説明

手振り動作検知装置及び電気機器

【課題】簡単な構成で手振り動作の検知範囲を広げて確実に手振りを検知する。
【解決手段】手振り動作検知装置10は、電気機器の所定領域Dの外側における異なる位置に配置された静電容量センサ部1〜4と、これら静電容量センサ部1〜4からの静電容量に基づき、手振り動作の少なくとも動作の向きを判定する回路部20とを備える。回路部20の演算処理部25は、複数の静電容量センサ部1〜4それぞれで静電容量を経時的に測定することにより各静電容量センサ部1〜4から静電容量値のピークを検出し、異なる静電容量センサ部から検出される各ピーク間の時間差と、各ピークを検出する静電容量センサ部の配置位置とに基づいて、前記所定領域上の手振り動作の向きを判定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、手振り動作を検知する手振り動作検知装置及び電気機器に関する。
【背景技術】
【0002】
手振りの動作を検出して電気機器の動作を制御するものとして、手振り検出方法及び装置(例えば、下記特許文献1参照)が知られている。この手振り検出装置は、4つの発光素子からそれぞれ位相が異なるパルス光を出射し、その出射した光による手からの反射光を受光素子で受光して、その受光量に基づき手振りの移動方向及び移動速度を含む手振り状態を検出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−148640号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した特許文献1に開示された手振り検出装置では、手振り状態を発光素子から出射された光が手に反射することにより得られる反射光を受光素子で受光するという光学的手段により検知するため、手振り動作の検知範囲が狭くなってしまい誤検出や誤動作が起きやすいという問題がある。
【0005】
この発明は、上述した従来技術による問題点を解消するため、簡単な構成で手振り動作の検知範囲を広げて確実に手振り動作を検知することができる手振り動作検知装置及び電気機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、本発明に係る手振り検知装置は、電気機器の所定領域の外側における異なる位置に設けられた複数の静電容量センサ部と、前記複数の静電容量センサ部によって検知された静電容量に基づく静電容量値をそれぞれ検出する検出手段と、前記検出手段によって検出された各静電容量値に基づいて、前記所定領域上の手振り動作の少なくとも動作の向きを判定する判定手段とを備えたことを特徴とする。
【0007】
この発明に係る手振り動作検知装置は、電気機器の所定領域の外側における異なる位置に設けられた複数の静電容量センサ部からの各静電容量値によって、所定領域上の手振り動作の少なくとも動作の向きを判定することができるので、簡単な構成で手振り動作の検知範囲を広げて確実に手振り動作を検知することができる。
【0008】
前記複数の静電容量センサ部は、例えば前記所定領域を横切る直線上に配置された第1及び第2の静電容量センサ部を含む。また、前記複数の静電容量センサ部は、例えば前記第1及び第2の静電容量センサ部と異なる位置に設けられた第3の静電容量センサ部を含む。
【0009】
前記判定手段は、例えば前記複数の静電容量センサ部それぞれで静電容量を経時的に測定することにより各静電容量センサ部から静電容量値のピークを検出し、異なる静電容量センサ部から検出される各ピーク間の時間差と、各ピークを検出する静電容量センサ部の配置位置とに基づいて、前記所定領域上の手振り動作の向きを判定する。
【0010】
また、前記判定手段は、例えば前記第1及び第2の静電容量センサ部それぞれで静電容量を経時的に測定することにより各静電容量センサ部から静電容量値のピークをそれぞれ検出し、前記第1の静電容量センサ部におけるピーク検出時から前記第2の静電容量センサ部におけるピーク検出時までの時間差と、前記第2の静電容量センサ部におけるピーク検出時から前記第1の静電容量センサ部におけるピーク検出時までの時間差との比較結果と、前記第1及び第2の静電容量センサ部の配置位置とに基づき、前記第1及び第2の静電容量センサ部を結ぶ方向に沿った手振り動作の向きを判定する。
【0011】
また、前記判定手段は、例えば前記第1乃至第3の静電容量センサ部それぞれで静電容量を経時的に測定することにより各静電容量センサ部から静電容量値のピークをそれぞれ検出し、異なる静電容量センサ部から検出される各ピーク間の時間差と、各ピークを検出する静電容量センサ部の配置位置とに基づいて、前記第1乃至第3の静電容量センサ部を通る面方向に沿った手振り動作の向きを判定する。
【0012】
なお、前記判定手段は、所定のしきい値を超えた静電容量値が所定時間所定量変化しない場合は、前記各静電容量値を比較することによって、所定領域内における手の検出位置を判定するようにしても良く、また、前記手振り動作の動作速度及び動作回数の少なくとも1つを更に判定するようにしても良い。
【0013】
また、前記判定手段によって判定された判定結果を前記電気機器の制御手段に対して出力する出力手段を更に備えた構成であっても良い。
【0014】
本発明に係る電気機器は、上記記載のいずれかの発明に係る手振り検知装置を備えたことを特徴とする。なお、この発明に係る電気機器において、前記所定領域は、例えば前記電気機器の表示手段における表示領域である。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、簡単な構成で手振り動作の検知範囲を広げて確実に手振りを検知することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る手振り動作検知装置の全体構成を示す図である。
