手術器具を往復運動させるためのチャック
【解決手段】装置が、往復運動するのこぎりのような往復運動する手術器具(10)のチャック(102)内に手術道具(200,300,400,420)を保持するものと関連して、記述される。シャフト(104)と固定部材(146)とを有する往復運動する手術器具に手術道具を固定するための固定チャックが開示される。シャフトは、軸(L)を画定し、軸に沿って延伸する円筒状の穿孔(110)を有する。穿孔は、道具の実質的に丸い柄を受容するように形成される。一対の横断するスロット(112)は、道具の実質的に平坦な柄を受容するために、軸を通過する平面に沿ってシャフトの中へ延伸する。横断するスロットは、円筒状の穿孔で交差する。固定部材は、シャフトによって担持され、穿孔に対して半径方向の内方向及び外方向の両方に向けて動作可能であり、手術道具をチャック内に固定する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、骨その他の硬質組織の切断や修正に使用される手術器具の往復運動に関する。とりわけ、本発明は、当該器具と共に使用されるチャックやコレット(collet)に関し、特に、様々なブレードその他の道具を当該器具に固定するチャックやコレットに関する。
【背景技術】
【0002】
医師や他の医療専門家は、しばしば、骨や組織の切除等の目的のために、動力駆動の手術器具を使用する。往復運動するのこぎりタイプの切断器具は、骨や軟骨等の強い組織を貫通して切断する外科手術に使用される。製造等の目的に依存して、のこぎりのブレード、骨用のバードリル(burs)、やすり(rasps)、のみ(chisels)等の道具は、しばしば、平坦な柄や丸い柄(shank)のプロフィールのような、道具のプロフィールを変化させて設計される。平坦な柄や丸い柄等のプロフィールを有するブレード等の道具を容易に受容可能なチャックを備えた往復運動する手術器具を有することは改善であろう。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本発明は、切断ブレードのような手術道具を往復運動するのこぎりのような往復運動する手術器具内に固定するための改善された方法及び器具を提供する。平坦な柄や丸い柄のプロフィールを備えた切除ブレードその他の手術道具が記述される。
【0004】
ある実施形態によれば、往復運動する手術器具内に、固定孔を備えた柄を有する手術道具を固定するチャックが開示される。チャックは、シャフトと固定部材とを有する。シャフトは、軸を画定し、道具の柄を受容する受容部を有する。固定部材は、シャフトによって担持され、部材が実質的に受容部から引き出されて手術道具の挿入と除去とを許容する第1の位置と、部材が固定孔を通じて実質的に受容部内に配置されて手術道具を受容部内に固定する第2の位置との間を選択的に動作可能である。
【0005】
他の態様では、シャフトと固定部材とを有する往復運動する手術器具に手術道具を固定する固定チャックが開示される。シャフトは、軸を画定し、軸に沿って延伸する円筒状の穿孔を有する。穿孔は、道具の実質的に丸い柄を受容するように形成される。一対の横断するスロットは、道具の実質的に平坦な柄を受容するために軸を通過する平面に沿ってシャフトの中へ延伸する。横断するスロットは、円筒状の穿孔で交差する。固定部材は、シャフトによって担持されて、穿孔に対して半径方向で内向きと外向きの両方に動作可能であり、チャック内に手術道具を固定する。
【0006】
いくつかの実施形態では、往復運動する手術器具は、モータと伝達機構と手術道具のチャックと手術道具とを有する。モータは、回転可能なスピンドル軸を有し、伝達機構は、スピンドル軸に取り付けられてスピンドル軸の回転動作を往復運動動作に変換する。手術道具のチャックは、伝達機構に結合され、受容シャフトと係止部材とカムスリーブとを有する。受容シャフトは、長手軸を画定し、道具受容部と半径方向に延伸する近位開口部とを有する。係止部材は、受容シャフトに摺動して結合され、そこから延伸する突起部を有する。カムスリーブは、シャフト上に回転して保持されて、内側のカム面を有する。手術道具は、遠位端部と近位端部とを有し、近位端部は、道具受容部内へ受容されるように構成される。手術道具は、取り付け受容部内に配置されるとき、受容シャフトの半径方向に延伸する近位開口部に対応するように配置された孔を有する。係止部材は、第1の位置と第2の位置との間を選択的に動作可能である。第1の位置では、突起部は、受容シャフトの近位開口部から引き出されて、手術道具の挿入と除去とを許容する。第2の位置では、突起部は、受容シャフトの近位開口部及び手術道具の孔内に実質的に受容されて、手術道具をチャック内に固定する。カム面は、突起部が第2の位置へ急き立てられるように構成される。
【0007】
後述される詳細な記載を当業者がより良く理解できるように、前述ではいくつかの実施形態の特徴を概説した。特許請求の範囲の主題を更に形成する付加的な特徴を以下に記載する。ここで紹介する実施形態と同じ目的を実行するため、及び/又は、同じ有利な点を達成するために、他の工程及び構造を設計又は修正する基礎として、本開示は当業者がすぐに利用できることを当業者は評価すべきである。当業者はまた、そのような同等の構成が本開示の精神及び範囲から離れないことを認識すべきである。
【0008】
本開示の特徴は、詳細な説明と添付図面とから更に充分に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1A】本発明に従って構成された典型的な往復運動する手術器具の一部を切り取った断面図である。
【図1B】図1Aの典型的な往復運動する手術器具の、他の一部を切り取った断面図である。
【図2】図1A及び図1Bの手術器具と共に使用される典型的なチャックの切り取った拡大断面図である。
【図3】図2に示されたチャックの拡大図である。
【図4】図2の典型的なチャックの他の切り取った拡大断面図である。
【図5】図2のチャックの一部の端部の図である。
【図6A】図2のチャックと共に使用する典型的なブレードの上面図である。
【図6B】図2のチャックと共に使用する他の典型的なブレードの上面図である。
【図7A】図2のチャックに取り付けられた図6Aのブレードの切り取った断面図である。
【図7B】図2のチャックに取り付けられた図6Aのブレードの他の切り取った断面図である。
【図8】図2のチャックに取り付けられた丸い柄を有する典型的な切断ブレードを示す。
【図9A】図2のチャックに取り付けられた丸い柄を有する典型的なやすり道具を示す。
【図9B】角度を有する柄を有する典型的なやすり道具を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
次に、本発明の原理の理解を促進する目的で、図面に示された実施形態や実施例に参照がされて、特殊な用語がそれらを記述するために使用されるであろう。それにもかかわらず、それによって本発明の範囲の限界が意図されていないことは理解されるであろう。記述された実施形態における任意の改変や更なる修正、ここに記述されるような本発明の原理の更なる任意の応用は、本発明が関連する技術分野における当業者には通常起こるであろうことは予期される。更に、本開示は、特殊な任意の外科的応用に制限されないが、所望の様々な応用のための統一性を有することは理解されるであろう。限定するのではないが、以下のものが含まれる。
1. 関節鏡(Arthroscopy) − 整形外科(Orthopaedic)
2. 内視鏡(Endoscopic) − 消化器科(Gastroenterology)、泌尿器科(Urology)、軟部組織(Soft Tissue)
3. 神経外科(Neurosurgery) − 頭蓋(Cranial)、脊柱(Spine)、耳科(Otology)
4. 小さな骨(Small Bone) − 整形外科(Orthopaedic)、口腔顎顔面(Oral-Maxiofacial)、オルト脊柱(Ortho-Spine)、耳科(Otology)
5. 心臓胸部(Cardio Thoracic) − 小さな骨のサブセグメント(Small Bone Sub-Segment)
6. 大きな骨(Large Bone) − 関節全体(Total Joint)、精神的外傷(Trauma)
7. 歯(Dental)及び他の適用
【0011】
器具の構成のある種の詳細は、本技術分野の当業者には理解されるであろう。よって、ここでは詳細には記述しない。
【0012】
図1A,1Bを一般に参照すれば、典型的な往復運動する手術器具10の2つの切り取った断面図が示される。器具10は、切断ブレード等の手術道具や取り付け具を保持するように適合された遠位の作業部分12と、作業部分12を操作するためのモータ15を含む近位のドライバ部分14と、を有する。モータ15は、その前方、即ち、モータ15によって回転される遠位端に、キー溝が作られたスピンドル軸17を有する。
【0013】
ドライバ部分14は、一部がテーパを有するノーズピース16に包まれており、ノーズピースは、長手方向の穿孔18を画定し、それの背面、即ち、近位端に雄ねじ20を有し、その前方、即ち、遠位端に雌ねじ22を有する。雌ねじ22は、ノーズピースの穿孔18の長さ部分内にキャップ24を固定し、キャップ24は、その中にチャンバ26を提供する。ノーズピース16の雄ねじ20は、モータ筐体30上で、雌ねじ28に噛み合って固定される。
【0014】
図1Aから判るように、モータ筐体30は、雌ねじ部分34を備えた背面方向の受容部32を提供する。連結組立体36は、受容部32内にあり、モータ筐体30のねじ34と噛み合う雄ねじ38を有し、2つの要素を一緒に固定する。連結組立体36は、組立体36を通過して長手方向に伸びる中央の流体通路40を有する。連結組立体36は、加圧流体(例えば空気)を流体通路40内へ供給する流体圧力原(不図示)と、一般に同軸ホースや導管で相互接続されることが記される。半径方向の内部と半径方向の外部の着脱可能な接続具42,44は、各々、当該技術分野で公知の方法で、同軸ホースで封止を形成する。
【0015】
加圧流体は、ある角度に折り曲げられた導管46を通って中央通路40からドライブモータ15へ向けられる。排出流体は、連結組立体36内で半径方向に配置された流体排出通路47を通って、モータ15から同軸ホースへ戻るよう連通される。連結組立体36は、ぎざぎざが付けられた表面かレンチのための平坦面のいずれかを提供するよう形作られた、半径方向に拡張された外側部分48を示し、その結果、連結組立体36は、モータ筐体30の受容部32に添付されるか受容部32から除去されるとき、更に容易に回転可能である。
【0016】
図1Bを参照すれば、モータスリーブ50は、モータ15を囲み、モータ筐体30内に含まれる。モータスリーブ50は、連結組立体36の前方即ち遠位に配置され、一般に円筒状のギア筐体52に隣接する。ギア筐体52は、縮小された直径の中央の長手方向の穿孔54と、その背面即ち近位端に、拡大された直径の長手方向の穿孔56とを有する。拡大された直径の穿孔56の背面後方部分は、符号58に雌ねじが形成されている。
【0017】
拡大された直径を有する穿孔56は、その中にキー溝が作られた長手方向の通路62を画定するギア連結部60を収納し、長手方向の通路62は、補完的な方法で、モータのスピンドル軸17のキー溝を囲み係合するように適合する。一対の輪状の軸受64は、ギア連結部60と穿孔56との間に配置され、ギア連結部60の回転を助ける。通路62の遠位部分は、符号66で示されるように、ねじが切られている。ピニオンギア68は、ねじが切られた部分66内に固定され、ある角度に折り曲げられた1セットの回転歯70をその前方の端部にて提供する。モータ15が起動するとき、歯70のセットがモータ15によって回転されることがわかるであろう。
