手術用膜挿入治具及び手術用膜挿入装置
【課題】確実かつ容易に手術用膜を隙間に挿入する操作が行える手術用膜挿入治具及び手術用膜挿入装置を提供する。
【解決手段】手術用膜挿入治具10は、ステム11と、可撓性を有し、一端側が前記ステム11に保持され、その間に手術用膜14を保持可能である一対のガイドフィルム13と、前記ガイドフィルム13より高い剛性を有し、前記ステム11に対して所定の第1方向に沿って移動可能であり、前記ガイドフィルム13間に前記手術用膜14を保持する保持状態において前記一対のガイドフィルム13の前記手術用膜14を保持する保持部13bの外側に配される一対のガイドブレード12と、を備える。
【解決手段】手術用膜挿入治具10は、ステム11と、可撓性を有し、一端側が前記ステム11に保持され、その間に手術用膜14を保持可能である一対のガイドフィルム13と、前記ガイドフィルム13より高い剛性を有し、前記ステム11に対して所定の第1方向に沿って移動可能であり、前記ガイドフィルム13間に前記手術用膜14を保持する保持状態において前記一対のガイドフィルム13の前記手術用膜14を保持する保持部13bの外側に配される一対のガイドブレード12と、を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、手術用膜挿入治具及び手術用膜挿入装置に関し、特に、薄い手術用膜を隙間に挿入する際に用いられるものに関する。
【背景技術】
【0002】
患者の組織の欠損や機能不全を治療する手段のひとつとして、細胞シート移植医療がある。細胞シートは細胞シート工学技術によって作成される。患者自身、あるいは他者から採取した細胞を培養して細胞シートを作成し、細胞間の接着を維持したまま、薄片として回収する。これを患者に移植することによって皮膚、角膜、眼底の基底膜等の欠損を補充する治療が有効であることが知られている。
【0003】
また、細胞シート工学で歯根膜の代用となる細胞シート(培養歯根膜)を作成し、歯根部に移植する医療が研究されている。歯根膜は歯の根の部分(歯根膜)にあって、歯茎と歯の界面を隔てている膜である。例えば、歯槽膿漏が進行すると、歯茎と歯の間に隙間(いわゆる「歯周ポケット」ができ、歯茎の表皮細胞が歯根部にまで広がり、本来あるべき歯根膜に取って代わってしまう。表皮細胞は歯と接着しないため、歯茎と歯の間に出来た隙間は自然に埋まることはない。この隙間で細菌が繁殖し続けるため、歯や顎骨が侵されて、歯を失うことになる。このような場合に、細胞シート工学で歯根膜の代用となる細胞シート(培養歯根膜)を作成し、歯根部に移植する。通常、移植に際しては手術で歯茎を切開して歯茎と歯の隙間を開き、歯根部の表面に細胞シートを貼り付けて、再び歯茎を被せ、縫合する。
【0004】
また、細胞シートを移植する以外にも、類似の操作が求められる場合がある。例えば、癒着した組織を剥離する手術を行った際に、術後に再び癒着することを防ぐ目的で、パラフィンや合成樹脂の薄片を留置することがある。このような操作は、癒着によって障害が生じることが予想される場合に行われるのみならず、再手術が予定されている場合に、次回の手術において、時間が掛かるとともに危険を伴う剥離工程を不要にすることを目的として行われる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】http://www.twma.ac.jp/ABMES/csperio
【非特許文献2】「再生医療技術の最前線」(ISBN978−4−88231−676−3)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述した技術では、次のような問題があった。すなわち、上記技術では、対象となる部位に細胞シートや薄片等を含む手術用膜を移植するためには、まず手術で切開して隙間を開き、表面に細胞シートを貼り付けて、再び縫合するという手順が必要である。このため、手術にかかる手間と侵襲性が多いという問題がある。
【0007】
そこで、本発明は、確実かつ容易に手術用膜を隙間に挿入する操作が行える手術用膜挿入治具及び手術用膜挿入装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一形態に係る手術用膜挿入治具は、ベースと、可撓性を有し、一端側が前記ベースに保持され、その間に手術用膜を保持可能である、一対の第1ガイド部と、前記第1ガイド部より高い剛性を有し、前記ベースに対して所定の第1方向に沿って移動可能であり、前記第1ガイド部間に前記手術用膜を保持する保持状態において前記一対の第1ガイド部の前記手術用膜を保持する保持部の外側に配される一対の第2ガイド部と、を備えたことを特徴とする。
【0009】
本発明の他の一形態に係る手術用膜挿入装置は、前記手術用膜挿入治具と、前記ベースに接続されるボディ部と、前記ボディ部に設けられ操作者に操作される操作部と、前記操作部と前記第2ガイド部とに接続され、前記操作部の操作により前記第2ガイド部を前記ベースに対して前記第1方向に移動させるリンクと、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、確実かつ容易に手術用膜を隙間に挿入する操作を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の第1実施形態に係る手術用膜挿入治具の構成を示す斜視図。
【図2】同手術用膜挿入治具の構成を示す側面。
【図3】同手術用膜挿入治具のセット工程を示す説明図。
【図4】同手術用膜挿入治具の挿入工程を示す説明図。
【図5】本発明の第2実施形態に係る手術用膜挿入治具の挿入工程を示す説明図。
【図6】同手術用膜挿入治具の挿入工程を示す説明図。
【図7】本発明の第3実施形態に係る手術用膜挿入治具の挿入工程を示す説明図。
【図8】同手術用膜挿入治具の挿入工程を示す説明図。
【図9】本発明の第4実施形態に係る手術用膜挿入治具の構成を示す斜視図。
【図10】同手術用膜挿入治具の構成を示す側面。
【図11】同手術用膜挿入治具のセット工程を示す説明図。
【図12】同手術用膜挿入治具の挿入工程を示す説明図。
【図13】本発明の第5実施形態に係る手術用膜挿入装置の構成を示す斜視図。
【図14】同手術用膜挿入装置の一部を拡大して示す斜視図。
【図15】同手術用膜挿入装置の一部を分解して示す斜視図。
【図16】同実施形態に係る手術用膜挿入治具の挿入工程を示す説明図。
【図17】本発明の第6実施形態に係る手術用膜挿入治具の構成を示す正面図。
【図18】同手術用膜挿入治具の構成を示す断面図。
【図19】同実施形態に係る手術用膜挿入治具のセット工程を示す説明図。
【図20】同実施形態に係る手術用膜挿入治具のセット工程を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[第1実施の形態]
以下、本発明の第1実施形態にかかる手術用膜挿入治具10について、図1乃至図4を参照して説明する。図1は、本実施形態にかかる手術用膜挿入治具の斜視図、図2は側面図である。なお、図中矢印X,Y,Zは互いに直交する3方向をそれぞれ示す。本実施形態においては、第1方向(Z方向)が挿入方向に沿うとともに、第2方向(X方向)が挿入部の間隙厚さ方向に沿うように示している。この実施形態では、一例として細胞シート工学で歯根膜の代用となる細胞シート14を作成し、歯根部の隙間(挿入部)に移植する場合を示す。
【0013】
図1に示すように、手術用膜挿入治具10は、一対のガイドフィルム13を保持するベースの一例としてのステム11と、ステム11の両側に配される第2ガイド部の一例としての一対のガイドブレード12と、一端がステム11に保持されるとともに一対のガイドブレード12の間に配される第1ガイド部の一例としての一対のガイドフィルム13と、を備えて構成されている。図1に示す保持状態においては、対向する一対のガイドフィルム13の間(内側)に手術用膜の一例としての細胞シート14が保持されている。
【0014】
ステム11は、Z方向に延びる矩形の細長い板状に構成されている。ステム11のZ方向先端部(図中下端部)に、一対のガイドフィルム13を取付ける取付部11aが設けられている。
【0015】
一対のガイドブレード12は、ステム11を挟みX方向両側に配されている。一対のガイドブレード12は、ステム11に対してZ方向に沿って往復移動可能に構成されている。
【0016】
一対のガイドブレード12はそれぞれ金属材等により矩形の平板に構成されている。一対のガイドブレード12の長手方向はZ方向に沿って延びている。ガイドブレード12は、ガイドフィルム13よりも高い剛性を有し、保持状態においてZ方向先端側に位置して一対のガイドフィルム13を挟むようにガイドフィルム13の保持部13bの外側に配されることにより、ガイドフィルム13の保持部13bを挿入方向にガイドする機能を有している。なお、図4のST9に示す退避状態においてガイドブレード12はZ方向基端側に退避する。
【0017】
図2に示すように、一対のガイドフィルム13は、可撓性を有する樹脂材で構成されて厚み方向に撓み変形可能であり、その一端部13aがステム11に保持されている。このガイドフィルム13の他端側からの捲り量(返し量)が調節されることにより、細胞シート14の状態が調整される。
【0018】
ガイドフィルム13は、細胞シート14を保持する保持状態において、U字状の湾曲形状を成す。ガイドフィルム13は、ベースに保持される一端部13aと、一対のガイドの内側においてZ方向に延びその間に細胞シート14を保持する保持部13bと、保持部13bよりも他端側においてガイドブレード12の先端から外側に向かって返される曲部13cと、さらに他端側においてガイドブレード12の外側を通って一端部13a側(図中上側)に戻る返し部13dと、を連続して一体に有している。
【0019】
