説明

手書き入力表示装置、手書き入力表示プログラム、記録媒体

【課題】 発表用の表示内容に対して直感的に手書き入力を行え、手書き入力内容の消去操作を不要として、講演者等の手間を減らし、聴衆、観衆に対して発表内容をアピールしやすくする。
【解決手段】 予め作成したプレゼンテーション用のコンテンツに対して、プレゼンテーションの途中で手書きによって画像を重畳あるいは合成可能なソフトウェアをコンピュータ1内にインストールしておくことにより、簡単に手書きを加えたプレゼンテーションを可能にする。タイマ13の設定によって、設定時間(例えば1秒〜8秒)の経過後に、重畳あるいは合成された手書き画像がプレゼンテーション用のコンテンツの画像から自動的に消える。手書き画像の消去には、別途のボタン操作、キー操作等は不要である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、会議などでスクリーンや大画面モニタなどに表示する画像に、発表者、講演者、操作者等が手元の装置で手書きした画像を重ね、かつこのデータを表示するのに用い得る手書き入力表示装置、手書き入力表示プログラム、これを記録した記録媒体に関し、特に手書き内容の消去に改良を施したものに関する。
【背景技術】
【0002】
研究発表や講演等の際に聴衆、観衆にコンピュータ制御による表示手段の表示画面を見せつつ発表を行う(本明細書において、プレゼンテーションという。)がよくなされる。このようなプレゼンテーションでは、発表者が表示画面のうちで特に見て欲しい部分や説明したい部分を指し示すために、棒状の物で表示内容の一部を聴衆、観衆に対して指摘することがある。
【0003】
表示にプロジェクターを用いる場合には、レーザーポインタ等と称するポインタ機器を用い、スクリーン上の一点に点状の光を照射して説明しようとする箇所を指示することがある。
【0004】
ところで近年、例えばMicrosoft社のPowerPoint(登録商標)等を用い、PC内に記憶させてある画像ファイルの複数の表示画面を順次あるいはランダムに切り替えつつ、聴衆、観衆に見せながら行うプレゼンテーションが増えてきている。また表示内容に対し、発表者がマウスやデジタイザーあるいはタブレットといった座標入力手段にて、説明したい内容、書ききれなかった内容などを追加的に記入し、あるいは内容を変更、削除しながら説明する場合が非常に多くなってきている。
【特許文献1】特開平6−175776号公報
【特許文献2】特開2001−117685号公報
【特許文献3】特開平6−110424号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、例えば学会発表において、限られた時間内に多くの表示画面を見せつつ、しかも書き込みなどを行おうとすると、表示画面を切り替える際に書き込んだ内容を消す操作に手間が掛かり、その無駄時間によって、十分かつ満足できるプレゼンテーションを行えないことが多くなるという問題が出てきている。
【0006】
本発明はそのような問題点を解決すべくなしたもので、発表者や講演者がレーザーポインタと同じような感覚で書き込みなどを直感的にあるいは直截的に行えるだけでなく、手書き入力デバイスも限定されず、しかも手書き入力内容の消去操作が不要で、聴衆、観衆に対して強く発表内容を意識させ得る装置とプログラム、及びこれを格納した媒体を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の請求項1に係る手書き入力表示装置は表示手段の表示内容に重畳または合成して、線図、文字等の手書き内容を入力、表示させる制御手段を有する手書き入力表示装置において、前記制御手段は、前記手書き動作終了後予め定めた時間の経過後に前記手書き内容の前記表示手段の表示内容への重畳または合成を解除して該手書き内容を非表示とすることを特徴とする。
【0008】
同請求項2に係るものは、表示手段と、手書き入力手段と、制御装置とからなり、前記制御手段が、前記示手段の表示内容に重畳または合成して、線図、文字等の手書き内容を入力、表示させる手書き入力表示装置において、前記手書き動作終了後、予め定めた時間の経過後に、前記表示手段の表示内容への前記手書き内容の重畳または合成を解除して該手書き内容を非表示とすることを特徴とする。
【0009】
同請求項3に係るものは、表示装置と、手書き入力手段と、制御装置とからなり、前記手書き入力手段を前記表示装置の表示部上に配置または配置可能としてなり、前記手書き入力手段が入力にペン状物を用いるものであり、前記手書き入力手段上における前記ペン状物の接触位置の座標軌跡に基づき、前記表示装置に手書き表示を表示可能であり、前記ペン状物が前記手書き入力手段から非接触状態になると、前記制御装置は、所定時間経過後に前記手書き表示を非表示にすることを特徴とする。
【0010】
同請求項4に係るものは、請求項1から3のいずれかの手書き表示装置において、前記所定時間を可変としたことを特徴とする。
【0011】
本発明の請求項5に係る手書き入力表示プログラムは、表示手段の表示内容に重畳または合成して、線図、文字等の手書き内容を入力、表示させる手書き入力表示プログラムにおいて、前記手書き動作終了後予め定めた時間の経過後に前記手書き内容の前記表示手段の表示内容への重畳または合成を解除して該手書き内容を非表示とすることを特徴とする。
【0012】
