説明

手動圧着工具

【課題】本発明は手動圧着工具に関する。
【解決手段】圧着工具(2)の遠位端と近位端の間に配設された本体(6)と、圧着工具(2)にて遠位端側に配設された工具ヘッド(4)と、圧着工具にて近位端側に配設されるハンドル(8、10)と、を備え、ハンドル(8、10)は、互いに移動可能に配設され、少なくとも一つのハンドルが本体に対して移動可能に配設され、少なくとも一つのワークピース(18)を圧着する二つの圧着ダイ(12,14;13,15)がダイセット(16,17)を形成し、ハンドルの相対移動が少なくとも一つのダイセットを形成する圧着ダイの相対移動に連動する手動圧着工具(2)において、圧着工具(2)は少なくとも三つの圧着ダイ(12,13,14,15)を備え、圧着ダイは少なくとも二つのダイセットを形成し、少なくとも二つのダイセットにおける圧着ダイの間の間隔(B,C)が互いに独立に調整可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、手動圧着工具に関する。
【背景技術】
【0002】
圧着時、コネクタ、すなわち、端末、接合部、接点、または同様の素子は、変形することで少なくとも一本のケーブル(例えば、ワイヤのような導体)に機械的に固定されるので、信頼できる、機械的かつ電気的な接続をするしっかりとしたジョイントを形成する。圧着ジョイントを形成する圧着操作は、圧着金型を使って行われる。圧着工具は、例えば、手動であってもよい。
【0003】
手動携帯型圧着工具において、圧着工具は、通常、互いに関連して可動な近接する二つのハンドルを圧着工具内に備え、利用者が手の力でそのハンドルを互いの向きに動かす場合、通常、片手だけを使って両方のハンドルを包み込むように一緒に握り、圧着工具において通常は離れている圧着ダイが締め付けられることで、それらの間で少なくとも一つのワークピースを圧着する。
【0004】
圧着されるワークピースが、異なる寸法(断面における)を有する二つの位置で圧着されるとき、例えば、オープンバレルコネクタを導体に対して圧着するとき、コネクタは、一つの位置でのみ導体を閉鎖し、他の位置で導体とこの導体を覆う絶縁体の両方を閉鎖する。一対の標準圧着ダイのみを有する圧着工具を使用するとき、二つの圧着動作は実施されなければならない。
【0005】
一つの圧着動作のみで上記のワークピースを圧着するために、partnr 4300-1622を有するプレスマスタ(登録商標)圧着工具KPB0560は、二つの異なる寸法(断面における)に適用される二つの圧着ダイを備えるダイセットを備える。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の主要な目的は、改良された手動圧着工具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的は、請求項1の特徴部分に記載されるように、工具ハンドルの相対移動が、少なくとも一つのワークピースを圧着する少なくとも二つのダイセットを形成する複数の圧着ダイのそれぞれの相対移動に連動し、少なくとも二つのダイセットにおいて個々の圧着ダイ間の間隔が、互いに対して独立に調整可能である手動圧着工具として実現される。したがって、圧着工具は、少なくとも二つの寸法の異なる組み合わせを有する少なくとも二つの寸法を備えるワークピースに適用可能である。
【0008】
一実施例によると、少なくとも二つのダイセットにおいて複数のダイ間の間隔が、ダイセットにおいて少なくとも一つの圧着ダイが調整可能に独立に配置されることによって、互いに対して独立に調整可能に配置されている。
【0009】
一実施例によると、工具ヘッドに配置された独立調整機構によって、個々の調整可能な圧着ダイは調整可能に配置され、個々の調整機構は、調整可能な圧着ダイの位置を調整するために配置された調整ねじを工具ヘッドに備える。
【0010】
一実施例によると、個々の調整ねじは、調整ねじの軸方向でみる限り、軸方向に固定され、かつ、工具ヘッドに対して回転可能である。
【0011】
