説明

手持ち式のピストンストロークピペットのシール性を検査する方法ならびにそのためのシール性検査装置

本発明の対象は、手持ち式のピストンストロークピペットのシール性を検査する方法および相応のシール性検査装置である。システムにとって、シール性検査装置にピペットチップ(3)を密に接続するための収容部(8)が重要である。導管システム(9)は、シール性検査装置の接続区分と共に、特定の接続容積を形成する。ピペットチップ(3)は、雰囲気圧を下回る測定圧に排気される。真空ポンプ(5)が分離され、接続容積がシールされた状態で、圧力が、所定の時間長さにわたって測定され、場合によっては生じる圧力上昇値が求められる。求められた圧力上昇値から、ピペット(2)の機能性の表示が行われる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シングルチャンネルまたはマルチチャンネルの手持ち式のピストンストロークピペット、好適には空気クッションを備えたそのようなピストンストロークピペットのシール性を検査する方法に関する。また本発明の対象は、そのような方法の実施に適切なシール性検査装置である。さらに本発明の対象は、相応のシール性検査装置を含むシステムである。
【0002】
ピストンストロークピペットは、マルチチャンネル測定装置(ドイツ連邦共和国特許出願公開第10013511号明細書)ならびに手持ち式のシングルチャンネル測定装置(ドイツ連邦共和国特許出願公開第3903241号明細書)として公知である。液体試料の吸引過程に際して、ピストンストロークピペットおよびピペットの被嵌め区分に被嵌められたピペットチップに負圧が形成される。負圧により液体試料はピペットチップに吸引される。ポジティブディスプレイスメントピペットとしてのピストンストロークピペットは、ピペットチップにおいて液面の上側に空気容積を有していないかまたは最小の空気容積しか有していない。このようなピペットは、そこで実質的に汚染なく処理する必要があるので、生物学的な試料にはあまり適していない。したがってエアディスプレイスメント・ピストンストロークピペットが普及している。このようなピペットではピストンの底と液面との間に所定の間隔が存在し、この場合、液面は、常時、交換可能であり多くの場合使い捨て部分として構成されたピペットチップ内にのみ位置するようになり、これに対してピストン底は液面のかなり上側にあり、したがって汚染から保護されて運動する。
【0003】
ピストンストロークピペットおよび特にエアディスプレイスメント・ピストンストロークピペットでは、ピペットおよびピペットチップのあらゆる結合箇所のシール性に課せられる要求が極めて高い。吸引時の差圧により、漏れを介して、不本意に空気が液面の上にある死容積(むだ容積)に流入することがある。ピストンストロークにより拡大される容積は、もはや実際に変えられた容積とは一致しない。
【0004】
ピストンストロークピペットのシール箇所は、運転時に摩耗にさらされる。劣化、化学薬品攻撃およびその他の環境影響も、静的なシールの場合でも不都合に作用する。動的なピストンシールの他に、特に敏感なシール箇所としては、被嵌め区分においてピペットチップとピペットとの間の結合部が挙げられる。手持ち式のピストンストロークピペットでは、ピペットチップの被嵌め動作は、手動で、多くの場合素手で行われる。その際、被嵌め区分の表面およびピペットチップに大きく負荷が掛けられる。しかも繰返し何度も新たなピペットチップが挿入され(使い捨て部分)るので、ピペットチップの製造トレランスおよびピペットチップのシール面の表面品質がよく判るようになる。その結果として、ピペットの被嵌め区分には、長期の使用後に筋目が生じ、このような筋目は、最終的には漏れを招く恐れがある。したがってピストンストロークピペットの特徴は、徐々に進行する漏れ(非シール性)である。
【0005】
全ての非シール性が、ピストンストロークピペットの機能を損失させるわけではない。極めて小さな漏れは許容される。漏れが極めて小さな流れ横断面しか有していない場合、空気は、極めてゆっくりとピペットの死容積に流入するに過ぎず、非シール性は、依然として許容可能なトレランスの範囲内にある。
【0006】
ピストンストロークピペットに対しては、通常の実験室の使用のために、ピペットについて時折シール性検査を行うことが必要である。シール性検査は、ピペットが手持ち式のピストンストロークピペットであるか自動のピペッティング装置にあるかには無関係である。自動のピペッティング装置でも、漏れの相応のリスクがあり、極端な場合には、観察結果が制限されているかまたは観察が全く不可能になる。
【0007】
自動のピペッティング装置に関して、以前では、専ら大きな漏れを検出するだけの視覚的なシール性検査が行われただけであった。旧来の方法では、液体試料が吸引されたピペットチップが液面から上向きに動かされたあとで、自動のピペッティング装置の運転が一時的に停止される。操作者は、視覚的に、液体試料がピペットチップから滴下しているか検査する。このような方法には、操作者の熟練度が要求される。さらにこの方法は、比較的大きな漏れおよび比較的大きな液量にしか適用されない。液体試料の比較的小さな容積、たとえば10μlでは、この方法は有効でない。
【0008】
自動のピペッティング装置に関して、既にシール性検査の自動化された方法が提案されており(ドイツ連邦共和国EP特許の翻訳文第69326773号明細書)、そこでは、ピペッティング装置に、つまりピペットおよびピペットチップの死容積に作用する圧力が、様々なピペッティング状態で測定され、判定される。このためにピペッティング装置自体に圧力センサが設けられており、圧力センサは、液面とピペットのピストンポンプのピストン底との間の死容積の圧力を検出する。電子制御装置により、液体試料の吸引後に圧力センサにより検出された内圧が周辺雰囲気の雰囲気圧(大気圧)と比較される。これにより、液体試料の吸引を大小の程度で完全に不可能にする比較的大きな漏れを確認することができる。第2のステップで、内圧は、ピストンポンプが停止した状態で、特定の時間長さのあとで測定され、吸引の終了直後に作用する内圧と比較される。この方法で求められる圧力上昇に応じて、自動のピペッティング装置の漏れ警告が発せられるか、または別の精確なピペッティングのための自動のピペッティング装置が解放される。
