手動式非接触カードリーダ
【課題】挿入型・スワイプ型を問わず手動式の非接触カードリーダ全般に広く適用することができ、かつ、小型のアンテナでも安定した通信が行える技術を提供する。
【解決手段】非接触カードが搬送される搬送路2のカード挿入口3近傍に、一対のループアンテナ22a,22bを搬送路2を挟んで対向して設けるとともに、これらのループアンテナ22a,22b同士を結ぶ磁気回路40を搬送路2に露出しないように設け、ループアンテナ22a,22bから非接触カードに対して双方向に生じる磁束の一方が、カードと鎖交せず磁気回路40を通って迂回するようにした。
【解決手段】非接触カードが搬送される搬送路2のカード挿入口3近傍に、一対のループアンテナ22a,22bを搬送路2を挟んで対向して設けるとともに、これらのループアンテナ22a,22b同士を結ぶ磁気回路40を搬送路2に露出しないように設け、ループアンテナ22a,22bから非接触カードに対して双方向に生じる磁束の一方が、カードと鎖交せず磁気回路40を通って迂回するようにした。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入退室管理システムなどに用いられる手動式の非接触カードリーダに関する。
【背景技術】
【0002】
カードリーダには、モータで駆動される搬送機構によりカードを自動的に内部に取り込んで情報を読み取るモータ式のものと、カードを手で操作してカード情報を読み取る手動式のものとがある。手動式のカードリーダは、さらに、カードを手で一方向に搬送しながら情報を読み取るスワイプ型のカードリーダと、カードを手で挿入口へ差し込んで抜き取ることにより情報を読み取る挿入型のカードリーダとに分類される。
【0003】
従来、入退室管理システムなどにおいては、磁気カードを用いる手動式のカードリーダが多く採用されているが、近年では、磁気カードに代わって、装置の所定位置にかざすことで情報が非接触で読み取られる非接触カードが急速に普及しており、このような状況下で、必然的に、従来の磁気カードと同じ操作感覚で非接触カードを扱える手動式非接触カードリーダに対する需要が高まってきている。
【0004】
しかしながら、手動式の非接触カードリーダにおいては、モータ式と異なりカードを手で操作するため、カードの搬送速度が不均一となって正確にデータを読み取ることが困難な場合が生じる。また、スワイプ型のものでは、カード搬送路をカードの一部が通過するだけなので、リーダ側のアンテナとカード側のアンテナとの対向面積が小さくなり、両者間の伝送効率が悪く通信が不安定になるという問題がある。
【0005】
上記のような問題点に対して対策を施した非接触カードリーダが、後掲の特許文献1〜4に記載されている。
特許文献1では、アンテナとの通信が安定的に行なえる定位置に非接触カードが位置したことを検知する検知手段を設け、この検知手段により非接触カードが定位置にあることが検知された場合に非接触式カードと通信を開始することで、非接触での通信を安定かつ確実に行なえるようにしている。この特許文献1のものは挿入型のカードリーダであるが、スワイプ型のカードリーダについては、特許文献2に記載されている。
特許文献2では、カード搬送路の終端部に一時停止用ガイドを設けるとともに、その側方にカード取り出し部を設け、手で搬送した非接触カードを一時停止用ガイドに一旦当接させた状態でリーダ側のアンテナと通信を行い、その後カードの搬送方向を側方へ変更してカード取り出し部から取り出すように構成することで、安定した通信を可能としている。
スワイプ型非接触カードリーダの他の例が、特許文献3に記載されている。本文献では、カード搬送路の両側に一対のアンテナを設けるとともに、搬送路の開口部の幅をカードの短辺の長さよりも少し短くし、かつ、搬送路の開口部の深さをカードの短辺の長さかそれ以上とすることで、カードを搬送する場合に、カードがある一定角度で上記一対のアンテナの少なくとも一つと隣接するようにして、十分な電力供給と交信を可能としている。
特許文献4には、カード挿入口の両側に、カード検知用のアンテナを配置した非接触カードリーダが記載されている。このカードリーダでは、アンテナ面をカード挿入方向に対して垂直とすることにより、カード挿入口の手前で非接触カードを検知するとともに、アンテナの裏側における磁束の磁路を構成する磁性体を設けることにより、カードと鎖交する表側の磁束が裏側の磁束で弱められないようにして、良好な通信状態を維持できるようにしている。
【0006】
【特許文献1】特開2003−223619号公報
【特許文献2】特開2001−256446号公報
【特許文献3】特開2000−172794号公報
【特許文献4】特開2005−94561号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記の各特許文献においては、非接触カードとカードリーダとの間で安定した通信ができるように様々な工夫が成されているが、特許文献1は挿入型のカードリーダに特化された技術であり、スワイプ型のようにアンテナとの通信が安定的に行なえる定位置が存在しないカードリーダには適用することができない。
また、特許文献2、3はスワイプ型のカードリーダを対象としているが、特許文献2では、カードの搬送方向を途中で変えるための特殊な構造を採用しているため、搬送方向が固定されているスワイプ型カードリーダに適用することは不可能である。特許文献3では、搬送方向は固定であるが、搬送路の開口部の幅をカードの短辺の長さよりも少し短く、深さをカードの短辺の長さかそれ以上とする必要があり、このような構造上の制約から、スワイプ型のカードリーダ一般に適用するのは難しい。
特許文献4の非接触カードリーダは、手動式ではなくモータ式のカードリーダであるため、前述したような手動式カードリーダに特有の問題は生じない。また、本文献の場合、カード挿入口の両側に設けられるアンテナは、シャッタを開くためのカード検知用アンテナであり、カードの情報を読み取るアンテナは搬送路の奥に別に設けられる。しかしながら、手動式カードリーダでこのように搬送路の奥に読み取り用のアンテナを設けた場合、アンテナ位置を通過するときのカードの速度は、挿入初期に比べて高速になっているので、アンテナとカード間で安定に通信を行うためには、アンテナの面積を大きくする必要があるが、小型のカードリーダでは限られたスペースに大きなアンテナを設けることは困難である。
【0008】
本発明は、上述した課題に鑑み、挿入型・スワイプ型を問わず手動式の非接触カードリーダ全般に広く適用することができ、かつ、小型のアンテナでも安定した通信が行える技術を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明では、非接触カードが挿入されるカード挿入口と、このカード挿入口に挿入された非接触カードが手動で搬送される搬送路と、非接触カードに記録されている情報を非接触で読み取る読取手段とを備えた手動式非接触カードリーダにおいて、読取手段は、搬送路のカード挿入口近傍で当該搬送路を挟んで対向するように設けられた一対のループアンテナを備えており、これらのループアンテナ同士を結ぶ磁気回路が、搬送路に露出しないように設けられる。
【0010】
手動式の非接触カードリーダの場合(特にスワイプ型の場合)、カード挿入口から非接触カードを挿入する初期の段階では、カードの搬送速度が遅いので、上記のようにカード挿入口近傍にループアンテナが配置されていると、カードの速度が遅い状態でカードリーダ側のループアンテナと非接触カード側のループアンテナとの通信が行われる。このため、両者間の通信状態が安定し、カードリーダ側のループアンテナが小さいものであっても、非接触カードに記録されている情報を確実に読み取ることができる。また、各ループアンテナを搬送路に露出しない磁気回路で結ぶことにより、ループアンテナから非接触カードに対して双方向に生じる磁束の一方が、カードと鎖交せず磁気回路を通って迂回するので、カードと鎖交する磁束は一方向のみの磁束となり、鎖交磁束が弱められることが回避される。このため、高い伝送効率が得られ、上述したカード速度が遅い状態での通信と相俟って、小型のループアンテナを用いても確実な通信を行うことが可能となる。さらに、非接触カードの搬送方向や搬送路における構造上の制限がないので、一般の手動式非接触カードリーダに広く適用することができる。
【0011】
また、本発明では、上記ループアンテナに加えて、カード挿入口の両側にアンテナ面がカード挿入方向と略垂直となるように設けられた一対の第2のループアンテナを備えていてもよい。この場合も、第2のループアンテナ同士を結ぶ磁気回路が、搬送路に露出しないように設けられる。
【0012】
前述のように、カード挿入の初期段階ではカードの搬送速度が遅いので、カード挿入口付近で通信を開始する方が通信時間を長く確保できる。このため、カード挿入口の両側に第2のループアンテナを設けた場合、挿入口の手前で磁束を発生させてカードと鎖交させることで、十分な通信時間が確保され、より安定した通信を行うことができる。また、カード挿入口の両側と、搬送路のカード挿入口付近に、それぞれループアンテナが配置されるので、ループアンテナにより形成される磁界の強度が大きくなり、各ループアンテナが小さくても非接触カードとの間で高い伝送効率を得ることができる。
【0013】
また、本発明では、前述した一対のループアンテナに代えて、搬送路のカード挿入口近傍で当該搬送路を挟んで対向するように、ループアンテナと磁性体とを設けてもよい。この場合も、ループアンテナと磁性体とを結ぶ磁気回路が、搬送路に露出しないように設けられる。
【0014】
