手書き入力装置
【課題】ユーザのページ送り操作を省略して、利便性を向上することができる手書き入力装置を提供する。
【解決手段】ユーザの手書き入力時に取得される電子ペンの位置座標に基づいて、1ライン分の軌跡を示すストロークデータが生成され、記録対象ページと対応付けて記録される。現在取得中のストローク(S)と、記録対象ページに対応付けて記録されている判定対象のストローク(N)との交差が確認され(S101)、ストロークデータ間の交差ありと判定された場合(S103:YES)、改ページフラグがONにセットされて(S105)、記録対象ページが更新される。
【解決手段】ユーザの手書き入力時に取得される電子ペンの位置座標に基づいて、1ライン分の軌跡を示すストロークデータが生成され、記録対象ページと対応付けて記録される。現在取得中のストローク(S)と、記録対象ページに対応付けて記録されている判定対象のストローク(N)との交差が確認され(S101)、ストロークデータ間の交差ありと判定された場合(S103:YES)、改ページフラグがONにセットされて(S105)、記録対象ページが更新される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーザが手書きで入力した情報をデジタルデータとして管理する手書き入力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、赤外線と超音波を送信する送信機を備えた電子ペンと、電子ペンから送信される赤外線信号および超音波信号を受信する受信装置を有する手書き入力システムが知られている。手書き入力システムでは、電子ペンから送信される超音波信号および赤外線信号が受信装置で受信されて、受信された信号に基づいて電子ペンの位置座標が計測される。計測された位置座標に基づいて筆跡データが連続的に検出されて、電子ペンで書かれた文字や図形等を手書き筆跡データとして認識される。
【0003】
このような手書き入力システムとして、筆跡データとジェスチャーデータとを区別して記録・認識するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。これによれば、筆跡データによって電子ペンが描いた筆跡が検出され、ジャスチャーデータによって電子ペンを用いたジェスチャーの入力軌跡が検出される。ユーザが電子ペンを用いてジェスチャーを入力することで、そのジェスチャーに対応したコマンドを入力できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−128891号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の手書き入力システムでは、図19に例示するように、ユーザが複数ページ分を連続して手書き入力することがある。このときに生成される筆跡データがページ単位で管理されない場合、図20に例示するように、複数ページ分の筆跡データが1ページに混在することになる。そこで従来では、ユーザが筆跡データを管理するページを切り替える際に、例えば予め設けられているページ送りボタンを押したり、ページ送りを指示するジェスチャーを行ったりする。これにより、手書き入力システムにページ送り指示が入力されて、筆跡データがページ単位で管理されることが知られている。
【0006】
しかしながら、筆跡データを管理するページを切り替える際に、ユーザはその都度ページ送り指示を入力するために、例えばページ送りボタンを押したり、ページ送りを指示するジェスチャーを行ったりする必要がある。そうすると、手書き入力システムを使用するユーザの操作負担が大きくなり、不便であった。
【0007】
本発明の目的は、ユーザのページ送り操作を省略して、利便性を向上することができる手書き入力装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様に係る手書き入力装置は、ユーザによって手書き入力される際に、現在の手書き入力位置を示す位置情報を取得する位置情報取得手段と、前記位置情報取得手段によって取得された前記位置情報に基づいて、ユーザによって連続して入力された1ライン分の軌跡を示すストロークデータを生成するストローク生成手段と、前記ストロークデータをページ単位で記憶可能な記憶装置に、前記ストロークデータが対応付けて記憶される現在の前記ページである記録対象ページと対応付けて、前記ストローク生成手段によって生成された前記ストロークデータを記録するデータ記録手段と、前記データ記録手段によって前記記録対象ページに対応付けて記録される前記ストロークデータに基づいて、前記ストロークデータ間の近接が生じるか否かを判定する近接判定手段と、前記近接判定手段によって前記ストロークデータ間の近接が生じると判定された場合、前記記録対象ページを新たな前記ページに更新するページ更新手段とを備える。
【0009】
これによれば、ユーザの手書き入力時に取得される位置情報に基づいて、1ライン分の軌跡を示すストロークデータが生成され、記録対象ページと対応付けて記録される。記録対象ページと対応付けて記録されるストロークデータに基づいて、ストロークデータ間の近接が生じると判定された場合、記録対象ページが更新される。したがって、ユーザの手書き入力した文字等が近接すると記録対象ページが自動的に切り替わるので、ユーザのページ送り操作を省略して、利便性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】手書き入力装置1の概略構成図である。
【図2】電子ペン10の電気的構成を示すブロック図である。
【図3】装置本体20の電気的構成を示すブロック図である。
【図4】装置本体20で実行されるメイン処理のフローチャートである。
【図5】改ページ処理のフローチャートである。
【図6】第一実施形態に係るフラグ設定処理のフローチャートである。
【図7】第一実施形態に係る筆跡データの保存態様を説明するための図である。
【図8】第一実施形態に係る筆跡データの保存態様を説明するための図である。
【図9】第二実施形態に係るフラグ設定処理のフローチャートである。
【図10】第二実施形態に係る筆跡データの保存態様を説明するための図である。
【図11】第二実施形態に係る筆跡データの保存態様を説明するための図である。
【図12】第三実施形態に係るフラグ設定処理のフローチャートである。
【図13】第三実施形態に係る筆跡データの保存態様を説明するための図である。
【図14】第三実施形態に係る筆跡データの保存態様を説明するための図である。
【図15】第三実施形態に係る筆跡データの保存態様を説明するための図である。
【図16】第四実施形態に係るフラグ設定処理のフローチャートである。
【図17】第五実施形態に係るフラグ設定処理のフローチャートである。
【図18】変形例に係る筆跡データの保存態様を説明するための図である。
【図19】従来の筆跡データの保存態様を説明するための図である。
【図20】従来の筆跡データの保存態様を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照して説明する。これらの図面は、本発明が採用しうる技術的特徴を説明するために用いられるものである。記載されている装置の構成、各種処理のフローチャート等は、それのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例である。
【0012】
[第一実施形態]
図1〜図8を参照して、本発明の第一実施形態について説明する。図1を参照して、手書き入力装置1の概要について説明する。手書き入力装置1は、ユーザが手書き入力に用いる電子ペン10と、電子ペン10を用いて入力された文字、記号、図形などの情報(以下、筆跡データという。)を取得する装置本体20とを有する。装置本体20は、ユーザが電子ペン10を用いて手書き入力する用紙を固定するクリップ部材30を有する。クリップ部材30を開閉する操作(以下、クリップ操作)によって、ユーザは用紙を装置本体20に対して自由に着脱できる。装置本体20は、少なくともクリップ部材30で固定された用紙に近接する電子ペン10と通信可能である。
【0013】
装置本体20は、ケーブル3によってコンピュータ2に接続されている。装置本体20で取得された電子ペン10の筆跡データは、コンピュータ2に送信される。コンピュータ2では、筆跡データをディスプレイに表示したり、筆跡データを記憶装置に保存したり、筆跡データに基づく文字認識を行ったりすることができる。
【0014】
図2を参照して、電子ペン10の電気的構造について説明する。電子ペン10は、制御基板11、感圧センサ13、超音波送信機14、赤外線送信機15および、これらに電力を供給する電池19を備えている。感圧センサ13は、電子ペン10の先端部(ペン先)に対する押圧状態を検出する。超音波送信機14は、人間の可聴限界である約20kHzよりも高い40kHz〜120kHzの音波または信号を送信可能である。赤外線送信機15は、波長が約0.72μmから1mmまでの可視光線より波長が長い電磁波を送信可能である。制御基板11には、感圧センサ13、超音波送信機14、赤外線送信機15などを制御するマイクロコンピュータ12が搭載されている。
【0015】
本実施形態では、電子ペン10のペン先にボールペンなどのリフィルが挿入されており、感圧センサ13はリフィル先端に対する押圧を検出する。電子ペン10が用紙に対して筆記しているときは、リフィル先端に対する押圧が発生するから、感圧センサ13はON状態となる。一方、電子ペン10が用紙に対して筆記していないときは、リフィル先端に対する押圧が発生しないから、感圧センサ13はOFF状態となる。感圧センサ13のON/OFF状態を示す検出信号が、制御基板11に出力される。制御基板11に出力される感圧センサ13の検出信号がON状態を示す場合、マイクロコンピュータ12は超音波送信機14および赤外線送信機15にそれぞれ超音波信号および赤外線信号を送信させる。
【0016】
図3を参照して、装置本体20の電気的構造について説明する。装置本体20は、マイクロコンピュータ21、超音波受信機22,23、赤外線受信機24、メモリ27、外部機器インタフェイス(I/F)28、および、これらに電力を供給する電源29を備えている。マイクロコンピュータ21は、図示しないCPU、ROM、RAM、フラッシュメモリなどを一体に備えている。後述する各種カウンタおよび改ページフラグは、マイクロコンピュータ21のRAMに記憶されている。二つの超音波受信機22,23は、装置本体20に離間して配置されて、それぞれ超音波送信機14から送信された超音波信号を受信する。赤外線受信機24は、装置本体20における超音波受信機22,23の略中間位置に配置されて、赤外線送信機15から送信された赤外線信号を受信する。外部機器I/F28には、先述のケーブル3が接続される。
【0017】
