説明

成形装置及び製造方法

本発明は、エンベロープ(12)及びモールド(14)を準備する工程と、上記モールドの中で成形される材料を導入する工程と、上記モールドを上記エンベロープの中に配置する工程と、上記エンベロープの中を低気圧にする工程と、上記モールドを変形させる工程と、を含む製造方法を提供する。本発明は、また製品を成形するための装置も提供する。本発明は、簡単な方法で製品を成形することを可能とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、成形装置及び製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
WO2006/048652には、建築又は土木構造物の表面の装飾を施すために用いられるモールドが記載されている。モールドは、プレートの格子を形成する複数個のプレートと、成形される製品の凹部であるところの所望の形状を、これらのプレートが共に形成するように、直交軸の回転周囲に移動方向に対して垂直に設けられたこれらのプレートを移動させるための少なくとも1つのアクチュエーターと、を含む。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
装飾図柄を製作するための他の解決策の必要性がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
このため、本発明は、エンベロープと、エンベロープの中にあるモールドと、エンベロープの中を低気圧にするための真空孔と、モールドを変形させるための手段と、を含む成形装置を提供する。
【0005】
一の変形例によれば、成形装置は、エンベロープの中に薄膜をさらに含んでいる。
【0006】
一の変形例によれば、成形装置は、エンベロープの中に2枚の薄膜をさらに含み、1枚の薄膜がモールドの上にあり且つ1枚の薄膜がモールドの下にある。
【0007】
一の変形例によれば、成形装置は、モールドの中に薄膜をさらに含んでいる。
【0008】
一の変形例によれば、上記変形させるための手段は、モールドの下にある。
【0009】
一の変形例によれば、上記変形させるための手段は、エンベロープに作用を及ぼす。
【0010】
一の変形例によれば、上記変形させるための手段は、ジャッキを含んでいる。
【0011】
一の変形例によれば、成形装置は、テーブルをさらに含み、エンベロープはテーブルの上にあり、且つ変形させるための手段はテーブルを通り抜けて伸びる。
【0012】
一の変形例によれば、成形装置は、変形させるための手段とエンベロープとの間のボールジョイントをさらに含んでいる。
【0013】
一の変形例によれば、上記変形させるための手段は、型板である。
【0014】
本発明は、エンベロープ及びモールドを準備する工程と、モールドの中で成形される材料を導入する工程と、モールドをエンベロープの中に配置する工程と、エンベロープの中を低気圧にする工程と、モールドを変形させる工程と、を含む製造方法も提供する。
【0015】
一の変形例によれば、1つ以上の薄膜が、エンベロープの中で当該エンベロープとモールドとの間に配置される。
【0016】
一の変形例によれば、モールドへの材料の導入後、成形される材料とモールドとの間に薄膜が配置される。
【0017】
一の変形例によれば、製造方法は、ジャッキ及び型板からなる手段の群から選択された、変形させるための手段の準備を含んでいる。
【0018】
一の変形例によれば、製造方法は、複数の成形された部品が得られるように繰り返し行われ、次いで、当該成形された部品を組み合わせる工程を含んでいる。
【0019】
一の変形例によれば、上記成形される材料は、後述する通りである。
【0020】
一の変形例によれば、上記成形装置によって実施される製造方法は、前述の通りである。
【0021】
本発明の他の特徴及び利点は、単なる例として与えられ、且つ、図1及び図2に示す図を参照する、本発明の実施形態における後続の詳細な説明を読むことで明らかになる。
【0022】
本発明は、エンベロープ及びエンベロープの中のモールドと、エンベロープの中を真空にするための真空孔と、モールドを変形させるための変形手段と、を含む成形装置を提供する。本装置は、簡単な方法で任意の形状の成形部品を得ることを可能にする。それ故、当該部品は装飾図柄として供給される形状となる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】成形装置の断面を表した図である。
【図2】ボールジョイントを表した図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1は、成形装置10の断面を表した図を示す。装置10は、部品の成形することを可能とすると同時に、これらに特殊な形状を与えることを可能にする。特に、装置10は、建築又は土木構造物のための美しい模様を有するライニングを製造することを可能にする。装置は、コンクリートタイプの初期材料によって、美しい模様を有する部品を製造することを可能にする。
【0025】
上記装置10は、エンベロープ12及びモールド14を含んでおり、当該モールド14は当該エンベロープ12の中にある。モールドは、部品を製造するのに用いられ、例えばコンクリートといった材料を受け容れるのに適している。装置10は、エンベロープ12の中を低気圧にするための真空孔16も含んでいる。エンベロープの中の低気圧は、モールドが変形されるときに、成形される材料がモールドから移動しない程装置が十分に堅くなることを可能にするので、材料は一定の厚さのままである。低気圧は、成形装置の構成部品が一体になるのを可能にする。特に、エンベロープ12及び/又はモールド14には、それらの周囲に2つのリップが互いに設けられており、2つのリップは低気圧の影響によって互いに吸いつき始める。これらリップは、簡単な方法で、エンベロープ12及びモールド14が別々に閉じるのを確実にする。したがって、機械的閉鎖手段の使用を避けることができる。上記リップは、エンベロープ12及び/又はモールド14の漏れ防止性が向上するように、一方のリップに襞を設け、且つ他方のリップにくびれを設け、低気圧によってくびれに襞が挿入されるように形成してもよい。
