投薬組立体と薬物容器の間に符号化機構を備える医療用送達システム
薬物を収容するための容器と、この容器に固定される投薬組立体とを備える医療用送達システム。この医療用送達システムは、所定の容器のみが所定の投薬組立体に固定されうることを保証するために符号化機構(150、152)を備える。この符号化機構は、容器と投薬組立体との間の境界面に配置され、且つ容器の近位縁部分と同心の輪構成に配置された軸方向へ延びる突出部(154、156、158)を備える。この医療用送達システムで使用するための容器。この医療用送達システムで使用するための投薬組立体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器が、第1の固定手段と第2の固定手段との係合によって投薬組立体に固定されうる医療用送達システムに関する。更に本発明は、第1及び第2の容器、並びに第1及び第2の投薬組立体を備える医療用送達システムに関する。特に本発明は、符号化及び結合システムを有する容器と、投薬組立体とを備える医療用送達システムに関する。更に本発明は、医療用送達システムで使用するための容器及び投薬組立体に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、特定の患者集団によって適切に受け入れられる見込みのある優れた薬物送達装置を提供するために、より多様性のある薬剤送達システムが、患者の便宜のために発売されてきた。市販の送達システムの数が増えるにしたがって、数多くの様々な種類の薬物保持カートリッジ又は容器が流通している。こうした種類の容器の大半は様々な態様で異なる。
それぞれの薬物容器は、多様な異なる薬物から選択された特定の種類の薬物で充填されうるが、同種別の異なる種類の薬物(例えば、短時間又は長時間作用性インシュリン)及び異なる濃度の特定の各薬物も容器に収容されうる。
【0003】
更には、特定の使用者の必要に合わせてそれぞれの容器を特注するために、異なる容器容積、したがって送達システムを特注するために導入されうる。容器容積の相違は、容器の長さ又は直径を変えることによって実現されうる。これらの変更は通常、薬物を容器から放出する駆動要素の特定の行程を設けるように、又は最適の投薬精度を実現するように、薬物送達システムの、対応する投薬組立体の変更を意味する。異なる薬物容器間の更なる区別は、容器の中に収容されたピストンに必要とされる滑動摩擦のような、それぞれの特定の送達システムに関する設計要件によって実現されうる。
より多様性のある利用可能な容器を区別するために、数多くの容器符号化及び結合システムが開発されてきた。以下の機械的符号化及び結合システムが当業で知られている。
【0004】
米国特許第5,611,783号は、アンプルを備えうる遠位部分と、投与量設定及び駆動機構を内蔵する近位部分とを備えるペン形状の注射器に関する。これらの近位及び遠位部分は、噛み合う差込み式結合手段を有する。ある一定の遠位部分のみが、ある一定の近位部分と連結して使用されうることを保証するパターンを形成するために、突起が設けられうる。
WO03/017915A1は、機械式符号化が設けられた遠位端を有するカートリッジを開示する。この機械式符号化は、円形状の外径が、カートリッジの中に収容されたインシュリンの特定の濃度に専用である円形状突起の形態を有する。
【0005】
米国特許第5,693,027号は、選択された注射器に標準的なカートリッジを適合させるためのプラスチック蓋部を開示する。このプラスチック蓋部には、それが注射器の中でカートリッジと一緒に取り付けられたときに、そのプラスチック蓋部を回転不可能に維持するために、注射器の中の対応する手段とキー締め係合するための手段が設けられうる。幾つかの種類の注射器では更に、カートリッジと注射器の間のこのようなキー締め係合が、ある一定の種類のカートリッジのみが使用されることを保証するために使用される。
米国特許第6,648,859号(B2)は、薬物送達ペンの再使用可能なペン本体組立体に使用するための薬剤カートリッジ組立体を開示する。交差使用を排除するために、ペン本体組立体及び薬剤カートリッジはキー締めされる。すなわち、それらは対応するねじ山及び溝、差込みねじ山、並びに溝、スナップ嵌め、又は可逆式ルアーロック様態で嵌め合う1対のツメによってねじ山係合されうる。これらの嵌合い部材は他の組立体との交差使用を防止するように選択され、例えば、ねじ山のピッチは、相互にのみ嵌め合い且つ他の組立体とは嵌め合わないように角度が付けられうる。
【0006】
更に他の従来技術によるシステムが、DE20110690、WO03/011372、及びWO03/011373に説明されている。
以上に説明された参照文献が、別個の容器及びこれらの各互換性投薬組立体の組間における交差使用の排除に関連する範囲では、参照技術に機械的不具合の危険性に関して多少の欠点が残る。特に、それは、容器を関連する投薬組立体に結合及び固定するのに必要とされる結合移動が、相対的な回転移動を含む移動によって行われる場合に該当する。
【0007】
本発明の推奨される実施形態の目的は、知られたシステムの別法を提供することである。更には、本発明の推奨される実施形態の目的は、多数の可能な符号化幾何学配置を有する薬物送達システムを提供し、しかも他方では、従来技術によるシステムに比べて、堅牢な符号化幾何学配置を提供することである。
更には、本発明の推奨される実施形態の目的は、容器を投薬組立体に結合するときに、容器と互換性投薬組立体との間の回転式の位置合わせを必要としない符号化システムを提供することである。
【0008】
更には、本発明の推奨される実施形態の目的は、所定の医療用送達システムの容器及び投薬組立体が、互換性のある容器/投薬組立体の組における特定の選択に関係なく、相互に結合/結合解除(ロック/ロック解除)されるときに、使用者は、実質的に同じ操作上の固定/結合/ロック移動を経験する符号化システムを提供することである。
【発明の概要】
【0009】
第1の態様では、本発明は医療用送達システムに関し、該システムは、
− 滑動可能に配置されたピストンとの間に画定されたチャンバの中に薬物を収容する容器であって、ピストンが出口に向かって遠位方向へ軸方向に移動可能であることにより、チャンバの容積が低減して出口から薬物が放出されるもので、近位の内部開口を画定する近位円筒形縁区間を有する筐体区間を備える容器と、
− 前記容器の近位内部開口を貫通して延び、ピストンを遠位方向へ移動させるピストンロッドと、
− 容器に固定されることにより、容器と作用的に接触する投薬組立体であって、容器と作用的に接触しているときに駆動時にピストンロッドを遠位方向へ移動させる駆動部を備える投薬組立体と
を備え、
− 投薬組立体が、容器が投薬組立体と作用的に接触した状態でロックされるように、容器の第2の固定手段に係合する第1の固定手段を画定し、
− 容器の近位端部分が、容器の中に収容されるべき薬物に専用の少なくとも1つの符号化表面を画定し、符号化表面は、近位へ延びる1つ又は複数の突出部を備え、これらの又はそれぞれの近位へ延びる突出部は、縁部分と同心の第1の輪構成に配置され、
− 投薬組立体が、容器の中に収容されるべき薬物に専用であり且つ遠位へ延びる1つ又は複数の突出部を備える符号化表面を画定し、これらの又はそれぞれの遠位へ延びる突出部は第2の輪構成に配置され、
− 第1及び第2の輪構成が、容器が投薬組立体と作用的に接触した状態でロックされるとき、噛み合い且つ軸方向に重なる。
【0010】
本発明の文脈では、「医療用送達システム」という用語は、薬物含有の流動性薬剤を投与できる任意のシステムとして理解されるものとする。医療用送達システムの実施例は、注入ポンプ用途品、投薬器、ペン形状投薬器、モータ式投薬器、AutoPen(登録商標)のような自動注射器である。
本発明は、送達装置の投薬組立体に結合される容器から薬物を使用者に送達できるすべての種類の薬物送達装置に応用可能である。本送達装置は、薬剤の経皮、皮下、静脈内、筋肉内、又は経肺投与のための任意の送達装置を包含しうる。
【0011】
本明細書で使用される場合、「薬物」という用語は、中空針のような送達手段を介して制御されて送り出されうる、液体、溶液、ゲル、又は微粉懸濁液のような任意の薬物含有の流動性薬剤を包含することを意図している。代表的な薬物は、ペプチド、タンパク質(例えば、インシュリン、インシュリン類似物、及びC−ペプチド)、及びホルモンのような製薬、生物由来又は活性作用物質、ホルモン及び遺伝子を基にした作用物質、栄養調合剤、並びに固体(調剤された)又は液体の両形態にある他の物質を包含する。
容器のチャンバは、容器の1つ又は複数の側壁と滑動可能に配置されたピストンとによって画定されうる。大半の実施形態では、容器の少なくとも一部が輪形状であり、ピストンが内部に受け入れられる円筒形空洞を画定する。容器の遠位端は、チャンバの中に収容された薬物がカニューレを介して放出されることを可能にするように、カニューレによって穿通するための封止体を備えうる。容器の遠位端は、カニューレを保持する保持器に装着可能である。実施例として、容器の遠位端は、保持器が容器の上にねじ込まれることを可能にするように、保持器の対応するねじ山と協働するねじ山を備えうる。
【0012】
容器の出口は、カニューレもしくは針又は針ハブもしくは注入セット、あるいは容器の中に収容された薬物に流体アクセスする任意の他の流体連通導管と協働可能であえるか、又はこれらによって画定可能である。
ピストンロッドは、ピストンよりも剛性であり且つピストンの近位対向表面の少なくとも一部、好ましくは大半に当接する要素を備えることが可能であり、それによって剛性要素に対してピストンロッドによって加えられる力は、ピストンロッドがピストンに直接係合した場合よりも、ピストンの近位表面のより大きな面積に加えられる。これは、ピストンが弾性材料から作製されるときに有利である。
【0013】
本発明の文脈では、「凹部」、「溝」、及び「突起」という用語は、径方向へ延びる部材/要素/手段のみに関連して使用され、且つ「後退部」及び「突出部」という用語は、軸方向へ延びる部材/要素/手段のみに関連して使用される。しかし「凹部」、「溝」、及び「後退部」は同義語として理解されるものとし、且つ「突起」及び「突出部」は同義語として理解されるものとする。
第1の態様にしたがう本発明は、所定の容器のみが所定の投薬組立体に装着されうるので、使用者の安全性を向上させるものである。したがって、この投薬組立体は、薬物の所定の種類及び/また濃度に使用されるように指定可能であり、薬物の他の濃度又は種類を収容する互換性のない容器は、この投薬組立体に装着されえない。容器及び投薬組立体の符号化表面は、同心配置される輪構成として設けられるので、堅牢な符号化システムが提供され、したがって、それは安全性を増大させるものである。
【0014】
本医療用送達システムは更に、
− 本発明の第1の態様にしたがう第1の容器であって、本発明の第1の態様にしたがう第1の投薬組立体に固定される容器と、
− 本発明の第1の態様にしたがう第2の容器であって、本発明の第1の態様にしたがう第2の投薬組立体に固定される容器とを備えることが可能であり、
第1の容器、第2の容器、第1の投薬組立体、並びに第2の投薬組立体の少なくとも2つの第1及び/又は第2の符号化機構は、第1の投薬組立体及び第2の容器が相互に固定されることを防止し、且つ第2の投薬組立体及び第1の容器が相互に固定されることを防止する。
第1の容器は、第2の容器を第2の投薬組立体に結合するために必要とされる所定の移動と実質的に同一である所定の移動によって第1の投薬組立体に結合されうる。
【0015】
本システムは、そのように適合されるので、容器とその互換性のある投薬組立体との間の相対的な回転が、容器を投薬組立体に結合するための全手順中に、すなわち、容器が投薬組立体と作用的に接触した状態でロックされるその位置に容器が軸方向へ接近する間にも許容される。
容器及び投薬組立体は、相対的な回転移動を含む移動によって、例えば、ねじ山式連結によって又は差込みロック式連結によって相互にロックされる。
【0016】
別法として、容器及び投薬組立体は、並進及び非回転移動によって相互にロックされる。このようなロック手順は、相対的回転移動が軸方向の結合及びロック中に実施されうる場合に、しかし相対的回転移動が前提条件ではない場合にアレンジされうる。
容器筐体の外壁区間の末端近位部分が、近位開口を全周包囲する縁部分を画定するとき、軸方向へ延びる突出部は、全体的に又は部分的にこの開口の中に収容されうる。このような場合では、容器の縁部分は、符号化表面を機械的衝突から保護する。これは、特に精細で精緻な符号化構造体の場合に有利である。他の実施形態では、軸方向へ延びる突出部が開口を越えて近位方向へ延びうる。
