説明

投票用紙の分類装置

【課題】異なる色に着色された投票用紙の混入を自動的に検出することを実現した投票用紙の分類装置を提供する。
【解決手段】投票用紙の分類装置1は、赤色、緑色及び青色の光を投票用紙2に照射するLED13a〜13cと、投票用紙2からの反射光を受光して受光量を検知するセンサ16とを備えている。分類装置1は、正規の投票用紙から検知された受光量に基づく基準色情報Srと、判定対象となる投票用紙から検知された受光量に基づく評価色情報Seとを生成する色情報生成部22と、基準色情報Srと評価色情報Seとを比較して、正規の投票用紙と判定対象となる投票用紙との色の違いを判定する判定部24とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は投票用紙の分類装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、選挙の開票時に投票用紙を自動的に分類するための分類装置が記載されている。これによれば、分類装置は、投票用紙に記入された候補者名や政党名等の記入内容を画像として取得する読取部を備えている。また、分類装置は、読取部が取得した画像から記入内容を認識する認識・制御部を備えており、この認識・制御部による認識結果に基づいて、記入内容に応じた投票用紙の分類が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−5022号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、近年では複数の選挙の投票日が同一日程となることがあり、この場合、各選挙の開票作業を同一会場で行うことが多い。したがって、異なる選挙の投票用紙が混入することを防止するため、また、混入した場合の確認を行いやすくするため、互いに異なる色に着色された投票用紙を選挙毎に用いる場合がある。しかしながら、特許文献1に記載の分類装置では、投票用紙の色の違いを検出することはできないため、投票用紙の混入の有無を開票担当者が目視にて確認する作業が必要になるという問題点を有していた。
【0005】
この発明は、このような問題点を解決するためになされたもので、異なる色に着色された投票用紙の混入を自動的に検出することを実現した投票用紙の分類装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係る投票用紙の分類装置は、投票用紙を記入内容に基づいて分類する投票用紙の分類装置において、互いに異なる色の光を投票用紙に照射する複数の発光手段と、複数の発光手段が照射する各色の光に対する投票用紙からの反射光を受光して、各色の反射光の受光量を検知する受光手段と、受光手段が検知した各色の反射光の受光量に基づいて、投票用紙の色情報を生成する色情報生成部と、予め与えられた正規の投票用紙における色情報である正規色情報と、判定対象となる投票用紙における色情報である評価色情報とを比較して、正規の投票用紙の色と判定対象となる投票用紙の色とが一致するかどうかを判定する判定手段とを備えることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0007】
この発明に係る投票用紙の分類装置によれば、互いに異なる色の光を投票用紙に照射する複数の発光手段と、複数の発光手段が照射する各色の光に対する投票用紙からの反射光を受光して、各色の反射光の受光量を検知する受光手段と、受光手段が検知した各色の反射光の受光量に基づいて、投票用紙の色情報を生成する色情報生成部と、予め与えられた正規の投票用紙における色情報である正規色情報と、判定対象となる投票用紙における色情報である評価色情報とを比較して、正規の投票用紙の色と判定対象となる投票用紙の色とが一致するかどうかを判定する判定手段とを備えるため、異なる色に着色された投票用紙の混入を自動的に検出することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】この発明の実施の形態1に係る投票用紙の分類装置の構成を概略的に示す断面側面図である。
【図2】実施の形態1に係る投票用紙の分類装置における発光手段及び受光手段の周辺の構成を示す概略図である。
【図3】実施の形態1に係る投票用紙の分類装置における検出手段の構成を示す概略図である。
【図4】実施の形態1に係る投票用紙の分類装置における学習モードの処理を説明するためのフローチャートである。
【図5】実施の形態1に係る投票用紙の分類装置における検出モードの処理を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、この発明の実施の形態について添付図に基づいて説明する。
実施の形態1.