【0026】
低気圧をエンベロープの内部に生成する利点は、モールドの中に置かれた材料の吸い上げを避けることができることである。実際、真空孔によって、エンベロープの中に閉じこめられた空気が吸引されるが、もし真空孔によってモールドの中に低気圧を直接生成することが可能となれば、成形される材料もまた吸い上げられる危険がある。かくして、モールドは、エンベロープの内側に材料を閉じこめることが可能であると同時に、エンベロープの中の低気圧の生成を確実なものとする。
【0027】
上記装置は、エンベロープの内部に低気圧を生成するための低気圧手段も含んでいる。低気圧手段は、真空孔に接続されている。例として、−0.5〜−1.5bars、好ましくは−0.8〜−1.1bars、例えば、−0.9barsの低気圧の生成が可能である。
【0028】
エンベロープ12は、例えば、上側部分121と下側部分122とからなる。モールド14は、下側部分122と上側部分121との間に配置される。モールドは、下側部分122の上に載っている。エンベロープ12は、モールド14を簡単な方法でサンドイッチ状に挟むことを可能にする。モールドを下側部分122の上に置くとともにカバーの役目を果たす上側部分121を用いてエンベロープを閉じるだけでよい。エンベロープ12は、柔軟な材料であることが好ましい。エンベロープの柔軟性は、モールドの変形手段の作用を受けて最終的に変形することを可能にする。また、エンベロープは、エンベロープ内の低気圧を促進するほどに柔軟である。エンベロープの柔軟性は、低気圧の作用の下、エンベロープがモールドの形状を呈することも可能にする。例えば、エンベロープはシリコンからなる。
【0029】
モールド14は、上側シェル141及び下側シェル142を含んでいる。モールド14の下側シェル142は、エンベロープ12の下側部分122に載っている。モールド14は、成形される材料を簡単な方法で閉じこめることを可能にする。材料は、モールドの下側シェル142に配給され、それから上側シェル141によってモールド14が閉じられる。モールドは、柔軟な材料からなることが望ましい。モールド14の柔軟性は、変形手段の作用を受けて後者が変形することを可能にする。また、モールド14は、エンベロープ12内の低気圧の作用の下、モールド内の材料を閉じこめることを促進するほどに柔軟である。モールドの柔軟性は、モールド14と成形される材料との間のより適切な接触をもたらす。
【0030】
エンベロープ12には、真空孔16が設けられている。真空孔16は、上側エンベロープ121に取り付けられるのが好ましい。エンベロープは、その下側部分122を介して載置されている。モールドは下側部分に載っているので、真空孔をエンベロープの上側エンベロープ121に据えることは、低気圧の質の向上に好ましい。
【0031】
上記装置では、エンベロープの中に、少なくとも1枚の薄膜20(又は配水管)を含むことも可能である。薄膜20は、低気圧の生成を促進する。実際、薄膜20によって、エンベロープ内部に生成された低気圧の作用の下で、気泡を閉じこめる、モールド14へのエンベロープ12の局部的な付着を回避することが可能となる。モールド14へのエンベロープ12の局部的な付着は、低気圧の生成の実行を妨げる。薄膜20は、モールド14へのエンベロープ12の局部的な付着を防ぎ、低気圧が適正にもたらされるのを可能にする。一例として、薄膜20は、織布又は不織布材料からなる。そのような材料は、気密ではなく、空気の通過を許容する。低気圧が生成される一方で、薄膜は真空孔16の方向への空気の流通を促進する。薄膜20は、例えば、エンベロープ12の上側部分121とモールド14の上側シェル141との間に置かれる。そして、薄膜20は、当該部分121とシェル141との間の空気の流通を促進する。一方、薄膜20は、エンベロープ12の下側部分122とモールドの下側シェル142との間でもよい。薄膜は、これらの部品の間でも空気の流通を促進する。重力のために、下側シェル142が下側部分122に寄りかかるとともに、モールド14とエンベロープ12との間に気泡が閉じこめられる危険があるため、エンベロープの当該領域に低気圧を生成することが困難になったときに、流通がより一層促進される。薄膜20は、モールドとエンベロープとの間に緩衝領域をもたらすことを可能にする。薄膜20は、下側シェル142とエンベロープの下側部分122との間で空気の流通を促進する。上記装置10は、エンベロープの中に2枚の薄膜20(又は配水管)を含み、一方の薄膜20が上側部分121と上側シェル141との間にあり、且つ他方の薄膜20が下側部分122と下側シェル142との間にあるのが望ましい。2枚の薄膜20の存在が、エンベロープ全体に真空状態を生じさせるのを促進する。
【0032】
モールド14の中に、1枚の薄膜22(又は配水管)を設けることを想定するのも可能である。その場合には、薄膜22は、モールドの中の低気圧を促進する。実際に、エンベロープの中に生成された低気圧は、シェル141及び142のへりを通って、モールドの中にも伝わり、エンベロープの中の低気圧の生成がモールドの中でも起こる。それにもかかわらず、成形される材料が同時に吸い込まれないので、モールドの中の低気圧は重要ではない。モールドの中の薄膜22もまた、モールドの中に閉じこめられている空気の流通及び吸い込みを促進する。モールドの中に閉じこめられた空気は、主として成形される材料とモールドの上側シェル141との間に見つけられる。それ故、エンベロープ内部に低気圧が生成されたときに、シェル141が材料に押し付けられるのを避けるのではなくて、むしろ薄膜がシェルと材料との間でも空気の流通を許容するように、薄膜22が当該領域に配置されていることが望ましい。薄膜22は、薄膜20とほぼ同じ材質であり、空気の循環を妨げない。
【0033】
