説明

投票用紙の読取装置

【課題】本発明は、投票用紙の表裏を予め揃える工程を不要にでき、利便性を向上できる投票用紙の読取装置を提供することを目的とするものである。
【解決手段】本発明による投票用紙の読取装置では、対向ローラ137,138は、撮像側端面135d,136dと外周面137a,138aとの間に投票用紙2が進入されたときに対向ローラ137,138の回転に応じて投票用紙2が搬送されるように、撮像側端面135d,136dに近接して配置され、拭取部材137b,138bは、撮像側端面135d,136dと外周面137a,138aとの間に投票用紙2が進入されていないときに対向ローラ137,138の回転に応じて撮像側端面135d,136dを拭き取るように、撮像側端面135d,136dに押し当てられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、投票用紙の読取装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来用いられていたこの種の投票用紙の読取装置としては、例えば下記の特許文献1等に示されている構成が用いられている。すなわち、従来の読取装置では、投票用紙が搬送される搬送路に対向して撮像手段が配置されている。撮像手段には光源部及び撮像部が含まれており、光源部から投票用紙に対して撮像光が照射されるとともに、投票用紙の片側の端面で反射された撮像光が撮像部で受光されることで、投票用紙の片面の画像情報が生成される。そして、この画像情報に基づいて、投票用紙に付されている記入枠が検出されるとともに、記入枠の内側に記載された例えば候補者や政党等の記載内容が読み取られ、記載内容毎に投票用紙が自動的に分類される。
【0003】
撮像手段には撮像光の照射及び受光が行われる撮像側端面が設けられており、この撮像側端面の正面位置には樹脂等で形成された固定舌片が配置されている。固定舌片は、固定舌片と撮像側端面との間を投票用紙が搬送されるときに、投票用紙が撮像側端面に擦り付けられて搬送されるように、撮像側端面に近接して配置されている。そして、投票用紙が撮像側端面に擦り付けられて搬送されることで、撮像側端面に付着した埃等のごみが除去される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−5022号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のような従来の投票用紙の読取装置では、撮像側端面の正面位置に固定舌片が配置されているだけの構成であるので、撮像手段の配置位置では投票用紙に搬送力が付加されない。このため、投票用紙が折れ曲がっており、搬送方向に沿う投票用紙の長さが、撮像手段の両側に配置された搬送ローラ部の間の距離よりも短くなった場合には、投票用紙が撮像手段の配置位置で停止していまい、詰まりの原因となる。
【0006】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、その目的は、撮像側端面のセルフクリーニングを可能にしつつ、撮像手段の配置位置での投票用紙の停止を回避できる投票用紙の読取装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る投票用紙の読取装置は、投票用紙の端面を示す画像情報に基づいて、投票用紙の記載内容を読み取る投票用紙の読取装置であって、投票用紙の搬送路に対向して配置され、搬送路を搬送される投票用紙に撮像光を照射するとともに投票用紙で反射された撮像光を受光することで、画像情報を生成する撮像手段と、撮像手段に設けられ、撮像光の照射及び受光が行われる撮像側端面と、撮像側端面の正面位置に配置された対向ローラと、対向ローラの外周面に設けられた拭取部材とを備え、対向ローラは、撮像側端面と外周面との間に投票用紙が進入されたときに対向ローラの回転に応じて投票用紙が搬送されるように、撮像側端面に近接して配置され、拭取部材は、撮像側端面と外周面との間に投票用紙が進入されていないときに対向ローラの回転に応じて撮像側端面を拭き取るように、撮像側端面に押し当てられている。
【発明の効果】
【0008】
本発明の投票用紙の読取装置によれば、対向ローラは、撮像側端面と外周面との間に投票用紙が進入されたときに対向ローラの回転に応じて投票用紙が搬送されるように、撮像側端面に近接して配置され、拭取部材は、撮像側端面と外周面との間に投票用紙が進入されていないときに対向ローラの回転に応じて撮像側端面を拭き取るように、撮像側端面に押し当てられているので、撮像側端面のセルフクリーニングを可能にしつつ、撮像手段の配置位置での投票用紙の停止を回避できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施の形態1による投票用紙の読取装置を示す構成図である。
【図2】図1の撮像ユニットを示す構成図である。
【図3】図2の第1対向ローラを拡大して示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を実施するための形態について、図面を参照して説明する。
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1による投票用紙の読取装置を示す構成図である。図において、読取装置本体1には、ホッパ10、搬送手段11、複数のスタッカ12、撮像ユニット13、及び表示手段14が設けられている。
【0011】
