説明

手すり

【課題】高さ調節を行う際に、簡単な作業で脚部を支柱に強固に固定でき、且つ、安全で意匠性の高い手すりを提供する。
【解決手段】手すり本体4の脚部42が内嵌合する支柱3に脚部42を上下の任意の位置で固定して把持部の高さを調節する高さ調節手段7を備える。高さ調節手段7は、両端が開口し、内周面に雄螺子52が形成され、支柱3に外嵌合する筒部材5と、脚部42外周面に上下方向の複数箇所で凹凸嵌合により外嵌合する位置決め部材6とを備える。支柱3の端部内周面には、位置決め部材6の下端が当接して位置決め部材6の支柱3側への移動を規制する環状突条部32cが設けられる。支柱3の端部(接続部材32)外周面には、筒部材5の雄螺子52が螺合する雌螺子32dが設けられる。筒部材5の上端側開口周りには、位置決め部材6の上端が当接して位置決め部材6の脚部42側への移動を規制する環状延出部51が設けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使用者が把持する把持部の高さを調節可能な手すりに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、例えば、特許文献1に開示されているように、使用者が離床等する際に使用者の支えとして用いる手すりが知られている。該手すりは、略矩形状ベースプレートの上面から上方に延出する一対の略円柱状支柱と、水平方向に延びる把持部及び該把持部の長手方向両端部から下方に延出する一対の略円筒状脚部を有する手すり本体とを備え、上記脚部が上記支柱に上方から内嵌合している。そして、上記各支柱の上端部周面には、螺子孔が当該支柱の内部と外部とが繋がるように径方向に貫通形成され、該螺子孔には、高さ調節手段としての螺子の軸部が螺合するようになっていて、該軸部の一端に連続する円盤状のハンドル部を回して上記軸部先端を上記脚部の任意の箇所に押し付けることにより、上記軸部先端と上記支柱内周面とで上記脚部を挟み込んで上記手すり本体が上記支柱に固定されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実用新案登録第3127542号公報(段落0017、0019欄、図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1の手すりでは、使用者がハンドル部を回して上記脚部を上記支柱に固定する際、上記ハンドル部の回しが不十分であると、螺子が緩んで軸部の脚部への押付力が減ってしまい、使用中に脚部と支柱との相対位置がずれて手すり本体の高さが変わってしまうおそれがある。
【0005】
また、上記螺子のハンドル部は、上記支柱の外側方に飛び出しているので、使用者が上記手すりを使用中に上記ハンドル部に接触して怪我をするおそれがあるとともに、見栄えも悪い。
【0006】
本発明は、斯かる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、高さ調節を行う際に、簡単な作業で脚部を支柱に強固に固定でき、且つ、安全で意匠性の高い手すりを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、本発明は、把持部の高さを調節する高さ調節手段の構造に工夫を凝らしたことを特徴とする。
【0008】
第1の発明では、ベースプレートと、該ベースプレート上面から上方に延出する一対の支柱と、水平方向に延びる把持部及び該把持部の長手方向両端部から下方に延出して上記一対の支柱に上方から内嵌合又は外嵌合する一対の脚部を有する手すり本体と、上記脚部を上記支柱に嵌合した状態で上下の任意の位置で固定することにより上記把持部の高さを調節する高さ調節手段とを備え、上記高さ調節手段は、両端が開口し、且つ、内周面に係合部が形成され、上記脚部及び支柱のうち外側に位置する方に外嵌合される筒部材と、上記脚部及び支柱のうち内側に位置する方と上記外側に位置する方の端部との間に介在され、上記内側に位置する方の外周面に上下方向の複数個所で凹凸嵌合により外嵌合される位置決め部材とを備え、上記脚部及び支柱のうち外側に位置する方の端部内周面には、上記位置決め部材の一端が当接して該位置決め部材の上記外側に位置する方への移動を規制する第1規制部が設けられるとともに、上記外側に位置する方の端部外周面には、上記筒部材の上記係合部が係合する被係合部が設けられ、上記筒部材の一端側開口周りには、上記位置決め部材の他端が当接して該位置決め部材の上記内側に位置する方への移動を規制する第2規制部が設けられていることを特徴とする。
【0009】
第2の発明では、第1の発明において、上記位置決め部材は、一部にスリットが形成された略Cリング状をなし、その内周面には、周方向に沿って延びる突条部が突設され、上記脚部及び支柱のうち内側に位置する方の外周面には、周方向に沿って延び、上記突条部と嵌合する溝部が上下方向に所定の間隔をあけて複数形成されていることを特徴とする。
【0010】
第3の発明では、第1又は第2の発明において、上記係合部は雄螺子であり、上記被係合部は雌螺子であり、上記雄螺子が雌螺子に螺合することにより、互いに係合することを特徴とする。
【0011】
第4の発明では、第1から第3のいずれか1つの発明において、上記脚部及び支柱のうち外側に位置する方の端部は、上記第1規制部に上記位置決め部材の一端が当接する状態で当該位置決め部材の外周面に近接していることを特徴とする。
【0012】
