説明

投影装置、投影方法及びプログラム

【課題】超解像処理で得た画像に対してホワイトピーキング処理を施す際の画質の低下を抑制する。
【解決手段】カラー画像信号を入力する入力部11と、無彩色の輝度画像と有彩色画像とを投影する投影系13〜18と、入力部11で入力する画像信号に対し、設定されたパラメータに従って構成画素数を増やすと共に画像中の高周波成分を強調する超解像処理部12と、超解像処理部12で使用するパラメータに応じて投影系13〜18で投影する有彩色画像に対する輝度画像の投影時間を制御するCPU26とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばDLP(Digital Light Processing)(登録商標)方式のプロジェクタ装置等に好適な投影装置、投影方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
プロジェクタで投影する画像の解像度に対し、入力される画像信号の解像度が足りない場合、それを補うための解像度補間技術である超解像処理を入力された画像信号に対して施す構成が記載されている。(例えば、特許文献1)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−091618号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記超解像度処理を入力された画像信号に対して施すと、投影画像のノイズ成分が強調されてしまうことがあった。
【0005】
また、DLP(登録商標)方式のプロジェクタ装置では、投影画像における輝度画像、即ち白色(無彩色の輝度画像)を投影する時間の割合を多くすることで画像の輝度を向上させる、ホワイトピーキングと呼称される処理を施すことが可能となっている。
このホワイトピーキング処理では、投影画像中のノイズ成分が増幅され、また階調表現が不自然になるなどの不具合を生じることがある。
【0006】
しかして、上記した超解像技術を用いて高解像度化した画像信号に対し上記ホワイトピーキング処理を施した場合には、超解像技術によって強調されたノイズ成分がホワイトピーキング処理によりさらに強調され、階調表現の不自然さなど、投影画質が低下する事態が発生し得る。
【0007】
このように上記特許文献に記載された技術を含めて、超解像処理による画像に対してホワイトピーキング処理を施しながら画質の低下を回避するような技術は考えられていない。
【0008】
本発明は上記のような実情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、超解像処理で得た画像に対してホワイトピーキング処理を施しても画質の低下を抑制することが可能な投影装置、投影方法及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様は、カラー画像信号を入力する入力手段と、上記入力手段で入力したカラー画像信号に基づき、無彩色の輝度画像と有彩色画像とを投影する投影手段と、上記入力手段で入力する画像信号に対し、設定されたパラメータに従って画像中の高周波成分を強調する先鋭化処理を施す画像処理手段と、上記画像処理手段で使用するパラメータに応じて上記投影手段で投影する上記有彩色画像に対する上記輝度画像の投影時間を制御する投影制御手段とを具備したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、超解像処理で得た画像に対してホワイトピーキング処理を施す際の画質の低下を抑制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施形態に係るデータプロジェクタ装置の機能回路の構成を示すブロック図。
【図2】同実施形態に係る主として超解像パラメータとホワイトピーキングレベルの設定に対応した処理内容を示すフローチャート。
【図3】同実施形態に係る超解像処理のパラメータに対応するホワイトピーキングレベルのテーブルを示す図。
【図4】同実施形態に係る1カラー画像フレームを構成する各色フィールドの標準配置例と各色光源の発光タイミングとを示すタイミングチャート。
【図5】同実施形態に係る1カラー画像フレームを構成する各色フィールドの配置例を示すタイミングチャート。