変形手段18は、材料を特定の形状に一致させて成形するように、モールドを所望の形状に一致させることを可能にする。例えばモールドの中央領域を変形するならば、モールドを形作るには、単一の変形手段で足りる。数領域でモールド14を変形させるためには、複数の変形手段が組み込まれるのが望ましい。以下の本文では、複数の変形手段を備えた装置が記載されているが、仮に単一の変形手段しか備えていなくても、同じことが当てはまる。
【0034】
モールド14の変形手段18は、モールド14の下にある。静止状態では、モールドは平坦であり、且つ、変形手段が作動すると、それらは重力に逆らってモールド14を変形させる。文献WO2006/048652の場合と同様に、モールドが垂直に維持され且つモールドを横から変形させる手段よりも容易に、実用的な変形を実現できるという利点がある。この文献によれば、モールドを垂直に維持する間、モールドの中の所定の場所に材料を有効に保持するための問題が生じる。材料がモールドの内部を流れるとともに材料の厚さが一様にならないという危険がある。
【0035】
より具体的に言えば、変形手段18は、エンベロープ12に作用する。当該手段18は、エンベロープと接触し、エンベロープの作用によってモールド14が変形するが、エンベロープ12及びモールド14によって二重の保護が与えられるがゆえに、モールドを貫通する危険が減少するという利点がある。それ故、変形手段18は、エンベロープ12の下に均等に配置されている。エンベロープ12及びモールド14を持ち上げ又は支持することによって、重力に抗してエンベロープ12への作用及びモールド14の変形が行われる。
【0036】
上記装置10はさらに、変形手段18とエンベロープ12との間にボールジョイント30を含んでいる。ボールジョイントは、変形手段18と、当該手段18の作用によって変形したエンベロープ12との間の連結を良くする。図2は、ボールジョイント30の図を示す。ボールジョイント30は、変形手段18に向かい合って対応する、エンベロープの表面要素の3つの直交する軸周りの回転運動を可能にする。実際に、変形手段18がエンベロープ12に作用したとき、後者は変形手段18の移動に従う。特に、上記装置は、ボールジョイント30とエンベロープ12との間の円板32を含んでいる。その場合は、ボールジョイント30は、円板32の3軸周りの回転運動を可能にする。
【0037】
円板32は、エンベロープ12が破れる危険、ひいてはモールド14が破れる危険を減少させるように、エンベロープ12を補強することを可能にする。円板32は、エンベロープ12の中、特に、エンベロープの下側部分121の中に形成されてもよい。それ故、円板はエンベロープと一体化される。また、円板32は、ボールジョイントと変形手段18との間に単に挿入されてもよく、これにより、変形手段のより冒険的な配置をより容易に適合させることが可能となる。
【0038】
図2の通り、円板32又はエンベロープの表面要素の回転を考慮して、ボールジョイント30は変形可能なスタッド34を含んでいる。スタッド34は、例えばゴムからなっている。それ故、スタッド34は、変形手段18に関連する、円板32又はエンベロープ12の表面要素の継ぎ手を可能にする。ボールジョイント30の構造は簡単である。
【0039】
上記装置10はさらに、テーブル24を含んでいる。静止しているエンベロープ12はテーブルの上にある。このことは、成形される材料の装置10内への導入を容易にする。実際、装置10の下側部分122がテーブル24の上に載っており、且つ下側シェル142が下側部分122の上に載っているときに、材料を下側シェル142上に容易に行き渡らせることが可能になる。変形手段18は、テーブル24を通り抜けて伸びる。装置10が作動したとき、変形手段18がエンベロープ12をテーブルから持ち上げる。当該手段18は、モールド14の局部的な変形を引き起こすように、エンベロープ12を局部的に持ち上げる。当該手段18は、例えばジャッキである。ジャッキは、テーブル24の下から伸び、テーブル24を通り抜けてエンベロープ12に接触する。テーブル24は、変形手段18が通過可能な開口26を含んでいる。変形手段18は、より単純に、ロッドの底と地面との間にくさびを挿入することによって高さが調整される金属製ロッドとしてもよい。ジャッキを用いる利点は、得られる形状が無限になることであり、ジャッキがさまざまな位置を占めることが可能であることが要求されている。
【0040】
変形手段は、型板でもよく、その利点は、エンベロープ12及びモールド14のための所定の形状を複製することが容易となることである。型板は、エンベロープ及びモールドを支持する手本となるものである。エンベロープ及びモールドを型板の上に置くことによって、型板がモールドを変形させるようにエンベロープに作用する。型板は、例えば、鞍状、球面、曲面等の形状を有している。
【0041】
この装置は、静止した状態で約5m(一例として)の面積を備える部品を変形させることを可能にする。変形手段18は、エンベロープ12の表面の下に規則正しく又は不規則に割り当てられる。変形手段18は、格子状に規則正しく割り当てられるのが望ましい。このことは、モールドの変形のより適切な調整を可能にする。型板形式の変形手段の場合、型板の表面は、必然的にエンベロープに対して割り当てられる。
【0042】
本発明は、部品を製造するための方法にも関連する。部品は、コンクリート製がよく、以下でより良く説明するように超高強度繊維補強コンクリート製が好ましい。この種のコ
ンクリートは、数ミリの薄い部品の製造を可能にする。製造方法は、エンベロープ12及びモールド14を準備する工程を含んでいる。製造方法は、次いで、成形される材料をモールド14の中に導入する工程を含んでいる。製造方法は、次いで、モールドをエンベロープの中に配置する工程を含んでいる。エンベロープ12が閉じられるとともにエンベロープの中に低気圧が生成される。エンベロープ12の中の低気圧は、モールド14の中にも伝搬され、材料がモールド14から漏れないという事実に注目が集まる。製造方法は、次いで、モールドを変形させる工程を含んでいる。モールドの変形が維持されているのと時を同じくして材料が乾燥する(又は凝固する)。それ故、建築物に美的な外観を提供する特有の形状を備えた部品が得られる。特有の形状を備えた部品を複数得るために、製造方法を繰り返し行うのが望ましい。次いで、美的な印象を与えるパズルが得られるように、部品を組み合わせる。製造方法は、特に、小さい厚さ(例えば15mm)を有する部品を形作ることを可能にする。実際、当該製造方法は、製造過程において材料の厚さの調整を可能にする。
