説明

扱い難い有機物および重金属の汚染修復のための界面活性生体触媒

様々なPAHを含む石油炭化水素を分解する能力を有する、分離され精製された細菌の新規な株が明らかにされている。いくつかの分離株は、バイオサーファクタントを産生する能力も示す。バイオサーファクタント産生能力とPAH分解能力との組合せによって、PAHを分解することのできる効率が高まる。さらに、バイオサーファクタントは、土壌または水の環境から除去するために、重金属イオンを結合するという追加の能力も提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、米国エネルギー庁により与えられた契約番号DE−AC09−96SR18500の下、政府の援助でなされたものである。政府は、本発明に一定の権利を有している。
【0002】
本発明は、バイオレメディエーションに有用な細菌株と、この細菌株を使用するための方法を対象とする。特に本発明は、多環芳香族炭化水素(PAH)を分解することができる独自の細菌分離株と、これら新規な細菌株の、バイオレメディエーションでの使用方法に関する。生物学的利用能を低下させることによる鉛の汚染修復は、有機および無機汚染修復で二重に使用されることを示す株の1種によって実証されている。
【背景技術】
【0003】
様々な科学論文および特許が、本明細書全体を通して参照される。これらの刊行物は、本発明が関係する現況技術を記述するために、かつ本発明の様々な実施形態で使用してもよい標準的な方法および装置についての詳細を提供するために、参照により本明細書に組み込まれている。
【0004】
多環芳香族炭化水素(PAH)は、製油所、ある特定の精製石油製品、石油貯蔵位置、および石油流出部位に関して特に見出される、広く一般的な汚染物質である。高レベルのPAHは、ヒトにおける変異原性および発癌性の影響に関連しており、土壌および地下水源への移行および汚染という高いリスクをもたらす。その結果、環境の汚染修復を行うための、PAHおよび関連する石油製品を分解することになる技法および方法に、相当な関心が持たれている。PAHを治療するための生物学的因子の使用は、当技術分野において周知である。Daaneによる特許文献1は、PAH汚染修復の試みの中で使用されるバシラス科(Bacillaceae)の細菌株について記述している。
【0005】
Linnによる特許文献2は、望ましくない汚染物質を分解することが知られている微生物の培養物を、汚染土壌に接種することを開示している。Linnにより記述されている手順では、さらに、土壌の汚染修復効率を高めるために、栄養剤を導入する。
【0006】
Pickardによる特許文献3は、石油関連の炭化水素を含めた土壌汚染物質を生物学的に処理するための、腐植基質と組み合わせた常在微生物叢および微小動物相の使用を開示している。
【0007】
Norrisによる特許文献4は、バイオレメディエーションが促進するように汚染土壌内に空気を強制的に押しやる、石油汚染土壌を処理するためのバイオリアクターを開示している。バイオリアクターは、リンおよび窒素の栄養素が補われた常在微生物叢を使用する。
【0008】
【特許文献1】米国特許第6503746号明細書
【特許文献2】米国特許第3616204号明細書
【特許文献3】米国特許第5100455号明細書
【特許文献4】米国特許第4849360号明細書
【非特許文献1】Use of BIOLOGTM Technology for Hazardous Chemical Screening, Microbiological Techniques 18:329-347, 1993
【非特許文献2】Bacterial Evolution, Microbial Reviews 51:221-271, by C.R.Woese (1987)
【非特許文献3】"A Rhamnolipid Biosurfactant Reduces Cadmium Toxicity during Nphthalene Biodegradation", by Sandrin et al, Applied and Environmental Microbiology, Oct. 2000, pp 4585-4588
【非特許文献4】"Microbial Surfactants and their use in Field Studies of Soil Remediation", by N. Christofi and I.B. Ivshina, published in the Journal of Applied Microbiology, 2000, 93, pp. 915-929
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
様々なPAH分解細菌が知られており、汚染修復のための様々な適用例で利用されてきたが、石油汚染物質の迅速な分解に効果のある新規な性質を有する、新しくかつ有用な種を同定するという観点から、当技術分野では依然として改善が求められている。さらに、汚染土壌内、金属含有廃棄物流内、および工業プロセス材料内に存在する金属の生物学的利用能を低下させるなどによる、金属汚染修復の分野を対象とする改善が依然として求められている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、多環芳香族炭化水素(PAH)を含めた石油汚染物質を分解する方法に関する。さらに本発明は、土壌からの重金属の除去を高める生物処理方法に関する。本発明は、製油所領域からの細菌分離株の、分離され精製された細菌株を使用する。分離株の一部は、有用なバイオサーファクタントを産生するさらなる能力を有している。