第5の発明では、第4の発明において、上記脚部及び支柱のうち外側に位置する方の端部には、端部開口側に開放するスリットが端部開口周りに所定の間隔をあけて複数形成されて、当該端部は可撓性を有し、上記係合部及び被係合部の係合動作で上記端部が内側方に撓んで上記位置決め部材に当接するようになっていることを特徴とする。
【0013】
第6の発明では、第1から第5のいずれか1つの発明において、上記筒部材の一端側開口周縁には、上記脚部及び支柱のうち内側に位置する方の外周面に摺接可能に当接する突起が一端側開口周りに所定の間隔をあけて複数突設され、上記脚部及び支柱のうち内側に位置する方の端部には、外側に位置する方の内周面に摺接する接触部が設けられていることを特徴とする。
【0014】
第7の発明では、第6の発明において、上記接触部が可撓性を有していることを特徴とする。
【0015】
第8の発明では、第1から第7のいずれか1つの発明において、上記ベースプレートの下面には、把手が取り付けられていることを特徴とする。
【0016】
第9の発明では、第1から第8のいずれか1つの発明において、上記支柱を上記ベースプレートに対して起伏させる起伏手段を備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
第1の発明では、位置決め部材を脚部及び支柱のうち内側に位置する方に嵌合して、高さ調節手段により手すりの高さを調節した際、第1規制部が上記外側に位置する方への位置決め部材の移動を規制する一方、第2規制部が上記内側に位置する方への位置決め部材の移動を規制するので、上記位置決め部材が上記第1規制部と第2規制部とで挟まれて脚部が支柱に強固に固定される。したがって、位置決め部材を上記内側に位置する方に嵌合させるという簡単な作業で脚部を支柱に強固に固定でき、高さ調節時における使用者の操作にばらつきが生じ難く、特許文献1のように使用者の操作のばらつきによって脚部と支柱との相対位置がずれて手すり本体の高さが変わってしまうといった事態が生じない。また、手すりの高さを調節した後、位置決め部材は筒部材に覆われるので、使用者が手すりを使用する際に位置決め部材に接触して怪我をするといった事態が生じず安全であるとともに、意匠性が高い。
【0018】
第2の発明では、位置決め部材がリング状をなして外側方に撓み易いので、位置決め部材の突条部を他の溝部に嵌合して手すりの高さを調節する際、上記位置決め部材を拡径方向に撓ませることにより溝部と突条部とを簡単に非嵌合状態にして、他の溝部まで位置決め部材を簡単に移動させることができる。
【0019】
第3の発明では、脚部及び支柱のうち外側に位置する方と筒部材とが互いに雄螺子と雌螺子との螺合により結合するので、上記外側に位置する方と筒部材とが互いに強固に結合される。
【0020】
第4の発明では、高さ調節手段により手すりの高さを調節する際、脚部及び支柱のうち内側に位置する方と外側に位置する方の端部とが接触しないので、高さ調節を容易に行うことができる。一方、高さ調節手段により手すりの高さを調節した状態で、脚部及び支柱の外側に位置する方の端部が位置決め部材の外側方への移動を妨げるようになるので、位置決め部材が外側方に移動して脚部及び支柱の内側に位置する方から不意に外れてしまうといった事態を防ぎ、支柱に脚部を強固に固定しておくことができる。
【0021】
第5の発明では、脚部と位置決め部材とが互いに接触するとともに、位置決め部材と支柱とが互いに接触するようになるので、脚部と支柱とが位置決め部材を介して隙間なく繋がり、当該部分におけるがたつきを発生させないようにできる。
【0022】
第6の発明では、高さ調節手段により手すりの高さを調節した状態で、脚部及び支柱のうち外側に位置する方に係合する筒部材と、脚部及び支柱のうち内側に位置する方の中途部との間が複数の突起で常に接触するとともに、上記外側に位置する方の内周面と上記内側に位置する方の端部との間が接触部で常に接触するようになる。したがって、所定の間隔をあけた2点で脚部と支柱との間がそれぞれ接触するので、脚部と支柱との間のがたつきを完全になくすことができる。
【0023】
第7の発明では、脚部を支柱に対してスライドさせる際に、接触部が脚部及び支柱のうち外側に位置する方の内周面に沿って変形するようになる。したがって、上記外側に位置する方の内周面と接触部との間の摩擦抵抗が減って脚部を支柱に対して滑らかにスライドさせることができる。
【0024】
第8の発明では、手すりを移動させる際に、把手を持つことによって簡単に手すりを移動させることができる。
【0025】
第9の発明では、支柱を折り畳むことで手すりがコンパクトになるので、手すりの不使用時において、手すりの移動を容易にでき、しかも、手すりの収納が容易である。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の実施形態1に係る手すりの斜視図である。
【図2】本発明の実施形態1に係る手すりの高さ調節部分を拡大した分解斜視図である。
【図3】図1のA−A線断面図である。
【図4】本発明の実施形態1に係る手すりにおける筒部材の平面図である。
【図5】本発明の実施形態1の手すりを折り畳んだ状態を示す斜視図である。
【図6】本発明の実施形態1の手すりにおける支柱部分の拡大側面視であり、(a)は、ベースプレートに対して支柱を起こした状態を、(b)は、ベースプレートに対して支柱を倒した状態をそれぞれ示す図である。
【図7】本発明の実施形態1の手すりを裏面から見た斜視図である。
