説明

成分測定装置、医療機器及び音声ガイダンス方法

【課題】測定された体液の成分測定値に応じて患者ごとに適正な医療ガイダンスを伝える。
【解決手段】血糖計10は、血液の血糖値を測定する成分測定部68と、成分測定部68による血糖値の大きさに応じて複数段階に区分された医療ガイダンスを記憶する記憶部66と、医療ガイダンスを音声形式で出力するスピーカ54と、医療ガイダンスを音声として録音するマイク58及び録音ガイダンスメモリ76と、時計64と、食後ボタン42と、制御部60とを備える。制御部60は血糖値の程度と現在時刻とに基づいて、記憶部66の録音ガイダンスメモリ76から対応する医療ガイダンスを読み出し、読み出した医療ガイダンスをスピーカ54を通じて音声として出力する。食後ボタン42が押されたときには第2医療ガイダンス78を優先して音声出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、体液中の所定成分やバイタルサインを測定する測定部と音声形式で出力をする音声出力部とを有する成分測定装置、医療機器、及び、該成分測定装置における音声ガイダンス方法に関する。
【背景技術】
【0002】
糖尿病の治療において、日々の血糖値を測定することによる日常的な管理が推奨されており、患者自身が血糖計を用いて血糖値を測定している。
【0003】
しかし、糖尿病患者は合併症によって弱視や失明している場合や、また合併症がなくても高齢によって視力が低下している場合があり血糖計のディスプレイに表示される測定値を読みづらいことがある。さらに、合併症により手指が不自由となり血糖計を安定して把持できずに測定値を読みづらいこともある。
【0004】
このような糖尿病患者に対しては測定値をディスプレイに表示するだけではなく、特許文献1、特許文献2及び特許文献3に示されるように音声により読み上げることで視力に頼らずに測定結果を知ることができ、好適である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−58359号公報
【特許文献2】特開2007−41920号公報
【特許文献3】特許第4395146号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、音声で読み上げることにより測定値を聴覚的に理解できたとしても、血糖計を使い始めて間もない患者や、高齢で判断力が低下している患者はその測定値が正常なのか異常なのか、異常である場合にはその程度や対処方法がすぐには理解できないことも考えられ、適切な医療ガイダンスが必要となる。血糖値の異常に応じて所定のガイダンスを音声出力させることは可能であるが、患者個別の病態に応じて治療・指導方法も多様化してきており、更には、同じ患者に対しても病状に応じて治療方針が変わることもあるため、所定のガイダンスを報知するだけでは対応に限界がある。
【0007】
本発明はこのような課題を考慮してなされたものであり、測定された体液成分の測定値又はバイタルサインの測定値に応じて、患者や病状ごとに適正な医療ガイダンスを伝えることができ、患者にとって扱いやすい成分測定装置、医療機器及び音声ガイダンス方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る成分測定装置は、体液中の所定成分を測定する測定部と、前記測定部による成分測定値の程度に応じて複数段階に区分された医療ガイダンスを記憶する記憶部と、前記医療ガイダンスを音声形式で出力する音声出力部と、前記医療ガイダンスを音声として録音する録音部と、前記測定部、前記記憶部、音声出力部及び前記録音部に接続される制御部とを備え、前記記憶部は、前記録音部で録音された音声を前記医療ガイダンスとして記憶し、前記制御部は、前記成分測定値に基づいて、前記記憶部から対応する医療ガイダンスを読み出し、読み出した医療ガイダンスを前記音声出力部を通じて出力することを特徴とする。
【0009】
また、本発明に係る医療機器は、人体のバイタルサインを測定する測定部と、前記測定部による成分測定値の程度に応じて複数段階に区分された医療ガイダンスを記憶する記憶部と、前記医療ガイダンスを音声形式で出力する音声出力部と、前記医療ガイダンスを音声として録音する録音部と前記測定部、前記記憶部、音声出力部及び前記録音部に接続される制御部とを備え、前記記憶部は、前記録音部で録音された音声を前記医療ガイダンスとして記憶し、前記制御部は、前記成分測定値に基づいて、前記記憶部から対応する医療ガイダンスを読み出し、読み出した医療ガイダンスを前記音声出力部を通じて出力することを特徴とする。
【0010】
このように、医療ガイダンスを音声として録音する録音部を備えていることにより、患者や病状に合わせて個別の医療ガイダンスを録音設定することができる。また、測定値に基づいて対応する医療ガイダンスを音声として出力することにより、ユーザ(患者(特に聴力の衰えた高齢者)、介護者及び看護師等)は正常か異常かの判断ができ、異常である場合にはその程度や対処方法を容易に理解することができる。
【0011】
さらに、前記記憶部の前記医療ガイダンスは、前記成分測定値と時刻に応じて設定された複数段階の区分に対して選択的に録音可能に構成され、前記制御部は、時計機能から得られる時刻に基づいて対応する医療ガイダンスを読み出し、読み出した医療ガイダンスを前記音声出力部を通じて出力してもよい。
【0012】
これにより、一日のうちでも時刻によって変動する体液成分に対応して一層正確な対処方法を提供することができる。
【0013】