さらに、本発明では、前述した一対のループアンテナに代えて、搬送路のカード挿入口近傍で当該搬送路を挟んで対向するように、一対の磁性体を設けるとともに、当該磁性体間に磁界を形成するコイルを設けてもよい。この場合も、コイルと各磁性体とを結ぶ磁気回路が、搬送路に露出しないように設けられる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、非接触カードの挿入初期におけるカード速度の遅い状態でアンテナ間の通信が行われるので、カードリーダ側のアンテナが小型であっても、安定した通信によりカード情報を確実に読み取ることが可能となる。また、本発明は、カードの搬送方向や搬送路における構造上の制限がないので、挿入型・スワイプ型を問わず手動式非接触カードリーダ全般に広く適用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態を詳細に説明する。図1は、本発明の実施形態に係る手動式非接触カードリーダ(以下、単に「カードリーダ」という。)を示す斜視図である。100はスワイプ型のカードリーダであって、本体1にはカードの搬送路2が形成されている。この搬送路2は、本体1の上面1aに開口しているとともに両端面1bに開口しており、本体1の一方の端面1bの開口部は、カード4が矢印方向から挿入されるカード挿入口3となっている。カード4はループアンテナ30を備えた非接触カードである。22a,22bは非接触カード4のループアンテナ30と通信を行うための一対のループアンテナであって、カード搬送路2のカード挿入口3近傍に搬送路2を挟んで対向して設けられている。したがって、ループアンテナ22a,22bの各アンテナ面は、カード挿入方向に対して略平行となっている。
【0017】
カードリーダ100は、非接触カード4だけでなく、図2(a)に示すような磁気ストライプ33を備えた磁気カード4aや、図2(b)に示すようなループアンテナ30と磁気ストライプ33とを備えたハイブリッドカード4bも取り扱えるように、磁気ストライプ33の情報を読み取るための磁気ヘッド11を備えている。26はカード搬送路2の後部(カード挿入口3と反対側)に設けられたカード検知センサであって、カード搬送路2を手動で搬送された非接触カード4が所定位置まで達したことを検知する検知手段を構成する。このセンサ26は、例えば、搬送路2を挟んで対向する投光素子および受光素子を備えたフォトセンサからなる。なお、カード検知センサ26として、フォトセンサに代えて、マイクロスイッチ等を用いることも可能である。
【0018】
図3は、カードリーダ100および非接触カード4の電気ブロック図を示している。カードリーダ100は、磁気ブロック10と、非接触ブロック20とを備えている。磁気ブロック10において、11は上述した磁気ヘッド、12は磁気ヘッド11で読み取られた磁気情報を復号するデコーダである。デコーダ12は、入退出管理装置や取引処理装置などの上位装置(図示省略)と接続されている。非接触ブロック20において、21は制御部を構成するCPU、22は上述したループアンテナ22a,22bからなるループアンテナ、23はループアンテナ22を介して非接触カード4との間でデータの送受信を行う送受信部、24は制御プログラム等が格納されたROMやデータを一時的に記憶するRAMから構成される記憶部、25は外部機器と接続するためのインターフェイス回路、26は前述のカード検知センサである。ループアンテナ22(22a,22b)および送受信部23は、本発明における読取手段の一実施形態を構成する。非接触カード4において、30は前述のループアンテナ、31はループアンテナ30を介してカードリーダ100との間でデータの送受信を行う送受信部、32はカード情報が記憶された記憶部である。なお、磁気ヘッドブロック10と非接触ブロック20には、上記のほかにも電源回路などが設けられているが、本発明とは直接関係しないので、図示は省略してある。
【0019】
図4は、カードリーダ100における要部の構造を示す図である。(a)はカードリーダ100の上面図、(b)は同正面図、(c)は(b)のA−A断面側面図である。各図において、図1と同一部分には同一符号を付してある。40は一対のループアンテナ22a,22b同士を結ぶ磁気回路であり、その詳細は後述する。なお、便宜上、図4(a)ではループアンテナ22a,22bを実線で描いてあり、図4(b)ではループアンテナ22a,22bおよび磁性体40を実線で描いてある。
【0020】
図4(a)のように、ループアンテナ22a,22bは、搬送路2のカード挿入口3近傍で搬送路2を挟んで対向するように設けられ、それぞれのアンテナ面は、カード挿入方向に対して略平行となっている。磁気ヘッド11は、その先端部が搬送路2に臨むように、搬送路2の中央付近に設けられている。カード検知センサ26は、磁気ヘッド11からみてカード挿入口3と反対側にあって、搬送路2を挟んで設けられている。
【0021】
磁気回路40は、磁気抵抗値の小さい磁性体からなり、図4(c)に示すように、略U字状に形成されている。この磁気回路40は、ループアンテナ22a,22b間に跨って設けられ、搬送路2の底部2aの下を潜って、搬送路2に露出しないようにカードリーダ本体1内に埋設されている。
【0022】
図5は、カードリーダ側のループアンテナ22a,22bの概略構成を示す図である。ループアンテナ22a,22bは、それぞれ平面をなすように巻回されたコイルから構成される。ループアンテナ22aとループアンテナ22bとは、電流を流すことによって生じる磁束の向きが同じとなるように電気的に接続されている。
【0023】
図6は、非接触カード側のループアンテナ30の概略構成を示す図である。ループアンテナ30も、平面をなすように巻回されたコイルから構成される。34はループアンテナ30と電気的に接続されたICチップである。このICチップ34には、図2で示した送受信部31と記憶部32が内蔵されている。
【0024】
上述したカードリーダ100を用いて非接触カード4の情報を読み取るには、非接触カード4を手で把持して、図1の矢印方向からカードリーダ100のカード挿入口3へ挿入し、カードを把持したまま手動で搬送路2を搬送する。ループアンテナ22a,22bへの通電によって、搬送路2を横切る磁束がカード挿入口3の近傍で発生しているので、非接触カード4がカード挿入口3へ挿入された直後から、ループアンテナ22a,22bの形成する磁束が非接触カード4のループアンテナ30と鎖交する。このため、ループアンテナ30には電磁誘導による起電力が生じ、この起電力がICチップ34に与えられて送受信部31が能動化される。その結果、ループアンテナ22a,22bとループアンテナ30との間でデータの送受信が行われ、非接触カード4の記憶部32に記憶されているカード情報がカードリーダ100で読み取られる。読み取られた情報は、記憶部24に一旦格納される。なお、カードが図2に示したような磁気ストライプ33を有するものである場合は、カードが搬送路2を搬送される過程で、磁気ヘッド11により磁気ストライプ33に記録されている情報が読み取られる。
【0025】
非接触カード4の情報が読み取られた後、非接触カード4をさらに手動で搬送し、カード検知センサ26により、非接触カード4が検知されると、カードリーダ100のCPU21は、読み取った情報に基づく所定の処理を実行する。例えば、読み取った情報や所定のコマンドを上位装置へ送信するなどの処理を行う。
【0026】
次に、磁気回路40の役割について、図7を参照しつつ説明する。図7(a)は、磁気回路40を設けない場合のループアンテナ22a,22bによる磁束分布を示す図である。図のように、一対のループアンテナ22a,22bを、発生する磁束の向きが同じとなるように対向配置した場合、非接触カード4と鎖交する磁束には、ループアンテナ22aから22bへ向う内側の磁束Φ1のほかに、ループアンテナ22bから22aへ向う外側の磁束Φ2がある。この外側の磁束Φ2は内側の磁束Φ1と逆方向に作用するので、内側の磁束Φ1が部分的に相殺され、非接触カード4と鎖交する磁束が弱められる。このため、ループアンテナ22a,22bと非接触カード4との間の通信における伝送効率が低下し、カード情報を正確に読み取れない場合が生じる。
【0027】
これに対して、図7(b)に示すように、ループアンテナ22a,22bを結ぶ磁気抵抗値の小さい磁気回路40を設けると、ループアンテナ22bから22aへ向おうとする磁束Φ2は、全て磁気回路40に導かれる。そして、この磁気回路40は、図4(c)で示したように、搬送路2の下方を迂回するように設けられているため、磁気回路40を通る磁束Φ2が非接触カード4と鎖交することはない。したがって、非接触カード4と鎖交する磁束Φ1が逆方向の磁束Φ2により弱められることがないので、ループアンテナ22a,22bと非接触カード4との間の伝送効率が向上し、安定した通信によりカード情報を正確に読み取ることができる。
【0028】
以上述べた実施形態では、搬送路2のカード挿入口3近傍にループアンテナ22a,22bが配置され、これらを結ぶ磁気回路40が搬送路2に露出しないように設けられていることが特徴となっている。上述したスワイプ型のカードリーダ100の場合、カード挿入口3から非接触カード4を挿入する初期の段階では、カードの搬送速度が遅いので、カード挿入口3近傍にループアンテナ22a,22bが配置されていると、カードの速度が遅い状態でカードリーダ100側のループアンテナ22a,22bと非接触カード4側のループアンテナ30との通信が行われる。このため、両者間の通信状態が安定し、カードリーダ100側のループアンテナ22a,22bが小さいものであっても、非接触カード4に記録されている情報を確実に読み取ることができる。また、各ループアンテナ22a,22bを搬送路2に露出しない磁気回路40で結ぶことにより、ループアンテナ22a,22bから非接触カード4に対して双方向に生じる磁束の一方Φ2が、カードと鎖交せず磁気回路40を通って迂回するので、カードと鎖交する磁束は一方向のみの磁束Φ1となり、鎖交磁束が弱められることが回避される。このため、高い伝送効率が得られ、上述したカード速度が遅い状態での通信と相俟って、小型のループアンテナ22a,22bを用いても確実な通信を行うことが可能となる。さらに、非接触カード4の搬送方向や搬送路2における構造上の制限がないので、一般の手動式非接触カードリーダに広く適用することができる。
【0029】
また、上記実施形態では、手動で搬送された非接触カード4が所定位置まで達したことを検知するカード検知センサ26を設け、このカード検知センサ26が非接触カード4を検知したことを条件として、ループアンテナ22a,22bで読み取った情報に基づく所定の処理を実行するようにしている。したがって、非接触カード4をカード挿入口3に挿入した直後の、カード情報が読み取られた時点では装置(例えばドアの電気錠)は動作せず、非接触カード4を手動で定位置まで搬送した時点で装置が動作するので、非接触カード4をカード挿入口3に挿入した途端に装置が動作するといった違和感がなく、従来の磁気カードと同じ感覚で非接触カード4を操作することができる。
