説明

抗メソテリン抗体

【解決手段】 本発明は、メソテリン陽性細胞に特異的に結合し、当該細胞によって内在化し、また抗体依存性細胞障害活性等の免疫エフェクター活性を誘発する、モノクローナルおよびポリクローナル抗体の使用に関する。当該抗体は、薬剤を特異的にメソテリン発現細胞に送達すること、及び特に腫瘍細胞および前駆物質における免疫エフェクター活性の誘発に有用である。本発明はまた、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、ヒト、ヒト化、およびキメラモノクローナル抗体等の抗体誘導体、抗体フラグメント、モノクローナル抗体、誘導体、およびフラグメントを発現している哺乳動物細胞、および当該抗体、誘導体、およびフラグメントを用いて、癌を治療する方法にも関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2005年3月10日付で出願された米国特許仮出願番号第60/660,177号に基づく優先権を主張するものであり、前記特許の全内容は本願明細書に完全に組み込まれるものである。
【0002】
本発明は、メソテリンに特異的に結合する抗体に関する。本発明の一部の実施形態において、前記抗体はメソテリンを発現または保有する細胞(メソテリン陽性細胞)によって内在化するか、あるいはメソテリン陽性細胞上において免疫エフェクター活性を誘発するものである。本発明の抗体は、薬剤をメソテリン陽性細胞への特異的な送達、及び例えば腫瘍細胞や前駆物質といったメソテリン陽性細胞上で免疫エフェクター活性の誘発において有用である。本発明はまた、本発明の抗体をコード化するポリヌクレオチド、本発明の抗体を発現する細胞、本発明の抗体の産生方法、当該抗体の組成物、当該抗体を用いて異形細胞の成長を阻害する方法、及び当該抗体を用いた癌の治療方法に関する。
【背景技術】
【0003】
膵臓癌は、米国において第5番目の主要死因であり、その5年生存率が5%未満である。放射線療法や化学療法が治療法として推奨されており、相応の成果をあげているが、現行の治療法では局所進行性または転移性の疾患を有する患者の2年生存に対して効果を示
すものではない(Lawrence,Semin.Oncol.,22:68−71,1995)。
【0004】
膵臓癌ならびにその他の癌を有する患者を細胞毒性小分子薬物で治療する場合に通常直面する問題は、その細胞毒性が癌組織はもちろん正常組織までにも毒性をもたらすことである。癌組織に対する高い特異性を得るためのアプローチとしては、正常細胞中では発現されないか或いは低濃度で発現される、癌細胞中で発現する特異的な抗原を標的にすることができる抗体の使用がある。このような標的抗原は、抗原の生物学的活性の阻害、補体依存性細胞障害作用(Complement dependent cytotoxicity:CDC)および/または抗体依存性細胞障害作用(Antibody dependent cellular cytotoxicity:ADCC)を含む様々な機構により、或いは免疫エフェクター活性の誘発、あるいは抗原保有細胞に送達された場合に標的細胞を特異的に死滅させる免疫抱合体または放射性抱合体の送達により、抗原保有腫瘍細胞を特異的に死滅させる抗体を用いて活用できる。抗原保有細胞に特異的に結合し、効果的に死滅させることが可能な抗体を見つけることは、多くの癌について至難の技である。これは、免疫エフェクター機能または免疫毒素を保有する抗体の効率的な内在化の欠如のいずれかに起因した、強力な腫瘍溶解を達成できないことに部分的に起因している。病理組織中のメソテリンに関する発現特性のため、膵臓、卵巣、および肺癌や中皮腫等の数種の癌に対して腫瘍特異的標的化を実現できる可能性がある。
【0005】
メソテリンは、69kDaの前駆体としてタンパク質分解反応により30kDaのNH末端分泌型と40kDaの膜結合型に合成されたグリコシルフォスファチジルイノシトール(glycosylphosphatidylinositol:GPI)結合型糖タンパク質である(Yamaguchiら(1994)J.Biol.Chem.269:805−808)。メソテリンは、膵臓、卵巣、中皮腫、肺、およびその他のいくつかの癌の表面に高度に発現する。その発現は正常組織においては限定されているため、癌治療の標的候補となる(Caoら、Mod.Pathol.14:2005、Hassanら、Clin.Cancer Res.2004 Jun 15;10(12 Pt 1):3937−42)。
【0006】
抗メソテリン抗体の投与は、肺、卵巣、および膵臓癌のみならず、中皮腫の治療指針として提言されてきた。しかしながら、強力な免疫エフェクター活性を誘発し毒素抱合体を送達するために内在化可能な完全長の抗メソテリン抗体は、これまでに開発されていなかった。
【0007】
1992年、Changらは、ヒトの卵巣癌細胞上の抗原を認識するモノクローナル抗体について記載している(Changら、Am. J. Surg. Pathol.1992 16:259−68)。この抗体は、K1と呼ばれ、Pseudomonasの外毒素の切断型に化学的に結合し、メソテリン陽性細胞および癌細胞に結合することが見出された。しかしながら、この抗体は内在化能に乏しいため、免疫毒素抱合体としては、有用ではなかった。米国特許第6,083,502号明細書では、メソテリンと、K1抗体を用いたメソテリン陽性細胞の標的化および診断への利用について記載されている。
【0008】
高親和性で結合し、抱合体としてメソテリン陽性腫瘍上で強力な抗腫瘍活性を有する、後続の1本鎖抗体が産生された。このような1本鎖抗体の1つは、メソテリンに対して高結合親和性を示す(K値0.7nM)SS1(scFv)−PE38である。この1本鎖抗体は、ジスルフィド結合によってFvの軽鎖および重鎖領域が結合しているFvの安定型である。SS1(scFv)−PE38は、1本鎖抗体−免疫毒素複合体の内在化による腫瘍細胞の死滅において活性を有することが示されてきた(Hassan,et al.,Clin.Cancer Res.,8:3520−6,2002;Hassan,et al.,Proc.Am.Soc.Clin.Oncol.,21:29a,2002)。別の研究グループは、メソテリンに結合可能な抗体も開発しており、種々の癌に関連するこの抗体の過剰発現を見出した(Scholler,et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.1999 Sep 28;96(20):11531−6;Ordonez,Am.J.Surg.Pathol.27:1418−28,2003)。
【0009】
米国特許第6,809,184号明細書では、K1抗体とは異なるエピトープにおいてメソテリンに結合する1本鎖高親和性抗体が記載されている。この抗体フラグメントは、免疫毒素に結合した1本鎖フラグメントとして、メソテリン陽性細胞に内在化することが見出された。この抗体をSS1と名づけられた。
【0010】
メソテリンを特異的に標的にすることが可能な免疫結合抗体を開発する試みは、内在化および/または親和性が乏しいものであったのため、ほとんど成果があげられなかった(Hassan,et al.,J Immunother.2000 Jul−Aug;23(4):473−9)。この内在化欠如は、抗体組成および/またはエピトープ結合性に起因した低い親和性または乏しい内在化によるものである可能性がある。さらに、非結合型自身は細胞毒性を示さないため、免疫複合体としてのモノクローナル抗体(monoclonal antibody:mAb)K1の産生が試みられた(Hassan,et al.,Clin.Cancer Res.,10:3937−3942,2004)。
【0011】
本発明によると、メソテリン陽性細胞に内在化可能であり、免疫エフェクター活性を介して細胞毒性効果を誘発可能なインアウト抗体(in−out antibody)が提供される。さらに本発明によると、強力な免疫エフェクター活性を誘発するが毒素のメソテリン陽性細胞への内在化や送達を促進する能力を維持する抗体を用いた、癌、特にメソテリン陽性癌、例えば、膵臓、卵巣、内皮腫、および肺癌に対する抗体治療が提供される。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、選択的に、強力な免疫エフェクター機能の誘発するか、或いはメソテリン陽性細胞中に内在化するメソテリン特異抗体を提供し、前記抗体を本願明細書において「インアウトメソテリン抗体」と称する。本願明細書で使用される「インアウト抗体(in−out Abs)」は、選択的的に、免疫エフェクター活性の誘発、および標的抗原に結合して抗原提示細胞への内在化ができる抗体に言及する。特定の理論に縛られることなく、インアウトAbsは、抗原陽性細胞の細胞表面に結合し、免疫エフェクター細胞および/または抗原抗体陽性細胞に補充された(recruited)生化学物質により関与しない限り、一定期間後に内在化すると考えられている。抗体依存性細胞障害作用(antigen−antibody−positive ce:ADCC)または補体依存性細胞障害作用(complement dependent cytotoxity:CDC)のような免疫エフェクター効果を誘発し内在化できる抗体の産生方法がこれまでに記載されているが(Wolff,et al.,Cancer Res.1993 Jun 1;53:2560−5)、インアウト抗体が如何なる抗体またはエピトープに対しても発現可能であるは明らかではない(Kusano et al., Anticancer Res. 11:417−21,1991)。常に内在化する細胞表面抗原を標的化できる抗体は、細胞表面抗原に結合した場合に必ず内在化するとは限らない(Cogliati et al.,Anticancer Res.11:417−21,1991)。さらに、細胞表面抗原を標的化できる抗体は、細胞表面抗原に結合した場合に必ず免疫エフェクター機能を誘発するとは限らない(Niwa,et al.,Cancer Res.64:2127−33,2004;Kikuchi,et al.,Leuk.Res.29:445−50,2005;Scott,et al.,Cancer Immun.Feb 22;5:3,2005)。メソテリンを標的化できるインアウト抗体に関する記述は現在のところない。