さらに、前記体液中の所定成分は血液の血糖であり、食後の所定時間内に測定をするときに血糖値に食後情報をひも付けるためにユーザが操作する食後入力部を備え、前記記憶部の前記医療ガイダンスは、前記血糖値と前記食後情報の有無とに対応して区分され、前記制御部は、さらに前記食後情報の有無に基づいて対応する医療ガイダンスを読み出し、読み出した医療ガイダンスを前記音声出力部を通じて出力することを特徴とする。
【0014】
これにより、食後に上昇する血糖値に対応して一層正確な対処方法を提供することができるとともに、食後入力部の操作によって装置に対して食後の測定であることをいつでも指示可能であって、食事時間が制約されることがない。
【0015】
この場合、前記医療ガイダンスは、前記成分測定値の程度に応じて設定された複数段階の区分に対して選択的に録音可能に構成され、前記制御部は、前記測定部で測定された前記成分測定値の程度に基づいて対応する医療ガイダンスを読み出し、読み出した医療ガイダンスを前記音声出力部を通じて出力してもよい。これにより、変更不要な箇所については録音操作を省略できる。
【0016】
また、前記測定部による成分測定値を表示するとともに、ポインティングデバイスに対応した表示部を備え、該表示部は、前記録音部による録音を行う際に前記複数段階を区分け表示し、前記録音部は、前記ポインティングデバイスで選択された区分について前記医療ガイダンスを音声として録音してもよい。これにより、録音操作が分かりやすく容易になり、しかも録音をするセルを迅速に選択することができる。
【0017】
前記録音部による録音機能は認証機能によって認証がなされた場合に有効すると、特定の者以外による不用意な書き換えを防止できる。
【0018】
本発明に係る音声ガイダンス方法は、食後情報が存在する場合に対応した第1医療ガイダンスと、前記食後情報が存在しない場合に対応する第2医療ガイダンスとをそれぞれ測定時刻と成分測定値の程度とに対応させて録音する過程と、測定した成分測定値を音声で出力する過程と、前記食後情報が存在しない場合には、前記成分測定値と現在時刻とに基づいて、録音された前記第1医療ガイダンスを音声で出力する一方、前記食後情報が存在する場合には、前記成分測定値と前記食後情報とに基づいて、録音された前記第2医療ガイダンスを音声で出力する過程とを備えることを特徴とする。
【0019】
このように、測定時刻及び成分測定値に基づいた対応する医療ガイダンスを音声として出力することにより、ユーザは正常か異常かの判断、異常である場合にはその程度や対処方法を容易に理解することができる。また、食後情報に基づいて第1医療ガイダンスか第2医療ガイダンスのいずれかを音声出力することにより、一層適切な対処方法を伝えることができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明に係る成分測定装置、医療機器及び音声ガイダンス方法によれば、医療ガイダンスを音声として録音する録音部を備えていることにより、患者や病状に合わせて個別の医療ガイダンスを録音設定することができる。また、測定値に基づいて対応する医療ガイダンスを音声として出力することにより、ユーザ(患者(特に聴力の衰えた高齢者)、介護者及び看護師等)は正常か異常かの判断ができ、異常である場合にはその程度や対処方法を容易に理解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本実施の形態に係る血糖計の斜視図である。
【図2】本実施の形態に係る血糖計の平面図である。
【図3】本実施の形態に係る血糖計の基端側から見た側面図である。
【図4】試験具の断面側面図である。
【図5】血糖計のブロック構成図である。
【図6】記憶部の内部構成を示す図である。
【図7】録音ガイダンスメモリの内部構成を示す図である。
【図8】録音モードの第1例におけるディスプレイの表示例を示す図である。
【図9】録音モードの第1例のフローチャートである。
【図10】録音モードの第2例で表示されるセルテーブルである。
【図11】録音モードの第2例で表示されるセルテーブルの第1変形例である。
【図12】録音モードの第2例で表示されるセルテーブルの第2変形例である。
【図13】録音モードの第2例のフローチャートである。
【図14】本実施の形態に係る音声ガイダンス方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明に係る成分測定装置、医療機器及び音声ガイダンス方法について実施の形態を挙げ、添付の図1〜図14を参照しながら説明する。
【0023】
図1、図2及び図3に示すように、本実施の形態に係る血糖計(成分測定装置、医療機器)10には、先端に試験具としてチップ12が装着される。血糖計10は、患者自身が操作して血糖計測を行うパーソナルユースの用途として主に用いられるが、もちろん特段の改造をすることなく医療従事者が使用する医療施設内用途としても使用可能である。先ずチップ12について説明する。
【0024】
図4に示すように、チップ12は、有底筒状のベース筒14と、ベース筒14から半径方向に突出するフランジ16と、ベース筒14の底部から突出する錐状のノズル18と、ベース筒14の底部内面に設置された試験紙20とを有する。ベース筒14には複数のスリット14aが設けられている。ノズル18の中心には、先端の点着部22から試験紙20に連通する直線状の血液導入路24が設けられている。試験紙20の材質としては、例えば、ポリエーテルスルホンが挙げられる。試験紙20に含浸される試薬としては、例えば、グルコースオキシターゼ(GOD)、ペルオキシターゼ(POD)、4−アミノアンチピリン、N−エチルN−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)等の発色剤が挙げられる。また、試薬には所定の緩衝剤が含まれていてもよい。
【0025】
