説明

投影装置、投影制御方法及びプログラム

【課題】光源のランプが想定外に消灯した場合に、その要因を特定して対処する。
【解決手段】管内にガスを封入し、通電により発光する光源ランプ18と、光源ランプ18の発する光を用いて光像を形成し、投影対象に向けて放射する投影系14〜17,19〜25と、光源ランプ18の破損を検出するマイクロホン27と、マイクロホン27での検出に従って光源ランプ18への通電と投影系14〜17,19〜25での投影動作とを一時的に停止させるCPU28、メインメモリ29及びプログラムメモリ30とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高圧水銀灯等の放電灯を光源のランプに用いる投影装置、投影制御方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ランプドライブ回路と、冷却用のファンを駆動するファンドライブ回路、及びランプの発光状態を検出するフォトセンサーを有し、フォトセンサーによってランプからの光を検出してファンドライブ回路を制御することにより、ランプが点灯している間はファンを回転状態に維持するようにした投射型表示装置の冷却装置の技術が考えられている。(例えば、特許文献1)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−156704号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記技術文献1に記載された技術は、装置の正常/異常に拘わらず、実際にランプが点灯している場合にそれを検出して冷却ファンの動作を維持するものとなっている。
【0005】
しかしながら、上記特許文献1の技術を含め、光源のランプが動作想定外の理由で消灯した場合、ユーザはランプが破裂したのか、それとも他の要因であるのかを識別することができないという不具合がある。
【0006】
本発明は上記のような実情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、光源のランプが想定外に消灯した場合に、その要因を特定して対処することが可能な投影装置、投影制御方法及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1記載の発明は、投影装置であって、通電により発光する光源ランプと、上記光源ランプの発する光を用いて光像を形成し、投影対象に向けて放射する投影手段と、上記光源ランプの破損を検出する検出手段と、上記検出手段での検出に従って上記光源ランプへの通電を停止させる制御手段とを具備し、上記制御手段は、上記検出手段での検出に従って上記投影手段での投影動作を停止させるとともに、上記制御手段は、上記光源ランプの交換がされたことを判断する判断手段を有し、上記判断手段で上記光源ランプの交換がされたことを判断した時点で上記投影手段での投影動作の停止を解除して、上記光源ラン
プへの通電を開始させることを特徴とする。
【0008】
請求項2記載の発明は、上記請求項1記載の発明において、上記検出手段での検出結果を装置の電源切断時に保持する保持手段をさらに具備したことを特徴とする。
【0009】
請求項3記載の発明は、上記請求項1または2記載の発明において、上記検出手段は、
上記光源ランプを撮影する撮影手段と、上記撮影手段で得た画像信号から上記光源ランプが破損しているか否かを判定する判定手段とを有したことを特徴とする。
請求項4記載の発明は、上記請求項3記載の発明において、上記判定手段は、上記画像信号の画像データと、予め記憶される光源ランプの基準画像データとをパターンマッチング処理により比較することで、上記光源ランプが破損しているか否かを判定することを特徴とする。
請求項5記載の発明は、上記請求項1または2記載の発明において、上記検出手段は、上記光源ランプを含む領域の音声を集音する集音手段と、上記集音手段で得た音声信号の音圧が所定のしきい値を超えているか否かを判定する判定手段とを有したことを特徴とする。
【0010】
