説明

手動式可動リアバンパー

【課題】走行位置と格納位置に容易に切り換えることができ、ロック状態を確実に行えるようにした手動式可動リアバンパーを提供すること。
【解決手段】車輌の車体枠後端部に回動自在に枢着される取付部材7を介して後方に張り出す走行位置と、車体枠後端部の下方に格納された格納位置とで前後に回動自在に装着されると共に、走行位置と格納位置を保持するロック機構10を具備する手動式可動リアバンパーにおいて、ロック機構は、車体枠後端部に設けられた走行位置側挿入孔11又は格納位置側挿入孔と、取付部材に設けられた挿入孔及び該挿入孔に連通する挿入案内筒14とに挿入される挿入軸部21と該挿入軸部の基端部に屈曲部22を介して操作部23とを一体に形成したロックピン20を具備し、挿入案内筒に、ロックピンの屈曲部が摺動自在なスリット15を設けると共に、該スリットに連なりロックピンがロック状態にあるとき係合する係止溝16を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば荷台を後方に傾斜させ、積載物を荷台後方から排出するダンプ車におけるリアバンパーを走行位置と格納位置とを切換可能な手動式可動リアバンパーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ダンプ車においては、荷台を後方に傾斜させて積載物例えば土砂等を荷台後方から排出する際、リアバンパーが排出土砂等に埋まり、変形,破損等が発生する虞があった。また、ダンプ車でアスファルトフィニッシャ車にアスファルトを投入する場合、ダンプ車をアスファルトフィニッシャ車に接近させると、リアバンパーが突起障害物となり、アスファルトの投入に不都合が生ずる。
【0003】
これら問題を解決する手段として、車輌の車体枠後端部に回動自在に枢着される取付部材を介して後方に張り出す走行位置と車体枠後端部の下方に格納された格納位置とで前後に回動自在に装着されるリアバンパーを、ロックピン(固定ピン)を抜き差しすることにより走行位置と格納位置で固定する手動式のリアバンパーが知られている(例えば、特許文献1,2参照)。
【0004】
上記特許文献1,2に記載のものにおいては、ロックピン(固定ピン)が紛失するのを防止するために、ロックピン(固定ピン)と車輌の車体枠後端部とをチェーンあるいはワイヤによって繋いでいる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−210581号公報(特許請求の範囲、図1〜図4)
【特許文献2】特開2007−290676号公報(特許請求の範囲、図2)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1,2に記載のものは、いずれもロックピン(固定ピン)を抜き差しすることによりリアバンパーを走行位置と格納位置にロック(固定)する構造であるため、ロック(固定)状態においてロックピン(固定ピン)が脱落しないような工夫が必要である。そのため、特許文献1に記載のものにおいては、ロック状態にあるロックピンに安全ピンを差し込んでロックピンの脱落を防止にいる。しかし、安全ピンを用いると、リアバンパーを走行位置と格納位置に切り換える度に安全ピンを抜き差しする手間を要するという問題がある。
【0007】
また、特許文献1,2に記載のものは、いずれもロックピン(固定ピン)と車輌の車体枠後端部とをチェーンあるいはワイヤによって繋いでいるため、何らかの原因でチェーン等が損傷してロックピン(固定ピン)が紛失する懸念がある。
【0008】