図4のST9に示す退避状態において、ガイドフィルム13は、ガイドブレード12外側の曲部13cから他端部13eまでの返し部13dの長さが長く、ガイドブレード12内側の一端部13aから曲部13cまでの保持部13bの長さが短く構成され、細胞シート14から捲られて退避している。
【0020】
ガイドフィルム13の外側の他端側を上方に引っ張ることにより捲り量としての返し部13dの長さを増やすことにより、保持状態から退避状態へ状態を変化させることができる。
【0021】
細胞シート14は、例えば所定の面積と厚みを有する細胞膜で構成され、面積に比べ厚みが薄い。細胞膜は、極めてもろい細胞が並んで互いに接着し合った薄膜である。細胞膜の厚みは細胞一層あるいは数層程度であり、例えば細胞一層では10μm程度である。細胞膜の広さは、移植部位に応じて決定され、例えば歯根の場合には数ミリ角程度である。乾燥すると細胞が死ぬため、細胞膜は常に濡れている必要がある。このため、細胞膜を空気中で取り扱うと、空気と水の海面で表面張力が生じる為、容易に他のものの表面に貼付いてしまう。また、細胞膜の一端をつまんで持ち上げると細胞膜がそれ自身と貼り付いて棒状に丸まってしまう。一端このような状態になると伸展できない。細胞膜のこれらの特徴は、温めた牛乳の表面に出来る膜に似ている。したがって、空気中で細胞膜を伸展した状態で保持するためには、何かの表面に貼り付ける必要がある。
【0022】
さらに、細胞膜は、その表面をこすると容易に破れ、破れた膜が丸まってしまう。したがって、細胞膜を保持する表面(ここではガイドフィルム13)が細胞膜をこすると細胞膜を損傷する原因となる。このため細胞シート14とガイドフィルム13との間にはすべりが生じないようにして、ガイドフィルム13のみを創15(及び細胞シート14)から抜き出すことが必要となる。
【0023】
以下、本実施形態に係る手術用膜挿入治具10の操作手順について、図3及び図4を参照して説明する。図3は、細胞シート14をガイドフィルム13間にセットする工程としてステップ(ST)1乃至ST5を示している。
【0024】
まず、ST1に示すように、可撓性のガイドフィルム13の少なくとも一方を捲り、ガイドフィルム13同士の間隔を広げ、その間に細胞シート14を配する。ガイドフィルム13は樹脂材で構成されるとともに、細胞シート14は濡れ性を有して構成される。このため、ST2に示すように、表面張力により、2枚のガイドフィルム13で細胞シート14を保持することが出来る。
【0025】
ついで、ST3に示すように、取付部11aをステム11の先端に設置する。このとき、予めガイドブレード12を上方に退避させておく。
【0026】
続いて、ST4に示すように、ガイドフィルム13の外側に配置される一対のガイドブレード12を挿入方向であるZ方向先端側(図中下方)に移動させる。
【0027】
さらに、ST5に示すように、ガイドフィルム13を厚み方向に湾曲してU字状に撓み変形させ、ガイドブレード12の先端から外側へ他端側を折り曲げることにより、保持状態となる。
【0028】
ついで、ST5に示す保持状態の挿入治具を、移植対象の隙間である創15(挿入部)に挿入する工程であるST6乃至ST9について、図4を参照して説明する。
【0029】
まず、ST6及びST7に示すように保持状態の挿入治具全体を創15(挿入部)に向かってZ方向に沿って移動させ、ガイドブレード12、ガイドフィルム13、及び細胞シート14を、創15に挿入する。挿入した状態をST7に示す。このとき、ステム11及びガイドブレード12は所定の剛性を有するため、ガイドフィルム13及び細胞シート14が伸展した状態を維持したままZ方向に沿って挿入される。
【0030】
ついで、ST8に示すように、ステム11の位置を保持したままで、ガイドブレード12及びガイドフィルム13の他端側を、挿入方向と反対方向(退避方向)である図中Z方向基端側に向かって移動させる。このとき、シートの他端側はガイドブレード12の移動の2倍の速度で引き上げる。
【0031】
挿入完了時、あるいはガイドフィルム13を引き上げる工程中において、細胞シート14は創15に接触する。このため、細胞シート14はその表面張力により創15に付着し、創15に保持される。
【0032】
ガイドフィルム13を引き上げる工程において、ステム11の位置は維持されているので、ガイドフィルム13の一端側の位置は変わらず、他端側のみが図中上方に移動する。このため、ガイドフィルム13が他端側から捲れて細胞シート14の表面から離れて退避するように移動する。
【0033】
以上により、ST9に示すように、細胞シート14のみを創15内に留置し、手術用膜挿入治具10だけを退避させることができる。
【0034】
本実施形態によれば以下のような効果が得られる。すなわち、狭い隙間の創15に、手間と侵襲性が少ない方法で、培養歯根膜等の細胞シート14を移植することができる。特に、狭い範囲でだけ剥離を行った時には、組織と組織の隙間に薄片を挿入する操作は困難であるが、本実施形態の手術用膜挿入治具10を用いれば隙間を広げることなく容易に挿入することが可能となる。したがって、挿入部を手術により剥離して手術用膜を貼り付けてから縫合する技術と比較して、極めて容易かつ確実な方法によって手術用膜を留置することが可能となる。
【0035】
また、可撓性のガイドフィルム13で細胞シート14を保護及び案内して挿入した後、ガイドフィルム13を他端側から少しずつ捲って剥がしながら退避させる構成としたので、細胞シート14とガイドフィルム13との間にすべりが生じないという条件を満たしつつ、ガイドフィルム13を細胞シート14及び創15から退避させることが可能となる。このため、細胞シート14を損傷することなく、伸展した状態を保つことが可能となる。さらに、ガイドフィルム13を上方に引き上げながら捲り上げて退避させることができるため、創15を大きく広げることなく操作することが可能である。また、剛性の高いガイドブレード12によって挿入方向を案内できるため薄くて軟弱な薄片を用いることができる。このため、術後に周囲の組織を傷つける危険性も低い。したがって、特に物質が軟弱である場合であっても、確実に、伸展した状態で留置できるので、まるまったり、裂けたりしてしまうことを避けることができる。
【0036】
[第2実施形態]
以下、本発明の第2実施形態にかかる手術用膜挿入治具10について図5及び図6を参照して説明する。なお、手術用膜挿入治具10を退避させる手順以外は上記第1実施形態と同様であるため、共通する説明を省略する。
【0037】
本実施形態においては、上記第1実施形態におけるセット工程と手術用膜挿入治具10に細胞シート14をセットする。ついで、ST6、ST7と同様に、ST21,ST22に示すように、手術用膜挿入治具10を創15に挿入する。
【0038】
ついで、ST23に示すように、ステム11の位置を動かさずに、一方のガイドブレード12のみを引き上げる。このとき、ガイドフィルム13はガイドブレード12との摩擦が小さく、創15に接しているため、動かない。
【0039】
ST24に示すように、一方のガイドブレード12の引き上げが完了すると、ガイドフィルム13の曲部13cとブレードの先端との間に若干の間隙16が形成される。このとき、二重になったガイドフィルム13を創15の組織が圧している状態となる。
【0040】
図6に示すように、ST25に示すように、一方のガイドフィルム13を引き上げる。これにより、移植する細胞シート14の一方の表面が露出し、創15表面に貼り付く。
【0041】
続いて、ガイドフィルム13の引き上げが完了した後、ST26に示すように、他方のガイドブレード12を引き上げる。
【0042】
他方のガイドブレード12の引き上げが完了した後、ST27において、残りのガイドフィルム13を引き上げる。ST28に示すように、ガイドフィルム13の引き上げが完了して退避状態となると、移植する細胞シート14が伸展した状態で創15内に留置される。
【0043】
本実施形態においても、上記第1実施形態と同様の効果が得られる。さらに、ガイドブレード12とガイドフィルム13とを段階的に退避させることにより、創15が非常に軟弱な組織中にある場合でも、ST23においてガイドフィルム13とガイドブレード12が引き抜かれるにつれて創15が変形するのを抑えることができ、細胞シート14に皺が寄ることを防止できる。また、ST25の段階で1枚のブレードが創15を支えているために、創15が非常に軟弱な組織中にあっても創15がほとんど変形せず、創15内に細胞シート14を伸展した状態で留置できる。
【0044】
[第3実施形態]
以下、本発明の第3実施形態にかかる手術用膜挿入治具10について図7及び図8を参照して説明する。なお、手術用膜挿入治具10を退避させる手順以外は上記第1実施形態と同様であるため、共通する説明を省略する。
【0045】
本実施形態においては、上記第1実施形態におけるセット工程と手術用膜挿入治具10に細胞シート14をセットする。ついで、ST6、ST7と同様に、ST31,ST32に示すように、手術用膜挿入治具10を創15に挿入する。
【0046】
ついでST33において、ステム11の位置を動かさずに、一方のガイドブレード12を少し引き上げる。ガイドフィルム13はガイドブレード12との摩擦が小さい。さらにガイドフィルム13は創15に接しているため動かない。このため、ガイドフィルム13が折れ曲がっている曲部の付近に若干のゆとり(あそび17)が構成される。
【0047】
ST34において、ガイドブレード12を引き続き引き上げると同時に、その速さの2倍の速さで同側のガイドフィルム13を引き上げる。すると、あそび17の量が常に一定に保たれたままガイドフィルム13が引き抜かれることになる。この過程中、ガイドブレード12の内側でも外側でもガイドフィルム13がガイドブレード12に対して運動しており、ガイドフィルム13の形状は図に示すように保たれる。そして、移植する細胞シート14が露出し、創15の表面に貼り付く。