【図6】同実施形態に係る他の動作例として、主としてホワイトピーキングレベルと超解像パラメータの設定に対応した処理内容を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下本発明をDLP(登録商標)方式のデータプロジェクタ装置に適用した場合の一実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、本実施形態に係るデータプロジェクタ装置10の概略機能構成を示すブロック図である。同図中、符号11は入力部である。この入力部11は、例えばピンジャック(RCA)タイプのビデオ入力端子、D−sub15タイプのRGB入力端子、HDMI(High−Definition Multimedia Interface)規格の画像/音声入力端子、及びUSB(Universal Serial Bus)コネクタを有し、これらのいずれかの端子を介して有線接続される外部機器から、画像信号及び音声信号を入力する。
【0013】
入力部11から入力された各種規格の画像信号は、システムバスSBを介し、超解像処理部12に入力される。この超解像処理部12は、入力される画像信号を投影に適した所定の画像サイズに合致させるべく補間処理する一方で、画像信号中のテクスチャ部に画質改善処理を、同テクスチャ部の輪郭部にエッジ強調処理を施すことで高周波成分を強調する先鋭化処理である超解像処理を実行する。
【0014】
こうして超解像処理部12は、単なる平均化した補間処理ではぼやけた画像となるのを回避して高精細化を実現し、得た画像信号を、一般にスケーラとも称される投影画像処理部13に出力する。
【0015】
投影画像処理部13は、入力される画像信号を投影に適した所定のフォーマットの画像信号に統一し、内蔵する表示用のバッファメモリに適宜書込んだ後に、書込んだ画像信号をホワイトピーキングを考慮したタイミングで適宜読出して投影画像駆動部14へ送る。
【0016】
この際、OSD(On Screen Display)用の各種動作状態を示すシンボル等のデータも必要に応じて投影画像処理部13内のバッファメモリで画像信号に重畳加工し、加工後の画像信号を読出して投影画像駆動部14へ送る。
【0017】
投影画像駆動部14は、送られてきた画像信号に応じて、所定のフォーマットに従ったフレームレート、例えば60[フレーム/秒]と色成分の分割数、及び表示階調数を乗算した、より高速な時分割駆動により、マイクロミラー素子15を表示駆動する。
【0018】
このマイクロミラー素子15は、アレイ状に配列された複数、例えばWXGA(横1280画素×縦768画素)個の微小ミラーの各傾斜角度を個々に高速でオン/オフ動作して表示動作することで、その反射光により光像を形成する。
【0019】
一方で、光源部16から時分割でW(白色),R(赤色),G(緑色),B(青色)の光が循環的に出射される。この光源部16からの光が、ミラー17で全反射して上記マイクロミラー素子15に照射される。
【0020】
そして、マイクロミラー素子15での反射光で光像が形成され、形成された光像が投影レンズ部18を介して、投影対象となる図示しないスクリーンに投影表示される。
【0021】
上記光源部16は、緑色(G)光を発するLD(以下「G−LD」と称する)19、
赤色(R)光を発する発光ダイオード(以下「R−LED」と称する)20、及び青色(B)光を発するLD(以下「B−LD」と称する)21を有する。
【0022】
G−LD19の発する緑色光は、ダイクロイックミラー22を透過した後に上記ミラー17へ送られる。
【0023】
R−LED20の発する赤色光は、ダイクロイックミラー23で反射された後、上記ダイクロイックミラー22でも反射されて上記ミラー17へ送られる。
【0024】
B−LD21の発する青色光は、ミラー24で反射された後に上記ダイクロイックミラー23を透過し、その後に上記ダイクロイックミラー22で反射されて上記ミラー17へ送られる。
上記ダイクロイックミラー22は、緑光を透過する一方で、赤色光及び青色光を反射する。上記ダイクロイックミラー23は、赤色光を反射する一方で、青色光を透過する。
【0025】
しかして上記光源部16のG−LD19、R−LED20、及びB−LD21の各発光タイミングや駆動信号の波形等を投影光駆動部25が統括して制御する。投影光駆動部25は、上記投影画像駆動部14から与えられる画像信号に同期したタイミング信号と、後述するCPU26の制御に応じて上記G−LD19、R−LED20、及びB−LD21の発光動作を制御する。
【0026】
なお本実施形態では、G−LD19、R−LED20、及びB−LD21を用いているが、赤、緑、青の光源を全てLEDまたはLDにしてもよいし、緑色の光を蛍光板に励起光を照射させることで生成してもよいことは勿論である。
【0027】