請求項6記載の発明は、上記請求項1または2記載の発明において、上記検出手段は、上記光源ランプを含む領域の圧力を検知する圧力検知手段と、上記圧力検知手段で得た圧力信号が所定のしきい値を超えているか否かを判定する判定手段とを有したことを特徴とする。
【0011】
請求項7記載の発明は、投影制御方法であって、通電により発光する光源ランプと、上記光源ランプの発する光を用いて光像を形成し、投影対象に向けて放射する投影部とを有する投影装置の投影制御方法であって、上記光源ランプの破損を検出する検出工程と、上記検出工程での検出に従って上記光源ランプへの通電を停止させる制御工程とを有し、上記制御工程は、上記検出工程での検出に従って上記投影部での投影動作を停止させるとともに、上記制御工程は、上記光源ランプの交換がされたことを判断する判断工程を有し、上記判断工程で上記光源ランプの交換がされたことを判断した時点で上記投影部での投影
動作の停止を解除して、上記光源ランプへの通電を開始させることを特徴とする。
【0012】
請求項8記載の発明は、通電により発光する光源ランプと、上記光源ランプの発する光を用いて光像を形成し、投影対象に向けて放射する投影部とを有する投影装置に内蔵されたコンピュータが実行するプログラムであって、上記光源ランプの破損を検出する検出ステップと、上記検出ステップでの検出に従って上記光源ランプへの通電を停止させる制御ステップとをコンピュータに実行させ、上記制御ステップは、上記検出工程での検出に従って上記投影部での投影動作を停止させるとともに、上記制御ステップは、上記光源ランプの交換がされたことを判断する判断ステップを有し、上記判断ステップで上記光源ランプの交換がされたことを判断した時点で上記投影部での投影動作の停止を解除して、上記光源ランプへの通電を開始させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、光源のランプが想定外に消灯した場合にも、その要因を特定して対処することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るデータプロジェクタ装置が備える電子回路の機能構成を示すブロック図。
【図2】同実施形態に係る電源オン後の光源ランプに対する制御処理動作について示すフローチャート。
【図3】本発明の第2の実施形態に係るデータプロジェクタ装置が備える電子回路の機能構成を示すブロック図。
【図4】同実施形態に係る電源オン後の光源ランプに対する制御処理動作について示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(第1の実施形態)
以下本発明をDLP(Digital Light Processing)(登録商標)方式のデータプロジェクタ装置に適用した場合の第1の実施形態について図面を参照して説明する。
【0016】
図1は、同実施形態に係るデータプロジェクタ装置10が備える電子回路の機能構成を示すブロック図である。
同図で、11はデータプロジェクタ装置10の本体ケーシング背面側に設けられる入出力コネクタ部であり、例えばピンジャック(RCA)タイプのビデオ入力端子、RGB入力端子、及びUSB端子からなる。
【0017】
入出力コネクタ部11より入力される各種規格の画像信号は、入出力インタフェース(I/F)12、システムバスSBを介して、一般にスケーラとも称される画像変換部13で階調数等を含む所定のフォーマットの画像信号に統一された後に、投影画像処理部14へ送られる。
【0018】
この際、OSD(On Screen Display)用のモード画像やポインタ等の記号も必要に応じて画像信号上に重畳加工された状態で投影画像処理部14へ送られる。
【0019】
投影画像処理部14は、送られてきた画像信号をビデオRAM15に展開して記憶させた上でこのビデオRAM15の記憶内容からビデオ信号を生成する。
【0020】
投影画像処理部14は、このビデオ信号のフレームレート、例えば60[フレーム/秒]と色成分の分割数、及び表示階調数を乗算した、より高速な時分割駆動により、空間的光変調素子(SOM)である例えばマイクロミラー素子16を表示駆動する。
【0021】