【図8】図1のB−B線断面図である。
【図9】実施形態1の変形例1に係る図3相当図である。
【図10】本発明の実施形態2に係る図2相当図である。
【図11】本発明の実施形態3に係る図3相当図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎない。
《発明の実施形態1》
図1は、本発明の実施形態1に係る手すり1を示す。該手すり1は、主に高齢者や被介護者等の使用者が離床等する際の支えとして使用するものであり、略長方形状をなす鉄製ベースプレート2と、該ベースプレート2の上面から上方に延出する一対の鉄製支柱3と、使用者の把持する部分となる手すり本体4とを備えている。
【0028】
上記ベースプレート2は、略長方形状の平坦部2aと、該平坦部2aの外周縁から外側方に延出する周辺部2bとを備え、該周辺部2bは、外側方に行くにつれて緩やかに下傾している。
【0029】
上記平坦部2a上面の長手方向一方側には、図5に示すように、一対の円柱状突起2cが平坦部2aの幅方向に離間して突設され、上記突起2cの外周面には雄螺子部2d(図6にのみ示す)が形成されている。
【0030】
また、上記平坦部2a下面の長手方向一方側には、図6及び図7に示すように、使用者が手すり1を運搬する際に把持可能な樹脂製の把手20が取り付けられている。
【0031】
該把手20は、略六角形をなす環状に加工した板材で、且つ、ベースプレート2の長手方向に幅広な形状をなしていて、長手方向両端部分が平坦部2a下面に固定され、上記周辺部2bの外周縁より下方に飛び出さないようになっている。
【0032】
さらに、上記平坦部2a下面の長手方向他方側には、略矩形板状の鋼板10が取り付けられ、該鋼板10は、上記手すり1を所望する位置に配置した際に、手すり本体4とのバランスをとって手すり1が倒れないように安定させるバランサーとして機能する。
【0033】
上記各支柱3は、図1に示すように、ベースプレート2の長手方向一方側においてベースプレート2の幅方向に離間して設けられた上下に延びる略円筒状の支柱本体31と、該支柱本体31の上端に外嵌合するリング状の接続部材32(図3参照)と、上記支柱本体31の下端に一体に繋がる略矩形板状の支柱プレート33(図5及び図6参照)とを備え、上記支柱本体31は、上記支柱プレート33におけるベースプレート2の長手方向他方側外寄りに位置している。
【0034】
上記接続部材32は、上半部分の第1側部32aが下半部分の第2側部32bより小径で内側に位置する段差状をなしていて、図3に示すように、段差部分が上記支柱本体31の上端に接触した状態で、第2側部32bの周方向に形成された複数の螺子孔Hを支柱本体31上端側の周方向に形成された複数の螺子孔hに対応させて螺子孔H及び螺子孔hに螺子(図示せず)をねじ込むことにより、接続部材32が支柱本体31の上端部に固定され、支柱3の上端部を構成している。
【0035】
また、上記接続部材32の段差部分には、環状突条部(第1規制部)32cが内側方に向かって突設され、上記環状突条部32cの突出端は、上記支柱本体31の内周面より外方に位置している。
【0036】
さらに、上記第1側部32aの外周面には、雌螺子(被係合部)32dが形成されている。
【0037】
上記支柱プレート33におけるベースプレート2の長手方向一方側内寄りには、図5に示すように、ベースプレート2の長手方向に沿って延びる長孔33aが形成されている。該長孔33aには、上記突起2cが挿通するようになっていて、図6(a)に示すように、上記長孔33aに上記突起2cが挿通した状態で、内周面に雌螺子部11aを有するハンドル付きナット11を上記突起2cの雄螺子部2dに締め付けることにより、ベースプレート2上面に支柱プレート33が固定されるようになっている。
【0038】
また、上記支柱プレート33における上記長孔33aの外側方には、図5に示すように、略円状の貫通孔33bが形成され、各支柱プレート33におけるベースプレート2の長手方向他端側は、ベースプレート2の幅方向に延びる細丸棒状連結部33cで互いに一体に連結されている。
【0039】
上記手すり本体4は、図1及び図8に示すように、水平方向に延び、且つ、使用者が握り易いように断面略楕円状をなす把持部41(以下、第1把持部41と呼ぶ)と、該第1把持部41の長手方向両端部から下方に延出する一対の脚部42とを備え、該各脚部42はそれぞれ上記各支柱3に上方から内嵌合するようになっている。
【0040】
上記第1把持部41と上記脚部42との連続部分は、緩やかに湾曲し、その外周面には、湾曲方向に沿って延びる凹部41aが形成され、該凹部41aに当該凹部41aの形状に対応する蛍光プレート40が嵌合されている。
【0041】
上記脚部42の下端側外周面には、図2及び図3に示すように、周方向に沿って延びる溝部42bが上下方向に所定の間隔をあけて複数形成されている。
【0042】
また、上記脚部42の下端には、短円柱状の可撓性を有するゴム部材46が取り付けられている。該ゴム部材46の下端周縁には、所定の間隔をあけて複数の突出部(接触部)46aが外側方に突設され、該突出部46aは、上記支柱本体31の内周面に摺接するようになっている。
【0043】
上記第1把持部41の下方には、当該第1把持部41と平行に延びて両端部が各脚部42に一体に繋がる第2、第3及び第4把持部43〜45が上から順に設けられ、該第2、第3及び第4把持部43〜45は、図8に示すように、上記第1把持部41と同様に、断面略楕円状をなしている。