【0048】
以上により、図8に示すように、ST35において、ガイドブレード12とガイドフィルム13の引き上げが完了する。
【0049】
つづいてST36において他方のガイドブレード12を少し引き上げると、ガイドフィルム13が折れ曲がっている部分の付近にあそび17が構成される。ガイドフィルム13の引き上げが完了すると、他方のガイドブレード12を引き上げる。
【0050】
さらに、ST38において、ガイドブレード12を引き続き引き上げると同時に、その速さの2倍の速さで同側のガイドフィルム13を引き上げる。これによって、手術用膜挿入治具10が退避状態となり、移植する細胞シート14が伸展した状態で創15内に留置される。
【0051】
本実施形態においても、上記第1実施形態と同様の効果が得られる。さらに、ST33とST36の段階であそび17を作ることによって、ガイドブレード12とガイドフィルム13の間の摩擦を低減することができ、ST34およびST37の段階でガイドブレード12とガイドフィルム13を滑らかに引き上げることができる。
【0052】
[第4実施形態]
以下、本発明の第4実施形態にかかる手術用膜挿入治具19について図9乃至図12を参照して説明する。なお、ガイドフィルム13がループ状を成すこと以外は上記第1実施形態の手術用膜挿入治具10と同様であるため、共通する説明を省略する。
【0053】
手術用膜挿入治具19において、ガイドフィルム13の他端側13eはステム11に保持され、ガイドフィルム13がループを有する環状を成している。このループの内側にガイドブレード12が配置されている。板状のガイドブレード12の上端部には、図中X方向両端側に突出するフック18が形成されている。このフック18にZ方向の力を加えることにより、ガイドブレード12が移動する。
【0054】
ガイドフィルム13はループ状を成し、ガイドブレード12の周囲に設けられている。このため、ガイドブレード12をZ方向に移動させると、ガイドブレード12を囲んで配置されたガイドフィルム13も同時に移動する。したがって、ガイドブレード12を移動するだけで、ガイドフィルム13の捲り量が調節可能となっている。
【0055】
以下、本実施形態に係る手術用膜挿入治具19の操作手順について、図11及び図12を参照して説明する。図11は、細胞シート14をガイドフィルム13間にセットする工程(セット工程)を示している。
【0056】
まず、ST41に示すように、ガイドブレード12を上方に退避させておく。この状態で、一方のガイドフィルム13に細胞シート14を配する。
【0057】
ついで、ST42、ST43に示すように、ガイドブレード12を挿入方向先端側に移動させ、ガイドフィルム13も同時に下方へ移動させる。これにより、保持部13bが内側に移動し、2枚のシートの間に細胞シート14が挟持される。ガイドフィルム13は樹脂材で構成されるとともに、細胞シート14は濡れ性を有して構成されるため、表面張力により、2枚のガイドフィルム13で細胞シート14を保持することが出来る。
【0058】
ついで、保持状態の挿入治具を創15(挿入部)の隙間に挿入する工程(挿入工程)について、図12を参照して説明する。
【0059】
本実施形態においては、上記第1実施形態におけるST6、ST7と同様に、ST44,ST45に示すように、手術用膜挿入治具19を創15に挿入する。
【0060】
ついでST46において、ステム11の位置を動かさずに、両側のガイドブレード12を引き上げる。するとガイドフィルム13も引き上げられる。ガイドフィルム13の外側(創15に接している部分)の引き上げの速さは、ガイドブレード12の引き上げの速さの2倍となる。一方、ガイドフィルム13の内側(移植する膜に接している部分)は移動せず、他端側から順に捲られ細胞シート14から退避する。このため、移植する細胞シート14が露出して、創15内に留置される。以上によりST47に示すように、ガイドブレード12の引き上げが完了すると、移植する細胞シート14が伸展した状態で創15内に留置される。
【0061】
本実施形態においても、上記第1実施形態と同様の効果が得られる。さらに、ガイドフィルム13とガイドブレード12を別々に動作させる必要がなく、ガイドブレード12を動作させるだけでガイドフィルム13も移動するため、機構が簡単にできる。従って、微細なデバイスを作るのに適している。
【0062】
[第5実施形態]
以下、本発明の第5実施形態にかかる手術用膜挿入装置20及び手術用膜挿入治具19について図13乃至図16を参照して説明する。図15において説明のため手前側の部材を外した状態を示している。なお、手術用膜挿入治具19については、摩擦低下部を形成したこと以外の構成は上記第4実施形態と同様であるため、共通する説明を省略する。
【0063】
図13に示すように、手術用膜挿入装置20は、手術用膜挿入治具19と、ボディ部21と、位置決めステー22(位置決め機構部)と、調節機構部23と、操作部24と、リンク25と、を備えて構成されている。
【0064】
ボディ部21は、屈曲部を有するL字形状に形成された一対の板状部材を有して構成されている。ボディ部21の一端側には、操作者に把持されるグリップ部21aが設けられている。ボディ部21の他端側に支持部21bが設けられている。この支持部21bの先端に、手術用膜挿入治具19のステム11が固定されている。
【0065】
位置決めステー22は、グリップ部21aの上方の屈曲部に設けられた第1の回動軸21cを中心として、ボディ部21に対して回転可能に設けられている。第1の回動軸21cの軸心はY方向に延びている。位置決めステー22の先端側は、ボディ部21の支持部21bの先端側方向へ延びている。
【0066】
調節機構部23は、ボディ部21に接続され、付勢部材23aと調節ねじ23bとを備えて構成されている。付勢部材23aは、位置決めステー22をボディ部21から離れる方向に付勢する。調節ねじ23bは締め付けられることにより付勢部材23aの付勢力に抗って位置決めステー22をボディ部21側に押圧する。すなわち操作者が調節ねじ23bの締め付け状態を調節するより位置決めステー22の位置が調節される。
【0067】
ボディ部21の中央には、第2の回動軸24aにより回動可能な操作部24が設けられている。操作部24は、グリップ部21aと離間した位置において回動可能に構成されている。
【0068】
リンク25は、複数のリンク部材25a,25b,25cが、互いに回動可能に連結されて構成されている。基端側のリンク部材25aは、操作部24における第2の回動軸24aから離間した位置に設けられた第3の回動軸24bに、回動可能に接続されている。第3の回動軸24bの軸心はY方向に延びている。図14及び図15に拡大して示すように、先端側のリンク部材25cには、スライダ25dが設けられている。スライダ25dは、ガイドブレード12に固定されるとともに、ステム11に対してZ方向に摺動可能に係合している。
【0069】
図14及び図15に示すように、本実施形態にかかる手術用膜挿入治具19では、ガイドブレード12の上下の端部にそれぞれ摩擦低下部12a,12bが設けられている。
【0070】
上端の摩擦低下部12aはガイドブレード12の厚さよりも大きい径寸法を有する円柱状に形成されている。下端の摩擦低下部12bは円弧状に形成された外周面を有して構成されている。これら摩擦低下部12a、12bの曲面状の外面により、ガイドブレード12を挿入及び退避させる際に、ガイドフィルム13との摩擦を少なくし、動作を滑らかにすることができる。すなわち、ガイドブレード12の端部付近でガイドフィルム13とブレードの間に大きな摩擦力が発生することを防止できる。このため、ガイドフィルム13の損傷を防止することが可能となる。
【0071】
図16に示すように、ガイドフィルム13の寸法設定はガイドブレード12の外周寸法よりも長くなるように設定されている。この寸法設定は、ガイドブレードの厚さ寸法をT、ガイドフィルムの厚さ寸法をtとした場合に、少なくとも、ガイドフィルム13の長さがガイドブレード12の外周長さよりも(π/2−1)Tだけ長くなるように設定する。
【0072】
なお、図16では、一例として、ガイドフィルム13の長さは、(π/2−1)Tよりもさらに長く、ガイドブレード12を退避させる際にガイドブレード12の先端とガイドフィルム13の曲部13cとの間にあそび17が形成されるように寸法設定する場合を示す。
【0073】
以下、手術用膜挿入装置20の操作方法を説明する。本実施形態においては、まず、挿入操作の前に、調節ねじ23をゆるめ、位置決めステー22の先端がボディ部21から十分に離れた状態にする。
【0074】
この状態で、上記第1実施形態におけるST6、ST7と同様に、図16のST51乃至ST53に示すように、手術用膜挿入治具19を創15に挿入する。このとき、操作者は、手術用膜挿入装置20のグリップ部21aを把持しながら、ステム11を含む先端部分を移動させて、創15内に差し込む。
【0075】
挿入時には、挿入方向の先端側においてガイドブレード12とガイドフィルム13とは密着している。また、挿入方向の基端側においてガイドブレード12とガイドフィルム13との間にゆとり(あそび17)が形成される。
【0076】
この状態を保持したまま調節ねじ23を締め付けると、位置決めステー22の先端が歯27に近づく。位置決めステー22の先端が歯27に当接するまで調節ねじ23を締める。位置決めステー22が歯27に押し付けられた状態が維持される。以上の操作により、手術用膜挿入装置20全体の位置が創15に対して位置決めされる。このため、ステム11が創15内における一定の位置に保持される。
【0077】