図1に、この実施の形態1に係る投票用紙の分類装置1(以下、「分類装置1」と略称する)を示す。分類装置1は、選挙の投票用紙を候補者名や政党名等の記入内容に応じて分類する装置であって、分類の対象となる複数の投票用紙2が載置されるホッパ3と、分類された投票用紙2が収容される複数のスタッカ4とを備えている。ホッパ3と各スタッカ4とは、複数のローラ5aから構成される搬送路5を介して接続されており、各ローラ5aが回転すると、投票用紙2が矢印A1〜A4で示される方向に順次搬送されるようになっている。また、分類装置1は、投票用紙2の分類結果等を表示するモニタ6を備えている。
【0010】
搬送路5の途中には、投票用紙2の記入内容を認識するとともに、投票用紙2の色を検知するためのイメージセンサ11が配置されている。図2に示すように、イメージセンサ11は本体部12を備えており、本体部12の内部には、発光手段としての3つのLED13a〜13cが設けられている。LED13a〜13cは互いに異なる色の光、具体的にはLED13aが赤色の光、LED13bが緑色の光、LED13cが青色の光を発するようになっている。尚、本体部12は、搬送路5に沿って搬送される投票用紙2に向かって開放された空間である収容部12aを有しており、LED13a〜13cは、収容部12a内に設けられた導光板14に支持されている。導光板14は透明な材料から形成された部材であって、LED13a〜13cが発する光は、矢印B1で示すように導光板14を通って投票用紙2に照射されるようになっている。
【0011】
また、本体部12は、投票用紙2に向かって開放された空間である収容部12bを有しており、収容部12bの内部にも透明な材料からなる導光板15が設けられている。収容部12bの奥側に位置する導光板15の端部には、受光手段としてのセンサ16が設けられている。LED13a〜13cが照射した光は、矢印B2で示すように投票用紙2で反射され、その反射光は、導光板15を通ってセンサ16に到達するようになっている。センサ16は、投票用紙2からの反射光を受光して受光量を検知するとともに、検知した受光量を以下に説明する演算ユニット21に出力する。尚、各LED13a〜13cは制御部17に電気的に接続されており、制御部17によって光の照射の開始及び停止を制御されるようになっている。
【0012】
図3に概略的に示すように、イメージセンサ11のセンサ16には、異なる色に着色された投票用紙の混入を検出するための演算ユニット21が接続されている。演算ユニット21は、色情報生成部22、記憶部23及び判定部24から構成されている。色情報生成部22には、センサ16が接続されており、センサ16によって検知された受光量、すなわち、各LED13a〜13cが照射した3色の光である赤色、緑色及び青色の光に対する投票用紙2からの反射光の受光量が入力されるようになっている。色情報生成部22は、これらの各色の受光量を色情報として生成するものである。
【0013】
記憶部23は、正規の投票用紙における色情報を、基準色情報Srとして記憶するものである。また、判定部24は、基準色情報Srと、判定対象となる投票用紙の色情報として色生成部によって生成される評価色情報Seとを比較して、赤色、緑色及び青色の各受光量や各受光量の比率等に基づいて、正規の投票用紙の色と判定対象となる投票用紙の色とが一致しているかどうかを判定するものである。
【0014】
次に、この実施の形態1に係る分類装置1を用いて、異なる色に着色された投票用紙の混入を検出する方法について説明する。
分類装置1は、正規の投票用紙における基準色情報Srを生成して記憶する学習モードと、判定対象となる投票用紙の評価色情報Seを生成するとともに、基準色情報Srと評価色情報Seとの比較を行う判定モードとの二種類の動作モードで動作するようになっており、これらの動作モードを順次行うことによって、異なる色に着色された投票用紙の混入が検出される。
【0015】
まず、学習モードを開始するため、分類装置1の操作者によって正規の投票用紙がホッパ3(図1参照)上に載置される。次いで、操作者が図示しない操作スイッチを操作することにより、学習モードが開始される。学習モードが開始されると、搬送路5を構成する各ローラ5aが回転を開始し、ホッパ3上に載置された正規の投票用紙が搬送路5によってイメージセンサ11に供給される。正規の投票用紙がイメージセンサ11に供給されると、図4に示されるフローチャートに沿った処理が行われる。
【0016】
まず、制御部17(図2参照)から出力される指令信号に基づいて、イメージセンサ11の各LED13a〜13cによる各色の光の照射の開始及び照射の停止が順次行われる。センサ16は、各LED13a〜13cが順次照射する各色の光に対する投票用紙からの反射光を受光して、その受光量をそれぞれ検知する(S101)。
【0017】
次いで、センサ16によって検知された各色の受光量が色情報生成部22に送られ、色情報生成部22によって基準色情報Srが生成される(S102)。基準色情報Srは、LED13aが照射した赤色の光の受光量F11、LED13bが照射した緑色の光の受光量F12、及びLED13cが照射した青色の光の受光量F13の相対強度として生成されている。このように生成された基準色情報Srは記憶部23に記憶され(S103)、学習モードが終了する。
【0018】