【0017】
容器は、ピストン及び薬物を筐体の壁区間と流体接触して保持する一体構造式筐体として形成されうる。このような容器は、成形によって一体式に形成された軸方向へ延びる突出部を有する成型品として製造されうる。別法として、容器は、薬物用ガラス製カートリッジがカートリッジ保持器の中に一部又は全部が収容されるカートリッジ保持器として機能する。このカートリッジは、カートリッジ保持器に着脱可能に装着されうるか、又は別法として、カートリッジ保持器にもしくはその中に常時装着されうる。この容器の軸方向突出部は、カートリッジ保持器と一体構造式に形成されてもよいし、又は別法としてカートリッジ保持器に別体要素として装着されてもよい。したがって、これらの軸方向へ延びる突出部は、符号化表面の微細で精緻な構造体を可能にするガラス製カートリッジとは別体である要素によって形成される。
【0018】
第2の態様では、本発明は医療用送達システムに関し、本システムは、
− 滑動可能に配置されたピストンとの間に画定されるチャンバの中に薬物を収容する容器であって、このピストンが出口に向かって遠位方向へ移動可能であることによりチャンバの容積が低減して出口から薬物が放出される容器、
− 容器と作用的に接触するように容器に固定された投薬組立体であって、投薬組立体が容器と作用的に接触しているときにピストンを遠位方向へ移動させる駆動部を有する投薬組立体と
を備え、
− 投薬組立体及び容器のうちの一方が、投薬組立体とが作用的に接触した状態で容器をロックするように容器及び投薬組立体のうちの他方の第2の固定手段に係合する第1の固定手段を画定し、
− 第2の固定手段が径方向へ延びる溝を画定し、第1の固定手段は、柔軟なロック部材を備え、このロック部材が、
− ロック部材の少なくとも一部が径方向へ延びる溝の少なくとも一部に係合し、よって投薬組立体に対する容器の並進移動がロックされるロック形状と、
− ロック部材が径方向へ延びる溝に係合せず、よって投薬組立体に対する容器の並進移動がロックされない、ロック形状とは異なる非ロック形状と
の間で変化しうる。
【0019】
径方向へ延びる溝は容器の外表面上に画定可能であり、周方向へ延びる溝を画定するように容器の全周回りに延びうる。別法として、径方向へ延びる溝は、容器の外周に沿って離間された溝部分に分割されうる。1つの実施形態では、ロック部材が、容器を投薬組立体にロック/固定する間に溝の一部に係合する。
1つの実施形態では、容器が第2の固定手段を備え、且つ投薬組立体が第1のロック手段を備える。別法の実施形態では、投薬組立体が第2の固定手段を備え、且つ容器が第1の固定手段を備える。
【0020】
1つの実施形態では、ロック部材が、このロック部材の両側に設けられた2つのボタンのようなロック部材の所定の領域に指で圧力を加えることによって、ロック形状から非ロック形状に形状を変え、且つ指の圧力が除去されると逆の方向へ形状を変える。
1つの実施形態では、ロック部材が、このロック部材をロック位置に向かって偏倚する弾性材料を含む。この弾性材料は、ゴム、軟質プラスチック、ばね鋼のような、指で圧力を加えることによって形が修正されるのに適切な任意の材料でよい。1つの実施形態では、ロック部材は、このロック部材が投薬組立体の中に組み付けられるときに、投薬組立体の外表面からアクセス可能である少なくとも2つのボタンを備える。指で圧力をボタンに加えると(2つのボタンが相互に向かって移動させられるように)、ロック部材をロック形状から非ロック形状に変化させ、それによって使用者は容器を投薬組立体から取り外すことができる。更には、ロック部材の少なくとも一部が、ロック形状を画定するときに実質的に楕円形であり、且つ非ロック形状を画定するときに実質的に円筒形でありうる。
【0021】
更には、第1及び第2の固定手段の一方が、固定中に第1及び第2の固定手段の他方の1つ又は複数の対応する径方向へ延びる凹部の中に受け入れられる、1つ又は複数の径方向へ延びる突起を画定しうる。該突起/凹部は、第3の態様にしたがう本発明に関連して説明されるように符号化表面を画定しうる。
他の実施形態では、第1及び第2の固定手段の一方が、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10個のような複数の径方向及び軸方向へ延びる突起を備え、第1及び第2の固定手段の他方が、対応する数の凹部又は溝を備える。径方向へ延びる突起の符号化表面は、これらの突起のそれぞれの径方向及び/又は軸方向及び/又は周方向範囲、並びに第1及び第2の固定手段の内又は外表面上におけるこれらの突起の相対的な周方向位置によって画定されうる。
【0022】
径方向へ延びる突起は、本装置の長手軸を横切る平面内に対称的又は非対称的パターンで画定されうる。
本発明の文脈では、「非対称的パターン」という用語は、径方向へ延びる突起が非対称的パターンを画定するとき、2つの要素間、例えば、第1の固定手段と第2の固定手段との間に唯一の相対的な回転位置が存在し、その場合に径方向へ延びる突起は、対応する径方向へ延びる凹部の中に受け入れられうる様態であると理解されるものとする。
【0023】
第3の態様では、本発明が医療用送達システムに関し、該システムは、
− 滑動可能に配置されたピストンとの間に画定されたチャンバの中に薬物を収容する容器であって、ピストンが出口に向かって遠位方向へ移動可能であることにより、チャンバの容積が低減して出口から薬物が放出される容器と、
− ピストンを遠位方向へ移動させるピストンロッドと、
− 容器と作用的に接触するように容器に固定される投薬組立体であって、投薬組立体が容器と作用的に接触しているときに、ピストンロッドを遠位方向へ移動させる駆動部を備える投薬組立体と
を備え、
− この投薬組立体は、投薬組立体と作用的に接触した状態で容器をロックするように容器の第2の固定手段に係合する第1の固定手段を画定し、この第2の固定手段は、容器の近位端部分の上に画定され、
− この近位端部分は、投薬組立体の対応する符号化表面と協働する少なくとも1つの符号表面を画定し、これらの符号化表面のそれぞれが符号化表面の所定のグループから選択されない限り、投薬組立体及び容器が作用的に接触した状態でロックされることを防止する。
【0024】
ピストンロッドは、近位端部分に対して回転式に取付け可能であり、且つ該近位端部分に対して軸方向へ移動することが許容される。更には、容器及び/また近位端部分がピストンロッドを備えうる。1つの実施形態では、ピストンロッドが近位端部分及び/又は容器に着脱可能に装着される。別の実施形態では、ピストンロッドが容器/近位端部分から取り外されえないように、ピストンロッドは、近位端部分及び/又は容器に対して保持される。実施例として、ピストンロッドが近位端部分に対して第1の位置と第2の位置との間でのみ移動されうるように、近位端部分及び/又は容器は、近位端部分及び/又は容器に対するピストンロッドの並進移動を制限することが可能である。ピストンロッドが近位端部分及び/又は容器に対して2つの位置の間で滑動できるように、ピストンロッドは、近位端部分及び/又は容器の中に滑動式に受け入れられうる。
1つの実施形態では、近位端部分及び投薬組立体の一方の側壁が、径方向へ延びる少なくとも1つの突起を画定し、この少なくとも1つの突起のそれぞれは、容器が投薬組立体と作用的に接触しているときに、近位部分及び投薬組立体を相対的な回転移動に関してロックするように、近位端部分及び投薬組立体の他方の側壁中に画定された対応する径方向へ延びる凹部又は溝に係合する。更には、少なくとも1つの径方向へ延びる突起及び/又は対応する凹部が、符号化表面の少なくとも1つを画定しうる。
【0025】
1つ実施形態では、容器が、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10個のような複数の径方向及び軸方向へ延びる突起を備え、且つ投薬組立体が、対応する数の凹部又は溝を備える。径方向へ延びる突起の符号化表面は、これらの突起のそれぞれの径方向及び/又は軸方向及び/又は周方向範囲と、容器の外表面上又は投薬組立体の内表面上におけるこれらの突起の相対的な周方向位置とによって画定されうる。したがって、2つの径方向へ延びる突起は、異なる径方向範囲及び/又は軸方向範囲又は周方向範囲を有しうる。更には、それぞれの突起の径方向又は軸方向範囲は、例えば、突起の径方向範囲が本装置の近位方向へ低減するように変化しうる。
径方向へ延びる突起は、本装置の長手軸を横切る平面内に対称的又は非対称的パターンで画定されうる。
【0026】
医療用送達システムの幾つかの実施形態では、1つの投薬組立体が複数の所定の容器に固定されうることが理解されよう。実施例として、投薬組立体は、8つの所定の位置に位置決めされた8つの径方向へ延びる突起を備えることが可能であり、したがって該8つの所定の位置の1つ又は複数の位置に突起を有し、且つ他の位置のいずれにも突起を有していない容器は、いずれもこの投薬組立体に連結されることになる。したがって、8つの位置の5つの位置に5つの径方向へ延びる突起を有する容器は、投薬組立体の8つの凹部/溝の周方向/径方向/軸方向の範囲/位置によって、該5つの突起がこれらの凹部/溝の中に受け入れられることが許容されれば、この投薬組立体に結合されうる。
符号化表面は、第1/第2の固定手段の径方向及び/又は軸方向及び/又は周方向へ延びる表面の上のような、第1及び/又は第2の固定手段の一方の上に画定されうる。1つの実施形態では、容器を投薬組立体にロックするように、投薬組立体の第1の固定手段が、径方向へ移動されて容器の第2の固定手段(例えば、溝)と係合する。後者の実施形態では、突起が溝の中に画定可能であり、第1の固定手段が、容器の溝のこの突起を受け入れるために対応する凹部を画定しない限り、第1の固定手段が溝に係合することを防止する。
【0027】
追加的に又は補足として、容器の近位部分は、容器が投薬組立体と作用的に接触しているとき、投薬組立体の対応する遠位対向表面に係合する少なくとも1つの近位対向表面を画定しうる。更には、近位及び遠位対向表面の少なくとも一方が、符号化表面の1つ又は複数を画定しうる。
実施例として、(1つ又は複数の)近位対向表面及び(1つ又は複数の)遠位対向表面のこの少なくとも一方は、少なくとも1つの軸方向へ延びる突出部を画定することが可能であり、これらの突出部は、投薬組立体が容器と作用的に接触しているときに、近位及び遠位対向表面の他方の中に画定された対応する軸方向へ延びる後退部に係合することができる。更には、少なくとも1つの軸方向へ延びる突出部及び対応する後退部の1つ又は複数が、符号化表面の1つ又は複数を画定しうる。
【0028】
1つの実施形態では、投薬組立体の駆動部は、容器が投薬組立体と作用的に接触しているときに、投与量設定部材に係合する。投薬組立体の駆動部は、投与量設定部材、例えば、駆動部の手段が回転すると投与量設定部材を回転させ、それによって投与量設定部材がピストンロッドに対して近位方向へ移動されて投与量が設定されるように、ピストンロッドに連結されうる投与量設定部材に係合可能である。1つの実施形態では、ピストンロッドの外表面にねじ山が付けられ、投与量設定部材は、ピストンロッドのねじ山付き外表面に係合するねじ山付き内表面を有する通路を画定する。容器が投薬組立体に固定されるとき、駆動部及び投薬組立体は、例えば、上述の径方向へ延びる凹部/突起によって相対的な回転に関してロックされることが可能であり、それによって駆動部が回転すると投与量設定部材を回転させて投与量を設定させる。
1つの実施形態では、駆動部は、容器が投薬組立体に装着されるときに投与量設定部材の全周を包囲し、したがって駆動部の内表面は、駆動部及び投与量設定部材を相対的な回転に関してロックするために投与量設定部材の外表面に係合する。別法として、投与量設定部材は、容器が投薬組立体に装着されるときに駆動部の全周を包囲し、したがって投与量設定部材の内表面が、駆動部及び投与量設定部材を相対的な回転に関してロックするために駆動部の外表面に係合する。
【0029】
実施例として、駆動部及び投与量設定部材の少なくとも一方が、少なくとも1つの径方向へ延びる突起を画定することが可能であり、これらの少なくとも1つの突起のそれぞれは、投薬組立体が容器と作用的に接触しているときに、駆動部及び投与量設定部材の他方の中に画定された対応する(1つ又は複数の)凹部に係合する。更には、符号化表面の少なくとも1つが、少なくとも1つの突起及び対応する凹部によって画定されうる。
幾つかの実施形態では、容器及び投薬組立体が、相対的に軸方向へ並進及び非回転移動することによって相互に固定及びロックされる。
