説明

成分をその中に含有するゲルを形成するためのプロセス

成分をゲルアイテム内に吸収させてゲルを形成するためのプロセスは、成分と液体媒体とを提供する工程と、ミキサー中に上記成分と上記液体媒体とを均質化して混合物を形成する工程と、液体媒体を吸収することができ、ゲルアイテム内に混合物を吸収させてゲルを形成することができるゲルアイテムを提供する工程とを有する。成分は、液体媒体に不溶性であり、混合物形態において液体媒体中に懸濁されるミセルを形成する。ミセルは上記成分を含有し、平均ミセル直径を有する。ゲルアイテムが平均ミセル直径以上の平均孔径を有するため、成分を含有するミセルはゲルアイテム内に吸収されてゲルを形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願に対する相互対照)
本出願は、米国仮出願第60/589,049号(2004年7月19日出願)及び米国仮出願第60/651780号(2005年2月10日出願)の効果を請求する。
【0002】
本発明は、ゲルを製造するためのプロセスに関する。特定的には、本発明は、成分をゲルに吸収させるためのプロセスに関する。
【背景技術】
【0003】
多くの製品が、成分が吸収されたゲルを有して形成される。典型的なゲルの例としては、医薬、食品、エアーフレッシュナー、プラント及びガーデンの材料、ヘアケア製品、紙おむつ、熱を下げるための冷却パッド、消臭剤などにおいて使用されるものが挙げられる。このようなゲル中の成分としては、水又は油などの液体媒体に溶解し、ゲルに吸収される、染料、医薬活性薬剤、香料、着香剤、ビタミン、ミネラルなどが挙げられ得る。ゲル及び成分の多くは液体媒体内に混和し得るが、いくつかの場合には、上記成分及び上記液体媒体は、互いに不溶性又はわずかに可溶性のいずれかである。このことにより、優位でない相(典型的には、上記成分)のミセルを形成し、このようなミセルがゲル内に容易に吸収されないという問題を生じる場合がある。特定の場合には、上記ミセルはゲルに全く吸収されず、その代わりに、液体媒体が吸収される際にゲルの外側に単にコーティングされる。このことにより、成分の使用が非効率となり、及び/又は所望のゲル/成分の性質が変質する場合がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
それ故に、上述の制限を克服するゲルの存在、及びこのようなゲルを形成するプロセスを必要とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、成分と液体媒体とを提供する工程と、ミキサー中で上記成分と上記液体媒体とを均質化して混合物を形成する工程と、上記液体媒体を吸収可能なゲルアイテムを提供する工程と、上記混合物を上記ゲルアイテムに吸収させてゲルを形成する工程とを有する、成分をゲルアイテムに吸収させてゲルを形成するためのプロセスに関する。上記成分は液体媒体中で不溶性であり、混合物形態ではミセルは液体媒体中に懸濁される。上記ミセルは、上記成分を含有し、平均ミセル直径を有する。ゲルアイテムは、平均ミセル直径以上の平均孔径を有するため、上記成分を含有する上記ミセルはゲルアイテムに吸収されゲルを形成する。
【0006】
ゲルアイテムの平均ミセル直径及び平均孔径を調整することによって、その外側よりも中に上記成分を含有するゲルを形成することができることが今では判明している。さらに、このようなゲルが、単に成分がその上にコーティングされたゲルよりも顕著な効果を有し、例えば、成分が香料である場合、本発明に従うゲルは、設計されるように香料自体の香料の印象(scent impression)を正確に反映する香料の印象(scent impression)を提供してもよい。本発明のゲルは、ゲル全体に成分をさらに均一に分散させ、このことにより、例えば、周囲に対する成分の正確な持効性を与えることが重要であり得る。また、本発明のゲルは、親水性のゲルであっても良好な油の吸収性、改良された保存安定性、さらに整合性のある持続性の香料付与、長時間にわたる活性成分のさらなる制御放出などを提供してもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本明細書において、全ての温度は、指示がない限り、摂氏(℃)である。本明細書で使用する時、用語「含む」は、最終結果に悪影響を与えない他の工程、成分、要素などを添加することができることを意味する。この用語は、「より成る」及び「より本質的に成る」という用語を包含する。
【0008】
本明細書で使用する時、用語「不溶性の」は、液体媒体中の成分の溶解度が0.1%(w/w)未満であることを示し、用語「わずかに可溶性」を含む。