この発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、リアバンパーを走行位置と格納位置に容易に切り換えることができると共に、ロック状態を確実に行えるようにした手動式可動リアバンパーを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を達成するために、請求項1記載の発明は、車輌の車体枠後端部に枢着される取付部材を介して後方に張り出す走行位置と、車体枠後端部の下方に格納された格納位置とで前後に回動自在に装着されると共に、上記走行位置と格納位置を保持するロック機構を具備する手動式可動リアバンパーにおいて、 上記ロック機構は、上記車体枠後端部にそれぞれ設けられた走行位置側挿入孔又は格納位置側挿入孔と、上記取付部材に設けられた挿入孔及び該挿入孔に連通する挿入案内筒とに挿入される挿入軸部と該挿入軸部の基端部に屈曲部を介して挿入軸部に対して直交状に延びる操作部とを一体に形成したロックピンを具備し、上記挿入軸部が上記走行位置側挿入孔又は格納位置側挿入孔内に挿入され回動されたロック状態において、上記ロックピンの操作部側が上記取付部材に係合可能に形成される、ことを特徴とする。
【0010】
このように構成することにより、ロックピンの挿入軸部を、車体枠後端部に設けられた走行位置側挿入孔又は格納位置側挿入孔と取付部材に設けられた挿入案内筒を介して挿入孔内に挿入すると共に、ロックピンを回動することで、ロックピンの操作部側を取付部材に係合することができ、ロック状態を維持することができる。
【0011】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の手動式可動リアバンパーにおいて、上記挿入案内筒に、上記ロックピンの屈曲部が摺動自在な軸方向に延びるスリットを設けると共に、該スリットに連なり上記ロックピンがロック状態にあるとき上記屈曲部が係合する係止溝を設けた、ことを特徴とする。
【0012】
このように構成することにより、ロックピンの屈曲部をスリットから係止溝内に係合することで、リアバンパーを走行位置又は格納位置にロック(固定)することができる。また、リアバンパーを走行位置から格納位置又は格納位置から走行位置に移動する場合は、ロックピンの屈曲部を係止溝からスリット内に移動した後、挿入軸部と挿入孔との係合を解いて、リアバンパーを格納位置側又は走行位置側に回動可能にすることができる。したがって、ロックピンを挿入孔から完全に抜き取らずに、リアバンパーを走行位置と格納位置に切り換え移動することができる。
【0013】
請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載の手動式可動リアバンパーにおいて、上記取付部材に、上記ロックピンがロック状態にあるとき、該ロックピンに係合してロック状態を保持するロック保持部を更に設け、上記ロック保持部は、上記取付部材に突設されるアングル状部材の起立部に設けられ、ロックピンの屈曲部に係脱可能に係合する屈曲係止部にて形成されている、ことを特徴とする。
【0014】
このように構成することにより、リアバンパーを走行位置又は格納位置にロック(固定)した状態にあるロックピンの移動をロック保持部によって阻止することができる。
【0015】
請求項4記載の発明は、請求項1記載の手動式可動リアバンパーにおいて、上記挿入案内筒と上記ロックピンとの間に、ロックピンを常時ロック位置側に弾性力を付勢するばね部材を介設してなり、上記ロックピンの操作部の先端部に内方側に向かう係止軸部を設け、上記取付部材に、上記ロックピンがロック状態にあるときに上記係止軸部が貫通可能な貫通孔を設けると共に、上記車体枠後端部に、上記貫通孔を貫通した上記係止軸部が係合可能な第1の係止受け部を設け、上記取付部材に、上記ロックピンがロック解除状態にあるとき上記係止軸部と係合可能な第2の係止受け部を設ける、ことを特徴とする。
【0016】
このように構成することにより、ばね部材の付勢力によってロックピンの挿入軸部を確実に走行位置側挿入孔又は格納位置側挿入孔内に挿入することができる。また、ロックピンのレバーの先端部に内方側に向かう係止軸部を設け、車体枠後端部に、ロックピンがロック状態にあるときに係止軸部と係合可能な第1の係止受け部を設けると共に、取付部材に、ロックピンがロック解除状態にあるとき係止軸部と係合可能な第2の係止受け部を設けることにより、走行位置又は格納位置のロック状態にあるロックピンの移動を阻止することができる。
【発明の効果】