一実施例によると、調整ねじは、調整要素と圧着ダイに配置された機械的にインターロックするガイド孔によってダイにおける他の圧着ダイから離れて対向するダイ面において、圧着ダイに連結されている調整要素内に配置されたねじ孔に配置されている。
【0012】
一実施例によると、調整ねじは、ガイド孔の延長方向に対して一定の角度で延びており、調整ねじの回転移動は、調整要素の平行移動を介して調整可能な圧着ダイの平行移動に変換される。
【0013】
一実施例によると、ダイセットを形成する圧着ダイは、本体及び工具ヘッドにそれぞれ配置され、工具ヘッドは本体に対して移動可能に配置されている。
【0014】
一実施例によると、工具ヘッドガイド部品、したがって、工具ヘッドは、工具に沿って軸方向に延びるスロット内でスライドするように配置されたピンを使用して、本体に対してスライド自在に装着される。
【0015】
一実施例によると、少なくとも一つの回転可能なハンドルは本体に対して回転可能に装着されている。
【0016】
一実施例によると、本体は二つの本体部品を備え、その間で工具ヘッドガイド部品が配置されている。
【0017】
これらと他の利点は、以下の詳細な説明から明らかとなる。
【0018】
本発明は、本発明に関する工具の好適な実施例を示す添付図面に関して、以下により詳細に記載される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の第1の実施形態に関する手動圧着工具であって、非圧着位置を示す手動圧着工具の概略的な側面図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に関する手動圧着工具であって、圧着位置を示す手動圧着工具の概略的な側面図である。
【図3】本発明の第1の実施形態に関する手動圧着工具であって、圧着位置を示す手動圧着工具の概略的な展開図である。
【図4】本発明の第1の実施形態に関する圧着ダイ調整機構の一つの概略的な側面図である。
【図5】本発明の第1の実施形態に関する手動圧着工具の圧着ダイであって、非圧着位置と圧着位置との間の位置を示す圧着ダイの概略的な断面を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
同じ参照番号が、異なる図面の同様な機構に対し使われる。
【0021】
図1は、本発明の第1の実施形態に関する手動圧着工具2であって、非圧着位置を示す手動圧着工具の概略的な側面図である。圧着工具2は、工具ヘッド4と、本体6と、互いに対して移動可能に配置された二つのハンドル8,10とを備える。本体6は、圧着工具の遠位端1と近位端3との間に配置されている。工具ヘッド4は、圧着工具2の遠位端1に配置され、二つのハンドル8,10は圧着工具2の近位端3に配置されている。少なくとも一つのワークピースが、圧着ダイ12,14;13,15が互いの方に移動し、個々のダイセット16;17を形成するとき、二つの圧着ダイ12,14;13,15の間で圧着される。本実施形態において、二つのハンドル8,10は、ダイセット16;17を形成する圧着ダイ12,14;13,15の相対移動に連動し、少なくとも一つのワークピース18が圧着されるように配置される。
【0022】
いくつかのダイセット16;17は、同じ圧着ダイを使用することができ、例えば、圧着ダイ12,13の一つが、二つのダイセット16;17の一つのセットを形成するために十分に幅広く配置されることができる。圧着工具2は、したがって、少なくとも二つのダイセット16;17を形成する少なくとも三つの圧着ダイ12,13,14,15を備え、少なくとも二つのダイセット16;17における圧着ダイ12,13,14,15間の間隔(寸法)B,Cは互いに対して独立に調整可能に配置されている。
【0023】