【0013】
本発明によると、細胞表面抗原メソテリンに結合し、選択的に、免疫エフェクター活性(例えば、ADCCまたはCDC)を誘発するか、或いは抗原(メソテリン)陽性細胞への内在化可能な抗体が提供される。これらの抗体は、癌治療に有用である。
【0014】
本発明は、メソテリンに特異的に結合する抗体を提供するものであり、前記抗体はMAbK1と異なり、(a)前記抗体がMAbK1よりも高い親和性および/または結合力を有し、(b)前記抗体は、これらに限らないがADCCまたはCDC等の免疫エフェクター効果を誘発し、更に(c)(b)の代わりに、前記抗体は、メソテリン陽性細胞に内在化する。
【0015】
本発明は、メソテリンに特異的に結合する抗体を提供するものであり、前記抗体は、(a)メソテリン陽性細胞に内在化、更に(b)選択的に、これらに限定されないがADCCまたはCDC等の免疫エフェクター活性を誘発するという点でSS1と異なる。一部の実施形態において、本発明の抗体は、SSIとは異なる親和性および/または結合力で結合する。
【0016】
本発明の抗体は、これらに限らないが、ヒト−マウスキメラ抗体を含むキメラ抗体を含む。また、本発明の抗体はまた、ヒト化抗体であっても良い。本発明の抗体はまた、完全ヒト抗体であっても良い。本発明はまた、本発明の抗体を発現するハイブリドーマ細胞、本発明の抗体をコード化するポリヌクレオチド、本発明の抗体をコード化するポリヌクレオチドを有するベクター、およびトランスフェクトーマ(transfectomas)と呼ばれる本発明のベクターを有する発現細胞を提供する。
【0017】
本発明はまた、本発明の抗体を産生する方法も提供するものである。一部の実施形態においては、前記方法は、本発明の抗体を発現するトランスフェクトーマまたはハイブリドーマ細胞を培養する工程を含む。本発明の抗体産生細胞は、細菌、酵母菌、昆虫、または動物細胞であっても良く、好ましくは哺乳動物細胞である。
【0018】
さらに本発明は、これらに限らないが、正常細胞に比べて増大されたメソテリンの発現に関連した腫瘍細胞または異型細胞などのメソテリン陽性細胞の成長を阻害する方法を提供するものであり、この方法は、本発明のインアウト抗体を含む組成物を前述のような細胞を有する対象に投与する工程を有する。当該方法は、これらに限らないが、中皮腫や、膵臓、卵巣、および肺癌などを含む各種悪性疾患や異形成に対して使用されても良い。好ましい実施形態において、対象は動物である。さらに好ましい実施形態において、対象は哺乳動物である。最も好ましい実施形態において、対象はヒトである。一部の実施形態において、当該抗体は、これらに限らないが、放射性核種、毒素、細胞毒性、および細胞分裂阻害剤等の1若しくはそれ以上の化学療法剤に結合する。別の実施形態において、当該抗体は1若しくはそれ以上の化学療法剤と併用される。インアウト抗体は、単剤として、結合抗体または非結合抗体として、あるいは結合または非結合型または別の治療薬と併用して投与可能である。
【0019】
本発明のその他の特徴および長所は、以下の詳細な説明および実施例により明らかとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本願明細書中で引用されている参考研究、特許、特許出願書、およびGenBankデータベース配列に対するアクセッション番号を含む科学的参考文献は、当業者の知識を構築するものであり、当業者の知識を確立するために本願明細書において参照され、これらの全内容は本願明細書に組み込まれる。本願明細書で引用の参考資料と本願明細書の具体的に教示との間で矛盾がある場合、このような矛盾は後者に有利になるように解決される。同様に、当該技術分野で理解されている語句の定義と、本願明細書中において具体的に教示されている語句の定義との間の矛盾は、後者に有利になるように解決される。
【0021】
当業者に既知の組換えDNA技術に関する一般原理を述べている標準的な参考研究として、Ausubel et al.CURRENT PROTOCOLS IN MOLECULAR BIOLOGY,John Wiley & Sons,New York(1998)、Sambrook et al.MOLECULAR CLONING、A LABORATORY MANUAL,2D ED.,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Plainview,New York(1989)、Kaufman et al.,Eds.,HANDBOOK OF MOLECULAR AND CELLULAR METHODS IN BIOLOGY AND MEDICINE,CRC Press,Boca Raton(1995)、McPherson,Ed.,DIRECTED MUTAGENESIS:A PRACTICAL APPROACH,IRL Press,Oxford(1991))が挙げられる。
【0022】
当然のことながら、本発明は特定の方法、試薬、化合物、組成物、または生物学的システムに限定されるものではなく、これらは変化し得るものであるのはいうまでもない。また、本願明細書で使用されている用語は、特定の実施形態のみを説明する目的のものであり、限定する意図はないことが理解されるべきである。本願明細書および本願明細書に添付の請求項において使用される単数形の「a」、「an」、及び「the」は、内容が明らかに他を明記していない限り、複数形のものも含むものである。従って、「細胞(a cell)」と記載している場合、2若しくはそれ以上の細胞の組み合わせ等を含む。
【0023】
本願明細書において列挙されている範囲は、その範囲に含まれる各数値はもちろん、その範囲の全てのコンビネーション(組み合わせ)およびサブコンビネーションを含む。
【0024】
本願明細書中において、量や時間的長さ等の測定可能な値に対して使用される場合の「約」は、本願明細書で開示されている方法を実施するのに適切となるように、特定の数値から±20%または±10%、より好ましくは±5%、さらにより好ましくは±1%、さらにまたより好ましくは±0.1%の変量を包含することを意味する。
【0025】
本発明は、メソテリンに特異的に結合するインアウト性モノクローナル抗体を用いて、メソテリン陽性細胞(例えば、癌細胞)の成長や腫瘍疾患の進行を低下または阻害するための方法を提供する。本発明の方法は、ヒトを含む哺乳動物におけるメソテリン陽性細胞の成長および癌の進行を調節するために使用されても良い。阻害されるメソテリン陽性細胞は、正常細胞に比べてメソテリンの発現が増大している全ての癌細胞が含まれ、例えばこれらに限らないが、膵臓癌、卵巣癌、中皮腫、および肺癌細胞が含まれる。
【0026】
作用に関する如何なる具体的な理論にも縛られることなく、癌細胞でのメソテリンの増大された発現は、それらの細胞表面における膜結合型の細胞表面発現の増大をもたらすと考えられている。従って、膜結合型メソテリンは、癌のインアウト抗体療法にとって、理想の標的である。
【0027】
本願明細書において使用される「エピトープ」とは、モノクローナル抗体が特異的に結合する抗原部分に言及し、例えば、立体配座のエピトープを含む。
【0028】
本願明細書において使用される「立体配座エピトープ(conformational epitope)」とは、連続したまたは断続のない一続きのアミノ酸以外の抗原のアミノ酸間の空間的関係により形成される不連続なエピトープに言及する。
【0029】
本願明細書中において使用される「免疫エフェクター活性」とは、抗体依存性細胞障害作用(ADCC)または補体依存性細胞障害作用(CDC)によって、細胞を死滅させることが可能な抗体に言及する。
【0030】
本願明細書において使用される「インアウト抗体」とは、選択的に、標的抗原に結合することにより、免疫エフェクター活性の誘発および内在化可能な抗体を意味する。
【0031】
本願明細書において使用される抗体が内在化或いは免疫エフェクター活性を誘発する抗体の能力を意味する場合の「選択的に」とは、その抗体が内在化したり免疫エフェクター活性を誘発する能力を有するが、同時に両者を行うことはできないことを意味する。
【0032】
本願明細書において使用される「インビトロ(in vitro)での腫瘍細胞の成長阻害」とは、培養物中の腫瘍細胞数を約5%、好ましくは約10%、より好ましくは約20%、より好ましくは約30%、より好ましくは約40%、より好ましくは約50%、より好ましくは約60%、より好ましくは約70%、より好ましくは約80%、より好ましくは約90%、最も好ましくは約100%減少させることを意味する。対外での腫瘍細胞の成長阻害は、例えばGEO細胞軟寒天分析といった、当該技術分野で既知の分析法により測定できる。
【0033】
本願明細書において使用される「インビボ(in vivo)での異型細胞の成長阻害」とは、動物の腫瘍細胞の数を、5%、好ましくは約10%、より好ましくは約20%、より好ましくは約30%、より好ましくは約40%、より好ましくは約50%、より好ましくは約60%、より好ましくは約70%、より好ましくは約80%、より好ましくは約90%、最も好ましくは約100%減少させることを意味する。インビボでの腫瘍細胞の成長変調は、例えば、Response Evaluation Criteria in Solid Tumors (RECIST)変数(the National Cancer Institute Cancer Therapy Evaluation Programによりオンラインで使用可能)等、当該技術分野で既知の分析方法により測定できる。
【0034】
