説明

成分分離デバイスおよびその製造方法並びにこれを用いた成分の分離方法

成分分離デバイスは、液体成分と固形成分とを含有する流体を収容する流路が形成された基板と、流路に収容された流体を振動させるアクチュエータと、流体の液体成分と固形成分とのうちの一方を取り出す取出し部とを備える。アクチュエータは、流路から離れて基板上に設けられた第1の電極と、第1の電極上に設けられた圧電体と、圧電体上に設けられた第2の電極とを有する。この分離デバイスでは、アクチュエータが流体に汚染されず、効率的に成分を分離できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体成分と固形成分が混合された例えば血液、乳液などの流体のそれぞれの成分を分離するための成分分離デバイスおよびその製造方法並びにこのデバイスを用いた成分の分離方法に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の固形成分が混合された流体として、例えば河川水、海水、血液などが挙げられる。これらは液体成分と固形成分が混合したものであり、砂、細菌、血球細胞などの固形成分は沈殿や分散により液体成分に溶融することなく固形として存在している。
【0003】
これらの複数の成分を分離する方法、例えば血球を血液から分離する装置を説明する。通常、血液は液体成分である血漿と固形成分である血球細胞とその他の成分から構成された全血状態で採取される。しかしながら、血液検査のために必要な成分は血球細胞部分のみ、または、逆に血漿部分のみである場合が多い。
【0004】
例えば、血液中の血糖値を検査するためには血漿成分中に溶融している血糖を測定する必要がある。DNAを検出するためには血球中の白血球細胞からDNAを取り出す。このため、従来の一般的な方法では採取された全血を血漿・血球成分に分離するために試験管中に全血を入れた後、遠心分離器で所定の遠心力を加える。これにより、試験管内の全血はそれぞれの成分に応じた遠心力を受け、質量の違いによってこれら成分が分離される。
【0005】
その後、上澄み液を抽出することで血漿成分が取り出され、沈殿物から血球成分が取り出される。その後、分離されたそれぞれの成分は検査工程で所定の測定が行われる。
【0006】
遠心分離器を用いる従来の方法では以下の問題点がある。すなわち、試験管の中に全血をある程度の量、例えば数ミリリットルから数十ミリリットルほどのサンプルが必要である。よってこの方法はサンプルの量が少ない場合には液体成分と固形成分は分離が困難である。
【0007】
フィルタを用いて微量のサンプルから固形成分を分離する方法が「Integrated vertical screen microfilter system using inclined SU−8 structure.」(Yong−Kyu Yoon、MEMS2003,Kyoto,pp.227−230 IEEE発行)に開示されている。多孔質性のフィルタにより所定の大きさ以上の血球を濾過して血漿成分と血球が分離されてそれぞれ取り出される。この方法ではフィルタの穴のサイズと数が分離特性に影響を与える。したがって、フィルタは分離したい成分に応じて最適に設計する必要がある。例えば、感光性レジストを立体的に感光させてメッシュ状のフィルタを精度良く作成でき、フィルタの穴のサイズと数が精度良く作成できる。
【0008】
フィルタによる従来の方法では、フィルタに複数成分の混合された流体もしくは粉流体が通過する際の圧力によって、通過する固形成分の粒子の大きさが異なる。特に複数の大きさの固形成分粒子はこの方法では分離しにくい。所定の粒子を取り出すため、それより小さい粒子のみが通過するようにフィルタの孔の大きさを決定する。その所定の粒子はフィルタにトラップされるのでフィルタの孔が詰まり、小さな粒子の通過を妨げる場合がある。
【0009】