【0030】
1つの実施形態では、容器の第2の固定手段が径方向へ延びる溝を画定し、且つ投薬組立体の第1の固定手段がロック部材を備えるが、このロック部材は、ロック部材の少なくとも一部が径方向へ延びる溝の少なくとも一部に係合し、それによって容器が投薬組立体に対して並進移動することに関してロックされるロック位置と、ロック部材が径方向へ延びる溝に係合せず、それによって容器が投薬組立体に対して並進移動することに関してロックされない非ロック位置との間で移動可能である。
径方向へ延びる溝は、容器の外表面上に画定可能であり、且つ周方向へ延びる溝を画定するように容器の全周回りに延びうる。別法として、径方向へ延びる溝が、容器の外周に沿って離間された溝部分に分割されうる。1つの実施形態では、ロック部材が、容器を投薬組立体にロック/固定する間に溝の一部に係合する。別の実施形態では、ロック部材が、容器を投薬組立体にロック/固定する間に溝全体に係合する。
【0031】
ロック部材をロック位置と非ロック位置との間で変化させるために、ロック部材は、使用中のロック部材がロック位置に位置決めされるロック形状から、使用中のロック部材が非ロック位置に位置決めされる非ロック形状に変わりうる。1つの実施形態では、指で圧力をロック部材上の所定の領域/位置に加えることによって、ロック部材がロック形状から非ロック形状に変わり、且つ指の圧力が除去されるときに逆方向へ変化する。
1つの実施形態では、ロック部材が、このロック部材をロック位置に向かって偏倚する弾性材料を含む。この弾性材料は、ゴム、軟質プラスチック、ばね鋼のような、指で圧力を加えることによって形が修正されるのに適切な任意の材料でよい。1つの実施形態では、ロック部材は、このロック部材が投薬組立体の中に組み付けられるときに、投薬組立体の外表面からアクセス可能である少なくとも2つのボタンを備える。指で圧力をボタンに加えると(2つのボタンが相互に向かって移動させられるように)、ロック部材をロック形状から非ロック形状に変化させ、それによって使用者は容器を投薬組立体から取り外すことができる。更には、ロック部材の少なくとも一部はロック形状の画定するときに実質的に楕円形であり、且つ非ロック形状の画定するときに実質的に円筒形でありうる。
【0032】
容器は、標準的なガラス製カートリッジのような、薬物を収容するためのカートリッジを備えうる。このカートリッジは、カートリッジ保持器に着脱可能に装着されうる。このような場合に、カートリッジ保持器は容器を構成する。使用者は、空のカートリッジを満杯のカートリッジと交換することができる。別法として、カートリッジは、このカートリッジが取り外されるとカートリッジ保持器が変形/損傷されるように、カートリッジ保持器に非着脱式に装着されうる。カートリッジ保持器は、容器と一体型であってもよいし、又は容器の近位端部分に装着されてもよい。1つの実施形態では、カートリッジ保持器は近位端部分に対して軸方向に保持され、他方ではカートリッジ保持器及び近位端部分が相互に対して回転することが許容される。このような実施形態では、容器符号化表面が投薬組立体符号化表面と噛み合うが、容器の遠位部分が容器符号化表面に対して回転可能であることにより、符号化表面に対して作用する破壊的な回転力の危険性が低減される。更に別の実施形態では、カートリッジ保持器及び近位端部分が一体要素を画定する。すなわち、継ぎ目なしの1つの要素を形成する。更に他の実施形態では、近位端部分、カートリッジ保持器、及びカートリッジが一体要素を画定する。
【0033】
第4の態様では、本発明は、本発明の第1、第2、又は第3の態様にしたがう医療用送達システムで使用するのに適切な容器に関する。
第4の態様にしたがう本発明は、本発明の第1、第2、又は第3の態様にしたがう本発明の任意の特徴構造及び/又は要素を含みうる。
【0034】
第5の態様では、本発明は、本発明の第1、第2、又は第3の態様にしたがう医療用送達システムで使用するのに適切な投薬組立体に関する。
第5の態様にしたがう本発明は、本発明の第1又は第3の態様にしたがう本発明の任意の特徴構造及び/又は要素を含みうる。
【0035】
本発明は、ここで図面を参照して更に詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】第1の実施形態による、本発明の第2の態様に関連する弾性ロック部材を開示する図である。
【図2】第1の実施形態による、本発明の第2の態様に関連する弾性ロック部材を開示する図である。
【図3】第1の実施形態による、本発明の第2の態様に関連する弾性ロック部材を開示する図である。
【図4】第1の実施形態による、本発明の第2の態様に関連する弾性ロック部材を開示する図である。
【図5】第2の実施形態による、本発明の第3の態様に関連する容器を開示する図である。
【図6】第2の実施形態による、本発明の第3の態様に関連する容器を開示する図である。
【図7】第2の実施形態にしたがう医療用送達システムを開示する図である。
【図8】第2の実施形態にしたがう投薬組立体を開示する図である。
【図9】第2の実施形態にしたがう容器の近位部分を開示する図である。
【図10】第2の実施形態による投与量設定部材を開示する図である。
【図11】第2の実施形態による投与量設定部材を開示する図である。
【図12】第2の実施形態による投与量設定部材を開示する図である。
【図13】第2の実施形態による投与量設定部材を開示する図である。
【図14】第3の実施形態による、本発明の第1の態様に関連する医療用送達システムを開示する図である。
【図15】第3の実施形態による、本発明の第1の態様に関連する医療用送達システムを開示する図である。
【図16】第2の実施形態の符号化表面の一実施形態を開示する図である。
【図17】第2の実施形態の符号化表面の別の実施形態を開示する図である。
【図18】第2の実施形態の符号化表面のまた別の実施形態を開示する図である。
【実施例】
【0037】
図1〜4は、投薬組立体122(一部のみを示す)を備える医療用送達システム102のための容器100を開示する。この容器は、図5〜18に関連して以下で説明されるようなカートリッジを備えうる。このカートリッジはカートリッジ保持器の中に収容されうる。図1〜4の実施形態では、投薬組立体122が、この投薬組立体122の周方向へ延びる凹み162の中に受け入れられたロック部材160を備える。ロック部材160は、このロック部材の少なくとも一部が容器100の径方向へ延びる溝164に係合するロック形状から、ロック部材100が容器100の径方向へ延びる溝164に係合しない非ロック形状に、ロック部材160が形状を変えることを可能にする弾性材料を含む。ロック部材160がその非ロック形状にあると、容器100は投薬組立体から取り外し可能である。
使用者は、この弾性材料により、相互に対向して位置決めされる2つのボタン166に指で圧力を加えることによってロック部材160の形状を変えることができる。2つのボタン166が相互に向かって押されるとき、ロック部材160は、ロック位置から非ロック位置に向かって/非ロック位置へと形状を変える。ロック部材160がそのロック位置にあるとき、部材160の一部は実質的に楕円形状(図2〜3に示す)を画定し、この楕円形状は、2つのボタンが相互に向かって強制されるとき、実質的に円形状に変えられる。2つのボタン166は、投薬組立体122の外表面からアクセス可能である。
【0038】
容器100は傾斜表面168を備えるが、この表面は、容器100が、投薬組立体122の中へ強制されるとき、ロック部材166を移動させてロック位置から離すことを可能にし、したがってこの容器が投薬組立体122の中へ挿入されることを可能にする。これらの傾斜表面は、ボタン166に圧力を加えることなく、使用者が容器100を投薬組立体122に固定することを可能にする。したがって、傾斜表面168を備えていない実施形態では、使用者が、容器を投薬組立体に固定できるためには、ボタン166に指で圧力を加えることによってロック部材160をロック位置から非ロック位置に移動させなければならない。
【0039】
図4では、投薬組立体が2つの軸方向へ延びる突出部170を備えるが、これらの突出部は、容器100が対応する後退部172を画定しない限り、容器100が投薬組立体122に固定されることを防止する。したがって、後退部172及び突出部170は本装置の符号化表面を画定する。特定の実施形態では、凹部及び突起を形成する容器の近位部分が、容器の残りの部分に対して回転できるように形成される。別の実施形態(図示せず)では、容器が投薬組立体に固定されるとき、ロック部材160は、容器の対応する径方向へ延びる凹部の中に受け入れられる1つ又は複数の径方向へ延びる突起を画定する。したがって、凹部を画定しない容器は投薬組立体に固定されえない。凹部及び突起の形状並びに位置は、異なる符号化幾何学配置を画定するために変更可能である。これらの幾何学配置は、突起/後退部の周方向範囲及び/もしくは周方向位置、並びに/又は形状を変えることによって変更可能である。
更には、本発明の第1の態様にしたがう容器及び投薬組立体が、本発明の第3の態様に関連して説明される符号化幾何学配置のいずれかを備えることができる。
【0040】
図5〜13は、本発明の第3の態様にしたがう本発明を開示する。
図5及び6は、投薬組立体122を備える医療用送達システム102のための容器100(図7参照)を開示する。容器100は、カートリッジ保持器106の中に収容されたカートリッジ104(図5及び6では見えていない)を備える。近位端部分108が、容器100の近位端の中に設けられる。図5は、カートリッジがカートリッジ保持器106の中へ挿入されうる近位端部分108を装着する前の容器を開示する。図6は、近位端部分108がカートリッジ保持器106に非着脱式に装着された後の容器を開示する。カートリッジ保持器106は、カニューレを有するハブ(図示せず)を容器に固定するためのねじ山付き遠位端110を備える。近位端部分108は、この近位端部分108をカートリッジ保持器106に固定するように、カートリッジ保持器106の対応する固定手段(図示せず)に係合する固定手段112を備える。
【0041】
更には、容器100は、近位端部分108がカートリッジ保持器106に装着されるときに、ピストン116(図7及び8参照)に当接するピストンロッド114を備えて、ピストンロッド114が遠位へ移動すると、ピストン116が遠位方向118へ移動させられ、それによってカートリッジ104の中に収容された薬物の投与量がカニューレを介して放出されうる。近位端部分108は8つの径方向へ延びる突起120を備え、これらの突起は、該径方向へ延びる突起が投薬組立体122(図7及び8に示す)の対応する径方向へ延びる凹部124に係合するときに、近位端部分108を投薬組立体122に対する回転に関してロックするために使用される。径方向へ延びる突起120は更に、この径方向へ延びる突起118が所定のパターンで設けられ、且つ所定の形状を画定し(径方向へ、軸方向へ、且つ周方向へ)、よって所定の符号化パターンで設けられた径方向へ延びる突起118を有する容器のみが、特定の投薬組立体122に固定されうるので、符号化表面を画定する目的に適う。
近位端部分108は、投薬組立体122の第1の固定手段128によって係合される溝の形態にある周方向へ延びる第2の固定手段126を備える。第1の固定手段128は径方向へ延びる突起130を備えるが、この突起は、ボタン131を駆動すると、容器100の第2の固定手段126の少なくとも一部に対して入出するように移動可能であり、それによって容器100は、投薬組立体122に/投薬組立体122から、それぞれロック及びロック解除される。第1の固定手段128は、径方向へ延びる突起130を第1の方向134へ偏倚するように配置された、ばね132を備える。近位端部分108を投薬組立体122の中へ挿入すると、近位端部分108の傾斜表面136が、第1の方向134とは反対の方向へ第1の固定手段128を強制する。第2の固定手段126が第1の固定手段128と同じ軸方向位置にあるとき、ばね132は、径方向へ延びる突起130を容器の第2の固定手段126の溝の中へ強制し、それによって容器は投薬組立体に軸方向でロックされる。容器100を投薬組立体122からロック解除するために、ボタン131は、第1の方向134とは反対の方向へ移動されなければならず、それによって径方向へ延びる突起130は、第2の固定手段126の溝から外に移動される。1つの実施形態では、第1及び/又は第2の固定手段が1つもしくは複数の符号化表面を備え、それによって所定の容器100のみが所定の投薬組立体122に固定されうる。
【0042】