【図2】同手振り動作検知装置の静電容量センサ部及び回路部の一部構成を示す図である。
【図3】静電容量センサ部により検知された静電容量値の変化の様子の一例を示す図である。
【図4】本発明の第1の実施形態に係る手振り動作検知装置による手振り動作検知処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図5】手振り動作の一例を説明するための図である。
【図6】静電容量値の変化の様子を示す図である。
【図7】本発明の第1の実施形態に係る手振り動作検知装置を備えた電気機器の設置例を示す図である。
【図8】本発明の第2の実施形態に係る手振り動作検知装置による手振り動作検知処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図9】静電容量センサ部により検知された静電容量値としきい値との関係を示す図である。
【図10】手振り動作の一例を説明するための図である。
【図11】静電容量値の変化の様子を示す図である。
【図12】同手振り動作検知装置による検出位置判定を説明するための図である。
【図13】本発明の第3の実施形態に係る手振り動作検知装置の全体構成を示す図である。
【図14】本発明の第4の実施形態に係る手振り動作検知装置の静電容量検知回路を示す図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下に、添付の図面を参照して、この発明に係る手振り動作検知装置及び電気機器の実施の形態を詳細に説明する。図1は、本発明の第1の実施形態に係る手振り動作検知装置の全体構成を示す図である。図2は、この手振り動作検知装置の静電容量センサ部及び回路部の一部構成を示す図である。図3は、静電容量センサ部により検知された静電容量値の変化の様子を示す図である。
【0018】
図1及び図2に示すように、第1の実施形態に係る手振り動作検知装置10は、図示しない電気機器の所定領域Dの外側における異なる位置に設けられた複数の静電容量センサ部1,2,3,4と、これら複数の静電容量センサ部1〜4により検知された静電容量に基づいて、手振り動作の少なくとも動作の向きを判定する回路部20とを備えて構成されている。
【0019】
各静電容量センサ部1〜4は、図1においては、例えば所定領域Dを横切る直線上に静電容量センサ部1,2がそれぞれ配置され、前記直線と所定領域D内で交わる他の直線上に静電容量センサ3,4がそれぞれ配置されている。具体的には、静電容量センサ部1,2がそれぞれ所定領域Dを挟んで上下に対向配置され、静電容量センサ部3,4がそれぞれ所定領域Dを挟んで左右に対向配置されている。そして、上下の静電容量センサ部1,2の組み合わせで一組、左右の静電容量センサ部3,4の組み合わせで他の一組を構成する。
【0020】
ここで、上記手振り動作とは、以下の説明においては複数回の手振りであって手の往復移動が行われる動作のことを言い、手振り動作の向きとは、手の往復移動のうち任意の一方向移動の動作により示される方向のことを言うが、1回の手振りであって手の一方向移動のみの動作に伴う手の移動方向やその手振り動作の速度は、本実施形態に係る手振り動作検知装置10においても次のように求めることができる。具体的には、例えば手が静電容量センサ部1の中心部近傍から所定領域D上の中心を通って静電容量センサ部2の中心部近傍に移動した手振りの場合を検出例1として考えてみる。
【0021】
この検出例1では、図3に示すように、各静電容量センサ部1〜4にて経時的に検知された静電容量を示す静電容量値C1,C2,C3,C4は、静電容量センサ部3,4については両者の中間点を手が通るためにその静電容量値C3,C4はほとんど変化がないものとなる。しかし、静電容量センサ部1,2については、先に静電容量値C1のピーク(以下、単に「ピーク」と略記する)が検出された後に、静電容量値C2のピークが検出されるような変化となる。
【0022】
従って、回路部20においてこのようなピークの検出の順番と、ピークを検出した静電容量センサ部の配置位置とを求めれば、それを1回の手振りの向き(ここでは、上から下方向)と判定することができる。また、静電容量センサ部1〜4の配置位置(配置間距離)とピーク検出時点t1,t2間の時間ta(時間差)とを用いれば、それにより手の1回の移動速度を求めることもできる。
【0023】
このように、1回の手振りの動作については、複雑な演算処理等を経ることなく容易にその移動方向や移動速度を求めることはできるが、複数回の手振り動作については少なくともその動作の向きを簡単に識別することは困難となる。
【0024】
すなわち、図3に示した例にそって考えてみると、複数回手振り動作を行うと、例えば静電容量値C1,C2のピークがそれぞれ交互に検出されることとなる。このような場合は、その移動方向として、上記のような上から下方向とその逆の下から上方向との2方向が識別され得る。
【0025】
しかし、これではその複数回の手振り動作が単に手を上下に複数回動かしたものであるのか、それとも上から下方向を意味する(指示する)ものを複数回行った(或いはその逆)ものであるのか、つまり、その複数回の手振り動作が実際に何を意図しているものであるのかを認識することはできない。この点は、上述した従来技術のものでも同様である。
【0026】
そこで、第1の実施形態に係る手振り動作検知装置10では、複数回の手振り動作が、少なくとも例えば上から下方向への動作の向きを示している(すなわち、上から下方向への手振り動作を複数回行っている)のか、下から上方向への動作の向きを示している(すなわち、下から上方向への手振り動作を複数回行っている)のかを簡単な構成で確実に判定することができる(同様に左右方向への複数回の手振り動作の動作の向きも判定することができる)構成とした。