【0009】
自動のピペッティング装置において前述の公知のシール性を検査する方法では、シール性検査中に吸引される液体試料の典型的な容積は、200μl〜500μlの蒸留水である。約500msのポンプの停止直後の第1の測定と比較して、ピペットの死容積における圧力が測定される時間長さは、典型的には30秒である。圧力比については、前掲文献には記載されていない。
【0010】
自動のピペッティング装置においてシール性を検査する方法は、手持ち式のピストンストロークピペット、好適にはエアディスプレイスメントピストンストロークピペットに転用することができない。検査のために、ピペット自体が相応のシール性検査装置を備える必要がある。このことはコスト的に妥当でなく、市場に受け入れられない。このような理由から、手持ち式のピストンストロークピペットでは、外部で行われる手動のシール性を検査する方法が実施される。
【0011】
公知の方法(エッペンドルフ社、ピペッテンテスター 4708;Eppendorf, Pipettentester 4078)では、液体を貯蔵する容器、容器と接続された充填されたチューブおよびアダプタが用いられる。アダプタは、被嵌められたピペットチップと結合される。ピペットチップを備えたピペットは、高さで保持される。振れて落ち着いた液面がマークされる。ピペットのピストンが複数回作動したあとで、液面の位置が新たにチェックされ、その際、ピペットは、精確に同じ高さで保持する必要がある。液面が比較的低い液位にあると、ピペットとピペットチップとから成るシステムに漏れがある。
【0012】
同等の別の方法も公知である。そこでは、ピペットに被嵌められたピペットチップにチューブが接続され、チューブは、シール性検査装置に通じている。シール性検査装置は、負圧を形成する手動のピストンポンプと、ピストンポンプの吸込み側に接続された、圧力センサとして同様に手動で作動する圧力計とを備えている。真空ポンプは、雰囲気圧を下回る充分な測定圧力が生じるまで手動で運転され、測定圧は、圧力計に表示される。その状態で、真空ポンプは、手動で固定されるので、ポンプ容積はもはや変化しない。次いでピペットが、別の手で何度か動かされる。そのあとで圧力計が以前よりも高い圧力を示すと、ピペットとピペットチップとから成るシステムに漏れが推測される。
【0013】
前述の装置で行われる、手持ち式のシングルチャンネルまたはマルチチャンネルのピストンストロークピペット、好適にはエアクッションを備えたそのようなピストンストロークピペットのシール性を検査する方法は、本発明の思想の出発点を成している。
【0014】
前述の公知の方法の他に、特別な測定ピペットで実施する方法が公知である(ドイツ連邦共和国実用新案登録第8230186号明細書)。そこでは、測定ピペットが、アダプタを介して、ピペットと接続されている。液体試料は、直に測定ピペットにより収容される。測定ピペットの目盛りにおいて、収容された容積が直に読取られる。その値は、ピペットにセットされた目標値と比較される。そのような方法の欠点によれば、エアクッションつまり死容積が、実際に通常運転でピペット内に存在するエアクッションと一致しない。収容された液体の静水圧も、より大きい。したがって測定ピペットを用いる方法は、ピペット自体が作動する際の実際の方法には対応しない。
【0015】
テストから明らかであるが、様々なピペットおよびピペットチップによるピペッティングに際して、シール性検査の結果に広範囲に影響を及ぼす様々なパラメータが生じる。操作者は、経験から、どのパラメータをどの程度維持すればよいか見出す必要がある。そのようなパラメータは、吸込み過程に際して最小に形成される雰囲気圧を下回る負圧である(ドイツ連邦共和国特許出願公開第3903142号明細書の説明参照)。液体試料の粘度、ピストンポンプのピストンに作用する戻しばねの強さおよびピペットチップの流れ横断面は、生じる負圧に影響を及ぼす。漏れに流入するガス量を精確に、実地に適した方法で検出するために、少なくともこの圧力で、ピペットを検査するのが望ましい。別の値は、特定の時間長さにわたる圧力上昇である。この値は、シール性検査中のピペットとピペットチップとから成るユニットにおける死容積の大きさに関係する。前述の、自動のピペッティング装置においてシール性を検査する前述の方法では、この値は考慮されない。したがって念のために最小の限界値を設定する必要がある。その結果、実際には未だ使用不能ではないピペットも既に保守が行われる。
【0016】
したがって本発明の根底を成す課題は、操作者の能力に依存しないこのようなピストンストロークピペットの確かなシール性検査を実現する、手持ち式のピストンストロークピペットのシール性を検査する方法を提供することである。この課題設定は、関係する手持ち式のピストンストロークピペットの相応のシール性検査装置ならびにこれに関するシステムにも当てはまる。
【0017】
方法に関して、前述の課題は、請求項1に記載された方法により解決される。好適な態様および変化態様は、請求項2〜9の対象である。
【0018】
装置に関して、前述の課題は、請求項10に記載された構成を有するシール性検査装置により解決される。これに関する好適な態様および変化態様は、請求項11〜14の対象である。
【0019】
さらに前述の課題は、請求項15に記載されたシステムにより解決される。
【0020】
構成に基づいて、本発明による方法は、手持ち式のピストンストロークピペットの外側で、個別のシール性検査装置により進行し、シール性検査装置には、ピペットチップが被嵌められたピストンストロークピペットが接続される。ピペットおよび検査装置の接続容積は、雰囲気圧を下回る測定圧に排気される。真空ポンプが停止または遮断された状態で、所定の時間長さのあとで、圧力センサにより、接続容積において場合によっては生じる圧力上昇が測定される。この方法は、異なる2つの態様で行うことができる。
【0021】
第1の態様では、圧力上昇を検出したあとで、表示装置により、ピペットは、シール性が十分である/使用可能であるかまたはシール性が不十分である/使用不能であると判定される。このような方法では、操作者に、検査されたピペットチップが被嵌められたピストンストロークピペットの許容圧力上昇値に関する知識が要求され、かつ/またはデジタル式の表示手段が要求される。
