抗マラリア剤
【課題】マラリア治療薬として期待出来るキノリンを効率的に原虫内に送り込むことができる新規化合物を提供すること。
【解決手段】下記一般式で示される化合物またはその薬学的に許容される塩。
【解決手段】下記一般式で示される化合物またはその薬学的に許容される塩。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新たなドラックデリバリーシステムとして期待される、糖を含む新規化合物及びこの化合物を有効成分とする抗マラリア剤に関する。
【背景技術】
【0002】
マラリアはプラスモジウム(Plasmodium)属の原虫によって引き起こされる疾患で、熱帯地方を中心に毎年200万−300万人が死亡しており、人類の大きな脅威となっている(小島壮明ら、寄生虫病学、南江堂 (1993))。その主な症状はプラスモジウム(Plasmodium)属の赤血球寄生段階における赤血球破壊によって起こる貧血である。
【0003】
治療法は主として化学療法が行なわれており、クロロキン及びキニーネ等のキノリン骨格を持つ化合物が有効な化学療法剤として用いられている。それらの作用機序は、プラスモジウム(Plasmodium)属の赤血球寄生段階におけるヘモグロビンの代謝中に、ヘムの無毒化の機構を、キノリンが二価の鉄に対する錯形成によって阻害するものと考えられている(N. T. Huy et.al., J. B. Chem., 277, 4152 (2002))。
【0004】
近年、クロロキンに耐性を持つ原虫が出現し、問題となっている。それらの耐性機構は、原虫がクロロキンの取り込みを抑制するためであることが知られている(H. Ginsburg et al., Parasitology Today, 15, 357 (1999))。従って、キノリンを効率的に原虫内に送り込むことができる化合物は、有効なマラリア治療薬の候補となることが期待できる。
【0005】
本発明者らは、マラリア治療薬として期待出来るキノリンを効率的に原虫内に送り込むことができる新規化合物を提供することを目的として、新たなキノリン化合物を開発し、特許出願した(特開2006−56872号公報(特許文献1))。
【非特許文献1】小島壮明ら、寄生虫病学、南江堂 (1993)
【非特許文献2】N. T. Huy et.al., J. B. Chem., 277, 4152 (2002)
【非特許文献3】H. Ginsburg et al., Parasitology Today, 15, 357 (1999)
【特許文献1】特開2006−56872号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載した、実際に合成した化合物は限られており、また、キノリン化合物によっては、合成自体が難しく、所望の構造の化合物を得られない場合があった。特に、アセチル体の製造はできても、脱アセチルが困難であった場合もある。
【0007】
そこで本発明の目的は、特許文献1に実際には記載されていない新たなキノリン化合物であって、マラリア治療薬として期待出来るキノリンを効率的に原虫内に送り込むことができる新規化合物を提供することにある。
【0008】
本発明者は、糖を担体として膜浸透性を向上させ、キノリンを効率的に原虫内に送り込むことができる、新たなドラックデリバリーシステムを用いた新規キノリングリコシド、特に、グルコースの2位にキノリンを有するキノリン化合物の合成に成功し、本発明を完成させた。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するための本発明は以下の通りである。
[1]下記一般式(1)で示される化合物。
【化1】
(式中、糖は、D(+)-グルコースであり、
Yは、H、またはアセチルであり、
Rは、独立に、C1〜C15の直鎖アルキル、C1〜C15の直鎖アルコキシ、アリールオキシ、NR1R2(R1およびR2は独立に、H、C1〜C15の直鎖アルキルまたはアリールである)である。)
[2]Yは、Hである[1]または[2]に記載の化合物。
[3]Rは、C1〜C15の直鎖アルキルである[1]または[2]に記載の化合物。
[4]Rは、C1〜C15の直鎖アルコキシである[1]または[2]に記載の化合物。
[5]Rは、アリールオキシである[1]または[2]に記載の化合物。
[6]Rは、NR1R2である[1]または[2]に記載の化合物。
[7]Rの結合部位は、キノリンの5位、6位または7位である[1]〜[6]のいずれかに記載の化合物。
[8][1]〜[7]のいずれかに記載の化合物の薬学的に許容される塩。
[9]薬学的に許容される塩が塩酸塩である[8]に記載の化合物。
[10][1]〜[9]のいずれかに記載の化合物またはその薬学的に許容される塩を有効成分として含有する抗マラリア剤。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、キノリンを効率的に原虫内に送り込むことができる新規化合物を提供することができ、この化合物はマラリア治療薬として期待される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明は、前記一般式(1)で示される化合物に関する。
【0012】
式中の糖は、D(+)-グルコースであり、各糖等のYは、H(水素原子)、またはアセチルである。
【0013】
Rは、独立に、C1〜C15の直鎖アルキル、C1〜C15の直鎖アルコキシ、アリールオキシ、NR1R2(R1およびR2は独立に、H、C1〜C15の直鎖アルキルまたはアリールである)であることができる。C1〜C15の直鎖アルキルは、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル等である。C1〜C15の直鎖アルコキシは、例えば、メトキシ、エトキシ、プロピロキシ、ブトキシ、ペンチロキシ、ヘキシロキシ、オクチロキシ等である。アリールオキシは、フェノキシ、ベンジルオキシ等である。NR1R2におけるR1およびR2は、独立に、H、C1〜C15の直鎖アルキルまたはアリールであり、C1〜C15の直鎖アルキルは、上記で挙げたC1〜C15の直鎖アルキルと同様の基を挙げることができる。アリールは、例えば、フェニル、ベンジル等である。NR1R2の例としては、例えば、N, N-ジメチルアミノ、N -フェニルアミノ等を挙げることができる。
【0014】
上記化合物の内、好ましい化合物は、糖がD(+)-グルコースであり、Yは、Hである。Rは、C1〜C15の直鎖アルキル、例えば、メチル、エチル、プロピル、またはブチルであるか、C1〜C15の直鎖アルコキシ、例えば、メトキシ、エトキシ、プロピロキシ、またはブトキシであるか、アリールオキシ、例えば、フェノキシである。あるいは、Rは、N, N-ジメチルアミノ、またはN -フェニルアミノであることも好ましい。Rの結合部位は、好ましくは、キノリンの5位、6位または7位である。
【0015】
本発明の化合物は、例えば、以下のスキームに示すように、ヒドロキシキノリン類を溶媒中、例えば、炭酸銀の存在下にグリコシル化することにより合成することができる。より具体的には、ヒドロキシキノリン類のRがメチルの場合、4-ヒドロキシ‐6‐メチルキノリンを、α-ブロモ-O-テトラアセチル-D-グルコースでグリコシル化する。
【0016】
【化2】
【0017】
グリコシル化が行われる溶媒としては、例えば、アセトニトリル、ピリジン、N,N-ジメチルホルムアミド、トルエン等を挙げることができる。
【0018】
炭酸銀は、ヒドロキシキノリン類またはグルコースに対して等モルから1.5倍モルの範囲で用いることができる。炭酸銀は、グリコシル化の触媒に用いられるが、炭酸銀以外に例えば、硝酸銀、酸化銀等を用いることもできる。
【0019】
次いで得られたキノリングリコシドを脱保護(脱アセチル化)する。
【0020】
【化3】
【0021】
キノリングリコシドの脱保護(脱アセチル化)は、例えば、メタノール中、MeONaを用いて行うことができるが、これ以外に水あるいはメタノール中、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニアを用いて行うこともできる。
【0022】
あるいは脱保護(脱アセチル化)は、例えば、塩基性イオン交換樹脂を用いて行うことができる。塩基性イオン交換樹脂は、ポリスチレン等の高分子化合物にアンモニウム塩等の陰イオン交換基が担持されており、アルカリ水溶液中で対イオンを水酸化物イオンにすると、塩基性を示す樹脂である。OH型の陰イオン交換樹脂は水に溶けない固体粒状のアルカリであると言える。代表的なイオン交換樹脂はスチレン系のイオン交換樹脂であるが、本発明で用いるイオン交換樹脂は、スチレン系のイオン交換樹脂に限定されない。
【0023】
イオン交換樹脂は、一般にそれが酸性基を持つか塩基性基を持つかによって陽イオン交換樹脂と陰イオン交換樹脂とに分けられ、さらに、陰イオン交換樹脂は、強塩基性型と弱塩基性型に分けられる。また、強塩基性イオン交換樹脂は、さらにI型(II型よりも塩基度がやや高い)とII型に分けられ、I型を最強塩基性陰イオン交換樹脂と言うことがある。本発明では、いずれの塩基性イオン交換樹脂も用いることができ、ここでの塩基性イオン交換樹脂には、強塩基性型と弱塩基性型のいずれも包含する。但し、室温程度の穏やかな反応条件で、脱アシル化反応を円滑に進行させるという観点から、水酸化物イオンをより容易に遊離する強塩基性型のイオン交換樹脂であることが好ましい。強塩基性陰イオン交換樹脂(I型)の交換基は、例えば、R-N(CH3)+ (固定イオン)+ OH-(対立イオン)である。
【0024】
イオン交換樹脂の対イオンが水酸化物イオン以外のアニオンであっても、金属水酸化物によって、対イオン交換して、本発明の方法に適用することができる。
【0025】