【0027】
従って、例えば手振り動作を複数回繰り返してその動作の向きが情報として必要な何らかの制御に関する指示等を電気機器に対して与えようとする場合などに、この手振り動作検知装置10は、その手振り動作が意図する指示を正確且つ確実に判定して、これを電気機器に出力することなどが可能となる。
【0028】
具体的に、各静電容量センサ部1〜4は、図2に示すように、それぞれ検知面(センサ表面)側に検知範囲が存するように構成され、例えば矩形平板状に形成されたセンサ電極7と、このセンサ電極7の裏面側に矩形平板状に形成されたシールド電極8と、センサ電極7と同一平面上に形成されセンサ電極7を囲むようなロの字状に形成されたシールド電極9とを備えて構成されている。
【0029】
センサ電極7は、検知面側の検知範囲内にくる手(或いは人体)を検知する。シールド電極8は、センサ電極7の裏面側にてこれが検知されないようにシールドする。シールド電極9は、センサ電極7の主面に沿った周囲にて検知範囲を画定する。
【0030】
一方、回路部20は、例えば各静電容量センサ部1〜4とそれぞれ接続された複数の静電容量検知回路21,22,23,24と、これら複数の静電容量検知回路21〜24とそれぞれ接続されたA/D変換器21a,22a,23a,24aと、これらA/D変換器21a〜24aと接続された演算処理部25とを備えて構成されている。
【0031】
各静電容量検知回路21〜24は、例えば静電容量センサ部1〜4のセンサ電極7によって検知された静電容量(Capacitance)を電圧(Voltage)にそれぞれ変換するC−V変換機能を有し、例えば公知のCR充放電時間を計測する回路、充電した電荷を既知のコンデンサに転送する回路、インピーダンスを測定する回路、発振回路を構成して発振周波数を計測する回路等を用いて構成することができる。A/D変換器21a〜24aは、それぞれ各静電容量検知回路21〜24から出力された電圧を示すアナログ信号をディジタル信号に変換する。
【0032】
演算処理部25は、例えば図示しないCPUや、その一時記憶領域として利用されるRAM、データ格納用のROM等の記憶手段を備えて構成され、手振り動作検知装置10全体の制御を司ると共に、手振り動作の少なくとも動作の向きを判定したり、判定した判定結果を外部に出力する出力手段としての機能を備えたりする。
【0033】
各静電容量センサ部1〜4は、例えば図示しない複数の基板上にそれぞれ別体に、或いは1つの基板上に一体的に形成されている。この基板としては、例えばフレキシブルプリント基板、リジッド基板及びフレキシブルプリント基板(例えば、基材上に配線パターンが印刷された基板)のいずれの基板をも採用することができる。
【0034】
なお、回路部20は、各静電容量センサ部1〜4が形成された基板の同一面側或いは裏面側に実装されて一体的に設けられていても、別途基板に実装されて別体に設けられていても良い。また、一組の静電容量検知回路、A/D変換器を1つの回路要素とすると、この回路要素は、静電容量センサ部の数と対応するように複数設けられていても良い。
【0035】
各静電容量センサ部1〜4のセンサ電極7及びシールド電極8,9は、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリイミド(PI)、ポリアミド(PA)、ガラスエポキシ樹脂、又はセラミック等の絶縁体からなる基板上にパターン形成された銅、銅合金又はアルミニウムや鉄等の金属部材(導電材)や電線などで構成することができる。
【0036】
なお、各静電容量センサ部1〜4は、その配置態様によっては外観上目立たないように配置する必要が生じる場合がある。例えば、電気機器の所定領域Dを表示手段(ディスプレイ装置など)の表示領域とすれば、各静電容量センサ部1〜4は表示手段の意匠パネルなどの裏面側(下側)に配置されても良いが、表面側に貼着或いは埋設して設けるような場合もある。
【0037】
このような場合は、上記基板を透明性を有するパネルやフィルム材にて形成し、各電極7〜9を透明電極で構成すれば良い。透明電極は、例えば錫ドープ酸化インジウム(ITO)や導電性ポリマーによって構成することができる。導電性ポリマーとしては、例えばPEDOT/PSS(ポリエチレンジオキシチオフェン/ポリスチレンスルフォニック酸)や、PEDOT/TsO(ポリエチレンジオキシチオフェン/トルエンスルフォネート)などを用いることができる。
【0038】
次に、このように構成された手振り動作検知装置10の手振り動作検知処理手順について説明する。図4は、本発明の第1の実施形態に係る手振り動作検知装置による手振り動作検知処理手順の一例を示すフローチャートである。図5は、手振り動作の一例を説明するための図である。図6は、静電容量値の変化の様子を示す図である。
【0039】
図4に示すように、まず、演算処理部25は、各静電容量センサ部1〜4により経時的に測定された静電容量に基づく静電容量値C(C1〜C4)を検出する(ステップS100)。そして、検出された静電容量値C1〜C4が所定のしきい値以上であるか否かを判断する(ステップS101)。検出された静電容量値C1〜C4が所定のしきい値以上でないと判断した場合(ステップS101のN)は、上記ステップS100に移行する。静電容量値C1〜C4が所定のしきい値以上であると判断した場合(ステップS101のY)は、その変化量ΔCが所定のしきい値以上であるか否かを判断する(ステップS102)。変化量ΔCが所定のしきい値以上であると判断した場合(ステップS102のY)は、静電容量値及びその変化量がそれぞれしきい値以上であるものが2つあるか否かを判断する(ステップS104)。2つあると判断した場合(ステップS104のY)は、しきい値以上であると判断された静電容量センサ部につき、それぞれで静電容量値のピークを検出する(ステップS106)。なお、変化量ΔCが所定のしきい値未満であると判断した場合(ステップS102のN)、及び2つないと判断した場合(ステップS104のN)は、上記ステップS100に移行する。例えば、図5に示すように、手6が静電容量センサ部1の配置位置の方向から、所定領域Dの中心を通って静電容量センサ部2の配置位置の方向へ上下に繰り返し振られて、その動作の向きが上から下方向を示した動作である場合、各静電容量センサ部1〜4の静電容量値C1〜C4は、図6に示すように変化する。
