説明

把手付き合成樹脂壜

【課題】大容量の把手付き合成樹脂壜は、容量の増大に伴って液体充填状態での重量が増大し、把手に掛かる負担も増大して合成樹脂壜から外れ易く、よって壜と把手部材Bとの連結を従来よりも確実に行えるようにすることが必要である。本発明はそのような目的を達成する。
【解決手段】把手板12の左右両側から、左右一対の横向きU字形状脚板11を前方へ張出突出させて把手部材Bとなし、それ等一対の脚板11を、壜胴後部に形成された凹部6の壁面へインサート成形で埋設した把手付き合成樹脂壜であって、把手部材Bにアンカー13を突設するとともに、各脚板11の基端隅部に補強板を一体に掛け渡した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は把手付き合成樹脂壜に関する。
【背景技術】
【0002】
起立する長方形状把手板の左右両側から、横向きU字形状の脚板を左右一対として前方へ張出させた形状の把手部材を設けておき、それ等一対の脚板を、壜胴の後部に形成される凹部の壁面へインサート成形で埋設した把手付き合成樹脂壜が知られている(特許文献1参照)
【特許文献1】特開2000−16434号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記のように大容量の把手付き合成樹脂壜は、容量の増大に伴って液体充填状態での重量が増大し、従って把手にかかる負担も増大して合成樹脂壜から外れ易く、よって壜と把手部材との連結を従来よりも確実に行えるようにすることが必要である。
【0004】
本発明はそのような目的を達成することが可能としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1の手段として、把手板12の左右両側から、左右一対の横向きU字形状脚板11を前方へ張出突出させて把手部材Bとなし、それ等一対の脚板11を、壜胴後部に形成された凹部6の壁面へインサート成型で埋設した把手付き合成樹脂壜に於いて、上記把手部材Bの上下面又は前面の何れか一箇所或いは複数箇所に突部形態のアンカー13を突設するとともに、前記各脚板11の基端隅部に補強板14を一体に掛け渡し、前記アンカー13及び補強板14を前記凹部壁面へ埋設した。
【0006】
第2の手段として、前記第1の手段に於いて、前記アンカー13が、前記把手部材Bの上下面に設けた横長突条形態のアンカー13a と、前記脚板11外面に設けた脚板11の長手方向に沿う突条形態のアンカー13b とで構成した。
【発明の効果】
【0007】
本発明の把手付き合成樹脂壜は、把手板12の上下両端面と、両脚板11間の把手板上下両部の前面と、両脚板11の前方側の張出湾曲面及び両脚板の左右両側面と、アンカー13の全面を合成樹脂壜の凹部形成壁6aへ埋設されることとなり、このようにして把手部材Bを合成樹脂壜Aに対して確実に固着させることができる。特にアンカー13の存在でより強固な埋設を行える。更に、把手部材Bの各脚板11が開く方向に外力が作用しても補強板14の存在でそれを阻止し、その結果、把手部材Bの凹部形成壁6aへの埋設が緩んだり,外れたりすることを防止できる。
【0008】
また、第2の手段では、横長突条形態のアンカー13a により主として前後方向のズレを、脚板11の長手方向に沿う突条形態のアンカー13b により主として左右方向のズレを防止でき、より安定した埋設状態の維持を可能としている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の実施例の形態を図面を参照して説明する。
【0010】
まず図1から図3が示す第1実施形態について説明すると、Aは胴部2から肩部3を介して口頸部4を起立する壜で、その口頸部4にはキャップ5を螺合させている。
【0011】
上記壜は二軸延伸壜としており、その胴部2の後部には図2から理解されるように後面及び両側面開放の凹部6を形成してその凹部6内へは、把手部材Bの一対の脚板11を埋設させている。
【0012】