特表2001−525722号公報には、流体内に懸濁した粒子のマニュピレーションを行うための装置が開示されている。この装置は粒子の懸濁した流体を流すためのダクトと、ダクトの片側に配置される超音波トランスデューサと、ダクトの反対側に配置されるリフレクタとを備える。超音波トランスデューサはダクトの流路の側面に設けられている。超音波トランスデューサが直接ダクトの内部に接している。この装置では、ダクトを幅方向に横切る音響定在波が発生し、これによって粒子が濃縮して、粒子によるダクトの縦軸に平行な一つ以上の平面状の帯が形成され、これにより液体成分と固形成分である粒子が分離する。
【0010】
この装置では、音響定在波によって流体の所定の位置に粒子が集中するので、フィルタの目詰まりを心配する必要は無い。しかし、超音波トランスデューサが直接ダクトの内部に接しているので、ダクト内の流体から汚染を受ける可能性がある。また、超音波トランスデューサがダクトの一部を構成しているので、ダクトは平面で構成される必要があり、したがって超音波トランスデューサの振動面は平面である。よって、発生できる音響波が平面波のみに限られる。また、ダクトの側面に超音波アクチュエータを正確に設置することが難しい。
【発明の開示】
【0011】
成分分離デバイスは、液体成分と固形成分とを含有する流体を収容する流路が形成された基板と、流路に収容された流体を振動させるアクチュエータと、流体の液体成分と固形成分とのうちの一方を取り出す取出し部とを備える。アクチュエータは、流路から離れて基板上に設けられた第1の電極と、第1の電極上に設けられた圧電体と、圧電体上に設けられた第2の電極とを有する。
【0012】
この分離デバイスでは、アクチュエータが流体に汚染されず、効率的に成分を分離できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
[図1]図1は本発明の実施の形態1における成分分離デバイスの斜視図である。
[図2]図2は実施の形態1における成分分離デバイスの上面図である。
[図3]図3は実施の形態1における成分分離デバイスの上面図である。
[図4]図4は実施の形態1における成分分離デバイスのアクチュエータに印加される電圧を示す。
[図5]図5は実施の形態1における他の成分分離デバイスの斜視図である。
[図6]図6は実施の形態1における成分分離デバイスの製造工程を説明するための断面図である。
[図7]図7は実施の形態1における成分分離デバイスの製造工程を説明するための断面図である。
[図8]図8は実施の形態1における成分分離デバイスの製造工程を説明するための断面図である。
[図9]図9は実施の形態1における成分分離デバイスの製造工程を説明するための断面図である。
[図10]図10は実施の形態1における成分分離デバイスの製造工程を説明するための断面図である。
[図11]図11は実施の形態1における成分分離デバイスの製造工程を説明するための断面図である。
[図12]図12は実施の形態1における成分分離デバイスの製造工程を説明するための断面図である。
[図13]図13は本発明の実施の形態2における成分分離デバイスの斜視図である。
[図14]図14は実施の形態2における他の成分分離デバイスの斜視図である。
[図15]図15は図14に示す成分分離デバイスの上面図である。
[図16]図16は図14に示す成分分離デバイスの上面図である。
【符号の説明】
【0014】
1 基板
2 流路
3 アクチュエータ
5 共通電極
6A 圧電体
6B 圧電体
7A 駆動電極
7B 駆動電極
8 流入口
9 流出口
10A 貫通孔
10B 貫通孔
11 固形成分
12 液体成分
13 レジストマスク
14 レジストマスク
15 レジストマスク
16 アクチュエータ
18 電極層
19 圧電層
20 電極層
26 基板
27 流路
28 アクチュエータ
29 流入口
30 流出口