【0040】
すなわち、静電容量センサ部1,2からの静電容量値C1,C2は、手6を上記のように動かすことで、手6と静電容量センサ部1,2との間の距離が変化するため変動するのに対し、静電容量センサ部3,4からの静電容量値C3,C4は、手6と静電容量センサ部3,4との間の距離がほとんど変わらないためほぼ変動しない状態となる。
【0041】
次に、演算処理部25は、検出した各ピークに基づいて、異なる静電容量センサ部から検出される各ピーク間の時間差を算出し、その時間差を比較する(ステップS108)。具体的には、第1の静電容量センサ部1におけるピーク検出時から第2の静電容量センサ部2におけるピーク検出時までの時間差と、第2の静電容量センサ部2におけるピーク検出時から第1の静電容量センサ部1におけるピーク検出時までの時間差とを比較する。図6に示すように、例えば、各静電容量センサ部1〜4において静電容量を経時的に測定することにより、第1の静電容量センサ部1の静電容量値C1についてはピークが検出時点t1,t3,t5において検出され、第2の静電容量センサ部2の静電容量値C2についてはピークが検出時点t2,t4,t6において同様に検出されているので、例えば時系列に沿った各ピークの検出時点t1〜t6間における各時間差ta,tb,tc,td,teを順次比較する。
【0042】
そして、時間差が短い組み合わせとなる箇所(以下、「判定箇所」という)を抽出する(ステップS110)。図6の例においては、時間差ta,tc,teが時間差tb,tdよりも短い組み合わせとなるので、抽出される判定箇所は検出時点t1,t2間(判定箇所1)、検出時点t3,t4間(判定箇所2)、及び検出時点t5,t6間(判定箇所3)となる。
【0043】
こうして判定箇所1〜3を抽出したら、静電容量センサ部1,2の配置位置に基づき、それぞれの判定箇所1〜3において先にピークが検出された静電容量センサ部の配置位置の方向から、後にピークが検出された静電容量センサ部の配置位置の方向へ至る向きが動作の向きであるとして、その向きを判定する(ステップS112)。
なお、第1の静電容量センサ部1におけるピーク検出時から第2の静電容量センサ部2におけるピーク検出時までの少なくとも1つの時間差(例えば、時間差ta)と、第2の静電容量センサ部2におけるピーク検出時から第1の静電容量センサ部1におけるピーク検出時までの少なくとも1つの時間差(例えば、時間差tb)とを比較することにより、少なくとも1つの判定箇所(例えば、判定箇所1)を抽出し、この判定箇所において先にピークが検出された静電容量センサ部の配置方向と、後にピークが検出された静電容量センサ部の配置位置とに基づいて、手振りの向きを判定してもよい。
【0044】
すなわち、判定箇所1においては、先にピークが検出されたものは静電容量値C1であり、後にピークが検出されたものは静電容量値C2であるので、静電容量センサ部1及び静電容量センサ部2を結ぶ方向に沿った向き(上から下方向)を動作の向きと判定する。
【0045】
そして、演算処理部25は、他に判定箇所がある場合(ステップS114のN)は、上記ステップS112に移行して処理を繰り返す(すなわち、同様に判定箇所2,3においても動作の向きが判定される)。他に判定箇所がない場合(ステップS114のY)は、例えば電気機器の電源OFFを検知することに伴って処理が終了されるか否かを判断し(ステップS116)、終了されると判断した場合(ステップS116のY)は、本フローチャートによる一連の処理が終了されるが、終了されないと判断した場合(ステップS116のN)は、上記ステップS100に移行して処理を繰り返す。このような処理により、少なくとも上下方向や左右方向の4方向の複数回の手振り動作について、それぞれ動作の向きや動作回数を判定することが可能となる。
【0046】
このように、第1の実施形態に係る手振り動作検知装置10によれば、上下方向や左右方向における複数回の手振り動作があった場合であっても、その手振り動作が示す動作の向きや回数を正確に判定することができるので、その判定結果を例えば次のような電気機器の制御に利用することも可能となる。図7は、本発明の第1の実施形態に係る手振り動作検知装置を備えた電気機器の設置例を示す図である。
【0047】
すなわち、図7に示すように、車両100のインストルメントパネル101に搭載された電気機器がカーナビゲーション装置であり、所定領域Dがこのカーナビゲーション装置のディスプレイ装置102の表示領域である場合に、この電気機器がこの表示領域の外側にそれぞれ配置された静電容量センサ部1〜4を有する手振り動作検知装置10を備えていれば、手振り動作によってこの表示領域上に表示された地図画像を手振り動作をした動作の向きにその回数分だけスクロール表示させたり、地図画像の倍率を動作の向きで拡大或いは縮小表示させるに当たり、その回数分だけ倍率を変更して表示させたりすること等ができるようになる。
【0048】
次に、手6が斜め方向に手振り動作された場合の手振り動作検知処理を含む手振り動作検知装置10の手振り動作検知処理手順について説明する。図8は、本発明の第2の実施形態に係る手振り動作検知装置による手振り動作検知処理手順の一例を示すフローチャートである。図9は、静電容量センサ部により検知された静電容量値としきい値との関係を示す図である。図10は、手振り動作の一例を説明するための図である。図11は、静電容量値の変化の様子を示す図である。なお、以降において、既に説明した部分と重複する箇所には同一の符号を附して説明を省略し、本発明に特に関連のない部分については明記しないことがあるとする。