次に、グリップ部21aを把持しながら指で操作部24を引く。すると複数のリンク部材25a,25b,25cが相互に回動し、スライダ25dが創15から退避する方向に引っ張られる。このときスライダ25dはステム11に対してZ方向に沿って移動するように案内される。この動作により、ST54に示すように、ステム11の位置を動かすことなく両側のガイドブレード12がZ方向に沿って引き上げられる。この状態において、ガイドフィルム13はガイドブレード12の外周長さよりも長めに設定されているため、曲部13cの付近に若干のゆとり(あそび17)が構成される。
【0078】
さらに、ST55に示すように、ガイドブレード12を引き上げると、ガイドフィルム13も引き上げられる。ガイドフィルム13の外側(創15に接している部分)の引き上げの速さは、ガイドブレード12の引き上げの速さの2倍となる。一方、ガイドフィルム13の内側(移植する膜に接している部分)は移動せず、他端側から順に捲られ、細胞シート14から剥がれるように退避する。このため、移植する細胞シート14が露出して、創15内に留置される。
【0079】
以上により第4実施形態と同様にガイドブレード12の引き上げが完了すると、移植する細胞シート14が伸展した状態で創15内に留置される。
【0080】
本実施形態によれば、上記第4実施形態と同様の効果が得られる。さらに、手術用膜挿入装置20により、手術用膜挿入治具19の挿入及び退避操作を片手で容易に行うとともに、創15やその付近の歯27に確実に位置決めすることが可能である。また、ガイドフィルム13及びガイドブレード12の寸法設定により容易に退避の際にあそび17を形成することができる。したがって、単純な構成によりガイドフィルム13を引き上げることができるため、創15を広げることなく細胞シート14を伸展した状態で留置できるという効果が得られる。
【0081】
[第6実施形態]
以下、本発明の第6実施形態にかかる手術用膜挿入治具30について図17乃至図20を参照して説明する。なお、第1ガイド部として袋状のガイドフィルム袋31を用いたこと以外は上記第1実施形態の手術用膜挿入治具10と同様であるため、共通する説明を省略する。
【0082】
本実施形態における手術用膜挿入治具30において、一対の第1ガイド部は、両端が連続して形成された袋形状を成す1つのガイドフィルム袋31で構成されている。このガイドフィルム袋31における内側で互いに対向する2つの面を形成する保持部31a,31bがそれぞれ第1ガイド部に相当する。すなわち、上述の各実施形態では2つのテープ状のガイドフィルム13を用いたが、ここでは一対のガイドフィルム13が一体に連続しており、挿入方向に交差する面で見た場合に、対向するガイドフィルム同士の端部が連続して環状を成している。
【0083】
この手術用膜挿入治具30のセット工程は、まず図19及び図20においてST61に示すように、一対の第1ガイドとしての保持部31bの間に細胞シート14を挟む。ついで、ST62,ST63に示すように、ガイドフィルム袋31の先端側を折り返して曲部31c、返し部31dを有する湾曲形状を構成する。さらに、保持部31bと返し部31dとの間にガイドブレード12を設置することにより、ST64に示すように細胞シート14がセットされる。以上により細胞シート14がセットされた手術用膜挿入治具30は、第1乃至第3実施形態の手術用膜挿入治具10と同様に用いることができる。さらに、他端部31eをステム11にセットすることにより第4及び第5実施形態の手術用膜挿入治具19と同様に用いることができる。
【0084】
本実施形態においても、上述の第1実施形態と同様の効果が得られる。さらに、一対の第1ガイド部は、1つの袋状のガイドフィルム袋31として一体に連続して形成されているため、細胞シート14の全周を外部から保護することができ、高い防塵効果や、乾燥を防止できる効果*が得られる。したがって、準備から挿入までに時間がかかる場合にも適用できる。また、予めガイドフィルム袋31内に細胞シート14をセットしておくことも可能となる。
【0085】
なお、本発明は上記各実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。例えば手術用膜挿入治具10,19,30、手術用膜挿入装置20の具体的な構成や、各部材の形状及び材質等は上述の例に限られるものではなく、適宜変更可能である。
【0086】
また、挿入部は歯根である場合について例示したが、他の部位であってもよい。また、移植する膜は細胞シート14以外であっても適用可能である。例えば、癒着した組織を剥離する手術を行った際に、術後に再び癒着することを防ぐ目的で、パラフィンや合成樹脂の薄片を留置する場合に、上述の手術用膜挿入治具10,19、30及び手術用膜挿入装置20を用い、細胞シート14の代わりに、手術用膜として、パラフィンや合成樹脂の薄片を留置することにより、確実かつ容易に挿入部に手術用膜を挿入することができる。
【0087】
さらに、第1実施形態では、取付部11aをステム11と着脱可能とした場合について説明したが、最初からステム11に取付部11aが一体になっており、ステム11に一対のガイドフィルム13の一端部13aを取り付けるように構成することも可能である。
【0088】
また、異なる実施形態にわたる複数の特徴を組み合わせても良い。例えば第5実施形態の手術用膜挿入装置20の手術用膜挿入治具19に代えて手術用挿入治具10、30を適用してもよいし、第6実施形態のガイドフィルム袋31を、第2乃至第5実施形態で説明した手術用膜挿入治具10、19に用いることも可能である。
【0089】
また、上記の実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施例に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施例にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0090】
10.19.30…手術用膜挿入治具、11…ステム(ベース)、
12…ガイドブレード(第2ガイド部)、12a.12b…摩擦低下部、
13…ガイドフィルム(第1ガイド部)、13a…一端部、13b…保持部、
13c…曲部、13e…他端部、14…細胞シート(手術用膜)、15…創(挿入部)、16…間隙、17…あそび、18…フック、20…手術用膜挿入装置、21…ボディ部、
22…位置決めステー(位置決め機構部)、23…調節機構部、24…操作部、
25…リンク、25d…スライダ、31…ガイドフィルム袋、
31b…保持部(第1ガイド部)。
【技術分野】
【0001】
本発明は、手術用膜挿入治具及び手術用膜挿入装置に関し、特に、薄い手術用膜を隙間に挿入する際に用いられるものに関する。
【背景技術】
【0002】
患者の組織の欠損や機能不全を治療する手段のひとつとして、細胞シート移植医療がある。細胞シートは細胞シート工学技術によって作成される。患者自身、あるいは他者から採取した細胞を培養して細胞シートを作成し、細胞間の接着を維持したまま、薄片として回収する。これを患者に移植することによって皮膚、角膜、眼底の基底膜等の欠損を補充する治療が有効であることが知られている。
【0003】
また、細胞シート工学で歯根膜の代用となる細胞シート(培養歯根膜)を作成し、歯根部に移植する医療が研究されている。歯根膜は歯の根の部分(歯根膜)にあって、歯茎と歯の界面を隔てている膜である。例えば、歯槽膿漏が進行すると、歯茎と歯の間に隙間(いわゆる「歯周ポケット」ができ、歯茎の表皮細胞が歯根部にまで広がり、本来あるべき歯根膜に取って代わってしまう。表皮細胞は歯と接着しないため、歯茎と歯の間に出来た隙間は自然に埋まることはない。この隙間で細菌が繁殖し続けるため、歯や顎骨が侵されて、歯を失うことになる。このような場合に、細胞シート工学で歯根膜の代用となる細胞シート(培養歯根膜)を作成し、歯根部に移植する。通常、移植に際しては手術で歯茎を切開して歯茎と歯の隙間を開き、歯根部の表面に細胞シートを貼り付けて、再び歯茎を被せ、縫合する。
【0004】
また、細胞シートを移植する以外にも、類似の操作が求められる場合がある。例えば、癒着した組織を剥離する手術を行った際に、術後に再び癒着することを防ぐ目的で、パラフィンや合成樹脂の薄片を留置することがある。このような操作は、癒着によって障害が生じることが予想される場合に行われるのみならず、再手術が予定されている場合に、次回の手術において、時間が掛かるとともに危険を伴う剥離工程を不要にすることを目的として行われる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】http://www.twma.ac.jp/ABMES/csperio
【非特許文献2】「再生医療技術の最前線」(ISBN978−4−88231−676−3)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述した技術では、次のような問題があった。すなわち、上記技術では、対象となる部位に細胞シートや薄片等を含む手術用膜を移植するためには、まず手術で切開して隙間を開き、表面に細胞シートを貼り付けて、再び縫合するという手順が必要である。このため、手術にかかる手間と侵襲性が多いという問題がある。
【0007】
そこで、本発明は、確実かつ容易に手術用膜を隙間に挿入する操作が行える手術用膜挿入治具及び手術用膜挿入装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一形態に係る手術用膜挿入治具は、ベースと、可撓性を有し、一端側が前記ベースに保持され、その間に手術用膜を保持可能である、一対の第1ガイド部と、前記第1ガイド部より高い剛性を有し、前記ベースに対して所定の第1方向に沿って移動可能であり、前記第1ガイド部間に前記手術用膜を保持する保持状態において前記一対の第1ガイド部の前記手術用膜を保持する保持部の外側に配される一対の第2ガイド部と、を備えたことを特徴とする。
