打錠機
【課題】小径の圧縮成型孔に粉末を安定して投入することができる打錠機を提供する。
【解決手段】回転盤の外周に沿って複数の圧縮成型孔が形成され、錠剤となる粉末を圧縮成型孔に供給して圧縮成型する打錠機において、粉末を蓄える粉末タンクと、粉末タンクの底部から所定量の粉末を掻き取り、回動して粉末を下方に落とすローターと、漏斗と細管からなり回転されて、漏斗にローターから落下した粉末を受ける複数のシュートと、シュートからの粉末を受けてプールし、回転盤の上面に接して回転し、圧縮成型孔に箱の底から粉末を投入する複数のすりきり箱と、すりきり箱が外周に沿って設けられるとともに、すりきり箱にプールされた粉末を揺動させながら回転させる回転台と、回転盤と上面が面一に設けられ、回転盤の外側に移動したすりきり箱の底を支える固定台と、が備えられる。
【解決手段】回転盤の外周に沿って複数の圧縮成型孔が形成され、錠剤となる粉末を圧縮成型孔に供給して圧縮成型する打錠機において、粉末を蓄える粉末タンクと、粉末タンクの底部から所定量の粉末を掻き取り、回動して粉末を下方に落とすローターと、漏斗と細管からなり回転されて、漏斗にローターから落下した粉末を受ける複数のシュートと、シュートからの粉末を受けてプールし、回転盤の上面に接して回転し、圧縮成型孔に箱の底から粉末を投入する複数のすりきり箱と、すりきり箱が外周に沿って設けられるとともに、すりきり箱にプールされた粉末を揺動させながら回転させる回転台と、回転盤と上面が面一に設けられ、回転盤の外側に移動したすりきり箱の底を支える固定台と、が備えられる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、打錠機に係り、より詳細には、小径の圧縮成型孔に粉末を安定して投入することができる打錠機に関する。
【背景技術】
【０００２】
打錠機は、特許文献１に示されるように、錠剤となる粉末を回転盤の圧縮成型孔に供給し、上下に圧縮して錠剤を製造する装置である。底のない粉末供給箱が、回転盤の上面に接するように設けられる。粉末は適時に粉末供給箱に供給される。回転盤の圧縮成型孔が、粉末供給箱の下側を通過すると、粉末は圧縮成型孔に向かって落下する。圧縮成型孔の上面は、粉末供給箱の側面ですりきられる。
【０００３】
打錠機は錠剤以外にも様々な粉末の成型に使用されている。例えば、電子部品であるタンタルコンデンサの素子成型がある。成型する素子の径は、２ｍｍをきるような小さなものがある。その場合、圧縮成型孔を粉末供給箱の底を通過させても圧縮成型孔に粉末が安定して投入されない。粉末供給箱に粉末を大量に供給すると、塊になって圧縮成型孔に粉末が落ちないこともある。また、粉末供給箱への粉末の供給量を逆に少なくすると、圧縮成型孔は短い時間間隔で次々と圧縮成型孔の底を通過するので、粉末の供給が間に合わず、供給に十分な時間が確保できないなどの問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００４】
【特許文献１】特開平１０−９９９９８号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００５】
本発明の目的は、小径の圧縮成型孔に粉末を安定して投入することができる打錠機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【０００６】
本発明による打錠機は、回転盤の外周に沿って複数の圧縮成型孔が形成され、錠剤となる粉末を前記圧縮成型孔に供給して圧縮成型する打錠機において、粉末を蓄える粉末タンクと、前記粉末タンクの底部から所定量の粉末を掻き取り、回動して粉末を下方に落とすローターと、漏斗と細管からなり回転されて、前記漏斗に前記ローターから落下した粉末を受ける複数のシュートと、前記シュートからの粉末を受けてプールし、前記回転盤の上面に接して回転し、前記圧縮成型孔に箱の底から粉末を投入する複数のすりきり箱と、前記すりきり箱が外周に沿って設けられるとともに、前記すりきり箱にプールされた粉末を揺動させながら回転する回転台と、前記回転盤と上面が面一に設けられ、前記回転盤の外側に移動した前記すりきり箱の底を支える固定台と、が備えられることを特徴とする。