【0049】
図8に示すように、演算処理部25は、例えば電気機器の電源ONを検知することに伴って処理が開始されるまで待って(ステップS200のN)、処理が開始されたら(ステップS200のY)、各静電容量センサ部1〜4により検知された静電容量に基づく静電容量値C(C1〜C4)を検出する(ステップS202)。
【0050】
そして、検出された静電容量値Cが所定のしきい値以上であるか否かを判断する(ステップS204)。図9に示すように、所定のしきい値をThとすると、例えば図示のように変化する静電容量値Cc1,Cc3はしきい値Th以上であると判断し、静電容量値Cc2はしきい値Th未満であると判断する。
【0051】
検出された静電容量値Cが所定のしきい値以上でないと判断した場合(ステップS204のN)は、上記ステップS202に移行する。静電容量値Cが所定のしきい値未満である場合は、少なくとも手6と各静電容量センサ部1〜4との間の距離がある程度離れていると判断することができるので、この場合は手振り動作が意図されたものではなく、単に手6が所定領域D近辺に少し近付いただけか、或いは単なるノイズを検出したとして動作判定は行われない。検出された静電容量値Cが所定のしきい値以上であると判断した場合(ステップS204のY)は、その変化量ΔCが所定のしきい値以上であるか否かを判断する(ステップS206)。
【0052】
例えば、静電容量値Cc1はその変化量がしきい値以上であると判断するが、静電容量値Cc3については、変化がフラットであるためその変化量はほぼ0でありしきい値未満であると判断する。
【0053】
変化量ΔCが所定のしきい値以上であると判断した場合(ステップS206のY)は、静電容量値及びその変化量がそれぞれしきい値以上であるものが2つあるか否かを判断する(ステップS208)。2つあると判断した場合(ステップS208のY)は、第1の実施形態にて説明したように各静電容量センサ部1〜4のうちの2つについて手振り動作が意図された(すなわち、上下方向や左右方向に手振り動作が行われた)と判断することができるので、第1の実施形態と同様にそれぞれでピークを経時的に測定して検出し(ステップS210)、時間差を比較して(ステップS212)、判定箇所を抽出し(ステップS214)、動作の向きを判定する(ステップS216)。
【0054】
そして、その判定結果を外部に出力して(ステップS220)、他に判定箇所がある場合(ステップS222のN)は、上記ステップS216に移行して処理を繰り返し、他に判定箇所がない場合(ステップS222のY)は、例えば電気機器の電源OFFを検知することに伴って処理が終了されるか否かを判断し(ステップS224)、終了されると判断した場合(ステップS224のY)は、本フローチャートによる一連の処理が終了されるが、終了されないと判断した場合(ステップS224のN)は、上記ステップS202に移行して処理を繰り返す。
【0055】
なお、第2の実施形態に係る手振り動作検知装置10では、例えば上下方向や左右方向への手振り動作が、各静電容量センサ部1〜4の中心部近傍間において行われず、他の静電容量センサ部側に片寄った状態で行われたとしても、その静電容量センサ部からの静電容量値については少なくとも変化量ΔCがしきい値を超えない(ステップS206のN)ので、手振り動作の判定がそれに影響されることはない。
【0056】
一方、上記ステップS208にて2つないと判断した場合(ステップS208のN)は、静電容量値及びその変化量がそれぞれしきい値以上であるものが3つ以上あるか否かを判断する(ステップS226)。3つ以上あると判断した場合(ステップS226のY)は、判断された静電容量値が検出された3つ以上の静電容量センサ部につき、それぞれで静電容量値のピークを経時的に測定して検出する(ステップS228)。なお、3つ以上ある場合で4つの場合には、例えば次のような状況が考えられる。
【0057】
例えば、図10に示すように、手6が静電容量センサ部1,4の配置位置の最も近い中間位置(最近中間位置)の方向から、所定領域Dの中心を通って静電容量センサ部2,3の配置位置の最近中間位置の方向へ斜めに繰り返し振られて、その動作の向きが右上から左下方向を示した動作である場合、各静電容量センサ部1〜4の静電容量値C1〜C4は、図11に示すように変化する。
【0058】
すなわち、静電容量センサ部1,4からの静電容量値C1,C4は、それぞれ手6が斜めに動くことでピークの検出時点が同一か時間的に最も近いものとして同じように変動する。また、静電容量センサ部2,3からの静電容量値C2,C3も、それぞれ手6が斜めに動くことでピークの検出時点が同一か時間的に最も近いものとして同じように変動する。
【0059】
従って、演算処理部25は、各ピーク検出時点が同一又は最も近いものである2つの静電容量センサ部を一群化(グループ化)する(ステップS230)。図11に示した例では、例えば第1の静電容量センサ部1とピークの検出時が同一又は最も近い第2の静電容量センサ部4とが第1グループとして一群化され、他の2つの静電容量センサ部2,3が第2グループとして一群化される。
【0060】
なお、例えば手6が静電容量センサ部1,4の最近中間位置の方向から静電容量センサ部3の中心部近傍の方向へ振られた場合などには、斜めという意味では似たような状況であるが、静電容量値及びその変化量がそれぞれしきい値以上となったものは3つとなるので、第1グループとして一群化された静電容量センサ部1,4と第2グループとして一群化された一つの静電容量センサ部3とに着目する。
