説明

投影装置

【課題】ユーザが手に持ったり、身近な机上等に投影装置を置いてその表示画面を投影する際に、投影画像の歪みや明るさのムラなどがなく品位が高い状態での画面の投影を可能とし、投影された画像に対する書き込みを反映できるようにする。
【解決手段】投影部105は、表示部102に表示させた画像を外部の被投影面に投影する。投影角度計算部106は、投影部105の投影光軸と被投影面とがなす投影角度を計算する。投影画像補正部104は、投影角度計算部106が計算した投影角度に基づいて投影部105から投影する投影画像を補正する。書き込み検出部107は、投影部105により投影された投影画像に対する被投影面における書き込みを検出する。そして表示部102は、書き込み検出部107で検出された書き込みを、投影部105により投影した画像に合成して表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、投影装置に関し、より詳細には、表示部に表示させた画像を外部の被投影面に投影する投影部を備えた携帯型の投影装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば近年、携帯書籍端末の登場により様々な書籍が電子化され、利用されている。特に、教科書・参考書などの教育関連書籍を電子化する動きがある。教育関連の書籍については、マーキングや余白部分への書込みがなされる場合があるが、これらの書籍を電子化した場合でも、マーキングや書き込みが再現される必要がある。マーキングや書き込みが可能な携帯書籍端末は既にいくつか登場している。これらの携帯書籍端末の多くでは、タッチパネルを利用して書き込みが行われる。
【0003】
しかしながら、タッチパネルを利用して書き込みを行った場合には、書籍が表示されている画面に対して入力作業が行われるため、入力手段が邪魔になり表示画面が見えない、あるいは入力手段により表示画面が傷つけられる等の問題がある。
例えば特許文献1には、携帯電話等の画像端末装置にプロジェクタ機能を搭載し、プロジェクタ機能によって投影した画面に書き込みが行われた場合、これを画像端末装置で撮影して、書き込みを反映した投影画像を保存できるようにしたものが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−170023号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
例えば教育関連の電子書籍等については、使用者個人が手元に携帯書籍端末を持ち、その携帯書籍端末に対して個別に書き込み可能とすることが求められる。このような場、使用者は携帯書籍端末を手に持って、あるいは机等に置いて、その画面を使用者の手元にある机や用紙などに投影する必要がある。
【0006】
この場合、投影画面の視認性を確保する必要があることから、例えば使用者の視線の邪魔にならないように、携帯書籍端末を斜めに向けて投影を行うことが考えられる。その場合、投影された画面が著しく歪んだり、あるいは場所により明るさの変位が大きくなる、という問題が発生すると考えられる。
また、投影画像に書き込みを行う場合、机上等の被投影面上で書き込みを行うことができれば、表示画面の視認性等の問題が生じず便利である。この場合、被投影面における書き込みを投影画像に対して適切に反映させる必要が生じる。
【0007】
また、上記特許文献1に記載のものは、携帯書籍端末から遠くにあるホワイトボードなどの投影面へ携帯書籍端末の画面を投影する。つまり、多くの人がその画面を一度に見ている状態で、書き込みは例えばその中の代表者のみが行う、という場合のみが考慮されている。
【0008】
本発明は、上述のごとき実情に鑑みてなされたもので、携帯型で表示画像を投影する機能を備えた投影装置において、ユーザが手に持ったり、身近な机上等に投影装置を置いてその表示画面を投影する際に、投影画像の歪みや明るさのムラなどがなく品位が高い状態での画面の投影を可能とし、投影された画像に対する書き込みを反映できるようにした投影装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明の第1の技術手段は、表示部と、該表示部に表示させた画像を外部の被投影面に投影する投影部と、該投影部の投影光軸と被投影面とがなす投影角度を計算する投影角度計算部と、該投影角度計算部が計算した前記投影角度に基づいて前記投影部から投影する投影画像を補正する投影画像補正部と、前記投影部により投影された投影画像に対する被投影面における書き込みを検出する書き込み検出部と、を有し、前記表示部は、前記書き込み検出部で検出された書き込みを、前記投影部により投影した画像に合成して表示することを特徴としたものである。