血液導入路24は、血液を毛管現象により吸い上げる程度に十分細径に設定されており、点着部22に接触した血液を試験紙20まで導入する。
【0026】
チップ12は、いわゆるディスポーザブル品であり個包装体としてのケース26(図1参照)内に収納され、ケース26の基端部はフィルムでシールされている。
【0027】
図1〜図3に戻り、本実施の形態に係る血糖計10は、チップ12が装着される先端装着部28と、先端装着部28の近傍上面に設けられたイジェクトレバー30と、上面中央に設けられたタッチパネル(ポインティグデバイス)式で液晶のディスプレイ(表示部)36と、上面の基端側に設けられた操作部38と、側面基端側に設けられた複数段階設定のボリュームスイッチ40と、基端部側面(図3参照)に設けられた食後ボタン(食後入力部)42、時間設定ボタン44及び録音モードボタン45と、紐で接続されて先端装着部28を保護するキャップ46とを有する。血糖計10は片手で把持し易いやや細長い形状であり、先端部は先端方向に向かって細くなるとともにやや下側に屈曲して点着操作が容易な形状をなしている。
【0028】
血糖計10の上面部は平面状に形成されている。ディスプレイ36は、いわゆるフルドット液晶タイプであって計測した血糖値を表示する他、所定の入力操作確認やメンテナンス用コードの表示、絵文字やテーブル等の表示が可能である。また、ディスプレイ36はタッチパネル機能を備えており、画面上の任意の箇所を指で触れることにより制御部60では触れられた箇所の座標を認識可能である。ディスプレイ36による入力形式はタッチパネル式以外にもマウス−カーソル式、タッチペン式、タッチパッド式等のポインティングデバイスが利用可能である。
【0029】
食後ボタン42は、食後の所定時間内に測定をするときにユーザ(患者(特に聴力の衰えた高齢者)、介護者及び看護師等)が食後であることを指示する入力部であって、血糖値に後述する食後フラグ(食後情報)をひも付けるために用いられる。食後ボタン42は食後の所定時間内に測定するときだけに用いる特定用途のボタンであることから、一般的なボタン操作やディスプレイ表示を行う上面や操作時に把持する横側面を避け、成分測定部(測定部)68がある先端側に対して反対側(基端部側面又は基端部)に設けられており、不用意に触れることがなく、しかも操作するべきときには操作性がよい。
【0030】
録音モードボタン45は医師等が後述する録音機能を使用するときに用いるボタンであり、細いペン先等でやや深く押し込むことによって操作される。録音モードボタン45はユーザが操作する必要はなく、指や爪では操作がなされず、通常使用時に不用意に触れることがない。
【0031】
操作部38は、電源のオン・オフをする電源ボタン50と、過去に記憶された測定値を呼び出す記憶呼出ボタン52と、スピーカ(音声出力部)54と、再生ボタン56と、マイク(録音部)58とを有する。スピーカ54は血糖値の測定結果である測定値やその測定値に基づく医療ガイダンスを音声で出力するとともに、操作に応じてビープ音などの音響出力をする。スピーカ54の出力については後述する。再生ボタン56は一度音声報知された内容を再度報知させるためのボタンである。
【0032】
タッチパネル等のポインティングデバイスを用いることにより食後ボタン42、時間設定ボタン44、記憶呼出ボタン52及び再生ボタン56の一部又は全部をディスプレイ36上の画像形式ボタンに置き換えてもよい。
【0033】
マイク58は、医師等の医療従事者が患者ごとの医療ガイダンスを音声として録音するためのものである。
【0034】
食後ボタン42、時間設定ボタン44、電源ボタン50、記憶呼出ボタン52及び再生ボタン56の表面には異なるパターンの小突起が設けられており、指先の触覚で識別可能である。
【0035】
図5に示すように、血糖計10は制御部60が全体を統括的に制御している。血糖計10は内部に電源62と、時計64と、記憶部66と、成分測定部68とを有する。電源62には、例えばボタン電池が用いられ、電源ボタン50の作用下に電力を制御部60に供給する。時計64は時間設定ボタン44の操作によって調整され、現在時刻を制御部60に通知する。時計64にはカレンダー機能が設けられていてもよい。時計64の時間設定操作に関する詳細説明は省略する。
【0036】
測定部68は光学式であって、試験紙20(図3参照)にパルス状に光を照射する発光部68aと、呈色した試験紙20で反射した光を受光する受光部68bと、該受光部68bの受光信号をデジタル値に変換して制御部60に供給するA/D変換器68cとを有する。なお試験紙20及び測定部68は光学式に限らず、例えば、アンペロメトリー等を利用した電極式であってもよい。
【0037】
ディスプレイ36、ボリュームスイッチ40、食後ボタン42、時間設定ボタン44、記憶呼出ボタン52、スピーカ54、再生ボタン56、マイク58、電源62、時計64、記憶部66及び成分測定部68は制御部60に接続されている。制御部60としては、例えばマイクロコンピュータが用いられ、所定のプログラムを読み込み各機能部と協働しながらソフトウェア処理を実行する。
【0038】
図6に示すように、記憶部66はプログラム70と、ワークメモリ72と、固定ガイダンスメモリ74と、録音ガイダンスメモリ(録音部)76とを有する。プログラム70は制御部60が読み込み実行するソフトウェアである。ワークメモリ72はプログラム70を実行する際に所定のデータを都度記憶するために用いられる。固定ガイダンスメモリ74は血糖計10の操作におけるいくつかの固定的なアナウンスを音声データとして記憶する領域であり、例えば「電源が入りました。」、「電池が減っています。」、「測定をしています。」、「時間を設定します」、「医療ガイダンスが録音可能です。」等のアナウンスの音声データである。図6では煩雑になることを避けるために記憶部66を1つにまとめて示しているが、プログラム70及び固定ガイダンスメモリ74はROM(Read Only Memory)、ワークメモリ72はRAM(Random Access Memory)、録音ガイダンスメモリ76は書き込み可能な不揮発性(例えばフラッシュメモリ)にするとよい。録音ガイダンスメモリ76は、図7に示す以外のパラメータの記憶用に共用してもよく、例えば過去の複数回の血糖測定値を記憶・保存する領域を設けてもよい。