【0061】
そして、演算処理部25は、一群化した第1グループのいずれかのピークの検出時と第2グループのいずれかのピークの検出時(第2グループが一つの静電容量センサ部の場合はそのピーク検出時)との時間差を比較する(ステップS212)。具体的には、図11に示すように、静電容量値C1,C4についてはピークが検出時点t1,t3,t5において同一又は最も近い状態で経時的に測定して検出され、静電容量値C2,C3についてはピークが検出時点t2,t4,t6において同一又は最も近い状態で経時的に測定して検出されているので、例えば時系列に沿った各ピークの検出時点t1〜t6間の時間差ta,tb,tc,td,teを順次比較する。
【0062】
そして、時間差が短い組み合わせとなる判定箇所を抽出する(ステップS214)。図11の例においては、時間差ta,tc,teが時間差tb,tdよりも短い組み合わせとなるので、抽出される判定箇所は図6に示した例と同じく3つ(判定箇所1〜3)となる。
【0063】
こうして判定箇所1〜3を抽出したら、静電容量センサ部1〜4の配置位置に基づき、それぞれの判定箇所1〜3において経時的に先にピークが検出された静電容量センサ部が含まれたグループに含まれる2つの静電容量センサ部の配置位置の中間位置の方向から、後にピークが検出された静電容量センサ部が含まれたグループに含まれる2つの静電容量センサ部の配置位置の中間位置の方向へ至る向きが動作の向きであるとして、その向きを判定する(ステップS216)。
【0064】
すなわち、判定箇所1においては、先にピークが検出されたものは静電容量値C1,C4であり、後にピークが検出されたものは静電容量値C2,C3であり、それぞれの組み合わせのピークの大きさはほぼ等しいので、各静電容量センサ部1〜4を通る面方向に沿って、第1グループの静電容量センサ部1,4の配置位置の最近中間位置の方向から第2グループの静電容量センサ部2,3の配置位置の最近中間位置の方向へ至る向き(すなわち、右上から左下方向)を動作の向きと判定する。
【0065】
なお、経時的に先にピークが検出された静電容量センサ部が含まれたグループに含まれる静電容量センサ部が1つの場合はその配置位置の方向から、また後にピークが検出された静電容量センサ部が含まれたグループに含まれる静電容量センサ部が1つの場合はその配置位置の方向へ、との向きをそれぞれ動作の向きの判定に利用すれば良い。
【0066】
そして、演算処理部25は、判定結果を外部に出力して(ステップS220)、他に判定箇所がある場合(ステップS222のN)は、上記ステップS216に移行して処理を繰り返す(すなわち、判定箇所2,3においても動作の向きが判定される)。他に判定箇所がない場合(ステップS222のY)は、上記ステップS224に移行する。
【0067】
ここまでの処理により、第1の実施形態にて説明した上下方向や左右方向の4方向の手振り動作と合わせて斜め方向の4方向の手振り動作を判定することができる。これと共に、各グループの最近中間位置点から1つの静電容量センサ部の中心部近傍への16方向の手振り動作を合わせた24方向の複数回の手振り動作について、それぞれの動作の向きや動作回数を判定することが可能となる。その他、判定条件等をより細かく設定すれば、更に多方向における動作の向きや動作回数を判定することも可能となる。
【0068】
なお、上記ステップS226にて3つ以上ないと判断した場合(ステップS226のN)は、静電容量値及びその変化量がしきい値をそれぞれ超えたものが1つであると判断できるため、例えば1つの静電容量センサ部の近傍に単に手6が近接した後に離間した場合や単なるノイズを検出した場合などが考えられるため、上記ステップS220に移行してそのように判定した判定結果を出力する。
【0069】
また、変化量ΔCが所定のしきい値未満であると判断した場合(ステップS206のN)は、静電容量値がしきい値を超えているが変化していない場合と判断することができるので、その静電容量値が所定時間所定量変化がないか否かを判断する(ステップS232)。
【0070】
所定時間所定量変化があると判断した場合(ステップS232のN)は、例えば手振り動作をしようと試みて手6を所定領域Dに近付けようとした途中で試みを中止した場合などが考えられるため、上記ステップS202に移行して処理を繰り返す。そして、所定時間所定量変化がないと判断した場合(ステップS232のY)は、演算処理部25は、各静電容量値を比較することによって所定領域D内における手6の検出位置を判定し(ステップS234)、上記ステップS220に移行してその判定結果を外部に出力して、以降の処理を繰り返す。
【0071】
ここで、上記ステップS234の検出位置の判定処理について説明する。図12は、この手振り動作検知装置10による検出位置判定を説明するための図である。
【0072】
図12に示すように、演算処理部25は、各静電容量センサ部1〜4からの静電容量値C1〜C4に基づいて、所定時間所定量変化がないという停止条件を満たした場合の検出位置を、例えば所定領域D上において図示の9箇所で判定する。すなわち、例えば静電容量値C1〜C4の全てにおいて検出値が同等となり上記停止条件を満たした場合は、中央の箇所AC上に手6が止まったとして、検出位置を判定することができる。
【0073】
また、静電容量値C1のみが停止条件を満たした場合は、静電容量センサ部1の中心部近傍の箇所A1上に手6が止まったとして、静電容量値C2のみが停止条件を満たした場合は、静電容量センサ部2の中心部近傍の箇所A2上に手6が止まったとして、静電容量値C3のみが停止条件を満たした場合は、静電容量センサ部3の中心部近傍の箇所A3上に手6が止まったとして、更に静電容量値C4のみが停止条件を満たした場合は、静電容量センサ部4の中心部近傍の箇所A4上に手6が止まったとして、それぞれ検出位置を判定することができる。
