説明

扉板

【課題】少ない工程で生産性よく、かつ意匠性に優れた扉板を提供することである。
【解決手段】パネルブロック片1と縦枠2を有し、該パネルブロック片1は背板11の両側縁に該背板11に直角に、同一方向に垂下パネル片12が延設され、該両垂下パネル片12間には上記背板11に平行に仕切り板13が形成され、該形状をアルミニウム材で一体に成形してなり、上記縦枠2はアルミニウム材を一体成形した中空柱状体からなり、上記パネルブロック片1を複数個積重するとともに、少なくとも最上端のパネルブロック片1aと最下端のパネルブロック片1bとのそれぞれの背板11を外側にして積重し、上記縦枠2間にパネルブロック片1の積重体を保持せしめ、表面化粧シート4により被覆してなる扉板A。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は室内空間の間仕切り、部屋の出入り口、あるいは押入れやクローゼットに設置される扉等を構成する扉板に関する。さらに詳しくは、複数のパネルブロックを積重して形成された扉板に関するものである。
【背景技術】
【0002】
戸建住宅、マンション等の屋内における室内空間の間仕切り、部屋の出入り口、あるいは押入れやクローゼットの扉等に用いられる扉板としては、縦桟と横桟とを組んで木製の枠体を構成し、この枠体に表面材を組み付けたものが主として用いられてきた。
【0003】
従来一般的に、上記扉板は、縦桟用と横桟用の木桟を準備し、上記複数の縦桟と横桟とを組み立てて枠体を形成し、木製またはその他の素材からなる表面材を組み付け、その後、接着剤の塗布、表面化粧材の熱圧着等の工程を経て扉板としていた。
【0004】
一方、上記木桟に替えてスチール等、金属製の縦桟と横桟とで形成された枠体に、石膏ボードと金属板を複合させて表面板としたものを組み付けてなる壁面パネル装置が提案されている。
【0005】
特開平11−50567号公報には、上、下パネルは支柱に嵌合する係合縁を有し、下パネルは係合縁の上部に切欠部を有し且つ上部縁板の端部に係合孔を有し、上パネルは係合縁の下部に切欠部を有し、かつ下部縁板の端部に係合孔を有し、中間連結具は支柱部に外嵌する取付部の一側縁または両側縁にフック片を下方へ延設したものであり、両支柱間に取付けた下パネルの上部縁板の係合孔に、下パネルの切欠部の上方から差し入れた中間連結具のフック片の先端を下方から貫通させた状態で、取付部を支柱部の側面に取付け、両支柱間に取付けた上パネルの下部縁板の係合孔に下パネルの上部縁板から上方へ突出したフック片の先端を係入し、かつ上パネルの下部縁板を下パネルの上部縁板に載支してなる壁面パネル装置が開示されている。そして、この壁面パネル装置は室内空間の間仕切り壁として用いられるとの記載がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平11−50567号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記特許文献1に記載の壁面パネル装置においては、天井と床面とにそれぞれ固定した天レールと地レールとの間に複数の支柱を立設し、これら天レールと地レールと支柱からなる金属製の枠体に複数のパネルを取り付けて間仕切るため、天レールと地レールとを予め設置する必要があり、工数が増えるという問題がある。また、場所的に取り付け個所が限定されるという問題もある。
【0008】
一方、従来、一般的に採用されてきた木製の縦桟と横桟とを組み立てて枠体を形成し、さらにこの枠体に表面材を組み付けて得られる扉板は、製造工程が複雑で工数も多く、コスト的に有利ではないという問題がある。本願発明はこのような状況に鑑みて考え出されたものであり、その目的は、少ない工程で生産性よく、かつ意匠性に優れた扉板を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本願請求項1に記載の発明に係る扉板では、パネルブロック片と縦枠を有し、該パネルブロック片は背板の両側縁に該背板に直角に、同一方向に垂下パネル片が延設され、該両垂下パネル片間には上記背板に平行に仕切り板が形成され、該形状をアルミニウム材で一体に成形してなり、上記縦枠はアルミニウム材を一体成形した中空柱状体からなり、上記パネルブロック片を複数個積重するとともに、少なくとも最上端のパネルブロック片と最下端のパネルブロック片とのそれぞれの背板を外側にして積重し、上記縦枠間にパネルブロック片の積重体を保持せしめ、表面化粧シートにより被覆してなることを特徴とする。
【0010】