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態1における成分分離デバイスの斜視図である。シリコンからなる基板1には流路2が形成されている。デバイスの外部より固形成分と液体成分が混合された流体が流入口8から流入し、流路2を通って流出路9から流出する、すなわち流体は流路2に収容される。流路2の底面2Aには底面2Aの反対の面1Aに貫通している貫通孔10A、10Bが設けられている。基板1の上面1B上であり流路2の外側には長手方向3Aを有するアクチュエータ3が流路2から離れて設けられている。アクチュエータ3の長手方向3Aは流路2の側面2Bに平行である。アクチュエータ3は基板1上設けられた白金よりなる共通電極5と、共通電極5上のチタン酸ジルコン酸鉛からなる圧電体6A,6Bと、圧電体6A,6B上にそれぞれ設けられた金よりなる駆動電極7A,7Bよりなる。共通電極5と駆動電極7A,7Bは金、クロム、チタンおよび白金のうちの少なくも1つを含有しても良い。アクチュエータ3は小さくても低電圧で大きな振動を効率よく発生する。
【0016】
アクチュエータ3の長手方向3Aが面1Bに繋がる流路2の側面2Bに平行なので、後に述べるようにアクチュエータ3は振動をより効率的に発生できる。図1に示すデバイスでは2つのアクチュエータ3が流路2の両側面の外側にそれぞれ設けられているが、1つのアクチュエータのみでも振動を発生させることは可能である。
【0017】
この成分分離デバイスを用いて固形成分と液体成分が混合した流体のそれぞれの成分を分離する方法について述べる。図2および図3は成分分離デバイスの上面図である。
【0018】
まず、固形成分11と液体成分12が混合した流体101を流入口8より投入する。流体101は流路2を満たした後、流出口9より流出する。通常、何もしない状態では図2に示すように流体101は固形成分11と液体成分12がランダムに流れる。
【0019】
次に、アクチュエータ3に所定の周波数で振動する高周波電圧を印加する。共通電極5は例えば0Vの所定の電位に保たれる。図3はアクチュエータ3に接続された回路を示し、図4は駆動電極7A、7Bにそれぞれ印加される高周波電圧Va、Vbを示す。高周波電圧Va、Vbは例えば180度移相器102により互いに位相が180度ずれている。高周波電圧Va、Vbにしたがって圧電体6A,6Bはそれぞれ繰り返して伸び縮みして振動し、この振動が基板1に伝達されて流路2内に到達する。なお、高周波電圧Va、Vbには、図4に示すように、圧電体6Aと共通電極5との電位の高低が逆にならず、かつ圧電体6Bと共通電極5との電位の高低が逆にならないように直流電源によりバイアス電圧Eを加えておくことが望ましい。これにより、圧電体6A,6Bは逆電圧印加による分極緩和が起こりにくく、安定して駆動でき、特性の劣化がない。なお、圧電体6Aと共通電極5との電位の高低が逆にならず、かつ圧電体6Bと共通電極5との電位の高低が逆にならない限り、直流バイアス値Eは正負どちらでもよい。
【0020】
流路2の形状と振動の周波数によって流路2内には所定の条件で振動の定在波が発生する。流路2内に定在波が発生すると図3に示すように固形成分11は定在波の節の部分に集中し、整列しながら流路2中を流れる。図3は、流路2中の定在波の3つの節に集中して流れている固形成分11を摸式的に示す。
【0021】
基板1の貫通孔10Aは固形成分11が集中的に流れている部分の下に設けられている。したがって、貫通孔10Aから基板1の下面側に流体101を吸引すれば固形成分11が少量の液体成分12と共に貫通孔10Aから取り出せる。基板1の貫通孔10Bは固形成分11が集中的に流れている部分の下以外に設けられている。したがって、貫通孔10Bから流体101を吸引すれば液体成分12のみが取り出せる。貫通孔10A、10Bは流体101から固形成分11と液体成分12をそれぞれ取り出す成分取出し部として機能する。固形成分11と液体成分12のうちの一方のみ、例えば固形成分11のみが必要な場合は、デバイスは他方すなわち液体成分12に対応する貫通孔10Bを有する必要はない。貫通孔10A、10Bのサイズ・数は特定の血漿・血球の分離のために個別に設計する必要はなく、このデバイスは広汎に使用できる。