本実施形態によれば、少なくとも二つのダイセット16;17における圧着ダイ12,13,14,15間の距離B,Cは、以下で詳細に説明されるように、個々のダイセット16;17における少なくとも一つの圧着ダイ14,15が独立に調整可能に配置されることによって、互いに対して独立に調整可能に配置されている。独立に調整可能な圧着ダイ14,15は、工具ヘッド4に配置された独立調整機構20,22によって、それぞれが調整可能に配置されている。個々の調整機構20,22は、工具ヘッド4上において、軸方向に固定されているが、回転可能な調整ねじ24,26を備え、以下でより詳細に説明するように、調整可能な圧着ダイ14,15の位置を調整する。
【0024】
上述したように、工具ハンドル8,10の相対的な移動は、圧着ダイ12,14;13,15の相対的な移動に連動する。本実施形態によれば、工具ヘッド4は、本体6に沿って延びるように配置されると共に、工具2に沿って軸方向Aに延びるスロット32,34内でスライドするように配置されたピン28,30を使用して本体6にスライド可能に装着されたヘッド案内部25を備える。少なくとも二つのピン28,30は、本体6に対してヘッド案内部25の移動を制御するために使用されることが好ましい。スロット32,34は本体6又はヘッド案内部25に配置され、ピンはヘッド案内部25又は本体6に配置される。ハンドル8,10は、回転ポイント36,38で本体6に回転可能に装着されている。ハンドル8,10は、更に、トグル40,42によってヘッド案内部25に連結されている。トグル40,42は、回転ポイント44,46,48,50において、好ましくはピン52,54,56を使用して、ヘッド案内部25及びハンドル8,10に回転可能に装着されている。本体6に配置されたハンドル8,10の回転可能な相対移動は、ヘッド案内部25の移動に連動し、したがって、ここではトグル機構としての機構58によって、工具ヘッド4の移動に連動する。ヘッド案内部25は、本体6に沿ってスライド可能に軸方向Aに配置されている。工具ハンドル8,10の相対移動は、工具ヘッド4と本体6との間の相対移動に連動している。圧着ダイ12,13,14,15は、更に、本体6及び工具ヘッド4に交換可能に配置されるように、ねじなどの締結要素によって取り外し可能であることが好ましい。
【0025】
図示されるように、少なくとも一つの伸縮ばね60,62、本実施形態における二つの伸縮ばね60,62は、互いの方に向かって工具ハンドル8,10を押す力が開放されるとき、工具ハンドル8,10が離れる方向に移動するように配置される。したがって、工具ヘッド4の遠位端64は本体6から離れる。
【0026】
発明を容易に理解するために、例えば、本体6又は工具ヘッド4によって隠されている圧着ダイ12,13,14,15の部分は、図において点線で示されている。
【0027】
図2は、本発明の第1の実施形態に関する手動圧着工具であって、圧着位置を示す手動圧着工具の概略的な側面図である。
【0028】
図1を図2を比較するとき、図2から分かるように、ハンドル8,10の相対移動がヘッド案内部分25の移動を介して工具ヘッド4の移動に連動するとき、工具ヘッド4の遠位端1に配置される圧着ダイ14,15は、圧着工具2上で近位端3に配置された工具ハンドル8,10の位置に応じて、非圧着位置(図1に示す)と圧着位置(図2に示す)との間を移動する。これは、図1において検討しているように、本体6に沿って軸方向にスライド可能にヘッド案内部25を配置することと、本体6に対して回転可能にハンドル8,10を配置することと、ヘッド案内部25及びハンドル8,10に対して回転可能に配置されたトグル40,42を介してハンドル8,10をヘッド案内部25に連結することによって、行われる。
【0029】
ハンドル8,10が一緒に押されるとき、ハンドル8,10は本体6にある回転ポイント36,38の周りを回転する。これによって、トグル40,42はハンドル8,10にある遠位の回転ポイント46,50の周りを回転し、それによって、近位の回転ポイント44,48を動かし、それらは圧着工具2に沿って近位のヘッド案内部25に回転可能に装着される。したがって、本体6の方に向かって圧着工具2に沿って近位の工具ヘッド4の遠位端64を動かす。これは、工具ヘッド4に配置された遠位の圧着ダイ14,15が、トグル機構によって、本体に配置された近位の圧着ダイ12,13の方に動かされる。したがって、圧着ダイ12,14;13,15は、圧着ダイ12,14;13,15の間で少なくとも一つのワークピース18を圧着するために、互いの方に向かうように配置されている。
