説明

抗ステーリング組成物及びこの組成物を含むベーカリー製品

ステノール及び/又はスタノール脂肪酸エステルと特定の乳化剤とを含むベーカリー製品は、柔らかく且つステーリングする傾向が少ない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は改良された柔らかさを有し、貯蔵時にステーリングしにくいベーカリー製品に関する。
【背景技術】
【0002】
柔らかいベーカリー製品、例えば、パン、ケーキ、ドーナツは、日々の食品摂取の一部として広く消費されている。
【0003】
これらの製品の新鮮さ、特にパンの新鮮さは一般に消費者に喜ばれる。新鮮さの認識を決定するパラメータの一つは、ベーカリー製品の柔らかさである。ベーカリー製品が柔らかいほど、より新鮮であると通常は考えられている。さらに、この柔らかさは、ベーカリー製品を貯蔵した場合に保たれることが望まれる。製品の柔らかさの低下(これは部分的には製品の乾燥によるであろう)は、当分野においては、製品のステーリング(staling)として知られている。
【0004】
ステーリングを防ぐためには、抗ステーリング剤をベーカリー組成物に添加する。当分野で公知の抗ステーリング剤は、例えば、カルシウムステアロイルラクチレート(CSL)、SSL、及びグリセロールモノステアレートなどの乳化剤である。
【0005】
別の抗ステーリング剤は、酵素又は酵素の混合物である。例えば、微生物由来アミラーゼまたは麦芽由来アミラーゼを、抗ステーリング剤としてパン生地に添加してもよい。
【0006】
これらの抗ステーリング剤は、ベーカリー組成物、特にパン、の柔らかさを保つことにいくらかの改善をもたらすが、さらなる改善が望まれている。
【特許文献1】国際公開WO03/055324号パンフレット
【特許文献2】国際公開WO02/82929号パンフレット
【特許文献3】米国特許出願公開第2002−0016317号公報
【特許文献4】欧州特許出願第1275309号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
柔らかく且つ貯蔵時に柔らかなままであるベーカリー製品をもたらすベーカリー製品組成物を提供することが本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
〔本発明の定義〕
カルシウムステアロイルラクチレート、ナトリウムステアロイルラクチレート、グリセロールモノステアレート、ナトリウムステアロイルフマレート、スクシニル化モノグリセリド、エトキシル化モノ−及びジグリセリド類、モノ−及びジグリセリド類のジアセチル酒石酸エステル類、プロピレングリコールモノエステル類、ポリグリセロールエステル類、ソルビタンエステル類もしくはポリソルベート類、レシチン、又はそれらの組み合わせを含む群から選択される乳化剤と組み合わせて、脂肪酸のステロール及び/又はスタノールエステルを含有するベーカリー製品は、柔らかく、且つ貯蔵時に低減されたステーリングを示すことが、驚くべきことに発見された。
【0009】
したがって、本発明はベーカリー製品用の抗ステーリング性組成物に関し、前記抗ステーリング性組成物は、脂肪酸のステロール及び/又はスタノールエステルと、カルシウムステアロイルラクチレート、ナトリウムステアロイルラクチレート、グリセロールモノステアレート、ナトリウムステアロイルフマレート、スクシニル化モノグリセリド、エトキシル化モノ−及びジグリセリド類、モノ−及びジグリセリド類のジアセチル酒石酸エステル類、プロピレングリコールモノエステル類、ポリグリセロールエステル類、ソルビタンエステル類もしくはポリソルベート類、レシチン、又はそれらの組み合わせを含む群から選択される乳化剤とを含み、ここで、前記乳化剤と、ステロールエステルもしくはスタノールエステルまたはそれらの組み合わせ物との重量比は、1:1〜1:50である。
【0010】
さらなる側面においては、本発明は、抗ステーリング性組成物を含有するベーカリー製品に関する。
【0011】
〔本発明の詳細な説明〕
本明細書と特許請求の範囲の文脈においては、全てのパーセント量は、ベーカリー組成物中の穀物粉の合計重量に対する重量パーセントである。
【0012】
ステロール又はスタノールエステルという場合は、ステロールもしくはスタノールと脂肪酸とのエステルを意味する。
【0013】
本発明の抗ステーリング性組成物は、ステロール脂肪酸エステル及び/又はスタノール脂肪酸エステルを含有する。
【0014】
