説明

手作動式計量ポンプ

本発明は、剛な容器用に考えられた単純な設計の手作動式計量ポンプに関するものである。この独創的な計量ポンプは、二重バルブ型のものであり、下側の吸込バルブ(7)と上側の放出バルブ(8)とを計量チャンバ(6)の入口及び出口にそれぞれ備えており、前記計量チャンバは、前記下側のバルブ(7)に滑動自在に装着されている。更に、前記下側のバルブは、容器(2)の内部と連絡する中空のチューブ(13)に固定されている。本発明は流体製品を小出しするために使用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体、液体又はペースト状製品を小出しするための計量ポンプに関し、特に、一定の個別用量で供給されるよう意図された流体、液体又はペースト状生成物を収容した、可撓性の袋体もしくはピストン・浸漬チューブ付きの剛なボトル用手作動式計量ポンプと、かかるポンプを備えた小出し装置とに関するものである。
【背景技術】
【0002】
流体、液体又はペースト状製品を小出しするための計量ポンプの作動原理は良く知られている。これらのポンプは、小出しすべき製品を収容するボトルに装着されていると共に、確定容積の計量チャンバと、プッシャーの作用を受けて該チャンバ内で運動できるピストンと、少なくとも2つのバルブとから形成されている。チャンバの入口に配置されていてボトルの内部との連絡を制御する下側のバルブ、即ち、吸込バルブは、プッシャーが適切に押し込まれるときに閉じられるが、チャンバの出口にある下側のバルブは開いていて、ピストンの変位によりチャンバから追い出される製品が通るのを可能とする。その後、プッシャーが解除されるときに、ピストンはスプリングの作用を受けてチャンバ内で上に戻り、上側のバルブが閉じるが、下側のバルブは開いて、新たな1回分の製品を小出しするためにチャンバを満たすことを可能にする。
【0003】
この作動モードは、空気が、ボトルから放出された製品により解放された体積を補填するべくボトル内に入り込むことができること、及びプッシャーの作動毎に計量チャンバが一様に満たされるのを可能にすることを意味している。
【0004】
空気から離しておかなければならない製品を包装すると共に小出しするために、特に医薬品及び化粧品の分野において、ピストンが内部で運動する剛な外殻を備えた容器から一般的に構成される装置が知られており、該装置において、前記ピストンは、製品を計量チャンバにある入口オリフィスに向かって押し、それを、ピストン上方に通る空気から分離する。可撓性の袋体が内部に配置された剛な容器を備えた装置もまた知られており、この装置において、前記袋体は、製品がそこから取り出されるときに漸次収縮する。袋体に残った製品は空気から断たれているのに対して、袋体外への製品の放出は、エアレスポンプにより、或いは袋体の壁に作用するボトル内部の高圧ガスの圧力を受けて、実現することができる。
【0005】
エアレスポンプにより袋体から製品を放出する場合、ボトルと袋体の間にあるスペース内にポンプの作動毎に外部空気が入るのを許容し、従って、袋体がその壁に十分な圧力がかかるのを保持しながら収縮するのを許容するために、通常、ボトルの底部又はネック部に通気穴が設けられている。この技術による例示的な一形態は、ポリエチレン又はポリプロピレンで形成された袋体のような可撓性のプラスチック製袋体を剛な容器内に含むと共に、該容器のネック部に空気入口を含んでいる装置に関する仏国特許発明第2723356号明細書に開示されている。
【0006】
ポンプは、良好な封止をもたらすと共に、垂直姿勢においても傾斜姿勢においても作動可能でなければならない。仏国特許発明第2669379号明細書は、姿勢に変化がある状況においても良好な封止を確保するアキシアルピストン型の計量ポンプを開示しており、これは、滑りフロートピストンを支持し、3つのバルブを有している。仏国特許発明第2726810号明細書はエアレスポンプの一例を開示しており、同ポンプにおいて、下側のバルブが可撓性であると共に切頭円錐形であるのに対して、上側のバルブはプッシャーの中空茎部の基部に置かれたディスクにより支持されている。しかしながら、この形式のポンプは、比較的に多数の構成要素を備える欠点を有しており、これはポンプを弱化すると共にポンプの製造コストを増大させる。
【0007】
欧州特許第0538162号は、ボトル用密封装置を開示しており、その一変形例は、計量チャンバを形成する中空のプッシャーを放出バルブと吸込バルブとの間に含んでいる。このプッシャーが作動されるときに、下側のバルブを形成する部分の基部が押し戻されて変形し、従って、軸方向の円筒形部分を囲む円錐台が開くのを容易とし、これは、流体をボトル内に戻させる危険を冒すことになる。国際公開第95/25945号パンフレットは、変形可能なバルブと放出バルブとを含むポンプに関係しており、そのオリフィスは類似しているが、寸法及び機能は異なっている。中空のプッシャーを備えた小出しボトルの他の例は、欧州特許第888823号及び欧州特許第733559号に開示されている。これら小出しボトルの全てにおいて、バルブは、異なる形状、寸法及び機能を有している。