【0018】
図1Aに示されるように、1対の横方向の穿孔72は、直径方向に対抗する配置でギア筐体52の中に切られ、穿孔72の各々は、輪状の軸受74を収納する。偏心クランク76は、長手方向の穿孔54内に維持されて、軸受74を通って外向きに延伸する軸受ピン78を提供し、その結果、ピン78は、軸受74内でそれら自身のピン軸80の周りに回転可能である。偏心クランク76は、ピン軸80から外れて配置された中央のスパン部分82を有し、その結果、軸受ピン78が軸受74の内部で回転するとき、それは、ピン軸80の周りを回転する。偏心クランク76はまた、ピニオンギア68の歯70と互いに噛み合うある角度に折り曲げられた歯を有するピニオンギア部分84を提供する。ピニオンギア68がモータ15によって回転するとき、ギア68の歯70は、ピニオンギア部分84の歯と係合し、その結果、偏心クランク76は、軸受74内で軸受ピン78によって回転する。クランク76がこの方法で回転するとき、スパン部分82は、ピン軸80の周りを回転する。
【0019】
図1Bに最も良く示されるように、穿孔26内に含まれる接続ロッド86は、偏心クランク76のスパン部分82を往復動シャフト88に相互接続する。接続ロッド86は、近位開口部90と遠位開口部92とを有する。両方の開口部90,92は、輪状の軸受94を含む。スパン部分82は、近位開口部90と軸受94とを通過する。遠位開口部92と軸受94とは、往復動シャフト88内でピン96を囲む。往復動シャフト88は、実質的に、キャップ24のチャンバ26内と、ノーズピース16の穿孔18内に配置されることが記される。そうであれば、ここに記述された要素は、モータのスピンドル軸17の回転動作がシャフト88及び関連する要素の往復運動動作へ変換される伝達を提供することが理解されるであろう。ここでは詳細に記述されないが、往復動シャフト88がキャップ24及びノーズピース16内で往復運動することを可能にすることを、たくさんの軸受とスリーブとが確実にしている。
【0020】
往復動シャフト88の遠位端は、キャップ24の遠位端部を越えて外向きに延伸し、その中に形成された未貫通穿孔98を含む。未貫通穿孔98は、その長手方向に沿って雌ねじ部分100を有し、それによって、往復動シャフト88は、装置10の作業部分12へと接続可能である。
【0021】
装置10は、気体駆動のモータを有するとして記述されたが、同様に電気モータ及びハンドピースによって、作業部分12と必要な伝達要素とが駆動することは考慮される。ある典型的な電気式ハンドピースは、メドトロニック・ゾーメド社(Medtronic Xomed, Inc.)に所有されるミダス・レックス(Midas Rex)(登録商標)レジェンド イー・エイチ・エス スタイラス(Legend EHS Stylus)(商標)である。その結果、電気モータは、伝達機構が往復動シャフト88の往復運動動作へ変換される回転力を提供する。
【0022】
器具10の作業部分12は、図2乃至図6を更に参照すれば、更に容易に理解され、図2乃至図6は、作業部分12のチャックや他の要素が更に詳細に示される。図2は、器具10と共に使用される典型的なコレット即ち固定チャック102の切り取った拡大断面図である。固定チャック102は、ある実施形態によれば、その近位端部の近くにて雄ねじ106を担持する固定シャフト104を有する。ねじ106は、往復動シャフト88(図1Bに示される)の未貫通穿孔98のねじ100と相互接続するように形成され大きさが定められる。他の実施形態では、固定シャフト104と往復動シャフト88とは、一体であり、即ち、継ぎ目なく形成されている。更に他の実施形態では、伝達機構は、チャック102と一体である。
【0023】
次に図3,4を参照すれば、図3は、チャック102の拡大図であり、図4は、チャック102の断面図である。シャフト104は、その直径を通過して横方向に延伸する横穴108を有する。固定シャフト104の遠位端部は、実質的に丸い受容穿孔110を含み、シャフト104内の中央に配置され、長手軸Lに沿って整合される。一対のスロット112は、穿孔110から半径方向外向きに延伸し、互いに直径方向の反対側まで配置される。
【0024】
図2,3を更に参照すれば、シャフト104は、また、一方の側面(図3に最も良く示される)に外部のへこみ114を有する。ばね118がその中に留まる一対のばね保持スロット116が、へこみ114内に形成され、シャフト104内で要素の受容を提供する。キー孔120は、へこみ114を通って切られる。
【0025】
図3に最も良く示されるように、保持スリーブ122は、シャフト104を囲み、実質的に円筒形状を有する。スリーブ122は、シャフト104がその中に留まる中央の長手方向の穿孔124を含む。一対の横穴126及びスロット127は、スリーブ122を通って切られる。スリーブ122は、封止部材保持溝125のような他の特徴部を含む。
【0026】
回転可能なカムスリーブ128は、シャフト104と保持スリーブ122とを囲み、外側に畝部が形成され(ridged)即ち模様が織り込まれた(textured)把持面130を提供する。図5は、カムスリーブ128の端部の図である。図3,5を参照すれば、カムスリーブ128は、中空であり、保持スリーブ122に対してカムスリーブ128を保持する一対の面を提供し、記述されるであろうやり方で、柄の固定部材を作動させる。
【0027】
内部のカム面部分132は、カムスリーブ128の内部の遠位部分上に示される。カム面部分132は、図3に、更に特に図5に示されるように、偏心して漸次変化しており、その結果、カム面部分132の一方の側面132aは、カム面部分132の反対の側面132bより、軸Lに対して半径方向により近い。図2,5に特に示されるように、カムスリーブ128はまた、内部の半径方向接触面部分134を提供し、それは、軸Lからその縁周りに等しく離間し、保持スリーブ122の外側面に接触するよう適合されており、その結果、カムスリーブ128は、回転方向に摺動可能な関係で、保持スリーブ122に対して保持される。他の表面及び表面部分はまた、例えば、カムスリーブ128を保持スリーブ122に連結するために、図3,5に示されるような、相互作用面部分135のようなものも考えられる。加えて、接触面部分134は、1又は2以上の回り止め即ち溝136を含み、図4,5に示されるように、それは、少なくとも一部分、接触面部分134の縁周りに延伸する。溝136は、更に、長手方向で軸Lと一般に整合する方向に延伸する。
【0028】
一般に図3,4を参照すれば、作業部分12のチャック102が組み立てられるとき、ばね138は、シャフト104の中の孔108を通って延伸し、保持スリーブ122の孔126を通って半径方向外向きに歯を刻まれた溝136の中へと軸受けボール140を付勢する(図4参照)。ボール140が溝136に入るとき、聴取可能な「クリック音」が生じて、ユーザに締結・非締結を知らせる。その「クリック音」は、また、ユーザに、締結・非締結として、位置の触覚による検証を提供する。加えて、1又は2以上の外側面のマーク129が含まれて、図3に示されるように、締結された位置、又は、非締結の位置を視覚的に示す。例えば、対応する表面のマーク129は、カムスリーブ128と保持スリーブ122の上に含まれる。
【0029】
ばね138とボール140と溝136とは協働して、カムスリーブ128を締結位置や非締結位置に保持する。加えて、ばね138とボール140と溝136とは、カムスリーブ128が保持スリーブ122上で回転して保持されることを保つために機能する。例えば、ボール140を越えてパチンと締められた継続的な周囲の横方向の溝(不図示)は、カムスリーブ128が保持スリーブ122上で回転して保持されることを維持する。ボール140は、更に、回転するとき、カムスリーブ128を支持することを助ける。ばね138は、シャフト104を保持スリーブ122の内部に保持することを助けるために機能する。ゴム製のOリング142,144は、要素間の流体密封の封止部の生成を補助するために使用され、それは、図3に示され、上述されたように、溝125のような特徴部によって保持される。
【0030】
次に、図2,3を参照すれば、キーピン146のような固定部材は、拡大された接触ヘッド148と、半径方向内向きに延伸する突起部、キー部分150とを含む。キー部分150は、記述されるように、固定シャフト104内の補完的に形成された開口部内に留まるように形成され大きさが定められる。接触ヘッド148は、一般に、保持スリーブ122のスロット127内に留まる。キー部分150は、半径方向内向きに、シャフト104の歯が刻まれた部分114のキー孔120を通り穿孔110内へと延伸する。ばね118は、ばね保持スロット116内に留まっているが、接触ヘッド148の下面で、着座面152(図2参照)に接触し、固定部材146を半径方向外向きに付勢する。作業部分12のチャック102が組み立てられるとき、カム面部分132は、接触ヘッド148の半径方向外側面に接触する。
【0031】
次に、図6A,6Bを参照すれば、チャック102と共に使用する2つの典型的な平坦な柄の切断ブレードが示される。図6Aから始めれば、ブレード200は、のこぎり状の端面(a serrated edge)204を備えた切断部分202を有する。他の切断形状や構造が切断部分202のために使用されることは理解されるであろう。
【0032】
ブレード200は、その中を通って切除させる孔208を有する平坦な柄206を有する。孔208は、実質的に、固定部材146のキー部分150に対して補完的となるような大きさとなっている。孔208は、2つの端部208a,208bを有し、例として示されるように、各々は、実質的に円形形状を有し、ここでは、形状が実質的に同一である。ある実施形態によれば、各々の端部208a,208bは、中心点209,211と、周辺部217,219と、を有する。半径213,215は、中心点209,211から各々延伸する。端部208a,208bは、互いにオフセット距離221だけ離間している。その結果、中心点209,211の間の距離は、半径213,215の和よりも大きい(図6A参照)。
【0033】
図6Bに示されるように、一対の内側に向けられた畝部(ridges)223が、周辺部217,219間に提供され、それは、非補完的なキー部分の一部を排除する。ある実施形態では、柄の孔とキー部分とは、砂時計に似た補完的なプロフィールを有する。いくつかの実施形態では、柄の孔とキー部分とは、正方形、長方形、ダンベル形状、円形、扇型等の形状を有する。他の実施形態では、プロフィールは、非対称であり、横方向の付勢部を有し、その結果、ブレードは、1つの方向にだけ固定可能である。例えば、孔とキー部分とは、軸Lから横方向に配置され、その結果、孔は、囲まれた孔というよりも柄の側面に開口された切り欠きである。更に他の実施形態では、2以上の孔と2以上のキー部分とが、確かでしっかりとしたブレードの整合を可能にする。
【0034】
孔208の形状は、実質的に補完的な形状を有するキーだけがその孔の中に配置され得ることを確実にする。その結果、ブレード200が非補完的なキー部分を有する互換性を有しない装置と共に使用される可能性は減る。
【0035】
次に、図7A,7Bを参照すれば、ブレード200の断面図が、チャック102に取り付けられて示される。図7Aから始めれば、ブレード200は、チャック102内に、穿孔110の内側で柄206に挿入されて固定され、その結果、平坦な柄206はスロット112内に保持される。平坦な柄206は、中央の穿孔110の直径よりも大きい幅寸法を有し、それ故に、スロット112の中へ延伸し、そこで受容される。
【0036】