植物性ステロール又は野菜ステロールとしても知られているステロール類もしくはフィトステロール類は、4−デスメチルステロール類、4−モノメチルステロール類、及び4,4’−ジメチルステロール類の3つのグループに分類することができる。オイル中では、それらは主として遊離のステロール類及び脂肪酸のステロールエステル類として存在するが、ステロールグルコシド類及びアシル化ステロールグルコシド類もまた存在する。3つの主要なフィトステロール類、すなわち、ベータ−シトステロール、スチグマステローツ、及びカンペステロールがある。本成分の略図は、「Influence of Processing on Sterols of Edible Vegetable Oils」, S.P. Kochhar; Prog. Lipid Res. 22: pp.161〜181に示されているとおりである。
【0015】
シトステロール、カンペステロール、及びエルゴステロールなどの5−アルファ−飽和誘導体、ならびにそれらの誘導体は、本明細書においては、スタノール類とよぶ。
【0016】
ステロール又はスタノールは、β−シトステロールの脂肪酸エステル、β−シトスタノールの脂肪酸エステル、カンペステロールの脂肪酸エステル、カンペスタノールの脂肪酸エステル、スチグマステロールの脂肪酸エステル、ブラシッカステロールの脂肪酸エステル、ブラシッカスタノールの脂肪酸エステル、またはそれらの混合物を含む群から選択されることが好ましい。
【0017】
ステロール又はスタノールを含有する製品は当技術分野で公知である。国際公開WO−A−03/055324号パンフレットは、ステロールエステル類を含有するブレッドロールを開示している。これらの組成物は乳化剤を含んでいない。
【0018】
国際公開WO−A−02/82929号パンフレットは、ステロールエステルとファイバーを含む組成物を開示している。ベーカリー製品中にこれらの組成物を応用することが開示されている。
【0019】
US−A−2002/0016317号明細書は、ステロールエステルを含むピーナッツスプレッドを開示している。
【0020】
EP−A−1275309号明細書は、ステロールエステルと少量の乳化剤とを含むスプレッドを開示している。
【0021】
本発明におけるステロール類は脂肪酸でエステル化されている。ステロール類は1種以上のC2〜22脂肪酸でエステル化されていることが好ましい。本発明の目的のためには、C2〜22脂肪酸の用語は、C2〜22主鎖と少なくとも1つの酸基を含む任意の分子をいう。本発明の状況では好ましくはないが、C2〜22主鎖は部分的に置換されていてもよく、あるいは側鎖が存在していてもよい。しかし、C2〜22脂肪酸は末端基(複数でもよい)として1つ又は2つの酸基を含むことが好ましい。天然オイル中にあるような直鎖C8〜22脂肪酸が最も好ましい。
【0022】
任意のそのような脂肪酸の適切な例は、酢酸、プロピオン酸、酪酸、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸である。その他の適切な酸は、例えば、クエン酸、乳酸、シュウ酸、及びマレイン酸である。ミリスチン酸、ラウリル酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキン酸、ベヘン酸、オレイン酸、セトレイン(cetoleic)酸、エルカ酸、エライジン酸、リノレン酸、及びリノール酸が最も好ましい。
【0023】
所望する場合は、脂肪酸の混合物をステロール類のエステル化に用いてもよい。例えば、脂肪酸源として天然産脂肪又はオイルを用いること、及びエステル交換反応を介するエステル化を行うことが可能である。
【0024】
好ましい態様においては、エステル化されたステロール又はスタノール中の酸は、ヒマワリ油、菜種油、サフラワー油、ヤシ油、またはそれらの混合物に由来する。最も好ましくは、エステル化されたステロールまたはスタノール中の脂肪酸はヒマワリ油に由来し、なぜなら、これはステーリング速度の最良の低下をもたらすからである。
【0025】
改善された初期の柔らかさと低減されたステーリングを理由として、ステロールエステルの含有が、スタノールエステルの含有よりも好ましい。
【0026】
別の態様によれば、抗ステーリング組成物は、ステロールエステルとスタノールエステルの組み合わせを含む。
【0027】
抗ステーリング組成物は、カルシウムステアロイルラクチレート(CSL)、ナトリウムステアロイルラクチレート(SSL)、グリセロールモノステアレート(GMS)、ナトリウムステアロイルフマレート、スクシニル化モノグリセリド、エトキシル化モノ−及びジグリセリド類、モノ−及びジグリセリド類のジアセチル酒石酸エステル類、プロピレングリコールモノエステル類、ポリグリセロールエステル類、ソルビタンエステル類もしくはポリソルベート類、レシチン、またはこれらの組み合わせを含む群から選択される乳化剤をさらに含む。
【0028】