【0030】
図8は、本発明の他の実施形態を示しており、図4(c)に対応する図である。先の実施形態では、搬送路2の両側に一対のループアンテナ22a,22bを設けた例を示したが、図8(a)の実施形態では、搬送路2の片側にループアンテナ22を設け、もう片側に磁性体27を設けている。そして、これらのループアンテナ22と磁性体27とを結ぶ磁気回路40が、搬送路2に露出しないように設けられる。また、図8(b)の実施形態では、磁気回路40の端部27aが磁性体を兼ねており、図8(a)のような磁性体27が不要となる。
【0031】
図8の実施形態においても、ループアンテナ22と磁性体27(27a)との間の搬送路2に、カードと鎖交する磁束が形成されるので、ループアンテナ22および磁性体27(27a)をカード挿入口3近傍に配置することにより、カード挿入の初期段階におけるカード速度が遅い状態で、安定した通信によってカードの記録情報を確実に読み取ることができる。また、ループアンテナ22と磁性体27とが、搬送路2に露出しない磁気回路40で結ばれているので、ループアンテナ22から磁性体27へ向う磁束に対して反対方向に生じる磁束は、磁気回路40を通って迂回し、カードと鎖交しない。したがって、カードの鎖交磁束が弱められることがなく、ループアンテナ22や磁性体27が小型であっても、高い伝送効率が得られ、安定した通信を行うことが可能となる。さらに、非接触カード4の搬送方向や搬送路2における構造上の制限がないので、一般の手動式非接触カードリーダに広く適用することができる。
【0032】
図9は、本発明の他の実施形態を示しており、図8の変形例である。図8の実施形態では、搬送路2の両側にループアンテナ22と磁性体27(27a)とを設けたが、図9(a)の実施形態では、搬送路2の両側に一対の磁性体27を設け、これらの磁性体27を結ぶ磁気回路40を搬送路2に露出しないように設け、かつ、磁気回路40の一部に、磁性体27間に磁界を形成するコイル28を巻回している。また、図9(b)の実施形態では、磁気回路40の両端部27aが磁性体を兼ねており、図9(a)のような磁性体27が不要となる。
【0033】
図9の実施形態においても、コイル28および磁気回路40により、磁性体27(27a)間の搬送路2にカードと鎖交する磁束が形成されるので、磁性体27(27a)をカード挿入口3近傍に配置することにより、カード挿入の初期段階におけるカード速度が遅い状態で、安定した通信によってカードの記録情報を確実に読み取ることができる。また、磁性体27(27a)とコイル28とが、搬送路2に露出しない磁気回路40で結ばれているので、図8の場合と同じ原理による磁束の迂回が生じ、カードの鎖交磁束が弱められることが回避される。このため、コイル28や磁性体27が小型であっても、高い伝送効率が得られ、安定した通信を行うことが可能となる。さらに、非接触カード4の搬送方向や搬送路2における構造上の制限がないので、一般の手動式非接触カードリーダに広く適用することができる。
【0034】
図10は、本発明のさらに他の実施形態に係るカードリーダ101を示している。図10において、図1と同一部分には同一符号を付してある。本実施形態では、図1における搬送路2の両側のループアンテナ22a,22bに加えて、カード挿入口3の両側に、一対のループアンテナ22c,22dを備えている。これらのループアンテナ22c,22dは、アンテナ面がカード挿入方向(矢印方向)と略垂直となるように設けられている。その他の構成については、図1と同じである。このカードリーダ101においても、非接触カード4のほか、図2(a)の磁気カード4aや、図2(b)のハイブリッドカード4bを用いることができる。また、カードリーダ101および非接触カード4の電気ブロック図は、図3と実質的に同じであり、図3のアンテナ22には、ループアンテナ22a,22bとループアンテナ22c,22dとが含まれる。
【0035】
図11は、ループアンテナ22c,22dの概略構成を示す図である。ループアンテナ22c,22dは、それぞれ平面をなすように巻回されたコイルから構成される。ループアンテナ22cとループアンテナ22dとは、電流を流すことによって生じる磁束の向きが逆となるように電気的に接続されている。すなわち、ループアンテナ22c,22dは、互いに逆位相となるように駆動される。これに対して、ループアンテナ22a,22bは、図1の場合と同様に、電流を流すことによって生じる磁束の向きが同じとなるように電気的に接続されている。すなわち、ループアンテナ22a,22bは、互いに同位相となるように駆動される。ループアンテナ22a,22bとループアンテナ22c,22dとは、電気的に直列または並列に接続されている。非接触カード4のループアンテナについては、図6で示したものと同じである。
【0036】
図12は、カードリーダ101における要部の構造を示す図である。(a)はカードリーダ101の上面図、(b)は同正面図、(c)は(b)のA−A断面側面図、(d)は(b)のB−B断面側面図である。各図において、図10と同一部分には同一符号を付してある。40は一対のループアンテナ22a,22b同士を結ぶ磁気回路、50は一対のループアンテナ22c,22d同士を結ぶ磁気回路である。なお、便宜上、図12(a)ではループアンテナ22a〜22dを実線で描いてあり、図12(b)ではループアンテナ22a〜22dおよび磁性体40,50を実線で描いてある。
【0037】
ループアンテナ22a,22bは、図12(a)に示されるように、搬送路2のカード挿入口3近傍で搬送路2を挟んで対向するように設けられ、それぞれのアンテナ面は、カード挿入方向に対して略平行となっている。磁気ヘッド11は、その先端部が搬送路2に臨むように、搬送路2の中央付近に設けられている。カード検知センサ26は、磁気ヘッド11からみてカード挿入口3と反対側にあって、搬送路2を挟んで設けられている。これらについては、図4の実施形態と同じである。一方、ループアンテナ22c,22dは、上述したように、カード挿入口3の両側に一対設けられ、それぞれのアンテナ面は、カード挿入方向に対して略垂直となっている。
【0038】
磁気回路40は磁気抵抗値の小さい磁性体からなり、図12(c)に示すように、略U字状に形成されている。この磁気回路40は、ループアンテナ22a,22b間に跨って設けられ、搬送路2の底部2aの下を潜って、搬送路2に露出しないようにカードリーダ本体1内に埋設されている。この構造については、図4(c)と同じである。一方、磁気回路50も磁気抵抗値の小さい磁性体からなり、図12(d)に示すように、略U字状に形成されている。この磁気回路50は、ループアンテナ22c,22d間に跨って設けられ、搬送路2の底部2aの下を潜って、搬送路2に露出しないようにカードリーダ本体1内に埋設されている。
【0039】
上述したカードリーダ101を用いて非接触カード4の情報を読み取るには、非接触カード4を手で把持して、図10の矢印方向からカードリーダ101のカード挿入口3へ挿入し、カードを把持したまま手動で搬送路2を搬送する。ループアンテナ22c,22dへの通電によって、カード挿入口3の手前に磁束が発生しているとともに、ループアンテナ22a,22bへの通電によって、搬送路2を横切る磁束がカード挿入口3の近傍で発生している。このため、非接触カード4がカード挿入口3へ挿入されるのとほぼ同時に、ループアンテナ22c,22dの形成する磁束が非接触カード4のループアンテナ30と鎖交し、その直後に、ループアンテナ22a,22bの形成する磁束が非接触カード4のループアンテナ30と鎖交する。これにより、ループアンテナ30には電磁誘導による起電力が生じ、この起電力がICチップ34に与えられて送受信部31が能動化される。その結果、ループアンテナ22a〜22dとループアンテナ30との間でデータの送受信が行われ、非接触カード4の記憶部32に記憶されているカード情報がカードリーダ101で読み取られる。読み取られた情報は、記憶部24に一旦格納される。なお、カードが図2に示したような磁気ストライプ33を有するものである場合は、カードが搬送路2を搬送される過程で、磁気ヘッド11により磁気ストライプ33に記録されている情報が読み取られる。
【0040】
非接触カード4の情報が読み取られた後、非接触カード4をさらに手動で搬送し、カード検知センサ26により、非接触カード4が検知されると、カードリーダ101のCPUは、読み取った情報に基づく所定の処理を実行する。例えば、読み取った情報や所定のコマンドを上位装置へ送信するなどの処理を行う。
【0041】
次に、磁気回路50の役割について、図13を参照しつつ説明する。磁気回路40の役割については、図7で述べた通りであるので、ここでは説明を省略する。図13(a)は、磁気回路50を設けない場合のループアンテナ22c,22dによる磁束分布を示す図である。図のように、一対のループアンテナ22c,22dを、発生する磁束の向きが逆となるように並べて配置した場合、非接触カード4と鎖交する磁束には、ループアンテナ22dから22cへ向う外側の磁束Φ3のほかに、ループアンテナ22cから22dへ向う内側の磁束Φ4がある。この内側の磁束Φ4は外側の磁束Φ3と逆方向に作用するので、外側の磁束Φ3が部分的に相殺され、非接触カード4と鎖交する磁束が弱められる。このため、ループアンテナ22c,22dと非接触カード4との間の通信における伝送効率が低下し、カード情報を正確に読み取れない場合が生じる。
【0042】
これに対して、図13(b)に示すように、ループアンテナ22c,22dを結ぶ磁気抵抗値の小さい磁気回路50を設けると、ループアンテナ22cから22dへ向おうとする磁束は、全て磁気回路50に導かれる。そして、この磁気回路50は、図12(d)で示したように、搬送路2の下方を迂回するように設けられているため、磁気回路50を通る磁束が非接触カード4と鎖交することはない。したがって、非接触カード4と鎖交する磁束Φ3が逆方向の磁束Φ4により弱められることがないので、ループアンテナ22c,22dと非接触カード4との間の伝送効率が向上し、安定した通信によりカード情報を正確に読み取ることができる。