挿入に先立ち、カムスリーブ128は、回転矢印Rで示された方向に回転し、実質的に図7Aで示された位置へ回転されるべきである。この第1の位置では、カム面部分132の半径方向に拡大した部分132bは、固定部材146の接触ヘッド148に近接しており、それによって、ばね118が固定部材146を半径方向外向きに付勢することを許容する。
【0037】
次に、図7Bに移れば、カムスリーブ128は、それから回転し、半径方向に縮小した部分132aは、接触ヘッド148に近接して配置される。この第2の位置では、固定部材146は、半径方向内向きに急き立てられ、ばね118を圧縮し、キー部分150をブレード孔208へ移送し、それによって、固定ブレード200をチャック102内へ移送する。
【0038】
ある実施形態では、キー部分を第1の位置と第2の位置との間で完全に移送するために、チャック102は、カムスリーブ128が180度回転するように構成される。他の実施形態では、キー部分を第1の位置と第2の位置との間で移送するために、チャック102は、カムスリーブ128が180度以上又は以下に回転するように構成される。ある実施形態では、チャック102は、90度回転のために構成される。
【0039】
ある実施形態では、カムスリーブ128は、時計回り又は反時計回りに永久に回転するように構成される。そのような永久の回転は、操作者には使用が容易になる。他の実施形態では、第1の位置と第2の位置との間の回転が1又は2以上の停止位置の間の回転に制限されるように、1又は2以上の停止位置が含まれる。
【0040】
チャック102内のブレードや他の道具を除去したりまたは置き換えるためには、ここに記述される操作は本質的に逆である。カムスリーブ128が回転して、カム面部分132の半径方向に拡大した部分132bが接触ヘッド148に近接して配置され、それによって、固定部材146がばね118によって半径方向外向きに急き立てられることを許容し、キー部分150は、孔208から除去される。ブレード200は、そのとき、スロット112とチャック102とから撤去される
【0041】
上述したように、ブレード200の固定や係止は、圧縮可能なコレットをブレードに対して圧縮したり変形させたりすることなく達成される。その結果、ある実施形態によれば、レンチやチャックキー等がなくても手術道具はチャック102にしっかりと取り付けられるので、チャック102は、キーのないチャックである。道具の交換に遅延をもたらすことにつながるねじを手で締めたり緩めたりする必要がない。
【0042】
加えて、スロット112は、図2に示されるように、上側又は下側の対向する内側表面112a,112bを有する。対向する内側表面112a,112bは、表面112a,112b間のすべての点で実質的に等しい、スロット幅Wだけ離間している。その結果、道具がチャックの中に固定されようが固定が解除されていようが、スロット幅Wは、同じ幅で実質的に維持される。
【0043】
次に、図8を参照すれば、丸い柄を有する典型的な切除ブレード300が記述される。ブレード300は、上述した切除部分202及び端部204に構成が類似した、ぎざぎざの端部304を備えた切除部分302を有する。ブレード300は、一対の上側と下側の切り取った部分308a,308bをそれぞれ、柄306の近位端にて有する丸い柄306を有する。上側と下側の切り取った部分308a,308bは、平坦なセクション310を画定する。孔312は、上述した孔208に類似の形状と大きさであるが、平坦なセクション310内に配置される。
【0044】
その結果、丸い柄306は、円筒状の穿孔110を実質的に満たす大きさの第1の直径、即ち、第1の高さと、第2の直径、即ち、第1の高さより小さい第2の高さと、を有する。第2の高さは、部分308a,308bが切り取られた後に、平坦なセクション310の縮小した厚さに対応する。他の実施形態では、丸い柄306の側面だけが切り取られる。高さにおけるこの縮小は、キー突出部150が柄の孔へ出入りするために移動する必要がないというような、独特の有利な点を提供する。その結果、カムスリーブ128の最大の厚さにおける縮小を考慮すれば、キー突出部150の第1の部分と第2の部分との間の移動距離は縮小する。従って、チャック102の全体のプロフィールは縮小して、更に良好なアクセス、安全等の利益を提供する。
【0045】
縮小した全体のプロフィールから産出される追加の利益は、チャックの塊に関連する。往復運動に固有の迅速で繰り返される方向の変化は、ますます多くの塊が加えられ方向変化を迅速に行うに連れて、妨げられる。その結果、チャック全体のプロフィールを減らすことで、モータと伝達機構と緩衝装置とは、消耗と振動とパワー損失の減少からあらゆる利益を得る。加えて、負荷が減少するため、ハンドピースの大きさと重量とは更に減少する。重量と振動の減少は、バランスが改善されることと相まって、ユーザの正確性を増加させ、手術処置中のユーザの疲労を減少させる。他の実施形態では、丸い柄306は、切り取られないが、第1の直径部分でその全体の長さを延伸させる。
【0046】
シャフト104の穿孔110とスロット112とは、ブレード300のような実質的に丸い柄の断面を有する手術道具、或いは、ブレード200のような実質的に平坦化された平坦断面を有する手術道具を受容可能な受容部を提供する。丸い柄306は、シャフト104の穿孔110内に保持される大きさと形状である。その結果、丸い柄ブレード300は、ブレード200と実質的に同じ方法で穿孔110内へ挿入されるが、柄306のどの部分も、シャフト104のスロット112内に配置されないであろう。ブレード300は、カムスリーブ128を回転させることで、チャック102内に同様に固定され、固定部材146を半径方向内向きに付勢し、その結果、キー部分150は、柄306の孔312を通過する。ブレード300は、また、ブレード200と同じ方法で、チャック102から除去される。
【0047】
次に、図9Aを参照すれば、丸い柄を有する典型的なやすり道具が記述される。やすり道具400は、やすり表面404を備えた作業部分402を有する。やすり道具400は、柄406の近位端にて、各々、一対の上側と下側の切り取られた部分408a,408bを有する丸い柄406を有する。上側と下側の切り取られた部分408a,408bは、平坦なセクション410を画定する。孔412は、上述した孔208と類似の形状と大きさで、平坦なセクション410内に配置される。
【0048】
図9Bに示されたある実施形態によれば、やすり道具420は、やすり道具400の代わりに使用可能であるが、中心から外れて配置された湾曲部414a,414bのような予め形成された湾曲部や外形を備えた丸い柄を有するであろう。その結果、近位の柄部分416は、一般に第1の長手軸L1と整合し、遠位の柄部分418は、一般に第2の長手軸L2と、整合する。軸L1は、一般に、オフセット距離Dだけ軸L2から外れて配置される。例えば、軸L1に対して横断する単一の90度の湾曲部を備えた柄のような、他の柄の構成が考えられるが、中心から外れて配置された柄は、アクセスと視認性とを促進するために構成されるであろう。
【0049】
いくつかの応用例では、支柱の強度は延伸した距離で更に大きくなるから、丸い柄の手術道具を有することが好ましい。例えば、長いリーチの平坦な柄のブレードは、同じように伸びた丸い柄のブレードよりも、曲がる傾向がある。伸びたリーチを必要としない他の応用例は、平坦な柄のブレードの薄い切り口と切除効率とを必要とするであろう。その結果、開示された新規のチャックは、今やレンチや特殊なチャックキー等なしで道具の丸い柄と道具の平坦な柄とを容易に変えるユーザに有利な点を提供する。
【0050】
加えて、やすりの適用で明らかにされるような、増加した圧力を含む手続や、代替の道具を使った力の方向付けは、丸い柄から利益を得る。やすりをかける道具は、のこぎりブレードよりも塊の大きなヘッド部を有し、その結果、往復運動する器具の上昇運動工程の間、増加した引く力が柄に作用する。そのような状況では、本開示は、そのような力に抵抗する柄の孔を通って延伸する物理的な干渉締結突起部を提供することで、スプリットジョーコレット(a split jaw collet)のような摩擦締結コレットに有利な点を提供するであろう。加えて、締結突起部150は、丸い柄の軸回転、特に図9Bに示されるような中心から外れて配置された丸い柄の軸回転を妨げる。作業部分402に印加される作業圧力は、オフセット距離Dだけ拡大され、軸L1周りにトルクTを導入する回転モーメントを生成する。手術処置中の望まれない軸回転は、有害となろう。しかしながら、この実施形態によれば、締結突起部150は、構造的にトルクTによる回転運動を妨げて、コレット内でやすり道具400がスピンすることを妨げる。中心から外れて配置された柄がやすり道具の上に示されているが、中心から外れて配置された柄は、例えばのこぎりブレードやのみ、バー等を含む、任意の道具と共に使用されることは理解されるであろう。
【0051】
ある実施形態では、丸い柄は、長手方向に整合された1又は2以上の横方向の延伸部を含むが、柄の外側表面から半径方向外向きに突き出ている。横方向の延伸部は、存在するスロット112の中へ、又は、追加のスロット即ちキーワイズの中へ延伸し、少なくとも部分的には、平坦な柄の端部に似ている。他の実施形態では、横方向の延伸部は、ボスであり、あるいは、それらは、例えば、キーストックで形成される。
【0052】
示された実施形態では、チャックは、キーのないチャックであることは、更に特筆される。従って、チャックは、チャックを制御して助けるチャックキーや他の道具の構成要素を必要とすることなく、道具をロックし或いはロックを解除するように構成される。代わりに、チャックは、手で回され、チャックをユーザの指で把持することを助ける平坦部又はわずかな凹み部を含む。道具の平坦な柄又は道具の丸い柄は、回転防止特徴部及び引き抜き防止特徴部を有し、キーのないチャックの中に道具を固定し、孔は、一対の側壁部を有し、それらと遠位及び近位の端部壁部との間に幅を備えた長さを有する。側壁部の長さは、側壁部の間の幅よりも大きい。その結果、回転防止特徴部は、平坦な柄を有するブレードの平坦な柄の端を有し、或いは、柄のいずれかのタイプの孔の中に側壁部を有する。引き抜き防止特徴部は、柄のいずれかのタイプの孔の近位の端部壁部を有する。
【0053】
カムスリーブ128が保持スリーブ122回りに回転して固定部材146を第1の位置と第2の位置との間で動かすことは、後述する記載からわかるであろう。第1の位置では、キー部分150は、シャフト104の受容部から実質的に引き出されず、その結果、手術道具の柄は、そこから挿入され、除去されるであろう。第2の位置では、キー部分150は、シャフト104の受容部内に実質的に配置され、その結果、手術道具の柄が受容部内で存在すれば、キー部分150は、手術道具の柄の孔を通じて配置され、それによって、道具をチャック102内に固定する。
【0054】
往復運動する運動の操作では、器具10は、モータ15によって作動させ、図7A乃至図9に示されるように、動きの矢印Mで表される往復運動する方法で、ブレードややすり等の道具を動かす。モータ15は、ピニオンギア68を回転し、替わって、偏心クランク76を回転する。クランク76が回転するとき、それの動きは、チャック102と同様に、接続ロッド86と往復動シャフト88とを往復運動させる。他の実施形態が円形状又は横断する方向のような他の方向で往復運動の動きを提供することは理解されるであろう。
【0055】
ある実施形態では、丸い柄の孔と対応するキー部分とは、砂時計に似た相補的なプロフィールを有する。他の実施形態では、プロフィールは、非対称であり、横方向の付勢又はオフセットを含み、その結果、ブレードは、唯一の方向に固定可能である。例えば、孔とキー部分とは、軸Lから横方向に配置され、その結果、孔は、包囲された孔よりもむしろ柄の側面に於ける開放された切り欠きである。更に他の実施形態では、2以上の孔と2以上のキー部分とは、安全で首尾一貫したブレードの整列を許容する。
