扉構造、及び脱水装置
【課題】点検時等に扉体を開放しても、扉体内表面に付着した水が装置の外部に滴下するような事態を招くことのない扉構造を提供する。
【解決手段】空間を囲む壁体10の側面に設けられる扉構造であって、壁体10の側面に形成された開口部11と、開口部11を塞ぐ閉塞姿勢にあるときに、下端縁部が開口部11の下端より壁体10の内部側で下方に延出する延出部12aを備えた扉体12と、扉体12の下部に備えた支軸13回りに、扉体12の上部を壁体10で囲まれた空間の外側に回動させることにより、扉体12を閉塞姿勢から開放姿勢へ姿勢変更させる回動部15とを備えている。
【解決手段】空間を囲む壁体10の側面に設けられる扉構造であって、壁体10の側面に形成された開口部11と、開口部11を塞ぐ閉塞姿勢にあるときに、下端縁部が開口部11の下端より壁体10の内部側で下方に延出する延出部12aを備えた扉体12と、扉体12の下部に備えた支軸13回りに、扉体12の上部を壁体10で囲まれた空間の外側に回動させることにより、扉体12を閉塞姿勢から開放姿勢へ姿勢変更させる回動部15とを備えている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空間を囲む壁体の側面に設けられる扉構造、及び脱水装置に関する。
【背景技術】
【0002】
水分を含む被処理物を処理する各種の処理装置、例えば、脱水装置や除塵装置やコンベア装置等は、被処理物や被処理物に含まれる水分が装置外部に飛散しないように、外装カバーとなる壁体で被覆されている。
【0003】
当該壁体には、内部機構の点検、修理等のための開口部が形成され、開口部を閉塞または開放する扉体が設けられている。
【0004】
例えば、特許文献1の図1には、胴部に扉体がボルト固定されたスクリュープレス濾過装置が開示されている。また、特許文献2の図1には、攪拌胴部に点検扉が設けられた有機汚泥等の撹拌装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−26708号公報
【特許文献2】特開平11−128710号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
通常、このような扉体は開口部にボルト固定され、或いは左右何れかの端部にヒンジ固定されている。
【0007】
例えば、図13に示すように、扉体12の左右何れかの辺部を、ヒンジ機構20を介して壁体10に取り付け、扉体12の閉塞時に、扉体12の内表面に付着した水滴が内表面を伝って壁体10と扉体12との間隙から漏洩しないように、扉体12と扉体12の受け部との間にパッキン10cを介在させるとともに、扉体12の内表面下部に水滴を受け止めて装置内部に滴下させる水切り板40を備えている。尚、符号20は取手である。
【0008】
また、図14に示すように、壁体10の下部に扉体12の内表面を伝う水を収容して装置内部に逃がす樋部42を備えた落し込み式の扉構造を採用した例もある。当該扉構造では、取手18を把持して扉体12を上方に持ち上げ、扉体12下縁を手前に引くことにより、壁体10から扉体12が離脱できるように構成されている。
【0009】
しかし、何れの扉構造を採用する場合であっても、点検時に扉を開放すると、扉の内表面に付着した水が、床面や壁体の外表面に滴下して、悪臭を伴なう汚染を招き、煩雑なクリーニング作業が要求されるという問題があった。
【0010】
本発明の目的は、上述した問題に鑑み、点検時等に扉体を開放しても、扉体内表面に付着した水が装置の外部に滴下するような事態を招くことのない扉構造、及び脱水装置を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述の目的を達成するため、本発明による扉構造の第一の特徴構成は、特許請求の範囲の書類の請求項1に記載した通り、空間を囲む壁体の側面に設けられる扉構造であって、壁体の側面に形成された開口部と、開口部を塞ぐ閉塞姿勢にあるときに、下端縁部が開口部の下端より壁体の内部側で下方に延出する延出部を備えた扉体と、扉体の下部に備えた支軸回りに、扉体の上部を壁体で囲まれた空間の外側に回動させることにより、扉体を閉塞姿勢から開放姿勢へ姿勢変更させる回動部と、を備えている点にある。
【0012】
上述の構成によれば、閉塞姿勢であっても、回動部を介して扉体を閉塞姿勢から開放姿勢へ姿勢変更した場合であっても、扉体の内表面に付着した水滴が、内表面を伝い延出部から壁体内部に流れ落ちるために、壁体と扉体との間隙から漏洩し、或いは壁体の外部に滴下するような事態を未然に回避することができる。
【0013】
同第二の特徴構成は、同請求項2に記載した通り、上述した第一の特徴構成に加えて、回動部は、支軸と、支軸と係脱自在に係合して支軸と摺接する凹状の受け部で構成され、何れか一方が開口部の下部に固定され、他方が扉体の下部に固定されている点にある。
【0014】
例えば、開口部の下部に支軸が固定され、扉体の下部に受け部が固定される場合には、壁体に固定された支軸に扉体の受け部を係入させることにより、扉体が支軸で回動自在に支持できるようになる。また、開口部の下部に受け部が固定され、扉体の下部に支軸が固定される場合には、壁体に固定された受け部に扉体の支軸を係入させることにより、扉体が支軸で回動自在に支持できるようになる。受け部と支軸が係脱自在に係合されるため、必要に応じて壁体から扉体を離脱させることも可能となる。
【0015】