【0030】
ヘッド案内部25が本体6に沿って近位側に動くとき、ヘッド案内部25と本体6の間に配置された可能な伸縮ばね60,62、例えば、ヘッド案内部25に配置されたピン30と本体6に配置されたピン36,38との間に配置された伸縮ばね60,62が、工具ハンドル8,10を離すように動かすための伸縮ばね力を増加するように付勢されている。したがって、互いの方に向かう工具ハンドル8,10を押す力が開放されるとき、張力を有している伸縮ばね60,62からの伸縮ばね力が工具ハンドル8,10を離すように動かし、したがって、本体6から離れる反対方向へ工具ヘッド4の遠位端64を動かす。したがって、工具ハンドル8,10を離すとき、工具ヘッド4は反対方向、すなわち、図2に示す位置から図1に示す位置の方に動く。伸縮ばねが使用されない場合は、ハンドル8,10のこの部分は、任意に、手動で、使用者によって実施される。
【0031】
図3は、本発明の第1の実施形態による手動圧着工具であって、圧着位置を示す手動圧着工具の概略的な展開図である。
【0032】
図で示されるように、本体6は二つの本体部66,68を備え、二つの本体部66,68の間で工具ヘッド4のヘッド案内部25がスライドするように配置されている。
【0033】
図3に示すように、ハンドル8,10及び/又はヘッド案内部25は、複数の、好ましくはプレート状のサブ部品を備える。例えば、ハンドル8,10は二つのサブ部品8’,8”、10’,10”を備えることができ、ヘッド案内部25は少なくとも二つのサブ部品25’,25”を備えることができ、少なくとも二つのサブ部品25’,25”の間にトグル40,42が配置される。
【0034】
工具ヘッド4は、ヘッド案内部25に加えて、サブ部品70,72を備える。サブ部品70,72はU形状のサブ部品として示されている。
【0035】
ヘッド案内部25は、本体6の二つの本体部品66,68にスライド可能に取り付けられることが好ましく、例えば、ピン28,30を使用することによって、ヘッド案内部25に取付けられ、本体部品66,68のそれぞれに配置されたスロット32,34にスライドするように配置されている。
【0036】
上述したように、少なくとも二つのダイセットにおける圧着ダイ12,14;13,15間の間隔は、個々のダイセットにおける少なくとも一つの圧着ダイ14,15が独立に調整可能に配置されることによって、互いに独立に調整可能に配置されている。独立に調整可能な圧着ダイ14,15は、工具ヘッド4に配置された独立調整機構20,22によって調整可能に配置されている。独立調整機構20,22は、工具ヘッド4において、軸方向に固定されているが回転可能である調整ねじ24,26を備え、調整可能な圧着ダイ14,15の位置を調整する。
【0037】
調整ねじ24,26のそれぞれは、調整可能な圧着ダイ14,15に対してスライド可能な調整要素76,78の位置を調整することによって、本実施形態における調整可能な圧着ダイ14,15の位置を調整するために配置される。
【0038】
調整可能な圧着ダイ14,15のそれぞれは、圧着工具2の軸方向Aで工具ヘッド4にスライド可能にガイドされている。調整要素76,78は、すなわち、本実施形態において、調整ねじ24,26の軸方向D,Eで、工具ヘッド4にスライド可能にガイドされている。
【0039】
以下において、孔80とガイド孔84,86とダイ面82は、図面の中で調整要素76と圧着ダイ14のためにのみ示されている。本発明によると、調整要素78と圧着ダイ15は同じように配置され、好ましくは垂直方向で反対に位置しており、調整は図4において軸F及び軸G方向で行われる。
【0040】