本願明細書において使用される「異型細胞」とは、例えば軟寒天中での成長、接触阻害の欠如、血清の非存在下での細胞周期抑止不全、免疫力の低下したマウスに注射した場合の腫瘍形成等の、異常な成長特性を示す細胞を意味する。異型細胞は、これらに限らないが腫瘍や過形成などを含む。
【0035】
「予防」とは、生物が異常状態になるか、或いは発病する確率を減少させることに言及する。
【0036】
「治療」とは、その生物体において、治療効果を有し、異常状態を少なくとも一部緩和したり、抑制したりすることに言及する。治療は、腫瘍成長の阻害、阻害された腫瘍成長の維持、緩解の導入を含む。
【0037】
「治療効果」とは、対象において、疾患または異常状態、それらの症状、あるいはそれらの副作用を低減、除去、または予防することに言及する。「有効量」とは、所望の効果を得るのに必要な量を意味する。「治療上有効な量」とは、疾患、状態、または障害を治療するために投与した際、その疾患を効果的に治療するのに十分な量を意味する。治療効果は、異常状態の1若しくはそれ以上の症状をある程度緩和する。異常状態の治療に関して、治療効果とは、(a)細胞の増殖、成長、および/または分化の増強または抑制、(b)インビボ(in vivo)における腫瘍細胞成長の阻害(すなわち遅延または停止)、(c)細胞死の促進、(d)退化の阻害、(e)異常状態に関連した1若しくはそれ以上の症状のある程度の軽減、および(f)細胞集団の機能増強のうちの、1若しくはそれ以上を意味する可能性がある。本願明細書に記載した抗体は、単独で、または本発明組成物の抱合体または追加成分との併用により、治療効果をもたらすものである。
【0038】
本願明細書において使用される「癌の進行を阻害する」とは、未治療の癌細胞の末期疾患への変化に関連して、腫瘍性疾患の末期疾患への変化を遅らせる治療行為に言及する。
【0039】
本願明細書において使用される「腫瘍性疾患」とは、組織の細胞の異常増殖を特徴とする状態に言及する。
【0040】
本願明細書において使用される「生体分子」とは、抗体と結合、同時投与したり、抗体の投与前または投与後に投与したり、あるいは本発明の抗体と関連して使用できる全ての分子を意味する。生体分子は、これらに限らないが酵素、タンパク質、ペプチド、アミノ酸、核酸、脂質、炭水化物、およびこれらのフラグメント、同族体、類似体、または誘導体、およびこれらの混合物を含む。生体分子の例として、インターロイキン2、インターフェロンα、インターフェロンβ、インターフェロンγ、リツキサン(Rituxan(登録商標))、ゼバリン(Zevalin(登録商標))、ハーセプチン(Herceptin)、エルビタックス(Erbitux)、およびアバスチン(Avastin)が挙げられる。生体分子は、天然、組換え型、合成のものでもよく、例えば、天然型のものをグリコシル化、アセチル化、リン酸化、ミリスチル化等により変性してもよい。本願明細書において使用されるように、生体分子は、天然由来の分子に限られず、生物起源を有しない合成分子を含む。
【0041】
本願明細書中において使用される「細胞毒性(cytotoxic)」または「細胞増殖抑制(cytostatic)」剤とは、細胞の生存能または増殖ポテンシャルを低下させる薬剤に言及する。細胞毒性または細胞増殖抑制剤は、例えば、DNA損傷の誘導、細胞周期抑止、DNA合成阻害、転写阻害、翻訳またはタンパク質合成の阻害、細胞分裂、またはアポトーシスの誘導を含む、細胞生存能または増殖を低下させる様々な方法で機能する場合がある。本願明細書中において使用される「化学療法剤」とは、例えば、優先的に、腫瘍細胞を殺したり、成長を阻害したり、転移を阻害したり、または急速に増殖している細胞の細胞周期を乱す、細胞毒性、細胞増殖抑制、および抗悪性腫瘍薬を意味する。化学療法剤の具体例として、放射性核種、ヨウシュヤマゴボウの抗ウイルス性タンパク質、アブリン、リシン、およびこれらのA鎖、アルトレタミン、アクチノマイシンD、プリカマイシン、ピューロマイシン、グラミシジンD,ドキソルビシン、コルヒチン、サイトカラシンB、シクロホスファミド、エメチン、マイタンシン、アムサクリン、シスプラスチン、エトポシド、エトポシド オルトキノン、テニポシド、ダウノルビシン、ゲムシタビン、ドキソルビシン、ミトキサントロン、ビサントレン、ブレオマイシン、メトトレキサート、ビンデシン、アドリアマイシン、ビンクリスチン、ビンブラスチン、BCNU、タキソール、タルセバ、アバスチン、マイトマイシン、変性PseudomonasエンテロトキシンA、カリチアマイシン、5−フルオロウラシル、シクロホスファミド、およびTNF−αおよびTNF−β等のある種のサイトカインが含まれる。
【0042】
「保存的に変換された変異体(conservatively modified variants)」は、アミノ酸および核酸の両者に適用される。特定の核酸配列に関して、保存的に改変された変異体とは、同一または本質的に同一のアミノ酸配列をコード化する核酸を意味し、あるいは核酸がアミノ酸配列をコード化しない場合、本質的に同一の配列を意味する。遺伝暗号の縮重のため、機能的に同一な多数の核酸は全ての所定のタンパク質をコード化する。例えば、GCA、GCC,GCG、およびGCUのコドンは全て、アミノ酸であるアラニンをコード化する。従って、アラニンがコドンで特定される各位置で、コドンは、コード化されたポリペプチドを変更せずに記述された、対応するコドンのいずれのものにも変更できる。このような核酸の変異は、保存的に改変された変異の一種である「サイレント変異(silent variation)」である。ポリペプチドをコード化する本願明細書中の各核酸配列は、その核酸の全ての可能なサイレント変異も記述する。当業者であれば、核酸の各コドン(通常メチオニンに対する唯一のコドンであるAUGと、通常コドントリプトファンに対して唯一のコドンであるTGG以外)は、機能的に同一の分子を与えるように改変できる。従って、ポリペプチドをコード化する核酸の各サイレント変異は、実際のプローブ配列に関してではなく、発現産生物に関してそれぞれの記述された配列中に潜在する。
【0043】
例えば、細胞、または核酸、タンパク質、またはベクターに関して使用される場合の「組換え型」とは、異種の核酸またはタンパク質の導入、あるいは天然の核酸またはタンパク質の変更により、変換された細胞、核酸、タンパク質、またはベクターに言及するか、あるいは細胞がそのように変換された細胞から誘導されたことに言及する。従って、例えば、組換え型の細胞は、発現したり全く発現されない条件では、その細胞の天然型(非組換え型)では見出されない遺伝子を発現したり、その他は異常に発現された天然の遺伝子を発現する。
【0044】
「核酸」または「ポリヌクレオチド配列」の用語は、5’から3’末端にかけて読み取られるデオキシリボヌクレオチドまたはリボヌクレオチド塩基の一本鎖または二本鎖のポリマーを意味する。核酸は、ポリメラーゼによる読み過ごしの訂正を可能にする変性ヌクレオチドも含む。
【0045】
「ポリペプチド」、「ペプチド」、および「タンパク質」は、本願明細書において互いに置き換え可能であるように使用されており、アミノ酸残基を有するポリマーに言及する。これらの用語は、天然のアミノ酸ポリマーや非天然のアミノ酸ポリマーはもちろん、1若しくはそれ以上のアミノ酸残基が、対応する天然発生のアミノ酸の人工的化学的擬似物であるアミノ酸の高分子に適用される。本発明の抗体を含む本発明のポリペプチドとして、保存的に改変された変異体を含む。当業者であれば、コード化された配列中で単一アミノ酸または少ない割合のアミノ酸を変更、付加、または除去する、核酸、ペプチド、ポリペプチド、またはタンパク質配列への置換、除去、または付加は、その変更がアミノ酸を化学的に類似のアミノ酸と置換する場合に、「保存的に変換された変異体」であることがわかるであろう。機能的に類似しているアミノ酸を示す、同類置換体の表は、当業者に知である。このような保存的に変換された変異体は、多型変異体、種間相同体、および本発明の対立遺伝子に加えるもの、これらを排除するものではない。以下の8つのグループは、互いに同類置換体であるアミノ酸を含んでいる。1)アラニン(A)とグリシン(G)、2)アスパラギン酸(D)とグルタミン酸(E)、3)アスパラギン(N)とグルタミン(Q)、4)アルギニン(R)とリジン(K)、5)イソロイシン(I)、ロイシン(L)、メチオニン(M),とバリン(V),6)フェニルアラニン(F),チロシン(Y)、トリプトファン(W)、7)セリン(S)とスレオニン(T)、および8)システイン(C)、メチオニン(M)(33)。「同類置換」の用語は、このようなポリペプチドが必要な結合活性も示す場合には、未置換の親アミノ酸の代わりに、置換アミノ酸を使用することも含む。
【0046】
「アミノ酸」とは、天然および合成アミノ酸を意味し、天然アミノ酸と同様に機能する、アミノ酸類似化合物やアミノ酸擬似化合物ももちろん含まれる。天然アミノ酸は、遺伝子コードでコード化されており、例えばヒドロキシプロリン、γ―カルボキシグルタミン酸、およびo−ホスホセリンのように後に変性されるアミノ酸類ももちろん含まれる。「アミノ酸類似体」とは、天然アミノ酸と同一の基本化学構造、すなわち、α炭素が水素、カルボキシル基、アミノ基、およびR基に結合している構造を有する化合物であり、例えば、ホモセリン、ノルロイシン、メチオニンスルフォキシド、およびメチオニンメチルスルホニウムを含む。このような類似化合物は、修飾されたR基を有しているか(例えばノルロイシン)、あるいは修飾されたペプチド主鎖を有しているが、天然アミノ酸と同じ化学構造を有している。「アミノ酸様化合物」とは、アミノ酸の一般的化学構造とは異なるが、天然アミノ酸と同様に機能する構造を有する化学化合物を意味する。
【0047】
本願明細書において、アミノ酸は一般的に知られている3文字か、またはIUPAC−IUB Biochemical Nomenclature Commission(下記の表1参照)推奨の1文字記号により表記する。ヌクレオチド等は、それらに対して通常使用される1文字記号で記すことができる。
【0048】
【表1】

