説明

成形同時加飾成形品とその製造方法

【課題】 紙による美麗な加飾が可能な成形同時加飾成形品とその製造方法を提供する。
【解決手段】 引張破断伸び(JIS P 8113:1998準拠)が流れ方向及び幅方向に共に10%以上を有する易成形用紙1の一方の面に接着層3を形成し、易成形用紙1を金型4に挟み込み、次いで型締めして射出成形樹脂6を金型のキャビティ5内に充填し、次いで射出成形樹脂6の固化後に型開きして前記易成形用紙1が表面に一体成形された樹脂成形品を得るように構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は成形同時加飾成形品とその製造方法に関し、特に紙による美麗な加飾が可能な成形同時加飾成形品とその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、成形同時加飾成形品として、インサート成形法がある。インサート成形法は、あらかじめ図柄等を形成したインサートシートを射出成形用金型のキャビティ面に配置し、射出成形樹脂を金型内に充填し樹脂成形品の形成と同時にその表面にインサートシートを一体化することによって成形品表面に加飾を行う方法である。インサートシートとしては、プラスチックシートを用いるのが通常であり、一体感に優れた美麗に加飾された樹脂成形品を容易に得ることができる。
【0003】
上記のインサート成形法において、インサートシートとして紙をベースにしたものを用いることにより、樹脂成形品の表面を紙が有する独特の手触りを表現したり、再利用時や廃棄時の環境に配慮することが提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平6−270198号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のような従来の構成の紙からなるインサートシートでは、美麗な加飾を行うのが困難であるという課題があった。
【0006】
すなわち、紙からなるインサートシートは、立体形状となる樹脂成形品の表面形状に追従させることが困難であるため、インサートシートに皺や破れを生じさせることなくインサート成形を行うことは極めて困難であった。
【0007】
また、射出成形樹脂として生分解性樹脂を用いるなどして環境に配慮しようとしても、立体形状への追随性がかけるためインサートシートとして紙を使うのが困難であり、従来のプラスチックシートからなるインサートシートを利用することになる。よって、プラスチックシートとして生分解性のものを使用しなければならないという制約があり、材料選択の範囲が狭くなるという問題があった。
【0008】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、紙による美麗な加飾が可能な成形同時加飾成形品とその製造方法を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するために、第1の発明は、引張破断伸び(JIS P 8113:1998準拠)が流れ方向及び幅方向に共に10%以上を有する易成形用紙の一方の面に接着層を形成し、易成形用紙を金型に挟み込み、次いで型締めして射出成形樹脂を金型のキャビティ内に充填し、次いで射出成形樹脂の固化後に型開きして前記易成形用紙が表面に一体成形された樹脂成形品を得る成形同時加飾成形品の製造方法である。
【0010】
このように構成すると、金型内で易成形用紙がキャビティ面にきちんと沿う。
【0011】
なお、第1の発明の構成においては、易成形用紙を、微細な皺を一面に形成し見かけ上の寸法を小さくしたものとすることができる。また、第1の発明の構成においては、前記易成形用紙が、充填された射出成形樹脂の圧力によってキャビティ面に沿うものであってもよいし、前記金型の前記キャビティ面形状に沿うよう立体形状にあらかじめ予備成形されたものであってもよい。
【0012】
第2の発明は、第1の発明の構成において、易成形用紙の接着層が形成されていない面に図柄が形成されたものである、成形同時加飾成形品の製造方法である。
【0013】
このように構成すると、成形同時加飾成形品が図柄を有するものとなる。
【0014】
第3の発明は、第1の発明の構成において、射出成形樹脂が、非石油系の原料を20重量%以上含むものである、成形同時加飾成形品の製造方法である。
【0015】
このように構成すると、樹脂成形品が非石油系の材料を含むものとなる。
【0016】