【0010】
第2の技術手段は、第1の技術手段において、該投影部が、前記投影装置の本体部に対して投影光軸の角度変更が可能に取り付けられ、前記投影角度計算部が、前記本体部の所定の基準面と前記被投影面が平行であると仮定し、前記基準面に対する前記投影装置の投影光軸の角度に基づいて、前記投影角度を計算することを特徴としたものである。
【0011】
第3の技術手段は、第1の技術手段において、前記投影角度計算部が、前記被投影面が水平であると仮定し、前記投影装置の所定の基準面の水平方向に対する傾き角度を検知し、該検知した結果に基づいて前記投影角度を計算することを特徴としたものである。
【0012】
第4の技術手段は、第1〜第3のいずれか1の技術手段において、前記書き込み検出部が、被投影面に投影された画像を撮像し、前記投影部が投影した画像と比較することにより、前記投影部が投影した画像に対する前記被投影面における書き込みを検出することを特徴としたものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、携帯型で表示画像を投影する機能を備えた投影装置において、ユーザが手に持ったり、身近な机上等に投影装置を置いてその表示画面を投影する際に、投影画像の歪みや明るさのムラなどがなく品位が高い状態での画面の投影を可能とし、投影された画像に対する書き込みを反映できるようにした投影装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明による投影装置の一実施形態の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明による投影装置における投影、表示、及び書き込みの検出・合成処理の流れを説明するための図である。
【図3】本発明による投影装置の構成例を説明するための図である。
【図4】本発明による投影装置の他の構成例を説明するための図である。
【図5】本発明による投影装置による画像投影処理の一例を説明するためのフローチャートである。
【図6】投影画像に対する書き込みを検出して、表示画像と投影画像に反映させる状態を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1は、本発明による投影装置の一実施形態の構成を示すブロック図である。投影装置100は、表示部102、操作部103、投影画像補正部104、投影部105、投影角度計算部106、書き込み検出部107、記憶部108、及びこれら各要素の動作を制御部101を有する。
【0016】
記憶部108は、外部に投影するための書籍データ等の各種データや、本投影装置の動作を実行するためのプログラム等を記憶する。また、プログラムを実行するときのワークメモリとして使用するメモリ領域等も含まれる。なお、投影装置100の実施形態では、例えば書籍データ等の投影用データを通信により外部から取得する図示しない通信機能や外部入力機能を備え、これらの機能により取得した書籍データ等の投影用データを記憶部108に記憶させておくことができる。また、記憶部108には、投影用データの投影画像に書き込みが行われ、元の投影用データと合成された画像データを記憶しておくことができる。この場合、書き込みが合成された画像データは、元の投影用画像データに置き換えられたものであってもよく、元の投影用画像データとは別に記憶されるものであってもよい。
【0017】
表示部102は、記憶部108に記憶された書籍データ等の投影用データを表示する。また、書籍データ等の投影用データを投影した投影画面に対して、ユーザが書き込みを行った内容を元の投影用データに合成して表示させることができる。
操作部103は、ユーザによる操作入力を受け付ける。この場合、表示部102と操作部103とによって、表示画面上で操作入力を可能とするタッチパネルを構成させることができる。
【0018】
投影画像補正部104は、表示部102に表示した画面を机上面などの被投影面に投影するために、台形補正等の投影画像の補正を行う。台形補正等の投影画像の補正には、投影角度計算部106による投影角度の計算結果を使用する。
【0019】
投影角度計算部106は、投影部105による投影光軸と、被投影面との角度を計算する。投影角度の計算は、投影装置100と被投影面が一定の関係にあるとの仮定のもとに行う。例えば、投影装置100の本体部に対して、投影部105を角度可変に取り付け、その本体部の所定の基準面が水平方向に保持されるとともに、被投影面も机上面等の水平面であるとする。このとき、本体部の基準面に対する投影部105の角度を検出して、その投影光軸と被投影面との角度を計算する。