【０００７】
前記揺動は、サーボモータによる回転台の加速および減速によって行なうことを特徴とする。
【０００８】
前記固定台には、前記回転盤の側面に当接する樹脂製の摺動部材が設けられることを特徴とする。
【発明の効果】
【０００９】
本発明によれば、（１）粉末をプールするすりきり箱を複数の小容量のすりきり箱に分けたので、すりきり箱の中で粉末が塊になることがなく、安定して圧縮成型孔に投入できる。（２）すりきり箱を回転台に載せ回転させたので、回転盤の圧縮成型孔がすりきり箱の底と係合している時間を長くして、粉末が圧縮成型孔に落ちる時間を確保できる。また、すりきり箱の粉末が減少しても、回転台が１回転する間に粉末を補給できる。（３）漏斗（ロウト）と細管からなる複数のシュートを設け回転させたので、すりきり箱が回転していても粉末を供給できる。（４）すりきり箱にプールされた粉末を揺動させたので、粉末を圧縮成型孔に良好に投入できる。（５）回転盤と上面が面一に設けられ、回転盤の外側に回転して移動したすりきり箱を支える固定台を設けたので、回転盤の径が大きくならず、打錠機を大幅に小型化できる。
【００１０】
粉末の揺動は、サーボモータによる回転台の加速および減速によって行なうようにしたので、例えば、０．３秒の間に３回程度の揺動ができる。
【００１１】
固定台に樹脂製の摺動部材を設け、回転盤の側面に当接させたので、回転盤と固定台の間に隙間がなく、すりきり箱が固定台から回転盤に移動する際、あるいは回転盤から固定台に移動する際に、すりきり箱の粉末が隙間から落ちて飛散しないようにできる。
【図面の簡単な説明】
【００１２】
【図１】本発明による打錠機の正面図である。
【図２】図１の粉末タンク底部に設けられたローターの動作説明図である。
【図３】図１のＡ−Ａから見たシュートの平面図である。
【図４】図１のＢ−Ｂから見た回転台の平面図である。
【図５】図１の回転盤と回転台の位置関係を示す説明図である。
【図６】すりきり箱の回転角度（縦軸）と時間（横軸）の関係を示すグラフである。（定常円運動による位置より前方で加速と減速を行なった場合）
【図７】すりきり箱の回転角度（縦軸）と時間（横軸）の関係を示すグラフである。（定常円運動による位置を挟むように加速と減速を行なった場合）
【発明を実施するための形態】
【００１３】
以下、図面を参照して、本発明による打錠機を説明する。
【実施例】
【００１４】
図１は本発明による打錠機の正面図である。打錠機１００は、図１の左側の打錠部５０と、図１の右側の粉末供給部６０からなる。打錠部５０は、その一部を示しており、回転盤４の外周に沿って複数の臼３が設けられ、臼３の上下には臼３ごとに上杵１と下杵２が設けられている。回転盤４は所定の速度で回転され、臼３の中央に設けられた圧縮成型孔が、すりきり箱１５の底を通過すると、錠剤となる粉末８が落下して圧縮成型孔に投入される。臼３がすりきり箱１５から離れると、上杵１が下降して、粉末８を下杵２で挟んで圧縮し、錠剤を成型する。その後、下杵２が上昇して錠剤を圧縮成型孔から排出し、次の工程に送り出す。
【００１５】
図１に示すように、粉末供給部６０は、粉末を蓄える粉末タンク７と、ローター駆動部１１で回動され、粉末タンク７の底部から所定量の粉末８を掻き取り、粉末８を下方に落とすローター１０と、漏斗１２ａと細管１２ｂからなり回転されて、ローター１０から落下した粉末８を受け、すりきり箱１５に送り出す複数のシュート１２と、シュート１２の細管１２ｂからの粉末８をプールし、回転盤４の上面に接して回転し、臼３に設けられた圧縮成型孔にプールした粉末を投入するすりきり箱１５と、すりきり箱１５が外周に沿って設けられ、すりきり箱にプールされた粉末を揺動させながら回転させる回転台１６と、回転盤４と上面が面一に設けられ、回転盤４の外側に移動したすりきり箱１５の底を支える固定台６と、を含んで構成される。
【００１６】
