説明

感熱記録材料

【課題】低印加エネルギーでも優れた発色感度を示し、且つ、優れた保存性を有する感熱記録材料の提供。
【解決手段】塩基性ロイコ染料(1)、顕色剤(2)、増感剤(3)を含有する感熱記録材料であって、前記顕色剤(2)は、下記一般式(I)で表される縮合組成物を第1顕色剤、且つ、該第1顕色剤以外の顕色剤を第2顕色剤として含有し、前記増感剤(3)は、下記一般式(II)で表されるジフェニルスルホン系化合物を第1増感剤、且つ、該第1増感剤以外の増感剤を少なくとも一種第2増感剤として含有する感熱記録材料。



【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は無色又は淡色の塩基性ロイコ染料と顕色剤との熱による発色反応を利用して記録画像を得る感熱記録材料に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、無色又は淡色の塩基性ロイコ染料と顕色剤との熱による発色反応を利用して記録画像を得る感熱記録材料は、発色が非常に鮮明であることや、記録時に騒音がなく装置も比較的安価でコンパクト、メンテナンス容易であるなどの利点から、ファクシミリやコンピューター分野、各種計測器等に広く実用化されている。さらに最近では、ラベル、チケットの他、屋外計測用の小型の携帯端末(ハンディターミナル)や配送伝票など、各種プリンター、プロッターの出力媒体として用途も急速に拡大しつつあり、特に、電気、ガス、水道等の検針用途、電車(新幹線等)の社内販売、倉庫での在庫管理等で使用する携帯型プリンター(ハンディターミナル)の出力媒体としての使用が大きく増加している。そして、かかる携帯型プリンター(ハンディターミナル)は、携帯に便利なようにサイズが小型化されており、印字エネルギーや駆動エネルギーが省電力化される傾向にあるため、感熱記録材料の品質も、より高い発色感度が要求され、さらに一般印刷(オフセット印刷等)に匹敵するような印刷適性も要求されるようになってきている。このように、記録画像に信頼性を必要とされるラベル等の分野への使用が増加するに伴い、包装材料に含まれる可塑剤、油脂類等に対して高い保存安定性を有することや、屋外での使用に際し、日光、真夏の車内の高温状態に放置されたり、雨等の水分に曝される等、従来に比べて過酷な環境下での使用に耐える保存性(すなわち、感熱記録材料が可塑剤、熱、湿気、水等に曝されても、記録画像の濃度が維持される、可塑剤、熱、湿気、水等に対する耐性)が必要となってきている。
【0003】
保存性の改善に関し、例えば、特許文献1には、感熱記録層に顕色剤とともに酸化防止剤を添加することが提案されているが、発色感度の低下など画像品質が悪化するため好ましくない。また、保存性を向上させるために特許文献2や特許文献3に開示されているウレアウレタン化合物や特許文献4に開示されているジフェニルスルホン架橋型化合物等のフェノール性化合物のような高保存性顕色剤を単独使用する手法もあるが、これらの高保存性顕色剤は汎用の顕色剤に比べて高価であり、保存性はある程度改良されるものの、一般的に発色感度が低い。これらの性能を改善する為に、特許文献5が開示されているが、感度、保存性(特に低エネルギー(0.26mJ/dot)での感度や、耐可塑剤性の不足等)共に十分ではない。従って、発色感度、保存性(耐可塑剤性、耐熱性、耐湿性、耐水性等)及びコストの点で実用上十分に満足し得る性能の感熱記録材料は未だ得られていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭59−2891号公報
【特許文献2】国際公開第00/14058号公報
【特許文献3】特開2002−332271号公報
【特許文献4】国際公開第97/16420号公報
【特許文献5】国際公開第2008/038645号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記事情に鑑み、本発明が解決しようとする課題は、低印加エネルギー(0.26mJ/dot)でも優れた発色感度を示し、且つ、優れた保存性(耐可塑剤性、耐熱性、耐湿性、耐水性)を有する感熱記録材料を提供することである。
また、上記の優れた性能を有し、コストも低く抑えることのできる、感熱記録材料を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者等は、上記の課題を解決するために鋭意研究した結果、顕色剤として、下記の一般式(I)で表される縮合物又は当該縮合物を少なくとも二種以上含む縮合組成物(以下、第1顕色剤と略記する場合がある)を、当該第1顕色剤以外の他の顕色剤(以下、第2顕色剤と略記する場合がある)と併用し、顕色剤全量当たりの第1顕色剤の含有割合を特定範囲内に設定することで、当該第1顕色剤が併用する第2顕色剤による顕色作用を増強し、結果的に、従来よりも発色感度及び保存性(耐熱性、耐湿性、耐水性)が向上した感熱記録材料が得られることを見出した。本発明者等は、さらに、下記の一般式(II)で表されるジフェニルスルホン系化合物(以下、第1増感剤と略記する場合がある)と当該第1増感剤以外の他の増感剤(以下、第2増感剤と略記する場合がある)とを併用し、増感剤全量当たりの第2増感剤の含有割合を特定範囲内に設定することで、上記の保存性を保持したまま、さらに耐可塑剤性も向上し、低印加エネルギー(0.26mJ/dot)であっても発色感度が向上した感熱記録材料を得られることを見出した。本発明者等は、これらの知見に基づいてさらに鋭意研究を行い、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下の通りである。
【0007】
[1]支持体の少なくとも片面上に、
無色又は淡色の塩基性ロイコ染料(1)、
塩基性ロイコ染料を発色させるための顕色剤(2)、及び
発色を補助する増感剤(3)
を含有する感熱記録層が積層された感熱記録材料であって、
前記顕色剤(2)は、下記一般式(I)で表される縮合物又は当該縮合物を少なくとも二種以上含む縮合組成物を第1顕色剤として含有し、且つ、該第1顕色剤以外の顕色剤を少なくとも一種第2顕色剤として含有し、顕色剤全量当たりの第1顕色剤の含有割合が2重量%以上55重量%未満であり、
前記増感剤(3)は、下記一般式(II)で表されるジフェニルスルホン系化合物を第1増感剤として含有し、且つ、該第1増感剤以外の増感剤を少なくとも一種第2増感剤として含有し、増感剤全量当たりの第2増感剤の含有割合が2重量%以上75重量%未満であること特徴とする感熱記録材料。
【0008】
【化1】

【0009】
[式中、Rは、ハロゲン原子、水酸基、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のアルコキシ基、シアノ基、ニトロ基、アリール基又はアラルキル基を示し;mは、0〜3の整数を示し;nは、0〜3の整数を示し;X及びYは、それぞれ、水素原子、アルキル基又はアリール基を示す。]
【0010】
【化2】

【0011】
[式中、Rは、アルキル基、ハロゲン原子、ニトロ基、アルコキシ基、シアノ基又はアリルオキシ基を示し;pは、0〜3の整数を示す。]
[2]第1顕色剤が、一般式(I)の式中のnが0の縮合物を主体として含み、さらに一般式(I)中のnが1〜3の縮合物から選ばれる少なくとも一種の縮合物を含む縮合組成物である、上記[1]記載の感熱記録材料。
[3]縮合組成物における、一般式(I)の式中のnが0の縮合物の含有量が、40〜99%である、上記[2]記載の感熱記録材料。
[4]第2顕色剤が、4,4’−イソプロピリデンジフェノール、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、2,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−4’−n−プロポキシジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−4’−イソプロポキシジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−4’−アリルオキシジフェニルスルホン、及びビス(3−アリル−4−ヒドロキシフェニル)スルホンからなる群より選ばれる少なくとも一種である、上記[1]〜[3]のいずれかに記載の感熱記録材料。
[5]第2増感剤が、脂肪酸アミド、ベンジルオキシナフタレン、1,2−ビス(フェノキシメチル)ベンゼン、1,2−ビス(3−メチルフェノキシ)エタン、シュウ酸ジ(p−メチルベンジル)エステル、シュウ酸ジベンジルエステル、及び下記一般式(III)で表されるスルホンアミド系化合物からなる群より選ばれる少なくとも一種である、上記[1]〜[4]のいずれかに記載の感熱記録材料。