一方、リフレクタ17内に配置された、例えば超高圧水銀灯を用いた光源ランプ18が高輝度の白色光を出射する。光源ランプ18の出射した白色光は、カラーホイール19を介して時分割で原色に着色され、インテグレータ20で輝度分布が均一な光束とされた後にミラー21で全反射して上記マイクロミラー素子16に照射される。
【0022】
そして、マイクロミラー素子16での反射光で光像が形成され、形成された光像が投影レンズユニット22を介して、投影対象となるここでは図示しないスクリーンに投影表示される。
【0023】
上述した如く投影レンズユニット22は、マイクロミラー素子16で形成された光像を拡大してスクリーン等の対象に投影するものであり、合焦位置及びズーム位置(投影画角)を任意に可変できるものとする。
【0024】
すなわち、投影レンズユニット22を構成する複数の光学レンズ中、図示しないフォーカスレンズ及びズームレンズは共に光軸方向に沿って前後に移動することで制御されるもので、それらレンズはステッピングモータ(M)23の回動駆動により移動する。
【0025】
また、上記カラーホイール19を回転させるモータ(M)24が設けられる。
【0026】
しかるに、上記光源ランプ18の点灯駆動、上記カラーホイール19用のモータ24の回転駆動、及び上記投影レンズユニット22用のステッピングモータ23の回動駆動をいずれも投影光処理部25が実行する。
【0027】
加えてこの投影光処理部25は、リフレクタ17に取付けられて光源ランプ18の温度を検出する温度センサ26からの温度データと、同じくリフレクタ17の開口に向けて取付けられ、リフレクタ17内で生じる音声をピックアップするマイクロホン27からの音声データとを入力する。
【0028】
上記各回路の動作すべてをCPU28が制御する。このCPU28は、SDRAM(シンクロナスDRAM)で構成されたメインメモリ29、動作プログラムや各種定型データ等を記憶した電気的書換可能な不揮発性メモリでなるプログラムメモリ30を用いてこのデータプロジェクタ装置10内の制御動作を実行する。
【0029】
上記CPU28は、操作部31からの操作信号に応じて各種投影動作を実行する。この操作部31は、キー操作部と、このデータプロジェクタ装置10専用の図示しないリモートコントローラからの赤外線変調信号を受信する赤外線受信部とを含み、ユーザが直接または該リモートコントローラを介して操作したキーに基づくキーコード信号をCPU28へ直接出力する。
【0030】
上記CPU28はさらに、上記システムバスSBを介してインジケータ部32及び音声処理部33と接続される。
【0031】
インジケータ部32は、電源のオン/オフ、光源ランプ18の温度異常等をそれぞれ所定色、例えば緑色、赤色等のLED(発光ダイオード)の点灯、点滅により表示する。
【0032】
音声処理部33は、PCM音源等の音源回路を備え、投影動作時に与えられる音声データをアナログ化し、スピーカ部34を駆動して拡声放音させ、あるいは必要によりビープ音等を発生させる。
【0033】
次に上記実施形態の動作について説明する。
なお、上記メインメモリ29には、光源ランプ18の破裂が検出された際にフラグ“1”がセットされるランプ破裂フラグレジスタが設けられるものとする。このランプ破裂フラグレジスタの内容はCPU28によりセットされるもので、電源オフ時には不揮発性メモリであるプログラムメモリ30に転送されて保持され、その後の電源オン時にはプログラムメモリ30に保持されたランプ破裂フラグの内容が読出されて再度メインメモリ29にセットされることで、CPU28がセット状態を解除しない限り、電源のオン/オフに関係なく保持される。
【0034】
図2は、電源スイッチをオンした直後から通常の投影動作に移行し、以後電源スイッチがオフされるまでの光源ランプ18に関する処理動作について示したものであり、その動作制御はすべてCPU28がプログラムメモリ30に記憶された動作プログラムを読出してメインメモリ29に展開しながら実行する。
【0035】
電源をオンした処理当初には、まずプログラムメモリ30からメインメモリ29に読出して保持するランプ破裂フラグレジスタにフラグ“1”がセットされているか否かを判断する(ステップS101)。
【0036】