本発明の方法に用いる塩基性イオン交換樹脂は、樹脂及びそれらの反応残渣が、反応溶媒に不溶な物であれば良く、その形状は、球状細粒、 膜状、繊維などであることができる。扱いが容易であるという観点からは球状細粒であることが好ましい。
【0026】
塩基性イオン交換樹脂の例としては、例えば、Amberlite IRA-67、Amberlite IRA-410、Amberlite IRA-900、Amberlite IRA-743、Amberlyst A-21、Amberlyst A-26(OH)、DOWEX 1X2-100、DOWEX 1X2-200、DOWEX 1X2-400、DOWEX 1X4-50、DOWEX 1X4-100、DOWEX 1X8-100、DOWEX 1X8-200、DOWEX 1X8-400、DOWEX 21K Cl、DOWEX 2X8-100、DOWEX 2X8-200、DOWEX 22-Cl、DOWEX MARATHON A、DOWEX MARATHON A2、DOWEX 550A OH、DOWEX 66、DOWEX MARATHON WBA、DOWEX WGR-2、Dulite A-7等を挙げることができる。
【0027】
本発明の脱アシル化反応は、溶媒の存在下で行うことが適当である。溶媒としては、例えば、水、アルコール(例えば、メタノール、エタノール等)等の極性溶媒が望ましい。但し、樹脂及びそれらの反応残渣が不溶な場合において、N,N-ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドを溶媒として使用することも可能である。また、生成物が極性溶媒に難溶かつ、樹脂及びそれらの反応残渣が反応溶媒に不溶な場合においては、トルエン、ベンゼン、ヘキサン、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等を溶媒として使用することもできる。
【0028】
イオン交換樹脂の使用量は、イオン交換樹脂の種類、有機化合物の種類、アシル基の種類、アシル化の程度(有機化合物1分子当たりのアシル基の数)等を考慮して適宜決定することができる。イオン交換樹脂の使用量は、例えば、基質(アシル化有機化合物)の2〜6質量倍とすることが適当である。但し、この範囲に限定されるものではない。
【0029】
単糖類の脱アシル化においては、一分子に3〜5個のアシル基がある。この場合、基質(アシル化糖関連化合物)の2〜3質量倍のイオン交換樹脂を使用するのが望ましい。二糖以上においては、単糖類に用いるべき樹脂の重量に、更に糖の数を剰じた質量を用いることができる。
【0030】
出発原料であるヒドロキシキノリン類については、4-ヒドロキシキノリンは市販品として入手可能である。また、これらのヒドロキシキノリンに水素以外のR置換基を有する多置換ヒドロキシキノリンは、Journal of American Chemical Society, 61, 2890, 1939 に記載されている方法を用いて、置換アニリン類とエトキシメチレンジアルコキシマロネートより調製可能である。具体的には、以下の反応式として示す。
【0031】
【化4】
【0032】
α-ブロモ-O-テトラアセチル-D-グルコースを含む、D(+)-グルコース、D(+)-ガラクトース及びD(+)-マンノースのブロモアセチル体は、Organic Synthesis, Collective Volume 3, P432 及び Bioconjugate Chemistry 14, 18, 2003に記載されている方法を用いて、D(+)-グルコース、D(+)-ガラクトース及びD(+)-マンノースを原料として、調製可能である。さらに、糖の置換基Yの導入は、Method in carbohydrate chemistry の各巻に記載されている方法により実施できる。例えば、ベンジル体はベンジルクロリドを塩基存在下で反応させることによって得られる。
【0033】
上記方法で得られた化合物は適当な方法で精製することができる。例えば、展開溶媒として酢酸エチルを用いたシリカゲルカラムクロマトグラフに付すことに精製することが出来る。
【0034】
本発明は、上記本発明の化合物の薬学的に許容される塩も包含する。薬学的に許容される塩は、特に制限はないが、例えば、塩酸(HCl)塩、HBr塩、HI塩、硫酸塩、硫酸水素塩、リン酸塩、リン酸一水素塩、リン酸、二水素塩、亜リン酸塩、亜リン酸一水素塩、亜リン酸二水素塩、次亜リン酸塩、次亜リン酸水素塩等であることができる。
【0035】
本発明は、上記本発明の化合物又はその塩を有効成分として含有する抗マラリア剤である。本発明の化合物又はその塩を、マラリア等の原虫類による感染症の予防及び治療に使用する場合、投与経路としては、経口、皮下注射、静脈注射、局所投与等のいずれでもよい。また、製剤としては、通常、製薬的に許容される担体や賦形剤、その他添加剤を用いて製造した散剤、錠剤、細粒剤、丸剤、カプセル剤、顆粒剤等の経口剤、点眼剤、注射剤、坐剤等の非経口剤が挙げられる。製薬的に許容される担体や賦形剤、その他添加剤としては、グルコース、ラクトース、ゼラチン、マンニトール、でんぷんペースト、トリケイ酸マグネシウム、コーンスターチ、ケラチン、コロイド状シリカ等があり、さらには、安定剤、増量剤、着色剤及び芳香剤の様な補助剤を含有してもよい。
【0036】
これらの製剤は、各々当業者に公知慣用の製造方法により製造できる。本発明化合物又はその塩の製剤中の配合量としては、0.1〜100重量%が好ましく、さらに好ましくは0.1〜80重量%であり、0.1〜50重量%が好適である。また、1日当たりの投与量は、患者の症状、体重、年齢、性別等によって異なり一概に決定できないが、通常成人1日当り本発明化合物を0.1〜1000mg、好ましくは1〜600mgを1回又は2〜4回程度に分けて投与するのが好ましい。
【実施例】
【0037】
以下、本発明について実施例によりさらに説明する。
【0038】
実施例1 4-(2-β- O-テトラアセチル-D-グルコシルオキシ)-6-メチルキノリン
【0039】
【化5】
【0040】
参考例1で合成した4-ヒドロキシ-6-メチルキノリン(0.38 g, 2.41 mmol)、1,3,4,6-β-O-テトラアセチル-D-マンノース(1.00g, 2.63 mmol)及びトリフェニルホスフィン(1.51g, 5.26 mmol)溶液の乾燥テトラヒドロフラン懸濁液(50 ml)に対し、アルゴン気流中、アゾジカルボン酸ジエチルエステルの40%-トルエン溶液(2.50 g, 5.26 mmol)を室温下に加え、30分間室温で撹拌した。反応混合物を水に注ぎ、酢酸エチルで抽出した。抽出液を無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下に溶媒を留去した。得られた残渣を展開溶媒として酢酸エチルを用いたシリカゲルカラムクロマトに付し、表題化合物(0.38 g, 32%)を得た。
【0041】
実施例2 4-(2-β- 1,3,4,6-O-テトラアセチル-D-グルコシルオキシ)-6-メトキシキノリン
【0042】
【化6】
【0043】
4-ヒドロキシ-6-メチルキノリンの代りに、参考例3で合成した4-ヒドロキシ-6-メトキシキノリン(0.42 g, 2.41 mmol)を用い、反応時間を1時間及びシリカゲルカラムクロマトグラフの展開溶媒をクロロホルム‐酢酸エチル(1:1)の混合溶媒とした以外は、実施例1に従った。表題化合物(0.41 g, 33%)を得た。
【0044】
実施例3 4-(2-β- 1,3,4,6-O-テトラアセチル-D-グルコシルオキシ)-7-メトキシキノリン
【0045】
【化7】
【0046】
4-ヒドロキシ-6-メチルキノリンの代りに、参考例4で合成した4-ヒドロキシ-7-メトキシキノリン(0.42 g, 2.41 mmol)を用い、及び反応時間を1時間とした以外は、実施例1に従った。表題化合物(0.29 g, 24%)を得た。
【0047】
実施例4 4-(2-β- 1,3,4,6-O-テトラアセチル-D-グルコシルオキシ)-6-フェノキシキノリン
【0048】
【化8】
【0049】
4-ヒドロキシ-6-メチルキノリンの代りに、参考例5で合成した4-ヒドロキシ-6-フェノキシキノリン(0.57 g, 2.41 mmol)を用い、反応時間を1時間及びシリカゲルカラムクロマトグラフの展開溶媒をクロロホルム‐酢酸エチル(1:1)の混合溶媒とした以外は、実施例1に従った。表題化合物(0.63 g, 46%)を得た。
【0050】
実施例5 4-(2-β- 1,3,4,6-O-テトラアセチル-D-グルコシルオキシ)-6‐N, N-ジメチルアミノキノリン
【0051】
【化9】
【0052】
4-ヒドロキシ-6-メチルキノリンの代りに、参考例6で合成した4-ヒドロキシ-6-N, N-ジメチルアミノキノリン(0.45 g, 2.41 mmol)を用い、反応時間を1時間及びシリカゲルカラムクロマトグラフの展開溶媒をクロロホルム‐酢酸エチル(1:1)の混合溶媒とした以外は、実施例1に従った。表題化合物(0.53 g, 42%)を得た。
【0053】
実施例6 4-(2-β- 1,3,4,6-O-テトラアセチル-D-グルコシルオキシ)-6-N-フェニルアミノキノリン
【0054】
【化10】
【0055】
4-ヒドロキシ-6-メチルキノリンの代りに、参考例7で合成した4-ヒドロキシ-6- N ?フェニルアミノキノリン(0.57 g, 2.41 mmol)を用い、反応時間を1時間及びシリカゲルカラムクロマトグラフの展開溶媒をクロロホルム‐酢酸エチル(1:1)の混合溶媒とした以外は、実施例1に従った。表題化合物(0.67 g, 50%)を得た。
【0056】
実施例7 4-(2-D-グルコシルオキシ)-6-メチルキノリン
【0057】
【化11】
【0058】