超音波受信機22,23で受信された超音波信号、および赤外線受信機24で受信された赤外線信号は、マイクロコンピュータ21に出力される。マイクロコンピュータ21は、赤外線受信機24が最初に受信した赤外線信号の到達時間と、各超音波受信機22,23における超音波信号の到達時間の到達時間差および音速を用いて、電子ペン10から各超音波受信機22,23までの距離を計算する。そして、電子ペン10の位置座標を、電子ペン10と二つの超音波受信機22,23の各位置を頂点とする三角形を想定して、三辺測量法の理論を用いて計算する。
【0018】
電子ペン10で連続した一の入力操作(つまり、感圧センサ13のON状態が連続する入力操作)が行われると、超音波受信機22,23で切れ目なく連続して超音波信号を受信される。このとき、マイクロコンピュータ21によって計算される位置座標の連続が、ユーザによって連続して入力された1ライン分の軌跡を示すストロークデータである。先述の筆跡データは、複数のストロークデータによって構成される。
【0019】
マイクロコンピュータ21によって生成されたストロークデータは、メモリ27に保存される。マイクロコンピュータ21は、ストロークデータの保存領域として設定される現在のページ(以下、記録対象ページ)を記憶している。マイクロコンピュータ21は、生成したストロークデータを記録対象ページと対応付けてメモリ27に保存することで、メモリ27でストロークデータがページ単位で管理される。また、マイクロコンピュータ21によって生成されたストロークデータは、ケーブル3を介してコンピュータ2に送信される。
【0020】
図4〜図8を参照して、手書き入力装置1のメイン処理について説明する。メイン処理(図4)は、装置本体20が電源ONされると、マイクロコンピュータ21によって実行される。
【0021】
図4に示すように、手書き入力装置1のメイン処理では、まず記録対象ページのページ番号を示すカウンタPが、「1」に初期化される(S1)。さらに、ストロークデータに生成順で割り振られる番号を示すカウンタSが、「1」に初期化される(S3)。次いで、電子ペン10が用紙上で手書き入力されているか否か(つまり、ペン検出ありか否か)が判定される(S5)。具体的には、赤外線受信機24によって赤外線信号が検出された場合に、ペン検出ありと判定される(S5:YES)。この場合、カウンタPに対応するページ(P)の保存領域(つまり、記録対象ページの保存領域)が、メモリ27に確保される(S7)。
【0022】
そして、赤外線受信機24によって検出された赤外線信号と、超音波受信機22,23によって検出された超音波信号とに基づいて、電子ペン10の現在位置を示す位置座標が、上記のように算出される(S9)。ステップS7で確保されたページ(P)の保存領域に、ステップS9で算出された電子ペン10の位置座標が、カウンタSに対応するストロークデータ(以下、ストローク(S)という。)として保存される(S11)。
【0023】
その後、後述の改ページ処理が実行されて(S13)、電子ペン10が用紙から離れているか否か(つまり、ペン離れありか否か)が判定される(S15)。具体的には、超音波受信機22,23による超音波の検出が継続している場合は、ペン離れなしと判定される(S15:NO)。この場合、電子ペン10を用いた一の入力操作が連続しているから、処理はステップS9に戻る。これにより、電子ペン10が用紙から離れるまで、電子ペン10の位置座標が一のストロークデータを構成する情報として連続的に保存される。
【0024】
一方、超音波受信機22,23による超音波の検出が中断した場合は、ペン離れありと判定される(S15:YES)。この場合、電子ペン10を用いた一の入力操作が終了したから、カウンタSが「1」加算される(S17)。そして、電子ペン10を用いた手書き入力の終了であるか否か(つまり、ペン入力終了であるか否か)が判定される(S19)。具体的には、装置本体20が電源OFFされたり、装置本体20のリセットボタン(図示外)が押下されたりした場合、ペン入力終了であると判定されて(S19:YES)、メイン処理が終了される。
【0025】
なお、ペン入力終了でないと判定された場合は(S19:NO)、処理はステップS5に戻る。これにより、電子ペン10の次回検出時には、電子ペン10の位置座標が、ステップS17でインクリメントされた最新のストローク(S)として、ページ(P)の保存領域に保存される(S7〜S11)。
【0026】
図5に示すように、改ページ処理(S13)では、まずカウンタNが「1」に初期化される(S51)。カウンタNは、ページ(P)の保存領域に保存されているストロークデータのうちで、判定対象とするストロークデータの番号を示す。そして、メモリ27に保存されるストロークデータ間の近接が生じるか否かに基づいて、改ページフラグのON/OFFを設定するフラグ設定処理が実行される(S53)。改ページフラグは、「ON」が記録対象ページを切り替えることを示し、「OFF」が記録対象ページを切り替えないことを示す。
【0027】
図6に示すように、第一実施形態のフラグ設定処理(S53)では、まず現在のストローク(S)とカウンタNのストロークデータ(以下、ストローク(N)という。)との交差が、各々が有する位置座標に基づいて確認される(S101)。その結果、ストローク(S)とストローク(N)とが同一の位置座標を有する場合、ストロークデータ間の交差ありと判定されて(S103:YES)、改ページフラグがONにセットされる(S105)。一方、ストローク(S)とストローク(N)とが同一の位置座標を有しない場合、ストロークデータ間の交差なしと判定されて(S103:NO)、改ページフラグがOFFにセットされる(S107)。ステップS105またはステップS107の実行後、処理が改ページ処理(図5)に戻る。
【0028】
図5に戻る。ステップS53の実行後、改ページフラグが「ON」であるか否かが判定される(S55)。改ページフラグが「ON」である場合(S55:YES)、ページ(P)の保存領域に保存されているストローク(S)が、メモリ27からマイクロコンピュータ21のRAMに読み出される(S57)。その後、ページ(P)の保存領域に保存されているストローク(S)が、メモリ27から消去される(S59)。つまり、現在取得中のストロークデータが、メモリ27からマイクロコンピュータ21に退避される。
【0029】
次いで、カウンタPが「1」加算され(S61)、カウンタSが「1」に初期化される(S63)。その後、ページ(P)の保存領域(つまり、次ページの保存領域)が、メモリ27に確保される(S65)。ステップS65で確保されたページ(P)の保存領域に、ステップS57、S59で退避されたストロークデータ(退避データ)が保存される(S67)。このとき、カウンタSは「1」であるから、退避データは最新のページ(P)に1番目のストロークデータとして保存される。ステップS67の実行後、処理がメイン処理(図4)に戻る。
【0030】
このように、現在のストローク(S)が記録対象ページに既に保存されている判定対象のストローク(N)と近接する場合、現在のストローク(S)は次ページの保存領域に1番目のストロークデータとして保存される。よって、同一ページに保存されるストロークデータ間に近接が生じるときは、ストロークデータの保存領域(記録対象ページ)が自動的に切り替わる。
【0031】
一方、改ページフラグが「OFF」である場合(S55:NO)、カウンタNが「1」加算され(S69)、カウンタNがカウンタS以上であるか否かが判定される(S71)、カウンタNがカウンタS未満である場合(S71:NO)、ページ(P)に未判定のストロークデータが存在するため、処理がステップS53に戻って上述のフラグ設定処理が実行される。そして、現在のストローク(S)が次の判定対象となるストローク(N)と近接するか否かに応じて、改ページフラグがセットされる。なお、カウンタNがカウンタS以上である場合(S71:YES)、ページ(P)に未判定のストロークデータが存在しないため、処理がメイン処理(図4)に戻る。
【0032】
図7および図8を参照して、第一実施形態における筆跡データの保存態様を具体的に説明する。例えば、図7に示すように、ユーザは電子ペン10を用いて、クリップ部材30で固定された1枚目の用紙に「123」を手書き入力したとする。この場合、ストロークデータ間の交差が発生しないから(S103:NO)、保存領域の改ページは行われない(S55:NO)。よって、「123」を構成する複数のストロークデータは、同一ページの保存領域(例えば、1ページ目の保存領域)に保存される(S5:YES〜S19:NO)。
【0033】
その後、ユーザがクリップ部材30で固定された1枚目の用紙を剥がして、2枚目の用紙に「OS」を手書き入力し、2枚目の「O」が1枚目の「1」と描画位置が重複する場合を想定する(図7参照)。このときに保存領域の改ページが行われないと、図8に例示するように、「OS」を描く複数のストロークデータも1ページ目の保存領域に保存され、「123」を描く複数のストロークデータと区別されずに混在するおそれがある。
【0034】
その点、本実施形態では、「O」を描くストロークデータが「1」のストロークデータと交差することで(S103:YES)、保存領域の改ページが行われる(S55:YES〜S67)。その結果、「O」を描くストロークデータは、2ページ目の保存領域に1番目のストロークデータとして保存される。また、「S」を描く次のストロークデータは、2ページ目の保存領域に2番目のストロークデータとして保存される。
【0035】
以上説明したように、第一実施形態に係る手書き入力装置1によれば、ユーザの手書き入力時に取得される電子ペン10の位置座標に基づいて、1ライン分の軌跡を示すストロークデータが生成され、記録対象ページと対応付けて記録される。記録対象ページと対応付けて記録されるストロークデータに基づいて、ストロークデータ間の近接が生じると判定された場合、記録対象ページが更新される。
【0036】
より具体的には、記録対象ページに対応付けて記録されるストロークデータが相互に同一の位置座標を有する場合に、ストロークデータの交差が発生すると判定されて、記録対象ページが更新される。つまり、ユーザの手書き入力した文字等が近接すると記録対象ページが自動的に切り替わるので、ユーザのページ送り操作を省略して利便性を向上でき、且つ、ストロークデータを適切にページ単位で管理することができる。さらに、ストロークデータの交差に基づいて、ストロークデータ間の近接が生じるか否かを、簡易且つ正確に判定することができる。
【0037】
[第二実施形態]
図9〜図11を参照して、本発明の第二実施形態について説明する。第二実施形態に係る手書き入力装置1は、第一実施形態と同様であるが、フラグ設定処理(S53)の詳細が異なる。以下では、第一実施形態と異なる点のみを説明する。
【0038】