上記乳化剤と、ステロール脂肪酸エステルもしくはスタノール脂肪酸エステルとの組み合わせ物が、驚くべきことに、パン及びその他のベーカリー製品の柔らかさを高め且つステーリング速度を低下させる優れた効果を有することが発見された。さらに、成分のこの組み合わせはまた、パンのボリュームに対してプラスの効果をもつ。ステーリングを評価する方法、並びに柔らかさ及びパンのボリュームを評価する方法は、実施例で説明している。
【0029】
上記乳化剤は、カルシウムステアロイルラクチレート(CSL)、ナトリウムステアロイルラクチレート(SSL)、グリセロールモノステアレート(GMS)、ナトリウムステアロイルフマレート、スクシニル化モノグリセリド、エトキシル化モノ−及びジグリセリド類、モノ−及びジグリセリド類のジアセチル酒石酸エステル類、プロピレングリコールモノエステル類、ポリグリセロールエステル類、ソルビタンエステル類もしくはポリソルベート類、またはこれらの組み合わせを含む群から選択されることが好ましい。
【0030】
より好ましい乳化剤は、CSL、SSL、GMS、モノグリセリドのジアセチル酒石酸エステル(DATEM)、又はこれらの組み合わせを含む群から選択される。なおさらに好ましくは、乳化剤は、CSL、SSL、GMS、又はこれらの組み合わせを含む群から選択される。柔らかさ及び抗ステーリングを増加させる高い効果によって、最も好ましい乳化剤はCSL及びSSLである。
【0031】
抗ステーリングの最適効果を達成するためには、乳化剤と、スタノールエステルもしくはスタノールエステル又はそれらの組み合わせとの重量比は、1:1〜1:50であり、好ましくは1:6〜1:30である。
【0032】
好ましい態様においては、抗ステーリング性組成物は1〜20重量%の乳化剤と、99〜80重量%のステロールエステルもしくはスタノールエステル又はこれらの組み合わせを含む。
【0033】
最も好ましくは、抗ステーリング性組成物は、本質的にステロール/スタノールエステル及び乳化剤からなる。このことは、少なくとも80重量%の抗ステーリング性組成物が乳化剤及びステロール/スタノールエステルを含むことを意味する。
【0034】
別の側面においては、本発明は、本発明の抗ステーリング性組成物を含むパン生地に関する。このパン生地は、0.1〜7重量%、より好ましくは1〜5重量%の抗ステーリング性組成物を含むことが好ましい。このパン生地は、パン生地を形成するために練る前又は後に単に上記成分を混合することによって調製されることが好ましい。
【0035】
本発明はさらに、本発明の抗ステーリング性組成物を含有するベーカリー組成物に関する。
【0036】
好ましい態様においては、ベーカリー製品中の抗ステーリング剤の量は、穀物粉の合計重量の1から10重量%、より好ましくは2〜7重量%である。
【0037】
乳化剤の量は、穀物粉に対して0.05〜0.6重量%、より好ましくは0.15〜0.3重量%であることが好ましい。
【0038】
ステロールエステル又はスタノールエステルの量は、穀物粉に対して1〜6重量%であることが好ましい。
【0039】
本態様における好ましいベーカリー製品はパンである。
【0040】
一般に、その味覚、皮のパリパリ感、一定の体積によって証明される軽さ、パンの身の柔らかさ、貯蔵時のパンの身の低いステーリング速度、及び穀物粒子及びファイバーの存在による健康な印象のために、パンは好まれる。
【0041】
柔らかさを測定するための方法は、実施例で説明している。柔らかさは、この方法に従って測定して、200〜300、より好ましくは200〜260gである。
【0042】
ステーリングは、経時での柔らかさの低下として測定する。好ましい製品は、ベーキングした後少なくとも5日の期間、1日当たり100g未満のステーリング速度しか有しない。
【0043】
本発明のパンは、任意の適切な形状を有することができるが、ローフブレッド、ロールパン、及びフランスパンのような棒状、が好ましい。
【0044】
好ましい態様において、型焼きパンの体積は、ベーキング及び2時間冷却後に5l/kgより大きなことが好ましい。
【0045】
本発明の抗ステーリング性組成物を含有するベーカリー製品は、特にパンの身の柔らかさと低いステーリング速度のため、非常に好ましいことを発見した。さらにいくつかの場合には、体積が比較的大きい。
【0046】
本ベーカリー製品は、上記抗ステーリング性組成物に加えて従来の成分を含む。
【0047】
ベーカリー製品がパンである場合、組成物は通常は穀物粉と好ましくはさらに塩とイーストを含んでいる。さらに、パン生地は任意選択で1種以上の膨張剤を含んでもよい。
【0048】
適切な穀物粉の例は、全粒小麦、小麦粉、ライ麦/小麦混合物、高グルテン小麦、又はそれらの組み合わせである。適切な膨張剤は、イースト、ベーキングパウダー、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウムである。穀物粉、水、及び膨張剤の量と比は、所望するパンの種類に応じて、当業者によって決定される。