本願請求項2に記載の発明に係る扉板では、上記請求項1に記載の扉板において、上記中空柱状体で構成される縦枠の長手方向一側面に縦溝を形成するとともに、該縦溝の幅を上記パネルブロック片の厚み幅と略同一とし、上記縦枠間の相対向する縦溝間に上記各パネルブロック片の縦方向両端縁部を挟持させてなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本願請求項1記載の発明に係る扉板においては、パネルブロック片と中空縦枠との二つの部品からなり、何れもアルミニウム材の一体成形品であるため、押出し成形法等によって大量生産することが可能となり、コスト的に有利に部品を調達することができる。
【0012】
上記パネルブロック片は、背板の両側縁に該背板に直角に、同一方向に垂下パネル片を延設してなり、この両垂下パネル片間には上記背板に平行に仕切り板が形成されているため、この仕切り板が補強材として機能し、パネルブロック片全体の強度を向上させることができる。
【0013】
また、複数のパネルブロック片を積重した積重体の両側を左右の中空縦枠で保持して扉板基材とし、この扉板基材を表面化粧シートにより被覆して扉板とするため、従来法に比べて少ない部品で製造工数を大幅に減らして意匠性に優れた扉板を得ることができる。
【0014】
さらに、少なくとも最上端のパネルブロック片と最下端のパネルブロック片とのそれぞれの背板が外側にして積重されているため、パネルブロック片のフラットな背板が上下木口面となって外観性が向上したものとなる。また、中空縦枠の上下木口面が開口しているために各種の部品、例えば、ランナー、戸車、回転支持軸等の取付けが可能となる。
【0015】
本願請求項2記載の発明に係る扉板においては、上記中空柱状体で構成される縦枠の長手方向一側面に縦溝を形成し、この縦溝の幅を上記パネルブロック片の厚み幅と略同一としているため、上記縦枠間の相対向する縦溝間に上記各パネルブロック片の縦方向両端縁部を挟持させたとき、パネルブロック片の積重体の縦方向両端縁部が縦溝にタイトに嵌合するため、左右の縦枠によってしっかりと挟持される。このようにして、上記縦枠間にパネルブロック片の積重体をしっかりと保持させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本願発明に係る扉板を構成するパネルブロック片を示す外観斜視図。
【図2】本願発明に係る扉板を構成する縦枠を示す部分外観斜視図。
【図3】複数個のパネルブロック片を積重した形態を示す外観斜視図。
【図4】(a)本願発明に係る扉板基材を示す平面説明図。(b)本願発明に係る扉板を示す平面説明図。
【図5】本願発明に係る異なった実施例である扉板を示す平面説明図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本願発明に係る扉板の実施形態を、図面を参照して詳細に説明する。図1は、上記扉板を構成するパネルブロック片1を示す外観斜視図である。図1に示すように上記パネルブロック片1は、背板11の両側縁に該背板11に直角に、かつ同一方向に相対向して垂下した一対のパネル片12、12を延設してなるとともに、上記背板11の下方で、上記一対の垂下パネル片12、12間には、上記背板11と平行に仕切り板13が設けられている。そして、これらはアルミニウム材を押出し成形する等の方法によって一体に形成されているため、上記仕切り板13は、パネルブロック片1全体の補強材として機能する。符号14は、後記するタッピングビス等の固定手段を取付けるための取付孔部を示す。また、符号d1はパネルブロック片1の厚み幅を示す。
【0018】
図2は、複数個積重された上記パネルブロック片1を挟持して組み付ける縦枠2を示す部分外観斜視図である。この縦枠2はアルミニウム材を押出し成形する等の方法によって中空柱状体に形成される。相対向して一対で用いられる縦枠2、2の長手方向の内側側面には、上記した複数個のパネルブロック片1の縦方向両端縁部を嵌合して挟持するための縦溝21、21が形成されている。この縦溝21の幅d2は、図1に示すパネルブロック片1の厚み幅d1と略同一とされている。該縦枠2はその横断面が略方形をしており、上記縦溝21の反対側の外側面23の角部は面取りされている。また上記縦枠2の上下端部は開口端部22とされている。該開口端部22はランナー、戸車等が必要に応じて取り付けられるものであり、ランナー、戸車等を取り付ける必要がない場合、例えば化粧用蓋体5(図4(b)参照)が装着される。
【0019】
図3は、複数個のパネルブロック片1を積重した形態を示す外観斜視図である。積重するパネルブロック片1は、所望のパネル体、例えば開閉用のドアとする場合は、ドアの大きさ、高さによって適宜の幅を有するパネルブロック片1が適宜個数用いられる。図3においては、3個のパネルブロック片1が積重されているが、所望の高さのドアとなるように、適宜、積重する個数を加減すればよい。
【0020】
ここで、最上端に配設されるパネルブロック片1aは上横桟として機能し、図1に示す背板11が上面となるように配設され、最下端に配設されるパネルブロック片1bは下横桟として機能するとともに、図1に示す背板11が下面となるように配設される。そして、図3に示すパネルブロック片1の積重体の縦方向両端縁部15、15を、上記相対向する縦枠2の内側に設けられた縦溝21、21に嵌合する。
