説明

成形体

【課題】高分子型帯電防止剤の含有量が少量であっても帯電防止性能に優れ、かつ引張破断伸びが大きい成形体を提供する。
【解決手段】 オレフィン樹脂(A)70〜90質量%と、アクリル樹脂(B)5〜15質量%と、ポリオレフィンのブロックと親水性ポリマーのブロックが繰り返し交互に結合した構造を含む共重合体である高分子型帯電防止剤(C)5〜15質量%とを含む樹脂組成物(ただし、オレフィン樹脂(A)とアクリル樹脂(B)と高分子型帯電防止剤(C)の合計量を100質量%とする)からなる成形体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、帯電防止性能に優れ、かつ引張破断伸びが大きい成形体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、IC、トランジスタ、コンデンサー等の電子部品は、汚染から保護するために、蓋を有する容器に収納されて、保管や搬送される。そして、電子部品が収納される容器やその蓋には帯電防止剤を含む樹脂組成物からなる成形体が用いられている。
【0003】
例えば、特許文献1には、エチレン・不飽和エステル共重合体100質量部に対し、粘着付与樹脂を5質量部〜40質量部、高分子型帯電防止剤を5質量部〜30質量部含む熱可塑性樹脂物から形成される層を含む易剥離性フィルムが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−234049
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の易剥離性フィルムにおいて、帯電防止剤の含有量を少なくしても、充分な帯電防止性能を有し、かつ、フィルムの取り扱いを容易にするために、充分な引張破断伸びを有する、ということについては、さらなる改良が望まれていた。
以上の課題に鑑み、本発明では高分子型帯電防止剤の含有量が少量であっても帯電防止性能に優れ、かつ引張破断伸びが大きい成形体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、本発明を完成させるに至った。
即ち、本発明は、オレフィン樹脂(A)70〜90質量%と、アクリル樹脂(B)5〜15質量%と、ポリオレフィンのブロックと親水性ポリマーのブロックが繰り返し交互に結合した構造を含む共重合体である高分子型帯電防止剤(C)5〜15質量%とを含む樹脂組成物(ただし、オレフィン樹脂(A)とアクリル樹脂(B)と高分子型帯電防止剤(C)の合計量を100質量%とする)からなる成形体を提供するものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、高分子型帯電防止剤の含有量が少量であっても帯電防止性能に優れ、かつ引張破断伸びが大きい成形体を提供することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明に係る成形体は、オレフィン樹脂(A)70〜90質量%と、アクリル樹脂(B)5〜15質量%と、ポリオレフィンのブロックと親水性ポリマーのブロックが繰り返し交互に結合した構造を含む共重合体である高分子型帯電防止剤(C)5〜15質量%とを含む樹脂組成物(ただし、オレフィン樹脂(A)とアクリル樹脂(B)と高分子型帯電防止剤(C)の合計量を100質量%とする)からなる成形体である。
【0009】
<オレフィン樹脂(A)>
本発明に用いられるオレフィン樹脂(A)は、オレフィンの単独重合体または共重合体であり、例えば、エチレンの単独重合体または共重合体(エチレン樹脂と称する)、プロピレンの単独重合体または共重合体(プロピレン樹脂と称する)等が挙げられる。エチレン樹脂としては、例えば、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、エチレン−α−オレフィン共重合体、エチレン−不飽和エステル共重合体等が挙げられる。プロピレン樹脂としては、例えば、プロピレン単独重合体、プロピレン−エチレン共重合体、プロピレン−α−オレフィン共重合体、プロピレン−エチレン−α−オレフィン三元共重合体等が挙げられる。プロピレン−エチレン共重合体としては、プロピレン−エチレン−ランダム共重合体、プロピレン−エチレン−ブロック共重合体等が挙げられる。
