4と同様の部品であり、サーマルヘッド32は、図2で示すサーマルヘッド2と同様の部品であり、搬送ロール対31、35、38は、図2で示す搬送ロール対1、5、8と同様の部品であり、プラテンロール36は、図2で示すプラテンロール6と同様の部品であり、カッター37は、図2に示すカッター7と同様の部品である。
【0044】
図5は本発明の感熱記録方法で感熱記録する感熱プリンタの別の一例を示す概略断面図である。図5に示す感熱プリンタは、2つのサーマルヘッドを用い1方向の搬送で分割された2つの2値画像を描画している。図5に示す様に、本発明の感熱プリンタは少なくとも、感熱性平版印刷原版Pを搬送するための搬送ロール対41、45、51、55、48及び搬送ロール対41、45、51、55、48に接続されている図示しない搬送モータ、サーマルヘッド42、52、プラテンロール46、56、クリーニングロール対43、44、カッター47、及び本発明の位置合わせ手段である位置検出センサ49、59で構成されている。図5に示す感熱プリンタによる図1(a)に示す2値画像Aの描画を例にして、本発明を説明する。
【0045】
ロール状の感熱性平版印刷原版Pは、まず搬送ロール対41、45、51、55、48によって、サーマルヘッド52の描画位置C1を基準に版長さLだけF方向へ搬送され、その後サーマルヘッド52とプラテンロール56で挟持押圧され、サーマルヘッド52によって位置決めマークMが描画される。
【0046】
次に感熱性平版印刷原版Pは、サーマルヘッド52とプラテンロール56に挟持された状態でサーマルヘッド52の描画位置C1と位置検出センサ59の検出位置X1との間の距離S1だけF方向へ搬送され停止する。位置決めマークMが検出位置X1の近傍に達したところで感熱性平版印刷原版Pの搬送を一旦停止し、その後感熱性平版印刷原版PをF方向、或いはB方向に搬送させて、位置検出センサ59で位置決めマークMを検出し、精密に感熱性平版印刷原版Pを位置決めする。
【0047】
次に感熱性平版印刷原版Pは、搬送ロール対41、45、51、55、48によってB方向へ搬送され、距離S1の長さだけ搬送された後サーマルヘッド52で図1(b)に示す網点領域a1の2値画像を描画される。
【0048】
更に感熱性平版原版PはB方向へ搬送され、位置決めマークMが位置検出センサ49の検出位置X2の近傍に達したところで、感熱性平版印刷原版Pの搬送を一旦停止し、その後感熱性平版印刷原版PをF方向、或いはB方向に搬送させて、位置検出センサ49で位置決めマークMを検出し、精密に感熱性平版印刷原版Pを位置決めする。
【0049】
そして感熱性平版印刷原版Pは、サーマルヘッド42の描画位置C2と位置検出センサ49の検出位置X2との間の距離S2だけ搬送された後、サーマルヘッド42で図1(c)に示す網点領域を除いた画像領域a2の2値画像が描画される。最後に、感熱性平版印刷原版PはF方向に搬送され、カッター47により版長さLにカットされ排出される。
【0050】
クリーニングロール対43、44は、図2で示す感熱プリンタで示すクリーニングロール対3、4と同様の部品であり、サーマルヘッド42、52は、図2で示すサーマルヘッド2と同様の部品であり、搬送ロール対41、45、51、55、48は、図2で示す搬送ロール対1、5、8と同様の部品であり、プラテンロール46、56は、図2で示すプラテンロール6と同様の部品であり、カッター47は、図2に示すカッター7と同様の部品であり、位置検出センサ49、59は、図4に示す位置検出センサ39と同様の部品である。
【0051】
図6は、図4と同様の構成の感熱プリンタを用いた本発明の感熱記録方法の別の一例を示す概略断面図である。図6に示す距離d1、d2は位置決めマークを感熱性平版印刷原版Pから切り取るための切り代である。これにより、感熱性平版印刷原版Pの搬送方向先端部、或いは後端部に位置決めマークMが残らなくなる。そして、該感熱性平版印刷原版の搬送方向側端部を銜えて印刷機に版掛けした場合に、位置決めマークMが印刷されることを防ぐことができる。図6に示す感熱プリンタによる図1(a)に示す2値画像Aの描画を例にして、本発明を説明する。