調整ねじ24,26のそれぞれは、調整ねじ24,26の軸方向D,Eに示される工具ヘッド4に固定され、調整要素76,78内で個々のねじ孔80,81に配置されている。調整要素76,78は、調整可能な圧着ダイ14,15及び調整要素76,78内に配置された機械的にインターロックするガイド孔84,86によって、ダイセット16;17における他の圧着ダイ12,13から離れて対向する調整可能な圧着ダイ14,15のダイ面82,83に連結されており、ガイド孔84,86は、機械的にインターロックするガイド孔84,86の方向F,Gに沿って、調整要素76,78と調整可能な圧着ダイ14,15との間の相対移動を許容するが、他の方向では、調整要素76,78と調整可能な圧着ダイ14,15との間の相対移動を本質的にはブロックする。調整ねじ24,26は、D及びE方向に延び、ガイド孔84,86の延びる方向に対して角度α及びβをなす。これによって、調整ねじ24,26の回転移動H,Iは、調整要素76,78の平行移動L,Mを介して調整可能な圧着ダイ14,15の平行移動J,Kに変換される。
【0041】
任意的に、調整ねじ24,26は、軸方向に固定され、かつ、調整可能な圧着ダイ14,15に対して回転可能である調整ねじ24,26の軸方向D,Eに示されように、調整要素76,78を配置した調整可能な圧着ダイ14,15に対して移動可能である。調整ねじ24,26のそれぞれは、工具ヘッド4の配置されたねじ孔に配設されている。また、調整ねじ24,26のそれぞれは、調整可能な圧着ダイ14,15に対して調整要素76,78の位置を調整することによって、調整可能な圧着ダイ14,15の位置を調整するために配置されている。調整要素76,78は、調整要素76,78及び圧着ダイ14,15に配置された機械的にインターロックするガイド孔84,86;85,87によって、ダイセット16;17における他の圧着ダイ12,13から離れて対向するダイ面14,15において圧着ダイ14,15に連結されている。
【0042】
図4は、本発明の第1の実施形態に関する圧着ダイ調整機構の一つの概略的な側面図である。
【0043】
本実施形態によれば、少なくとも二つのダイセット16;17における圧着ダイ12,14;13,15の間の間隔B,Cは、互いに独立に調整可能に決定される。これは、個々のダイセット16;17における少なくとも一つの圧着ダイ14,15が、ヘッド4に配置された独立調整機構20,22により、独立に調整可能に配置されることによって行われる。調整機構20,22は、軸方向に固定され、回転可能である調整ねじ24,26であって、調整可能な圧着ダイ14,15の位置を調整するために配設された調整ねじ24,26を備える。
【0044】
調整ねじ24,26のそれぞれは、調整ねじ24,26の軸方向D,Eにみて、工具ヘッド4に固定され、調整要素76,78内でねじ孔80,81に配設されている。調整要素76,78は、調整要素76,78及び圧着ダイ14,15に配置された機械的にインターロックするガイド孔84,86;85,87によって、ダイセット16;17における他の圧着ダイ12,13から離れて対向する圧着ダイ14,15のダイ面82,83に連結されている。個々の調整ねじ24,26は、ガイド孔84,86;85,87の延長方向F,Gに対して角度α,βで延びており、調整ねじ24,26の回転移動H,Iは、調整要素76,78の平行移動L,Mを介して調整可能な圧着ダイ14,15の平行移動に変換される。
【0045】
図5は、本発明の第1の実施形態に関する手動圧着工具の圧着ダイであって、非圧着位置と圧着位置との間の位置を示す圧着ダイの概略的な断面を示す図である。
【0046】
本実施形態によれば、少なくとも二つのダイセット16;17における圧着ダイ12,14;13,15の間の間隔B,Cは、互いに独立に調整可能に決定される。これは、上述したように、個々のダイセット16;17における少なくとも一つの圧着ダイ14,15が、ヘッド4に配置された独立調整機構により、独立に調整可能に配置されることによって行われる。したがって、圧着工具は、少なくとも二つの寸法N,Pをワークピースに適用できる。少なくとも二つの断面寸法N,Pは異なる組み合わせとすることができる。