【0022】
図5は実施の形態1における他の成分分離デバイスの斜視図である。図5に示すように、アクチュエータ16は基板1の下面1A上にもうけられてもよい。アクチュエータ16は下面1A上の流路2の下の部分に位置に設けることができ、より効率的に振動が伝達できる。
【0023】
次に、図1に示す実施の形態1による成分分離デバイスの製造方法について説明する。図6〜図12は成分分離デバイスの製造工程を示す断面図である。
【0024】
まず、図6に示すように、シリコンからなる基板1上に白金による電極層18を形成し、電極層18上にチタン酸ジルコン酸鉛により圧電層19を形成し、圧電層19上に金による電極層20を形成する。電極層18、20はスパッタリングで、蒸着など通常の方法で形成した。チタン酸ジルコン酸鉛による圧電層19はスパッタリング法、水熱合成法、ゾルゲル法などにより形成できる。特にスパッタリング法によって形成された圧電層19は優れた圧電特性で安定して変位する。
【0025】
次に、図7に示すように電極層20上に所定のパターンを有するにレジストマスク13を形成する。その後、図8に示すように、電極層20をエッチングして互いに分離する駆動電極7A、7Bが形成される。続いて、図9に示すように、チタン酸ジルコン酸鉛による圧電層19をエッチングして、互いに分離した圧電体6A、6Bが形成される。その後レジストマスク13を除去する。
【0026】
次に、図10に示すように、所定のパターンを有するレジストマスク14が電極7A、7B上、電極層18上に形成され、電極層18をエッチングして共通電極5を形成する。レジストマスク14はエッチング後、除去する。
【0027】
次に、図11に示すように所定のパターンを有するレジストマスク15電極7A、7B上、電極層18上、基板1の上面1B上に形成し、基板1をエッチングして、シリコンによる基板1に流入口8および流出口9を有する流路2を形成する。その後、レジストマスク15は除去する。シリコンによる基板1をドライエッチング法でエッチングすることにより、微細な形状を高精度に加工できる。エッチングを促進するガスとエッチングを抑制するガスとを混合したガスでドライエッチングを行うことにより、より高精度に基板1を加工できる。これによりデバイスを小さくできる。
【0028】
次に、図12に示すように、基板1の下面1Aに所定のパターンを有するレジストマスク21を形成し、基板1をエッチングして流路2の底部に貫通孔10A、10Bを形成する。レジストマスク21をエッチング後に除去して、実施の形態1による成分分離デバイスが得られる。
【0029】
上記の方法により、基板1の上面にアクチュエータ3が設けられているので、半導体プロセスと同様に、複数の成分分離デバイスが1つのウエハから一度に効率的に得られる。
【0030】
アクチュエータ3、16は流路2内の流体に接していないので流体に汚染されない。さらに、アクチュエータ3,16は流路2の側面2Bに平行な長手方向3Aを有した形状である。また、実施の形態1によるデバイスは、流路2内に振動を正確にロスなく発生できるので、効率的に成分を分離できる。
【0031】
なお、図5に示す成分分離デバイスを製造する際には、電極層や圧電層は基板1の下面1A上方に形成される。
【0032】
(実施の形態2)
図13は本発明の実施の形態2における成分分離デバイスの斜視図である。このデバイスでは、シリコンからなる基板26内に形成した流路27は流入口29からその幅が単調に大きくなり、最大幅W1の部分から流出口30に向かって幅が単調に小さくなっている。流路27は部分27Aでの最大幅W1が流入口29および流出口30の幅W1、W2より広い。複数のアクチュエータ28が、流路27の周辺に設けられている。広い幅W1の流路27に複数のアクチュエータ28によって様々な振動を加えることによって様々な定在波を発生させることができ、より多様に成分を分離できる。また、広い幅の流路27の周辺に複数のアクチュエータ28を容易に設置でき、より効率的に成分を分離できる。