【0017】
(1)請求項1,2記載の発明によれば、リアバンパーを走行位置と格納位置に容易に切り換えることができると共に、ロック状態を確実にすることができる。また、ロックピンを挿入孔から完全に抜き取らずに、リアバンパーを走行位置と格納位置に切り換え移動することができるので、ロックピンの紛失の虞がない。
【0018】
(2)請求項3記載の発明によれば、リアバンパーを走行位置又は格納位置にロック(固定)した状態にあるロックピンの移動をロック保持部によって阻止することができるので、上記(1)に加えて更にリアバンパーの走行位置又は格納位置のロック状態を保持して安全性の確保を図ることができる。
【0019】
(3)請求項4記載の発明によれば、ばね部材の付勢力によってロックピンの挿入軸部を確実に走行位置側挿入孔又は格納位置側挿入孔内に挿入することができるので、上記(1)に加えて更にロック操作を容易にすることができると共に、確実にすることができる。また、走行位置又は格納位置のロック状態にあるロックピンの移動を阻止することができるので、更にリアバンパーの走行位置又は格納位置のロック状態を保持して安全性の確保を図ることができる。また、ロックピンを挿入孔から完全に抜き取らずに、リアバンパーを走行位置と格納位置に切り換え移動することができるので、ロックピンの紛失の虞がない。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】この発明に係る手動式可動リアバンパーの第1実施形態を示す斜視図である。
【図2】第1実施形態の手動式可動リアバンパーの走行位置の状態を示す側面図である。
【図3】第1実施形態の手動式可動リアバンパーの格納位置の状態を示す側面図である。
【図4】第1実施形態の手動式可動リアバンパーの走行位置の状態を示す要部背面図である。
【図5】第1実施形態の手動式可動リアバンパーの走行位置のロック状態を解除する手順を示す概略斜視図である。
【図6】この発明に係る手動式可動リアバンパーの第2実施形態の走行位置と格納位置の状態を示す側面図である。
【図7】第2実施形態の手動式可動リアバンパーのロック状態とロック解除状態を示す概略斜視図である。
【図8】第2実施形態の手動式可動リアバンパーのロック状態とロック解除状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に、この発明を実施するための形態について、添付図面に基づいて詳細に説明する。
【0022】
<第1実施形態>
この発明に係る手動式可動リアバンパーは、図1に示すように、車輌例えばダンプ車1の車体枠2後端部に固定ボルト3,ナット4によって固定される固定部材5に枢支軸6をもって枢着される左右一致の取付部材7の自由端部に架設されるリアバンパー本体8を具備している。また、取付部材7及びリアバンパー本体8は、ダンプ車1の後方に張り出す走行位置と、車体枠2後端部の下方に格納された格納位置とで前後に回動自在に装着されると共に、走行位置と格納位置を保持するロック機構10を具備している。
【0023】
ロック機構10は、車体枠後端部すなわち左右の固定部材5にそれぞれ設けられた走行位置側挿入孔11又は格納位置側挿入孔12と、取付部材7に設けられた挿入孔13及び該挿入孔13に連通する挿入案内筒14とに挿入される挿入軸部21と、該挿入軸部21の基端部に屈曲部22を介して挿入軸部21に対して直交状に延びる操作部23とを一体に形成した略クランク状のロックピン20を具備し、挿入軸部21が走行位置側挿入孔11又は格納位置側挿入孔12内に挿入され回動されたロック状態において、ロックピン20の操作部側が取付部材7に係合可能に形成されている。
【0024】