図9は、それぞれが上で説明された傾斜表面136を有する8つの径方向へ延びる突起120を備える近位端部分108を開示する。他の実施形態では、近位端部分108は、より少ないか又は更なる径方向へ延びる突起を備えうる。径方向へ延びる突起は、所定の容器のみが所定の投薬組立体に装着されることを保証するために符号化表面を画定する。この符号化表面は、突起120の周方向、径方向、もしくは軸方向範囲を変えることによって、又は、対称的もしくは非対称的パターンであるように、所定のパターンで周方向に突起を設けることによって変更可能である。
図9の実施形態では、近位端部分の第2の固定手段126が、符号化突起138により、容器/近位端部分の符号化の一部を形成する。したがって、対応する符号化後退部を有する投薬組立体のみが容器に固定可能である。近位端部分108の他の実施形態では、第2の固定手段126の軸方向範囲が、容器/近位端部分を符号化するために変更される。更に他の実施形態では、第2の固定手段126の径方向深さが、本装置を符号化するために使用される。
【0043】
近位端部分108をカートリッジ保持器106に固定するために、近位端部分108が、カートリッジ保持器106及び近位端部分108を相互に非解放式に装着するように、カートリッジ保持器106の対応する固定手段に係合する固定手段140を備える。
【0044】
図10〜13は、ピストンロッド114のねじ山付き外表面に係合するねじ山付き内表面144を有する投与量設定部材142を開示する。投与量設定部材142は、この投与量設定部材の内表面148の上に画定された径方向へ延びる後退部146と、投薬組立体122の駆動部(図示せず)の径方向へ延びる突起(図示せず)との間の係合により、この駆動部に対して回転式に保持される。幾つかの実施形態では、径方向へ延びる後退部146が投与量設定部材142の外表面150の上に画定され、駆動部が投与量設定部材142の外表面の後退部146に係合するように設計される。符号化表面の少なくとも一部が、径方向へ延びる後退部146によって画定されうるが、その凹部の幾何学配置は、これらの後退部の周方向幅、径方向深さ、軸方向長さ、及び周方向位置の1つ又は複数を変えることによって変更可能である。
【0045】
図14a〜15は、本発明の第3の実施形態にしたがう医療用送達システム102を開示する。医療用送達システム102は、容器100及び投薬組立体122を備える。この容器は、薬物を収容するためのチャンバ107を画定するカートリッジ104を収容するカートリッジ保持器106を備える。ピストン116がチャンバ107の中に設けられ、このピストンが遠位方向118へ移動されるとき、チャンバ107の中に用意された薬物の投与量が、ねじ山付き遠位端110によってカートリッジ保持器106の上にねじ込まれうるカニューレ109を介して放出される。この容器は、カートリッジ保持器106に連結される近位端部分108を備える。
投薬組立体122は、ピストンロッド114を備え、ピストンロッド114は、容器100が投薬組立体122に装着/固定されるときに、ピストン116(それは、このピストン116とカートリッジ104の内側壁との間に封止効果を与える程に十分に柔軟でなければならない)よりも剛性である相互連結要素148を介してピストン116に当接する。相互連結要素を設けることによって、投薬中にピストンロッド114によって与えられる力は、このピストンロッドが相対的に軟質のピストンに直接当接する場合よりも、ピストンのより大きな面積に加えられる。
【0046】
投薬組立体122及び容器100は第1及び第2の符号化要素150、152を備えるが、これらの要素のそれぞれが、複数の軸方向へ延びる輪形状の符号化突出部154を有する。第1の符号化要素150は遠位へ延びる符号化突出部156を備え、第2の符号化要素152は近位へ延びる符号化突出部158を備える。これらの符号化突出部は異なる長さ及び幅を有しうる。したがって、所定の第2の符号化要素152を有する容器のみが、所定の第1の符号化要素154を有する投薬組立体に装着/固定されうる。図14bの実施形態のシステムでは、第1及び第2の符号化要素150、152は、それぞれが5つまでの同心の符号化突出部を有しうる。しかし、本図面では、第1の符号化要素150が3つのみの符号化突出部を備え、他方では第2の符号化要素が2つのみの符号化突出部を備える。他の実施形態では、輪形状の突出部の合計数が、1、2、3、4、6、7等々のように様々であることが理解されよう。
【0047】
図16〜18は、第1及び第2の符号化要素150、152の異なる実施形態を開示する。これらの3つの図における各第1の符号化要素150は、それぞれが3つの遠位へ延びる符号化突出部を有し、且つ各第2の符号化要素152が2つの近位へ延びる符号化突出部を有するけれども、これら3つの容器のいずれもが、所定の投薬組立体のみと嵌め合い/装着可能であることが理解されよう。
図16では、第1の符号化要素150が3つの遠位へ延びる符号化突出部1561、1562、1563を備え、第2の符号化要素152が2つの近位へ延びる符号化突出部1584、1585を備える。
【0048】
図17では、第1の符号化要素150が、この場合も3つの遠位へ延びる符号化突出部1561、1562、1564を備え、第2の符号化要素152が2つの近位へ延びる符号化突出部1583、1585を備える。
図18では、第1の符号化要素150が3つの遠位へ延びる符号化突出部1561、1563、1564を備え、第2の符号化要素152が2つの近位へ延びる符号化突出部1582、1585を備える。
【0049】
上で説明されたように、軸方向へ延びる突出部は、容器がその関連する投薬組立体に適正にロックされるときに同軸で噛み合い且つ軸方向に重なるように配置される輪形状構造体として形成されうる。特定の容器の輪形状構成は、隣接する輪形状の軸方向突出部間の中に又はこれらに隣接して、径方向位置に輪形状の軸方向後退部を形成する。輪形状後退部の径方向位置には、対応する輪形状の軸方向突出部が、容器の特定の選択に使用するように企図される投薬組立体の中に位置決めされる。
特定の容器では、輪形状構成を設ける突出部が、完全に360度にわたる連続的な輪形状要素として形成されうる。しかし、本発明の文脈の範囲内では、軸方向へ延びる突出部は、特定の径方向位置に配置されるが、小さい角度範囲のみを有する1つ又は複数の円弧部分によって形成されてよいことに留意されるべきである。特定の容器の該1つ又は複数の円弧部分と同じ径方向位置に形成された完全な円形の輪形状軸方向突出部が、互換性のない投薬組立体に設けられている限り、このような容器が互換性のない投薬組立体に使用されることが効果的に防止される。
【0050】
図15に示された実施形態は、少なくとも1つの突起が、容器と投薬組立体との間に差込み結合部を形成するために径方向へ外に向かって延びること示すが、図14a〜18に示された実施形態のすべては、容器を投薬組立体にロックするための任意の結合機構を備えてよいことに留意されるべきである。例えば、図1〜13に示された実施形態に関して説明された結合機構が使用されてよい。このような場合では、この容器が、第2の固定手段を形成する周方向の溝を含みうる。別法として、ねじ山付き結合部を使用して容器を投薬組立体と結合してもよい。
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器が、第1の固定手段と第2の固定手段との係合によって投薬組立体に固定されうる医療用送達システムに関する。更に本発明は、第1及び第2の容器、並びに第1及び第2の投薬組立体を備える医療用送達システムに関する。特に本発明は、符号化及び結合システムを有する容器と、投薬組立体とを備える医療用送達システムに関する。更に本発明は、医療用送達システムで使用するための容器及び投薬組立体に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、特定の患者集団によって適切に受け入れられる見込みのある優れた薬物送達装置を提供するために、より多様性のある薬剤送達システムが、患者の便宜のために発売されてきた。市販の送達システムの数が増えるにしたがって、数多くの様々な種類の薬物保持カートリッジ又は容器が流通している。こうした種類の容器の大半は様々な態様で異なる。
それぞれの薬物容器は、多様な異なる薬物から選択された特定の種類の薬物で充填されうるが、同種別の異なる種類の薬物(例えば、短時間又は長時間作用性インシュリン)及び異なる濃度の特定の各薬物も容器に収容されうる。
【0003】
更には、特定の使用者の必要に合わせてそれぞれの容器を特注するために、異なる容器容積、したがって送達システムを特注するために導入されうる。容器容積の相違は、容器の長さ又は直径を変えることによって実現されうる。これらの変更は通常、薬物を容器から放出する駆動要素の特定の行程を設けるように、又は最適の投薬精度を実現するように、薬物送達システムの、対応する投薬組立体の変更を意味する。異なる薬物容器間の更なる区別は、容器の中に収容されたピストンに必要とされる滑動摩擦のような、それぞれの特定の送達システムに関する設計要件によって実現されうる。
より多様性のある利用可能な容器を区別するために、数多くの容器符号化及び結合システムが開発されてきた。以下の機械的符号化及び結合システムが当業で知られている。
【0004】
米国特許第5,611,783号は、アンプルを備えうる遠位部分と、投与量設定及び駆動機構を内蔵する近位部分とを備えるペン形状の注射器に関する。これらの近位及び遠位部分は、噛み合う差込み式結合手段を有する。ある一定の遠位部分のみが、ある一定の近位部分と連結して使用されうることを保証するパターンを形成するために、突起が設けられうる。
WO03/017915A1は、機械式符号化が設けられた遠位端を有するカートリッジを開示する。この機械式符号化は、円形状の外径が、カートリッジの中に収容されたインシュリンの特定の濃度に専用である円形状突起の形態を有する。
【0005】
米国特許第5,693,027号は、選択された注射器に標準的なカートリッジを適合させるためのプラスチック蓋部を開示する。このプラスチック蓋部には、それが注射器の中でカートリッジと一緒に取り付けられたときに、そのプラスチック蓋部を回転不可能に維持するために、注射器の中の対応する手段とキー締め係合するための手段が設けられうる。幾つかの種類の注射器では更に、カートリッジと注射器の間のこのようなキー締め係合が、ある一定の種類のカートリッジのみが使用されることを保証するために使用される。
米国特許第6,648,859号(B2)は、薬物送達ペンの再使用可能なペン本体組立体に使用するための薬剤カートリッジ組立体を開示する。交差使用を排除するために、ペン本体組立体及び薬剤カートリッジはキー締めされる。すなわち、それらは対応するねじ山及び溝、差込みねじ山、並びに溝、スナップ嵌め、又は可逆式ルアーロック様態で嵌め合う1対のツメによってねじ山係合されうる。これらの嵌合い部材は他の組立体との交差使用を防止するように選択され、例えば、ねじ山のピッチは、相互にのみ嵌め合い且つ他の組立体とは嵌め合わないように角度が付けられうる。
【0006】
更に他の従来技術によるシステムが、DE20110690、WO03/011372、及びWO03/011373に説明されている。
以上に説明された参照文献が、別個の容器及びこれらの各互換性投薬組立体の組間における交差使用の排除に関連する範囲では、参照技術に機械的不具合の危険性に関して多少の欠点が残る。特に、それは、容器を関連する投薬組立体に結合及び固定するのに必要とされる結合移動が、相対的な回転移動を含む移動によって行われる場合に該当する。
【0007】
本発明の推奨される実施形態の目的は、知られたシステムの別法を提供することである。更には、本発明の推奨される実施形態の目的は、多数の可能な符号化幾何学配置を有する薬物送達システムを提供し、しかも他方では、従来技術によるシステムに比べて、堅牢な符号化幾何学配置を提供することである。
更には、本発明の推奨される実施形態の目的は、容器を投薬組立体に結合するときに、容器と互換性投薬組立体との間の回転式の位置合わせを必要としない符号化システムを提供することである。
【0008】
更には、本発明の推奨される実施形態の目的は、所定の医療用送達システムの容器及び投薬組立体が、互換性のある容器/投薬組立体の組における特定の選択に関係なく、相互に結合/結合解除(ロック/ロック解除)されるときに、使用者は、実質的に同じ操作上の固定/結合/ロック移動を経験する符号化システムを提供することである。
【発明の概要】
【0009】
第1の態様では、本発明は医療用送達システムに関し、該システムは、