上記各回路の動作すべてをCPU26が制御する。このCPU26は、メインメモリ27及びプログラムメモリ28と直接接続される。メインメモリ27は、例えばSRAMで構成され、CPU26のワークメモリとして機能する。プログラムメモリ28は、電気的書換可能な不揮発性メモリ、例えばフラッシュROMで構成され、CPU26が実行する動作プログラムや後述する超解像パラメータ(パラメータ)/ホワイトピーキングレベル対応テーブルを含む各種定型データ等を記憶する。
なお、超解像処理における上記超解像パラメータとは、例えば、超解像効果の強さを示すゲイン値、超解像処理の適応箇所を示すエッジしきい値、ボケ改善の強さの指標となる画像調整用フィルタ、の各種変更設定を含む。
【0028】
CPU26は、上記プログラムメモリ28に記憶されている動作プログラムや定型データ等を読出し、メインメモリ27に展開して記憶させた上で、当該プログラムを実行することにより、このデータプロジェクタ装置10を統括して制御する。
【0029】
上記CPU26は、操作部29からのキー操作信号に応じて各種投影動作を実行する。
【0030】
この操作部29は、このデータプロジェクタ装置10専用の図示しないリモートコントローラからの赤外線変調信号を受信するリモコン受光部と、データプロジェクタ装置10の例えば筐体上面に設けられるキー入力部を含む。
【0031】
操作部29は、ユーザがデータプロジェクタ装置10専用のリモートコントローラあるいは本体のキー入力部で操作したキーに基づくキー操作信号をCPU26へ出力する。
【0032】
上記CPU26はさらに、上記システムバスSBを介して音声処理部30と接続される。
音声処理部30は、PCM音源等の音源回路を備え、投影動作時に与えられる音声信号をアナログ化し、スピーカ部31を駆動して放音させ、あるいは必要によりビープ音等を発生させる。
【0033】
なお上記実施形態の構成では、入力部11で入力した画像信号に対し、超解像処理部12で超解像処理を施して高周波成分の強調を伴う高精細化処理を行なった後、処理後の画像信号を投影画像処理部13へ出力するものとして説明したが、処理の順序として超解像処理部12を投影画像処理部13の後段に配置しても良い。
【0034】
次に上記実施形態の動作について説明する。
以下に示す動作は通常の画像投影時にCPU26の制御に基づいて実行するものである。CPU26はプログラムメモリ28に記憶されている動作プログラムやデータを読出し、メインメモリ27に展開して記憶させた上で該動作プログラムを実行する。
【0035】
図2は、電源が投入され、入力部11により画像信号が入力されて投影動作が実行される状態でのCPU26による処理を示す。処理当初にCPU26は、上記超解像処理部12で実行する超解像処理の超解像パラメータを変更するための指示操作がなされたか否かを判断する(ステップS101)。
【0036】
超解像パラメータを変更するための指示操作は、例えば、メニュー項目から、超解像効果の強さを示すゲイン値、超解像処理の適応箇所を示すエッジしきい値、ボケ改善の強さの指標となる画像調整用フィルタなどの各種変更設定を指示する場合を含む。
【0037】
上記ステップS101で超解像パラメータを変更するための指示操作がなされていないと判断した場合、CPU26はその時点で設定されているホワイトピーキングレベルに応じた長さのW(白)フィールドを含む投影動作を実行し(ステップS102)、再び上記ステップS101の処理に戻る。
【0038】
図4は、1カラー画像フレームを構成する4つのフィールド、すなわちWフィールド、Rフィールド、Gフィールド、及びBフィールドが同じ時間幅で構成される場合の光源部16のR−LED20、G−LD19、B−LD21の各発光タイミングを例示する。
【0039】
同図に示すようにWフィールドでは、R−LED20、G−LD19、及びB−LD21を同時に発光させることで、混色による白色光(輝度画像)を得るものとしている。このときマイクロミラー素子15では、マトリックス演算
Y=0.2988R+0.5868G+0.1144B
により輝度信号Yに応じた画像を表示することで、その反射光により光像を形成し、投影レンズ部18を介して投影対象の図示しないスクリーンに向けて投影する。
【0040】
続くRフィールド、Gフィールド、及びBフィールドでは、R−LED20、G−LD19、B−LD21がそれぞれ単独で発光し、原色画像(有彩色画像)であるR画像、G画像、及びB画像を順次投影する。
【0041】
1カラー画像フレーム中におけるWフィールドの時間幅を増減することで、ホワイトピーキングレベルを可変して投影される画像の輝度を変えることができる。
【0042】
また上記ステップS101で超解像パラメータを変更するための指示操作がなされたと判断した場合、CPU26はその指示操作による変更条件を受付けた上で(ステップS103)、受付けた新しい超解像パラメータに基づいてホワイトピーキングのレベルを参照する(ステップS104)。