図２は、粉末タンク７の底部に設けられたローター１０の動作説明図である。ローター１０の外周には複数の凹部１０ａが設けられ、回動して粉末タンク７の底部の粉末８を掻き取る。これを続けて図２に示すように、粉末８が入った凹部１０ａを右下の位置に待機させておく。この状態で、図１に示すセンサ９が、すりきり箱１５の粉末８が減少していることを検知すると、ローター１０を所定の角度だけ回動させる。これにより、粉末８はシュート１２の漏斗１２ａに落ちる。粉末８は、細管１２ｂにガイドされて、細管１２ｂの一端が挿入されたすりきり箱１５に送り出される。図２に示すように、複数のすりきり箱１５に対応して複数のシュート１２が設けられ、すりきり箱１５の回転に合わせて回転される。
【００１７】
図３は、図１のＡ−Ａから見たシュートの平面図である。シュート１２の漏斗１２ａは、円形に８個が配置される。漏斗１２ａの下部に細管１２ｂが設けられ、各細管１２ｂは８個のすりきり箱１５にそれぞれ連結される。シュート１２は、すりきり箱１５の回転に合わせて回転される。図１に示すように、シュート１２が回転すると、漏斗１２ａが順番にローター１０の吐出口に係合する。本実施例では、約０．３秒以内に粉末８が係合中の漏斗１２ａに送り出されるとした。
【００１８】
図４は、図１のＢ−Ｂから見た回転台１６の平面図である。回転台１６には、８個のすりきり箱１５が外周に沿って設けられる。回転台１６の回転軸は、シュート１２とすりきり箱１５で共通である。図４は、４個のすりきり箱１５が取り外された状態で示している。回転台１６の回転は、図１に示すサーボモータ２０で行なっている。
【００１９】
図５は、図１の回転盤４と回転台１６の位置関係を示す説明図である。回転盤４は時計回りに回転し、回転台１６は反時計回りに回転する。図５に示すように、回転盤４には９個の臼３が設けられ、回転台１６には８個のすりきり箱１５が設けられるとした。すりきり箱１５が４５度（＝３６０度÷８）の１区間を回転する時間は約０．３秒である。臼３の圧縮成型孔１７は、３時３０分の方向ですりきり箱１５の下側に入り、３時の方向ですりきり箱１５の底の中央に位置し、２時３０分の方向ですりきり箱１５から離れる。本実施例では、圧縮成型孔１７は、１．３ｍｍ×０．７ｍｍの４角形の角孔である。すりきり箱１５に底はなく、圧縮成型孔１７より大きいので、すりきり箱１５と圧縮成型孔１７を互いに係合させるようにして、その間は、粉末８が圧縮成型孔１７に投入可能である。
【００２０】
固定台６は、回転盤４と上面が面一に設けられる。これにより、回転盤４の外側に回転して移動したすりきり箱１５の底を支える。このため、すりきり箱１５が回転盤４から外側に移動しても、すりきり箱１５にプールされた粉末８は下方に落下しない。固定台６は、一側に樹脂製の摺動部材１８を設け、回転盤４の側面に当接して摺動するようにした。これにより回転盤４と固定台６の間には隙間がなく、すりきり箱１５が、固定台から回転盤に移動する際あるいは回転盤から固定台に移動する際に、隙間から粉末８が落ちて飛散しないようにできる。摺動部材１８は擦り減るので、耐摩耗性と柔軟性を備えることが望ましい。
【００２１】
図６と図７は、すりきり箱１５の回転角度（縦軸）と時間（横軸）の関係を示すグラフである。すりきり箱１５は３６０度に８個設けられるので、０〜４５度の角度についてプロットした。四角印は、回転台１６の定常円形運動を示し、三角印は回転台１６のステップ運動を示す。図６は、定常円運動によるすりきり箱１５の位置より前方で加速と減速を行なった場合を示す。図６に示すように、回転台１６を三角印で示すようにステップ運転した。回転台１６は、図６の符号Ｃ１で示す部分では加速され、符号Ｃ２で示す部分では減速される。これにより、すりきり箱１５にプールされた粉末８は、回転方向の壁と反対側の壁に向かって動かされる。サーボモータ２０は、０．３秒の間に３回程度の加速と減速を行なうことができる。回転台１６の加速と減速により粉末８の揺動を行なっている。図には示さないが、三角印を四角印の下側に来るように減速し、定常円運動によるすりきり箱１５の位置より後方で加速と減速を行なってもよい。このような回転台１６の加速と減速により、粉末８を圧縮成型孔１７に良好に投入できる。