【0011】
本発明の実施形態の少なくとも1つの一態様は、原位置(in situ)および原位置外(ex situ)での汚染修復条件下でバイオサーファクタントを産生する、分離された細菌株を提供することである。バイオサーファクタントを産生するという、分離され精製された細菌株の生来の能力は、細菌の汚染修復特性に寄与している。バイオサーファクタントは、PAHの高い溶解性と、PAHへの細菌の接近とをもたらし、それによって、細菌株によるバイオレメディエーションの効率を高める。バイオサーファクタントは、土壌のPb生物学的利用能を減少させることもでき、やはり界面活性剤処理に応答するその他の金属汚染物質のバイオレメディエーションにおいて、有用性を有すると考えられる。
【0012】
本発明の実施形態の少なくとも1つの追加の態様は、界面活性剤産生特性が石油および石油由来製品の高い可溶性に寄与している、分離され精製された細菌株に関する。バイオサーファクタントは石油製品の可溶性を増大させ、それによって、ミセルや関係のある構造など、バイオサーファクタント凝集体に結合した石油製品の水性フラッシングまたは除去を促進させる。さらにバイオサーファクタントは、石油製品の生物学的利用能も増大させ、それによって、汚染物質を分解する微生物の能力が高まる。高い生物学的利用能は、分離され精製された株、ならびに汚染基質内に存在するその他の有益な微生物にとって、有益である。
【0013】
本発明の実施形態の少なくとも1つのさらに別の態様は、PAH分解中間体と共に、ナフタレンやフェナントレン、およびフルオランテンなどの2から3環式低分子量PAHを分解する、分離され精製された細菌株を提供することである。
【0014】
本発明の実施形態の少なくとも1つのさらに別の態様は、ピレンおよびフルオラテンを含めた4環およびそれ以上の分子量のPAHを分解する、単離され精製された細菌株を提供することである。典型的な場合、4環およびそれ以上のPAHは、低分子量PAHに比べて環境において非常に持続的であり、分解し難い。したがって、4環およびそれ以上の高分子量PAHを分解する細菌株を提供する能力は、非常に重要である。
【0015】
PAH分解中間体は、金属キレート剤としてさらに機能してもよい。キレート活性または金属錯化は、PAHおよび金属の両方を含有する廃棄物中で、汚染修復を補助することができる。さらに、本明細書で同定された細菌株の少なくとも一部は、フェナントレンを分解する能力の他に、いくつかの異なるタイプのPAH(2、3、および4環PAHを含む)を分解する能力を有する。
【0016】
本発明の実施形態の少なくとも1つのさらに別の態様は、汚染された土壌および基質から金属を除去するのに有用な界面活性特性を有する、分離され精製された細菌株を提供することである。分離され精製された細菌株は、バイオサーファクタントモノマーを産生する。バイオサーファクタントモノマーは、このモノマーが、ミセルを含む3次元構造へと凝集するように、十分な量で産生される。バイオサーファクタントミセルは、土壌の金属イオンと結合する極性頭部を画定する。金属イオンを含有するミセルは、水性懸濁液またはフラッシングによって除去することができ、それによって、基質の金属イオン含量が低下する。次いで、バイオサーファクタントミセル内に含有された、結果的に除去された金属は、効率的な廃棄または貯蔵のために、より容易に分離され濃縮される。
【0017】
本発明の実施形態の少なくとも1つのさらに別の態様は、構成条件下でバイオサーファクタントを産生する、分離され産生された細菌培養物を提供し、この分離株は、バイオレメディエーション条件下でPAHをさらに分解することができるものである。
【0018】
本発明の実施形態の少なくとも1つのさらに別の態様は、バイオレメディエーション条件下で広範な種々のタイプのPAHを分解する能力を有する、分離され精製された細菌株を提供することである。
【0019】
本発明の実施形態の少なくとも1つのさらに別の態様は、全石油系炭化水素(TPH)の全般的な低下をもたらす能力を有する、分離され精製された細菌株を提供することである。さらに、バイオレメディエーション条件下でバイオサーファクタントを産生する一部の分離株の能力は、汚染土壌またはその他の廃棄物中に存在してもよいその他の微生物に対する石油系炭化水素の生物学的利用能を増大させる。
【0020】
本発明の実施形態の少なくとも1つのさらに別の態様は、バイオレメディエーション条件下でバイオサーファクタントを産生する能力と共にPAHを分解する能力を有する、分離され精製された細菌株を提供することである。
【0021】
本発明の実施形態の少なくとも1つのさらに別の態様では、土壌または鉛含有廃棄物流内に存在してもよい、鉛利用能の全般的な低下をもたらす能力を有する分離され精製された細菌株を、可能にすることである。分離株の1種または複数によって産生されたバイオサーファクタントは、土壌などの汚染された基質内の鉛の生物学的利用能を低下させるために無機リン酸塩と組み合わせて使用してもよい。
【0022】