【0049】
本願明細書において、全てのアミノ酸配列は、左から右に向かう方向がアミノ終端からカルボキシ終端への通常の方向となっている化学式によって示されていることに留意すべきである。
【0050】
本願明細書において使用される「インビトロ(in vitro)」または「生体外(ex vivo)」は、例えば、これらに限らないが試験管や細胞培養等の人工的な環境内で起こる過程や反応を意味する。「インビボ(in vivo)」とは、自然環境(例えば、動物または細胞)および自然環境内でおこる過程や反応を意味する。
【0051】
組成物、担体、希釈剤、および試薬を意味する場合の「薬学的に許容可能な」、「薬学的に耐えうる」、およびこれらを文法的に変形した表現は、互いに置き換えることが可能であるように使用されており、その物質がヒトに対してその組成物の投与を禁じる程度の望ましくない生理学的効果を生じることなく、ヒトに投与できることを意味する。
【0052】
「薬学的に許容可能な担体」とは、妥当な医学的判断の範囲内で、過度の毒性、炎症、アレルギー反応、または妥当な長所とリスクの比に見合ったその他の合併症なく、ヒトや動物の組織と接触させて使用することに適した、試薬、賦形剤、細胞、化合物、物質、組成物、および/または剤形を意味する。本願明細書においてさらに詳しく述べられるように、本発明での使用に適した薬学的に許容可能な担体として、気体、液体、半固体、および固体材料を含む。
【0053】
特に明記のない限り、「対象」または「患者」とは、互いに置き換えかのうであるように使用されており、ヒトの患者および非ヒト霊長類を意味し、ウサギ、イヌ、ネコ、ラット、マウス、およびその他の動物等の実験用動物も含む。従って、本願明細書で使用される「対象」または「患者」とは、本発明のある実施形態においては、患者は感染性または炎症性疾患にかかっている。本発明のある実施形態においては、患者は癌として診断されている。本発明の例示的な実施形態においては、本発明による治療に適した患者であるかを特定するのに、治療対象に現存する疾患または状態の状況、あるいは標的化されているか疑わしい病気または状態に関わるリスク因子を決定するため、一般的なスクリーニング法が採用される。このようなスクリーニング法として、例えば、対象が感染性疾患、炎症性疾患、または癌にかかっているかを決定する検査が含まれる。このような方法や日常的な方法により、臨床医は治療の必要な対象を選択することができる。
【0054】
本願明細書において使用される「治療用化合物」とは、癌等の疾患または状態を予防または治療するのに有用な化合物に言及する。
【0055】
本願明細書において使用される「並行投与」、「同時投与」、または「併用投与」とは、有効薬剤(例えば、MAbs、化学療法剤、生体分子)を同時にまたは併用して、共に、または一方の投与前または後に投与することを含む。すべての薬剤が作用部位で有効濃度を達成するように投与される限り、複数の薬剤を同じまたは異なる経路で、同時又は順次投与してもよい。当業者であれば、特定の薬剤または本発明の組成物に関する適切な投与タイミング、投与順序、および投与量を容易に決定できるであろう。
【0056】
「免疫グロブリン」または「抗体」とは、抗体分子および各種抗体由来分子の両方に言及するように広く使用され、免疫システムの主要成分である高等哺乳動物に存在する糖タンパク質群の如何なる糖タンパク質をも含む。本願明細書において「抗体」の語は、広義に使用されており、具体的には、モノクローナル抗体、ポリエピトープ特異性を有する抗体組成物、二重特異性抗体、二特異性抗体、および1本鎖分子を意味し、所望の生物学的活性を示す限り、抗体フラグメント(例えば、Fab、F(ab‘)2、およびFv)も含まれる。免疫グロブリン分子として、それぞれが軽鎖および重鎖の末端部分を含む抗原結合領域と、補体結合等の各種機能に必要なFc領域を有する。免疫グロブリンには5つのクラスがあり、Fc領域における、その重鎖の一次構造によって、免疫グロブリンの種類が決まる。具体的には、α鎖、δ鎖、ε鎖、γ鎖、およびμ鎖は、それぞれIgA、IgD、IgE、IgG、およびIgMに対応する。本願明細書において使用されるように、「免疫グロブリン」または「抗体」とは、α鎖、δ鎖、ε鎖、γ鎖、およびμ鎖の全てのサブクラスを含み、さらに4本鎖免疫グロブリン構造の全ての天然(例えば、IgAおよびIgM)または合成多量体も意味する。抗体は、非共有結合によって、特異的に、かつ可逆的に抗原に結合する。本願明細書において使用される「モノクローナル抗体」とは、実質的に均質な抗体の集合から得られる抗体を意味し、すなわち、その集合を構成する個々の抗体は、少量存在する可能性のあるあらゆる自然発生変異体を除き、同一である。例えば、モノクローナル抗体は、抗原産生細胞の単一クローンによって、産生される可能性がある。ポリクローナル抗体とは異なり、モノクローナル抗体は単一特異性を有する(例えば、単一抗原の単一エピトープに対し特異性を示す)。修飾語句である「モノクローナル」とは、実質的に均質な抗体集団から得られたという特徴を示しているのであり、特定の方法による抗体の産生を必要としていると解釈されるべきではない。例えば、本発明によって使用されるモノクローナル抗体は、Kohlerら、Nature,256:495,1975によって最初に述べられたハイブリドーマ法、または組換えDNA法により作製できる。また、「モノクローナル抗体」は、例えばMarks et al.,J.Mol.Biol.,222:597−1991により述べられている方法により、ファージ抗体ライブラリから分離できる。
【0057】
抗体由来分子は、抗原結合特異性を維持し、例えば、少なくとも1つの可変領域(重鎖または軽鎖の可変領域)を有する複数の無処置の抗体部分を有する。抗体由来分子として、例えば、Fabフラグメント、Fab’フラグメント、F(ab’)2フラグメント、Fdフラグメント、F(v)フラグメント、Fabcフラグメント、Fdフラグメント、Fabcフラグメント、Sc抗体(1本鎖抗体)、二重特異性抗体、個々の抗体軽鎖、個々の重鎖、抗体鎖と別の分子とのキメラ融合、重鎖単量体または二量体、軽鎖単量体または二量体、1本の重鎖と1本の軽鎖から成る2量体等の分子が挙げられる。免疫グロブリンの全クラス(例えば、IgA,IgD,IgE,IgG,およびIgM)およびそれらのサブクラスが含まれる。
【0058】
抗体は、毒性または非毒性部分に標識/結合することができる。毒性部分は、例えば、細菌性毒素、ウイルス性毒素、放射性同位元素等が挙げられる。抗体は、生物学的分析(例えば、放射性同位元素標識、蛍光標識)に使用する際、抗体を検出しやすくするために標識することができる。抗体は、診断または治療目的で、例えば、放射免疫治療(Garmestani et al.,Nucl.Med.Biol.,28:409,2001)、画像診断法、および放射免疫手法等の用途で所望の部位に直接放射線を送達する放射性同位元素、または特定の抗体/抗原抱合体のインビボ造影または検出を可能にする標識で、標識/結合することができる。また、抗体は、免疫毒素を与えるように毒素とも結合していても良い(Kreitman,R.J.Adv.Drug Del.Rev.,31:53,1998を参照)。
【0059】
抗体について「免疫学的に特異的である」とは、所望のタンパク質の1若しくはそれ以上のエピトープに結合するが、抗原性生体分子の混合集団を含む試料中の他の分子を実質的に認識したり結合しない抗体を意味する。
【0060】
「キメラ」または「キメラ化)」抗体(免疫グロブリン)とは、重鎖および/または軽鎖の一部が特定の種に由来するか、あるいは特定の抗体クラスまたはサブクラスに属する抗体の対応する配列と同一または相同であるが、その(それらの)鎖の残り部分が、別の種に由来するか、あるいは別の抗体クラスまたはサブクラスに属する抗体の対応する配列に同一または相同である抗体を意味し、所望の生物学的活性を示す限り、このような抗体のフラグメントも含まれる(Morrison et al.,Proc.Natl.Acad..Sci.U.S.A.,81:6851−6855,1984)。
【0061】
非ヒト(例えば、マウス)抗体の「ヒト化」型は、非ヒト免疫グロブリン由来の最小配列を含む、キメラ免疫グロブリン、免疫グロブリン鎖またはそれらのフラグメント(Fv、Fab、Fab’、F(ab’)2、または抗体のその他の抗原結合配列等)である。大部分については、ヒト化抗体は、受容体の相補性決定領域(CDR)由来の残基が、所望の特異性、親和性、および能力を有する、マウス、ラット、またはウサギ等の非ヒト種の(ドナー抗体)種のCDR由来の残基で置換されている、ヒト免疫グロブリン(受容体抗体)である。いくつかの例においては、ヒト免疫グロブリンのFvフレームワーク領域(FR)残基は、対応する非ヒト残基で置換されている。さらに、ヒト化抗体は、受容体抗体にも取り込まれたCDRまたはフレームワーク配列中にも存在しない残基を有することができる。これらの改変は、抗体性能をさらに改良し最適化するために行われる。一般に、ヒト化抗体は、全てまたはほぼ全てのCDR領域が非ヒト免疫グロブリンのものに対応し、FR領域の全てまたはほぼ全てがヒト免疫グロブリン配列のものである、少なくとも1つ、通常2つの可変領域の全てまたはほぼ全てを有する。ヒト化抗体はまた、至適に、免疫グロブリン定常領域(Fc)、通常はヒト免疫グロブリンのものの少なくとも一部を有する。さらに詳細については、Janes et al.,Nature,321:522−525,1986、Reichmann et al.,Nature,332:323−329,1988、Presta,Curr.OP.Struct.Biol,.2:593−596,1992を参照。
【0062】
「完全ヒト(型)」とは、全分子がヒト由来のもの、またはその抗体のヒト型と同一のアミノ酸配列を有する、抗体等の免疫グロブリンを意味する。
【0063】
「ハイブリドーマ」とは、培養された腫瘍化リンパ球と親細胞の特異的免疫能力を発現する、刺激を受けたB−またはT−リンパ球との細胞融合産生物を意味する。