【００２２】
図７に示すように、回転台１６を三角印で示すようにステップ運転させることもできる。図７は、定常円運動によるすりきり箱１５の位置を挟むように加速と減速を行なった場合である。図７の符号Ｃ１、Ｃ４で示す部分では回転台１６が加速され、符号Ｃ２、Ｃ３で示す部分では回転台１６が減速される。加速と減速の期間が、図６の場合より長くできる。このような加速および減速によっても、すりきり箱１５の粉末８を揺動させることができる。なお、すりきり箱１５を加速または減速させると、圧縮成型孔１７と離れることになるので、図５におけるすりきり箱１５と圧縮成型孔１７の位置関係を考慮して選択することができる。
【産業上の利用可能性】
【００２３】
本発明は、小径の圧縮成型孔に粉末を安定して投入することができる打錠機に適している。
【符号の説明】
【００２４】
１ 上杵
２ 下杵
３ 臼
４ 回転盤
６ 固定台
７ 粉末タンク
８ 粉末
９ センサ
１０ ローター
１０ａ 凹部
１１ ローター駆動部
１２ シュート
１２ａ 漏斗（ロウト）
１２ｂ 細管
１５ すりきり箱
１６ 回転台
１７ 圧縮成型孔
１８ 摺動部材
２０ サーボモータ
５０ 打錠部
６０ 粉末供給部
１００ 打錠機
【技術分野】
【０００１】
本発明は、打錠機に係り、より詳細には、小径の圧縮成型孔に粉末を安定して投入することができる打錠機に関する。
【背景技術】
【０００２】
打錠機は、特許文献１に示されるように、錠剤となる粉末を回転盤の圧縮成型孔に供給し、上下に圧縮して錠剤を製造する装置である。底のない粉末供給箱が、回転盤の上面に接するように設けられる。粉末は適時に粉末供給箱に供給される。回転盤の圧縮成型孔が、粉末供給箱の下側を通過すると、粉末は圧縮成型孔に向かって落下する。圧縮成型孔の上面は、粉末供給箱の側面ですりきられる。
【０００３】
打錠機は錠剤以外にも様々な粉末の成型に使用されている。例えば、電子部品であるタンタルコンデンサの素子成型がある。成型する素子の径は、２ｍｍをきるような小さなものがある。その場合、圧縮成型孔を粉末供給箱の底を通過させても圧縮成型孔に粉末が安定して投入されない。粉末供給箱に粉末を大量に供給すると、塊になって圧縮成型孔に粉末が落ちないこともある。また、粉末供給箱への粉末の供給量を逆に少なくすると、圧縮成型孔は短い時間間隔で次々と圧縮成型孔の底を通過するので、粉末の供給が間に合わず、供給に十分な時間が確保できないなどの問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００４】
【特許文献１】特開平１０−９９９９８号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００５】
本発明の目的は、小径の圧縮成型孔に粉末を安定して投入することができる打錠機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【０００６】
本発明による打錠機は、回転盤の外周に沿って複数の圧縮成型孔が形成され、錠剤となる粉末を前記圧縮成型孔に供給して圧縮成型する打錠機において、粉末を蓄える粉末タンクと、前記粉末タンクの底部から所定量の粉末を掻き取り、回動して粉末を下方に落とすローターと、漏斗と細管からなり回転されて、前記漏斗に前記ローターから落下した粉末を受ける複数のシュートと、前記シュートからの粉末を受けてプールし、前記回転盤の上面に接して回転し、前記圧縮成型孔に箱の底から粉末を投入する複数のすりきり箱と、前記すりきり箱が外周に沿って設けられるとともに、前記すりきり箱にプールされた粉末を揺動させながら回転する回転台と、前記回転盤と上面が面一に設けられ、前記回転盤の外側に移動した前記すりきり箱の底を支える固定台と、が備えられることを特徴とする。
【０００７】
前記揺動は、サーボモータによる回転台の加速および減速によって行なうことを特徴とする。
【０００８】
前記固定台には、前記回転盤の側面に当接する樹脂製の摺動部材が設けられることを特徴とする。
【発明の効果】
【０００９】