本発明の少なくとも1つの実施形態のその他の態様は、石油汚染物質で汚染された基質の供給材料を提供するステップと、この汚染された基質の供給材料に、石油汚染物質の構成成分を代謝しかつバイオサーファクタントをさらに産生する少なくとも1種の細菌分離株を導入するステップと、石油汚染物質利用分離株が、TPHが100ppm以下になる目標濃度まで石油汚染物質を分解するのに十分な処理時間にわたり、十分な栄養素を提供するステップとを含む、汚染環境からの石油汚染物質のバイオレディメーション方法を含む。
【0023】
本発明のこれらおよびその他の態様は、表2で明らかにされる分離株から選択された分離株を含む、石油製品およびPAHのバイオレメディエーションのための生物学的に純粋な細菌株によって提供される。
【0024】
本発明の、これらおよびその他の特徴、態様、および利点は、以下の記述および添付された特許請求の範囲を参照することによって、より良く理解されよう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
当業者に対する、本発明の完全に可能な開示は、その最良の形態も含めて、本明細書の残りの部分により詳細に記述する。次に、本発明の実施形態、即ちその1つまたは複数の実施例が以下に記述される実施形態を、詳細に参照することになる。各実施例は、本発明の説明として提供され、本発明を限定するものではない。実際に、本発明では、本発明の範囲または精神から逸脱することなく様々な修正および変更を行うことができることが、当業者に明らかにされよう。例えば、一実施形態の一部として記述される特徴は、さらに別の実施形態をもたらすために別の実施形態で使用することができる。したがって本発明は、添付の特許請求の範囲およびその均等物に包含されるような修正例および変形例を包含するものである。本発明のその他の目的、特徴、および態様は、下記の詳細な説明に開示される。本発明の考察は、単なる例示的な実施形態の説明であり、例示的な構成に具体化される本発明のより広範な態様を限定するものではないことを、当業者なら理解すべきである。
【0026】
本発明は、1世紀も続くポーランドのCzechowice製油所から得られた細菌分離株を対象とする。この製油所からの経年劣化スラッジは、その酸性(pH2)の性質によって特徴付けられ、重金属と共に高濃度のPAHを含有する。さらにスラッジは、使用された触媒、アスファルト、珪藻土、シリカゲル、および石炭フライアッシュであって、そのすべてが、現場で以前から堆積された高バックグラウンドレベルの重金属(Pb/Cd/Zn)を含有しているものの存在によって特徴付けられる。採集現場は、3.8ヘクタールの面積を包含する深さ3mの素掘りの潟に堆積された、約120000トンの廃棄物材料を有する領域から得たものである。合計で45種の細菌、68種の菌類、および7種の酵母菌を、ナフタレン蒸気に曝された酸性最少培地(pH4)上にスラッジから分離した。
【0027】
分離株のサブセットは、伝統的な分類学的基準、BIOLOG(商標)、およびSSU rRNA遺伝子の分析によって特徴付けられた。細菌群には、プロテオバクテリア(Proteo bacteria)、ラルストニア(Ralstonia)、シュードモナス(Pseudomonas)、およびアルカリゲネス(Alcaligenes)種が含まれていた。分離体のさらなる特徴付けは、表1および2に示される情報を参照することにより理解することができる。問題となっている様々な有機基質と共に最小栄養因子を使用した、BIOLOG(商標)の特徴付けプロトコルは、参照により本明細書に組み込まれる非特許文献1に関連して記述されている。
【0028】
合計で45種の細菌、68種の菌類、および7種の酵母菌を、ナフタレン蒸気酸性鉱物塩基礎増殖培地を使用して分離した。別々に記述するものではないが、分離株の多くはカテコールを代謝する能力を有し、細菌分離株はPAHを分解する能力によって特徴付けられたことに留意されたい。さらに、PAHを分解する能力を有する、分離され精製された生物体は、全石油系炭化水素の測定値に関連した様々な石油汚染物質を分解する能力も有することに留意されたい。
【0029】
表1において以下に示すように、CZORL1B、BP20、およびCZORL1Bsmと命名された3種の細菌であって、表2の分離株1から3までに対応する3種の細菌は、ナフタレン、ペナントレン、またはフルオランテンを含有する最少培地中で増殖させたときに、界面活性剤を産生することが分かった。表1で同定された9種の追加の株は、ある範囲のPAHを分解し、これは分離株が、汚染物質を分解する触媒的または酵素的な能力を有することを示しているが、これら追加の分離株は、界面活性剤を産生する能力を示さないことが分かった。
【0030】
上記にて同定された細菌株を増殖し、1%のペプトン、トリプチケース、酵母エキス、グルコース(PTYG)のプレート上で維持した。細菌を、30℃で好気的に増殖させ、4℃の最少培地上で維持し、あるいは−70℃で維持された凍結培地上でまたは液体窒素(−196℃)中で長期保存した。
【0031】
細菌の同定は、参照により本明細書に組み込まれた非特許文献2に示されている、rDNAまたは脂肪酸メチルエステル(FAME)同定プロトコルを使用して行った。表2で同定された分離株1から12までの寄託物は、2003年10月9日にMaryland、RockvilleのAmerican Type Culture Collection(ATCC)に寄託され、指示されたATCC指定番号が与えられた。ATCCに提出したときの、分離株寄託物のそれぞれに表れた寄託物の形を、参照により本明細書に組み込む。
