説明

慣性センサ及びその製造方法

【課題】従来よりも小型であっても、従来の性能を少なくとも維持したまま電極を設けることが可能な慣性センサを得る。
【解決手段】本発明の慣性センサは、基板10上面部の所定位置に配設された電極21〜29(Z軸方向慣性検出用)、電極31〜39(X軸方向慣性検出用)と、該電極間の所定箇所に配設された圧電素子61〜68(Z軸方向慣性検出用)、圧電素子71〜78(X軸方向慣性検出用)とを備えている。圧電素子61〜68は、各圧電素子で出力された電圧が加算されるように設けられている。また、圧電素子71〜78も、各圧電素子で出力された電圧が加算されるように設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧電素子を用いた慣性センサであって、加速度などの慣性を検出することが可能なセンサに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、加速度センサなどの慣性センサは公知となっており、例えば、下記特許文献1に開示されたセンサがある。該センサは、板状の圧電素子と、この圧電素子の上面に形成された上部電極と、この圧電素子の下面に形成された下部電極と、によって構成される検出子を4組用意し、可撓性をもった基板内の1点に原点を定義し、この原点を通りかつ基板面に平行な方向にX軸を定義し、用意した4組の検出子のうちの2組をX軸の正の側に、他の2組を負の側に、それぞれX軸に沿って並べて配置し、各検出子の一方の電極を基板に固定し、基板外側の周囲部分をセンサ筺体に固定し、外部から作用する物理量に基づいて発生した力を、原点に伝達する機能を有する作用体を形成し、この作用体に発生した力を、4組の検出子の各電極に発生する電荷に基づいて検出するようにしたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開WO93/02342
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1のセンサにおいては、小型化しようとした場合、従来の性能を維持したまま電極を従来通りに設けるということは困難となる。
【0005】
そこで、本発明の目的は、従来よりも小型であっても、従来の性能を少なくとも維持したまま電極を設けることが可能な慣性センサを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1) 本発明の慣性センサは、可撓性を有した基板と、前記基板中央部の一方の面側に設けられ、外部から作用する物理量に基づいて発生した力を前記基板に伝達する作用体と、前記中央部から外側に向かって順に一列に設けられた板状の第1の圧電素子及び板状の第2の圧電素子と、前記基板の他方の面側において、前記中央部を挟んで前記第1の圧電素子及び第2の圧電素子と対向配置されており、前記中央部から外側に向かって順に一列に設けられた板状の第3の圧電素子及び板状の第4の圧電素子と、前記第2の圧電素子の下部と前記基板との間に設けられた第1の電極と、前記第2の圧電素子の上部に設けられた一端部と、前記第1の圧電素子の上部に設けられた他端部と、該一端部と該他端部とを接続する接続部とを有している第2の電極と、前記第1の圧電素子の下部と前記基板との間に設けられた一端部と、前記第3の圧電素子の上部に設けられた他端部と、該一端部と該他端部とを接続する接続部とを有している第3の電極と、前記第3の圧電素子の下部と前記基板との間に設けられた一端部と、前記第4の圧電素子の下部と前記基板との間に設けられた他端部と、該一端部と該他端部とを接続する接続部とを有している第4の電極と、前記第4の圧電素子の上部と接続されている第5の電極と、を備えているものである。
【0007】
上記(1)の構成によれば、従来よりも小型の慣性センサであっても、従来のZ軸方向の加速度などの慣性を検出する性能を少なくとも維持したまま電極を設けることが可能となる。
【0008】
(2) 別の観点として、本発明の慣性センサは、可撓性を有した基板と、前記基板中央部の一方の面側に設けられ、外部から作用する物理量に基づいて発生した力を前記基板に伝達する作用体と、前記中央部から外側に向かって順に一列に設けられた板状の第5の圧電素子及び板状の第6の圧電素子と、前記基板の他方の面側において、前記中央部を挟んで前記第5の圧電素子及び第6の圧電素子と対向配置されており、前記中央部から外側に向かって順に一列に設けられた板状の第7の圧電素子及び板状の第8の圧電素子と、前記第6の圧電素子の下部と前記基板との間に設けられた第6の電極と、前記第6の圧電素子の上部に設けられた一端部と、前記第5の圧電素子の上部に設けられた他端部と、該一端部と該他端部とを接続する接続部とを有している第7の電極と、前記第5の圧電素子の下部と前記基板との間に設けられた一端部と、前記第7の圧電素子の下部と前記基板との間に設けられた他端部と、該一端部と該他端部とを接続する接続部とを有している第8の電極と、前記第7の圧電素子の上部に設けられた一端部と、他端部が前記第8の圧電素子の上部に設けられた他端部と、該一端部と該他端部とを接続する接続部とを有している第9の電極と、前記第8の圧電素子の下部と接続されている第10の電極と、を備えているものであってもよい。
【0009】
上記(2)の構成によれば、従来よりも小型の慣性センサであっても、従来のX軸又はY軸の加速度などの慣性を検出する性能を少なくとも維持したまま電極を設けることが可能となる。
【0010】