【0052】
ロール状の感熱性平版印刷原版Pは、まず搬送ロール対31、35、38によって、サーマルヘッド32の描画位置Cを基準に版長さL+距離d1だけF方向へ搬送され、その後サーマルヘッド32とプラテンロール36で挟持押圧され、サーマルヘッド32によって位置決めマークMが描画される。
【0053】
次に感熱性平版印刷原版Pは、サーマルヘッド32とプラテンロール36に挟持された状態でサーマルヘッド32の描画位置Cと位置検出センサ39の検出位置Xとの間の距離SだけF方向へ搬送され停止する。位置決めマークMが検出位置Xの近傍に達したところで、感熱性平版印刷原版Pの搬送を一旦停止し、その後感熱性平版印刷原版PをF方向、或いはB方向に搬送させて、位置検出センサ39で位置決めマークMを検出し、精密に感熱性平版印刷原版Pを位置決めする。
【0054】
次に感熱性平版印刷原版Pは、搬送ロール対31、35、38によってB方向へ搬送され、距離S+距離d1の長さだけ搬送された後サーマルヘッド32で図1(b)に示す網点領域a1の2値画像を描画される。
【0055】
次に、サーマルヘッド32が感熱性平版印刷原版Pから離れ、再度感熱性平版印刷原版Pは搬送ロール対31、35、38によってF方向へ搬送される。そして、位置決めマークMが検出位置Xの近傍に達したところで、感熱性平版印刷原版Pの搬送を一旦停止し、その後感熱性平版印刷原版PをF方向、或いはB方向に搬送させて、位置検出センサ39で位置決めマークMを検出し、再度精密に感熱性平版印刷原版Pを位置決めする。
【0056】
そして感熱性平版印刷原版Pは、再度サーマルヘッド32とプラテンロール36で挟持押圧されながら搬送ロール対31、35、38によってB方向へ搬送され、距離S+距離d1の長さだけ搬送された後サーマルヘッド32で図1(c)に示す網点領域を除いた画像領域a2の2値画像が描画される。最後に、感熱性平版印刷原版PはF方向に搬送され、カッター7により版長さLにカットされ排出される。更に感熱性平版印刷原版Pは距離d1+距離d2の長さ分F方向に搬送、及びカットされ位置決めマークMが除去される。
【0057】
距離d1+距離d2で切り取られる感熱性平版印刷原版Pの一部は印刷に利用しない部分であり、カッター37で切り離せる限度で可能な限り短いことが好ましい。
【0058】
図7は、図5と同様の構成の感熱プリンタを用いた本発明の感熱記録方法の別の一例を示す概略断面図である。図7に示す感熱プリンタによる図1(a)に示す2値画像Aの描画を例にして、本発明を説明する。
【0059】
ロール状の感熱性平版印刷原版Pは、まず搬送ロール対41、45、51、55、48によって、サーマルヘッド52の描画位置C1を基準に版長さL+距離d1だけF方向へ搬送され、その後サーマルヘッド52とプラテンロール56で挟持押圧され、サーマルヘッド52によって位置決めマークMが描画される。
【0060】
次に感熱性平版印刷原版Pは、サーマルヘッド52とプラテンロール56に挟持された状態でサーマルヘッド52の描画位置C1と位置検出センサ59の検出位置X1との間の距離S1だけF方向へ搬送され停止する。位置決めマークMが検出位置X1の近傍に達したところで感熱性平版印刷原版Pの搬送を一旦停止し、その後感熱性平版印刷原版PをF方向、或いはB方向に搬送させて、位置検出センサ59で位置決めマークMを検出し、精密に感熱性平版印刷原版Pを位置決めする。
【0061】
次に感熱性平版印刷原版Pは、搬送ロール対41、45、51、55、48によってB方向へ搬送され、距離S1+距離d1の長さだけ搬送された後サーマルヘッド52で図1(b)に示す網点領域a1の2値画像を描画される。
【0062】
更に感熱性平版原版PはB方向へ搬送され、位置決めマークMが位置検出センサ49の検出位置X2の近傍に達したところで、感熱性平版印刷原版Pの搬送を一旦停止し、その後感熱性平版印刷原版PをF方向、或いはB方向に搬送させて、位置検出センサ49で位置決めマークMを検出し、精密に感熱性平版印刷原版Pを位置決めする。