第4の発明は、第3の発明において、非石油系の原料が、リグニン、セルロース、へミセルロースの少なくともいずれか1種類を主材料として含むものである、成形同時加飾成形品の製造方法である。
【0017】
このように構成すると、成形同時加飾成形品が二酸化炭素の大気放出量を抑えると同時に、従来のプラスチック製の成形同時加飾成形品とはまったく異なる重量感や匂い等を持つものになる。
【0018】
第5の発明は、樹脂成形品の表面に、引張破断伸び(JIS P 8113:1998準拠)が流れ方向及び幅方向に共に10%以上を有する易成形用紙が接着層を介して積層されている、成形同時加飾成形品である。
【0019】
なお、第5の発明の構成においては、易成形用紙として微細な皺が一面に形成され見かけ上の寸法を小さくしたものを用いることができる。
【0020】
第6の発明は、第5の発明の構成において、樹脂成形品の易成形用紙の表面に図柄が形成された成形同時加飾成形品である。
【0021】
第7の発明は、第6の発明の構成において、樹脂成形品の易成形用紙の表面の図柄上にオーバーコート層が形成された成形同時加飾成形品である。
【0022】
第8の発明は、第5の発明の構成において、樹脂成形品が非石油系の原料を20重量%以上含むものである、成形同時加飾成形品である。
【0023】
第9の発明は、第8の発明において、非石油系の原料がリグニン、セルロース、へミセルロースの少なくともいずれか1種類を主材料として含むものである、成形同時加飾成形品の製造方法である。
【発明の効果】
【0024】
以上説明したように、第1の発明は、金型内で易成形用紙がキャビティ面にきちんと沿うものであるため、インサートシートが紙からなるものであっても皺や破れ等が生じず樹脂成形品表面に美麗に一体化して積層することが可能となる。
【0025】
第2の発明は、第1の発明の効果に加えて、図柄層を有するものであるため、より美麗な加飾が可能となる。
【0026】
第3の発明は、第1の発明の効果に加えて、樹脂成形品が非石油系の材料を含むため、成形同時加飾成形品の製造、使用、廃棄における二酸化炭素の放出量を抑制できるものである。
【0027】
第4の発明は、第3の発明の効果に加えて、非石油系の原料がリグニン、セルロースやへミセルロースを主材料として含むため、従来のプラスチック製の成形同時加飾成形品とはまったく異なる重量感や匂い等を持つものになる。
【0028】
第5の発明は、紙からなるインサートシートが樹脂成形品表面に積層されたものとなるため、成形同時加飾成形品の表面が紙独特の風合いを有し手触りが良いものとなる。しかも、紙からなるインサートシートが樹脂成形品表面にきちんと追従しているので、皺や破れ等が生じず美麗である。
【0029】
第6の発明は、第5の発明の効果に加えて、加飾樹脂成形品の表面に図柄を有するものであるため、より美麗な加飾がされたものとなる。
【0030】
第7の発明は、第5の発明の効果に加えて、図柄がオーバーコート層により保護されたものであるため、より耐久性に優れたものとなる。
【0031】
第8の発明は、第5の発明の効果に加えて、樹脂成形品が非石油系の材料を含むため、成形同時加飾成形品の製造、使用、廃棄における二酸化炭素の放出量を抑制できるものである。
【0032】
第9の発明は、第8の発明の効果に加えて、非石油系の原料がリグニン、セルロースやへミセルロースを主材料として含むため、従来のプラスチック製の成形同時加飾成形品とはまったく異なる重量感や匂い等を持つものになる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明に用いる易成形用紙の一例を示す断面図である。
【図2】本発明の一実施例を示す断面図である。
【図3】本発明の一実施例を示す断面図である。
【図4】本発明の一実施例を示す断面図である。
【図5】本発明の一実施例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
次に、本発明の第1の実施の形態について図を参照しながら説明する。
【0035】
本発明の成形同時加飾成形品の製造方法は、引張破断伸び(JIS P 8113:1998準拠)が流れ方向及び幅方向に共に10%以上を有する易成形用紙1の一方の面に接着層3を形成し、易成形用紙1を金型4に挟み込み、次いで型締めして射出成形樹脂6を金型4のキャビティ5内に充填し、次いで射出成形樹脂6の固化後に型開きして前記易成形用紙1が表面に一体成形された樹脂成形品を得るように構成したものである。
【0036】
