説明

把持装置

【課題】ワークを安定良く把持しかつワークを設置したことを容易に確認し得る把持装置を提供する。
【解決手段】把持装置であって、アーム5、アーム5を設置するアームベース、一対のアーム5の間隔を変える開閉機構3cを有する。各アーム5はガイド部材5aと把持部材5bを有する。ガイド部材5aにガイド長孔5a3が設けられ、把持部材5bにガイドピン5eが設けられる。ガイド長孔5a3は、一対の把持部材5bが近接してワークに当った際に把持部材5bがガイド部材5aに対して把持部材5bの当接面5d4における把持部材5b側に移動しかつ上昇するようにガイドピン5eを案内し得る第一長孔部5a1と、把持部材5bに把持されたワークから把持部材5bが上方に力を受けた際に把持部材5bがガイド部材5aに対して相対的に上昇するようにガイドピン5eを案内し得る第二長孔部5a2を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワークを把持する把持装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載の把持装置は、回転可能に連結される一対のトングと、各トングの先端部に回転可能に取付けられるカムと、カムのトングに対する回転角度を所定範囲に規定するストッパを有する。トングの先端部が近接してカムの先端部がワークに当ると、カムの先端部がトングに対して上方に回転する。ワークの重量によってカムの先端部が下方に力を受けると、カムのトングに対する回転によってカムの先端部がワークに向けて移動し、カムによるワークの押す力が増加する。したがって把持装置は、ワークの重量を利用してワークを安定良く把持し得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−95590号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしワークを所定の位置に搬送してワークを所定の位置に設置する際にワークが設置されたか否かを確認することが容易でない。そのためワークを安定良く把持しかつワークを設置したことを容易に確認し得る把持装置が従来必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決するために本発明は、各請求項に記載の通りの把持装置であることを特徴とする。一つの特徴によると把持装置は、一対のアームと、一対のアームを設置するアームベースと、一対のアームの間隔を変える開閉機構を有する。各アームは、アームベースに設けられかつ開閉機構によって他方のアームとの間隔が変えられるガイド部材と、ガイド部材に設けられかつワークに当接する当接面を具備する把持部材を有する。ガイド部材と把持部材の両部材の一つには、ガイド長孔が設けられ、両部材の他の一つには、ガイド長孔に移動可能に挿入されるガイドピンが設けられる。ガイド長孔は、一対の把持部材が近接して把持部材がワークに当った際に把持部材がガイド部材に対して把持部材の当接面における把持部材側に移動しかつ上昇するようにガイドピンを案内し得る方向に延出する第一長孔部と、把持部材に把持されたワークから把持部材が上方に力を受けた際に把持部材がガイド部材に対して相対的に上昇するようにガイドピンを案内し得る方向に第一長孔部から延出する第二長孔部を有する。
【0006】
したがって把持部材は、ガイド長孔によってガイド部材に対して移動する方向が決定される。そのため把持部材をリンクによってガイド部材に対して移動させる場合に比べて把持部材の移動方向の自由度が高い。かくして把持部材がガイド部材に対して好適に移動され得る。ガイド長孔は、第一長孔部を有する。そのためワークを把持した把持部材は、ワークの重さによって下方の力を受けた際にワークに向けて移動してワークを押す。そのため把持部材は、ワークの重さを利用してワークを安定良く把持し得る。ガイド長孔は、第二長孔部を有する。そのためワークを把持した把持部材は、ワークを棚等に設置してワークを介して上方の力を受けるとガイド部材に対して上昇する。そのためガイド部材と把持部材の相対移動によってワークが設置されたか否かが確認され得る。例えば目視あるいはセンサ等によって容易に確認され得る。
