投射画像表示用スクリーン
【課題】 本発明は、照明をつけてもコントラストの低下を防ぐことができると共に、より至近距離で投射した場合においても画面内の反射輝度の不均一性を損なうことなく、高コントラストな表示が可能な投射画像表示用スクリーンを提供する。
【解決手段】 本発明の投射画像表示用スクリーンの表示面は、鋸歯形状をなし、各鋸歯のピッチを投射画素ピッチ以下であり、当該鋸歯の傾斜面を微細反射面としている。そして、その微細反射面は、投射側から見て凹面形状をなす。
【解決手段】 本発明の投射画像表示用スクリーンの表示面は、鋸歯形状をなし、各鋸歯のピッチを投射画素ピッチ以下であり、当該鋸歯の傾斜面を微細反射面としている。そして、その微細反射面は、投射側から見て凹面形状をなす。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は投射画像表示用スクリーンに関し、詳細には投写型表示装置における反射型スクリーンの構造に関する。
【背景技術】
【0002】
プロジェクター装置を用いて画像を表示するために、一般的には反射型スクリーンが多く用いられている。このような反射型スクリーンを用いたプロジェクションディスプレイシステムは、明るい環境下において使用されることが多く、プロジェクター装置からの投影入射光以外に外光がスクリーン上に入射され、その結果入射した外光の反射光まで観察者に拡散させてしまい、画像のコントラスト比が低下していた。一般的なフロントプロジェクター装置を明るい部屋で使用した場合、経験的には、例えばコントラスト比150:1の製品Aと、コントラスト比600:1の製品Bでは、明るい場所で使用した場合、ほとんど差を感じない。このように、せっかく高コントラストな性能を有しても、上述したように外光によりコントラストが低下してしまう。この現象について、定量的に見積もり、明るい場所での照度の分だけオフセットし、机上計算によりコントラストを求めて比較した。なお、各製品の投影スクリーンサイズは60インチとし、明るさは1500Lmとする。
【0003】
コントラストと、明るさから、スクリーン面上の白照度:黒照度(Lx)は計算上次のようになる。
機種Aでは、照度が1672(Lx):2.77(Lx)、機種Bでは、1672(Lx):11.15(Lx)となる。
【0004】
オフィス等、明るい部屋での使用場面を想定し、実際照度を測定した結果以下のようであった。なお、居室、会議室などオフィスの照度は500〜900(Lx)、照明を落とした場合の照度は30〜100(Lx)とする。ここで、最も低めの30(Lx)をオフィス環境下の明るさと仮定する。
【0005】
スクリーン面上の照度(1)、(2)と、それぞれのコントラストについて、次のようになる。
機種Aでは、照度が1702(Lx):32.77(Lx)、コントラストが52:1となり、機種Bでは、照度が1702(Lx):42.15(Lx)、コントラストが41:1となった。
【0006】
このように機種Aと機種Bの差は縮まり、コントラストが40、50といったレベルとなり、コントラストが600あった機種でも実質50レベルに落ちてしまうことになることが定量的に分かった。
【0007】
以上の考察のとおり、オフィス環境照度(部屋のスクリーン上の照度)が投射画像のコントラストや、画像のコントラストに大きく影響していることが分かった。
【0008】
そこで、従来より、これらのスクリーン上の外光による浮き分を低減させることで、見た目のコントラストを向上できることに着目した提案がいくつか提案されている。
【0009】
その一つとして、非特許文献1によれば、外光とプロジェクター光を異なる角度から入射し、入射角度の違いにより選択的に光を拡散反射または、鏡面反射させることにより、プロジェクター光のみを観察者の方向に拡散させ、外光はそれ以外の方向に、鏡面反射させるスクリーンが提案されている。また、この非特許文献1では、観察角度領域をωV、プロジェクター光入射角度領域をωPと定義し、かつ鋸歯状反射板を用いて、ωPのプロジェクター光を効率よく、観察者領域に反射させる構造としている。上方からの照明光は鋸歯状反射板により、観察角度領域以外の領域に反射成分を多くとり、外光によるバックグランドを観察者側にいかないような構造とした。
【0010】
また、特許文献1には、スクリーン面に鋸歯状構造を設け、スクリーン面への光線(投射光、外光)の鏡面反射を、観察者側に向かわせないようにした反射型映写用スクリーンが提案されている。この特許文献1のスクリーンによれば、正反射光を嫌い、鋸歯状の透明な基板を設けており、表面反射が観察者側にいかないようにしている。
【0011】
更に、特許文献2の反射型スクリーンは、スクリーン上に凸面状の微細反射面を設け、スクリーンの反射光を広げて視野角の広いスクリーンを得ている。また、この特許文献2には、プロジェクター装置からの入射光の角度に応じてスクリーンの傾斜角度を変化させることが記載されている。
【非特許文献1】電子情報通信学会技術研究報告Vol 103. No.593,P.25-P.28
【特許文献1】実開平07−023345号公報
【特許文献2】特開平05−173249号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
通常プロジェクター装置からの入射光がスクリーンに入射する角度は一定ではなく、表示画面の上下、あるいは、左右で異なる。通常のフロントプロジェクターは画面がシフトしており、観察者側からスクリーンに映し出された画面にプロジェクター装置そのものがじゃまにならないように、上方向に画面をシフトさせて投射させている。机上や、床においた場合を想定した場合、画面下側は、スクリーンに入射する角度は浅く、上方の入射角度は大きい。近年、1mくらいから、60インチクラスの画面を投射できる近距離から、大画面投射可能なプロジェクター装置が使われており、また、スクリーンと装置本体25cmの距離から60インチ投影可能なミラー方式のプロジェクター装置まで出現し、より一層至近距離からの投射させる装置が使われ始めている。このような装置で従来例のスクリーンにおいても、鋸歯の角度が画面で一定であると、画面下端と上端、または中央と左右とで、外光の反射光量や、プロジェクション光の反射角度の差が大きくなり、画面のコントラスト均一性、照度均一性が損なわれることとなった。例えば、スクリーンに入射する投射光の角度を見積もると、60インチの縦方向のサイズはほぼ910mmであり、例えば近距離の50cmの射出瞳から出た光線の下端(θ1)と上端(θ2)の角度差を見積もる。簡単のためレンズシフトはほぼ100%として、θ1=0とすると、θ3は、tanθ3=914/50から、θ3=86.9°となり、入射角度としては90°近い差があることが分かる。この値は、画面サイズが一定ならば、投射距離が近ければより顕著になるのは自明である。
【0013】
また、特許文献2では、プロジェクター装置の反射光を観察者側に向かわせないようにしているため、反射効率が低く、光利用効率の低いスクリーンとなる。
【0014】
更に、特許文献3では、プロジェクター装置の反射光を観察者側に向かわせるようにし、かつ微小凸面を設けることによって、上下方向の視野角特性を広くしているが、図12に示すように、鋸歯状の傾斜部分の凸面の従来のスクリーン100の上方の位置では、凸面となっているために傾斜度合いが低くなってしまう。つまり、図12に示したように、外光101の反射光102が、観察者側に向かう領域が少なからずとも存在し、コントラスト向上の効果を損なっていた。
【0015】
本発明はこれらの問題点を解決するためのものであり、照明をつけてもコントラストの低下を防ぐことができると共に、より至近距離で投射した場合においても画面内の反射輝度の不均一性を損なうことなく、高コントラストな表示が可能な投射画像表示用スクリーンを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