【0009】
本発明の他の一形態に係る手術用膜挿入装置は、前記手術用膜挿入治具と、前記ベースに接続されるボディ部と、前記ボディ部に設けられ操作者に操作される操作部と、前記操作部と前記第2ガイド部とに接続され、前記操作部の操作により前記第2ガイド部を前記ベースに対して前記第1方向に移動させるリンクと、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、確実かつ容易に手術用膜を隙間に挿入する操作を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の第1実施形態に係る手術用膜挿入治具の構成を示す斜視図。
【図2】同手術用膜挿入治具の構成を示す側面。
【図3】同手術用膜挿入治具のセット工程を示す説明図。
【図4】同手術用膜挿入治具の挿入工程を示す説明図。
【図5】本発明の第2実施形態に係る手術用膜挿入治具の挿入工程を示す説明図。
【図6】同手術用膜挿入治具の挿入工程を示す説明図。
【図7】本発明の第3実施形態に係る手術用膜挿入治具の挿入工程を示す説明図。
【図8】同手術用膜挿入治具の挿入工程を示す説明図。
【図9】本発明の第4実施形態に係る手術用膜挿入治具の構成を示す斜視図。
【図10】同手術用膜挿入治具の構成を示す側面。
【図11】同手術用膜挿入治具のセット工程を示す説明図。
【図12】同手術用膜挿入治具の挿入工程を示す説明図。
【図13】本発明の第5実施形態に係る手術用膜挿入装置の構成を示す斜視図。
【図14】同手術用膜挿入装置の一部を拡大して示す斜視図。
【図15】同手術用膜挿入装置の一部を分解して示す斜視図。
【図16】同実施形態に係る手術用膜挿入治具の挿入工程を示す説明図。
【図17】本発明の第6実施形態に係る手術用膜挿入治具の構成を示す正面図。
【図18】同手術用膜挿入治具の構成を示す断面図。
【図19】同実施形態に係る手術用膜挿入治具のセット工程を示す説明図。
【図20】同実施形態に係る手術用膜挿入治具のセット工程を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[第1実施の形態]
以下、本発明の第1実施形態にかかる手術用膜挿入治具10について、図1乃至図4を参照して説明する。図1は、本実施形態にかかる手術用膜挿入治具の斜視図、図2は側面図である。なお、図中矢印X,Y,Zは互いに直交する3方向をそれぞれ示す。本実施形態においては、第1方向(Z方向)が挿入方向に沿うとともに、第2方向(X方向)が挿入部の間隙厚さ方向に沿うように示している。この実施形態では、一例として細胞シート工学で歯根膜の代用となる細胞シート14を作成し、歯根部の隙間(挿入部)に移植する場合を示す。
【0013】
図1に示すように、手術用膜挿入治具10は、一対のガイドフィルム13を保持するベースの一例としてのステム11と、ステム11の両側に配される第2ガイド部の一例としての一対のガイドブレード12と、一端がステム11に保持されるとともに一対のガイドブレード12の間に配される第1ガイド部の一例としての一対のガイドフィルム13と、を備えて構成されている。図1に示す保持状態においては、対向する一対のガイドフィルム13の間(内側)に手術用膜の一例としての細胞シート14が保持されている。
【0014】
ステム11は、Z方向に延びる矩形の細長い板状に構成されている。ステム11のZ方向先端部(図中下端部)に、一対のガイドフィルム13を取付ける取付部11aが設けられている。
【0015】
一対のガイドブレード12は、ステム11を挟みX方向両側に配されている。一対のガイドブレード12は、ステム11に対してZ方向に沿って往復移動可能に構成されている。
【0016】
一対のガイドブレード12はそれぞれ金属材等により矩形の平板に構成されている。一対のガイドブレード12の長手方向はZ方向に沿って延びている。ガイドブレード12は、ガイドフィルム13よりも高い剛性を有し、保持状態においてZ方向先端側に位置して一対のガイドフィルム13を挟むようにガイドフィルム13の保持部13bの外側に配されることにより、ガイドフィルム13の保持部13bを挿入方向にガイドする機能を有している。なお、図4のST9に示す退避状態においてガイドブレード12はZ方向基端側に退避する。
【0017】
図2に示すように、一対のガイドフィルム13は、可撓性を有する樹脂材で構成されて厚み方向に撓み変形可能であり、その一端部13aがステム11に保持されている。このガイドフィルム13の他端側からの捲り量(返し量)が調節されることにより、細胞シート14の状態が調整される。
【0018】
ガイドフィルム13は、細胞シート14を保持する保持状態において、U字状の湾曲形状を成す。ガイドフィルム13は、ベースに保持される一端部13aと、一対のガイドの内側においてZ方向に延びその間に細胞シート14を保持する保持部13bと、保持部13bよりも他端側においてガイドブレード12の先端から外側に向かって返される曲部13cと、さらに他端側においてガイドブレード12の外側を通って一端部13a側(図中上側)に戻る返し部13dと、を連続して一体に有している。
【0019】
図4のST9に示す退避状態において、ガイドフィルム13は、ガイドブレード12外側の曲部13cから他端部13eまでの返し部13dの長さが長く、ガイドブレード12内側の一端部13aから曲部13cまでの保持部13bの長さが短く構成され、細胞シート14から捲られて退避している。
【0020】
ガイドフィルム13の外側の他端側を上方に引っ張ることにより捲り量としての返し部13dの長さを増やすことにより、保持状態から退避状態へ状態を変化させることができる。
【0021】
細胞シート14は、例えば所定の面積と厚みを有する細胞膜で構成され、面積に比べ厚みが薄い。細胞膜は、極めてもろい細胞が並んで互いに接着し合った薄膜である。細胞膜の厚みは細胞一層あるいは数層程度であり、例えば細胞一層では10μm程度である。細胞膜の広さは、移植部位に応じて決定され、例えば歯根の場合には数ミリ角程度である。乾燥すると細胞が死ぬため、細胞膜は常に濡れている必要がある。このため、細胞膜を空気中で取り扱うと、空気と水の海面で表面張力が生じる為、容易に他のものの表面に貼付いてしまう。また、細胞膜の一端をつまんで持ち上げると細胞膜がそれ自身と貼り付いて棒状に丸まってしまう。一端このような状態になると伸展できない。細胞膜のこれらの特徴は、温めた牛乳の表面に出来る膜に似ている。したがって、空気中で細胞膜を伸展した状態で保持するためには、何かの表面に貼り付ける必要がある。
【0022】
さらに、細胞膜は、その表面をこすると容易に破れ、破れた膜が丸まってしまう。したがって、細胞膜を保持する表面(ここではガイドフィルム13)が細胞膜をこすると細胞膜を損傷する原因となる。このため細胞シート14とガイドフィルム13との間にはすべりが生じないようにして、ガイドフィルム13のみを創15(及び細胞シート14)から抜き出すことが必要となる。
【0023】
以下、本実施形態に係る手術用膜挿入治具10の操作手順について、図3及び図4を参照して説明する。図3は、細胞シート14をガイドフィルム13間にセットする工程としてステップ(ST)1乃至ST5を示している。
【0024】
まず、ST1に示すように、可撓性のガイドフィルム13の少なくとも一方を捲り、ガイドフィルム13同士の間隔を広げ、その間に細胞シート14を配する。ガイドフィルム13は樹脂材で構成されるとともに、細胞シート14は濡れ性を有して構成される。このため、ST2に示すように、表面張力により、2枚のガイドフィルム13で細胞シート14を保持することが出来る。
【0025】
ついで、ST3に示すように、取付部11aをステム11の先端に設置する。このとき、予めガイドブレード12を上方に退避させておく。
【0026】
続いて、ST4に示すように、ガイドフィルム13の外側に配置される一対のガイドブレード12を挿入方向であるZ方向先端側(図中下方)に移動させる。
【0027】
さらに、ST5に示すように、ガイドフィルム13を厚み方向に湾曲してU字状に撓み変形させ、ガイドブレード12の先端から外側へ他端側を折り曲げることにより、保持状態となる。
【0028】
ついで、ST5に示す保持状態の挿入治具を、移植対象の隙間である創15(挿入部)に挿入する工程であるST6乃至ST9について、図4を参照して説明する。
【0029】
まず、ST6及びST7に示すように保持状態の挿入治具全体を創15(挿入部)に向かってZ方向に沿って移動させ、ガイドブレード12、ガイドフィルム13、及び細胞シート14を、創15に挿入する。挿入した状態をST7に示す。このとき、ステム11及びガイドブレード12は所定の剛性を有するため、ガイドフィルム13及び細胞シート14が伸展した状態を維持したままZ方向に沿って挿入される。
【0030】
ついで、ST8に示すように、ステム11の位置を保持したままで、ガイドブレード12及びガイドフィルム13の他端側を、挿入方向と反対方向(退避方向)である図中Z方向基端側に向かって移動させる。このとき、シートの他端側はガイドブレード12の移動の2倍の速度で引き上げる。
【0031】
挿入完了時、あるいはガイドフィルム13を引き上げる工程中において、細胞シート14は創15に接触する。このため、細胞シート14はその表面張力により創15に付着し、創15に保持される。
【0032】
ガイドフィルム13を引き上げる工程において、ステム11の位置は維持されているので、ガイドフィルム13の一端側の位置は変わらず、他端側のみが図中上方に移動する。このため、ガイドフィルム13が他端側から捲れて細胞シート14の表面から離れて退避するように移動する。
【0033】
以上により、ST9に示すように、細胞シート14のみを創15内に留置し、手術用膜挿入治具10だけを退避させることができる。
【0034】