【0039】
図7に示すように、録音ガイダンスメモリ76は、血糖軸と時刻・イベント軸とによって2次元状に区分けされており、各セルには対応する医療ガイダンスが音声データとして記憶されている。
【0040】
血糖軸は、成分測定部68による成分測定値の大きさに応じて複数段階に区分されている。すなわち血糖値(mg/dL)に応じて第1レベルの0以上20未満、第2レベルの20以上50未満、第3レベルの50以上150未満、第4レベルの150以上300未満、第5レベルの300以上600未満、第6レベルの600以上、及び計測できない場合としてのエラー区分である。エラー区分は便宜上第7レベルとされる。血糖軸の区分は7レベルに限られない。
【0041】
時刻・イベント軸は、時計64から得られる現在時刻と食後ボタン42の操作有無とに対応して区分されており、食後ボタン42の操作がないときの第1医療ガイダンス77と、操作されたときの第2医療ガイダンス78とに大きく区分されている。第1医療ガイダンス77は6時間ごとに区分され、時刻が0時以上6時未満までの第1時間である区分aと、6時以上12時未満までの第2時間である区分bと、12時以上18時未満の第3時間である区分cと、18時以上24時未満の第4時間である区分dからなる。第2医療ガイダンス78の蘭は便宜上第5時間の区分eとされる。第1医療ガイダンス77は4区分に限られない。
【0042】
第2医療ガイダンス78は食後ボタン42が操作されたことを示す食後フラグが「1」であるときに参照され、該食後フラグが「0」であるときには第1医療ガイダンス77のうち現在時刻に対応する区分の蘭がまず選択され、ついで血糖軸については血糖値に応じたレベルの行が選択・参照されることになる。
【0043】
各医療ガイダンスは、所定操作によって医師等の医療従事者が患者の病態に応じてマイク58から音声として入力・録音しておく。この録音操作は録音モードボタン45の操作によってなされる。
【0044】
録音ガイダンスメモリ76は、図7においては理解が容易なように表形式で示しているが、実際の構成では例えば、1×2の行列形式のパラメータに基づいて参照可能なようにアドレス上に展開しておけばよい。例えば、血糖軸が第3レベルで時刻・イベント軸が第2時間であるときは行列(3、b)で指し示されるセルが該当する医療ガイダンスになる。
【0045】
次に、医療ガイダンスを録音する録音モードについて説明する。医療ガイダンスを録音する録音モードとそれ以外の通常モードは、録音モードボタン45(図3参照)が5秒間押されるたびに切り替えられる。通常モードから録音モードに切り替えられたときには、スピーカ54から「録音モードになりました。対応録音箇所を指定し、時間設定ボタンで録音を開始してください。終わるときには再度録音モードボタンを5秒押して下さい。」とアナウンスされる。このとき、図8に示すように、ディスプレイ36にはデフォルトとして血糖軸が第1レベル、時刻・イベント軸が第1時間である行列(1、a)を示す数値とアルファベットが表示されている。
【0046】
録音モードへは録音モードボタン45を5秒以上押し続けたときに移行するので、仮に不用意に1秒程度押してしまっても通常のモードが維持される。
【0047】
録音モード時に録音モードボタン45が5秒以上押されたときには、通常モードに切り替えられ、スピーカ54から「通常モードに戻りました。」とアナウンスされる。
【0048】
録音モードの第1例について図9を参照しながら説明する。図9、図14のフローチャートに基づく説明では断りのない限り表記したステップ番号順に処理が実行されるものとする。
【0049】
図9のステップS1において、各種のボタンの入力状態を監視し、録音モードボタン45の1秒以下のオン操作があった場合にはステップS2に移り、時間設定ボタン44のオン操作があった場合にはステップS3へ移り、再生ボタン56のオン操作があった場合にはステップS5へ移る。図9には表示を省略するが、録音モードボタン45の5秒以上のオン操作があった場合には通常モードに戻る。入力がないときには待機する。
【0050】
ステップS2(録音モードボタンオン)において、録音モードボタン45の1秒以下のオン操作の回数に応じて(1、b)、(1、c)、(1、d)、(1、e)、(2、a)、(2、b)…と録音対象となる医療ガイダンスのセルを繰り上げていき、対応する数値とアルファベットをディスプレイ36に表示する。(7、e)の次は(1、a)に戻り循環する。録音モードボタン45を何度か押し、録音しようとする医療ガイダンスのセルを選択表示させる。
【0051】
ステップS3(時間設定ボタンオン)において、「発信音のあとに録音を10秒以内で行って下さい。……ポーン」と録音を促すアナウンスを流す。これは理解が容易なように一般の留守番電話機能の案内と同様となっている。時間設定ボタン44は本来は時計64の時間設定に用いられるボタンであるが、録音モードにおいては録音開始入力に利用される。
【0052】
ステップS4において、医療従事者はマイク58に向かって必要な医療ガイダンスを発声し録音する。適切に録音ができていないと判断される場合には時間設定ボタン44を押す(ステップS1)ことによって何度でも録音可能である。