【0043】
以上述べた実施形態では、カード挿入口3の両側に第1のループアンテナ22c,22dが配置されるとともに、搬送路2のカード挿入口3近傍に第2のループアンテナ22a,22bが配置され、それぞれの対のループアンテナ同士を結ぶ磁気回路40,50が搬送路2に露出しないように設けられていることが特徴となっている。前述のように、カード挿入の初期段階ではカードの搬送速度が遅いので、カード挿入口3付近で通信を開始する方が通信時間を長く確保できる。このため、カード挿入口3の両側にループアンテナ22c,22dを設け、カード挿入口3の手前で磁束を発生させて非接触カード4と鎖交させることで、十分な通信時間が確保され、より安定した通信を行うことができる。さらに、カード挿入口3の両側と、搬送路2のカード挿入口3付近に、それぞれループアンテナが配置されるので、ループアンテナ22a〜22dにより形成される磁界の強度が大きくなり、各ループアンテナが小さくても非接触カード4との間で高い伝送効率を得ることができる。
【0044】
また、ループアンテナ22a,22bを搬送路2に露出しない磁気回路40で結ぶことにより、図7のように、ループアンテナ22a,22bから非接触カード4に対して双方向に生じる磁束の一方Φ2が、カードと鎖交せず磁気回路40を通って迂回するので、カードと鎖交する磁束は一方向のみの磁束Φ1となり、鎖交磁束が弱められることが回避される。このため、カードリーダ101側のループアンテナ22a,22bが小型であっても、高い伝送効率が得られ、安定した通信を行うことが可能となる。
【0045】
同様に、ループアンテナ22c,22dを搬送路2に露出しない磁気回路50で結ぶことにより、図13のように、ループアンテナ22c,22dから非接触カード4に対して双方向に生じる磁束の一方Φ4が、カードと鎖交せず磁気回路50を通って迂回するので、カードと鎖交する磁束は一方向のみの磁束Φ3となり、鎖交磁束が弱められることが回避される。このため、カードリーダ101側のループアンテナ22c,22dが小型であっても、高い伝送効率が得られ、安定した通信を行うことが可能となる。
【0046】
また、本実施形態のカードリーダ101においても、先の実施形態と同様に、手動で搬送された非接触カード4が所定位置まで達したことを検知するカード検知センサ26を設け、このカード検知センサ26が非接触カード4を検知したことを条件として、ループアンテナ22a〜22dで読み取った情報に基づく所定の処理を実行するようにしている。したがって、非接触カード4をカード挿入口3に挿入した直後の、カード情報が読み取られた時点では装置(例えばドアの電気錠)は動作せず、非接触カード4を手動で定位置まで搬送した時点で装置が動作するので、非接触カード4をカード挿入口3に挿入した途端に装置が動作するといった違和感がなく、従来の磁気カードと同じ感覚で非接触カード4を操作することができる。さらに、本実施形態も、非接触カード4の搬送方向や搬送路2における構造上の制限がないので、一般の手動式非接触カードリーダに広く適用することができる。
【0047】
なお、図8および図9の実施形態は、上述したカードリーダ101にも適用することができる。
【0048】
図14は、本発明の他の実施形態に係る挿入型のカードリーダ200を示す斜視図である。201はカードリーダ200の本体であって、その一端面にカード挿入口203が設けられている。カード挿入口203には、図1および図2に示したカード4,4a,4bと同じカードが挿入される。202は、挿入されたカードの搬送路である。この搬送路202のカード挿入口203近傍には、一対のループアンテナ222a,222bが搬送路202を挟んで対向して設けられている。これらのループアンテナ222a,222bの各アンテナ面は、カード挿入方向に対して略平行となっている。また、カード挿入口203の両側には、一対のループアンテナ222c,222dが設けられている。これらのループアンテナ222c,222dの各アンテナ面は、カード挿入方向に対して略垂直となっている。図10の実施形態と同様に、ループアンテナ222a,222bは、発生する磁束の向きが同じとなるように電気的に接続されており、ループアンテナ222c,222dは、発生する磁束の向きが逆となるように電気的に接続されている。なお、図14では、磁気ヘッドやカード検知センサの図示は省略してある。
【0049】
このような挿入型のカードリーダ200に本発明を適用した場合も、スワイプ型のカードリーダ100,101の場合と同様の効果を得ることができる。また、図8および図9の実施形態は、上述したカードリーダ200にも適用することができる。
【0050】
以上述べた各実施形態は一例であって、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではない。例えば、上述した実施形態では磁気回路40、50を別々の磁性体で構成したが、磁気回路40、50を一枚の磁性体で兼用してもよい。また、上述した実施形態では、図2のような磁気ストライプ33を有するカードも読み取れるように磁気ヘッド11を備えたカードリーダを例に挙げたが、本発明では磁気ヘッド11は必須ではなく、磁気ヘッド11を省略して非接触カード専用のカードリーダとして実現することも可能である。また、図3においては、デコーダ12を直接上位装置へ接続しているが、デコーダ12をCPU21を介して上位装置へ接続する構成を採用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明の実施形態に係るカードリーダを示す斜視図である。
【図2】カードの他の例を示す斜視図である。
【図3】カードリーダおよび非接触カードの電気ブロック図である。
【図4】カードリーダにおける要部の構造を示す図である。
【図5】カードリーダ側のループアンテナの概略構成を示す図である。
【図6】非接触カード側のループアンテナの概略構成を示す図である。
【図7】磁気回路の役割を説明する図である。
【図8】本発明の他の実施形態を示す図である。
【図9】本発明の他の実施形態を示す図である。
【図10】本発明の他の実施形態に係るカードリーダを示す斜視図である。
【図11】ループアンテナの概略構成を示す図である。
【図12】カードリーダにおける要部の構造を示す図である。
【図13】磁気回路の役割を説明する図である。
【図14】本発明の他の実施形態に係るカードリーダを示す斜視図である。
【符号の説明】
【0052】
2,202 搬送路
3,203 カード挿入口
4 非接触カード
22a〜22d,222a〜222d ループアンテナ
23 送受信部
26 カード検知センサ
27 磁性体
28 コイル
30 ループアンテナ
40,50 磁気回路
100,101,200 カードリーダ
【技術分野】
【0001】
本発明は、入退室管理システムなどに用いられる手動式の非接触カードリーダに関する。
【背景技術】
【0002】
カードリーダには、モータで駆動される搬送機構によりカードを自動的に内部に取り込んで情報を読み取るモータ式のものと、カードを手で操作してカード情報を読み取る手動式のものとがある。手動式のカードリーダは、さらに、カードを手で一方向に搬送しながら情報を読み取るスワイプ型のカードリーダと、カードを手で挿入口へ差し込んで抜き取ることにより情報を読み取る挿入型のカードリーダとに分類される。
【0003】
従来、入退室管理システムなどにおいては、磁気カードを用いる手動式のカードリーダが多く採用されているが、近年では、磁気カードに代わって、装置の所定位置にかざすことで情報が非接触で読み取られる非接触カードが急速に普及しており、このような状況下で、必然的に、従来の磁気カードと同じ操作感覚で非接触カードを扱える手動式非接触カードリーダに対する需要が高まってきている。
【0004】
しかしながら、手動式の非接触カードリーダにおいては、モータ式と異なりカードを手で操作するため、カードの搬送速度が不均一となって正確にデータを読み取ることが困難な場合が生じる。また、スワイプ型のものでは、カード搬送路をカードの一部が通過するだけなので、リーダ側のアンテナとカード側のアンテナとの対向面積が小さくなり、両者間の伝送効率が悪く通信が不安定になるという問題がある。
【0005】
上記のような問題点に対して対策を施した非接触カードリーダが、後掲の特許文献1〜4に記載されている。
特許文献1では、アンテナとの通信が安定的に行なえる定位置に非接触カードが位置したことを検知する検知手段を設け、この検知手段により非接触カードが定位置にあることが検知された場合に非接触式カードと通信を開始することで、非接触での通信を安定かつ確実に行なえるようにしている。この特許文献1のものは挿入型のカードリーダであるが、スワイプ型のカードリーダについては、特許文献2に記載されている。
特許文献2では、カード搬送路の終端部に一時停止用ガイドを設けるとともに、その側方にカード取り出し部を設け、手で搬送した非接触カードを一時停止用ガイドに一旦当接させた状態でリーダ側のアンテナと通信を行い、その後カードの搬送方向を側方へ変更してカード取り出し部から取り出すように構成することで、安定した通信を可能としている。
スワイプ型非接触カードリーダの他の例が、特許文献3に記載されている。本文献では、カード搬送路の両側に一対のアンテナを設けるとともに、搬送路の開口部の幅をカードの短辺の長さよりも少し短くし、かつ、搬送路の開口部の深さをカードの短辺の長さかそれ以上とすることで、カードを搬送する場合に、カードがある一定角度で上記一対のアンテナの少なくとも一つと隣接するようにして、十分な電力供給と交信を可能としている。
特許文献4には、カード挿入口の両側に、カード検知用のアンテナを配置した非接触カードリーダが記載されている。このカードリーダでは、アンテナ面をカード挿入方向に対して垂直とすることにより、カード挿入口の手前で非接触カードを検知するとともに、アンテナの裏側における磁束の磁路を構成する磁性体を設けることにより、カードと鎖交する表側の磁束が裏側の磁束で弱められないようにして、良好な通信状態を維持できるようにしている。