まず、前記数値範囲の引張破断伸びを有する易成形用紙1の一方の面に接着層3を形成する(図1参照)。
【0037】
引張破断伸びが流れ方向及び幅方向に共に10%以上を有する易成形用紙1は、立体成形性に優れるため、立体形状を有する樹脂成形品の表面に一体化して積層する際、しわや破れなどが生じることなく美麗に積層することが可能である。なお、引張破断伸びは、JIS P 8113:1998に準じて測定したものである。具体的には、紙の縦方向の乾燥引張強度を測定し、その破断直前の紙の長さと測定前の紙の長さとから、紙の伸び率を算出する。
【0038】
このような構成の易成形用紙1としては、さらに具体的には、微細な皺を一面に形成し見かけ上の寸法を小さくしたものを使用するとよい。たとえば、紙中水分を20〜50%に調整した湿紙を、ロールの幅向に一定間隔で溝を周方向に設けた金属ロールと平滑なゴムロールから成る収縮付与装置を用い、金属ロールの周速に対してゴムロールの周速が遅いプレスロールから成る収縮付与装置に通紙して紙匹を収縮させ、処理後に乾燥することによって、縦方向及び横方向の破断伸びが15〜50%である易成形用紙を得ることがきる。
【0039】
易成形用紙1の原料となる天然パルプとしては、針葉樹や広葉樹を用いた木材パルプ、ケナフやバガスなどの非木材パルプ、古紙パルプなど通常の製紙用原料であれば特に制限されるものではないが、汎用性などの点から木材パルプの使用が好適である。この木材パルプの叩解度は、伸び特性、強度、抄紙性などからCSF200〜450mlが好適であり、より好ましくはCSF250〜400mlである。天然パルプの配合率は50%以上であることが好ましい。
【0040】
易成形用紙1の一方の面に接着層3を形成する。接着層3には、射出成形樹脂の材質に適した感熱性や感圧性を有する樹脂、例えば、射出成形樹脂6がPMMA樹脂であればPMMA樹脂や塩酢ビ系樹脂などが使用される。接着層3は、グラビア印刷法、スクリーン印刷法等により印刷される。
【0041】
また、易成形用紙1の接着層3が形成されていない面に、各種印刷法などの手段により図柄2を形成して加飾を行ってもよい。印刷法としては、凸版印刷法、凹版印刷法、平版印刷法、孔版印刷法などの手段を用いることができる。また、インクジェット印刷法など、版を用いない手段によって図柄を形成してもよい。図柄2を形成するインクとしては、着色材として染料や顔料などを用いるとよい。図柄2は、易成形用紙1の上にインキ層として積層するように形成するとよい。また、易成形用紙1を構成する繊維にインキが含浸するようにして図柄2を形成してもよい。
【0042】
なお、インクの着色材やバインダーとして、天然素材由来のものや生分解性を有するものを利用することにより、成形同時加飾成形品を再利用したり廃棄したりする際、環境対応をより容易にすることが可能となる。
【0043】
次いで、易成形用紙1を金型4に挟み込み、次いで型締めを行う(図2参照)。
【0044】
金型4としては、射出成形樹脂6を射出可能な射出成形用金型を用いる。
【0045】
金型のキャビティ面に易成形用紙1を確実に沿わせるようにするため、易成形用紙1をあらかじめキャビティ面の形状に立体成形しておいてもよい。立体成形はプレス法など、既知の手段により行うとよい。易成形用紙1がキャビティ面に沿うように配置することにより、後に行う射出成形樹脂6の充填工程において、易成形用紙1の最終的に最表面に位置する側の面に射出成形樹脂6が回り込む不具合(裏回りとも言う)を防止することができる。
【0046】
次いで、型締めして射出成形樹脂6を金型4のキャビティ5内に充填する(図3参照)。
【0047】
射出成形樹脂6としては、成形同時加飾成形品の使用目的に合わせた材質が使用される。例えば、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン(ABS)、PMMA、ポリスチレン(PS)、スチレンアクリロニトリル(AS)、ポリカーボネート(PC)、ポリ塩化ビニル(PVC)、PP、PET樹脂等である。
【0048】