【0032】
【表1】

【0033】
【表2】

【0034】
上記にて同定された細菌分離株は、明確に識別可能な種として確立されている。同定された分離株のそれぞれは、PAH分解特性を有しており、土壌内でTPHを低下させる能力についても同様に実証されている。さらに、ある特定の分離株は、バイオサーファクタントを産生する能力を有している。各分離株は、生理学的増殖特性に関して表1および2に記録されたrDNAの特徴付けおよびばらつきに基づいて、新規であると考えられる。
【0035】
上記にて同定された分離株1〜3、ATCC PTA−5580(アルカリゲネス−ピエチャウディー(Alcaligenes piechaudii)SRS);ATCC PTA−5579、(ラルストニアピケッティー(Ralstonia pickettii)SRS);およびATCC PTA−5581(シュードモナス−プチダ(Pseudomonas putida)生物型B SRS)は、すべてがバイオサーファクタントを産生する能力を示しており、その形成は、培養条件下で確認された。バイオサーファクタント浸出液について、各分離株ごとに評価し、界面活性剤と一致した表面張力変化特性を有することを決定した。分離株4〜12はすべて、様々なPAHを生分解する能力を示している(表1)。下記の実施例1で述べるように、バイオリアクター汚染修復研究において、土壌に含有される石油系炭化水素の汚染修復のために表2で同定された12種の分離株の共同体を使用した結果、目に見える量のバイオサーファクタントがバイオレメディエーション条件下で産生される。
【0036】
生物系反応物質を産生するという一部の分離株の能力は、いくつかの異なるメカニズムを通して汚染修復を強化すると考えられる。バイオサーファクタントが産生されると、PAHおよびその他の疎水性石油化合物の生物学的利用能が増大する。増大した生物学的利用能には、産生された界面活性剤が、PAHおよびその他の石油化合物を可溶化して分離株に提供できるようにする能力が含まれる。したがって、界面活性剤を産生するという分離株の能力により、分離株がPAHを分解し代謝する効率が高まる。
【0037】
実施例1で述べるように、使用された分離株の共同体によれば、目に見える量の界面活性剤が土壌内に産生される。バイオサーファクタントは、極性頭部および非極性尾部からなる化学的構造を有することが、一般に知られている。水溶液中では、バイオサーファクタントは、液体表面張力を低下させ、かつ異なる極性の液体間でのエマルジョン形成を促進させる働きをする。バイオサーファクタントの疎水性の非極性尾部領域とバイオサーファクタントのミセルとは、油およびその他の石油化合物を捕捉することができるので、上述の能力によりバイオサーファクタントの有用性が助長される。捕捉された油および石油化合物は、生分解用の細菌に対してより高い生物学的利用能を有する。さらに、捕捉された油および石油化合物を含有するミセルは、この系から定期的に除去またはフラッシュすることができ、それによって、土壌基質から石油化合物をさらに分離し切り離す能力が提供される。
【0038】
さらに、バイオサーファクタントによって形成されたミセルは、土壌からの金属除去を促進させる。ミセルの親水性極性頭部は、土壌内に存在する金属および金属イオンと結合することになる。一旦結合すると、ミセルの可溶性によって、ミセルおよび結合している金属を収集することが可能になる。収集したら、現在濃縮されている体積のミセルおよび含有される金属をさらに処理して、バイオサーファクタントから金属を分離することができる。さらに、バイオサーファクタントを産生する選択された分離株は、土壌内に存在する鉛などの特定の金属の生物学的利用能を低下させるのに使用できることが分かった。ある汚染修復では、汚染物質を除去するのに界面活性剤を使用せず、汚染された現場の長期安定化の方法を提供する。安定化には、表面流出中の鉛が隣接する非汚染現場および地下水に移行するのを防止すると共に、鉛の生物学的利用能を低下させることが含まれる。
【実施例1】
【0039】
移動バイオリアクターを構成し、低レベルのセシウム−137および26000ppmの石油系炭化水素で汚染された体積4トンの土壌を供給した。汚染土壌は、Savannah River Site(Aiken、SC)から得られた風化させた材料であった。石油生産物の源および構成は分かっていないが、使用済みのモータ油およびディーゼル燃料の混合物と考えられる。
【0040】
土壌を、経年劣化したコンポストの7%の充填剤で改質した。各分離株ごとに、対数増殖期の3リットルの培養物を添加し、4トンの混合廃棄土壌内に分配した。バイオリアクターは、このバイオリアクターに周囲空気の連続供給を行うボトムフィードエアレーションラインを有する、一段高くなった二次穿孔床を備えている。さらに、窒素、カリウム、およびリン肥料(10−10−10)の定期的な栄養補給を行って、バイオリアクター内の生物活性を上昇させた。流入水および流出水の継手を取着した。バイオリアクター内を通る空気および液体の流れを制御し調節するために、またバイオリアクター内の水分を制御するために、空気圧縮機、真空ポンプ、および液体ポンプを使用した。
【0041】