【0012】
【化3】

【0013】
[式中、Rは、アルキル基、ハロゲン原子、ニトロ基、アルコキシ基、シアノ基、アリルオキシ基を示し;qは、0〜3の整数を示す。]
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、低印加エネルギー(0.26mJ/dot)であっても発色感度に優れるとともに、保存性(耐可塑剤性、耐熱性、耐湿性、耐水性)が良好な感熱記録材料を提供することができる。また、このような高性能の感熱記録材料を従来品より比較的安価に提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明をより詳細に説明する。
本発明の感熱記録材料は、無色又は淡色の塩基性ロイコ染料(1)、塩基性ロイコ染料を発色させるための顕色剤(2)、及び発色を補助する増感剤(3)を含有する感熱記録層が、支持体の少なくとも片面上に積層してなる。
【0016】
[塩基性ロイコ染料(1)]
本発明の塩基性ロイコ染料(1)としては、感圧あるいは感熱記録紙分野で公知の無色乃至淡色の塩基性ロイコ染料は全て使用可能であり、特に制限されるものではないが、なかでも、トリフェニルメタン系、フルオラン系、フルオレン系、ジビニル系等の塩基性ロイコ染料が好ましい。以下に塩基性ロイコ染料の具体例を示す。なお、これら塩基性ロイコ染料は、いずれか1種を単独で使用しても、二種以上を併用してもよい。
【0017】
<トリフェニルメタン系ロイコ染料>
3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド〔別名クリスタルバイオレットラクトン〕、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)フタリド〔別名マラカイトグリーンラクトン〕等
【0018】
<フルオラン系ロイコ染料>
3−ジエチルアミノ−6−メチルフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(o,p−ジメチルアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−クロロフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(m−トリフルオロメチルアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(o−クロロアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(p−クロロアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(o−フルオロアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(m−メチルアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−n−オクチルアニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−n−オクチルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−ベンジルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−ジベンジルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−クロロ−7−メチルフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−クロロ−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−クロロ−7−p−メチルアニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−エトキシエチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−メチルフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−クロロフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(m−トリフルオロメチルアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(o−クロロアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(p−クロロアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(o−フルオロアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−ベンゾ〔a〕フルオラン、3−ジエチルアミノ−ベンゾ〔c〕フルオラン、3−ジブチルアミノ−6−メチル−フルオラン、3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−(o,p−ジメチルアニリノ)フルオラン、3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−(o−クロロアニリノ)フルオラン、3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−(p−クロロアニリノ)フルオラン、3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−(o−フルオロアニリノ)フルオラン、3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−(m−トリフルオロメチルアニリノ)フルオラン、3−ジブチルアミノ−6−メチル−クロロフルオラン、3−ジブチルアミノ−6−エトキシエチル−7−アニリノフルオラン、3−ジブチルアミノ−6−クロロ−7−アニリノフルオラン、3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−p−メチルアニリノフルオラン、3−ジブチルアミノ−7−(o−クロロアニリノ)フルオラン、3−ジブチルアミノ−7−(o−フルオロアニリノ)フルオラン、3−ジ−n−ペンチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジ−n−ペンチルアミノ−6−メチル−7−(p−クロロアニリノ)フルオラン、3−ジ−n−ペンチルアミノ−7−(m−トリフルオロメチルアニリノ)フルオラン、3−ジ−n−ペンチルアミノ−6−クロロ−7−アニリノフルオラン、3−ジ−n−ペンチルアミノ−7−(p−クロロアニリノ)フルオラン、3−ピロリジノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ピペリジノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−メチル−N−プロピルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−メチル−N−シクロヘキシルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N−シクロヘキシルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N−シクロヘキシルアミノ)−6−メチル−7−(p−クロロアニリノ)フルオラン、3−(N−エチル−p−トルイジノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N−イソアミルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N−イソアミルアミノ)−6−クロロ−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N−テトラヒドロフルフリルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N−イソブチルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