【0063】
そして感熱性平版印刷原版Pは、サーマルヘッド42とプラテンロール46で挟持押圧されながら搬送ロール対41、45、51、55、48によってB方向へ搬送され、サーマルヘッド42の描画位置C2と位置検出センサ49の検出位置X2との間の距離S2に加えて距離d1だけ搬送された後、サーマルヘッド42で図1(c)に示す網点領域を除いた画像領域a2の2値画像が描画される。最後に、感熱性平版印刷原版PはF方向に搬送され、カッター47により版長さLにカットされ排出される。更に感熱性平版印刷原版Pは距離d1+距離d2の長さ分F方向に搬送、及びカットされ位置決めマークMが除去される。
【0064】
以下、本発明を実施例にて詳細に説明する。
【実施例】
【0065】
(実施例1)
〔感熱性平版印刷原版の作製〕
特開2011−88386号公報に従って、以下の通り感熱性平版印刷原版を作製した。
【0066】
両面にラミネート加工が施された厚さ約180μmのポリエチレン被覆紙の片面に、下記画像形成層塗工液a処方で1層目(画像形成層(A))、画像形成層塗工液b処方で2層目(画像形成層(B))の塗工液を作製し、スライドホッパーコーティング法により湿分塗布量1層目30g/m、2層目10g/mとなる様に同時塗布した後、乾燥し感熱性平版印刷原版を作製した。なお、特開2009−255498号公報記載の化合物、顕色剤、発色剤については、事前に個々に小型ダイノミル(ビーズミル)でジルコニアビーズを用いて固形分濃度30%で微分散処理しそれぞれ分散液の状態で使用した。
<画像形成層塗工液a>
水溶性高分子化合物
ゼラチン:IK3000 固形分 1.05部
(ニッピ(株)製)
熱可塑性物質
カルボキシル化SBR樹脂:ラックスター7132C 固形分 1.70部
(DIC(株)製)
界面活性剤
NIKKOL OTP−75 固形分 0.02部
(日光ケミカルズ(株)製)
硬膜剤
1,3−ビニルスルホニル−2−プロパノール 固形分 0.15部
特開2009−255498号公報記載の化合物
1,2−ビス(3−メチルフェノキシ)エタン 固形分 1.95部
顕色剤
4−ヒドロキシ−4′−イソプロポキシジフェニルスルホン 固形分 1.95部
(日本曹達(株)製)
発色剤
3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン 固形分 0.30部
(山本化成(株)製)
熱溶融性物質
モンタン酸エステルワックス:ハイドリンJ−537 固形分 0.40部
(中京油脂(株)製)
水で全量を40部に調製した。
<画像形成層塗工液b>
水溶性高分子化合物
ゼラチン:IK3000 固形分 1.70部
(ニッピ(株)製)
熱可塑性物質
カルボキシル化SBR樹脂:ラックスター7132C 固形分 1.15部
(DIC(株)製)
界面活性剤
NIKKOL OTP−75 固形分 0.02部
(日光ケミカルズ(株)製)
硬膜剤
1,3−ビニルスルホニル−2−プロパノール 固形分 0.15部
特開2009−255498号公報記載の化合物
1,2−ビス(3−メチルフェノキシ)エタン 固形分 0.50部
顕色剤
4−ヒドロキシ−4′−イソプロポキシジフェニルスルホン 固形分 0.30部
(日本曹達(株)製)
発色剤
3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン 固形分 0.30部
(山本化成(株)製)
熱溶融性物質
モンタン酸エステルワックス:ハイドリンJ−537 固形分 0.40部
(中京油脂(株)製)
水で全量を40部に調製した。
【0067】
〔出力評価〕
この様にして得られた感熱性平版印刷原版を用いて、図2に概略を示した感熱プリンタに、サーマルヘッドとして東芝ホクト電子社製1200dpiサーマルヘッド(ヘッド平均抵抗値7kΩ)を装着し、印刷速度2msec/lineの条件で描画エネルギーを低いレベルから徐々に上げながら同一画像の描画を行い、それぞれの画像の光学反射濃度を測定して光学反射濃度が飽和し始める描画エネルギーを求めたところ、50mJ/mmであった。