同第三の特徴構成は、同請求項3に記載した通り、上述した第一または第二特徴構成に加えて、回動部による扉体の開放姿勢への回動時に、扉体の回動角度が90度を超えない所定角度で扉体の延出部と接当して、所定角度以上の扉体の回動を規制する回動角度規制部材を開口部に備えている点にある。
【0016】
上述の構成によれば、扉体の上部を壁体で囲まれた空間の外側に回動させる際に、扉体の延出部が開口部に備えた回動角度規制部材に接当して、所定角度以上の扉体の回動が規制される。所定角度が90度を超えない角度に設定されているので、扉体の内表面に付着した水滴が扉体の上部から逆流して外部に滴下することも回避できるようになる。
【0017】
同第四の特徴構成は、同請求項4に記載した通り、上述した第二または第三特徴構成に加えて、扉体の上部に係止部を備えるとともに、開口部の上端縁部に係止部と係合する係入部を備え、閉塞姿勢で扉体を上方へ移動させることにより係止部と係入部が係脱自在に係合するロック機構を備えている点にある。
【0018】
上述の構成によれば、閉塞姿勢で扉体を上方へ移動させて空間内部側に押し込むと、扉体の上部に備えた係止部と開口部の上端縁部に備えた係入部が係合し、その後、扉体を下方へ移動させることにより扉体を閉塞姿勢でロックできるようになる。逆に、閉塞姿勢で扉体を上方へ移動させて空間の外側に引くと、係合状態が解除され、その後、扉体を下方へ移動させると、扉体を閉塞姿勢に回動させることができるようになる。このような構成により非常にシンプルなロック機構を構成することができるようになる。
【0019】
本発明による脱水装置の特徴構成は、同請求項5に記載した通り、上述の第一から第四の何れかの特徴構成を備えた扉構造を装置の壁体に備え、ロール間に架け渡された透水性無端ベルトを備え、透水性無端ベルト上に供給された被処理物を脱水して排出する点にある。
【0020】
透水性無端ベルト上に供給された被処理物から水分を分離する脱水装置に、上述した扉構造を採用することにより、点検時に扉体から床面等に汚水が滴下するような事態の発生が未然に防止でき、煩雑な清掃作業負担から開放され、衛生的な作業環境を確保できるようになる。
【発明の効果】
【0021】
以上説明した通り、本発明によれば、点検時等に扉体を開放しても、扉体内表面に付着した水が装置の外部に滴下するような事態を招くことのない扉構造、及び脱水装置を提供することができるようになった。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明による扉構造が採用された脱水装置の概観を示す斜視図
【図2】本発明による扉構造が採用された脱水装置の説明図
【図3】本発明による扉構造の扉体を示し、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は側面図
【図4】本発明による扉構造の扉体を示し、(a)は開放姿勢で回動角度規制部材により規制された扉体を含む要部断面図、(b)は閉塞姿勢にある扉体を含む要部断面図
【図5】本発明による扉構造の開口部の正面図
【図6】本発明による扉構造の要部の分解斜視図
【図7】本発明による扉構造のロック機構を示し、(a)はロック状態を示す要部断面図、(b)はロック状態の解除過程の要部断面図、(c)はロック状態の解除後の要部断面図
【図8】(a),(b)は本発明による扉構造の第二の回動角度規制部材の説明図
【図9】本発明による扉構造の別実施形態を示し、(a)は開放姿勢で回動角度規制部材により規制された扉体を含む要部断面図、(b)は閉塞姿勢にある扉体を含む要部断面図
【図10】本発明による扉構造の別実施形態を示し、(a)は開放姿勢で回動角度規制部材により規制された扉体を含む要部断面図、(b)は閉塞姿勢にある扉体を含む要部断面図
【図11】本発明による扉構造が適用されるコンベア装置の説明図
【図12】本発明による扉構造が適用される除塵装置の説明図
【図13】従来の扉構造を示し、(a)は正面図、(b)は側断面図
【図14】従来の扉構造を示す説明図
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下に、本発明による扉構造、及び脱水装置の実施形態を説明する。
図2に、下水処理場で発生した余剰汚泥を、脱水して濃縮するベルト式の脱水装置1が示されている。
【0024】
汚泥貯留槽Aに貯留された被処理物である活性汚泥が、汚泥ポンプP1を備えた搬送管Bを介して脱水装置1に圧送されるとともに、薬液溶解タンクCに充填された凝集剤が薬液ポンプP2を介して搬送管Bに供給される。尚、符号FIは流量計である。
【0025】
脱水装置1は、搬送管Bを介して供給される被処理物を受け入れる受入部2と、モータMで駆動される一対のロール3,3間に架け渡された透水性無端ベルト4と、透水性無端ベルト4上で脱水した被処理物を排出する排出シュート5を備えている。
【0026】
受入部2には攪拌機構6が設けられ、供給された被処理物と凝集剤が攪拌機構6により攪拌されてフロックが形成され、さらに、透水性無端ベルト4に供給される。
【0027】
透水性無端ベルト4には、多数の細孔が形成され、透水性無端ベルト4上に供給された被処理物に含まれる水分が細孔から下方に落水して被処理物が脱水される。
【0028】
排出シュート5から排出された被処理物が濃縮汚泥貯留槽Eに貯留される一方、排出シュート5に向けて被処理物が離脱した後の透水性無端ベルト4は、洗浄ノズル7から洗浄水が噴射されて洗浄される。
【0029】
透水性無端ベルト4から落水したろ液及び洗浄排水は、中央部に設けられた排水シュート8から排水槽Dへ排水される。
【0030】
