説明

手術台

【課題】患者への接近が向上する手術台が実現される。
【解決手段】手術台は、支柱(11)で支持された患者支持部を備えており、支柱(11)は、少なくとも2つの基部アーム(12、14)を有する足部(10)を備えており、これらの基部アームは、互いに隣接して配置されかつ変更可能な空間と共に患者支持部(15)の長手方向に延在する。平行な位置および広がった位置の両方の位置で手術台の位置の安定性を確保するために、各基部アーム(12、14)は、足部枠部(16)へと延在しかつ足部枠部(16)に設けられた開口部を通って延在する支持部材(38、40)を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前置き部分に従う手術台に関し、手術台は、支柱で支持された患者支持部を備えており、支柱は、少なくとも2つの基部アームを有する足部を備えており、これらの基部アームは、互いに隣接して配置されかつ患者支持部の長手方向に延在する。この点に関連して、基部アームには、足部が設けられており、この足部は、固定可能または調節可能であるか、あるいは、キャスタの形態でも形成可能である。
【背景技術】
【0002】
基部アームが存在するため患者への接近が制限されることは、このような手術台を用いた手術で問題になることがある。例えば婦人科の手術などいくつかの手術では、患者支持部の脚部用板を折りたたむことはさらに、基部アームによって妨げられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、患者への接近が向上するように上述した名称どおりの種類の手術台をさらに発展させることである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上述の目的は、請求項1の特徴によって、特に、基部アームの間の間隔が変更可能であるので達成される。
【0005】
本発明によれば、基部アームは従って、不動に取り付けられていず、基部アームの間の間隔は、むしろ変更可能であり、それによって、基部アームの間の自由空間が、それらの端部間で、すなわち、足部が取り付けられている位置で増大可能である。その結果、基部アームが邪魔にならないので患者支持部の部品が床のすぐ上まで下方へと折りたたみ可能となり、患者への接近が大幅に向上する。
【0006】
本発明の有利な実施例は、発明の詳細な説明、図面、および従属請求項に記載される。
【0007】
第1の有利な実施例によれば、基部アームは、基部アームの2つの隣接する外側端部の間の間隔が増大するように調節可能である。これは例えば、2つの基部アームが枢支されるので実現可能となる。相対的な間隔は、所望の自由空間が得られるように基部アームを枢動させることによって簡単な方法で変更可能となる。
【0008】
さらなる有利な実施例によれば、各基部アームは、垂直軸線を中心として枢動可能であり、基部アームを枢動させる駆動装置が枢動軸線の付近に配置される。この実施例では、かさばらない配置が提供される。
【0009】
さらなる有利な実施例によれば、基部アームは、実質的に平行な位置から基部アームが、特に約10°〜約40°となる鋭角をなす位置へと調節可能である。この点に関連して、基部アームは、互いに平行な位置から広がった位置へと移動可能な2つの横材として形成可能である。
【0010】
基部アームが、単一のスピンドルによって枢動可能で、それによって例えば、2つの基部アームの同時の枢動がモータの助けを借りてスピンドルを駆動することによって可能となるならば、それは有利になり得る。この目的で、スピンドルは、互いに反対の枢動が可能となるように左ねじと右ねじを有することができる。
【0011】
各基部アームが、基部アームの間に配置される基部へと移動可能な支持部材を有するならば、それは良好な安定性にとって有利になり得る。その結果、手術台の安定な支持部が、支持部材の平行な位置と広がった位置両方で達成される。
【0012】
本発明は、有利な実施例および添付の図面を参照して単なる例として以下に説明される。図面は以下の通りである。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】2つの基部アームが平行な位置にある、手術台の足部の斜視図である。
【図2】基部アームが広がった位置にある、図1の足部を示す図である。
【図3】図1および図2の足部の一部の背面斜視図である。
【図4】支持部品が下方へと折りたたまれた手術台の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図4は、手術台の斜視図を示しており、より効果的な図とするために、さまざまな部材や外装部品は図示していない。手術台は、患者支持部15を備えており、患者支持部15は、図示の実施例では、横たわる面を形成するように一列に並んで配置可能である合計3つの支持部品15a、15b、15cを備える。患者支持部15は、本質的に既知の方法で支柱11の上に取り付けられており、支柱11は次いで足部10によって支持されており、足部10は、図1〜図3に関連してより詳細に説明される。
【0015】
図1〜図3に示される足部10は、図示の実施例では、合計2つの基部アーム12、14を備えており、基部アーム12、14は、互いに平行に配置され、足部枠部16に取り付けられている。折りたたみ可能なキャスタ18が、2つの基部アーム12、14の4つの端部のそれぞれに配置されており、図面では、1つのキャスタ18だけが示されている。キャスタ18は、本質的に既知の方法でキャスタ車輪として形成され、手術台の移動のために下方へと折りたたみ可能である。キャスタを上げた後で足部は4つの支持部20の上に位置するが、そのうち2つの支持部20だけが図3では認められる。
【0016】