実施例1で合成した4-(2-β- O-テトラアセチル-D-グルコシルオキシ)-6-メチルキノリン(123 mg, 0.26 mmol)及びアンバーライトA-26(OH)(381 mg)のメタノール懸濁液(15 ml)を室温下、4時間撹拌した。メタノール不溶物をろ過し、多量のメタノールで洗浄した後、ろ液と合わせ、減圧下にメタノールを留去した。残渣を乾燥し、表題化合物(84 mg, q.)を得た。
【0059】
実施例8 4-(2-D-グルコシルオキシ)-6-メトキシキノリン
【0060】
【化12】
【0061】
アセチル体として実施例2で合成した4-(2-β- 1,3,4,6-O-テトラアセチル-D-グルコシルオキシ)-6-メトキシキノリン(200 mg, 0.40 mmol)を用い、アンバーライトA-26(OH)(600 mg)及びメタノール懸濁液(20 ml)とした以外は実施例7に従った。表題化合物(91 mg, 68%.)を得た。
【0062】
実施例9 4-(2-D-グルコシルオキシ)-7-メトキシキノリン
【0063】
【化13】
【0064】
アセチル体として実施例3で合成した4-(2-β- 1,3,4,6-O-テトラアセチル-D-グルコシルオキシ)-7-メトキシキノリン(100 mg, 0.20 mmol)を用い、アンバーライトA-26(OH)(300 mg)及びメタノール懸濁液(20 ml)とした以外は実施例7に従った。表題化合物(67 mg, q.)を得た。
【0065】
実施例10 4-(2-D-グルコシルオキシ)-6-フェノキシキノリン
【0066】
【化14】
【0067】
アセチル体として実施例4で合成した4-(2-β- 1,3,4,6-O-テトラアセチル-D-グルコシルオキシ)-6-フェノキシキノリン(266 mg, 0.47 mmol)を用い、アンバーライトA-26(OH)(800 mg)及びメタノール懸濁液(20 ml)とした以外は実施例7に従った。表題化合物(187 mg, q.)を得た。
【0068】
実施例11 4-(2-D-グルコシルオキシ)-6-N, N-ジメチルアミノキノリン
【0069】
【化15】
【0070】
アセチル体として実施例5で合成した4-(2-β- 1,3,4,6-O-テトラアセチル-D-グルコシルオキシ)-6‐N, N-ジメチルアミノキノリン(532 mg, 1.02 mmol)を用い、アンバーライトA-26(OH)(1.60 g)及びメタノール懸濁液(20 ml)とした以外は実施例7に従った。表題化合物(353 mg, 98%)を得た。
【0071】
実施例12 4-(2-D-グルコシルオキシ)-6-N-フェニルアミノキノリン
【0072】
【化16】
【0073】
アセチル体として実施例6で合成した4-(2-β- 1,3,4,6-O-テトラアセチル-D-グルコシルオキシ)-6-N-フェニルアミノキノリン(595 mg, 1.05 mmol)を用い、アンバーライトA-26(OH)(1.79 g)、メタノール懸濁液(20 ml)及び反応時間を終夜とした以外は実施例7に従った。表題化合物(372 mg, 89%)を得た。
【0074】
実施例13 4-(2-D-グルコシルオキシ)キノリン
【0075】
【化17】
【0076】
アセチル体として特許文献1の実施例6に従って合成した4-(2-β- 1,3,4,6-O-テトラアセチル-D-グルコシルオキシ)キノリン(302 mg, 0.64 mmol)を用い、アンバーライトA-26(OH)(900 mg)及びメタノール懸濁液(20 ml)とした以外は実施例7に従った。表題化合物(115 mg, 59%)を得た。
【0077】
実施例14 4-(2-D-グルコシルオキシ)-7-クロロキノリン
【0078】
【化18】
【0079】
アセチル体として特許文献1の実施例7に従って合成した4-(2-β- 1,3,4,6-O-テトラアセチル-D-グルコシルオキシ)-7-クロロキノリン(504 mg, 0.98 mmol)を用い、アンバーライトA-26(OH)(1.01 g)及びメタノール懸濁液(20 ml)とした以外は実施例7に従った。表題化合物(310 mg, 92%)を得た。
【0080】
参考例1
4‐ヒドロキシ‐6‐メチルキノリンの合成
【0081】
【化19】
【0082】
p‐トルイジン(10.7 g, 100 mmol)及びエトキシメチレンマロン酸ジエチル(23.3 g, 110 mmol)のトルエン(100 ml)混合物を1時間加熱還流し、反応終了後、減圧下に溶媒を留去した。残渣にジフェニルエーテル(150 ml)を加え、1時間加熱還流した。反応混合物を室温まで冷却後、n‐ヘキサンを加え、ろ過した。ろ物を酢酸エチルで洗浄することにより、未精製の4‐ヒドロキシ‐6‐メチルキノリン‐3‐カルボン酸エチル(10.5g, 45%)を得た。未精製の4‐ヒドロキシ‐6‐メチルキノリン‐3‐カルボン酸エチル(10.5g)と2規定水酸化ナトリウム水溶液(100 ml)の混合物を1時間加熱還流した。反応混合物を室温まで冷却後、2規定塩酸を沈殿が生成するまで加え、生成物をろ取し、水で洗浄後、乾燥した。沈殿物を精製せず、ジフェニルエーテル(50 ml)を加え、1時間加熱還流した。反応混合物を室温まで冷却後、n‐ヘキサンを加え、ろ過した。ろ物を酢酸エチルで洗浄することにより、4‐ヒドロキシ‐6‐メチルキノリン (2.3g, 32%)を得た。
【0083】
4‐ヒドロキシ‐6‐メチルキノリン:1H-NMR(CD3OD) ・・・・2.48 (3H ,s), 6.32 (
1H , d, J = 7.2 Hz), 7.49 (1H, d, J = 8.5 Hz), 7.56 (1H, dd, J = 8.5 Hz, 1.9 Hz), 7.93 (1H, d, J = 7.2 Hz), 8.05 (1H, d, J = 1.9 Hz)
【0084】
参考例2
4‐ヒドロキシ‐5‐メチルキノリン及び4‐ヒドロキシ‐7‐メチルキノリンの合成
【0085】
【化20】
【0086】
m‐トルイジン(10.7 g, 100 mmol)及びエトキシメチレンマロン酸ジエチル(23.3 g, 110 mmol)のトルエン(100 ml)混合物を1時間加熱還流し、反応終了後、減圧下に溶媒を留去した。残渣にジフェニルエーテル(150 ml)を加え、1時間加熱還流した。反応混合物を室温まで冷却後、n‐ヘキサンを加え、ろ過した。ろ物を酢酸エチルで洗浄することにより、未精製の4‐ヒドロキシ‐5‐メチルキノリン‐3‐カルボン酸エチル及び4‐ヒドロキシ‐7‐メチルキノリン‐3‐カルボン酸エチルの1:6混合物(7.00g, 30%)を得た。未精製の4‐ヒドロキシ‐5‐メチルキノリン‐3‐カルボン酸エチル及び4‐ヒドロキシ‐7‐メチルキノリン‐3‐カルボン酸エチルの1:6混合物(7.00g)及び2規定水酸化ナトリウム水溶液(100 ml)の混合物を1時間加熱還流した。反応混合物を室温まで冷却後、2規定塩酸を沈殿が生成するまで加え、生成物をろ取し、水で洗浄後、乾燥した。沈殿物を精製せず、ジフェニルエーテル(50 ml)を加え、1時間加熱還流した。反応混合物を室温まで冷却後、n‐ヘキサンを加え、ろ過した。ろ物を酢酸エチルで洗浄することにより、4‐ヒドロキシ‐5‐メチルキノリン及び4‐ヒドロキシ‐7‐メチルキノリンの1:6混合物(4.82 g, q.)を得た。
【0087】
4‐ヒドロキシ‐5‐メチルキノリン:1H-NMR(CD3OD) ・・・・2.88 (3H, s), 6.20 (
1H, d, J = 7.2 Hz), 7.07 (1H, d, J = 7.2 Hz), 7.33 (1H, d, J = 8.3 Hz), 7.46 (1H, t, J = 7.8 Hz), 7.78 (1H, d, J = 7.2 Hz)
4‐ヒドロキシ‐7‐メチルキノリン:1H-NMR(CD3OD) ・・・・2.48 (3H, s), 6.30 (
1H, d, J = 7.2 Hz), 7.23 (1H, dd, J = 8.4 Hz, J = 1.2 Hz), 7.36 (1H, d, J = 1.2 Hz), 7.93 (1H, d, J = 7.2 Hz), 8.12 (1H, d, J = 8.4 Hz)
【0088】
参考例3
4‐ヒドロキシ‐6‐メトキシキノリンの合成
【0089】
【化21】
【0090】
p‐アニシジン(12.3 g, 100 mmol)及びエトキシメチレンマロン酸ジエチル(23.3 g, 110 mmol)のトルエン(100 ml)混合物を1時間加熱還流し、反応終了後、減圧下に溶媒を留去した。残渣をジフェニルエーテル(150 ml)を加え、1時間加熱還流した。反応混合物を室温まで冷却後、n‐ヘキサンを加え、ろ過した。ろ物を酢酸エチルで洗浄することにより、未精製の4‐ヒドロキシ‐6‐メトキシキノリン‐3‐カルボン酸エチル(8.8g, 36%)を得た。未精製の4‐ヒドロキシ‐6‐メチルキノリン‐3‐カルボン酸エチル(8.8 g)と2規定水酸化ナトリウム水溶液(100 ml)の混合物を1時間加熱還流した。反応混合物を室温まで冷却後、2規定塩酸を沈殿が生成するまで加え、生成物をろ取し、水で洗浄後、乾燥した。沈殿物を精製せず、ジフェニルエーテル(50 ml)を加え、1時間加熱還流した。反応混合物を室温まで冷却後、n‐ヘキサンを加え、ろ過した。ろ物を酢酸エチルで洗浄することにより、4‐ヒドロキシ‐6‐メチルキノリン (5.83g, 94%)を得た。
【0091】
4‐ヒドロキシ‐6‐メトキシキノリン:1H-NMR(CD3OD) ・・・・3.91 (3H, s), 6.33
(1H, d, J = 7.2 Hz), 7.35 (1H, dd, J = 9.1 Hz, J = 2.9 Hz), 7.54 (1H, d, J = 9.1 Hz), 7.66 (1H, d, J = 2.9 Hz), 7.92 (1H, d, J = 7.2 Hz)
【0092】
参考例4