ここで、フラグ“1”がセットされていると判断した場合には、前回の電源オフ時に光源ランプ18が破裂したままであることになるので、その旨を示すエラーメッセージ、例えば、音声処理部33を用いてスピーカ部34より
「ランプを交換して下さい
交換後にリセットボタンを押して下さい」
のような音声ガイドメッセージを拡声放音させる(ステップS102)。このとき、併せてインジケータ部32で光源ランプ18の異常を報知するLEDランプを点滅させることで、光源ランプ18に何らかの異常が生じていることをユーザに報知するものとしても良い。
【0037】
その上で、光源ランプ18の交換とそれに伴う所定の操作、例えばユニット単位で交換する光源ランプ18の取付け部近傍に、通常の投影動作時に操作するキー操作部とは別に配設されるリセットボタンの操作があったか否かにより、上記ランプ破裂フラグレジスタをリセットするための操作ランプ破裂フラグレジスタをリセットするための操作がなされたか否かを判断する(ステップS103)。
【0038】
ここでランプ破裂フラグレジスタのリセット操作がなされない場合には、再び上記ステップS102の処理に戻り、エラーメッセージの報知を続行する。以後、上記ステップS102,S103の処理を繰返し実行することで、光源ランプ18の交換とそれに伴うリセット操作とがなされるのを待機する。
【0039】
そして、ユーザによりランプ破裂フラグレジスタのリセット操作がなされると、ステップS103でこれを判断して、操作通りにランプ破裂フラグレジスタにセットされていたフラグ“1”をリセットしてその内容を“0”とする。
【0040】
なお、当然ながら上記ステップS101でランプ破裂フラグレジスタにフラグ“1”がセットされていないと判断した場合には、上記ステップS102〜S104の処理は省略するものとして実行しない。
【0041】
その後、あらためて投影光処理部25により光源ランプ18を点灯駆動させた上で(ステップS105)、通常の起動処理に移行する(ステップS106)。
【0042】
以後、通常の投影動作を実行するにあたって、同時に光源ランプ18の状態をマイクロホン27での音声により検出し(ステップS107)、光源ランプ18が破裂したか否かを具体的にはマイクロホン27で得た音声信号の音圧が所定のしきい値を超えたか否かによりに判断する(ステップS108)。
【0043】
マイクロホン27での音声信号の音圧が所定のしきい値を超えておらず、光源ランプ18は破裂していないと判断した場合には、さらに操作部31で電源スイッチをオフするキー操作がなされたか否かを判断する(ステップS109)。
【0044】
ここで電源をオフするキー操作もなされていないと判断すると、特になんら問題は生じていないものとして、上記マイクロミラー素子16、投影レンズユニット22を含む投影系では通常の投影動作を続行しながら、上記ステップS107からの処理に戻る。
【0045】
こうしてステップS107〜S109の処理を繰返し実行することで、通常の投影動作を続行しながら、光源ランプ18が破裂するか、電源をオフするキー操作がなされるのを待機する。
【0046】
しかるに、光源ランプ18に破裂が生じた場合、上記ステップS108でこれを判断し、あらためてメインメモリ29のランプ破裂フラグレジスタにフラグ“1”をセットした後(ステップS110)、規定の電源オフに伴う各種定型処理を実行し(ステップS111)、以上でこの図2に示す処理を終了するものとする。
【0047】
上記電源オフに伴う各種定型処理中には、上述した如くメインメモリ29のランプ破裂フラグレジスタの内容を不揮発性メモリであるプログラムメモリ30に転送して保持させる処理も含む。
【0048】
また、上記ステップS109において操作部31で電源スイッチをオフするキー操作がなされたと判断した場合には、そのまま上記ステップS111に進み、規定の電源オフに伴う各種定型処理を実行して、以上でこの図2に示す処理を終了する。
【0049】
このように本実施形態によれば、データプロジェクタ装置10の電源オン時に常時光源ランプ18の破裂が発生するのを監視しているため、光源ランプ18が破裂して本来の投影動作からは想定外に消灯した場合に、その要因を特定して対処することが可能となる。
【0050】