図1では、2つの基部アーム12、14は、中空の横材として形成されており、互いに平行に延在したそれらの平行な位置で示されている。2つの基部アームは、この平行な位置から図2に示される広がった位置へと枢動可能である。この目的で、2つの基部アーム12、14は、それぞれボルト22、24(図3参照)を介して足部枠部16に枢着され、それによって、各基部アーム12、14は、垂直軸線Aを中心として平行な位置から広がった位置へと枢動可能となる。この点に関連して、ボルト22、24は、基部アームのための垂直枢動軸線Aを形成する。その結果、基部アームの間の間隔、特に2つの基部アーム12、14の外側端部の間の間隔が変更可能となる。2つの基部アームが平行な位置から広がった位置へと移動すると、2つの基部アーム12、14の間の利用可能な空間17(図4参照)が増大する。
【0017】
2つの基部アームの移動用に最も多様な駆動手段が考えられる。例えば、空気圧式、液圧式、または電気式の駆動装置が、この目的のために使用可能である。図示の実施例では、2つの基部アーム12、14を枢動させる単一の駆動装置が設けられており、この駆動装置は、2つのボルト22、24によって形成される枢動軸線Aの付近に配置される。図3に示されるように、駆動装置は、スピンドル28を駆動するモータ26を備えており、スピンドル28には、一端に右ねじが設けられ、他端に左ねじが設けられている。さらに、軸受30が、足部枠部16のスリット部に配置された垂直アセンブリ板32を介して保持され、スピンドル28に設けられている。その結果、スピンドル28のさらなる安定化が達成され、スピンドル28は、その両端でそれぞれスピンドルナット34、36と協同する。両スピンドルナット34、36は、それぞれ基部アーム12、14で垂直枢動軸線を中心として枢支される。このような仕方で、スピンドル28は、モータ26を駆動することによって回転可能となり、それによって、2つのスピンドルナット34、36が、互いに近づいたり離れたりし、次いで、2つの基部アーム12、14がそれらの広がった位置(図2)または平行な位置(図1)へと移動するという効果を有する。
【0018】
平行な位置および広がった位置の両方の位置で手術台の位置の安定性を確保するために、各基部アーム12、14は、足部枠部16へと延在しかつ足部枠部に設けられた開口部を通って延在する支持部材38、40を備える。
【0019】
図示の実施例では、中央支持部品15bは、支柱11の上に配置されており、支持部品15cとほぼ丁度同じ大きさであり、頭部用部品を形成する支持部品15aは、2つの支持部品15b、15cのほぼ半分の大きさである。支持部品15aは、位置決めシリンダ19aを介して下方へと折りたたみ可能である。同様に、支持部品15cは、位置決めシリンダ19cを介して図4に示される垂直位置へと下方へ折りたたみ込み可能である。
【0020】
図4に示されるように、2つの基部アーム12、14は広がった位置で、2つの基部アーム12、14の間の空間17によって支持部品15cが2つの基部アームの間の空間17に折りたたみ込まれることができるほど、それらの両端が大きく離れる。
【0021】
従って、中央支持部品15bとほぼ同じ長手方向の大きさを有する比較的長い足部用支持部品15cが設けられているとはいえ、足部用支持部品15cは、外科医の妨げとならないように垂直方向へと完全に折りたたみ込むことが可能である。
【0022】
図4にさらに示すように、中央支持部品15bは、折りたたみ可能な支持部品15cに面するその端面に、中央切り欠き部21を有しており、中央切り欠き部21は、外科医に、特に婦人科の手術のために、さらなる自由空間を与える。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
支柱(11)で支持された患者支持部を備えており、支柱(11)が、少なくとも2つの基部アーム(12、14)を有する足部(10)を備えており、これらの基部アームが、互いに隣接して配置されかつ患者支持部(15)の長手方向に延在する、手術台であって、
基部アーム(12、14)の間の間隔が変更可能であることを特徴とする手術台。
【請求項2】
基部アーム(12、14)は、基部アーム(12、14)の2つの隣接する外側端部の間の間隔が増大するように調節可能であることを特徴とする請求項1記載の手術台。
【請求項3】
基部アーム(12、14)は、枢支されることを特徴とする請求項1または2記載の手術台。
【請求項4】
各基部アーム(12、14)は、垂直軸線(A)を中心として枢動可能であり、基部アーム(12、14)を枢動させる駆動装置(26、28、34、36)が枢動軸線の付近に配置されることを特徴とする請求項1〜3の少なくとも1つに記載の手術台。
【請求項5】
基部アーム(12、14)は、実質的に平行な位置から基部アームが、特に約10°〜約40°となる鋭角をなす位置へと調節可能であることを特徴とする請求項1〜4の少なくとも1つに記載の手術台。
【請求項6】
基部アーム(12、14)は、単一のスピンドル(28)によって枢動可能であることを特徴とする請求項1〜5の少なくとも1つに記載の手術台。
【請求項7】
患者支持部(15)は、2つの基部アーム(12、14)の間の空間へと下方へ折りたたみ込み可能である支持部品(15c)を備えることを特徴とする請求項1〜6の少なくとも1つに記載の手術台。
【請求項8】
基部アーム(12、14)は、互いに平行な位置から広がった位置へと移動可能な2つの横材であることを特徴とする請求項1〜7の少なくとも1つに記載の手術台。
【請求項9】
基部アーム(12、14)は、基部(16)に枢着されることを特徴とする請求項1〜8の少なくとも1つに記載の手術台。
【請求項10】
各基部アーム(12、14)は、基部アームの間に配置される基部(16)へと移動可能な支持部材(38、40)を備えることを特徴とする請求項1〜9の少なくとも1つに記載の手術台。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−71127(P2012−71127A)
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−204103(P2011−204103)
【出願日】平成23年9月20日(2011.9.20)
【出願人】(505172031)ベルヒトルト、ホールディング、ゲゼルシャフト、ミット、ベシュレンクテル、ハフツング (6)
【氏名又は名称原語表記】BERCHTOLD HOLDING GMBH
【Fターム(参考)】