ホッパ10は、外部から投入された複数枚の投票用紙2が貯められるケースである。搬送手段11は、複数の搬送ローラ11aから構成されており、ホッパ10から各スタッカ12まで搬送方向110に沿って投票用紙2を搬送する搬送路111を形成している。撮像ユニット13は、搬送方向110に沿うホッパ10の下流かつスタッカ12の上流に配置されており、後述のように投票用紙2の端面を示す画像情報135c,136cを生成するものである。
【0012】
撮像ユニット13には、情報処理手段3が接続されている。この情報処理手段3は、プログラム等の情報を記憶する記憶部と、この記憶部の情報に基づいて処理動作を行う演算部とを含むコンピュータから構成されている。詳細には、情報処理手段3は、読取装置本体1に内蔵されたコンピュータ、又は読取装置本体1とは別体に設けられたコンピュータと読取装置本体1に内蔵されたコンピュータとの組み合わせから構成されている。
【0013】
この情報処理手段3は、周知のように、撮像ユニット13からの画像情報135c,136cに基づいて、投票用紙2のいずれか一方の端面に付された記入枠を検出するとともに、記入枠内の記載内容を読み取る。また、情報処理手段3は、読み取った記載内容に基づいて搬送手段11の動作を制御して、記載内容毎に異なるスタッカ12に投票用紙2を搬送させる。すなわち、各スタッカ12には、記載内容毎に分類された投票用紙2がそれぞれ貯められる。表示手段14は、利用者に対する情報を表示するものである。
【0014】
次に、図2は、図1の撮像ユニット13を示す構成図である。撮像ユニット13には、第1及び第2案内板130,131と、第1〜第3ローラ部132〜134と、第1及び第2撮像手段135,136と、第1及び第2対向ローラ137,138とが設けられている。
【0015】
第1及び第2案内板130,131は、搬送方向110に沿って延在された板部材であり、搬送路111を挟むように互いに対向して配置されている。これら第1及び第2案内板130,131は、投票用紙2が撮像ユニット13を通過する際に投票用紙2を案内するものである。なお、詳細には図示しないが、第1及び第2案内板130,131には、前述の第1〜第3ローラ部132〜134等が配置される各位置に開口部がそれぞれ設けられている。
【0016】
第1ローラ部132は、一対のローラ132aから構成されており、各ローラ132aは、第1及び第2案内板130,131の開口部を通して互いの外周面が接触するように搬送路111を挟んで配置されている。第2及び第3ローラ部133,134も、第1ローラ部132と同様に一対のローラ133a,134aから構成されている。これら第1〜第3ローラ部132〜134は、搬送方向110に沿って互いに離間して配置されており、各ローラ132a〜134a間に進入された投票用紙2を搬送方向110に沿って送り出す(搬送する)ものである。すなわち、第1〜第3ローラ部132〜134は、搬送手段11の一部を構成している。
【0017】
ここで、第1案内板130が配置されている側の搬送路111の一方の端面を搬送路表面113と呼び、第2案内板131が配置されている側の他方の端面を搬送路裏面114と呼ぶ。換言すると、投票用紙2が撮像ユニット13を通過する際に投票用紙2の第1及び第2端面2a,2bが対向する搬送路111の端面を、それぞれ搬送路表面113及び搬送路裏面114と呼ぶ。
【0018】
第1撮像手段135は、第1案内板130の開口部を通して搬送路表面113に対向するように第1ローラ部132と第2ローラ部133との間に配置されている。第1撮像手段135は、光源部135aと撮像部135bとを有しており、投票用紙2が撮像ユニット13を通過する際に投票用紙2の第1端面2aを示す第1画像情報135cを生成するものである。具体的には、投票用紙2が撮像ユニット13を通過する際に、投票用紙2の第1端面2aに対して光源部135aから撮像光が照射され、第1端面2aで反射された撮像光が撮像部135bで受光されることで、第1画像情報135cが生成される。
【0019】
同様に、第2撮像手段136は、第2案内板131の開口部を通して搬送路裏面114に対向するように第2ローラ部133と第3ローラ部134との間に配置されている。すなわち、第2撮像手段136は、搬送方向110に沿う第1撮像手段135の下流に配置されており、第1撮像手段135に対して非対向とされている。第2撮像手段136は、第1撮像手段135と同様に光源部136aと撮像部136bとを有しており、第1端面2aとは逆側の投票用紙2の第2端面2bを示す第2画像情報136cを生成するものである。
【0020】
情報処理手段3は、第1及び第2撮像手段135,136からの第1及び第2画像情報135c,136cに基づいて、第1及び第2端面2a,2bのいずれか一方に付されている記入枠を検出するとともに記入枠内の記載内容を読み取り、投票用紙2を記載内容毎に異なるスタッカ12に搬送させる。なお、情報処理手段3は、第1及び第2画像情報135c,136cに基づいて、投票用紙2の表裏方向及び天地方向(記載内容の文字列の方向)の向きも識別することも可能であり、記載内容毎だけではなく、向き毎にも投票用紙2を異なるスタッカ12に搬送することも可能である。
【0021】
第1対向ローラ137は、第1ローラ部132と第2ローラ部133との間に配置されており、第2案内板131の開口部を通して第1撮像手段135に対向して配置されている。同様に、第2対向ローラ138は、第2ローラ部133と第3ローラ部134との間に配置されており、第1案内板130の開口部を通して第2撮像手段136に対向して配置されている。
【0022】