【0022】
方法の別の態様では、調整過程が自動化され、方法ステップd)において求められた圧力上昇値は、電子制御装置により、制御装置のデータメモリに記憶された基準値または連続的な方法では記憶された複数の基準値と比較される。その値は、検査されるべき各ピペット、ピペット群および/または特定の容積または特定の容積群の特定のピペットチップに有効である。比較の結果に応じて、ピペットは、次いで、場合によっては自動的に、シール性が十分である/使用可能であるかまたはシール性が不十分である/使用不能であると判定される。
【0023】
本発明による方法により、ピペットの機能性に関する確実で迅速な検査が実現される。既に、生じつつあるピペットの漏れを記録することができる。操作者は、適宜交換および/または修理を行うことができる。検査間隔に関して、統計学的に、特定のピペットタイプのピペットの故障確率を求めることができる。最も簡単な場合、制御は手動で行われ、圧力センサは、直に表示装置に連結されており、表示装置は、検査されるピストンストロークピペットの機能状態を表示する。もちろん多くの場合には、判定を行う電子制御装置で作業される。
【0024】
シール性検査装置の接続容積で測定されるべき圧力上昇値に関して、方法ステップe)またはg)において、望ましくは、約0.1hPa〜約50hPaの圧力上昇が許容可能であると判定される。圧力上昇値は、ピペットのエラー限界値および死容積ならびに接続容積に依存している。したがってピペットの定格容積と比例関係にない。許容される圧力上昇値は、これらのパラメータから算出され、そこから限界値が設定される。
【0025】
特に好適な構成によれば、方法ステップe)またはg)における判定が、非連続的な段階で行われる。これにより操作者の判定が簡単になる。操作者は、ピペットが正常であるか、または異常があるか指示される。
【0026】
判定に関して好適には、方法ステップe)またはg)における判定は、シール性検査装置の表示装置によりデジタル式に行われる。特に判定技術に関して好適には、表示は、表示装置により、光学式、特に様々な記号、色および/または照明手段を用いて行われる。多段の表示手段において、たとえば、段「緑」には、限界値の特定の割合までの値が割り当てられ、範囲「黄」には、これに続く限界値までの圧力上昇値が割り当てられ、これを超える圧力上昇値が範囲「赤」に割り当てられている。
【0027】
択一的または追加的に、表示装置による表示は、音響学式、特に様々な周波数のトーンで行うこともできる。音響学式の表示は好適であり、操作者が何かしなくても認識される。
【0028】
本発明によるシール性を検査する方法を実施するために、様々なパラメータが関係する。実地に応じた検査に関して、好適には、方法ステップc)において、雰囲気圧を約20hPa〜約300hPa下回る測定圧で作業される。静的な検査および特に動的な検査、つまり測定圧が掛けられた状態でピストンストロークピペットの複数回の作動に関して、望ましくは、測定圧は、ばね力が手動のピストン運動を上回らず、つまり吸込み時に依然としてピストン運動が可能であるように、選択される。
【0029】
方法ステップd)において圧力上昇値を求めるための時間長さに関して、望ましくは、約3秒〜約60秒、特に約5秒〜20秒の時間長さで作業される。
【0030】
シール性検査装置が追加的なガス容積を有するのは不可避であり、接続容積は、測定結果を正確に判定するために、圧力上昇値の測定に際して考慮する必要がある。
【0031】
場合によっては圧力センサの測定精度が十分ではないので、平均的な大きさの不変の接続容積で全ての範囲をカバーすることはできない。広い範囲に関して、場合によっては異なる測定チャンネルを介して準備される様々な接続容積が考えられる。
【0032】
接続容積は、典型的なピストンストロークピペットでは、好適には、ピペットを動的に検査するために、特定の範囲の大きさにある。その際、ピペットのピストンが移動し、ピストンストロークピペットの大きさに応じて相当量であってよい空気量が、シール性検査装置の接続容積に供給され、再び取出される。シール性検査装置の接続容積は、供給時に雰囲気圧を超える圧力の上昇が生じないように調整する必要がある。特定の大きさの漏れを通って流入するガス容積、予想される検査時間および作動回数も同様である。さらに言及すると、動的な検査の間の空気の供給および取出しにより、測定圧力が一部では大きく変化し、その変化により、接続容積の圧力上昇値の基準が影響される。そして10μl〜10mlのピペットチップおよびピペットに関して、好適には、接続容積が約1.0ml〜約200mlであるシール性検査装置で作業される。このために接続容積は、追加容積により拡大される。追加容積は、特に方法ステップc)における排気に際して、弁を介して接続される。接続容積を、検査されるべきシステム、ピペット/ピペットチップの死容積に適合させるために、複数のかつ/または様々な大きさの追加容積を接続してもよい。エアディスプレイスメントピストンストロークピペットは、1μlまで使用可能であり、上位の容積限界値は、現在一般的なピストンストロークピペットでは10mlである。総じて、言及する接続容積は、ピペットおよびピペットチップの死容積に加えられる。
【0033】
総容積は、検査時に排気され、少なくともピペット/ピペットチップの接続容積および死容積は、再び雰囲気圧に通気される。好適には、時間を節約するために、シール性検査装置の追加容積は、方法ステップc)における最初の排気後に、もはや通気されない。導管および構成要素における測定圧を安定させるために、ある程度長い時間長さが必要である。迅速な排気および通気により、ガス容積と導管システムとの間に断熱温度差が形成され、測定圧にドリフトが生じ、専ら方法ステップd)のまえに、検査過程において、別の時間長さにより調整することができる。既に排気された追加容積の接続に際して、所要時間は略ゼロに短縮される。
【0034】
この所要時間は、少なくとも最初の排気に際して、ガス容積の温度を安定させる、接続容積および/または追加容積に配置された質量体により低減することができた。質量体が3より大きな表面/容積比を有し、とりわけ比が20より大きな場合、検査時間は大幅に短縮される。この質量体は、追加的な構成要素として形成されるだけでなく、特別な内壁の同形の形状付与により得られる。