あるいは、投影装置100にジャイロセンサを用い、机上面等の水平面に投影するものと仮定して、ジャイロセンサの検出結果に基づいて投影装置100の傾きを検出し、これにより投影部105の投影光軸と投影面との角度を計算する。
【0020】
投影角度計算部106によって、投影光軸と被投影面との角度が計算されると、その計算結果を用いて台形補正が行われる。台形補正の手法については特に限定するものではなく、適宜公知の手法を適用することができる。例えば、投影角度が垂直(投影光軸と被投影面が垂直)である場合を0°とし、0°からの変位角度を±x°とし、x°の値が大きくなるに従って、投影装置100からの距離が遠い方の辺の画像の縮小率を上げる、などの手法を採用することができる。
【0021】
投影部105は、投影画像補正部104で補正された投影画像を外部の被投影面に投影する。外部の投影面としては、例えば、ユーザの近くの机上面や用紙面などとすることができる。また、投影する画像は、投影画像補正部104で補正した表示画像の一部であってもよい。投影部105は、例えば投影画像を生成する表示パネルと、表示パネルを照明するバックライト光源と、投影画像の光路を調整する投影レンズ等の光学要素等から構成することができる。
【0022】
投影部105では、投影角度計算部106によって計算された投影光軸と被投影面との角度に基づいて、投影画面の明るさを補正する。例えば、投影部105から被投影面までの投影距離が長い方の領域では、投影部105における投影画像を明るくする。具体的には、LEDなどを用いたバックライト光源を個別に制御可能に複数設け、被投影面までの投影距離が相対的に長い領域に相当するバックライト光源の発光輝度を増大させるようにする。例えば、2つのバックライト光源を用意し、投影距離が長い方の領域に相当するバックライト光源を高輝度にし、投影距離が短い方の領域に相当するバックライト光源を相対的に低輝度にする制御を行う。これにより、投影角度により生じる投影画像の輝度ムラを改善させることができる。
投影装置100は、上記の投影画像補正部104による台形補正と、投影部105によるバックライト輝度調整とのいずれか一方の機能を備えているものであってもよい。
【0023】
書き込み検出部107は、投影部105により投影された被投影面上の投影画像に対して、ユーザにより書き込みが行われたとき、その書き込みの内容を検出するものである。検出した書き込みの内容は、表示部102に表示した投影用データの画面に合成されて表示される。また、合成された表示画面は、投影部105によって投影画像として投影される。
【0024】
書き込み検出部107の構成の一例としては、撮像装置を使用して、被投影面の投影画像を撮像してユーザによる書き込みを検出し、書き込みが行われた投影画像を取得して表示部102に表示させる。この場合、書き込み検出部107は、書き込み前の当初の投影画像を撮像装置によって撮像して記憶しておき、書き込みが行われた投影画像と比較して書き込み内容を抽出する。そして、書き込み検出部107が抽出した内容は、表示部102に表示している画像に合成して表示する。また、合成された画像は、投影部105によって投影画像として投影される。
【0025】
また、他の例では、書き込み検出部107は、撮像装置により撮像した被投影面の投影画像から、ユーザにより書き込まれた画像を上記と同様の処理によって検出し、この書き込まれた画像に対してOCR(Optical Character Reader)処理を行ってテキストデータに変換する。そして、このテキストデータを表示部102に表示させる投影用データの画像に合成して表示させる。また、合成された画像を、投影部105によって投影画像として投影させる。
【0026】
書き込み検出部107の構成の他の例では、書き込み検出部107は、被投影面の投影画像における所定の手段を用いた動きを検知して、その検知結果を読み取るようにすることができる。所定の手段を用いた動きとして、例えば、投影画像に対してペン等により書き込みを行ったときのペンの動きを想定することができる。
【0027】
この場合、例えば、公知のBluetoothペンを使用して書き込まれた内容を読み込むことができる。Bluetoothはデジタル機器用の近距離無線通信規格の1つであり、Bluetoothペンは、ユーザに使用されるペンの軌跡を記憶して、上記規格に基づく無線通信を用いてデータを送信するものである。ペンの軌跡の記憶方法としては、例えばデジタルペンで専用のデジタルペーパーに文字や絵を描くことにより、その軌跡がデジタルデータとして記憶することができる。記憶した軌跡データは、Bluetooth経由で投影装置に送信させることができる。あるいは、複数の超音波センサを用いた機器によりペンの軌跡を割り出し、その機器からBluetooth経由で投影装置に送信させるようにすることができる。