【0053】
所定箇所の医療ガイダンスの録音が適切に行われたら、別の箇所の録音に移行するために録音モードボタン45の1秒以下のオン操作を繰り返す(S2)。所望する全ての録音が終わるまで録音を繰り返す。
【0054】
ステップS5(再生ボタンオン)において、スピーカ54から録音された音声が再生され、録音を確認することができる。再生ボタン56は録音前でも有効であり、その時点選択されているセルに対応した音声が再生される。
【0055】
次に、録音モードの第2例について図10〜図14を参照しながら説明する。
【0056】
この録音モードの第2例では、通常モードから録音モードに切り替えられると、図10に示すセルテーブル80をディスプレイ36に表示する。セルテーブル80は録音ガイダンスメモリ76(図7参照)を認識しやすいように2次元状のテーブル形式で表したものであり、図7に示したテーブル76のレベル識別表示(1〜7、a〜e)だけを省略している。セルテーブル80における(1,a)〜(7,e)の35個のセル対応欄にはセル番号が1×2の行列形式で表示されている。セル対応欄はボタンになっていおり、指で触れることによりいずれか1つを選択可能である。これらのボタンの選択はポインティグデバイスにより可能になる。操作部38に選択部を上下左右に移動させるカーソルキーを設けてもよい。カーソルキーも広義のポインティングデバイスである。
【0057】
ディスプレイ36の表示面積が小さい場合、又は表示するセルの数が多い場合にはセルテーブル80、80a、80bは一覧形式ではなく、ページ切り替え式によって一部を順に表示させてもよい。
【0058】
録音モードの第2例でディスプレイ36に表示するテーブルは、該ディスプレイ36の画面の大きさに応じてより簡便にしてもよく、例えば、図11に示すセルテーブル80aのように座標軸名を省略してもよいし、図12に示すセルテーブル80bのように座標軸名と各軸の区分範囲表示を省略してもよい。
【0059】
録音モードの第2例では、図13のステップS101において、各種のボタンの入力状態とディスプレイ36のタッチパネル入力状態を監視し、ディスプレイ36のタッチパネルのオン操作があった場合にはステップS102に移り、時間設定ボタン44のオン操作があった場合にはステップS103へ移り、再生ボタン56のオン操作があった場合にはステップS105へ移る。図13には表示を省略するが、録音モードボタン45の5秒以上のオン操作があった場合には通常モードに戻る。入力がないときには待機する。
【0060】
ステップS102においては、ディスプレイ36上で指が触れられた座標を認識し、該座標に対応したセルが選択されたものとして、録音対象セルの表示切り替えをする。つまり、該当するボタン部分を白/黒反転表示させる。図10〜図12のセルテーブル80、80a、80bではセル(2,b)が選択された例を示している。選択されたセルの表示は、他のセルと明確に区別できればよく、例えば二重枠表示にしてもよい。ディスプレイ36がカラー形式であるときには色を切り替えるとよい。
【0061】
このようにタッチパネル式の入力を採用することによって、録音をするセルを容易に且つ迅速に選択することができるとともに、選択されたセルは表示が変わることから確認も容易である。また、セルテーブル80aによれば、テーブル形式であって、しかも各軸の説明表示やレベル識別表示があることから録音入力者は各セルの意味を理解しやすい。
【0062】
ステップS103及びS104においては、前記ステップS3及びS4と同様に、録音を促すアナウンスを流し、この後、医療ガイダンスの録音をする。
【0063】
ステップS105においては、前記ステップS5と同様に、その時点選択されているセルに対応した音声が再生される。
【0064】
このような録音モードの第1例及び第2例では、食後情報が存在する場合に対応した第1医療ガイダンス77と、食後情報が存在しない場合に対応する第2医療ガイダンス78とをそれぞれ測定時刻と成分測定値の程度とに対応させて簡便に録音することができる。
【0065】
医療ガイダンスは(1、a)〜(7、e)の35箇所全てに録音をする必要はなく、前回録音と同じ内容でよい箇所は再録音が不要である。つまり、血糖値の大きさに応じた複数段階の区分に対して選択的に録音可能に構成されていることから変更不要な箇所については録音操作を省略できて好適である。
【0066】
エラーを示す血糖軸の第7レベルは時刻・イベント軸に関わりなく1つの医療ガイダンス(例えば、「測定エラーです。」というアナウンス)で兼ねる構成としてもよい。
【0067】
血糖計10のメーカ出荷時には、(1、a)〜(7、e)の35箇所に予め標準的な医療ガイダンスが録音されていてもよい。医療従事者がいくつかの録音をした後にも、所定操作により出荷時デフォルトの医療ガイダンスに戻すことも可能である。
【0068】
特定の医療従事者(通常は医師)以外の者が録音機能を使って、医療ガイダンスが無意味に書き換えられることがないように所定の認証機能(セキュリティ機能含む)を設けてもよい。この認証機能としては、例えば、登録された人のRFID(Radio Frequency IDentification)タグ通信、バーコード読取、パスワード入力が挙げられる。ディスプレイ36にポインティングデバイス機能が対応している場合には、該ディスプレイ36にテンキーを表示して暗証番号を入力するようにしてもよい。
【0069】
医療ガイダンスを例示する。まず第1の例として、血糖値が120で時刻が8時のときは、セル(3、b)が対応しており「コントロール良好です。」という音声が録音されている。これにより、ユーザはその時刻における血糖値が正常であって特段の対応が不要であることを容易に理解できる。