前記問題点を解決するために、本発明の投射画像表示用スクリーンの表示面は、鋸歯形状をなし、各鋸歯のピッチを投射画素ピッチ以下であり、当該鋸歯の傾斜面を微細反射面としている。そして、その微細反射面は、投射側から見て凹面形状をなすことに特徴がある。よって、外光等によるコントラストの低下を防ぎ、かつ画面内の反射輝度の不均一性を損なうことなく、高コントラストな表示が可能な投射画像表示用スクリーンを提供できる。
【0017】
また、本発明の投射画像表示用スクリーンの表示面は、鋸歯形状をなし、各鋸歯のピッチを投射画素ピッチ以下であり、当該鋸歯の傾斜面を微細反射面とし、該微細反射面は、投射側から見て平面あるいは凹面形状をなし、投射入射角に応じて微細反射面の角度が異なることにも特徴がある。また、更には微細反射面の角度を段階的又は連続的に変化させることが好ましい。よって、至近距離からの投射入射光に対しても画面全体の反射光の均一化が図られ、画面内の輝度均一性がより一層向上し、コントラストも改善できる。
【0018】
更に、微細反射面に入射する投射光束の正反射方向と、スクリーンの前方方向とのなす角度との差が、画面内で略一定になるように、投射入射光のスクリーンへの入射角度に応じて微細反射面の角度を変化させることがより好ましい。
【0019】
また、スクリーン投射画面を複数の領域に分割した各投射領域毎に、投射入射光のスクリーンへの入射角度に応じて微細反射面の角度を変化させる。また、スクリーン投射画面を水平方向に複数の領域に分割したり、スクリーン投射画面の略中央から同心円状に複数の領域に分割することが好ましい。よって、画面全体の微細反射面構造を一括して作る必要がなく、分割した分の面積だけ作り込み、後工程でそれらを貼り合わせることが可能となる。このような構成を採用すれば、より低コストでスクリーンが提供できる。特に、50インチ、60インチといった大きなスクリーンを作成するときはよりコストメリットが出てくる。
【0020】
更に、同心円状の略中央の点と投射入射光の光軸とが交わるように分割することが好ましい。
【0021】
また、透明基材の裏面に鋸歯構造を付加させ、鋸歯構造の裏面から反射部材を反射面に形成したことにより、透明基板材の裏面を利用したため、透明感のある艶のある画像を得ることができると共に、高コントラストな画像も提供できる。
【0022】
更に、微細反射面に、正反射光抑止用の拡散部材を設けたことにより、画面内の輝度のばらつきを抑えることができ、また観察者の位置による画面の輝度の差、つまり視野角も広くできる。
【0023】
また、微細反射面以外の面に、光吸収部材を配設したことにより、上方からの外光、あるいは微細反射面に反射した外光が微細反射面以外の部分に到達しても、反射を抑えられ、コントラスト劣化を引き起こす光が極力抑えられる。
【0024】
更に、微細反射面以外の面に、光透過部材を配設したことにより、上方からの外光、あるいは微細反射面に反射した外光が微細反射面以外の部分に到達しても、スクリーン裏面に透過していくので、反射を抑えられ、コントラスト劣化を引き起こす光が極力抑えられる。また、透明基材の透過面をそのまま利用できるために、作成する上でも非常に簡易な工程を採用することができる。
【0025】
また、スクリーンを上下方向に移動させる移動手段を設けたり、またはスクリーンの基材を柔軟で弾力性のある材料で形成してスクリーン面を上下方向に繰り出す操出手段を設けたことにより、投射距離の異なるプロジェクター装置にも、対応した明るい反射特性を有したスクリーンが提供できる。
【0026】
更に、操出手段は、スクリーンの一端を巻き取るローラと、スクリーンの他端を繰り出すローラを有する。また、スクリーンをエンドレスシート状とし、操出手段によって当該スクリーンを上下方向に回動させてスクリーン面を繰り出す。これらの手段を設けることにより、投射距離の異なるプロジェクター装置にも、汎用性の高いスクリーンが提供できる。
【発明の効果】
【0027】
本発明の投射画像表示用スクリーンの表示面は、鋸歯形状をなし、各鋸歯のピッチを投射画素ピッチ以下であり、当該鋸歯の傾斜面を微細反射面としている。そして、その微細反射面は、投射側から見て凹面形状をなす。よって、照明をつけてもコントラストの低下を防ぐことができると共に、より至近距離で投射した場合においても画面内の反射輝度の不均一性を損なうことなく、高コントラストな表示が可能な投射画像表示用スクリーンを提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
図1は本発明の第1の実施の形態例に係る投射画像表示用スクリーンの構造を示す部分断面図である。同図に示す本実施の形態例の投射画面表示用スクリーン10は、スクリーンの表面が鋸歯形状であって、当該鋸歯状のスクリーン面における鋸歯に相当する凸状部の傾斜部に微細反射面11を設け、かつ当該微細反射面11が図示していないプロジェクター装置側から見て微小凹面である構造となっている。詳細には、図1に示すように、図示していないプロジェクター装置からの投影用入射光13の入射角をθs、スクリーン面12の微細反射面11のほぼ中央放線(図中の一点鎖線)方向の角度をθkとすると、微細反射面11での投射光の正反射光14を観察者側へと向かうように、微細反射面11が緩やかな彎曲面に傾斜している。また、このような微細反射面11を有する鋸歯のピッチは、段差による画像劣化が防ぐために、投射画素ピッチ以下とする。また、周期的な構造によるモワレも発生させないように、投射画素ピッチの1/4〜1/5以下となるピッチが望ましい。
【0029】
このような構造を有する本実施の形態例の投射画像表示用スクリーンによれば、図2に示すように、微細反射面11の反射位置によって、観察者側には、正反射光14をある程度の角度θdがついた反射光とすることができる。上下方向の視野角特性を広げることが可能となる。
【0030】
また、図3は第1の実施の形態例のスクリーン面における外光の反射の様子を示す図である。図12に示す従来例では観察者側に反射する外光の光線であっても、図3に示すように本実施の形態例のようにスクリーンの微細反射面11を凹面形状とすることにより、外光15の外光反射光16,17は観察者側の方向には向かない。従って、より明るい部屋においても、外光の影響を受けにくい明るい投射画像表示用スクリーンを提供できる。
【0031】
図4は本発明の第2の実施の形態例に係る投射画像表示用スクリーン全体の構造を示す断面図である。なお、同図において、本実施の形態例の投射画像表示用スクリーン20のスクリーン面からプロジェクター装置21の投射距離をD1、投射画像の下端位置をH1、上端をH3、中間点をH2とする。H1,H2、H3の周辺の破線で囲むエリアの各拡大図を図中に示す。各拡大図に示すように、第1の実施の形態例と同様に、プロジェクター装置21から投射される投射画像を視聴者の方向に効率よく反射させる反射面が鋸歯状に形成され、かつ微小ピッチで配列されており、それぞれ入射角に応じて鋸歯の角度が異なった構造となっている。鋸歯構造のピッチは、投射画素ピッチ以下であり、このようにすることにより、段差による画像劣化が防ぐことができ、また、周期的な構造によるモワレも発生させないように、1/4〜1/5以下となるピッチが望ましい。更には、第2の実施の形態例によれば、プロジェクター装置21の入射角をθs、鋸歯の角度をθkとすると、微細反射面11での投射光の正反射光と、スクリーン20の前方方向に向かう微細反射面11からの反射光の角度が略一致するように設定した。なお、図4に示す本実施の形態例においては、微細反射面11に凹面形状を設けていないが、図1に示す第1の実施の形態例のように凹面形状を設けてもよい。