【0043】
モールド14及びエンベロープ12を準備する工程は、さらにテーブル24の準備を含んでおり、先ず、エンベロープの下側部分122がテーブル24の上に配置される。初期の間、下側シェル142だけが下側部分122に配置されるという意味において、モールドはエンベロープに包まれる。下側部分122及びシェル142は水平に置かれている。この配置は、モールドの中で成形される材料を導入する工程及びモールドの表面全体に亘って材料を行き渡らせるのに役立つ。このことは、特に、より適切な材料の厚さ調整を可能にする。モールド14及びエンベロープ12は水平に配置されており、成形される材料はモールド14から流れ出ない。下側シェル142を置く前に、薄膜20を下側部分122に敷くことができるのは有利である。このことは、エンベロープ内部の低気圧の生成を促進する。一旦、材料が下側シェル142の上に配置されると、上側シェル141を下側シェル142の上に配置することによって、モールド14が閉じられる。薄膜22が、材料と上側シェル141との間に敷かれることは有利である。薄膜22は、モールド14内部の低気圧の伝搬を促進する。また、薄膜22は、一旦製造方法が完了すると、材料のより良い外観をもたらす。実際に、薄膜22は、成形された部品の表面にひび割れた外観を与える気泡がモールドの中に閉じこめられるという危険を減少させる。次いで、エンベロープ12の上側部分121が上側シェル141の上に配置されることによって、エンベロープ12がモールド14を塞ぐ。上側部分121と上側シェル141との間に薄膜20を配置できることは有利である。また、この薄膜20は、低気圧の生成を促進するとともに、前述した悪影響を有する気泡がエンベロープの中に閉じこめられる危険の均等な減少を促進する。
【0044】
一旦、モールドがエンベロープの中に閉じこめられると、エンベロープの中に低気圧がもたらされる。エンベロープ12は、成形される材料を収容しているモールド14の形状を呈するようになる。低気圧の作用の下、エンベロープはモールドに向かって(もし必要なら、場合によっては薄膜を介して)押される。この低気圧はモールドの内部に伝搬する。このような低気圧の利点は、成形される材料を閉じこめるエンベロープ及びモールドを含み、材料がモールドから流れ出ない程十分に堅いが、変形手段により変形する程十分に柔軟なビスケットが得られることである。他の利点は、モールドの中に閉じこめられた材料が、製造工程の間、概ね一定の厚さを維持するということであり、これにより概ね一定の厚さに成形された部品を得ることが可能になる。
【0045】
モールドの変形は、エンベロープの表面への、変形手段の作用によってもたらされる。得られる部品の所望の形状に応じて、変形手段は、各々独立して調節される。変形手段18は、多かれ少なかれエンベロープ12に作用する。変形手段18は、各々独立して、多かれ少なかれエンベロープ12を持ち上げる。一方、エンベロープ及びモールドのペアーは、型板の上に置かれて、型板の形状を呈することによってモールドの変形がもたらされる。
【0046】
所定の期間の後、部品がモールドから脱型される。得られた部品は凹凸及び窪みを含む表面を有している。得られた部品は、局部的に変化する曲率を有する三次元の物である。
曲率は、局部的に正又は負の符号を有している。曲率には、特異点や不連続点が無いのが望ましい。図1に示すように、仮に単一に変形手段18が組み込まれていれば、表面は1つのこぶのみを含む。仮に複数の変形手段18が用いられれば、表面は、多少高く且つ窪みによって分離された複数のこぶを含む。こぶは、エンベロープに作用する変形手段18の位置と一致する一方、窪みは、変形手段の無い位置と一致する。部品の表面は、荒海の表面に似ている。同様に、仮に変形手段が型板であるなら、一揃いのエンベロープ及びモールドに与えられる所望の形状が事前に型板に付与される。
【0047】
上述の製造方法は、モールディングによる部品の製造を可能にするものであり、複数の部品をモールディングで製造するように、当該製造方法を繰り返し行うことも考えられ、その場合には、これらの部品同士を組み合わせる。組み合わされる部品がその時のモデュールである。それ故、製造された表面はそれ自体が、局部的に変化する曲率を有する三次元の物である。曲率は、局部的に正又は負の符号を有している。曲率には、特異点や不連続点が無いのが望ましい。さらに、上記製造方法は、小さい部品(例えば20mまで、好ましくは5m)の製造によって、大きい表面(例えば8000m)の製造を可能ならしめる。2つの部品をそれらの端部で組み合わせることが可能となるように、組付けの際隣接することが予定された2つの部品の端部に同じやり方で変形手段を作用させ、且つ、得られた組合せが1つの部品から他の部品へ切れ目なく続くように製造を行う。上記成形装置及び上記製造方法の利点は、得られ且つ組み合わされる部品が薄く、それ故、相対的に重くないことである。
【0048】
上記方法及び装置によって部品を製造するのに用いられる材料は、超高強度繊維補強コンクリート(UHPFCと略される)であることが好ましい。この部品は、例えば、厚さ5〜50mmであり、これにより非常に薄いパーツが得られる。部品は、厚さ15mmが望ましい。
【0049】
超高強度繊維補強コンクリートは、繊維を含むセメントマトリックスを有するコンクリートである。道路及び自動車道路についての技術研究業務(Setra)及びフランス土木工学協会(AFGC)による「超高強度繊維補強コンクリート」という表題の文献を参照。これらのコンクリートの圧縮強度は、概して150MPa更には250MPaより高い。繊維は、金属、有機又はその混合物である。結合材の供与量は高い(W/Cは低い。W/Cは、一般に高くても約0.3である)。