【0044】
上記手すり本体4の第1把持部41及び脚部42は、略U字状の金属製パイプPの周りを樹脂Reで被覆して形成される一方、上記第2、第3及び第4把持部43〜45は、樹脂Reのみで形成され、上記手すり本体4の表面には、シボ加工(図示せず)がなされている。
【0045】
上記脚部42の下端側には、図3に示すように、両端が開口するリング状の筒部材5がスライド可能に外嵌合されている。
【0046】
該筒部材5は、上記接続部材32の外形に対応するように上側部分の第1筒側部5aが下側部分の第2筒側部5bより小径で内側に位置する段差状をなし、上記第1筒側部5aの開口端には、内側方に延出する環状延出部(第2規制部)51が形成され、該環状延出部51の内周縁には、図4に示すように、上記脚部42外周面に摺接可能に当接する突起51aが所定の間隔をあけて複数突設されている。
【0047】
上記第1筒側部5aの内周面には、上記雌螺子32dに螺合する雄螺子(係合部)52が形成され、上記雌螺子32dに雄螺子52が螺合することにより、上記筒部材5が上記支柱3の上端、すなわち、接続部材32に外嵌合するようになっている。
【0048】
上記脚部42の下端側には、一部にスリット6aが形成された略Cリング状をなす位置決め部材6が凹凸嵌合により外嵌合されるようになっている。
【0049】
該位置決め部材6の内周面には、図2及び図3に示すように、周方向に沿って延びる突条部6bが突設され、上記各溝部42bに嵌合可能となっている。
【0050】
そして、各溝部42bの1つに上記突条部6bを嵌合させて上記位置決め部材6を上記脚部42に外嵌合した状態で、上記脚部42を支柱3側に移動させると、図3に示すように、上記接続部材32の第1側部32a内周面と上記位置決め部材6の外周面とが近接した状態で、当該位置決め部材6が脚部42と上記接続部材32の第1側部32aとの間に介在されるとともに、上記位置決め部材6の下端が上記環状突条部32cに当接して上記位置決め部材6の支柱3側への移動が規制されるようになっている。
【0051】
また、上記位置決め部材6の下端が上記環状突条部32cに当接している状態で、上記雄螺子52を上記雌螺子32dに螺合させることにより上記筒部材5を上記支柱3の上端(接続部材32)に外嵌合させると、上記位置決め部材6の上端が上記環状延出部51に当接して上記位置決め部材6の脚部42側への移動が規制されるようになっている。
【0052】
このように、上記脚部42に外嵌合する位置決め部材6の上下方向の移動を上記環状突条部32c及び上記環状延出部51で規制することにより、上記脚部42を上記支柱3に内嵌合した状態で上下方向の任意の位置で固定し、上記第1〜第4把持部41、43〜45の高さを調整可能となっている。したがって、上記筒部材5と上記位置決め部材6とで高さ調節手段7を構成している。
【0053】
上記ベースプレート2の長手方向一方側上面には、図5及び図6に示すように、当該ベースプレート2に上記各支柱3を取り付けるヒンジ部材34と、該ヒンジ部材34を覆うヒンジカバー35とが設けられている。
【0054】
該ヒンジ部材34は、ベースプレート2の幅方向に沿って延びる平面視で略長方形状をなし、上記ヒンジ部材34におけるベースプレート2の長手方向中央には、上方に膨出する膨出部34aがベースプレート2の幅方向に沿って形成され、上記膨出部34aには、下方に開口する凹部34bがベースプレート2の幅方向に沿って形成されている。
【0055】
そして、上記連結部33cを上記凹部34bに嵌合させた状態で上記ヒンジ部材34をベースプレート2上面に固定することにより、当該ベースプレート2に対して各支柱3が連結部33cを回動中心として回動可能となり、上記ベースプレート2に対して各支柱3を回動させることにより、図6(a)に示すように、上記支柱3が上記ベースプレート2上面から上方に延びる状態と、上記ベースプレート2上面に沿う状態とに起伏させることができるようになっている。尚、上記連結部33cとヒンジ部材34とが起伏手段9を構成している。
【0056】
上記各支柱プレート33は、平面視でベースプレート2の幅方向に沿って延びる略長方形状をなす樹脂製カバー部材8により覆われている。該カバー部材8は、2つの支柱プレート33及びヒンジカバー35の一部を覆うパネル面8aと、該パネル面8aの外周縁から下方に突出する側板8bとを備え、上記パネル面8aの長手方向両端寄りには、上記各支柱本体31がそれぞれ挿通する一対の挿通孔80が形成されている。
【0057】
また、上記側板8bにおけるベースプレート2の長手方向他方側には、図5に示すように、上記カバー部材8が上記各支柱プレート33を覆ったときに上記ヒンジカバー35及び連結部33cとの接触を避けるための切欠部8cが形成され、上記パネル面8a裏面の中央部分には、格子状に延びる補強リブ81が突設されている。
【0058】
さらに、上記パネル面8a裏面の長手方向両端寄りには、上記支柱プレート33の貫通孔33bに係合可能な係合片82が一対突設されていて、上記支柱3をベースプレート2に対して回動させて当該ベースプレート2に沿う状態とした際に、上記貫通孔33bに係合片82を係合させると、カバー部材8の側板8bが支柱プレート33の周縁を覆い、当該支柱プレート33の周縁と使用者との接触を防ぐようになっている。
【0059】
次に、上記手すり1の高さ調節について説明する。
【0060】