【0032】
ここで、微細反射面11の投射光の入射角は、θpj=θs−θkとなり、観察者側にθobの角度で反射させる場合、θk−θobが上記θpjと同じ角度になるようにθkを設定すればよい。
【0033】
このとき、θk−θob=θs−θkからθk=(θs+θob)/2となる。
【0034】
このような関係を保ちながら、微細反射面の鋸歯の角度を投射面内で変えることで、スクリーン全体にわたって、均一な反射輝度が得られることとなる。また、微細反射面は、図示したように下向きの反射面となるため、上方から照射される部屋の照明光は、スクリーンの前方方より、スクリーンの下方に反射されることとなり、コントラストに関しても有利となる。
【0035】
ここで、図1に示すように、θsは下面より、上面のほうが大きくなる。θobも、観察側の場所が一定なら、下面より上面のほうが大きくなるので、θkの値も下面より上面に行くに従って大きくすればよい。つまり、例えば図4の場合は、θk3>θk2>θk1となるように微細反射面の鋸歯の角度を変えればよい。
【0036】
なお、鋸歯の角度は、必ずしも連続性を持たせなくてもよく、スクリーン面12の状態にある程度拡散特性を持たせて多少の角度のズレに対しても反射照度特性をブロードな面とすることで領域毎に鋸歯の角度を変えてもよい。また、図5に示すような反射率特性では、正反射方向から見た輝度は高くなるが、その方向からずれた場所からは輝度の低下が生じる。定位置から画面を観察したとき、近距離からの投射光が画面内で入射角が変わると反射角も変わり、観察者には激しく明るさムラとして認知される。しかし、図6に示すような正反射光のピーク強度に対して、ある程度拡散反射成分を持たせることにより、観察位置の違いによる画面内の輝度ばらつきは低減する。
【0037】
また、反射指向特性を制御する方法としては、通常の平面のスクリーンで採用されている微小なガラスビーズや、パール粒子等を表面に塗布あるいは埋め込んで反射特性を制御すればよい。また、微粒子を塗布して、拡散性を持たせることでも達成できる。具体的には、正反射成分に対して反射面に対する法線方向(垂直方向)を50%以上持たせることが望ましい。法線方向から、正反射方向の間(図6の角度ωob)に、表示画面をみる観察者が配置することを想定して設定した拡散特性とした一実施例である。これにより、画面のほぼ中央に配置した観察者からは、画面内の輝度差は、50%〜100%の範囲の輝度差として現れる。50%の範囲であれば画像ムラとは許容の範囲内と云われている。このように、拡散特性をある程度持たせることによって、画面内の輝度のばらつきを抑えることが可能となってくる。また、凹面形状と併用することにより、より広い視野角特性を得ることも可能である。
【0038】
図7は本発明の第3の実施の形態例に係る投射画像表示用スクリーンの構造を示す図である。同図の(a)は断面図、同図の(b)は正面図である。両図からわかるように、本実施の形態例の投射画像表示用スクリーン30は、スクリーン面の領域を水平方向に複数、例えば図7のように5つに分割し、分割した5つの領域をスクリーンの下面から領域1〜領域5と称すると、領域1から領域5へ順に領域幅を狭くし、そして領域1から領域5における微細反射面の鋸歯の角度は大きくなっている。
【0039】
図8は本発明の第4の実施の形態例に係る投射画像表示用スクリーンの構造を示す図である。同図の(a)は断面図、同図の(b)は正面図である。両図からわかるように、本実施の形態例の投射画像表示用スクリーン40は、スクリーン面の領域を、画面中央の下面から同心円状又は略同心円状に複数に、例えば図8のように8つに分割して形成した領域a〜hの構成となっている。また、スクリーンの側端部にかかる領域d〜hへ順に領域幅を狭くし、そして領域dから領域hにおける微細反射面の鋸歯の角度は大きくなっている。図示していないが領域cから領域aにおける微細反射面の鋸歯の角度は小さくなっている。
【0040】
また、鋸歯構造としては、同心円状又は略同心円状のブレーズド形状であってもよい。中心点としては、投射光学系の光軸とスクリーンとが交わる点が望ましい。微細な鋸歯状構造の作成方法としては、金型による射出成形や、プレス成形などの成形法、あるいは、2P転写法、エンボス転写など転写技術により形成すればよい。基材としては、ガラス基材でも、透明樹脂でも透明部材であれば、いずれでも可である。スクリーンの携帯性を生かして、比較的薄い透明ビニールシートに鋸歯構造のエンボス加工を施して、ある程度柔軟性に富む基材を利用してもよい。丸めて、携帯したり、格納したりすることができる。使用する際に平面状にして、鋸歯構造が機能する形状となれば、いずれの形態でもかまわない。このような構成にすることで、画面全体の微細反射面構造を一括して作る必要がなく、分割した分の面積だけ作り込み、後工程でそれらを貼り合わせて、所望の画面サイズを得ることも可能となる。特に、50インチ、60インチといった大きなスクリーンを作成するときはよりコストメリットが出てくる。
【0041】
次に、本発明の第5の実施の形態例に係る投射画像表示用スクリーンの構造について説明する。本実施の形態例の投射画像表示用スクリーンは、透明基板の片側に微小ピッチ鋸歯状構造を設けたスクリーンである。微小ピッチ鋸歯状構造は画面の下部と上部で角度を変化させて、投射光の投射角度に応じて段階的、あるいは連続に角度を変えて設けられている。また、微小ピッチ鋸歯状構造の表面は、観察者側からみて凸部がなく、平面、あるいは凹面となっている。作用としては、請求項1から3の作用動作と同様に、微細反射面で投射光は効率よく観察者側に反射するが、上部方向の外光の観察者側へ向かう反射光は少なくなるような角度に設定されている。透明基板の平面側から投射され、裏面からは、効率よく反射されるように、反射部材が配設されている。反射部材は、カラーバランスの観点で白色部材がよく、また反射率の高い部材を用いればよい。酸化アルミナが理想できであるが、アクリル系、ポリカーボネート系の白色塗料などでもよい。高反射率の部材を配置した上で、オーバーコート材で覆えば、耐環境性も向上する。オーバーコート材としては、アクリル系や、シリコン系などの樹脂等が最適である。
【0042】
このような構成であって、透明基板材の裏面を利用したため、透明感のある艶のある画像を得ることができると共に、高コントラストな画像も提供できる。
【0043】
図9は本発明の第6の実施の形態例に係る投射画像表示用スクリーンの構造を示す部分断面図である。微細反射面以外の部分、図9に示した波線の境界部分61は、光吸収部材で形成され、投射光62の反射はなく、観察者側からは見えない方がよい。むしろ上方から照射される外光63の乱反射が迷光となって、観察者側に向かうと、これまでのスクリーンと同様に、コントラストを落とすこととなる。そこで、同図に示す第6の実施の形態例の投射画像表示用スクリーン60は、この微細反射面同士の境界部分61に光吸収部材を配置して、外光63の反射を極力抑える構成とした。光吸収部材としては、黒色の樹脂などが適している。カーボン等を含有させた樹脂であってもよい。このような構成であって、上方からの外光63がこの境界部分61に到達しても吸収されるために、コントラスト劣化を引き起こす光が極力抑えられる。また、外光63のような微細反射面に反射されて、境界部分61に到達するような光束もカットできる。このような構成により、コントラストが向上し、高品質な投射画面を得ることができるようになった。
【0044】