4‐ヒドロキシ‐7‐メトキシキノリンの合成
【0093】
【化22】
【0094】
m‐アニシジン(12.3 g, 100 mmol)及びエトキシメチレンマロン酸ジエチル(23.3 g, 110 mmol)のトルエン(100 ml)混合物を1時間加熱還流し、反応終了後、減圧下に溶媒を留去した。残渣をジフェニルエーテル(150 ml)を加え、1時間加熱還流した。反応混合物を室温まで冷却後、n‐ヘキサンを加え、ろ過した。ろ物を酢酸エチルで洗浄することにより、未精製の4‐ヒドロキシ‐6‐メトキシキノリン‐3‐カルボン酸エチル(3.52 g, 14%)を得た。未精製の4‐ヒドロキシ‐6‐メチルキノリン‐3‐カルボン酸エチル(6.78 g)と2規定水酸化ナトリウム水溶液(100 ml)の混合物を1時間加熱還流した。反応混合物を室温まで冷却後、2規定塩酸を沈殿が生成するまで加え、生成物をろ取し、水で洗浄後、乾燥した。沈殿物を精製せず、ジフェニルエーテル(50 ml)を加え、1時間加熱還流した。反応混合物を室温まで冷却後、n‐ヘキサンを加え、ろ過した。ろ物を酢酸エチルで洗浄することにより、4‐ヒドロキシ‐6‐メチルキノリン (4.80 g, q. 4‐ヒドロキシ‐6‐メチルキノリン‐3‐カルボン酸エチルより)を得た。
【0095】
4‐ヒドロキシ‐7‐メトキシキノリン:1H-NMR(CD3OD) ・・・・3.92 (3H, s), 6.27
(1H, d, J = 7.4 Hz), 6.96 (1H, d, J = 2.3 Hz), 7.02 (1H, dd, J = 9.2 Hz, J = 2.3 Hz), 7.90 (1H, d, J = 7.4 Hz), 8.14 (1H, d, J = 9.2 Hz)
【0096】
参考例5
4‐ヒドロキシ‐6‐フェノキシキノリンの合成
【0097】
【化23】
【0098】
4‐アミノジフェニルエーテル(18.5 g, 100 mmol)及びエトキシメチレンマロン酸ジエチル(23.3 g, 110 mmol)のトルエン(100 ml)混合物を1時間加熱還流し、反応終了後、減圧下に溶媒を留去した。残渣にジフェニルエーテル(100 ml)を加え、220‐230 ℃で12時間撹拌した。室温まで冷却後、生成した沈殿をろ取し、酢酸エチルで洗浄することにより、4‐ヒドロキシ‐6‐フェノキシキノリン‐3‐カルボン酸エチル(9.13 g, 30%)を得た。4‐ヒドロキシ‐6‐フェノキシキノリン‐3‐カルボン酸エチル(9.13 g) と2規定水酸化ナトリウム水溶液(100 ml)の混合物を1時間加熱還流した。反応混合物を室温まで冷却後、2規定塩酸を沈殿が生成するまで加え、生成物をろ取し、水で洗浄後、乾燥した。沈殿物を精製せず、ジフェニルエーテル(50 ml)を加え、1時間加熱還流した。生成した沈殿をろ取し、酢酸エチルで洗浄することにより、4‐ヒドロキシ‐6‐フェノキシキノリン(5.27 g, 75%)を得た。
【0099】
4‐ヒドロキシ‐6‐フェノキシキノリン:1H-NMR(CD3OD) ・・・・6.33 (1H, d, J =
9.0 Hz), 7.03-7.05 (2H, m), 7.12-7.15 (2H, m), 7.41-7.35 (3H, m), 7.66 (1H, d, J = 7.2 Hz), 7.74 (1H, d, J = 2.8 Hz), 8.01 (1H, d, J = 6.7 Hz)
【0100】
参考例6
4‐ヒドロキシ‐6‐N, N-ジメチルアミノキノリンの合成
【0101】
【化24】
【0102】
N, N-ジメチル-p-フェニレンジアミン(13.6 g, 100 mmol) 及びエトキシメチレンマロン酸ジエチル(23.3 g, 110 mmol)のトルエン(100 ml)混合物を1時間加熱還流し、反応終了後、減圧下に溶媒を留去した。残渣にジフェニルエーテル(150 ml)を加え、2時間加熱還流した。反応混合物を室温まで冷却後、n‐ヘキサンを加え、ろ過した。ろ物を酢酸エチルで洗浄することにより、未精製の4‐ヒドロキシ‐6‐N, N-ジメチルアミノキノリン‐3‐カルボン酸エチル(17.3g, 67%)を得た。未精製の4‐ヒドロキシ‐6‐N, N-ジメチルアミノキノリン‐3‐カルボン酸エチル(17.3g) と2規定水酸化ナトリウム水溶液(200 ml)の混合物を1時間加熱還流した。反応混合物を室温まで冷却後、2規定塩酸を沈殿が生成するまで加え、生成物をろ取し、水で洗浄後、乾燥した。沈殿物を精製せず、ジフェニルエーテル(50 ml)を加え、1時間加熱還流した。生成した沈殿をろ取し、酢酸エチルで洗浄することにより、4‐ヒドロキシ‐6‐N, N-ジメチルアミノキノリン(6.74 g, 54%)を得た。
【0103】
4‐ヒドロキシ‐6‐N, N-ジメチルアミノキノリン:1H-NMR(CD3OD) ・・・・3.04 (
6H, s), 6.28 (1H, d, J = 7.2 Hz), 7.34-7.41 (2H, m), 7.50 (1H, d, J = 8.7 Hz), 7.84 (1H, d, J = 7.0 Hz)
【0104】
参考例7
4‐ヒドロキシ‐6‐N -フェニルアミノキノリンの合成
【0105】
【化25】
【0106】
4‐アミノジフェニルアミン(18.4 g, 100 mmol) 及びエトキシメチレンマロン酸ジエチル(23.3 g, 110 mmol)のトルエン(100 ml)混合物を1時間加熱還流し、反応終了後、減圧下に溶媒を留去した。残渣にジフェニルエーテル(150 ml)を加え、1時間加熱還流した。反応混合物を室温まで冷却後、n‐ヘキサンを加え、ろ過した。ろ物を酢酸エチルで洗浄することにより、未精製の4‐ヒドロキシ‐6‐N -フェニルアミノキノリン‐3‐カルボン酸エチル(10.7g, 35%)を得た。未精製の4‐ヒドロキシ‐6‐N -フェニルアミノキノリン‐3‐カルボン酸エチル(8.2g) と2規定水酸化ナトリウム水溶液(100 ml)の混合物を1時間加熱還流した。反応混合物を室温まで冷却後、4規定塩酸を沈殿が生成するまで加え、生成物をろ取し、水で洗浄後、乾燥した。沈殿物を精製せず、ジフェニルエーテル(50 ml)を加え、1時間加熱還流した。生成した沈殿をろ取し、酢酸エチルで洗浄することにより、 4‐ヒドロキシ‐6‐N -フェニルアミノキノリン(4.80 g, 76%)を得た。
【0107】
4‐ヒドロキシ‐6‐N -フェニルアミノキノリン:1H-NMR(CD3OD) ・・・・6.29 (1H
, d, J = 7.0 Hz), 6.91 (1H, dq, J = 11.2 Hz, J = 2.6 Hz), 7.19-7.17 (2H, m), 7.26 (2H, dt, J = 9.6 Hz, J = 3.7 Hz), 7.50-7.46 (2H, m), 7.85 (1H, d, J = 7.2 Hz), 7.89 (1H, q, J = 1.0 Hz)
【産業上の利用可能性】
【0108】
本発明によれば、新たなドラックデリバリーシステムを利用した新規な抗マラリア剤を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0109】
【図1】実施例1で合成した化合物のNMRの結果。
【図2】実施例2で合成した化合物のNMRの結果。
【図3】実施例3で合成した化合物のNMRの結果。
【図4】実施例4で合成した化合物のNMRの結果。
【図5】実施例5で合成した化合物のNMRの結果。
【図6】実施例6で合成した化合物のNMRの結果。
【図7】実施例7で合成した化合物のNMRの結果。
【図8】実施例8で合成した化合物のNMRの結果。
【図9】実施例9で合成した化合物のNMRの結果。
【図10】実施例10で合成した化合物のNMRの結果。
【図11】実施例11で合成した化合物のNMRの結果。
【図12】実施例12で合成した化合物のNMRの結果。
【図13】実施例13で合成した化合物のNMRの結果。
【図14】実施例14で合成した化合物のNMRの結果。
【技術分野】
【0001】
本発明は、新たなドラックデリバリーシステムとして期待される、糖を含む新規化合物及びこの化合物を有効成分とする抗マラリア剤に関する。
【背景技術】
【0002】
マラリアはプラスモジウム(Plasmodium)属の原虫によって引き起こされる疾患で、熱帯地方を中心に毎年200万−300万人が死亡しており、人類の大きな脅威となっている(小島壮明ら、寄生虫病学、南江堂 (1993))。その主な症状はプラスモジウム(Plasmodium)属の赤血球寄生段階における赤血球破壊によって起こる貧血である。
【0003】
治療法は主として化学療法が行なわれており、クロロキン及びキニーネ等のキノリン骨格を持つ化合物が有効な化学療法剤として用いられている。それらの作用機序は、プラスモジウム(Plasmodium)属の赤血球寄生段階におけるヘモグロビンの代謝中に、ヘムの無毒化の機構を、キノリンが二価の鉄に対する錯形成によって阻害するものと考えられている(N. T. Huy et.al., J. B. Chem., 277, 4152 (2002))。
【0004】
近年、クロロキンに耐性を持つ原虫が出現し、問題となっている。それらの耐性機構は、原虫がクロロキンの取り込みを抑制するためであることが知られている(H. Ginsburg et al., Parasitology Today, 15, 357 (1999))。従って、キノリンを効率的に原虫内に送り込むことができる化合物は、有効なマラリア治療薬の候補となることが期待できる。
【0005】
本発明者らは、マラリア治療薬として期待出来るキノリンを効率的に原虫内に送り込むことができる新規化合物を提供することを目的として、新たなキノリン化合物を開発し、特許出願した(特開2006−56872号公報(特許文献1))。
【非特許文献1】小島壮明ら、寄生虫病学、南江堂 (1993)