まず、上記筒部材5を回転させて支柱3上端部(接続部材32)の雌螺子32dから雄螺子52を螺脱させ、上記筒部材5を脚部42上方にスライド移動させる。このとき、筒部材5の複数の突起51aが脚部42の外周面に接触しているので、筒部材5が不意に落下して使用者の手に接触することはない。
【0061】
次に、各位置決め部材6が見える位置にまで上記手すり本体4を上方に持ち上げて、上記各位置決め部材6を拡径方向に拡げて突条部6bを溝部42bから外し、変更したい高さとなる他の溝部42bまで各位置決め部材6をそれぞれ脚部42に沿ってスライド移動させ、突条部6bを嵌合させる。
【0062】
しかる後、上記手すり本体4を下方に移動させて、上記位置決め部材6の下端を上記接続部材32の環状突条部32cに接触させる。
【0063】
そして、上記筒部材5を脚部42に対して下方にスライド移動させ、支柱3上端の雌螺子32dに雄螺子52が螺合するように上記筒部材5を回転させる。すると、上記位置決め部材6の上端に筒部材5の環状延出部51が接触し、上記手すり1の高さ調節が終了する。
【0064】
したがって、位置決め部材6を脚部42に嵌合して、高さ調節手段7により手すり1の高さを調節した際、環状突条部32cが上記支柱3側への位置決め部材6の移動を規制する一方、環状延出部51が上記脚部42側への位置決め部材6の移動を規制するので、上記位置決め部材6が上記環状突条部32cと環状延出部51とで挟まれて脚部42が支柱3に強固に固定される。したがって、位置決め部材6を上記脚部42に嵌合させるという簡単な作業で脚部42を支柱3に強固に固定でき、高さ調節時における使用者の操作にばらつきが生じ難く、特許文献1のように使用者の操作のばらつきによって脚部42と支柱3との相対位置がずれて第1〜第4把持部41、43〜45の高さが変わってしまうといった事態が生じない。また、手すり1の高さを調節した後、位置決め部材6は筒部材5に覆われるので、使用者が手すり1を使用する際に位置決め部材6に接触して怪我をするといった事態が生じず安全であるとともに、意匠性が高い。
【0065】
また、位置決め部材6がリング状をなして外側方に撓み易いので、位置決め部材6の突条部6bを他の溝部42bに嵌合して手すり1の高さを調節する際、上記位置決め部材6を拡径方向に撓ませることにより溝部42bと突条部6bとを簡単に非嵌合状態にして、他の溝部42bまで位置決め部材6を簡単に移動させることができる。
【0066】
また、脚部42と筒部材5とが互いに雄螺子52と雌螺子32dとの螺合により結合するので、支柱3と筒部材5とが互いに強固に結合される。
【0067】
また、接続部材32の第1側部32aは位置決め部材6の外周面に近接しているので、高さ調節手段7により手すり1の高さを調節する際、脚部42と支柱3の端部(第1側部32a)とが接触せず、高さ調節を容易に行うことができる。一方、高さ調節手段7により手すり1の高さを調節した状態で、支柱3の端部(第1側部32a)が位置決め部材6の外側方への移動を妨げるようになるので、位置決め部材6が外側方に移動して脚部42から不意に外れてしまうといった事態を防ぎ、支柱3に脚部42を強固に固定しておくことができる。
【0068】
また、高さ調節手段7により手すり1の高さを調節した状態で、支柱3に係合する筒部材5と、脚部42の中途部との間が複数の突起51aで常に接触するとともに、支柱3の内周面と脚部42の端部との間が突出部46aで常に接触するようになる。したがって、所定の間隔をあけた2点で脚部42と支柱3との間がそれぞれ接触するので、脚部42と支柱3との間のがたつきを完全になくすことができる。
【0069】
また、突出部46aが支柱3の内周面に接触しているので、手すり本体4は摩擦抵抗により自重で落下せず、作業者は高さ調節を安全に行うことができる。
【0070】
また、突出部46aは可撓性を有しているので、脚部42を支柱3に対してスライドさせる際に、突出部46aが支柱3の内周面に沿って変形するようになる。したがって、支柱3の内周面と突出部46aとの間の摩擦抵抗が減って脚部42を支柱3に対して滑らかにスライドさせることができる。
【0071】
次に、上記手すり1の使用状態から折り畳み状態への切り替えについて説明する。
【0072】
まず、使用者は、図6(a)に示すように、カバー部材8を支柱3に沿って上方に持ち上げる。
【0073】
次に、ハンドル付きナット11を回転させてベースプレート2上面への支柱プレート33の固定を解除する。
【0074】
しかる後、上記手すり本体4をベースプレート2の長手方向他方側に押す。すると、支柱プレート33の長孔33aからベースプレート2の突起2cが抜け出て、上記ベースプレート2に対して支柱3が回動し、図6(b)に示すように、上記手すり本体4及び支柱3が上記ベースプレート2の上面に沿う状態となる。
【0075】
そして、上記カバー部材8を支柱3の下端側に向かってスライド移動させ、係合片82を支柱プレート33の貫通孔33bに係合させる(図5参照)。
【0076】
したがって、手すり1を移動させる際に、把手20を持つことによって簡単に手すり1を移動させることができる。
【0077】
また、支柱3を折り畳むことで手すり1がコンパクトになるので、手すり1の不使用時において、手すり1の移動を容易にでき、しかも、手すり1の収納が容易である。
【0078】
次に、上記手すり1の折り畳み状態から使用状態への切り替えについて説明する。
【0079】