(3) 上記(1)の慣性センサにおいては、前記中央部から外側に向かって順に一列に設けられた板状の第5の圧電素子及び板状の第6の圧電素子と、前記基板の他方の面側において、前記中央部を挟んで前記第5の圧電素子及び第6の圧電素子と対向配置されており、前記中央部から外側に向かって順に一列に設けられた板状の第7の圧電素子及び板状の第8の圧電素子と、前記第6の圧電素子の下部と前記基板との間に設けられた第6の電極と、前記第6の圧電素子の上部に設けられた一端部と、前記第5の圧電素子の上部に設けられた他端部と、該一端部と該他端部とを接続する接続部とを有している第7の電極と、前記第5の圧電素子の下部と前記基板との間に設けられた一端部と、前記第7の圧電素子の下部と前記基板との間に設けられた他端部と、該一端部と該他端部とを接続する接続部とを有している第8の電極と、前記第7の圧電素子の上部に設けられた一端部と、他端部が前記第8の圧電素子の上部に設けられた他端部と、該一端部と該他端部とを接続する接続部とを有している第9の電極と、前記第8の圧電素子の下部と接続されている第10の電極と、を備え、前記第1の圧電素子と前記第5の圧電素子とが並設され、前記第2の圧電素子と第6の圧電素子とが並設され、前記第3の圧電素子と前記第7の圧電素子とが並設され、前記第4の圧電素子と前記第8の圧電素子とが並設されていることが好ましい。
【0011】
上記(3)の構成によれば、従来よりも小型の慣性センサであっても、従来のZ軸、及び、X軸又はY軸の2軸方向における加速度などの慣性を検出する性能を少なくとも維持したまま電極を設けることが可能となる。
【0012】
(4) 上記(3)の慣性センサにおいては、前記中央部から外側に向かって順に一列に設けられた板状の第9の圧電素子及び板状の第10の圧電素子と、前記基板の他方の面側において、前記中央部を挟んで前記第9の圧電素子及び第10の圧電素子と対向配置されており、前記中央部から外側に向かって順に一列に設けられた板状の第11の圧電素子及び板状の第12の圧電素子と、前記第10の圧電素子の下部と前記基板との間に設けられた第11の電極と、前記第10の圧電素子の上部に設けられた一端部と、他端部が前記第9の圧電素子の上部に設けられた他端部と、該一端部と該他端部とを接続する接続部とを有している第12の電極と、前記第9の圧電素子の下部と前記基板との間に設けられた一端部と、他端部が前記第11の圧電素子の下部と前記基板との間に設けられた他端部と、該一端部と該他端部とを接続する接続部とを有している第13の電極と、前記第11の圧電素子の上部に設けられた一端部と、他端部が前記第12の圧電素子の上部に設けられた他端部と、該一端部と該他端部とを接続する接続部とを有している第14の電極と、前記第12の圧電素子の下部と接続されている第15の電極と、を備え、前記第1の圧電素子と前記第9の圧電素子とが並設され、前記第2の圧電素子と前記第10の圧電素子とが並設され、前記第3の圧電素子と前記第11の圧電素子とが並設され、前記第4の圧電素子と前記第12の圧電素子とが並設されていることが好ましい。
【0013】
上記(4)の構成によれば、従来よりも小型の慣性センサであっても、従来のX軸、Y軸、及びZ軸の3軸方向における加速度などの慣性を検出する性能を少なくとも維持したまま電極を設けることが可能となる。
【0014】
(5) 本発明の慣性センサの製造方法は、上記(1)の慣性センサの製造方法であって、基板表面に順に積層されている電極用薄膜と圧電素子用薄膜とをエッチングして、前記第1の電極及び前記第4の電極と、前記第1の圧電素子、前記第2の圧電素子、前記第3の圧電素子及び前記第4の圧電素子とを形成する第1工程と、前記第1工程後に、前記基板の前記圧電素子が設けられている面側に電極用薄膜を形成した後、該電極用薄膜をエッチングして、前記第2の電極、前記第3の電極及び前記第5の電極を形成する第2工程と、を有しているものである。
【0015】
(6) 別の観点として、本発明の慣性センサの製造方法は、上記(2)の慣性センサの製造方法であって、基板表面に順に積層されている電極用薄膜と圧電素子用薄膜とをエッチングして、前記第6の電極、前記第8の電極及び前記第10の電極と、前記第5の圧電素子、前記第6の圧電素子、前記第7の圧電素子及び前記第8の圧電素子とを形成する第1工程と、前記第1工程後であって、前記基板の前記圧電素子が設けられている面側に電極用薄膜を形成した後、該電極用薄膜をエッチングして、前記第7の電極及び前記第10の電極を形成する第2工程と、を有しているものであってもよい。
【0016】
上記(5)の構成によれば、上記(1)の慣性センサを容易に製造することができる。また、上記(6)の構成によれば、上記(2)の慣性センサを容易に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施形態に係る慣性センサの概略平面図である。
【図2】(a)が図1に示した慣性センサのI−I矢視断面図、(b)が図1に示した慣性センサのII−II矢視断面図、(c)が図1に示した慣性センサのIII−III矢視断面図である。
【図3】(a)が図1に示した慣性センサのIV−IV矢視断面図、(b)が図1に示した慣性センサのV−V矢視断面図、(c)が図1に示した慣性センサのVI−VI矢視断面図である。
【図4】図1に示した慣性センサの一部破断斜視図であって、基板と各圧電素子との配置関係を説明するためのものである。
【図5】図1に示した慣性センサの動作を説明するための断面図である。
【図6】図1に示した慣性センサの製造工程の説明に用いる図であって、(a)が基板上に電極用薄膜、圧電素子用薄膜を順にスパッタリングしたもの、(b)が(a)に示した圧電素子用薄膜を所定形状にエッチングし圧電素子としたもの、(c)が(a)に示した電極用薄膜を所定形状にエッチングしたもの、(d)が絶縁体用薄膜を(c)に示した部位の上部にスパッタリングしたもの、(e)が(d)に示した絶縁体用薄膜を所定形状にエッチングしたもの、(f)が電極用薄膜を(e)に示した部位の上部にスパッタリングした後、該電極用薄膜を所定形状にエッチングしたもの、を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態に係る慣性センサについて説明する。
【0019】
図1〜図3に示すように、慣性センサ1000は、可撓部11a〜11dと、作用体12a〜12d、14と、略矩形のスリット13a〜13dと、枠状のフレーム15とを有した基板10と、基板10上面部の所定位置に配設された電極21〜29(Z軸方向慣性検出用)、電極31〜39(X軸方向慣性検出用)、電極41〜49(Y軸方向慣性検出用)と、該電極間の所定箇所に配設された圧電素子61〜68(Z軸方向慣性検出用)、圧電素子71〜78(X軸方向慣性検出用)、圧電素子81〜88(Y軸方向慣性検出用)とを備えている。なお、基板10は、可撓性のある絶縁体、又は、絶縁層を表面に有した可撓性のある金属体などを用いることができる。また、各圧電素子は、加えられた力を電圧に変換する圧電効果を利用した素子であって、PZTなどの圧電セラミックスを用いることができる。また、各電極は、導体であればどのような材質のものであってもよい。また、各絶縁体は、電気的に絶縁できる材質のものであればどのようなものであってもよい。