【0009】
本明細書中のプロセスは、ゲルアイテム内の成分の吸収を容易にしてゲルを形成することが意図される。上記プロセスは、成分が液体媒体に不溶性である場合に特に重要である。このような場合には、上記成分はしばしば、液体媒体中に懸濁されたミセルを形成する。次いで、液体媒体がゲルアイテム内に吸収される場合、上記ゲルは、ふるい又は半透過性膜のように作用してもよく、それによって、吸収された液体媒体から成分をふるうか又は「ろ別」する。このことにより、かなりの量の液体媒体及びその中に任意の成分がある場合には少量の任意の成分を含有するゲルが生じる。このような場合には、上記成分は、ゲルの外側に単にコーティングされるのと同じ効果を有する。ゲルを形成する完全な目的はゲル内の成分を得ることであるため、これにより成分はゲル内にほぼ最適な状態で組み込まれる。このことはさらに、廃棄される成分、過剰のプロセス工程、及び/又はゲル内に十分な組み込みを達成するために使用される大幅に過剰の成分を生じる場合がある。
【0010】
しかし、本発明は、上述のふるい効果が、ゲルの孔径にあわせてミセルの径を調整することによって解決してもよいことを理解する。このことにより、ゲル内に成分をより効率よく組み込むことができる。それ故に、本発明は、成分と液体媒体とを提供することによってゲルアイテム内に成分を吸収させてゲルを形成するためのプロセスに関する。上記成分は、典型的には、香料、着香剤、医薬活性物質、生物学的活性物質、化学活性化合物、染料、ビタミン、ミネラル、顔料、及びこれらの組み合わせから選択される。本発明の実施形態では、上記成分は、香料、着香剤、染料又はこれらの組み合わせである。本発明の別の実施形態では、上記成分は香料油である。本明細書中の別の実施形態では、上記成分は、その上に反応性部分を有するポリマーなどの化学活性化合物である。本発明の一実施形態では、上記化学活性化合物は、悪臭を除去する活性物質であり、好ましくは、反応性ポリマー、二酸化塩素、シクロデキストリン、二酸化チタン、フタロシアニン、塩化亜鉛、銅化合物、鉄化合物、反応性アルデヒド、植物抽出物、活性炭、ゼオライト及びこれらの混合物から成る群から選択される。このような悪臭を除去する活性物質は、例えば、米国特許仮出願番号第60/560795号(ネアー(Nair)ら、2004年8月8日出願)中に記載されている。
【0011】
上記液体媒体は、典型的には、水、油、有機溶媒、及びこれらの混合物から選択される。本発明の一実施形態では、液体媒体は水である。典型的には、液体媒体は、成分と比較して体積及び重量が非常に過剰である。本発明の一実施形態では、液体媒体は、上記成分の体積の約5倍超の過剰である。本明細書中の別の実施形態では、液体媒体は、上記成分の体積の約8倍〜約1,000,000倍過剰である。本明細書中の別の実施形態では、液体媒体は、上記成分の体積の約10倍〜約100倍過剰である。しかし、上記成分及び上記液体媒体が互いに不溶性であることが必須であり、もしそうでなければ上述の問題は起きない。
【0012】
上記成分及び上記液体媒体はミキサーで均質化され、ミセルを含有し、成分を含有し、液体媒体に懸濁された混合物を形成する。本明細書で有用なミキサーは、均質化された混合物内に上記成分及び上記液体媒体を結合する任意のデバイスであってよい。しかし、ミキサーは、液体媒体及び成分と適合性でなければならない。例えば、成分が剪断力に感受性である場合、低剪断ミキサーを使用する必要がある。逆に、成分及び液体媒体から均質化された混合物を形成するために高剪断力が必要とされる場合、高剪断ミキサーを使用する必要がある。したがって、本明細書で有用なミキサーとしては、例えば、キッチンブレンダー、及び食物を準備するために使用されるようなミキサー、低剪断ダイナミックミキサー、例えば、プロペラミキサー、ディスクミキサー、タービンミキサー、水中翼ミキサー、ヘリックスミキサー、及びアンカーミキサー;低剪断スタティックミキサー、中速ミキサー、高剪断ダイナミックローターステーターミキサーなどが挙げられる。本明細書で有用なミキサーの例としては、普通に入手可能なミキサー、例えば、クアドロ(Quadro)(ミルバーン(Milburn)、ニュージャージー州、米国)からのY−トロンシリーズ;レーディゲ社(Loedige Gmbh)(パダーボルン及びマンハイム(Paderborn and Mannheim)、ドイツ)からのミキサー、IKA(登録商標)ワークス社(Works,Inc.)