【0043】
図3は、プログラムメモリ28に予め記憶されている、超解像パラメータとホワイトピーキングレベルとの対応を示すテーブルの一例である。ここでは超解像パラメータが「10」〜「0」の11段階あるものとし、それに対してホワイトピーキングのレベルを「6」〜「10」の範囲で5段階に分けて対応させるものとしている。
【0044】
なお本実施形態では、超解像パラメータが「10」の時が最も超解像処理を強く画像信号に対して施し、超解像パラメータの値が低くなればなるほど超解像度処理を弱く画像信号に施すこととなる。また、ホワイトピーキングのレベルが「10」の時が最もホワイトピーキングを強く画像信号に対して施し、ホワイトピーキングのレベルが低くなればなるほどホワイトピーキングを弱く画像信号に施すこととなる。
【0045】
図示する如く超解像パラメータが高く、より高精細で先鋭化した画質の画像を投影する場合ほど、ホワイトピーキングのレベルを下げるものとしており、元の画像信号に含まれるノイズ成分を目立たせず、階調表現が不自然なものとなるのを回避している。
【0046】
また本実施形態では、超解像処理を行なわない時、すなわち図3に示す超解像パラメータが「0」の時は超解像処理による投影画像のノイズを考慮する必要がないのでホワイトピーキングレベルが最大の「10」となるように制御している。
【0047】
こうしてテーブルから対応するホワイトピーキングのレベルを読出して投影画像処理部13に設定し(ステップS105)、その後に上記ステップS101からの処理に戻る。
【0048】
図5は、ホワイトピーキングのレベルに応じたフィールド構成例を示す。図5(A)は、ホワイトピーキングのレベルが高く、Wフィールドの期間を他のRフィールド、Gフィールド、及びBフィールドより大幅に長く設定している。
【0049】
そのため、色彩よりも画像の明るさが重視されるような、例えば明るい会議室でプレゼンテーションを行なう場合などに適しており、このとき上述したように超解像パラメータは低く抑えられているので、画像信号中のノイズが強調されて目立つようなことはない。
【0050】
反対に、図5(B)は、ホワイトピーキングのレベルが低く、Wフィールドの期間を他のRフィールド、Gフィールド、及びBフィールドより短く設定している。
【0051】
そのため、単なる明るさよりも画像としての色彩のバランスが重視されるような、例えば照明を落として映画を鑑賞する場合などに適しており、このとき上述したように超解像パラメータは高く設定されているので、高精細な画像を楽しむことができる。
【0052】
以上詳述した如く本実施形態によれば、超解像処理で得た画像に対してホワイトピーキング処理を施す際の画質の低下を抑制することが可能となる。
【0053】
また上記実施形態では、超解像パラメータの値が上がり、画像信号中の高周波成分を強調する度合が上がるにつれて、ホワイトピーキングのレベルを下げるようにしているため、画像信号中に含まれているノイズを不用意に目立たせるのを確実に回避できる。
【0054】
さらに上記実施形態では、ホワイトピーキングのレベルに応じて輝度画像の投影を行なうWフィールドの時間幅を調整するものとしたので、画像中の明暗の階調を精細に表現できる。
【0055】
なお上記実施形態では、超解像処理部12による超解像パラメータに応じてホワイトピーキングのレベルを可変する場合について説明したが、本発明は構成画素数を増やす超解像処理に限らず、画像信号中の高周波成分を強調するような先鋭化処理、例えばエッジ強調処理などの画像処理であっても同様に適応することが可能である。
【0056】
なお、本実施形態では超解像処理を行なわない場合はホワイトピーキングレベルが最大の「10」となるように制御しているが、超解像処理を行なわない場合は超解像処理による投影画像のノイズを考慮する必要がないので、ホワイトピーキングレベルを自由にユーザが設定できる構成であってもよい。
【0057】
また本実施形態では、設定された超解像パラメータに応じてホワイトピーキングのレベルを自動で可変する構成であるが、CPU26は超解像パラメータに応じてホワイトピーキングのレベルの上限値を制限する構成にしてもよい。
【0058】
すなわち図3のテーブルにおいては、超解像パラメータが「8」の時、対応するホワイトピーキングレベルは「7」であり、この場合にホワイトピーキングレベルを「7」の値以上に設定することはできないが、ホワイトピーキングレベルを「7」以下に設定することも可能な構成としてもよい。
【0059】
そのような構成とした場合、ホワイトピーキングレベルの設定に自由度を持たせることができるので、投影画像のノイズを低減し且つ上記実施形態に比べてよりユーザの好みにあった投影が可能となる。