【0020】
可撓部11a〜11dのそれぞれは、外部から力が加わった際、フレーム15の内部側において撓むことができるように、図2、図3(理解を容易にするため、各部位の厚みなどを誇張して示している。)に示すような所定厚さの板状部となっている。また、図1に示すように、可撓部11aは、基板10において、スリット13a、13bを介して作用体12aと作用体12bとの間に設けられている。可撓部11bは、基板10において、スリット13c、13dを介して作用体12cと作用体12dとの間に設けられている。可撓部11cは、基板10において、スリット13b、13cを介して作用体12bと作用体12cとの間に設けられている。可撓部11dは、基板10において、スリット13a、13dを介して作用体12aと作用体12dとの間に設けられている。
【0021】
作用体12a〜12dのそれぞれは、図1、図4に示すように、揺動可能に基板10中央部から四方へ延設されている略直方体状のものであり、外部から作用する物理量に基づいて発生した力を、基板10中央部及び可撓部11a〜11dを介して基板10全体に伝達することができるようになっている。
【0022】
作用体14は、図2、図3に示すように、基板10中央部の下方面側に設けられている略直方体状のものであり、外部から作用する物理量に基づいて発生した力を、基板10中央部及び可撓部11a〜11dを介して基板10全体に伝達することができるようになっている。
【0023】
<可撓部11a及び可撓部11b付近の構成>
圧電素子62(第1の圧電素子)、圧電素子61(第2の圧電素子)は、共に板状の部材であって、図2(a)、図4に示すように、後述する所定の電極を介して可撓部11a上に、基板10中央部からX軸に沿って外側に向かって、順に一列に設けられているものである。また、圧電素子63(第3の圧電素子)、圧電素子64(第4の圧電素子)は、共に板状の部材であって、基板10中央部を挟んで圧電素子62、圧電素子61と対向配置されており、後述する所定の電極を介して可撓部11b上に、基板10中央部からX軸に沿って外側に向かって、順に一列に設けられているものである。なお、図4は、図1に示した慣性センサ1000のフレーム15を取り去った場合を示す破断斜視図であって、基板10と基板10上の各圧電素子との配置関係を説明するために、各電極、各絶縁体を省略して示した図である。
【0024】
圧電素子72(第5の圧電素子)、圧電素子71(第6の圧電素子)は、共に板状の部材であって、図2(b)、図4に示すように、後述する所定の電極を介して可撓部11a上に、基板10中央部からX軸に沿って外側に向かって、順に一列に設けられているものである。また、圧電素子73(第7の圧電素子)、圧電素子74(第8の圧電素子)は、共に板状の部材であって、基板10中央部を挟んで圧電素子72、圧電素子71と対向配置されており、後述する所定の電極を介して可撓部11b上に、基板10中央部からX軸に沿って外側に向かって、順に一列に設けられているものである。また、図4に示したように、可撓部11a上において、圧電素子62(第1の圧電素子)と圧電素子72(第5の圧電素子)とが並設され、圧電素子61(第2の圧電素子)と圧電素子71(第6の圧電素子)とが並設されているとともに、可撓部11b上において、圧電素子63(第3の圧電素子)と圧電素子73(第7の圧電素子)とが並設され、圧電素子64(第4の圧電素子)と圧電素子74(第8の圧電素子)とが並設されている。
【0025】
圧電素子82(第9の圧電素子)、圧電素子81(第10の圧電素子)は、共に板状の部材であって、図2(c)、図4に示すように、後述する所定の電極を介して可撓部11a上に、基板10中央部からX軸に沿って外側に向かって、順に一列に設けられているものである。また、圧電素子83(第11の圧電素子)、圧電素子84(第12の圧電素子)は、共に板状の部材であって、基板10中央部を挟んで圧電素子82、圧電素子81と対向配置されており、後述する所定の電極を介して可撓部11b上に、基板10中央部からX軸に沿って外側に向かって、順に一列に設けられているものである。また、図4に示したように、可撓部11a上において、圧電素子62(第1の圧電素子)と圧電素子82(第9の圧電素子)とが並設され、圧電素子61(第2の圧電素子)と圧電素子81(第10の圧電素子)とが並設されているとともに、可撓部11b上において、圧電素子63(第3の圧電素子)と圧電素子83(第11の圧電素子)とが並設され、圧電素子64(第4の圧電素子)と圧電素子84(第12の圧電素子)とが並設されている。
【0026】
(Z軸方向慣性検出用の各電極)
電極21(第1の電極)は、図1に示すように、外部からの配線を取付可能な配線取付部21aを有しており、また、図2(a)に示すように、一部が圧電素子61(第2の圧電素子)の下部と基板10との間に設けられている。
【0027】
電極22(第2の電極)は、図2(a)に示すように、圧電素子61(第2の圧電素子)の上部に設けられた一端部22aと、圧電素子62(第1の圧電素子)の上部に設けられた他端部22bと、一端部22aと他端部22bとを接続する接続部22cとを有している。
【0028】
電極23(第3の電極)は、圧電素子62(第1の圧電素子)の下部と基板10との間に設けられた一端部23aと、圧電素子63(第3の圧電素子)の上部に設けられた他端部23bと、一端部23aと他端部23bとを接続する接続部23cとを有している。接続部23c上には、絶縁体52、54、55が積層されている。これら絶縁体52、54、55のそれぞれの上部には、接続部23cと電気的に導通しないように電極27、37、47がそれぞれ積層されている。
【0029】