【0068】
製版する2値画像として、図1(a)に示す画像を用いた。図1(a)の版サイズは、324mm(幅)×494mm(版長さL)であり、その中に、80mm(幅)×300mm(長さ)の長方形のチント画像(画像面積率:50%、網点形状:スクエア、解像度1200dpi)と、その両側に太さ3mm、長さ100mmの水平線が各7本配置されている。
【0069】
図2の説明で用いた本発明の感熱記録方法に従い、始めに図1(b)に示す網点領域a1を描画し、その後図1(c)に示す網点領域を除いた画像領域a2を描画して、図1(a)に示す2値画像を感熱性平版印刷原版に描画した。得られた印刷原版において、水平線の延長線上のチント画像を目視確認したところ、白線、或いは黒線状の画像欠陥は見られなかった。また、この様な描画を200回繰り返したところ、チント画像と水平線の位置のズレは±80μmであり、安定した描画が可能であった。
【0070】
(実施例2)
感熱プリンタとして図3に概略を示した感熱プリンタを用い、実施例1と同様のサーマルヘッドを2台装着した。実施例1と同様の感熱性平版印刷原版に実施例1と同様の画像を描画した。図3の説明で用いた本発明の感熱記録方法に従い、始めにサーマルヘッド22で図1(b)に示す網点領域a1を描画し、その後サーマルヘッド12で図1(c)に示す網点領域を除いた画像領域a2を描画して、図1(a)に示す2値画像を感熱性平版印刷原版に描画した。得られた印刷原版において、水平線の延長線上のチント画像を目視確認したところ、白線、或いは黒線状の画像欠陥は見られなかった。また、この様な描画を200回繰り返したところ、チント画像と水平線の位置のズレは±80μmであり、安定した描画が可能であった。
【0071】
(実施例3)
感熱プリンタとして図4に概略を示した感熱プリンタを用い、実施例1と同様のサーマルヘッドを装着し、また、位置検出センサとしてOMRON(株)製視覚センサ形FQ−S20010Fを装着した。位置検出センサとサーマルヘッドとの距離Sは30mmとした。実施例1と同様の感熱性平版印刷原版に実施例1と同様の画像を描画した。図4の説明で用いた本発明の感熱記録方法に従い、始めに図1(b)に示す網点領域a1を描画し、その後図1(c)に示す網点領域を除いた画像領域a2を描画して、図1(a)に示す2値画像を感熱性平版印刷原版に描画した。得られた印刷原版において、水平線の延長線上のチント画像を目視確認したところ、白線、或いは黒線状の画像欠陥は見られなかった。また、この様な描画を200回繰り返したところ、チント画像と水平線の位置のズレは±50μmであり、極めて安定した描画が可能であった。
【0072】
(実施例4)
感熱プリンタとして図5に概略を示した感熱プリンタを用い、実施例3と同様のサーマルヘッド、位置検出センサを各2台装着した。位置検出センサとサーマルヘッドとの距離S1、S2は共に30mmとした。実施例1と同様の感熱性平版印刷原版に実施例1と同様の画像を描画した。図5の説明で用いた本発明の感熱記録方法に従い、始めにサーマルヘッド52で図1(b)に示す網点領域a1を描画し、その後サーマルヘッド42で図1(c)に示す網点領域を除いた画像領域a2を描画して、図1(a)に示す2値画像を感熱性平版印刷原版に描画した。得られた印刷原版において、水平線の延長線上のチント画像を目視確認したところ、白線、或いは黒線状の画像欠陥は見られなかった。また、この様な描画を200回繰り返したところ、チント画像と水平線の位置のズレは±50μmであり、極めて安定した描画が可能であった。
【0073】
(実施例5)
感熱プリンタとして図6に概略を示した感熱プリンタを用い、実施例3と同様のサーマルヘッド、位置検出センサを装着した。位置検出センサとサーマルヘッドとの距離Sは30mmとした。位置決めマークを感熱性平版印刷原版Pから切り取るための切り代であるd1、d2は共に10mmとした。実施例1と同様の感熱性平版印刷原版に実施例1と同様の画像を描画した。図6の説明で用いた本発明の感熱記録方法に従い、始めに図1(b)に示す網点領域a1を描画し、その後図1(c)に示す網点領域を除いた画像領域a2を描画して、図1(a)に示す2値画像を感熱性平版印刷原版に描画した。得られた印刷原版において、水平線の延長線上のチント画像を目視確認したところ、白線、或いは黒線状の画像欠陥は見られなかった。また、この様な描画を200回繰り返したところ、チント画像と水平線の位置のズレは±50μmであり、極めて安定した描画が可能であった。