【非特許文献2】N. T. Huy et.al., J. B. Chem., 277, 4152 (2002)
【非特許文献3】H. Ginsburg et al., Parasitology Today, 15, 357 (1999)
【特許文献1】特開2006−56872号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載した、実際に合成した化合物は限られており、また、キノリン化合物によっては、合成自体が難しく、所望の構造の化合物を得られない場合があった。特に、アセチル体の製造はできても、脱アセチルが困難であった場合もある。
【0007】
そこで本発明の目的は、特許文献1に実際には記載されていない新たなキノリン化合物であって、マラリア治療薬として期待出来るキノリンを効率的に原虫内に送り込むことができる新規化合物を提供することにある。
【0008】
本発明者は、糖を担体として膜浸透性を向上させ、キノリンを効率的に原虫内に送り込むことができる、新たなドラックデリバリーシステムを用いた新規キノリングリコシド、特に、グルコースの2位にキノリンを有するキノリン化合物の合成に成功し、本発明を完成させた。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するための本発明は以下の通りである。
[1]下記一般式(1)で示される化合物。
【化1】
(式中、糖は、D(+)-グルコースであり、
Yは、H、またはアセチルであり、
Rは、独立に、C1〜C15の直鎖アルキル、C1〜C15の直鎖アルコキシ、アリールオキシ、NR1R2(R1およびR2は独立に、H、C1〜C15の直鎖アルキルまたはアリールである)である。)
[2]Yは、Hである[1]または[2]に記載の化合物。
[3]Rは、C1〜C15の直鎖アルキルである[1]または[2]に記載の化合物。
[4]Rは、C1〜C15の直鎖アルコキシである[1]または[2]に記載の化合物。
[5]Rは、アリールオキシである[1]または[2]に記載の化合物。
[6]Rは、NR1R2である[1]または[2]に記載の化合物。
[7]Rの結合部位は、キノリンの5位、6位または7位である[1]〜[6]のいずれかに記載の化合物。
[8][1]〜[7]のいずれかに記載の化合物の薬学的に許容される塩。
[9]薬学的に許容される塩が塩酸塩である[8]に記載の化合物。
[10][1]〜[9]のいずれかに記載の化合物またはその薬学的に許容される塩を有効成分として含有する抗マラリア剤。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、キノリンを効率的に原虫内に送り込むことができる新規化合物を提供することができ、この化合物はマラリア治療薬として期待される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明は、前記一般式(1)で示される化合物に関する。
【0012】
式中の糖は、D(+)-グルコースであり、各糖等のYは、H(水素原子)、またはアセチルである。
【0013】
Rは、独立に、C1〜C15の直鎖アルキル、C1〜C15の直鎖アルコキシ、アリールオキシ、NR1R2(R1およびR2は独立に、H、C1〜C15の直鎖アルキルまたはアリールである)であることができる。C1〜C15の直鎖アルキルは、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル等である。C1〜C15の直鎖アルコキシは、例えば、メトキシ、エトキシ、プロピロキシ、ブトキシ、ペンチロキシ、ヘキシロキシ、オクチロキシ等である。アリールオキシは、フェノキシ、ベンジルオキシ等である。NR1R2におけるR1およびR2は、独立に、H、C1〜C15の直鎖アルキルまたはアリールであり、C1〜C15の直鎖アルキルは、上記で挙げたC1〜C15の直鎖アルキルと同様の基を挙げることができる。アリールは、例えば、フェニル、ベンジル等である。NR1R2の例としては、例えば、N, N-ジメチルアミノ、N -フェニルアミノ等を挙げることができる。
【0014】
上記化合物の内、好ましい化合物は、糖がD(+)-グルコースであり、Yは、Hである。Rは、C1〜C15の直鎖アルキル、例えば、メチル、エチル、プロピル、またはブチルであるか、C1〜C15の直鎖アルコキシ、例えば、メトキシ、エトキシ、プロピロキシ、またはブトキシであるか、アリールオキシ、例えば、フェノキシである。あるいは、Rは、N, N-ジメチルアミノ、またはN -フェニルアミノであることも好ましい。Rの結合部位は、好ましくは、キノリンの5位、6位または7位である。
【0015】
本発明の化合物は、例えば、以下のスキームに示すように、ヒドロキシキノリン類を溶媒中、例えば、炭酸銀の存在下にグリコシル化することにより合成することができる。より具体的には、ヒドロキシキノリン類のRがメチルの場合、4-ヒドロキシ‐6‐メチルキノリンを、α-ブロモ-O-テトラアセチル-D-グルコースでグリコシル化する。
【0016】
【化2】
【0017】
グリコシル化が行われる溶媒としては、例えば、アセトニトリル、ピリジン、N,N-ジメチルホルムアミド、トルエン等を挙げることができる。
【0018】
炭酸銀は、ヒドロキシキノリン類またはグルコースに対して等モルから1.5倍モルの範囲で用いることができる。炭酸銀は、グリコシル化の触媒に用いられるが、炭酸銀以外に例えば、硝酸銀、酸化銀等を用いることもできる。
【0019】
次いで得られたキノリングリコシドを脱保護(脱アセチル化)する。
【0020】
【化3】
【0021】
キノリングリコシドの脱保護(脱アセチル化)は、例えば、メタノール中、MeONaを用いて行うことができるが、これ以外に水あるいはメタノール中、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニアを用いて行うこともできる。
【0022】
あるいは脱保護(脱アセチル化)は、例えば、塩基性イオン交換樹脂を用いて行うことができる。塩基性イオン交換樹脂は、ポリスチレン等の高分子化合物にアンモニウム塩等の陰イオン交換基が担持されており、アルカリ水溶液中で対イオンを水酸化物イオンにすると、塩基性を示す樹脂である。OH型の陰イオン交換樹脂は水に溶けない固体粒状のアルカリであると言える。代表的なイオン交換樹脂はスチレン系のイオン交換樹脂であるが、本発明で用いるイオン交換樹脂は、スチレン系のイオン交換樹脂に限定されない。
【0023】
イオン交換樹脂は、一般にそれが酸性基を持つか塩基性基を持つかによって陽イオン交換樹脂と陰イオン交換樹脂とに分けられ、さらに、陰イオン交換樹脂は、強塩基性型と弱塩基性型に分けられる。また、強塩基性イオン交換樹脂は、さらにI型(II型よりも塩基度がやや高い)とII型に分けられ、I型を最強塩基性陰イオン交換樹脂と言うことがある。本発明では、いずれの塩基性イオン交換樹脂も用いることができ、ここでの塩基性イオン交換樹脂には、強塩基性型と弱塩基性型のいずれも包含する。但し、室温程度の穏やかな反応条件で、脱アシル化反応を円滑に進行させるという観点から、水酸化物イオンをより容易に遊離する強塩基性型のイオン交換樹脂であることが好ましい。強塩基性陰イオン交換樹脂(I型)の交換基は、例えば、R-N(CH3)+ (固定イオン)+ OH-(対立イオン)である。
【0024】
イオン交換樹脂の対イオンが水酸化物イオン以外のアニオンであっても、金属水酸化物によって、対イオン交換して、本発明の方法に適用することができる。
【0025】
本発明の方法に用いる塩基性イオン交換樹脂は、樹脂及びそれらの反応残渣が、反応溶媒に不溶な物であれば良く、その形状は、球状細粒、 膜状、繊維などであることができる。扱いが容易であるという観点からは球状細粒であることが好ましい。
【0026】
塩基性イオン交換樹脂の例としては、例えば、Amberlite IRA-67、Amberlite IRA-410、Amberlite IRA-900、Amberlite IRA-743、Amberlyst A-21、Amberlyst A-26(OH)、DOWEX 1X2-100、DOWEX 1X2-200、DOWEX 1X2-400、DOWEX 1X4-50、DOWEX 1X4-100、DOWEX 1X8-100、DOWEX 1X8-200、DOWEX 1X8-400、DOWEX 21K Cl、DOWEX 2X8-100、DOWEX 2X8-200、DOWEX 22-Cl、DOWEX MARATHON A、DOWEX MARATHON A2、DOWEX 550A OH、DOWEX 66、DOWEX MARATHON WBA、DOWEX WGR-2、Dulite A-7等を挙げることができる。
【0027】
本発明の脱アシル化反応は、溶媒の存在下で行うことが適当である。溶媒としては、例えば、水、アルコール(例えば、メタノール、エタノール等)等の極性溶媒が望ましい。但し、樹脂及びそれらの反応残渣が不溶な場合において、N,N-ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドを溶媒として使用することも可能である。また、生成物が極性溶媒に難溶かつ、樹脂及びそれらの反応残渣が反応溶媒に不溶な場合においては、トルエン、ベンゼン、ヘキサン、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等を溶媒として使用することもできる。
【0028】
イオン交換樹脂の使用量は、イオン交換樹脂の種類、有機化合物の種類、アシル基の種類、アシル化の程度(有機化合物1分子当たりのアシル基の数)等を考慮して適宜決定することができる。イオン交換樹脂の使用量は、例えば、基質(アシル化有機化合物)の2〜6質量倍とすることが適当である。但し、この範囲に限定されるものではない。
【0029】