電極24(第4の電極)は、圧電素子63(第3の圧電素子)の下部と基板10との間に設けられた一端部24aと、圧電素子64(第4の圧電素子)の下部と基板10との間に設けられた他端部24bと、一端部24aと他端部24bとを接続する接続部24cとを有している。
【0030】
電極25(第5の電極)は、一端部が圧電素子64(第4の圧電素子)の上部と接続されており、他端部が圧電素子65の下部と接続されている(図1、図3(a)参照)。
【0031】
また、図2(a)に示すように、電極21と電極22とが電気的に直接導通しないように、絶縁体91が電極21と電極22の接続部22cとの間に設けられている。同様に、電極22と電極23とが電気的に直接導通しないように、絶縁体92が電極22の接続部22cと電極23の一端部23aとの間に設けられている。また、電極23と電極24とが電気的に直接導通しないように、絶縁体93が電極23の接続部23cと電極24の一端部24aとの間に設けられている。また、電極24と電極25とが電気的に直接導通しないように、絶縁体94が電極24の他端部24bと電極25との間に設けられている。
【0032】
(X軸方向慣性検出用の各電極)
電極31(第6の電極)は、図1に示すように、外部からの配線を取付可能な配線取付部31aを有しており、また、図2(b)に示すように、一部が圧電素子71(第6の圧電素子)の下部と基板10との間に設けられている。
【0033】
電極32(第7の電極)は、図2(b)に示すように、圧電素子71(第6の圧電素子)の上部に設けられた一端部32aと、圧電素子72(第5の圧電素子)の上部に設けられた他端部32bと、一端部32aと他端部32bとを接続する接続部32cとを有している。
【0034】
電極33(第8の電極)は、圧電素子72(第5の圧電素子)の下部と基板10との間に設けられた一端部33aと、圧電素子73(第7の圧電素子)の下部と基板10との間に設けられた他端部33bと、一端部33aと他端部33bとを接続する接続部33cとを有している。接続部33c上には、絶縁体52、54、55が積層されている。これら絶縁体52、54、55のそれぞれの上部には、接続部33cと電気的に導通しないように電極27、37、47がそれぞれ積層されている。
【0035】
電極34(第9の電極)は、圧電素子73(第7の圧電素子)の上部に設けられた一端部34aと、圧電素子74(第8の圧電素子)の上部に設けられた他端部34bと、一端部34aと他端部34bとを接続する接続部34cとを有している。
【0036】
電極35(第10の電極)は、一端部が圧電素子74(第8の圧電素子)の下部と接続されており、他端部が圧電素子75の下部と接続されている(図1、図3(b)参照)。
【0037】
また、図2(b)に示すように、電極31と電極32とが電気的に直接導通しないように、絶縁体101が電極31と電極32の接続部32cとの間に設けられている。同様に、電極32と電極33とが電気的に直接導通しないように、絶縁体102が電極32の接続部32cと電極33の一端部33aとの間に設けられている。また、電極33と電極34とが電気的に直接導通しないように、絶縁体103が電極33の他端部33bと電極34の接続部34cとの間に設けられている。また、電極34と電極35とが電気的に直接導通しないように、絶縁体104が電極34の接続部34cと電極35との間に設けられている。
【0038】
(Y軸方向慣性検出用の各電極)
電極41(第11の電極)は、図1に示すように、外部からの配線を取付可能な配線取付部41aを有しており、また、図2(c)に示すように、一部が圧電素子81(第10の圧電素子)の下部と基板10との間に設けられている。
【0039】
電極42(第12の電極)は、図2(c)に示すように、圧電素子81(第10の圧電素子)の上部に設けられた一端部42aと、圧電素子82(第9の圧電素子)の上部に設けられた他端部42bと、一端部42aと他端部42bとを接続する接続部42cとを有している。
【0040】
電極43(第13の電極)は、圧電素子82(第9の圧電素子)の下部と基板10との間に設けられた一端部43aと、圧電素子83(第11の圧電素子)の下部と基板10との間に設けられた他端部43bと、一端部43aと他端部43bとを接続する接続部43cとを有している。接続部43c上には、絶縁体52、54、55が積層されている。これら絶縁体52、54、55のそれぞれの上部には、接続部43cと電気的に導通しないように電極27、37、47がそれぞれ積層されている。
【0041】
電極44(第14の電極)は、圧電素子83(第11の圧電素子)の上部に設けられた一端部44aと、圧電素子84(第12の圧電素子)の上部に設けられた他端部44bと、一端部44aと他端部44bとを接続する接続部44cとを有している。
【0042】
電極45(第15の電極)は、一端部が圧電素子84(第12の圧電素子)の下部と接続されており、他端部が圧電素子85の下部と接続されている(図1、図3(c)参照)。
【0043】
また、図2(c)に示すように、電極41と電極42とが電気的に直接導通しないように、絶縁体111が電極41と電極42の接続部42cとの間に設けられている。同様に、電極42と電極43とが電気的に直接導通しないように、絶縁体112が電極42の接続部42cと電極43の一端部43aとの間に設けられている。また、電極43と電極44とが電気的に直接導通しないように、絶縁体113が電極43の他端部43bと電極44の接続部44cとの間に設けられている。また、電極44と電極45とが電気的に直接導通しないように、絶縁体114が電極44の接続部44cと電極45との間に設けられている。
【0044】
<可撓部11c及び可撓部11d付近の構成>
圧電素子66、圧電素子65は、共に板状の部材であって、図3(a)、図4に示すように、後述する所定の電極を介して可撓部11c上に、基板10中央部からX軸に沿って外側に向かって、順に一列に設けられているものである。また、圧電素子67、圧電素子68は、共に板状の部材であって、基板10中央部を挟んで圧電素子66、圧電素子65と対向配置されており、後述する所定の電極を介して可撓部11d上に、基板10中央部からX軸に沿って外側に向かって、順に一列に設けられているものである。