N−エトキシプロピルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−シクロヘキシルアミノ−6−クロロフルオラン、2−(4−オキサヘキシル)−3−ジメチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、2−(4−オキサヘキシル)−3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、2−(4−オキサヘキシル)−3−ジプロピルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、2−メチル−6−p−(p−ジメチルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン、2−メトキシ−6−p−(p−ジメチルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン、2−クロロ−3−メチル−6−p−(p−フェニルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン、2−クロロ−6−p−(p−ジメチルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン、2−ニトロ−6−p−(p−ジエチルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン、2−アミノ−6−p−(p−ジエチルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン、2−ジエチルアミノ−6−p−(p−ジエチルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン、2−フェニル−6−メチル−6−p−(p−フェニルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン、2−ベンジル−6−p−(p−フェニルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン、2−ヒドロキシ−6−p−(p−フェニルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン、3−メチル−6−p−(p−ジメチルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−p−(p−ジエチルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−p−(p−ジブチルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン、2,4−ジメチル−6−〔(4−ジメチルアミノ)アニリノ〕−フルオラン等
【0019】
<フルオレン系ロイコ染料>
3,6,6’−トリス(ジメチルアミノ)スピロ〔フルオレン−9,3’−フタリド〕、3,6,6’−トリス(ジエチルアミノ)スピロ〔フルオレン−9,3’−フタリド〕等
【0020】
<ジビニル系ロイコ染料>
3,3−ビス−〔2−(p−ジメチルアミノフェニル)−2−(p−メトキシフェニル)エテニル〕−4,5,6,7−テトラブロモフタリド、3,3−ビス−〔2−(p−ジメチルアミノフェニル)−2−(p−メトキシフェニル)エテニル〕−4,5,6,7−テトラクロロフタリド、3,3−ビス−〔1,1−ビス(4−ピロリジノフェニル)エチレン−2−イル〕−4,5,6,7−テトラブロモフタリド、3,3−ビス−〔1−(4−メトキシフェニル)−1−(4−ピロリジノフェニル)エチレン−2−イル〕−4,5,6,7−テトラクロロフタリド等
【0021】
<その他の塩基性ロイコ染料>
3−(4−ジエチルアミノ−2−エトキシフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド、3−(4−ジエチルアミノ−2−エトキシフェニル)−3−(1−オクチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド、3−(4−シクロヘキシルエチルアミノ−2−メトキシフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド、3,3−ビス(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド、3,6−ビス(ジエチルアミノ)フルオラン−γ−(3’−ニトロ)アニリノラクタム、3,6−ビス(ジエチルアミノ)フルオラン−γ−(4’−ニトロ)アニリノラクタム、1,1−ビス−〔2’,2’、2''、2''−テトラキス−(p−ジメチルアミノフェニル)−エテニル〕−2,2−ジニトリルエタン、1,1−ビス−〔2’,2’,2'',2''−テトラキス−(p−ジメチルアミノフェニル)−エテニル〕−2−β−ナフトイルエタン、1,1−ビス−〔2’,2’,2'',2''−テトラキス−(p−ジメチルアミノフェニル)−エテニル〕−2,2−ジアセチルエタン、ビス−〔2,2,2’,2’−テトラキス−(p−ジメチルアミノフェニル)−エテニル〕−メチルマロン酸ジメチルエステル等
【0022】
[顕色剤(2)]
本発明の顕色剤(2)は、上記一般式(I)で表される縮合物又は当該縮合物を少なくとも二種以上含む縮合組成物(第1顕色剤)を含有し、且つ、該第1顕色剤以外の顕色剤を少なくとも一種(第2顕色剤)含有する。
【0023】
(第1顕色剤)
上記一般式(I)において、Rは、それぞれ、ハロゲン原子、水酸基、炭素数が1〜5のアルキル基、炭素数が1〜5のアルコキシ基、シアノ基、ニトロ基、アリール基又はアラルキル基を示し、好ましくは炭素数が1〜5のアルキル基、アラルキル基である。
ハロゲン原子としては、例えば、塩素原子、臭素原子、フッ素原子等が挙げられ、好ましくは塩素原子である。
炭素数1〜5のアルキル基としては、直鎖及び分枝鎖状のいずれであってもよく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、t−ブチル基、t−アミル基等が挙げられ、好ましくはメチル基、イソプロピル基、t−ブチル基である。
炭素数1〜5のアルコキシ基としては、直鎖及び分枝鎖状のいずれであってもよく、炭素数が1〜4のアルコキシ基が好ましく、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、t−ブトキシ基等が挙げられ、好ましくはメトキシ基である。
アリール基としては、例えば、フェニル基、トリル基、ナフチル基等が挙げられ、好ましくはフェニル基である。
また、アラルキル基としては、例えば、クミル基、α−メチルベンジル基等が挙げられる。
【0024】
上記一般式(I)において、式中のnは0〜3の整数を示す。また、mは0〜3の整数を示し、好ましくは1〜3、より好ましくは1である。Rが複数個存在する場合、それぞれのRは互いに同一でも、異なっていてもよい。また、mが1〜3の場合、Rがフェノール基の水酸基のm−位又はp−位に結合しているのが好ましく、Rがフェノール基の水酸基のp−位に結合しているのがより好ましい。
【0025】
また、式中、X及びYは、それぞれ、水素原子、アルキル基またはアリール基を示す。該アルキル基は、直鎖及び分枝鎖状のいずれであってもよく、炭素数が1〜5が好ましく、特に好ましくは炭素数が1〜4であり、具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基等が挙げられる。また、該アリール基は、例えば、フェニル基、トリル基、ナフチル基等が挙げられ、好ましくはフェニル基である。X及びYは少なくとも一方が水素原子であるのが好ましく、両方が水素原子であるのがより好ましい。
【0026】