まず、使用者は、図6(b)に示すように、支柱プレート33の貫通孔33bからカバー部材8の係合片82を外し、カバー部材8を支柱3の上端側に向かって移動させる。
【0080】
次に、上記手すり本体4をベースプレート2の長手方向一方側に向かって持ち上げる。すると、上記ベースプレート2に対して支柱3が回動し、図6(a)に示すように、上記支柱プレート33の長孔33aがベースプレート2の突起2cに外嵌合し、上記支柱プレート33が上記ベースプレート2上面に沿うとともに、上記支柱3が上記ベースプレート2の上面から上方に延出する状態となる。
【0081】
そして、ハンドル付きナット11を上記突起2cに対応させ、且つ、雄螺子部2dに雌螺子部11aを螺合させて上記ベースプレート2上面に支柱プレート33を固定する。
【0082】
しかる後、カバー部材8を支柱3に沿って下方に移動させ、当該カバー部材8で支柱プレート33及びヒンジカバー35の一部を覆い、手すり1の使用状態となる。したがって、作業者は、手すり1を簡単に折り畳み状態から使用状態に切り替えることができる。
【0083】
図9は、本発明の実施形態1の変形例1を示す。この変形例1は、以下の点が上記で詳述した実施形態1と異なっている。すなわち、変形例1の第1側部32aの内周面は、下半部分32gが上半部分32hより内側に位置する段差状をなし、上記下半部分32gは、内側方に行くにつれて下傾している。
【0084】
また、変形例1の環状突条部32cの上面には、内側方に行くにつれて下傾する傾斜面32fが形成され、上記位置決め部材6を上記脚部42に外嵌合した状態で、上記脚部42を支柱3側に移動させると、上記位置決め部材6の下端が上記傾斜面32fに当接して位置決め部材6の支柱3側への移動が規制されるようになっている。
【0085】
また、変形例1の環状延出部51の下面には、内側方に行くにつれて上傾する傾斜面51bが形成され、上記位置決め部材6の下端が上記傾斜面32fに当接している状態で、上記雄螺子52を上記雌螺子32dに螺合させることにより上記筒部材5を上記支柱3の上端(接続部材32)に外嵌合させると、上記位置決め部材6の上端が上記傾斜面51bに当接して上記位置決め部材6の脚部42側への移動が規制されるとともに、傾斜面32f及び傾斜面51bが位置決め部材6を脚部42に押し付けるようになっている。したがって、上記位置決め部材6が傾斜面32fと傾斜面51bとで挟まれて脚部42が支柱3に強固に固定されるとともに、傾斜面32f及び傾斜面51bが位置決め部材6を脚部42に押し付けることで位置決め部材6を脚部42に強固に固定でき、位置決め部材6が脚部42から不意に外れてしまうといった事態を防ぐことができる。
【0086】
また、変形例1における溝部42bの底部は、金属パイプPにまで達していて、上記溝部42bの形状に対応するように位置決め部材6の突条部6bの突出長さが長くなっている。したがって、当該部分に大きな荷重が加わっても、突条部6b先端側がパイプP部分に引っ掛かるので、溝部42bが樹脂Re部分に形成されている実施形態1の場合に比べて溝部42bの形状が潰れ難く、溝部42bの形状が潰れて位置決め部材6が脚部42から外れてしまうといった事態が生じない。
《発明の実施形態2》
図10は、本発明の実施形態2に係る手すり1の高さ調節手段7を示す。この実施形態2では、高さ調節手段7の構造の一部が実施形態1と異なっているだけで、その他の構造は実施形態1と同じであるため、以下、実施形態1と同様の部分には同一の符号を付し、異なる部分のみを詳細に説明する。
【0087】
実施形態2の接続部材32は、樹脂材で形成され、第1側部32aには、上端部開口側に開放するスリット32eが上端部開口周りに所定の間隔をあけて4つ形成され、上記第1側部32aは可撓性を有するようになっている。尚、本実施形態2では、第1側部32aにスリット32eを4つ形成しているが、4つでなくてもよく、1つ以上形成していればよい。
【0088】
そして、各溝部42bの1つに上記突条部6bを嵌合させて上記位置決め部材6を上記脚部42に外嵌合し、且つ、上記位置決め部材6の下端を上記環状突条部32cに当接させた状態で、上記筒部材5の雄螺子52を上記第1側部32aの雌螺子32dに螺合させると、上記雄螺子52及び雌螺子32dの係合動作で上記第1側部32aが内側方に撓み、上記位置決め部材6に当接するようになっている。
【0089】
以上より、本発明の実施形態2によれば、高さ調節をした際に、脚部42と位置決め部材6とが互いに接触するとともに、位置決め部材6と支柱3とが互いに接触するようになるので、脚部42と支柱3とが位置決め部材6を介して隙間なく繋がり、当該部分におけるがたつきを発生させないようにできる。
《発明の実施形態3》
図11は、本発明の実施形態3に係る手すり1の高さ調節手段7周辺を示す。この実施形態3では、手すり本体4の脚部42が支柱3に上方から外嵌合し、それに伴って、筒部材5が脚部42下端に外嵌合し、且つ、位置決め部材6が支柱3に外嵌合する点が実施形態1と異なっている。以下、実施形態1と同様の部分には同一の符号を付し、異なる部分のみを詳細に説明する。
【0090】
上記支柱3は、樹脂材で形成され、当該支柱3の上端側外周面には、周方向に沿って延びる溝部3aが上下方向に所定の間隔をあけて複数形成され、当該溝部3aに上記位置決め部材6の突条部6bが嵌合するようになっている。
【0091】
上記支柱3の上端には、短円柱状の可撓性を有するゴム部材36が取り付けられている。該ゴム部材36の上端周縁には、所定の間隔をあけて複数の突出部(接触部)36aが外側方に突設され、該突出部36aは、上記脚部42の内周面に摺接するようになっている。