【0064】
特に定義されていない限り、本願明細書において使用される全ての科学技術用語は、本発明に係る技術分野において通常の技術を有する者であれば通常理解している意味と同じ意味を有する。本願明細書において記載の方法や物質と同様または相当の方法や物質は、本発明の試験の実施に使用できるが、好ましい物質や方法を本願明細書に記載している。本発明の記載および特許権請求に当たり、以下の用語を使用する。
【0065】
本願明細書および全明細書にわたって、様々な特許およびその他文献が引用されているが、これらの各引用文献の全内容を参照により本願明細書に援用する。
【0066】
抗体
本発明のインアウト抗体は、特異的にメソテリンに結合し、二者択一的に免疫エフェクター活性を誘導する能力とメソテリン陽性細胞を内在化する能力を示す。一部の実施形態においては、抗体はmAbK1またはSS1と同じエピトープに結合する。別の実施形態においては、抗体はmAbK1またはSS1に結合したもの以外のエピトープに結合する。
【0067】
本発明の方法への使用に適した抗体として、例えば、モノクローナルまたはポリクローナル抗体、完全ヒト抗体、ヒト抗体相同体、ヒト化抗体相同体、キメラ抗体、1本鎖抗体、キメラ抗体相同体、および抗体重鎖または軽鎖の単量体または二量体、あるいはこれらの混合物が挙げられる。本発明の抗体として、IgA、IgG、IgE、IgD、IgMのタイプ(およびこれらのサブタイプ)等の全てのアイソタイプの無処置の免疫グロブリンを含んでもよい。免疫グロブリンの軽鎖は、κ鎖またはλ鎖でもよい。
【0068】
本発明のインアウト抗体は、例えば、Fabフラグメント、Fab’フラグメント、F(ab’)2フラグメント、F(v)フラグメント、重鎖単量体または二量体、軽鎖単量体または二量体、1本の重鎖および1本の軽鎖から成る二量体等の、抗原結合特異性を保持する無処置の抗体の部分を有する。従って、抗原結合フラグメント、および上記の抗体の誘導体である全長二量体または三量体のポリペプチドも、そのもの自身がインアウト活性を示すのに有用である。
【0069】
キメラ抗体は、免疫グロブリンの軽鎖、重鎖、およびその両者のヒンジおよび定常領域の全域または一部が、別の動物の免疫グロブリン軽鎖または重鎖由来の対応領域に置換される、置換えDNA技術により産生できる。このようにして、親モノクローナル抗体の抗原結合部分は、別の種の抗体の主鎖にグラフトされる。Winterらの欧州特許第01239400号に記載の方法では、ヒトの重鎖および軽鎖免疫グロブリン可変領域ドメイン由来の複数のCDRをマウスの可変領域ドメイン由来のCDRで置換する等の、1つの種の複数の相補性決定領域(CDR)を別の種のものに置換することにについて記載されている。これらの改変抗体は、その後、抗原について特異性を示す置換マウスCDRを除きヒトである抗体を形成するため、ヒト免疫グロブリン定常領域と結合させてもよい。抗体のCDR領域をグラフトする方法は、例えば、Riechmann et al.(1988)Nature 332:323−327およびVerhoeyen et al.(1988)Science 239:1534−1536に記載されている。
【0070】
ヒト化抗体は、抗原結合に必要のないヒト免疫グロブリン軽鎖または重鎖の少なくとも1つのアミノ酸のが、非ヒト哺乳動物の免疫グロブリン軽鎖または重鎖由来の対応するアミノ酸に置き換えられている、組換えDNA技術により産生される。例えば、免疫グロブリンがマウスのモノクローナル抗体である場合、抗原結合に必要でない少なくとも1つのアミノ酸は、対応するヒトの抗体のその位置に存在するアミノ酸を用いて置換される。具体的な作用理論に結び付けられることを望まないが、モノクローナル抗体の「ヒト化」は、異質の免疫グロブリン分子に対するヒト免疫反応性を阻害すると考えられている。
【0071】
非限定的な例として、相補性決定領域(CDR)グラフト化を行う方法は、標的抗原(例えば、メソテリン)に結合する所望の抗体のマウスの重鎖および軽鎖の配列を決定し、CDR DNA配列を遺伝的に操作して、部位特異的変異誘発により、これらのアミノ酸配列を対応するヒトのV領域に与えることで実施できる。所望のアイソタイプのヒト定常領域の遺伝子セグメントが付加され、「ヒト化」重鎖および軽鎖遺伝子は、可溶性ヒト化抗体を産生するために哺乳動物細胞内で同時発現する。典型的な発現細胞は、チャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO細胞)である。キメラ抗体の作製に好適な方法は、例えば、Jones et al.(1986)Nature 321:522−525、Riechmann(1988)Nature 332:323−327、Queen et al.(1989)Proc.Nat.Acad.Sci.USA 86:10029、および Orlandi et al.(1989)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 86:3833)に見出すことができる。
【0072】
Queen et al. (1989)Proc.Nat.Acad.Sci.USA 86:10029−10033および国際公開第90/07861号では、ヒト化抗体の調製について記載されている。ヒトおよびマウスの可変性フレームワーク領域は、至適タンパク質配列相同性に関して選択される。マウスの可変領域の三次構造は、コンピュータによりモデル化され、アミノ酸残基のマウスCDRとの至適相互作用を示すために相同のヒトのフレームワークに重ねられる。このことは、(通常CDRがグラフトされたキメラ抗体の作製時に減少する)抗原に対する結合親和性を改良することにより、抗体を開発できることにつながる。ヒト化抗体を作製する別の方法は、当該技術分野において公知であり、例えば、Tempest(1991)Biotechnology 9:266−271に記載されている。
【0073】
「1本鎖抗体」とは、免疫グロブリンの重鎖および軽鎖フラグメントが、アミノ酸の操作範囲を介してFv領域に結合している、組換えDNA技術により形成された抗体を意味する。1本鎖抗体を作製する様々な方法が知られており、例えば、米国特許第4,694,778号明細書、Bird(1988)Science 242:423−442、Huston et al.(1988)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 85:5879−5883、Ward et al.(1989)Nature 334:54454、およびSkerra et al.(1988)Science 242;1038−1041に記載のものがある。
【0074】
本発明の抗体として、例えば、共有結合による付加が抗体のエピトープへの結合を阻止しないような、各種分子の抗体への共有結合による付加により改変された誘導体が含まれる。好適な誘導体の例として、フコシル化抗体およびフラグメント、グリコシル化抗体およびフラグメント、アセチル化抗体およびフラグメント、ペグ化抗体およびフラグメント、リン酸化抗体およびフラグメント、アミド化抗体およびフラグメント等が挙げられる。本発明の抗体およびこれらの誘導体は、これら自身が、公知の保護基/封鎖基、タンパク質分解による開裂、細胞リガンドまたはその他のタンパク質への結合等により、誘導できる。本発明の一部の実施形態においては、抗体の少なくとも1つの重鎖は、フコシル化されている。一部の実施形態においては、フコシル化は、N結合型である。いくつかの好ましい実施形態においては、抗体の少なくとも1つの重鎖は、フコシル化された、N結合型のオリゴ糖を含む。
【0075】
本発明の抗体として、本発明の抗体の生物学的特性(例えば、内在化、結合親和性または結合力、あるいは免疫エフェクター活性)を保持する単一または複数のアミノ酸置換、欠失、付加、または代替を有する変異体を含む。当業者ならば、単一または複数のアミノ酸置換、欠失、付加、または代替を有する変異体を産生できる。これらの変異体として、とりわけ、(a)1若しくはそれ以上のアミノ酸残基が保存または非保存アミノ酸で置換された変異体、(b)1若しくはそれ以上のアミノ酸が、ポリペプチドに付加またはポリペプチドから欠失している変異体、(c)1若しくはそれ以上のアミノ酸が置換基を有する変異体、および(d)例えば、抗体に対するエピトープ、ポリヒスチジン配列、ビオチン部分等の、ペプチドに対して有用な性質を与える、融合相手、タンパク質標識、またはその他の化学物質の分子部分といった、別のペプチドまたはポリペプチドに融合している変異体を含む可能性がある。本発明の抗体として、1つの種に由来するアミノ酸残基が、保存または非保存位置で、別の種の対応する残基に置換されている変異体を含む可能性がある。別の実施形態において、非保存位置にあるアミノ酸残基は、保存または非保存残基で置換される。これらの変異体を得るための、遺伝的(抑制、欠失、突然変異等)、化学的、および酵素的手法を含む手法は、当業者に既知である。「フラグメント」とは、好ましくは少なくとも約40、より好ましくは少なくとも約50、より好ましくは少なくとも約60、より好ましくは少なくとも約70、より好ましくは少なくとも約80、より好ましくは少なくとも約90、より好ましくは少なくとも約100アミノ酸の長さを有し、例えば、メソテリン結合親和性まてたは結合力、内在化能力、および免疫エフェクター活性といった、全長配列が有する生物学的活性または免疫学的活性をいくぶん保持しているポリペプチド配列を意味する。
【0076】
本発明はまた、例えば、卵巣癌、肺がん、中皮腫、または膵臓癌患者等のメソテリン陽性癌細胞を有する患者の末梢血単核球由来のものを含む完全ヒト抗体も包含する。このような細胞は、例えば、抗メソテリン完全ヒト抗体を形成する融合細胞を形成するため、骨髄腫細胞に融合させても良い。
【0077】
本発明の好ましい実施形態において、抗体は、配列ID番号2、配列ID番号6、または配列ID番号10で示されるアミノ酸配列を有する重鎖を有する。
【0078】
【表2】