− 滑動可能に配置されたピストンとの間に画定されたチャンバの中に薬物を収容する容器であって、ピストンが出口に向かって遠位方向へ軸方向に移動可能であることにより、チャンバの容積が低減して出口から薬物が放出されるもので、近位の内部開口を画定する近位円筒形縁区間を有する筐体区間を備える容器と、
− 前記容器の近位内部開口を貫通して延び、ピストンを遠位方向へ移動させるピストンロッドと、
− 容器に固定されることにより、容器と作用的に接触する投薬組立体であって、容器と作用的に接触しているときに駆動時にピストンロッドを遠位方向へ移動させる駆動部を備える投薬組立体と
を備え、
− 投薬組立体が、容器が投薬組立体と作用的に接触した状態でロックされるように、容器の第2の固定手段に係合する第1の固定手段を画定し、
− 容器の近位端部分が、容器の中に収容されるべき薬物に専用の少なくとも1つの符号化表面を画定し、符号化表面は、近位へ延びる1つ又は複数の突出部を備え、これらの又はそれぞれの近位へ延びる突出部は、縁部分と同心の第1の輪構成に配置され、
− 投薬組立体が、容器の中に収容されるべき薬物に専用であり且つ遠位へ延びる1つ又は複数の突出部を備える符号化表面を画定し、これらの又はそれぞれの遠位へ延びる突出部は第2の輪構成に配置され、
− 第1及び第2の輪構成が、容器が投薬組立体と作用的に接触した状態でロックされるとき、噛み合い且つ軸方向に重なる。
【0010】
本発明の文脈では、「医療用送達システム」という用語は、薬物含有の流動性薬剤を投与できる任意のシステムとして理解されるものとする。医療用送達システムの実施例は、注入ポンプ用途品、投薬器、ペン形状投薬器、モータ式投薬器、AutoPen(登録商標)のような自動注射器である。
本発明は、送達装置の投薬組立体に結合される容器から薬物を使用者に送達できるすべての種類の薬物送達装置に応用可能である。本送達装置は、薬剤の経皮、皮下、静脈内、筋肉内、又は経肺投与のための任意の送達装置を包含しうる。
【0011】
本明細書で使用される場合、「薬物」という用語は、中空針のような送達手段を介して制御されて送り出されうる、液体、溶液、ゲル、又は微粉懸濁液のような任意の薬物含有の流動性薬剤を包含することを意図している。代表的な薬物は、ペプチド、タンパク質(例えば、インシュリン、インシュリン類似物、及びC−ペプチド)、及びホルモンのような製薬、生物由来又は活性作用物質、ホルモン及び遺伝子を基にした作用物質、栄養調合剤、並びに固体(調剤された)又は液体の両形態にある他の物質を包含する。
容器のチャンバは、容器の1つ又は複数の側壁と滑動可能に配置されたピストンとによって画定されうる。大半の実施形態では、容器の少なくとも一部が輪形状であり、ピストンが内部に受け入れられる円筒形空洞を画定する。容器の遠位端は、チャンバの中に収容された薬物がカニューレを介して放出されることを可能にするように、カニューレによって穿通するための封止体を備えうる。容器の遠位端は、カニューレを保持する保持器に装着可能である。実施例として、容器の遠位端は、保持器が容器の上にねじ込まれることを可能にするように、保持器の対応するねじ山と協働するねじ山を備えうる。
【0012】
容器の出口は、カニューレもしくは針又は針ハブもしくは注入セット、あるいは容器の中に収容された薬物に流体アクセスする任意の他の流体連通導管と協働可能であえるか、又はこれらによって画定可能である。
ピストンロッドは、ピストンよりも剛性であり且つピストンの近位対向表面の少なくとも一部、好ましくは大半に当接する要素を備えることが可能であり、それによって剛性要素に対してピストンロッドによって加えられる力は、ピストンロッドがピストンに直接係合した場合よりも、ピストンの近位表面のより大きな面積に加えられる。これは、ピストンが弾性材料から作製されるときに有利である。
【0013】
本発明の文脈では、「凹部」、「溝」、及び「突起」という用語は、径方向へ延びる部材/要素/手段のみに関連して使用され、且つ「後退部」及び「突出部」という用語は、軸方向へ延びる部材/要素/手段のみに関連して使用される。しかし「凹部」、「溝」、及び「後退部」は同義語として理解されるものとし、且つ「突起」及び「突出部」は同義語として理解されるものとする。
第1の態様にしたがう本発明は、所定の容器のみが所定の投薬組立体に装着されうるので、使用者の安全性を向上させるものである。したがって、この投薬組立体は、薬物の所定の種類及び/また濃度に使用されるように指定可能であり、薬物の他の濃度又は種類を収容する互換性のない容器は、この投薬組立体に装着されえない。容器及び投薬組立体の符号化表面は、同心配置される輪構成として設けられるので、堅牢な符号化システムが提供され、したがって、それは安全性を増大させるものである。
【0014】
本医療用送達システムは更に、
− 本発明の第1の態様にしたがう第1の容器であって、本発明の第1の態様にしたがう第1の投薬組立体に固定される容器と、
− 本発明の第1の態様にしたがう第2の容器であって、本発明の第1の態様にしたがう第2の投薬組立体に固定される容器とを備えることが可能であり、
第1の容器、第2の容器、第1の投薬組立体、並びに第2の投薬組立体の少なくとも2つの第1及び/又は第2の符号化機構は、第1の投薬組立体及び第2の容器が相互に固定されることを防止し、且つ第2の投薬組立体及び第1の容器が相互に固定されることを防止する。
第1の容器は、第2の容器を第2の投薬組立体に結合するために必要とされる所定の移動と実質的に同一である所定の移動によって第1の投薬組立体に結合されうる。
【0015】
本システムは、そのように適合されるので、容器とその互換性のある投薬組立体との間の相対的な回転が、容器を投薬組立体に結合するための全手順中に、すなわち、容器が投薬組立体と作用的に接触した状態でロックされるその位置に容器が軸方向へ接近する間にも許容される。
容器及び投薬組立体は、相対的な回転移動を含む移動によって、例えば、ねじ山式連結によって又は差込みロック式連結によって相互にロックされる。
【0016】
別法として、容器及び投薬組立体は、並進及び非回転移動によって相互にロックされる。このようなロック手順は、相対的回転移動が軸方向の結合及びロック中に実施されうる場合に、しかし相対的回転移動が前提条件ではない場合にアレンジされうる。
容器筐体の外壁区間の末端近位部分が、近位開口を全周包囲する縁部分を画定するとき、軸方向へ延びる突出部は、全体的に又は部分的にこの開口の中に収容されうる。このような場合では、容器の縁部分は、符号化表面を機械的衝突から保護する。これは、特に精細で精緻な符号化構造体の場合に有利である。他の実施形態では、軸方向へ延びる突出部が開口を越えて近位方向へ延びうる。
【0017】
容器は、ピストン及び薬物を筐体の壁区間と流体接触して保持する一体構造式筐体として形成されうる。このような容器は、成形によって一体式に形成された軸方向へ延びる突出部を有する成型品として製造されうる。別法として、容器は、薬物用ガラス製カートリッジがカートリッジ保持器の中に一部又は全部が収容されるカートリッジ保持器として機能する。このカートリッジは、カートリッジ保持器に着脱可能に装着されうるか、又は別法として、カートリッジ保持器にもしくはその中に常時装着されうる。この容器の軸方向突出部は、カートリッジ保持器と一体構造式に形成されてもよいし、又は別法としてカートリッジ保持器に別体要素として装着されてもよい。したがって、これらの軸方向へ延びる突出部は、符号化表面の微細で精緻な構造体を可能にするガラス製カートリッジとは別体である要素によって形成される。
【0018】
第2の態様では、本発明は医療用送達システムに関し、本システムは、
− 滑動可能に配置されたピストンとの間に画定されるチャンバの中に薬物を収容する容器であって、このピストンが出口に向かって遠位方向へ移動可能であることによりチャンバの容積が低減して出口から薬物が放出される容器、
− 容器と作用的に接触するように容器に固定された投薬組立体であって、投薬組立体が容器と作用的に接触しているときにピストンを遠位方向へ移動させる駆動部を有する投薬組立体と
を備え、
− 投薬組立体及び容器のうちの一方が、投薬組立体とが作用的に接触した状態で容器をロックするように容器及び投薬組立体のうちの他方の第2の固定手段に係合する第1の固定手段を画定し、
− 第2の固定手段が径方向へ延びる溝を画定し、第1の固定手段は、柔軟なロック部材を備え、このロック部材が、
− ロック部材の少なくとも一部が径方向へ延びる溝の少なくとも一部に係合し、よって投薬組立体に対する容器の並進移動がロックされるロック形状と、
− ロック部材が径方向へ延びる溝に係合せず、よって投薬組立体に対する容器の並進移動がロックされない、ロック形状とは異なる非ロック形状と
の間で変化しうる。
【0019】
径方向へ延びる溝は容器の外表面上に画定可能であり、周方向へ延びる溝を画定するように容器の全周回りに延びうる。別法として、径方向へ延びる溝は、容器の外周に沿って離間された溝部分に分割されうる。1つの実施形態では、ロック部材が、容器を投薬組立体にロック/固定する間に溝の一部に係合する。
1つの実施形態では、容器が第2の固定手段を備え、且つ投薬組立体が第1のロック手段を備える。別法の実施形態では、投薬組立体が第2の固定手段を備え、且つ容器が第1の固定手段を備える。
【0020】
1つの実施形態では、ロック部材が、このロック部材の両側に設けられた2つのボタンのようなロック部材の所定の領域に指で圧力を加えることによって、ロック形状から非ロック形状に形状を変え、且つ指の圧力が除去されると逆の方向へ形状を変える。
1つの実施形態では、ロック部材が、このロック部材をロック位置に向かって偏倚する弾性材料を含む。この弾性材料は、ゴム、軟質プラスチック、ばね鋼のような、指で圧力を加えることによって形が修正されるのに適切な任意の材料でよい。1つの実施形態では、ロック部材は、このロック部材が投薬組立体の中に組み付けられるときに、投薬組立体の外表面からアクセス可能である少なくとも2つのボタンを備える。指で圧力をボタンに加えると(2つのボタンが相互に向かって移動させられるように)、ロック部材をロック形状から非ロック形状に変化させ、それによって使用者は容器を投薬組立体から取り外すことができる。更には、ロック部材の少なくとも一部が、ロック形状を画定するときに実質的に楕円形であり、且つ非ロック形状を画定するときに実質的に円筒形でありうる。
【0021】
更には、第1及び第2の固定手段の一方が、固定中に第1及び第2の固定手段の他方の1つ又は複数の対応する径方向へ延びる凹部の中に受け入れられる、1つ又は複数の径方向へ延びる突起を画定しうる。該突起/凹部は、第3の態様にしたがう本発明に関連して説明されるように符号化表面を画定しうる。
他の実施形態では、第1及び第2の固定手段の一方が、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10個のような複数の径方向及び軸方向へ延びる突起を備え、第1及び第2の固定手段の他方が、対応する数の凹部又は溝を備える。径方向へ延びる突起の符号化表面は、これらの突起のそれぞれの径方向及び/又は軸方向及び/又は周方向範囲、並びに第1及び第2の固定手段の内又は外表面上におけるこれらの突起の相対的な周方向位置によって画定されうる。
【0022】
径方向へ延びる突起は、本装置の長手軸を横切る平面内に対称的又は非対称的パターンで画定されうる。
本発明の文脈では、「非対称的パターン」という用語は、径方向へ延びる突起が非対称的パターンを画定するとき、2つの要素間、例えば、第1の固定手段と第2の固定手段との間に唯一の相対的な回転位置が存在し、その場合に径方向へ延びる突起は、対応する径方向へ延びる凹部の中に受け入れられうる様態であると理解されるものとする。
【0023】
第3の態様では、本発明が医療用送達システムに関し、該システムは、
− 滑動可能に配置されたピストンとの間に画定されたチャンバの中に薬物を収容する容器であって、ピストンが出口に向かって遠位方向へ移動可能であることにより、チャンバの容積が低減して出口から薬物が放出される容器と、
− ピストンを遠位方向へ移動させるピストンロッドと、
− 容器と作用的に接触するように容器に固定される投薬組立体であって、投薬組立体が容器と作用的に接触しているときに、ピストンロッドを遠位方向へ移動させる駆動部を備える投薬組立体と
を備え、
− この投薬組立体は、投薬組立体と作用的に接触した状態で容器をロックするように容器の第2の固定手段に係合する第1の固定手段を画定し、この第2の固定手段は、容器の近位端部分の上に画定され、