【発明の効果】
【0007】
したがって本発明によると、ワークを安定良く把持しかつワークが設置されたことが容易に確認され得る。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】把持装置を備える搬送装置の斜視図である。
【図2】把持装置のアームの斜視図である。
【図3】アームの分解斜視図である。
【図4】ワークを把持する前のアームの正面図である。
【図5】把持部材がワークを持上げた直後のアームの正面図である。
【図6】把持部材がワークを持上げた状態におけるアームの正面図である。
【図7】ワークが棚に設置された際のアームの正面図である。
【図8】ガイド長孔の正面図である。
【図9】他の形態にかかるガイド長孔の正面図である。
【図10】他の形態にかかるガイド長孔の正面図である。
【図11】他の形態にかかるガイド長孔の正面図である。
【図12】他の形態にかかるガイド長孔の正面図である。
【図13】他の形態にかかるガイド長孔とガイドピンの正面図である。
【図14】他の形態にかかるアームの斜視図である。
【図15】図14のアームの他方向からの斜視図である。
【図16】図14のアームの分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の一つの実施の形態を図1〜8にしたがって説明する。搬送装置1は、図1に示すようにベース2と把持装置3を有する。ベース2は、上下に延出する一対の柱2aと、柱2aの下部を連結する下梁2bと、柱2aの上部を連結する上梁2cと、各柱2aの下部から前方に延出する脚2dと、脚2dより高い位置において柱2aの後方に延出する台2fを有する。なお上下方向とは、図1における上下方向であり、重力の方向に対応する。前後方向は、搬送装置1の走行方向に対応し、前方が図1右方向、後方が図1左方向である。左右方向は、搬送装置1の走行方向に対して直交しかつ水平方向に対応する。
【0010】
脚2dの先端部下側には、図1に示すように車輪2eが転動可能に取付けられる。台2fの左右部下側には、車輪2gが転動可能に取付けられる。台2fにはバッテリ4と制御装置2iが搭載される。台2fの後部にはハンドル2hが設けられ、ハンドル2hは、台2fから上方に延出する。ハンドル2hには、図示省略の操作盤が装着される。
【0011】
把持装置3は、図1に示すようにアームベース3aと一対のアーム5を有する。アームベース3aは、一対の柱2aの間を延出する。アームベース3aの各端部は、各柱2aに上下方向に移動可能に取付けられる。アームベース3aは、ベース2に設けられたアームリフト6によって昇降される。
【0012】
アームリフト6は、図1に示すように雄ねじ部材6aと雌ねじ部材6bとモータ6dを有する。雄ねじ部材6aは、上下方向に延出し、各端部が上梁2cと下梁2bに軸回転可能に取付けられる。雌ねじ部材6bは、ブラケット6cによってアームベース3aに取付けられる。雌ねじ部材6bには、雄ねじ部材6aが螺合される。モータ6dは、下梁2bに取付けられ、バッテリ4から供給された電力によって雄ねじ部材6aを軸回転させる。雄ねじ部材6aが軸回転することで雌ねじ部材6bが雄ねじ部材6aに沿って昇降する。
【0013】
アームベース3aには、図1に示す一対のアーム5の間隔を変える開閉機構3cが設けられる。開閉機構3cは、雄ねじ部材3dと一対の雌ねじ部材3eとモータ3fを有する。雄ねじ部材3dは、左右方向に延出し、アームベース3aに軸回転可能に取付けられる。雄ねじ部材3dの左側外周面には第一方向に延出する螺旋状の雄ねじが形成され、右側外周面には第一方向と反対の第二方向に延出する螺旋状の雄ねじが形成される。