本実施形態によれば以下のような効果が得られる。すなわち、狭い隙間の創15に、手間と侵襲性が少ない方法で、培養歯根膜等の細胞シート14を移植することができる。特に、狭い範囲でだけ剥離を行った時には、組織と組織の隙間に薄片を挿入する操作は困難であるが、本実施形態の手術用膜挿入治具10を用いれば隙間を広げることなく容易に挿入することが可能となる。したがって、挿入部を手術により剥離して手術用膜を貼り付けてから縫合する技術と比較して、極めて容易かつ確実な方法によって手術用膜を留置することが可能となる。
【0035】
また、可撓性のガイドフィルム13で細胞シート14を保護及び案内して挿入した後、ガイドフィルム13を他端側から少しずつ捲って剥がしながら退避させる構成としたので、細胞シート14とガイドフィルム13との間にすべりが生じないという条件を満たしつつ、ガイドフィルム13を細胞シート14及び創15から退避させることが可能となる。このため、細胞シート14を損傷することなく、伸展した状態を保つことが可能となる。さらに、ガイドフィルム13を上方に引き上げながら捲り上げて退避させることができるため、創15を大きく広げることなく操作することが可能である。また、剛性の高いガイドブレード12によって挿入方向を案内できるため薄くて軟弱な薄片を用いることができる。このため、術後に周囲の組織を傷つける危険性も低い。したがって、特に物質が軟弱である場合であっても、確実に、伸展した状態で留置できるので、まるまったり、裂けたりしてしまうことを避けることができる。
【0036】
[第2実施形態]
以下、本発明の第2実施形態にかかる手術用膜挿入治具10について図5及び図6を参照して説明する。なお、手術用膜挿入治具10を退避させる手順以外は上記第1実施形態と同様であるため、共通する説明を省略する。
【0037】
本実施形態においては、上記第1実施形態におけるセット工程と手術用膜挿入治具10に細胞シート14をセットする。ついで、ST6、ST7と同様に、ST21,ST22に示すように、手術用膜挿入治具10を創15に挿入する。
【0038】
ついで、ST23に示すように、ステム11の位置を動かさずに、一方のガイドブレード12のみを引き上げる。このとき、ガイドフィルム13はガイドブレード12との摩擦が小さく、創15に接しているため、動かない。
【0039】
ST24に示すように、一方のガイドブレード12の引き上げが完了すると、ガイドフィルム13の曲部13cとブレードの先端との間に若干の間隙16が形成される。このとき、二重になったガイドフィルム13を創15の組織が圧している状態となる。
【0040】
図6に示すように、ST25に示すように、一方のガイドフィルム13を引き上げる。これにより、移植する細胞シート14の一方の表面が露出し、創15表面に貼り付く。
【0041】
続いて、ガイドフィルム13の引き上げが完了した後、ST26に示すように、他方のガイドブレード12を引き上げる。
【0042】
他方のガイドブレード12の引き上げが完了した後、ST27において、残りのガイドフィルム13を引き上げる。ST28に示すように、ガイドフィルム13の引き上げが完了して退避状態となると、移植する細胞シート14が伸展した状態で創15内に留置される。
【0043】
本実施形態においても、上記第1実施形態と同様の効果が得られる。さらに、ガイドブレード12とガイドフィルム13とを段階的に退避させることにより、創15が非常に軟弱な組織中にある場合でも、ST23においてガイドフィルム13とガイドブレード12が引き抜かれるにつれて創15が変形するのを抑えることができ、細胞シート14に皺が寄ることを防止できる。また、ST25の段階で1枚のブレードが創15を支えているために、創15が非常に軟弱な組織中にあっても創15がほとんど変形せず、創15内に細胞シート14を伸展した状態で留置できる。
【0044】
[第3実施形態]
以下、本発明の第3実施形態にかかる手術用膜挿入治具10について図7及び図8を参照して説明する。なお、手術用膜挿入治具10を退避させる手順以外は上記第1実施形態と同様であるため、共通する説明を省略する。
【0045】
本実施形態においては、上記第1実施形態におけるセット工程と手術用膜挿入治具10に細胞シート14をセットする。ついで、ST6、ST7と同様に、ST31,ST32に示すように、手術用膜挿入治具10を創15に挿入する。
【0046】
ついでST33において、ステム11の位置を動かさずに、一方のガイドブレード12を少し引き上げる。ガイドフィルム13はガイドブレード12との摩擦が小さい。さらにガイドフィルム13は創15に接しているため動かない。このため、ガイドフィルム13が折れ曲がっている曲部の付近に若干のゆとり(あそび17)が構成される。
【0047】
ST34において、ガイドブレード12を引き続き引き上げると同時に、その速さの2倍の速さで同側のガイドフィルム13を引き上げる。すると、あそび17の量が常に一定に保たれたままガイドフィルム13が引き抜かれることになる。この過程中、ガイドブレード12の内側でも外側でもガイドフィルム13がガイドブレード12に対して運動しており、ガイドフィルム13の形状は図に示すように保たれる。そして、移植する細胞シート14が露出し、創15の表面に貼り付く。
【0048】
以上により、図8に示すように、ST35において、ガイドブレード12とガイドフィルム13の引き上げが完了する。
【0049】
つづいてST36において他方のガイドブレード12を少し引き上げると、ガイドフィルム13が折れ曲がっている部分の付近にあそび17が構成される。ガイドフィルム13の引き上げが完了すると、他方のガイドブレード12を引き上げる。
【0050】
さらに、ST38において、ガイドブレード12を引き続き引き上げると同時に、その速さの2倍の速さで同側のガイドフィルム13を引き上げる。これによって、手術用膜挿入治具10が退避状態となり、移植する細胞シート14が伸展した状態で創15内に留置される。
【0051】
本実施形態においても、上記第1実施形態と同様の効果が得られる。さらに、ST33とST36の段階であそび17を作ることによって、ガイドブレード12とガイドフィルム13の間の摩擦を低減することができ、ST34およびST37の段階でガイドブレード12とガイドフィルム13を滑らかに引き上げることができる。
【0052】
[第4実施形態]
以下、本発明の第4実施形態にかかる手術用膜挿入治具19について図9乃至図12を参照して説明する。なお、ガイドフィルム13がループ状を成すこと以外は上記第1実施形態の手術用膜挿入治具10と同様であるため、共通する説明を省略する。
【0053】
手術用膜挿入治具19において、ガイドフィルム13の他端側13eはステム11に保持され、ガイドフィルム13がループを有する環状を成している。このループの内側にガイドブレード12が配置されている。板状のガイドブレード12の上端部には、図中X方向両端側に突出するフック18が形成されている。このフック18にZ方向の力を加えることにより、ガイドブレード12が移動する。
【0054】
ガイドフィルム13はループ状を成し、ガイドブレード12の周囲に設けられている。このため、ガイドブレード12をZ方向に移動させると、ガイドブレード12を囲んで配置されたガイドフィルム13も同時に移動する。したがって、ガイドブレード12を移動するだけで、ガイドフィルム13の捲り量が調節可能となっている。
【0055】
以下、本実施形態に係る手術用膜挿入治具19の操作手順について、図11及び図12を参照して説明する。図11は、細胞シート14をガイドフィルム13間にセットする工程(セット工程)を示している。
【0056】
まず、ST41に示すように、ガイドブレード12を上方に退避させておく。この状態で、一方のガイドフィルム13に細胞シート14を配する。
【0057】
ついで、ST42、ST43に示すように、ガイドブレード12を挿入方向先端側に移動させ、ガイドフィルム13も同時に下方へ移動させる。これにより、保持部13bが内側に移動し、2枚のシートの間に細胞シート14が挟持される。ガイドフィルム13は樹脂材で構成されるとともに、細胞シート14は濡れ性を有して構成されるため、表面張力により、2枚のガイドフィルム13で細胞シート14を保持することが出来る。
【0058】
ついで、保持状態の挿入治具を創15(挿入部)の隙間に挿入する工程(挿入工程)について、図12を参照して説明する。
【0059】
本実施形態においては、上記第1実施形態におけるST6、ST7と同様に、ST44,ST45に示すように、手術用膜挿入治具19を創15に挿入する。
【0060】
ついでST46において、ステム11の位置を動かさずに、両側のガイドブレード12を引き上げる。するとガイドフィルム13も引き上げられる。ガイドフィルム13の外側(創15に接している部分)の引き上げの速さは、ガイドブレード12の引き上げの速さの2倍となる。一方、ガイドフィルム13の内側(移植する膜に接している部分)は移動せず、他端側から順に捲られ細胞シート14から退避する。このため、移植する細胞シート14が露出して、創15内に留置される。以上によりST47に示すように、ガイドブレード12の引き上げが完了すると、移植する細胞シート14が伸展した状態で創15内に留置される。
【0061】
本実施形態においても、上記第1実施形態と同様の効果が得られる。さらに、ガイドフィルム13とガイドブレード12を別々に動作させる必要がなく、ガイドブレード12を動作させるだけでガイドフィルム13も移動するため、機構が簡単にできる。従って、微細なデバイスを作るのに適している。
【0062】
[第5実施形態]
以下、本発明の第5実施形態にかかる手術用膜挿入装置20及び手術用膜挿入治具19について図13乃至図16を参照して説明する。図15において説明のため手前側の部材を外した状態を示している。なお、手術用膜挿入治具19については、摩擦低下部を形成したこと以外の構成は上記第4実施形態と同様であるため、共通する説明を省略する。