【0049】
任意選択のさらなる成分は、脂質、酵素、抗ステーリング性組成物の一部である乳化剤以外の乳化剤、砂糖、レーズンなどの果物片、ナッツ、アミノ酸、着色剤、保存料、香味料、及びそれらの組み合わせを含む群から選択される。
【0050】
任意選択で、ベーカリー製品はパン改良組成物を含んでもよく、この組成物は、カルボキシメチルセルロースと、少なくとも1種のその他のタイプのファイバー、例えばイヌリン、とを含むことが好ましい。
【0051】
ベーカリー製品は任意の適切な方法で調製しうる。ステロール及び/又はスタノールエステルと乳化剤とを予備混合するなどして抗ステーリング剤を添加するか、又はステロール及び/又はスタノールエステルを個別に添加し、乳化剤も個別に添加するようにして個別の成分として抗ステーリング剤を添加することができる。
【0052】
パンを作る一般的に公知の方法には、以下のステップ群のいずれかが含まれる:成分を混合して練るステップ、分割するステップ、発酵させるステップ、成形するステップ、発酵させるステップ、ベーキングするステップ、及び冷却するステップ、もしくは任意選択によりベーキングに代えて以下の:パーベーキング(parbaking)するステップ、冷却するステップ、冷凍するステップ、(任意選択で解凍するステップ)、及びパンを焼くステップ、又は任意選択で発酵の後に:冷凍するステップ、解凍するステップ(任意選択)、発酵させるステップ、及びベーキングするステップ。
【0053】
ベーカリー組成物を調製するための好ましい方法は、少なくとも穀物粉、ステロールエステルもしくはスタノールエステル、本発明による群から選択される乳化剤、任意選択により酵素(アミラーゼ、キシラナーゼ)を含むパン改良剤、アスコルビン酸、水、塩、及びイースト、を含む混合物を準備するステップ、これに続いて、練るステップ、分割するステップ、任意選択で発酵させるステップ、任意選択で成形するステップ、ベーキングするステップ及び冷却するステップを含む。任意選択により、ベーキングする前又は部分的にベーキングした後に、製品を冷凍してもよい。
【0054】
あるいは、パン作りに現在用いられている任意の方法を用いることができる。混合時にステロール/スタノールエステルを添加する時間は重要ではないが、それを添加するのが混合時の早いうちであればあるほど、パン生地全体にそれをよりよく分配することができる。
【0055】
本パン改良用組成物を用いて調製したパンは、常温、チルド、又は冷凍で保存できる。このパンは、最適な貯蔵期間のために冷凍保存することが好ましい。必要な場合は、このパンは消費するごく直前に焼くことができる。
【0056】
別の実施態様によれば、本発明は、穀物粉と、穀物粉に対して0.5〜15重量%、好ましくは1〜6重量%のステロール脂肪酸エステル及び/又はスタノール脂肪酸エステルと、穀物粉に対して0.1〜1重量%、好ましくは0.1〜0.5重量%の乳化剤を含むベーカリー製品に関するものであり、前記乳化剤は、カルシウムステアロイルラクチレート、ナトリウムステアロイルラクチレート、グリセロールモノステアレート、ナトリウムステアロイルフマレート、スクシニル化モノグリセリド、エトキシル化モノ−及びジグリセリド類、モノ−及びジグリセリド類のジアセチル酒石酸エステル類、ポリグリセロールエステル類、プロピレングリコールモノエステル類、ソルビタンエステル類もしくはポリソルベート類、レシチン、またはこれらの組み合わせを含む群、さらに好ましくは、CSL、SSL、GMS、及びDATEM、又はそれらの組み合わせを含む群から選択される。
【0057】
本発明を以下の非制限的な実施例によって説明する。
【0058】
〔実施例〕
一般的事項
[テクスチャープロファイル分析]
ベーキング後20℃で貯蔵して1、4、及び5日目にテクスチャープロファイル分析機(AACC分析法74−09参照)によって、パンの身の固さを測定した。貯蔵0日で外挿したパンの固さとステーリング速度を計算した。
【0059】
[パンの体積]
パンの体積は、菜種油置換法によって測定し、体積/kgで表した。
【0060】
実施例1;ステロールエステル及びCSLを含有するパン
表1に特定したとおりの成分を含む混合物を準備するステップ、これに続いて、練るステップ、分割するステップ、発酵させるステップ、ベーキングするステップ、及び冷却するステップを含む従来の方法で、パンを作った。
【0061】
【表1】

【0062】
【表2】

【0063】
表1及び表2の結果は、CSL単独ではパンの体積にほとんど影響を与えず、固さとステーリング速度を低下させることはほとんどできなかったことを示している。これに対して、ステロールエステル類単独は、体積に影響を与えず、かつ、ステロールエステル類なしのパンと比較して、固さもしくはステーリング速度を高める。ステロールエステル類とCSLの組み合わせは、体積を若干改善する。驚くべきことに、それは実質的に固さとステーリング速度を低下させる。