この場合、挿入案内筒14には、ロックピン20の屈曲部22が摺動自在な軸方向に延びるスリット15が設けられると共に、該スリット15に連なりロックピン20がロック状態にあるとき、ロックピンが回動することで、屈曲部22が係合する周方向に延びる係止溝16を設けられている。このように挿入案内筒14に、軸方向に延びるスリット15と該スリット15に連なる周方向に延びる係止溝16を設けることにより、図1及び図5(a)に示すように、ロックピン20の屈曲部22をスリット15から係止溝16内に係合することで、リアバンパー本体8を走行位置又は格納位置にロック(固定)することができる。また、リアバンパー本体8を走行位置から格納位置又は格納位置から走行位置に移動する場合は、図5(b),(c)に示すように、ロックピン20の屈曲部22を係止溝16からスリット15内に移動した後、挿入軸部21と挿入孔13との係合を解いて、リアバンパー本体8を格納位置側又は走行位置側に回動可能にすることができる。
【0025】
また、取付部材7に、ロックピン20がロック状態にあるとき、該ロックピン20に係合してロック状態を保持するロック保持部30が設けられている。このロック保持部30は、車体枠後端部に固定された固定部材5に回動自在に枢着される取付部材7に突設されるアングル状部材31の起立片32(起立部)に設けられ、ロックピン20の屈曲部22に係脱可能に係合する屈曲係止部33にて形成されている。この場合、アングル状部材31は、取付部材7の外側表面に突出する支持部材34に固定ボルト35及びナット36によって固定される固定片31aの一端から起立する起立片32の先端部側に波形状の屈曲係止部33を有する部材、例えばばね鋼製部材にて形成されている。
【0026】
なお、上記取付部材7は、図1及び図2に示すように、リアバンパーが走行位置あるとき、水平状態となる水平辺7aの進行方向側の端部から直交状に垂下する垂下辺7bを有し、この垂下辺7bの下端と、水平辺7aの他端からそれぞれ後方側に傾斜状に延びる第1及び第2の傾斜辺7c,7dと、両傾斜辺7c,7dの先端同士を連結する垂直辺7eとからなる板状本体7fと、この板状本体7fの各辺から直角に折曲される折曲片7gとからなる箱状に形成されている。このように取付部材7を箱状に形成することにより、リアバンパーの取付部に強度を持たせることができる。
【0027】
また、固定部材5には、リアバンパーの走行位置の位置決め部40が設けられている。この位置決め部40は、図1及び図2に示すように、固定部材5の表面に固定された固定アングル材41の水平片41aに調節可能に螺合する位置決めボルト42の下端に衝撃を吸収可能な緩衝用ゴム部材43を装着してなる。このように構成される位置決め部40は、リアバンパーが走行位置あるとき、取付部材7の上端の水平辺7aの折曲片7gに緩衝用ゴム部材43が当接されて、リアバンパーの走行位置の位置決めを行うと共に、リアバンパーが衝撃を受けた際の衝撃を吸収することができる。
【0028】
なお、車体枠後端部における走行位置側挿入孔11の内方側の近傍位置にはロックピン20の挿入軸部21の挿入を検知するリミットスイッチLSが配置されている。このリミットスイッチLSが挿入軸部21の挿入を検知した時のみ運転席に設けられた表示手段例えば表示ランプ(図示せず)が消灯するようになっている。
【0029】
次に、リアバンパーの走行位置と格納位置に切り換える操作の手順について説明する。まず、リアバンパーが走行位置にある状態から格納位置に移動するには、図5(a)に示すように、操作部23をもってロック保持部30に係合しているロックピン20を反時計方向に回転して係止溝16に係合している屈曲部22をスリット15内に移動する(図5(b)参照)。この状態で、ロックピン20を手前に引いて、走行位置側挿入孔11内から挿入軸部21を引き出して走行位置側挿入孔11と挿入軸部21との係合を解く。リアバンパー本体8を支えながら、反対側のロックピン20も同様に操作してロック状態を解除する。
【0030】
次に、リアバンパー本体8を格納位置まで回動させて、ロックピン20の挿入軸部21を格納位置側挿入孔12内に挿入した後、ロックピン20を回転させて屈曲部22を係止溝16内に係合させて、ロック状態にする。この状態で、ロックピン20の操作部23はロック保持部30によって保持される。反対側のロックピン20も同様に操作して、ロックピン20の屈曲部22を係止溝16内に係合させて、ロック状態にする。