【0050】
セメントマトリックスは、一般に、セメント(ポルトランド)、ポゾラン反応粒子(特にシリカフューム)及び細目砂を含んでいる。各々の寸法は、性質及び各々の分量に応じて、区間で選択される。例えば、セメントマトリックスは、ポルトランドセメントと、細目砂と、シリカフュームタイプの粒子と、場合によって石英粉末と、量が可変であり且つマイクロメートル又はサブミクロン及びミリメートルのあらゆる階級から選ばれた、最大寸法が概ね5mmを超えない異なる寸法の粒子と、一般的に練混ぜ水に添加される高性能減水剤と、を含んでいる。
【0051】
セメントマトリックスの例として、特許出願EP−A−518777、EP−A−934915、WO−A−9501316、WO−A−9501317、WO−A−9928267、WO−A−9958468、WO−A−9923046、WO−A−0158826の中の記載において言及され、より詳しく説明されている。
【0052】
上記繊維は、効果的に機械的特性を与えるような、長さ及び直径特性を有している。これらの量は一般に小さく、例えば、体積で1〜8%である。
【0053】
マトリックスの例は、RPC、反応性粉末コンクリートであり、一方、UHPFCの例は、エファージュ社によるBSI、ラファージュ社によるダクタル(登録商標)、イタルチェメンティ社によるCimax(登録商標)及びヴィカー社によるBCVである。
【0054】
具体例は、以下のコンクリートである。
【0055】
1)混合の結果として生ずるもの。
(a)所謂「CPA」と呼ばれる普通のポルトランドセメント、所謂「CPA−HP」と呼ばれる高性能ポルトランドセメント、所謂「CPA−HPR」と呼ばれる高性能且つ急結ポルトランドセメント及びアルミン酸三石灰(C3A)の含有度の低いポルトランド
セメントからなる群から選ばれた、普通又は高性能及び急結タイプのポルトランドセメント。
(b)大部分の粒子が100Å〜0.5μmの直径を有し、ジルコニウム工業の副産物として得られ、当該シリカの比率がセメントの重量の10〜30重量%であるガラス質のマイクロシリカ。
(c)全体の比率が0.3%〜3%(上記セメントの重量に対する乾燥抽出物の重量)である高性能減水剤及び/又は流動化剤。
(d)大部分が0.08mm〜1.0mmの直径を有する石英の粒子を含んでいる砕石砂。
(e)場合によっては他の混合剤。
【0056】
2)混合の結果として生ずるもの。
(a)調和平均径に対応する粒度、又は、7μm好ましくは3〜7μmの粒度を有するセメント、
(b)1mmより小さい平均粒度を有する細砂及び10mmより小さい平均粒度を有する粗砂といった異なる粒度を有する焼成ボーキサイト砂の混合物、
(c)粒子の40%が1μmより小さい寸法を有し、調和平均径が約0.2μm、及び好ましくは0.1μmであるシリカフューム、
(d)消泡剤、
(e)高性能減水剤、
(f)場合によっては繊維、
及び水。
【0057】
上記セメント、上記砂及び上記シリカフュームは、少なくとも3つ及び多くても5つの異なる粒度等級があり、1つの粒度等級と直ぐ上の等級との間の調和平均径の比が約10であるような粒度を与える。
【0058】
3)混合の結果として生ずるもの。
(a)ポルトランドセメント、
(b)細粒成分、
(c)ポゾラン反応微細粒子、
(d)金属繊維、
(e)拡散剤、
及び水。
【0059】
優越する上記細粒成分の最大粒度Dが800μm以下であり、優越する上記金属繊維の個々の長さLが4mm〜20mmであり、上記金属繊維の平均長さLと上記細粒成分の最大粒径Dとの間の比Rが少なくとも10であり、且つ優越する上記金属繊維の量が、当該金属繊維の体積が凝結後のコンクリートの体積の1.0%〜4.0%となる量である。
【0060】
4)混合の結果として生ずるもの。
(a)100p.のポルトランドセメント、
(b)30〜100p.、又はより良くは40〜70p.の、少なくとも150μmの粒度を有する細目砂、
(c)10〜40p.、又はより良くは20〜30p.の、0.5μmよりも小さい粒度を有するアモルファスシリカ、
(d)20〜60p.、又はより良くは30〜50p.の、10μmよりも小さい粒度を有する石英粉末、
(e)25〜100p.、又はより良くは45〜80p.のスチールウール、
(f)流動化剤、
(g)13〜26p.、又はより良くは15〜22p.の、熱硬化剤が含有された水。
【0061】
5)混合の結果として生ずるもの。
(a)セメント、
(b)大きくても2mm、好ましくは大きくても1mmの最大粒度Dmaxを有する細粒成分、
(c)大きくても1μm、好ましくは大きくても0.5μmの基本粒度を有するポゾラン反応粒子、
(d)平均粒度が大きくても1mmであり、且つ上記細粒成分(b)と上記ポゾラン反応粒子(c)との混合重量の2.5〜35%の体積比率で存在する針状又はプレート状粒子から選ばれた上記マトリックスの靱性を改善可能な構成要素、
(e)少なくとも1種の拡散剤、
且つ下記の条件を満たすもの。
【0062】
(1)上記セメント(a)と上記粒子(c)との混合重量に対する上記水Wの重量パーセントが8〜24%の範囲内。(2)上記繊維の個々の長さLが少なくとも2mmであり、且つ比L/phi(phiは繊維の直径である)が少なくとも20。(3)上記繊維の平均長さLと上記細粒成分の最大粒度Dmaxとの間の比Rが少なくとも10。(4)上記繊維の量が、当該繊維の体積が凝結後のコンクリートの体積の4%より小さく、好ましくは3.5%より小さくなるような量。
【0063】
6)混合の結果として生ずるもの。
(a)セメント、
(b)細粒成分、
(c)大きくても1μm、好ましくは大きくても0.5μmの基本粒度を有するポゾラン反応粒子、
(d)平均粒度が大きくても1mmであり、且つ上記細粒成分(b)と上記ポゾラン反応粒子(c)との混合重量の2.5〜35%の体積比率で存在する針状又はプレート状粒子から選ばれた上記マトリックスの靱性を改善可能な構成要素、
(e)少なくとも1種の拡散剤、
且つ下記の条件を満たすもの。
【0064】