【0006】
【特許文献1】特開2003−223619号公報
【特許文献2】特開2001−256446号公報
【特許文献3】特開2000−172794号公報
【特許文献4】特開2005−94561号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記の各特許文献においては、非接触カードとカードリーダとの間で安定した通信ができるように様々な工夫が成されているが、特許文献1は挿入型のカードリーダに特化された技術であり、スワイプ型のようにアンテナとの通信が安定的に行なえる定位置が存在しないカードリーダには適用することができない。
また、特許文献2、3はスワイプ型のカードリーダを対象としているが、特許文献2では、カードの搬送方向を途中で変えるための特殊な構造を採用しているため、搬送方向が固定されているスワイプ型カードリーダに適用することは不可能である。特許文献3では、搬送方向は固定であるが、搬送路の開口部の幅をカードの短辺の長さよりも少し短く、深さをカードの短辺の長さかそれ以上とする必要があり、このような構造上の制約から、スワイプ型のカードリーダ一般に適用するのは難しい。
特許文献4の非接触カードリーダは、手動式ではなくモータ式のカードリーダであるため、前述したような手動式カードリーダに特有の問題は生じない。また、本文献の場合、カード挿入口の両側に設けられるアンテナは、シャッタを開くためのカード検知用アンテナであり、カードの情報を読み取るアンテナは搬送路の奥に別に設けられる。しかしながら、手動式カードリーダでこのように搬送路の奥に読み取り用のアンテナを設けた場合、アンテナ位置を通過するときのカードの速度は、挿入初期に比べて高速になっているので、アンテナとカード間で安定に通信を行うためには、アンテナの面積を大きくする必要があるが、小型のカードリーダでは限られたスペースに大きなアンテナを設けることは困難である。
【0008】
本発明は、上述した課題に鑑み、挿入型・スワイプ型を問わず手動式の非接触カードリーダ全般に広く適用することができ、かつ、小型のアンテナでも安定した通信が行える技術を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明では、非接触カードが挿入されるカード挿入口と、このカード挿入口に挿入された非接触カードが手動で搬送される搬送路と、非接触カードに記録されている情報を非接触で読み取る読取手段とを備えた手動式非接触カードリーダにおいて、読取手段は、搬送路のカード挿入口近傍で当該搬送路を挟んで対向するように設けられた一対のループアンテナを備えており、これらのループアンテナ同士を結ぶ磁気回路が、搬送路に露出しないように設けられる。
【0010】
手動式の非接触カードリーダの場合(特にスワイプ型の場合)、カード挿入口から非接触カードを挿入する初期の段階では、カードの搬送速度が遅いので、上記のようにカード挿入口近傍にループアンテナが配置されていると、カードの速度が遅い状態でカードリーダ側のループアンテナと非接触カード側のループアンテナとの通信が行われる。このため、両者間の通信状態が安定し、カードリーダ側のループアンテナが小さいものであっても、非接触カードに記録されている情報を確実に読み取ることができる。また、各ループアンテナを搬送路に露出しない磁気回路で結ぶことにより、ループアンテナから非接触カードに対して双方向に生じる磁束の一方が、カードと鎖交せず磁気回路を通って迂回するので、カードと鎖交する磁束は一方向のみの磁束となり、鎖交磁束が弱められることが回避される。このため、高い伝送効率が得られ、上述したカード速度が遅い状態での通信と相俟って、小型のループアンテナを用いても確実な通信を行うことが可能となる。さらに、非接触カードの搬送方向や搬送路における構造上の制限がないので、一般の手動式非接触カードリーダに広く適用することができる。
【0011】
また、本発明では、上記ループアンテナに加えて、カード挿入口の両側にアンテナ面がカード挿入方向と略垂直となるように設けられた一対の第2のループアンテナを備えていてもよい。この場合も、第2のループアンテナ同士を結ぶ磁気回路が、搬送路に露出しないように設けられる。
【0012】
前述のように、カード挿入の初期段階ではカードの搬送速度が遅いので、カード挿入口付近で通信を開始する方が通信時間を長く確保できる。このため、カード挿入口の両側に第2のループアンテナを設けた場合、挿入口の手前で磁束を発生させてカードと鎖交させることで、十分な通信時間が確保され、より安定した通信を行うことができる。また、カード挿入口の両側と、搬送路のカード挿入口付近に、それぞれループアンテナが配置されるので、ループアンテナにより形成される磁界の強度が大きくなり、各ループアンテナが小さくても非接触カードとの間で高い伝送効率を得ることができる。
【0013】
また、本発明では、前述した一対のループアンテナに代えて、搬送路のカード挿入口近傍で当該搬送路を挟んで対向するように、ループアンテナと磁性体とを設けてもよい。この場合も、ループアンテナと磁性体とを結ぶ磁気回路が、搬送路に露出しないように設けられる。
【0014】
さらに、本発明では、前述した一対のループアンテナに代えて、搬送路のカード挿入口近傍で当該搬送路を挟んで対向するように、一対の磁性体を設けるとともに、当該磁性体間に磁界を形成するコイルを設けてもよい。この場合も、コイルと各磁性体とを結ぶ磁気回路が、搬送路に露出しないように設けられる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、非接触カードの挿入初期におけるカード速度の遅い状態でアンテナ間の通信が行われるので、カードリーダ側のアンテナが小型であっても、安定した通信によりカード情報を確実に読み取ることが可能となる。また、本発明は、カードの搬送方向や搬送路における構造上の制限がないので、挿入型・スワイプ型を問わず手動式非接触カードリーダ全般に広く適用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態を詳細に説明する。図1は、本発明の実施形態に係る手動式非接触カードリーダ(以下、単に「カードリーダ」という。)を示す斜視図である。100はスワイプ型のカードリーダであって、本体1にはカードの搬送路2が形成されている。この搬送路2は、本体1の上面1aに開口しているとともに両端面1bに開口しており、本体1の一方の端面1bの開口部は、カード4が矢印方向から挿入されるカード挿入口3となっている。カード4はループアンテナ30を備えた非接触カードである。22a,22bは非接触カード4のループアンテナ30と通信を行うための一対のループアンテナであって、カード搬送路2のカード挿入口3近傍に搬送路2を挟んで対向して設けられている。したがって、ループアンテナ22a,22bの各アンテナ面は、カード挿入方向に対して略平行となっている。
【0017】
カードリーダ100は、非接触カード4だけでなく、図2(a)に示すような磁気ストライプ33を備えた磁気カード4aや、図2(b)に示すようなループアンテナ30と磁気ストライプ33とを備えたハイブリッドカード4bも取り扱えるように、磁気ストライプ33の情報を読み取るための磁気ヘッド11を備えている。26はカード搬送路2の後部(カード挿入口3と反対側)に設けられたカード検知センサであって、カード搬送路2を手動で搬送された非接触カード4が所定位置まで達したことを検知する検知手段を構成する。このセンサ26は、例えば、搬送路2を挟んで対向する投光素子および受光素子を備えたフォトセンサからなる。なお、カード検知センサ26として、フォトセンサに代えて、マイクロスイッチ等を用いることも可能である。
【0018】
図3は、カードリーダ100および非接触カード4の電気ブロック図を示している。カードリーダ100は、磁気ブロック10と、非接触ブロック20とを備えている。磁気ブロック10において、11は上述した磁気ヘッド、12は磁気ヘッド11で読み取られた磁気情報を復号するデコーダである。デコーダ12は、入退出管理装置や取引処理装置などの上位装置(図示省略)と接続されている。非接触ブロック20において、21は制御部を構成するCPU、22は上述したループアンテナ22a,22bからなるループアンテナ、23はループアンテナ22を介して非接触カード4との間でデータの送受信を行う送受信部、24は制御プログラム等が格納されたROMやデータを一時的に記憶するRAMから構成される記憶部、25は外部機器と接続するためのインターフェイス回路、26は前述のカード検知センサである。ループアンテナ22(22a,22b)および送受信部23は、本発明における読取手段の一実施形態を構成する。非接触カード4において、30は前述のループアンテナ、31はループアンテナ30を介してカードリーダ100との間でデータの送受信を行う送受信部、32はカード情報が記憶された記憶部である。なお、磁気ヘッドブロック10と非接触ブロック20には、上記のほかにも電源回路などが設けられているが、本発明とは直接関係しないので、図示は省略してある。
【0019】
図4は、カードリーダ100における要部の構造を示す図である。(a)はカードリーダ100の上面図、(b)は同正面図、(c)は(b)のA−A断面側面図である。各図において、図1と同一部分には同一符号を付してある。40は一対のループアンテナ22a,22b同士を結ぶ磁気回路であり、その詳細は後述する。なお、便宜上、図4(a)ではループアンテナ22a,22bを実線で描いてあり、図4(b)ではループアンテナ22a,22bおよび磁性体40を実線で描いてある。
【0020】
図4(a)のように、ループアンテナ22a,22bは、搬送路2のカード挿入口3近傍で搬送路2を挟んで対向するように設けられ、それぞれのアンテナ面は、カード挿入方向に対して略平行となっている。磁気ヘッド11は、その先端部が搬送路2に臨むように、搬送路2の中央付近に設けられている。カード検知センサ26は、磁気ヘッド11からみてカード挿入口3と反対側にあって、搬送路2を挟んで設けられている。
【0021】