同請求項6に係るものは、請求項5の手書き表示プログラムにおいて、前記所定時間を可変としたことを特徴とする。
【0013】
本発明の請求項7に係る記録媒体は、請求項5または6に記載の手書き入力表示プログラムを格納してなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、予め準備してあった発表用の表示内容に対して直感的にあるいは直截的に書き込みを行え、書き込みのための手書き入力デバイスも種々使用でき、また手書き入力内容の消去操作が不要であるため、講演者等の手間が減少し、その分、聴衆、観衆に対して強く発表内容をアピールすることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下本発明を実施するための最良の形態を、図に示す実施例を参照して説明する。
【実施例1】
【0016】
図1は本発明の第1実施例のシステム構成を示す概念図である。本実施例装置は概略的にはコンピュータ1、それに対する入力装置としての座標入力手段2、及び出力装置としての表示手段3から構成してある。
【0017】
コンピュータ1は特殊なものである必要はなく、後述する本発明に係るプログラムを実行可能な物であればよい。また図示の例では、いわゆるノートパソコンタイプとして描いてあるが、これに限定される物でもない。
【0018】
座標入力手段2は、いわゆる手書き入力が可能なボード、シート等々種々公知のデバイス(以下、入力ボードという。)4とペン等の入力デバイス5からなるもの等を採用できる。入力ボード4としては、いわゆる座標入力検知が可能なマトリックスタッチパネル等が適する。また図示の実施例では、コンピュータ1のモニタ6に重ねる形態で使用するので、入力ボード4は、透明で、モニタ6の表示内容を外部から視認できるものであることが好ましい。さらに図示の例では、入力デバイス5の動きを検知、認識するためのセンサ7をモニタ6の脇部分に取り付けてある。これについても、例えばUSBケーブルその他の適宜な接続形態でコンピュータ1に接続できるものが公知であるので、それを採用すればよい。
【0019】
また出力装置としての表示手段3は、いわゆるプロジェクタ用のスクリーン、大画面の液晶表示装置等々、これも種々公知のものを採用できる。なお図示の例では、コンピュータ1から表示手段3へ信号線のようなもので接続してあるが、プロジェクタ用のスクリーンを用いる場合などにあっては、これはコンピュータ1に接続したプロジェクタと、それから射出される光線ということになる。したがって図示のような線状の接続形態には限定されない。
【0020】
図2は、本実施例の機能ブロック図である。コンピュータ1は、映像信号供給手段8と、画像合成出力手段9とを内蔵するとともに、手書き表示画像形成部10を、ソフトウェア及びハードウェアの相補的機能部分としても内蔵している。
【0021】
手書き表示画像形成部10は、座標入力手段2からの入力、すなわち入力ボード4上における入力デバイス5の動きについての座標軌跡を検出する座標軌跡検出部11、同じく入力ボード4に対する入力デバイス5の接離状態(少なくとも離隔時間)を検出する接離状態検出部12、さらに後述する制御用の時間を設定するタイマ13、そして画像合成出力手段9に対して手書き表示画像を出力するための手書き表示画像出力部14を備えている。
【0022】
すなわち本実施例では、例えばMicrosoft社のPowerPoint(登録商標)等を用いて作成し、コンピュータ1に格納しておいたプレゼンテーション用のコンテンツに対して、プレゼンテーション中に手書きによって手書き画像を重畳あるいは合成可能なソフトウェアをコンピュータ1内にインストールしておくことにより、簡単に手書きを加えたプレゼンテーションを可能にするとともに、タイマ13の設定(例えば1秒〜8秒)によって、設定時間の経過後に、重畳あるいは合成された手書き画像がプレゼンテーション用のコンテンツの画像から自動的に消えるようになっているのである。手書き画像の消去には、別途のボタン操作、キー操作等は不要であり、タイマの設定による。
【0023】
例えば、図3に示すようなプレゼンテーションの画面に、手書きで図中A、Bで示す内容を書き加えた場合、すなわち聴衆に強調指摘したい箇所がプレゼンテーションの同一画面上に複数ある場合、従来であれば例えば図中Aで示す手書きを何らかの別途の操作により消去してから図中Bの手書きをする必要があったが、本実施例では図中Aの手書き後ペンを画面から離せば予め定めた時間の経過とともにAは自動的に消える。そのため、演者は操作感を意識することなく、次の図中Bの手書きが可能になり、講演に集中できる。講演者は単に次のプレゼンテーションの画面に切り替える操作を行えばよい。したがって、タイマ13の設定を何秒とするかは、講演者が自らの癖などを考慮して適宜に定めればよい。仮に同一画面上に同時にA、Bを手書きしたい場合は、図中Aを手書き後にペン先を画面に接触状態のまま保ってそのまま図中Bを手書きすることになるが、それについても、ペン先を離してから手書き内容が消えるまでの時間の設定を適当な時間にしておけば、Aを記入した後に、いったんペン先を離し、それからBを記入したとしても、可能になる。また、まだ必要なうちに手書き入力が消えてしまったとしても、再度書き入れれば済むことである。そのほうが、かえって聴衆にアピールできることも考えられる。
【0024】
なお図3では入力ボード4としてマトリックスパネルを用いているが、本発明はこれに限定されず、種々の入力パネル、ボード、シート等を使用できる。