【0045】
圧電素子76、圧電素子75は、共に板状の部材であって、図3(b)、図4に示すように、後述する所定の電極を介して可撓部11c上に、基板10中央部からX軸に沿って外側に向かって、順に一列に設けられているものである。また、圧電素子77、圧電素子78は、共に板状の部材であって、基板10中央部を挟んで圧電素子76、圧電素子75と対向配置されており、後述する所定の電極を介して可撓部11d上に、基板10中央部からX軸に沿って外側に向かって、順に一列に設けられているものである。また、図4に示したように、可撓部11c上において、圧電素子66と圧電素子76とが並設され、圧電素子65と圧電素子75とが並設されているとともに、可撓部11d上において、圧電素子67と圧電素子77とが並設され、圧電素子68と圧電素子78とが並設されている。
【0046】
圧電素子86、圧電素子85は、共に板状の部材であって、図3(c)、図4に示すように、後述する所定の電極を介して可撓部11c上に、基板10中央部からX軸に沿って外側に向かって、順に一列に設けられているものである。また、圧電素子87、圧電素子88は、共に板状の部材であって、基板10中央部を挟んで圧電素子86、圧電素子85と対向配置されており、後述する所定の電極を介して可撓部11d上に、基板10中央部からX軸に沿って外側に向かって、順に一列に設けられているものである。また、図4に示したように、可撓部11c上において、圧電素子66と圧電素子86とが並設され、圧電素子65と圧電素子85とが並設されているとともに、可撓部11d上において、圧電素子67と圧電素子87とが並設され、圧電素子68と圧電素子88とが並設されている。
【0047】
(Z軸方向慣性検出用の各電極)
電極25は、図3(a)に示すように、一端部が絶縁体51の上部に設けられ、他端部が圧電素子65の下部と基板10との間に設けられているものである。なお、絶縁体51は電極45の一部を覆うように基板10上に形成されており、電極25と電極45とが電気的に導通しないようになっている。
【0048】
電極26は、図3(a)に示すように、圧電素子65の上部に設けられた一端部26aと、圧電素子66の上部に設けられた他端部26bと、一端部26aと他端部26bとを接続する接続部26cとを有している。
【0049】
電極27は、圧電素子66の下部と基板10との間に設けられた一端部27aと、圧電素子67の上部に設けられた他端部27bと、一端部27aと他端部27bとを接続する接続部27cとを有している。接続部27cは、電極23、33、43のうち基板10中央部を通過する部分を覆うように設けられた絶縁体52の上に積層されており、接続部27cと電極23、33、43のそれぞれとが電気的に導通しないようになっている。
【0050】
電極28は、圧電素子67の下部と基板10との間に設けられた一端部28aと、圧電素子68の下部と基板10との間に設けられた他端部28bと、一端部28aと他端部28bとを接続する接続部28cとを有している。
【0051】
電極29は、一端部が圧電素子68の上部と接続されており、他端部には外部からの配線を取付可能な配線取付部29aが設けられている(図1、図3(a)参照)。
【0052】
また、図3(a)に示すように、電極25と電極26とが電気的に直接導通しないように、絶縁体95が電極25と電極26の接続部26cとの間に設けられている。同様に、電極26と電極27とが電気的に直接導通しないように、絶縁体96が電極26の接続部26cと電極27の一端部27aとの間に設けられている。また、電極27と電極28とが電気的に直接導通しないように、絶縁体97が電極27の接続部27cと電極28の一端部28aとの間に設けられている。また、電極28と電極29とが電気的に直接導通しないように、絶縁体98が電極28の他端部28bと電極29との間に設けられている。
【0053】
(X軸方向慣性検出用の各電極)
電極35は、図3(b)に示すように、一端部が絶縁体53の上部に設けられ、他端部が圧電素子75の下部と基板10との間に設けられているものである。なお、絶縁体53は電極25、45の一部を覆うように基板10上に形成されており、電極35と電極25、45のそれぞれとが電気的に導通しないようになっている。
【0054】
電極36は、図3(b)に示すように、圧電素子75の上部に設けられた一端部36aと、圧電素子76の上部に設けられた他端部36bと、一端部36aと他端部36bとを接続する接続部36cとを有している。
【0055】
電極37は、圧電素子76の下部と基板10との間に設けられた一端部37aと、圧電素子77の下部と基板10との間に設けられた他端部37bと、一端部37aと他端部37bとを接続する接続部37cとを有している。接続部37cは、電極23、33、43のうち基板10中央部を通過する部分を覆うように設けられた絶縁体54の上に積層されており、接続部37cと電極23、33、43のそれぞれとが電気的に導通しないようになっている。
【0056】
電極38は、圧電素子77の上部に設けられた一端部38aと、圧電素子78の上部に設けられた他端部38bと、一端部38aと他端部38bとを接続する接続部38cとを有している。
【0057】
電極39は、一端部が圧電素子78の下部と接続されており、他端部には外部からの配線を取付可能な配線取付部39aが設けられている(図1、図3(b)参照)。
【0058】
また、図3(b)に示すように、電極35と電極36とが電気的に直接導通しないように、絶縁体105が電極35と電極36の接続部36cとの間に設けられている。同様に、電極36と電極37とが電気的に直接導通しないように、絶縁体106が電極36の接続部36cと電極37の一端部37aとの間に設けられている。また、電極37と電極38とが電気的に直接導通しないように、絶縁体107が電極37の他端部37bと電極38の接続部38cとの間に設けられている。また、電極38と電極35とが電気的に直接導通しないように、絶縁体108が電極38の接続部38cと電極39との間に設けられている。
【0059】
(Y軸方向慣性検出用の各電極)
電極45は、図3(c)に示すように、一部が圧電素子85の下部と基板10との間に設けられているものである。
【0060】
電極46は、図3(c)に示すように、圧電素子85の上部に設けられた一端部46aと、圧電素子86の上部に設けられた他端部46bと、一端部46aと他端部46bとを接続する接続部46cとを有している。
【0061】
電極47は、圧電素子86の下部と基板10との間に設けられた一端部47aと、圧電素子87の下部と基板10との間に設けられた他端部47bと、一端部47aと他端部47bとを接続する接続部47cとを有している。接続部47cは、電極23、33、43のうち基板10中央部を通過する部分を覆うように設けられた絶縁体55の上に積層されており、接続部47cと電極23、33、43のそれぞれとが電気的に導通しないようになっている。
【0062】
電極48は、圧電素子87の上部に設けられた一端部48aと、圧電素子88の上部に設けられた他端部48bと、一端部48aと他端部48bとを接続する接続部48cとを有している。
【0063】
電極49は、一端部が圧電素子88の下部と接続されており、他端部には外部からの配線を取付可能な配線取付部49aが設けられている(図1、図3(c)参照)。
【0064】
また、図3(c)に示すように、電極45と電極46とが電気的に直接導通しないように、絶縁体115が電極45と電極46の接続部46cとの間に設けられている。同様に、電極46と電極47とが電気的に直接導通しないように、絶縁体116が電極46の接続部46cと電極47の一端部47aとの間に設けられている。また、電極47と電極48とが電気的に直接導通しないように、絶縁体117が電極47の他端部47bと電極48の接続部48cとの間に設けられている。また、電極48と電極45とが電気的に直接導通しないように、絶縁体118が電極48の接続部48cと電極45との間に設けられている。
【0065】
<慣性センサ1000の動作>
次に、加速度が作用した場合の慣性センサ1000の動作について、図5(理解を容易にするため、各部位の厚み、伸び縮みなどを誇張して示している。)を用いて説明する。まず、フレーム15が固定されている状態で、作用体14にZ軸方向の加速度が作用した場合について、慣性センサ1000におけるZ軸方向慣性検出用の構成(図2(a)、図3(a)の構成)を用いて説明する。
【0066】
作用体14にZ軸方向の加速度が作用した場合、作用体14の重心にZ軸方向の力Fzが発生することになる。この力Fzにより、作用体14は図5(a)下方へ向かって引っ張られ、基板10が図5(a)に示したように撓む。この撓みによって、圧電素子61には圧縮応力、圧電素子62には引張応力、圧電素子63には引張応力、圧電素子64には圧縮応力、がそれぞれ発生し、電圧を出力する。このとき、電極21〜25の構成によって、各圧電素子の分極方向と可撓部11a、11bの変形方向とがそれぞれ等しくなっているので、各圧電素子で出力された電圧が加算される。また、図示しないが、圧電素子65〜68においても圧電素子61〜64と同様に電圧が出力される。すなわち、圧電素子65には圧縮応力、圧電素子66には引張応力、圧電素子67には引張応力、圧電素子68には圧縮応力、がそれぞれ発生し、電圧を出力する。そして、電極25〜29の構成によって、各圧電素子の分極方向と可撓部11c、11dの変形方向とがそれぞれ等しくなるので、各圧電素子で出力された電圧が加算される。つまり、圧電素子61〜68において出力された各電圧が全て加算される。
【0067】
次に、フレーム15が固定されている状態で、作用体14にX軸方向の加速度が作用した場合について、図5(b)、及び、慣性センサ1000におけるX軸方向慣性検出用の構成(図2(b)、図3(b)の構成)を用いて説明する。
【0068】
作用体14にX軸方向の加速度が作用した場合、作用体14の重心にX軸方向の力Fxが発生することになる。この力Fxにより、基板10が図5(a)に示したように撓む。この撓みによって、圧電素子71には圧縮応力、圧電素子72には引張応力、圧電素子73には圧縮応力、圧電素子64には引張応力、がそれぞれ発生し、電圧を出力する。このとき、電極31〜35の構成によって、各圧電素子の分極方向と可撓部11a、11bの変形方向とがそれぞれ等しくなっているので、各圧電素子で出力された電圧が加算される。また、図示しないが、圧電素子75〜78においても圧電素子71〜74と同様に電圧が出力される。すなわち、圧電素子75には圧縮応力、圧電素子76には引張応力、圧電素子77には圧縮応力、圧電素子78には引張応力、がそれぞれ発生し、電圧を出力する。そして、電極35〜39の構成によって、各圧電素子の分極方向と可撓部11c、11dの変形方向とがそれぞれ等しくなっているので、各圧電素子で出力された電圧が加算される。つまり、圧電素子71〜78において出力された各電圧が全て加算される。
【0069】
一方、フレーム15が固定されている状態で、作用体14にY軸方向の加速度が作用した場合においては、図示しないが、作用体14の重心にY軸方向の力が発生することになる。したがって、作用体14にX軸方向の加速度が作用した場合と同様の現象が起こる。すなわち、圧電素子81〜88において出力された各電圧が全て加算されることになる。
【0070】
<慣性センサの製造>
次に、図6を用いて、本発明の慣性センサの製造の一例について説明する。なお、本製造工程で製造する慣性センサは、上述の慣性センサ1000と絶縁体付近の構造が異なっているが、上述の慣性センサ1000についても、本製造工程におけるスパッタリング工程及びエッチング工程を適宜用いることで同様に製造することが可能である。ここでは、本発明の慣性センサの一部分の製造工程を説明した後、本発明の慣性センサ全体の製造工程について説明する。
【0071】