本発明の第1顕色剤である、「一般式(I)で表される縮合物又は当該縮合物を少なくとも二種以上含む縮合組成物」としては、上記一般式(I)の式中nが0、1、2又は3の縮合物のいずれか一種、あるいは、かかる四種の縮合物のうちの少なくとも二種以上を含む縮合組成物が好ましい。これらの中でも、式中のnが0の縮合物(2核縮合物)、又は、式中のnが0の縮合物(2核縮合物)を主体として含み、さらに式中のnが1〜3の縮合物(3〜5核縮合物)のうちの少なくとも一種を含む縮合組成物が好ましく、特に好ましくは、式中のnが0の縮合物(2核縮合物)を主体として含み、さらに式中のnが1〜3の縮合物(3〜5核縮合物)のうちの少なくとも一種を含む縮合組成物である。なお、ここで、「式中のnが1〜3の縮合物(3〜5核縮合物)のうちの少なくとも一種」とは、好ましくは、(a)式中のnが1の縮合物(3核縮合物)のみ、(b)式中のnが1の縮合物(3核縮合物)と式中のnが2の縮合物(4核縮合物)の2種、または、(c)式中のnが1の縮合物(3核縮合物)と式中のnが2の縮合物(4核縮合物)と式中のnが3の縮合物(5核縮合物)の3種、のいずれかを意味し、「式中のnが0の縮合物(2核縮合物)を主体として含む」とは、縮合組成物を構成する縮合物のうちでも式中のnが0の縮合物(2核縮合物)の含有割合が最も多いことを意味する。なお、本発明において、一般式(I)で表される縮合物又は当該縮合物を少なくとも二種以上含む縮合組成物は、本発明の目的を阻害しない範囲であれば、不純物である一般式(I)におけるnが4以上の縮合物が共存する状態で使用されてもよい。
【0027】
式中のnが0の縮合物(2核縮合物)の具体例としては、2,2′−メチレンビス(4−メチルフェノール)、2,2′−メチレンビス(4−エチルフェノール)、2,2′−メチレンビス(4−イソプロピルフェノール)、2,2′−メチレンビス(4−t−ブチルフェノール)、2,2′−メチレンビス(4−n−プロピルフェノール)、2,2′−メチレンビス(4−n−ブチルフェノール)、2,2′−メチレンビス(4−t−アミルフェノール)、2,2′−メチレンビス(4−クミルフェノール)、2,2′−エチリデンビス(4−メチルフェノール)、2,2′−エチリデンビス(4−エチルフェノール)、2,2′−エチリデンビス(4−n−プロピルフェノール)、2,2′−エチリデンビス(4−イソプロピルフェノール)、2,2′−エチリデンビス(4−t−ブチルフェノール)、2,2′−エチリデンビス(4−n−ブチルフェノール)、2,2′−エチリデンビス(4−t−アミルフェノール)、2,2′−エチリデンビス(4−クミルフェノール)、2,2′−ブチリデンビス(4−メチルフェノール)、2,2′−ブチリデンビス(4−t−ブチルフェノール)などが挙げられ、これらの中でも、2,2′−メチレンビス(4−メチルフェノール)、2,2′−メチレンビス(4−エチルフェノール)、2,2′−メチレンビス(4−イソプロピルフェノール)、2,2′−メチレンビス(4−t−ブチルフェノール)、2,2′−メチレンビス(4−n−ブチルフェノール)、2,2′−メチレンビス(4−n−プロピルフェノール)、2,2′−メチレンビス(4−t−アミルフェノール)、2,2′−メチレンビス(4−クミルフェノール)、2,2′−エチリデンビス(4−t−ブチルフェノール)、2,2′−ブチリデンビス(4−t−ブチルフェノール)が好ましい。
【0028】
また、式中のnが0の縮合物(2核縮合物)を主体として含み、さらに式中のnが1〜3の縮合物(3〜5核縮合物)のうちの少なくとも一種を含む縮合組成物の具体例としては、上記の2核縮合物(式中のnが0の縮合物)の具体例として挙げた縮合物を主体として含み、これと対応する3〜5核縮合物(式中のnが1〜3の縮合物)のうちの少なくとも一種をさらに含有する縮合組成物が挙げられる。
【0029】
また、本発明の縮合組成物において、以下の高速液体クロマトグラフィーの測定条件で検出される上記一般式(I)中のnが0の縮合物(2核縮合物)の含有量は、40〜99%(高速液体クロマトグラフィーの縮合物のピーク面積値より算出)が好ましく、より好ましくは45〜98%であり、とりわけ好ましくは50〜80%である。なお、ここでの「%」は以下の測定条件の高性能液体クロマトグラフィー分析結果における「ピーク面積%」を意味し、縮合組成物を構成する式中のnが0〜3までの縮合物全体のピーク面積値に対する式中のnが0の縮合物(2核縮合物)の占めるピーク面積値の割合である。
【0030】
測定条件:
(使用カラム)
内径4.6mm、長さ15cmのステンレス管に粒径5μmの液体クロマトグラフ用オクタデシルシリル化シリカゲルを充填したもの
(移動相組成)
アセトニトリル:0.05vol%リン酸水溶液=98:2(vol)
(カラム温度)
40℃
(流量)
0.8mL/min
(検出器)
紫外吸光光度計(測定波長280nm)
【0031】
一般式(I)で表される縮合物又は当該縮合物を少なくとも二種以上含む縮合組成物は、例えば、下記一般式(IV)で表される置換フェノール類と下記一般式(V)で表されるケトン化合物あるいはアルデヒド化合物とを酸触媒(例えば、塩酸、p−トルエンスルホン酸等)存在下で反応させる等の公知の合成方法により製造することができる。反応は、原料および反応生成物を溶解し得るとともに反応に不活性な適当な有機溶媒(例えば、水、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、アセトニトリル、トルエン、クロロホルム、ジエチルエーテル、N,N−ジメチルアセトアミド、ベンゼン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼンテトラヒドロフラン等)中で、反応温度0〜150℃で数時間から数十時間行われる。反応後、未反応の置換フェノール類を蒸留にて除去することにより、収率よく目的の縮合物または縮合組成物(固体状物)を得ることができる。こうして得られた目的の縮合物または縮合組成物には第1顕色剤としての効果を損なわない範囲で一般式(I)の式中n=4以上の縮合物を不純物として含有しても構わない。また、こうして得た縮合物または縮合組成物を適当な溶媒にて再結晶することにより、さらに高純度の目的の縮合物または縮合組成物を得ることもできる。なお、置換基(式中、R、X、Y)が異なる縮合物からなる縮合組成物は、予め互いに異なる原料化合物を用いて製造しておいた互いに異なる反応生成物(縮合物または縮合組成物)を混合するか、特定の縮合物または縮合組成物を合成する反応系に、予め製造しておいた該特定の縮合物または縮合組成物とは異なる置換基を有する縮合物または縮合組成物を添加することによって得られる。
【0032】
【化4】

【0033】
[式中、Rおよびmは前記と同義である。]
【0034】
【化5】

【0035】
[式中、XおよびYは前記と同義である。]
【0036】
(第2顕色剤)
本発明の第2顕色剤としては、従来から感圧あるいは感熱記録紙の分野で使用されている公知の顕色剤(但し、背景技術の欄で説明した高保存性顕色剤は除く。)であれば特に制限なく使用できるが、具体的には、例えば、活性白土、アタパルジャイト、コロイダルシリカ、珪酸アルミニウム等の無機酸性物質;4,4’−イソプロピリデンジフェノール、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−メチルペンタン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、ヒドロキノンモノベンジルエーテル、4−ヒドロキシ安息香酸ベンジル、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、2,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−4’−イソプロポキシジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−4’−n−プロポキシジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−4’−エトキシジフェニルスルホン、4−ヒドロキシベンゼンスルホンアニリド、ビス(3−アリル−4−ヒドロキシフェニル)スルホン、4−ヒドロキシ−4’−アリルオキシジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−4’−メチルジフェニルスルホン、4−ヒドロキシフェニル−4’−ベンジルオキシフェニルスルホン、3,4−ジヒドロキシフェニル−4’−メチルフェニルスルホン、ビス(4−ヒドロキシフェニルチオエトキシ)メタン、1,5−ジ(4−ヒドロキシフェニルチオ)−3−オキサペンタン、ビス(p−ヒドロキシフェニル)酢酸ブチル、ビス(p−ヒドロキシフェニル)酢酸メチル、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、1,4−ビス[α−メチル−α−(4’−ヒドロキシフェニル)エチル]ベンゼン、1,3−ビス[α−メチル−α−(4’−ヒドロキシフェニル)エチル]ベンゼン、ジ(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)スルフィド、2,2’−チオビス(3−tert−オクチルフェノール)、2,2’−チオビス(4−tert−オクチルフェノール)、国際公開第97/16420号公報に記載されたジフェニルスルホン架橋型化合物等のフェノール系化合物;4,4’−ビス(3−(フェノキシカルボニルアミノ)メチルフェニルウレイド)ジフェニルスルホン(旭化成社製、商品名:UU)、国際公開第02/081229号公報、特開2002−301873号公報等に記載された化合物(日本曹達社製、商品名D−102、D−100)、特許第3456792号公報、特許第3612746号公報等に記載された化合物、特開平8−59603号公報記載のアミノベンゼンスルホンアミド誘導体、N,N’−ジ−m−クロロフェニルチオウレア等のチオ尿素化合物;p−クロロ安息香酸、没食子酸ステアリル、ビス[4−(n−オクチルオキシカルボニルアミノ)サリチル酸亜鉛]2水和物、4−[2−(p−メトキシフェノキシ)エチルオキシ]サリチル酸、4−[3−(p−トリルスルホニル)プロピルオキシ]サリチル酸、5−[p−(2−p−メトキシフェノキシエトキシ)クミル]サリチル酸等の芳香族カルボン酸系化合物やこれらの芳香族カルボン酸系化合物の亜鉛、マグネシウム、アルミニウム、カルシウム、チタン、マンガン、スズ、ニッケル等の多価金属との塩;チオシアン酸亜鉛のアンチピリン錯体;テレフタルアルデヒド酸と他の芳香族カルボン酸との複合亜鉛塩等が挙げられる。これらの中でも、フェノール系化合物が好ましく、特に好ましくは、4,4’−イソプロピリデンジフェノール、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−4’−n−プロポキシジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−4’−イソプロポキシジフェニルスルホン、2,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−4’−アリルオキシジフェニルスルホン、ビス(3−アリル−4−ヒドロキシフェニル)スルホンである。これらの顕色剤はいずれか一種を用いても二種以上を併用してもよい。また、これらの化合物は、公知の方法によって製造することができる。
【0037】
本発明の感熱記録材料では、感熱記録層中の顕色剤全量(すなわち、第1顕色剤と第2顕色剤との合計量)当たりの第1顕色剤の含有割合を2重量%以上55重量%未満に設定することが重要である。顕色剤全量当たりの第1顕色剤の含有割合がかかる範囲内にあることで、高い発色感度が得られるとともに、耐熱性、耐湿性、耐水性等の保存性が向上する。顕色剤全量当たりの第1顕色剤の含有割合が2重量%未満では保存性向上効果が小さく、55重量%以上では保存性が却って低下する傾向となる。顕色剤全量当たりの第1顕色剤の含有割合は好ましくは5〜50重量%であり、より好ましくは10〜40重量%である。かかる好ましい範囲にあることで、保存性の向上効果がより大きくなる。
【0038】
[増感剤(3)]
本発明の増感剤(3)は、上記一般式(II)で表されるジフェニルスルホン系化合物(第1増感剤)を含有し、且つ、該第1増感剤以外の増感剤(第2増感剤)を少なくとも一種を含有する。
【0039】
(第1増感剤)
本発明の第1増感剤は、上記一般式(II)で表されるジフェニルスルホン系化合物である。上記一般式(II)において、Rは、アルキル基、ハロゲン原子、ニトロ基、アルコキシ基、シアノ基又はアリルオキシ基を示す。
アルキル基としては、好適には、炭素数1〜5の直鎖又は分枝鎖状のアルキル基であり、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、t−ブチル基、t−アミル基等が挙げられ、好ましくはメチル基、イソプロピル基、t−ブチル基である。
ハロゲン原子としては、例えば、塩素原子、臭素原子、フッ素原子等が挙げられ、好ましくは塩素原子である。
アルコキシ基としては、好適には、炭素数1〜5の直鎖又は分枝鎖状のアルコキシ基、より好適には、炭素数が1〜4の直鎖又は分枝鎖状のアルコキシ基であり、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、t−ブトキシ基等が挙げられ、好ましくはメトキシ基である。
は、好ましくは、アルキル基、ハロゲン原子、アルコキシ基、アリルオキシ基である。
【0040】
上記一般式(II)において、pは0〜3の整数を示し、好ましくは、0〜2であり、特に好ましくは0又は1である。Rが複数個存在する場合、それぞれのRは互いに同一でも、異なっていてもよい。
【0041】
上記一般式(II)で表されるジフェニルスルホン系化合物としては、好ましくは、
が、各々独立して、アルキル基、ハロゲン原子、アルコキシ基、アリルオキシ基であり、
pが、0〜2の整数(好ましくは、0又は1)
である化合物である。
【0042】
上記一般式(II)で表されるジフェニルスルホン系化合物としては、例えば、ジフェニルスルホン、4,4’−ジメチルジフェニルスルホン、4,4’−ジエチルジフェニルスルホン、4,4’−ジブチルジフェニルスルホン、4,4’−ジペンチルジフェニルスルホン、3,3’,5,5’−テトラメチルジフェニルスルホン、4,4’−ジクロロジフェニルスルホン、4,4’−ジメトキシジフェニルスルホン、4,4’−ジエトキシジフェニルスルホン、4,4’−ジイソプロポキシジフェニルスルホン、4,4’−ジブトキシジフェニルスルホン、4,4’−ジアリルオキシジフェニルスルホン等が挙げられ、中でも増感効果、保存性に優れ、コストが安価であるといった観点から、ジフェニルスルホン、4,4’−ジアリルオキシジフェニルスルホンが好ましい。これらの化合物は、公知の方法によって製造することができる。
【0043】
(第2増感剤)
本発明の第2増感剤としては、従来公知の増感剤であれば特に制限なく使用できる。かかる増感剤としては、エチレンビスアミド、モンタン酸ワックス、ポリエチレンワックス、p−ベンジルビフェニル、ベンジルオキシナフタレン(例、β−ベンジルオキシナフタレン)、4−ビフェニル−p−トリルエーテル、m−ターフェニル、4,4’−エチレンジオキシ−ビス−安息香酸ジベンジルエステル、ジベンゾイルオキシメタン、ビス〔2−(4−メトキシ−フェノキシ)エチル〕エーテル、p−ニトロ安息香酸メチルエステル、シュウ酸ジベンジルエステル、シュウ酸ジ(p−クロロベンジル)エステル、シュウ酸ジ(p−メチルベンジル)エステル、テレフタル酸ジベンジルエステル、p−ベンジルオキシ安息香酸ベンジルエステル、ジ−p−トリルカーボネート、フェニル−α−ナフチルカーボネート、1,4−ジエトキシナフタレン、1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸フェニルエステル、4−(m−メチルフェノキシメチル)ビフェニル、1,2−ジフェノキシエタン、1,2−ビス(3−メチルフェノキシ)エタン、脂肪酸アミド(例、ステアリン酸アミド)、1,2−ビス(フェノキシメチル)ベンゼン、上記一般式(III)で表されるスルホンアミド系化合物等を例示することができるが、特にこれらに制限されるものではない。中でも、脂肪酸アミド、ベンジルオキシナフタレン、1,2−ビス(フェノキシメチル)ベンゼン、1,2−ビス(3−メチルフェノキシ)エタン、シュウ酸ジ(p−メチルベンジル)エステル、シュウ酸ジベンジルエステル、及び下記一般式(III)で表されるスルホンアミド系化合物が好ましい。これらの増感剤は、いずれか一種を単独で使用しても二種以上を併用してもよい。
【0044】
上記一般式(III)において、Rは、アルキル基、ハロゲン原子、ニトロ基、アルコキシ基、シアノ基又はアリルオキシ基を示す。
アルキル基としては、好適には、炭素数1〜5の直鎖又は分枝鎖状のアルキル基であり、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、t−ブチル基、t−アミル基等が挙げられ、好ましくはメチル基、イソプロピル基、t−ブチル基である。
ハロゲン原子としては、例えば、塩素原子、臭素原子、フッ素原子等が挙げられ、好ましくは塩素原子である。
アルコキシ基としては、好適には、炭素数1〜5の直鎖又は分枝鎖状のアルコキシ基、より好適には、炭素数が1〜4の直鎖又は分枝鎖状のアルコキシ基であり、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、t−ブトキシ基等が挙げられ、好ましくはメトキシ基である。
は、好ましくは、アルキル基、ハロゲン原子、アルコキシ基である。
【0045】