【0060】
さらに本実施形態は、設定された超解像パラメータに応じてホワイトピーキングのレベルを可変する構成であるが、設定されたホワイトピーキングのレベルに応じて超解像パラメータを可変する構成であってもよい。
【0061】
以下、そのような本実施形態の他の動作例についても簡単に説明しておく。
図6は、電源が投入され、入力部11により画像信号が入力されて投影動作が実行される状態でのCPU26による処理を示す。処理当初にCPU26は、投影画像処理部13で実行するホワイトピーキングのレベルを変更するための指示操作がなされたか否かを判断する(ステップS201)。
【0062】
ホワイトピーキングのレベルを変更するための指示操作は、例えば、メニュー項目から指示する場合を含む。
【0063】
上記ステップS201でホワイトピーキングのレベルを変更するための指示操作がなされていないと判断した場合、CPU26はその時点で設定されている超解像パラメータに応じた超解像処理部12の動作を含む投影動作を実行し(ステップS202)、再び上記ステップS201の処理に戻る。
【0064】
また上記ステップS201でホワイトピーキングのレベルを変更するための指示操作がなされたと判断した場合、CPU26はその指示操作による変更条件を受付けた上で(ステップS203)、例えば上記図3で示したテーブルにより、受付けた新しいホワイトピーキングのレベルに基づいて超解像パラメータを参照する(ステップS204)。
【0065】
超解像パラメータとホワイトピーキングレベルとの対応を示すテーブルでは、超解像パラメータが高く、より高精細で先鋭化した画質の画像を投影する場合ほど、ホワイトピーキングのレベルを下げるものとしており、元の画像信号に含まれるノイズ成分を目立たせず、階調表現が不自然なものとなるのを回避している。
【0066】
こうしてテーブルから対応する超解像パラメータを読出して超解像処理部12に設定し(ステップS205)、その後に上記ステップS201からの処理に戻る。
【0067】
このようにホワイトピーキング処理のレベルに合わせて超解像パラメータを適宜設定するものとしたので、必要に応じた超解像処理を施した上で画質の低下を招くことなくホワイトピーキング処理を実行させることが可能となる。
【0068】
その他、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、上述した実施形態で実行される機能は可能な限り適宜組み合わせて実施しても良い。上述した実施形態には種々の段階が含まれており、開示される複数の構成要件による適宜の組み合せにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、効果が得られるのであれば、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
【0069】
以下に、本願出願の当所の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
請求項1記載の発明は、カラー画像信号を入力する入力手段と、上記入力手段で入力したカラー画像信号に基づき、無彩色の輝度画像と有彩色画像とを投影する投影手段と、上記入力手段で入力する画像信号に対し、設定されたパラメータに従って画像中の高周波成分を強調する先鋭化処理を施す画像処理手段と、上記画像処理手段で使用するパラメータに応じて上記投影手段で投影する上記有彩色画像に対する上記輝度画像の投影時間を制御する投影制御手段とを具備したことを特徴とする。
【0070】
請求項2記載の発明は、上記請求項1に記載の発明において、上記投影制御手段は、上記画像処理手段で使用するパラメータの値が上がり、高周波成分の強調度合が上がるにつれて、上記有彩色画像に対する上記輝度画像の投影時間を短くすることを特徴とする。
【0071】
請求項3記載の発明は、上記請求項1に記載の発明において、上記投影制御手段は、上記画像処理手段で使用するパラメータに応じて上記投影手段で投影する上記有彩色画像に対する上記輝度画像の投影時間の長さを制限することを特徴とする。
【0072】
請求項4記載の発明は、カラー画像信号を入力する入力手段と、上記入力手段で入力したカラー画像信号に基づき、無彩色の輝度画像と有彩色画像とを投影する投影手段と、上記投影手段で投影する上記有彩色画像に対する上記輝度画像の投影時間を制御する投影制御手段と、上記入力手段で入力する画像信号に対して、上記投影制御手段で制御された上記投影時間に応じて設定されるパラメータに基いた強さで、画像中の高周波成分を強調する先鋭化処理を施す画像処理手段とを具備したことを特徴とする。