図1及び図2に示すように、脱水装置1は、被処理物や被処理物に含まれる水分が装置外部に飛散しないように、内部空間が金属製の外装カバーとなる壁体10で被覆されている。
【0031】
壁体10の前面及び背面の両側面には、装置の点検、清掃、修理等のための複数の開口部11が形成され、当該開口部11には開閉自在な板状の扉体12が設けられている。
【0032】
壁体10内部は、湿潤環境にあり、洗浄ノズル7から噴射された洗浄水が飛散して、壁体10や扉体12の内面に水滴が付着し、或いは、壁体の内側と外側の温度差により壁体10や扉体12の内面に結露が生じやすく、点検時等に扉体12を開放すると、扉体12内面に付着した水滴が装置外に滴下して床面を汚すという問題がある。
【0033】
そのため、図3及び図4に示すように、扉体12には、その下端縁部が開口部11の下端より壁体10の内部側で下方に延出する延出部12aが設けられている。
【0034】
扉体12が開口部11を塞ぐ閉塞姿勢にあるときに、扉体12と扉体12の下方の壁体10が面一となり(図4(b)参照)、下方の壁体10の内側に延出部12aが位置するように、扉体12の表面から壁体10の肉厚に相当する段差部が形成され、その段差部から下方に延出部12aが形成され、そのさらに下方が僅かに内側に傾斜している(図3(c)参照)。
【0035】
扉体12が開口部11を開口する開放姿勢にあるときに、扉体12の内表面に付着した水滴が、内表面を伝い延出部12aからその下方の壁体10内部に流れ落ちることにより、壁体10と扉体12との間隙から外部に漏洩し、或いは壁体10の外部に滴下するような事態を未然に回避することができるように構成されているのである。
【0036】
図4及び図5に示すように、開口部11の上縁部及び左右縁部の壁体10が、内側にクランク型に折り曲げられ、壁体10と平行な面となる折り曲げ部10bには、閉塞姿勢の扉体12の内側面と水密が確保されるように、ゴム製のパッキン10cが貼り付けられている。
【0037】
図5及び図6に示すように、開口部11の左右縁部の折り曲げ部のうち、壁体10と垂直な面となる折り曲げ部10dには、開口部11の下部で、支軸13となるピンが中央部に向けて水平姿勢で突出するように固定されている。
【0038】
また、図3(c)及び図4に示すように、扉体12の左右縁部が脱水装置1の内部空間側に略90度折り曲げられ、折り曲げ部12cの下端側の切欠部に、支軸13に係脱自在に係入して支軸13と摺接するU字状の湾曲部14aを備えた受け部14が固定されている。
【0039】
つまり、図6に示すように、支軸13と受け部14が係合することにより、支軸13回りに扉体12の上部を壁体10で囲まれた空間の外側に回動させることにより、扉体12を閉塞姿勢から開放姿勢へ姿勢変更可能な回動部15が構成されている。
【0040】
湾曲部14aが支軸13に係脱自在に係入されているため、必要に応じて扉体12を持ち上げることにより、壁体10から扉体12を離脱させることも可能となる。
【0041】
受け部14の一端に、扉体12の延出部12aに沿って下方に延出して延出部12aを補強する補強部14bが形成されている。
【0042】
図4(a)に示すように、扉体12が回動部15により開放方向に回動すると、クランク型に折り曲げられた開口部11の左右縁部の壁体10e(図5参照)に補強部14bで補強された延出部12aが接当して、所定角度以上の扉体12の回動を規制するように構成されている。
【0043】
つまり、開口部11の左右縁部の壁体10が回動角度規制部材16となる。尚、所定角度とは、扉体の回動角度が90度を超えない角度であればよく、本実施形態では50度程度に設定されている。
【0044】
さらに、図4、図5及び図7に示すように、扉体12の上部を壁体10の内部側にコの字状に折り曲げた係止部12bが形成されるとともに、壁体10の上端縁部、つまり、開口部11の上縁部の壁体10がクランク型に折り曲げられた縁部10bに、係入部10fとなる左右一対の爪部が溶接等により固定されている。
【0045】
図7(a)から(c)に示すように、回動部15により開放姿勢から扉体12を回動させて閉塞姿勢に姿勢変更させた状態で、扉体12を上方へ移動させて(図7(b)参照)、扉体12を脱水装置1の内部空間側に押し込むと(図7(a)参照)、扉体12の上部に備えた係止部12bと壁体10の上端縁部に備えた係入部10fが係合し、その後、扉体12を下方へ移動させることにより扉体12を閉塞姿勢で扉体12の自重によりロックできるようになる。
【0046】
逆に、閉塞姿勢で扉体12を上方へ移動させて(図7(b)参照)、扉体12を脱水装置の内部空間から外側に引くと(図7(c)参照)、係止部12bと係入部10fの係合状態が解除され、その後、扉体12を下方へ移動させると、扉体12を開放姿勢に回動させることができるようになる。
【0047】
つまり、係止部12bと係入部10fにより扉体12を閉塞姿勢で固定するロック機構17が構成されている。
【0048】
図3、図4及び図6に示すように、扉体12の表面には、長手方向が縦姿勢となる左右一対のコの字状の取手18がボルト固定され、上述した閉塞姿勢と開放姿勢との姿勢変更操作、ロック機構17の操作、扉体12の壁体10からの離脱操作が当該取手を介して容易に操作できるように構成されている。
【0049】