【発明の開示】
【0008】
本発明の主題は、少数の構成要素を有する、流体、液体又はペースト状製品を小出しするためのエアレス計量ポンプである。
【0009】
また、本発明の主題は、1回分の定量の流体、液体又はペースト状製品を均等に小出しするためのエアレス計量ポンプである。
【0010】
更に本発明の主題は、可撓性の袋体を有する剛なボトルからなる型式のものであり、剛なボトルの姿勢に関係なく満足に動作することを保証する上述した計量ポンプから構成される、流体、液体又はペースト状製品を包装し小出しするための装置である。
【0011】
本発明の主題はまた、通気口を有する剛なボトルからなる型式のものであり、通気口を備えた剛なボトルに封止可能に装着される上述した計量ポンプから構成される、流体、液体又はペースト状製品を包装し小出しするための装置である。
【0012】
本発明によれば、剛なボトルのための手作動式計量ポンプは、二重バルブ型のものであって、下側の吸込バルブと上側の放出バルブとを計量チャンバの入口と出口とにそれぞれ備えており、前記計量チャンバは、前記下側のバルブ上を滑動するように装着されており、注目すべきは、前記下側のバルブ及び前記上側のバルブが同一であることである。
【0013】
本発明の好適な実施形態によると、下側のバルブは、ボトルの内部と連絡する中空のチューブに固定されているのに対し、上側のバルブは、ポンプの出口ノズルの端部に装着されている。この実施形態は、プッシャーの出口における製品の死空間を完全に排除する閉止体を構成する利点を有しており、これにより製品を保全することを容易にすると共に、乾燥により出口ノズルを閉塞する可能性のあるプッシャーの出口における製品の見苦しい蓄積を避けることを容易にする。
【0014】
ポンプチャンバが上を滑動する下側のバルブはピストンとして作用し、そのためポンプの製造が簡単になる。
【0015】
本発明の別の好適な特徴によると、2つのバルブ、即ち下側のバルブ及び上側のバルブは、同一であって、装置を装着するときに交換可能であり、これは、その製造を著しく平易にすると共に、そのコストを大きく低下させる。
【0016】
簡単で廉価な一実施形態によると、各バルブは、中心に穴をあけられている弾性材料で造られた円筒形のカバーにより形成されている。このカバーは、支持体を形成する円柱形部分に固定されると共に、カバーにある穴に面しそれを覆う要素をその中央で囲む環状オリフィスを備えている。休止時に、カバーの前壁は、環状オリフィスを覆うと共に、中央の要素に当接している。従って、バルブは閉じられる。外部の過圧は、カバーの壁をその支持体に押し付け、そのためバルブを閉状態に保持する。対照的に、内部の過圧はカバーの前壁の弾性ブレードもしくは先端部分を持ち上げさせて、環状オリフィスを露出させ、バルブを開弁させる。
【0017】
本発明の好適な一実施形態によると、各バルブは、中心に穴をあけられているドームから構成される円柱・円錐形状のものであり、該ドームの壁は、閉止位置において、出て行く流体の流れに対して垂直な面にある環状出口オリフィスを覆っている。より具体的には、バルブの壁は、そのドーム部分において、環状オリフィスをその軸線に対して実質的に垂直に覆い、そしてオリフィスの軸線に沿っている円柱形の中央の要素に当接する。この配置は、下側の吸込バルブに関しても、また、上側の放出バルブに関しても、バルブを比較的に大きな断面積のオリフィスと組み合わせることを可能にする。
【0018】
各バルブは、所望の可撓性及び弾性特性を示すと共に、ボトル内に収容された製品と相互に共存できる任意の材料から形成することができる。一例として、天然ゴム又は合成ゴムから、或いは、熱可塑性ポリウレタン又はSBS(スチレン-ブタジエン-スチレン)のような熱可塑性エラストマーから、或いはシリコンから形成されたバルブを使用することが可能である。
【0019】
本発明の有利な一実施形態によると、各バルブは、40〜80、好ましくは50〜60のショアA硬さを有する材料から形成されている。
【0020】
本発明によると、ポンプは、リング又はキャップを介して剛なボトルに封止可能に装着することが有利であろう。変形例によると、ポンプは、例えばスナップ嵌めによりボトルに直接に装着されている。
【0021】