磁気回路40は、磁気抵抗値の小さい磁性体からなり、図4(c)に示すように、略U字状に形成されている。この磁気回路40は、ループアンテナ22a,22b間に跨って設けられ、搬送路2の底部2aの下を潜って、搬送路2に露出しないようにカードリーダ本体1内に埋設されている。
【0022】
図5は、カードリーダ側のループアンテナ22a,22bの概略構成を示す図である。ループアンテナ22a,22bは、それぞれ平面をなすように巻回されたコイルから構成される。ループアンテナ22aとループアンテナ22bとは、電流を流すことによって生じる磁束の向きが同じとなるように電気的に接続されている。
【0023】
図6は、非接触カード側のループアンテナ30の概略構成を示す図である。ループアンテナ30も、平面をなすように巻回されたコイルから構成される。34はループアンテナ30と電気的に接続されたICチップである。このICチップ34には、図2で示した送受信部31と記憶部32が内蔵されている。
【0024】
上述したカードリーダ100を用いて非接触カード4の情報を読み取るには、非接触カード4を手で把持して、図1の矢印方向からカードリーダ100のカード挿入口3へ挿入し、カードを把持したまま手動で搬送路2を搬送する。ループアンテナ22a,22bへの通電によって、搬送路2を横切る磁束がカード挿入口3の近傍で発生しているので、非接触カード4がカード挿入口3へ挿入された直後から、ループアンテナ22a,22bの形成する磁束が非接触カード4のループアンテナ30と鎖交する。このため、ループアンテナ30には電磁誘導による起電力が生じ、この起電力がICチップ34に与えられて送受信部31が能動化される。その結果、ループアンテナ22a,22bとループアンテナ30との間でデータの送受信が行われ、非接触カード4の記憶部32に記憶されているカード情報がカードリーダ100で読み取られる。読み取られた情報は、記憶部24に一旦格納される。なお、カードが図2に示したような磁気ストライプ33を有するものである場合は、カードが搬送路2を搬送される過程で、磁気ヘッド11により磁気ストライプ33に記録されている情報が読み取られる。
【0025】
非接触カード4の情報が読み取られた後、非接触カード4をさらに手動で搬送し、カード検知センサ26により、非接触カード4が検知されると、カードリーダ100のCPU21は、読み取った情報に基づく所定の処理を実行する。例えば、読み取った情報や所定のコマンドを上位装置へ送信するなどの処理を行う。
【0026】
次に、磁気回路40の役割について、図7を参照しつつ説明する。図7(a)は、磁気回路40を設けない場合のループアンテナ22a,22bによる磁束分布を示す図である。図のように、一対のループアンテナ22a,22bを、発生する磁束の向きが同じとなるように対向配置した場合、非接触カード4と鎖交する磁束には、ループアンテナ22aから22bへ向う内側の磁束Φ1のほかに、ループアンテナ22bから22aへ向う外側の磁束Φ2がある。この外側の磁束Φ2は内側の磁束Φ1と逆方向に作用するので、内側の磁束Φ1が部分的に相殺され、非接触カード4と鎖交する磁束が弱められる。このため、ループアンテナ22a,22bと非接触カード4との間の通信における伝送効率が低下し、カード情報を正確に読み取れない場合が生じる。
【0027】
これに対して、図7(b)に示すように、ループアンテナ22a,22bを結ぶ磁気抵抗値の小さい磁気回路40を設けると、ループアンテナ22bから22aへ向おうとする磁束Φ2は、全て磁気回路40に導かれる。そして、この磁気回路40は、図4(c)で示したように、搬送路2の下方を迂回するように設けられているため、磁気回路40を通る磁束Φ2が非接触カード4と鎖交することはない。したがって、非接触カード4と鎖交する磁束Φ1が逆方向の磁束Φ2により弱められることがないので、ループアンテナ22a,22bと非接触カード4との間の伝送効率が向上し、安定した通信によりカード情報を正確に読み取ることができる。
【0028】
以上述べた実施形態では、搬送路2のカード挿入口3近傍にループアンテナ22a,22bが配置され、これらを結ぶ磁気回路40が搬送路2に露出しないように設けられていることが特徴となっている。上述したスワイプ型のカードリーダ100の場合、カード挿入口3から非接触カード4を挿入する初期の段階では、カードの搬送速度が遅いので、カード挿入口3近傍にループアンテナ22a,22bが配置されていると、カードの速度が遅い状態でカードリーダ100側のループアンテナ22a,22bと非接触カード4側のループアンテナ30との通信が行われる。このため、両者間の通信状態が安定し、カードリーダ100側のループアンテナ22a,22bが小さいものであっても、非接触カード4に記録されている情報を確実に読み取ることができる。また、各ループアンテナ22a,22bを搬送路2に露出しない磁気回路40で結ぶことにより、ループアンテナ22a,22bから非接触カード4に対して双方向に生じる磁束の一方Φ2が、カードと鎖交せず磁気回路40を通って迂回するので、カードと鎖交する磁束は一方向のみの磁束Φ1となり、鎖交磁束が弱められることが回避される。このため、高い伝送効率が得られ、上述したカード速度が遅い状態での通信と相俟って、小型のループアンテナ22a,22bを用いても確実な通信を行うことが可能となる。さらに、非接触カード4の搬送方向や搬送路2における構造上の制限がないので、一般の手動式非接触カードリーダに広く適用することができる。
【0029】
また、上記実施形態では、手動で搬送された非接触カード4が所定位置まで達したことを検知するカード検知センサ26を設け、このカード検知センサ26が非接触カード4を検知したことを条件として、ループアンテナ22a,22bで読み取った情報に基づく所定の処理を実行するようにしている。したがって、非接触カード4をカード挿入口3に挿入した直後の、カード情報が読み取られた時点では装置(例えばドアの電気錠)は動作せず、非接触カード4を手動で定位置まで搬送した時点で装置が動作するので、非接触カード4をカード挿入口3に挿入した途端に装置が動作するといった違和感がなく、従来の磁気カードと同じ感覚で非接触カード4を操作することができる。
【0030】
図8は、本発明の他の実施形態を示しており、図4(c)に対応する図である。先の実施形態では、搬送路2の両側に一対のループアンテナ22a,22bを設けた例を示したが、図8(a)の実施形態では、搬送路2の片側にループアンテナ22を設け、もう片側に磁性体27を設けている。そして、これらのループアンテナ22と磁性体27とを結ぶ磁気回路40が、搬送路2に露出しないように設けられる。また、図8(b)の実施形態では、磁気回路40の端部27aが磁性体を兼ねており、図8(a)のような磁性体27が不要となる。
【0031】
図8の実施形態においても、ループアンテナ22と磁性体27(27a)との間の搬送路2に、カードと鎖交する磁束が形成されるので、ループアンテナ22および磁性体27(27a)をカード挿入口3近傍に配置することにより、カード挿入の初期段階におけるカード速度が遅い状態で、安定した通信によってカードの記録情報を確実に読み取ることができる。また、ループアンテナ22と磁性体27とが、搬送路2に露出しない磁気回路40で結ばれているので、ループアンテナ22から磁性体27へ向う磁束に対して反対方向に生じる磁束は、磁気回路40を通って迂回し、カードと鎖交しない。したがって、カードの鎖交磁束が弱められることがなく、ループアンテナ22や磁性体27が小型であっても、高い伝送効率が得られ、安定した通信を行うことが可能となる。さらに、非接触カード4の搬送方向や搬送路2における構造上の制限がないので、一般の手動式非接触カードリーダに広く適用することができる。
【0032】
図9は、本発明の他の実施形態を示しており、図8の変形例である。図8の実施形態では、搬送路2の両側にループアンテナ22と磁性体27(27a)とを設けたが、図9(a)の実施形態では、搬送路2の両側に一対の磁性体27を設け、これらの磁性体27を結ぶ磁気回路40を搬送路2に露出しないように設け、かつ、磁気回路40の一部に、磁性体27間に磁界を形成するコイル28を巻回している。また、図9(b)の実施形態では、磁気回路40の両端部27aが磁性体を兼ねており、図9(a)のような磁性体27が不要となる。
【0033】
図9の実施形態においても、コイル28および磁気回路40により、磁性体27(27a)間の搬送路2にカードと鎖交する磁束が形成されるので、磁性体27(27a)をカード挿入口3近傍に配置することにより、カード挿入の初期段階におけるカード速度が遅い状態で、安定した通信によってカードの記録情報を確実に読み取ることができる。また、磁性体27(27a)とコイル28とが、搬送路2に露出しない磁気回路40で結ばれているので、図8の場合と同じ原理による磁束の迂回が生じ、カードの鎖交磁束が弱められることが回避される。このため、コイル28や磁性体27が小型であっても、高い伝送効率が得られ、安定した通信を行うことが可能となる。さらに、非接触カード4の搬送方向や搬送路2における構造上の制限がないので、一般の手動式非接触カードリーダに広く適用することができる。
【0034】
図10は、本発明のさらに他の実施形態に係るカードリーダ101を示している。図10において、図1と同一部分には同一符号を付してある。本実施形態では、図1における搬送路2の両側のループアンテナ22a,22bに加えて、カード挿入口3の両側に、一対のループアンテナ22c,22dを備えている。これらのループアンテナ22c,22dは、アンテナ面がカード挿入方向(矢印方向)と略垂直となるように設けられている。その他の構成については、図1と同じである。このカードリーダ101においても、非接触カード4のほか、図2(a)の磁気カード4aや、図2(b)のハイブリッドカード4bを用いることができる。また、カードリーダ101および非接触カード4の電気ブロック図は、図3と実質的に同じであり、図3のアンテナ22には、ループアンテナ22a,22bとループアンテナ22c,22dとが含まれる。
【0035】