【0014】
各雌ねじ部材3eは、図1に示すようにアーム5に取付けられる。雌ねじ部材3eの一つが雄ねじ部材3dの左側外周面の雄ねじに螺合され、雌ねじ部材3eの他の一つが雄ねじ部材3dの右側外周面の雄ねじに螺合される。モータ3fは、アームベース3aに取付けられ、バッテリ4から供給された電力によって雄ねじ部材3dを軸回転させる。これにより一対の雌ねじ部材3eが近接、離間し、アーム5の間隔が変化する。
【0015】
アーム5は、図2,図3に示すように板状のガイド部材5aと把持部材5bを有する。ガイド部材5aの後面内側領域には、雌ねじ部材3eが取付けられる。雌ねじ部材3eは、直方形状であって雌ねじ長孔3e1と貫通長孔3e2が形成される。雌ねじ長孔3e1に雄ねじ部材3dが螺合される。貫通長孔3e2には、図1に示すガイド3bが貫通される。
【0016】
ガイド部材5aには、図2,図3に示すように複数のガイド長孔5a3が形成される。ガイド長孔5a3は、ガイド部材5aを厚み方向に貫通し、前後方向にガイドピン5eが貫通される。ガイド部材5aには、左右方向に複数列(例えば二列)、上下方向に複数列(例えば三列)のガイド長孔5a3が並設される。
【0017】
ガイド長孔5a3は、図3,図8に示すように円弧状の第一長孔部5a1と直線状の第二長孔部5a2を有する。第一長孔部5a1は、上下方向にかつ左右方向に延出する。第一長孔部5a1の下端部は、上端部よりも他方のアーム5側に位置する。第二長孔部5a2は、第一長孔部5a1の上端部から上方に延出する。第二長孔部5a2の水平線に対する角度5a4は、75<5a4≦90°に設定される。第二長孔部5a2は、鉛直線上に延出、あるいは下端部が上端部よりも他方のアーム5に近い。
【0018】
把持部材5bは、図2,図3に示すように板状の取付部材5cと、板状の把持部材5dを有する。把持部材5dは、前後方向に延出する本体部5d1を有する。本体部5d1の上下縁にリブ5d2が設けられる。本体部5d1の裏面の中央領域には、前後方向に延出するリブ5d3が設けられる。本体部5d1は、表面にワーク7に当接される当接面5d4を有する。本体部5d1の後端部は、取付部材5cの中央領域に取付けられ、本体部5d1が取付部材5cに起立する。
【0019】
取付部材5cは、図2,図3に示すようにガイド部材5aの前側に並設される。取付部材5cには、複数のガイドピン5eが取付けられる。ガイドピン5eは、左右方向に複数列(例えば二列)、上下方向に複数列(例えば三列)設けられる。ガイドピン5eは、取付部材5cから後方向に延出する。ガイドピン5eは、取付部材5cの前側に位置する頭部5e1と、取付部材5cに形成された孔5c1を貫通する軸部5e2を有する。軸部5e2は、ガイド長孔5a3に貫通され、軸部5e2の先端部5e3が保持部材5fに取付けられる。
【0020】
保持部材5fは、図3に示すように板状であって取付部材5cと同様の形状を有する。保持部材5fには、ガイドピン5eの先端部5e3が取付けられる複数の取付孔5f1が形成される。保持部材5fの上下端部は、ブリッジ5c2によって取付部材5cの上下端部と連結される。ブリッジ5c2は、把持部材5bがガイド部材5aに対して移動可能にガイド部材5aに対して十分に上方あるいは下方に位置する。
【0021】
図2に示すようにアーム5には、把持部材5bをガイド部材5aに対して付勢する付勢部材5gが設けられる。付勢部材5gは、例えばコイルばねであって、一端部が雌ねじ部材3eに取付けられ、他端部が保持部材5fに取付けられる。付勢部材5gは、把持部材5bを他方のアーム5に向けて付勢する。したがってガイドピン5eは、付勢部材5gの付勢力と把持部材5bの重さによってガイド長孔5a3の下部に付勢される。
【0022】