【0056】
道具の丸い柄又は道具の平坦な柄のいずれかの孔と対応するキー部分の変化する特徴のこれらの実施形態は、優先的な保護を提供する。例えば、砂時計形状の孔、非対称形状の孔、中心から外れて配置された長手方向の孔のひとつに構成された孔は、非優先的なブレードが、開示されたチャックと共に使用されることを妨げる。代替的には、キー部分の特徴部に対応する変形は、非優先的なチャックが、開示された手術道具と共に使用されることを妨げる。発明はひとつの形態だけで示されるが、それはそんなに限定されず、本発明の範囲を逸脱することなく様々な変形に影響を受け易いことは、当該技術分野の当業者には明らかであろう。
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、骨その他の硬質組織の切断や修正に使用される手術器具の往復運動に関する。とりわけ、本発明は、当該器具と共に使用されるチャックやコレット(collet)に関し、特に、様々なブレードその他の道具を当該器具に固定するチャックやコレットに関する。
【背景技術】
【0002】
医師や他の医療専門家は、しばしば、骨や組織の切除等の目的のために、動力駆動の手術器具を使用する。往復運動するのこぎりタイプの切断器具は、骨や軟骨等の強い組織を貫通して切断する外科手術に使用される。製造等の目的に依存して、のこぎりのブレード、骨用のバードリル(burs)、やすり(rasps)、のみ(chisels)等の道具は、しばしば、平坦な柄や丸い柄(shank)のプロフィールのような、道具のプロフィールを変化させて設計される。平坦な柄や丸い柄等のプロフィールを有するブレード等の道具を容易に受容可能なチャックを備えた往復運動する手術器具を有することは改善であろう。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本発明は、切断ブレードのような手術道具を往復運動するのこぎりのような往復運動する手術器具内に固定するための改善された方法及び器具を提供する。平坦な柄や丸い柄のプロフィールを備えた切除ブレードその他の手術道具が記述される。
【0004】
ある実施形態によれば、往復運動する手術器具内に、固定孔を備えた柄を有する手術道具を固定するチャックが開示される。チャックは、シャフトと固定部材とを有する。シャフトは、軸を画定し、道具の柄を受容する受容部を有する。固定部材は、シャフトによって担持され、部材が実質的に受容部から引き出されて手術道具の挿入と除去とを許容する第1の位置と、部材が固定孔を通じて実質的に受容部内に配置されて手術道具を受容部内に固定する第2の位置との間を選択的に動作可能である。
【0005】
他の態様では、シャフトと固定部材とを有する往復運動する手術器具に手術道具を固定する固定チャックが開示される。シャフトは、軸を画定し、軸に沿って延伸する円筒状の穿孔を有する。穿孔は、道具の実質的に丸い柄を受容するように形成される。一対の横断するスロットは、道具の実質的に平坦な柄を受容するために軸を通過する平面に沿ってシャフトの中へ延伸する。横断するスロットは、円筒状の穿孔で交差する。固定部材は、シャフトによって担持されて、穿孔に対して半径方向で内向きと外向きの両方に動作可能であり、チャック内に手術道具を固定する。
【0006】
いくつかの実施形態では、往復運動する手術器具は、モータと伝達機構と手術道具のチャックと手術道具とを有する。モータは、回転可能なスピンドル軸を有し、伝達機構は、スピンドル軸に取り付けられてスピンドル軸の回転動作を往復運動動作に変換する。手術道具のチャックは、伝達機構に結合され、受容シャフトと係止部材とカムスリーブとを有する。受容シャフトは、長手軸を画定し、道具受容部と半径方向に延伸する近位開口部とを有する。係止部材は、受容シャフトに摺動して結合され、そこから延伸する突起部を有する。カムスリーブは、シャフト上に回転して保持されて、内側のカム面を有する。手術道具は、遠位端部と近位端部とを有し、近位端部は、道具受容部内へ受容されるように構成される。手術道具は、取り付け受容部内に配置されるとき、受容シャフトの半径方向に延伸する近位開口部に対応するように配置された孔を有する。係止部材は、第1の位置と第2の位置との間を選択的に動作可能である。第1の位置では、突起部は、受容シャフトの近位開口部から引き出されて、手術道具の挿入と除去とを許容する。第2の位置では、突起部は、受容シャフトの近位開口部及び手術道具の孔内に実質的に受容されて、手術道具をチャック内に固定する。カム面は、突起部が第2の位置へ急き立てられるように構成される。
【0007】
後述される詳細な記載を当業者がより良く理解できるように、前述ではいくつかの実施形態の特徴を概説した。特許請求の範囲の主題を更に形成する付加的な特徴を以下に記載する。ここで紹介する実施形態と同じ目的を実行するため、及び/又は、同じ有利な点を達成するために、他の工程及び構造を設計又は修正する基礎として、本開示は当業者がすぐに利用できることを当業者は評価すべきである。当業者はまた、そのような同等の構成が本開示の精神及び範囲から離れないことを認識すべきである。
【0008】
本開示の特徴は、詳細な説明と添付図面とから更に充分に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1A】本発明に従って構成された典型的な往復運動する手術器具の一部を切り取った断面図である。
【図1B】図1Aの典型的な往復運動する手術器具の、他の一部を切り取った断面図である。
【図2】図1A及び図1Bの手術器具と共に使用される典型的なチャックの切り取った拡大断面図である。
【図3】図2に示されたチャックの拡大図である。
【図4】図2の典型的なチャックの他の切り取った拡大断面図である。
【図5】図2のチャックの一部の端部の図である。
【図6A】図2のチャックと共に使用する典型的なブレードの上面図である。
【図6B】図2のチャックと共に使用する他の典型的なブレードの上面図である。
【図7A】図2のチャックに取り付けられた図6Aのブレードの切り取った断面図である。
【図7B】図2のチャックに取り付けられた図6Aのブレードの他の切り取った断面図である。
【図8】図2のチャックに取り付けられた丸い柄を有する典型的な切断ブレードを示す。
【図9A】図2のチャックに取り付けられた丸い柄を有する典型的なやすり道具を示す。
【図9B】角度を有する柄を有する典型的なやすり道具を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
次に、本発明の原理の理解を促進する目的で、図面に示された実施形態や実施例に参照がされて、特殊な用語がそれらを記述するために使用されるであろう。それにもかかわらず、それによって本発明の範囲の限界が意図されていないことは理解されるであろう。記述された実施形態における任意の改変や更なる修正、ここに記述されるような本発明の原理の更なる任意の応用は、本発明が関連する技術分野における当業者には通常起こるであろうことは予期される。更に、本開示は、特殊な任意の外科的応用に制限されないが、所望の様々な応用のための統一性を有することは理解されるであろう。限定するのではないが、以下のものが含まれる。
1. 関節鏡(Arthroscopy) − 整形外科(Orthopaedic)
2. 内視鏡(Endoscopic) − 消化器科(Gastroenterology)、泌尿器科(Urology)、軟部組織(Soft Tissue)
3. 神経外科(Neurosurgery) − 頭蓋(Cranial)、脊柱(Spine)、耳科(Otology)
4. 小さな骨(Small Bone) − 整形外科(Orthopaedic)、口腔顎顔面(Oral-Maxiofacial)、オルト脊柱(Ortho-Spine)、耳科(Otology)
5. 心臓胸部(Cardio Thoracic) − 小さな骨のサブセグメント(Small Bone Sub-Segment)
6. 大きな骨(Large Bone) − 関節全体(Total Joint)、精神的外傷(Trauma)
7. 歯(Dental)及び他の適用
【0011】
器具の構成のある種の詳細は、本技術分野の当業者には理解されるであろう。よって、ここでは詳細には記述しない。
【0012】
図1A,1Bを一般に参照すれば、典型的な往復運動する手術器具10の2つの切り取った断面図が示される。器具10は、切断ブレード等の手術道具や取り付け具を保持するように適合された遠位の作業部分12と、作業部分12を操作するためのモータ15を含む近位のドライバ部分14と、を有する。モータ15は、その前方、即ち、モータ15によって回転される遠位端に、キー溝が作られたスピンドル軸17を有する。
【0013】
ドライバ部分14は、一部がテーパを有するノーズピース16に包まれており、ノーズピースは、長手方向の穿孔18を画定し、それの背面、即ち、近位端に雄ねじ20を有し、その前方、即ち、遠位端に雌ねじ22を有する。雌ねじ22は、ノーズピースの穿孔18の長さ部分内にキャップ24を固定し、キャップ24は、その中にチャンバ26を提供する。ノーズピース16の雄ねじ20は、モータ筐体30上で、雌ねじ28に噛み合って固定される。
【0014】
図1Aから判るように、モータ筐体30は、雌ねじ部分34を備えた背面方向の受容部32を提供する。連結組立体36は、受容部32内にあり、モータ筐体30のねじ34と噛み合う雄ねじ38を有し、2つの要素を一緒に固定する。連結組立体36は、組立体36を通過して長手方向に伸びる中央の流体通路40を有する。連結組立体36は、加圧流体(例えば空気)を流体通路40内へ供給する流体圧力原(不図示)と、一般に同軸ホースや導管で相互接続されることが記される。半径方向の内部と半径方向の外部の着脱可能な接続具42,44は、各々、当該技術分野で公知の方法で、同軸ホースで封止を形成する。
【0015】
加圧流体は、ある角度に折り曲げられた導管46を通って中央通路40からドライブモータ15へ向けられる。排出流体は、連結組立体36内で半径方向に配置された流体排出通路47を通って、モータ15から同軸ホースへ戻るよう連通される。連結組立体36は、ぎざぎざが付けられた表面かレンチのための平坦面のいずれかを提供するよう形作られた、半径方向に拡張された外側部分48を示し、その結果、連結組立体36は、モータ筐体30の受容部32に添付されるか受容部32から除去されるとき、更に容易に回転可能である。
【0016】
図1Bを参照すれば、モータスリーブ50は、モータ15を囲み、モータ筐体30内に含まれる。モータスリーブ50は、連結組立体36の前方即ち遠位に配置され、一般に円筒状のギア筐体52に隣接する。ギア筐体52は、縮小された直径の中央の長手方向の穿孔54と、その背面即ち近位端に、拡大された直径の長手方向の穿孔56とを有する。拡大された直径の穿孔56の背面後方部分は、符号58に雌ねじが形成されている。
【0017】
拡大された直径を有する穿孔56は、その中にキー溝が作られた長手方向の通路62を画定するギア連結部60を収納し、長手方向の通路62は、補完的な方法で、モータのスピンドル軸17のキー溝を囲み係合するように適合する。一対の輪状の軸受64は、ギア連結部60と穿孔56との間に配置され、ギア連結部60の回転を助ける。通路62の遠位部分は、符号66で示されるように、ねじが切られている。ピニオンギア68は、ねじが切られた部分66内に固定され、ある角度に折り曲げられた1セットの回転歯70をその前方の端部にて提供する。モータ15が起動するとき、歯70のセットがモータ15によって回転されることがわかるであろう。