【0079】
【表3】

【0080】
【表4】

【0081】
一部の好ましい実施形態において、抗体の重鎖は、配列ID番号1、配列ID番号5、または配列ID番号9で示されるヌクレオチド配列によりコード化される。
【0082】
【表5】

【0083】
【表6】

【0084】
【表7】

【0085】
一部の好ましい実施形態において、本発明の抗体は、配列ID番号4、配列ID番号8、または配列ID番号12で示されるアミノ酸配列を有する軽鎖を有する。
【0086】
【表8】

【0087】
【表9】

【0088】
【表10】

【0089】
一部の好ましい実施形態において、抗体の軽鎖は、配列ID番号3、配列ID番号7、または配列ID番号11で示されるヌクレオチド配列によりコード化される。
【0090】
【表11】

【0091】
【表12】

【0092】
【表13】

【0093】
本発明の一部の実施形態において、抗体は、配列ID番号2、6、または10で示されるアミノ酸配列を有する重鎖と、配列ID番号4、8、または12で示されるアミノ酸配列を有する軽鎖とを有する。より好ましい実施形態においては、抗体は、配列ID番号2で示されるアミノ酸配列を有する重鎖と配列ID番号4で示されるアミノ酸配列を有する軽鎖、配列ID番号6で示されるアミノ酸配列を有する重鎖と配列ID番号8で示されるアミノ酸配列を有する軽鎖、あるいは配列ID番号10で示されるアミノ酸配列を有する重鎖と配列ID番号12で示されるアミノ酸配列を有する軽鎖を有する。
【0094】
本発明の抗体およびこれらの誘導体は、1x10−2未満の解離定数(K)を有する結合親和性を有する。一部の実施形態において、Kは、1x10−3未満である。別の実施形態において、Kは、1x10−4未満である。一部の実施形態において、Kは、1x10−5未満である。また別の実施形態においては、Kは、1x10−6未満である。別の実施形態においては、Kは、1x10−7未満である。別の実施形態においては、Kは、1x10−8未満である。別の実施形態においては、Kは、1x10−9未満である。別の実施形態においては、Kは、1x10−10未満である。また別の実施形態においては、Kは、1x10−11未満である。一部の実施形態においては、Kは、1x10−12未満である。別の実施形態においては、Kは、1x10−13未満である。別の実施形態においては、Kは、1x10−14未満である。また別の実施形態においては、Kは、1x10−15未満である。
【0095】
本発明の抗体は、単独で、または細胞毒性剤または細胞増殖抑制剤等の生体分子または化学療法剤と併用(例えば同時投与または抱合体化)して使用可能である。一部の実施形態においては、化学療法剤は、鉛212、ビスマス212、アスタチン211、ヨウ素131、スカンジウム47、レニウム186、レニウム188、イットリウム90、ヨウ素123、ヨウ素125、臭素77、インジウム111、およびホウ素10またはアクチニド等の核分裂性核種を含む放射性核種である。別の実施形態において、化学療法剤は、リシン、改変PseudomonasエンテロトキシンA、カリチアマイシン、アドリアマイシン、5−フルオロウラシル等の毒素または細胞障害性薬剤である。このような薬剤に抗体および抗体フラグメントを結合する方法は、文献から公知である。
【0096】
特定の理論に縛られることなく、本発明のインアウト抗体では、抗体の両「腕」(Fabフラグメント)が別々のメソテリン分子に結合するため、抗体の増大した結合力によって、メソテリンを結合させるに特に有用である。このことは、抗体の解離定数(K)の低下および測定される親和力(K)の全体的な上昇につながる。さらに、本発明の抗体は、抗体−抗原複合体の内在化を可能にするエピトープに結合する。本発明の抗体が、細胞毒に対して免疫細胞および生体分子を誘引するために、正常細胞によりも腫瘍細胞に優先的に結合し、治療効果のために複合化した薬剤が送達されるように内在化できるので、腫瘍を標的化するには特によい特徴である。
【0097】
核酸
本発明はまた、本発明の抗メソテリン抗体の重鎖および/または軽鎖をコード化する核酸も含む。本願明細書において使用される「核酸」または「核酸分子」とは、全てのDNAまたはRNA分子、1本鎖または2本鎖のもの、1本鎖の場合、直鎖または環状の相補的配列を有する分子を意味する。核酸分子について議論する場合、本願明細書では、特定の核酸分子の配列または構造は、5’から3’への方向で配列を示す通常の慣例に従って記載されている。本発明の一部の実施形態において、核酸は「分離」されている。核酸分子に対してこの語が使用される場合、起源となっている生物体の天然に存在するゲノムで直接隣接している配列から分離されている核酸分子を意味する。例えば、「分離された核酸」は、プラスミドまたはウイルスベクター等のベクターに挿入、または原核または真核細胞または宿主生物のゲノムDNAに組み込まれたDNA分子を有する。RNAについて述べる場合、「分離された核酸」とは、上記で定義された分離されたDNAによってコード化されたRNA分子を主に意味する。あるいは、この語は、天然状態(すなわち、細胞内または組織内)では結合している他の核酸から十分分離されたRNA分子を意味する場合もある。分離された核酸(DNAまたはRNAのいずれか)は、生物学的または合成手段により直接産生され、その産生中に存在するその他の成分から分離された分子をさらに意味する可能性もある。
【0098】
本発明の核酸は、本発明の核酸に対して、少なくとも80%、より好ましくは約90%、さらに好ましくは約95%、最も好ましくは約98%相同性を有する核酸を含む。特定の配列について述べる場合の「類似性百分率」、「同一性百分率」、および「相同性百分率」とは、ウィスコンシン大学(University of Wisconsin)GCGソフトプログラムで定め規定されているように使用されている。本発明の核酸として、相補的核酸も含む。一部の例において、配列は、整列した場合に(ミスマッチなく)十分に相補的である。別の例においては、最大約20%の不適正が配列中に見られる。
【0099】
本発明の核酸はまた、本発明の核酸のフラグメントも含む。「フラグメント」とは、好ましくは少なくとも約10核酸の長さ、より好ましくは少なくとも約40核酸、そして最も好ましくは約10核酸の長さを有する核酸配列を意味する。「フラグメント」とは、1若しくはそれ以上の欠失、挿入、または置換を含む少なくとも約100個の連続ヌクレオチドの長さのものも意味する。「フラグメント」とは、遺伝子の全コード配列も意味し、5’および3’非翻訳領域を含む可能性もある。
【0100】
コード化された抗体の軽鎖は、好ましくは、配列ID番号4、8、または12で示されるアミノ酸配列を有する。コード化された抗体の重鎖は、好ましくは、配列ID番号2、6、または10で示されるアミノ酸配列を有する。本発明の一部の実施形態においては、抗体の重鎖は、配列ID番号1、5、または9で示される核酸配列を有する核酸によってコード化される。本発明の一部の実施形態においては、抗メソテリン抗体の軽鎖は、配列ID番号3、7、または11で示される核酸配列によってコード化される。本発明の一部の実施形態においては、本発明の抗体の重鎖および軽鎖の両者をコード化する核酸が提供される。例えば、本発明の核酸は、配列ID番号2、6、または10で示されるアミノ酸配列をコード化する核酸配列と、配列ID番号4、8、または12で示されるアミノ酸配列をコード化する核酸配列とを有する可能性がある。
【0101】
本発明の核酸は、ベクターにクローン化できる。「ベクター」とは、付加した配列または要素の複製を引き起こすように別の遺伝子配列または遺伝要素(DNAまたはRNAのいずれか)が挿入される、プラスミド、コスミド、バクミド、ファージ、人工染色体(BAC、YAC)、またはウイルス等のレプリコンである。「レプリコン」は、主としてそれら自身の制御下で複製のできる、例えばプラスミド、コスミド、バクミド、ファージ、人工染色体(BAC、YAC)、またはウイルス等の、全ての遺伝要素である。「レプリコン」は、RNAまたはDNAのいずれかであっても、1本鎖または2本鎖のいずれであってもよい。一部の実施形態においては、発現ベクターは、核酸の発現が制御できる場合に、恒常活性型プロモータセグメント(例えば、CMV,SV40,伸長因子、またはLTR配列等)、またはステロイド誘導性pINDベクター(Invitrogen)等の誘導性プロモータ配列を含む。本発明の発現ベクターは、例えば、内部リボソーム侵入部位といった、制御配列をさらに有することができる。この発現ベクターは、形質移入により細胞内に導入できる。
【0102】
本発明の核酸をコード化する抗体は、組換えによって発現されてもよい。本発明の発現細胞として、例えば、ヨトウガ(Spodoptera frugiperda)細胞等の公知の全ての昆虫の株化細胞が含まれる。また、発現細胞株は、例えば、Saccharomyces cervisiae、又はSchizosaccharomyces pombe細胞等の酵母細胞株であってもよい。さらにまた、発現細胞は、例えば、チャイニーズハムスター卵巣細胞、ベビーハムスター腎臓細胞、ヒト胚腎臓細胞株293、正常イヌ腎臓細胞株、正常ネコ腎臓細胞株、サル腎臓細胞、アフリカミドリザル腎臓細胞、COS細胞、および非腫瘍形成性マウス筋芽細胞のG8細胞等の哺乳動物細胞、繊維芽細胞株、骨髄腫細胞株、マウスNIH/3T3細胞、LMTK細胞、マウスセルトリ細胞、ヒト子宮頸癌細胞、バッファローラット肝臓細胞、ヒト肺細胞、ヒト肝臓細胞、マウス乳癌細胞、TRI細胞、MRC5細胞、およびFS4細胞であってもよい。本発明の核酸は、例えば、形質移入によって細胞に導入してもよい。組換えによって発現した抗体は、例えば、細胞の成長培地から回収できる。
【0103】
メソテリンに対するインアウト抗体の産生方法
動物の免疫化