単糖類の脱アシル化においては、一分子に3〜5個のアシル基がある。この場合、基質(アシル化糖関連化合物)の2〜3質量倍のイオン交換樹脂を使用するのが望ましい。二糖以上においては、単糖類に用いるべき樹脂の重量に、更に糖の数を剰じた質量を用いることができる。
【0030】
出発原料であるヒドロキシキノリン類については、4-ヒドロキシキノリンは市販品として入手可能である。また、これらのヒドロキシキノリンに水素以外のR置換基を有する多置換ヒドロキシキノリンは、Journal of American Chemical Society, 61, 2890, 1939 に記載されている方法を用いて、置換アニリン類とエトキシメチレンジアルコキシマロネートより調製可能である。具体的には、以下の反応式として示す。
【0031】
【化4】
【0032】
α-ブロモ-O-テトラアセチル-D-グルコースを含む、D(+)-グルコース、D(+)-ガラクトース及びD(+)-マンノースのブロモアセチル体は、Organic Synthesis, Collective Volume 3, P432 及び Bioconjugate Chemistry 14, 18, 2003に記載されている方法を用いて、D(+)-グルコース、D(+)-ガラクトース及びD(+)-マンノースを原料として、調製可能である。さらに、糖の置換基Yの導入は、Method in carbohydrate chemistry の各巻に記載されている方法により実施できる。例えば、ベンジル体はベンジルクロリドを塩基存在下で反応させることによって得られる。
【0033】
上記方法で得られた化合物は適当な方法で精製することができる。例えば、展開溶媒として酢酸エチルを用いたシリカゲルカラムクロマトグラフに付すことに精製することが出来る。
【0034】
本発明は、上記本発明の化合物の薬学的に許容される塩も包含する。薬学的に許容される塩は、特に制限はないが、例えば、塩酸(HCl)塩、HBr塩、HI塩、硫酸塩、硫酸水素塩、リン酸塩、リン酸一水素塩、リン酸、二水素塩、亜リン酸塩、亜リン酸一水素塩、亜リン酸二水素塩、次亜リン酸塩、次亜リン酸水素塩等であることができる。
【0035】
本発明は、上記本発明の化合物又はその塩を有効成分として含有する抗マラリア剤である。本発明の化合物又はその塩を、マラリア等の原虫類による感染症の予防及び治療に使用する場合、投与経路としては、経口、皮下注射、静脈注射、局所投与等のいずれでもよい。また、製剤としては、通常、製薬的に許容される担体や賦形剤、その他添加剤を用いて製造した散剤、錠剤、細粒剤、丸剤、カプセル剤、顆粒剤等の経口剤、点眼剤、注射剤、坐剤等の非経口剤が挙げられる。製薬的に許容される担体や賦形剤、その他添加剤としては、グルコース、ラクトース、ゼラチン、マンニトール、でんぷんペースト、トリケイ酸マグネシウム、コーンスターチ、ケラチン、コロイド状シリカ等があり、さらには、安定剤、増量剤、着色剤及び芳香剤の様な補助剤を含有してもよい。
【0036】
これらの製剤は、各々当業者に公知慣用の製造方法により製造できる。本発明化合物又はその塩の製剤中の配合量としては、0.1〜100重量%が好ましく、さらに好ましくは0.1〜80重量%であり、0.1〜50重量%が好適である。また、1日当たりの投与量は、患者の症状、体重、年齢、性別等によって異なり一概に決定できないが、通常成人1日当り本発明化合物を0.1〜1000mg、好ましくは1〜600mgを1回又は2〜4回程度に分けて投与するのが好ましい。
【実施例】
【0037】
以下、本発明について実施例によりさらに説明する。
【0038】
実施例1 4-(2-β- O-テトラアセチル-D-グルコシルオキシ)-6-メチルキノリン
【0039】
【化5】
【0040】
参考例1で合成した4-ヒドロキシ-6-メチルキノリン(0.38 g, 2.41 mmol)、1,3,4,6-β-O-テトラアセチル-D-マンノース(1.00g, 2.63 mmol)及びトリフェニルホスフィン(1.51g, 5.26 mmol)溶液の乾燥テトラヒドロフラン懸濁液(50 ml)に対し、アルゴン気流中、アゾジカルボン酸ジエチルエステルの40%-トルエン溶液(2.50 g, 5.26 mmol)を室温下に加え、30分間室温で撹拌した。反応混合物を水に注ぎ、酢酸エチルで抽出した。抽出液を無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下に溶媒を留去した。得られた残渣を展開溶媒として酢酸エチルを用いたシリカゲルカラムクロマトに付し、表題化合物(0.38 g, 32%)を得た。
【0041】
実施例2 4-(2-β- 1,3,4,6-O-テトラアセチル-D-グルコシルオキシ)-6-メトキシキノリン
【0042】
【化6】
【0043】
4-ヒドロキシ-6-メチルキノリンの代りに、参考例3で合成した4-ヒドロキシ-6-メトキシキノリン(0.42 g, 2.41 mmol)を用い、反応時間を1時間及びシリカゲルカラムクロマトグラフの展開溶媒をクロロホルム‐酢酸エチル(1:1)の混合溶媒とした以外は、実施例1に従った。表題化合物(0.41 g, 33%)を得た。
【0044】
実施例3 4-(2-β- 1,3,4,6-O-テトラアセチル-D-グルコシルオキシ)-7-メトキシキノリン
【0045】
【化7】
【0046】
4-ヒドロキシ-6-メチルキノリンの代りに、参考例4で合成した4-ヒドロキシ-7-メトキシキノリン(0.42 g, 2.41 mmol)を用い、及び反応時間を1時間とした以外は、実施例1に従った。表題化合物(0.29 g, 24%)を得た。
【0047】
実施例4 4-(2-β- 1,3,4,6-O-テトラアセチル-D-グルコシルオキシ)-6-フェノキシキノリン
【0048】
【化8】
【0049】
4-ヒドロキシ-6-メチルキノリンの代りに、参考例5で合成した4-ヒドロキシ-6-フェノキシキノリン(0.57 g, 2.41 mmol)を用い、反応時間を1時間及びシリカゲルカラムクロマトグラフの展開溶媒をクロロホルム‐酢酸エチル(1:1)の混合溶媒とした以外は、実施例1に従った。表題化合物(0.63 g, 46%)を得た。
【0050】
実施例5 4-(2-β- 1,3,4,6-O-テトラアセチル-D-グルコシルオキシ)-6‐N, N-ジメチルアミノキノリン
【0051】
【化9】
【0052】
4-ヒドロキシ-6-メチルキノリンの代りに、参考例6で合成した4-ヒドロキシ-6-N, N-ジメチルアミノキノリン(0.45 g, 2.41 mmol)を用い、反応時間を1時間及びシリカゲルカラムクロマトグラフの展開溶媒をクロロホルム‐酢酸エチル(1:1)の混合溶媒とした以外は、実施例1に従った。表題化合物(0.53 g, 42%)を得た。
【0053】
実施例6 4-(2-β- 1,3,4,6-O-テトラアセチル-D-グルコシルオキシ)-6-N-フェニルアミノキノリン
【0054】
【化10】
【0055】
4-ヒドロキシ-6-メチルキノリンの代りに、参考例7で合成した4-ヒドロキシ-6- N ?フェニルアミノキノリン(0.57 g, 2.41 mmol)を用い、反応時間を1時間及びシリカゲルカラムクロマトグラフの展開溶媒をクロロホルム‐酢酸エチル(1:1)の混合溶媒とした以外は、実施例1に従った。表題化合物(0.67 g, 50%)を得た。
【0056】
実施例7 4-(2-D-グルコシルオキシ)-6-メチルキノリン
【0057】
【化11】
【0058】
実施例1で合成した4-(2-β- O-テトラアセチル-D-グルコシルオキシ)-6-メチルキノリン(123 mg, 0.26 mmol)及びアンバーライトA-26(OH)(381 mg)のメタノール懸濁液(15 ml)を室温下、4時間撹拌した。メタノール不溶物をろ過し、多量のメタノールで洗浄した後、ろ液と合わせ、減圧下にメタノールを留去した。残渣を乾燥し、表題化合物(84 mg, q.)を得た。
【0059】
実施例8 4-(2-D-グルコシルオキシ)-6-メトキシキノリン
【0060】
【化12】
【0061】
アセチル体として実施例2で合成した4-(2-β- 1,3,4,6-O-テトラアセチル-D-グルコシルオキシ)-6-メトキシキノリン(200 mg, 0.40 mmol)を用い、アンバーライトA-26(OH)(600 mg)及びメタノール懸濁液(20 ml)とした以外は実施例7に従った。表題化合物(91 mg, 68%.)を得た。
【0062】
実施例9 4-(2-D-グルコシルオキシ)-7-メトキシキノリン
【0063】
【化13】
【0064】
アセチル体として実施例3で合成した4-(2-β- 1,3,4,6-O-テトラアセチル-D-グルコシルオキシ)-7-メトキシキノリン(100 mg, 0.20 mmol)を用い、アンバーライトA-26(OH)(300 mg)及びメタノール懸濁液(20 ml)とした以外は実施例7に従った。表題化合物(67 mg, q.)を得た。
【0065】
実施例10 4-(2-D-グルコシルオキシ)-6-フェノキシキノリン
【0066】
【化14】
【0067】
アセチル体として実施例4で合成した4-(2-β- 1,3,4,6-O-テトラアセチル-D-グルコシルオキシ)-6-フェノキシキノリン(266 mg, 0.47 mmol)を用い、アンバーライトA-26(OH)(800 mg)及びメタノール懸濁液(20 ml)とした以外は実施例7に従った。表題化合物(187 mg, q.)を得た。
【0068】
実施例11 4-(2-D-グルコシルオキシ)-6-N, N-ジメチルアミノキノリン
【0069】
【化15】
【0070】