【0047】
図5において示されるように、圧着されるワークピース18は、異なる寸法(断面における)を有する二つの位置90,92で導体94に対して圧着されるオープンバレルコネクタ88であり、一つの位置90でコネクタ88は導体94のみを囲み、他の位置92で導体94とこの導体94を周囲にある絶縁体96の両方を囲む。
【0048】
ハンドル8,10と工具ヘッド4とを接続する機構58は、上記の実施形態において、トグル機構として示されているが、少なくとも一つの回転可能なハンドルの移動と工具ヘッドの移動とを接続する同様の他の機構であってもよく、例えば、カム機構又は歯車機構であってもよい。
【0049】
他の実施形態において、本体6に固定された一方のハンドル10を配設し、本体6に対して回転可能な他のハンドル8を配設することも可能である。このような実施形態において、工具ハンドル8,10の相対移動は、ダイセット16;17を形成する圧着ダイ12,14;13,15の相対移動に連動する。少なくとも一つのワークピース18は、例えば、本体に回転可能に配設されたハンドル8の移動が圧着ダイ14,15の相対移動に連動することによって、圧着されるように配置される。図1に示された実施形態を参照すると、これは、トグル42を取り除き、ハンドル10を本体6に固定することによって行われる。
【0050】
他の実施形態において、移動可能な本体を配設し、一つ又は二つの本体6に対して回転可能なハンドルを配設することも可能である。
【0051】
したがって、少なくとも一つのハンドル8,10は本体6に対して移動可能に配設されている。更に、少なくとも一つの移動可能に配設されたハンドル8,10は、例えば、本体6又はヘッド4に対して回転可能に配置されることが好ましい。
【0052】
本発明は、圧着工具において、閉鎖したヘッドを有することが示されているが、他の実施形態において、開放ヘッドを有する圧着工具とすることも可能であり、この場合、ヘッドは開放ヘッド位置と閉鎖ヘッド位置との間で調整されることができる。上述した圧着工具は、開放ヘッド又は閉鎖ヘッドを有して配設されることができる。開放ヘッドを有する工具において、ヘッドは、最大の圧着力に耐えるために、閉鎖ヘッドを有する工具よりも強度が強い必要がある。これは、開放ヘッドの設計が閉鎖ヘッドの設計よりも低剛性なためであり、圧着中に容易に曲がりやすいためである。
【0053】
閉鎖したヘッドを有する圧着工具は、同じ圧着力を有するように設計された同じ材料で作られた開放ヘッドを有する圧着工具よりも軽く、これは使用者に対する負担を減らす。
【0054】
他方、開放ヘッドを有する圧着工具は、二つの長いワイヤの端部を一緒に圧着でき、その後、閉鎖したヘッドを有する工具において、圧着工具のヘッドを通して圧着したワイヤを引っ張ることなしに、圧着したワイヤを取り除くことができる。更に、二つの圧着したワイヤの「非圧着」の端部がフリーでないならば、例えば、これらの端部が電気分配箱に固定されているとき、圧着後に圧着ワイヤを閉鎖したヘッドを有する工具から取り除くことは不可能である。
【0055】
上述した本実施形態の特徴は、上記実施形態で説明された方法と組み合わせることも可能である。
【符号の説明】
【0056】
8,10 工具ハンドル
12,13 近位の圧着ダイ
14,15 遠位の圧着ダイ
16,17 ダイセット
20,22 独立調整機構
24,26 調整ねじ
25 ヘッド案内部
36,38 回転ポイント
60,62 伸縮ばね
46,50 遠位の回転ポイント
80 孔
84,86 ガイド孔
82 ダイ面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
手動圧着工具(2)であって、
圧着工具(2)の遠位端(1)と近位端(3)の間に配設された本体(6)と、
圧着工具(2)にて遠位端(1)側に配設された工具ヘッド(4)と、
圧着工具(2)にて近位端(3)側に配設されるハンドル(8、10)と、を備え、