搬送装置1によってワーク7を把持して搬送する場合は、先ず操作盤を操作して、操作盤から発信された信号に基づいて制御装置2iがアームリフト6によってアーム5の高さを調整する(図1参照)。次に、車輪2e,車輪2gによって搬送装置1を移動させ、アーム5を棚に挿入する。操作盤を操作して、操作盤から発信された信号に基づいて制御装置2iが開閉機構3cを制御し、一対のアーム5がワーク7に向けて近接する。
【0023】
図4,図5に示すように把持部材5dがワーク7に当り、ガイドピン5eがガイド長孔5a3に案内されつつ移動する。各ガイドピン5eは、並行に延出する複数の各第一長孔部5a1に沿って移動する。そのため把持部材5dは、ワーク7に対面しつつ、他方のアーム5から離れる方向にかつ上方に移動する。把持部材5dとワーク7の間の摩擦力によって把持部材5dがワーク7を持上げる。したがってワーク7は、図1に示すアームリフト6によってアーム5を上方に移動させることなく持上げられ得る。
【0024】
一対のガイド部材5aを開閉機構3cによってさらに近接させると、図6に示すようにガイドピン5eが第一長孔部5a1と第二長孔部5a2の間に到達する。ガイドピン5eは、第一長孔部5a1と第二長孔部5a2の角度差によってガイド長孔5a3に対する移動が規制される。例えば第二長孔部5a2が鉛直に延出し、ガイドピン5eが水平に移動する場合は、ガイドピン5eが第二長孔部5a2の構成壁面に垂直に当り、ガイドピン5eのガイド長孔5a3に対する移動が規制される。これにより一対のガイド部材5aの近接が停止する。
【0025】
あるいは把持部材5bとガイド部材5aの相対移動を検知する把持完了センサがガイド部材5a等に設けられる。把持完了センサは、ガイドピン5eが第一長孔部5a1と第二長孔部5a2の間に位置した際に制御装置2iに検知信号を発信する。制御装置2iは、開閉機構3cを制御して一対のガイド部材5aの近接を停止する。これにより把持装置3によるワーク7の把持作業が完了する。
【0026】
図6に示すように一対の把持部材5dがワーク7を持上げると、把持部材5dには、ワーク7の重さによって下方に力が加わる。また把持部材5dには、付勢部材5gの付勢力が加わり、付勢力が第一長孔部5a1によって下方への力に変換される(図2参照)。把持部材5dは、下方に移動することで第一長孔部5a1によってワーク7に向けて移動する。これにより一対の把持部材5dが協働してワーク7をさらに強く挟む。一対の把持部材5dがワーク7を挟む力は、ワーク7の重さに対応し、一対の把持部材5dがワーク7を好適な力で挟み得る。
【0027】
次に、車輪2e,車輪2gによって搬送装置1を移動させてワーク7を所定位置へ移動させる。次に、操作盤を操作し、操作盤から発信された信号に基づいて制御装置2iがアームリフト6によってアーム5を下降させる(図1参照)。ワーク7が図7に示すように棚8に到達すると、ワーク7との間の摩擦力によって把持部材5dの下降が停止する。アームリフト6によってガイド部材5aがさらに下降すると、ガイド部材5aが把持部材5dに対して下降する。そのためガイド部材5aが把持部材5bに対して相対的に下方に移動して、ガイド長孔5a3がガイドピン5eに対して移動する。
【0028】
かくしてガイドピン5eが第二長孔部5a2に沿って相対的に上方に移動する。把持部材5bとワーク7は、ガイド部材5aとアームベース3aに対して相対的に上方に移動する。そのため作業者は、例えばワーク7とアームベース3aの相対移動を目視によって確認することでワーク7が棚8に設置されたことを確認し得る。作業者は、該確認に基づいて操作盤を操作し、操作盤から発信された信号に基づいて制御装置2iがアームリフト6によるアーム5の下降を停止する。
【0029】
あるいは把持部材5bとガイド部材5aの相対移動を検知する設置センサがガイド部材5a等に設けられる。ガイドピン5eが第二長孔部5a2の上端部に位置した際に設置センサが制御装置2iに検知信号を発信し、制御装置2iがアームリフト6を制御してアーム5の下降を停止する。これにより搬送装置1によるワーク7の設置作業が完了する。