【0070】
第2の例として、血糖値が500で時刻が21時のときには、セル(5、d)が対応しており「インスリンABCを××単位打って下さい。」という音声が録音されている。これにより、ユーザは患者の血糖値が高くてインスリンが必要であることと、その種類及び必要量が容易に理解される。同じ血糖値(例えば500)であってもインスリンの種類(例えば、持続型、速効型又は中間型)及び必要量は患者の病態や時刻によって異なることがあるが、音声の医療ガイダンスによってその理解が容易である。
【0071】
第3の例として、血糖値が30で時刻が5時のときには、セル(2、a)が対応しており「ブドウ糖服用後にCDEクリニックへ連絡下さい。電話番号は01−234−5678です。」という音声が録音されている。このように、低血糖であるときには迅速な対応と医師の診断が求められることから、緊急処置としてブドウ糖を服用することが指示されるとともに、電話番号の案内により担当医に速やかな連絡が可能となる。このとき、仮に電話番号を聞き漏らしたとしても再生ボタン56を押すことにより同じ医療ガイダンスを何度でも聞き直すことができる。
【0072】
第4の例として、血糖値が200で食後ボタン42が押されたときには、そのときの時刻に関係なく第2医療ガイダンス78が優先されて、セル(4、e)が対応しており「食後です。薬剤FGHを服用して下さい。」という音声が出力される。
【0073】
血糖値が上がっている食後には食後ボタン42を押すことにより、通常時の第1医療ガイダンス77よりも第2医療ガイダンス78が優先選択され案内されるので、食後に特化した対応(例えば食後に適した薬剤服用)が理解できる。また、食後ボタン42は食後であるときにユーザが操作すればいいのであって、食事時間の制約がなく、病院外で普通の生活をしている多くの糖尿病患者にとって便利である。
【0074】
次に、このように構成される血糖計10の動作・作用について説明する。血糖計10の使用に先立って、図7に示す録音ガイダンスメモリ76の録音と時計64の調整が医療従事者によってなされている(図9及び図13参照)。以下の血糖計10の操作は基本的にユーザが自ら行うことができる。
【0075】
まず、ユーザは血糖計10の先端装着部28にケース26内のチップ12を装着する。次いで、穿刺装置によって手、指、耳等から微小の血液を流出させる。電源ボタン50を押すことによって血糖計10の電源を入れる。以下、図14に基づいて、血糖計10における本実施の形態に係る音声ガイダンス方法について説明する。この音声ガイダンス方法は制御部60の作用下に行われる。
【0076】
図14のステップS201において、スピーカ54から「電源が入りました。」と音声アナウンスを出力する。同時に発光部68c(図5参照)がパルス状に発光を開始する。
【0077】
ステップS202において、試験紙20の反射光を受光部68bで計測し、正しくチップ12が装着されていることを確認し、スピーカ54から「測定できます。チップに血液を点着させてください。」と音声アナウンスをする。ユーザはそれに従ってチップ12の点着部22(図4参照)を血液に点着させる。チップ12が正しく装着されていないと判断されるときはその旨を通知する。また、録音モードボタン45が5秒以上押されていれば前述の録音モードに移行する。点着部22に点着した血液は血液導入路24を通り試験紙20に導かれる。
【0078】
チップ12に点着された血液中のグルコースと試験紙20に含浸された試薬との反応により呈色が開始される。
【0079】
ステップS203において、食後ボタン42の状態を確認し操作されていればステップS204においてデフォルトで「0」の食後フラグを「1」にセットする。食後ボタン42が押されたとき(ステップS204)には、ボタン入力がなされたことをスピーカ54から音声又は音響出力してもよいし、ディスプレイ36に表示をしてもよい。
【0080】
ステップS205において、呈色開始から所定時間が経過したか否かを判断し、経過していなければステップS203に戻り、経過していればステップS206に進む。この血糖値の測定の間、スピーカ54から「計測中です。」という音声アナウンスや、計測中であることを示す断続ビープ音を出力してもよい。
【0081】
ステップS206において、受光部68bで受光する信号が安定したことを確認し、該受光信号に基づいて血糖値を求める。血糖値はヘマトクリット値等によって補正してもよい。
【0082】
ステップS207において、求めた血糖値をスピーカ54から音声出力する。例えば血糖値が150であれば、「血糖値は150です。」と出力する。求められた血糖値は所定の過去データ記憶部に記憶しておく。この過去データ記憶部は例えば過去150回分の血糖値を計測順に記憶する機能を有し、記憶呼出ボタン52の操作回数に応じて記憶値をディスプレイ36に表示できる。
【0083】
何らかの支障により血糖値が求められないときには録音ガイダンスメモリ76(図7参照)の血糖レベルの第7レベルの録音データに基づいて、例えば「エラーです。」と出力する。
【0084】
ステップS208において、食後フラグを参照し「0」(食後情報が存在しない場合)であればステップS209に移り、「1」(食後情報が存在する場合)であればステップS211に移る。
【0085】
ステップS209(食後フラグが「0」のとき)において、録音ガイダンスメモリ76(図7参照)における血糖軸のレベルを血糖値から求めるとともに、時計64から得られる現在時刻に基づいて時刻・イベント軸の第1医療ガイダンス77の範囲から時間範囲を求める。
【0086】