加えて、光源ランプ18の破裂を検出した時点でメインメモリ29にランプ破裂フラグレジスタにフラグ“1”をセットし、そのフラグレジスタの内容を電源オフ時にもプログラムメモリ30に転送設定するようにしているので、一度装置の電源をオフしてしまった後にも光源ランプ18が破裂した状態であることを示す情報を保持し、再度の電源オン時に不用意に光源ランプ18への通電を開始するような事態を確実に回避できる。
【0051】
さらに、上記ランプ破裂フラグレジスタにセットされたフラグは、光源ランプ18の交換時に操作される専用のリセットキーにより解除するものとしたので、光源ランプ18の交換を確認した上での正常な動作に安全に移行できる。
【0052】
なお、上記実施形態では、光源ランプ18の破裂を検出するための手段として、リフレクタ17内の光源ランプ18を含む範囲の音声を集音するマイクロホン27を設けるものとし、このマイクロホン27で得られる音声信号の音圧が所定のしきい値を超えたか否かによりに判断するものとした。
これにより、比較的簡易な構造で、高熱となる光源ランプ18の熱による影響を排除して正確に光源ランプ18の破損を判断することができる。
【0053】
なお、この種のプロジェクタ装置にあっては、光源ランプが高圧水銀灯で100〜1000[kPa]、超高圧水銀灯で1000[kPa]以上と、高い圧力の水銀蒸気を封入した構造を有するため、一般に光源ランプがリフレクタと共に全体を防爆ガラスで被覆したユニット構造をとることが多く、そのような構造ではユニット外部から光源ランプの破裂音を検出することは困難となる。
【0054】
したがって、上記ユニット構造をとる場合にはマイクロホン27もまた当該ユニット内の密閉空間内の音声を検出するべく一体構造を採り、ユニット単位でマイクロホン27も合わせて交換するものとするか、あるいはユニット外部の防爆ガラスの一部にマイクロホン27取付用の貫通孔を形成する必要がある。
【0055】
なお、上記実施形態では、光源ランプ18の破損をマイクロホン27を用いて音声により検出するものとして説明したが、光源ランプ18が破裂する際には音声のみならず、圧力も一時的に大きく変動するものであるので、上記マイクロホン27に代えて圧力センサを用いるものとしても良い。
【0056】
しかして、圧力センサにより光源ランプ18の破損(破裂)を検出するものとした場合にあっても、比較的簡易な構造で、高熱となる光源ランプ18の熱による影響を排除して正確に光源ランプ18の破損を判断することができる。
【0057】
なお、この圧力センサを用いる場合でも、上述した如く光源ランプをリフレクタと共に防爆ガラスで被覆したユニット構造ではユニット外部から光源ランプの破裂音を検出することは困難となるため、圧力センサで当該ユニット内の密閉空間内の圧力を検出するべく一体構造を採り、ユニット単位で圧力センサも合わせて交換するものとするか、あるいはユニット外部の防爆ガラスの一部に圧力センサ取付用の貫通孔を形成する必要がある。
【0058】
(第2の実施形態)
以下本発明をDLP(登録商標)方式のデータプロジェクタ装置に適用した場合の第2の実施形態について図面を参照して説明する。
【0059】
図3は、同実施形態に係るデータプロジェクタ装置10′が備える電子回路の機能構成を示すブロック図である。同図は、画像の投影に係る基本的な構成自体は上記図1に示したデータプロジェクタ装置10と同様であるため、同一部分には同一符号を付加してその説明は省略するものとする。
【0060】
さらに、上記図1でのマイクロホン27に代えて光学レンズ41及びイメージセンサ42を配設し、リフレクタ17内の光源ランプ18の画像を撮影することができるものとする。イメージセンサ42で得られた画像信号は、プロセス回路43にてデジタル化された後、輪郭強調等の処理が施されてからシステムバスSBを介してCPU28へ送られる。
【0061】
プログラムメモリ30には、CPU28が実行する動作プログラムのデータに加えて、上記イメージセンサ42が撮影するリフレクタ17内の光源ランプ18と同様の基準画像が予め記憶されており、CPU28はイメージセンサ42から得た実画像とプログラムメモリ30に記憶された基準画像とを比較することで光源ランプ18の破損(破裂)を判断する。