【0018】
図1Aに示されるように、1対の横方向の穿孔72は、直径方向に対抗する配置でギア筐体52の中に切られ、穿孔72の各々は、輪状の軸受74を収納する。偏心クランク76は、長手方向の穿孔54内に維持されて、軸受74を通って外向きに延伸する軸受ピン78を提供し、その結果、ピン78は、軸受74内でそれら自身のピン軸80の周りに回転可能である。偏心クランク76は、ピン軸80から外れて配置された中央のスパン部分82を有し、その結果、軸受ピン78が軸受74の内部で回転するとき、それは、ピン軸80の周りを回転する。偏心クランク76はまた、ピニオンギア68の歯70と互いに噛み合うある角度に折り曲げられた歯を有するピニオンギア部分84を提供する。ピニオンギア68がモータ15によって回転するとき、ギア68の歯70は、ピニオンギア部分84の歯と係合し、その結果、偏心クランク76は、軸受74内で軸受ピン78によって回転する。クランク76がこの方法で回転するとき、スパン部分82は、ピン軸80の周りを回転する。
【0019】
図1Bに最も良く示されるように、穿孔26内に含まれる接続ロッド86は、偏心クランク76のスパン部分82を往復動シャフト88に相互接続する。接続ロッド86は、近位開口部90と遠位開口部92とを有する。両方の開口部90,92は、輪状の軸受94を含む。スパン部分82は、近位開口部90と軸受94とを通過する。遠位開口部92と軸受94とは、往復動シャフト88内でピン96を囲む。往復動シャフト88は、実質的に、キャップ24のチャンバ26内と、ノーズピース16の穿孔18内に配置されることが記される。そうであれば、ここに記述された要素は、モータのスピンドル軸17の回転動作がシャフト88及び関連する要素の往復運動動作へ変換される伝達を提供することが理解されるであろう。ここでは詳細に記述されないが、往復動シャフト88がキャップ24及びノーズピース16内で往復運動することを可能にすることを、たくさんの軸受とスリーブとが確実にしている。
【0020】
往復動シャフト88の遠位端は、キャップ24の遠位端部を越えて外向きに延伸し、その中に形成された未貫通穿孔98を含む。未貫通穿孔98は、その長手方向に沿って雌ねじ部分100を有し、それによって、往復動シャフト88は、装置10の作業部分12へと接続可能である。
【0021】
装置10は、気体駆動のモータを有するとして記述されたが、同様に電気モータ及びハンドピースによって、作業部分12と必要な伝達要素とが駆動することは考慮される。ある典型的な電気式ハンドピースは、メドトロニック・ゾーメド社(Medtronic Xomed, Inc.)に所有されるミダス・レックス(Midas Rex)(登録商標)レジェンド イー・エイチ・エス スタイラス(Legend EHS Stylus)(商標)である。その結果、電気モータは、伝達機構が往復動シャフト88の往復運動動作へ変換される回転力を提供する。
【0022】
器具10の作業部分12は、図2乃至図6を更に参照すれば、更に容易に理解され、図2乃至図6は、作業部分12のチャックや他の要素が更に詳細に示される。図2は、器具10と共に使用される典型的なコレット即ち固定チャック102の切り取った拡大断面図である。固定チャック102は、ある実施形態によれば、その近位端部の近くにて雄ねじ106を担持する固定シャフト104を有する。ねじ106は、往復動シャフト88(図1Bに示される)の未貫通穿孔98のねじ100と相互接続するように形成され大きさが定められる。他の実施形態では、固定シャフト104と往復動シャフト88とは、一体であり、即ち、継ぎ目なく形成されている。更に他の実施形態では、伝達機構は、チャック102と一体である。
【0023】
次に図3,4を参照すれば、図3は、チャック102の拡大図であり、図4は、チャック102の断面図である。シャフト104は、その直径を通過して横方向に延伸する横穴108を有する。固定シャフト104の遠位端部は、実質的に丸い受容穿孔110を含み、シャフト104内の中央に配置され、長手軸Lに沿って整合される。一対のスロット112は、穿孔110から半径方向外向きに延伸し、互いに直径方向の反対側まで配置される。
【0024】
図2,3を更に参照すれば、シャフト104は、また、一方の側面(図3に最も良く示される)に外部のへこみ114を有する。ばね118がその中に留まる一対のばね保持スロット116が、へこみ114内に形成され、シャフト104内で要素の受容を提供する。キー孔120は、へこみ114を通って切られる。
【0025】
図3に最も良く示されるように、保持スリーブ122は、シャフト104を囲み、実質的に円筒形状を有する。スリーブ122は、シャフト104がその中に留まる中央の長手方向の穿孔124を含む。一対の横穴126及びスロット127は、スリーブ122を通って切られる。スリーブ122は、封止部材保持溝125のような他の特徴部を含む。
【0026】
回転可能なカムスリーブ128は、シャフト104と保持スリーブ122とを囲み、外側に畝部が形成され(ridged)即ち模様が織り込まれた(textured)把持面130を提供する。図5は、カムスリーブ128の端部の図である。図3,5を参照すれば、カムスリーブ128は、中空であり、保持スリーブ122に対してカムスリーブ128を保持する一対の面を提供し、記述されるであろうやり方で、柄の固定部材を作動させる。
【0027】
内部のカム面部分132は、カムスリーブ128の内部の遠位部分上に示される。カム面部分132は、図3に、更に特に図5に示されるように、偏心して漸次変化しており、その結果、カム面部分132の一方の側面132aは、カム面部分132の反対の側面132bより、軸Lに対して半径方向により近い。図2,5に特に示されるように、カムスリーブ128はまた、内部の半径方向接触面部分134を提供し、それは、軸Lからその縁周りに等しく離間し、保持スリーブ122の外側面に接触するよう適合されており、その結果、カムスリーブ128は、回転方向に摺動可能な関係で、保持スリーブ122に対して保持される。他の表面及び表面部分はまた、例えば、カムスリーブ128を保持スリーブ122に連結するために、図3,5に示されるような、相互作用面部分135のようなものも考えられる。加えて、接触面部分134は、1又は2以上の回り止め即ち溝136を含み、図4,5に示されるように、それは、少なくとも一部分、接触面部分134の縁周りに延伸する。溝136は、更に、長手方向で軸Lと一般に整合する方向に延伸する。
【0028】
一般に図3,4を参照すれば、作業部分12のチャック102が組み立てられるとき、ばね138は、シャフト104の中の孔108を通って延伸し、保持スリーブ122の孔126を通って半径方向外向きに歯を刻まれた溝136の中へと軸受けボール140を付勢する(図4参照)。ボール140が溝136に入るとき、聴取可能な「クリック音」が生じて、ユーザに締結・非締結を知らせる。その「クリック音」は、また、ユーザに、締結・非締結として、位置の触覚による検証を提供する。加えて、1又は2以上の外側面のマーク129が含まれて、図3に示されるように、締結された位置、又は、非締結の位置を視覚的に示す。例えば、対応する表面のマーク129は、カムスリーブ128と保持スリーブ122の上に含まれる。
【0029】
ばね138とボール140と溝136とは協働して、カムスリーブ128を締結位置や非締結位置に保持する。加えて、ばね138とボール140と溝136とは、カムスリーブ128が保持スリーブ122上で回転して保持されることを保つために機能する。例えば、ボール140を越えてパチンと締められた継続的な周囲の横方向の溝(不図示)は、カムスリーブ128が保持スリーブ122上で回転して保持されることを維持する。ボール140は、更に、回転するとき、カムスリーブ128を支持することを助ける。ばね138は、シャフト104を保持スリーブ122の内部に保持することを助けるために機能する。ゴム製のOリング142,144は、要素間の流体密封の封止部の生成を補助するために使用され、それは、図3に示され、上述されたように、溝125のような特徴部によって保持される。
【0030】
次に、図2,3を参照すれば、キーピン146のような固定部材は、拡大された接触ヘッド148と、半径方向内向きに延伸する突起部、キー部分150とを含む。キー部分150は、記述されるように、固定シャフト104内の補完的に形成された開口部内に留まるように形成され大きさが定められる。接触ヘッド148は、一般に、保持スリーブ122のスロット127内に留まる。キー部分150は、半径方向内向きに、シャフト104の歯が刻まれた部分114のキー孔120を通り穿孔110内へと延伸する。ばね118は、ばね保持スロット116内に留まっているが、接触ヘッド148の下面で、着座面152(図2参照)に接触し、固定部材146を半径方向外向きに付勢する。作業部分12のチャック102が組み立てられるとき、カム面部分132は、接触ヘッド148の半径方向外側面に接触する。
【0031】
次に、図6A,6Bを参照すれば、チャック102と共に使用する2つの典型的な平坦な柄の切断ブレードが示される。図6Aから始めれば、ブレード200は、のこぎり状の端面(a serrated edge)204を備えた切断部分202を有する。他の切断形状や構造が切断部分202のために使用されることは理解されるであろう。
【0032】
ブレード200は、その中を通って切除させる孔208を有する平坦な柄206を有する。孔208は、実質的に、固定部材146のキー部分150に対して補完的となるような大きさとなっている。孔208は、2つの端部208a,208bを有し、例として示されるように、各々は、実質的に円形形状を有し、ここでは、形状が実質的に同一である。ある実施形態によれば、各々の端部208a,208bは、中心点209,211と、周辺部217,219と、を有する。半径213,215は、中心点209,211から各々延伸する。端部208a,208bは、互いにオフセット距離221だけ離間している。その結果、中心点209,211の間の距離は、半径213,215の和よりも大きい(図6A参照)。
【0033】
図6Bに示されるように、一対の内側に向けられた畝部(ridges)223が、周辺部217,219間に提供され、それは、非補完的なキー部分の一部を排除する。ある実施形態では、柄の孔とキー部分とは、砂時計に似た補完的なプロフィールを有する。いくつかの実施形態では、柄の孔とキー部分とは、正方形、長方形、ダンベル形状、円形、扇型等の形状を有する。他の実施形態では、プロフィールは、非対称であり、横方向の付勢部を有し、その結果、ブレードは、1つの方向にだけ固定可能である。例えば、孔とキー部分とは、軸Lから横方向に配置され、その結果、孔は、囲まれた孔というよりも柄の側面に開口された切り欠きである。更に他の実施形態では、2以上の孔と2以上のキー部分とが、確かでしっかりとしたブレードの整合を可能にする。
【0034】
孔208の形状は、実質的に補完的な形状を有するキーだけがその孔の中に配置され得ることを確実にする。その結果、ブレード200が非補完的なキー部分を有する互換性を有しない装置と共に使用される可能性は減る。
【0035】
次に、図7A,7Bを参照すれば、ブレード200の断面図が、チャック102に取り付けられて示される。図7Aから始めれば、ブレード200は、チャック102内に、穿孔110の内側で柄206に挿入されて固定され、その結果、平坦な柄206はスロット112内に保持される。平坦な柄206は、中央の穿孔110の直径よりも大きい幅寸法を有し、それ故に、スロット112の中へ延伸し、そこで受容される。
【0036】