低レベルのセシウム−137が存在することにより、バイオリアクターをモニターするのに使用されるサンプリング技法の数およびタイプが限定され、空気流出継手によるHEPA濾過の使用を必要とした。定期的なCO2測定によれば、5カ月間隔で、121ポンドの石油生産物が分解されたことが示された。CO2の測定値に基づけば、バイオレメディエーション法によって、控えめに見て5カ月の評価間隔中に土壌から16000mg/kgの石油汚染物質が除去されたと推定される。体積4トンの汚染土壌は、処理の20カ月後に、TPHが45ppmまで低下したことが実証された。石油およびその他の炭化水素生産物を分解する一方で、バイオサーファクタントを産生するという分離株の能力は、処理プロトコルの効率および多用性という意味で膨大な利点をもたらす。例えば、石油および石油副産物でのみ汚染された土壌の場合、本発明の分離株は、個々に見てもまたは共同体としても、従来のバイオレメディエーション技法と共に使用して分解効率を向上させることができると考えられる。上述のように、バイオサーファクタントの作用によって、個々の細菌それぞれに関する石油溶解性の、より大きなゾーンがもたらされる。その結果、石油生産物のより大きな利用能が生ずる。さらに、分離株によって土壌の一部に凝集体コロニー、バイオフィルム、またはバイオシートが形成される程度まで、界面活性剤は、細菌凝集体に対する石油基質の生物学的利用能を実質的に増大させると考えられる。同時に界面活性剤は、存在し得る重金属の可溶化も増大させ、産生された界面活性剤を除去することによって、重金属濃度を低下させる能力を提供する。
【0042】
実施例1に見られるように、分離株共同体は、汚染土壌からの石油の著しい減少を実現することができる、バイオレメディエーション法を提供する。この性質は、石油汚染土壌および低レベル放射性物質が一緒に存在する混合廃棄物の処分戦略の策定に関して特に有用である。現在、低レベル放射性廃棄物で汚染され、かつ追加の石油汚染物質を有する土壌は、この土壌を低レベル放射性廃棄物として分類し処分することができる前に、その規制値がBTEX(ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、キシレン)の場合は1ppmよりも低く、TPH(全石油系炭化水素)の場合は100ppmよりも低くなければならない。低レベル放射性廃棄物の定義を満たす土壌の処分コストは、毎年1立方メートル当たり約262米ドルである。対照的に、この規制値を超えて、低レベル放射性物質と石油汚染物質との両方を含有する土壌は、混合廃棄生産物として保存しなければならない。混合廃棄土壌の保存コストは、年間コストのみに基づけば、毎年、土壌1立方メートル当たり約10165米ドルである。混合廃棄土壌を処理し、それによって相当なレベルの石油汚染物質を除去する能力は、極めて重要なものである。混合廃棄土壌からの十分な石油汚染物質の除去によって、廃棄物を低レベル放射性廃棄物として処分することが可能になる。結果的に生ずるコストは、混合廃棄物の保存コストの38分の1である。
【0043】
本発明の接種材料の使用は、いくつかの従来技術の技法とは異なって、土壌に対する改質の体積が最小限に維持される点がさらに有利である。土壌改質の体積を最小限に保つことによって、特に低レベルの放射線を含有する土壌の場合、最終的な処分コストが低下する。
【0044】
本発明の分離株は、原位置でのレメディエーションプロジェクトにおいても有用と考えられる。任意の数の従来技術を使用して、分離株の共同体を汚染土壌に供給してよい。必要に応じて、物理的または化学的形態をとる酸素の供給と共に行われる栄養補給は、バイオレメディエーション活性を向上させる。分離株の、PAHを分解する能力ならびに一般に石油系炭化水素を分解する所望の能力を考えると、分離株を使用した原位置での汚染修復が有利である。さらに、土壌成長条件下で界面活性剤(バイオサーファクタント)を産生するという一部の分離株の能力により、ある分離株の使用をより有益なものにする。記述されるように、バイオサーファクタントは、石油生産物および重金属を物理的に閉じ込め、それと共に高い可溶性と、細菌分離株および土壌環境内に存在する天然の微生物の両方に対する石油系炭化水素の接触とをもたらす能力を高める。
【0045】
バイオサーファクタントの使用は、様々な汚染物質状態において有用な結果をもたらすことができる。例えばバイオサーファクタントは、金属毒性を低下させることができると共に、有機および金属汚染物質の両方で汚染された現場においてその他の廃棄物の生分解を高めることが可能な、有用な金属錯化特性を有することが当技術分野では知られている。そのような、参照により本明細書に組み込まれた1つの非特許文献3は、有機および金属汚染物質の両方を有する共汚染系で、金属毒性を低下させるバイオサーファクタントの能力について記述している。
【0046】
参照により本明細書に組み込まれる追加の非特許文献4は、土壌汚染修復の適用例における、界面活性剤の役割についての有用な概観を提供する。バイオサーファクタントは、適切な条件下で、有機物の可溶化、有機物の分解、金属の可溶化、および金属の分離に関して有用な利益をもたらすことができる。
【0047】
本明細書に開示されている、ある分離株は、汚染土壌内の鉛の生物学的利用能を低下させる能力を示している。土壌の鉛汚染は、採鉱、鉛ベースの塗料の存在、射撃場からの武器、ガソリンおよび石油添加剤からの汚染、鉛蓄電池リサイクリングセンター、および鉛ベースの爆発物の残留物を含めた、数多くの動作の結果として生ずることもある。鉛曝露は、ヒトの神経および生殖系において数多くの障害を伴う。鉛は通常、鉛を含有する塵の吸入または摂食を通して身体に進入する。