本発明によれば、（１）粉末をプールするすりきり箱を複数の小容量のすりきり箱に分けたので、すりきり箱の中で粉末が塊になることがなく、安定して圧縮成型孔に投入できる。（２）すりきり箱を回転台に載せ回転させたので、回転盤の圧縮成型孔がすりきり箱の底と係合している時間を長くして、粉末が圧縮成型孔に落ちる時間を確保できる。また、すりきり箱の粉末が減少しても、回転台が１回転する間に粉末を補給できる。（３）漏斗（ロウト）と細管からなる複数のシュートを設け回転させたので、すりきり箱が回転していても粉末を供給できる。（４）すりきり箱にプールされた粉末を揺動させたので、粉末を圧縮成型孔に良好に投入できる。（５）回転盤と上面が面一に設けられ、回転盤の外側に回転して移動したすりきり箱を支える固定台を設けたので、回転盤の径が大きくならず、打錠機を大幅に小型化できる。
【００１０】
粉末の揺動は、サーボモータによる回転台の加速および減速によって行なうようにしたので、例えば、０．３秒の間に３回程度の揺動ができる。
【００１１】
固定台に樹脂製の摺動部材を設け、回転盤の側面に当接させたので、回転盤と固定台の間に隙間がなく、すりきり箱が固定台から回転盤に移動する際、あるいは回転盤から固定台に移動する際に、すりきり箱の粉末が隙間から落ちて飛散しないようにできる。
【図面の簡単な説明】
【００１２】
【図１】本発明による打錠機の正面図である。
【図２】図１の粉末タンク底部に設けられたローターの動作説明図である。
【図３】図１のＡ−Ａから見たシュートの平面図である。
【図４】図１のＢ−Ｂから見た回転台の平面図である。
【図５】図１の回転盤と回転台の位置関係を示す説明図である。
【図６】すりきり箱の回転角度（縦軸）と時間（横軸）の関係を示すグラフである。（定常円運動による位置より前方で加速と減速を行なった場合）
【図７】すりきり箱の回転角度（縦軸）と時間（横軸）の関係を示すグラフである。（定常円運動による位置を挟むように加速と減速を行なった場合）
【発明を実施するための形態】
【００１３】
以下、図面を参照して、本発明による打錠機を説明する。
【実施例】
【００１４】
図１は本発明による打錠機の正面図である。打錠機１００は、図１の左側の打錠部５０と、図１の右側の粉末供給部６０からなる。打錠部５０は、その一部を示しており、回転盤４の外周に沿って複数の臼３が設けられ、臼３の上下には臼３ごとに上杵１と下杵２が設けられている。回転盤４は所定の速度で回転され、臼３の中央に設けられた圧縮成型孔が、すりきり箱１５の底を通過すると、錠剤となる粉末８が落下して圧縮成型孔に投入される。臼３がすりきり箱１５から離れると、上杵１が下降して、粉末８を下杵２で挟んで圧縮し、錠剤を成型する。その後、下杵２が上昇して錠剤を圧縮成型孔から排出し、次の工程に送り出す。
【００１５】
図１に示すように、粉末供給部６０は、粉末を蓄える粉末タンク７と、ローター駆動部１１で回動され、粉末タンク７の底部から所定量の粉末８を掻き取り、粉末８を下方に落とすローター１０と、漏斗１２ａと細管１２ｂからなり回転されて、ローター１０から落下した粉末８を受け、すりきり箱１５に送り出す複数のシュート１２と、シュート１２の細管１２ｂからの粉末８をプールし、回転盤４の上面に接して回転し、臼３に設けられた圧縮成型孔にプールした粉末を投入するすりきり箱１５と、すりきり箱１５が外周に沿って設けられ、すりきり箱にプールされた粉末を揺動させながら回転させる回転台１６と、回転盤４と上面が面一に設けられ、回転盤４の外側に移動したすりきり箱１５の底を支える固定台６と、を含んで構成される。
【００１６】
図２は、粉末タンク７の底部に設けられたローター１０の動作説明図である。ローター１０の外周には複数の凹部１０ａが設けられ、回動して粉末タンク７の底部の粉末８を掻き取る。これを続けて図２に示すように、粉末８が入った凹部１０ａを右下の位置に待機させておく。この状態で、図１に示すセンサ９が、すりきり箱１５の粉末８が減少していることを検知すると、ローター１０を所定の角度だけ回動させる。これにより、粉末８はシュート１２の漏斗１２ａに落ちる。粉末８は、細管１２ｂにガイドされて、細管１２ｂの一端が挿入されたすりきり箱１５に送り出される。図２に示すように、複数のすりきり箱１５に対応して複数のシュート１２が設けられ、すりきり箱１５の回転に合わせて回転される。