図10は本発明の第7の実施の形態例に係る投射画像表示用スクリーンの構造を示す部分断面図である。同図に示す第7の実施の形態例の投射画像表示用スクリーン70における図中波線の部分、つまり微細反射面以外の境界部分71に、外光72を透過する光透過部材を設けた。外光72がこの境界部分71に到達し、一端この部分を透過すると、スクリーン面の裏面に抜けて出てくる。観察者側には到達しないようにより迷光を抑えることが可能となる。このような構成であって、上方からの外光72が境界部分71に到達しても反射されることなく、コントラスト劣化を引き起こす外乱光を極力抑えられる。よって、よりコントラストが向上し、高品質な投射画面を得ることができる。また、透明基材の透過面をそのまま利用できるために、作成する上でも非常に簡易な工程を採用することができる。
【0045】
次に、図11は本発明の第8の実施の形態例に係る投射画像表示用スクリーン全体の構造を示す断面図である。同図に示す本発明の第8の実施の形態例の投射画像表示用スクリーン80は、プロジェクター装置81の煽り角、あるいは、設置場所に応じて観察者側に最適な反射特性を持ち合わせることができるようにスクリーン面に微細反射面の角度の範囲を設定したスクリーンである。具体的には、平面状(すなわち角度0)から、最大で45度程度までの角度がついた鋸歯構造が、連続的に、あるいは、段階的に上下方向に角度が変わって構成されている。図11の(a),(b)に示すように、微細反射面を有し、その微細反射面の角度がスクリーン下部より上部にいくに従って、連続的に、あるいは、段階的に、微細反射面の角度がついている。図11の(a)に示すように、至近距離から投射した場合、スクリーンの上方部分を使って、比較的大きな角度から中くらいの角度を持ったエリアを利用することにより好適な反射特性を持つような位置を選ぶことができる。また、図11の(b)のように、比較的スクリーンから離して投射する場合はスクリーンの下部を使い、角度の小さいエリアに投射することにより好適な反射画像を得ることができる。このように、投射距離の異なるプロジェクター装置にも対応した明るい反射特性を有するスクリーンを提供できる。なお、スクリーンの基材としては、剛性のある基材を用いてもよいが、比較的柔軟で、弾力性のあるフィルム状の基材に鋸歯構造を設けることによって、図示はしないが、上下に巻き取りローラと繰り出すローラによって、スクリーンの上下方向を調整し、画面位置は変えずに、反射特性がもっともよくなる位置を選んでスクリーンを設置することができる。また、スクリーンをエンドレスシート状で構成し、2つのローラの間で懸架して一方又は両方のローラを回転させてスクリーンを上下方向に回動させてもよい。
【0046】
なお、本発明は上記実施の形態例に限定されるものではなく、特許請求の範囲内の記載であれば多種の変形や置換可能であることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の第1の実施の形態例に係る投射画像表示用スクリーンの構造を示す部分断面図である。
【図2】本実施の形態例の投射画像表示用スクリーンにおけるプロジェクター入射光と反射光の様子を示す部分断面図である。
【図3】第1の実施の形態例のスクリーン面における外光の反射の様子を示す図である。
【図4】本発明の第2の実施の形態例に係る投射画像表示用スクリーン全体の構造を示す断面図である。
【図5】拡散反射成分を持たせない場合の反射率特性を示す図である。
【図6】拡散反射成分を持たせた場合の反射率特性を示す図である。
【図7】本発明の第3の実施の形態例に係る投射画像表示用スクリーンの構造を示す図である。
【図8】本発明の第4の実施の形態例に係る投射画像表示用スクリーンの構造を示す図である。
【図9】本発明の第6の実施の形態例に係る投射画像表示用スクリーンの構造を示す部分断面図である。
【図10】本発明の第7の実施の形態例に係る投射画像表示用スクリーンの構造を示す部分断面図である。
【図11】本発明の第8の実施の形態例に係る投射画像表示用スクリーン全体の構造を示す断面図である。
【図12】従来の投射画像表示用スクリーンのスクリーン面における外光の反射の様子を示す図である。
【符号の説明】
【0048】
10,20,30,40,60,70,80;投射画像表示用スクリーン、
11;微細反射面、12;スクリーン面、13;投影用入射光、
14;正反射光、15;外光、16,17;外光反射光。
【技術分野】
【0001】
本発明は投射画像表示用スクリーンに関し、詳細には投写型表示装置における反射型スクリーンの構造に関する。
【背景技術】
【0002】
プロジェクター装置を用いて画像を表示するために、一般的には反射型スクリーンが多く用いられている。このような反射型スクリーンを用いたプロジェクションディスプレイシステムは、明るい環境下において使用されることが多く、プロジェクター装置からの投影入射光以外に外光がスクリーン上に入射され、その結果入射した外光の反射光まで観察者に拡散させてしまい、画像のコントラスト比が低下していた。一般的なフロントプロジェクター装置を明るい部屋で使用した場合、経験的には、例えばコントラスト比150:1の製品Aと、コントラスト比600:1の製品Bでは、明るい場所で使用した場合、ほとんど差を感じない。このように、せっかく高コントラストな性能を有しても、上述したように外光によりコントラストが低下してしまう。この現象について、定量的に見積もり、明るい場所での照度の分だけオフセットし、机上計算によりコントラストを求めて比較した。なお、各製品の投影スクリーンサイズは60インチとし、明るさは1500Lmとする。
【0003】
コントラストと、明るさから、スクリーン面上の白照度:黒照度(Lx)は計算上次のようになる。
機種Aでは、照度が1672(Lx):2.77(Lx)、機種Bでは、1672(Lx):11.15(Lx)となる。
【0004】
オフィス等、明るい部屋での使用場面を想定し、実際照度を測定した結果以下のようであった。なお、居室、会議室などオフィスの照度は500〜900(Lx)、照明を落とした場合の照度は30〜100(Lx)とする。ここで、最も低めの30(Lx)をオフィス環境下の明るさと仮定する。
【0005】
スクリーン面上の照度(1)、(2)と、それぞれのコントラストについて、次のようになる。
機種Aでは、照度が1702(Lx):32.77(Lx)、コントラストが52:1となり、機種Bでは、照度が1702(Lx):42.15(Lx)、コントラストが41:1となった。
【0006】
このように機種Aと機種Bの差は縮まり、コントラストが40、50といったレベルとなり、コントラストが600あった機種でも実質50レベルに落ちてしまうことになることが定量的に分かった。
【0007】
以上の考察のとおり、オフィス環境照度(部屋のスクリーン上の照度)が投射画像のコントラストや、画像のコントラストに大きく影響していることが分かった。
【0008】
そこで、従来より、これらのスクリーン上の外光による浮き分を低減させることで、見た目のコントラストを向上できることに着目した提案がいくつか提案されている。
【0009】
その一つとして、非特許文献1によれば、外光とプロジェクター光を異なる角度から入射し、入射角度の違いにより選択的に光を拡散反射または、鏡面反射させることにより、プロジェクター光のみを観察者の方向に拡散させ、外光はそれ以外の方向に、鏡面反射させるスクリーンが提案されている。また、この非特許文献1では、観察角度領域をωV、プロジェクター光入射角度領域をωPと定義し、かつ鋸歯状反射板を用いて、ωPのプロジェクター光を効率よく、観察者領域に反射させる構造としている。上方からの照明光は鋸歯状反射板により、観察角度領域以外の領域に反射成分を多くとり、外光によるバックグランドを観察者側にいかないような構造とした。
【0010】
また、特許文献1には、スクリーン面に鋸歯状構造を設け、スクリーン面への光線(投射光、外光)の鏡面反射を、観察者側に向かわせないようにした反射型映写用スクリーンが提案されている。この特許文献1のスクリーンによれば、正反射光を嫌い、鋸歯状の透明な基板を設けており、表面反射が観察者側にいかないようにしている。