また、扉体12の係止部12bの左右方向中央部、及び、開口部11の上縁部の壁体10がクランク型に折り曲げられた縁部10bの左右方向中央部には、それぞれ孔部h1,h2が形成され(図3(b)、図5参照)、当該孔部h1,h2に、壁体10と扉体12とのなす角度が所定角度以上の開放姿勢となることを回避するチェーン部材19が掛けられている(図8参照)。つまり、チェーン部材19により扉体12の回動を規制する第二の回動角度規制部材16aが構成されている。
【0050】
以上説明したように、壁体10の側面に形成された開口部11と、開口部11を塞ぐ閉塞姿勢にあるときに、下端縁部が開口部11の下端より壁体の内部側で下方に延出する延出部12aを備えた扉体12と、扉体12の下部に備えた支軸13回りに、扉体12の上部を壁体10で囲まれた空間の外側に回動させることにより、扉体を閉塞姿勢から開放姿勢へ姿勢変更させる回動部15とを備え、空間を囲む壁体の側面に設けられる扉構造が実現されている。
【0051】
上述した扉構造の他の例を説明する。
上述した実施形態では、回動部15が、開口部11の下部に固定された支軸13と、扉体12の下部に固定された凹状の受け部14で構成される場合を説明したが、回動部15は、支軸13と、支軸13と係脱自在に係合して支軸13と摺接する凹状の受け部14で構成され、何れか一方が開口部11の下部に固定され、他方が扉体12の下部に固定されていればよい。
【0052】
例えば、図9に示すように、扉体12の下部に固定された支軸13と、開口部11の下部に固定された凹状の受け部14で回動部15を構成してもよい。当該受け部14は、開口部11の左右縁部の折り曲げ部のうち、壁体10と平行な面となる折り曲げ部に固定され、支軸13は、扉体12の内壁面に固定された一対の支持部13a,13a間に支持されている。
【0053】
また、図10に示すように、扉体12の表面であって延出部12aの直上部と、開口部11の下端縁部の壁体10間にヒンジ機構20を取り付けて、当該ヒンジ機構20により回動部15を構成してもよい。
【0054】
この場合も、回動角度規制部材16は上述した実施形態と同様の構成を採用することができる。つまり、扉体12が回動部15により開放方向に回動すると、クランク型に折り曲げられた開口部11の左右縁部の壁体10eに延出部12aが接当して、所定角度以上の扉体12の回動を規制するように構成されている。
【0055】
尚、図9及び図10に示す実施形態では、扉体12表面の左右方向中央部であって、上部側に、取手となるハンドル21を備えるとともに、ハンドル21の回転操作に連動して回転する爪部22を扉体12裏面に取り付けて、扉体12が閉塞姿勢にあるときに、ハンドル21を回転操作することにより、爪部22が、開口部11の上縁部及び左右縁部の壁体10をクランク型に折り曲げた縁部10bと係合して、扉体12を閉塞姿勢でロックするロック機構を備えてもよい。
【0056】
上述した実施形態では、本発明による扉構造をベルト式の脱水装置1の外装カバーとなる壁体10の側面に設けた例を説明したが、本発明による扉構造が適用される脱水装置は、ベルト式の脱水装置に限るものではなく、スクリュープレス方式の脱水装置や遠心分離方式の脱水装置等にも適用可能である。
【0057】
また、図11に示すような、水平姿勢または傾斜姿勢に接地されたコンベア装置の外装カバーとなる壁体10の側面に本発明による扉構造を採用することも可能である。図11には、駆動機30により軸心が回転するスクリュー31により被搬送物を搬送するコンベア装置が示されているが、ベルト式搬送機構を備えたコンベア装置等にも適用可能である。
【0058】
さらに、図12に示すような、排水機場に設置され、河川から流入する挟雑物をスクリーンで受け止め、受け止めた挟雑物を爪で掻き揚げる掻き揚げ機構32を備えた除塵装置の外装カバーとなる壁体10の側面に本発明による扉構造を採用することも可能である。
【0059】
外装カバーとなる壁体10の側面が平面形状であるか曲面形状であるかを問わず本発明による扉構造を採用することができる。
【0060】
以上説明した扉構造の具体的構成は、本発明の例示に過ぎず、本発明による作用効果を奏する範囲において、各部の具体的構造は適宜変更設計可能であることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0061】
1:脱水装置
10:壁体(外装カバー)
11:開口部
12:扉体
12a:延出部
13:支軸
14:受け部
15:回動部
16:回動角度規制部材
17:ロック機構
【技術分野】
【0001】
本発明は、空間を囲む壁体の側面に設けられる扉構造、及び脱水装置に関する。
【背景技術】
【0002】
水分を含む被処理物を処理する各種の処理装置、例えば、脱水装置や除塵装置やコンベア装置等は、被処理物や被処理物に含まれる水分が装置外部に飛散しないように、外装カバーとなる壁体で被覆されている。
【0003】
当該壁体には、内部機構の点検、修理等のための開口部が形成され、開口部を閉塞または開放する扉体が設けられている。
【0004】
例えば、特許文献1の図1には、胴部に扉体がボルト固定されたスクリュープレス濾過装置が開示されている。また、特許文献2の図1には、攪拌胴部に点検扉が設けられた有機汚泥等の撹拌装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−26708号公報
【特許文献2】特開平11−128710号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
通常、このような扉体は開口部にボルト固定され、或いは左右何れかの端部にヒンジ固定されている。
【0007】