ハンドル(8、10)は、互いに移動可能に配設され、少なくとも一つのハンドル(8、10)が本体(6)に対して移動可能に配設され、少なくとも一つのワークピース(18)を圧着する二つの圧着ダイ(12,14;13,15)がダイセット(16,17)を形成し、工具ハンドル(8,10)の相対移動が少なくとも一つのダイセット(16,17)を形成する圧着ダイ(12,14;13,15)の相対移動に連動する手動圧着工具(2)において、
圧着工具(2)は少なくとも三つの圧着ダイ(12,13,14,15)を備え、圧着ダイ(12,14;13,15)は少なくとも二つのダイセット(16,17)を形成し、少なくとも二つのダイセット(16,17)における圧着ダイ(12,14;13,15)の間の間隔(B,C)が互いに独立に調整可能であることを特徴とする手動圧着工具(2)。
【請求項2】
少なくとも一つの移動可能に配設されたハンドル(8、10)が回転可能に配設されることを特徴とする請求項1に記載の手動圧着工具(2)。
【請求項3】
少なくとも二つのダイセット(16,17)における圧着ダイ(12,14;13,15)の間の間隔(B,C)が、ダイセット(16,17)における少なくとも一つの圧着ダイ(14,15)が独立に調整可能であることによって、互いに独立に調整可能であることを特徴とする請求項1または2に記載の手動圧着工具(2)。
【請求項4】
調整可能な圧着ダイ(14,15)が工具ヘッド(4)に配設された独立調整機構(20,22)によって調整可能に配設され、調整機構(20,22)が工具ヘッド(4)に配設された調整ねじ(24,26)を備え、調整ねじ(24,26)が調整可能な圧着ダイ(14,15)の位置を調整するために配設されていることを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の手動圧着工具(2)。
【請求項5】
調整ねじ(24,26)が、調整ねじ(24,26)の軸方向(D,E)において固定され、工具ヘッド(4)に対して回転可能に配設されていることを特徴とする請求項4に記載の手動圧着工具(2)。
【請求項6】
個々の調整ねじ(24,26)が、調整可能な圧着ダイ(14,15)に配設された調整要素(76,78)の位置を調整することによって、調整可能な圧着ダイ(14,15)の位置を調整するために配設されていることを特徴とする請求項4又は5に記載の手動圧着工具(2)。
【請求項7】
個々の調整ねじ(24,26)が調整要素(76,78)に設けられたねじ孔(80,81)に配設され、個々の調整要素(76,78)が、調整要素(76,78)及び調整可能な圧着ダイ(14,15)に配設された機械的にインターロックするガイド孔(84,86;85,87)によってダイセット(16,17)における他の圧着ダイ(12,13)から離れて対向するダイ面(82,83)において、調整可能な圧着ダイ(14,15)に連結されていることを特徴とする請求項6に記載の手動圧着工具(2)。
【請求項8】
調整ねじ(24,26)が、調整ねじ(24,26)の軸方向(D,E)に固定され、かつ、圧着ダイ(14,15)に配設された調整要素に対して回転可能であり、個々のねじ要素(24,26)が工具ヘッド(4)に設けられたねじ孔に配設され、個々の調整ねじ(24,26)が調整可能な圧着ダイ(14,15)に配設された圧着要素(76,78)の位置を調整することによって、調整可能な圧着ダイ(14,15)の位置を調整するように配設され、調整要素(76,78)が、調整要素(76,78)及び調整可能な圧着ダイ(14,15)に配設された機械的にインターロックするガイド孔(84,86;85,87)によってダイセット(16,17)における他の圧着ダイ(12,13)から離れて対向するダイ面(82,83)において、圧着ダイ(14,15)に連結されていることを特徴とする請求項4に記載の手動圧着工具(2)。
【請求項9】
個々の調整可能な圧着ダイ(14,15)が圧着工具(2)の軸方向(A)において、工具ヘッド(4)にスライド可能にガイドされ、調整要素(76,78)が調整ねじ(24,26)の軸方向(D,E)で工具ヘッド(4)にスライド可能にガイドされることを特徴とする請求項6〜8の何れか一項に記載の手動圧着工具(2)。