【0031】
リアバンパーを格納位置から走行位置に移動するには、上記操作と逆の操作を行うことによって、リアバンパーを走行位置に移動することができる。走行位置に移動されたリアバンパーのロック状態は、リミットスイッチLSからの信号によって運転席に設けられた表示手段例えば表示ランプによって確認する。
【0032】
<第2実施形態>
図6は、この発明に係る手動式可動リアバンパーの第2実施形態の走行位置と格納位置の状態を示す側面図、図7は、第2実施形態の手動式可動リアバンパーのロック状態とロック解除状態を示す概略斜視図、図8は、第2実施形態の手動式可動リアバンパーのロック状態とロック解除状態を示す断面図である。
【0033】
第2実施形態は、ロック機構10Aのロックピン20Aのロック操作を容易にかつ確実に行えるようにした場合である。すなわち、第2実施形態の手動式可動リアバンパーは、挿入案内筒14とロックピン20Aとの間に、ロックピン20Aを常時ロック位置側に弾性力を付勢するばね部材例えば圧縮コイルばね24を介設してロックピン20Aのロック操作を容易にかつ確実に行えるようにした場合である。
【0034】
この場合、ロックピン20Aの挿入軸部21Aは、図8に示すように、先端に狭小テーパ部25aを有する大径部25と、この大径部25の基端側に連なる段付き軸部26とを具備している。また、第2実施形態における挿入案内筒14Aは開口端側に小径開口部14aを有しており、この小径開口部14aとロックピン20Aの大径部25との間に圧縮コイルばね24を縮設(介設)することで、圧縮コイルばね24の弾発力(付勢力)によって、ロックピン20Aの挿入軸部21Aが常時ロック位置側に押圧されている。
【0035】
また、第2実施形態におけるロックピン20Aの操作部23Aの先端部には、該先端部から内方側に向かう係止軸部27が設けられている。この係止軸部27は挿入軸部21Aに対して平行に設けられている。
【0036】
係止軸部27は、ロックピン20Aがロック状態にあるときには、図8に示すように、取付部材7に設けられた係止貫通孔28を貫通して、車体枠後端部に固定された固定部材5に設けられた第1の係止受け部である係止孔29a内に挿入して係止孔29aと係合する。これにより、ロック状態にあるロックピン20Aが不用意に回動するのを阻止することができる。
【0037】
また、取付部材7には、ロックピン20Aがロック解除状態にあるとき係止軸部27と係合可能な第2の係止受け部である係止受け筒29bが設けられている。
【0038】
上記のように構成することにより、例えばリアバンパーを走行位置から格納位置に移動する場合は、図7(a)及び図8(a)に示すように、操作部23をもってロック状態にあるロックピン20Aを圧縮コイルばね24の弾発力(付勢力)に抗して手前に引いてロック状態を解除すると共に、係止軸部27を係止孔29a及び係止貫通孔28から引き出す。次に、ロックピン20Aを反時計方向に回転して係止軸部27を係止受け筒29bの開口部に移動して操作部23から手を離すと、圧縮コイルばね24の弾発力(付勢力)によって係止軸部27が係止受け筒29b内に挿入してロックピン20Aの回動が阻止される(図7(b)及び図8(b)参照)。反対側のロックピン20Aも同様に操作してロック状態を解除する。この状態で、リアバンパーを格納位置まで移動(回動)することができる。リアバンパーを格納位置に移動(回動)した後、ロックピン20Aの操作部23をもってロックピン20を圧縮コイルばね24の弾発力(付勢力)に抗して手前側に移動して係止軸部27を係止受け筒29b内から引き出した後、ロックピン20Aを上述とは反対方向すなわち時計方向に回転して係止軸部27を係止貫通孔28と対向する位置に移動して操作部23から手を離すと、圧縮コイルばね24の弾発力(付勢力)によってロックピン20Aの挿入軸部21Aが格納位置側挿入孔12内に挿入されてロック状態となる。これに伴って、係止軸部27が係止貫通孔28を貫通して、車体枠後端部に固定された固定部材5に設けられた第1の係止受け部である係止孔29a内に挿入して係止孔29aと係合する。