上記一般式(III)において、qは0〜3の整数を示し、好ましくは、0〜2であり、特に好ましくは0又は1である。Rが複数個存在する場合、それぞれのRは互いに同一でも、異なっていてもよい。
【0046】
上記一般式(III)で表されるスルホンアミド系化合物としては、好ましくは、
が、各々独立して、アルキル基、ハロゲン原子、アルコキシ基であり;
qが、0〜2の整数(好ましくは、0又は1)
である化合物である。
【0047】
一般式(III)で表されるスルホンアミド系化合物としては、例えば、ベンゼンスルホンアミド、メタトルエンスルホンアミド、オルトトルエンスルホンアミド、パラトルエンスルホンアミド、2−エチルベンゼンスルホンアミド、3−エチルベンゼンスルホンアミド、4−エチルベンゼンスルホンアミド、2−プロピルベンゼンスルホンアミド、3−プロピルベンゼンスルホンアミド、4−プロピルベンゼンスルホンアミド、2−イソプロピルベンゼンスルホンアミド、3−イソプロピルベンゼンスルホンアミド、4−イソプロピルベンゼンスルホンアミド、2−クロロベンゼンスルホンアミド、3−クロロベンゼンスルホンアミド、4−クロロベンゼンスルホンアミド、2−ブロモベンゼンスルホンアミド、3−ブロモベンゼンスルホンアミド、4−ブロモベンゼンスルホンアミド、2−メトキシベンゼンスルホンアミド、3−メトキシベンゼンスルホンアミド、4−メトキシベンゼンスルホンアミド、2−エトキシベンゼンスルホンアミド、3−エトキシベンゼンスルホンアミド、4−エトキシベンゼンスルホンアミド、2,3−ジクロロベンゼンスルホンアミド、3,4−ジクロロベンゼンスルホンアミド、2,5−ジクロロベンゼンスルホンアミド、4−ブロモ−2−メトキシベンゼンスルホンアミド、5−ブロモ−2−メトキシベンゼンスルホンアミド等が挙げられ、中でも増感効果に優れ、コストが安価であるといった観点から、オルトトルエンスルホンアミド、パラトルエンスルホンアミド、ベンゼンスルホンアミドが好ましい。これらの化合物は、公知の方法によって製造することができる。
【0048】
本発明の感熱記録材料では、感熱記録層中の増感剤全量(すなわち、第1増感剤と第2増感剤との合計量)当たりの第2増感剤の含有割合を2重量%以上75重量%未満に設定することが重要である。増感剤全量当たりの第2増感剤の含有割合が2重量%未満でも、75重量%以上でもさらなる増感効果は見られない。増感剤全量当たりの第2増感剤の含有割合は好ましくは5〜70重量%であり、より好ましくは10〜50重量%である。かかる好ましい範囲にあることで、発色感度の向上効果がより大きくなる。
【0049】
また、本発明の感熱記録材料において、感熱記録層に配合することのできるその他の成分としては、例えば、顔料、結着剤(所謂、バインダー)等が挙げられる。
【0050】
顔料としては、コロイダルシリカ、シリカ(例、非晶質シリカ等)、炭酸カルシウム、カオリン、焼成カオリン、ケイソウ土、タルク、酸化チタン、水酸化アルミニウム、プラスチックピグメントなどの無機または有機充填剤などが挙げられる。中でも、非晶質シリカ(高吸油性微粒シリカ)は、発色濃度を向上させ、また、ヘッドカス付着やスティッキングを防止することができ、好ましい。かかる非晶質シリカとしては、平均粒子径5μm以上のものが好ましく、5〜10μmのものがより好ましい。また、吸油量は150ml/100g以上のものが好ましく、150〜400ml/100gのものがより好ましい。また、比表面積が150m2/g以下のものが好ましく、50〜150m/gのものがより好ましい。なお、ここでいう「平均粒子径」はマスターサイザー(D50%径)に従って測定される。また、「吸油量」はJIS K5101に従って測定される。また、「比表面積」はBET法に従って測定される。非晶質シリカの平均粒子径が5μmより小さいと、スティッキング防止の効果が得られにくく、10μmより大きいとサーマルヘッドの寿命が短くなったり、用紙の塗工層強度が弱くなったり、画質が悪くなったりする場合がある。また、吸油量が150ml/100gより少ないとヘッドカス付着やスティッキング防止の効果が得られにくく、比表面積が150m2/gより大きいと塗料の白色度低下が起こる場合がある。好ましい非晶質シリカとしては、例えば、カープレックス101(デグサジャパン社製(商品名))、ファインシールP−8などが挙げられる。
【0051】
また、非晶質シリカとともに炭酸カルシウムを配合するとヘッドカスやスティッキングの防止効果がより得られやすくなるため好ましく、炭酸カルシウムは平均粒子径3μm以上であるものが好ましい。なお、ここでいう「平均粒子径」はマスターサイザー(D50%径)に従って測定される。かかる平均粒子径が3μm以上の炭酸カルシウムとしては、例えば、白石カルシウム製の、白艶華PZ(立方型炭酸カルシウム凝集体)、PC/PCX(紡錘型炭酸カルシウム)、カルライトSA(アラゴナイト型炭酸カルシウム)、ツネックスE(紡錘型炭酸カルシウム凝集体)などが挙げられる。
【0052】
バインダーとしては、塗料の流動性向上などのため、本発明の所望の効果を阻害しない範囲で一般的に知られているものを用いることができる。具体的には、完全ケン化ポリビニルアルコール、部分ケン化ポリビニルアルコール、カルボキシ変性ポリビニルアルコール、アマイド変性ポリビニルアルコール、スルホン酸変性ポリビニルアルコール、ブチラール変性ポリビニルアルコール、その他の変性ポリビニルアルコール、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、エチルセルロール、アセチルセルロースのようなセルロース誘導体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸エステル、ポリビニルブチルラール、ポリスチレンおよびそれらの共重合体、ポリアミド樹脂、シリコン樹脂、石油樹脂、テルペン樹脂、ケトン樹脂、クマロ樹脂を例示することができる。これらの高分子物質は水、アルコール、ケトン、エステル、炭化水素等の溶剤に溶かして使用するほか、水または他の媒体中に乳化あるいはペースト状に分散した状態で使用し、要求される品質に応じて併用することも可能である。
【0053】
また、本発明の効果を阻害しない範囲で、記録画像に耐油性等を付与するための安定剤を配合することができる。かかる安定剤としては、4,4’−ブチリデン(6−t−ブチル−3−メチルフェノール)、2,2’−ジ−t−ブチル−5,5’−ジメチル−4,4’−スルホニルジフェノール、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−シクロヘキシルフェニル)ブタン、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニルブタン、4−ベンジルオキシ−4’−(2,3−エポキシ−2−メチルプロポキシ)ジフェニルスルホン、エポキシレジン、国際公開第97/16420号公報記載のジフェニルスルホン架橋型化合物(日本曹達社製、商品名D−90)、特許第4004289号記載のジフェニルスルホン化合物などが挙げられる。
【0054】
また、安定剤の他にワックス類などの滑剤、ベンゾフェノン系やトリアゾール系の紫外線吸収剤、グリオキザールなどの耐水化剤、分散剤、消泡剤、酸化防止剤、蛍光染料等を使用することができる。
【0055】
本発明の感熱記録材料において、塩基性ロイコ染料(1)、顕色剤(2)、増感剤(3)並びにその他各種成分(材料)の種類及び感熱記録層中の量は要求される性能及び記録適性に従って決定され、特に限定されるものではないが、通常、顕色剤(2)は塩基性ロイコ染料(1)1重量部に対して0.5〜10重量部程度、増感剤(3)は塩基性ロイコ染料1重量部に対して0.5〜10重量部程度である。その他の成分については、本発明の効果を害しない範囲で適当な量を用いることができるが、例えば、顔料は塩基性ロイコ染料(1)1重量部に対して0.5〜10重量部程度である。
【0056】
本発明の感熱記録材料を得るには、例えば、塩基性ロイコ染料(1)、顕色剤(2)、増感剤(3)等につき、それぞれ、バインダーとともに分散した分散液を作り、これらの分散液に顔料などその他必要な添加剤を加えて、混合して塗液を調製し、これを基材(支持体)の少なくとも片面上に塗布、乾燥して感熱記録層を形成することにより製造することができる。この塗液に用いる溶媒としては、水、アルコールなどを用いることができる。また、塗液の固形分は15〜40重量%程度が好ましい。なお、各成分(材料)の分散液は、ボールミル、アトライター、サンドグライダーなどの粉砕機あるいは適当な乳化装置を用いて、各成分(材料)が数ミクロン以下の粒子径になるまで湿式磨砕するのが好ましい。