有利な一実施形態によると、プッシャーは、その移動距離を制限すると共に、1回分の用量を予め定めた体積に適応させるための手段を備えている。これらの手段は、プッシャーの可動部分に配置されていて、固定部分上の補完的手段と協働する例えば1つ以上のストッパを設けることにより、或いはプッシャーの円筒形部分の長さを変更することにより、或いはさもなければ支持体上にプッシャーのストロークを制限するスリーブを挿入することにより、形成することができる。従って、単一の構成要素を単に修正することにより、或いは単純な補完的要素を挿入することにより、異なる1回分の用量の製品を供給するよう設計された流体製品を小出しするための装置を有することが可能である。かかる装置は特に廉価である。
【0022】
外部空気がボトルに入って、ポンプにより放出された製品を補填することができるように、空気入口回路が設けられている。
【0023】
可撓性の袋体を備えた剛なボトルからなる形式の装置の場合、袋体が製品の放出毎に収縮できるよう、可撓性の袋体を剛なボトルの内壁から隔てているスペース内に十分な圧力を維持するため、外部空気はこのスペースに達しなければならない。この空気回路は、ポンプのプッシャーと同じ高さに配置されることが好ましく、また、それはプッシャーが休止位置に上昇したときに閉め切られるのを確実にする手段を備えている。
【0024】
単純な剛なボトルの場合、スクレーパーピストンがあってもなくても、空気回路は、好ましくはボトルの底部にある通気口により形成されることができる。
【0025】
従って、本発明の有利な一実施形態によると、剛なボトルの底部に、ボトル内に収容された製品の漏れを回避するために、バルブを備えると共に、小出しにすべき製品の品質を落すバクテリアのような汚染物の侵入を防止するためのフィルタを備える通気口が存在している。
【0026】
ボトルの底部に通気口を含む変形例の場合、ポンプをボトル内に延入させる浸漬チューブを設けることが好ましく、該浸漬チューブの端部はできるだけボトルの底部近くに配置される。
【0027】
ボトルと、ポンプと、そして選択的に可撓性の袋体とにより形成されるアセンブリが同一である場合の2つのバルブを開弁させるのに十分なほど低い圧力の区域にある状況、及び計量チャンバ及びボトル内に収容された製品を漏洩させる状況を含め、このアセンブリの適切な封止を確保するため、キャップ又はカバーを小出しヘッドに取外し自在に装着することができる。
【0028】
シールがカバー及びヘッド間の取付け装置により形成されること、例えば、カバーの内縁とそれを受けるプッシャー先端部分の基部との間の形状補完性のためにカバーがそのスナップ嵌めにより設置されうることを確保するための手段を設けることができ、その取付け装置はO−リングシール又は漏れ止めビードで補完されている。
【0029】
ポンプ及びそのプッシャーを補完するかかるアクセサリーは、外部圧力が下がったときであっても、有らゆる条件下で優れた封止があることを確実にすると共に、ボトル内に収容された製品が保全されることを可能にする。
【0030】
本発明によるポンプは、限られた数の構成要素のみで構成されており、そのため製造コストが下がるという利点を有している。従って、本発明のポンプは、採用した輪郭もしくは構造に応じて、5乃至6個のみの構成要素で構成されている。加えて、下側(吸込)及び上側(放出)のバルブは同一でよく、そのためそれらの製造に必要な工具も減少する。ちなみに化粧品又は医薬品用の、可撓性の袋体付きボトルについて当該技術分野で通常使用されているポンプは、一般的に15〜20個の構成要素から構成されている。
【0031】
ポンプは、通常、それに所要の機械的特性を与えるよう適当な密度のポリエチレン又はポリプロピレンのようなプラスチックで形成される。
【0032】
袋体は、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、エチレンビニルアルコール共重合体(EVOH)、低密度ポリエチレン等から選択されたプラスチックで形成することができる。それは、1層以上のプラスチック層と組み合わさって封止強化バリヤーを形成する例えばアルミニウム層のような金属層を含む単層材料又は多層複合材から構成しうる。
【0033】
袋体は、これらの材料からブロー成形のような技術により単体構成として製造することができ、これは必要な製造投資金を低減する利点を有する。また、それは、適当な型の中でパリソンを射出ブロー成形もしくは押出ブロー成形することによっても製造しうる。また袋体は、プラスチック又は金属フィルム、或いは金属/プラスチック多層複合材を、袋体のネック部を形成する支持体上に溶着することによっても製造しうる。
【0034】