【0039】
なお、第2実施形態において、その他の構造は第1実施形態と同じであるので、同一部分には同一符号を付して説明は省略する。
【0040】
なお、この発明に係る手動式可動リアバンパーにおいて、図2及び図3に想像線で示すように、車体枠後端部に突設された第1の係止部51と取付部材7における上部外側に突設された第2の係止部52に引張ばね部材、例えば引張コイルばね50を張設してもよい。このように構成することにより、リアバンパーの回動時に引張コイルばね50の引張力(付勢力)が作用してリアバンパーの移動を円滑にすることができる。
【符号の説明】
【0041】
1 ダンプ車(車輌)
2 車体
5 固定部材
6 枢支軸
7 取付部材
8 リアバンパー本体
10,10A ロック機構
11 走行位置側挿入孔
12 格納位置側挿入孔
13 挿入孔
14,14A 挿入案内筒
15 スリット
16 係止溝
20,20A ロックピン
21,21A 挿入軸部
22 屈曲部
23 操作部
24 圧縮コイルばね(ばね部材)
27 係止軸部
28 係止貫通孔
29a 係止孔(第1の係止受け部)
29b 係止受け筒(第2の係止受け部)
30 ロック保持部
33 屈曲係止部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
車輌の車体枠後端部に枢着される取付部材を介して後方に張り出す走行位置と、車体枠後端部の下方に格納された格納位置とで前後に回動自在に装着されると共に、上記走行位置と格納位置を保持するロック機構を具備する手動式可動リアバンパーにおいて、
上記ロック機構は、上記車体枠後端部にそれぞれ設けられた走行位置側挿入孔又は格納位置側挿入孔と、上記取付部材に設けられた挿入孔及び該挿入孔に連通する挿入案内筒とに挿入される挿入軸部と該挿入軸部の基端部に屈曲部を介して挿入軸部に対して直交状に延びる操作部とを一体に形成したロックピンを具備し、上記挿入軸部が上記走行位置側挿入孔又は格納位置側挿入孔内に挿入され回動されたロック状態において、上記ロックピンの操作部側が上記取付部材に係合可能に形成される、ことを特徴とする手動式可動リアバンパー。
【請求項2】
請求項1記載の手動式可動リアバンパーにおいて、
上記挿入案内筒に、上記ロックピンの屈曲部が摺動自在な軸方向に延びるスリットを設けると共に、該スリットに連なり上記ロックピンがロック状態にあるとき上記屈曲部が係合する係止溝を設けた、ことを特徴とする手動式可動リアバンパー。
【請求項3】
請求項1又は2記載の手動式可動リアバンパーにおいて、
上記取付部材に、上記ロックピンがロック状態にあるとき、該ロックピンに係合してロック状態を保持するロック保持部を更に設け、上記ロック保持部は、上記取付部材に突設されるアングル状部材の起立部に設けられ、ロックピンの屈曲部に係脱可能に係合する屈曲係止部にて形成されている、ことを特徴とする手動式可動リアバンパー。
【請求項4】
請求項1記載の手動式可動リアバンパーにおいて、
上記挿入案内筒と上記ロックピンとの間に、ロックピンを常時ロック位置側に弾性力を付勢するばね部材を介設してなり、上記ロックピンの操作部の先端部に内方側に向かう係止軸部を設け、上記取付部材に、上記ロックピンがロック状態にあるときに上記係止軸部が貫通可能な貫通孔を設けると共に、上記車体枠後端部に、上記貫通孔を貫通した上記係止軸部が係合可能な第1の係止受け部を設け、上記取付部材に、上記ロックピンがロック解除状態にあるとき上記係止軸部と係合可能な第2の係止受け部を設ける、ことを特徴とする手動式可動リアバンパー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−264811(P2010−264811A)
【公開日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−116084(P2009−116084)
【出願日】平成21年5月13日(2009.5.13)
【出願人】(597005370)いすゞ車体株式会社 (8)