【0010】
エチレンおよび/またはプロピレンと共重合されるα―オレフィンとしては、炭素原子数4〜12のα−オレフィンが挙げられ、例えば、1−ブテン、2−メチル−1−プロペン、1−ペンテン、2−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、1−ヘキセン、2−エチル−1−ブテン、2,3−ジメチル−1−ブテン、2−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、3,3−ジメチル−1−ブテン、1−ヘプテン、メチル−1−ヘキセン、ジメチル−1−ペンテン、エチル−1−ペンテン、トリメチル−1−ブテン、メチルエチル−1−ブテン、1−オクテン、メチル−1−ペンテン、エチル−1−ヘキセン、ジメチル−1−ヘキセン、プロピル−1−ヘプテン、メチルエチル−1−ヘプテン、トリメチル−1−ペンテン、プロピル−1−ペンテン、ジエチル−1−ブテン、1−ノネン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセン等が挙げられる。このうち、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテンが好ましく、共重合特性、経済性等の観点から、1−ブテン、1−ヘキセンがより好ましい。
【0011】
エチレンと共重合される不飽和エステルとしては、ビニルエステル化合物や、不飽和カルボン酸エステル化合物等が挙げられる。
ビニルエステル化合物としては、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等が挙げられる。
不飽和カルボン酸エステル化合物としては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸t−ブチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸イソブチル、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル等が挙げられる。
このうち、エチレンと共重合される不飽和エステルとしては、不飽和カルボン酸エステル化合物であることが好ましく、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチルからなる群から選ばれる不飽和カルボン酸エステル化合物であることが特に好ましい。これらは単独で又は2種以上を組み合わせて用いることが可能である。
【0012】
オレフィン樹脂(A)としてエチレン−α−オレフィン共重合体を用いる場合、当該共重合体中のα−オレフィンに由来する構成単位の含有量は、通常0.1〜30質量%であり、好ましくは1〜20質量%である。なお、エチレン−α−オレフィン共重合体中のα−オレフィンに由来する構成単位の含有量とは、当該共重合体の質量を100%としたときに、α−オレフィンに由来する構成単位の質量の割合をいう。
【0013】
オレフィン樹脂(A)としてエチレン−不飽和エステル共重合体を用いる場合、当該共重合体中の不飽和エステル化合物に由来する構成単位の含有量は3質量%〜40質量%、好ましくは5質量%〜35質量%である。
なお、エチレン−不飽和エステル共重合体中の不飽和エステル化合物に由来する構成単位の含有量とは、当該共重合体の質量を100%としたときに、不飽和エステル化合物に由来する構成単位の質量の割合をいう。
【0014】
不飽和エステル化合物に由来する構成単位の含有量は、エチレン−不飽和エステル共重合体のプレスシートを用い、赤外線吸収スペクトル分析法により行われる。例えば、不飽和エステルが酢酸ビニルの場合、エチレン−酢酸ビニル共重合体中の酢酸ビニル単位の含有率はJIS K7192に従い測定することができる。