【0033】
図14は実施の形態2における他の成分分離デバイスの斜視図である。図15と図16は図14に示す成分分離デバイスの上面図である。基板31には、流入口38に接続された流路32と、流出口39に接続された流路44と、流路32と流路44との間の流路33とが形成されている。流路32の幅W32は流路33の幅W33より狭い。流路33の幅W33は流路32の幅W32の三倍である。流路32、33にわたり流路32、33の両外側にアクチュエータ34がそれぞれ設けられる。
【0034】
この成分分離デバイスを用いて成分を分離する方法について述べる。流入口32に互いに大きさの違う固形成分41および42と液体成分43が混合された流体45を注入すると、図15に示すように、固形成分41,42は大きさに関係なくランダムに分散し流体45が流れる。固形成分42は固形成分41より小さい。
【0035】
次に、アクチュエータ34によって流路32の幅W32の2倍の波長の振動を流路32の流体45に加える。これにより、流路32には幅W32を半波長とする基本モードで振動の定在波が発生し、図16に示すように、固形成分41,42が集中的に流れる1つの領域R1が流路32に平行に形成される。
【0036】
アクチュエータ34は流路33の両外側にも延びているので、流路33には流路32と同じ波長の振動の定在波が発生している。この定在波の波長は流路33の幅W33の2/3倍なので、流路33には幅W33の3倍モードの定在波が発生する。図16のように固形成分41,42が集中的に流れる3つの領域R2、R3、R4が流路33に平行に形成される。
【0037】
小さい固形成分、もしくは密度が小さい固形成分は定在波による影響を受けにくい。したがって、流路32で領域R1に集中した固形成分41,42のうちの小さい固形成分42は、図16に示すように、流路32の領域R1で固形成分41より分散する。流路33において、流路32から流れ込んだ固形成分42は、領域R2より流路33の壁33Aに近い領域R3、R4に集中的に集まる。すなわち、固形成分の大きさもしくは密度によって集中して流れる領域を制御でき、異なる固形成分を効率よく液体成分から分離できる。固形成分41、42や液体成分43は、図1に示す実施の形態1の成分分離デバイスと同様に、貫通孔40A,40Bおよび流路44から取り出すことができる。
【0038】
図14に示すデバイスでは、流路33の幅W33が流路32の幅W32の3倍であるので、アクチュエータ34で発生する振動によって流路32では基本モードの定在波、流路33では3倍モードの定在波が発生して固形成分が集中的に流れる領域R1〜R4が形成されている。流路32と流路33の外側にそれぞれ異なるアクチュエータを設け、それぞれ別の波長の振動を発生させることができる。したがって、流路33の幅W33は流路32の幅W32の必ずしも3倍である必要はない。図14に示す実施の形態2によるデバイスでは異なるアクチュエータを流路33、32の外側にそれぞれ設ける必要は無く、より簡便に成分分離デバイスを製造および使用できる。
【0039】
なお、図14に示すデバイスではアクチュエータ34が流路33、32の両側にそれぞれ設けられている。アクチュエータ34の数はこれに限定されず、適切な振動を加えることができれば良い。
【0040】
実施の形態2による図14に示すデバイスでは、アクチュエータ34は基板31上の共通電極35と、共通電極35上の圧電体36A、36Bと圧電体36A、36B上の駆動電極37A,37Bとを備え、実施の形態1のアクチュエータ3と同様に駆動できる。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明による成分分離デバイスは、例えば血液、乳液等、液体成分と固形成分が混合された流体のそれぞれの成分を効率的に分離できる。
【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】