(ウィルミントン(Wilmington)、ノースカロライナ州、米国)からのミキサー;ライトニン(Lightnin)(ロチェスター(Rochester)、ニューヨーク州、米国)からのミキサー;エカト社(Ekato Gmbh)(ローラッハ(Lorrach)、ドイツ)からのミキサー;ケミニーア社(Chemineer,Inc.)(デイトン(Dayton)、オハイオ州、米国)からのケミックス(Kemics)ミキサー;コッホ・エクイップメントLLC(Koch Equipment LLC)(カンザスシティ(Kansas City)、ミズーリ州、米国);サルザーケムテックスUSA社(Sulzer Chemtech USA,Inc.)(パサデナ(Pasadena)、テキサス州、米国):シルバーソンマシーンズ社(Silverson Machines Inc.)(イーストロングメドー、マサチューセッツ州、米国);及び他のものが挙げられる。空気混入を減らし、及び/又は混合プロセス中の空気混入のレベルを減らすミキサーが、場合によっては好ましい場合もある。
【0013】
均質化された混合物は、しばしば、肉眼でもまれに見えるか又は見えないミセルを含有する。しかし、このようなミセルは、以下に記載される試験方法によって測定可能な平均ミセル直径を有する。
【0014】
ゲルアイテムは、液体媒体を吸収可能なように提供される。ゲルアイテムは、ゲル構造を支持する既存の分子を液体媒体のものと交換することを介して、液体媒体を吸収するあらかじめ形成されたゲルであってもよい。あるいは、ゲルアイテムは、例えば、脱水されたゲル、粉末、化学物質、ポリマー、及び/又は「ゲルチップ」などのゲル前駆体であってもよい。それ故に、ゲル前駆体は、現時点でゲルではないが、典型的には液体媒体を添加した際に、ゲルを形成するように反応するそれらの構造又はいくつかの化学物質を含有する。次いで、ゲル前駆体は、吸収後に、又は液体媒体を吸収することによってゲルを形成する。本発明で有用なゲルアイテムの例としては、天然ゲル又は合成ゲルの両方が挙げられる。天然ゲルは、キサンタンガム、グアーガム、カルボキシメチルセルロース又は寒天であってもよい。合成ゲルは、アクリル系ポリマーなどの架橋ポリマーであることができる。ゲルアイテムは、化学的架橋又は物理的架橋されることができる。架橋ポリマーの例は、架橋アクリル酸、アクリルアミド、ポリエチレンオキシド、マレイン酸、スチレン、リンゴ酸など、特にそれらのブロックポリマーである。物理的架橋されたポリマーの例は、ポリエチレンオキシドである。本明細書で有用なゲルアイテムの例としては、住友精化(Sumitomo Seika)(大阪、日本)からのアクアキープ(Aquakeep)、アクアキューブ(Aquacube)、アクアコークTW(Aquacalk TW)、及びアクアコークTWB(Aquacalk TWB)、三菱ケミカルズ(Mitsubishi Chemicals)(東京、日本)からのアクアパール(Aquapearl)、及び日本触媒(Nihon Shyokubai)(大阪、日本)からのアクアリン(Aqualin)、アクアリックCA(AQUALIC CA)、アオーリックCS(AAULIC CS)、アクリホープ(ACRYHOPE)、及び超吸収ポリマーが挙げられる。好ましい実施形態では、ゲルアイテムはゲル前駆体である。好ましい実施形態では、液体媒体は水であり、ゲルアイテムは脱水されたゲルである。好ましい実施形態では、ゲルアイテムはブロックポリマーなどのポリマーを有して形成される。
【0015】
ゲルは、水、溶媒、活性成分の溶液又は成分の混合物などの分散媒体と、天然に生じる材料キサンタム、寒天、アルギネート、木材パルプ、グアー又は合成吸収ポリマー、例えば、架橋又は非架橋又は部分的に架橋したポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(ビニルアルコール)、カルボキシメチルセルロース(CMC)などの分散相とを混合することによって製造することができる。多くのさらなるこのような例は、例えば、モダン・スーパーアブソーベント・ポリマー・テクノロジー(Modern Superabsorbent Polymer Technology)(ウィリー−VCH(Wiley-VCH)、1997)(フレデリックL.バッハホルツ(Fredric L.Buchholz)及びアンドリューT.グラハム(Andrew T.Graham)編集)中に見出すことができる。
【0016】