図11は、ループアンテナ22c,22dの概略構成を示す図である。ループアンテナ22c,22dは、それぞれ平面をなすように巻回されたコイルから構成される。ループアンテナ22cとループアンテナ22dとは、電流を流すことによって生じる磁束の向きが逆となるように電気的に接続されている。すなわち、ループアンテナ22c,22dは、互いに逆位相となるように駆動される。これに対して、ループアンテナ22a,22bは、図1の場合と同様に、電流を流すことによって生じる磁束の向きが同じとなるように電気的に接続されている。すなわち、ループアンテナ22a,22bは、互いに同位相となるように駆動される。ループアンテナ22a,22bとループアンテナ22c,22dとは、電気的に直列または並列に接続されている。非接触カード4のループアンテナについては、図6で示したものと同じである。
【0036】
図12は、カードリーダ101における要部の構造を示す図である。(a)はカードリーダ101の上面図、(b)は同正面図、(c)は(b)のA−A断面側面図、(d)は(b)のB−B断面側面図である。各図において、図10と同一部分には同一符号を付してある。40は一対のループアンテナ22a,22b同士を結ぶ磁気回路、50は一対のループアンテナ22c,22d同士を結ぶ磁気回路である。なお、便宜上、図12(a)ではループアンテナ22a〜22dを実線で描いてあり、図12(b)ではループアンテナ22a〜22dおよび磁性体40,50を実線で描いてある。
【0037】
ループアンテナ22a,22bは、図12(a)に示されるように、搬送路2のカード挿入口3近傍で搬送路2を挟んで対向するように設けられ、それぞれのアンテナ面は、カード挿入方向に対して略平行となっている。磁気ヘッド11は、その先端部が搬送路2に臨むように、搬送路2の中央付近に設けられている。カード検知センサ26は、磁気ヘッド11からみてカード挿入口3と反対側にあって、搬送路2を挟んで設けられている。これらについては、図4の実施形態と同じである。一方、ループアンテナ22c,22dは、上述したように、カード挿入口3の両側に一対設けられ、それぞれのアンテナ面は、カード挿入方向に対して略垂直となっている。
【0038】
磁気回路40は磁気抵抗値の小さい磁性体からなり、図12(c)に示すように、略U字状に形成されている。この磁気回路40は、ループアンテナ22a,22b間に跨って設けられ、搬送路2の底部2aの下を潜って、搬送路2に露出しないようにカードリーダ本体1内に埋設されている。この構造については、図4(c)と同じである。一方、磁気回路50も磁気抵抗値の小さい磁性体からなり、図12(d)に示すように、略U字状に形成されている。この磁気回路50は、ループアンテナ22c,22d間に跨って設けられ、搬送路2の底部2aの下を潜って、搬送路2に露出しないようにカードリーダ本体1内に埋設されている。
【0039】
上述したカードリーダ101を用いて非接触カード4の情報を読み取るには、非接触カード4を手で把持して、図10の矢印方向からカードリーダ101のカード挿入口3へ挿入し、カードを把持したまま手動で搬送路2を搬送する。ループアンテナ22c,22dへの通電によって、カード挿入口3の手前に磁束が発生しているとともに、ループアンテナ22a,22bへの通電によって、搬送路2を横切る磁束がカード挿入口3の近傍で発生している。このため、非接触カード4がカード挿入口3へ挿入されるのとほぼ同時に、ループアンテナ22c,22dの形成する磁束が非接触カード4のループアンテナ30と鎖交し、その直後に、ループアンテナ22a,22bの形成する磁束が非接触カード4のループアンテナ30と鎖交する。これにより、ループアンテナ30には電磁誘導による起電力が生じ、この起電力がICチップ34に与えられて送受信部31が能動化される。その結果、ループアンテナ22a〜22dとループアンテナ30との間でデータの送受信が行われ、非接触カード4の記憶部32に記憶されているカード情報がカードリーダ101で読み取られる。読み取られた情報は、記憶部24に一旦格納される。なお、カードが図2に示したような磁気ストライプ33を有するものである場合は、カードが搬送路2を搬送される過程で、磁気ヘッド11により磁気ストライプ33に記録されている情報が読み取られる。
【0040】
非接触カード4の情報が読み取られた後、非接触カード4をさらに手動で搬送し、カード検知センサ26により、非接触カード4が検知されると、カードリーダ101のCPUは、読み取った情報に基づく所定の処理を実行する。例えば、読み取った情報や所定のコマンドを上位装置へ送信するなどの処理を行う。
【0041】
次に、磁気回路50の役割について、図13を参照しつつ説明する。磁気回路40の役割については、図7で述べた通りであるので、ここでは説明を省略する。図13(a)は、磁気回路50を設けない場合のループアンテナ22c,22dによる磁束分布を示す図である。図のように、一対のループアンテナ22c,22dを、発生する磁束の向きが逆となるように並べて配置した場合、非接触カード4と鎖交する磁束には、ループアンテナ22dから22cへ向う外側の磁束Φ3のほかに、ループアンテナ22cから22dへ向う内側の磁束Φ4がある。この内側の磁束Φ4は外側の磁束Φ3と逆方向に作用するので、外側の磁束Φ3が部分的に相殺され、非接触カード4と鎖交する磁束が弱められる。このため、ループアンテナ22c,22dと非接触カード4との間の通信における伝送効率が低下し、カード情報を正確に読み取れない場合が生じる。
【0042】
これに対して、図13(b)に示すように、ループアンテナ22c,22dを結ぶ磁気抵抗値の小さい磁気回路50を設けると、ループアンテナ22cから22dへ向おうとする磁束は、全て磁気回路50に導かれる。そして、この磁気回路50は、図12(d)で示したように、搬送路2の下方を迂回するように設けられているため、磁気回路50を通る磁束が非接触カード4と鎖交することはない。したがって、非接触カード4と鎖交する磁束Φ3が逆方向の磁束Φ4により弱められることがないので、ループアンテナ22c,22dと非接触カード4との間の伝送効率が向上し、安定した通信によりカード情報を正確に読み取ることができる。
【0043】
以上述べた実施形態では、カード挿入口3の両側に第1のループアンテナ22c,22dが配置されるとともに、搬送路2のカード挿入口3近傍に第2のループアンテナ22a,22bが配置され、それぞれの対のループアンテナ同士を結ぶ磁気回路40,50が搬送路2に露出しないように設けられていることが特徴となっている。前述のように、カード挿入の初期段階ではカードの搬送速度が遅いので、カード挿入口3付近で通信を開始する方が通信時間を長く確保できる。このため、カード挿入口3の両側にループアンテナ22c,22dを設け、カード挿入口3の手前で磁束を発生させて非接触カード4と鎖交させることで、十分な通信時間が確保され、より安定した通信を行うことができる。さらに、カード挿入口3の両側と、搬送路2のカード挿入口3付近に、それぞれループアンテナが配置されるので、ループアンテナ22a〜22dにより形成される磁界の強度が大きくなり、各ループアンテナが小さくても非接触カード4との間で高い伝送効率を得ることができる。
【0044】
また、ループアンテナ22a,22bを搬送路2に露出しない磁気回路40で結ぶことにより、図7のように、ループアンテナ22a,22bから非接触カード4に対して双方向に生じる磁束の一方Φ2が、カードと鎖交せず磁気回路40を通って迂回するので、カードと鎖交する磁束は一方向のみの磁束Φ1となり、鎖交磁束が弱められることが回避される。このため、カードリーダ101側のループアンテナ22a,22bが小型であっても、高い伝送効率が得られ、安定した通信を行うことが可能となる。
【0045】
同様に、ループアンテナ22c,22dを搬送路2に露出しない磁気回路50で結ぶことにより、図13のように、ループアンテナ22c,22dから非接触カード4に対して双方向に生じる磁束の一方Φ4が、カードと鎖交せず磁気回路50を通って迂回するので、カードと鎖交する磁束は一方向のみの磁束Φ3となり、鎖交磁束が弱められることが回避される。このため、カードリーダ101側のループアンテナ22c,22dが小型であっても、高い伝送効率が得られ、安定した通信を行うことが可能となる。
【0046】
また、本実施形態のカードリーダ101においても、先の実施形態と同様に、手動で搬送された非接触カード4が所定位置まで達したことを検知するカード検知センサ26を設け、このカード検知センサ26が非接触カード4を検知したことを条件として、ループアンテナ22a〜22dで読み取った情報に基づく所定の処理を実行するようにしている。したがって、非接触カード4をカード挿入口3に挿入した直後の、カード情報が読み取られた時点では装置(例えばドアの電気錠)は動作せず、非接触カード4を手動で定位置まで搬送した時点で装置が動作するので、非接触カード4をカード挿入口3に挿入した途端に装置が動作するといった違和感がなく、従来の磁気カードと同じ感覚で非接触カード4を操作することができる。さらに、本実施形態も、非接触カード4の搬送方向や搬送路2における構造上の制限がないので、一般の手動式非接触カードリーダに広く適用することができる。
【0047】
なお、図8および図9の実施形態は、上述したカードリーダ101にも適用することができる。
【0048】
図14は、本発明の他の実施形態に係る挿入型のカードリーダ200を示す斜視図である。201はカードリーダ200の本体であって、その一端面にカード挿入口203が設けられている。カード挿入口203には、図1および図2に示したカード4,4a,4bと同じカードが挿入される。202は、挿入されたカードの搬送路である。この搬送路202のカード挿入口203近傍には、一対のループアンテナ222a,222bが搬送路202を挟んで対向して設けられている。これらのループアンテナ222a,222bの各アンテナ面は、カード挿入方向に対して略平行となっている。また、カード挿入口203の両側には、一対のループアンテナ222c,222dが設けられている。これらのループアンテナ222c,222dの各アンテナ面は、カード挿入方向に対して略垂直となっている。図10の実施形態と同様に、ループアンテナ222a,222bは、発生する磁束の向きが同じとなるように電気的に接続されており、ループアンテナ222c,222dは、発生する磁束の向きが逆となるように電気的に接続されている。なお、図14では、磁気ヘッドやカード検知センサの図示は省略してある。