【0035】
様々なピペットチップに配慮するために、好適には、方法ステップb)において、その都度使用されるピペットチップに適合するアダプタが用いられる。特に好適には、様々なピペットチップのための複数のアダプタは、同じ接続容積を有している。このことは同様にマルチチャンネルのピストンストロークピペットにも当てはまる。複数のピペットチップのための相応の数の収容部またはその数分の1の数の収容部を備えたアダプタが用いられる。マルチチャンネルのピストンストロークピペットでは、そのチャンネルには個別の検査が行われ、個々のチャンネルおよび各チャンネル自体が検査される。この過程を短縮するために、1つのアダプタを備えたシール性検査装置が好適であり、アダプタは、単独で、相応に接続された圧力センサを備えたまたは相応の圧力センサを備えない、弁を介して接続可能な接続容積を有している。様々なピペットチップにおける様々なアダプタの使用は必然的である。アダプタをコード化して、これによりシール性検査装置を自動で検出することは、エラー回避において好適であると認められる。
【0036】
既に示唆するように、ピペッティングされるべき様々な容積において様々なピペットおよびピペットチップの死容積、ピペットチップおよびピペットの形状および構造は、様々であってよい。これはシール性検査の測定結果に大きな影響を及ぼす。したがって好適には、本発明によるシール性を検査する方法において、実際のシール性検査のまえに、方法ステップa)のまえに、ピペットおよび/またはピペットチップのタイプの特定が行われる。そのために、シール性検査装置に、構成要素に合わせた調節が行われる。その入力は手動で行うことができるが、好適には、シール性検査装置における読取り機器を用いて、ピペットおよび/またはピペットチップのコードが検出される。制御装置は、このコードを、データメモリに記憶されたコードと比較して、相応の調節値を求める。好適には、様々な既知のピペットおよび/またはピペットチップの値がシール性検査装置のデータメモリに格納されていて、操作者により選択される。
【0037】
本発明による方法において方法ステップa)のまえに進行する方法ステップを記載する請求項8の思想が特に重要である。このようにして測定された特別なピペットチップに関する基準値を選択することができ、基準値は、方法ステップf)において利用することができる。その際容易に想定されるが、それぞれ異なるピペットチップは、検査装置の真空ポンプにより吸込み工程において個別の負圧を形成し、そこに用いるべきピペットの推定を可能にする。
【0038】
シール性検査装置のデータメモリには、様々なピペットチップおよびピペットに関する圧力上昇経過および平衡圧を基準値として格納することができ、その値は、方法ステップc)のまえに選択方法で識別して、自動的に選択することができる。結果として、使用可能/使用不能の特定は、高い精度で可能である。
【0039】
好適には、方法ステップc)のまえの方法ステップは繰り返し行うことができ、その際、シール性検査装置は、ピペットに対して平行に、既知の大きさの追加容積が接続される。そのように形成される様々な接続容積の排気に関する時間長さとの対比により、死容積を求めて、ピペットを選択することができる。
【0040】
正確なシール性検査に関して、測定圧は、方法ステップc)のまえに、定格容積、接続容積および追加容積ならびにピペットチップタイプに応じて特定される。
【0041】
原則的に、本発明による方法により、様々な容積の広範囲のピペットおよびピペットチップを検査することができる。グループの形成を行うと好適であり、そのために前述の幾つか内容で形成されている。
【0042】
前述のように、本発明の対象は、手持ち式のシングルチャンネルまたはマルチチャンネルのピストンストロークピペット、好適にはエアクッションを用いるそのようなピストンストロークピペットのシール性を検査する相応のシール性検査装置である。このシール性検査装置は、請求項10の特徴部に記載の構成を特徴としている。
【0043】
この装置に関して、本発明による方法において説明したものと同様の思想が当てはまる。したがって前述の内容を参照されたい。また、この装置については、以下に、図面に基づいて、本発明の好適な実施の形態を説明している。その際、装置に係る全請求項の構成について個別に述べている。
【0044】
さらに本発明の対象は、シール性検査装置とアダプタとから成るシステムである。このシステムについても、図面に基づく以下の実施の形態の説明において詳しく述べている。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】検査装置1の1つの態様を示す図である。
【0046】
1つだけの図面には、手持ち式のシングルチャンネルまたはマルチチャンネルのピストンストロークピペット2、好適にはエアクッション(図示していない)を備えたそのようなピストンストロークピペットのシール性を検査するための検査装置1の1つの態様を示している。シール性検査装置1により、手持ち式のピストンストロークピペット2のシール性が外部で検査可能であり、ここでは、ピペット2に、ピペット2に適合するピペットチップ3が被嵌められている。測定は、ピペットチップ3が被嵌められた状態で、外側からピペットチップ3に作用して行われる。
【0047】
シール性検査装置1は、図示の態様では、先ずシステムを包囲するハウジング4を備えている。ハウジング4内に、真空ポンプ5が設けられており、真空ポンプ5は、場合によっては変速伝動装置を介して、電気式の駆動モータ6により駆動されるか、または手動で駆動される。真空ポンプ5は、図示の態様では、ダイヤフラムポンプであり、原則的に、別のポンプ、たとえばピストンポンプまたはチューブポンプも使用可能である。図示の態様および好適な態様では、ダイヤフラムポンプ5には吸込み側に(上流側に)追加的に弁7が配置されている。
【0048】
シール性検査装置1の一部には、ピペットチップ3を密に接続するための収容部8も含まれる。マルチチャンネルのピストンストロークピペットにおける複数のピペットチップを同時に接続するために複数の収容部を設けてもよい。収容部8と真空ポンプ5もしくは弁7との間に、導管システム9が延在している。
【0049】