ステップS210において、血糖軸及び時刻・イベント軸の対応するレベルに基づいて録音ガイダンスメモリ76のセルを参照して録音データを読み出し、スピーカ54から音声出力を行う。例えば、血糖値が120で時刻が8時のときは、セル(3、b)が対応しており「コントロール良好です。」と出力する。
【0087】
一方、ステップS211(食後フラグが「1」のとき)において、録音ガイダンスメモリ76(図7参照)における血糖軸のレベルを血糖値から求める。
【0088】
ステップS212において、血糖軸の対応するレベルと、録音ガイダンスメモリ76の第2医療ガイダンス78(「e」列)のセルを参照して録音データを読み出し、スピーカ54から音声出力を行う。このとき、まず最初に「食後です。」と明示的に音声出力を行い、その後対応するセルの録音データを音声出力する。ステップS212では現在時刻に関わらずに第1医療ガイダンス77よりも第2医療ガイダンス78が優先選択される。
【0089】
ステップS210及びステップS212の後、ステップS213においては再生ボタン56の状態を確認し、操作がなされたときにはステップS210又はS212で出力した音声データを再生して終了する(ステップS214)一方、操作が所定時間なされなかったときにも終了する。
【0090】
この後、ユーザは電源ボタン50を押して血糖計10の電源を切り、チップ12はイジェクトレバー30を操作して取り外して処分する。先端装着部28はキャップ46で覆っておく。
【0091】
上述したように、本実施の形態に係る血糖計10及び音声ガイダンス方法によれば、医療ガイダンスを音声として録音するマイク58、録音ガイダンスメモリ76及び録音音声を再生するスピーカ54とを備えていることにより、患者や病状に合わせて個別の医療ガイダンスを録音設定することができる。録音操作は、他の入力補助機器等が不要で、血糖計10の単体で簡便に行うことができる一方、医師等の入力者以外が不用意に書き換えることが防止されている。
【0092】
また、測定した血糖値に基づいた対応する医療ガイダンスを音声として出力することにより、ユーザは正常か異常かの判断ができ、異常である場合にはその程度や対処方法を容易に理解することができる。
【0093】
糖尿病患者は合併症によって弱視や失明している場合や、また合併症がなくとも高齢によって視力が低下している場合があってディスプレイ36に表示される血糖値を読みづらいこともあり、さらに、合併症により手指が不自由となり血糖計を安定して把持できずに血糖値を読みづらいこともあるが、血糖計10では、音声で読み上げるので、血糖値を確実に認識できる。
【0094】
さらにまた、血糖計10を使い始めて間もないユーザや、高齢で判断力が低下しているユーザであってもその血糖値が正常なのか異常なのか、異常である場合にはその程度や対処方法を容易に理解することができる。
【0095】
血糖計10の説明書などを参照しなくても、音声出力によって対処方法が伝えられることから、説明書を読みづらいユーザにも安心感が得られる。さらには、通常操作時においては血糖計10と説明書とをいっしょに保管しておく必要もなく管理上便利である。
【0096】
また、記憶部66の録音ガイダンスメモリ76は、血糖軸と時刻・イベント軸とに対応して区分されていることから、一日のうちでも時刻によって変動する血糖値に対応して一層正確な対処方法を提供することができる。
【0097】
さらに、食後の所定時間内に測定をするときにユーザが操作する食後ボタン42を備えているとともに、記憶部66の録音ガイダンスメモリ76は、時刻・イベント軸が食後ボタン42の操作無しの第1医療ガイダンス77と、操作有りの第2医療ガイダンス78とに対応して区分されている。これにより、食後に上昇する血糖値に対応して一層正確な対処方法を提供することができる。
【0098】
さらに、食後ボタン42の操作によって血糖計10に対して食後の測定であることをいつでも指示可能であって、食事時間が制約されることがない。
【0099】
食後ボタン42の操作確認(ステップS203)のタイミングは、図14に示す例ではステップS203〜S205の血糖計測期間中に行うものとして説明したが、これに限定されない。例えば、血糖測定が終わり一旦ステップS209及びS210で第1医療ガイダンス77に基づく音声ガイダンスがなされた後、ステップS213の再生ボタン55の操作確認と同時に食後ボタン42の操作確認を行ってもよい。この場合、ステップS213で食後ボタン42の操作が確認されたときにステップS211に移るとよい。これにより、血糖測定時に食後ボタン42の操作を失念してしまっても、測定終了後に食後ボタン42を押せば改めて食後に対応した第2医療ガイダンス78に基づく音声ガイダンスを聞くことができる。
【0100】
血糖計10は医療ガイダンスを音声として録音するマイク58及び録音ガイダンスメモリ76を備えていていることにより、患者ごとの病態や指導方針に応じて個別の医療ガイダンスを設定することができる。
【0101】
なお、前記実施例では、体液として血液を挙げて説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、リンパ液、髄液、唾液等であってもよい。更に、体液(血液)中の測定目的とする成分として、ブドウ糖(血糖値)を挙げて説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、コレステロール、尿酸、クレアチニン、乳酸、ヘモグロビン(潜血)、各種アルコール類、各種糖類、各種タンパク質、各種ビタミン類、ナトリウム等の各種無機イオン、PCBやダイオキシン等の環境ホルモンであってもよい。更にまた、前記実施例では、所定成分の量を測定するものとして説明したが、所定成分の性質を測定するものであってもよく、また、所定成分の量及び性質の双方を測定するものであってもよい。