【0011】
更に、特許文献2の反射型スクリーンは、スクリーン上に凸面状の微細反射面を設け、スクリーンの反射光を広げて視野角の広いスクリーンを得ている。また、この特許文献2には、プロジェクター装置からの入射光の角度に応じてスクリーンの傾斜角度を変化させることが記載されている。
【非特許文献1】電子情報通信学会技術研究報告Vol 103. No.593,P.25-P.28
【特許文献1】実開平07−023345号公報
【特許文献2】特開平05−173249号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
通常プロジェクター装置からの入射光がスクリーンに入射する角度は一定ではなく、表示画面の上下、あるいは、左右で異なる。通常のフロントプロジェクターは画面がシフトしており、観察者側からスクリーンに映し出された画面にプロジェクター装置そのものがじゃまにならないように、上方向に画面をシフトさせて投射させている。机上や、床においた場合を想定した場合、画面下側は、スクリーンに入射する角度は浅く、上方の入射角度は大きい。近年、1mくらいから、60インチクラスの画面を投射できる近距離から、大画面投射可能なプロジェクター装置が使われており、また、スクリーンと装置本体25cmの距離から60インチ投影可能なミラー方式のプロジェクター装置まで出現し、より一層至近距離からの投射させる装置が使われ始めている。このような装置で従来例のスクリーンにおいても、鋸歯の角度が画面で一定であると、画面下端と上端、または中央と左右とで、外光の反射光量や、プロジェクション光の反射角度の差が大きくなり、画面のコントラスト均一性、照度均一性が損なわれることとなった。例えば、スクリーンに入射する投射光の角度を見積もると、60インチの縦方向のサイズはほぼ910mmであり、例えば近距離の50cmの射出瞳から出た光線の下端(θ1)と上端(θ2)の角度差を見積もる。簡単のためレンズシフトはほぼ100%として、θ1=0とすると、θ3は、tanθ3=914/50から、θ3=86.9°となり、入射角度としては90°近い差があることが分かる。この値は、画面サイズが一定ならば、投射距離が近ければより顕著になるのは自明である。
【0013】
また、特許文献2では、プロジェクター装置の反射光を観察者側に向かわせないようにしているため、反射効率が低く、光利用効率の低いスクリーンとなる。
【0014】
更に、特許文献3では、プロジェクター装置の反射光を観察者側に向かわせるようにし、かつ微小凸面を設けることによって、上下方向の視野角特性を広くしているが、図12に示すように、鋸歯状の傾斜部分の凸面の従来のスクリーン100の上方の位置では、凸面となっているために傾斜度合いが低くなってしまう。つまり、図12に示したように、外光101の反射光102が、観察者側に向かう領域が少なからずとも存在し、コントラスト向上の効果を損なっていた。
【0015】
本発明はこれらの問題点を解決するためのものであり、照明をつけてもコントラストの低下を防ぐことができると共に、より至近距離で投射した場合においても画面内の反射輝度の不均一性を損なうことなく、高コントラストな表示が可能な投射画像表示用スクリーンを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
前記問題点を解決するために、本発明の投射画像表示用スクリーンの表示面は、鋸歯形状をなし、各鋸歯のピッチを投射画素ピッチ以下であり、当該鋸歯の傾斜面を微細反射面としている。そして、その微細反射面は、投射側から見て凹面形状をなすことに特徴がある。よって、外光等によるコントラストの低下を防ぎ、かつ画面内の反射輝度の不均一性を損なうことなく、高コントラストな表示が可能な投射画像表示用スクリーンを提供できる。
【0017】
また、本発明の投射画像表示用スクリーンの表示面は、鋸歯形状をなし、各鋸歯のピッチを投射画素ピッチ以下であり、当該鋸歯の傾斜面を微細反射面とし、該微細反射面は、投射側から見て平面あるいは凹面形状をなし、投射入射角に応じて微細反射面の角度が異なることにも特徴がある。また、更には微細反射面の角度を段階的又は連続的に変化させることが好ましい。よって、至近距離からの投射入射光に対しても画面全体の反射光の均一化が図られ、画面内の輝度均一性がより一層向上し、コントラストも改善できる。
【0018】
更に、微細反射面に入射する投射光束の正反射方向と、スクリーンの前方方向とのなす角度との差が、画面内で略一定になるように、投射入射光のスクリーンへの入射角度に応じて微細反射面の角度を変化させることがより好ましい。
【0019】
また、スクリーン投射画面を複数の領域に分割した各投射領域毎に、投射入射光のスクリーンへの入射角度に応じて微細反射面の角度を変化させる。また、スクリーン投射画面を水平方向に複数の領域に分割したり、スクリーン投射画面の略中央から同心円状に複数の領域に分割することが好ましい。よって、画面全体の微細反射面構造を一括して作る必要がなく、分割した分の面積だけ作り込み、後工程でそれらを貼り合わせることが可能となる。このような構成を採用すれば、より低コストでスクリーンが提供できる。特に、50インチ、60インチといった大きなスクリーンを作成するときはよりコストメリットが出てくる。
【0020】
更に、同心円状の略中央の点と投射入射光の光軸とが交わるように分割することが好ましい。
【0021】
また、透明基材の裏面に鋸歯構造を付加させ、鋸歯構造の裏面から反射部材を反射面に形成したことにより、透明基板材の裏面を利用したため、透明感のある艶のある画像を得ることができると共に、高コントラストな画像も提供できる。
【0022】
更に、微細反射面に、正反射光抑止用の拡散部材を設けたことにより、画面内の輝度のばらつきを抑えることができ、また観察者の位置による画面の輝度の差、つまり視野角も広くできる。
【0023】
また、微細反射面以外の面に、光吸収部材を配設したことにより、上方からの外光、あるいは微細反射面に反射した外光が微細反射面以外の部分に到達しても、反射を抑えられ、コントラスト劣化を引き起こす光が極力抑えられる。
【0024】
更に、微細反射面以外の面に、光透過部材を配設したことにより、上方からの外光、あるいは微細反射面に反射した外光が微細反射面以外の部分に到達しても、スクリーン裏面に透過していくので、反射を抑えられ、コントラスト劣化を引き起こす光が極力抑えられる。また、透明基材の透過面をそのまま利用できるために、作成する上でも非常に簡易な工程を採用することができる。
【0025】
また、スクリーンを上下方向に移動させる移動手段を設けたり、またはスクリーンの基材を柔軟で弾力性のある材料で形成してスクリーン面を上下方向に繰り出す操出手段を設けたことにより、投射距離の異なるプロジェクター装置にも、対応した明るい反射特性を有したスクリーンが提供できる。
【0026】
更に、操出手段は、スクリーンの一端を巻き取るローラと、スクリーンの他端を繰り出すローラを有する。また、スクリーンをエンドレスシート状とし、操出手段によって当該スクリーンを上下方向に回動させてスクリーン面を繰り出す。これらの手段を設けることにより、投射距離の異なるプロジェクター装置にも、汎用性の高いスクリーンが提供できる。
【発明の効果】
【0027】
本発明の投射画像表示用スクリーンの表示面は、鋸歯形状をなし、各鋸歯のピッチを投射画素ピッチ以下であり、当該鋸歯の傾斜面を微細反射面としている。そして、その微細反射面は、投射側から見て凹面形状をなす。よって、照明をつけてもコントラストの低下を防ぐことができると共に、より至近距離で投射した場合においても画面内の反射輝度の不均一性を損なうことなく、高コントラストな表示が可能な投射画像表示用スクリーンを提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