【0021】
このとき、上記縦溝21の幅d2は、上記パネルブロック片1の厚み幅d1と略同一とされているため、パネルブロック片1の積重体の縦方向両端縁部15、15は縦溝21にタイトに嵌合し、左右の縦枠2、2によってしっかりと挟持される。このようにすることによって、本願発明に係る扉板を構成する後記扉板基材Bを得ることができる。また、上記扉板基材Bの底面は、パネルブロック片1bのフラットな背板11で構成されているため、強度が大であり、また外観性も向上したものとなる。
【0022】
図4(a)は上記扉板基材Bを示す平面説明図である。図4(a)に示すように、扉板基材Bは2本の縦枠2、2と、上横桟としてのパネルブロック片1aと、図示しない下横桟としてのパネルブロック片1bとで構成され、枠体を形成している。そのため、強度的に優れたものとなり、また見映えのよいものとなる。
【0023】
ここで、図4(a)に示すように、上記縦枠2の外側面23にタッピングビス3を螺挿して前記図1に示す取付孔部14にタッピングビス3の先端をねじ込んでもよい。このように、パネルブロック片1の積重体の縦方向両端縁部15を縦枠2の縦溝21に嵌合して挟持し、さらにタッピングビス3等の固定手段によって固定することによって、より強固に縦枠2をパネルブロック片1の積重体に組み付けることができる。
【0024】
図4(b)は、上記扉板基材Bの表面を表面化粧シート4で覆って得られた本願発明に係る扉板Aを示す平面説明図である。上記表面化粧シート4としては、例えば木目模様が印刷された天然木調の化粧シート等が用いられ、この表面化粧シート4を扉板基材Bの表面に接着剤で接着、熱融着等の公知の方法でラッピングすることによって扉板Aとすることができる。また、図4において縦枠2の開口端部22を化粧用蓋体5で覆う。このようにすることにより、開口端部22が露出することなく化粧用蓋体5でカバーされるため、外観意匠性をさらに向上させることができる。
【0025】
図5は、本願発明の異なった実施例である扉板Cを示すもので、1はパネルブロック片であり、2は縦枠、4は表面化粧シートである。この扉板Cは、パネルブロック片1と縦枠2,2との厚みがほぼ同じであり、組み付けした場合にパネルブロック片1と縦枠2,2との間に段差が生じないものであり、このために、表面化粧シート4で被覆した場合に外観が良いものであり、特に扉板として適切なものとなる。また、表面化粧シート4は全面に被覆してもよいが図5に示すように裏面側に折り返し縦枠2,2の裏面部で固着しても良いものである。
【0026】
このように本願発明に係る扉板Aは設計変更自在であり、特許請求の範囲を逸脱しない限り本願発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0027】
1 パネルブロック片
1a 最上端に配設されるパネルブロック片
1b 最下端に配設されるパネルブロック片
11 背板
12 垂下パネル片
13 仕切り板
14 取付孔部
15 縦方向両端縁部
2 縦枠
21 縦溝
22 開口端部
23 外側面
3 タッピングビス
4 表面化粧シート
5 化粧用蓋体
d1 パネルブロック片の厚み幅
d2 縦溝の幅
A 本願発明に係る扉板
B 本願発明に係る扉板基材
C 本願発明に係る扉板の異なった実施例

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パネルブロック片と縦枠を有し、該パネルブロック片は背板の両側縁に該背板に直角に、同一方向に垂下パネル片が延設され、該両垂下パネル片間には上記背板に平行に仕切り板が形成され、該形状をアルミニウム材で一体に成形してなり、上記縦枠はアルミニウム材を一体成形した中空柱状体からなり、上記パネルブロック片を複数個積重するとともに、少なくとも最上端のパネルブロック片と最下端のパネルブロック片とのそれぞれの背板を外側にして積重し、上記縦枠間にパネルブロック片の積重体を保持せしめ、表面化粧シートにより被覆してなる扉板。
【請求項2】
上記中空柱状体で形成される縦枠の長手方向一側面に縦溝を形成するとともに、該縦溝の幅を上記パネルブロック片の厚み幅と略同一とし、上記縦枠間の相対向する縦溝間に上記各パネルブロック片の縦方向両端縁部を挟持させてなる請求項1記載の扉板。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−246602(P2012−246602A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−116653(P2011−116653)
【出願日】平成23年5月25日(2011.5.25)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】