【0057】
支持体としては、特に限定されるものではなく、例えば、紙、再生紙、合成紙、フィルム、プラスチックフィルム、発泡プラスチックフィルム、不織布などを用いることができる。またこれらを組み合わせた複合シートを支持体として使用してもよい。
【0058】
塗液の塗布手段は特に限定されるものではなく、周知慣用の塗工技術に従って塗布することができ、例えば、エアーナイフコーター、ロッドブレードコーター、ブレードコーター、ロールコーター、カーテンコーターなど各種コーターを備えたオフマシン塗工機やオンマシン塗工機が適宜選択され使用される。感熱記録層の塗布量は特に限定されないが、通常、乾燥重量で2〜12g/mである。
【0059】
本発明の感熱記録材料は、さらに保存性を高める目的で、オーバーコート層を感熱記録層上に設けたり、発色感度を高める目的で、顔料を含有した高分子物質などのアンダーコート層を支持体と感熱記録層との間に設けたりしてもよい。また、支持体の感熱記録層とは反対面にバックコート層を設け、カールの矯正を図ることも可能である。また、各層の塗工後にスーパーカレンダーがけなどの平滑化処理を施すなど、感熱記録材料分野における各種公知の技術を必要適宜付加することができる。
【0060】
本発明の感熱記録材料の発色感度は、感熱紙評価試験装置(例えば、大倉電機社製のTH−PMD)を使用して感熱記録材料に印加エネルギー0.26mJ/dot又は0.35mJ/dotで印字を行い、印字後の記録部の画像濃度をマクベス濃度計(例えば、RD−914、アンバーフィルター使用)で測定する。
【0061】
本発明の感熱記録材料の耐可塑剤性は、感熱紙評価試験装置(例えば、大倉電機社製のTH−PMD)を使用して感熱記録材料に印加エネルギー0.35mJ/dotで印字を行い、かかる感熱記録材料の表裏に可塑剤を含有するフィルムを接触させて23℃の環境下で2時間放置した後、記録部の画像濃度をマクベス濃度計で測定し、下記の式にて画像残存率を算出することにより評価する。
画像残存率(%)=放置後の画像濃度/放置前の画像濃度×100
【0062】
本発明の感熱記録材料の耐熱性は、感熱紙評価試験装置(例えば、大倉電機社製のTH−PMD)を使用して感熱記録材料に印加エネルギー0.35mJ/dotで印字を行い、60℃の環境下で24時間放置した後、記録部の画像濃度をマクベス濃度計で測定し、下記の式にて画像残存率を算出することにより評価する。
画像残存率(%)=放置後の画像濃度/放置前の画像濃度×100
【0063】
本発明の感熱記録材料の耐湿性は、感熱紙評価試験装置(例えば、大倉電機社製のTH−PMD)を使用して感熱記録材料に印加エネルギー0.35mJ/dotで印字を行い、40℃、90%Rhの環境下で24時間放置した後、記録部の画像濃度をマクベス濃度計で測定し、下記の式にて画像残存率を算出することにより評価する。
画像残存率(%)=放置後の画像濃度/放置前の画像濃度×100
【0064】
本発明の感熱記録材料の耐水性は、感熱紙評価試験装置(例えば、大倉電機社製のTH−PMD)を使用して感熱記録材料に印加エネルギー0.35mJ/dotで印字を行い、20℃の水中に24時間放置した後、記録部の画像濃度をマクベス濃度計で測定し、下記の式にて画像残存率を算出することにより評価する。
画像残存率(%)=放置後の画像濃度/放置前の画像濃度×100
【実施例】
【0065】
以下、本発明を実施例によって具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらに限定されるものではない。なお、各実施例中、特にことわらない限り「部」又は「%」は、それぞれ「重量部」又は「重量%」を示す。
【0066】
第1顕色剤における2核縮合物の含有量は、下記条件での高速液体クロマトグラフィー(HPLC)による分析で求めたものであり、構成成分のピーク面積の合計を100とした時の、2核縮合物のピーク面積%による比率を示し、その他の不純物は含んでいない。
カラム :Inertsil ODS−2
オクタデシルシリル化シリカゲルの粒径:5μm
カラムの内径×長さ:4.6mmφ×15cm
移動相組成 :アセトニトリル:0.05vol%リン酸水溶液=98:2(vol)
流速 :0.8mL/min
波長 :280nm(検出機には紫外吸光光度計を使用)
注入量 :1.0μL
カラム温度 :40℃
分析時間 :25min
サンプル濃度:約2500ppm
【0067】
1.第1顕色剤
(1)2,2′−メチレンビス(4−t−ブチルフェノール)を60%含有する縮合組成物
[その他の構成成分]
2,6−ビス(2−ヒドロキシ−5−t−ブチルベンジル)−4−t−ブチルフェノール:2,2′−メチレンビス[6−[(2−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)メチル]−4−t−ブチルフェノール]:2,6−ビス[[2−ヒドロキシ−3−[(2−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)メチル]−5−t−ブチルフェニル]メチル]−4−t−ブチルフェノール:2,2′−メチレンビス[6−[[2−ヒドロキシ−3−[(2−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)メチル]−5−t−ブチルフェニル]メチル]−4−t−ブチルフェノール]:2,6−ビス[[2−ヒドロキシ−3−[2−ヒドロキシ−3−[(2−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)メチル]−5−t−ブチルフェニル]メチル]−5−t−ブチルフェニル]メチル]−4−t−ブチルフェノール
【0068】
かかる2,2′−メチレンビス(4−t−ブチルフェノール)を60%含有する縮合組成物は、国際公開第03/029017号パンフレットに記載の製造法に準じて製造した。
【0069】
2.感熱記録材料
[実施例1]
塩基性ロイコ染料、顕色剤及び増感剤の各材料は、それぞれ、予め以下の配合の分散液を調製し、それぞれサンドグラインダーで平均粒子径が0.5μmになるまで湿式磨砕を行った。
<顕色剤分散液A>
2,2’−メチレンビス(4−t−ブチルフェノール)を60%含有する縮合組成物
(第1顕色剤) 6.0部
10%ポリビニルアルコール水溶液 18.8部
水 11.2部
<顕色剤分散液B>
4,4‘−ジヒドロキシジフェニルスルホン
(第2顕色剤) 6.0部
10%ポリビニルアルコール水溶液 18.8部
水 11.2部
<塩基性ロイコ染料分散液>
3−ジ−n−ブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン
(山本化成社製商品名:ODB−2) 3.0部
10%ポリビニルアルコール水溶液 6.9部
水 3.9部
<増感剤分散液C>
ジフェニルスルホン(第1増感剤) 6.0部
10%ポリビニルアルコール水溶液 18.8部
水 11.2部
<増感剤分散液D>
パラトルエンスルホンアミド(第2増感剤) 6.0部
10%ポリビニルアルコール水溶液 18.8部
水 11.2部
【0070】
下記処方の混合した層塗液を調製し、この層塗液を坪量50g/mの上質紙に乾燥後の塗布量が6g/mとなるように塗布乾燥した後、スーパーカレンダーでベック平滑度が200〜600秒になるように処理し、感熱記録材料を得た。
顕色剤分散液A 10.8部
(顕色剤全量に対する第1顕色剤の比率30重量%)
顕色剤分散液B 25.2部
(顕色剤全量に対する第2顕色剤の比率70重量%)
塩基性ロイコ染料分散液 13.8部
増感剤分散液C 25.2部
(増感剤全量に対する第1増感剤の比率70重量%)
増感剤分散液D 10.8部
(増感剤全量に対する第2増感剤の比率30重量%)
非晶質シリカ(デグサジャパン社製商品名:カープレックス101)25%分散液
26.0部
炭酸カルシウム(白石カルシウム社製商品名:ツネックスE)50%分散液
13.0部
ステアリン酸亜鉛30%分散液 6.7部
10%ポリビニルアルコール 20部
【0071】
[実施例2]
増感剤分散液Cを18.0部(増感剤全量に対する第1増感剤の比率50重量%)、増感剤分散液Dを18.0部(増感剤全量に対する第2増感剤の比率50重量%)に変更した以外は実施例1と同様にして感熱記録材料を得た。
【0072】
[実施例3]
増感剤分散液Cを10.8部(増感剤全量に対する第1増感剤の比率30重量%)、増感剤分散液Dを25.2部(増感剤全量に対する第2増感剤の比率70重量%)に変更した以外は実施例1と同様にして感熱記録材料を得た。