【0063】
図13に示すように、手術用膜挿入装置20は、手術用膜挿入治具19と、ボディ部21と、位置決めステー22(位置決め機構部)と、調節機構部23と、操作部24と、リンク25と、を備えて構成されている。
【0064】
ボディ部21は、屈曲部を有するL字形状に形成された一対の板状部材を有して構成されている。ボディ部21の一端側には、操作者に把持されるグリップ部21aが設けられている。ボディ部21の他端側に支持部21bが設けられている。この支持部21bの先端に、手術用膜挿入治具19のステム11が固定されている。
【0065】
位置決めステー22は、グリップ部21aの上方の屈曲部に設けられた第1の回動軸21cを中心として、ボディ部21に対して回転可能に設けられている。第1の回動軸21cの軸心はY方向に延びている。位置決めステー22の先端側は、ボディ部21の支持部21bの先端側方向へ延びている。
【0066】
調節機構部23は、ボディ部21に接続され、付勢部材23aと調節ねじ23bとを備えて構成されている。付勢部材23aは、位置決めステー22をボディ部21から離れる方向に付勢する。調節ねじ23bは締め付けられることにより付勢部材23aの付勢力に抗って位置決めステー22をボディ部21側に押圧する。すなわち操作者が調節ねじ23bの締め付け状態を調節するより位置決めステー22の位置が調節される。
【0067】
ボディ部21の中央には、第2の回動軸24aにより回動可能な操作部24が設けられている。操作部24は、グリップ部21aと離間した位置において回動可能に構成されている。
【0068】
リンク25は、複数のリンク部材25a,25b,25cが、互いに回動可能に連結されて構成されている。基端側のリンク部材25aは、操作部24における第2の回動軸24aから離間した位置に設けられた第3の回動軸24bに、回動可能に接続されている。第3の回動軸24bの軸心はY方向に延びている。図14及び図15に拡大して示すように、先端側のリンク部材25cには、スライダ25dが設けられている。スライダ25dは、ガイドブレード12に固定されるとともに、ステム11に対してZ方向に摺動可能に係合している。
【0069】
図14及び図15に示すように、本実施形態にかかる手術用膜挿入治具19では、ガイドブレード12の上下の端部にそれぞれ摩擦低下部12a,12bが設けられている。
【0070】
上端の摩擦低下部12aはガイドブレード12の厚さよりも大きい径寸法を有する円柱状に形成されている。下端の摩擦低下部12bは円弧状に形成された外周面を有して構成されている。これら摩擦低下部12a、12bの曲面状の外面により、ガイドブレード12を挿入及び退避させる際に、ガイドフィルム13との摩擦を少なくし、動作を滑らかにすることができる。すなわち、ガイドブレード12の端部付近でガイドフィルム13とブレードの間に大きな摩擦力が発生することを防止できる。このため、ガイドフィルム13の損傷を防止することが可能となる。
【0071】
図16に示すように、ガイドフィルム13の寸法設定はガイドブレード12の外周寸法よりも長くなるように設定されている。この寸法設定は、ガイドブレードの厚さ寸法をT、ガイドフィルムの厚さ寸法をtとした場合に、少なくとも、ガイドフィルム13の長さがガイドブレード12の外周長さよりも(π/2−1)Tだけ長くなるように設定する。
【0072】
なお、図16では、一例として、ガイドフィルム13の長さは、(π/2−1)Tよりもさらに長く、ガイドブレード12を退避させる際にガイドブレード12の先端とガイドフィルム13の曲部13cとの間にあそび17が形成されるように寸法設定する場合を示す。
【0073】
以下、手術用膜挿入装置20の操作方法を説明する。本実施形態においては、まず、挿入操作の前に、調節ねじ23をゆるめ、位置決めステー22の先端がボディ部21から十分に離れた状態にする。
【0074】
この状態で、上記第1実施形態におけるST6、ST7と同様に、図16のST51乃至ST53に示すように、手術用膜挿入治具19を創15に挿入する。このとき、操作者は、手術用膜挿入装置20のグリップ部21aを把持しながら、ステム11を含む先端部分を移動させて、創15内に差し込む。
【0075】
挿入時には、挿入方向の先端側においてガイドブレード12とガイドフィルム13とは密着している。また、挿入方向の基端側においてガイドブレード12とガイドフィルム13との間にゆとり(あそび17)が形成される。
【0076】
この状態を保持したまま調節ねじ23を締め付けると、位置決めステー22の先端が歯27に近づく。位置決めステー22の先端が歯27に当接するまで調節ねじ23を締める。位置決めステー22が歯27に押し付けられた状態が維持される。以上の操作により、手術用膜挿入装置20全体の位置が創15に対して位置決めされる。このため、ステム11が創15内における一定の位置に保持される。
【0077】
次に、グリップ部21aを把持しながら指で操作部24を引く。すると複数のリンク部材25a,25b,25cが相互に回動し、スライダ25dが創15から退避する方向に引っ張られる。このときスライダ25dはステム11に対してZ方向に沿って移動するように案内される。この動作により、ST54に示すように、ステム11の位置を動かすことなく両側のガイドブレード12がZ方向に沿って引き上げられる。この状態において、ガイドフィルム13はガイドブレード12の外周長さよりも長めに設定されているため、曲部13cの付近に若干のゆとり(あそび17)が構成される。
【0078】
さらに、ST55に示すように、ガイドブレード12を引き上げると、ガイドフィルム13も引き上げられる。ガイドフィルム13の外側(創15に接している部分)の引き上げの速さは、ガイドブレード12の引き上げの速さの2倍となる。一方、ガイドフィルム13の内側(移植する膜に接している部分)は移動せず、他端側から順に捲られ、細胞シート14から剥がれるように退避する。このため、移植する細胞シート14が露出して、創15内に留置される。
【0079】
以上により第4実施形態と同様にガイドブレード12の引き上げが完了すると、移植する細胞シート14が伸展した状態で創15内に留置される。
【0080】
本実施形態によれば、上記第4実施形態と同様の効果が得られる。さらに、手術用膜挿入装置20により、手術用膜挿入治具19の挿入及び退避操作を片手で容易に行うとともに、創15やその付近の歯27に確実に位置決めすることが可能である。また、ガイドフィルム13及びガイドブレード12の寸法設定により容易に退避の際にあそび17を形成することができる。したがって、単純な構成によりガイドフィルム13を引き上げることができるため、創15を広げることなく細胞シート14を伸展した状態で留置できるという効果が得られる。
【0081】
[第6実施形態]
以下、本発明の第6実施形態にかかる手術用膜挿入治具30について図17乃至図20を参照して説明する。なお、第1ガイド部として袋状のガイドフィルム袋31を用いたこと以外は上記第1実施形態の手術用膜挿入治具10と同様であるため、共通する説明を省略する。
【0082】
本実施形態における手術用膜挿入治具30において、一対の第1ガイド部は、両端が連続して形成された袋形状を成す1つのガイドフィルム袋31で構成されている。このガイドフィルム袋31における内側で互いに対向する2つの面を形成する保持部31a,31bがそれぞれ第1ガイド部に相当する。すなわち、上述の各実施形態では2つのテープ状のガイドフィルム13を用いたが、ここでは一対のガイドフィルム13が一体に連続しており、挿入方向に交差する面で見た場合に、対向するガイドフィルム同士の端部が連続して環状を成している。
【0083】
この手術用膜挿入治具30のセット工程は、まず図19及び図20においてST61に示すように、一対の第1ガイドとしての保持部31bの間に細胞シート14を挟む。ついで、ST62,ST63に示すように、ガイドフィルム袋31の先端側を折り返して曲部31c、返し部31dを有する湾曲形状を構成する。さらに、保持部31bと返し部31dとの間にガイドブレード12を設置することにより、ST64に示すように細胞シート14がセットされる。以上により細胞シート14がセットされた手術用膜挿入治具30は、第1乃至第3実施形態の手術用膜挿入治具10と同様に用いることができる。さらに、他端部31eをステム11にセットすることにより第4及び第5実施形態の手術用膜挿入治具19と同様に用いることができる。
【0084】
本実施形態においても、上述の第1実施形態と同様の効果が得られる。さらに、一対の第1ガイド部は、1つの袋状のガイドフィルム袋31として一体に連続して形成されているため、細胞シート14の全周を外部から保護することができ、高い防塵効果や、乾燥を防止できる効果*が得られる。したがって、準備から挿入までに時間がかかる場合にも適用できる。また、予めガイドフィルム袋31内に細胞シート14をセットしておくことも可能となる。
【0085】
なお、本発明は上記各実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。例えば手術用膜挿入治具10,19,30、手術用膜挿入装置20の具体的な構成や、各部材の形状及び材質等は上述の例に限られるものではなく、適宜変更可能である。
【0086】
また、挿入部は歯根である場合について例示したが、他の部位であってもよい。また、移植する膜は細胞シート14以外であっても適用可能である。例えば、癒着した組織を剥離する手術を行った際に、術後に再び癒着することを防ぐ目的で、パラフィンや合成樹脂の薄片を留置する場合に、上述の手術用膜挿入治具10,19、30及び手術用膜挿入装置20を用い、細胞シート14の代わりに、手術用膜として、パラフィンや合成樹脂の薄片を留置することにより、確実かつ容易に挿入部に手術用膜を挿入することができる。