【0074】
(実施例6)
感熱プリンタとして図7に概略を示した感熱プリンタを用い、実施例3と同様のサーマルヘッド、位置検出センサを各2台装着した。位置検出センサとサーマルヘッドとの距離S1、S2は共に30mmとした。位置決めマークを感熱性平版印刷原版Pから切り取るための切り代であるd1、d2は10mmとした。実施例1と同様の感熱性平版印刷原版に実施例1と同様の画像を描画した。図7の説明で用いた本発明の感熱記録方法に従い、始めにサーマルヘッド52で図1(b)に示す網点領域a1を描画し、その後サーマルヘッド42で図1(c)に示す網点領域を除いた画像領域a2を描画して、図1(a)に示す2値画像を感熱性平版印刷原版に描画した。得られた印刷原版において、水平線の延長線上のチント画像を目視確認したところ、白線、或いは黒線状の画像欠陥は見られなかった。また、この様な描画を200回繰り返したところ、チント画像と水平線の位置のズレは±50μmであり、極めて安定した描画が可能であった。
【0075】
(比較例1)
実施例1と同様の感熱性印刷原版を実施例1と同様の感熱プリンタを用いて、図1(a)に示す2値画像を分割せず1回の描画で製版した。得られた印刷原版において、水平線の延長線上のチント画像を目視確認したところ、黒線状の画像欠陥が視認された。
【0076】
(比較例2)
実施例1と同様の感熱性印刷原版を実施例1と同様の感熱プリンタを用いて製版した。始めに図1(c)に示す網点領域を除いた画像領域a2を描画し、その後図1(b)に示す網点領域a1を重ね描きして、図1(a)に示す2値画像を感熱性平版印刷原版に描画した。得られた印刷原版において、水平線の延長線上のチント画像を目視確認したところ、黒線状の画像欠陥が視認された。
【符号の説明】
【0077】
P ロール状の感熱性平版印刷原版
1、5、8、11、15、18、21、25、31、35、38、41、45、48、51、55 搬送ロール対
2、12、22、32、42、52 サーマルヘッド
3、4、13、14、33、34、43、44 クリーニングロール対
6、16、26、36、46、56 プラテンロール
7、17、37、47 カッター
39、49、59 位置検出センサ
A 2値画像
a1 網点領域
a2 網点領域を除いた画像領域
M 位置決めマーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発熱素子がライン状に配置されたサーマルヘッドを感熱記録材料に押圧しつつ、前記サーマルヘッドの配置方向と直交する方向に前記感熱記録媒体を搬送しながら、1ライン毎に2値画像の描画を行う感熱記録方法であって、描画する2値画像Aを網点領域a1と、2値画像Aから該網点領域a1を除いた画像領域a2に分割し、始めに網点領域a1を描画し、その後画像領域a2を描画して2値画像Aの描画を行うことを特徴とする感熱記録方法。
【請求項2】
請求項1に記載の感熱記録方法に用いる感熱プリンタであって、前記網点領域a1と、前記2値画像Aから該網点領域a1を除いた画像領域a2の描画位置を合わせる位置合わせ手段を有することを特徴とする感熱プリンタ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2013−56527(P2013−56527A)
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−57942(P2012−57942)
【出願日】平成24年3月14日(2012.3.14)
【出願人】(000005980)三菱製紙株式会社 (1,550)
【Fターム(参考)】