【0048】
鉛を含有する土壌は、鉛の生物学的利用能を低下させるために、土壌改質剤を使用することによって処理できることが知られている。そのようないくつかの改質剤には、アパタイト、HR、およびその他のリン酸カルシウム含有物質が含まれる。アパタイトは、土壌内の鉛およびその他の金属と結合し、それによって、鉛が移行する傾向が減少することが知られている。結合の相互作用は、鉛の生物学的利用能も低下させる。選択された界面活性剤は、分離株3によって実証されたように、鉛の生物学的利用能を低下させるのに使用してもよい。
【0049】
鉛の生物学的利用能に有益な低下がもたらされたか否かを見るために、バイオサーファクタントを産生する分離株をその他の土壌改質剤と一緒に鉛含有土壌に組み入れることによって、分離株1(アルカリゲネス−ピエチャウディー(Alcaligenes piechaudii))および分離株3(シュードモナス−プチダ(Pseudomonas putida))の評価を実施した。鉛で汚染された土壌は、鉛の弾丸が何年にもわたって土壌内に蓄積されている小火器射撃場から得た。汚染土壌の50gのサンプルを、3種の異なるリン酸カルシウム改質剤と混合した。リン酸カルシウム改質剤には、下文にてNCAと示されるNorth Carolina(米国)産の天然に生ずるリン酸カルシウム鉱石、下文にてFAと示されるFlorida(米国)産の天然に生ずるリン酸カルシウム鉱石、および下文にてBAと示される、粉砕した魚の骨から得られた生体アパタイトが含まれた。NCA、SA、およびBAの10重量%および5重量%の添加を、鉛汚染土壌のそれぞれのサンプルに対して行った。さらに、分離株番号1 アルカリゲネス−ピエチャウディー(Alcaligenes piechaudii)のサンプル5mlを1%のPTYGブイヨンに溶かしたものを導入することによって、一部の改質された土壌サンプルをさらに処理した。分離株の密度は、ml当たり3.11E+08細胞であった。追加のサンプルについても、1%のPTYG滅菌ブロスに含まれた微生物改質剤のサンプルを含有する同様の5mlの添加およびml当たり3.43E+08細胞の密度を使用して、分離株番号3 シュードモナス−プチダ(Pseudomonas putida)で処理した。酸素の消費およびCO2の発生を含めた代謝速度を決定するために、汚染土壌サンプルおよび様々な改質剤および培養物を、チュービングによってMicro−Oxymax Respirometer(Columbus Instruments、Columbus、OH)に接続された密閉容器内で一緒に混合した。微生物密度は、コロニーおよびサンプル密度を決定するための従来の平板技法によって得られた。
【0050】
図1に示される結果から分かるように、分離株3を添加すると、米国環境保護局メソッド6010で規定されているプロトコルを使用する毒物特性浸出法(TCLP)によって測定したときに、鉛の生物学的利用能に著しい低下がもたらされる。微生物改質剤は、NCAまたはBAの5%土壌改質剤と共に使用したときに、鉛利用能に著しい低下をもたらす。BA生産物が低コストであること、および生体アパタイトが均一であるとすると、分離株3と組み合わせた生体アパタイト、またはこれらの組合せの使用によって、土壌内の鉛の生物学的利用能に非常に良好な低下がもたらされると考えられる。
【0051】
生体アパタイトと、分離株3の細菌から天然に産生されるバイオサーファクタントとの組合せは、その他の注目すべき改善が汚染土壌サンプルにもたらされる。代謝率の増加は、酸素の消費および二酸化炭素の生産によって測定したときに、全微生物密度と共に増加したことに留意されたい。図2を参照すると分かるように、全有機物は、共に1%および5%の混入レベルで生体アパタイトと組み合わせたP.プチダ(P.putida)分離株を使用したサンプルの場合、114時間のインキュベーション期間後に著しく増加する。全有機物の増加は、バイオサーファクタントの栄養補給増加に起因した全微生物集団の増加を反映している。微量栄養素の利用能が高いと生物活性が強化され、その結果、有機物が増加する。最も有意な結果は、P.プチダ(P.putida)分離株と組み合わせた生体アパタイトの場合に見られるが、その他のアパタイトの様々な組合せは、1種または複数の分離株を使用して全微生物活性を増加させることができることを示唆している。
【0052】
別個に報告するものではないが、図2に示される有機物の増加は、土壌のpH、O2の消費、CO2の生産の著しい増加、ならびに図1に示される低下した鉛の生物学的利用能と相関することに留意されたい。
【0053】
上述の分離株の使用は、少なくとも一部には分離株の界面活性剤産生特性に起因して、鉛の生物学的利用能の低下をもたらすと考えられる。バイオサーファクタントは、代謝率の上昇、栄養素の利用能、好ましいpHの増加および鉛生物学的利用能の低下に関するアパタイト固有の傾向を強調すると考えられる。前述のように、バイオサーファクタントは、微生物の栄養状態および微量栄養素の利用能を改善する好ましい土壌状態をもたらす。土壌内での生物活性および関連するバイオマスの増加は、鉛の生物学的利用能をさらに低下させると考えられる。土壌の鉛利用能を低下させるP.プチダ(P.putida)活性は、5%濃度でBAと相乗的になる。呼吸速度、微生物密度の指数関数的増加と、バイオマスの増加とは、活性が特定の生物活性に関係しているという明らかな証拠である。