図1は本発明の第1の実施の形態例に係る投射画像表示用スクリーンの構造を示す部分断面図である。同図に示す本実施の形態例の投射画面表示用スクリーン10は、スクリーンの表面が鋸歯形状であって、当該鋸歯状のスクリーン面における鋸歯に相当する凸状部の傾斜部に微細反射面11を設け、かつ当該微細反射面11が図示していないプロジェクター装置側から見て微小凹面である構造となっている。詳細には、図1に示すように、図示していないプロジェクター装置からの投影用入射光13の入射角をθs、スクリーン面12の微細反射面11のほぼ中央放線(図中の一点鎖線)方向の角度をθkとすると、微細反射面11での投射光の正反射光14を観察者側へと向かうように、微細反射面11が緩やかな彎曲面に傾斜している。また、このような微細反射面11を有する鋸歯のピッチは、段差による画像劣化が防ぐために、投射画素ピッチ以下とする。また、周期的な構造によるモワレも発生させないように、投射画素ピッチの1/4〜1/5以下となるピッチが望ましい。
【0029】
このような構造を有する本実施の形態例の投射画像表示用スクリーンによれば、図2に示すように、微細反射面11の反射位置によって、観察者側には、正反射光14をある程度の角度θdがついた反射光とすることができる。上下方向の視野角特性を広げることが可能となる。
【0030】
また、図3は第1の実施の形態例のスクリーン面における外光の反射の様子を示す図である。図12に示す従来例では観察者側に反射する外光の光線であっても、図3に示すように本実施の形態例のようにスクリーンの微細反射面11を凹面形状とすることにより、外光15の外光反射光16,17は観察者側の方向には向かない。従って、より明るい部屋においても、外光の影響を受けにくい明るい投射画像表示用スクリーンを提供できる。
【0031】
図4は本発明の第2の実施の形態例に係る投射画像表示用スクリーン全体の構造を示す断面図である。なお、同図において、本実施の形態例の投射画像表示用スクリーン20のスクリーン面からプロジェクター装置21の投射距離をD1、投射画像の下端位置をH1、上端をH3、中間点をH2とする。H1,H2、H3の周辺の破線で囲むエリアの各拡大図を図中に示す。各拡大図に示すように、第1の実施の形態例と同様に、プロジェクター装置21から投射される投射画像を視聴者の方向に効率よく反射させる反射面が鋸歯状に形成され、かつ微小ピッチで配列されており、それぞれ入射角に応じて鋸歯の角度が異なった構造となっている。鋸歯構造のピッチは、投射画素ピッチ以下であり、このようにすることにより、段差による画像劣化が防ぐことができ、また、周期的な構造によるモワレも発生させないように、1/4〜1/5以下となるピッチが望ましい。更には、第2の実施の形態例によれば、プロジェクター装置21の入射角をθs、鋸歯の角度をθkとすると、微細反射面11での投射光の正反射光と、スクリーン20の前方方向に向かう微細反射面11からの反射光の角度が略一致するように設定した。なお、図4に示す本実施の形態例においては、微細反射面11に凹面形状を設けていないが、図1に示す第1の実施の形態例のように凹面形状を設けてもよい。
【0032】
ここで、微細反射面11の投射光の入射角は、θpj=θs−θkとなり、観察者側にθobの角度で反射させる場合、θk−θobが上記θpjと同じ角度になるようにθkを設定すればよい。
【0033】
このとき、θk−θob=θs−θkからθk=(θs+θob)/2となる。
【0034】
このような関係を保ちながら、微細反射面の鋸歯の角度を投射面内で変えることで、スクリーン全体にわたって、均一な反射輝度が得られることとなる。また、微細反射面は、図示したように下向きの反射面となるため、上方から照射される部屋の照明光は、スクリーンの前方方より、スクリーンの下方に反射されることとなり、コントラストに関しても有利となる。
【0035】
ここで、図1に示すように、θsは下面より、上面のほうが大きくなる。θobも、観察側の場所が一定なら、下面より上面のほうが大きくなるので、θkの値も下面より上面に行くに従って大きくすればよい。つまり、例えば図4の場合は、θk3>θk2>θk1となるように微細反射面の鋸歯の角度を変えればよい。
【0036】
なお、鋸歯の角度は、必ずしも連続性を持たせなくてもよく、スクリーン面12の状態にある程度拡散特性を持たせて多少の角度のズレに対しても反射照度特性をブロードな面とすることで領域毎に鋸歯の角度を変えてもよい。また、図5に示すような反射率特性では、正反射方向から見た輝度は高くなるが、その方向からずれた場所からは輝度の低下が生じる。定位置から画面を観察したとき、近距離からの投射光が画面内で入射角が変わると反射角も変わり、観察者には激しく明るさムラとして認知される。しかし、図6に示すような正反射光のピーク強度に対して、ある程度拡散反射成分を持たせることにより、観察位置の違いによる画面内の輝度ばらつきは低減する。
【0037】
また、反射指向特性を制御する方法としては、通常の平面のスクリーンで採用されている微小なガラスビーズや、パール粒子等を表面に塗布あるいは埋め込んで反射特性を制御すればよい。また、微粒子を塗布して、拡散性を持たせることでも達成できる。具体的には、正反射成分に対して反射面に対する法線方向(垂直方向)を50%以上持たせることが望ましい。法線方向から、正反射方向の間(図6の角度ωob)に、表示画面をみる観察者が配置することを想定して設定した拡散特性とした一実施例である。これにより、画面のほぼ中央に配置した観察者からは、画面内の輝度差は、50%〜100%の範囲の輝度差として現れる。50%の範囲であれば画像ムラとは許容の範囲内と云われている。このように、拡散特性をある程度持たせることによって、画面内の輝度のばらつきを抑えることが可能となってくる。また、凹面形状と併用することにより、より広い視野角特性を得ることも可能である。
【0038】
図7は本発明の第3の実施の形態例に係る投射画像表示用スクリーンの構造を示す図である。同図の(a)は断面図、同図の(b)は正面図である。両図からわかるように、本実施の形態例の投射画像表示用スクリーン30は、スクリーン面の領域を水平方向に複数、例えば図7のように5つに分割し、分割した5つの領域をスクリーンの下面から領域1〜領域5と称すると、領域1から領域5へ順に領域幅を狭くし、そして領域1から領域5における微細反射面の鋸歯の角度は大きくなっている。
【0039】
図8は本発明の第4の実施の形態例に係る投射画像表示用スクリーンの構造を示す図である。同図の(a)は断面図、同図の(b)は正面図である。両図からわかるように、本実施の形態例の投射画像表示用スクリーン40は、スクリーン面の領域を、画面中央の下面から同心円状又は略同心円状に複数に、例えば図8のように8つに分割して形成した領域a〜hの構成となっている。また、スクリーンの側端部にかかる領域d〜hへ順に領域幅を狭くし、そして領域dから領域hにおける微細反射面の鋸歯の角度は大きくなっている。図示していないが領域cから領域aにおける微細反射面の鋸歯の角度は小さくなっている。
【0040】
また、鋸歯構造としては、同心円状又は略同心円状のブレーズド形状であってもよい。中心点としては、投射光学系の光軸とスクリーンとが交わる点が望ましい。微細な鋸歯状構造の作成方法としては、金型による射出成形や、プレス成形などの成形法、あるいは、2P転写法、エンボス転写など転写技術により形成すればよい。基材としては、ガラス基材でも、透明樹脂でも透明部材であれば、いずれでも可である。スクリーンの携帯性を生かして、比較的薄い透明ビニールシートに鋸歯構造のエンボス加工を施して、ある程度柔軟性に富む基材を利用してもよい。丸めて、携帯したり、格納したりすることができる。使用する際に平面状にして、鋸歯構造が機能する形状となれば、いずれの形態でもかまわない。このような構成にすることで、画面全体の微細反射面構造を一括して作る必要がなく、分割した分の面積だけ作り込み、後工程でそれらを貼り合わせて、所望の画面サイズを得ることも可能となる。特に、50インチ、60インチといった大きなスクリーンを作成するときはよりコストメリットが出てくる。