【0087】
さらに、第1実施形態では、取付部11aをステム11と着脱可能とした場合について説明したが、最初からステム11に取付部11aが一体になっており、ステム11に一対のガイドフィルム13の一端部13aを取り付けるように構成することも可能である。
【0088】
また、異なる実施形態にわたる複数の特徴を組み合わせても良い。例えば第5実施形態の手術用膜挿入装置20の手術用膜挿入治具19に代えて手術用挿入治具10、30を適用してもよいし、第6実施形態のガイドフィルム袋31を、第2乃至第5実施形態で説明した手術用膜挿入治具10、19に用いることも可能である。
【0089】
また、上記の実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施例に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施例にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0090】
10.19.30…手術用膜挿入治具、11…ステム(ベース)、
12…ガイドブレード(第2ガイド部)、12a.12b…摩擦低下部、
13…ガイドフィルム(第1ガイド部)、13a…一端部、13b…保持部、
13c…曲部、13e…他端部、14…細胞シート(手術用膜)、15…創(挿入部)、16…間隙、17…あそび、18…フック、20…手術用膜挿入装置、21…ボディ部、
22…位置決めステー(位置決め機構部)、23…調節機構部、24…操作部、
25…リンク、25d…スライダ、31…ガイドフィルム袋、
31b…保持部(第1ガイド部)。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベースと、
可撓性を有し、一端側が前記ベースに保持され、その間に手術用膜を保持可能である一対の第1ガイド部と、
前記第1ガイド部より高い剛性を有し、前記ベースに対して所定の第1方向に沿って移動可能であり、前記第1ガイド部間に前記手術用膜を保持する保持状態において前記一対の第1ガイド部の前記手術用膜を保持する保持部の外側に配される一対の第2ガイド部と、を備えたことを特徴とする手術用膜挿入治具。
【請求項2】
前記保持状態において、前記第2ガイド部は前記第1方向先端側に位置するとともに、
前記一対の第1ガイド部は、前記一対の第2ガイド部の内側において前記第1方向に延びその間に前記手術用膜を保持する保持部と、前記第2ガイド部の先端から前記第2ガイド部の外側に向かって返される曲部と、前記第2ガイド部の外側を通って前記一端部側の方向に戻る返し部と、を有し、
前記保持状態で、前記第1ガイド部、前記第2ガイド部及び前記手術用膜が挿入部に挿入され、挿入後に前記第2ガイド部が前記第1方向基端側へ退避するとともに、前記第1ガイド部の他端部側が退避方向に移動して前記手術用膜から捲られ、前記第1ガイド部が前記手術用膜から退避する退避状態となることを特徴とする請求項1記載の手術用膜挿入治具。
【請求項3】
一対の前記第1ガイド部は樹脂材で構成され、間に前記手術用膜を保持可能であることを特徴とする請求項1または2に記載の手術用膜挿入治具。
【請求項4】
前記第1ガイド部は、前記他端側が前記ベースに保持されて環状を成し、
前記第1ガイドの環の内部に配される前記第2ガイド部が前記第1方向に移動することにより、前記捲り量が調節可能に構成されたことを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の手術用膜挿入治具。
【請求項5】
前記挿入治具を挿入部から退避させる際に、挿入方向先端部分において前記第2ガイド部と前記第1ガイド部との間に間隙が形成されることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか記載の手術用膜挿入治具。
【請求項6】
前記第2ガイド部の前記第1方向両端の少なくとも何れかに、外面が曲面状に構成され前記第1ガイド部との摩擦を低減する摩擦低下部が設けられたことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか記載の手術用膜挿入治具。
【請求項7】
前記一対の第1ガイド部はそれぞれテープ状に構成されたことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか記載の手術用膜挿入治具。
【請求項8】
前記一対の第1ガイド部は、その端部同士が連続して一体に構成され、前記第1方向に交差する断面が環状をなす袋状に構成されたことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか記載の手術用膜挿入治具。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれか記載の手術用膜挿入治具と、
前記ベースに接続されるボディ部と、
前記ボディ部に設けられ操作者に操作される操作部と、
前記操作部と前記第2ガイド部とに接続され、前記操作部の操作により前記第2ガイド部を前記ベースに対して前記第1方向に移動させるリンクと、を備えたことを特徴とする手術用膜挿入装置。
【請求項10】
前記ボディ部を前記挿入部に位置決めする位置決め機構部を備えたことを特徴とする請求項9記載の手術用膜挿入装置。
【請求項1】
ベースと、
可撓性を有し、一端側が前記ベースに保持され、その間に手術用膜を保持可能である一対の第1ガイド部と、
前記第1ガイド部より高い剛性を有し、前記ベースに対して所定の第1方向に沿って移動可能であり、前記第1ガイド部間に前記手術用膜を保持する保持状態において前記一対の第1ガイド部の前記手術用膜を保持する保持部の外側に配される一対の第2ガイド部と、を備えたことを特徴とする手術用膜挿入治具。
【請求項2】
前記保持状態において、前記第2ガイド部は前記第1方向先端側に位置するとともに、
前記一対の第1ガイド部は、前記一対の第2ガイド部の内側において前記第1方向に延びその間に前記手術用膜を保持する保持部と、前記第2ガイド部の先端から前記第2ガイド部の外側に向かって返される曲部と、前記第2ガイド部の外側を通って前記一端部側の方向に戻る返し部と、を有し、
前記保持状態で、前記第1ガイド部、前記第2ガイド部及び前記手術用膜が挿入部に挿入され、挿入後に前記第2ガイド部が前記第1方向基端側へ退避するとともに、前記第1ガイド部の他端部側が退避方向に移動して前記手術用膜から捲られ、前記第1ガイド部が前記手術用膜から退避する退避状態となることを特徴とする請求項1記載の手術用膜挿入治具。
【請求項3】
一対の前記第1ガイド部は樹脂材で構成され、間に前記手術用膜を保持可能であることを特徴とする請求項1または2に記載の手術用膜挿入治具。
【請求項4】
前記第1ガイド部は、前記他端側が前記ベースに保持されて環状を成し、
前記第1ガイドの環の内部に配される前記第2ガイド部が前記第1方向に移動することにより、前記捲り量が調節可能に構成されたことを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の手術用膜挿入治具。
【請求項5】
前記挿入治具を挿入部から退避させる際に、挿入方向先端部分において前記第2ガイド部と前記第1ガイド部との間に間隙が形成されることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか記載の手術用膜挿入治具。
【請求項6】
前記第2ガイド部の前記第1方向両端の少なくとも何れかに、外面が曲面状に構成され前記第1ガイド部との摩擦を低減する摩擦低下部が設けられたことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか記載の手術用膜挿入治具。
【請求項7】
前記一対の第1ガイド部はそれぞれテープ状に構成されたことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか記載の手術用膜挿入治具。
【請求項8】
前記一対の第1ガイド部は、その端部同士が連続して一体に構成され、前記第1方向に交差する断面が環状をなす袋状に構成されたことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか記載の手術用膜挿入治具。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれか記載の手術用膜挿入治具と、
前記ベースに接続されるボディ部と、
前記ボディ部に設けられ操作者に操作される操作部と、
前記操作部と前記第2ガイド部とに接続され、前記操作部の操作により前記第2ガイド部を前記ベースに対して前記第1方向に移動させるリンクと、を備えたことを特徴とする手術用膜挿入装置。
【請求項10】
前記ボディ部を前記挿入部に位置決めする位置決め機構部を備えたことを特徴とする請求項9記載の手術用膜挿入装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【公開番号】特開2011−36511(P2011−36511A)
【公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−188056(P2009−188056)
【出願日】平成21年8月14日(2009.8.14)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年8月14日(2009.8.14)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【Fターム(参考)】
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