【0074】
また、同様に静電容量値C1〜C4の組み合わせが停止条件を満たした場合、箇所A13,A14,A23,A24上に手6が止まったとして、検出位置を判定することもできる。なお、検出位置判定の判定条件をより細かく設定すれば、上述した9箇所以上の位置を検出することが可能となる。
【0075】
このように、第2の実施形態に係る手振り動作検知装置10は、所定領域D上の手振り動作のみならず手6の停止箇所の位置も検出することができるので、これらの位置に電気機器の制御コマンド等を割り当てておけば、上述した24方向の手振り動作による制御に加えて更に多種類の電気機器の制御を行うことが可能となる。
【0076】
すなわち、図7に示したカーナビゲーション装置において、ディスプレイ装置102の表示領域上に各種ボタンを表示して、手振り動作検知装置10により判定された検出位置に基づき手6が停止された位置に割り当てられたボタンが選択された時の制御を実行したりすることも可能となる。
【0077】
その他、電気機器としてはステレオ装置、カーステレオ装置などが挙げられ、これらに備えられた手振り動作検知装置10の判定結果により検出位置でこれらの装置の再生、一時停止、早送り、巻き戻し等を指定したり、手振り動作の向きと速度や回数で曲のシーク制御をしたり、音量調整やイコライザ設定をしたりすることが可能となる。
【0078】
また、手振り動作検知装置10の検出位置でエアコン装置における暖房/冷房運転切り替えや設定、温度調節等を指定したり、手振り動作の向きと速度や回数で温度や風向きを調整したりすることも可能となる。更に、手振り動作検知装置10判定結果でパーソナルコンピュータのマウスポインタを動かしたり、クリック操作等を実行/選択させたりすることも可能となる。また、手振り動作検知装置10の判定結果により、監視カメラ装置の動作制御を行ったり、ゲーム機のコントローラとして手振り動作検知装置10を適用することも可能となる。
【0079】
図13は、本発明の第3の実施形態に係る手振り動作検知装置の全体構成を示す図である。図14は、本発明の第4の実施形態に係る手振り動作検知装置の静電容量検知回路を示す図である。図13に示すように、第3の実施形態に係る手振り動作検知装置10Aは、静電容量センサ部1〜4の配置態様や構成は上述した実施形態と同様であるが、静電容量検知回路28及びA/D変換器28aが1つずつ設けられ、静電容量検知回路28及びシールド駆動回路26がそれぞれスイッチSW31〜34,SW41〜44を介して各静電容量センサ部1〜4のセンサ電極7やシールド電極8,9と接続されている点が相違している。
【0080】
すなわち、静電容量センサ部1〜4のセンサ電極7は、それぞれスイッチSW31〜34を介して静電容量検知回路28と接続され、静電容量センサ部1〜4のシールド電極8,9は、それぞれスイッチSW41〜44を介してシールド駆動回路26と接続されている。また、演算処理部25は、スイッチSW31〜34,SW41〜44のスイッチ制御(ON/OFF制御)、及びA/D変換器28aからのデータ取り込みタイミング制御を行う。
【0081】
例えば、静電容量センサ部1にて静電容量の検知を行う場合は、スイッチSW31,SW42〜44を閉じてスイッチSW32〜34,SW41を開くことにより、静電容量センサ部1のセンサ電極7が静電容量検知回路28に接続され、静電容量センサ部2〜4のセンサ電極7がシールド駆動回路26に接続される。各静電容量センサ部2〜4について同様に静電容量を検知する。
【0082】
このように構成すれば、静電容量センサ部1〜4と静電容量検知回路28との接続を時間的に切り替えることにより静電容量検知回路の個数を減らすことが可能となる。なお、スイッチ制御とタイミング制御を演算処理部25が行うとしたが、スイッチ制御は演算処理部25とは別途独立して周期的に行い、それぞれの切替時の出力をホールドして、それがA/D変換器28aに接続されるように構成しても良い。
【0083】
また、図14に示すように、第4の実施形態に係る手振り動作検知装置の静電容量検知回路21〜24,28は差動動作するものとして構成されている。各静電容量センサ部1〜4は、センサ電極7、シールド電極8,9の他にダミーのセンサ電極(ダミー電極)19を備えた構成を有している。
【0084】
具体的には、例えば差動増幅回路のプラス側入力端にセンサ電極7を接続し、マイナス側入力端にダミー電極19を接続して静電容量Caの値から静電容量Cbの値を減算し、その出力値をコンパレータなどでしきい値と比較して手6を検出するようにしたものである。
【0085】
このような静電容量検知回路21〜24,28の動作としては、例えばスイッチS1がオープン(OFF)でスイッチS2が接地(GND)され、スイッチS3がクローズ(ON)となっている時に、スイッチS3をオープン(OFF)にし、スイッチS2をVrに切り替え、スイッチS1をオペアンプの反転入力に接続すると、静電容量CaとCfにVaVrが充電され、静電容量CbとCfにCbVrが充電される。
【0086】
次に、スイッチS1をオープン(OFF)及びスイッチS2を接地(GND)した後に、スイッチS1を接地(GND)した時の出力電圧Vを測定する。この時の電圧は、V/Vr={(Cf+Ca)/Cf}−{(Cf+Cb)/Cf}となり、静電容量Caと静電容量Cbの割合に応じた電圧が出力される。
【0087】
このように静電容量検知回路21〜24,28を差動動作する構成(差動回路)とすることにより、回路の温度特性を相殺したりコモンモードノイズを低減したりすることができる。そして、この時、例えば差動増幅回路のマイナス側入力端子にはダミー電極19を接続するが、このダミー電極19が手6と静電容量結合するとセンサ自体の感度が低くなるので、センサ電極7に対してダミー電極19の面積を十分に小さく形成するか、ダミー電極19と手6との間に同電位である他のシールド電極47を設けて手6との静電容量結合を小さくする必要がある。