これらのペンの軌跡データ送信のタイミングとしては、ペンや機器などに設けられた所定のボタンなどをユーザが操作したときとすることができる。あるいは、一定間隔でペンや機器から軌跡のデータを投影装置に送信するようにしてもよい。
【0028】
図2は、本発明による投影装置における投影、表示、及び書き込みの検出・合成処理の流れを説明するための図である。図1の構成を一部参照しながら説明する。
投影用データ記憶部112及び書き込みデータ記憶部111は、図1の記憶部108に設けられている。投影用データ記憶部112に記憶された投影用画像データは、通信機能や外部入力機能等により取得して記憶させておいたもので、まず、図1の制御部101の機能である投影用データ解析部101aによって投影用データを解析する。投影用データ解析部101aは、投影用データ記憶部112に記憶されている投影用画像データを表示部102に表示させ、投影部105で投影できる状態にして出力する。つまり形式的なデータを読み込んで、データに付けられた条件やルールに従って適切な形に表現し直す。
投影用データ解析部101aで解析された投影用画像データは、表示部102で表示させるとともに、投影部105から投影させる。このときに、投影部105は、図1の投影角度計算部106で計算された投影角度に基づき投影画像補正部104で補正された画像を投影する。
【0029】
書き込み検出部107は、投影部105により被投影面に投影された投影画像110の書き込みを検出し、書き込みデータを生成する。例えば、書き込み前の当初の投影画像と、書き込みが行われた画像とを比較して書き込み内容を抽出したり、書き込まれた画像に対してOCR処理を行ってテキストデータに変換したり、あるいは、被投影面の投影画像におけるペン等の所定の手段の動きを検知してその結果を読み取るような処理を行って、書き込みデータを生成する。書き込みデータは、書き込みデータ記憶部111に記憶される。書き込みデータは、投影画像110に対してユーザが書き込みを行った内容を示すデータである。
【0030】
制御部101は、書き込みデータを元の投影用データと合成する処理を行う。書き込みが合成された投影用データは、投影用データ解析部101aで解析されて、表示部102に表示され、投影部105にて投影される。書き込みが合成された投影用データは、投影用データ記憶部112に記憶する。この場合、書き込みが合成された投影用データを元の投影用データに置き換えて記憶してもよく、書き込みが合成された投影用データを元の投影用データとは別に記憶するものであってもよい。
【0031】
図3は、本発明による投影装置の構成例を説明するための図である。
投影装置100は、投影部105によって机上等の被投影面200に書籍データなどの画像を投影することができる。投影部105は、ヒンジ部110等の構造によって本体部100aに対して角度可変に取り付けられ、ユーザが本体部100aを手で持ったり、机上に置いたりした状態で、適宜投影部105による画像の投影方向を調整することができる。
【0032】
投影装置100の投影角度計算部106(図3では図示せず)は、携帯書籍端末100と投影面とが一定の関係にあるものとの仮定のもとに投影角度を計算する。図3の例では、投影装置100の本体部100aの所定の基準面112が水平方向に保持されるとともに、被投影面200も机上面等の水平面であると仮定する。そして、投影角度計算部106は、ヒンジ部110における投影部105の角度を検出し、その検出結果に基づいて、投影部105の投影光軸111と被投影面200との角度(投影角度)を算出する。
【0033】
投影光軸111と被投影面200との角度が検出されると、投影画像補正部104(図1)は、検出された角度により投影画像の台形補正を行って歪みを正す。また、投影部105は、バックライト光源の輝度を補正して投影画像の明るさを均一にする。
そして被投影面200に投影した投影画像に対してユーザが書き込みを行うと、書き込み検出部107(図1)は、投影画像の撮像、あるいはbluetoothペンなどによる軌跡データの受信等の手段によってユーザの書き込み内容を検出する。ここでは投影画像を撮像して書き込み内容を検出する場合には、投影画像を撮像するための撮像装置を投影部105と一体的に設け、撮像装置を投影部105とともに本体部110aに対して角度可変に取り付ける。また、ペンの軌跡データを受信する場合には、そのペンの通信方式に対応して例えばbluetooth等による通信が可能な受信装置を適宜本体部110aに設ける。