ゲルアイテムは、典型的にはあらかじめ形成されたゲルのためのゲル構造中の孔のサイズであるか、ゲル前駆体から形成されるゲル構造中の孔のサイズである平均孔径を有する。あらかじめ形成されたゲルが使用される場合には、また液体媒体があらかじめ存在する分子と交換する場合には、孔径が顕著に変化してもよいことが理解される。例えば、あらかじめ形成されたゲル内の無極性溶媒が非極性溶媒(液体溶媒として)に交換される場合、ゲル構造は、孔径、物理的持性及び/又は分子の相互作用の観点において顕著に変化してもよい。したがって、このような場合には、孔径は、成分が吸収される前又は後ではなく、成分が吸収されると同時に測定される。特定のゲルのための孔径は周知であり、実際には、種々の供給元からの多くのゲルが、所望の孔径及び/又は対応する物理的持性に従って注文されてもよい。他の場合では、孔径は、例えば、ゲル製造プロセス中にゲル製造機によって制御されてもよい。架橋(crosslinking)及び/又は架橋(bridging)を制御することは、光顕微鏡を用いて及び/又は当該技術分野において既知の他の技術によって、孔を測定することによって決定される。本発明では、平均孔径は、平均ミセル直径以上である。本発明の一実施形態では、平均孔径は、平均ミセル直径よりも約1.05倍大きい径〜平均ミセル直径よりも約1000倍大きい径である。本発明の一実施形態では、平均孔径は、平均ミセル直径よりも約1.075倍大きい径〜平均ミセル直径よりも約10倍大きい径である。
【0017】
任意の工程では、ヒドロトロープが提供されてもよく、平均ミセル直径を小さくするために均質化工程に添加され、より容易な加工、液体媒体のさらなる均一な吸収、液体媒体のさらに長い持続的吸収、及び/又はさらに均一なゲルの外観を提供してもよい。有用なヒドロトロープは、実際の液体媒体及び成分に非常に依存する。本明細書中の一実施形態では、ヒドロトロープは、非イオン性ヒドロトロープ、例えば、シリーズシェルケミカルズ(Shell Chemicals)(ヒューストン、テキサス州、米国)からのネオドール(NEODOL)(登録商標);及び/又は世界中の多くの企業からの産業グレードから食品グレードまでの種々の純度で普通に入手可能なポリエチレングリコールの種々の重量及び変形である。本明細書中の一実施形態では、ヒドロトロープは、スルホン化されたヒドロトロープ、例えば、キシレンスルホネート、クメンスルホネート、及び/又はナフタレンスルホネートのアルカリ金属塩及びアルカリ土類金属塩である。本明細書中の一実施形態では、ヒドロトロープはナトリウムクメンスルホネートである。驚くべきことに、注意深く選択されたヒドロトロープの添加はまた、香料の臭気付与を高め、及び/又はゲル内へのミセルの吸収効力を高めるようなさらなる利点をも有してもよいことがわかった。
【0018】
ヒドロトロープの濃度は、実際の成分及び液体媒体に依存して非常に変動する。しかし、本発明の一実施形態では、ヒドロトロープは、典型的には、混合物の約0.01重量%〜約20重量%、好ましくは約0.1重量%〜約10重量%、さらに好ましくは約0.5重量%〜約5重量%の量で存在する。
【0019】
本発明において非常に好ましい成分は、紫外線による損傷を減らすように紫外線光を吸収し、ブロックし、及び/又は反射する材料を記載するために本明細書中で使用されるUVプロテクターである。典型的には、ゲルアイテム及び/又はゲル中のポリマー分子は、光エネルギーにさらされると、分解及び/又は破断する場合がある。多くの波長の光、特にUVスペクトルにおける光は、モノマー間の内部化学結合を破壊及び/又は弱めることによって、ポリマー分子に影響を与えることが知られている。ゲルアイテム又はゲルの場合には、このことは、いくつかの場合にはゲルアイテム/ゲルの形状を変形させる場合がある。特定の規則的な形状(例えば、ブロック、円、球、星など)に形成されるゲルアイテム/ゲルの場合には、ゲルは時間をかけて融解するようである。特定の場合には、製造、運搬、貯蔵、及び/又は使用時に光にさらされるため分子の過剰な破断が生じる場合、形状は破壊される場合がある。
【0020】
光の可能な有害な影響は、透明又は半透明のパッケージが使用される場合、さらに強い。本明細書中の生成物における特に好ましい実施形態では、ゲルアイテム/ゲルの規則的な形状がパッケージの外側から観察できるように透明なパッケージが使用される。
【0021】
したがって、有用なUVプロテクターとしては、ゲルに吸収されるか又は別の方法でゲルに組み込まれることができる、シプロカセイ会社(Shipro Kasei Kaisha)(大阪、日本)から入手可能な紫外線吸収剤シーソルブ(SEESORB)(商標)101が挙げられる。シーソルブ(SEESORB)(商標)101は、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤である。また、本明細書で有用なものは、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、例えば、シーソルブ(SEESORB)701(これもまたシプロ(Shipro)から入手可能)である。