挿入に先立ち、カムスリーブ128は、回転矢印Rで示された方向に回転し、実質的に図7Aで示された位置へ回転されるべきである。この第1の位置では、カム面部分132の半径方向に拡大した部分132bは、固定部材146の接触ヘッド148に近接しており、それによって、ばね118が固定部材146を半径方向外向きに付勢することを許容する。
【0037】
次に、図7Bに移れば、カムスリーブ128は、それから回転し、半径方向に縮小した部分132aは、接触ヘッド148に近接して配置される。この第2の位置では、固定部材146は、半径方向内向きに急き立てられ、ばね118を圧縮し、キー部分150をブレード孔208へ移送し、それによって、固定ブレード200をチャック102内へ移送する。
【0038】
ある実施形態では、キー部分を第1の位置と第2の位置との間で完全に移送するために、チャック102は、カムスリーブ128が180度回転するように構成される。他の実施形態では、キー部分を第1の位置と第2の位置との間で移送するために、チャック102は、カムスリーブ128が180度以上又は以下に回転するように構成される。ある実施形態では、チャック102は、90度回転のために構成される。
【0039】
ある実施形態では、カムスリーブ128は、時計回り又は反時計回りに永久に回転するように構成される。そのような永久の回転は、操作者には使用が容易になる。他の実施形態では、第1の位置と第2の位置との間の回転が1又は2以上の停止位置の間の回転に制限されるように、1又は2以上の停止位置が含まれる。
【0040】
チャック102内のブレードや他の道具を除去したりまたは置き換えるためには、ここに記述される操作は本質的に逆である。カムスリーブ128が回転して、カム面部分132の半径方向に拡大した部分132bが接触ヘッド148に近接して配置され、それによって、固定部材146がばね118によって半径方向外向きに急き立てられることを許容し、キー部分150は、孔208から除去される。ブレード200は、そのとき、スロット112とチャック102とから撤去される
【0041】
上述したように、ブレード200の固定や係止は、圧縮可能なコレットをブレードに対して圧縮したり変形させたりすることなく達成される。その結果、ある実施形態によれば、レンチやチャックキー等がなくても手術道具はチャック102にしっかりと取り付けられるので、チャック102は、キーのないチャックである。道具の交換に遅延をもたらすことにつながるねじを手で締めたり緩めたりする必要がない。
【0042】
加えて、スロット112は、図2に示されるように、上側又は下側の対向する内側表面112a,112bを有する。対向する内側表面112a,112bは、表面112a,112b間のすべての点で実質的に等しい、スロット幅Wだけ離間している。その結果、道具がチャックの中に固定されようが固定が解除されていようが、スロット幅Wは、同じ幅で実質的に維持される。
【0043】
次に、図8を参照すれば、丸い柄を有する典型的な切除ブレード300が記述される。ブレード300は、上述した切除部分202及び端部204に構成が類似した、ぎざぎざの端部304を備えた切除部分302を有する。ブレード300は、一対の上側と下側の切り取った部分308a,308bをそれぞれ、柄306の近位端にて有する丸い柄306を有する。上側と下側の切り取った部分308a,308bは、平坦なセクション310を画定する。孔312は、上述した孔208に類似の形状と大きさであるが、平坦なセクション310内に配置される。
【0044】
その結果、丸い柄306は、円筒状の穿孔110を実質的に満たす大きさの第1の直径、即ち、第1の高さと、第2の直径、即ち、第1の高さより小さい第2の高さと、を有する。第2の高さは、部分308a,308bが切り取られた後に、平坦なセクション310の縮小した厚さに対応する。他の実施形態では、丸い柄306の側面だけが切り取られる。高さにおけるこの縮小は、キー突出部150が柄の孔へ出入りするために移動する必要がないというような、独特の有利な点を提供する。その結果、カムスリーブ128の最大の厚さにおける縮小を考慮すれば、キー突出部150の第1の部分と第2の部分との間の移動距離は縮小する。従って、チャック102の全体のプロフィールは縮小して、更に良好なアクセス、安全等の利益を提供する。
【0045】
縮小した全体のプロフィールから産出される追加の利益は、チャックの塊に関連する。往復運動に固有の迅速で繰り返される方向の変化は、ますます多くの塊が加えられ方向変化を迅速に行うに連れて、妨げられる。その結果、チャック全体のプロフィールを減らすことで、モータと伝達機構と緩衝装置とは、消耗と振動とパワー損失の減少からあらゆる利益を得る。加えて、負荷が減少するため、ハンドピースの大きさと重量とは更に減少する。重量と振動の減少は、バランスが改善されることと相まって、ユーザの正確性を増加させ、手術処置中のユーザの疲労を減少させる。他の実施形態では、丸い柄306は、切り取られないが、第1の直径部分でその全体の長さを延伸させる。
【0046】
シャフト104の穿孔110とスロット112とは、ブレード300のような実質的に丸い柄の断面を有する手術道具、或いは、ブレード200のような実質的に平坦化された平坦断面を有する手術道具を受容可能な受容部を提供する。丸い柄306は、シャフト104の穿孔110内に保持される大きさと形状である。その結果、丸い柄ブレード300は、ブレード200と実質的に同じ方法で穿孔110内へ挿入されるが、柄306のどの部分も、シャフト104のスロット112内に配置されないであろう。ブレード300は、カムスリーブ128を回転させることで、チャック102内に同様に固定され、固定部材146を半径方向内向きに付勢し、その結果、キー部分150は、柄306の孔312を通過する。ブレード300は、また、ブレード200と同じ方法で、チャック102から除去される。
【0047】
次に、図9Aを参照すれば、丸い柄を有する典型的なやすり道具が記述される。やすり道具400は、やすり表面404を備えた作業部分402を有する。やすり道具400は、柄406の近位端にて、各々、一対の上側と下側の切り取られた部分408a,408bを有する丸い柄406を有する。上側と下側の切り取られた部分408a,408bは、平坦なセクション410を画定する。孔412は、上述した孔208と類似の形状と大きさで、平坦なセクション410内に配置される。
【0048】
図9Bに示されたある実施形態によれば、やすり道具420は、やすり道具400の代わりに使用可能であるが、中心から外れて配置された湾曲部414a,414bのような予め形成された湾曲部や外形を備えた丸い柄を有するであろう。その結果、近位の柄部分416は、一般に第1の長手軸L1と整合し、遠位の柄部分418は、一般に第2の長手軸L2と、整合する。軸L1は、一般に、オフセット距離Dだけ軸L2から外れて配置される。例えば、軸L1に対して横断する単一の90度の湾曲部を備えた柄のような、他の柄の構成が考えられるが、中心から外れて配置された柄は、アクセスと視認性とを促進するために構成されるであろう。
【0049】
いくつかの応用例では、支柱の強度は延伸した距離で更に大きくなるから、丸い柄の手術道具を有することが好ましい。例えば、長いリーチの平坦な柄のブレードは、同じように伸びた丸い柄のブレードよりも、曲がる傾向がある。伸びたリーチを必要としない他の応用例は、平坦な柄のブレードの薄い切り口と切除効率とを必要とするであろう。その結果、開示された新規のチャックは、今やレンチや特殊なチャックキー等なしで道具の丸い柄と道具の平坦な柄とを容易に変えるユーザに有利な点を提供する。
【0050】
加えて、やすりの適用で明らかにされるような、増加した圧力を含む手続や、代替の道具を使った力の方向付けは、丸い柄から利益を得る。やすりをかける道具は、のこぎりブレードよりも塊の大きなヘッド部を有し、その結果、往復運動する器具の上昇運動工程の間、増加した引く力が柄に作用する。そのような状況では、本開示は、そのような力に抵抗する柄の孔を通って延伸する物理的な干渉締結突起部を提供することで、スプリットジョーコレット(a split jaw collet)のような摩擦締結コレットに有利な点を提供するであろう。加えて、締結突起部150は、丸い柄の軸回転、特に図9Bに示されるような中心から外れて配置された丸い柄の軸回転を妨げる。作業部分402に印加される作業圧力は、オフセット距離Dだけ拡大され、軸L1周りにトルクTを導入する回転モーメントを生成する。手術処置中の望まれない軸回転は、有害となろう。しかしながら、この実施形態によれば、締結突起部150は、構造的にトルクTによる回転運動を妨げて、コレット内でやすり道具400がスピンすることを妨げる。中心から外れて配置された柄がやすり道具の上に示されているが、中心から外れて配置された柄は、例えばのこぎりブレードやのみ、バー等を含む、任意の道具と共に使用されることは理解されるであろう。
【0051】
ある実施形態では、丸い柄は、長手方向に整合された1又は2以上の横方向の延伸部を含むが、柄の外側表面から半径方向外向きに突き出ている。横方向の延伸部は、存在するスロット112の中へ、又は、追加のスロット即ちキーワイズの中へ延伸し、少なくとも部分的には、平坦な柄の端部に似ている。他の実施形態では、横方向の延伸部は、ボスであり、あるいは、それらは、例えば、キーストックで形成される。
【0052】
示された実施形態では、チャックは、キーのないチャックであることは、更に特筆される。従って、チャックは、チャックを制御して助けるチャックキーや他の道具の構成要素を必要とすることなく、道具をロックし或いはロックを解除するように構成される。代わりに、チャックは、手で回され、チャックをユーザの指で把持することを助ける平坦部又はわずかな凹み部を含む。道具の平坦な柄又は道具の丸い柄は、回転防止特徴部及び引き抜き防止特徴部を有し、キーのないチャックの中に道具を固定し、孔は、一対の側壁部を有し、それらと遠位及び近位の端部壁部との間に幅を備えた長さを有する。側壁部の長さは、側壁部の間の幅よりも大きい。その結果、回転防止特徴部は、平坦な柄を有するブレードの平坦な柄の端を有し、或いは、柄のいずれかのタイプの孔の中に側壁部を有する。引き抜き防止特徴部は、柄のいずれかのタイプの孔の近位の端部壁部を有する。
【0053】
カムスリーブ128が保持スリーブ122回りに回転して固定部材146を第1の位置と第2の位置との間で動かすことは、後述する記載からわかるであろう。第1の位置では、キー部分150は、シャフト104の受容部から実質的に引き出されず、その結果、手術道具の柄は、そこから挿入され、除去されるであろう。第2の位置では、キー部分150は、シャフト104の受容部内に実質的に配置され、その結果、手術道具の柄が受容部内で存在すれば、キー部分150は、手術道具の柄の孔を通じて配置され、それによって、道具をチャック102内に固定する。
【0054】
往復運動する運動の操作では、器具10は、モータ15によって作動させ、図7A乃至図9に示されるように、動きの矢印Mで表される往復運動する方法で、ブレードややすり等の道具を動かす。モータ15は、ピニオンギア68を回転し、替わって、偏心クランク76を回転する。クランク76が回転するとき、それの動きは、チャック102と同様に、接続ロッド86と往復動シャフト88とを往復運動させる。他の実施形態が円形状又は横断する方向のような他の方向で往復運動の動きを提供することは理解されるであろう。
【0055】
ある実施形態では、丸い柄の孔と対応するキー部分とは、砂時計に似た相補的なプロフィールを有する。他の実施形態では、プロフィールは、非対称であり、横方向の付勢又はオフセットを含み、その結果、ブレードは、唯一の方向に固定可能である。例えば、孔とキー部分とは、軸Lから横方向に配置され、その結果、孔は、包囲された孔よりもむしろ柄の側面に於ける開放された切り欠きである。更に他の実施形態では、2以上の孔と2以上のキー部分とは、安全で首尾一貫したブレードの整列を許容する。