【0034】
書き込み検出部107が検出した書き込み内容は、表示部102に表示させた書籍データ等に合成して表示される。また、合成された画像は、投影部105により投影される。これにより投影装置100をユーザが手元に持った状態で、あるいは机に置いた状態で画面の投影を行ったとしても、歪みや明るさの変位の無い状態での画面投影が可能となり、投影された画像に対する書き込みを反映して表示及び投影させることができる。投影画像は、投影画像補正部104で台形補正された画像で、投影部105にて投影光の輝度が調整された画像である。
【0035】
図4は、本発明による投影装置の他の構成例を説明するための図である。
投影装置100は、投影部105によって机上等の被投影面200に書籍データなどの映像を投影することができるが、本例の投影装置100は、図2の例と異なり、投影部105は本体部100aに対して固定されている。投影部105による画像の投影方向(投影角度)は、ユーザが本体部100aを傾けることによって調整する。
【0036】
投影装置100の投影角度計算部106(図4では図示せず)は、投影装置100と被投影面200とが一定の関係にあるものとの仮定のもとに行う。図3の例では、被投影面200は机上面等の水平面であると仮定する。そして、投影角度計算部106には、例えばジャイロセンサを設け、ジャイロセンサによって本体部110aの基準面112の水平方向に対する傾き角度を検出し、その検出結果に基づいて、投影部105の投影光軸111と被投影面200との角度(投影角度)を算出する。
【0037】
投影光軸111と被投影面200との角度が検出されると、投影画像補正部104(図1)により投影画像の台形補正を行って歪みを正すとともに、投影部105のバックライト光源の輝度を補正して投影画像の明るさを均一にする。そして、上記と同様に、被投影面200に投影した投影画像に対してユーザが書き込みを行うと、書き込み検出部107(図1)がユーザの書き込み内容を検出し、表示部102の表示画像に合成して表示させる。書き込み検出部107には、投影部105近傍に設けた撮像装置か、あるいは本体部110aに適宜設けたペンの軌跡データを受信する受信装置が用いられる。これにより投影装置100をユーザが手元に持った状態で、あるいは机に置いた状態で画面の投影を行ったとしても、歪みや明るさの変位の無い状態での画面投影が可能となる。
【0038】
図5は、本発明による投影装置による画像投影処理の一例を説明するためのフローチャートである。以下、図1の構成を参照しながら説明する。
投影装置100は、表示部102に表示させた書籍データ等の画像を机上面等に投影させ、その投影画像に書き込みを行うとその書き込みを反映させた表示・投影が行われる。この場合まず、投影装置100は、投影角度計算部106によって投影角度を計算する(ステップS1)。投影角度は、投影部105による投影光軸と被投影面とがなす角度である。
【0039】
制御部101は、投影角度計算部106による計算結果に基づいて、投影角度が変更されたか否かを判別する(ステップS2)。ここでは制御部101は、投影角度計算部106が前回計算した投影角度と、今回計算した投影角度とを比較し、これらに変化があれば投影角度が変更されたものと判断する。投影角度の計算間隔は所定の間隔を予め定めておくことができる。また、図2の構成でヒンジ部110の角度が変更されたとき、あるいは図3の構成でジャイロセンサが傾きの変化を検出したときに、投影角度が変更されたことを計算するようにしてもよい。
【0040】
投影角度が変更されていたと判断された場合、投影画像補正部102は、投影角度計算部106で計算した投影角度に基づいて、投影画像の補正を再計算する(ステップS3)。つまり、投影角度の傾きにより生じる台形の補正処理を再計算する。そして、再計算した結果に従って、投影画像を補正する(ステップS4)。一方、ステップS2で投影角度が変更されていなければ、補正の再計算を行うことなく、これまでの補正計算に基づいて投影画像を補正する(ステップS4)。
【0041】
そして、書き込み検出部107は、被投影面における投影画像に対する書き込みを検出し(ステップS5)、投影画像に対する書き込みが行われたか否かを判別する(ステップS6)。投影画像に対する書き込みの有無の判別は、撮像手段による投影画像の撮像や、bluetoothペン等の軌跡データの取得等に基づいて行うものとする。そして投影画像に対する書込みが行われていた場合には(ステップS6−Yes)、投影画像に対する書き込み内容を抽出する(ステップS7)。制御部101は、書き込み内容を反映した表示及び投影を行う。つまり、抽出した書き込み内容を表示画像に合成して、表示部102に表示させるとともに、投影画像を生成して投影部105によって投影させる(ステップS8)。この後、ステップS1に戻り、投影角度の計算を行って、表示及び投影を行う。また、ステップS6で書き込みが行われていない場合にも、ステップS1に戻り投影角度の計算を行う。