袋体は、それが収容している製品に適合する材料から製造するのが有利であるかも知れない。従って、一例として、袋体は、それが外部環境の影響に鈍感なクリームを収容しなければならないときには低密度ポリエチレンから製造してよいが、それがもっと敏感な製品を収容しなければならないときには、酸素の影響や気化による水蒸気の喪失からのより適切な保護を提供するポリアミドから製造するのがよい。
【0035】
本発明によるポンプの利点及び特徴は、添付図面に関連して以下に今までよりも詳しく記載された非限定的な例示実施形態で明らかとなろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
図1に示されたポンプ1は、キャップ3を介して剛なボトルの本体部2に取り付けられている。このため、キャップ3は円筒形の穴4を有しており、その中にポンプ1の本体部5が滑動自在であるように収容される。
【0037】
ポンプ1のチャンバ6は、下側のバルブ7、即ち吸込バルブと、上側のバルブ8、即ち放出バルブとにより境界を定められている。2つのバルブ7及び8は同一であるが、後述するように対向して取り付けられる。換言すれば、ポンプの運動に応じて、吸込バルブは放出バルブが開くときに閉じ、逆の場合も同じである。図1に示すように、上側のバルブ8はポンプの出口ノズルの端部に設けられる。
【0038】
ポンプの本体部の上側部分は、プッシャー9の形態を有していて、該プッシャー9をチャンバの外部に置かれた金属製コイルスプリング10に対して押し下げることにより、それが袋体を出る製品と接触しないような方法で、ユーザーが図1に示された位置からポンプを作動するのを可能にしている。この運動の際、ポンプの本体部は、ポンプの本体部5の下端11が下側のバルブ7を支持するチューブ13と一体のフランジ部12に乗って支えられるまで、キャップ3の円筒形の穴4内を滑動する。
【0039】
プッシャー9のこの下降運動の際、下側のバルブ7は閉じたままであるが、上側のバルブ8は開いていて、チャンバ6内の製品が出るのを可能にしている。
【0040】
ユーザーがプッシャー9に対する押圧を解除すると、ポンプ1の本体部5は、円形リテーナ14がキャップ3の円筒形の穴4の内壁に形成されたストッパ15に接触するまで、スプリング10の作用を受けて上昇する。
【0041】
プッシャー9のこの上昇運動中、上側のバルブ8は閉じたままであるが、下側のバルブ7は開いていて、袋体16の製品がチャンバ6に入るのを可能にしている。
【0042】
袋体6は、そのネック部17を介してチューブ13の基部に固定されると共に、ボトルの本体部2に形成された肩部18に置かれている。ネック部17は、超音波溶接によりチューブ13に固定されていてよい。袋体のネック部17の大きさが小さいことは、即ち、ボトルの断面積の1/3未満であることは、簡単な中空成形技術によるその製造を容易にする。
【0043】
ポンプは、袋体16のネック部17に関し封止され固定されているので、袋体をボトルの内壁から隔てているスペースに外部空気が入ることができるような空気入口回路が形成され、その内部に十分な圧力を維持して袋体が製品の放出毎に収縮するようになっている。この空気回路は、本体部5の外側部分と円筒形の穴4の内壁との間のスペースにより形成されていて、空気がポンプ及び円筒形の穴の壁間を通るのを許容する通路を構成している。この通路は、プッシャーが作動されているときには開いており、そしてプッシャーが上昇しているときには、この位置において、環状リブ19が円筒形の穴4の縁に乗っていて通路を閉めきるので、通路は閉じている。
【0044】
本発明によるポンプから構成される図1に示すような装置で行なわれたテストは、優れた計量均一性と、クリームの場合には、その粘度に応じて約90〜95%、液体の場合には95%を超える再現性とを実証した。
【0045】
加えて、最初に使用される場合、ポンプは、プッシャーを単に3〜4回無理に押すことにより事前準備することができる。
【0046】
図2は、流体用、好ましくは液体用の簡単で剛なボトルに封止式に装着された図1のポンプを示しており、この図において、ポンプは、浸漬チューブでボトル内に延びて入っている。
【0047】
図2の(a)のポンプのプッシャーは高位置にあり、そしてプッシャーの基部に配置された円形リテーナ14は、プッシャーを受ける円筒形の穴の内面にある肩部形成ストッパ15と接触している。ユーザーがプッシャーを圧縮スプリング10に押し当てるとき、プッシャーの基部11は、図2の(b)に示すように円筒形の穴4の底部を形成するフランジ部12に当るようになる。プッシャーの移動距離H1は、図2の(a)に表わされており、これは、フランジ部12を上昇位置にあるプッシャーの基部11から隔てている距離に等しい。
【0048】
プッシャーの下降運動は、バルブ8を開弁せしめると共に、計量チャンバ6内にある製品を放出せしめるが、吸込バルブ7については、チャンバ内の過圧を受けて閉じられたままである。