【0092】
また、接続部材32は、当該接続部材32の段差部分が上記脚部42の下端に接触した状態で当該脚部42の下端部に外嵌合されている。
【0093】
さらに、筒部材5は、上記支柱3の上端側にスライド可能に外嵌合され、上記接続部材32の雌螺子32dに雄螺子52を螺合させることにより、上記脚部42の下端、すなわち、接続部材32に外嵌合するようになっている。
【0094】
そして、各溝部3aの1つに上記突条部6bを嵌合させて上記位置決め部材6を上記支柱3に外嵌合した状態で、上記脚部42を支柱3側に移動させると、上記接続部材32の第1側部32a内周面と上記位置決め部材6の外周面とが近接した状態で、当該位置決め部材6が支柱3と接続部材32の第1側部32aとの間に介在されるとともに、上記位置決め部材6の上端が上記環状突条部32cに当接して上記位置決め部材6の脚部42側への移動が規制されるようになっている。
【0095】
また、上記位置決め部材6の上端が上記環状突条部32cに当接している状態で、上記雄螺子52を上記雌螺子32dに螺合させることにより上記筒部材5を上記脚部42の下端(接続部材32)に外嵌合させると、上記位置決め部材6の下端が上記環状延出部51に当接して上記位置決め部材6の支柱3側への移動が規制されるようになっている。
【0096】
次に、実施形態2に係る手すり1の高さ調節について説明する。
【0097】
まず、上記筒部材5を回転させて脚部42下端の雌螺子32dから雄螺子52を螺脱させ、上記筒部材5を支柱3下方にスライド移動させる。
【0098】
次に、各位置決め部材6が見える位置にまで上記手すり本体4を上方に持ち上げて、上記各位置決め部材6を外側方に撓ませて突条部6bを溝部3aから外し、変更したい高さとなる他の溝部3aまで各位置決め部材6をそれぞれ支柱3に沿ってスライド移動させ、突条部6bを嵌合させる。
【0099】
しかる後、上記手すり本体4を下方に移動させて、上記位置決め部材6の上端を上記接続部材32の環状突条部32cに接触させる。
【0100】
そして、上記筒部材5を支柱3に対して上方にスライド移動させ、脚部42下端の雌螺子32dに雄螺子52が螺合するように上記筒部材5を回転させる。すると、上記位置決め部材6の下端に筒部材5の環状延出部51が接触し、上記手すり1の高さ調節が終了する。
【0101】
尚、手すり1の使用状態と折り畳み状態との切り替えは実施形態1と同様であるので詳細な説明は割愛する。
【0102】
以上より、本発明の実施形態3によれば、位置決め部材6を支柱3に嵌合して高さ調節手段7により手すり1の高さを調節した際、環状突条部32cが脚部42側への位置決め部材6の移動を規制する一方、環状延出部51が支柱3側への位置決め部材6の移動を規制するので、上記支柱3に嵌合する位置決め部材6が上記環状突条部32cと環状延出部51とで挟まれて脚部42が支柱3に強固に固定される。したがって、実施形態1と同様に、簡単な作業で脚部42を支柱3に強固に固定でき、使用者の操作のばらつきによって脚部42と支柱3との相対位置がずれてしまうといった事態が生じない。
【0103】
また、高さ調節手段7により手すり1の高さを調節した状態で、脚部42に係合する筒部材5と、支柱3の中途部との間が複数の突起51aで常に接触するとともに、脚部42の内周面と支柱3の端部との間が突出部36aで常に接触するようになる。したがって、所定の間隔をあけた2点で脚部42と支柱3との間がそれぞれ接触するので、脚部42が支柱3に上方から外嵌合する構造であっても、脚部42と支柱3との間のがたつきを完全になくすことができる。
【0104】
また、突出部36aが脚部42の内周面に接触しているので、手すり本体4は摩擦抵抗により自重で落下せず、作業者は高さ調節を安全に行うことができる。
【0105】
また、脚部42を支柱3に対してスライドさせる際に、突出部36aが脚部42の内周面に沿って変形するようになる。したがって、脚部42の内周面と突出部36aとの間の摩擦抵抗が減って脚部42を支柱3に対して滑らかにスライドさせることができる。
【0106】
尚、本発明の実施形態1〜3では、雄螺子52が雌螺子32dに螺合することにより、筒部材5が接続部材32に係合するようになっているが、その他の手段で筒部材5と接続部材32とを係合させてもよい。
【0107】
また、本発明の実施形態1〜3では、位置決め部材6が略Cリング状をなしているが、脚部42又は支柱3の外周面に凹凸嵌合により外嵌合できるのであれば、その他の形状であってもよい。
【0108】
また、本発明の実施形態1〜3では、接続部材32が支柱本体31と別体であるが、支柱本体31の端部に一体に設けられていてもよい。
【0109】
また、本発明の実施形態1〜3では、突出部36a、46aをゴム部材36、46の端縁に設けているが、脚部42の端縁に設けてもよい。
【0110】
また、本発明の実施形態1〜3では、把手20を樹脂で形成しているが、可撓性を有するのであればこれに限らず、例えば、布で形成したものであってもよい。
【0111】
また、本発明の実施形態1〜3では、把手20の形状を略六角形をなす環状としているが、使用者が把持できる形状であればよく、例えば、棒状のものであってもよいし、略U字状のものであってもよい。
【0112】