【0054】
図1に示されるように、種々の界面活性剤は、無機添加剤として使用された任意の特定のアパタイトに利用したときに、異なる結果をもたらす。所与の土壌状態、選択されたアパタイト、および/または汚染修復手順で使用されたその他の添加剤に関して鉛生物学的利用能に所望の改善をもたらす組合せを決定するために、通常の実験によって、様々な分離株を評価することができる。添加剤と分離株との最も有用な組合せは、鉛利用能に所望の低下がもたらせるように選択することができる。
【0055】
本出願で既に述べたように、分離株は、PAHの低下、ならびに汚染された土壌および基質からのミネラルイオンの除去および/または封鎖の促進に有用である。したがって、PAH、金属イオン、および鉛などのその他の金属を含む様々な汚染物質を有する汚染土壌および廃棄物流の場合、バイオサーファクタントを産生する分離株を含めた本発明の分離株の1種または複数を使用することにより、所与の現場内で多数の汚染物質を効果的に処理することができる。
【0056】
上記実施例は、高度に汚染された土壌(900mg Pb/Kg土壌)の汚染修復という状況に関して示されたが、個々の分離株または分離株の組合せの有用性は、土壌の汚染修復の試みそのものに限定されないと考えられる。例えば、バイオサーファクタントを産生する分離株は、重金属、金属イオン、鉛、銅、カドミウム、亜鉛、その他の金属、およびその他の汚染物質が発生する鉱山または工業設備の、廃棄物流処理プロセスの一部として使用できると考えられる。多くの現場(即ち、埋立地および工場跡地)には、潜在的な毒物の影響および将来の土地利用に起因した健康問題が依然として存在したままである、低ppm濃度(1〜10mg Pb/Kg土壌)の鉛汚染がある。初期廃棄物流に組み込まれ、かつ上記分離株の1種または複数を含んでいる接種材料を使用することによって、体積が減少した汚染物質を廃棄物流にもたらすことができ、また発生および/または保存された廃棄物に関する長時間の処理プロトコルの一部として存続することができる微生物叢集団を、導入することができる。例えば鉱山廃石は、処分領域上に堆積される前にある汚染物質が減少するように、最初に処理することができる。後に、廃棄物流中に存在する汚染物質の連続的な減少および/または安定化が実現されるよう、有用な生物活性を促進させるために設計されたさらなる処理によって、鉱山廃石内に分離株が存在することを効果的に使用することができる。
【0057】
同様の結果は、汚染物質レベルを最初に低下させるために、かつ保存され堆積された廃棄物流の長時間処理の一部として使用することができる微生物集団を提供するために、生物学的処理プロセスの一部として分離株を使用することができる様々な産業廃棄物流中で使用できると考えられる。
【0058】
本発明の好ましい実施形態について、特定の用語、装置、および方法を使用して述べてきたが、そのような記述は単なる例示を目的するものである。使用された単語は、限定ではなく説明のための単語である。当業者なら、添付の特許請求の範囲に記載される本発明の精神または範囲から逸脱することなく、変更および修正を加えることができることが理解されよう。さらに、様々な実施形態の態様は、全体的にも部分的にも入れ替えることができることを理解すべきである。したがって添付の請求項の精神および範囲は、そこに包含される好ましい態様の説明に限定すべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】高度に汚染された土壌(900mg Pb/Kg土壌)についての、様々な添加剤および生物学的分離株に関する鉛の生物学的利用能を示すグラフである。
【図2】処理プロトコルの後の、土壌サンプル内の全有機物質の変化を示すグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ATCC受託番号PTA−5570、PTA−5571、PTA−5572、PTA−5573、PTA−5574、PTA−5575、PTA−5576、PTA−5577、PTA−5578、PTA−5579、PTA−5580、PTA−5581、およびこれらの組合せからなる群から選択された分離株を含むことを特徴とする、石油系炭化水素のバイオレメディエーションのための生物学的に純粋な細菌株。
【請求項2】
石油汚染物質を有する汚染土壌の供給物を提供するステップと、
前記汚染土壌の供給物に、石油汚染物質の構成成分を代謝しかつバイオサーファクタントをさらに産生する、少なくとも1種の細菌分離株を導入するステップと、
汚染物質を利用する分離株が石油汚染物質を分解するのに十分な処理時間中に、適切な栄養素を提供するステップと
を含むことを特徴とする、土壌環境からの石油汚染物質のバイオレメディエーション方法。
【請求項3】
前記土壌内の前記石油汚染物質の濃度は、少なくとも1種の細菌分離株で処理した後に、約100ppm未満の全石油系炭化水素であることを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
重金属汚染物質および石油汚染物質を含有する汚染土壌の供給物を提供するステップと、