好適には電子制御装置10が設けられており、電子制御装置10に対応して配置された不揮発性データメモリ11が設けられており、測定技術に関して(つまり測定できるように)導管システム9に接続され、かつ判定技術に関して(つまり判定できるように)制御装置10に接続された圧力センサ12が設けられている。収容部8と弁7もしくは真空ポンプ5との間の区分は、分岐部分から分岐して延びる接続部と共に、シール性検査装置1の所定の接続容積を形成する。
【0050】
本発明によるシール性検査装置1に関して重要な点によれば、圧力センサ12は、導管システム9における接続容積に接続されており、その圧力特性が測定され、これによりピペット2のピペットチップ3における圧力特性が推測される。
【0051】
測定容積の圧力の迅速な変化を伴う全ての検査方法では、運動する空気質量体の断熱加熱または断熱冷却をある程度考慮する必要がある。このことは、測定過程の始めに、緩和段階の導入により行うことができる。同様に、熱に起因する影響を補償する測定信号の修正が可能である。
【0052】
接続容積において、3を上回る、好適には20を上回る表面/容積比を有する充填質量体のような、温度の迅速な適合をもたらす構成手段は、測定技術に関して好適である。特に効果的で実用的なものとして、スチールウールが認められ、スチールウールは、空気温度を略直に修正する。その表面/容積特性は、円形横断面から以下のように求められる:
d・π・l/d2・π/4・l つまり4d/d2
但し:lは接続容積の長さ、 dは円形横断面の内径
【0053】
本発明によるシール性検査装置1において、図示したような、接続されたピストンストロークピペット2では、ピペット2はピペットチップ3において、雰囲気圧を下回る測定圧に排気される。次いで、真空ポンプ5は遮断され、その際、弁7により導管システム9から分離される。これにより、導管システム9における接続容積は、シール性検査装置1の内側でシールされている。圧力センサ12により、接続容積内の圧力が、特定の時間長さの間かつ/または特定の時間長さのあとで測定される。
【0054】
シール性検査装置1の、図示していない最も簡単な態様では、シール性検査装置1の制御が手動で行われ、圧力センサ12は、表示装置13に直に連結されている。表示装置13は、圧力センサ12の信号により表示が変更されるように調節することができ、表示の変更により、検査されたピストンストロークピペット2の使用状態が、直に、たとえばカラーの信号ランプを用いて示される。
【0055】
本態様において形成された、電子制御装置10を備えたシール性検査装置1では、検査方法は、手動でピペット2に合わせた調節の代わりに、記憶された値を用いて制御され、アルゴリズムは、記憶された可変の値で処理される。その際、制御装置10は、測定された圧力上昇値から、測定されたピストンストロークピペット2はピッチ3において満足できる程度にシールされているか否かの結果を求める。電子制御装置10は、表示装置13を操作するので、使用状態が好適には複数の段階で表示される。そのような表示は、カラーの光学素子を用いて行うことができるが、記号または明確な文章を用いて行ってもよい。
【0056】
好適には自動化された方法は、制御装置10により求められた圧力上昇値をデータメモリ11に記憶された1つまたは複数の基準値と比較して進行することができる。その比較の結果に応じて、制御装置10により実行されるが、ピペット2は、シール性が十分である/使用可能であるかまたはシール性が不十分である/使用不能であると判定される。
【0057】
シール性検査装置1の図示の態様によれば、ピペット2の判定が非連続的な段階で行われる。詳しく云えば、本態様によれば、非連続的な段階の判定において、ピペット2の判定の真ん中の段階が、漏れが僅かであって/未だ使用可能であると設定されている。このことは、比較的小さな漏れでは漏れが作用せずピペッティング精度をエラーとなる限界の範囲内に維持することができる、という事実を考慮したものである。
【0058】
好適には、表示装置13は、様々な記号、色および/または照明手段を用いる光学式の表示手段である。オペレータは、表示手段13により、簡単に、測定されたピペット2のピペットチップ3が、たとえば「緑」、「黄」または「赤」の範囲にあり、したがって使用可能、限定的に使用可能またはもはや使用不能であるのか通知される。LCD表示装置は、エネルギ使用量の観点から特に好適である。
【0059】
原則として、音響学式の表示も実現可能である。光学式/音響学式のコンビネーション表示手段が好適である。
【0060】
さらにシール性検査装置1は、ハウジング4に、同様に制御装置10に接続されたオン/オフスイッチ14を備え、ならびにこの検査装置により実現される、本発明によるシール性を検査する方法の、相応の方法ステップを開始するためのスタートキー15を備えている。
【0061】
その他に、弁7の吸込み側で弁7の上流側にフィルタ16が配置されており、フィルタ16は、導管システム9に嵌め込まれていて、ここではシール性検査装置1のハウジング4の外側に配置されている。フィルタ16は、望ましくはシール性検査装置1に汚れが進入するのを防止する。ハウジング4の外側におけるフィルタ16の配置は、フィルタ16を簡単に交換するために好適である。別のフィルタ16’が、接続容積を通気するための弁7’の上流側に配置されている。
【0062】
シール性検査装置1の図示の好適な態様の更なる特徴によれば、測定圧が約20hPa〜約300hPa、好適には約50hPa〜150hPa雰囲気圧を下回る。したがって圧力上昇値が測定される時間長さは、約3秒〜約60秒であり、好適には約5秒〜約20秒である。さらに許容される圧力上昇値として、約0.1hPa〜約50hPaの圧力上昇値が設定されている。
【0063】
圧力センサ12は、本発明を制限しない前述の好適な態様では、約0.01hPa〜約0.1hPaの分解能を有することができる。これはコスト的に好適で、精確に作動する圧力センサ12であり、この圧力センサ12は、本発明において生じる圧力範囲および圧力上昇値に好適に適合している。
【0064】