【0042】
図6は、投影画像に対する書き込みを検出して、表示画像と投影画像に反映させる状態を説明する図である。図1のブロックを参照しながら説明する。
図6(A)に示すように、投影装置100は、記憶部108に記憶している投影用データを表示部102に表示させる。そして投影部105によって被投影面に投影画像201を投影することができる。表示部102に表示させている画像と、投影画像201とは同じ画像である。投影画像201は、投影部105の投影光軸と被投影面とのなす角度が垂直でなくても、台形補正がなされ、また明るさの補正がなされている。
【0043】
図6(B)に示すように、投影画像201が投影されている被投影面上で、ユーザは投影画像200に対する書き込みを行うことができる。ここでは書き込み検出部107の構成が撮像装置を使用したものであるときは、書き込み検出部107の撮像装置の撮像画像に基づいてペン202の動きを検出し、書き込みデータを得る。また、書き込み検出部107が、Blootoothペン等による軌跡データを用いるものであるときは、ユーザによるペン202の軌跡データを取得して、その軌跡データに基づき書き込みデータを得る。図6(B)の例では、投影用データに基づく投影画像201に対して“重要!!↓”との書き込みがなされたものとする。
【0044】
図6(C)に示すように、検出された書き込みデータは投影用画像データと合成され、表示部102に表示される。そして、表示部102に表示された合成画像は、投影部105により投影される。これにより、投影画像201に対してユーザが任意に書き込んだ書き込みが表示部102の表示画面に反映されるとともに、投影画像201にも反映される。
【符号の説明】
【0045】
100…投影装置、100a…本体部、101…制御部、102…表示部、103…操作部、104…投影画像補正部、105…投影部、106…投影角度計算部、107…検出部、108…記憶部、110…ヒンジ部、110a…本体部、111…投影光軸、112…基準面、200…被投影面、201…投影画像、202…ペン。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示部と、
該表示部に表示させた画像を外部の被投影面に投影する投影部と、
該投影部の投影光軸と被投影面とがなす投影角度を計算する投影角度計算部と、
該投影角度計算部が計算した前記投影角度に基づいて前記投影部から投影する投影画像を補正する投影画像補正部と、
前記投影部により投影された投影画像に対する被投影面における書き込みを検出する書き込み検出部と、を有し、
前記表示部は、前記書き込み検出部で検出された書き込みを、前記投影部により投影した画像に合成して表示することを特徴とする投影装置。
【請求項2】
請求項1に記載の投影装置において、
前記投影部は、前記投影装置の本体部に対して投影光軸の角度変更が可能に取り付けられ、
前記投影角度計算部は、前記本体部の所定の基準面と前記被投影面が平行であると仮定し、前記基準面に対する前記投影装置の投影光軸の角度に基づいて、前記投影角度を計算することを特徴とする投影装置。
【請求項3】
請求項1に記載の投影装置において、
前記投影角度計算部は、前記被投影面が水平であると仮定し、前記投影装置の所定の基準面の水平方向に対する傾き角度を検知し、該検知した結果に基づいて前記投影角度を計算することを特徴とする投影装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1に記載の投影装置において、
前記書き込み検出部は、被投影面に投影された投影画像を撮像し、前記投影部が投影した投影画像と比較することにより、前記投影部が投影した画像に対する前記被投影面における書き込みを検出することを特徴とする投影装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−70218(P2013−70218A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−207131(P2011−207131)
【出願日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】