【0088】
なお、上述した実施形態においては、静電容量センサ部が4つ設けられた場合を例に挙げて説明したが、少なくとも2つあれば良く、例えば3つである場合は所定領域Dの外側における異なる位置に所定領域Dを囲む三角形を構成する状態で配置して二次元的な位置を測定したり、静電容量センサ部の数を増やすことで分解能を向上させたりするようにしても良い。更に、各静電容量センサ部を立体的な配置にして三次元的な手振り動作を検知するように構成しても良い。その他、回路部20は静電容量検知回路の出力をそのまま判定する構成としたが、各静電容量センサ部1〜4の近くに手やその他の物体がない時の静電容量値を初期容量値として、この初期容量値からの差分値を用いて手振り動作を判定するようにしても良い。
【符号の説明】
【0089】
1〜4 静電容量センサ部
6 手
7 センサ電極
8,9 シールド電極
10,10A 手振り動作検知装置
20 回路部
21〜24 静電容量検知回路
21a〜24a A/D変換器
25 演算処理部
26 シールド駆動回路
28 静電容量検知回路
28a A/D変換器
31〜34 スイッチ
41〜44 スイッチ
100 車両
101 インストルメントパネル
102 ディスプレイ装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気機器の所定領域の外側における異なる位置に設けられた複数の静電容量センサ部と、
前記複数の静電容量センサ部によって検知された静電容量に基づく静電容量値をそれぞれ検出する検出手段と、
前記検出手段によって検出された各静電容量値に基づいて、前記所定領域上の手振り動作の少なくとも動作の向きを判定する判定手段とを備えた
ことを特徴とする手振り動作検知装置。
【請求項2】
前記複数の静電容量センサ部は、前記所定領域を横切る直線上に配置された第1及び第2の静電容量センサ部を含む
ことを特徴とする請求項1記載の手振り動作検知装置。
【請求項3】
前記複数の静電容量センサ部は、前記第1及び第2の静電容量センサ部と異なる位置に設けられた第3の静電容量センサ部を含む
ことを特徴とする請求項2記載の手振り動作検知装置。
【請求項4】
前記判定手段は、前記複数の静電容量センサ部それぞれで静電容量を経時的に測定することにより各静電容量センサ部から静電容量値のピークを検出し、異なる静電容量センサ部から検出される各ピーク間の時間差と、各ピークを検出する静電容量センサ部の配置位置とに基づいて、前記所定領域上の手振り動作の向きを判定する
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載の手振り動作検知装置。
【請求項5】
前記判定手段は、前記第1及び第2の静電容量センサ部それぞれで静電容量を経時的に測定することにより各静電容量センサ部から静電容量値のピークをそれぞれ検出し、前記第1の静電容量センサ部におけるピーク検出時から前記第2の静電容量センサ部におけるピーク検出時までの時間差と、前記第2の静電容量センサ部におけるピーク検出時から前記第1の静電容量センサ部におけるピーク検出時までの時間差との比較結果と、前記第1及び第2の静電容量センサ部の配置位置とに基づき、前記第1及び第2の静電容量センサ部を結ぶ方向に沿った手振り動作の向きを判定する
ことを特徴とする請求項2又は3記載の手振り動作検知装置。
【請求項6】
前記判定手段は、前記第1乃至第3の静電容量センサ部それぞれで静電容量を経時的に測定することにより各静電容量センサ部から静電容量値のピークをそれぞれ検出し、異なる静電容量センサ部から検出される各ピーク間の時間差と、各ピークを検出する静電容量センサ部の配置位置とに基づいて、前記第1乃至第3の静電容量センサ部を通る面方向に沿った手振り動作の向きを判定する
ことを特徴とする請求項3項記載の手振り動作検知装置。
【請求項7】
前記判定手段は、所定のしきい値を超えた静電容量値が所定時間所定量変化しない場合は、前記各静電容量値を比較することによって、所定領域内における手の検出位置を判定する
ことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項記載の手振り動作検知装置。
【請求項8】
前記判定手段は、前記手振り動作の動作速度及び動作回数の少なくとも1つを更に判定する
ことを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項記載の手振り動作検知装置。
【請求項9】
前記判定手段によって判定された判定結果を前記電気機器の制御手段に対して出力する出力手段を更に備えた
ことを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項記載の手振り動作検知装置。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか1項記載の手振り動作検知装置を備えた
ことを特徴とする電気機器。
【請求項11】
前記所定領域は、前記電気機器の表示手段における表示領域である
ことを特徴とする請求項10記載の電気機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2011−220894(P2011−220894A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−91568(P2010−91568)
【出願日】平成22年4月12日(2010.4.12)
【出願人】(000005186)株式会社フジクラ (4,463)
【Fターム(参考)】