また、射出成形樹脂6として非石油系の原料を20重量%以上含むものを用いてもよい。このような非石油系の原料としては、たとえば、リグニン、セルロース、へミセルロースといった木質成分を主材料としたものを利用することができる。このような木質成分を主材料とした非石油系の原料としては、さらに具体的には、次のようなものが挙げられる。ひとつは、リグニンと植物繊維、さらにシェラックなどの天然樹脂とを配合したものである。リグニンは製紙用パルプを製造する際に廃材として大量に生成されるので、これを使用することは環境配慮の観点から非常に有効である。また、セルロース系樹脂とグリセリンなどの天然由来の可塑剤からなる非石油系の原料を利用してもよい。セルロースは木材から生成される樹脂であり、グリセリンも植物油から生成される材料であるため、このような材料は地下資源にたよらない環境に配慮したものとなる。さらには木粉を主体とした非石油系の原料も利用できる。具体的には、高温高圧下で木粉に蒸気を浸透させることによって木粉を構成するセルロース、へミセルロース、リグニンの結合を分断し、流動性をもった木質成分を粉砕してペレット化したものなどである。このような非石油系の原料に使用する木粉としては、間伐材などの廃木材を有効活用することができる。これらの木質成分はインサートシートに使われる易成型用紙1の原料と成分が同質であるため、できあがった成形同時加飾成形品8は、従来の石油系成形樹脂とプラスチックシートによる加飾成形品とは全く重量感や匂い等の異なる加飾成形品を得ることができるという効果がある。
【0049】
また非石油系の原料としてはこれら木質材料のほかに、ポリ乳酸、ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)、ポリヒドロキシブチレート(PHB)、デンプン系樹脂、ヒマシ油由来のポリアミド、バイオエタノール由来のポリエチレンなど、すなわち植物由来のものや生分解性を有するものを利用することもできる。なお、射出成形樹脂6は、上記した非石油系の原料のみからなるものが利用できるし、又これらの非石油系の原料と石油系樹脂とのアロイ樹脂なども利用できる。大気中の二酸化炭素は地下の石油資源を掘り起こし、燃焼することによって増加する。従って、前述のような非石油系の原料を含む樹脂を用いることにより、土中の石油資源の使用量が削減され、大気中の二酸化炭素量の増加が抑制されるという作用効果を得ることができる。
【0050】
次いで、射出成形樹脂6の固化後に型開きして、樹脂成形品の表面に易成形用紙1が一体成形された成形同時加飾成形品8を得ることができる(図4参照)。なお、必要に応じて樹脂成形品周囲の易成形用紙1の不要領域を、プレス法、トムソン法などの手段によって除去する。
【0051】
また、必要に応じて、成形同時加飾成形品8の易成型用紙1表面にオーバーコート層7を形成してもよい。オーバーコート層7としては、ウレタン系樹脂やアクリル系樹脂からなるものを用いることができる。オーバーコート層7により、耐湿性を付与するという作用効果を得ることができる(図5参照)。
【0052】
また、易成形用紙1としては、引張破断伸びが流れ方向及び幅方向に共に10%以上を有するのであれば、微細な皺を一面に形成したもの以外の紙を用いてもよい。たとえば、合成樹脂繊維いわゆる合成パルプを抄き込んだ合成パルプ混抄紙を用いることもできる。これは合成パルプの持つ熱可塑性を生かし、加熱成形する際に伸びやすくして成形性を向上させるものである。また、王子製紙の「ファインプレス」のようなものを用いることも有り得る。
【0053】
《実施例1》
引張破断伸びが流れ方向25%、幅方向15%であり、一面に微細な皺が形成された易成形用紙の片面に、塩酢ビ系のホットメルト接着剤を用いてグラビア印刷にて接着層を形成し、当該易成形用紙の接着層が形成されていない面にインクジェットプリンタを用いて図柄を形成した。
【0054】
上記引張破断伸びは、JIS P 8113:1998に準拠して測定した。具体的には、試験片の形状は幅15mm、長さ250mmとし、流れ方向、幅方向それぞれから採取した試験片を23℃、50%RHの条件で24時間以上調湿した後、定速伸張型引張試験機を用いて、つかみ間隔180mm、引張り速度20mm/minで測定した。
【0055】
次いで、30〜50度に加熱された金型に上記の易成形用紙を予備成形なしで挟み込み、型締めしてリグニンと植物繊維とシェラックとを配合した非石油系の原料からなる射出成形樹脂をノズル温度120℃〜180℃の射出条件で充填した。次いで、3〜10秒の冷却時間で射出成形樹脂を固化させた。
【0056】
次いで、型開きして易成形用紙が一体化された樹脂成形品を得た。
【0057】
《実施例2》
30〜70度に加熱された金型に上記の易成形用紙を予備成形なしで挟み込み、型締めしてセルロース系樹脂にグリセリンを配合した非石油系の原料からなる射出成形樹脂をノズル温度180℃〜240℃の射出条件で充填したこと以外は、実施例1と同様とした。
【0058】