【0073】
請求項5記載の発明は、上記請求項4に記載の発明において、上記画像処理手段は、上記投影手段で投影する上記有彩色画像に対する上記輝度画像の上記投影時間が長くなり、画像が明るくなるにしたがって、上記画像処理手段で使用するパラメータの値を下げ、高周波成分の強調度合を下げることを特徴とする。
【0074】
請求項6記載の発明は、上記請求項4に記載の発明において、上記画像処理手段は、上記投影手段で投影する上記有彩色画像に対する上記輝度画像の投影時間の長さに応じて、上記画像処理手段で使用するパラメータの上限値を制限することを特徴とする。
【0075】
請求項7記載の発明は、上記請求項1乃至6の何れかに記載の発明において、上記投影手段は、複数色の光源を有し、当該複数色の光源を同時点灯させて無彩色の輝度画像用の光源とし、上記投影制御手段は、上記投影手段で投影する上記有彩色画像に対する上記輝度画像の投影時間を制御することを特徴とする。
【0076】
請求項8記載の発明は、カラー画像信号を入力する入力手段と、上記入力手段で入力したカラー画像信号に基づき、無彩色の輝度画像と有彩色画像とを投影する投影手段と、を備えた装置での投影方法であって、上記入力手段で入力する画像信号に対し、設定されたパラメータに従って画像中の高周波成分を強調する先鋭化処理を施す画像処理工程と、上記画像処理工程で使用したパラメータに応じて、上記投影手段で投影する上記有彩色画像に対する上記輝度画像の投影時間を制御する投影制御工程とを有したことを特徴とする。
【0077】
請求項9記載の発明は、カラー画像信号を入力する入力手段と、上記入力手段で入力したカラー画像信号に基づき、無彩色の輝度画像と有彩色画像とを投影する投影手段とを備えた装置での投影方法であって、上記投影手段で投影する上記有彩色画像に対する上記輝度画像の投影時間を制御する投影制御工程と、上記入力手段で入力する画像信号に対して、上記投影制御手段で制御された上記投影時間に応じて設定されるパラメータに基いた強さで、画像中の高周波成分を強調する先鋭化処理を施す画像処理工程とを有したことを特徴とする。
【0078】
請求項10記載の発明は、カラー画像信号を入力する入力部と、上記入力部で入力した画像信号に基づき、無彩色の輝度画像と有彩色画像とを投影する投影部とを備えた装置が内蔵するコンピュータが実行するプログラムであって、上記コンピュータを、上記入力部で入力する画像信号に対し、設定されたパラメータに従って画像中の高周波成分を強調する先鋭化処理を施して投影部に供給する画像処理手段、及び上記画像処理手段で使用するパラメータに応じて、上記投影部で投影する上記有彩色画像に対する上記輝度画像の投影時間を制御する投影制御手段として機能させることを特徴とする。
【0079】
請求項11記載の発明は、カラー画像信号を入力する入力部と、上記入力部で入力した画像信号に基づき、無彩色の輝度画像と有彩色画像とを投影する投影部とを備えた装置が内蔵するコンピュータが実行するプログラムであって、上記コンピュータを、上記投影部で投影する上記有彩色画像に対する上記輝度画像の投影時間を制御する投影制御手段、及び上記入力部で入力する画像信号に対して、上記投影制御手段で制御された上記投影時間に応じて設定されるパラメータに基いた強さで、画像中の高周波成分を強調する先鋭化処理を施す画像処理手段として機能させることを特徴とする。
【符号の説明】
【0080】
10…データプロジェクタ装置、11…入力部、12…超解像処理部、13…投影画像処理部(スケーラ)、14…投影画像駆動部、15…マイクロミラー素子、16…光源部、17…ミラー、18…投影レンズ部、19…緑色レーザダイオード(G−LD)、20…赤色発光ダイオード(R−LED)、21…青色レーザダイオード(B−LD)、22,23…ダイクロイックミラー、24…ミラー、25…投影光駆動部、26…CPU、27…メインメモリ、28…プログラムメモリ、29…操作部、30…音声処理部、31…スピーカ部、SB…システムバス。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カラー画像信号を入力する入力手段と、
上記入力手段で入力したカラー画像信号に基づき、無彩色の輝度画像と有彩色画像とを投影する投影手段と、
上記入力手段で入力する画像信号に対し、設定されたパラメータに従って画像中の高周波成分を強調する先鋭化処理を施す画像処理手段と、
上記画像処理手段で使用するパラメータに応じて上記投影手段で投影する上記有彩色画像に対する上記輝度画像の投影時間を制御する投影制御手段と
を具備したことを特徴とする投影装置。
【請求項2】