例えば、図13に示すように、扉体12の左右何れかの辺部を、ヒンジ機構20を介して壁体10に取り付け、扉体12の閉塞時に、扉体12の内表面に付着した水滴が内表面を伝って壁体10と扉体12との間隙から漏洩しないように、扉体12と扉体12の受け部との間にパッキン10cを介在させるとともに、扉体12の内表面下部に水滴を受け止めて装置内部に滴下させる水切り板40を備えている。尚、符号20は取手である。
【0008】
また、図14に示すように、壁体10の下部に扉体12の内表面を伝う水を収容して装置内部に逃がす樋部42を備えた落し込み式の扉構造を採用した例もある。当該扉構造では、取手18を把持して扉体12を上方に持ち上げ、扉体12下縁を手前に引くことにより、壁体10から扉体12が離脱できるように構成されている。
【0009】
しかし、何れの扉構造を採用する場合であっても、点検時に扉を開放すると、扉の内表面に付着した水が、床面や壁体の外表面に滴下して、悪臭を伴なう汚染を招き、煩雑なクリーニング作業が要求されるという問題があった。
【0010】
本発明の目的は、上述した問題に鑑み、点検時等に扉体を開放しても、扉体内表面に付着した水が装置の外部に滴下するような事態を招くことのない扉構造、及び脱水装置を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述の目的を達成するため、本発明による扉構造の第一の特徴構成は、特許請求の範囲の書類の請求項1に記載した通り、空間を囲む壁体の側面に設けられる扉構造であって、壁体の側面に形成された開口部と、開口部を塞ぐ閉塞姿勢にあるときに、下端縁部が開口部の下端より壁体の内部側で下方に延出する延出部を備えた扉体と、扉体の下部に備えた支軸回りに、扉体の上部を壁体で囲まれた空間の外側に回動させることにより、扉体を閉塞姿勢から開放姿勢へ姿勢変更させる回動部と、を備えている点にある。
【0012】
上述の構成によれば、閉塞姿勢であっても、回動部を介して扉体を閉塞姿勢から開放姿勢へ姿勢変更した場合であっても、扉体の内表面に付着した水滴が、内表面を伝い延出部から壁体内部に流れ落ちるために、壁体と扉体との間隙から漏洩し、或いは壁体の外部に滴下するような事態を未然に回避することができる。
【0013】
同第二の特徴構成は、同請求項2に記載した通り、上述した第一の特徴構成に加えて、回動部は、支軸と、支軸と係脱自在に係合して支軸と摺接する凹状の受け部で構成され、何れか一方が開口部の下部に固定され、他方が扉体の下部に固定されている点にある。
【0014】
例えば、開口部の下部に支軸が固定され、扉体の下部に受け部が固定される場合には、壁体に固定された支軸に扉体の受け部を係入させることにより、扉体が支軸で回動自在に支持できるようになる。また、開口部の下部に受け部が固定され、扉体の下部に支軸が固定される場合には、壁体に固定された受け部に扉体の支軸を係入させることにより、扉体が支軸で回動自在に支持できるようになる。受け部と支軸が係脱自在に係合されるため、必要に応じて壁体から扉体を離脱させることも可能となる。
【0015】
同第三の特徴構成は、同請求項3に記載した通り、上述した第一または第二特徴構成に加えて、回動部による扉体の開放姿勢への回動時に、扉体の回動角度が90度を超えない所定角度で扉体の延出部と接当して、所定角度以上の扉体の回動を規制する回動角度規制部材を開口部に備えている点にある。
【0016】
上述の構成によれば、扉体の上部を壁体で囲まれた空間の外側に回動させる際に、扉体の延出部が開口部に備えた回動角度規制部材に接当して、所定角度以上の扉体の回動が規制される。所定角度が90度を超えない角度に設定されているので、扉体の内表面に付着した水滴が扉体の上部から逆流して外部に滴下することも回避できるようになる。
【0017】
同第四の特徴構成は、同請求項4に記載した通り、上述した第二または第三特徴構成に加えて、扉体の上部に係止部を備えるとともに、開口部の上端縁部に係止部と係合する係入部を備え、閉塞姿勢で扉体を上方へ移動させることにより係止部と係入部が係脱自在に係合するロック機構を備えている点にある。
【0018】
上述の構成によれば、閉塞姿勢で扉体を上方へ移動させて空間内部側に押し込むと、扉体の上部に備えた係止部と開口部の上端縁部に備えた係入部が係合し、その後、扉体を下方へ移動させることにより扉体を閉塞姿勢でロックできるようになる。逆に、閉塞姿勢で扉体を上方へ移動させて空間の外側に引くと、係合状態が解除され、その後、扉体を下方へ移動させると、扉体を閉塞姿勢に回動させることができるようになる。このような構成により非常にシンプルなロック機構を構成することができるようになる。
【0019】
本発明による脱水装置の特徴構成は、同請求項5に記載した通り、上述の第一から第四の何れかの特徴構成を備えた扉構造を装置の壁体に備え、ロール間に架け渡された透水性無端ベルトを備え、透水性無端ベルト上に供給された被処理物を脱水して排出する点にある。
【0020】
透水性無端ベルト上に供給された被処理物から水分を分離する脱水装置に、上述した扉構造を採用することにより、点検時に扉体から床面等に汚水が滴下するような事態の発生が未然に防止でき、煩雑な清掃作業負担から開放され、衛生的な作業環境を確保できるようになる。
【発明の効果】
【0021】
以上説明した通り、本発明によれば、点検時等に扉体を開放しても、扉体内表面に付着した水が装置の外部に滴下するような事態を招くことのない扉構造、及び脱水装置を提供することができるようになった。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明による扉構造が採用された脱水装置の概観を示す斜視図