【0062】
また、リフレクタ17内の光源ランプ18を照明するべくLEDランプ44が設けられる。このLEDランプ44は、例えば高輝度白色LEDで構成され、上記投影光処理部25の駆動によりリフレクタ17内の光源ランプ18を照明する。
【0063】
次に上記実施形態の動作について説明する。
なお、上記メインメモリ29には、光源ランプ18の破裂が検出された際にフラグ“1”がセットされるランプ破裂フラグレジスタが設けられるものとする。このランプ破裂フラグレジスタの内容はCPU28によりセットされるもので、電源オフ時には不揮発性メモリであるプログラムメモリ30に転送されて保持され、その後の電源オン時にはプログラムメモリ30に保持されたランプ破裂フラグの内容が読出されて再度メインメモリ29にセットされることで、CPU28がセット状態を解除しない限り電源のオン/オフに関係なく保持される。
【0064】
図4は、電源スイッチをオンした直後から通常の投影動作に移行し、以後電源スイッチがオフされるまでの光源ランプ18に関する処理動作について示したものであり、その動作制御はすべてCPU28がプログラムメモリ30に記憶された動作プログラムを読出してメインメモリ29に展開しながら実行する。
【0065】
電源をオンした処理当初には、まずプログラムメモリ30からメインメモリ29に読出して保持するランプ破裂フラグレジスタにフラグ“1”がセットされているか否かを判断する(ステップS301)。
【0066】
ここで、フラグ“1”がセットされていると判断した場合には、前回の電源オフ時に光源ランプ18が破裂したままであることになるので、その旨を示すエラーメッセージ、例えば、音声処理部33を用いてスピーカ部34より
「ランプを交換して下さい
交換後にリセットボタンを押して下さい」
のような音声ガイドメッセージを拡声放音させる(ステップS302)。このとき、併せてインジケータ部32で光源ランプ18の異常を報知するLEDランプを点滅させることで、光源ランプ18に何らかの異常が生じていることをユーザに報知するものとしても良い。
【0067】
その上で、光源ランプ18の交換とそれに伴う所定の操作、例えばユニット単位で交換する光源ランプ18の取付け部近傍に、通常の投影動作時に操作するキー操作部とは別に配設されるリセットボタンの操作があったか否かにより、上記ランプ破裂フラグレジスタをリセットするための操作ランプ破裂フラグレジスタをリセットするための操作がなされたか否かを判断する(ステップS303)。
【0068】
ここでランプ破裂フラグレジスタのリセット操作がなされない場合には、再び上記ステップS302の処理に戻り、エラーメッセージの報知を続行する。以後、上記ステップS302,S303の処理を繰返し実行することで、光源ランプ18の交換とそれに伴うリセット操作とがなされるのを待機する。
【0069】
そして、ユーザによりランプ破裂フラグレジスタのリセット操作がなされると、ステップS303でこれを判断して、操作通りにランプ破裂フラグレジスタにセットされていたフラグ“1”をリセットしてその内容を“0”とする。
【0070】
なお、当然ながら上記ステップS301でランプ破裂フラグレジスタにフラグ“1”がセットされていないと判断した場合には、上記ステップS302〜S304の処理は省略するものとして実行しない。
【0071】
その後、あらためて投影光処理部25により光源ランプ18を点灯駆動させ(ステップS305)、併せてLEDランプ44も点灯駆動した上で(ステップS306)、通常の起動処理に移行する(ステップS307)。
【0072】
以後、通常の投影動作を実行するにあたって、同時に光源ランプ18の状態をイメージセンサ42により撮影し(ステップS308)、撮影で得た画像データとプログラムメモリ30に予め記憶される光源ランプ18の基準画像データとをパターンマッチング処理により比較することで、光源ランプ18が破裂したか否かを判断する(ステップS309)。
【0073】
撮影により得た画像データが基準画像データをほぼ同等であり、光源ランプ18は破裂していないと判断した場合には、さらに操作部31で電源スイッチをオフするキー操作がなされたか否かを判断する(ステップS310)。