【0073】
[比較例1]
顕色剤分散液Bを36.0部(顕色剤全量に対する第2顕色剤の比率100重量%)、増感剤分散液Cを36.0部(増感剤全量に対する第1増感剤の比率100重量%)に変更した以外は実施例1と同様にして感熱記録材料を得た。
【0074】
[比較例2]
増感剤分散液Dを36.0部(増感剤全量に対する第2増感剤の比率100重量%)に変更した以外は比較例1と同様にして感熱記録材料を得た。
【0075】
[比較例3]
顕色剤分散液Aを36.0部(顕色剤全量に対する第1顕色剤の比率100重量%)に変更した以外は比較例1と同様にして感熱記録材料を得た。
【0076】
[比較例4]
顕色剤分散液Aを25.2部(顕色剤全量に対する第1顕色剤の比率70重量%)、顕色剤分散液Bを10.8部(顕色剤全量に対する第2顕色剤の比率30重量%)に変更した以外は比較例1と同様にして感熱記録材料を得た。
【0077】
[比較例5]
顕色剤分散液Aを10.8部(顕色剤全量に対する第1顕色剤の比率30重量%)、顕色剤分散液Bを25.2部(顕色剤全量に対する第2顕色剤の比率70重量%)に変更した以外は比較例1と同様にして感熱記録材料を得た。
【0078】
[比較例6]
増感剤分散液C18.0部(増感剤全量に対する第1増感剤の比率50重量%)、増感剤分散液D18.0部(増感剤全量に対する第2増感剤の比率50重量%)に変更した以外は比較例1と同様にして感熱記録材料を得た。
【0079】
上記の実施例1〜3及び比較例1〜6で得られた感熱記録材料について、それぞれ下記の評価を行った。結果を表1に示す。
【0080】
[発色感度]
大倉電機社製のTH−PMDを使用し、作成した感熱記録材料に印加エネルギー0.26mJ/dotと0.35mJ/dotで印字を行った。印字後の記録部の画像濃度をマクベス濃度計(RD−914、アンバーフィルター使用)で測定した。
【0081】
[耐可塑剤性]
大倉電機社製のTH−PMDを使用し、印加エネルギー0.35mJ/dotで印字を行った感熱記録材料の表裏に塩化ビニル製フィルム(商品名:ダイアラップ、三菱樹脂社製)を接触させて23℃の環境下で2時間放置した後、記録部の画像濃度をマクベス濃度計で測定し、下記の式にて画像残存率を算出した。
画像残存率(%)=放置後の画像濃度/放置前の画像濃度×100
【0082】
[耐熱性]
大倉電機社製のTH−PMDを使用し、印加エネルギー0.35mJ/dotで印字を行った感熱記録材料を60℃の環境下で24時間放置した後、記録部の画像濃度をマクベス濃度計で測定し、下記の式にて画像残存率を算出した。
画像残存率(%)=放置後の画像濃度/放置前の画像濃度×100
【0083】
[耐湿性]
大倉電機社製のTH−PMDを使用し、印加エネルギー0.35mJ/dotで印字を行った感熱記録材料を40℃、90%Rhの環境下で24時間放置した後、記録部の画像濃度をマクベス濃度計で測定し、下記の式にて画像残存率を算出した。
画像残存率(%)=放置後の画像濃度/放置前の画像濃度×100
【0084】
[耐水性]
大倉電機社製のTH−PMDを使用し、印加エネルギー0.35mJ/dotで印字を行った感熱記録材料を20℃の水中に24時間放置した後、記録部の画像濃度をマクベス濃度計で測定し、下記の式にて画像残存率を算出した。
画像残存率(%)=放置後の画像濃度/放置前の画像濃度×100
【0085】
【表1】

【0086】
表1の比較例1、2、3の結果から明らかなように、顕色剤(2)として第1顕色剤と第2顕色剤とのいずれか一方のみしか含有せず、また、増感剤(3)として第1増感剤と第2増感剤とのいずれか一方のみしか含有しない場合、発色感度(特に低印加エネルギー0.26mJ/dotでの発色感度)及び保存性のうち、1項目以上の性能が劣る。
また、比較例4、5の結果から明らかなように、顕色剤(2)として第1顕色剤と第2顕色剤との両方を含有しても、増感剤(3)として第1増感剤と第2増感剤とのいずれか一方のみしか含有しない場合、低エネルギー0.26mJ/dotでの発色感度が十分に向上しない。
さらに、比較例6の結果から明らかなように、増感剤(3)として第1増感剤と第2増感剤との両方を含有しても、顕色剤(2)として第1顕色剤と第2顕色剤とのいずれか一方のみしか含有しない場合、低エネルギー0.26mJ/dotでの発色感度が若干向上するものの、保存性の一部(耐湿性、耐水性)が十分ではない。
それらの比較例の結果に比べ、実施例1〜3の結果から明らかなように、顕色剤(2)として第1顕色剤と第2顕色剤との両方を含有し、顕色剤全量当たりの第1顕色剤の含有割合が2重量%以上55重量%未満であり、さらに増感剤(3)として第1増感剤と第2増感剤との両方を含有し、増感剤全量当たりの第2増感剤の含有割合が2重量%以上75重量%未満である場合、低印加エネルギー(0.26mJ/dot)でも高発色感度で、且つ、いずれの保存性も良好なバランスの取れた感熱記録材料となることが分かる。
さらに実施例1〜3感熱記録材料は、使用する顕色剤、増感剤が安価であるので製造コストも低く、実用的な感熱記録材料である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持体の少なくとも片面上に、
無色又は淡色の塩基性ロイコ染料(1)、
塩基性ロイコ染料を発色させるための顕色剤(2)、及び
発色を補助する増感剤(3)
を含有する感熱記録層が積層された感熱記録材料であって、
前記顕色剤(2)は、下記一般式(I)で表される縮合物又は当該縮合物を少なくとも二種以上含む縮合組成物を第1顕色剤として含有し、且つ、該第1顕色剤以外の顕色剤を少なくとも一種第2顕色剤として含有し、顕色剤全量当たりの第1顕色剤の含有割合が2重量%以上55重量%未満であり、
前記増感剤(3)は、下記一般式(II)で表されるジフェニルスルホン系化合物を第1増感剤として含有し、且つ、該第1増感剤以外の増感剤を少なくとも一種第2増感剤として含有し、増感剤全量当たりの第2増感剤の含有割合が2重量%以上75重量%未満であること特徴とする感熱記録材料。
【化1】

[式中、Rは、ハロゲン原子、水酸基、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のアルコキシ基、シアノ基、ニトロ基、アリール基又はアラルキル基を示し;mは、0〜3の整数を示し;nは、0〜3の整数を示し;X及びYは、それぞれ、水素原子、アルキル基又はアリール基を示す。]
【化2】

[式中、Rは、アルキル基、ハロゲン原子、ニトロ基、アルコキシ基、シアノ基又はアリルオキシ基を示し;pは、0〜3の整数を示す。]
【請求項2】
第1顕色剤が、一般式(I)の式中のnが0の縮合物を主体として含み、さらに一般式(I)中のnが1〜3の縮合物から選ばれる少なくとも一種の縮合物を含む縮合組成物である、請求項1記載の感熱記録材料。
【請求項3】
縮合組成物における、一般式(I)の式中のnが0の縮合物の含有量が、40〜99%である、請求項2記載の感熱記録材料。
【請求項4】
第2顕色剤が、4,4’−イソプロピリデンジフェノール、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、2,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−4’−n−プロポキシジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−4’−イソプロポキシジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−4’−アリルオキシジフェニルスルホン、及びビス(3−アリル−4−ヒドロキシフェニル)スルホンからなる群より選ばれる少なくとも一種である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の感熱記録材料。
【請求項5】
第2増感剤が、脂肪酸アミド、ベンジルオキシナフタレン、1,2−ビス(フェノキシメチル)ベンゼン、1,2−ビス(3−メチルフェノキシ)エタン、シュウ酸ジ(p−メチルベンジル)エステル、シュウ酸ジベンジルエステル、及び下記一般式(III)で表されるスルホンアミド系化合物からなる群より選ばれる少なくとも一種である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の感熱記録材料。
【化3】

[式中、Rは、アルキル基、ハロゲン原子、ニトロ基、アルコキシ基、シアノ基、アリルオキシ基を示し;qは、0〜3の整数を示す。]