【0022】
単独又は別のUVプロテクターとの混合物として、又は酸化防止剤との混合物として使用可能なUVプロテクターの他の例としては、アメリカンシンナミド社(American Cyanamid Co.)(ワイン(Wayne)、ニュージャージー州、米国)からのシアソルブUV(CYASORB UV)シリーズ及びチバスペシャリティケミカルズ社(Ciba Specialty Cehmicals Co.)(バーゼル、スイス)からのチノガードTL(Tinogard TL)が挙げられる。このようなUVプロテクターは、製品の任意の関連部分、例えば、パッケージ中、ゲルアイテム中又はその上などに組み込まれてもよい。
【0023】
また、当該技術分野において既知の酸化防止剤は、ゲルアイテム、香料、及び/又は製品中の他の成分の分解及び/又は損傷を防ぐのに有用であってもよい。このような酸化防止剤は当該技術分野で周知であるが、好ましい酸化防止剤の例は、シプロ(Shipro)から入手できるシーノックス−BCS(SEENOX-BCS)である。
【0024】
紫外線、香料、ゲル、及び/又は染料の安定性を高めるために、任意の液体構成成分のpHが、約1.5〜約5、好ましくは約2〜約4、さらに好ましくは約2.5〜約3.5であることが好ましい。
【0025】
当該技術分野において既知の他の任意材料は同様に、混合物、ゲルアイテム、又は本明細書中のプロセスのいずれかに存在してもよい。
【0026】
試験方法:
平均孔径は、ゲル及び/又はゲルアイテムの化学構造の分析によって決定することができる。それに加えて、特定のゲル及びゲルアイテムは、特定の孔径、形状などを保有するように注文及び/又は設計されてもよい。上述のように、孔径はさらに、光顕微鏡を介して測定値を得ることによって決定され、及び/又は当該技術分野において既知の他の方法によって決定され、ゲル製造プロセス中のゲル製造機によって制御されてもよい。
【0027】
ミセル直径は、顕微鏡分析に従って測定される、又はレーザー粒径測定デバイスを用いて測定される。
【0028】
香料付与は、香料の専門家によって決定され、スケール1(元の香料の代表的なものは全くなし)からスケール10(元の香料と実際に同じ)まで格付けされる。
【0029】
本発明の実施例を以下の実例によって示すが、これによって本発明をいかなる方法においても限定することは意図していない。これらの実施例は、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、その多くの変形例が可能であるので、本発明を制限するものとして解釈されるべきではない。
【実施例】
【0030】
(実施例1)
脱イオン水3893.3gを、IKA高剪断ミキサーに接続した5リットルタンクに添加する。その後に、ナトリウムクメンスルホネート(SCS)62.5g、臭気を中和するポリマー性活性成分455g、フェノキシエタノール45.5g、及び染料溶液3.75gをタンクに添加する。その後に、IKA高剪断ミキサーを駆動し、成分を5分間均質化して混合物を形成する。脱水されたゲルチップの形態でゲル前駆体11.8gを平坦なパンに置く。混合物を形成する10分以内に、混合物118.2mLをパンに注ぐ。パンを4時間放置し、全ての混合物を完全に吸収した複数の別個のゲルを得る。混合物中の平均ミセル直径は、5μm未満である一方、平均孔径は約10μmである。
【0031】
ゲルの香料付与及び元の香料は、香料の専門家によって決定される場合、同じである。この例はさらに、2週間にわたって均一な香料強度を与える。
【0032】
比較例Aは、高剪断ミキサーをパドルミキサーに交換した以外は、同じプロセス及び材料を用いて製造される。平均ミセル直径は、有意に10μmより大きい。混合物は均質化するが、混合物をパンに注ぐと、目に見える香料液滴に気づく。
【0033】
比較例Aにおけるゲルの香料付与は、香料の専門家によって決定される場合、トップノート及びボトムノートが分離されるため、元の香料とは顕著に異なっている。香料油はさらに、ゲルをコーティングしているように見え、パンの底にすばやくたまる。比較例Aは、初期には強いが、1週間にわたって迅速に減少する香料強度を有する。
【0034】
比較例Bとして、2%ジプロピレングリコールをさらに実施例1の混合物に添加し、10μmを超える平均ミセル直径を生じる。
【0035】