把手部材Bは、図3が示すように起立させた略長方形状の把手板12の左右両側から左右一対の横向きU字形状の脚板11を前方へ突出しており、両脚板11の基端は上記把手板の四隅部から突出させている。また、その上下面又は前面の何れか一箇所或いは複数箇所に突部形態のアンカー13を突設している。アンカー13は把手部材Bが壜Aにズレや脱落がなく固定されるために設けたものであり、その形状とは突部形態であれば特に限定されない。また、その数,大きさも、適宜選択することができる。更に、両脚板11間が外力により開くのを防止する目的で、各脚板11の基端隅部に補強板14を一体に掛け渡している。
【0013】
図示例では把手板12の上下両端に前向フランジ15を付設してそれ等前向フランジの左右両端から脚板11を突出しているが、このようにすることで把手板上面と凹部6の上下壁面との接合面を拡げて把手部材をより確実に固定させることが出来る。また、前向フランジ15は、図示のように把手板12の横幅よりも長く設けてその両端を左右外方へ突出させることが望ましい。更に、アンカー13は、上部の前向フランジ15の上面及び下部の前向フランジ15の下面にそれぞれ一対ずつ横長突条形態のアンカー13a を突設しており、また、各脚板11の上面から前面に至る湾曲面或いは下面から前面に至る湾曲面部分にそれぞれ脚板11の長手方向に沿う突条形態のアンカー13b を突設している。更に、補強板14は上下の各脚板11の基端部と前向フランジ15とで形成する四箇所の隅部にそれぞれ設けられた三角板状をなしている。
【0014】
上記把手部材Bは、その左右一対の脚板11を既述凹部6の壁面へインサート成形により埋設させることで壜Aに対して固定させる。
【0015】
該固定状態に於いて、把手板12の上下両面及び両脚板11基端間の把手板12上下両部の前面が、また、両脚板11の前方側の張出湾曲面及び両脚板11の左右両側面が、更に、各アンカー13の全面及び各補強板14の上面又は下面がそれぞれの凹部形成壁6aと複合され、よって把手部材Bは壜Aに対して確実に固定される。
【0016】
図4は他の把手部材Bの例を示し、この場合は上下の前向フランジ15の上面及び下面にそれぞれ一箇所の横長突条形態のアンカー13a を設け、また、各脚板11の上面から前面を通り下面に至る、脚板11の長手方向に沿う突条形態のアンカー13b を各脚板11に突設している。その他の構成は図1の実施形態と同様である。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一部切欠側面図である。(実施例1)
【図2】本発明の一部切欠平面図である。(実施例1)
【図3】本発明の把手部材の斜視図である。(実施例1)
【図4】本発明の把手部材の斜視図である。(実施例2)
【符号の説明】
【0018】
6…凹部,11…脚板,12…把手板,13…アンカー,13a …横長突条形態のアンカー,
13b …脚板の長手方向に沿う突条形態のアンカー,14…補強板,A…壜,B…把手部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
把手板12の左右両側から、左右一対の横向きU字形状脚板11を前方へ張出突出させて把手部材Bとなし、それ等一対の脚板11を、壜胴後部に形成された凹部6の壁面へインサート成型で埋設した把手付き合成樹脂壜に於いて、上記把手部材Bの上下面又は前面の何れか一箇所或いは複数箇所に突部形態のアンカー13を突設するとともに、前記各脚板11の基端隅部に補強板14を一体に掛け渡し、前記アンカー13及び補強板14を前記凹部壁面へ埋設したことを特徴とする把手付き合成樹脂壜。
【請求項2】
前記アンカー13が、前記把手部材Bの上下面に設けた横長突条形態のアンカー13a と、前記脚板11外面に設けた脚板11の長手方向に沿う突条形態のアンカー13b とで構成してなる請求項1記載の把手付き合成樹脂壜。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−36345(P2006−36345A)
【公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−223126(P2004−223126)
【出願日】平成16年7月30日(2004.7.30)
【出願人】(000006909)株式会社吉野工業所 (2,913)
【Fターム(参考)】