【００１７】
図３は、図１のＡ−Ａから見たシュートの平面図である。シュート１２の漏斗１２ａは、円形に８個が配置される。漏斗１２ａの下部に細管１２ｂが設けられ、各細管１２ｂは８個のすりきり箱１５にそれぞれ連結される。シュート１２は、すりきり箱１５の回転に合わせて回転される。図１に示すように、シュート１２が回転すると、漏斗１２ａが順番にローター１０の吐出口に係合する。本実施例では、約０．３秒以内に粉末８が係合中の漏斗１２ａに送り出されるとした。
【００１８】
図４は、図１のＢ−Ｂから見た回転台１６の平面図である。回転台１６には、８個のすりきり箱１５が外周に沿って設けられる。回転台１６の回転軸は、シュート１２とすりきり箱１５で共通である。図４は、４個のすりきり箱１５が取り外された状態で示している。回転台１６の回転は、図１に示すサーボモータ２０で行なっている。
【００１９】
図５は、図１の回転盤４と回転台１６の位置関係を示す説明図である。回転盤４は時計回りに回転し、回転台１６は反時計回りに回転する。図５に示すように、回転盤４には９個の臼３が設けられ、回転台１６には８個のすりきり箱１５が設けられるとした。すりきり箱１５が４５度（＝３６０度÷８）の１区間を回転する時間は約０．３秒である。臼３の圧縮成型孔１７は、３時３０分の方向ですりきり箱１５の下側に入り、３時の方向ですりきり箱１５の底の中央に位置し、２時３０分の方向ですりきり箱１５から離れる。本実施例では、圧縮成型孔１７は、１．３ｍｍ×０．７ｍｍの４角形の角孔である。すりきり箱１５に底はなく、圧縮成型孔１７より大きいので、すりきり箱１５と圧縮成型孔１７を互いに係合させるようにして、その間は、粉末８が圧縮成型孔１７に投入可能である。
【００２０】
固定台６は、回転盤４と上面が面一に設けられる。これにより、回転盤４の外側に回転して移動したすりきり箱１５の底を支える。このため、すりきり箱１５が回転盤４から外側に移動しても、すりきり箱１５にプールされた粉末８は下方に落下しない。固定台６は、一側に樹脂製の摺動部材１８を設け、回転盤４の側面に当接して摺動するようにした。これにより回転盤４と固定台６の間には隙間がなく、すりきり箱１５が、固定台から回転盤に移動する際あるいは回転盤から固定台に移動する際に、隙間から粉末８が落ちて飛散しないようにできる。摺動部材１８は擦り減るので、耐摩耗性と柔軟性を備えることが望ましい。
【００２１】
図６と図７は、すりきり箱１５の回転角度（縦軸）と時間（横軸）の関係を示すグラフである。すりきり箱１５は３６０度に８個設けられるので、０〜４５度の角度についてプロットした。四角印は、回転台１６の定常円形運動を示し、三角印は回転台１６のステップ運動を示す。図６は、定常円運動によるすりきり箱１５の位置より前方で加速と減速を行なった場合を示す。図６に示すように、回転台１６を三角印で示すようにステップ運転した。回転台１６は、図６の符号Ｃ１で示す部分では加速され、符号Ｃ２で示す部分では減速される。これにより、すりきり箱１５にプールされた粉末８は、回転方向の壁と反対側の壁に向かって動かされる。サーボモータ２０は、０．３秒の間に３回程度の加速と減速を行なうことができる。回転台１６の加速と減速により粉末８の揺動を行なっている。図には示さないが、三角印を四角印の下側に来るように減速し、定常円運動によるすりきり箱１５の位置より後方で加速と減速を行なってもよい。このような回転台１６の加速と減速により、粉末８を圧縮成型孔１７に良好に投入できる。
【００２２】
図７に示すように、回転台１６を三角印で示すようにステップ運転させることもできる。図７は、定常円運動によるすりきり箱１５の位置を挟むように加速と減速を行なった場合である。図７の符号Ｃ１、Ｃ４で示す部分では回転台１６が加速され、符号Ｃ２、Ｃ３で示す部分では回転台１６が減速される。加速と減速の期間が、図６の場合より長くできる。このような加速および減速によっても、すりきり箱１５の粉末８を揺動させることができる。なお、すりきり箱１５を加速または減速させると、圧縮成型孔１７と離れることになるので、図５におけるすりきり箱１５と圧縮成型孔１７の位置関係を考慮して選択することができる。