【請求項10】
調整ねじ(24,26)がガイド孔(84,86;85,87)の延長方向(F,G)に対して所定の角度(α,β)で延び、調整ねじ(24,26)の回転移動(H,I)が調整要素(76,78)の平行移動(L,M)を介して調整可能な圧着ダイ(14,15)の平行移動(J,K)に変換されることを特徴とする請求項8又は9に記載の手動圧着工具(2)。
【請求項11】
工具ハンドル(8,10)の相対移動が、機構(58)を介して、ダイセット(16,17)を形成する圧着ダイ(12,14;13,15)の相対移動に連動していることを特徴とする請求項1〜10の何れか一項に記載の手動圧着工具(2)。
【請求項12】
工具ハンドル(8,10)の相対移動は、ダイセット(16,17)を形成する圧着ダイ(12,13;14,15)が本体(6)及び工具ヘッド(4)にそれぞれ配置されることによって、圧着ダイ(12,14;13,15)の相対移動に連動し、工具ハンドル(8,10)の相対移動が工具ヘッド(4)と本体(6)との間の相対移動に連動していることを特徴とする請求項1〜11の何れか一項に記載の手動圧着工具(2)。
【請求項13】
本体(6)に対して配設された移動可能な少なくとも一つのハンドル(8,10)が、本体(6)に回転可能に取り付けられていることを特徴とする請求項1〜12の何れか一項に記載の手動圧着工具(2)。
【請求項14】
本体(6)に対して配設された移動可能なハンドル(8,10)が本体(6)に対して回転可能に取り付けられていることを特徴とする請求項1〜12の何れか一項に記載の手動圧着工具(2)。
【請求項15】
工具ヘッド(4)はヘッド案内部(25)を備え、
ヘッド案内部(25)は、少なくとも一つの回転可能なハンドル(8,10)が、本体(6)に回転可能に取り付けられると共にヘッド案内部(25)及びハンドル(8,10)に取付けられた機構(58)によってヘッド案内部(25)に連結されることによって、本体(6)に沿って延びるように配設され、
また、ヘッド案内部(25)は、工具(2)に沿って軸方向(A)に延びるスロット(32,34)内でスライドするピン(28,30)を使用して本体(6)にスライド可能に取り付けられ、
機構(58)は、工具ハンドル(8,19)が互いの方に動くように、本体(6)の方へ工具ヘッド(4)の遠位端(64)を動かすように配設されていることを特徴とする請求項13又は14に記載の手動圧着工具(2)。
【請求項16】
機構(58)はトグル機構であり、回転ハンドル(8,10)がトグル(40,42)によってヘッド案内部(25)に連結されており、トグル(40,42)は、回転ポイント(44,46;48,50)においてヘッド案内部(25)及びハンドルに回転可能に取り付けられていることを特徴とする請求項15に記載の手動圧着工具(2)。
【請求項17】
少なくとも一つの伸縮ばね(60,62)は、互いの方に工具ハンドル(8,10)を押す力が開放されるとき、工具ハンドル(8,10)を離れる方向に動かすように配設され、工具本体(4)の遠位端(64)を本体(6)から遠ざかるように動かすことを特徴とする請求項1〜16の何れか一項に記載の手動圧着工具(2)。
【請求項18】
本体(6)が二つの本体部分(66,68)を備え、工具ヘッド(4)のヘッド案内部(25)は二つの本体部分(66,68)の間でスライドするように配設されていることを特徴とする請求項1〜17の何れか一項に記載の手動圧着工具(2)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−243765(P2012−243765A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−110728(P2012−110728)
【出願日】平成24年5月14日(2012.5.14)
【出願人】(502217838)プレスマスター アクティエボラーグ (5)
【Fターム(参考)】