前述のように、シール性検査装置1の接続容積の大きさは、許容される圧力上昇値の精確な検出にとって重要である。図示の好適な態様の特徴によれば、シール性検査装置1は、現在使用されているピペットおよび10μl〜10mlのピペットチップに関して、約1.0ml〜約200mlの接続容積を有している。ピペットチップ3およびピストンストロークピペット2の広い使用範囲に関して、場合によっては複数の切換可能な測定範囲を設定する必要がある。
【0065】
さらに接続容積に、弁18を介して少なくとも1つの容器17が接続可能である。容器は、所定追加容積を含むので、接続容積は、全体的に約1mlから約200mlに拡大することができる。このために大容積の様々な別の容器17’,17’’が、各弁18’,18’を介して接続可能である。さらに接続容積を検査されるべきシステム、ピペット/ピペットチップの死容積に適合させるために、複数のかつ/または様々な大きさの追加容積を接続してもよい。
【0066】
シール性検査装置の1度排気された追加容積もしくは容器17,17’,17’’は、運転時にはもはや通気されない。このことは、新たな排気のための時間を短縮するだけでなく、圧力変化に際しての断熱作用を緩和するために働く。
【0067】
接続容積を様々な大容積の容器を使って変更する代わりに、押込み装置を接続してもよい。押込み装置は、持続的に導管システム9に接続可能である。押込み装置、たとえばピストン/シリンダ・ユニット(ピストン/シリンダ・ユニットは、アクチューエタにより、または手動でピストンの調節駆動装置に作動させられる)は、該ユニットの容積を変化させることができる。
【0068】
さらに図示の好適な態様は、シール性検査装置1に関して、収容部8が交換可能なアダプタ19に形成されているという特徴を有している。アダプタ19は、アダプタ継手20により、シール性検査装置1のハウジング4に、自由交換可能に連結することができる。したがって様々なアダプタ19を、ピペットチップ3を備えた様々なピペット2に使用することができる。ここで言及しておくと、好適な思想によれば、様々なピペットチップ3のための様々な収容部8を備えたアダプタ19は、大体において同じ接続容積を有するように構成されている。
【0069】
もちろんマルチチャンネルのピストンストロークピペット、特にエアディスプレイスメント・ピストンストロークピペット2のアダプタでは、導管システム9の接続容積がシングルタイプの態様よりも大きくなることは避けられない。このことは構成に応じて考慮する必要がある。場合によっては、マルチチャンネルの判定を行うこともできるので、マルチチャンネルのアダプタ19の収容部8毎に、独自の圧力センサ12を備えた独自の導管システム9が設けられている。
【0070】
さらに図示の好適な態様では、それぞれ異なるアダプタ19は、それぞれ異なってコード化されている。このためにアダプタ19は、コード21を有しており、コード21は、機械式、光学式かつ/または別の方式で非接触式に読取り可能であり、たとえば磁気コードである。アダプタ19のコード21のための相応のセンサ22が、シール性検査装置1のハウジング4にあり、評価を目的として制御装置10に接続されている。
【0071】
好適な方法では、ピストンストロークピペット2のシール性検査が実際に進行するまえに、つまり方法ステップc)のまえに、ピペットおよび/またはピペットチップに合わせた調節(設定)が行われ、その際、データメモリから値が自動的に選択される。ピペットタイプ、つまり容積サイズ、シングルチャンネルまたはマルチチャンネルなどが、既にデータメモリに提供されているので、選択を行う必要しかない。
【0072】
ピペットおよび/またはピペットチップの調節は、データ伝送を介して行ってもよい。そのために検査装置は、ピペット2またはピペットチップ3に配置されたコードを直接または非接触式に取出すために読取り機器(図1には示していない)を備えている。たとえばピペットチップは、バーコードを備えることができ、ピペットは、RFIDチップ、トランスポンダまたは一般的な機能インタフェイス(たとえばドイツ連邦共和国特許出願公開第19911397号明細書において片方向性または双方向性のデータ伝送のために設けられている)を備えることができる。制御装置により、コードは、データメモリに記憶された、相応の調節値を求め、引き続き使用するために受取られるコードと比較される。コードまたは伝送されるデータセットには、さらにたとえば容積に応じて、タイプ、サイズ、特性、シリアル番号、検査表および検査体のサイジングが含まれる。
【0073】
本発明によるシール性検査装置1により、通常、測定精度を高めるために、シール性検査装置1は、以下のように運転可能であり、その際、検査されるべきピストンストロークピペットに適合する関係するピペットチップ3自体が収容部8に接続可能であり、ピペットチップ3が接続された状態で、ピストンストロークピペット2なしに、検査装置1の接続容積が、真空ポンプ5の運転時に、雰囲気圧を下回る、生じる平衡圧に排気可能であり、生じる平衡圧から、電子制御装置10により、ピペットチップ3のタイプ、さらに適合するピストンストロークピペット2の許容される所定の圧力上昇値が算出可能であり、基準値として、制御装置10に記憶可能であるか、または相応に記憶された基準値の選択のために使用可能である。詳細は、明細書の一部の記載において、方法に係る請求項に関して既に詳しく説明している。重要な点によれば、これによりピペットチップ3の種類の指示が可能であり、これにより接続されたピストンストロークピペット2の推定が可能である。
【0074】
特定のピペットチップ3に対してシール性検査装置1を予めサイジングした好適な方法は、ピペットチップ3が様々なチップ開口を有していることを考慮している。ピペッティングに際して流入する液体の、大小の流れ抵抗により、ピペットチップに、つまり死容積に、様々な負圧が生じる。このためにピペットチップ3は、単独でアダプタ19に差嵌められる。スタートキー15により検査プロセスが開始される。スイッチ14による簡単な切換(オン)を行ってもよい。圧力センサ12の信号から、制御装置10は、ピペットチップ3しか検査されていないと推測することができる。一定に運転される真空ポンプ5は、ピペットチップ3が開いた状態で、接続容積、つまり導管システム9に所定の負圧を作用させ、この負圧は、圧力センサ1により測定される。この負圧は、最低の測定圧である。この測定圧から、制御装置10は、許容される圧力上昇値の目標値を特定するか、または電子的に格納されたデータから相応に目標値を選択する。