本発明によると、メソテリンに特異的に結合するインアウトモノクローナル抗体の産生方法もまた提供される。本発明の抗体は、インビボまたはインビトロで産生できる。抗メソテリン抗体を産生する手法は、メソテリンまたはメソテリンを発現している細胞で動物を免疫化することを含む。このように免疫化された動物は、そのタンパク質に対する抗体を産生することになる。モノクローナル抗体を作製する標準的な方法として、例えば、ハイブリドーマ法(Kohler & Milstein,(1975) Nature256:495−497を参照)、トリオーマ法(Kozbor et al.(1983)Immunol.Today 4:72)、およびヒトモノクローナル抗体を作製するためのEBVハイブリドーマ法(Cole,et al.in MONOCLONAL ANTIBODIESAND CANCER THERAPY,Alan R.Liss,Inc.,1985,pp.77−96)等が知られている。
【0104】
生体での抗体産生に関して、抗原または抗原陽性細胞は、通常、免疫原性を促進するためのアジュバントと併用される。アジュバントは、免疫化に使用される種により異なる。アジュバントの例として、フロイント完全アジュバント(FCA)、フロイント不完全アジュバント(FIA)、ミネラルゲル(例えば、水酸化アルミニウム)、表面活性物質(例えば、リゾレシチン、プルロニックポリオール、ポリアニオン)、ペプチド、油乳剤、キーホールリンペットヘモシアニン(KLH)、ジニトロフェノール(DNP)、およびカルメットゲラン菌(BCG)およびcorynebacterium parvum等が挙げられる。このようなアジュバントは、当該技術分野でも公知である。
【0105】
免疫化は、公知手順により行うことができる。投与量および免疫化計画は、免疫化された動物、その免疫状態、体重、および/または表面積計算値当によることになる。通常、血清が免疫化哺乳動物から採取され、例えば下記の適切なスクリーニング分析により、抗メソテリン抗体に関して分析される。
【0106】
メソテリンは、タンパク質を単離したり精製するための各種公知方法により、細胞または組換えシステムから精製することができる。限定する意図はないが、例えば、メソテリンは、SDS−PAGEゲル上でタンパク質を泳動させ、これらのタンパク質を膜上にブロッティングすることで、タンパク質の見かけの重量に基づいて単離できる。この後、膜をメソテリンに対応する適切な大きさの帯状に切り、免疫源として直接、あるいはタンパク質を膜からまず抽出または溶出させて、動物に使用することができる。別の例として、タンパク質は、サイズ排除クロマトグラフィのみ、またはその他の単離および精製方法と併用して、単離してもよい。他の精製手段は、(Zola,MONOCLONAL ANTIBODIES:PREPARATION AND USE OF MONOCLONALANTIBODIES AND ENGINEERED ANTIBODYDERIVATIVES(BASICS:FROM BACKGROUND TOBENCH)Springer−Verlag Ltd.,New York,2000;BASIC MATHODS IN ANTIBODYPRODUCTION AND CHARACTERIZATION,Chapter11,"Antibody Purification Methods"Howardand Bethell,Eds.,CRC Press,2000;ANTIBODYENGINEERING(SPRINGER LAB MANUAL.),Kontermann and Dubel,Eds.,Springer−Verlag,2001.)等の標準的な参考文献を参照できる。
【0107】
抗メソテリンのインアウト抗体の他の作製法は、強力な免疫エフェクター活性を保持する抗体の内在化を可能にするメソテリンの膜結合型の領域に対応するペプチドで動物を免疫化することを含む。このように免疫化された動物は、そのタンパク質に対する抗体を産生する。モノクローナル抗体を作製する標準的な方法として、ハイブリドーマ法(Kohler & Milstein,(1975)Nature 256:495−497を参照)、トリオーマ法、ヒトB細胞ハイブリドーマ法(Kozbor et al.(1983)Immunol.Today 4:72を参照)、およびヒトモノクローナル抗体を産生するためのEBVハイブリドーマ法(Cole,et al. in MONOCLONAL ANTIBODIES AND CANCER THERAPY,Alan R.Liss,Inc.,1985,pp.77−96を参照)が知られている。
【0108】
免疫化された動物由来の脾細胞は、(抗原産生B細胞を含む)脾細胞を、例えば骨髄腫細胞株等の不死細胞株に融合させることで、不死化できる。通常、骨髄腫細胞株は、脾細胞ドナーと同じ種由来のものである。ある実施形態においては、不死細胞株は、ヒポキサンチン、アミノプテリン、およびチミジンを含有する培地(HAT培地)に対して感受性を示す。一部の実施形態においては、骨髄腫細胞は、Epstein−Barrウイルス(EBV)感染に対して陰性を示す。好ましい実施形態においては、骨髄腫細胞は、HAT感受性でEBV陰性であり、Ig発現陰性である。すべての好適な骨髄腫が使用できる。マウスハイブリドーマは、マウス骨髄腫細胞株(例えば、P3−NS1/1−Ag4−1、P3−x63−Ag8.653、またはSP2/O−Ag14骨髄腫細胞株)を用いて作製できる。これらのマウス骨髄腫細胞腫は、ATCCより入手可能である。これらの骨髄腫細胞は、好ましくは、ドナー骨髄腫に分子量1,500のポリエチレングリコール(PEG1500)で融合される。この融合により得られるハイブリドーマ細胞は、非融合および非産生的に融合した骨髄腫細胞を殺すHAT培地中で選択される。非融合骨髄腫は、培地中で短期間のうちに死滅する。一部の実施形態において、骨髄腫細胞は免疫グロブリン遺伝子を発現しない。
【0109】
下記のようなスクリーニング分析法により検出される所望の抗体を産生するハイブリドーマは、培養液または動物中における抗体の産生に使用可能である。例えば、ハイブリドーマ細胞は、ハイブリドーマ細胞がモノクローナル抗体を培地中に分泌するための十分な条件および時間で栄養培地中で培養可能である。このような方法および培地は、当業者に公知である。あるいは、ハイブリドーマ細胞を免疫化されていない動物の腹膜に注射してもよい。細胞は、腹膜腔内で増殖し、腹水として蓄積する抗体を分泌する。この腹水はモノクローナル抗体の豊富な抗体源として、シリンジで回収できる。
【0110】
ヒト抗体を産生する別の非限定的方法については、米国特許第5,789,650号明細書に記載されており、この特許文献では、不活性化されている自身の内在性免疫グロブリン遺伝子で、別の種(例えば、ヒト)の抗体を産生する遺伝子導入哺乳動物について記載されている。異種抗体に関する遺伝子は、ヒト免疫グロブリン遺伝子によりコード化される。再配列されていない免疫グロブリンコード化領域を含む複数の導入遺伝子は、非ヒト動物に導入される。得られる遺伝子導入動物は、遺伝子導入免疫グロブリン配列を機能的に再配列し、ヒト免疫グロブリン遺伝子によってコード化された様々なアイソタイプの可能な全ての抗体を産生できる。その後、遺伝子導入動物由来のB細胞は、不死化細胞株(例えば、骨髄腫細胞)への融合等を含む、全ての各種方法により不死化される。
【0111】
抗メソテリンインアウト抗体はまた、当業者に周知の各種方法によりインビトロで調製してもよい。例えば、これらに限定されないが抗メソテリン完全ヒトモノクローナル抗体は、インビトロ刺激を受けたヒト脾細胞を使用することで調製可能である(Boerner et al.(1991)J.Immunol.147:86−95)。
【0112】
あるいは、例えば、本発明の抗体は、「レパートリークローニング」(Persson et al.(1991)Proc.Nat.Acad.Sci.USA 88:2432−2436;and Huang and Stollar(1991)J Immunol.Methods 141:227−236)により調製できる。さらに、米国特許明細書第5,798,230号明細書は、Epstein−Barrウイルス核内抗原2(EBNA2)を発現するEpstein−Barrウイルスで感染させることで不死化されるヒトB抗体産生B細胞由来のヒトモノクローナル抗体の調製について記載している。不死化に必要なENBA2は、その後不活性化され、抗体価が増加される。
【0113】
別の実施形態において、抗メソテリンインアウト抗体は、抹消血単核細胞(PBMCs)のインビトロ免疫化により形成される。このことは、例えば、文献(Zafiropoulos et al.(1997)J.Immunological Methods 200:181−190)に記載の方法により、当業者に周知の如何なる手段によっても実現可能である。
【0114】
本発明の一部の実施形態において、インビトロ免疫化の手順は、PMS1、PMS2,PMS2−134、PMSR2、PMSR3、MLH1、MLH2、MLH3、MLH4、MLH5、MLH6、PMSL9、MSH1、およびMSH2等のミスマッチ修復遺伝子の優性陰性対立遺伝子が、脾細胞融合後のハイブリドーマ細胞、または融合前の骨髄腫細胞に導入される、ハイブリドーマ細胞の定方向進化で補足される。優性陰性変異体を含む細胞は、高変異性となり、形質移入されていない対照細胞よりも早い速度で突然変異体を蓄積するようになる。変異細胞の量は、高親和性抗体を産生するクローン、抗体の高力価をもたらすクローン、または単にある条件下で速い速度またはより成長するクローンについてスクリーニングできる。ミスマッチ修復遺伝子の優性陰性対立遺伝子を用いて高変異性細胞を作製する方法は、2000年7月18日発行の米国特許第6,146,894号明細書に記載されている。あるいは、ミスマッチ修復は、国際公開第02/054856号パンフレット、"Chemical Inhibitors of Mismatch Repair"に記載のミスマッチ修復の化学的阻害剤を用いることで、阻害できる。ミスマッチ修復遺伝子の優性陰性対立遺伝子またはミスマッチ修復の化学的阻害剤を用いて抗体を増強させる方法は、クローン化された免疫グロブリン遺伝子も発現する哺乳動物の発現細胞に適用してもよい。優性陰性対立遺伝子を発現する細胞は、細胞が遺伝的にもう一度安定になり、異常に早い速度で突然変異をもはや蓄積しないように、優性陰性対立遺伝子を停止、または誘発可能であるならばそれらの細胞から除去できるので、治療できる。