【実施例2】
【0025】
図4は本発明の第2実施例のシステム構成を示す概念図である。本実施例装置は、コンピュータ1に対する入力装置としての座標入力手段としてタブレット2aと専用ペン5aを用い、これをUSBケーブル15によってコンピュータ1に接続することにより、コンピュータ1から離して設置した例である。先の実施例でも同様であるが、この実施例でも出力装置としての表示手段3を用いるか否かは自由である。
【実施例3】
【0026】
図5は本発明の第3実施例のシステム構成を示す概念図である。本実施例装置は、コンピュータ1に対する入力装置としての座標入力手段として液晶タブレット2bと専用ペン5bを用い、これをUSBケーブル15と映像ケーブル16を用いてコンピュータ1に接続することにより、コンピュータ1から離して設置した例である。先の実施例でも同様であるが、この実施例でも出力装置としての表示手段3を用いるか否かは自由である。またなお、液晶タブレット2bにプレゼンテーションデータの”進む”、”戻る”を割り当て得るボタン17、18を備えている。このばあい、コンピュータ1を液晶タブレット2bから離れた場所に設置することも可能になる。
【産業上の利用可能性】
【0027】
なお図示は省略するが、上述した機能を含むプログラムは、はじめからコンピュータが備えるROMあるいはHDD等の記憶手段に格納しておいてもよいが、記録媒体であるCD−ROMあるいはフレキシブルディスク、DVDディスク、RAME、EPROM、メモリカード等の不揮発性記録媒体(メモリ)に記録して提供することもできる。そのメモリに記録されたプログラムをコンピュータにインストールしてCPUに実行させるか、CPUにそのメモリからこのプログラムを読み出して実行させることにより、上述した各手順を実行させることができる。さらに、ネットワークに接続され、プログラムを記録した記録媒体を備える外部機器あるいはプログラムを記憶手段に記憶した外部機器からダウンロードして実行させることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の第1実施例のシステム構成を示す概念図
【図2】本発明の第1実施例の機能ブロック図
【図3】本発明の第1実施例のプレゼンテーションの画面例を示す図
【図4】本発明の第2実施例のシステム構成を示す概念図
【図5】本発明の第3実施例のシステム構成を示す概念図
【符号の説明】
【0029】
1 コンピュータ
2 座標入力手段
2a タブレット
2b 液晶タブレット
3 表示手段
4 入力ボード
5 入力デバイス
5a、5b 専用ペン
6 モニタ
7 センサ
8 映像信号供給手段
9 画像合成出力手段
10 手書き表示画像形成部
11 座標軌跡検出部
12 接離状態検出部
13 タイマ
14 手書き表示画像出力部
15 USBケーブル
16 映像ケーブル
17、18 ボタン
A、B 手書き加えた画像


【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示手段の表示内容に重畳または合成して、線図、文字等の手書き内容を入力、表示させる制御手段を有する手書き入力表示装置において、前記制御手段は、前記手書き動作終了後予め定めた時間の経過後に前記手書き内容の前記表示手段の表示内容への重畳または合成を解除して該手書き内容を非表示とすることを特徴とする手書き入力表示装置。
【請求項2】
表示手段と、手書き入力手段と、制御装置とからなり、前記制御手段が、前記示手段の表示内容に重畳または合成して、線図、文字等の手書き内容を入力、表示させる手書き入力表示装置において、前記手書き動作終了後、予め定めた時間の経過後に、前記表示手段の表示内容への前記手書き内容の重畳または合成を解除して該手書き内容を非表示とすることを特徴とする手書き入力表示装置。
【請求項3】
表示装置と、手書き入力手段と、制御装置とからなり、前記手書き入力手段を前記表示装置の表示部上に配置または配置可能としてなり、前記手書き入力手段が入力にペン状物を用いるものであり、前記手書き入力手段上における前記ペン状物の接触位置の座標軌跡に基づき、前記表示装置に手書き表示を表示可能であり、前記ペン状物が前記手書き入力手段から非接触状態になると、前記制御装置は、所定時間経過後に前記手書き表示を非表示にすることを特徴とする手書き入力表示装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれかの手書き表示装置において、前記所定時間を可変としたことを特徴とする手書き入力表示装置。
【請求項5】
表示手段の表示内容に重畳または合成して、線図、文字等の手書き内容を入力、表示させる手書き入力表示プログラムにおいて、前記手書き動作終了後予め定めた時間の経過後に前記手書き内容の前記表示手段の表示内容への重畳または合成を解除して該手書き内容を非表示とすることを特徴とする手書き入力表示プログラム。
【請求項6】
請求項5の手書き表示プログラムにおいて、前記所定時間を可変としたことを特徴とする手書き入力表示プログラム。
【請求項7】
請求項5または6に記載の手書き入力表示プログラムを格納してなることを特徴とする記録媒体。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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