【0030】
第二長孔部5a2の水平線に対する角度5a4が90°よりも小さい場合は、ガイドピン5eが第二長孔部5a2に沿って移動した場合、把持部材5bがワーク7を押す力が弱くなる。そのため把持部材5bがワーク7から容易に離れ得る。
【0031】
以上のように把持装置3は、図1,図2に示すように、一対のアーム5と、一対のアーム5を設置するアームベース3aと、一対のアーム5の間隔を変える開閉機構3cを有する。各アーム5は、アームベース3aに設けられかつ開閉機構3cによって他方のアーム5との間隔が変えられるガイド部材5aと、ガイド部材5aに設けられかつワーク7に当接する当接面5d4を具備する把持部材5bを有する。ガイド部材5aには、ガイド長孔5a3が設けられ、把持部材5bには、ガイド長孔5a3に移動可能に挿入されるガイドピン5eが設けられる。ガイド長孔5a3は、一対の把持部材5bが近接して把持部材5bがワーク7に当った際に把持部材5bがガイド部材5aに対して把持部材5bの当接面5d4における把持部材5b側に移動しかつ上昇するようにガイドピン5eを案内し得る方向に延出する第一長孔部5a1と、把持部材5bに把持されたワーク7から把持部材5bが上方に力を受けた際に把持部材5bがガイド部材5aに対して相対的に上昇するようにガイドピン5eを案内し得る方向に第一長孔部5a1から延出する第二長孔部5a2を有する。
【0032】
したがって把持部材5bは、ガイド長孔5a3によってガイド部材5aに対して移動する方向が決定される。そのため把持部材5bをリンクによってガイド部材5aに対して移動させる場合に比べて把持部材5bの移動方向の自由度が高い。かくして把持部材5bがガイド部材5aに対して好適に移動され得る。ガイド長孔5a3は、第一長孔部5a1を有する。そのためワーク7を把持した把持部材5bは、ワーク7の重さによって下方の力を受けた際にワーク7に向けて移動してワーク7を押す。そのため把持部材5bは、ワーク7の重さを利用してワーク7を安定良く把持し得る。ガイド長孔5a3は、第二長孔部5a2を有する。そのためワーク7を把持した把持部材5bは、ワーク7を棚等に設置してワーク7を介して上方の力を受けるとガイド部材5aに対して上昇する。そのためガイド部材5aと把持部材5bの相対移動によってワーク7が設置されたか否かが確認され得る。例えば目視あるいはセンサ等によって容易に確認され得る。
【0033】
把持部材5bは、図2に示すようにガイド部材5aに対して移動可能に対面する取付部材5cを有する。したがって把持部材5bは、取付部材5cによってガイド部材5aに対して安定良く移動し得る。
【0034】
把持装置3は、図3に示すようにガイド部材5aと取付部材5cに略平行に配置される保持部材5fを有する。保持部材5fには、ガイド長孔5a3を貫通したガイドピン5eの先端部が取付けられる。したがってガイドピン5eが設けられる取付部材5cと保持部材5fの間にガイド長孔5a3が設けられるガイド部材5aが位置する。そのためガイドピン5eが設けられる取付部材5cとガイド長孔5a3が設けられるガイド部材5aが保持部材5fによって安定良く相対移動し得る。
【0035】
把持部材5bは、図3に示すように取付部材5cにおけるガイド部材5aと対向する側の反対方向に延出しかつワーク7を把持し得る把持部材5dを有する。したがって把持部材5bは、基端部においてガイド部材5aに移動可能に支持される。そのため把持装置3は、例えばガイド部材5aが把持部材5dに並設される場合に比べて小型になる。
【0036】
図3に示すようにガイド長孔5a3がガイド部材5aに設けられる。また、ガイドピン5eが把持部材5bに設けられる。したがって把持部材5bには、ガイド長孔5a3よりも比較的小さく構成され得るガイドピン5eが設けられる。そのため把持部材5bを小さくし軽くすることができる。これによりワーク7を把持する際に加わり得る把持部材5bの重量が軽くなり、破損し易いワーク7等の把持が可能になる。