前記汚染土壌の供給物に、石油汚染物質の構成成分を代謝しかつバイオサーファクタントをさらに産生する、少なくとも1種の細菌分離株を導入するステップと、
産生されたバイオサーファクタントの一部を、前記土壌の供給物から定期的に除去するステップであって、前記バイオサーファクタントが、その内部に前記重金属または前記石油系汚染物質のいずれかを含有しているステップと、
前記バイオサーファクタントの一部を除去する前記ステップを、前記重金属濃度が目標値に低下するまで繰り返すステップと
を含むことを特徴とする、重金属汚染物質および石油系汚染物質で汚染された土壌の混合廃棄物の処理方法。
【請求項5】
前記汚染土壌の供給物は、低レベル放射性廃棄物をさらに含有することを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項6】
分離株を導入する前記ステップは、ATCC受託番号PTA−5579、PTA−5580、およびPTA−5581、ならびにこれらの組合せからなる群から選択された分離株を添加するステップをさらに含むことを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項7】
前記少なくとも1種の細菌株を導入するステップは、ATCC受託番号PTA−5579、PTA−5580、およびPTA−5581、ならびにこれらの組合せからなる群から選択された分離株を添加するステップをさらに含むことを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項8】
放射性廃棄物および石油系炭化水素を含有する汚染土壌の供給物を提供するステップと、
前記汚染土壌の供給物に、石油系炭化水素の構成成分を代謝し、かつ石油系炭化水素の構成成分を代謝するATCC受託番号PTA−5570、PTA−5571、PTA−5572、PTA−5573、PTA−5574、PTA−5575、PTA−5576、PTA−5577、PTA−5578、PTA−5579、PTA−5580、PTA−5581、およびこれらの組合せからなる群から選択される、少なくとも1種の細菌分離株を導入するステップと、
前記汚染土壌の供給物を、前記石油系汚染物質の処理後の濃度が約100ppm未満の全石油系炭化水素になるまで処理するステップと
を含むことを特徴とする、低レベル放射性物質および石油系炭化水素を含有する土壌の処理方法。
【請求項9】
前記少なくとも1種の細菌分離株は、ATCC受託番号PTA−5579、PTA−5580、およびPTA−5581、ならびにこれらの組合せからなる群から選択された分離株をさらに含むことを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記石油汚染物質は、多環芳香族炭化水素を含むことを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項11】
前記多環芳香族炭化水素は、2環式、3環式、および4環式の多環芳香族炭化水素、ならびにこれらの組合せからなる群から選択された多環芳香族炭化水素をさらに含むことを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記少なくとも1種の細菌分離株は、バイオレメディエーション条件下で界面活性剤をさらに産生することを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項13】
産生された界面活性剤の一部を、前記汚染土壌の供給物から定期的に除去する追加のステップを含むことを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記石油汚染物質は、多環芳香族炭化水素をさらに含むことを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項15】
前記多環芳香族炭化水素は、2環式、3環式、および4環式の多環芳香族炭化水素、ならびにこれらの組合せからなる群から選択された多環芳香族炭化水素をさらに含むことを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項16】
鉛汚染土壌の供給物を提供するステップと、
約1%から約5%またはそれ以上の生体アパタイトの形で土壌改質剤を提供するステップと、
前記汚染土壌に、ATTC受託番号PTA−5580、PTA−5581、およびこれらの組合せからなる群から選択された接種材料をさらに添加するステップとを含み、
このステップの後に、前記汚染土壌が、より低い鉛の生物学的利用能を有することを特徴とする、鉛の生物学的利用能が低下するように鉛汚染土壌を処理する方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2008−528029(P2008−528029A)
【公表日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−553080(P2007−553080)
【出願日】平成17年1月28日(2005.1.28)
【国際出願番号】PCT/US2005/003405
【国際公開番号】WO2006/085848
【国際公開日】平成18年8月17日(2006.8.17)
【出願人】(502072282)ワシントン サバンナ リバー カンパニー リミテッド ライアビリティ カンパニー (4)
【Fターム(参考)】