【産業上の利用可能性】
【００２３】
本発明は、小径の圧縮成型孔に粉末を安定して投入することができる打錠機に適している。
【符号の説明】
【００２４】
１ 上杵
２ 下杵
３ 臼
４ 回転盤
６ 固定台
７ 粉末タンク
８ 粉末
９ センサ
１０ ローター
１０ａ 凹部
１１ ローター駆動部
１２ シュート
１２ａ 漏斗（ロウト）
１２ｂ 細管
１５ すりきり箱
１６ 回転台
１７ 圧縮成型孔
１８ 摺動部材
２０ サーボモータ
５０ 打錠部
６０ 粉末供給部
１００ 打錠機
【特許請求の範囲】
【請求項１】
回転盤の外周に沿って複数の圧縮成型孔が形成され、錠剤となる粉末を前記圧縮成型孔に供給して圧縮成型する打錠機において、
粉末を蓄える粉末タンクと、
前記粉末タンクの底部から所定量の粉末を掻き取り、回動して粉末を下方に落とすローターと、
漏斗と細管からなり回転されて、前記漏斗に前記ローターから落下した粉末を受ける複数のシュートと、
前記シュートからの粉末を受けてプールし、前記回転盤の上面に接して回転し、前記圧縮成型孔に箱の底から粉末を投入する複数のすりきり箱と、
前記すりきり箱が外周に沿って設けられるとともに、前記すりきり箱にプールされた粉末を揺動させながら回転する回転台と、
前記回転盤と上面が面一に設けられ、前記回転盤の外側に移動した前記すりきり箱の底を支える固定台と、が備えられることを特徴とする打錠機。
【請求項２】
前記揺動は、サーボモータによる回転台の加速および減速によって行なうことを特徴とする請求項１に記載の打錠機。
【請求項３】
前記固定台には、前記回転盤の側面に当接する樹脂製の摺動部材が設けられることを特徴とする請求項１に記載の打錠機。
【請求項１】
回転盤の外周に沿って複数の圧縮成型孔が形成され、錠剤となる粉末を前記圧縮成型孔に供給して圧縮成型する打錠機において、
粉末を蓄える粉末タンクと、
前記粉末タンクの底部から所定量の粉末を掻き取り、回動して粉末を下方に落とすローターと、
漏斗と細管からなり回転されて、前記漏斗に前記ローターから落下した粉末を受ける複数のシュートと、
前記シュートからの粉末を受けてプールし、前記回転盤の上面に接して回転し、前記圧縮成型孔に箱の底から粉末を投入する複数のすりきり箱と、
前記すりきり箱が外周に沿って設けられるとともに、前記すりきり箱にプールされた粉末を揺動させながら回転する回転台と、
前記回転盤と上面が面一に設けられ、前記回転盤の外側に移動した前記すりきり箱の底を支える固定台と、が備えられることを特徴とする打錠機。
【請求項２】
前記揺動は、サーボモータによる回転台の加速および減速によって行なうことを特徴とする請求項１に記載の打錠機。
【請求項３】
前記固定台には、前記回転盤の側面に当接する樹脂製の摺動部材が設けられることを特徴とする請求項１に記載の打錠機。
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【公開番号】特開２０１２−２２３７７７（Ｐ２０１２−２２３７７７Ａ）
【公開日】平成２４年１１月１５日（２０１２．１１．１５）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２０１１−９１２４６（Ｐ２０１１−９１２４６）
【出願日】平成２３年４月１５日（２０１１．４．１５）
【出願人】（５０１２１５８２０）ＯＰＰＣ株式会社 (8)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成２４年１１月１５日（２０１２．１１．１５）
【国際特許分類】
【出願日】平成２３年４月１５日（２０１１．４．１５）
【出願人】（５０１２１５８２０）ＯＰＰＣ株式会社 (8)
【Ｆターム（参考）】
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