【0037】
開閉機構3cは、図2に示すように一対のガイド部材5aの水平方向の間隔を変化させる。また、第二長孔部5a2は、鉛直方向に延出する。したがってガイドピン5eが第一長孔部5a1に沿って移動して第二長孔部5a2に到達した場合、ガイドピン5eが鉛直に延出する第二長孔部5a2に対して水平方向に当る。そのためガイドピン5eが第二長孔部5a2に沿って移動できず、ガイドピン5eは、開閉機構3cによるガイド部材5aの開閉によって第一長孔部5a1と第二長孔部5a2の間に保持され得る。
【0038】
図2,図6に示すように把持装置3には、把持部材5bを他方の把持部材5bに向けて付勢する付勢部材5gが設けられる。したがって把持部材5bによってワーク7を挟んだ際に付勢部材5gの付勢力が把持部材5bを介してワーク7に伝わる。そのためワーク7を付勢部材5gの付勢力によって安定良く把持し得る。
【0039】
把持部材5dは、図5に示すようにワーク7に対面する平面を有する。したがって把持部材5dは、平面を有するワーク7に対して広い面積で当り得る。これによりワーク7に集中荷重が加わることが避けられ得る。
【0040】
把持部材5bは、図5に示すようにガイド長孔5a3とガイドピン5eによってワーク7に当った際にガイド部材5aに対してワーク7から離れ得る。そのため把持部材5bがワーク7に当った直後にワーク7に過剰な力が加わることが避けられ得る。
【0041】
本発明は、上記実施の形態に限定されず、以下の形態等であっても良い。例えばガイド部材5aは、図8に示すガイド長孔5a3に代えて図9〜12に示すガイド長孔9a〜9dを有していても良い。
【0042】
図9に示すガイド長孔9aは、第一長孔部9a1と第二長孔部9a2を有する。第一長孔部9a1は、直線状に延出する直線長孔9a3と円弧状に延出する円弧長孔9a4を有する。直線長孔9a3は、水平線に対する角度9a5を有し、角度9a5が15<9a5<75°に設定される。円弧長孔9a4は、直線長孔9a3の上部から上方にかつ水平線に対して徐々に角度が大きくなる。第二長孔部9a2は、円弧長孔9a4の上端部から延出し、かつ水平線に対する角度9a6を有し、角度9a6が75<9a6≦90°に設定される。
【0043】
図10に示すガイド長孔9bは、第一長孔部9b1と第二長孔部9b2を有する。第一長孔部9b1は、円弧状に延出する第一円弧長孔9b3と円弧状に延出する第二円弧長孔9b4を有する。第一円弧長孔9b3は、上方に延出しかつ水平線に対する角度が徐々に小さくなる。第二円弧長孔9b4は、第一円弧長孔9b3の上部から上方に延出しかつ水平線に対する角度が徐々に大きくなる。第二長孔部9b2は、第二円弧長孔9b4の上端部から延出し、かつ水平線に対する角度9b5を有し、角度9b5が75<9b5≦90°に設定される。
【0044】
図11に示すガイド長孔9cは、第一長孔部9c1と第二長孔部9c2を有する。第一長孔部9c1は、直線状に延出する直線長孔9c3と円弧状に延出する第一円弧長孔9c4と円弧状に延出する第二円弧長孔9c5を有する。直線長孔9c3は、水平線に対する角度9c6を有し、角度9c6は15<9c6<75°に設定される。第一円弧長孔9c4は、直線長孔9c3の上部から延出し、水平線に対する角度が徐々に小さくなる。第二円弧長孔9c5は、第一円弧長孔9c4の上部から上方に延出し、かつ水平線に対する角度が徐々に大きくなる。第二長孔部9c2は、第二円弧長孔9c5の上端部から延出し、かつ水平線に対する角度9c7を有し、角度9c7が75<9c7≦90°に設定される。
【0045】