図6(a)の一部拡大図に示したように、基板10と同様の基板120上面に順に積層されている電極用薄膜121、圧電素子用薄膜122を順にスパッタリングする。次に、圧電素子用薄膜122をドライエッチングして、図6(b)に示したような形状の圧電素子122a(上記圧電素子63と同様のもの)を形成した後、電極用薄膜121をドライエッチングして、図6(c)に示したような形状の電極121a(上記電極24と同様のもの)を形成する(第1工程)。続いて、図6(c)に示した部位の上面に図6(d)に示したような絶縁体層123を形成した後、絶縁体層123をドライエッチングして、図6(e)に示したような形状の絶縁体123aを形成する(絶縁体形成工程)。そして、図6(e)に示した部位の上面に電極用薄膜を形成した後、該電極用薄膜をドライエッチングして、図6(f)に示したような形状の電極124(上記電極23と同様のもの)を形成する(第2工程)。
【0072】
上述した第1〜第3工程のいずれかを、各電極、各圧電素子、各絶縁体において同様に行うことで、本発明の慣性センサを製造することが可能である。また、上記慣性センサ1000を製造する場合も同様である。なお、上記慣性センサ1000における絶縁体の形成は、圧電素子を形成する前に行って、各電極間を絶縁するようにしてもよい。また、例えば、本発明に係る各電極は、配置されている部位によって形状などが異なるように形成しなければならないことがあるが、このような場合の部位形成は、従来から存在するパターンニング技術のいずれか1以上を用いることで対応できる。また、上述した第1〜第3工程以外にも、他の電極及び絶縁体を形成する必要がある場合があるが、これら他の電極及び絶縁体の形成においても、従来から存在するパターンニング技術のいずれか1以上を用いることで対応できる。
【0073】
上記構成の慣性センサ1000によれば、以下の作用効果を得ることができる。すなわち、従来よりも小型の慣性センサであっても、X軸、Y軸、及びZ軸の3軸方向における加速度などの慣性を検出する性能を少なくとも維持したまま、基板10端部(フレーム15の上面)から配線取付部49aを介して外部と電気的に接続することができる。
【0074】
また、慣性検出用の各部位の可撓部11a〜11dに対する占有率を従来よりも増加させることができるので、一定面積あたりの出力電圧を向上することができる。
【0075】
また、Z軸方向慣性検出用の圧電素子61〜68において出力された各電圧を全て加算することができるので、従来よりも一定面積あたりの出力電圧を向上することができる。特に、該出力電圧を加速度などの慣性の力に対して1対1とすることができる。なお、慣性センサ1000によれば、X軸方向の慣性検出、及び、Y軸方向の慣性検出においても同様である。
【0076】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々の変形が可能であり、これらを本発明の範囲から排除するものではない。例えば、図2(a)〜(c)に示したX軸、Y軸、及びZ軸の3軸方向における慣性検出をするための部位のみの構成(図3(a)〜(c)に示した可撓部11c、11d上の圧電素子及び電極がないもの)とし、外部からの配線を取付可能な配線取付部(配線取付部31aなどと同様のもの)を電極25、35、45に接続した慣性センサとしてもよい。
【0077】
また、本発明の慣性センサは、X軸方向、Y軸方向、Z軸方向のうちいずれか1方向の慣性検出をするための部位のみの構成であってもよい。すなわち、図2(a)、図3(a)に示した部位のみを有した慣性センサ、図2(b)、図3(b)に示した部位のみを有した慣性センサ、又は、図2(c)、図3(c)に示した部位のみを有した慣性センサであってもよい。また、本発明の慣性センサは、X軸方向、Y軸方向、Z軸方向のうちいずれか2方向の慣性検出をするための部位のみの構成であってもよい。
【符号の説明】
【0078】
10、120 基板
11a、11b、11c、11d 可撓部
12a、12b、12c、12d、14 作用体
13a、13b、13c、13d スリット
15 フレーム
21、22、23、24、25、26、27、28、29、31、32、33、34、35、36、37、38、39、41、42、43、44、45、46、47、48、49、121a、124 電極
21a、29a、31a、41a、39a、49a 配線取付部
22a、23a、24a、26a、27a、28a、32a、33a、34a、36a、37a、38a、42a、43a、44a、46a、47a、48a 一端部
22b、23b、24b、26b、27b、28b、32b、33b、34b、36b、37b、38b、42b、43b、44b、46b、47b、48b 他端部
22c、23c、24c、26c、27c、28c、32c、33c、34c、36c、37c、38c、42c、43c、44c、46c、47c、48c 接続部
51、52、53、54、55、91、92、93、94、95、96、97、98、101、102、103、104、105、106、107、108、111、112、113、114、115、116、117、118、123a 絶縁体
61、62、63、64、65、66、67、68、71、72、73、74、75、76、77、78、81、82、83、84、85、86、87、88、122a 圧電素子
121 電極用薄膜
122 圧電素子用薄膜
123 絶縁体層
1000 慣性センサ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
可撓性を有した基板と、
前記基板中央部の一方の面側に設けられ、外部から作用する物理量に基づいて発生した力を前記基板に伝達する作用体と、
前記中央部から外側に向かって順に一列に設けられた板状の第1の圧電素子及び板状の第2の圧電素子と、
前記基板の他方の面側において、前記中央部を挟んで前記第1の圧電素子及び第2の圧電素子と対向配置されており、前記中央部から外側に向かって順に一列に設けられた板状の第3の圧電素子及び板状の第4の圧電素子と、
前記第2の圧電素子の下部と前記基板との間に設けられた第1の電極と、
前記第2の圧電素子の上部に設けられた一端部と、前記第1の圧電素子の上部に設けられた他端部と、該一端部と該他端部とを接続する接続部とを有している第2の電極と、
前記第1の圧電素子の下部と前記基板との間に設けられた一端部と、前記第3の圧電素子の上部に設けられた他端部と、該一端部と該他端部とを接続する接続部とを有している第3の電極と、