【0041】
次に、本発明の第5の実施の形態例に係る投射画像表示用スクリーンの構造について説明する。本実施の形態例の投射画像表示用スクリーンは、透明基板の片側に微小ピッチ鋸歯状構造を設けたスクリーンである。微小ピッチ鋸歯状構造は画面の下部と上部で角度を変化させて、投射光の投射角度に応じて段階的、あるいは連続に角度を変えて設けられている。また、微小ピッチ鋸歯状構造の表面は、観察者側からみて凸部がなく、平面、あるいは凹面となっている。作用としては、請求項1から3の作用動作と同様に、微細反射面で投射光は効率よく観察者側に反射するが、上部方向の外光の観察者側へ向かう反射光は少なくなるような角度に設定されている。透明基板の平面側から投射され、裏面からは、効率よく反射されるように、反射部材が配設されている。反射部材は、カラーバランスの観点で白色部材がよく、また反射率の高い部材を用いればよい。酸化アルミナが理想できであるが、アクリル系、ポリカーボネート系の白色塗料などでもよい。高反射率の部材を配置した上で、オーバーコート材で覆えば、耐環境性も向上する。オーバーコート材としては、アクリル系や、シリコン系などの樹脂等が最適である。
【0042】
このような構成であって、透明基板材の裏面を利用したため、透明感のある艶のある画像を得ることができると共に、高コントラストな画像も提供できる。
【0043】
図9は本発明の第6の実施の形態例に係る投射画像表示用スクリーンの構造を示す部分断面図である。微細反射面以外の部分、図9に示した波線の境界部分61は、光吸収部材で形成され、投射光62の反射はなく、観察者側からは見えない方がよい。むしろ上方から照射される外光63の乱反射が迷光となって、観察者側に向かうと、これまでのスクリーンと同様に、コントラストを落とすこととなる。そこで、同図に示す第6の実施の形態例の投射画像表示用スクリーン60は、この微細反射面同士の境界部分61に光吸収部材を配置して、外光63の反射を極力抑える構成とした。光吸収部材としては、黒色の樹脂などが適している。カーボン等を含有させた樹脂であってもよい。このような構成であって、上方からの外光63がこの境界部分61に到達しても吸収されるために、コントラスト劣化を引き起こす光が極力抑えられる。また、外光63のような微細反射面に反射されて、境界部分61に到達するような光束もカットできる。このような構成により、コントラストが向上し、高品質な投射画面を得ることができるようになった。
【0044】
図10は本発明の第7の実施の形態例に係る投射画像表示用スクリーンの構造を示す部分断面図である。同図に示す第7の実施の形態例の投射画像表示用スクリーン70における図中波線の部分、つまり微細反射面以外の境界部分71に、外光72を透過する光透過部材を設けた。外光72がこの境界部分71に到達し、一端この部分を透過すると、スクリーン面の裏面に抜けて出てくる。観察者側には到達しないようにより迷光を抑えることが可能となる。このような構成であって、上方からの外光72が境界部分71に到達しても反射されることなく、コントラスト劣化を引き起こす外乱光を極力抑えられる。よって、よりコントラストが向上し、高品質な投射画面を得ることができる。また、透明基材の透過面をそのまま利用できるために、作成する上でも非常に簡易な工程を採用することができる。
【0045】
次に、図11は本発明の第8の実施の形態例に係る投射画像表示用スクリーン全体の構造を示す断面図である。同図に示す本発明の第8の実施の形態例の投射画像表示用スクリーン80は、プロジェクター装置81の煽り角、あるいは、設置場所に応じて観察者側に最適な反射特性を持ち合わせることができるようにスクリーン面に微細反射面の角度の範囲を設定したスクリーンである。具体的には、平面状(すなわち角度0)から、最大で45度程度までの角度がついた鋸歯構造が、連続的に、あるいは、段階的に上下方向に角度が変わって構成されている。図11の(a),(b)に示すように、微細反射面を有し、その微細反射面の角度がスクリーン下部より上部にいくに従って、連続的に、あるいは、段階的に、微細反射面の角度がついている。図11の(a)に示すように、至近距離から投射した場合、スクリーンの上方部分を使って、比較的大きな角度から中くらいの角度を持ったエリアを利用することにより好適な反射特性を持つような位置を選ぶことができる。また、図11の(b)のように、比較的スクリーンから離して投射する場合はスクリーンの下部を使い、角度の小さいエリアに投射することにより好適な反射画像を得ることができる。このように、投射距離の異なるプロジェクター装置にも対応した明るい反射特性を有するスクリーンを提供できる。なお、スクリーンの基材としては、剛性のある基材を用いてもよいが、比較的柔軟で、弾力性のあるフィルム状の基材に鋸歯構造を設けることによって、図示はしないが、上下に巻き取りローラと繰り出すローラによって、スクリーンの上下方向を調整し、画面位置は変えずに、反射特性がもっともよくなる位置を選んでスクリーンを設置することができる。また、スクリーンをエンドレスシート状で構成し、2つのローラの間で懸架して一方又は両方のローラを回転させてスクリーンを上下方向に回動させてもよい。
【0046】
なお、本発明は上記実施の形態例に限定されるものではなく、特許請求の範囲内の記載であれば多種の変形や置換可能であることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の第1の実施の形態例に係る投射画像表示用スクリーンの構造を示す部分断面図である。
【図2】本実施の形態例の投射画像表示用スクリーンにおけるプロジェクター入射光と反射光の様子を示す部分断面図である。
【図3】第1の実施の形態例のスクリーン面における外光の反射の様子を示す図である。
【図4】本発明の第2の実施の形態例に係る投射画像表示用スクリーン全体の構造を示す断面図である。
【図5】拡散反射成分を持たせない場合の反射率特性を示す図である。
【図6】拡散反射成分を持たせた場合の反射率特性を示す図である。
【図7】本発明の第3の実施の形態例に係る投射画像表示用スクリーンの構造を示す図である。
【図8】本発明の第4の実施の形態例に係る投射画像表示用スクリーンの構造を示す図である。
【図9】本発明の第6の実施の形態例に係る投射画像表示用スクリーンの構造を示す部分断面図である。
【図10】本発明の第7の実施の形態例に係る投射画像表示用スクリーンの構造を示す部分断面図である。
【図11】本発明の第8の実施の形態例に係る投射画像表示用スクリーン全体の構造を示す断面図である。
【図12】従来の投射画像表示用スクリーンのスクリーン面における外光の反射の様子を示す図である。
【符号の説明】
【0048】
10,20,30,40,60,70,80;投射画像表示用スクリーン、
11;微細反射面、12;スクリーン面、13;投影用入射光、
14;正反射光、15;外光、16,17;外光反射光。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロジェクション光学系から投射される投射画像を反射して画像を表示する投射画像表示用スクリーンにおいて、
スクリーンの表示面は、鋸歯形状をなし、各鋸歯のピッチを投射画素ピッチ以下であり、当該鋸歯の傾斜面を微細反射面とし、
該微細反射面は、投射側から見て凹面形状をなすことを特徴とする投射画像表示用スクリーン。
【請求項2】