(1)上記セメント(a)と上記粒子(c)との混合重量に対する上記水Wの重量パーセントが8〜24%の範囲内。(2)上記繊維の個々の長さLが少なくとも2mmであり、且つ比L/phi(phiは繊維の直径である)が少なくとも20。(3)上記繊維の平均長さLと上記全ての構成要素(a)、(b)、(c)及び(d)の粒度D75との間の比Rが少なくとも5、好ましくは少なくとも10。(4)上記繊維の量が、当該繊維の体積が凝結後のコンクリートの体積の4%より小さく、好ましくは3.5%より小さくなるような量。(5)上記全ての構成要素(a)、(b)、(c)及び(d)が、大きくても2mm、好ましくは大きくても1mmの粒度D75、及び大きくても200μm、好ましくは大きくても150μmの粒度D50を有している。
【0065】
7)混合の結果として生ずるもの。
(a)セメント、
(b)大きくても2mm、好ましくは大きくても1mmの最大粒度Dを有する細粒成分、
(c)大きくても20μm、好ましくは大きくても1μmの基本粒度を有するポゾラン反応微細粒子、
(d)少なくとも1種の拡散剤、
且つ下記の(e)〜(h)の条件を満たすもの。
【0066】
(e)上記セメント(a)と上記粒子(c)との混合重量に対する水の重量パーセントが8〜25%。(f)上記有機繊維の個々の長さLが少なくとも2mmであり、且つ比L/phi(phiは繊維の直径である)が少なくとも20。(g)上記繊維の平均長さLと上記細粒成分の最大粒度Dとの間の比Rが少なくとも5。(h)上記繊維の量は、当該繊維の体積が凝結後のコンクリートの体積の大きくても8%を示すような量である。
【0067】
8)混合の結果として生ずるもの。
(a)セメント、
(b)細粒成分、
(c)大きくても1μm、好ましくは大きくても0.5μmの基本粒度を有するポゾラン反応粒子、
(d)少なくとも1種の拡散剤、
且つ下記の(1)〜(5)の条件を満たすもの。
【0068】
(1)上記セメント(a)と上記粒子(c)との混合重量Cに対する水Wの重量パーセントが8〜24%の範囲内。(2)上記繊維の個々の長さLが少なくとも2mmであり、且つ比L/phi(phiは繊維の直径である)が少なくとも20。(3)上記繊維の平均長さLと上記全ての構成要素(a)、(b)及び(c)の粒度D75との間の比Rが少なくとも5、好ましくは少なくとも10。(4)上記繊維の量が、当該繊維の体積が凝結後のコンクリートの体積の大きくても8%となるような量。(5)上記全ての構成要素(a)、(b)及び(c)が、大きくても2mm、好ましくは大きくても1mmの粒度D75、及び大きくても150μm、好ましくは大きくても100μmの粒度D50を有している。
【0069】
9)混合の結果として生ずるもの。
(a)Gクラスのポルトランドセメント(API)、Hクラスのポルトランドセメント(API)及びアルミネートの含有度の低い他の水硬結合剤からなる群からの少なくとも1種の水硬結合剤、
(b)上記水硬結合剤に対する重量%が20〜35であり、0.1〜50μmの粒度を有するマイクロシリカ、
(c)水硬結合剤に対して20〜35重量%割合で0.5〜200μmの範囲内の粒度を有し、一般的な粒子の添加量が水硬結合剤に対する比率が1〜3重量%のマイクロシリカ、高性能減水剤及び/又は水溶性の流動化剤の量以下である、一般的な無機及び/又は有機粒子の添加、
及び上記水硬結合剤の重量の大きくても30%と等しい量の水。
【0070】
10)混合の結果として生ずるもの。
(a)セメント、
(b)粒度Dgが大きくても10mmである細粒成分、
(c)0.1〜100μmの粒度成分を有するポゾラン反応粒子、
(d)少なくとも1種の拡散剤、
(e)金属及び有機繊維、
且つ下記の(1)〜(6)の条件を満たすもの。
【0071】
(1)上記セメント(a)と上記成分(c)との混合重量に対する水の重量パーセントが8〜24%の範囲内。(2)上記金属繊維は、平均長さLmが少なくとも2mmであり、且つ比Lm/d1(d1は繊維の直径である)が少なくとも20。(3)上記有機繊維の体積Vに対する上記金属繊維の体積Viの比Vi/Vが1より高く、且つ上記有機繊維の長さに対する上記金属繊維の長さの比Lm/Loが1より大きい。(4)上記金属繊維の平均長さLmと上記細粒成分の粒度Dgとの間の比Rが少なくとも3である。(5)上記金属繊維の量は、当該金属繊維の体積が凝結後のコンクリートの体積の4%未満となる量である。(6)上記有機繊維は、300℃よりも低い溶融温度を有し、平均長さLoが1mmよりも長く、且つ直径Doが大きくても200μmであり、当該有機繊維の量は、当該有機繊維の体積がコンクリートの体積の0.1〜3%となる量である。
【0072】
これらのコンクリートには熱硬化を実行することができる。例えば、熱硬化には、水硬化後、90℃又はそれ以上の温度に数時間加熱すること、一般に90℃で48時間加熱することが含まれる。
【0073】
記載された方法は、上述の装置によって実施することが可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンベロープと、
上記エンベロープの中にあるモールドと、
上記エンベロープの中を低気圧にするための真空孔(16)と、
上記モールドを変形させるための手段(18)と、を含む成形装置(10)。
【請求項2】
請求項1に記載の成形装置において、
上記エンベロープの中に薄膜(20)をさらに含む成形装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の成形装置において、
上記エンベロープの中に2枚の薄膜(20)をさらに含み、1枚の薄膜が上記モールドの上にあり且つ1枚の薄膜が上記モールドの下にある成形装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1つに記載の成形装置において、
上記モールドの中に薄膜(22)をさらに含む成形装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1つに記載の成形装置において、