アセチル体として実施例5で合成した4-(2-β- 1,3,4,6-O-テトラアセチル-D-グルコシルオキシ)-6‐N, N-ジメチルアミノキノリン(532 mg, 1.02 mmol)を用い、アンバーライトA-26(OH)(1.60 g)及びメタノール懸濁液(20 ml)とした以外は実施例7に従った。表題化合物(353 mg, 98%)を得た。
【0071】
実施例12 4-(2-D-グルコシルオキシ)-6-N-フェニルアミノキノリン
【0072】
【化16】
【0073】
アセチル体として実施例6で合成した4-(2-β- 1,3,4,6-O-テトラアセチル-D-グルコシルオキシ)-6-N-フェニルアミノキノリン(595 mg, 1.05 mmol)を用い、アンバーライトA-26(OH)(1.79 g)、メタノール懸濁液(20 ml)及び反応時間を終夜とした以外は実施例7に従った。表題化合物(372 mg, 89%)を得た。
【0074】
実施例13 4-(2-D-グルコシルオキシ)キノリン
【0075】
【化17】
【0076】
アセチル体として特許文献1の実施例6に従って合成した4-(2-β- 1,3,4,6-O-テトラアセチル-D-グルコシルオキシ)キノリン(302 mg, 0.64 mmol)を用い、アンバーライトA-26(OH)(900 mg)及びメタノール懸濁液(20 ml)とした以外は実施例7に従った。表題化合物(115 mg, 59%)を得た。
【0077】
実施例14 4-(2-D-グルコシルオキシ)-7-クロロキノリン
【0078】
【化18】
【0079】
アセチル体として特許文献1の実施例7に従って合成した4-(2-β- 1,3,4,6-O-テトラアセチル-D-グルコシルオキシ)-7-クロロキノリン(504 mg, 0.98 mmol)を用い、アンバーライトA-26(OH)(1.01 g)及びメタノール懸濁液(20 ml)とした以外は実施例7に従った。表題化合物(310 mg, 92%)を得た。
【0080】
参考例1
4‐ヒドロキシ‐6‐メチルキノリンの合成
【0081】
【化19】
【0082】
p‐トルイジン(10.7 g, 100 mmol)及びエトキシメチレンマロン酸ジエチル(23.3 g, 110 mmol)のトルエン(100 ml)混合物を1時間加熱還流し、反応終了後、減圧下に溶媒を留去した。残渣にジフェニルエーテル(150 ml)を加え、1時間加熱還流した。反応混合物を室温まで冷却後、n‐ヘキサンを加え、ろ過した。ろ物を酢酸エチルで洗浄することにより、未精製の4‐ヒドロキシ‐6‐メチルキノリン‐3‐カルボン酸エチル(10.5g, 45%)を得た。未精製の4‐ヒドロキシ‐6‐メチルキノリン‐3‐カルボン酸エチル(10.5g)と2規定水酸化ナトリウム水溶液(100 ml)の混合物を1時間加熱還流した。反応混合物を室温まで冷却後、2規定塩酸を沈殿が生成するまで加え、生成物をろ取し、水で洗浄後、乾燥した。沈殿物を精製せず、ジフェニルエーテル(50 ml)を加え、1時間加熱還流した。反応混合物を室温まで冷却後、n‐ヘキサンを加え、ろ過した。ろ物を酢酸エチルで洗浄することにより、4‐ヒドロキシ‐6‐メチルキノリン (2.3g, 32%)を得た。
【0083】
4‐ヒドロキシ‐6‐メチルキノリン:1H-NMR(CD3OD) ・・・・2.48 (3H ,s), 6.32 (
1H , d, J = 7.2 Hz), 7.49 (1H, d, J = 8.5 Hz), 7.56 (1H, dd, J = 8.5 Hz, 1.9 Hz), 7.93 (1H, d, J = 7.2 Hz), 8.05 (1H, d, J = 1.9 Hz)
【0084】
参考例2
4‐ヒドロキシ‐5‐メチルキノリン及び4‐ヒドロキシ‐7‐メチルキノリンの合成
【0085】
【化20】
【0086】
m‐トルイジン(10.7 g, 100 mmol)及びエトキシメチレンマロン酸ジエチル(23.3 g, 110 mmol)のトルエン(100 ml)混合物を1時間加熱還流し、反応終了後、減圧下に溶媒を留去した。残渣にジフェニルエーテル(150 ml)を加え、1時間加熱還流した。反応混合物を室温まで冷却後、n‐ヘキサンを加え、ろ過した。ろ物を酢酸エチルで洗浄することにより、未精製の4‐ヒドロキシ‐5‐メチルキノリン‐3‐カルボン酸エチル及び4‐ヒドロキシ‐7‐メチルキノリン‐3‐カルボン酸エチルの1:6混合物(7.00g, 30%)を得た。未精製の4‐ヒドロキシ‐5‐メチルキノリン‐3‐カルボン酸エチル及び4‐ヒドロキシ‐7‐メチルキノリン‐3‐カルボン酸エチルの1:6混合物(7.00g)及び2規定水酸化ナトリウム水溶液(100 ml)の混合物を1時間加熱還流した。反応混合物を室温まで冷却後、2規定塩酸を沈殿が生成するまで加え、生成物をろ取し、水で洗浄後、乾燥した。沈殿物を精製せず、ジフェニルエーテル(50 ml)を加え、1時間加熱還流した。反応混合物を室温まで冷却後、n‐ヘキサンを加え、ろ過した。ろ物を酢酸エチルで洗浄することにより、4‐ヒドロキシ‐5‐メチルキノリン及び4‐ヒドロキシ‐7‐メチルキノリンの1:6混合物(4.82 g, q.)を得た。
【0087】
4‐ヒドロキシ‐5‐メチルキノリン:1H-NMR(CD3OD) ・・・・2.88 (3H, s), 6.20 (
1H, d, J = 7.2 Hz), 7.07 (1H, d, J = 7.2 Hz), 7.33 (1H, d, J = 8.3 Hz), 7.46 (1H, t, J = 7.8 Hz), 7.78 (1H, d, J = 7.2 Hz)
4‐ヒドロキシ‐7‐メチルキノリン:1H-NMR(CD3OD) ・・・・2.48 (3H, s), 6.30 (
1H, d, J = 7.2 Hz), 7.23 (1H, dd, J = 8.4 Hz, J = 1.2 Hz), 7.36 (1H, d, J = 1.2 Hz), 7.93 (1H, d, J = 7.2 Hz), 8.12 (1H, d, J = 8.4 Hz)
【0088】
参考例3
4‐ヒドロキシ‐6‐メトキシキノリンの合成
【0089】
【化21】
【0090】
p‐アニシジン(12.3 g, 100 mmol)及びエトキシメチレンマロン酸ジエチル(23.3 g, 110 mmol)のトルエン(100 ml)混合物を1時間加熱還流し、反応終了後、減圧下に溶媒を留去した。残渣をジフェニルエーテル(150 ml)を加え、1時間加熱還流した。反応混合物を室温まで冷却後、n‐ヘキサンを加え、ろ過した。ろ物を酢酸エチルで洗浄することにより、未精製の4‐ヒドロキシ‐6‐メトキシキノリン‐3‐カルボン酸エチル(8.8g, 36%)を得た。未精製の4‐ヒドロキシ‐6‐メチルキノリン‐3‐カルボン酸エチル(8.8 g)と2規定水酸化ナトリウム水溶液(100 ml)の混合物を1時間加熱還流した。反応混合物を室温まで冷却後、2規定塩酸を沈殿が生成するまで加え、生成物をろ取し、水で洗浄後、乾燥した。沈殿物を精製せず、ジフェニルエーテル(50 ml)を加え、1時間加熱還流した。反応混合物を室温まで冷却後、n‐ヘキサンを加え、ろ過した。ろ物を酢酸エチルで洗浄することにより、4‐ヒドロキシ‐6‐メチルキノリン (5.83g, 94%)を得た。
【0091】
4‐ヒドロキシ‐6‐メトキシキノリン:1H-NMR(CD3OD) ・・・・3.91 (3H, s), 6.33
(1H, d, J = 7.2 Hz), 7.35 (1H, dd, J = 9.1 Hz, J = 2.9 Hz), 7.54 (1H, d, J = 9.1 Hz), 7.66 (1H, d, J = 2.9 Hz), 7.92 (1H, d, J = 7.2 Hz)
【0092】
参考例4
4‐ヒドロキシ‐7‐メトキシキノリンの合成
【0093】
【化22】
【0094】
m‐アニシジン(12.3 g, 100 mmol)及びエトキシメチレンマロン酸ジエチル(23.3 g, 110 mmol)のトルエン(100 ml)混合物を1時間加熱還流し、反応終了後、減圧下に溶媒を留去した。残渣をジフェニルエーテル(150 ml)を加え、1時間加熱還流した。反応混合物を室温まで冷却後、n‐ヘキサンを加え、ろ過した。ろ物を酢酸エチルで洗浄することにより、未精製の4‐ヒドロキシ‐6‐メトキシキノリン‐3‐カルボン酸エチル(3.52 g, 14%)を得た。未精製の4‐ヒドロキシ‐6‐メチルキノリン‐3‐カルボン酸エチル(6.78 g)と2規定水酸化ナトリウム水溶液(100 ml)の混合物を1時間加熱還流した。反応混合物を室温まで冷却後、2規定塩酸を沈殿が生成するまで加え、生成物をろ取し、水で洗浄後、乾燥した。沈殿物を精製せず、ジフェニルエーテル(50 ml)を加え、1時間加熱還流した。反応混合物を室温まで冷却後、n‐ヘキサンを加え、ろ過した。ろ物を酢酸エチルで洗浄することにより、4‐ヒドロキシ‐6‐メチルキノリン (4.80 g, q. 4‐ヒドロキシ‐6‐メチルキノリン‐3‐カルボン酸エチルより)を得た。
【0095】
4‐ヒドロキシ‐7‐メトキシキノリン:1H-NMR(CD3OD) ・・・・3.92 (3H, s), 6.27
(1H, d, J = 7.4 Hz), 6.96 (1H, d, J = 2.3 Hz), 7.02 (1H, dd, J = 9.2 Hz, J = 2.3 Hz), 7.90 (1H, d, J = 7.4 Hz), 8.14 (1H, d, J = 9.2 Hz)
【0096】
参考例5
4‐ヒドロキシ‐6‐フェノキシキノリンの合成
【0097】
【化23】
【0098】