【0075】
さらにシール性検査装置1により、ピストンストロークピペット2の死容積を求めることができる。このためにピペット2は、特定の負圧に排気される。弁7’を介して接続容積および死容積に通気したあとで、接続容積は、追加容積だけ拡大される。容器17に通じる弁18が開かれ、システムは、新たに前記負圧に排気される。排気時間と既知の接続容積および追加容積との比較により、ピペット2の死容積が求められる。死容積は、測定圧に影響を及ぼし、測定圧は、ピペットの動的な検査に際して変動し、導管システムの必要な容積を特定し、必要な容積は、場合によっては追加容積により高める必要がある。
【0076】
さらに本発明の対象は、シール性検査装置1を備え、様々なピペットチップ3のためのアダプタを備える、ピストンストロークピペットのシール性を検査するためのシステムに関する。その特徴は、同様に前述の態様から明らかである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
手持ち式のシングルチャンネルまたはマルチチャンネルのピストンストロークピペット、好適にはエアクッションを用いるそのようなピストンストロークピペットのシール性を検査する方法において、以下の方法ステップ:
a)ピペットに、該ピペットに適合したピペットチップを被嵌め、
b)ピペットチップを、真空ポンプと圧力センサと表示装置を備えたシール性検査装置に接続し、
c)シール性検査装置により、ピペットチップを備えたピペットならびにシール性検査装置における接続容積を、真空ポンプを用いて、雰囲気圧を下回る測定圧にまで排気し、
d)真空ポンプを停止または遮断して接続容積がシールされた状態で、圧力センサを用いて、接続容積内の圧力を、所定の時間長さの間かつ/または所定の時間長さのあとに測定し、好適には電子制御装置を用いて場合によっては生じる圧力上昇を求め、
e)方法ステップd)において求められた圧力上昇に応じて、表示装置により、ピペットを、シール性が十分である/使用可能であるかまたはシール性が不十分である/使用不能であると判定し、
方法ステップe)に対して択一的に、
f)求められた圧力上昇を、前記電子制御装置により、データメモリに記憶された1つまたは複数の基準値と比較し、
g)方法ステップf)における比較の結果に応じて、表示装置を用いて、ピペットを、シール性が十分である/使用可能であるかまたはシール性が不十分である/使用不能であると判定する、
方法ステップを有することを特徴とする、シール性を検査する方法。
【請求項2】
方法ステップe)またはg)で、ピペットに応じて約0.1hPa〜約50hPaの圧力上昇を許容可能であると判定し、かつ/または方法ステップe)またはg)の判定を、表示装置により、単にデジタル式にかつ/または光学式に、特に様々な記号、色および/または照明手段を用いて行い、かつ/または、音響学式に、特に様々な周波数のトーンを用いて行う、請求項1記載の方法。
【請求項3】
方法ステップc)において、雰囲気圧よりも約20hPa〜約300hPa、好適には約50hPa〜150hPa低い測定圧で作業し、かつ/または、
方法ステップc)において、測定圧を、吸引方向におけるピペットのピストン運動が可能となるように選択し、かつ/または、
方法ステップd)において、約3秒〜約60秒、好適には約5秒〜20秒の時間長さで作業する、請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
10μl〜10mlの定格容積を有するピペットチップおよびピペットに対して、約1.0ml〜約200mlの1つまたは複数の追加容積により、特に方法ステップc)において弁により接続可能に拡大される接続容積を有するシール性検査装置を用いて検査作業し、
その際、好適には、シール性検査装置の接続容積を、検査されるべきシステム、ピペット/ピペットチップの死容積に適合させ、かつ様々な大きさの容積を有する1つまたは複数の追加容積により接続容積を変化させ、
その際、さらに好適には、シール性検査装置の追加容積を、方法ステップc)における最初の排気のあとでそれ以降は通気しない、請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
方法ステップb)において、その都度用いられるピペットチップに適合したアダプタを用い、
その際、特に、アダプタは、様々なピペットチップに対して同じ接続容積を有している、請求項1から4までのいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
マルチチャンネルのピストンストロークピペットでは、複数のピペットチップのための相応の数の収容部またはその数分の1の数の収容部を備えたアダプタを用い、
その際、好適には、相応の圧力センサを備えたまたは相応のセンサを備えない、ピペットチップ毎に個別に接続可能な接続容積を有するアダプタを用い、かつ/または、
その際、好適には、それぞれ異なるアダプタはそれぞれ異なってコード化されており、使用される各アダプタのコードを、シール性検査装置により自動的に検出する、請求項5記載の方法。
【請求項7】
方法ステップa)のまえに、シール性検査装置に、ピペットおよび/またはピペットチップに合わせた調節を行うか、または、シール性検査装置に設けられた読取り機器を用いて、ピペットおよび/またはピペットチップのコードを検出し、制御装置により、コードを、データメモリに記憶されたコードと比較し、相応の調節値を求め、
その際、好適には、ピペットおよび/またはピペットチップに合わせた調節を行うために、シール性検査装置のデータメモリからの既知の様々なピペットの値から選択する、請求項1から6までのいずれか1項記載の方法。
【請求項8】
方法ステップa)のまえに以下の方法ステップが進行する:
h)検査されるべきピペットに適合する関係するピペットチップ自体を、シール性検査装置に接続し、
i)ピペットチップに接続されるピペットなしに、シール性検査装置により、真空ポンプを運転しながら、接続容積を、雰囲気圧を下回る、生じる平衡圧に排気し、
k)生じる平衡圧から、制御装置により、ピペットチップタイプ、さらに測定圧および場合によっては許容される圧力上昇を求め、基準値として記憶するか、または記憶された基準値を選択するために利用する、請求項1から7までのいずれか1項記載の方法。