上記変形させるための手段(18)が、上記モールド(14)の下にある成形装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1つに記載の成形装置において、
上記変形させるための手段(18)が、上記エンベロープ(12)に作用を及ぼす成形装置。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1つに記載の成形装置において、
上記変形させるための手段が、ジャッキを含んでいる成形装置。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1つに記載の成形装置において、
テーブルをさらに含み、上記エンベロープ(12)が当該テーブルの上にあり、且つ上記変形させるための手段が当該テーブルを通り抜けて伸びる成形装置。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1つに記載の成形装置において、
上記変形させるための手段と上記エンベロープとの間のボールジョイント(32)をさらに含む成形装置。
【請求項10】
請求項1〜6のいずれか1つに記載の成形装置において、
上記変形させるための手段が型板である成形装置。
【請求項11】
エンベロープ(12)及びモールド(14)を準備する工程と、
上記モールドの中で成形される材料を導入する工程と、
上記モールドを上記エンベロープの中に配置する工程と、
上記エンベロープの中を低気圧にする工程と、
上記モールドを変形させる工程と、を含む製造方法。
【請求項12】
請求項11に記載の製造方法において、
1つ以上の薄膜が、上記エンベロープの中で当該エンベロープと上記モールドとの間に配置される製造方法。
【請求項13】
請求項11又は12に記載の製造方法において、
上記モールドへの上記材料の導入後、当該成形される材料と上記モールドとの間に薄膜が配置される製造方法。
【請求項14】
請求項11〜13のいずれか1つに記載の製造方法において、
ジャッキ及び型板からなる手段の群から選択された、変形させるための手段の準備を含んでいる製造方法。
【請求項15】
請求項11〜14のいずれか1つに記載の製造方法において、
いくつかの成形された部品が得られるように繰り返し行われ、次いで、当該成形された部品を組み合わせる工程を含んでいる製造方法。
【請求項16】
請求項11〜15のいずれか1つに記載の製造方法において、
上記成形される材料は、下記の結果として生ずるものであり、
1)(a)所謂「CPA」と呼ばれる普通のポルトランドセメント、所謂「CPA−HP」と呼ばれる高性能ポルトランドセメント、所謂「CPA−HPR」と呼ばれる高性能且つ急結ポルトランドセメント及びアルミン酸三石灰(C3A)の含有度の低いポルトランドセメントからなる群から選ばれた、普通又は高性能及び急結タイプのポルトランドセメント;
(b)大部分の粒子が100Å〜0.5μmの直径を有し、ジルコニウム工業の副産物として得られ、当該シリカの比率がセメントの重量の10〜30重量%であるガラス質のマイクロシリカ;
(c)全体の比率が0.3%〜3%(上記セメントの重量に対する乾燥抽出物の重量)である高性能減水剤及び/又は流動化剤;
(d)大部分が0.08mm〜1.0mmの直径を有する石英の粒子を含んでいる砕石砂;
(e)場合によっては他の混合剤;
の混合物、又は、
2)(a)調和平均径に対応する粒度、又は、7μm好ましくは3〜7μmの粒度を有するセメント;
(b)1mmより小さい平均粒度を有する細砂及び10mmより小さい平均粒度を有する粗砂といった異なる粒度を有する焼成ボーキサイト砂の混合物;
(c)粒子の40%が1μmより小さい寸法を有し、調和平均径が約0.2μm、及び好ましくは0.1μmであるシリカフューム;
(d)消泡剤;
(e)高性能減水剤;
(f)場合によっては繊維;
及び水;
の混合物であり、上記セメント、上記砂及び上記シリカフュームは、少なくとも3つ及び多くても5つの異なる粒度等級があり、1つの粒度等級と直ぐ上の等級との間の調和平均径の比が約10であるような粒度を与え、又は、
3)(a)ポルトランドセメント;
(b)細粒成分;
(c)ポゾラン反応微細粒子;
(d)金属繊維;
(e)拡散剤;
及び水;
の混合物であり、優越する上記細粒成分の最大粒度Dが800μm以下であり、優越する上記金属繊維の個々の長さLが4mm〜20mmであり、上記金属繊維の平均長さLと上記細粒成分の最大粒径Dとの間の比Rが少なくとも10であり、且つ優越する上記金属繊維の量が、当該金属繊維の体積が凝結後のコンクリートの体積の1.0%〜4.0%となる量であり、又は、
4)(a)100p.のポルトランドセメント;
(b)30〜100p.、又はより良くは40〜70p.の、少なくとも150μmの粒度を有する細目砂;
(c)10〜40p.、又はより良くは20〜30p.の、0.5μmよりも小さい粒度を有するアモルファスシリカ;
(d)20〜60p.、又はより良くは30〜50p.の、10μmよりも小さい粒度を有する石英粉末;
(e)25〜100p.、又はより良くは45〜80p.のスチールウール;
(f)流動化剤、
(g)13〜26p.、又はより良くは15〜22p.の、熱硬化剤が含有された水;
の混合物、又は、
5)(a)セメント;
(b)大きくても2mm、好ましくは大きくても1mmの最大粒度Dmaxを有する細粒成分;
(c)大きくても1μm、好ましくは大きくても0.5μmの基本粒度を有するポゾラン反応粒子;
(d)平均粒度が大きくても1mmであり、且つ上記細粒成分(b)と上記ポゾラン反応粒子(c)との混合重量の2.5〜35%の体積比率で存在する針状又はプレート状粒子から選ばれた上記マトリックスの靱性を改善可能な構成要素;
(e)少なくとも1種の拡散剤;
の混合物であり、且つ下記の条件を満たす:
(1)上記セメント(a)と上記粒子(c)との混合重量に対する上記水Wの重量パーセントが8〜24%の範囲内;
(2)上記繊維の個々の長さLが少なくとも2mmであり、且つ比L/phi(phiは繊維の直径である)が少なくとも20;