赤外線吸収スペクトルの特性吸収としては、不飽和エステル化合物に帰属されるピークを用い、吸光度をプレスシート厚みで補正して、不飽和エステル化合物に由来する構成単位の含有量を求める。例えば、不飽和エステル化合物が、メタクリル酸メチルの場合、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体のメタクリル酸メチル単位の含有量は、厚み0.3mmのプレスシートを作成し、赤外分光装置を用いて、赤外線吸収スペクトル分析法により測定することができる。この場合、赤外線吸収スペクトルの特性吸収としては、メタクリル酸メチルに帰属される3448cm−1のピークを用い、下記式に従い、吸光度を厚みで補正して、コモノマー含量を求める。
MMA=4.1×log(I0/I)/t−5.3
〔式中、MMAはメタクリル酸メチル単位の含有量(質量%)、Iは周波数3448cm−1での透過光強度、I0は周波数3448cm−1での入射光強度、tは測定試料シートの厚み(cm)を表わす。〕
【0015】
オレフィン樹脂(A)としてプロピレン−エチレン共重合体を用いる場合、当該共重合体中のエチレンに由来する構成単位の含有量は、通常0.1〜20質量%であり、好ましくは0.5〜10質量%である。
プロピレン−α−オレフィン共重合体を用いる場合、当該共重合体中のα−オレフィンに由来する構成単位の含有量は、通常0.1〜40質量%であり、好ましくは1〜30質量%である。
プロピレン−エチレン−α−オレフィン三元共重合体を用いる場合、当該共重合体中のエチレンに由来する構成単位の含有量は、通常0.1〜20質量%であり、好ましくは0.5〜10質量%であり、α−オレフィンに由来する構成単位の含有量は、通常0.1〜40質量%であり、好ましくは1〜30質量%である。
【0016】
本発明で用いられるオレフィン樹脂(A)の製造方法としては、例えば、チーグラー・ナッタ系触媒、メタロセン系錯体や非メタロセン系錯体等の錯体系触媒を用いて、オレフィンをスラリー重合法、溶液重合法、塊状重合法、気相重合法等で重合する方法や、ラジカル開始剤を用いてオレフィンを高圧ラジカル重合法、塊状重合法、溶液重合法等で重合する方法等が挙げられる。
【0017】
オレフィン樹脂(A)のメルトフローメート(MFR)は、通常0.1〜200g/10分であり、成型加工性の観点から好ましくは0.5〜150g/10分である。なお、該MFRは、JIS K7210に従い、エチレン樹脂の場合は温度190℃、荷重21.2N、プロピレン樹脂の場合は温度230℃、荷重21.2Nで測定される。
【0018】
<アクリル樹脂(B)>
本発明に用いられるアクリル樹脂(B)とは、α,β不飽和カルボン酸アルキルエステルの単独重合体もしくは共重合体が挙げられる。
【0019】
α,β不飽和カルボン酸アルキルエステルとしては、アクリル酸アルキルエステル、メタクリル酸アルキルエステル等が挙げられる。
アクリル酸アルキルエステルの具体的な例としては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸t−ブチル等が挙げられる。
メタクリル酸アルキルエステルの具体的な例としては、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸オクチル等が挙げられる。
【0020】
α,β不飽和カルボン酸アルキルエステルの単独重合体の具体例としては、アクリル酸メチル単独重合体、アクリル酸エチル単独重合体、アクリル酸n−プロピル単独重合体、アクリル酸イソプロピル単独重合体、アクリル酸n−ブチル単独重合体、アクリル酸t−ブチル単独重合体、アクリル酸イソブチル単独重合体、メタクリル酸メチル単独重合体、メタクリル酸エチル単独重合体、メタクリル酸n−プロピル単独重合体、メタクリル酸イソプロピル単独重合体、メタクリル酸n−ブチル単独重合体、メタクリル酸イソブチル単独重合体、メタクリル酸t−ブチル単独重合体等をあげることができる。これらのうちでも、アクリル酸メチル単独重合体、アクリル酸エチル単独重合体、メタクリル酸メチル単独重合体、メタクリル酸エチル単独重合体が好ましい。