また、本発明の実施形態1〜3では、手すり本体4の一部である第1把持部41及び脚部42を略U字状の金属製パイプPの周りに樹脂Reを被覆することにより形成しているが、これに限らず、例えば、手すり本体4の全部を樹脂だけで形成してもよいし、木材で形成してもよい。
【0113】
また、本発明の実施形態1,2では、支柱3を鉄製としているが、樹脂や木材で形成してもよい。また、本発明の実施形態3では、支柱3を樹脂製としているが、鉄や木材で形成してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0114】
本発明は、使用者が把持する把持部の高さを調節可能な手すりに適している。
【符号の説明】
【0115】
1 手すり
2 ベースプレート
3 支柱
3a 溝部
4 手すり本体
5 筒部材
6 位置決め部材
6a スリット
6b 突条部
7 高さ調節手段
9 起伏手段
20 把手
32c 環状突条部(第1規制部)
32d 雌螺子(被係合部)
32e スリット
36a 突出部(接触部)
41 第1把持部
42 脚部
42b 溝部
46a 突出部(接触部)
51 環状延出部(第2規制部)
51a 突起
52 雄螺子(係合部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベースプレートと、
該ベースプレート上面から上方に延出する一対の支柱と、
水平方向に延びる把持部及び該把持部の長手方向両端部から下方に延出して上記一対の支柱に上方から内嵌合又は外嵌合する一対の脚部を有する手すり本体と、
上記脚部を上記支柱に嵌合した状態で上下の任意の位置で固定することにより上記把持部の高さを調節する高さ調節手段とを備え、
上記高さ調節手段は、両端が開口し、且つ、内周面に係合部が形成され、上記脚部及び支柱のうち外側に位置する方に外嵌合される筒部材と、
上記脚部及び支柱のうち内側に位置する方と上記外側に位置する方の端部との間に介在され、上記内側に位置する方の外周面に上下方向の複数個所で凹凸嵌合により外嵌合される位置決め部材とを備え、
上記脚部及び支柱のうち外側に位置する方の端部内周面には、上記位置決め部材の一端が当接して該位置決め部材の上記外側に位置する方への移動を規制する第1規制部が設けられるとともに、上記外側に位置する方の端部外周面には、上記筒部材の上記係合部が係合する被係合部が設けられ、
上記筒部材の一端側開口周りには、上記位置決め部材の他端が当接して該位置決め部材の上記内側に位置する方への移動を規制する第2規制部が設けられていることを特徴とする手すり。
【請求項2】
請求項1に記載の手すりにおいて、
上記位置決め部材は、一部にスリットが形成された略Cリング状をなし、その内周面には、周方向に沿って延びる突条部が突設され、
上記脚部及び支柱のうち内側に位置する方の外周面には、周方向に沿って延び、上記突条部と嵌合する溝部が上下方向に所定の間隔をあけて複数形成されていることを特徴とする手すり。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の手すりにおいて、
上記係合部は雄螺子であり、上記被係合部は雌螺子であり、上記雄螺子が雌螺子に螺合することにより、互いに係合することを特徴とする手すり。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1つに記載の手すりにおいて、
上記脚部及び支柱のうち外側に位置する方の端部は、上記第1規制部に上記位置決め部材の一端が当接する状態で当該位置決め部材の外周面に近接していることを特徴とする手すり。
【請求項5】
請求項4に記載の手すりにおいて、
上記脚部及び支柱のうち外側に位置する方の端部には、端部開口側に開放するスリットが端部開口周りに所定の間隔をあけて複数形成されて、当該端部は可撓性を有し、上記係合部及び被係合部の係合動作で上記端部が内側方に撓んで上記位置決め部材に当接するようになっていることを特徴とする手すり。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1つに記載の手すりにおいて、
上記筒部材の一端側開口周縁には、上記脚部及び支柱のうち内側に位置する方の外周面に摺接可能に当接する突起が一端側開口周りに所定の間隔をあけて複数突設され、
上記脚部及び支柱のうち内側に位置する方の端部には、外側に位置する方の内周面に摺接する接触部が設けられていることを特徴とする手すり。
【請求項7】
請求項6に記載の手すりにおいて、
上記接触部が可撓性を有していることを特徴とする手すり。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか1つに記載の手すりにおいて、
上記ベースプレートの下面には、把手が取り付けられていることを特徴とする手すり。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか1つに記載の手すりにおいて、
上記支柱を上記ベースプレートに対して起伏させる起伏手段を備えていることを特徴とする手すり。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−34656(P2013−34656A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−172981(P2011−172981)
【出願日】平成23年8月8日(2011.8.8)
【出願人】(000138244)株式会社モルテン (105)
【Fターム(参考)】