比較例Bにおけるゲルの香料付与は、香料の専門家によって決定される場合、トップノート及びボトムノートが分離されるため、元の香料とは顕著に異なっている。比較例Bは、時間がたつにつれて減少する香料強度を有する。
【0036】
比較例Cとして、ヒドロトロープを添加しない以外は、実施例1が形成される。平均ミセル直径は10μmよりも有意に大きい。混合物は均質化されるが、混合物がパンに注がれると、目に見える香料液滴に気づく。
比較例Cにおけるゲルの香料付与は、香料の専門家によって決定される場合、トップノート及びボトムノートが分離されるため、元の香料とは顕著に異なっている。
【0037】
(実施例2)
実施例1のゲルは、実施例2と同じように製造される。比較例Cとして、ヒドロトロープが除去され、10μmを超える平均ミセル直径を生じる。
【0038】
比較例におけるゲルの香料付与は、香料の専門家によって決定される場合、トップノート及びボトムノートが分離されるため、元の香料とは顕著に異なっている。加えて、香料は、ゲルの顕著に外側上であり、実際には、トレーの底にたまる。
【0039】
「発明を実施するための最良の形態」において引用したすべての文書は、関連する部分において、参考として本明細書に組み込まれるが、いかなる文書の引用も、本発明に関する先行技術であることの容認と考えられるべきではない。ここに書かれた文書における用語の意味又は定義が参考として組み込まれる文書における用語の意味又は定義と反する程度まで、この書かれた文書における定義にあてはまる意味又は定義が規制される。ここに書かれた文書における用語の意味又は定義が参考として組み込まれる文書における用語の意味又は定義と反する程度まで、この書かれた文書における定義にあてはまる意味又は定義が規制される。
【0040】
本発明の特定の実施形態を例示し記載したが、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく他の様々な変更及び修正を実施できることが、当業者には自明であろう。したがって、本発明の範囲内にあるそのようなすべての変更及び修正を、添付の特許請求の範囲で扱うものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
成分をゲルアイテムに吸収させてゲルを形成するプロセスであって、
A.成分と液体媒体とを提供する工程であって、前記成分が前記液体媒体中で不溶性である、工程と;
B.ミキサー中で前記成分と前記液体媒体とを均質化して混合物を形成し、前記混合物が、前記液体媒体中に懸濁されたミセルを含み、前記ミセルは前記成分を含み、前記ミセルが平均ミセル直径を有する、工程と;
C.前記液体媒体を吸収可能なゲルアイテムを提供し、前記ゲルアイテムが平均孔径を有し、前記平均孔径が前記平均ミセル直径以上である、工程と;
D.前記混合物を前記ゲルアイテムに吸収させてゲルを形成する工程と、を含むプロセス。
【請求項2】
前記液体媒体が水である、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
前記平均孔径が、前記平均ミセル直径の約1.05倍〜約1000倍大きい、請求項1に記載のプロセス。
【請求項4】
前記混合物がヒドロトロープをさらに含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項5】
前記成分が香料である、請求項1に記載のプロセス。
【請求項6】
前記ミキサーが高剪断ミキサーである、請求項1に記載のプロセス。
【請求項7】
前記ゲルアイテムが脱水されたゲルである、請求項2に記載のプロセス。
【請求項8】
前記平均孔径が、前記平均ミセル直径の約1.075倍〜約10倍大きい、請求項3に記載のプロセス。
【請求項9】
前記ヒドロトロープが、スルホン化されたヒドロトロープである、請求項4に記載のプロセス。
【請求項10】
前記スルホン化されたヒドロトロープがナトリウムクメンスルホネートである、請求項9に記載のプロセス。

【公表番号】特表2008−505741(P2008−505741A)
【公表日】平成20年2月28日(2008.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−518181(P2005−518181)
【出願日】平成17年7月15日(2005.7.15)
【国際出願番号】PCT/US2005/025149
【国際公開番号】WO2006/020013
【国際公開日】平成18年2月23日(2006.2.23)
【出願人】(590005058)ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー (2,280)
【Fターム(参考)】