【0049】
次にユーザーがプッシャーを解放すると、プッシャーはスプリング10の作用を受けて上昇し、こうしてチャンバ6内に生じた部分減圧により、吸込バルブ7が開くと共に、上側のバルブ8が閉じたままに留まっている間に、ボトルからの製品が浸漬チューブ20を経由して入る。従って、計量チャンバ6は1回分の製品で満たされ、これはユーザーが次にプッシャーを作動するときにすぐに放出されうる。この1回分の製品は、上側のバルブ8の封止のために外部空気から保護されたままである。その上、上側のバルブ8の位置のために、外部雰囲気と接触する残留製品量は残らず、そのため出口オリフィスが材料の蓄積により閉塞される危険が抑えられる。
【0050】
図3の(a)に示された実施形態において、プッシャーの円筒形基部は、円形リテーナ14を越えて延びており、そしてプッシャーの基部11をフランジ部の底部12から隔てている高さH2はその結果としてより短い。ピストンの移動距離は高さH2に限定されるので、プッシャーの押圧はチャンバ6から一部分用量のみを放出させる。
【0051】
同等の実施形態が図4の(a)に示されており、この図において、プッシャー9は図2の(a)のものと同一であるが、その移動距離は円筒形の穴においてフランジ部12の基部上に置かれた円筒形リング21により制限されている。従って、プッシャーの移動距離H3は、円筒形リング21の高さを減じた図2の(a)の装置の移動距離H1に等しい。
【0052】
図5は、本発明のポンプ1を支持する剛なボトル2を示しており、このポンプは2つのバルブ7及び8と、プッシャー9とを含んでいる。ボトル2は、通気装置22で補完されている。
【0053】
該通気装置は、ボトル2の底部に形成されると共にフィルタ24を支持する穴に挿入されるプラグ23と、通常の形式のバルブ25とから構成されている。このバルブは、部分減圧がボトル内に形成するときにのみ、換言すれば、1回分の製品がボトルの浸漬チューブ20を介して計量チャンバ6内に引き上げられるときにのみ、外部空気をボトル内に入れるように設計されている。
【0054】
従って、フィルタ24のため、ボトル内に収容された製品を汚染することなく、放出された1回分の体積を補償するために、ポンプ1のプッシャー9の作動毎に空気がボトル2に導入される。
【0055】
図6は、プッシャー9の先端部分に封止式に装着されたシュラウド26を支持する上側のバルブ8の詳細を示している。封止は、弾性材料により形成された円筒形シュラウド26の基部と協働するリブ27を使用して実現されている。更なる封止は、上側のバルブ8の円筒形基部に形成されたリブ28により実現されている。従って、シュラウド26は完全にバルブ8を囲んでいて、装置が封止式に閉め切られることを確実にする。
【0056】
図6に示すように、製品出口ノズルは、バルブ8の前面に形成された穴31に向き合って置かれている円柱形要素30を囲む環状のオリフィス29を備えている。閉止位置において、バルブ8の前面は、円柱形要素30に接して付けられていると共に、環状オリフィス29を覆っている。バルブ8を構成する材料の可撓性及び弾性のために、オリフィス29の流路における過圧は、中央の穴31を囲むバルブの縁を離れさせ、計量チャンバ6を出る製品を通過させる。封止シュラウド26は、プッシャー9の先端部分を覆うことにより、外部圧力の降下が同じ現象を生じさせるのを防止し、従って、ボトル内に収容された製品が安全に貯蔵されることを確実にする。
【0057】
図7に示した別の実施形態において、環状オリフィス29の軸線に沿う円柱形要素30は、その前面上に、該円柱形要素30と同じ軸線の円柱形突起32を含んでいる。この突起は、円柱形要素の前面と共に肩部を形成しており、該肩部は、円柱形突起32の前面がバルブ8の表面の延長にあるような方法で、バルブ8の中央オリフィスの縁と協働している。
【0058】
この実施形態は、バルブの縁が環状オリフィス29の軸線に関して完全に対称に上昇しなくても、オリフィス29を出る流体の流れが案内されることを可能にする。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】剛な容器のネック部に装着されたポンプを、プッシャーが上昇した休止位置で表わした概略断面図である。
【図2】(a)及び(b)は、単純なボトルに装着された図1に示すポンプから構成される、流体、液体又はペースト状製品を小出しするための装置の部分断面図であり、プッシャーは図2の(a)において高位置にあり、図2の(b)において低位置にある。
【図3】(a)及び(b)は、図2の装置の別例の部分断面図であり、図3の(a)において高位置にあり図3の(b)において低位置にあるプッシャーは、1回分の小量の製品を放出するように設計されている。