【0056】
道具の丸い柄又は道具の平坦な柄のいずれかの孔と対応するキー部分の変化する特徴のこれらの実施形態は、優先的な保護を提供する。例えば、砂時計形状の孔、非対称形状の孔、中心から外れて配置された長手方向の孔のひとつに構成された孔は、非優先的なブレードが、開示されたチャックと共に使用されることを妨げる。代替的には、キー部分の特徴部に対応する変形は、非優先的なチャックが、開示された手術道具と共に使用されることを妨げる。発明はひとつの形態だけで示されるが、それはそんなに限定されず、本発明の範囲を逸脱することなく様々な変形に影響を受け易いことは、当該技術分野の当業者には明らかであろう。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
往復運動する手術器具内に、固定孔を備えた柄を有する手術道具を固定するチャックであって、
軸を画定し、前記道具の前記柄を受容する受容部を有するシャフトと、
第1の位置と第2の位置との間で選択的に動作可能なシャフトに担持される固定部材であって、当該第1の位置では当該部材が実質的に前記受容部から引き出されて前記手術道具の挿入及び除去を許容し、当該第2の位置では当該部材が前記固定孔を通じて実質的に当該受容部内に配置されて当該手術道具を当該受容部内に固定する、固定部材と、
を有するチャック。
【請求項2】
請求項1に記載のチャックにおいて、
前記シャフト周りに取り付けられたカムスリーブを更に有し、
前記カムスリーブは、前記軸周りに回転可能であり、
前記カムスリーブは、前記固定部材を第1の位置から第2の位置へ動かす内部カムを有する、チャック。
【請求項3】
請求項2に記載のチャックにおいて、
少なくとも1つのばねを更に有し、
前記固定部材は、前記第1の位置に向けて付勢されたばねであり、
前記ばねは、前記固定部材を前記第2の位置から前記第1の位置へ配置するように構成された、チャック。
【請求項4】
請求項3に記載のチャックにおいて、
前記固定部材は、
着座面を提供して、前記固定部材を半径方向外側に向けて前記第1の位置へと付勢する前記少なくとも1つのばねの部分に接触するヘッド部と、
そこから延伸して前記手術道具のキー形状の開口部内で受容可能なように形成されて、当該手術道具を前記受容部内で固定する固定キー部分と、を有する、チャック。
【請求項5】
請求項4に記載のチャックにおいて、
前記固定キー部分は、実質的に砂時計の形状を有する、チャック。
【請求項6】
請求項2に記載のチャックにおいて、
前記カムスリーブは、半径方向内側に向けて方向付けられて前記固定部材に摺動して接触するカム面を有し、
前記カム面は、径方向に漸次変化して半径方向に拡大された部分と半径方向に縮小された部分とを提供し、前記カムスリーブが前記軸周りに回転するとき、前記固定部材がそれの第1の位置と第2の位置との間で半径方向に選択的に動作可能である、チャック。
【請求項7】
請求項2に記載のチャックにおいて、
前記カムスリーブは、前記シャフトに対して時計回りと反時計回りの両方で360の範囲で回転可能である、チャック。
【請求項8】
請求項1に記載のチャックにおいて、
前記受容部は、前記シャフト内に円筒状の穿孔を有し、実質的に円筒状の柄を有する手術道具を受容する、チャック。
【請求項9】
請求項8に記載のチャックにおいて、
前記受容部は、前記シャフトの前記側壁部の中へ延伸して横断するスロットを有し実質的に平坦な柄を有する手術道具を受容する、チャック。
【請求項10】
往復運動する手術器具へ手術道具を固定するチャックであって、
軸を画定し、当該軸に沿って延伸する円筒状の穿孔を有するシャフトであって、当該穿孔が道具の実質的に丸い柄を受容するように形成され、当該シャフトがまた道具の実質的に平坦な柄を受容するために当該軸を通過する平面に沿って当該シャフトの中へ延伸する一対の横断するスロットを有して、当該横断するスロットが当該円筒状の穿孔と交差する、シャフトと、
前記シャフトによって担持され、当該穿孔に対して半径方向で内向きと外向きの両方に動作可能で、前記チャック内に手術道具を固定する、固定部材と、
を有する、チャック。
【請求項11】
請求項10に記載のチャックにおいて、
前記シャフト及び前記軸の周りに回転して保持されるカムスリーブを更に有し、
前記カムスリーブは、第1及び第2の内側表面部分を有し、
前記第1の表面部分は、前記固定部材に係合するカム面を有して外方向位置から内側方向位置へ当該固定部材を動かし、
前記第2の表面部分は、前記軸から均等に離間した周辺部を有する、チャック。
【請求項12】
請求項11に記載のチャックにおいて、
前記カムスリーブと前記シャフトとの間に整列されたリテーナスリーブを更に有し、
前記カムスリーブの前記第2の表面部分は、前記リテーナスリーブに回転して係合し、
前記リテーナスリーブは、前記内向き位置と前記外向き位置との間の前記固定部材の動作を許容する大きさのスロットを有する、チャック。
【請求項13】
請求項12に記載のチャックにおいて、
前記リテーナスリーブ及び前記シャフトは、整列された横断する穴を有し、
前記チャックは更に、
前記整列された横断する穴の中に摺動して整合された対向するボールであって、前記カムスリーブの前記第2の表面部分が前記軸と整列した溝部を有して当該カムスリーブの当該溝部が当該ボールと整列されるとき当該ボールを受容するように構成されて、前記ボールによる自由回転に対して前記カムスリーブが固定される、対向するボールと、
前記ボールを半径方向外方向に付勢するばねと、を有する、チャック。
【請求項14】
請求項11に記載のチャックにおいて、
前記カムスリーブの前記第2の表面部分内に形成されて、ボール部材を受容する回り止めと、
前記シャフト内に保持されて半径方向外向きに付勢され、前記カムスリーブが所定の位置へ回転するとき前記回り止め内に配置される、ボール部材と、を更に有する、チャック。
【請求項15】
請求項14に記載のチャックにおいて、
前記回り止め内に配置されている前記ボールは、操作者に対する触覚のフィードバック及び聴取可能なフィードバックの少なくとも一方を生成する、チャック。
【請求項16】
請求項10に記載のチャックにおいて、
前記シャフトに結合されて前記固定部材を外方向に付勢するばねを更に有する、チャック。
【請求項17】
請求項10に記載のチャックにおいて、
前記横方向のスロットは、上側と下側の対向する内側表面を有し、
前記対向する内側表面は、前記道具が前記チャック内に固定されようが固定を解除されようが、前記横方向のスロットを横切って実質的に同じスロット幅だけ離間している、チャック。
【請求項18】
手術処置中に組織構造を処置するシステムであって、往復運動する手術器具を有するシステムにおいて、
前記往復運動する手術器具は、
回転可能なスピンドル軸を有するモータと、
前記スピンドル軸に取り付けられて当該スピンドル軸の回転動作を往復運動動作へ変換する伝達機構と、
前記伝達機構に結合された手術道具のチャックと、
遠位端部及び近位端部を有する手術道具と、を有し、
前記チャックは、
長手軸を画定して道具受容部と半径方向に延伸する近位開口部とを有する受容シャフトと、
前記受容シャフトに摺動して結合された係止部材であって、そこから延伸する突起部を有する、係止部材と、
前記シャフト上に回転して保持されるカムスリーブであって、内側のカム面を有する、カムスリーブと、を有し、
前記手術道具は、当該近位端部が前記道具受容部内に受容されるように構成され、取り付け受容部内に配置されるときに前記受容シャフトの前記半径方向に延伸する近位開口部に対応するように配置された孔を有し、前記突起部が当該受容シャフトの当該近位開口部から引き出されて当該手術道具の挿入と除去とを許容する第1の位置と当該突起部が当該受容シャフトの前記近位開口部及び当該手術道具の前記孔内に実質的に受容されて当該手術道具を前記チャック内に固定する第2の位置との間を前記係止部材が選択的に動作可能であり、前記カム面が当該突起部を当該第2の位置へと急き立てるように構成された、システム。
【請求項19】
請求項18に記載のシステムにおいて、
前記シャフトに結合されて、前記突起部を前記第1の位置に向けて付勢するように配置されたばねを更に有する、システム。
【請求項20】
請求項19に記載のシステムにおいて、
前記係止部材は、内側表面を備えたヘッド部分と、そこから延伸する前記突起部とを有し、
前記ヘッド部分は、前記突起部より幅広い長さ寸法を有し、
前記内側表面は、前記ばねを係合するための少なくとも1つのばね係合特徴部を有する、システム。
【請求項21】
請求項18に記載のシステムにおいて、
前記道具受容部は、前記シャフト内に円筒状の穿孔を有して実質的に円筒状の柄を備えた手術道具を受容する、システム。
【請求項22】
請求項21に記載のシステムにおいて、
前記手術道具は、第1及び第2の直径を備えた柄を有し、
前記第1の直径は、実質的に前記円筒状の穿孔を満たす大きさであり、
前記第2の直径は、前記第1の位置と前記第2の位置との間で前記突起部の移動距離を減らすように構成された減らされた厚さを表わし、それによって、前記チャックの全体のプロフィールを減らす、システム。
【請求項23】
請求項21に記載のシステムにおいて、
前記道具受容部は、前記シャフトの対向する側壁部を通じて延伸して実質的に平坦な柄を備えた手術道具を受容する横断するスロットを更に有する、システム。
【請求項24】
請求項18に記載のシステムにおいて、
前記カム面は、半径方向内向きに方向付けられて前記係止部材に摺動して接触し、
前記カム面は、半径方向に漸次変化して半径方向に拡大した部分と半径方向に縮小した部分とを提供し、前記カムスリーブが前記長手軸の周りに回転するとき、前記係止部材がそれの第1の位置と第2の位置との間で半径方向に選択的に動作可能である、システム。
【請求項25】
請求項18に記載のシステムにおいて、
前記カムスリーブを180度回転させることは、前記突起部を前記第1の位置と前記第2の位置との間で完全に移動させる、システム。
【請求項26】
請求項21に記載のシステムにおいて、
前記手術道具は、前記長手軸に一般に整列した第1の部分と、オフセット軸に一般に整列した第2の位置部分とを有する中心から外れて配置された柄を有し、
前記オフセット軸は、一般に前記長手軸に平行でオフセット距離だけ当該長手軸から外れて配置される、システム。
【請求項27】
請求項18に記載のシステムにおいて、
前記手術道具のチャックは、キーを有しない、システム。
【請求項28】
請求項18に記載のシステムにおいて、
前記手術道具は、柄を有し、
前記柄は、キーを有しないチャック内に前記道具を固定するために回転防止特徴部と引き抜き防止特徴部とを有し、
前記孔は、近位端部の壁部との間に長さと幅とを備えた一対の側壁部を有し、
前記側壁部の長さは、前記一対の側壁部の間の前記幅より大きく、
前記回転防止特徴部は、平坦な柄の端部と前記一対の側壁部の少なくとも1つであり、
引き抜き防止特徴部は、前記近位端部の壁部である、システム。
【請求項29】
請求項18に記載のシステムにおいて、
前記手術道具の前記孔は、砂時計形状の孔、非対称形状の孔、中心から外れて配置された長手方向の孔のひとつである、システム。
【請求項1】
往復運動する手術器具内に、固定孔を備えた柄を有する手術道具を固定するチャックであって、
軸を画定し、前記道具の前記柄を受容する受容部を有するシャフトと、
第1の位置と第2の位置との間で選択的に動作可能なシャフトに担持される固定部材であって、当該第1の位置では当該部材が実質的に前記受容部から引き出されて前記手術道具の挿入及び除去を許容し、当該第2の位置では当該部材が前記固定孔を通じて実質的に当該受容部内に配置されて当該手術道具を当該受容部内に固定する、固定部材と、