− この近位端部分は、投薬組立体の対応する符号化表面と協働する少なくとも1つの符号表面を画定し、これらの符号化表面のそれぞれが符号化表面の所定のグループから選択されない限り、投薬組立体及び容器が作用的に接触した状態でロックされることを防止する。
【0024】
ピストンロッドは、近位端部分に対して回転式に取付け可能であり、且つ該近位端部分に対して軸方向へ移動することが許容される。更には、容器及び/また近位端部分がピストンロッドを備えうる。1つの実施形態では、ピストンロッドが近位端部分及び/又は容器に着脱可能に装着される。別の実施形態では、ピストンロッドが容器/近位端部分から取り外されえないように、ピストンロッドは、近位端部分及び/又は容器に対して保持される。実施例として、ピストンロッドが近位端部分に対して第1の位置と第2の位置との間でのみ移動されうるように、近位端部分及び/又は容器は、近位端部分及び/又は容器に対するピストンロッドの並進移動を制限することが可能である。ピストンロッドが近位端部分及び/又は容器に対して2つの位置の間で滑動できるように、ピストンロッドは、近位端部分及び/又は容器の中に滑動式に受け入れられうる。
1つの実施形態では、近位端部分及び投薬組立体の一方の側壁が、径方向へ延びる少なくとも1つの突起を画定し、この少なくとも1つの突起のそれぞれは、容器が投薬組立体と作用的に接触しているときに、近位部分及び投薬組立体を相対的な回転移動に関してロックするように、近位端部分及び投薬組立体の他方の側壁中に画定された対応する径方向へ延びる凹部又は溝に係合する。更には、少なくとも1つの径方向へ延びる突起及び/又は対応する凹部が、符号化表面の少なくとも1つを画定しうる。
【0025】
1つ実施形態では、容器が、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10個のような複数の径方向及び軸方向へ延びる突起を備え、且つ投薬組立体が、対応する数の凹部又は溝を備える。径方向へ延びる突起の符号化表面は、これらの突起のそれぞれの径方向及び/又は軸方向及び/又は周方向範囲と、容器の外表面上又は投薬組立体の内表面上におけるこれらの突起の相対的な周方向位置とによって画定されうる。したがって、2つの径方向へ延びる突起は、異なる径方向範囲及び/又は軸方向範囲又は周方向範囲を有しうる。更には、それぞれの突起の径方向又は軸方向範囲は、例えば、突起の径方向範囲が本装置の近位方向へ低減するように変化しうる。
径方向へ延びる突起は、本装置の長手軸を横切る平面内に対称的又は非対称的パターンで画定されうる。
【0026】
医療用送達システムの幾つかの実施形態では、1つの投薬組立体が複数の所定の容器に固定されうることが理解されよう。実施例として、投薬組立体は、8つの所定の位置に位置決めされた8つの径方向へ延びる突起を備えることが可能であり、したがって該8つの所定の位置の1つ又は複数の位置に突起を有し、且つ他の位置のいずれにも突起を有していない容器は、いずれもこの投薬組立体に連結されることになる。したがって、8つの位置の5つの位置に5つの径方向へ延びる突起を有する容器は、投薬組立体の8つの凹部/溝の周方向/径方向/軸方向の範囲/位置によって、該5つの突起がこれらの凹部/溝の中に受け入れられることが許容されれば、この投薬組立体に結合されうる。
符号化表面は、第1/第2の固定手段の径方向及び/又は軸方向及び/又は周方向へ延びる表面の上のような、第1及び/又は第2の固定手段の一方の上に画定されうる。1つの実施形態では、容器を投薬組立体にロックするように、投薬組立体の第1の固定手段が、径方向へ移動されて容器の第2の固定手段(例えば、溝)と係合する。後者の実施形態では、突起が溝の中に画定可能であり、第1の固定手段が、容器の溝のこの突起を受け入れるために対応する凹部を画定しない限り、第1の固定手段が溝に係合することを防止する。
【0027】
追加的に又は補足として、容器の近位部分は、容器が投薬組立体と作用的に接触しているとき、投薬組立体の対応する遠位対向表面に係合する少なくとも1つの近位対向表面を画定しうる。更には、近位及び遠位対向表面の少なくとも一方が、符号化表面の1つ又は複数を画定しうる。
実施例として、(1つ又は複数の)近位対向表面及び(1つ又は複数の)遠位対向表面のこの少なくとも一方は、少なくとも1つの軸方向へ延びる突出部を画定することが可能であり、これらの突出部は、投薬組立体が容器と作用的に接触しているときに、近位及び遠位対向表面の他方の中に画定された対応する軸方向へ延びる後退部に係合することができる。更には、少なくとも1つの軸方向へ延びる突出部及び対応する後退部の1つ又は複数が、符号化表面の1つ又は複数を画定しうる。
【0028】
1つの実施形態では、投薬組立体の駆動部は、容器が投薬組立体と作用的に接触しているときに、投与量設定部材に係合する。投薬組立体の駆動部は、投与量設定部材、例えば、駆動部の手段が回転すると投与量設定部材を回転させ、それによって投与量設定部材がピストンロッドに対して近位方向へ移動されて投与量が設定されるように、ピストンロッドに連結されうる投与量設定部材に係合可能である。1つの実施形態では、ピストンロッドの外表面にねじ山が付けられ、投与量設定部材は、ピストンロッドのねじ山付き外表面に係合するねじ山付き内表面を有する通路を画定する。容器が投薬組立体に固定されるとき、駆動部及び投薬組立体は、例えば、上述の径方向へ延びる凹部/突起によって相対的な回転に関してロックされることが可能であり、それによって駆動部が回転すると投与量設定部材を回転させて投与量を設定させる。
1つの実施形態では、駆動部は、容器が投薬組立体に装着されるときに投与量設定部材の全周を包囲し、したがって駆動部の内表面は、駆動部及び投与量設定部材を相対的な回転に関してロックするために投与量設定部材の外表面に係合する。別法として、投与量設定部材は、容器が投薬組立体に装着されるときに駆動部の全周を包囲し、したがって投与量設定部材の内表面が、駆動部及び投与量設定部材を相対的な回転に関してロックするために駆動部の外表面に係合する。
【0029】
実施例として、駆動部及び投与量設定部材の少なくとも一方が、少なくとも1つの径方向へ延びる突起を画定することが可能であり、これらの少なくとも1つの突起のそれぞれは、投薬組立体が容器と作用的に接触しているときに、駆動部及び投与量設定部材の他方の中に画定された対応する(1つ又は複数の)凹部に係合する。更には、符号化表面の少なくとも1つが、少なくとも1つの突起及び対応する凹部によって画定されうる。
幾つかの実施形態では、容器及び投薬組立体が、相対的に軸方向へ並進及び非回転移動することによって相互に固定及びロックされる。
【0030】
1つの実施形態では、容器の第2の固定手段が径方向へ延びる溝を画定し、且つ投薬組立体の第1の固定手段がロック部材を備えるが、このロック部材は、ロック部材の少なくとも一部が径方向へ延びる溝の少なくとも一部に係合し、それによって容器が投薬組立体に対して並進移動することに関してロックされるロック位置と、ロック部材が径方向へ延びる溝に係合せず、それによって容器が投薬組立体に対して並進移動することに関してロックされない非ロック位置との間で移動可能である。
径方向へ延びる溝は、容器の外表面上に画定可能であり、且つ周方向へ延びる溝を画定するように容器の全周回りに延びうる。別法として、径方向へ延びる溝が、容器の外周に沿って離間された溝部分に分割されうる。1つの実施形態では、ロック部材が、容器を投薬組立体にロック/固定する間に溝の一部に係合する。別の実施形態では、ロック部材が、容器を投薬組立体にロック/固定する間に溝全体に係合する。
【0031】
ロック部材をロック位置と非ロック位置との間で変化させるために、ロック部材は、使用中のロック部材がロック位置に位置決めされるロック形状から、使用中のロック部材が非ロック位置に位置決めされる非ロック形状に変わりうる。1つの実施形態では、指で圧力をロック部材上の所定の領域/位置に加えることによって、ロック部材がロック形状から非ロック形状に変わり、且つ指の圧力が除去されるときに逆方向へ変化する。
1つの実施形態では、ロック部材が、このロック部材をロック位置に向かって偏倚する弾性材料を含む。この弾性材料は、ゴム、軟質プラスチック、ばね鋼のような、指で圧力を加えることによって形が修正されるのに適切な任意の材料でよい。1つの実施形態では、ロック部材は、このロック部材が投薬組立体の中に組み付けられるときに、投薬組立体の外表面からアクセス可能である少なくとも2つのボタンを備える。指で圧力をボタンに加えると(2つのボタンが相互に向かって移動させられるように)、ロック部材をロック形状から非ロック形状に変化させ、それによって使用者は容器を投薬組立体から取り外すことができる。更には、ロック部材の少なくとも一部はロック形状の画定するときに実質的に楕円形であり、且つ非ロック形状の画定するときに実質的に円筒形でありうる。
【0032】
容器は、標準的なガラス製カートリッジのような、薬物を収容するためのカートリッジを備えうる。このカートリッジは、カートリッジ保持器に着脱可能に装着されうる。このような場合に、カートリッジ保持器は容器を構成する。使用者は、空のカートリッジを満杯のカートリッジと交換することができる。別法として、カートリッジは、このカートリッジが取り外されるとカートリッジ保持器が変形/損傷されるように、カートリッジ保持器に非着脱式に装着されうる。カートリッジ保持器は、容器と一体型であってもよいし、又は容器の近位端部分に装着されてもよい。1つの実施形態では、カートリッジ保持器は近位端部分に対して軸方向に保持され、他方ではカートリッジ保持器及び近位端部分が相互に対して回転することが許容される。このような実施形態では、容器符号化表面が投薬組立体符号化表面と噛み合うが、容器の遠位部分が容器符号化表面に対して回転可能であることにより、符号化表面に対して作用する破壊的な回転力の危険性が低減される。更に別の実施形態では、カートリッジ保持器及び近位端部分が一体要素を画定する。すなわち、継ぎ目なしの1つの要素を形成する。更に他の実施形態では、近位端部分、カートリッジ保持器、及びカートリッジが一体要素を画定する。
【0033】
第4の態様では、本発明は、本発明の第1、第2、又は第3の態様にしたがう医療用送達システムで使用するのに適切な容器に関する。
第4の態様にしたがう本発明は、本発明の第1、第2、又は第3の態様にしたがう本発明の任意の特徴構造及び/又は要素を含みうる。
【0034】
第5の態様では、本発明は、本発明の第1、第2、又は第3の態様にしたがう医療用送達システムで使用するのに適切な投薬組立体に関する。
第5の態様にしたがう本発明は、本発明の第1又は第3の態様にしたがう本発明の任意の特徴構造及び/又は要素を含みうる。
【0035】
本発明は、ここで図面を参照して更に詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】第1の実施形態による、本発明の第2の態様に関連する弾性ロック部材を開示する図である。
【図2】第1の実施形態による、本発明の第2の態様に関連する弾性ロック部材を開示する図である。
【図3】第1の実施形態による、本発明の第2の態様に関連する弾性ロック部材を開示する図である。
【図4】第1の実施形態による、本発明の第2の態様に関連する弾性ロック部材を開示する図である。
【図5】第2の実施形態による、本発明の第3の態様に関連する容器を開示する図である。
【図6】第2の実施形態による、本発明の第3の態様に関連する容器を開示する図である。
【図7】第2の実施形態にしたがう医療用送達システムを開示する図である。
【図8】第2の実施形態にしたがう投薬組立体を開示する図である。
【図9】第2の実施形態にしたがう容器の近位部分を開示する図である。
【図10】第2の実施形態による投与量設定部材を開示する図である。
【図11】第2の実施形態による投与量設定部材を開示する図である。
【図12】第2の実施形態による投与量設定部材を開示する図である。
【図13】第2の実施形態による投与量設定部材を開示する図である。
【図14】第3の実施形態による、本発明の第1の態様に関連する医療用送達システムを開示する図である。
【図15】第3の実施形態による、本発明の第1の態様に関連する医療用送達システムを開示する図である。
【図16】第2の実施形態の符号化表面の一実施形態を開示する図である。
【図17】第2の実施形態の符号化表面の別の実施形態を開示する図である。
【図18】第2の実施形態の符号化表面のまた別の実施形態を開示する図である。
【実施例】
【0037】