【図2】本発明による扉構造が採用された脱水装置の説明図
【図3】本発明による扉構造の扉体を示し、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は側面図
【図4】本発明による扉構造の扉体を示し、(a)は開放姿勢で回動角度規制部材により規制された扉体を含む要部断面図、(b)は閉塞姿勢にある扉体を含む要部断面図
【図5】本発明による扉構造の開口部の正面図
【図6】本発明による扉構造の要部の分解斜視図
【図7】本発明による扉構造のロック機構を示し、(a)はロック状態を示す要部断面図、(b)はロック状態の解除過程の要部断面図、(c)はロック状態の解除後の要部断面図
【図8】(a),(b)は本発明による扉構造の第二の回動角度規制部材の説明図
【図9】本発明による扉構造の別実施形態を示し、(a)は開放姿勢で回動角度規制部材により規制された扉体を含む要部断面図、(b)は閉塞姿勢にある扉体を含む要部断面図
【図10】本発明による扉構造の別実施形態を示し、(a)は開放姿勢で回動角度規制部材により規制された扉体を含む要部断面図、(b)は閉塞姿勢にある扉体を含む要部断面図
【図11】本発明による扉構造が適用されるコンベア装置の説明図
【図12】本発明による扉構造が適用される除塵装置の説明図
【図13】従来の扉構造を示し、(a)は正面図、(b)は側断面図
【図14】従来の扉構造を示す説明図
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下に、本発明による扉構造、及び脱水装置の実施形態を説明する。
図2に、下水処理場で発生した余剰汚泥を、脱水して濃縮するベルト式の脱水装置1が示されている。
【0024】
汚泥貯留槽Aに貯留された被処理物である活性汚泥が、汚泥ポンプP1を備えた搬送管Bを介して脱水装置1に圧送されるとともに、薬液溶解タンクCに充填された凝集剤が薬液ポンプP2を介して搬送管Bに供給される。尚、符号FIは流量計である。
【0025】
脱水装置1は、搬送管Bを介して供給される被処理物を受け入れる受入部2と、モータMで駆動される一対のロール3,3間に架け渡された透水性無端ベルト4と、透水性無端ベルト4上で脱水した被処理物を排出する排出シュート5を備えている。
【0026】
受入部2には攪拌機構6が設けられ、供給された被処理物と凝集剤が攪拌機構6により攪拌されてフロックが形成され、さらに、透水性無端ベルト4に供給される。
【0027】
透水性無端ベルト4には、多数の細孔が形成され、透水性無端ベルト4上に供給された被処理物に含まれる水分が細孔から下方に落水して被処理物が脱水される。
【0028】
排出シュート5から排出された被処理物が濃縮汚泥貯留槽Eに貯留される一方、排出シュート5に向けて被処理物が離脱した後の透水性無端ベルト4は、洗浄ノズル7から洗浄水が噴射されて洗浄される。
【0029】
透水性無端ベルト4から落水したろ液及び洗浄排水は、中央部に設けられた排水シュート8から排水槽Dへ排水される。
【0030】
図1及び図2に示すように、脱水装置1は、被処理物や被処理物に含まれる水分が装置外部に飛散しないように、内部空間が金属製の外装カバーとなる壁体10で被覆されている。
【0031】
壁体10の前面及び背面の両側面には、装置の点検、清掃、修理等のための複数の開口部11が形成され、当該開口部11には開閉自在な板状の扉体12が設けられている。
【0032】
壁体10内部は、湿潤環境にあり、洗浄ノズル7から噴射された洗浄水が飛散して、壁体10や扉体12の内面に水滴が付着し、或いは、壁体の内側と外側の温度差により壁体10や扉体12の内面に結露が生じやすく、点検時等に扉体12を開放すると、扉体12内面に付着した水滴が装置外に滴下して床面を汚すという問題がある。
【0033】
そのため、図3及び図4に示すように、扉体12には、その下端縁部が開口部11の下端より壁体10の内部側で下方に延出する延出部12aが設けられている。
【0034】
扉体12が開口部11を塞ぐ閉塞姿勢にあるときに、扉体12と扉体12の下方の壁体10が面一となり(図4(b)参照)、下方の壁体10の内側に延出部12aが位置するように、扉体12の表面から壁体10の肉厚に相当する段差部が形成され、その段差部から下方に延出部12aが形成され、そのさらに下方が僅かに内側に傾斜している(図3(c)参照)。
【0035】
扉体12が開口部11を開口する開放姿勢にあるときに、扉体12の内表面に付着した水滴が、内表面を伝い延出部12aからその下方の壁体10内部に流れ落ちることにより、壁体10と扉体12との間隙から外部に漏洩し、或いは壁体10の外部に滴下するような事態を未然に回避することができるように構成されているのである。
【0036】
図4及び図5に示すように、開口部11の上縁部及び左右縁部の壁体10が、内側にクランク型に折り曲げられ、壁体10と平行な面となる折り曲げ部10bには、閉塞姿勢の扉体12の内側面と水密が確保されるように、ゴム製のパッキン10cが貼り付けられている。
【0037】
図5及び図6に示すように、開口部11の左右縁部の折り曲げ部のうち、壁体10と垂直な面となる折り曲げ部10dには、開口部11の下部で、支軸13となるピンが中央部に向けて水平姿勢で突出するように固定されている。
【0038】