上記投影制御手段は、上記画像処理手段で使用するパラメータの値が上がり、高周波成分の強調度合が上がるにつれて、上記有彩色画像に対する上記輝度画像の投影時間を短くすることを特徴とする請求項1に記載の投影装置。
【請求項3】
上記投影制御手段は、上記画像処理手段で使用するパラメータに応じて上記投影手段で投影する上記有彩色画像に対する上記輝度画像の投影時間の長さを制限することを特徴とする請求項1に記載の投影装置。
【請求項4】
カラー画像信号を入力する入力手段と、
上記入力手段で入力したカラー画像信号に基づき、無彩色の輝度画像と有彩色画像とを投影する投影手段と、
上記投影手段で投影する上記有彩色画像に対する上記輝度画像の投影時間を制御する投影制御手段と、
上記入力手段で入力する画像信号に対して、上記投影制御手段で制御された上記投影時間に応じて設定されるパラメータに基いた強さで、画像中の高周波成分を強調する先鋭化処理を施す画像処理手段と
を具備したことを特徴とする投影装置。
【請求項5】
上記画像処理手段は、上記投影手段で投影する上記有彩色画像に対する上記輝度画像の上記投影時間が長くなり、画像が明るくなるにしたがって、上記画像処理手段で使用するパラメータの値を下げ、高周波成分の強調度合を下げることを特徴とする請求項4に記載の投影装置。
【請求項6】
上記画像処理手段は、上記投影手段で投影する上記有彩色画像に対する上記輝度画像の投影時間の長さに応じて、上記画像処理手段で使用するパラメータの上限値を制限することを特徴とする請求項4に記載の投影装置。
【請求項7】
上記投影手段は、複数色の光源を有し、当該複数色の光源を同時点灯させて無彩色の輝度画像用の光源とし、
上記投影制御手段は、上記投影手段で投影する上記有彩色画像に対する上記輝度画像の投影時間を制御する
ことを特徴とする請求項1乃至6の何れかに記載の投影装置。
【請求項8】
カラー画像信号を入力する入力手段と、上記入力手段で入力したカラー画像信号に基づき、無彩色の輝度画像と有彩色画像とを投影する投影手段と、を備えた装置での投影方法であって、
上記入力手段で入力する画像信号に対し、設定されたパラメータに従って画像中の高周波成分を強調する先鋭化処理を施す画像処理工程と、
上記画像処理工程で使用したパラメータに応じて、上記投影手段で投影する上記有彩色画像に対する上記輝度画像の投影時間を制御する投影制御工程と
を有したことを特徴とする投影方法。
【請求項9】
カラー画像信号を入力する入力手段と、上記入力手段で入力したカラー画像信号に基づき、無彩色の輝度画像と有彩色画像とを投影する投影手段と、を備えた装置での投影方法であって、
上記投影手段で投影する上記有彩色画像に対する上記輝度画像の投影時間を制御する投影制御工程と、
上記入力手段で入力する画像信号に対して、上記投影制御手段で制御された上記投影時間に応じて設定されるパラメータに基いた強さで、画像中の高周波成分を強調する先鋭化処理を施す画像処理工程と
を有したことを特徴とする投影方法。
【請求項10】
カラー画像信号を入力する入力部と、上記入力部で入力した画像信号に基づき、無彩色の輝度画像と有彩色画像とを投影する投影部とを備えた装置が内蔵するコンピュータが実行するプログラムであって、
上記コンピュータを、
上記入力部で入力する画像信号に対し、設定されたパラメータに従って画像中の高周波成分を強調する先鋭化処理を施して投影部に供給する画像処理手段、及び
上記画像処理手段で使用するパラメータに応じて、上記投影部で投影する上記有彩色画像に対する上記輝度画像の投影時間を制御する投影制御手段
として機能させることを特徴とするプログラム。
【請求項11】
カラー画像信号を入力する入力部と、上記入力部で入力した画像信号に基づき、無彩色の輝度画像と有彩色画像とを投影する投影部とを備えた装置が内蔵するコンピュータが実行するプログラムであって、
上記コンピュータを、
上記投影部で投影する上記有彩色画像に対する上記輝度画像の投影時間を制御する投影制御手段、及び
上記入力部で入力する画像信号に対して、上記投影制御手段で制御された上記投影時間に応じて設定されるパラメータに基いた強さで、画像中の高周波成分を強調する先鋭化処理を施す画像処理手段
として機能させることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−57717(P2013−57717A)
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−194751(P2011−194751)
【出願日】平成23年9月7日(2011.9.7)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】