図1〜4は、投薬組立体122(一部のみを示す)を備える医療用送達システム102のための容器100を開示する。この容器は、図5〜18に関連して以下で説明されるようなカートリッジを備えうる。このカートリッジはカートリッジ保持器の中に収容されうる。図1〜4の実施形態では、投薬組立体122が、この投薬組立体122の周方向へ延びる凹み162の中に受け入れられたロック部材160を備える。ロック部材160は、このロック部材の少なくとも一部が容器100の径方向へ延びる溝164に係合するロック形状から、ロック部材100が容器100の径方向へ延びる溝164に係合しない非ロック形状に、ロック部材160が形状を変えることを可能にする弾性材料を含む。ロック部材160がその非ロック形状にあると、容器100は投薬組立体から取り外し可能である。
使用者は、この弾性材料により、相互に対向して位置決めされる2つのボタン166に指で圧力を加えることによってロック部材160の形状を変えることができる。2つのボタン166が相互に向かって押されるとき、ロック部材160は、ロック位置から非ロック位置に向かって/非ロック位置へと形状を変える。ロック部材160がそのロック位置にあるとき、部材160の一部は実質的に楕円形状(図2〜3に示す)を画定し、この楕円形状は、2つのボタンが相互に向かって強制されるとき、実質的に円形状に変えられる。2つのボタン166は、投薬組立体122の外表面からアクセス可能である。
【0038】
容器100は傾斜表面168を備えるが、この表面は、容器100が、投薬組立体122の中へ強制されるとき、ロック部材166を移動させてロック位置から離すことを可能にし、したがってこの容器が投薬組立体122の中へ挿入されることを可能にする。これらの傾斜表面は、ボタン166に圧力を加えることなく、使用者が容器100を投薬組立体122に固定することを可能にする。したがって、傾斜表面168を備えていない実施形態では、使用者が、容器を投薬組立体に固定できるためには、ボタン166に指で圧力を加えることによってロック部材160をロック位置から非ロック位置に移動させなければならない。
【0039】
図4では、投薬組立体が2つの軸方向へ延びる突出部170を備えるが、これらの突出部は、容器100が対応する後退部172を画定しない限り、容器100が投薬組立体122に固定されることを防止する。したがって、後退部172及び突出部170は本装置の符号化表面を画定する。特定の実施形態では、凹部及び突起を形成する容器の近位部分が、容器の残りの部分に対して回転できるように形成される。別の実施形態(図示せず)では、容器が投薬組立体に固定されるとき、ロック部材160は、容器の対応する径方向へ延びる凹部の中に受け入れられる1つ又は複数の径方向へ延びる突起を画定する。したがって、凹部を画定しない容器は投薬組立体に固定されえない。凹部及び突起の形状並びに位置は、異なる符号化幾何学配置を画定するために変更可能である。これらの幾何学配置は、突起/後退部の周方向範囲及び/もしくは周方向位置、並びに/又は形状を変えることによって変更可能である。
更には、本発明の第1の態様にしたがう容器及び投薬組立体が、本発明の第3の態様に関連して説明される符号化幾何学配置のいずれかを備えることができる。
【0040】
図5〜13は、本発明の第3の態様にしたがう本発明を開示する。
図5及び6は、投薬組立体122を備える医療用送達システム102のための容器100(図7参照)を開示する。容器100は、カートリッジ保持器106の中に収容されたカートリッジ104(図5及び6では見えていない)を備える。近位端部分108が、容器100の近位端の中に設けられる。図5は、カートリッジがカートリッジ保持器106の中へ挿入されうる近位端部分108を装着する前の容器を開示する。図6は、近位端部分108がカートリッジ保持器106に非着脱式に装着された後の容器を開示する。カートリッジ保持器106は、カニューレを有するハブ(図示せず)を容器に固定するためのねじ山付き遠位端110を備える。近位端部分108は、この近位端部分108をカートリッジ保持器106に固定するように、カートリッジ保持器106の対応する固定手段(図示せず)に係合する固定手段112を備える。
【0041】
更には、容器100は、近位端部分108がカートリッジ保持器106に装着されるときに、ピストン116(図7及び8参照)に当接するピストンロッド114を備えて、ピストンロッド114が遠位へ移動すると、ピストン116が遠位方向118へ移動させられ、それによってカートリッジ104の中に収容された薬物の投与量がカニューレを介して放出されうる。近位端部分108は8つの径方向へ延びる突起120を備え、これらの突起は、該径方向へ延びる突起が投薬組立体122(図7及び8に示す)の対応する径方向へ延びる凹部124に係合するときに、近位端部分108を投薬組立体122に対する回転に関してロックするために使用される。径方向へ延びる突起120は更に、この径方向へ延びる突起118が所定のパターンで設けられ、且つ所定の形状を画定し(径方向へ、軸方向へ、且つ周方向へ)、よって所定の符号化パターンで設けられた径方向へ延びる突起118を有する容器のみが、特定の投薬組立体122に固定されうるので、符号化表面を画定する目的に適う。
近位端部分108は、投薬組立体122の第1の固定手段128によって係合される溝の形態にある周方向へ延びる第2の固定手段126を備える。第1の固定手段128は径方向へ延びる突起130を備えるが、この突起は、ボタン131を駆動すると、容器100の第2の固定手段126の少なくとも一部に対して入出するように移動可能であり、それによって容器100は、投薬組立体122に/投薬組立体122から、それぞれロック及びロック解除される。第1の固定手段128は、径方向へ延びる突起130を第1の方向134へ偏倚するように配置された、ばね132を備える。近位端部分108を投薬組立体122の中へ挿入すると、近位端部分108の傾斜表面136が、第1の方向134とは反対の方向へ第1の固定手段128を強制する。第2の固定手段126が第1の固定手段128と同じ軸方向位置にあるとき、ばね132は、径方向へ延びる突起130を容器の第2の固定手段126の溝の中へ強制し、それによって容器は投薬組立体に軸方向でロックされる。容器100を投薬組立体122からロック解除するために、ボタン131は、第1の方向134とは反対の方向へ移動されなければならず、それによって径方向へ延びる突起130は、第2の固定手段126の溝から外に移動される。1つの実施形態では、第1及び/又は第2の固定手段が1つもしくは複数の符号化表面を備え、それによって所定の容器100のみが所定の投薬組立体122に固定されうる。
【0042】
図9は、それぞれが上で説明された傾斜表面136を有する8つの径方向へ延びる突起120を備える近位端部分108を開示する。他の実施形態では、近位端部分108は、より少ないか又は更なる径方向へ延びる突起を備えうる。径方向へ延びる突起は、所定の容器のみが所定の投薬組立体に装着されることを保証するために符号化表面を画定する。この符号化表面は、突起120の周方向、径方向、もしくは軸方向範囲を変えることによって、又は、対称的もしくは非対称的パターンであるように、所定のパターンで周方向に突起を設けることによって変更可能である。
図9の実施形態では、近位端部分の第2の固定手段126が、符号化突起138により、容器/近位端部分の符号化の一部を形成する。したがって、対応する符号化後退部を有する投薬組立体のみが容器に固定可能である。近位端部分108の他の実施形態では、第2の固定手段126の軸方向範囲が、容器/近位端部分を符号化するために変更される。更に他の実施形態では、第2の固定手段126の径方向深さが、本装置を符号化するために使用される。
【0043】
近位端部分108をカートリッジ保持器106に固定するために、近位端部分108が、カートリッジ保持器106及び近位端部分108を相互に非解放式に装着するように、カートリッジ保持器106の対応する固定手段に係合する固定手段140を備える。
【0044】
図10〜13は、ピストンロッド114のねじ山付き外表面に係合するねじ山付き内表面144を有する投与量設定部材142を開示する。投与量設定部材142は、この投与量設定部材の内表面148の上に画定された径方向へ延びる後退部146と、投薬組立体122の駆動部(図示せず)の径方向へ延びる突起(図示せず)との間の係合により、この駆動部に対して回転式に保持される。幾つかの実施形態では、径方向へ延びる後退部146が投与量設定部材142の外表面150の上に画定され、駆動部が投与量設定部材142の外表面の後退部146に係合するように設計される。符号化表面の少なくとも一部が、径方向へ延びる後退部146によって画定されうるが、その凹部の幾何学配置は、これらの後退部の周方向幅、径方向深さ、軸方向長さ、及び周方向位置の1つ又は複数を変えることによって変更可能である。
【0045】
図14a〜15は、本発明の第3の実施形態にしたがう医療用送達システム102を開示する。医療用送達システム102は、容器100及び投薬組立体122を備える。この容器は、薬物を収容するためのチャンバ107を画定するカートリッジ104を収容するカートリッジ保持器106を備える。ピストン116がチャンバ107の中に設けられ、このピストンが遠位方向118へ移動されるとき、チャンバ107の中に用意された薬物の投与量が、ねじ山付き遠位端110によってカートリッジ保持器106の上にねじ込まれうるカニューレ109を介して放出される。この容器は、カートリッジ保持器106に連結される近位端部分108を備える。
投薬組立体122は、ピストンロッド114を備え、ピストンロッド114は、容器100が投薬組立体122に装着/固定されるときに、ピストン116(それは、このピストン116とカートリッジ104の内側壁との間に封止効果を与える程に十分に柔軟でなければならない)よりも剛性である相互連結要素148を介してピストン116に当接する。相互連結要素を設けることによって、投薬中にピストンロッド114によって与えられる力は、このピストンロッドが相対的に軟質のピストンに直接当接する場合よりも、ピストンのより大きな面積に加えられる。
【0046】
投薬組立体122及び容器100は第1及び第2の符号化要素150、152を備えるが、これらの要素のそれぞれが、複数の軸方向へ延びる輪形状の符号化突出部154を有する。第1の符号化要素150は遠位へ延びる符号化突出部156を備え、第2の符号化要素152は近位へ延びる符号化突出部158を備える。これらの符号化突出部は異なる長さ及び幅を有しうる。したがって、所定の第2の符号化要素152を有する容器のみが、所定の第1の符号化要素154を有する投薬組立体に装着/固定されうる。図14bの実施形態のシステムでは、第1及び第2の符号化要素150、152は、それぞれが5つまでの同心の符号化突出部を有しうる。しかし、本図面では、第1の符号化要素150が3つのみの符号化突出部を備え、他方では第2の符号化要素が2つのみの符号化突出部を備える。他の実施形態では、輪形状の突出部の合計数が、1、2、3、4、6、7等々のように様々であることが理解されよう。
【0047】
図16〜18は、第1及び第2の符号化要素150、152の異なる実施形態を開示する。これらの3つの図における各第1の符号化要素150は、それぞれが3つの遠位へ延びる符号化突出部を有し、且つ各第2の符号化要素152が2つの近位へ延びる符号化突出部を有するけれども、これら3つの容器のいずれもが、所定の投薬組立体のみと嵌め合い/装着可能であることが理解されよう。
図16では、第1の符号化要素150が3つの遠位へ延びる符号化突出部1561、1562、1563を備え、第2の符号化要素152が2つの近位へ延びる符号化突出部1584、1585を備える。
【0048】
図17では、第1の符号化要素150が、この場合も3つの遠位へ延びる符号化突出部1561、1562、1564を備え、第2の符号化要素152が2つの近位へ延びる符号化突出部1583、1585を備える。
図18では、第1の符号化要素150が3つの遠位へ延びる符号化突出部1561、1563、1564を備え、第2の符号化要素152が2つの近位へ延びる符号化突出部1582、1585を備える。
【0049】
上で説明されたように、軸方向へ延びる突出部は、容器がその関連する投薬組立体に適正にロックされるときに同軸で噛み合い且つ軸方向に重なるように配置される輪形状構造体として形成されうる。特定の容器の輪形状構成は、隣接する輪形状の軸方向突出部間の中に又はこれらに隣接して、径方向位置に輪形状の軸方向後退部を形成する。輪形状後退部の径方向位置には、対応する輪形状の軸方向突出部が、容器の特定の選択に使用するように企図される投薬組立体の中に位置決めされる。