【0074】
ここで電源をオフするキー操作もなされていないと判断すると、特になんら問題は生じていないものとして、上記マイクロミラー素子16、投影レンズユニット22を含む投影系では通常の投影動作を続行しながら、上記ステップS308からの処理に戻る。
【0075】
こうしてステップS308〜S310の処理を繰返し実行することで、通常の投影動作を続行しながら、光源ランプ18が破裂するか、電源をオフするキー操作がなされるのを待機する。
【0076】
しかるに、光源ランプ18に破裂が生じた場合、上記ステップS309でこれを判断し、あらためてメインメモリ29のランプ破裂フラグレジスタにフラグ“1”をセットした後(ステップS311)、規定の電源オフに伴う各種定型処理を実行し(ステップS312)、以上でこの図4に示す処理を終了するものとする。
【0077】
上記電源オフに伴う各種定型処理中には、上述した如くメインメモリ29のランプ破裂フラグレジスタの内容を不揮発性メモリであるプログラムメモリ30に転送して保持させる処理も含む。
【0078】
また、上記ステップS310において、操作部31で電源スイッチをオフするキー操作がなされたと判断した場合には、そのまま上記ステップS312に進み、規定の電源オフに伴う各種定型処理を実行して、以上でこの図4に示す処理を終了する。
【0079】
このように本実施形態によれば、データプロジェクタ装置10の電源オン時に常時光源ランプ18の破裂が発生するのを光源ランプ18の画像により監視し続けるため、光源ランプ18が破裂して本来の投影動作からは想定外に消灯した場合に、その要因を特定して対処することが可能となる。
【0080】
特に、この種のプロジェクタ装置にあっては、光源ランプが高圧水銀灯で100〜1000[kPa]、超高圧水銀灯で1000[kPa]以上と、高い圧力の水銀蒸気を封入した構造を有するため、一般に光源ランプがリフレクタと共に全体を防爆ガラスで被覆したユニット構造をとることが多く、そのような構造ではユニット外部から光源ランプの破裂による音声や圧力の変動を検出することは困難となる。
【0081】
しかしながら本実施形態では、イメージセンサにより光源ランプ18の画像を撮影してその内容から光源ランプ18の破損(破裂)を検出するものとしたので、ユニット外部からでも確実に光源ランプ18の破損を判断することができる。
【0082】
なお、上記各実施形態はいずれも、本発明をDLP(登録商標)方式のデータプロジェクタ装置に適用した場合について説明したが、光源ランプに放電灯を用いる方式のプロジェクタであれば、構造を形成するために透過型の液晶パネルを用いる液晶方式のプロジェクタ、あるいはリアプロジェクション方式のテレビジョン装置、OHP(オーバヘッドプロジェクタ)等、各種他の装置にも同様に適用可能である。
【0083】
その他、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、上述した実施形態で実行される機能は可能な限り適宜組合わせて実施しても良い。上述した実施形態には種々の段階が含まれており、開示される複数の構成要件により適宜の組合せにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、効果が得られるのであれば、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
【符号の説明】
【0084】
10,10′…データプロジェクタ装置、11…入出力コネクタ部、12…入出力インタフェース(I/F)、13…画像変換部、14…投影画像処理部、15…ビデオRAM、16…マイクロミラー素子(SOM)、17…リフレクタ、18…光源ランプ、19…カラーホイール、20…インテグレータ、21…ミラー、22…投影レンズユニット、23…ステッピングモータ(M)、24…モータ(M)、25…投影光処理部、26…温度センサ、27…マイクロホン、28…CPU、29…メインメモリ、30…プログラムメモリ、31…操作部、32…インジケータ部、33…音声処理部、34…スピーカ、41…光学レンズ、42…イメージセンサ、43…プロセス回路、44…LEDランプ、SB…システムバス。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通電により発光する光源ランプと、