プロジェクション光学系から投射される投射画像を反射して画像を表示する投射画像表示用スクリーンにおいて、
スクリーンの表示面は、鋸歯形状をなし、各鋸歯のピッチを投射画素ピッチ以下であり、当該鋸歯の傾斜面を微細反射面とし、該微細反射面は、投射側から見て平面あるいは凹面形状をなし、
投射入射角に応じて前記微細反射面の角度が異なることを特徴とする投射画像表示用スクリーン。
【請求項3】
プロジェクション光学系から投射される投射画像を反射して画像を表示する投射画像表示用スクリーンにおいて、
スクリーンの表示面は、鋸歯形状をなし、各鋸歯のピッチを投射画素ピッチ以下であり、当該鋸歯の傾斜面を微細反射面とし、該微細反射面は、投射側から見て平面あるいは凹面形状をなし、
前記微細反射面の角度を段階的又は連続的に変化させることを特徴とする投射画像表示用スクリーン。
【請求項4】
前記微細反射面に入射する投射光束の正反射方向と、スクリーンの前方方向とのなす角度との差が、画面内で略一定になるように、投射入射光のスクリーンへの入射角度に応じて前記微細反射面の角度を変化させる請求項2又は3に記載の投射画像表示用スクリーン。
【請求項5】
スクリーン投射画面を複数の領域に分割した各投射領域毎に、投射入射光のスクリーンへの入射角度に応じて前記微細反射面の角度を変化させる請求項4記載の投射画像表示用スクリーン。
【請求項6】
スクリーン投射画面を水平方向に複数の領域に分割した請求項5記載の投射画面表示用スクリーン。
【請求項7】
スクリーン投射画面の略中央から同心円状に複数の領域に分割した請求項5記載の投射画面表示用スクリーン。
【請求項8】
同心円状の略中央の点と投射入射光の光軸とが交わる請求項7記載の投射画面表示用スクリーン。
【請求項9】
透明基材の裏面に鋸歯構造を付加させ、鋸歯構造の裏面から反射部材を反射面に形成した請求項1〜8のいずれかに記載の投射画像表示用スクリーン。
【請求項10】
前記微細反射面に、正反射光抑止用の拡散部材を設けた請求項1〜9のいずれかに記載の投射画像表示用スクリーン。
【請求項11】
前記微細反射面以外の面に、光吸収部材を配設した請求項1〜10のいずれかに記載の投射画像表示用スクリーン。
【請求項12】
前記微細反射面以外の面に、光透過部材を配設した請求項1〜10のいずれかに記載の投射画像表示用スクリーン。
【請求項13】
スクリーンを上下方向に移動させる移動手段を設けた請求項1〜12のいずれかに記載の投射画像表示用スクリーン。
【請求項14】
スクリーンの基材を柔軟で弾力性のある材料で形成し、スクリーン面を上下方向に繰り出す操出手段を設けた請求項1〜12のいずれかに記載の投射画像表示用スクリーン。
【請求項15】
前記操出手段は、スクリーンの一端を巻き取るローラと、スクリーンの他端を繰り出すローラを有する請求項14記載の投射画像表示用スクリーン。
【請求項16】
スクリーンをエンドレスシート状とし、前記操出手段によって当該スクリーンを上下方向に回動させてスクリーン面を繰り出す請求項14記載の投射画像表示用スクリーン。
【請求項1】
プロジェクション光学系から投射される投射画像を反射して画像を表示する投射画像表示用スクリーンにおいて、
スクリーンの表示面は、鋸歯形状をなし、各鋸歯のピッチを投射画素ピッチ以下であり、当該鋸歯の傾斜面を微細反射面とし、
該微細反射面は、投射側から見て凹面形状をなすことを特徴とする投射画像表示用スクリーン。
【請求項2】
プロジェクション光学系から投射される投射画像を反射して画像を表示する投射画像表示用スクリーンにおいて、
スクリーンの表示面は、鋸歯形状をなし、各鋸歯のピッチを投射画素ピッチ以下であり、当該鋸歯の傾斜面を微細反射面とし、該微細反射面は、投射側から見て平面あるいは凹面形状をなし、
投射入射角に応じて前記微細反射面の角度が異なることを特徴とする投射画像表示用スクリーン。
【請求項3】
プロジェクション光学系から投射される投射画像を反射して画像を表示する投射画像表示用スクリーンにおいて、
スクリーンの表示面は、鋸歯形状をなし、各鋸歯のピッチを投射画素ピッチ以下であり、当該鋸歯の傾斜面を微細反射面とし、該微細反射面は、投射側から見て平面あるいは凹面形状をなし、
前記微細反射面の角度を段階的又は連続的に変化させることを特徴とする投射画像表示用スクリーン。
【請求項4】
前記微細反射面に入射する投射光束の正反射方向と、スクリーンの前方方向とのなす角度との差が、画面内で略一定になるように、投射入射光のスクリーンへの入射角度に応じて前記微細反射面の角度を変化させる請求項2又は3に記載の投射画像表示用スクリーン。
【請求項5】
スクリーン投射画面を複数の領域に分割した各投射領域毎に、投射入射光のスクリーンへの入射角度に応じて前記微細反射面の角度を変化させる請求項4記載の投射画像表示用スクリーン。
【請求項6】
スクリーン投射画面を水平方向に複数の領域に分割した請求項5記載の投射画面表示用スクリーン。
【請求項7】
スクリーン投射画面の略中央から同心円状に複数の領域に分割した請求項5記載の投射画面表示用スクリーン。
【請求項8】
同心円状の略中央の点と投射入射光の光軸とが交わる請求項7記載の投射画面表示用スクリーン。
【請求項9】
透明基材の裏面に鋸歯構造を付加させ、鋸歯構造の裏面から反射部材を反射面に形成した請求項1〜8のいずれかに記載の投射画像表示用スクリーン。
【請求項10】
前記微細反射面に、正反射光抑止用の拡散部材を設けた請求項1〜9のいずれかに記載の投射画像表示用スクリーン。
【請求項11】
前記微細反射面以外の面に、光吸収部材を配設した請求項1〜10のいずれかに記載の投射画像表示用スクリーン。
【請求項12】
前記微細反射面以外の面に、光透過部材を配設した請求項1〜10のいずれかに記載の投射画像表示用スクリーン。
【請求項13】
スクリーンを上下方向に移動させる移動手段を設けた請求項1〜12のいずれかに記載の投射画像表示用スクリーン。
【請求項14】
スクリーンの基材を柔軟で弾力性のある材料で形成し、スクリーン面を上下方向に繰り出す操出手段を設けた請求項1〜12のいずれかに記載の投射画像表示用スクリーン。
【請求項15】
前記操出手段は、スクリーンの一端を巻き取るローラと、スクリーンの他端を繰り出すローラを有する請求項14記載の投射画像表示用スクリーン。
【請求項16】
スクリーンをエンドレスシート状とし、前記操出手段によって当該スクリーンを上下方向に回動させてスクリーン面を繰り出す請求項14記載の投射画像表示用スクリーン。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
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【図4】
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【図8】
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【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2006−162966(P2006−162966A)
【公開日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−354262(P2004−354262)
【出願日】平成16年12月7日(2004.12.7)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年12月7日(2004.12.7)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
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