【0064】
〔実施例2〕
スタノールエステルとCSLを含むパン
実施例1の方法を用いた。
【0065】
【表3】

【0066】
【表4】

【0067】
表3及び4の結果は、CSL単独では、パンの体積にほとんど影響を及ぼさず且つ堅さとステーリング速度を低下させることはほとんどないことを示している。対照的に、スタノールエステル類単独は、スタノールエステル類なしのパンと比較して、体積への影響は全くなく且つ堅さもしくはステーリング速度を増大させる。それらはステロールエステルよりもさらに有害でさえある。スタノールエステル類とCSLの組み合わせは、体積をわずかに改善する。驚くべきことに、それは実質的に堅さを低下させ且つステーリング速度を低下させる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベーカリー製品用の抗ステーリング性組成物であって、ステロール及び/又はスタノールの脂肪酸エステルと、カルシウムステアロイルラクチレート、ナトリウムステアロイルラクチレート、グリセロールモノステアレート、ナトリウムステアロイルフマレート、スクシニル化モノグリセリド、エトキシル化モノ−及びジグリセリド類、モノ−及びジグリセリド類のジアセチル酒石酸エステル類、ポリグリセロールエステル類、ポリプロピレングリコールモノエステル類、ポリグリセロールエステル類、ソルビタンエステル類もしくはポリソルベート類、レシチン、又はそれらの組み合わせを含む群から選択される乳化剤とを含み、前記乳化剤とステノールエステルもしくはスタノールエステル又はそれらの組み合わせとの重量比が1:1〜1:50である抗ステーリング性組成物。
【請求項2】
前記乳化剤が、カルシウムステアロイルラクチレート、ナトリウムステアロイルラクチレート、グリセロールモノステアレート、並びにモノ−及びジグリセリド類のジアセチル酒石酸エステル類、又はそれらの組み合わせ、を含む群から選択される、請求項1記載の抗ステーリング性組成物。
【請求項3】
前記乳化剤が、カルシウムステアロイルラクチレート、ナトリウムステアロイルラクチレート、グリセロールモノステアレート、又はそれらの組み合わせ、を含む群から選択される、請求項1又は2に記載の抗ステーリング性組成物。
【請求項4】
前記乳化剤がCSL又はSSLである請求項1記載の抗ステーリング性組成物。
【請求項5】
前記脂肪酸が、ひまわり油、なたね油、サフラワー油、ヤシ油、又はそれらの混合物である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の抗ステーリング性組成物。
【請求項6】
ステロールエステルを含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載の抗ステーリング性組成物。
【請求項7】
前記乳化剤とステロールとの重量比が1:6〜1:30である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の抗ステーリング性組成物。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか一項に記載の抗ステーリング性組成物を含むパン生地。
【請求項9】
請求項1〜7のいずれか一項に記載の抗ステーリング性組成物を含むベーカリー製品。
【請求項10】
穀物粉と、穀物粉の0.5〜15重量%のステロール及び/又はスタノール脂肪酸エステルと、穀物粉の0.1〜1重量%の乳化剤とを含み、前記乳化剤が、カルシウムステアロイルラクチレート、ナトリウムステアロイルラクチレート、グリセロールモノステアレート、ナトリウムステアロイルフマレート、スクシニル化モノグリセリド、エトキシル化モノ−及びジグリセリド類、モノ−及びジグリセリド類のジアセチル酒石酸エステル類、ポリグリセロールエステル類、ポリプロピレングリコールモノエステル類、ポリグリセロールエステル類、ソルビタンエステル類もしくはポリソルベート類、レシチン、又はそれらの組み合わせ、を含む群から選択されるベーカリー製品。

【公表番号】特表2007−523653(P2007−523653A)
【公表日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−500088(P2007−500088)
【出願日】平成17年2月1日(2005.2.1)
【国際出願番号】PCT/EP2005/001059
【国際公開番号】WO2005/084445
【国際公開日】平成17年9月15日(2005.9.15)
【出願人】(590003065)ユニリーバー・ナームローゼ・ベンノートシヤープ (494)
【Fターム(参考)】