図12に示すガイド長孔9dは、第一長孔部9d1と第二長孔部9d2を有する。第一長孔部9d1と第二長孔部9d2は、同一直線上に位置する。第一長孔部9d1と第二長孔部9d2は、水平線に対する角度9d4を有し、角度9d4が15<9d4<75°に設定される。把持装置には、ガイドピンが第一長孔部9d1と第二長孔部9d2の間の地点9d3に到達したことを検知し得る把持完了センサが設けられる。
【0046】
図3に示すようにガイド長孔5a3がガイド部材5aに形成され、ガイドピン5eが把持部材5bに設けられても良いし、図13に示すようにガイド長孔9eが把持部材5bに設けられ、ガイドピン9fがガイド部材5aに設けられても良い。ガイド長孔9eは、第一長孔部9e1と第二長孔部9e2を有し、第一長孔部9e1は、上下方向に延出し、かつ第一長孔部9e1の下端部が上端部よりも他方のアームに向けて延出する。第一長孔部9e1は、円弧状であって水平線に対して徐々に角度が大きくなる。第二長孔部9e2は、第一長孔部9e1の下端部から下方に延出し、水平線に対する角度9e3を有し、角度9e3が75<9e3≦90に設定される。
【0047】
把持装置3は、図2に示すアーム5に代えて図14〜16に示すアーム10を有していても良い。図14〜16に示すようにアーム10は、ガイドベース部材10aと把持部材10bを有する。ガイドベース部材10aは、前後に延出する板状のガイドベース10a1と、ガイドベース10a1の上下辺に形成されるリブ10a2と、ガイドベース10a1の基端部に設けられる取付部10a4を有する。取付部10a4には、図2に示す雌ねじ部材3eが取付けられる。ガイドベース10a1の先端領域と中央領域には、把持部材10bに向けて起立するガイド部材10a3が形成される。
【0048】
図14〜16に示すように把持部材10bは、前後に延出する把持部材10b1と、把持部材10b1の上下辺に形成されるリブ10b2と、把持部材10b1からガイドベース部材10aに向けて起立する取付部材10b3と保持部材10b4を有する。取付部材10b3は、各ガイド部材10a3の前側に位置し、保持部材10b4は、各ガイド部材10a3の後側に位置する。取付部材10b3と保持部材10b4は、ガイド部材10a3に摺動可能に対向する。
【0049】
図14〜16に示すようにガイド部材10a3には、複数のガイド長孔10cが形成される。各ガイド長孔10cは、第一長孔部10c1と第二長孔部10c2を有する。第一長孔部10c1は、上下方向に延出し、上端部が下端部よりも他方のアーム10から離れている。第二長孔部10c2は、第一長孔部10c1の上部から上方に延出し、好ましくは鉛直方向に延出する。取付部材10b3には、複数のガイドピン10dが取付けられる。ガイドピン10dは、ガイド長孔10cを貫通し、基端部が取付部材10b3に支持され、先端部が保持部材10b4に取付けられる。
【0050】
図14〜16に示すようにガイド部材10a3と取付部材10b3は、把持部材10b1の前側部と後側部に位置する。そのため把持部材10b1がワークに当接した際に生じる力は、把持部材10b1の両側部で受け止められる。そのため把持部材10b1は、安定良くワークを保持し得る。
【0051】
開閉機構3cは、図1に示すように一対のアーム5を移動させても良いし、一つのアーム5のみを他方のアーム5に対して移動させても良い。
【0052】
把持部材5dは、ワーク7に当接する面が図2に示すように水平方向に向いていても良いし、やや上方に向いていても良い。
【0053】
付勢部材5gは、図2に示すようにコイルばねでも良いし、引っ張りばね、ガスばね、ダンパー等であっても良い。
【0054】
把持完了センサと設置センサは、タッチセンサ、磁気式センサ、光学式センサなどであっても良い。
【0055】
ガイド長孔5a3とガイドピン5eは、それぞれ六つでも良いし、二つ以上の複数であっても良い。
【0056】
把持部材5dは、図3に示すように取付部材5cから前方に延出していても良いし、下方に延出していても良い。
【0057】