図9に示すように、第二実施形態のフラグ設定処理(S53)では、まず現在のストローク(S)の所属領域が抽出される(S201)。ステップS201で取得される所属領域は、ユーザの手書き入力を検出可能な範囲(言い換えると、電子ペン10の軌跡を検出可能な範囲)をマトリクス状に区画した分割領域のうちで、ストローク(S)を含む分割領域である。言い換えると、ストローク(S)の所属領域は、ストローク(S)を含むような規定サイズの分割領域の組合せから成る。同様に、ストローク(N)を含む分割領域が、判定対象のストローク(N)の所属領域として抽出される(S203)。
【0039】
次いで、ストローク(S)の所属領域とストローク(N)の所属領域とが重複するか否かが判定される(S205)。すなわち、ステップS201、S203で抽出された各所属領域が同一の分割領域を含む場合、所属領域が重複すると判定されて(S205:YES)、改ページフラグがONにセットされる(S207)。一方、ステップS201、S203で抽出された各所属領域が同一の分割領域を含まない場合、所属領域が重複しないと判定されて(S205:NO)、改ページフラグがOFFにセットされる(S209)。ステップS207またはステップS209の実行後、処理が改ページ処理(図5)に戻る。
【0040】
第二実施形態における筆跡データの保存態様を、具体的に説明する。例えば、図10に示すように、ユーザは電子ペン10を用いて、クリップ部材30で固定された1枚目の用紙に「123」を手書き入力したとする。この場合、ストロークデータの所属領域の重複が発生しないから(S205:NO)、保存領域の改ページは行われない(S55:NO)。よって、「123」を構成する複数のストロークデータは、同一ページの保存領域(例えば、1ページ目の保存領域)に保存される(S5:YES〜S19:NO)。
【0041】
その後、ユーザがクリップ部材30で固定された1枚目の用紙を剥がして、「123」と描画位置が重複しないように、2枚目の用紙に「NIL」を手書き入力する場合を想定する(図10参照)。このときに保存領域の改ページが行われないと、図11に例示するように、「NIL」を描く複数のストロークデータも1ページ目の保存領域に保存され、「123」を描く複数のストロークデータと区別されずに混在するおそれがある。
【0042】
その点、本実施形態では、図11の太枠に示すように、「N」を描くストロークデータの所属領域が、「1」のストロークデータの所属領域と重複する(S205:YES)。これにより、保存領域の改ページが行われて(S55:YES〜S67)、「N」を描くストロークデータは、2ページ目の保存領域に1番目のストロークデータとして保存される。また、「I」、「L」を描くストロークデータは、それぞれ、2ページ目の保存領域に2番目、3番目のストロークデータとして保存される。
【0043】
以上説明したように、第二実施形態に係る手書き入力装置1によれば、第一実施形態と同様に、ユーザの手書き入力した文字等が近接すると記録対象ページが自動的に切り替わるので、ユーザのページ送り操作を省略して利便性を向上でき、且つストロークデータを適切にページ単位で管理することができる。より具体的には、記録対象ページに対応付けて記録されるストロークデータの所属領域が相互に同一の分割領域を有する場合に、ストロークデータの交差が発生すると判定されて、記録対象ページが更新される。よって、ストロークデータを含む領域の重複に基づいて、ストロークデータ間の近接が生じるか否かを、簡易且つ正確に判定することができる。
【0044】
[第三実施形態]
図12〜図15を参照して、本発明の第三実施形態について説明する。第三実施形態に係る手書き入力装置1は、第一実施形態と同様であるが、フラグ設定処理(S53)の詳細が異なる。以下では、第一実施形態と異なる点のみを説明する。
【0045】
図12に示すように、第三実施形態のフラグ設定処理(S53)では、まずステップS101、S103と同様に、ストローク(S)とストローク(N)との交差が確認および判定される(S301、S303)。ストロークデータ間の交差ありと判定された場合(S303:YES)、現在のストローク(S)と一つ前のストローク(S−1)との離間距離が、各々の位置座標に基づいて算出される(S305)。
【0046】
次いで、ステップS305で算出された離間距離が、規定距離(例えば、5cm)以上であるか否かが判定される(S307)。算出された離間距離が規定距離以上である場合(S307:YES)、改ページフラグがONにセットされる(S309)。一方、算出された離間距離が規定距離未満である場合(S307:NO)、またはストロークデータ間の交差なしと判定された場合(S303:NO)、改ページフラグがOFFにセットされる(S311)。ステップS309またはステップS311の実行後、処理が改ページ処理(図5)に戻る。
【0047】
第三実施形態における筆跡データの保存態様を、具体的に説明する。例えば、図13に示すように、ユーザは電子ペン10を用いて、クリップ部材30で固定された1枚目の用紙に「ページめくりがかんたんにわかると」を手書き入力したとする。この場合、例えば「め」の入力時にストロークデータの交差が発生するが(S303:YES)、交差するストロークデータ間の離間距離は「0」であるため(S307:NO)、保存領域の改ページは行われない(S55:NO)。よって、「ページめくりがかんたんにわかると」を構成する複数のストロークデータは、同一ページの保存領域(例えば、1ページ目の保存領域)に保存される(S5:YES〜S19:NO)。
【0048】
その後、ユーザがクリップ部材30で固定された1枚目の用紙を剥がして、1枚目の「ペ」と重複する描画位置で、2枚目の用紙に手書き入力を開始する場合を想定する(図13参照)。このときに保存領域の改ページが行われないと、図14に例示するように、2枚目の用紙に手書き入力したラインのストロークデータも1ページ目の保存領域に保存され、「ページめくりがかんたんにわかると」を描くストロークデータと区別されずに混在するおそれがある。
【0049】
その点、本実施形態では、2枚目の用紙に手書き入力したラインのストロークデータが「ペ」のストロークデータと交差すると(S303:YES)、現在のストロークデータと直前のストロークデータ(つまり、1枚目に描画された「と」のストロークデータ)との離間距離が規定距離以上であるため(S307:YES)、保存領域の改ページが行われる(S55:YES〜S67)。その結果、現在のストロークデータは、2ページ目の保存領域に1番目のストロークデータとして保存される。
【0050】
また、図15に示す例では、ユーザは電子ペン10を用いて、クリップ部材30で固定された1枚目の用紙に「ページめくりがかんたんにわかると」を手書き入力し、さらに「と」と重複する描画位置で取り消し線及び「ね」を手書き入力している。この場合、入力された取り消し線のストロークデータが「と」のストロークデータと交差するが(S303:YES)、交差するストロークデータ間の離間距離は「0」であるため(S307:NO)、保存領域の改ページは行われない(S55:NO)。よって、取り消し線及び「ね」を構成する複数のストロークデータも、「ページめくりがかんたんにわかると」のストロークデータと同一の保存領域(例えば、1ページ目の保存領域)に保存される(S5:YES〜S19:NO)。
【0051】
以上説明したように、第三実施形態に係る手書き入力装置1によれば、第一実施形態と同様に、ユーザの手書き入力した文字等が近接すると記録対象ページが自動的に切り替わるので、ユーザのページ送り操作を省略して利便性を向上でき、且つストロークデータを適切にページ単位で管理することができる。より具体的には、記録対象ページに対応付けて記録されるストロークデータが交差し、且つ現在のストロークデータと直前のストロークデータとの離間距離が大きい場合に、記録対象ページが更新される。よって、ストロークデータの交差および離間距離に基づいて、ストロークデータ間の近接に起因する改ページを行うか否かを、簡易且つ正確に判定することができる。
【0052】
なお、第三実施形態の変形例として、図12に示すフラグ設定処理(S53)において、ステップS301、S303の処理を省略して、ステップS305〜S311の処理のみが実行されてもよい。この場合、ストローク(S)、(S−1)の離間距離が規定距離以上であれば、ストロークデータ間の交差に関係なく、記録対象ページを自動更新することができる。
【0053】
[第四実施形態]
図16を参照して、本発明の第四実施形態について説明する。第四実施形態に係る手書き入力装置1は、第一実施形態と同様であるが、マイクロコンピュータ21はクリップ部材30に電気的に接続されて、クリップ部材30の開閉操作を検出可能である。マイクロコンピュータ21では、クリップ部材30の開閉操作が行われた日時が記憶される。また、第四実施形態に係るフラグ設定処理(S53)の詳細は、第一実施形態とは異なる。以下では、第一実施形態と異なる点のみを説明する。
【0054】
図16に示すように、第四実施形態のフラグ設定処理(S53)では、まずステップS101、S103と同様に、ストローク(S)とストローク(N)との交差が確認および判定される(S401、S403)。ストロークデータ間の交差ありと判定された場合(S403:YES)、ストローク(S)およびストローク(N)の入力間隔で行われたクリップ部材30の開閉操作が特定される(S405)。具体的には、ストローク(S)の取得日時よりも前、且つ、ストローク(N)の取得日時よりも後に行われたクリップ部材30の開閉操作が、マイクロコンピュータ21に記憶されている開閉操作の日時に基づいて特定されればよい。
【0055】
その結果、各ストロークデータの入力間隔でクリップ部材30の開閉操作ありと判定された場合は(S407:YES)、ユーザが一のストロークデータを入力してから、そのストロークデータに交差する他のストロークデータを入力するまでの間に、クリップ部材30に固定されている用紙を取り換えたと推定できる。この場合、改ページフラグがONにセットされて(S409)、記録対象ページが切り換えられる。これにより、一のストロークデータと他のストロークデータは、それぞれ異なるページに対応付けて記憶される。
【0056】
一方、各ストロークデータの入力間隔でクリップ部材30の開閉操作なしと判定された場合は(S407:NO)、ユーザが一のストロークデータを入力してから、そのストロークデータに交差する他のストロークデータを入力するまでの間に、クリップ部材30に固定されている用紙を取り換えなかったと推定できる。この場合、改ページフラグがOFFにセットされるため(S411)、一のストロークデータと他のストロークデータは同一ページに対応付けて記憶される。なお、ストロークデータ間の交差なしと判定された場合も(S403:NO)、改ページフラグがOFFにセットされる(S411)。ステップS409またはステップS411の実行後、処理が改ページ処理(図5)に戻る。
【0057】
以上説明したように、第四実施形態に係る手書き入力装置1によれば、第一実施形態と同様に、ユーザの手書き入力した文字等が近接すると記録対象ページが自動的に切り替わるので、ユーザのページ送り操作を省略して利便性を向上でき、且つストロークデータを適切にページ単位で管理することができる。より具体的には、記録対象ページに対応付けて記録されるストロークデータが交差し、且つ交差するストロークデータの入力間隔でクリップ部材30の開閉操作があった場合に、記録対象ページが更新される。よって、ストロークデータの交差およびクリップ部材30の開閉操作に基づいて、ストロークデータ間の近接に起因する改ページを行うか否かを、簡易且つ正確に判定することができる。
【0058】
なお、第四実施形態の変形例として、図16に示すフラグ設定処理(S53)において、ステップS401、S403の処理を省略して、ステップS405〜S411の処理のみが実行されてもよい。この場合、ストローク(S)、(N)間でクリップ部材30の開閉操作が行われると、ストロークデータ間の交差に関係なく、記録対象ページを自動更新することができる。
【0059】
[第五実施形態]
図17を参照して、本発明の第五実施形態について説明する。第五実施形態に係る手書き入力装置1は、第一実施形態と同様であるが、フラグ設定処理(S53)の詳細が異なる。以下では、第一実施形態と異なる点のみを説明する。
【0060】
図17に示すように、第五実施形態のフラグ設定処理(S53)では、まずステップS101、S103と同様に、ストローク(S)とストローク(N)との交差が確認および判定される(S501、S503)。ストロークデータ間の交差ありと判定された場合(S503:YES)、ストローク(S)およびストローク(S−1)の入力時間差が算出される(S505)。具体的には、ストローク(S−1)の入力終了時間からストローク(S)の入力開始時間までの経過時間が、ストローク(S)およびストローク(S−1)の入力時間差として算出されればよい。
【0061】
次いで、ステップS505で算出された入力時間差が、規定時間(例えば、10秒)以上であるか否かが判定される(S507)。算出された入力時間差が規定時間以上である場合(S507:YES)、ユーザが一つ前のストローク(S−1)を入力してから、現在のストローク(S)を入力するまでの間に、クリップ部材30の固定されている用紙を取り換えたと推定できる。この場合、改ページフラグがONにセットされて(S509)、記録対象ページが切り換えられる。これにより、現在のストローク(S)と他のストロークデータは、それぞれ異なるページに対応付けて記憶される。
【0062】
一方、算出された入力時間差が規定時間未満である場合(S507:NO)、ユーザが一つ前のストローク(S−1)を入力してから、現在のストローク(S)を入力するまでの間に、クリップ部材30に固定されている用紙を取り換えなかったと推定できる。この場合、改ページフラグがOFFにセットされるため(S511)、現在のストローク(S)と他のストロークデータはそれぞれ異なるページに対応付けて記憶される。なお、ストローク間の交差なしと判定された場合も(S503:NO)、改ページフラグがOFFにセットされる(S511)。ステップS509またはステップS511の実行後、処理が改ページ処理(図5)に戻る。
【0063】
以上説明したように、第五実施形態に係る手書き入力装置1によれば、第一実施形態と同様に、ユーザの手書き入力した文字等が近接すると記録対象ページが自動的に切り替わるので、ユーザのページ送り操作を省略して利便性を向上でき、且つストロークデータを適切にページ単位で管理することができる。より具体的には、記録対象ページに対応付けて記録されるストロークデータが交差し、且つ現在のストロークと一つ前のストロークの入力時間差が大きい場合に、記録対象ページが更新される。よって、ストロークデータの交差および現在のストロークと一つ前のストロークの入力時間差に基づいて、ストロークデータ間の近接に起因する改ページを行うか否かを、簡易且つ正確に判定することができる。
【0064】
なお、第五実施形態の変形例として、図17に示すフラグ設定処理(S53)において、ステップS501、S503の処理を省略して、ステップS505〜S511の処理のみが実行されてもよい。この場合、ストローク(S)、(S−1)の入力時間差が規定時間以上であれば、ストロークデータ間の交差に関係なく、記録対象ページを自動更新することができる。
【0065】
[その他]
上記実施形態において、ステップS9を実行するマイクロコンピュータ21が、本発明の「位置情報取得手段」に相当する。ステップS11を実行するマイクロコンピュータ21が、本発明の「ストローク生成手段」および「データ記録手段」に相当する。ステップS53を実行するマイクロコンピュータ21が、本発明の「近接判定手段」に相当する。ステップS13を実行するマイクロコンピュータ21が、本発明の「ページ更新手段」に相当する。ステップS201、S203を実行するマイクロコンピュータ21が、本発明の「領域特定手段」に相当する。ステップS307を実行するマイクロコンピュータ21が、本発明の「距離判定手段」に相当する。クリップ部材30が、本発明の「媒体保持部」に相当する。ステップS407を実行するマイクロコンピュータ21が、本発明の「操作判定手段」に相当する。ステップS507を実行するマイクロコンピュータ21が、本発明の「時間判定手段」に相当する。
【0066】
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。例えば、第二実施形態では、各ストロークの所属領域として、ストロークデータを含むような規定サイズの区画体(分割領域)の組合せから成る領域を特定している(S201、S203)。これに代えて、図17に例示するように、ストロークデータから所定距離だけ離れた位置を結んだ輪郭を有する領域を、各ストロークの所属領域として特定してもよい。この場合、ステップS205では、各ストロークの所属領域が同一の位置座標を含む場合に、所属領域の重複ありと判定されればよい。これによれば、ストロークデータの形状に即した形状を有する所属領域を設定して、各ストロークデータが近接するか否かをより正確に特定することができる。
【0067】
また、第一〜第五実施形態は、適宜組み合わせて、または置き換えて実行してもよい。例えば、第三、第四実施形態では、ストロークデータが交差するか否かによって、ストロークデータが近接するか否かを特定している。これに代えて、第二実施形態と同様に、ストロークデータの所属領域が重複するか否かによって、ストロークデータが近接するか否かを特定してもよい。また、第三、第四実施形態を組み合わせて、ストロークデータの離間距離が規定距離以上であり、且つストロークデータの入力時間差が規定時間以上である場合に、改ページフラグをONにセットしてもよい。
【符号の説明】
【0068】
1 手書き入力装置
10 電子ペン
20 装置本体
21 マイクロコンピュータ
22,23 超音波受信機
24 赤外線受信機
27 メモリ
30 クリップ部材
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーザが手書きで入力した情報をデジタルデータとして管理する手書き入力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、赤外線と超音波を送信する送信機を備えた電子ペンと、電子ペンから送信される赤外線信号および超音波信号を受信する受信装置を有する手書き入力システムが知られている。手書き入力システムでは、電子ペンから送信される超音波信号および赤外線信号が受信装置で受信されて、受信された信号に基づいて電子ペンの位置座標が計測される。計測された位置座標に基づいて筆跡データが連続的に検出されて、電子ペンで書かれた文字や図形等を手書き筆跡データとして認識される。
【0003】
このような手書き入力システムとして、筆跡データとジェスチャーデータとを区別して記録・認識するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。これによれば、筆跡データによって電子ペンが描いた筆跡が検出され、ジャスチャーデータによって電子ペンを用いたジェスチャーの入力軌跡が検出される。ユーザが電子ペンを用いてジェスチャーを入力することで、そのジェスチャーに対応したコマンドを入力できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−128891号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の手書き入力システムでは、図19に例示するように、ユーザが複数ページ分を連続して手書き入力することがある。このときに生成される筆跡データがページ単位で管理されない場合、図20に例示するように、複数ページ分の筆跡データが1ページに混在することになる。そこで従来では、ユーザが筆跡データを管理するページを切り替える際に、例えば予め設けられているページ送りボタンを押したり、ページ送りを指示するジェスチャーを行ったりする。これにより、手書き入力システムにページ送り指示が入力されて、筆跡データがページ単位で管理されることが知られている。
【0006】
しかしながら、筆跡データを管理するページを切り替える際に、ユーザはその都度ページ送り指示を入力するために、例えばページ送りボタンを押したり、ページ送りを指示するジェスチャーを行ったりする必要がある。そうすると、手書き入力システムを使用するユーザの操作負担が大きくなり、不便であった。
【0007】
本発明の目的は、ユーザのページ送り操作を省略して、利便性を向上することができる手書き入力装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様に係る手書き入力装置は、ユーザによって手書き入力される際に、現在の手書き入力位置を示す位置情報を取得する位置情報取得手段と、前記位置情報取得手段によって取得された前記位置情報に基づいて、ユーザによって連続して入力された1ライン分の軌跡を示すストロークデータを生成するストローク生成手段と、前記ストロークデータをページ単位で記憶可能な記憶装置に、前記ストロークデータが対応付けて記憶される現在の前記ページである記録対象ページと対応付けて、前記ストローク生成手段によって生成された前記ストロークデータを記録するデータ記録手段と、前記データ記録手段によって前記記録対象ページに対応付けて記録される前記ストロークデータに基づいて、前記ストロークデータ間の近接が生じるか否かを判定する近接判定手段と、前記近接判定手段によって前記ストロークデータ間の近接が生じると判定された場合、前記記録対象ページを新たな前記ページに更新するページ更新手段とを備える。
【0009】
これによれば、ユーザの手書き入力時に取得される位置情報に基づいて、1ライン分の軌跡を示すストロークデータが生成され、記録対象ページと対応付けて記録される。記録対象ページと対応付けて記録されるストロークデータに基づいて、ストロークデータ間の近接が生じると判定された場合、記録対象ページが更新される。したがって、ユーザの手書き入力した文字等が近接すると記録対象ページが自動的に切り替わるので、ユーザのページ送り操作を省略して、利便性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】手書き入力装置1の概略構成図である。
【図2】電子ペン10の電気的構成を示すブロック図である。
【図3】装置本体20の電気的構成を示すブロック図である。
【図4】装置本体20で実行されるメイン処理のフローチャートである。
【図5】改ページ処理のフローチャートである。
【図6】第一実施形態に係るフラグ設定処理のフローチャートである。
【図7】第一実施形態に係る筆跡データの保存態様を説明するための図である。
【図8】第一実施形態に係る筆跡データの保存態様を説明するための図である。
【図9】第二実施形態に係るフラグ設定処理のフローチャートである。
【図10】第二実施形態に係る筆跡データの保存態様を説明するための図である。
【図11】第二実施形態に係る筆跡データの保存態様を説明するための図である。
【図12】第三実施形態に係るフラグ設定処理のフローチャートである。
【図13】第三実施形態に係る筆跡データの保存態様を説明するための図である。
【図14】第三実施形態に係る筆跡データの保存態様を説明するための図である。
【図15】第三実施形態に係る筆跡データの保存態様を説明するための図である。
【図16】第四実施形態に係るフラグ設定処理のフローチャートである。
【図17】第五実施形態に係るフラグ設定処理のフローチャートである。
【図18】変形例に係る筆跡データの保存態様を説明するための図である。
【図19】従来の筆跡データの保存態様を説明するための図である。
【図20】従来の筆跡データの保存態様を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照して説明する。これらの図面は、本発明が採用しうる技術的特徴を説明するために用いられるものである。記載されている装置の構成、各種処理のフローチャート等は、それのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例である。
【0012】
[第一実施形態]
図1〜図8を参照して、本発明の第一実施形態について説明する。図1を参照して、手書き入力装置1の概要について説明する。手書き入力装置1は、ユーザが手書き入力に用いる電子ペン10と、電子ペン10を用いて入力された文字、記号、図形などの情報(以下、筆跡データという。)を取得する装置本体20とを有する。装置本体20は、ユーザが電子ペン10を用いて手書き入力する用紙を固定するクリップ部材30を有する。クリップ部材30を開閉する操作(以下、クリップ操作)によって、ユーザは用紙を装置本体20に対して自由に着脱できる。装置本体20は、少なくともクリップ部材30で固定された用紙に近接する電子ペン10と通信可能である。
【0013】
装置本体20は、ケーブル3によってコンピュータ2に接続されている。装置本体20で取得された電子ペン10の筆跡データは、コンピュータ2に送信される。コンピュータ2では、筆跡データをディスプレイに表示したり、筆跡データを記憶装置に保存したり、筆跡データに基づく文字認識を行ったりすることができる。
【0014】
図2を参照して、電子ペン10の電気的構造について説明する。電子ペン10は、制御基板11、感圧センサ13、超音波送信機14、赤外線送信機15および、これらに電力を供給する電池19を備えている。感圧センサ13は、電子ペン10の先端部(ペン先)に対する押圧状態を検出する。超音波送信機14は、人間の可聴限界である約20kHzよりも高い40kHz〜120kHzの音波または信号を送信可能である。赤外線送信機15は、波長が約0.72μmから1mmまでの可視光線より波長が長い電磁波を送信可能である。制御基板11には、感圧センサ13、超音波送信機14、赤外線送信機15などを制御するマイクロコンピュータ12が搭載されている。
【0015】
本実施形態では、電子ペン10のペン先にボールペンなどのリフィルが挿入されており、感圧センサ13はリフィル先端に対する押圧を検出する。電子ペン10が用紙に対して筆記しているときは、リフィル先端に対する押圧が発生するから、感圧センサ13はON状態となる。一方、電子ペン10が用紙に対して筆記していないときは、リフィル先端に対する押圧が発生しないから、感圧センサ13はOFF状態となる。感圧センサ13のON/OFF状態を示す検出信号が、制御基板11に出力される。制御基板11に出力される感圧センサ13の検出信号がON状態を示す場合、マイクロコンピュータ12は超音波送信機14および赤外線送信機15にそれぞれ超音波信号および赤外線信号を送信させる。
【0016】
図3を参照して、装置本体20の電気的構造について説明する。装置本体20は、マイクロコンピュータ21、超音波受信機22,23、赤外線受信機24、メモリ27、外部機器インタフェイス(I/F)28、および、これらに電力を供給する電源29を備えている。マイクロコンピュータ21は、図示しないCPU、ROM、RAM、フラッシュメモリなどを一体に備えている。後述する各種カウンタおよび改ページフラグは、マイクロコンピュータ21のRAMに記憶されている。二つの超音波受信機22,23は、装置本体20に離間して配置されて、それぞれ超音波送信機14から送信された超音波信号を受信する。赤外線受信機24は、装置本体20における超音波受信機22,23の略中間位置に配置されて、赤外線送信機15から送信された赤外線信号を受信する。外部機器I/F28には、先述のケーブル3が接続される。
【0017】
超音波受信機22,23で受信された超音波信号、および赤外線受信機24で受信された赤外線信号は、マイクロコンピュータ21に出力される。マイクロコンピュータ21は、赤外線受信機24が最初に受信した赤外線信号の到達時間と、各超音波受信機22,23における超音波信号の到達時間の到達時間差および音速を用いて、電子ペン10から各超音波受信機22,23までの距離を計算する。そして、電子ペン10の位置座標を、電子ペン10と二つの超音波受信機22,23の各位置を頂点とする三角形を想定して、三辺測量法の理論を用いて計算する。
【0018】
電子ペン10で連続した一の入力操作(つまり、感圧センサ13のON状態が連続する入力操作)が行われると、超音波受信機22,23で切れ目なく連続して超音波信号を受信される。このとき、マイクロコンピュータ21によって計算される位置座標の連続が、ユーザによって連続して入力された1ライン分の軌跡を示すストロークデータである。先述の筆跡データは、複数のストロークデータによって構成される。
【0019】
マイクロコンピュータ21によって生成されたストロークデータは、メモリ27に保存される。マイクロコンピュータ21は、ストロークデータの保存領域として設定される現在のページ(以下、記録対象ページ)を記憶している。マイクロコンピュータ21は、生成したストロークデータを記録対象ページと対応付けてメモリ27に保存することで、メモリ27でストロークデータがページ単位で管理される。また、マイクロコンピュータ21によって生成されたストロークデータは、ケーブル3を介してコンピュータ2に送信される。
【0020】
図4〜図8を参照して、手書き入力装置1のメイン処理について説明する。メイン処理(図4)は、装置本体20が電源ONされると、マイクロコンピュータ21によって実行される。
【0021】
図4に示すように、手書き入力装置1のメイン処理では、まず記録対象ページのページ番号を示すカウンタPが、「1」に初期化される(S1)。さらに、ストロークデータに生成順で割り振られる番号を示すカウンタSが、「1」に初期化される(S3)。次いで、電子ペン10が用紙上で手書き入力されているか否か(つまり、ペン検出ありか否か)が判定される(S5)。具体的には、赤外線受信機24によって赤外線信号が検出された場合に、ペン検出ありと判定される(S5:YES)。この場合、カウンタPに対応するページ(P)の保存領域(つまり、記録対象ページの保存領域)が、メモリ27に確保される(S7)。
【0022】
そして、赤外線受信機24によって検出された赤外線信号と、超音波受信機22,23によって検出された超音波信号とに基づいて、電子ペン10の現在位置を示す位置座標が、上記のように算出される(S9)。ステップS7で確保されたページ(P)の保存領域に、ステップS9で算出された電子ペン10の位置座標が、カウンタSに対応するストロークデータ(以下、ストローク(S)という。)として保存される(S11)。
【0023】
その後、後述の改ページ処理が実行されて(S13)、電子ペン10が用紙から離れているか否か(つまり、ペン離れありか否か)が判定される(S15)。具体的には、超音波受信機22,23による超音波の検出が継続している場合は、ペン離れなしと判定される(S15:NO)。この場合、電子ペン10を用いた一の入力操作が連続しているから、処理はステップS9に戻る。これにより、電子ペン10が用紙から離れるまで、電子ペン10の位置座標が一のストロークデータを構成する情報として連続的に保存される。
【0024】
一方、超音波受信機22,23による超音波の検出が中断した場合は、ペン離れありと判定される(S15:YES)。この場合、電子ペン10を用いた一の入力操作が終了したから、カウンタSが「1」加算される(S17)。そして、電子ペン10を用いた手書き入力の終了であるか否か(つまり、ペン入力終了であるか否か)が判定される(S19)。具体的には、装置本体20が電源OFFされたり、装置本体20のリセットボタン(図示外)が押下されたりした場合、ペン入力終了であると判定されて(S19:YES)、メイン処理が終了される。
【0025】
なお、ペン入力終了でないと判定された場合は(S19:NO)、処理はステップS5に戻る。これにより、電子ペン10の次回検出時には、電子ペン10の位置座標が、ステップS17でインクリメントされた最新のストローク(S)として、ページ(P)の保存領域に保存される(S7〜S11)。
【0026】
図5に示すように、改ページ処理(S13)では、まずカウンタNが「1」に初期化される(S51)。カウンタNは、ページ(P)の保存領域に保存されているストロークデータのうちで、判定対象とするストロークデータの番号を示す。そして、メモリ27に保存されるストロークデータ間の近接が生じるか否かに基づいて、改ページフラグのON/OFFを設定するフラグ設定処理が実行される(S53)。改ページフラグは、「ON」が記録対象ページを切り替えることを示し、「OFF」が記録対象ページを切り替えないことを示す。
【0027】
図6に示すように、第一実施形態のフラグ設定処理(S53)では、まず現在のストローク(S)とカウンタNのストロークデータ(以下、ストローク(N)という。)との交差が、各々が有する位置座標に基づいて確認される(S101)。その結果、ストローク(S)とストローク(N)とが同一の位置座標を有する場合、ストロークデータ間の交差ありと判定されて(S103:YES)、改ページフラグがONにセットされる(S105)。一方、ストローク(S)とストローク(N)とが同一の位置座標を有しない場合、ストロークデータ間の交差なしと判定されて(S103:NO)、改ページフラグがOFFにセットされる(S107)。ステップS105またはステップS107の実行後、処理が改ページ処理(図5)に戻る。
【0028】
図5に戻る。ステップS53の実行後、改ページフラグが「ON」であるか否かが判定される(S55)。改ページフラグが「ON」である場合(S55:YES)、ページ(P)の保存領域に保存されているストローク(S)が、メモリ27からマイクロコンピュータ21のRAMに読み出される(S57)。その後、ページ(P)の保存領域に保存されているストローク(S)が、メモリ27から消去される(S59)。つまり、現在取得中のストロークデータが、メモリ27からマイクロコンピュータ21に退避される。
【0029】
次いで、カウンタPが「1」加算され(S61)、カウンタSが「1」に初期化される(S63)。その後、ページ(P)の保存領域(つまり、次ページの保存領域)が、メモリ27に確保される(S65)。ステップS65で確保されたページ(P)の保存領域に、ステップS57、S59で退避されたストロークデータ(退避データ)が保存される(S67)。このとき、カウンタSは「1」であるから、退避データは最新のページ(P)に1番目のストロークデータとして保存される。ステップS67の実行後、処理がメイン処理(図4)に戻る。
【0030】
このように、現在のストローク(S)が記録対象ページに既に保存されている判定対象のストローク(N)と近接する場合、現在のストローク(S)は次ページの保存領域に1番目のストロークデータとして保存される。よって、同一ページに保存されるストロークデータ間に近接が生じるときは、ストロークデータの保存領域(記録対象ページ)が自動的に切り替わる。
【0031】
一方、改ページフラグが「OFF」である場合(S55:NO)、カウンタNが「1」加算され(S69)、カウンタNがカウンタS以上であるか否かが判定される(S71)、カウンタNがカウンタS未満である場合(S71:NO)、ページ(P)に未判定のストロークデータが存在するため、処理がステップS53に戻って上述のフラグ設定処理が実行される。そして、現在のストローク(S)が次の判定対象となるストローク(N)と近接するか否かに応じて、改ページフラグがセットされる。なお、カウンタNがカウンタS以上である場合(S71:YES)、ページ(P)に未判定のストロークデータが存在しないため、処理がメイン処理(図4)に戻る。
【0032】
図7および図8を参照して、第一実施形態における筆跡データの保存態様を具体的に説明する。例えば、図7に示すように、ユーザは電子ペン10を用いて、クリップ部材30で固定された1枚目の用紙に「123」を手書き入力したとする。この場合、ストロークデータ間の交差が発生しないから(S103:NO)、保存領域の改ページは行われない(S55:NO)。よって、「123」を構成する複数のストロークデータは、同一ページの保存領域(例えば、1ページ目の保存領域)に保存される(S5:YES〜S19:NO)。
【0033】
その後、ユーザがクリップ部材30で固定された1枚目の用紙を剥がして、2枚目の用紙に「OS」を手書き入力し、2枚目の「O」が1枚目の「1」と描画位置が重複する場合を想定する(図7参照)。このときに保存領域の改ページが行われないと、図8に例示するように、「OS」を描く複数のストロークデータも1ページ目の保存領域に保存され、「123」を描く複数のストロークデータと区別されずに混在するおそれがある。
【0034】
その点、本実施形態では、「O」を描くストロークデータが「1」のストロークデータと交差することで(S103:YES)、保存領域の改ページが行われる(S55:YES〜S67)。その結果、「O」を描くストロークデータは、2ページ目の保存領域に1番目のストロークデータとして保存される。また、「S」を描く次のストロークデータは、2ページ目の保存領域に2番目のストロークデータとして保存される。
【0035】
以上説明したように、第一実施形態に係る手書き入力装置1によれば、ユーザの手書き入力時に取得される電子ペン10の位置座標に基づいて、1ライン分の軌跡を示すストロークデータが生成され、記録対象ページと対応付けて記録される。記録対象ページと対応付けて記録されるストロークデータに基づいて、ストロークデータ間の近接が生じると判定された場合、記録対象ページが更新される。
【0036】
より具体的には、記録対象ページに対応付けて記録されるストロークデータが相互に同一の位置座標を有する場合に、ストロークデータの交差が発生すると判定されて、記録対象ページが更新される。つまり、ユーザの手書き入力した文字等が近接すると記録対象ページが自動的に切り替わるので、ユーザのページ送り操作を省略して利便性を向上でき、且つ、ストロークデータを適切にページ単位で管理することができる。さらに、ストロークデータの交差に基づいて、ストロークデータ間の近接が生じるか否かを、簡易且つ正確に判定することができる。
【0037】
[第二実施形態]
図9〜図11を参照して、本発明の第二実施形態について説明する。第二実施形態に係る手書き入力装置1は、第一実施形態と同様であるが、フラグ設定処理(S53)の詳細が異なる。以下では、第一実施形態と異なる点のみを説明する。
【0038】
図9に示すように、第二実施形態のフラグ設定処理(S53)では、まず現在のストローク(S)の所属領域が抽出される(S201)。ステップS201で取得される所属領域は、ユーザの手書き入力を検出可能な範囲(言い換えると、電子ペン10の軌跡を検出可能な範囲)をマトリクス状に区画した分割領域のうちで、ストローク(S)を含む分割領域である。言い換えると、ストローク(S)の所属領域は、ストローク(S)を含むような規定サイズの分割領域の組合せから成る。同様に、ストローク(N)を含む分割領域が、判定対象のストローク(N)の所属領域として抽出される(S203)。
【0039】
次いで、ストローク(S)の所属領域とストローク(N)の所属領域とが重複するか否かが判定される(S205)。すなわち、ステップS201、S203で抽出された各所属領域が同一の分割領域を含む場合、所属領域が重複すると判定されて(S205:YES)、改ページフラグがONにセットされる(S207)。一方、ステップS201、S203で抽出された各所属領域が同一の分割領域を含まない場合、所属領域が重複しないと判定されて(S205:NO)、改ページフラグがOFFにセットされる(S209)。ステップS207またはステップS209の実行後、処理が改ページ処理(図5)に戻る。
【0040】
第二実施形態における筆跡データの保存態様を、具体的に説明する。例えば、図10に示すように、ユーザは電子ペン10を用いて、クリップ部材30で固定された1枚目の用紙に「123」を手書き入力したとする。この場合、ストロークデータの所属領域の重複が発生しないから(S205:NO)、保存領域の改ページは行われない(S55:NO)。よって、「123」を構成する複数のストロークデータは、同一ページの保存領域(例えば、1ページ目の保存領域)に保存される(S5:YES〜S19:NO)。
【0041】
その後、ユーザがクリップ部材30で固定された1枚目の用紙を剥がして、「123」と描画位置が重複しないように、2枚目の用紙に「NIL」を手書き入力する場合を想定する(図10参照)。このときに保存領域の改ページが行われないと、図11に例示するように、「NIL」を描く複数のストロークデータも1ページ目の保存領域に保存され、「123」を描く複数のストロークデータと区別されずに混在するおそれがある。
【0042】
その点、本実施形態では、図11の太枠に示すように、「N」を描くストロークデータの所属領域が、「1」のストロークデータの所属領域と重複する(S205:YES)。これにより、保存領域の改ページが行われて(S55:YES〜S67)、「N」を描くストロークデータは、2ページ目の保存領域に1番目のストロークデータとして保存される。また、「I」、「L」を描くストロークデータは、それぞれ、2ページ目の保存領域に2番目、3番目のストロークデータとして保存される。
【0043】
以上説明したように、第二実施形態に係る手書き入力装置1によれば、第一実施形態と同様に、ユーザの手書き入力した文字等が近接すると記録対象ページが自動的に切り替わるので、ユーザのページ送り操作を省略して利便性を向上でき、且つストロークデータを適切にページ単位で管理することができる。より具体的には、記録対象ページに対応付けて記録されるストロークデータの所属領域が相互に同一の分割領域を有する場合に、ストロークデータの交差が発生すると判定されて、記録対象ページが更新される。よって、ストロークデータを含む領域の重複に基づいて、ストロークデータ間の近接が生じるか否かを、簡易且つ正確に判定することができる。
【0044】
[第三実施形態]
図12〜図15を参照して、本発明の第三実施形態について説明する。第三実施形態に係る手書き入力装置1は、第一実施形態と同様であるが、フラグ設定処理(S53)の詳細が異なる。以下では、第一実施形態と異なる点のみを説明する。
【0045】
図12に示すように、第三実施形態のフラグ設定処理(S53)では、まずステップS101、S103と同様に、ストローク(S)とストローク(N)との交差が確認および判定される(S301、S303)。ストロークデータ間の交差ありと判定された場合(S303:YES)、現在のストローク(S)と一つ前のストローク(S−1)との離間距離が、各々の位置座標に基づいて算出される(S305)。
【0046】
次いで、ステップS305で算出された離間距離が、規定距離(例えば、5cm)以上であるか否かが判定される(S307)。算出された離間距離が規定距離以上である場合(S307:YES)、改ページフラグがONにセットされる(S309)。一方、算出された離間距離が規定距離未満である場合(S307:NO)、またはストロークデータ間の交差なしと判定された場合(S303:NO)、改ページフラグがOFFにセットされる(S311)。ステップS309またはステップS311の実行後、処理が改ページ処理(図5)に戻る。
【0047】
第三実施形態における筆跡データの保存態様を、具体的に説明する。例えば、図13に示すように、ユーザは電子ペン10を用いて、クリップ部材30で固定された1枚目の用紙に「ページめくりがかんたんにわかると」を手書き入力したとする。この場合、例えば「め」の入力時にストロークデータの交差が発生するが(S303:YES)、交差するストロークデータ間の離間距離は「0」であるため(S307:NO)、保存領域の改ページは行われない(S55:NO)。よって、「ページめくりがかんたんにわかると」を構成する複数のストロークデータは、同一ページの保存領域(例えば、1ページ目の保存領域)に保存される(S5:YES〜S19:NO)。
【0048】
その後、ユーザがクリップ部材30で固定された1枚目の用紙を剥がして、1枚目の「ペ」と重複する描画位置で、2枚目の用紙に手書き入力を開始する場合を想定する(図13参照)。このときに保存領域の改ページが行われないと、図14に例示するように、2枚目の用紙に手書き入力したラインのストロークデータも1ページ目の保存領域に保存され、「ページめくりがかんたんにわかると」を描くストロークデータと区別されずに混在するおそれがある。
【0049】
その点、本実施形態では、2枚目の用紙に手書き入力したラインのストロークデータが「ペ」のストロークデータと交差すると(S303:YES)、現在のストロークデータと直前のストロークデータ(つまり、1枚目に描画された「と」のストロークデータ)との離間距離が規定距離以上であるため(S307:YES)、保存領域の改ページが行われる(S55:YES〜S67)。その結果、現在のストロークデータは、2ページ目の保存領域に1番目のストロークデータとして保存される。
【0050】
また、図15に示す例では、ユーザは電子ペン10を用いて、クリップ部材30で固定された1枚目の用紙に「ページめくりがかんたんにわかると」を手書き入力し、さらに「と」と重複する描画位置で取り消し線及び「ね」を手書き入力している。この場合、入力された取り消し線のストロークデータが「と」のストロークデータと交差するが(S303:YES)、交差するストロークデータ間の離間距離は「0」であるため(S307:NO)、保存領域の改ページは行われない(S55:NO)。よって、取り消し線及び「ね」を構成する複数のストロークデータも、「ページめくりがかんたんにわかると」のストロークデータと同一の保存領域(例えば、1ページ目の保存領域)に保存される(S5:YES〜S19:NO)。
【0051】
以上説明したように、第三実施形態に係る手書き入力装置1によれば、第一実施形態と同様に、ユーザの手書き入力した文字等が近接すると記録対象ページが自動的に切り替わるので、ユーザのページ送り操作を省略して利便性を向上でき、且つストロークデータを適切にページ単位で管理することができる。より具体的には、記録対象ページに対応付けて記録されるストロークデータが交差し、且つ現在のストロークデータと直前のストロークデータとの離間距離が大きい場合に、記録対象ページが更新される。よって、ストロークデータの交差および離間距離に基づいて、ストロークデータ間の近接に起因する改ページを行うか否かを、簡易且つ正確に判定することができる。
【0052】
なお、第三実施形態の変形例として、図12に示すフラグ設定処理(S53)において、ステップS301、S303の処理を省略して、ステップS305〜S311の処理のみが実行されてもよい。この場合、ストローク(S)、(S−1)の離間距離が規定距離以上であれば、ストロークデータ間の交差に関係なく、記録対象ページを自動更新することができる。
【0053】
[第四実施形態]
図16を参照して、本発明の第四実施形態について説明する。第四実施形態に係る手書き入力装置1は、第一実施形態と同様であるが、マイクロコンピュータ21はクリップ部材30に電気的に接続されて、クリップ部材30の開閉操作を検出可能である。マイクロコンピュータ21では、クリップ部材30の開閉操作が行われた日時が記憶される。また、第四実施形態に係るフラグ設定処理(S53)の詳細は、第一実施形態とは異なる。以下では、第一実施形態と異なる点のみを説明する。
【0054】
図16に示すように、第四実施形態のフラグ設定処理(S53)では、まずステップS101、S103と同様に、ストローク(S)とストローク(N)との交差が確認および判定される(S401、S403)。ストロークデータ間の交差ありと判定された場合(S403:YES)、ストローク(S)およびストローク(N)の入力間隔で行われたクリップ部材30の開閉操作が特定される(S405)。具体的には、ストローク(S)の取得日時よりも前、且つ、ストローク(N)の取得日時よりも後に行われたクリップ部材30の開閉操作が、マイクロコンピュータ21に記憶されている開閉操作の日時に基づいて特定されればよい。
【0055】
その結果、各ストロークデータの入力間隔でクリップ部材30の開閉操作ありと判定された場合は(S407:YES)、ユーザが一のストロークデータを入力してから、そのストロークデータに交差する他のストロークデータを入力するまでの間に、クリップ部材30に固定されている用紙を取り換えたと推定できる。この場合、改ページフラグがONにセットされて(S409)、記録対象ページが切り換えられる。これにより、一のストロークデータと他のストロークデータは、それぞれ異なるページに対応付けて記憶される。
【0056】
一方、各ストロークデータの入力間隔でクリップ部材30の開閉操作なしと判定された場合は(S407:NO)、ユーザが一のストロークデータを入力してから、そのストロークデータに交差する他のストロークデータを入力するまでの間に、クリップ部材30に固定されている用紙を取り換えなかったと推定できる。この場合、改ページフラグがOFFにセットされるため(S411)、一のストロークデータと他のストロークデータは同一ページに対応付けて記憶される。なお、ストロークデータ間の交差なしと判定された場合も(S403:NO)、改ページフラグがOFFにセットされる(S411)。ステップS409またはステップS411の実行後、処理が改ページ処理(図5)に戻る。
【0057】
以上説明したように、第四実施形態に係る手書き入力装置1によれば、第一実施形態と同様に、ユーザの手書き入力した文字等が近接すると記録対象ページが自動的に切り替わるので、ユーザのページ送り操作を省略して利便性を向上でき、且つストロークデータを適切にページ単位で管理することができる。より具体的には、記録対象ページに対応付けて記録されるストロークデータが交差し、且つ交差するストロークデータの入力間隔でクリップ部材30の開閉操作があった場合に、記録対象ページが更新される。よって、ストロークデータの交差およびクリップ部材30の開閉操作に基づいて、ストロークデータ間の近接に起因する改ページを行うか否かを、簡易且つ正確に判定することができる。
【0058】
なお、第四実施形態の変形例として、図16に示すフラグ設定処理(S53)において、ステップS401、S403の処理を省略して、ステップS405〜S411の処理のみが実行されてもよい。この場合、ストローク(S)、(N)間でクリップ部材30の開閉操作が行われると、ストロークデータ間の交差に関係なく、記録対象ページを自動更新することができる。
【0059】
[第五実施形態]
図17を参照して、本発明の第五実施形態について説明する。第五実施形態に係る手書き入力装置1は、第一実施形態と同様であるが、フラグ設定処理(S53)の詳細が異なる。以下では、第一実施形態と異なる点のみを説明する。
【0060】
図17に示すように、第五実施形態のフラグ設定処理(S53)では、まずステップS101、S103と同様に、ストローク(S)とストローク(N)との交差が確認および判定される(S501、S503)。ストロークデータ間の交差ありと判定された場合(S503:YES)、ストローク(S)およびストローク(S−1)の入力時間差が算出される(S505)。具体的には、ストローク(S−1)の入力終了時間からストローク(S)の入力開始時間までの経過時間が、ストローク(S)およびストローク(S−1)の入力時間差として算出されればよい。
【0061】
次いで、ステップS505で算出された入力時間差が、規定時間(例えば、10秒)以上であるか否かが判定される(S507)。算出された入力時間差が規定時間以上である場合(S507:YES)、ユーザが一つ前のストローク(S−1)を入力してから、現在のストローク(S)を入力するまでの間に、クリップ部材30の固定されている用紙を取り換えたと推定できる。この場合、改ページフラグがONにセットされて(S509)、記録対象ページが切り換えられる。これにより、現在のストローク(S)と他のストロークデータは、それぞれ異なるページに対応付けて記憶される。
【0062】
一方、算出された入力時間差が規定時間未満である場合(S507:NO)、ユーザが一つ前のストローク(S−1)を入力してから、現在のストローク(S)を入力するまでの間に、クリップ部材30に固定されている用紙を取り換えなかったと推定できる。この場合、改ページフラグがOFFにセットされるため(S511)、現在のストローク(S)と他のストロークデータはそれぞれ異なるページに対応付けて記憶される。なお、ストローク間の交差なしと判定された場合も(S503:NO)、改ページフラグがOFFにセットされる(S511)。ステップS509またはステップS511の実行後、処理が改ページ処理(図5)に戻る。
【0063】
以上説明したように、第五実施形態に係る手書き入力装置1によれば、第一実施形態と同様に、ユーザの手書き入力した文字等が近接すると記録対象ページが自動的に切り替わるので、ユーザのページ送り操作を省略して利便性を向上でき、且つストロークデータを適切にページ単位で管理することができる。より具体的には、記録対象ページに対応付けて記録されるストロークデータが交差し、且つ現在のストロークと一つ前のストロークの入力時間差が大きい場合に、記録対象ページが更新される。よって、ストロークデータの交差および現在のストロークと一つ前のストロークの入力時間差に基づいて、ストロークデータ間の近接に起因する改ページを行うか否かを、簡易且つ正確に判定することができる。
【0064】
なお、第五実施形態の変形例として、図17に示すフラグ設定処理(S53)において、ステップS501、S503の処理を省略して、ステップS505〜S511の処理のみが実行されてもよい。この場合、ストローク(S)、(S−1)の入力時間差が規定時間以上であれば、ストロークデータ間の交差に関係なく、記録対象ページを自動更新することができる。
【0065】
[その他]
上記実施形態において、ステップS9を実行するマイクロコンピュータ21が、本発明の「位置情報取得手段」に相当する。ステップS11を実行するマイクロコンピュータ21が、本発明の「ストローク生成手段」および「データ記録手段」に相当する。ステップS53を実行するマイクロコンピュータ21が、本発明の「近接判定手段」に相当する。ステップS13を実行するマイクロコンピュータ21が、本発明の「ページ更新手段」に相当する。ステップS201、S203を実行するマイクロコンピュータ21が、本発明の「領域特定手段」に相当する。ステップS307を実行するマイクロコンピュータ21が、本発明の「距離判定手段」に相当する。クリップ部材30が、本発明の「媒体保持部」に相当する。ステップS407を実行するマイクロコンピュータ21が、本発明の「操作判定手段」に相当する。ステップS507を実行するマイクロコンピュータ21が、本発明の「時間判定手段」に相当する。