また、図3(c)及び図4に示すように、扉体12の左右縁部が脱水装置1の内部空間側に略90度折り曲げられ、折り曲げ部12cの下端側の切欠部に、支軸13に係脱自在に係入して支軸13と摺接するU字状の湾曲部14aを備えた受け部14が固定されている。
【0039】
つまり、図6に示すように、支軸13と受け部14が係合することにより、支軸13回りに扉体12の上部を壁体10で囲まれた空間の外側に回動させることにより、扉体12を閉塞姿勢から開放姿勢へ姿勢変更可能な回動部15が構成されている。
【0040】
湾曲部14aが支軸13に係脱自在に係入されているため、必要に応じて扉体12を持ち上げることにより、壁体10から扉体12を離脱させることも可能となる。
【0041】
受け部14の一端に、扉体12の延出部12aに沿って下方に延出して延出部12aを補強する補強部14bが形成されている。
【0042】
図4(a)に示すように、扉体12が回動部15により開放方向に回動すると、クランク型に折り曲げられた開口部11の左右縁部の壁体10e(図5参照)に補強部14bで補強された延出部12aが接当して、所定角度以上の扉体12の回動を規制するように構成されている。
【0043】
つまり、開口部11の左右縁部の壁体10が回動角度規制部材16となる。尚、所定角度とは、扉体の回動角度が90度を超えない角度であればよく、本実施形態では50度程度に設定されている。
【0044】
さらに、図4、図5及び図7に示すように、扉体12の上部を壁体10の内部側にコの字状に折り曲げた係止部12bが形成されるとともに、壁体10の上端縁部、つまり、開口部11の上縁部の壁体10がクランク型に折り曲げられた縁部10bに、係入部10fとなる左右一対の爪部が溶接等により固定されている。
【0045】
図7(a)から(c)に示すように、回動部15により開放姿勢から扉体12を回動させて閉塞姿勢に姿勢変更させた状態で、扉体12を上方へ移動させて(図7(b)参照)、扉体12を脱水装置1の内部空間側に押し込むと(図7(a)参照)、扉体12の上部に備えた係止部12bと壁体10の上端縁部に備えた係入部10fが係合し、その後、扉体12を下方へ移動させることにより扉体12を閉塞姿勢で扉体12の自重によりロックできるようになる。
【0046】
逆に、閉塞姿勢で扉体12を上方へ移動させて(図7(b)参照)、扉体12を脱水装置の内部空間から外側に引くと(図7(c)参照)、係止部12bと係入部10fの係合状態が解除され、その後、扉体12を下方へ移動させると、扉体12を開放姿勢に回動させることができるようになる。
【0047】
つまり、係止部12bと係入部10fにより扉体12を閉塞姿勢で固定するロック機構17が構成されている。
【0048】
図3、図4及び図6に示すように、扉体12の表面には、長手方向が縦姿勢となる左右一対のコの字状の取手18がボルト固定され、上述した閉塞姿勢と開放姿勢との姿勢変更操作、ロック機構17の操作、扉体12の壁体10からの離脱操作が当該取手を介して容易に操作できるように構成されている。
【0049】
また、扉体12の係止部12bの左右方向中央部、及び、開口部11の上縁部の壁体10がクランク型に折り曲げられた縁部10bの左右方向中央部には、それぞれ孔部h1,h2が形成され(図3(b)、図5参照)、当該孔部h1,h2に、壁体10と扉体12とのなす角度が所定角度以上の開放姿勢となることを回避するチェーン部材19が掛けられている(図8参照)。つまり、チェーン部材19により扉体12の回動を規制する第二の回動角度規制部材16aが構成されている。
【0050】
以上説明したように、壁体10の側面に形成された開口部11と、開口部11を塞ぐ閉塞姿勢にあるときに、下端縁部が開口部11の下端より壁体の内部側で下方に延出する延出部12aを備えた扉体12と、扉体12の下部に備えた支軸13回りに、扉体12の上部を壁体10で囲まれた空間の外側に回動させることにより、扉体を閉塞姿勢から開放姿勢へ姿勢変更させる回動部15とを備え、空間を囲む壁体の側面に設けられる扉構造が実現されている。
【0051】
上述した扉構造の他の例を説明する。
上述した実施形態では、回動部15が、開口部11の下部に固定された支軸13と、扉体12の下部に固定された凹状の受け部14で構成される場合を説明したが、回動部15は、支軸13と、支軸13と係脱自在に係合して支軸13と摺接する凹状の受け部14で構成され、何れか一方が開口部11の下部に固定され、他方が扉体12の下部に固定されていればよい。
【0052】
例えば、図9に示すように、扉体12の下部に固定された支軸13と、開口部11の下部に固定された凹状の受け部14で回動部15を構成してもよい。当該受け部14は、開口部11の左右縁部の折り曲げ部のうち、壁体10と平行な面となる折り曲げ部に固定され、支軸13は、扉体12の内壁面に固定された一対の支持部13a,13a間に支持されている。
【0053】
また、図10に示すように、扉体12の表面であって延出部12aの直上部と、開口部11の下端縁部の壁体10間にヒンジ機構20を取り付けて、当該ヒンジ機構20により回動部15を構成してもよい。
【0054】
この場合も、回動角度規制部材16は上述した実施形態と同様の構成を採用することができる。つまり、扉体12が回動部15により開放方向に回動すると、クランク型に折り曲げられた開口部11の左右縁部の壁体10eに延出部12aが接当して、所定角度以上の扉体12の回動を規制するように構成されている。
【0055】