以上のように学習モードが終了すると、判定モードが開始される。分類装置1の操作者は、判定モードを開始するため、判定対象となる複数の投票用紙2、すなわち投票者による記入が行われた複数の投票用紙2をホッパ3(図1参照)上に載置するとともに、図示しない操作スイッチを操作することによって判定モードを開始させる。判定モードが開始されると、各ローラ5aが回転を開始し、それにより、ホッパ3上に載置された複数の投票用紙2が、搬送路5を介して一枚ずつイメージセンサ11に搬送される。次いで、図5に示されるフローチャートに沿った処理が行われる。
【0019】
まず、学習モードと同様に、制御部17(図2参照)から出力される指令信号に基づいて、イメージセンサ11の各LED13a〜13cによる各色の光の照射の開始及び照射の停止が順次行われる。センサ16は、各LED13a〜13cが順次照射する各色の光に対する投票用紙2からの反射光を受光して、その受光量をそれぞれ検知する(S201)。次いで、センサ16によって検知された各色の受光量が色情報生成部22に送られ、色情報生成部22によって評価色情報Seが生成される(S202)。評価色情報Seは、基準色情報Srと同様に、LED13aが照射した赤色の光の受光量F21、LED13bが照射した緑色の光の受光量F22、及びLED13cが照射した青色の光の受光量F23の相対強度として生成されている。
【0020】
以上のように評価色情報Seが生成されると、記憶部23に記憶された基準色情報Srと評価色情報Seとの比較が判定部24によって行われる(S203)。判定部24は、表1に示されるように、基準色情報Srと評価色情報Seとを各色の受光量や各受光量の比率等に基づいて比較し、正規の投票用紙の色と判定対象となる投票用紙の色とが一致しているかどうかを判定する。ここで、基準色情報Sr及び評価色情報Seの例を表1を用いて示す。
【0021】
【表1】

【0022】
表1に示されるように、基準色情報Srの各受光量F11、F12、F13がそれぞれ5、4、8という相対強度を有し、評価色情報SeのF21、F22、F23がそれぞれ6、4.5、9という相対強度を有している場合、評価色情報Seにおける各色の受光量や各受光量の比率は、基準色情報Srを基準にして設定される閾値内に含まれている。したがって、この場合、判定部24は、正規の投票用紙の色と判定対象となる投票用紙の色とが一致する判定し(S204)、この投票用紙2は、記入内容に基づいたスタッカ4(図1参照)に搬送される。
【0023】
一方、評価色情報SeのF21、F22、F23がそれぞれ3、6、4という相対強度を有している場合、基準色情報Srにおける各受光量の比率と、評価色情報Seにおける各受光量の比率とが所定の閾値の範囲を超えるため、判定部24は、正規の投票用紙の色と判定対象となる投票用紙の色とが一致しないと判定し、この投票用紙2がリジェクトされる。また、評価色情報SeのF21、F22、F23がそれぞれ9、4、8という相対強度を有している場合、赤色の受光量に基づくF21の値9は、基準色情報SrにおけるF21、閾値を超えて高くなっているため、判定部24は、正規の投票用紙の色と判定対象となる投票用紙の色とが一致しないと判定する(S205)。
【0024】
以上のように、本発明によれば、互いに異なる色の光を投票用紙に照射する複数の発光手段と、複数の発光手段が照射する各色の光に対する投票用紙からの反射光を受光して、各色の反射光の受光量を検知する受光手段と、受光手段が検知した各色の反射光の受光量に基づいて、投票用紙の色情報を生成する色情報生成部と、予め与えられた正規の投票用紙における色情報である正規色情報と、判定対象となる投票用紙における色情報である評価色情報とを比較して、正規の投票用紙の色と判定対象となる投票用紙の色とが一致するかどうかを判定する判定手段とを備えるため、異なる色に着色された投票用紙の混入を自動的に検出することが可能となる。
【符号の説明】
【0025】
1 投票用紙の分類装置、2 投票用紙、13a,13b,13c LED(発光手段)、16 センサ(受光手段)、22 色情報生成部(色情報生成手段)、24 判定部(判定手段)、Sr 基準色情報、Se 評価色情報。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
投票用紙を記入内容に基づいて分類する投票用紙の分類装置において、
互いに異なる色の光を投票用紙に照射する複数の発光手段と、
前記複数の発光手段が照射する各色の光に対する前記投票用紙からの反射光を受光して、各色の反射光の受光量を検知する受光手段と、
前記受光手段が検知した各色の反射光の受光量に基づいて、前記投票用紙の色情報を生成する色情報生成部と、
予め与えられた正規の投票用紙における前記色情報である正規色情報と、判定対象となる投票用紙における前記色情報である評価色情報とを比較して、前記正規の投票用紙の色と前記判定対象となる投票用紙の色とが一致するかどうかを判定する判定手段と
を備えることを特徴とする投票用紙の分類装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−43367(P2012−43367A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−186422(P2010−186422)
【出願日】平成22年8月23日(2010.8.23)
【出願人】(592221908)武蔵エンジニアリング株式会社 (30)
【Fターム(参考)】