【0102】
本実施の形態では、体液中の所定成分を測定する成分測定装置を例示したが、本発明はこれに限らず、例えば、体液成分以外のバイタルサインを測定する医療機器にも適用可能である。バイタルサインとしては心拍数・呼吸(数)・血圧・体温、血流量、酸素飽和度、心電等を含む。また、ここでいう医療機器とはいわゆるパーソナルユース品に限らず、例えば臨床医療器を含むことはもちろんである。
【0103】
本発明に係る成分測定装置、医療機器及び音声ガイダンス方法は、上述の実施の形態に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成乃至工程を採り得ることはもちろんである。
【符号の説明】
【0104】
10…血糖計(成分測定装置、医療機器) 12…チップ
36…ディスプレイ(表示部) 38…操作部
42…食後ボタン(食後入力部) 44…時間設定ボタン
45…録音モードボタン 54…スピーカ
58…マイク(録音部) 60…制御部
64…時計 66…記憶部
68…成分測定部(測定部) 74…固定ガイダンスメモリ
76…録音ガイダンスメモリ(録音部) 77…第1医療ガイダンス
78…第2医療ガイダンス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
体液中の所定成分を測定する測定部と、
前記測定部による成分測定値の程度に応じて複数段階に区分された医療ガイダンスを記憶する記憶部と、
前記医療ガイダンスを音声形式で出力する音声出力部と、
前記医療ガイダンスを音声として録音する録音部と、
前記測定部、前記記憶部、音声出力部及び前記録音部に接続される制御部と、
を備え、
前記記憶部は、前記録音部で録音された音声を前記医療ガイダンスとして記憶し、
前記制御部は、前記成分測定値に基づいて、前記記憶部から対応する医療ガイダンスを読み出し、読み出した医療ガイダンスを前記音声出力部を通じて出力することを特徴とする成分測定装置。
【請求項2】
請求項1記載の成分測定装置において、
前記記憶部の前記医療ガイダンスは、前記成分測定値と時刻に応じて設定された複数段階の区分に対して選択的に録音可能に構成され、
前記制御部は、時計機能から得られる時刻に基づいて対応する医療ガイダンスを読み出し、読み出した医療ガイダンスを前記音声出力部を通じて出力することを特徴とする成分測定装置。
【請求項3】
請求項1または2記載の成分測定装置において、
前記体液中の所定成分は血液の血糖であり、
食後の所定時間内に測定をするときに血糖値に食後情報をひも付けるためにユーザが操作する食後入力部を備え、
前記記憶部の前記医療ガイダンスは、前記血糖値と前記食後情報の有無とに対応して区分され、
前記制御部は、さらに前記食後情報の有無に基づいて対応する医療ガイダンスを読み出し、読み出した医療ガイダンスを前記音声出力部を通じて出力することを特徴とする成分測定装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の成分測定装置において、
前記医療ガイダンスは、前記成分測定値の程度に応じて設定された複数段階の区分に対して選択的に録音可能に構成され、
前記制御部は、前記測定部で測定された前記成分測定値の程度に基づいて対応する医療ガイダンスを読み出し、読み出した医療ガイダンスを前記音声出力部を通じて出力することを特徴とする成分測定装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の成分測定装置において、
前記測定部による成分測定値を表示するとともに、ポインティングデバイスに対応した表示部を備え、
該表示部は、前記録音部による録音を行う際に前記複数段階を区分け表示し、
前記録音部は、前記ポインティングデバイスで選択された区分について前記医療ガイダンスを音声として録音することを特徴とする成分測定装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の成分測定装置において、
前記録音部による録音機能は認証機能によって認証がなされた場合に有効になることを特徴とする成分測定装置。
【請求項7】
人体のバイタルサインを測定する測定部と、
前記測定部による成分測定値の程度に応じて複数段階に区分された医療ガイダンスを記憶する記憶部と、
前記医療ガイダンスを音声形式で出力する音声出力部と、
前記医療ガイダンスを音声として録音する録音部と、
前記測定部、前記記憶部、音声出力部及び前記録音部に接続される制御部と、
を備え、
前記記憶部は、前記録音部で録音された音声を前記医療ガイダンスとして記憶し、
前記制御部は、前記成分測定値に基づいて、前記記憶部から対応する医療ガイダンスを読み出し、読み出した医療ガイダンスを前記音声出力部を通じて出力することを特徴とする医療機器。
【請求項8】
食後情報が存在する場合に対応した第1医療ガイダンスと、前記食後情報が存在しない場合に対応する第2医療ガイダンスとをそれぞれ測定時刻と成分測定値の程度とに対応させて録音する過程と、
測定した成分測定値を音声で出力する過程と、
前記食後情報が存在しない場合には、前記成分測定値と現在時刻とに基づいて、録音された前記第1医療ガイダンスを音声で出力する一方、前記食後情報が存在する場合には、前記成分測定値と前記食後情報とに基づいて、録音された前記第2医療ガイダンスを音声で出力する過程と、
を備えることを特徴とする成分測定装置における音声ガイダンス方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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