また、α,β不飽和カルボン酸アルキルエステルの共重合体の例としては、前記α,β不飽和カルボン酸アルキルエステルからなる群から選ばれる2種類以上のα,β不飽和カルボン酸アルキルエステルを共重合してなる重合体等が挙げられ、
好ましくは、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチルからなる群から選ばれる2種類以上の単量体を共重合してなる重合体である。
【0021】
アクリル樹脂(B)は、塊状重合、懸濁重合、乳化重合、溶液重合等の重合法によるラジカル重合やイオン重合等により製造することができる。
【0022】
アクリル樹脂(B)のメルトフローメート(MFR)は、通常0.5〜150g/10分であり、成形加工性、分散性の観点から好ましくは1〜100g/10分である。なお、該MFRは、JIS K7210に従い、温度230℃、荷重37.3Nで測定される。
【0023】
<高分子型帯電防止剤(C)>
本発明に用いられる高分子型帯電防止剤(C)は、ポリオレフィンのブロックと、親水性ポリマーのブロックが、繰り返し交互に結合した構造を含む共重合体である。このような構造を含む高分子帯電防止剤としては、例えば特開2001−278985に記載される共重合体が挙げられる。
【0024】
高分子型帯電防止剤(C)のメルトフローメート(MFR)は、通常0.5〜150g/10分であり、成型加工性、分散性の観点から好ましくは1〜100g/10分である。なお、該MFRは、JIS K7210に従い、温度190℃、荷重21.2Nで測定される。
【0025】
本発明における成形体は、オレフィン樹脂(A)とアクリル樹脂(B)と高分子型帯電防止剤(C)の合計量を100質量%としたときに、オレフィン樹脂(A)70〜90質量%、アクリル樹脂(B)5〜15質量%、高分子型帯電防止剤(C)5〜15質量%を含む樹脂組成物からなる成形体である。
オレフィン樹脂(A)が70質量%以上であると成形体の機械的強度が高く、90質量%以下であると帯電防止性能に優れ、同様の観点から、オレフィン樹脂(A)は80質量%以上であることが好ましい。
アクリル樹脂(B)が5質量%以上であると帯電防止性能に優れ、15質量%以下であると成形体の機械的強度が高く、同様の観点から、アクリル樹脂(B)は10質量%以下であることが好ましい。
また、高分子型帯電防止剤(C)が5質量%以上であると帯電防止性能に優れ、15質量%以下であると成形体の機械的強度が高く、同様の観点から、高分子型帯電防止剤(C)は10質量%以下であることが好ましく、より好ましくは8質量%以下である。
【0026】
なお、本発明に係る成形体に用いられる樹脂組成物は、必要に応じてオレフィン樹脂(A)やアクリル樹脂(B)以外の熱可塑性樹脂や添加剤を含んでいてもよい。オレフィン樹脂(A)やアクリル樹脂(B)以外の熱可塑性樹脂としては、例えばスチレン系樹脂、エステル系樹脂、環状オレフィン系樹脂、ワックス等が挙げられる。添加剤としては、相溶化剤、酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、抗菌剤、防曇剤、抗ブロッキング剤、滑剤等が挙げられる。
【0027】
本発明の成形体は、前記樹脂組成物のみからなる成形体であってもよいし、前記樹脂組成物からなる層と、オレフィン樹脂や前記樹脂組成物以外の樹脂からなる層とを含む多層成形体であってもよい。多層成形体の場合、帯電防止性能が求められる面の表層が本発明の樹脂組成物からなる層であることが、多層成形体の帯電防止性能が優れるという観点で好ましい。
【0028】
本発明における成形体の製造方法としては、例えば射出成形法、押出成形法、ブロー成形法、紡糸成形法等が挙げられる。
【0029】
本発明の成形体は、フィルムであってもよい。
本発明の成形体がフィルムである場合、押出成形法により製造することができる。押出成形法としては、例えばTダイキャスト成形法やインフレーション成形法等が挙げられる。