【請求項9】
方法ステップc)のまえに、ピペットおよび/またはピペットチップを、シール性検査装置により検出し、値をデータメモリから自動的に選択するか、または、
ピペットの接続容積および死容積の排気のための時間長さで、場合によってはピペットに対して並列に接続された、既知のサイズの追加容積の繰り返しの排気との比較で、ピペットを求め、選択するか、または、
定格容積、接続容積および追加容積ならびにピペットチップタイプに応じて測定圧を特定する、請求項8記載の方法。
【請求項10】
手持ち式のシングルチャンネルまたはマルチチャンネルのピストンストロークピペット、好適にはエアクッションを用いるそのようなピストンストロークピペットのシール性を検査するシール性検査装置において、
好適にはモータ式に駆動される真空ポンプ(5)を備え、場合によっては真空ポンプ(5)の吸込み側で上流側に配置された弁(7)を備え、ピペットチップ(3)を密に接続するための1つの収容部(8)または同時に複数のピペットチップ(3)を密に接続するための複数の収容部(8)を備え、収容部(8)と真空ポンプ(5)または弁(7)との間に導管システム(9)を備え、好適には電子制御装置(10)を備え、好適には電子制御装置(10)に対応して配置されたデータメモリ(11)を備え、測定技術に関して導管システム(9)に接続され、かつ制御装置(10)が設けられている場合には判定技術に関して制御装置(10)に接続された圧力センサ(12)を備え、表示装置(13)を備え、その際、導管システム(9)は、接続された、シール性検査装置の区分と共に、所定の接続容積を形成することを特徴とする、シール性検査装置。
【請求項11】
収容部(8)に接続されたピペットチップ(3)およびピストンストロークピペット(2)ならびに導管システム(9)における接続容積は、好適にはモータ式に駆動される真空ポンプ(5)を用いて、雰囲気圧を下回る測定圧に排気され、
真空ポンプ(5)を停止または遮断して接続容積がシールされた状態で、圧力センサ(12)を用いて、接続容積の圧力が、所定の時間長さの間かつ/または所定の時間長さのあとに測定可能であり、好適には電子制御装置(10)を用いて、場合によっては生じる圧力上昇が算出可能であり、
最終的に求められた圧力上昇から、表示装置(13)を用いて、ピペットは、シール性が十分である/使用可能であるかまたはシール性が不十分である/使用不能であると判定可能であり、
制御装置(10)により求められた圧力上昇は、データメモリ(11)に記憶された1つまたは複数の基準値と比較可能であり、比較の結果に応じて、表示装置(13)により、ピペットは、シール性が十分である/使用可能であるかまたはシール性が不十分である/使用不能であると判定可能である、請求項10記載の装置。
【請求項12】
ピストンストロークピペット(2)およびピペットチップ(3)のシール性の判定は、表示装置(13)により、単にデジタル式に行われ、かつ/または光学式の表示手段として、特に様々な記号、色および/または照明手段を用いて行われ、かつ/または、音響学式に、特に様々な周波数のトーンを用いて行われ、その際、表示は、好適には単に2つまたは3つの表示段階を有している、請求項11記載の装置。
【請求項13】
10μl〜10mlの定格容積を有するピペットチップおよびピペットのために、シール性検査装置(1)は、接続容積を拡大する、弁(18,18’,18’’)により接続可能な、約1.0ml〜約200mlの追加容積を有し、
その際、特に、シール性検査装置(1)の接続容積は、検査されるべきシステム、ピペット(2)/ピペットチップ(3)の死容積に適合されており、かつ/または、
好適には、接続容積および/または追加容積に、ガス容積の温度を安定させる質量体が配置されており、該質量体の表面/容積・比は、好適には3より大きく、特に20より大きい、請求項10から12までのいずれか1項記載の装置。
【請求項14】
収容部(8)は、交換可能なアダプタ(19)に形成されており、該アダプタ(19)は、導管システム(9)の一部であり、その際、特に様々な収容部(8)を備えた様々なアダプタ(19)は、略同一の接続容積を有し、かつ/またはマルチチャンネルのピストンストロークピペット(2)では、複数のピペットチップ(3)のために相応の数の収容部(8)を備えたアダプタ(19)が設けられており、その際、好適には、マルチチャンネルのピストンストロークピペット(2)のためのアダプタ(19)は、相応の圧力センサ(12)を備えたまたは相応の圧力センサ(12)を備えない、各ピペットチップ(3)に接続可能な個々の接続容積を有する、請求項10から13までのいずれか1項記載の装置。
【請求項15】
手持ち式のシングルチャンネルまたはマルチチャンネルのピストンストロークピペット、好適にはエアクッションを用いるそのようなピストンストロークピペットのシール性を検査するシステムであって、
シール性検査装置(1)を備え、ピペットチップ(2)のための収容部(8)を備えた、シール性検査装置に適合する少なくとも1つのアダプタ(19)を備え、該アダプタ(19)は、シール性検査装置(1)に対して交換可能に結合可能であるものにおいて、
シール性検査装置(1)は、請求項10から14までのいずれか1項に記載されたように構成されていることを特徴とする、システム。

【図1】
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【公表番号】特表2013−509568(P2013−509568A)
【公表日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−535656(P2012−535656)
【出願日】平成22年10月20日(2010.10.20)
【国際出願番号】PCT/EP2010/006406
【国際公開番号】WO2011/050917
【国際公開日】平成23年5月5日(2011.5.5)
【出願人】(500586233)ブラント、ゲゼルシャフト、ミット、ベシュレンクテル、ハフツング、ウント、カンパニー、コマンディット、ゲゼルシャフト (1)
【氏名又は名称原語表記】BRAND GMBH+CO KG
【Fターム(参考)】