【図4】(a)及び(b)は、図2の装置の更なる別例の部分断面図であり、図4の(a)において高位置にあり図4の(b)において低位置にあるプッシャーの移動距離はスリーブにより抑えられている。
【図5】浸漬チューブとボトルの底部にある通気口とを備えた、図1の装置の別例の断面図である。
【図6】封止された閉止キャップを支持するプッシャーの小出し先端部分の拡大断面図である。
【図7】図6のプッシャーの別例の拡大断面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
剛なボトル(2)のための二重バルブ型の手作動式計量ポンプ(1)であって、下側の吸込バルブ(7)と上側の放出バルブ(8)とを計量チャンバ(6)の入口と出口とにそれぞれ備えており、前記計量チャンバは、前記下側のバルブ(7)上を滑動するように装着されている前記計量ポンプにおいて、前記下側のバルブ(7)及び前記上側のバルブ(8)は同一である、ことを特徴とする計量ポンプ。
【請求項2】
前記各バルブは、中心に穴をあけられているドームから構成される円柱・円錐形状のものであり、前記ドームの壁は、閉止位置において、環状出口オリフィスを覆っている、ことを特徴とする請求項1に記載の計量ポンプ。
【請求項3】
前記下側のバルブ(7)は、前記ボトルの内部と連絡する中空のチューブ(13)に固定されている、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の計量ポンプ。
【請求項4】
前記上側のバルブ(8)は、前記ポンプの出口ノズルの端部に装着されると共に、最外方の閉止体を構成している、ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の計量ポンプ。
【請求項5】
前記各バルブは、40〜80のショアA硬さを有する材料から形成されている、ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の計量ポンプ。
【請求項6】
プッシャーの移動距離を制限するための手段(11,21)を備えている、ことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の計量ポンプ。
【請求項7】
リング又はキャップ(3)を介して前記剛なボトル(2)に封止可能に装着されている、ことを特徴とする請求項1に記載の計量ポンプ。
【請求項8】
前記剛なボトル(2)に直接に装着されている、ことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の計量ポンプ。
【請求項9】
前記剛なボトル(2)内に置かれた可撓性の袋体(16)のネック部(17)に装着されている、ことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の計量ポンプ。
【請求項10】
前記可撓性の袋体(16)を前記剛なボトル(2)の内壁から隔てているスペースに空気が入るようにする空気入口回路を含んでいる、ことを特徴とする請求項9に記載の計量ポンプ。
【請求項11】
前記空気入口回路は、前記ポンプのプッシャーと同じ高さに配置されると共に、前記プッシャー(9)が上昇して休止位置にあるとき、同空気入口回路が閉め切られるのを確実にするための手段(19)を備えている、ことを特徴とする請求項10に記載の計量ポンプ。
【請求項12】
前記剛なボトル(2)のネック部に封止可能に装着されており、該ボトルの底部は通気口(22)を含んでいる、ことを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の計量ポンプ。
【請求項13】
前記通気口(22)はバルブ(25)とフィルタ(24)とを備えている、ことを特徴とする請求項12に記載の計量ポンプ。
【請求項14】
流体、液体又はペースト状製品を包装して小出しするための装置において、請求項1〜13のいずれか1項に記載の計量ポンプを剛なボトルと関連して備えていることを特徴とする装置。

【図1】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2006−509624(P2006−509624A)
【公表日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−559838(P2004−559838)
【出願日】平成15年11月15日(2003.11.15)
【国際出願番号】PCT/FR2003/003725
【国際公開番号】WO2004/054721
【国際公開日】平成16年7月1日(2004.7.1)
【出願人】(504223640)
【Fターム(参考)】