次に、図3は、図2の第1対向ローラ137を拡大して示す構成図である。図において、第1撮像手段135には、撮像光の照射及び受光が行われる第1撮像側端面135d,が設けられている。第1対向ローラ137は、第1撮像側端面135dの正面位置に配置されている。また、第1対向ローラ137は、その外周面137aと第1撮像側端面135dとの間に投票用紙2が進入されたときに第1対向ローラ137の回転に応じて投票用紙2が搬送されるように、第1撮像側端面135dに近接して配置されている。つまり、第1対向ローラ137は、第1〜第3ローラ部132〜134等と同様に例えばモータ等の図示しない駆動手段に接続されており、この駆動手段からの駆動力を受けて能動的に投票用紙2を搬送するものである。
【0023】
ここで、図2に示すように、第1ローラ部132と第2ローラ部133との間に第1撮像手段135が配置されているので、第1ローラ部132と第2ローラ部133との間の距離(ピッチ)を第1撮像手段135の寸法よりも小さくできない。このため、投票用紙2が折れ曲がっており、搬送方向110に沿う投票用紙2の長さが、第1及び第2ローラ部132,133間のピッチよりも短くなった場合には、投票用紙2が第1撮像手段135の配置位置で停止していまい、詰まりが発生することが考えられる。しかしながら、この実施の形態の構成では、第1撮像側端面135dの正面位置に第1対向ローラ137が配置され、第1対向ローラ137によって投票用紙2に搬送力を付加できるようにしているので、第1撮像手段135の配置位置での投票用紙2の停止及び詰まりを回避できる。
【0024】
図3に戻り、第1対向ローラ137の外周面137aには、植毛体から構成される拭取部材137bが設けられている。この拭取部材137bは、外周面137aの周方向R及び軸方向Aの全域に渡って外周面137aに設けられている。なお、詳細には図示しないが、植毛体とは、複数の毛状部材が、対向ローラ137の外周面137aに貼り付けられた下地部材に植え付けられるか、又は外周面137aに直接植え付けられたものである。拭取部材137bは、第1撮像側端面135dに押し当てられるように設けられており、第1撮像側端面135dと外周面137aとの間に投票用紙2が進入されていないときに、第1対向ローラ137の回転に応じて第1撮像側端面135dを拭き取る(清掃する)。すなわち、拭取部材137bは、利用者が特別な清掃作業を行わなくても、読取装置の動作中に第1撮像側端面135dに付いたゴミ又は汚れを自動的に除去する。なお、第2対向ローラ138の構成も、第1対向ローラ137の構成と同様である。
【0025】
このような投票装置の読取装置では、対向ローラ137,138は、撮像側端面135d,136dと外周面137a,138aとの間に投票用紙2が進入されたときに対向ローラ137,138の回転に応じて投票用紙2が搬送されるように、撮像側端面135d,136dに近接して配置され、拭取部材137b,138bは、撮像側端面135d,136dと外周面137a,138aとの間に投票用紙2が進入されていないときに対向ローラ137,138の回転に応じて撮像側端面135d,136dを拭き取るように、撮像側端面135d,136dに押し当てられているので、撮像側端面135d,136dのセルフクリーニングを可能にしつつ、撮像手段135,136の配置位置での投票用紙2の停止を回避できる。これにより、読取装置全体の動作停止を防止でき、開票時間をより短縮できる。
【0026】
なお、実施の形態1では、拭取部材は植毛体から構成されると説明したが、拭取部材は、対向ローラの回転により撮像側端面に擦り付けられた際に撮像側端面に傷を付けるものでなければよく、例えばフェルト体及びスポンジ体等の柔軟な部材から構成されていていればよい。
【符号の説明】
【0027】
2 投票用紙
110 搬送方向
111 搬送路
135,136 第1及び第2撮像手段(撮像手段)
135c,136c 第1及び第2画像情報(画像情報)
135d,136d 第1及び第2撮像側端面(撮像側端面)
137,138 第1及び第2対向ローラ(対向ローラ)
137a,138a 外周面
137b,138b 拭取部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
投票用紙の端面を示す画像情報に基づいて、前記投票用紙の記載内容を読み取る投票用紙の読取装置であって、
前記投票用紙の搬送路に対向して配置され、前記搬送路を搬送される前記投票用紙に撮像光を照射するとともに前記投票用紙で反射された前記撮像光を受光することで、前記画像情報を生成する撮像手段と、
前記撮像手段に設けられ、前記撮像光の照射及び受光が行われる撮像側端面と、
前記撮像側端面の正面位置に配置された対向ローラと、
前記対向ローラの外周面に設けられた拭取部材と
を備え、
前記対向ローラは、前記撮像側端面と前記外周面との間に前記投票用紙が進入されたときに前記対向ローラの回転に応じて前記投票用紙が搬送されるように、前記撮像側端面に近接して配置され、
前記拭取部材は、前記撮像側端面と前記外周面との間に前記投票用紙が進入されていないときに前記対向ローラの回転に応じて前記撮像側端面を拭き取るように、前記撮像側端面に押し当てられている
ことを特徴とする投票用紙の読取装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−107896(P2011−107896A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−261045(P2009−261045)
【出願日】平成21年11月16日(2009.11.16)
【出願人】(592221908)武蔵エンジニアリング株式会社 (30)
【Fターム(参考)】