を有するチャック。
【請求項2】
請求項1に記載のチャックにおいて、
前記シャフト周りに取り付けられたカムスリーブを更に有し、
前記カムスリーブは、前記軸周りに回転可能であり、
前記カムスリーブは、前記固定部材を第1の位置から第2の位置へ動かす内部カムを有する、チャック。
【請求項3】
請求項2に記載のチャックにおいて、
少なくとも1つのばねを更に有し、
前記固定部材は、前記第1の位置に向けて付勢されたばねであり、
前記ばねは、前記固定部材を前記第2の位置から前記第1の位置へ配置するように構成された、チャック。
【請求項4】
請求項3に記載のチャックにおいて、
前記固定部材は、
着座面を提供して、前記固定部材を半径方向外側に向けて前記第1の位置へと付勢する前記少なくとも1つのばねの部分に接触するヘッド部と、
そこから延伸して前記手術道具のキー形状の開口部内で受容可能なように形成されて、当該手術道具を前記受容部内で固定する固定キー部分と、を有する、チャック。
【請求項5】
請求項4に記載のチャックにおいて、
前記固定キー部分は、実質的に砂時計の形状を有する、チャック。
【請求項6】
請求項2に記載のチャックにおいて、
前記カムスリーブは、半径方向内側に向けて方向付けられて前記固定部材に摺動して接触するカム面を有し、
前記カム面は、径方向に漸次変化して半径方向に拡大された部分と半径方向に縮小された部分とを提供し、前記カムスリーブが前記軸周りに回転するとき、前記固定部材がそれの第1の位置と第2の位置との間で半径方向に選択的に動作可能である、チャック。
【請求項7】
請求項2に記載のチャックにおいて、
前記カムスリーブは、前記シャフトに対して時計回りと反時計回りの両方で360の範囲で回転可能である、チャック。
【請求項8】
請求項1に記載のチャックにおいて、
前記受容部は、前記シャフト内に円筒状の穿孔を有し、実質的に円筒状の柄を有する手術道具を受容する、チャック。
【請求項9】
請求項8に記載のチャックにおいて、
前記受容部は、前記シャフトの前記側壁部の中へ延伸して横断するスロットを有し実質的に平坦な柄を有する手術道具を受容する、チャック。
【請求項10】
往復運動する手術器具へ手術道具を固定するチャックであって、
軸を画定し、当該軸に沿って延伸する円筒状の穿孔を有するシャフトであって、当該穿孔が道具の実質的に丸い柄を受容するように形成され、当該シャフトがまた道具の実質的に平坦な柄を受容するために当該軸を通過する平面に沿って当該シャフトの中へ延伸する一対の横断するスロットを有して、当該横断するスロットが当該円筒状の穿孔と交差する、シャフトと、
前記シャフトによって担持され、当該穿孔に対して半径方向で内向きと外向きの両方に動作可能で、前記チャック内に手術道具を固定する、固定部材と、
を有する、チャック。
【請求項11】
請求項10に記載のチャックにおいて、
前記シャフト及び前記軸の周りに回転して保持されるカムスリーブを更に有し、
前記カムスリーブは、第1及び第2の内側表面部分を有し、
前記第1の表面部分は、前記固定部材に係合するカム面を有して外方向位置から内側方向位置へ当該固定部材を動かし、
前記第2の表面部分は、前記軸から均等に離間した周辺部を有する、チャック。
【請求項12】
請求項11に記載のチャックにおいて、
前記カムスリーブと前記シャフトとの間に整列されたリテーナスリーブを更に有し、
前記カムスリーブの前記第2の表面部分は、前記リテーナスリーブに回転して係合し、
前記リテーナスリーブは、前記内向き位置と前記外向き位置との間の前記固定部材の動作を許容する大きさのスロットを有する、チャック。
【請求項13】
請求項12に記載のチャックにおいて、
前記リテーナスリーブ及び前記シャフトは、整列された横断する穴を有し、
前記チャックは更に、
前記整列された横断する穴の中に摺動して整合された対向するボールであって、前記カムスリーブの前記第2の表面部分が前記軸と整列した溝部を有して当該カムスリーブの当該溝部が当該ボールと整列されるとき当該ボールを受容するように構成されて、前記ボールによる自由回転に対して前記カムスリーブが固定される、対向するボールと、
前記ボールを半径方向外方向に付勢するばねと、を有する、チャック。
【請求項14】
請求項11に記載のチャックにおいて、
前記カムスリーブの前記第2の表面部分内に形成されて、ボール部材を受容する回り止めと、
前記シャフト内に保持されて半径方向外向きに付勢され、前記カムスリーブが所定の位置へ回転するとき前記回り止め内に配置される、ボール部材と、を更に有する、チャック。
【請求項15】
請求項14に記載のチャックにおいて、
前記回り止め内に配置されている前記ボールは、操作者に対する触覚のフィードバック及び聴取可能なフィードバックの少なくとも一方を生成する、チャック。
【請求項16】
請求項10に記載のチャックにおいて、
前記シャフトに結合されて前記固定部材を外方向に付勢するばねを更に有する、チャック。
【請求項17】
請求項10に記載のチャックにおいて、
前記横方向のスロットは、上側と下側の対向する内側表面を有し、
前記対向する内側表面は、前記道具が前記チャック内に固定されようが固定を解除されようが、前記横方向のスロットを横切って実質的に同じスロット幅だけ離間している、チャック。
【請求項18】
手術処置中に組織構造を処置するシステムであって、往復運動する手術器具を有するシステムにおいて、
前記往復運動する手術器具は、
回転可能なスピンドル軸を有するモータと、
前記スピンドル軸に取り付けられて当該スピンドル軸の回転動作を往復運動動作へ変換する伝達機構と、
前記伝達機構に結合された手術道具のチャックと、
遠位端部及び近位端部を有する手術道具と、を有し、
前記チャックは、
長手軸を画定して道具受容部と半径方向に延伸する近位開口部とを有する受容シャフトと、
前記受容シャフトに摺動して結合された係止部材であって、そこから延伸する突起部を有する、係止部材と、
前記シャフト上に回転して保持されるカムスリーブであって、内側のカム面を有する、カムスリーブと、を有し、
前記手術道具は、当該近位端部が前記道具受容部内に受容されるように構成され、取り付け受容部内に配置されるときに前記受容シャフトの前記半径方向に延伸する近位開口部に対応するように配置された孔を有し、前記突起部が当該受容シャフトの当該近位開口部から引き出されて当該手術道具の挿入と除去とを許容する第1の位置と当該突起部が当該受容シャフトの前記近位開口部及び当該手術道具の前記孔内に実質的に受容されて当該手術道具を前記チャック内に固定する第2の位置との間を前記係止部材が選択的に動作可能であり、前記カム面が当該突起部を当該第2の位置へと急き立てるように構成された、システム。
【請求項19】
請求項18に記載のシステムにおいて、
前記シャフトに結合されて、前記突起部を前記第1の位置に向けて付勢するように配置されたばねを更に有する、システム。
【請求項20】
請求項19に記載のシステムにおいて、
前記係止部材は、内側表面を備えたヘッド部分と、そこから延伸する前記突起部とを有し、
前記ヘッド部分は、前記突起部より幅広い長さ寸法を有し、
前記内側表面は、前記ばねを係合するための少なくとも1つのばね係合特徴部を有する、システム。
【請求項21】
請求項18に記載のシステムにおいて、
前記道具受容部は、前記シャフト内に円筒状の穿孔を有して実質的に円筒状の柄を備えた手術道具を受容する、システム。
【請求項22】
請求項21に記載のシステムにおいて、
前記手術道具は、第1及び第2の直径を備えた柄を有し、
前記第1の直径は、実質的に前記円筒状の穿孔を満たす大きさであり、
前記第2の直径は、前記第1の位置と前記第2の位置との間で前記突起部の移動距離を減らすように構成された減らされた厚さを表わし、それによって、前記チャックの全体のプロフィールを減らす、システム。
【請求項23】
請求項21に記載のシステムにおいて、
前記道具受容部は、前記シャフトの対向する側壁部を通じて延伸して実質的に平坦な柄を備えた手術道具を受容する横断するスロットを更に有する、システム。
【請求項24】
請求項18に記載のシステムにおいて、
前記カム面は、半径方向内向きに方向付けられて前記係止部材に摺動して接触し、
前記カム面は、半径方向に漸次変化して半径方向に拡大した部分と半径方向に縮小した部分とを提供し、前記カムスリーブが前記長手軸の周りに回転するとき、前記係止部材がそれの第1の位置と第2の位置との間で半径方向に選択的に動作可能である、システム。
【請求項25】
請求項18に記載のシステムにおいて、
前記カムスリーブを180度回転させることは、前記突起部を前記第1の位置と前記第2の位置との間で完全に移動させる、システム。
【請求項26】
請求項21に記載のシステムにおいて、
前記手術道具は、前記長手軸に一般に整列した第1の部分と、オフセット軸に一般に整列した第2の位置部分とを有する中心から外れて配置された柄を有し、
前記オフセット軸は、一般に前記長手軸に平行でオフセット距離だけ当該長手軸から外れて配置される、システム。
【請求項27】
請求項18に記載のシステムにおいて、
前記手術道具のチャックは、キーを有しない、システム。
【請求項28】
請求項18に記載のシステムにおいて、
前記手術道具は、柄を有し、
前記柄は、キーを有しないチャック内に前記道具を固定するために回転防止特徴部と引き抜き防止特徴部とを有し、
前記孔は、近位端部の壁部との間に長さと幅とを備えた一対の側壁部を有し、
前記側壁部の長さは、前記一対の側壁部の間の前記幅より大きく、
前記回転防止特徴部は、平坦な柄の端部と前記一対の側壁部の少なくとも1つであり、
引き抜き防止特徴部は、前記近位端部の壁部である、システム。
【請求項29】
請求項18に記載のシステムにおいて、
前記手術道具の前記孔は、砂時計形状の孔、非対称形状の孔、中心から外れて配置された長手方向の孔のひとつである、システム。
【図1A】
【図1B】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図7A】
【図7B】
【図8】
【図9A】
【図9B】
【図1B】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図7A】
【図7B】
【図8】
【図9A】
【図9B】
【公表番号】特表2011−526804(P2011−526804A)
【公表日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−516384(P2011−516384)
【出願日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【国際出願番号】PCT/US2009/045486
【国際公開番号】WO2010/002527
【国際公開日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【出願人】(504101304)メドトロニック・ゾーメド・インコーポレーテッド (28)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【国際出願番号】PCT/US2009/045486
【国際公開番号】WO2010/002527
【国際公開日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【出願人】(504101304)メドトロニック・ゾーメド・インコーポレーテッド (28)
【Fターム(参考)】
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