(3)上記繊維の平均長さLと上記細粒成分の最大粒度Dmaxとの間の比Rが少なくとも10;
(4)上記繊維の量は、当該繊維の体積が凝結後のコンクリートの体積の4%より小さく、好ましくは3.5%より小さくなるような量;
又は、
6)(a)セメント;
(b)細粒成分;
(c)大きくても1μm、好ましくは大きくても0.5μmの基本粒度を有するポゾラン反応粒子;
(d)平均粒度が大きくても1mmであり、且つ上記細粒成分(b)と上記ポゾラン反応粒子(c)との混合重量の2.5〜35%の体積比率で存在する針状又はプレート状粒子から選ばれた上記マトリックスの靱性を改善可能な構成要素;
(e)少なくとも1種の拡散剤;
の混合物であり、且つ下記の条件を満たす:
(1)上記セメント(a)と上記粒子(c)との混合重量に対する上記水Wの重量パーセントが8〜24%の範囲内;
(2)上記繊維の個々の長さLが少なくとも2mmであり、且つ比L/phi(phiは繊維の直径である)が少なくとも20;
(3)上記繊維の平均長さLと上記全ての構成要素(a)、(b)、(c)及び(d)の粒度D75との間の比Rが少なくとも5、好ましくは少なくとも10;
(4)上記繊維の量が、当該繊維の体積が凝結後のコンクリートの体積の4%より小さく、好ましくは3.5%より小さくなるような量;
(5)上記全ての構成要素(a)、(b)、(c)及び(d)が、大きくても2mm、好ましくは大きくても1mmの粒度D75、及び大きくても200μm、好ましくは大きくても150μmの粒度D50を有している;
又は、
7)(a)セメント;
(b)大きくても2mm、好ましくは大きくても1mmの最大粒度Dを有する細粒成分;
(c)大きくても20μm、好ましくは大きくても1μmの基本粒度を有するポゾラン反応微細粒子;
(d)少なくとも1種の拡散剤;
の混合物であり、且つ下記の(e)〜(h)の条件を満たす:
(e)上記セメント(a)と上記粒子(c)との混合重量に対する水の重量パーセントが8〜25%;
(f)上記有機繊維の個々の長さLが少なくとも2mmであり、且つ比L/phi(phiは繊維の直径である)が少なくとも20;
(g)上記繊維の平均長さLと上記細粒成分の最大粒度Dとの間の比Rが少なくとも5;
(h)上記繊維の量は、当該繊維の体積が凝結後のコンクリートの体積の大きくても8%を示すような量;
又は、
8)(a)セメント;
(b)細粒成分;
(c)大きくても1μm、好ましくは大きくても0.5μmの基本粒度を有するポゾラン反応粒子;
(d)少なくとも1種の拡散剤;
の混合物であり、且つ下記の条件を満たす:
(1)上記セメント(a)と上記粒子(c)との混合重量Cに対する水Wの重量パーセントが8〜24%の範囲内;
(2)上記繊維の個々の長さLが少なくとも2mmであり、且つ比L/phi(phiは繊維の直径である)が少なくとも20;
(3)上記繊維の平均長さLと上記全ての構成要素(a)、(b)及び(c)の粒度D75との間の比Rが少なくとも5、好ましくは少なくとも10;
(4)上記繊維の量が、当該繊維の体積が凝結後のコンクリートの体積の大きくても8%となるような量;
(5)上記全ての構成要素(a)、(b)及び(c)が、大きくても2mm、好ましくは大きくても1mmの粒度D75、及び大きくても150μm、好ましくは大きくても100μmの粒度D50を有している;
又は、
9)(a)Gクラスのポルトランドセメント(API)、Hクラスのポルトランドセメント(API)及びアルミネートの含有度の低い他の水硬結合剤からなる群からの少なくとも1種の水硬結合剤、
(b)上記水硬結合剤に対する重量%が20〜35であり、0.1〜50μmの粒度を有するマイクロシリカ、
(c)水硬結合剤に対して20〜35重量%割合で0.5〜200μmの範囲内の粒度を有し、一般的な粒子の添加量が水硬結合剤に対する比率が1〜3重量%のマイクロシリカ、高性能減水剤及び/又は水溶性の流動化剤の量以下である、一般的な無機及び/又は有機粒子の添加、及び
上記水硬結合剤の重量の大きくても30%と等しい量の水;
の混合物であり、又は
10)(a)セメント;
(b)粒度Dgが大きくても10mmである細粒成分;
(c)0.1〜100μmの粒度成分を有するポゾラン反応粒子;
(d)少なくとも1種の拡散剤;
(e)金属及び有機繊維;
の混合物であり、且つ下記の条件を満たす:
(1)上記セメント(a)と上記粒子(c)との混合重量に対する水の重量パーセントが8〜24%の範囲内;
(2)上記金属繊維は、平均長さLmが少なくとも2mmであり、且つ比Lm/d1(d1は繊維の直径である)が少なくとも20;
(3)上記有機繊維の体積Vに対する上記金属繊維の体積Viの比Vi/Vが1より高く、且つ上記有機繊維の長さに対する上記金属繊維の長さの比Lm/Loが1より大きい;
(4)上記金属繊維の平均長さLmと上記細粒成分の粒度Dgとの間の比Rが少なくとも3である;
(5)上記金属繊維の量は、当該金属繊維の体積が凝結後のコンクリートの体積の4%未満となる量である、
(6)上記有機繊維は、300℃よりも低い溶融温度を有し、平均長さLoが1mmよりも長く、且つ直径Doが大きくても200μmであり、当該有機繊維の量は、当該有機繊維の体積がコンクリートの体積の0.1〜3%となる量である。
【請求項17】
請求項11〜16のいずれか1つに記載の製造方法において、
上記方法は、請求項1〜10のいずれか1つに記載の装置によって実施されることを特徴とする製造方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2010−509093(P2010−509093A)
【公表日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−535767(P2009−535767)
【出願日】平成19年10月30日(2007.10.30)
【国際出願番号】PCT/FR2007/001794
【国際公開番号】WO2008/056065
【国際公開日】平成20年5月15日(2008.5.15)
【出願人】(599002870)ラファルジュ (19)
【Fターム(参考)】