前記フィルムは本発明の樹脂組成物からなる単層のフィルムでもよく、本発明の成形体(本発明の樹脂組成物からなる層)が少なくとも一方の表層にあれば、その他の層を含む多層フィルムであってもよい。多層フィルムである場合には、共押出Tダイキャスト成形法や、共押出インフレーション成形法等によって本発明の成形体(本発明の樹脂組成物からなる層)を含む多層フィルムを製造することができる。
【0030】
前記単層フィルム、または多層フィルムは本発明の成形体(本発明の樹脂組成物からなる層)がシール層である易剥離性フィルムであってもよい。本発明のフィルムが易剥離性フィルムである場合、電子部品等の蓋として好適に用いることができる。
易剥離性フィルムのシール層(本発明の樹脂組成物からなる層)の厚みは3μm〜150μmであることが好ましく、5μm〜100μmであることがより好ましい。
本発明の易剥離性フィルムは、本発明の樹脂組成物からなるシール層が環状オレフィン系樹脂を含んでいると、抗ブロッキング性が高く、好ましい。環状オレフィン系樹脂としては、環状オレフィンの開環重合体や、エチレン、プロピレン、炭素原子数4以上のα−オレフィンからなる群から選ばれる単量体と環状オレフィンとの共重合体等が挙げられる。ガラス転移温度が120℃以下である環状オレフィン系樹脂を用いることが好ましい。本発明の樹脂組成物からなるシール層中の環状オレフィン系樹脂の量は、(A)と(B)と(C)の合計を100質量部としたときに、3質量部以上、20質量部以下であることが好ましい。
【0031】
本発明によれば、高分子型帯電防止剤の含有量が少量であっても帯電防止性能に優れ、かつ引張破断伸びが大きい成形体を提供することが可能であり、特に電子部品等の収納容器や蓋に好適に用いることができる。
【実施例】
【0032】
以下、本発明を実施例に基づき説明するが、本発明はこれら実施例に何ら限定されるものではない。
【0033】
[実施例1]
オレフィン樹脂(A)として、エチレン・メタクリル酸メチル共重合体(住友化学(株)製 商品名アクリフト:WH303、メタクリル酸メチル由来の構成単位の含有量18質量%、メルトフローレート(190℃、21.2N)=7g/10分)85.6質量%、アクリル樹脂(B)として(住友化学(株)製 商品名スミペックス:LG35、メルトフローレート(230℃、37.3N)=35g/10分)7.2質量%、高分子型帯電防止剤(C)として、商品名ペレスタット230(三洋化成工業製)7.2質量%を用いた(ただし、前記(A)と(B)と(C)の合計量を100質量%とする)。さらに、前記(A)と(B)と(C)の合計量を100質量部としたときに、酸化防止剤マスターバッチ(住友化学(株)製、CMB−719)3.1質量部を用いた。
【0034】
3種3層共押出インフレーション加工機(押出機A:50mmφ、押出機B:50mmφ、押出機C:50mmφ、層構成=押出機A/押出機B/押出機C)を用い、押出機Aに前記オレフィン樹脂(A)とアクリル樹脂(B)と高分子型帯電防止剤(C)と酸化防止剤マスターバッチからなる樹脂組成物を、押出機Bに直鎖状低密度ポリエチレン(住友化学(株)製、商品名:スミカセンE FV202、密度=925kg/m、メルトフローレート(190℃、21.2N)=1.9g/10分)を、押出機Cに直鎖状低密度ポリエチレンFV202を27質量%、低密度ポリエチレン(住友化学(株)製、商品名:スミカセン G201、密度=919kg/m、メルトフローレート(190℃、21.2N)=2g/10分)66質量%、抗ブロッキング剤マスターバッチ(住友化学(株)製、EMB−21)3.5質量%、滑剤マスターバッチ(住友化学(株)製、A26)3.5質量%からなる熱可塑性樹脂組成物をそれぞれ入れ、押出温度:押出機A/押出機B/押出機C/ダイス=200/170/170/170℃で成形し、積層フィルムを得た。オレフィン樹脂(A)とアクリル樹脂(B)と高分子型帯電防止剤(C)と酸化防止剤マスターバッチからなる樹脂組成物からなる層がシール層であり、直鎖状低密度ポリエチレン(FV202)からなる層が隣接層であり、直鎖状低密度ポリエチレン(FV202)と低密度ポリエチレン(G201)と抗ブロッキング剤マスターバッチと滑剤マスターバッチからなる層が支持層である。得られた積層フィルムのシール層の厚みは14μm、隣接層の厚みは10μm、支持層の厚みは9μm、全体厚みは33μmであった。