実施例1,2のようにして得た成形同時加飾成形品は、立体形状に美麗な加飾がされたものであった。易成形用紙には皺や破れがなく、易成形用紙と樹脂成形品とが強固に一体化されたものであった。また、インサートシートと成形樹脂がともに木質成分を原料としているためプラスチックの加飾成形品とは違う独特の質感を持った成形品になった。更に、成形樹脂は非石油系の原料を含む樹脂を用いているので、土中の石油資源の使用量が削減され、大気中の二酸化炭素量の増加が抑制されるという環境に配慮されたものであった。
【0059】
《実施例3》
50℃に加熱された金型に上記の易成形用紙を予備成形なしで挟み込み、型締めしてABS樹脂からなる射出成形樹脂をノズル温度220℃〜280℃の射出条件で充填したこと、次いで15秒の冷却時間で射出成形樹脂を固化させたこと以外は、実施例1と同様とした。
【0060】
《実施例4》
射出成形樹脂として、PC/ABS樹脂を用いたこと以外は、実施例3と同様とした。
【0061】
実施例3、実施例4のようにして得た成形同時加飾成形品は、立体形状に美麗な加飾がされたものであった。易成形用紙には皺や破れがなく、易成形用紙と樹脂成形品とが強固に一体化されたものであった。
【産業上の利用可能性】
【0062】
本発明は成形同時加飾繊維成形品とその製造方法に関し、特に紙による美麗な加飾が可能な成形同時加飾成形品とその製造方法に関するものである。
【符号の説明】
【0063】
1 易成形用紙
2 図柄
3 接着層
4 金型
5 キャビティ
6 射出成形樹脂
7 オーバーコート層
8 成形同時加飾成形品

【特許請求の範囲】
【請求項1】
引張破断伸び(JIS P 8113:1998準拠)が流れ方向及び幅方向に共に10%以上を有する易成形用紙の一方の面に接着層を形成し、
前記易成形用紙を金型に挟み込み、
次いで型締めして射出成形樹脂を金型のキャビティ内に充填し、
次いで前記射出成形樹脂の固化後に型開きして前記易成形用紙が表面に一体成形された樹脂成形品を得ることを特徴とする成形同時加飾成形品の製造方法。
【請求項2】
前記易成形用紙が、微細な皺を一面に形成し見かけ上の寸法を小さくしたものである請求項1記載の成形同時加飾成形品の製造方法。
【請求項3】
前記易成形用紙の接着層が形成されていない面に図柄が形成されたものである請求項1記載の成形同時加飾成形品の製造方法。
【請求項4】
前記射出成形樹脂が、非石油系の原料を20重量%以上含むものである請求項1記載の成形同時加飾成形品の製造方法。
【請求項5】
前記非石油系の原料が、リグニン、セルロース、へミセルロースの少なくともいずれか1種類を主材料として含むものである請求項4記載の成形同時加飾成形品の製造方法。
【請求項6】
前記易成形用紙が、充填された射出成形樹脂の圧力によってキャビティ面に沿うものである請求項1記載の成形同時加飾成形品の製造方法。
【請求項7】
前記易成形用紙が、前記金型の前記キャビティ面形状に沿うよう立体形状にあらかじめ予備成形されたものである請求項1記載の成形同時加飾成形品の製造方法。
【請求項8】
樹脂成形品の表面に、引張破断伸び(JIS P 8113:1998準拠)が流れ方向及び幅方向に共に10%以上を有する易成形用紙が接着層を介して積層されていることを特徴とする成形同時加飾成形品。
【請求項9】
前記易成形用紙として、微細な皺が一面に形成され見かけ上の寸法を小さくしたものを用いた請求項8記載の成形同時加飾成形品。
【請求項10】
前記樹脂成形品の易成形用紙の表面に図柄が形成された請求項8記載の成形同時加飾成形品。
【請求項11】
前記樹脂成形品の易成形用紙の表面の図柄上にオーバーコート層が形成された請求項10記載の成形同時加飾成形品。
【請求項12】
前記射出成形樹脂が、非石油系の原料を20重量%以上含むものである請求項8記載の成形同時加飾成形品。
【請求項13】
前記非石油系の原料が、リグニン、セルロース、へミセルロースの少なくともいずれか1種類を主材料として含むものである請求項12記載の成形同時加飾成形品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−143561(P2011−143561A)
【公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−4361(P2010−4361)
【出願日】平成22年1月12日(2010.1.12)
【出願人】(000231361)日本写真印刷株式会社 (477)
【Fターム(参考)】