【0066】
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。例えば、第二実施形態では、各ストロークの所属領域として、ストロークデータを含むような規定サイズの区画体(分割領域)の組合せから成る領域を特定している(S201、S203)。これに代えて、図17に例示するように、ストロークデータから所定距離だけ離れた位置を結んだ輪郭を有する領域を、各ストロークの所属領域として特定してもよい。この場合、ステップS205では、各ストロークの所属領域が同一の位置座標を含む場合に、所属領域の重複ありと判定されればよい。これによれば、ストロークデータの形状に即した形状を有する所属領域を設定して、各ストロークデータが近接するか否かをより正確に特定することができる。
【0067】
また、第一〜第五実施形態は、適宜組み合わせて、または置き換えて実行してもよい。例えば、第三、第四実施形態では、ストロークデータが交差するか否かによって、ストロークデータが近接するか否かを特定している。これに代えて、第二実施形態と同様に、ストロークデータの所属領域が重複するか否かによって、ストロークデータが近接するか否かを特定してもよい。また、第三、第四実施形態を組み合わせて、ストロークデータの離間距離が規定距離以上であり、且つストロークデータの入力時間差が規定時間以上である場合に、改ページフラグをONにセットしてもよい。
【符号の説明】
【0068】
1 手書き入力装置
10 電子ペン
20 装置本体
21 マイクロコンピュータ
22,23 超音波受信機
24 赤外線受信機
27 メモリ
30 クリップ部材
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザによって手書き入力される際に、現在の手書き入力位置を示す位置情報を取得する位置情報取得手段と、
前記位置情報取得手段によって取得された前記位置情報に基づいて、ユーザによって連続して入力された1ライン分の軌跡を示すストロークデータを生成するストローク生成手段と、
前記ストロークデータをページ単位で記憶可能な記憶装置に、前記ストロークデータが対応付けて記憶される現在の前記ページである記録対象ページと対応付けて、前記ストローク生成手段によって生成された前記ストロークデータを記録するデータ記録手段と、
前記データ記録手段によって前記記録対象ページに対応付けて記録される前記ストロークデータに基づいて、前記ストロークデータ間の近接が生じるか否かを判定する近接判定手段と、
前記近接判定手段によって前記ストロークデータ間の近接が生じると判定された場合、前記記録対象ページを新たな前記ページに更新するページ更新手段と
を備えたことを特徴とする手書き入力装置。
【請求項2】
前記近接判定手段は、前記記録対象ページに対応付けて記録される前記ストロークデータが相互に同一の前記位置情報を有する場合に、前記ストロークデータ間の近接が生じると判定することを特徴とする請求項1に記載の手書き入力装置。
【請求項3】
前記記録対象ページに対応付けて記録される前記ストロークデータの各々について、前記ストロークデータを含む領域を特定する領域特定手段を備え、
前記近接判定手段は、前記領域特定手段によって特定された前記領域が相互に同一の前記領域を含む場合に、前記ストロークデータ間の近接が生じると判定することを特徴とする請求項1に記載の手書き入力装置。
【請求項4】
前記領域特定手段は、前記ストロークデータから所定距離だけ離れた位置を結んだ輪郭を有する前記領域を特定することを特徴とする請求項3に記載の手書き入力装置。
【請求項5】
前記領域特定手段は、前記ストロークデータを含むような規定サイズの区画体の組合せから成る前記領域を特定することを特徴とする請求項3に記載の手書き入力装置。
【請求項6】
前記ストローク生成手段によって生成された最新の前記ストロークデータと、前記最新のストロークデータよりも1つ前に生成された直前の前記ストロークデータとの離間距離が、規定距離以上であるか否かを判定する距離判定手段とを備え、
前記ページ更新手段は、前記近接判定手段によって前記ストロークデータ間の近接が生じると判定され、且つ、前記距離判定手段によって前記離間距離が前記規定距離以上であると判定された場合に、前記記録対象ページを新たな前記ページに更新することを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の手書き入力装置。
【請求項7】
ユーザによって手書き入力される領域に配置される媒体を保持する媒体保持部と、
前記記録対象ページに対応付けて記録される前記ストロークデータの生成間隔に、前記媒体保持部に保持されている前記媒体を切り替えるユーザの操作が検出されたか否かを判定する操作判定手段とを備え、
前記ページ更新手段は、前記近接判定手段によって前記ストロークデータ間の近接が生じると判定され、且つ、前記操作判定手段によって前記媒体を切り替える操作が検出されたと判定された場合に、前記記録対象ページを新たな前記ページに更新することを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の手書き入力装置。
【請求項8】
前記ストローク生成手段によって生成された最新の前記ストロークデータと、前記最新のストロークデータよりも1つ前に生成された直前の前記ストロークデータとの生成時間差が、規定時間以上であるか否かを判定する時間判定手段とを備え、
前記ページ更新手段は、前記近接判定手段によって前記ストロークデータ間の近接が生じると判定され、且つ、前記時間判定手段によって前記生成時間差が前記規定時間以上であると判定された場合に、前記記録対象ページを新たな前記ページに更新することを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載の手書き入力装置。
【請求項1】
ユーザによって手書き入力される際に、現在の手書き入力位置を示す位置情報を取得する位置情報取得手段と、
前記位置情報取得手段によって取得された前記位置情報に基づいて、ユーザによって連続して入力された1ライン分の軌跡を示すストロークデータを生成するストローク生成手段と、
前記ストロークデータをページ単位で記憶可能な記憶装置に、前記ストロークデータが対応付けて記憶される現在の前記ページである記録対象ページと対応付けて、前記ストローク生成手段によって生成された前記ストロークデータを記録するデータ記録手段と、
前記データ記録手段によって前記記録対象ページに対応付けて記録される前記ストロークデータに基づいて、前記ストロークデータ間の近接が生じるか否かを判定する近接判定手段と、
前記近接判定手段によって前記ストロークデータ間の近接が生じると判定された場合、前記記録対象ページを新たな前記ページに更新するページ更新手段と
を備えたことを特徴とする手書き入力装置。
【請求項2】
前記近接判定手段は、前記記録対象ページに対応付けて記録される前記ストロークデータが相互に同一の前記位置情報を有する場合に、前記ストロークデータ間の近接が生じると判定することを特徴とする請求項1に記載の手書き入力装置。
【請求項3】
前記記録対象ページに対応付けて記録される前記ストロークデータの各々について、前記ストロークデータを含む領域を特定する領域特定手段を備え、
前記近接判定手段は、前記領域特定手段によって特定された前記領域が相互に同一の前記領域を含む場合に、前記ストロークデータ間の近接が生じると判定することを特徴とする請求項1に記載の手書き入力装置。
【請求項4】
前記領域特定手段は、前記ストロークデータから所定距離だけ離れた位置を結んだ輪郭を有する前記領域を特定することを特徴とする請求項3に記載の手書き入力装置。
【請求項5】
前記領域特定手段は、前記ストロークデータを含むような規定サイズの区画体の組合せから成る前記領域を特定することを特徴とする請求項3に記載の手書き入力装置。
【請求項6】
前記ストローク生成手段によって生成された最新の前記ストロークデータと、前記最新のストロークデータよりも1つ前に生成された直前の前記ストロークデータとの離間距離が、規定距離以上であるか否かを判定する距離判定手段とを備え、
前記ページ更新手段は、前記近接判定手段によって前記ストロークデータ間の近接が生じると判定され、且つ、前記距離判定手段によって前記離間距離が前記規定距離以上であると判定された場合に、前記記録対象ページを新たな前記ページに更新することを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の手書き入力装置。
【請求項7】
ユーザによって手書き入力される領域に配置される媒体を保持する媒体保持部と、
前記記録対象ページに対応付けて記録される前記ストロークデータの生成間隔に、前記媒体保持部に保持されている前記媒体を切り替えるユーザの操作が検出されたか否かを判定する操作判定手段とを備え、
前記ページ更新手段は、前記近接判定手段によって前記ストロークデータ間の近接が生じると判定され、且つ、前記操作判定手段によって前記媒体を切り替える操作が検出されたと判定された場合に、前記記録対象ページを新たな前記ページに更新することを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の手書き入力装置。
【請求項8】
前記ストローク生成手段によって生成された最新の前記ストロークデータと、前記最新のストロークデータよりも1つ前に生成された直前の前記ストロークデータとの生成時間差が、規定時間以上であるか否かを判定する時間判定手段とを備え、
前記ページ更新手段は、前記近接判定手段によって前記ストロークデータ間の近接が生じると判定され、且つ、前記時間判定手段によって前記生成時間差が前記規定時間以上であると判定された場合に、前記記録対象ページを新たな前記ページに更新することを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載の手書き入力装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【公開番号】特開2013−50826(P2013−50826A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−187987(P2011−187987)
【出願日】平成23年8月30日(2011.8.30)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年8月30日(2011.8.30)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]