【0035】
[実施例2]
オレフィン樹脂(A)として、エチレン・メタクリル酸メチル共重合体(住友化学(株)製 商品名アクリフト:WH303、メタクリル酸メチル由来の構成単位の含有量18質量%、メルトフローレート(190℃、21.2N)=7g/10分)87.6質量%、アクリル樹脂(B)として(住友化学(株)製 商品名スミペックス:LG35、メルトフローレート(230℃、37.3N)=35g/10分)7.2質量%、高分子型帯電防止剤(C)として、商品名ペレスタット230(三洋化成工業製)5.2質量%を用いた(ただし、前記(A)と(B)と(C)の合計量を100質量%とする)。さらに、前記(A)と(B)と(C)の合計量を100質量部としたときに、酸化防止剤マスターバッチ(住友化学(株)製、CMB−719)3.1質量部を用いた以外は、実施例1と同様にして積層フィルムを得た。
【0036】
[実施例3]
オレフィン樹脂(A)として、低密度ポリエチレン(住友化学(株)製 商品名スミカセン:F208−3、密度=924kg/m、メルトフローレート(190℃、21.2N)=1g/10分)85.6質量%、アクリル樹脂(B)として(住友化学(株)製 商品名スミペックス:LG35、メルトフローレート(230℃、37.3N)=35g/10分)7.2質量%、高分子型帯電防止剤(C)として、商品名ペレスタット230(三洋化成工業製、融点160℃)7.2質量%を用いた(ただし、前記(A)と(B)と(C)の合計量を100質量%とする)。さらに、前記(A)と(B)と(C)の合計量を100質量部としたときに、酸化防止剤マスターバッチ(住友化学(株)製、CMB−735)3.1質量部を用いた以外は、実施例1と同様にして積層フィルムを得た。
【0037】
[比較例1]
オレフィン樹脂(A)として、エチレン・メタクリル酸メチル共重合体(住友化学(株)製 商品名アクリフト:WH303、メタクリル酸メチル由来の構成単位の含有量18質量%、メルトフローレート(190℃、21.2N)=7g/10分)92.8質量%、高分子型帯電防止剤(C)として、商品名ペレスタット230(三洋化成工業製、融点160℃)7.2質量%を用いた(ただし、前記(A)と(C)の合計量を100質量%とする)。さらに、前記(A)と(C)の合計量を100質量部としたときに、酸化防止剤マスターバッチ(住友化学(株)製、CMB−719)3.1質量部を用いた以外は、実施例1と同様にして積層フィルムを得た。
【0038】
[比較例2]
オレフィン樹脂(A)として、エチレン・メタクリル酸メチル共重合体(住友化学(株)製 商品名アクリフト:WH303、メタクリル酸メチル由来の構成単位の含有量18質量%、メルトフローレート(190℃、21.2N)=7g/10分)91.8質量%、アクリル樹脂(B)として(住友化学(株)製 商品名スミペックス:LG35、メルトフローレート(230℃、37.3N)=35g/10分)4.1質量%、高分子型帯電防止剤(C)として、商品名ペレスタット230(三洋化成工業製、融点160℃)4.1質量%を用いた(ただし、前記(A)と(B)と(C)の合計量を100質量%とする)。さらに、前記(A)と(B)と(C)の合計量を100質量部としたときに、酸化防止剤マスターバッチ(住友化学(株)製、CMB−719)3.1質量部を用いた以外は、実施例1と同様にして積層フィルムを得た。
【0039】
[比較例3]
オレフィン樹脂(A)として、エチレン・メタクリル酸メチル共重合体(住友化学(株)製 商品名アクリフト:WH303、メタクリル酸メチル由来の構成単位の含有量18質量%、メルトフローレート(190℃、21.2N)=7g/10分)65.0質量%、アクリル樹脂(B)として(住友化学(株)製 商品名スミペックス:LG35、メルトフローレート(230℃、37.3N)=35g/10分)17.5質量%、高分子型帯電防止剤(C)として、商品名ペレスタット230(三洋化成工業製、融点160℃)17.5質量%を用いた(ただし、前記(A)と(B)と(C)の合計量を100質量%とする)。さらに、前記(A)と(B)と(C)の合計量を100質量部としたときに、酸化防止剤マスターバッチ(住友化学(株)製、CMB−719)3.1質量部を用いた以外は、実施例1と同様にして積層フィルムを得た。