特定の容器では、輪形状構成を設ける突出部が、完全に360度にわたる連続的な輪形状要素として形成されうる。しかし、本発明の文脈の範囲内では、軸方向へ延びる突出部は、特定の径方向位置に配置されるが、小さい角度範囲のみを有する1つ又は複数の円弧部分によって形成されてよいことに留意されるべきである。特定の容器の該1つ又は複数の円弧部分と同じ径方向位置に形成された完全な円形の輪形状軸方向突出部が、互換性のない投薬組立体に設けられている限り、このような容器が互換性のない投薬組立体に使用されることが効果的に防止される。
【0050】
図15に示された実施形態は、少なくとも1つの突起が、容器と投薬組立体との間に差込み結合部を形成するために径方向へ外に向かって延びること示すが、図14a〜18に示された実施形態のすべては、容器を投薬組立体にロックするための任意の結合機構を備えてよいことに留意されるべきである。例えば、図1〜13に示された実施形態に関して説明された結合機構が使用されてよい。このような場合では、この容器が、第2の固定手段を形成する周方向の溝を含みうる。別法として、ねじ山付き結合部を使用して容器を投薬組立体と結合してもよい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
− 滑動可能に配置されたピストンとの間に画定されるチャンバの中に薬物を収容する容器であって、ピストンが出口に向かって遠位方向へ軸方向に移動可能であることにより、チャンバの容積が低減して出口から薬物が放出されるもので、近位の内部開口を画定する近位円筒形縁区間を有する筐体区間を備える容器と、
− 前記容器の近位内部開口を貫通して延び、ピストンを遠位方向へ移動させるピストンロッドと、
− 容器に固定されて、容器と作用的に接触する投薬組立体であって、投薬組立体が容器と作用的に接触しているときにピストンロッドを遠位方向へ移動させる駆動部を備える投薬組立体と
を備える医療用送達システムであって、
− 投薬組立体が、容器が投薬組立体と作用的に接触した状態でロックされるように、容器の第2の固定手段に係合する第1の固定手段を画定し、
− 容器の近位端部分が、容器の中に収容されるべき薬物に専用の少なくとも1つの符号化表面を画定し、符号化表面は、近位へ延びる1つ又は複数の突出部を備え、前記又はそれぞれの近位へ延びる突出部は、前記縁部分と同心の第1の輪構成に配置され、
− 投薬組立体が、容器の中に収容されるべき薬物に専用であって、遠位へ延びる1つ又は複数の突出部を備える符号化表面を画定し、前記又はそれぞれの遠位へ延びる突出部は第2の輪構成に配置され、且つ
− 容器が投薬組立体と作用的に接触した状態でロックされるとき第1及び第2の輪構成が噛み合い且つ軸方向に重なる
医療用送達システム。
【請求項2】
− 請求項1に記載の第1の投薬組立体に固定される、請求項1に記載の第1の容器と、
− 請求項1に記載の第2の投薬組立体に固定される、請求項1に記載の第2の容器と
を備える、医療用送達システムであって、
第1の容器、第2の容器、第1の投薬組立体、及び第2の投薬組立体のうちの少なくとも2つの第1及び/又は第2の符号化機構が、第1の投薬組立体と第2の容器が相互に固定されることを防止し、且つ第2の投薬組立体と第1の容器が相互に固定されることを防止する、医療用送達システム。
【請求項3】
第1の容器が、第2の容器を第2の投薬組立体に結合するために必要とされる所定の移動と実質的に同一である所定の移動によって第1の投薬組立体に結合される、請求項1又は2に記載の医療用送達システム。
【請求項4】
容器及び投薬組立体が、容器を投薬組立体に固定する間に、相互の軸方向距離に関係なく、容器の遠位端部分と投薬組立体との相対的な回転を許容するように構成される、請求項1〜3のいずれか1項に記載の医療用送達システム。
【請求項5】
容器及び投薬組立体が、相対的な回転移動を含む移動によって相互にロックされる、請求項1〜3のいずれか1項に記載の医療用送達システム。
【請求項6】
容器及び投薬組立体が、並進及び非回転移動によって相互にロックされる、請求項1〜4のいずれか1項に記載の医療用送達システム。
【請求項7】
容器の第2の固定手段が径方向へ延びる溝を画定し、投薬組立体の第1の固定手段がロック部材を備え、このロック部材が、
− ロック部材の少なくとも一部が径方向へ延びる溝の少なくとも一部に係合し、よって、投薬組立体に対する容器の並進移動がロックされるロック位置と、
− ロック部材が径方向へ延びる溝に係合せず、よって、投薬組立体に対する容器の並進移動がロックされない非ロック位置と
の間で移動可能である、請求項6に記載の医療用送達システム。
【請求項8】
ロック部材の所定の領域に指で圧力を加えることによって、ロック部材が、使用中ロック位置に位置決めされるロック形状から、使用中非ロック位置に位置決めされる非ロック形状に形状を変える、請求項7に記載の医療用送達システム。
【請求項9】
ロック部材の少なくとも一部が、ロック形状を画定するときに実質的に楕円形であり、且つ非ロック形状を画定するときに実質的に円筒形である、請求項8に記載の医療用送達システム。
【請求項10】
第1及び第2の固定手段のうちの一方が、固定中に第1及び第2の固定手段のうちの他方に設けられた1つ又は複数の対応する径方向へ延びる凹部の中に受けられる、1つ又は複数の径方向へ延びる突起を画定する、請求項6〜9のいずれか1項に記載の医療用送達システム。
【請求項11】
容器の第1の輪構成の1つ又は複数の軸方向へ延びる突出部が、容器の近位開口の中に形成される、請求項1〜9のいずれか1項に記載の医療用送達システム。
【請求項12】
容器が、ピストンを収容するガラス製カートリッジを保持し、第1の輪構成を形成する1つ又は複数の近位へ延びる突出部が、ガラス製カートリッジとは別個の要素によって形成される、請求項1〜11のいずれか1項に記載の医療用送達システム。
【請求項13】
請求項1〜12のいずれか1項に記載の医療用送達システムに使用するのに適切な容器。
【請求項14】
請求項1〜12のいずれか1項に記載の医療用送達システムに使用するのに適切な投薬組立体。
【請求項1】
− 滑動可能に配置されたピストンとの間に画定されるチャンバの中に薬物を収容する容器であって、ピストンが出口に向かって遠位方向へ軸方向に移動可能であることにより、チャンバの容積が低減して出口から薬物が放出されるもので、近位の内部開口を画定する近位円筒形縁区間を有する筐体区間を備える容器と、
− 前記容器の近位内部開口を貫通して延び、ピストンを遠位方向へ移動させるピストンロッドと、
− 容器に固定されて、容器と作用的に接触する投薬組立体であって、投薬組立体が容器と作用的に接触しているときにピストンロッドを遠位方向へ移動させる駆動部を備える投薬組立体と
を備える医療用送達システムであって、
− 投薬組立体が、容器が投薬組立体と作用的に接触した状態でロックされるように、容器の第2の固定手段に係合する第1の固定手段を画定し、
− 容器の近位端部分が、容器の中に収容されるべき薬物に専用の少なくとも1つの符号化表面を画定し、符号化表面は、近位へ延びる1つ又は複数の突出部を備え、前記又はそれぞれの近位へ延びる突出部は、前記縁部分と同心の第1の輪構成に配置され、
− 投薬組立体が、容器の中に収容されるべき薬物に専用であって、遠位へ延びる1つ又は複数の突出部を備える符号化表面を画定し、前記又はそれぞれの遠位へ延びる突出部は第2の輪構成に配置され、且つ
− 容器が投薬組立体と作用的に接触した状態でロックされるとき第1及び第2の輪構成が噛み合い且つ軸方向に重なる
医療用送達システム。
【請求項2】
− 請求項1に記載の第1の投薬組立体に固定される、請求項1に記載の第1の容器と、
− 請求項1に記載の第2の投薬組立体に固定される、請求項1に記載の第2の容器と
を備える、医療用送達システムであって、
第1の容器、第2の容器、第1の投薬組立体、及び第2の投薬組立体のうちの少なくとも2つの第1及び/又は第2の符号化機構が、第1の投薬組立体と第2の容器が相互に固定されることを防止し、且つ第2の投薬組立体と第1の容器が相互に固定されることを防止する、医療用送達システム。
【請求項3】
第1の容器が、第2の容器を第2の投薬組立体に結合するために必要とされる所定の移動と実質的に同一である所定の移動によって第1の投薬組立体に結合される、請求項1又は2に記載の医療用送達システム。
【請求項4】
容器及び投薬組立体が、容器を投薬組立体に固定する間に、相互の軸方向距離に関係なく、容器の遠位端部分と投薬組立体との相対的な回転を許容するように構成される、請求項1〜3のいずれか1項に記載の医療用送達システム。
【請求項5】
容器及び投薬組立体が、相対的な回転移動を含む移動によって相互にロックされる、請求項1〜3のいずれか1項に記載の医療用送達システム。
【請求項6】
容器及び投薬組立体が、並進及び非回転移動によって相互にロックされる、請求項1〜4のいずれか1項に記載の医療用送達システム。
【請求項7】
容器の第2の固定手段が径方向へ延びる溝を画定し、投薬組立体の第1の固定手段がロック部材を備え、このロック部材が、
− ロック部材の少なくとも一部が径方向へ延びる溝の少なくとも一部に係合し、よって、投薬組立体に対する容器の並進移動がロックされるロック位置と、
− ロック部材が径方向へ延びる溝に係合せず、よって、投薬組立体に対する容器の並進移動がロックされない非ロック位置と
の間で移動可能である、請求項6に記載の医療用送達システム。
【請求項8】
ロック部材の所定の領域に指で圧力を加えることによって、ロック部材が、使用中ロック位置に位置決めされるロック形状から、使用中非ロック位置に位置決めされる非ロック形状に形状を変える、請求項7に記載の医療用送達システム。
【請求項9】
ロック部材の少なくとも一部が、ロック形状を画定するときに実質的に楕円形であり、且つ非ロック形状を画定するときに実質的に円筒形である、請求項8に記載の医療用送達システム。
【請求項10】
第1及び第2の固定手段のうちの一方が、固定中に第1及び第2の固定手段のうちの他方に設けられた1つ又は複数の対応する径方向へ延びる凹部の中に受けられる、1つ又は複数の径方向へ延びる突起を画定する、請求項6〜9のいずれか1項に記載の医療用送達システム。
【請求項11】
容器の第1の輪構成の1つ又は複数の軸方向へ延びる突出部が、容器の近位開口の中に形成される、請求項1〜9のいずれか1項に記載の医療用送達システム。
【請求項12】
容器が、ピストンを収容するガラス製カートリッジを保持し、第1の輪構成を形成する1つ又は複数の近位へ延びる突出部が、ガラス製カートリッジとは別個の要素によって形成される、請求項1〜11のいずれか1項に記載の医療用送達システム。
【請求項13】
請求項1〜12のいずれか1項に記載の医療用送達システムに使用するのに適切な容器。
【請求項14】
請求項1〜12のいずれか1項に記載の医療用送達システムに使用するのに適切な投薬組立体。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14a】
【図14b】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14a】
【図14b】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公表番号】特表2010−509963(P2010−509963A)
【公表日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−536748(P2009−536748)
【出願日】平成19年11月17日(2007.11.17)
【国際出願番号】PCT/EP2007/062478
【国際公開番号】WO2008/059063
【国際公開日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【出願人】(596113096)ノボ・ノルデイスク・エー/エス (241)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年11月17日(2007.11.17)
【国際出願番号】PCT/EP2007/062478
【国際公開番号】WO2008/059063
【国際公開日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【出願人】(596113096)ノボ・ノルデイスク・エー/エス (241)
【Fターム(参考)】
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