上記光源ランプの発する光を用いて光像を形成し、投影対象に向けて放射する投影手段と、
上記光源ランプの破損を検出する検出手段と、
上記検出手段での検出に従って上記光源ランプへの通電を停止させる制御手段とを具備し、
上記制御手段は、上記検出手段での検出に従って上記投影手段での投影動作を停止させるとともに、
上記制御手段は、上記光源ランプの交換がされたことを判断する判断手段を有し、上記判断手段で上記光源ランプの交換がされたことを判断した時点で上記投影手段での投影動作の停止を解除して、上記光源ランプへの通電を開始させることを特徴とする投影装置。
【請求項2】
上記検出手段での検出結果を装置の電源切断時に保持する保持手段をさらに具備したことを特徴とする請求項1記載の投影装置。
【請求項3】
上記検出手段は、
上記光源ランプを撮影する撮影手段と、
上記撮影手段で得た画像信号から上記光源ランプが破損しているか否かを判定する判定手段と
を有したことを特徴とする請求項1または2記載の投影装置。
【請求項4】
上記判定手段は、上記画像信号の画像データと、予め記憶される光源ランプの基準画像データとをパターンマッチング処理により比較することで、上記光源ランプが破損してい
るか否かを判定することを特徴とする請求項3記載の投影装置。
【請求項5】
上記検出手段は、
上記光源ランプを含む領域の音声を集音する集音手段と、
上記集音手段で得た音声信号の音圧が所定のしきい値を超えているか否かを判定する判定手段と
を有することを特徴とする請求項1または2記載の投影装置。
【請求項6】
上記検出手段は、
上記光源ランプを含む領域の圧力を検知する圧力検知手段と、
上記圧力検知手段で得た圧力信号が所定のしきい値を超えているか否かを判定する判定手段と
を有したことを特徴とする請求項1または2記載の投影装置。
【請求項7】
通電により発光する光源ランプと、上記光源ランプの発する光を用いて光像を形成し、投影対象に向けて放射する投影部とを有する投影装置の投影制御方法であって、
上記光源ランプの破損を検出する検出工程と、
上記検出工程での検出に従って上記光源ランプへの通電を停止させる制御工程とを有し、
上記制御工程は、上記検出工程での検出に従って上記投影部での投影動作を停止させるとともに、
上記制御工程は、上記光源ランプの交換がされたことを判断する判断工程を有し、上記判断工程で上記光源ランプの交換がされたことを判断した時点で上記投影部での投影動作の停止を解除して、上記光源ランプへの通電を開始させる
ことを特徴とする投影制御方法。
【請求項8】
通電により発光する光源ランプと、上記光源ランプの発する光を用いて光像を形成し、投影対象に向けて放射する投影部とを有する投影装置に内蔵されたコンピュータが実行するプログラムであって、
上記光源ランプの破損を検出する検出ステップと、
上記検出ステップでの検出に従って上記光源ランプへの通電を停止させる制御ステップとをコンピュータに実行させ、
上記制御ステップは、上記検出工程での検出に従って上記投影部での投影動作を停止させるとともに、
上記制御ステップは、上記光源ランプの交換がされたことを判断する判断ステップを有し、上記判断ステップで上記光源ランプの交換がされたことを判断した時点で上記投影部での投影動作の停止を解除して、上記光源ランプへの通電を開始させる
ことを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−54388(P2013−54388A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−267214(P2012−267214)
【出願日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【分割の表示】特願2007−311510(P2007−311510)の分割
【原出願日】平成19年11月30日(2007.11.30)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】