【0040】
[比較例4]
オレフィン樹脂(A)として、エチレン・メタクリル酸メチル共重合体(住友化学(株)製 商品名アクリフト:WH303、メタクリル酸メチル由来の構成単位の含有量18質量%、メルトフローレート(190℃、21.2N)=7g/10分)85.6質量%、アクリル樹脂(B)に代え耐衝撃性ポリスチレン(東洋スチレン製 商品名トーヨースチロールHI:H650)7.2質量%、高分子型帯電防止剤(C)として、商品名ペレスタット230(三洋化成工業製、融点160℃)7.2質量%を用いた(ただし、前記(A)と耐衝撃性ポリスチレンと(C)の合計量を100質量%とする)。さらに、前記(A)と耐衝撃性ポリスチレンと(C)の合計量を100質量部としたときに、酸化防止剤マスターバッチ(住友化学(株)製、CMB−719)3.1質量部を用いた以外は、実施例1と同様にして積層フィルムを得た。
【0041】
[比較例5]
オレフィン樹脂(A)として、低密度ポリエチレン(住友化学(株)製 商品名スミカセン:F208−3、密度=924kg/m、メルトフローレート(190℃、21.2N)=1g/10分)92.8質量%、高分子型帯電防止剤(C)として、商品名ペレスタット230(三洋化成工業製、融点160℃)7.2質量%を用いた(ただし、前記(A)と(C)の合計量を100質量%とする)。さらに、前記(A)と(C)の合計量を100質量部としたときに、酸化防止剤マスターバッチ(住友化学(株)製、CMB−735)3.1質量部を用いた以外は、実施例1と同様にして積層フィルムを得た。
【0042】
実施例1〜3及び比較例1〜5で得られた積層フィルムを、下記の方法により評価した。結果を表1、表2に示した。
(1)帯電防止性能
得られた積層体の表面固有抵抗率(Ω/□)を試験方法JIS K6271に準じ、超絶縁計(HIOKI社製,SM−8220)、平板試料用電圧(HIOKI社製、SME−8310)を用い、印加電圧が直流500Vで1分間印可、試験環境は、温度23℃、湿度50RH%、で測定した。表面固有抵抗率が1.0×1012(Ω/□)未満であれば帯電防止性能が良好であると判断した。
(2)引張破断伸び
得られた積層体のMD方向の引張破断伸びを試験方法JIS K7127に準じ、島津製作所製オートグラフAGS500D型引張試験機を用いて、23℃雰囲気下、引張速度200mm/mで測定した。試験片はJIS Z1702に記載の型を用いた。標線間距離は40mm、チャック間距離は80mmとした。
【0043】
【表1】

【0044】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
オレフィン樹脂(A)70〜90質量%と、アクリル樹脂(B)5〜15質量%と、ポリオレフィンのブロックと親水性ポリマーのブロックが繰り返し交互に結合した構造を含む共重合体である高分子型帯電防止剤(C)5〜15質量%とを含む樹脂組成物(ただし、オレフィン樹脂(A)とアクリル樹脂(B)と高分子型帯電防止剤(C)の合計量を100質量%とする)からなる成形体。
【請求項2】
前記成形体がフィルムである請求項1に記載の成形体。
【請求項3】
前記成形体が易剥離性フィルムである請求項1または2に記載の成形体。
【請求項4】
請求項3に記載の易剥離性フィルムを含む電子部品用蓋。

【公開番号】特開2012−92215(P2012−92215A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−240390(P2010−240390)
【出願日】平成22年10月27日(2010.10.27)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】