【図8】

【図9】

【図10】

【図11】

【図12】

【図13】

【図14】

【図15】

【図16】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1面と前記第1面の反対側の前記第2面とを有し、液体成分と固形成分とを含有する流体を収容する流路が前記第1面に形成された基板と、
前記流路から離れて前記基板上に設けられた第1の電極と、前記第1の電極上に設けられた第1の圧電体と、前記第1の圧電体上に設けられた第2の電極とを有し、前記流路に収容された前記流体を振動させるアクチュエータと、
前記流体の前記液体成分と前記固形成分とのうちの一方を取り出す取出し部と、
を備えた成分分離デバイス。
【請求項2】
前記流体を前記流路に導入するための前記流路に接続された流入口と、前記流体を前記流路から排出するための前記流路に設けられた流出口とが前記基板に形成された、請求項1に記載の成分分離デバイス。
【請求項3】
前記アクチュエータの前記第1の電極は前記基板の前記第1面上に設けられた、請求項1に記載の成分分離デバイス。
【請求項4】
前記アクチュエータの前記第1の電極は前記基板の前記第2面上に設けられた、請求項1に記載の成分分離デバイス。
【請求項5】
前記アクチュエータは前記流路に収容された前記流体に定在波を発生させる、請求項1に記載の成分分離デバイス。
【請求項6】
前記アクチュエータは前記第1の電極上に設けられた第2の圧電体と、前記第2の圧電体上に設けられた第3の電極とをさらに有する、請求項1に記載の成分分離デバイス。
【請求項7】
前記アクチュエータの前記第1の電極は金、クロム、チタンおよび白金のうちの少なくとも一つの金属からなり、
前記アクチュエータの前記第2の電極は金、クロム、チタンおよび白金のうちの少なくとも一つの金属からなり、
前記アクチュエータの前記第3の電極は金、クロム、チタンおよび白金のうちの少なくとも一つの金属からなり、
前記第1の圧電体と前記第2の圧電体はチタン酸ジルコン酸鉛よりなる、請求項1に記載の成分分離デバイス。
【請求項8】
前記流路は前記流入口の幅と前記流出口の幅より大きな幅を有する部分を有する、請求項1に記載の成分分離デバイス。
【請求項9】
前記流路の幅は前記流入口から前記部分まで単調に増加し、前記部分から前記流出口まで単調に減少する、請求項8に記載の成分分離デバイス。
【請求項10】
前記流路は前記基板の前記第1面に繋がる側面を有し、
前記アクチュエータの前記第1の電極と前記第2の電極と前記第1の圧電層とは前記流路の前記側面に平行な長手方向を有する、請求項1に記載の成分分離デバイス。
【請求項11】
前記流路から前記基板の前記第2面に貫通する貫通孔が前記取出し部として前記基板に形成された、請求項1に記載の成分分離デバイス。
【請求項12】
前記基板はシリコンよりなる、請求項1に記載の成分分離デバイス。
【請求項13】
前記アクチュエータの前記第1の電極は金、クロム、チタンおよび白金のうちの少なくとも一つの金属からなり、
前記アクチュエータの前記第2の電極は金、クロム、チタンおよび白金のうちの少なくとも一つの金属からなり、
前記第1の圧電体はチタン酸ジルコン酸鉛よりなる、請求項1に記載の成分分離デバイス。
【請求項14】
基板上に第1の電極層を形成するステップと、
前記第1の電極上に圧電層を形成するステップと、
前記圧電体上に第2の電極層を形成するステップと、
前記第1の電極層と前記圧電層と前記第2の電極層とを所定のパターン形状に加工してアクチュエータを形成するステップと、
前記基板にエッチングによって流路を形成するステップと、
を含む、成分分離デバイスの製造方法。
【請求項15】
前記基板にエッチングによって前記流路に接続された流入口と流出口とを形成するステップをさらに含む、請求項14に記載の製造方法。
【請求項16】
前記基板にエッチングによって流路を形成するステップは、前記流路にドライエッチングにて前記流路を形成するステップを含む、請求項14に記載の製造方法。
【請求項17】
前記流路にドライエッチングにて前記流路を形成するステップは、前記流路にエッチングを促進するガスとエッチングを抑制するガスを混合したガスによるドライエッチングにより前記流路を形成するステップを含む、請求項16に記載の製造方法。
【請求項18】
前記第1の電極層は金、クロム、チタンおよび白金のうちの少なくとも一つよりなり、
前記第2の電極層は金、クロム、チタンおよび白金のうちの少なくとも一つよりなる、請求項14に記載の製造方法。
【請求項19】
前記圧電層はチタン酸ジルコン酸鉛よりなる、請求項14に記載の製造方法。
【請求項20】
成分分離デバイスであって、
第1面と前記第2面の反対側の前記第2面とを有して流路が前記第1面に形成された基板と、
前記流路から離れて前記基板上に設けられた第1の電極と、前記第1の電極上に設けられた第1の第2の圧電体と、前記第1と第2の圧電体上にそれぞれ設けられた第2と第3の電極とを有するアクチュエータと、
を備えた成分分離デバイスを準備するステップと、
液体成分と固形成分とを含有する流体を前記流路に収容するステップと、
振動しかつ直流バイアスを有する第1の電圧を前記第1の電極と前記第2の電極との間に印加し、前記第1の電圧と位相が180度異なって振動しかつ直流バイアスを有する第2の電圧を前記第1の電極と前記第3の電極との間に印加することにより前記アクチュエータを振動させるステップと、
前記振動するアクチュエータにより前記流路に収容された流体に定在波を発生させるステップと、
前記定在波が発生した前記流体から前記固形成分と前記液体成分のうちの一方を分離するステップと、
を含む、成分の分離方法。

【国際公開番号】WO2005/058459
【国際公開日】平成17年6月30日(2005.6.30)
【発行日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−516279(P2005−516279)
【国際出願番号】PCT/JP2004/017455
【国際出願日】平成16年11月25日(2004.11.25)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】