尚、図9及び図10に示す実施形態では、扉体12表面の左右方向中央部であって、上部側に、取手となるハンドル21を備えるとともに、ハンドル21の回転操作に連動して回転する爪部22を扉体12裏面に取り付けて、扉体12が閉塞姿勢にあるときに、ハンドル21を回転操作することにより、爪部22が、開口部11の上縁部及び左右縁部の壁体10をクランク型に折り曲げた縁部10bと係合して、扉体12を閉塞姿勢でロックするロック機構を備えてもよい。
【0056】
上述した実施形態では、本発明による扉構造をベルト式の脱水装置1の外装カバーとなる壁体10の側面に設けた例を説明したが、本発明による扉構造が適用される脱水装置は、ベルト式の脱水装置に限るものではなく、スクリュープレス方式の脱水装置や遠心分離方式の脱水装置等にも適用可能である。
【0057】
また、図11に示すような、水平姿勢または傾斜姿勢に接地されたコンベア装置の外装カバーとなる壁体10の側面に本発明による扉構造を採用することも可能である。図11には、駆動機30により軸心が回転するスクリュー31により被搬送物を搬送するコンベア装置が示されているが、ベルト式搬送機構を備えたコンベア装置等にも適用可能である。
【0058】
さらに、図12に示すような、排水機場に設置され、河川から流入する挟雑物をスクリーンで受け止め、受け止めた挟雑物を爪で掻き揚げる掻き揚げ機構32を備えた除塵装置の外装カバーとなる壁体10の側面に本発明による扉構造を採用することも可能である。
【0059】
外装カバーとなる壁体10の側面が平面形状であるか曲面形状であるかを問わず本発明による扉構造を採用することができる。
【0060】
以上説明した扉構造の具体的構成は、本発明の例示に過ぎず、本発明による作用効果を奏する範囲において、各部の具体的構造は適宜変更設計可能であることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0061】
1:脱水装置
10:壁体(外装カバー)
11:開口部
12:扉体
12a:延出部
13:支軸
14:受け部
15:回動部
16:回動角度規制部材
17:ロック機構
【特許請求の範囲】
【請求項1】
空間を囲む壁体の側面に設けられる扉構造であって、
壁体の側面に形成された開口部と、
開口部を塞ぐ閉塞姿勢にあるときに、下端縁部が開口部の下端より壁体の内部側で下方に延出する延出部を備えた扉体と、
扉体の下部に備えた支軸回りに、扉体の上部を壁体で囲まれた空間の外側に回動させることにより、扉体を閉塞姿勢から開放姿勢へ姿勢変更させる回動部と、
を備えている扉構造。
【請求項2】
回動部は、支軸と、支軸と係脱自在に係合して支軸と摺接する凹状の受け部で構成され、何れか一方が開口部の下部に固定され、他方が扉体の下部に固定されている請求項1記載の扉構造。
【請求項3】
回動部による扉体の開放姿勢への回動時に、扉体の回動角度が90度を超えない所定角度で扉体の延出部と接当して、所定角度以上の扉体の回動を規制する回動角度規制部材を開口部に備えている請求項1または2記載の扉構造。
【請求項4】
扉体の上部に係止部を備えるとともに、開口部の上端縁部に係止部と係合する係入部を備え、閉塞姿勢で扉体を上方へ移動させることにより係止部と係入部が係脱自在に係合するロック機構を備えている請求項2または3記載の扉構造。
【請求項5】
請求項1から4の何れかに記載された扉構造を装置の壁体に備え、ロール間に架け渡された透水性無端ベルトを備え、透水性無端ベルト上に供給された被処理物を脱水して排出する脱水装置。
【請求項1】
空間を囲む壁体の側面に設けられる扉構造であって、
壁体の側面に形成された開口部と、
開口部を塞ぐ閉塞姿勢にあるときに、下端縁部が開口部の下端より壁体の内部側で下方に延出する延出部を備えた扉体と、
扉体の下部に備えた支軸回りに、扉体の上部を壁体で囲まれた空間の外側に回動させることにより、扉体を閉塞姿勢から開放姿勢へ姿勢変更させる回動部と、
を備えている扉構造。
【請求項2】
回動部は、支軸と、支軸と係脱自在に係合して支軸と摺接する凹状の受け部で構成され、何れか一方が開口部の下部に固定され、他方が扉体の下部に固定されている請求項1記載の扉構造。
【請求項3】
回動部による扉体の開放姿勢への回動時に、扉体の回動角度が90度を超えない所定角度で扉体の延出部と接当して、所定角度以上の扉体の回動を規制する回動角度規制部材を開口部に備えている請求項1または2記載の扉構造。
【請求項4】
扉体の上部に係止部を備えるとともに、開口部の上端縁部に係止部と係合する係入部を備え、閉塞姿勢で扉体を上方へ移動させることにより係止部と係入部が係脱自在に係合するロック機構を備えている請求項2または3記載の扉構造。
【請求項5】
請求項1から4の何れかに記載された扉構造を装置の壁体に備え、ロール間に架け渡された透水性無端ベルトを備え、透水性無端ベルト上に供給された被処理物を脱水して排出する脱水装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2011−26865(P2011−26865A)
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−174389(P2009−174389)
【出願日】平成21年7月27日(2009.7.27)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年7月27日(2009.7.27)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【Fターム(参考)】
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