開閉機構3cは、図1に示すように一対のアーム5を近接させる雄ねじ部材3d等に代えて油圧シリンダ等を有していても良い。
【0058】
把持装置3は、アームベース3aを昇降させるアームリフト6を有していても良いし、倉庫あるいは工場に移動可能に設けられかつアームベース3aを昇降可能に吊り下げる懸架装置等を有していても良い。
【0059】
アーム5には、図2に示す付勢部材5gが設けられても良いし、設けられていなくても良い。
【0060】
取付部材5c、把持部材5d及び保持部材5fは、板状であっても良いし、箱状などであっても良い。
【符号の説明】
【0061】
1…搬送装置
2…ベース
3…把持装置
3a…アームベース
3c…開閉機構
5,10…アーム
5a,10a3…ガイド部材
5a1,9a1〜9e1,10c1…第一長孔部
5a2,9a2〜9e2,10c2…第二長孔部
5a3,9a〜9e,10c…ガイド長孔
5b,10b…把持部材
5c,10b3…取付部材
5d,10b1…把持部材
5e,9f,10d…ガイドピン
5f,10b4…保持部材
5g…付勢部材
6…アームリフト
7…ワーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対のアームによりワークを把持する把持装置であって、
前記一対のアームと、前記一対のアームを設置するアームベースと、前記一対のアームの間隔を変える開閉機構を有し、
前記各アームは、前記アームベースに設けられかつ前記開閉機構によって他方の前記アームとの間隔が変えられるガイド部材と、前記ガイド部材に設けられかつ前記ワークに当接する当接面を具備する把持部材を有し、
前記ガイド部材と前記把持部材の両部材の一つには、ガイド長孔が設けられ、前記両部材の他の一つには、前記ガイド長孔に移動可能に挿入されるガイドピンが設けられ、
前記ガイド長孔は、前記一対の把持部材が近接して前記把持部材が前記ワークに当った際に前記把持部材が前記ガイド部材に対して前記把持部材の前記当接面における前記把持部材側に移動しかつ上昇するように前記ガイドピンを案内し得る方向に延出する第一長孔部と、前記把持部材に把持された前記ワークから前記把持部材が上方に力を受けた際に前記把持部材が前記ガイド部材に対して相対的に上昇するように前記ガイドピンを案内し得る方向に前記第一長孔部から延出する第二長孔部を有する把持装置。
【請求項2】
請求項1に記載の把持装置であって、
前記把持部材は、前記ガイド部材に対して移動可能に対面する取付部材を有する把持装置。
【請求項3】
請求項2に記載の把持装置であって、
前記把持装置は、前記ガイド部材と前記取付部材に略平行に配置される保持部材を有し、
前記保持部材には、前記ガイド長孔を貫通した前記ガイドピンの先端部が取付けられる把持装置。
【請求項4】
請求項2または3に記載の把持装置であって、
前記把持部材は、前記取付部材における前記ガイド部材と対向する側の反対方向に延出しかつ前記ワークを把持し得る把持部材を有する把持装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一つに記載の把持装置であって、
前記ガイド長孔が前記ガイド部材に設けられ、
前記ガイドピンが前記把持部材に設けられる把持装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一つに記載の把持装置であって、
前記開閉機構は、前記一対のガイド部材の水平方向の間隔を変化させ、
前記第二長孔部は、鉛直方向に延出する把持装置。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一つに記載の把持装置であって、
前記把持部材を他方の前記把持部材に向けて付勢する付勢部材が設けられる把持装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate