説明

投票券発売払戻装置およびその現金管理方法

【課題】操作が簡便かつ迅速で、つり銭に関する利便性が改善された投票券発売払戻装置およびその現金管理方法を提供することを目的とする。
【解決手段】ネットワークを介してホスト装置と投票券発売払戻装置とが接続された投票券発売払戻システムによる現金管理方法であって、電子マネーの残額を読取ること、入力された投票内容を取得すること、前記電子マネーの残額により前記投票内容が決済可能か否か判断すること、前記判断の結果、残額が不足する場合には、入金を要求すること、貨幣の入金を確認すること、前記電子マネーの残額および前記入金された貨幣により、入力された前記投票内容が決済可能であり、かつ前記ホスト装置からの許可がある場合に投票券を作成すること、作成した前記投票券の代金に対してつり銭が生じた場合に、前記つり銭を電子マネーと貨幣とに振分けること、により上記課題の解決を図る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、投票券発売払戻装置およびその現金管理方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
競馬/競輪/競艇/オートレースの投票券を発売する端末において投票券の発券を行なう場合には、例えば、投票の内容を示すデータを有する投票カードを読み取り、読み取った投票カードに基づいて投票券を発券する方法がある。料金の精算は、端末に紙幣または硬貨を投入し、つり銭がある場合には、紙幣または硬貨で排出することにより行なわれる(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、投票カードの読み取りを行い、発券時の精算を行うに当たって、同一の端末で的中券を読み取り、投票券の購入金額の少なくとも一部を的中券の払戻金額で充当する投票券の自動払戻発券処理を行なうようにした装置も開示されている(例えば、特許文献2参照)。
【0004】
また、投票の内容を示すデータを携帯情報端末等の携帯端末で入力し、投票券の発券後、つり銭が生じた場合には、携帯端末に残金を電子マネーとして書き込んで精算を行なう例もある(例えば、特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平07−28908号公報
【特許文献2】特開平11−149508号公報
【特許文献3】特開2006−53625号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、例えば特許文献1または特許文献2のような、現金で投票券の購入および払戻を行なう装置では、つり銭や払戻金に千円未満の端数があると、小銭の出し入れや収納に手間や時間がかかるという問題がある。
【0007】
一方、特許文献3に記載の装置のように携帯端末に書き込まれた電子マネーで投票券を購入する場合、また別の問題がある。一般的に、携帯端末を用いて物品の購入を行う際には、購入する物と購入金額が確定した後、最後に携帯端末をかざして精算する手段を用いている。ところが、投票券を購入する際には、はじめに支払額が確保できることを確認しなければならない。なぜなら、投票の内容を示すデータを読み取って先に投票券を発券すると、発券装置から投票状況を集計するホスト装置に発券データが送信されホスト装置で投票集計されることにより、精算前にオッズが上がったり下がったりするためである。投票券を発券した後に精算ができなくなった場合や、意図しない投票券が発券された場合には投票券を無効にするが、このときすでに発券データがホスト装置で集計されてオッズに影響を与えているため、混乱が生ずることが問題となる。
【0008】
そこで、投票券を購入する際に初めに支払額が確保できることを確認する。すなわち、携帯端末を初めにかざして携帯端末内の残金を確認したのち、入力された投票内容に応じて発行する投票券の金額が携帯端末内の金額以内の場合、投票券を発券し一時保留部に一旦収納する。携帯端末を再度かざして投票金額の精算後、投票券を放出する。次の投票カードを読み取る際には、携帯端末の残金の確認から精算までの処理を繰り返し、投票券を出口に放出する。
【0009】
しかし、この方法だと投票カードを読取る毎に携帯端末による精算処理が発生し、投票券の発行に時間がかかる。また、残高が不足する場合に、例えば的中券による払戻金や、現金の投入により不足分を補うことが考えられる。しかし、携帯端末に最終精算を行うときに、携帯端末に入金可能な上限以上につり銭が生じた場合、入金上限以上の金額は紙幣または硬貨により放出することになり、意に反して小銭を扱わなければならずわずらわしいという問題は解決しないことになる。
【0010】
上記課題に鑑み、本発明は、発券および払戻時の操作が簡便かつ迅速で、つり銭の扱いに関するわずらわしさを軽減することが可能な投票券発売払戻装置およびその現金管理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、本発明は、ネットワークを介してホスト装置と接続された投票券発売払戻装置であって、電子マネーの読取および書込を行う電子マネー読取書込部と、投票内容が入力される投票内容入力部と、硬貨および紙幣の入出金を行う貨幣管理部と、前記電子マネー読取書込部により読取られた電子マネーの残額、前記貨幣管理部により入金された貨幣、および前記投票内容入力部により入力された投票内容に応じて現金を管理する現金管理部と、前記投票内容の投票券の代金が前記電子マネーの残額および前記入金された貨幣により決済可能である場合に、前記投票内容を前記ホスト装置に送信する投票内容通知部と、前記投票内容通知部が前記ホスト装置から発券許可を受信すると投票券を作成し放出する投票券発行部と、を有し、前記現金管理部は、作成した前記投票券の代金と前記電子マネーの残額および前記入金された貨幣とを比較して、つり銭が生じる場合に、前記つり銭を前記電子マネーと前記貨幣とに振分け、前記電子マネー読取書込部および前記貨幣管理部は、前記現金管理部の振分けに応じた所定の金額を返却することを特徴としている。
【0012】
また、別の観点による本発明は、ネットワークを介してホスト装置と投票券発売払戻装置とが接続された投票券発売払戻システムによる現金管理方法であって、電子マネーの残額を読取ること、入力された投票内容を取得すること、前記電子マネーの残額により前記投票内容が決済可能か否か判断すること、前記判断の結果、残額が不足する場合には、入金を要求すること、貨幣の入金を確認すること、前記電子マネーの残額および前記入金された貨幣により、入力された前記投票内容が決済可能であり、かつ前記ホスト装置からの許可がある場合に投票券を作成すること、作成した前記投票券の代金に対してつり銭が生じた場合に、前記つり銭を電子マネーと貨幣とに振分けること、前記振分けに応じた金額の返却を行うこと、を特徴としている。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、操作が簡便かつ迅速で、小銭の扱いに手間がかからない投票券発売払戻装置およびその現金管理方法を提供することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施の形態による投票券発売払戻システムを示す概略図である。
【図2】本発明の一実施の形態による投票券発売払戻装置を示すブロック図である。
【図3】本発明の一実施の形態による発券処理を示すフローチャートである。
【図4】本発明の一実施の形態による発券処理を示すフローチャートである。
【図5】本発明の一実施の形態による発券処理を示すフローチャートである。
【図6】本発明の一実施の形態による現金振分処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照しながら、本発明の一実施の形態による投票券発売払戻装置およびその現金管理方法について説明する。まず、図1、図2を参照しながら、本発明の一実施の形態による投票券発売払戻システム1の構成について説明する。
【0016】
図1は、本発明の一実施の形態による投票券発売払戻システム1の概略図である。本実施の形態による投票券発売払戻システム(以下、単に発券払戻システムという)1は、ホスト装置3と、ホスト装置3とネットワーク10によって接続された端末装置11を有している。
【0017】
図1に示すように、ホスト装置3は、制御装置5を有するコンピュータである。制御装置5は、例えば、投票金額の集計を行う投票金額集計部7および払戻金額の計算を行う払戻金額計算部9の機能を有する。また、図示はしていないが、過去の払戻金額に関するデータなどを格納する記憶装置を有している。端末装置11は、制御部13により制御される投票券発売払戻装置(以下、発券払戻装置という)である。制御部13は、投票内容をホスト装置3に通知する投票内容通知部15、的中券が読取られた際に、ホスト装置3が計算した払戻金額に基づき的中金額を払い戻す的中金額払戻部17としての機能を有する。
【0018】
図2は、端末装置11の機能の概略を示すブロック図である。図2に示すように、端末装置11は、紙幣鑑別部21、硬貨鑑別部23、投票カード読取部25、携帯端末読取/書込部27、投票券発行部29、券読取部31、ファン側画面部33、オペレータ側画面部35等を有し、制御部13により制御される。外部インタフェース40は、制御部13に接続され、端末装置11の外部に配置されている。
【0019】
紙幣鑑別部21は、紙幣の入出金を行う機能を有するとともに、入金された紙幣の真贋、金種、数量などを判別する判別装置である。硬貨鑑別部23は、硬貨の入出金を行う機能を有するとともに、入金された硬貨の真贋、金種、数量などを判別する判別装置である。投票カード読取部25は、投票内容が記載された投票マークカード(以下、単に投票カードという)を読み取り、投票内容を取得する読取装置である。携帯端末読取/書込部27は、携帯端末を近接させて配置することにより、携帯端末に内蔵された回路と通信を行い、電子マネーの残高などのデータの授受、入金および出金を行う装置である。
【0020】
投票券発行部29は、ホスト装置3から発券の許可が通知されると、投票券を作成し、一時保留部(図示せず)に収納し、代金の精算とともに排出する装置である。ファン側画面部33は、端末装置11を利用するユーザに、操作方法の指示や、読取った投票内容、計算した払戻金額などの表示を行う画面である。ファン側画面部33上に、精算を指示するための精算指示装置を、タッチパネルなどとともに表示させるようにしてもよい。オペレータ側画面部35は、端末装置11を監視するオペレータが動作を確認したり指示を与えたりするための画面部である。外部インタフェース40は、ホスト装置3と通信を行うためのインタフェースである。
【0021】
制御部13は、端末装置11の動作を制御する。例えば、図1に示す投票内容通知部15、的中金額払戻部17として機能する以外に、図2に示す現金管理部19としても機能する。現金管理部19は、紙幣鑑別部21、硬貨鑑別部23および携帯端末読取/書込部27および券読取部31により読取られた金額を管理するとともに、投票券発行時に生ずるつり銭や払い戻す的中金を、電子マネーと現金とに振分ける。また、図2に示す各部の動作を制御する。
【0022】
次に、図3〜図6を参照しながら、本実施の形態による発券払戻システム1の動作について詳細に説明する。図3〜図5は、本実施の形態に係る発券払戻システム1による発券処理の動作を示すフローチャートである。ここでは電子マネーの一例として、入出金が可能な携帯端末(図示せず)を例にして説明する。また、投票内容の入力は、投票カード(図示せず)により行うものとする。なお、各フローチャートは、動作の主体となる、投票券の購入および払戻を行うファン、端末装置11、ホスト装置3に分けて記載している。また、本実施の形態においては、発券処理により生ずるつり銭が、携帯端末の入金上限以上である場合を例にして説明する。ここでは、例えば、携帯端末の入金上限を20、000円とする。
【0023】
図3に示すように、本実施の形態による端末装置11は、アイドル時に、紙幣/硬貨/携帯端末/投票券の挿入口がオープンしている(S101)。端末装置11では、携帯端末読取/書込部27が携帯端末のタッチの有無を監視している(S102:No)。ここで、「タッチ」とは、電子マネーの読取または書込のために所定の位置に携帯端末を配置、かざし、または接触させ、データの授受を行うことをいう。ユーザが携帯端末を携帯端末読取/書込部27の所定場所にタッチされたことが認識されると(S103)、処理はS102のYesでS104に進む。S104では、携帯端末読取/書込部27が携帯端末の残高があるか否かを判別する。残高が確認できない場合には、残高が確認できない旨をファン側画面部33に表示し、ステップ102に戻る。
【0024】
携帯端末に残高がある場合には(S104:Yes)、制御部13は、現金管理部19に残高を携帯残高データとして保存する(S105)。ここでは、残高は15、000円であるとする。携帯端末の残高15、000円を制御部13の現金管理部19に携帯残高データとして保存すると、投票カードの挿入を許可する(S106)。挿入の許可は、例えばファン側画面部33に、対応する指示を表示して行うようにしてもよいし、投票カード読取部25の図示せぬシャッタをオープンにする等して示してもよい。
【0025】
ファンが投票カードを投票カード読取部25に挿入し(S107)、挿入が判別されると(S106:Yes)、投票カード読取部25は投票カードの読取を開始する。ここでは、2枚の投票カードが同時に挿入された場合について説明する。1枚目の投票カードの投票内容が10、000円分の発券データであると読取られた場合(S108)、制御部13は、現金管理部19に携帯残高データとして保存された携帯端末の残高(15、000円)から10、000円を引き、携帯残高データを5、000円と更新する(S109)。その後、端末装置11は、制御部13の制御により外部インタフェース40を介してホスト装置3と通信を行い、読取った発券データを通知する(S110)。ホスト装置3は、発券データを適正に受信した否か判断する(S111)。ホスト装置3は、発券データを適正に受信すると、端末装置11に投票券の発券許可を通知し、適正に受信されない場合には、エラーデータを送信する(S111)。
【0026】
ホスト装置3から発券許可がない場合(S110:No)、端末装置11はファン側画面部33にエラー表示を行い(S114)、挿入された投票カードを返却し(S115)、処理を終了する。ホスト装置3から発券許可があると(S110:Yes)、投票券発行部29は、投票券を作成し、ここでは出口に放出せずに一時保留部(図示せず)に収納する(S112)。
【0027】
続いて、投票カード読取部25は、2枚目の投票カードを読取り、2枚目の投票カードの投票内容が21、500円分の発券データであると認識する(S113)。図4のフローチャートに進み、制御部13は、現金管理部19の携帯残高データの金額が、読取った発券データの金額以上か否か判別する(S201)。携帯残高データの金額が、発券データの金額以上であれば(S201:Yes)、S205に進む。今、保存された携帯残高データの金額は5000円分であるので、制御部13は、残高不足のため追加入金を促す。これは、例えば、ファン側画面部33に対応する表示を行うことで実行することができる。ここで制御部13は、ファンの選択肢として、読取られた投票カードのキャンセルを提案するようにしてもよい。
【0028】
制御部13は、追加入金があるか否か繰り返し判別を行う(S202のNo)。ファンが、紙幣鑑別部21の紙幣投入口(図示せず)から紙幣を投入すると(S203)、紙幣鑑別部21は、紙幣を30、000円と鑑別する。制御部13は、追加入金を認識すると(S202:Yes)、現金管理部19の携帯残高データの金額に30、000円の入金を加え、合算データとして現在の合算残高35、000円を保存する(S204)。さらに、制御部13は、現金管理部19の合算データの金額から発券データの金額を差し引き、合算データを13、500円と更新する(S205)。
【0029】
その後、端末装置11は、制御部13の制御により外部インタフェース40を介してホスト装置3と通信を行い、読取った発券データを通知する(S206)。ホスト装置3は、発券データを適正に受信した否か判断する(S207)。ホスト装置3は、発券データを適正に受信すると、端末装置11に投票券の発券許可を通知し、適正に受信されない場合には、エラーデータを送信する(S207)。
【0030】
ホスト装置3から発券許可がない場合(S206:No)、端末装置11はファン側画面部33にエラー表示を行い(S212)、挿入された投票カードを返却し(S213)、処理を終了する。ホスト装置3から発券許可があると(S206:Yes)、投票券発行部29は、投票券を作成し、ここでは出口に放出せずに一時保留部に収納する(S208)。
【0031】
投入された2枚の投票カードの読み込みが終了したので、制御部13は、精算ボタン(図示せず)の押下があるか否かを繰り返し監視する(S209:No)。精算ボタンが押下されると(S209:Yes)、現金管理部19は、合算データの金額を最終残高として確認し、最終残高のつり銭を電子マネーと現金とに振分ける(S211)。ここでは、携帯端末に4500円を入金し、紙幣で9000円を返却する。つり銭の振分けの詳細については、後述する。
【0032】
つり銭の振分けが完了すると、図5のフローチャートに進み、制御部13は、携帯端末による入金処理操作があるか否か繰り返し監視する(S300:No)。入金処理操作とは、ここでは精算のために携帯端末を所定の位置に配置、かざし、または接触させることである。一定時間処理操作がない場合には、一時保留部の投票券を放出せずに所定場所に取り込んで無効処理し、30000円分の紙幣を放出し(S302)、処理を終了する。
【0033】
携帯端末がタッチされると(S301)、制御部13は、携帯による入金処理操作ありと認識し(S300:Yes)、携帯端末読取/書込部27は、携帯端末への入金分を書き込むことにより入金する(S303)。さらにつり銭が残っているか否かを判別する(S304)。つり銭がない場合には、S306に進み、本実施の形態の場合には図示せぬ出口部から投票券を2枚放出し、抜き取られたか否かを判別する。一定時間投票券が抜き取られない場合には(S306:No)、投票券を端末装置11内部に取り込み(S310)、処理を終了する。投票券が抜き取られると(S309)、制御部13は抜き取りを認識し(S306:Yes)、処理を終了する。
【0034】
S304でつり銭がある場合には、振分けられた紙幣(ここでは紙幣9枚)を図示せぬ紙幣返却口から放出し、抜き取りが完了するか否か判別する(S305)。一定時間紙幣が抜き取られない場合には(S305:No)、紙幣を端末装置11内部の保守側に取り込み(S308)、事故金(客が取り忘れ)として処理し、発券処理を終了する。
【0035】
紙幣が抜き取られると(S307)、制御部13は抜き取りを認識し(S305:Yes)、処理を終了する。なお、つり銭がある場合には、紙幣の放出と投票券の放出は平行して行われることが好ましい。さらに、硬貨のつり銭がある場合にも、紙幣および投票券の放出と平行して行なわれることが好ましい。
【0036】
なお、S302、S308、S310において、同時に、制御部13はホスト装置3に、投票カード読取部25で読取った2枚分の投票データを無効にするように通知し、ホスト装置3は、投票金額集計部7における計算のし直しなど、無効の処理を行う。
【0037】
ここで、図6を参照しながらつり銭の振分け方法の詳細について説明する。図6は、端末装置11による図4のS211の現金振分処理を示すフローチャートである。なお、本実施の形態においては、流通している紙幣が1000円以上であり、硬貨は1000円未満の金額に対して用いられることを想定しているため、1000円未満の端数があるか否かを判別条件として用いている。しかし、ドルやユーロなど別な通貨を用いる場合には、当該通貨において流通している紙幣の最低金額を判別条件に用いることは自明である。
【0038】
まず、携帯端末の入金可能金額を算出する。入金可能金額は、入金可能上限金額から初期残高を減じた額である、ここでは、上述のように入金可能上限金額は20、000円であり、初期残高は15、000円であったので、入金可能金額は、5、000円である(S401)。次に、現金管理部19は、最終残高が1000円以上であるか否かを判別する(S402)。
【0039】
本実施の形態において採用した例においては、上述のように最終残高は13、500円であるが、仮に最終残高が1000円未満の場合には、現金管理部19は、入金可能金額が最終残高以上であるか否かを判別する(S407)。入金可能金額が最終残高以上の場合には(S407:Yes)、最終残高を携帯端末への入金額と特定し(S408)、処理を終了してS300に戻る。入金可能金額が最終残高未満の場合には(S407:No)、入金可能な残高を携帯端末への入金額と特定し、超過分を硬貨での返却分とする(S409)。
【0040】
本実施の形態において採用した例のように、最終残高が1000円以上の場合には(S402:Yes)、最終残高に1000円未満の端数があるか否か判別する(S403)。1000円未満の端数がある場合には、最終残高を1000円以上分と、1000円未満分とに振分ける(S403:Yes)。1000円未満分が入金可能金額以下か否かを判別し、入金可能金額以下の場合には(S410:Yes)、携帯端末への入金とする(S412)。1000円未満分が、入金可能金額を超えている場合には(S410:No)、入金可能な残高を携帯端末への入金額と特定し、超過分を硬貨での返却分とする(S411)。
【0041】
S403に戻って、最終残高のうち残った1000円以上分(1000円の倍数のつり銭)の振分けについて説明する。まず、現金管理部19は、入金可能金額から、1000円未満分の金額を差し引いた額を算出し、入金可能額として更新する(S404)。ただしこのとき、さらに1000円未満の端数が出ないように、入金可能金額の1000円未満は切捨てとする。続いて、現金管理部19は、最終残高のうちの1000円以上分(以下、単に1000円以上分という)が入金可能額を超えているか否かを判別し、超えている場合には(S405:Yes)、超過分を紙幣としての返却分とし(S406)、入金可能額分は、携帯端末への入金分とし(S412)、図5のS300に戻る。入金可能額を超えていない場合は、現金管理部19は、1000円以上分を全て携帯端末への入金額とする(S412)。
【0042】
具体的には、合算データの金額として13、500円のつり銭があり、入金可能額が5、000円である場合、1000円未満分の500円についてS403、S410と処理を進めて、S412で携帯端末への入金額とする。このとき、最終残高は13、000円と更新される。ここで、携帯端末の入金可能額を算出する。まずS404で、入金可能額から1000円未満分を差し引き、差し引いた金額からさらに1000円未満を切り捨てて(5000円―500円=4500円→4000円)、入金可能額を4000円と更新する。現在の最終残高の13000円は、この入金可能額を超えているので、この入金可能額4000円は、S412で携帯端末への入金額とする。このとき、最終残高のうち振分けていない残高は、入金可能金額超過分13000円−4000円=9000円となる。この9000円は、紙幣として放出する額とする(S406)。
【0043】
なお、つり銭の振分け方法としては、例えばファン側画面部33に、ファンが振分け方法を選択できるように表示を行い、制御部13でファンの選択を検出することにより、指定した金額を携帯端末に入金するなど、振分け方法を指定するようにしてもよい。
【0044】
ここで、端末装置11により投票券の払戻を行う際の処理について説明する。ファンが、端末装置11の券読取部31に投票券を挿入すると、券読取部31は、挿入された投票券の投票内容を読取る。的中金額払戻部17は、読取った投票内容を外部インタフェース40を介してホスト装置3に送信する。ホスト装置3は、送信されたデータを確認し、的中券のデータであると確認できれば払戻金額計算部9で払戻金額を計算し、端末装置11に送信する。確認できなければエラー信号を送信し、端末装置11は処理を終了する。
【0045】
払戻金額を受信すると、的中金額払戻部17は、受信した払戻金額を、現金管理部19により振分ける。このとき振分ける動作は、上記の発券動作と同様であるので詳細は省略する。
【0046】
以上説明したように、本実施の形態による投票券発売払戻装置によれば、ファンが携帯端末を携帯端末読取/書込部27の所定位置に配置、かざし、または接触することにより、現金管理部19は携帯端末の残高をまず確認し、残高データとして保存する。次に、投票カード読取部25は、投票カードを読取ることによって投票内容を取得する。制御部13は、投票内容の発券データの金額が残高データの金額以内であれば、ホスト装置3と通信し、発券許可があった場合には、投票券を作成して一時保留しておく。残高データの金額が、発券データの金額に対して不足している場合には、制御部13は入金を促す表示等を行う。紙幣鑑別部21、硬貨鑑別部23から入金があることを認識すると、現金管理部19は、携帯端末の残高データの金額と、紙幣鑑別部21、硬貨鑑別部23から入金された金額の現金処理データとを合算する。合算された金額で発券データの金額の支払いが可能であると確認されると、端末装置11はホスト装置3と通信し、ホスト装置3から発券許可があれば投票券を作成して一時保留する。
【0047】
精算する場合には、ファンが所定の操作で精算を指示し、現金管理部19はつり銭を計算し、電子マネーと現金とに振分けて返却するとともに、一時保留となっていた投票券を放出する。本実施の形態においては、つり銭の振分けは、第1に1000円未満の端数、第2に入金可能な1000円単位の額を優先して携帯端末に入金するようにした。
【0048】
また、券読取部31で的中券が読取られると、的中金額払戻部17は、ホスト装置3に読取った的中券の投票内容を通知し、ホスト装置3の払戻金額計算部9により計算された結果に基づき、現金管理部19により振分けを行って的中金額を払い戻す。
【0049】
このように、本実施の形態による端末装置11によれば、携帯端末によるアクセスを発券操作のはじめと最後の2回のみ行うことにより、複数の投票カードに対応した投票券を発行する。
【0050】
つり銭が生じた場合には、携帯端末と現金の両方でつり銭を受け取ることができる。受け取り方については、本実施の形態においては、現金管理部19は、1000円未満の端数を携帯端末に優先して振分ける。1000円以上の残高については、携帯端末の入金上限まで1000円単位で携帯端末に入金し、入金上限額を超過するつり銭については紙幣で返却する。
【0051】
的中券の払戻においても、投票券の発売時のつり銭と同様の振り分けを行う。また、必要に応じて払戻金を投票券の代金として充当する。
以上説明したように、本実施の形態による投票券発売払戻装置によれば、投票データの入力前と、精算前との2回携帯端末による操作を行うだけで、発券を行うことが可能であり、発券時の操作が簡便かつ高速になる。また、つり銭および払戻金を自動的に振り分け、携帯端末に優先して1000円未満のつり銭を振分けるので、小銭の扱いが楽で、財布がいっぱいになることも避けられ、ファン側の利便性を向上させることの可能な投票券発売払戻装置および現金管理方法とすることができる。
【0052】
上記実施の形態において、端末装置11は、本発明の投票券発売払戻装置の一例であり、ホスト装置3は、本発明のホスト装置の一例である。携帯端末読取/書込部27は、本発明の電子マネー読取書込部の一例であり、投票カード読取部25は、投票内容入力部の一例であり、貨幣鑑別部21および硬貨鑑別部23は貨幣管理部の一例である。投票内容通知部15は、本発明の投票内容通知部の一例であり、現金管理部19は、本発明の現金管理部の一例であり、投票券発行部29は、本発明の投票券発行部の一例であり、精算指示装置は、精算検知部の一例であり、ファン側画面部33および制御部13は、振分方法指定部の一例であり、券読取部31は、本発明の券読取部の一例である。また、制御装置5は、本発明の発券許可信号送受信部の一例である。
【0053】
なお、本発明は、以上に述べた実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の構成または実施形態を採ることができる。例えば、図1においては、端末装置11は1台のみを示しているが、複数台を接続するようにしてもよい。ネットワーク10は、専用の回線でもよいし、例えばインターネットなど公衆回線を利用してもよい。また、電子マネーの一例として携帯端末を用いる場合について説明したが、入出金のできるものであればICカードその他を用いてもよい。
【0054】
また、本実施の形態においては、投票内容は投票カード読取部25で投票カードを読取ることにより取得するようにしたが、投票カード読取部25に代えて、投票内容を例えばキーボードなどのキー操作で直接入力するようにしてもよい。携帯端末読取/書込部27は、携帯端末に限らず、電子マネーの読取書込みが可能なものであれば例えばICカードなどを読取る装置でもよい。精算指示装置としては、ボタン等を配置してもよい。なお、発券動作の際に、不足金額を補うために現金を入金するようにしたが、現金の代わりに払戻金額で不足分の少なくとも一部を充当するようにしてもよい。
【0055】
さらにつり銭の振分け方法については、上記の優先順位に限定されず、例えば、硬貨を必要とする場合には所望の金額を硬貨で受け取る方法や、ファンが振分け方法を選択できる方法等、別の方法でもよい。また、上記実施の形態においては、携帯端末に入金額の上限が設けられている場合について説明したが、上限がない場合にも、例えば硬貨のつり銭は優先的に携帯端末に入金し、所望の額を紙幣で受け取るというように振分けを行なうことも可能である。このようなつり銭の振分けにより、さらに利便性が向上する。
【符号の説明】
【0056】
1 投票券発売払戻システム
3 ホスト装置
5 制御装置
7 投票金額集計部
9 払戻金額計算部
11 端末装置
13 制御部
15 投票内容通知部
17 的中金額払戻部
19 現金管理部
21 紙幣鑑別部
23 硬貨鑑別部
25 投票カード読取部
27 携帯端末読取/書込部
29 投票券発行部
31 券読取部
33 ファン側画面部
40 外部インタフェース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークを介してホスト装置と接続された投票券発売払戻装置であって、
電子マネーの読取および書込を行う電子マネー読取書込部と、
投票内容が入力される投票内容入力部と、
硬貨および紙幣の入出金を行う貨幣管理部と、
前記電子マネー読取書込部により読取られた電子マネーの残額、前記貨幣管理部により入金された貨幣、および前記投票内容入力部により入力された投票内容に応じて現金を管理する現金管理部と、
前記投票内容の投票券の代金が前記電子マネーの残額および前記入金された貨幣により決済可能である場合に、前記投票内容を前記ホスト装置に送信する投票内容通知部と、
前記投票内容通知部が前記ホスト装置から発券許可を受信すると投票券を作成し放出する投票券発行部と、
を有し、
前記現金管理部は、作成した前記投票券の代金と前記電子マネーの残額および前記入金された貨幣とを比較して、つり銭が生じる場合に、前記つり銭を前記電子マネーと前記貨幣とに振分け、
前記電子マネー読取書込部および前記貨幣管理部は、前記現金管理部の振分けに応じた所定の金額を返却する
ことを特徴とする投票券発売払戻装置。
【請求項2】
精算指示を検知する精算検知部、をさらに有し、
前記投票内容入力部は、前記投票券に相当する投票内容を入力され、
前記投票券発行部は、前記投票券を作成した後、前記投票券発売払戻端末装置内で放出保留状態とし、前記精算検知部が精算指示を検知すると、前記投票券を放出し、
前記現金管理部は、前記精算検知部が精算指示を検知すると、前記投票券の発券により生じたつり銭を前記電子マネーと前記貨幣とに振分けることを特徴とする請求項1に記載の投票券発売払戻装置。
【請求項3】
前記現金管理部は、前記つり銭のうち少なくとも前記電子マネーの入金可能額以内でかつ前記紙幣の最低金額未満の端数を前記電子マネーに振分けることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の投票券発売払戻装置。
【請求項4】
前記現金管理部は、前記電子マネーに振分けられた前記つり銭の残金のうち前記電子マネーの入金可能額以内でかつ前記紙幣の最低金額単位の金額を前記電子マネーに振分けることを特徴とする請求項3に記載の投票券発売払戻装置。
【請求項5】
前記現金管理部は、前記つり銭のうち前記電子マネーの入金可能額以内の金額を前記電子マネーに振分けることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の投票券発売払戻装置。
【請求項6】
前記つり銭をどのように受け取るかを指定する振分方法指定部をさらに有し、
前記現金管理部は、前記つり銭のうち前記電子マネーの入金可能額以内でかつ前記振分方法指定部により指定された金額を前記電子マネーに振分けることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の投票券発売払戻装置。
【請求項7】
投票券が挿入されると前記投票券の投票内容を読み取り、前記ホスト装置と通信を行って払戻金額を特定する券読取部をさらに有し、
前記現金管理部は、前記払戻金額を前記電子マネーと前記貨幣とに所定の方法で振り分け、
前記電子マネー読取書込部および前記貨幣管理部は、前記振分けに応じた金額の返却を行うことを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の投票券発売払戻装置。
【請求項8】
前記投票内容入力部は、投票カードを読取ることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の投票券発売払戻装置。
【請求項9】
ネットワークを介してホスト装置と投票券発売払戻装置とが接続された投票券発売払戻システムによる現金管理方法であって、
電子マネーの残額を読取ること、
入力された投票内容を取得すること、
前記電子マネーの残額により前記投票内容が決済可能か否か判断すること、
前記判断の結果、残額が不足する場合には、入金を要求すること、
貨幣の入金を確認すること、
前記電子マネーの残額および前記入金された貨幣により、入力された前記投票内容が決済可能であり、かつ前記ホスト装置からの許可がある場合に投票券を作成すること、
作成した前記投票券の代金に対してつり銭が生じた場合に、前記つり銭を電子マネーと貨幣とに振分けること、
前記振分けに応じた金額の返却を行うこと、
を特徴とする現金管理方法。
【請求項10】
前記投票券の作成を行った後、前記投票券を前記投票券発売払戻端末装置内で放出保留状態とし、
新たな投票内容の入力があった場合、前記判断すること、前記入金を要求すること、前記投票券を作成することを繰り返し、
精算指示を検知すると、前記投票券を放出するとともに前記つり銭を振分けて返却することを特徴とする請求項9に記載の現金管理方法。
【請求項11】
投票券が挿入されると前記投票券の投票内容を読み取り、前記ホスト装置と通信を行って払戻金額を特定することと、
前記払戻金額を前記電子マネーと前記貨幣とに所定の方法で振分けることと、
前記電子マネーまたは貨幣により、前記振分けに応じた金額の返却を行うこと、
を特徴とする請求項9または請求項10のいずれか一項に記載の現金管理方法。
【請求項12】
ネットワークを介してホスト装置と少なくとも1つの投票券発売払戻装置とが接続されたシステムであって、
前記投票券発売払戻装置は、
電子マネーの読取および書込を行う電子マネー読取書込部と、
投票内容が入力される投票内容入力部と、
硬貨および紙幣の入出金を行う貨幣管理部と、
前記電子マネー読取書込部により読取られた電子マネーの残額、前記貨幣管理部により入金された貨幣、および前記投票内容入力部により入力された投票内容に応じて現金を管理する現金管理部と、
前記投票内容の投票券の代金が前記電子マネーの残額および前記入金された貨幣により決済可能である場合に、前記投票内容を前記ホスト装置に送信する投票内容通知部と、
前記投票内容通知部が前記ホスト装置から発券許可を受信すると投票券を作成し放出する投票券発行部と、
を有し、
前記現金管理部は、作成した前記投票券の代金と前記電子マネーの残額および前記入金された貨幣とを比較して、つり銭が生じる場合に、前記つり銭を前記電子マネーと前記貨幣とに振分け、
前記電子マネー読取書込部および前記貨幣管理部は、前記現金管理部の振分けに応じた所定の金額を返却し、
前記ホスト装置は、
前記投票券発売払戻装置から前記投票内容を受信すると、受信された内容に応じて前記投票券発売払戻装置に発券許可またはエラー信号を送信する発券許可信号送受信部と、
接続された全ての前記投票券発売払戻装置からの投票内容に応じて投票金額を集計する投票金額集計部と、
を有することを特徴とする投票券発売払戻システム。
【請求項13】
前記投票券発売払戻装置は、
投票券が挿入されると前記投票券の投票内容を読み取り、前記ホスト装置と通信を行って払戻金額を特定する券読取部、
をさらに有し、
前記ホスト装置は、
前記券読取部が読取った投票内容に応じて払戻金額を計算し、前記投票券発売払戻装置に通知する払戻金額計算部、
をさらに有し、
前記現金管理部は、前記払戻金額を前記電子マネーと前記貨幣とに所定の方法で振り分け、
前記電子マネー読取書込部および前記貨幣管理部は、前記振分けに応じた金額の返却を行う
ことを特徴とする請求項12に記載の投票券発売払戻システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−73791(P2012−73791A)
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−217762(P2010−217762)
【出願日】平成22年9月28日(2010.9.28)
【出願人】(000237639)富士通フロンテック株式会社 (667)
【Fターム(参考)】