4‐アミノジフェニルエーテル(18.5 g, 100 mmol)及びエトキシメチレンマロン酸ジエチル(23.3 g, 110 mmol)のトルエン(100 ml)混合物を1時間加熱還流し、反応終了後、減圧下に溶媒を留去した。残渣にジフェニルエーテル(100 ml)を加え、220‐230 ℃で12時間撹拌した。室温まで冷却後、生成した沈殿をろ取し、酢酸エチルで洗浄することにより、4‐ヒドロキシ‐6‐フェノキシキノリン‐3‐カルボン酸エチル(9.13 g, 30%)を得た。4‐ヒドロキシ‐6‐フェノキシキノリン‐3‐カルボン酸エチル(9.13 g) と2規定水酸化ナトリウム水溶液(100 ml)の混合物を1時間加熱還流した。反応混合物を室温まで冷却後、2規定塩酸を沈殿が生成するまで加え、生成物をろ取し、水で洗浄後、乾燥した。沈殿物を精製せず、ジフェニルエーテル(50 ml)を加え、1時間加熱還流した。生成した沈殿をろ取し、酢酸エチルで洗浄することにより、4‐ヒドロキシ‐6‐フェノキシキノリン(5.27 g, 75%)を得た。
【0099】
4‐ヒドロキシ‐6‐フェノキシキノリン:1H-NMR(CD3OD) ・・・・6.33 (1H, d, J =
9.0 Hz), 7.03-7.05 (2H, m), 7.12-7.15 (2H, m), 7.41-7.35 (3H, m), 7.66 (1H, d, J = 7.2 Hz), 7.74 (1H, d, J = 2.8 Hz), 8.01 (1H, d, J = 6.7 Hz)
【0100】
参考例6
4‐ヒドロキシ‐6‐N, N-ジメチルアミノキノリンの合成
【0101】
【化24】
【0102】
N, N-ジメチル-p-フェニレンジアミン(13.6 g, 100 mmol) 及びエトキシメチレンマロン酸ジエチル(23.3 g, 110 mmol)のトルエン(100 ml)混合物を1時間加熱還流し、反応終了後、減圧下に溶媒を留去した。残渣にジフェニルエーテル(150 ml)を加え、2時間加熱還流した。反応混合物を室温まで冷却後、n‐ヘキサンを加え、ろ過した。ろ物を酢酸エチルで洗浄することにより、未精製の4‐ヒドロキシ‐6‐N, N-ジメチルアミノキノリン‐3‐カルボン酸エチル(17.3g, 67%)を得た。未精製の4‐ヒドロキシ‐6‐N, N-ジメチルアミノキノリン‐3‐カルボン酸エチル(17.3g) と2規定水酸化ナトリウム水溶液(200 ml)の混合物を1時間加熱還流した。反応混合物を室温まで冷却後、2規定塩酸を沈殿が生成するまで加え、生成物をろ取し、水で洗浄後、乾燥した。沈殿物を精製せず、ジフェニルエーテル(50 ml)を加え、1時間加熱還流した。生成した沈殿をろ取し、酢酸エチルで洗浄することにより、4‐ヒドロキシ‐6‐N, N-ジメチルアミノキノリン(6.74 g, 54%)を得た。
【0103】
4‐ヒドロキシ‐6‐N, N-ジメチルアミノキノリン:1H-NMR(CD3OD) ・・・・3.04 (
6H, s), 6.28 (1H, d, J = 7.2 Hz), 7.34-7.41 (2H, m), 7.50 (1H, d, J = 8.7 Hz), 7.84 (1H, d, J = 7.0 Hz)
【0104】
参考例7
4‐ヒドロキシ‐6‐N -フェニルアミノキノリンの合成
【0105】
【化25】
【0106】
4‐アミノジフェニルアミン(18.4 g, 100 mmol) 及びエトキシメチレンマロン酸ジエチル(23.3 g, 110 mmol)のトルエン(100 ml)混合物を1時間加熱還流し、反応終了後、減圧下に溶媒を留去した。残渣にジフェニルエーテル(150 ml)を加え、1時間加熱還流した。反応混合物を室温まで冷却後、n‐ヘキサンを加え、ろ過した。ろ物を酢酸エチルで洗浄することにより、未精製の4‐ヒドロキシ‐6‐N -フェニルアミノキノリン‐3‐カルボン酸エチル(10.7g, 35%)を得た。未精製の4‐ヒドロキシ‐6‐N -フェニルアミノキノリン‐3‐カルボン酸エチル(8.2g) と2規定水酸化ナトリウム水溶液(100 ml)の混合物を1時間加熱還流した。反応混合物を室温まで冷却後、4規定塩酸を沈殿が生成するまで加え、生成物をろ取し、水で洗浄後、乾燥した。沈殿物を精製せず、ジフェニルエーテル(50 ml)を加え、1時間加熱還流した。生成した沈殿をろ取し、酢酸エチルで洗浄することにより、 4‐ヒドロキシ‐6‐N -フェニルアミノキノリン(4.80 g, 76%)を得た。
【0107】
4‐ヒドロキシ‐6‐N -フェニルアミノキノリン:1H-NMR(CD3OD) ・・・・6.29 (1H
, d, J = 7.0 Hz), 6.91 (1H, dq, J = 11.2 Hz, J = 2.6 Hz), 7.19-7.17 (2H, m), 7.26 (2H, dt, J = 9.6 Hz, J = 3.7 Hz), 7.50-7.46 (2H, m), 7.85 (1H, d, J = 7.2 Hz), 7.89 (1H, q, J = 1.0 Hz)
【産業上の利用可能性】
【0108】
本発明によれば、新たなドラックデリバリーシステムを利用した新規な抗マラリア剤を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0109】
【図1】実施例1で合成した化合物のNMRの結果。
【図2】実施例2で合成した化合物のNMRの結果。
【図3】実施例3で合成した化合物のNMRの結果。
【図4】実施例4で合成した化合物のNMRの結果。
【図5】実施例5で合成した化合物のNMRの結果。
【図6】実施例6で合成した化合物のNMRの結果。
【図7】実施例7で合成した化合物のNMRの結果。
【図8】実施例8で合成した化合物のNMRの結果。
【図9】実施例9で合成した化合物のNMRの結果。
【図10】実施例10で合成した化合物のNMRの結果。
【図11】実施例11で合成した化合物のNMRの結果。
【図12】実施例12で合成した化合物のNMRの結果。
【図13】実施例13で合成した化合物のNMRの結果。
【図14】実施例14で合成した化合物のNMRの結果。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)で示される化合物。
【化1】
(式中、糖は、D(+)-グルコースであり、
Yは、H、またはアセチルであり、
Rは、独立に、C1〜C15の直鎖アルキル、C1〜C15の直鎖アルコキシ、アリールオキシ、NR1R2(R1およびR2は独立に、H、C1〜C15の直鎖アルキルまたはアリールである)である。)
【請求項2】
Yは、Hである請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
Rは、C1〜C15の直鎖アルキルである請求項1または2に記載の化合物。
【請求項4】
Rは、C1〜C15の直鎖アルコキシである請求項1または2に記載の化合物。
【請求項5】
Rは、アリールオキシである請求項1または2に記載の化合物。
【請求項6】
Rは、NR1R2である請求項1または2に記載の化合物。
【請求項7】
Rの結合部位は、キノリンの5位、6位または7位である請求項1〜6のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の化合物の薬学的に許容される塩。
【請求項9】
薬学的に許容される塩が塩酸塩である請求項8に記載の化合物。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか1項に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩を有効成分として含有する抗マラリア剤。
【請求項1】
下記一般式(1)で示される化合物。
【化1】
(式中、糖は、D(+)-グルコースであり、
Yは、H、またはアセチルであり、
Rは、独立に、C1〜C15の直鎖アルキル、C1〜C15の直鎖アルコキシ、アリールオキシ、NR1R2(R1およびR2は独立に、H、C1〜C15の直鎖アルキルまたはアリールである)である。)
【請求項2】
Yは、Hである請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
Rは、C1〜C15の直鎖アルキルである請求項1または2に記載の化合物。
【請求項4】
Rは、C1〜C15の直鎖アルコキシである請求項1または2に記載の化合物。
【請求項5】
Rは、アリールオキシである請求項1または2に記載の化合物。
【請求項6】
Rは、NR1R2である請求項1または2に記載の化合物。
【請求項7】
Rの結合部位は、キノリンの5位、6位または7位である請求項1〜6のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の化合物の薬学的に許容される塩。
【請求項9】
薬学的に許容される塩が塩酸塩である請求項8に記載の化合物。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか1項に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩を有効成分として含有する抗マラリア剤。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2008−1630(P2008−1630A)
【公開日】平成20年1月10日(2008.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−172428(P2006−172428)
【出願日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【出願人】(504300088)国立大学法人帯広畜産大学 (96)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年1月10日(2008.1.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【出願人】(504300088)国立大学法人帯広畜産大学 (96)
【Fターム(参考)】
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