【0049】
このような挿入型のカードリーダ200に本発明を適用した場合も、スワイプ型のカードリーダ100,101の場合と同様の効果を得ることができる。また、図8および図9の実施形態は、上述したカードリーダ200にも適用することができる。
【0050】
以上述べた各実施形態は一例であって、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではない。例えば、上述した実施形態では磁気回路40、50を別々の磁性体で構成したが、磁気回路40、50を一枚の磁性体で兼用してもよい。また、上述した実施形態では、図2のような磁気ストライプ33を有するカードも読み取れるように磁気ヘッド11を備えたカードリーダを例に挙げたが、本発明では磁気ヘッド11は必須ではなく、磁気ヘッド11を省略して非接触カード専用のカードリーダとして実現することも可能である。また、図3においては、デコーダ12を直接上位装置へ接続しているが、デコーダ12をCPU21を介して上位装置へ接続する構成を採用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明の実施形態に係るカードリーダを示す斜視図である。
【図2】カードの他の例を示す斜視図である。
【図3】カードリーダおよび非接触カードの電気ブロック図である。
【図4】カードリーダにおける要部の構造を示す図である。
【図5】カードリーダ側のループアンテナの概略構成を示す図である。
【図6】非接触カード側のループアンテナの概略構成を示す図である。
【図7】磁気回路の役割を説明する図である。
【図8】本発明の他の実施形態を示す図である。
【図9】本発明の他の実施形態を示す図である。
【図10】本発明の他の実施形態に係るカードリーダを示す斜視図である。
【図11】ループアンテナの概略構成を示す図である。
【図12】カードリーダにおける要部の構造を示す図である。
【図13】磁気回路の役割を説明する図である。
【図14】本発明の他の実施形態に係るカードリーダを示す斜視図である。
【符号の説明】
【0052】
2,202 搬送路
3,203 カード挿入口
4 非接触カード
22a〜22d,222a〜222d ループアンテナ
23 送受信部
26 カード検知センサ
27 磁性体
28 コイル
30 ループアンテナ
40,50 磁気回路
100,101,200 カードリーダ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
非接触カードが挿入されるカード挿入口と、このカード挿入口に挿入された非接触カードが手動で搬送される搬送路と、前記非接触カードに記録されている情報を非接触で読み取る読取手段とを備えた手動式非接触カードリーダにおいて、
前記読取手段は、前記搬送路のカード挿入口近傍で当該搬送路を挟んで対向するように設けられた一対のループアンテナを備え、
前記ループアンテナ同士を結ぶ磁気回路を、前記搬送路に露出しないように設けたことを特徴とする手動式非接触カードリーダ。
【請求項2】
非接触カードが挿入されるカード挿入口と、このカード挿入口に挿入された非接触カードが手動で搬送される搬送路と、前記非接触カードに記録されている情報を非接触で読み取る読取手段とを備えた手動式非接触カードリーダにおいて、
前記読取手段は、前記カード挿入口の両側にアンテナ面がカード挿入方向と略垂直となるように設けられた一対の第1のループアンテナと、前記搬送路のカード挿入口近傍で当該搬送路を挟んで対向するように設けられた一対の第2のループアンテナとを備え、
前記第1のループアンテナ同士および前記第2のループアンテナ同士をそれぞれ結ぶ磁気回路を、前記搬送路に露出しないように設けたことを特徴とする手動式非接触カードリーダ。
【請求項3】
請求項2に記載の手動式非接触カードリーダにおいて、
前記第1のループアンテナは、互いに逆位相となるように駆動されることを特徴とする手動式非接触カードリーダ。
【請求項4】
請求項1または請求項2に記載の手動式非接触カードリーダにおいて、
前記磁気回路は、略U字状の磁気抵抗値の小さい磁性体から構成されていることを特徴とする手動式非接触カードリーダ。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の手動式非接触カードリーダにおいて、
前記搬送路に、手動で搬送された非接触カードが所定位置まで達したことを検知する検知手段を設け、
前記検知手段が非接触カードを検知したことを条件として、前記読取手段で読み取った情報に基づく所定の処理を実行することを特徴とする手動式非接触カードリーダ。
【請求項6】
非接触カードが挿入されるカード挿入口と、このカード挿入口に挿入された非接触カードが手動で搬送される搬送路と、前記非接触カードに記録されている情報を非接触で読み取る読取手段とを備えた手動式非接触カードリーダにおいて、
前記読取手段は、前記搬送路のカード挿入口近傍で当該搬送路を挟んで対向するように設けられたループアンテナおよび磁性体を備え、
前記ループアンテナと磁性体とを結ぶ磁気回路を、前記搬送路に露出しないように設けたことを特徴とする手動式非接触カードリーダ。
【請求項7】
非接触カードが挿入されるカード挿入口と、このカード挿入口に挿入された非接触カードが手動で搬送される搬送路と、前記非接触カードに記録されている情報を非接触で読み取る読取手段とを備えた手動式非接触カードリーダにおいて、
前記読取手段は、前記搬送路のカード挿入口近傍で当該搬送路を挟んで対向するように設けられた一対の磁性体と、当該磁性体間に磁界を形成するコイルとを備え、
前記コイルと各磁性体とを結ぶ磁気回路を、前記搬送路に露出しないように設けたことを特徴とする手動式非接触カードリーダ。
【請求項1】
非接触カードが挿入されるカード挿入口と、このカード挿入口に挿入された非接触カードが手動で搬送される搬送路と、前記非接触カードに記録されている情報を非接触で読み取る読取手段とを備えた手動式非接触カードリーダにおいて、
前記読取手段は、前記搬送路のカード挿入口近傍で当該搬送路を挟んで対向するように設けられた一対のループアンテナを備え、
前記ループアンテナ同士を結ぶ磁気回路を、前記搬送路に露出しないように設けたことを特徴とする手動式非接触カードリーダ。
【請求項2】
非接触カードが挿入されるカード挿入口と、このカード挿入口に挿入された非接触カードが手動で搬送される搬送路と、前記非接触カードに記録されている情報を非接触で読み取る読取手段とを備えた手動式非接触カードリーダにおいて、
前記読取手段は、前記カード挿入口の両側にアンテナ面がカード挿入方向と略垂直となるように設けられた一対の第1のループアンテナと、前記搬送路のカード挿入口近傍で当該搬送路を挟んで対向するように設けられた一対の第2のループアンテナとを備え、
前記第1のループアンテナ同士および前記第2のループアンテナ同士をそれぞれ結ぶ磁気回路を、前記搬送路に露出しないように設けたことを特徴とする手動式非接触カードリーダ。
【請求項3】
請求項2に記載の手動式非接触カードリーダにおいて、
前記第1のループアンテナは、互いに逆位相となるように駆動されることを特徴とする手動式非接触カードリーダ。
【請求項4】
請求項1または請求項2に記載の手動式非接触カードリーダにおいて、
前記磁気回路は、略U字状の磁気抵抗値の小さい磁性体から構成されていることを特徴とする手動式非接触カードリーダ。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の手動式非接触カードリーダにおいて、
前記搬送路に、手動で搬送された非接触カードが所定位置まで達したことを検知する検知手段を設け、
前記検知手段が非接触カードを検知したことを条件として、前記読取手段で読み取った情報に基づく所定の処理を実行することを特徴とする手動式非接触カードリーダ。
【請求項6】
非接触カードが挿入されるカード挿入口と、このカード挿入口に挿入された非接触カードが手動で搬送される搬送路と、前記非接触カードに記録されている情報を非接触で読み取る読取手段とを備えた手動式非接触カードリーダにおいて、
前記読取手段は、前記搬送路のカード挿入口近傍で当該搬送路を挟んで対向するように設けられたループアンテナおよび磁性体を備え、
前記ループアンテナと磁性体とを結ぶ磁気回路を、前記搬送路に露出しないように設けたことを特徴とする手動式非接触カードリーダ。
【請求項7】
非接触カードが挿入されるカード挿入口と、このカード挿入口に挿入された非接触カードが手動で搬送される搬送路と、前記非接触カードに記録されている情報を非接触で読み取る読取手段とを備えた手動式非接触カードリーダにおいて、
前記読取手段は、前記搬送路のカード挿入口近傍で当該搬送路を挟んで対向するように設けられた一対の磁性体と、当該磁性体間に磁界を形成するコイルとを備え、
前記コイルと各磁性体とを結ぶ磁気回路を、前記搬送路に露出しないように設けたことを特徴とする手動式非接触カードリーダ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2008−210170(P2008−210170A)
【公開日】平成20年9月11日(2008.9.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−46503(P2007−46503)
【出願日】平成19年2月27日(2007.2.27)
【出願人】(504373093)日立オムロンターミナルソリューションズ株式会社 (1,225)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年9月11日(2008.9.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年2月27日(2007.2.27)
【出願人】(504373093)日立オムロンターミナルソリューションズ株式会社 (1,225)
【Fターム(参考)】
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