前記第3の圧電素子の下部と前記基板との間に設けられた一端部と、前記第4の圧電素子の下部と前記基板との間に設けられた他端部と、該一端部と該他端部とを接続する接続部とを有している第4の電極と、
前記第4の圧電素子の上部と接続されている第5の電極と、を備えていることを特徴とする慣性センサ。
【請求項2】
可撓性を有した基板と、
前記基板中央部の一方の面側に設けられ、外部から作用する物理量に基づいて発生した力を前記基板に伝達する作用体と、
前記中央部から外側に向かって順に一列に設けられた板状の第5の圧電素子及び板状の第6の圧電素子と、
前記基板の他方の面側において、前記中央部を挟んで前記第5の圧電素子及び第6の圧電素子と対向配置されており、前記中央部から外側に向かって順に一列に設けられた板状の第7の圧電素子及び板状の第8の圧電素子と、
前記第6の圧電素子の下部と前記基板との間に設けられた第6の電極と、
前記第6の圧電素子の上部に設けられた一端部と、前記第5の圧電素子の上部に設けられた他端部と、該一端部と該他端部とを接続する接続部とを有している第7の電極と、
前記第5の圧電素子の下部と前記基板との間に設けられた一端部と、前記第7の圧電素子の下部と前記基板との間に設けられた他端部と、該一端部と該他端部とを接続する接続部とを有している第8の電極と、
前記第7の圧電素子の上部に設けられた一端部と、他端部が前記第8の圧電素子の上部に設けられた他端部と、該一端部と該他端部とを接続する接続部とを有している第9の電極と、
前記第8の圧電素子の下部と接続されている第10の電極と、を備えていることを特徴とする慣性センサ。
【請求項3】
前記中央部から外側に向かって順に一列に設けられた板状の第5の圧電素子及び板状の第6の圧電素子と、
前記基板の他方の面側において、前記中央部を挟んで前記第5の圧電素子及び第6の圧電素子と対向配置されており、前記中央部から外側に向かって順に一列に設けられた板状の第7の圧電素子及び板状の第8の圧電素子と、
前記第6の圧電素子の下部と前記基板との間に設けられた第6の電極と、
前記第6の圧電素子の上部に設けられた一端部と、前記第5の圧電素子の上部に設けられた他端部と、該一端部と該他端部とを接続する接続部とを有している第7の電極と、
前記第5の圧電素子の下部と前記基板との間に設けられた一端部と、前記第7の圧電素子の下部と前記基板との間に設けられた他端部と、該一端部と該他端部とを接続する接続部とを有している第8の電極と、
前記第7の圧電素子の上部に設けられた一端部と、他端部が前記第8の圧電素子の上部に設けられた他端部と、該一端部と該他端部とを接続する接続部とを有している第9の電極と、
前記第8の圧電素子の下部と接続されている第10の電極と、を備え、
前記第1の圧電素子と前記第5の圧電素子とが並設され、前記第2の圧電素子と第6の圧電素子とが並設され、前記第3の圧電素子と前記第7の圧電素子とが並設され、前記第4の圧電素子と前記第8の圧電素子とが並設されていることを特徴とする請求項1に記載の慣性センサ。
【請求項4】
前記中央部から外側に向かって順に一列に設けられた板状の第9の圧電素子及び板状の第10の圧電素子と、
前記基板の他方の面側において、前記中央部を挟んで前記第9の圧電素子及び第10の圧電素子と対向配置されており、前記中央部から外側に向かって順に一列に設けられた板状の第11の圧電素子及び板状の第12の圧電素子と、
前記第10の圧電素子の下部と前記基板との間に設けられた第11の電極と、
前記第10の圧電素子の上部に設けられた一端部と、他端部が前記第9の圧電素子の上部に設けられた他端部と、該一端部と該他端部とを接続する接続部とを有している第12の電極と、
前記第9の圧電素子の下部と前記基板との間に設けられた一端部と、他端部が前記第11の圧電素子の下部と前記基板との間に設けられた他端部と、該一端部と該他端部とを接続する接続部とを有している第13の電極と、
前記第11の圧電素子の上部に設けられた一端部と、他端部が前記第12の圧電素子の上部に設けられた他端部と、該一端部と該他端部とを接続する接続部とを有している第14の電極と、
前記第12の圧電素子の下部と接続されている第15の電極と、を備え、
前記第1の圧電素子と前記第9の圧電素子とが並設され、前記第2の圧電素子と第10の圧電素子とが並設され、前記第3の圧電素子と前記第11の圧電素子とが並設され、前記第4の圧電素子と前記第12の圧電素子とが並設されていることを特徴とする請求項3に記載の慣性センサ。
【請求項5】
請求項1に記載の慣性センサの製造方法であって、
基板表面に順に積層されている電極用薄膜と圧電素子用薄膜とをエッチングして、前記第1の電極及び前記第4の電極と、前記第1の圧電素子、前記第2の圧電素子、前記第3の圧電素子及び前記第4の圧電素子とを形成する第1工程と、
前記第1工程後に、前記基板の前記圧電素子が設けられている面側に電極用薄膜を形成した後、該電極用薄膜をエッチングして、前記第2の電極、前記第3の電極及び前記第5の電極を形成する第2工程と、を有していることを特徴とする慣性センサの製造方法。
【請求項6】
請求項2に記載の慣性センサの製造方法であって、
基板表面に順に積層されている電極用薄膜と圧電素子用薄膜とをエッチングして、前記第6の電極、前記第8の電極及び前記第10の電極と、前記第5の圧電素子、前記第6の圧電素子、前記第7の圧電素子及び前記第8の圧電素子とを形成する第1工程と、
前記第1工程後であって、前記基板の前記圧電素子が設けられている面側に電極用薄膜を形成した後、該電極用薄膜をエッチングして、前記第7の電極及び前記第10の電極を形成する第2工程と、を有していることを特徴とする慣性センサの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−220765(P2011−220765A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−88643(P2010−88643)
【出願日】平成22年4月7日(2010.4.7)
【出願人】(503360115)独立行政法人科学技術振興機構 (1,734)
【出願人】(592216384)兵庫県 (258)