【0115】
インアウト抗体特異性に関するスクリーニング
メソテリンに特異的に結合するインアウト抗体のスクリーニングは、マイクロタイタープレートの表面を免疫抗原(全タンパク質またはプロテイン)で被覆した酵素免疫測定法(enzyme−linked immunosorbent assay:ELISA)により実現できる。陽性反応性クローン由来の抗体は、ELISAに基づいた分析法でのメソテリンに対する反応性について、メソテリンで被覆したマイクロタイタープレートを用いて、さらにスクリーニングできる。メソテリンに対して反応性を示す抗体を酸性するクローンは、さらに増殖および発達させるために選択される。これらの抗体は、FACS分析を用いたメソテリン特異性結合についてさらに示すことができる。
【0116】
抗体依存性細胞障害活性(ADCC)を示すメソテリン反応性インアウト抗体の確認は、例えば、抗体依存性細胞障害活性(ADCC)をモニターするための標準的な免疫エフェクター分析により、実現できる。ADCC活性を示すメソテリン特異性抗体は、その後、内在化能力を可視化してモニターしたり、あるいはプロドラッグが内在化して抗体から遊離して毒素の存在を惹起する場合に生じる毒性をモニターするために、蛍光色素またはプロドラッグに結合させることができる。
【0117】
抗体を含有する医薬組成物
本発明の別の観点は、本発明の抗メソテリン抗体の医薬組成物を特徴とする。この医薬組成物は、インビトロまたはインビボにて、メソテリン陽性細胞の成長の阻害または低下に使用可能である。例えば、この組成物は、腫瘍細胞の成長を阻害または低下するために、患者に投与してもよい。ある実施形態において、医薬組成物は、注射または点滴による投与用に配合してもよい。
【0118】
本発明の医薬組成物は、1若しくはそれ以上の化学療法剤および/または生体分子をさらに含むことが可能である。一部の実施形態において、抗体は、化学療法剤または生体分子に結合している。好適な化学療法剤として、鉛212、ビスマス212、アスタチン211、ヨウ素131、スカンジウム47、レニウム186、レニウム188、イットリウム90、ヨウ素123、ヨウ素125、臭素77、インジウム11を含む放射性核種、およびホウ素10またはアクチニド等の核分裂性核種を含む。別の実施形態において、この薬剤は、リシチン、変性PseudomonasエンテロトキシンA、カリチアマイシン、アドリアマイシン、5−フルオロアラシル等を含む毒素または細胞障害性薬物である。許容できる担体または媒体と共に配合されていてもよい。好適な薬学的に許容可能な担体として、水、PBS,塩溶液(例えば、リンゲル液)、アルコール類、油類、ゼラチン類、およびラクトース、アミロース、またはデンプン、脂肪酸エステル類、ヒドロキシメチルセルロース、およびポリビニルピロリジン等の炭化水素類等が挙げられる。このような調製物は、滅菌可能であり、必要に応じて、潤滑剤、保存剤、安定化剤、湿潤剤、乳化剤、浸透圧に影響を与える塩類、緩衝剤、および着色剤等の補助剤と混合可能である。本発明での使用に適した薬学的担体は、当業者に周知であり、例えば、Pharmaceutical Sciences(17th Ed.,Mack Pub.Co.,Easton,PA)に記載されている。
【0119】
キット
また、本発明の別の観点によれば、例えば腫瘍細胞等のメソテリン陽性細胞の成長を、インビトロまたはインビボで阻害または減少させるためのキットが提供される。また、メソテリン陽性細胞の存在を、インビトロまたはインビボで確認するキットが提供される。
【0120】
本発明のキットは、本発明の抗体または抗体組成物、メソテリン陽性細胞の成長を阻害または減少させるための方法、または例えば生体試料等のメソテリン陽性細胞の存在を確認するための方法に当該キットを使用するための使用説明書を含む。当該キットは、少なくとも1つの化学療法試薬を含んでいても良い。当該キットは、少なくとも1つの生体分子を含んでいても良い。当該キットは、少なくとも1つの診断用試薬を含んでいてもよい。診断試薬の例は、例えば、放射性、蛍光性、または発色剤(例えば、111In−DOTA)等の検出可能な標識である。この検出可能なラベルは、酵素を含んでいても良い。このキットは、使用説明書、および/または、例えば注射または点滴により抗体または抗体組成物を投与するための手段を含んでいても良い。
【0121】
メソテリン陽性細胞の検出方法
本発明の方法は、卵巣、膵臓、肺、または中皮腫癌細胞等のメソテリンを細胞表面に提示している異型または癌細胞を含むメソテリン陽性細胞を検出する方法を含む。この方法は、インビトロあるいはインビボの生体サンプル上で、実施してもよい。本発明によるメソテリン陽性細胞の検出方法は、本発明の抗メソテリン抗体を生体試料に接触、または本発明の抗メソテリン抗体を患者に投与する工程であって、前記抗体が例えば放射性、蛍光性、または発色剤(例えば、111In−DOTA)等の検出可能な標識で標識されている工程と、前記抗体の細胞への結合を決定する工程とを有する。メソテリン発現増大に関連した異型または癌細胞は、好ましくは正常細胞に比べて高い抗体結合性を示す。検出可能な標識は酵素であってもよい。
【0122】
メソテリン陽性細胞成長の抑制方法
本発明の方法は、例えば、メソテリン発現増大と関連した腫瘍性疾患を有することが確認された対象など、メソテリン陽性細胞を有することが確認されたヒトおよび非ヒト動物への使用に適している。本発明が有効な非ヒト動物として、ペット、外来(例えば、動物園の動物)、および国産家畜が含まれる。好ましくは、非ヒト動物は哺乳動物である。
【0123】
本発明は、正常細胞に比べて、腫瘍中におけるメソテリンの発現増大により特徴付けられる異形成疾患を有することが確認されたヒトまたは動物の患者への使用に適している。このような患者がそのような疾患に対する治療が必要であることが確認されると、本発明の方法をその疾患の有効な治療に適用することが可能である。治療できる異形成組織として、例えば、卵巣、肺、膵臓、および前立腺が含まれる。
【0124】
本発明で使用するためのインアウト抗体およびこれらの誘導体は、カプセル、錠剤、水性懸濁液、溶液等の許容できる剤型で経口投与してもよい。抗体およびこれらの誘導体は、例えば、皮下、血管内、筋肉内、関節内、滑液嚢内、胸骨内、鼻腔内、局所、髄腔内、管内、病変内、および頭蓋内注射または点滴法等の投与経路によって、非経口投与してもよい。一般に、抗体および誘導体は、筋肉内または静脈内注射で提供される。
【0125】
インアウト抗体およびこれらの誘導体は、単独で、または例えばリン酸緩衝生理食塩水といった、許容可能なアジュバント、ビヒクル、および賦形剤を含む、薬学的に許容可能な担体と共に投与してもよい。
【0126】
有効投与量は、各種因子により異なり、体重、治療目標、最大耐量、使用した具体的な製剤、投与経路等の様々な要因に応じて、所定の患者に対する投与量を調整することは、熟練した医師の能力の範囲内で十分可能である。一般に、一日当たり約0.001〜100mg/kg体重の投与量レベルの抗体またはそれらの誘導体が好適である。一部の実施形態において、投与量は、1日当たり約0.1〜約50mg/kg体重の抗体またはそれらの誘導体である。別の実施形態において、投与量は、約0.10mg/kg体重/日〜約20mg/kg体重/日の抗体またはそれらの誘導体である。また別の実施形態において、投与量は、約0.1mg/kg体重/日〜約10mg/kg体重/日の抗体またはこれらの誘導体となる。投与は、大量瞬時投与または点滴としてもよい。さらに、投与量は、1日に1回、または数回の期間で投与してもよい。一部の実施形態においては、用量は、1−14日毎に与えられる。一部の実施形態においては、抗体またはこれらの誘導体は、約3〜1mg/kg腹腔内投与で与えられる。別の実施形態においては、抗体またはそれらの誘導体は、約5〜12.5mg/kg静脈内投与で与えられる。また別の実施形態においては、抗体またはこれらの誘導体は、少なくとも約1μg/mLの血漿中濃度が維持されるように与えられる。
【0127】
効果的な治療は、様々な方法によって評価できる。ある実施形態において、効果的な治療は、遅滞された腫瘍成長進行により決定できる。別の実施形態において、効果的な治療は腫瘍の縮小(すなわち、腫瘍の大きさの減少)により特徴付けられる。別の実施形態において、効果的な治療は、腫瘍転移の阻害で特徴付けられる。また別の実施形態において、効果的な治療は、体重増加、体力回復、痛みの減少、成長/発達、および健康な患者の自覚の表れといった兆候等の患者の健康増強により評価される。
【0128】
本発明の抗体は、別の治療薬または診断薬の投与前後、または同時に投与してもよい。例えば、本発明のインアウト抗体は、単独で投与しても、アドリアマイシン、ドキソルビシン、ゲムシタビン、または5−フルオロウラシル等を含む、細胞毒性薬と共に投与してもよい。本発明のインアウト抗体は、単独で、またはタルセバやアバスチン等を含む細胞増殖抑制剤と共に投与してもよい。本発明のインアウト抗体およびこれらの誘導体は、単独で、またはワクチン剤と共に投与してもよい。本発明のインアウト抗体およびこれらの誘導体は、単独で、またはインターロイキン−2、インタフェロンα、インターフェロンβ、インターフェロンγ、リツキサン、ゼバリン、ハーセプチン、エルビタックス、アバスチン等の別の生体分子と共に投与してもよい。
【0129】
本発明のインアウト抗体およびこれらの誘導体は、非結合または結合抗体の均一混合物として、あるいは非結合または結合インアウト抗体の均一混合物として投与してもよい。
【0130】
以下の実施例は本発明の説明するために示すものであり、本発明を限定するものとして解釈されるべきではない。
【0131】
実施例
【実施例1】
【0132】
メソテリンに結合可能なインアウト抗体
モノクローナル抗体MSAb−1を、ヒトIgG1定常領域に対するメソテリンFAbフラグメントの可変領域をクローン化することにより発現させた。抗体はメソテリンタンパク質およびメソテリンを発現している癌細胞に特異的に結合することが示され、BIACOREを用いて2nMの結合定数を有することがわかった。MSAb−2およびMSAb−3は、それぞれの可変領域内で異なるヌクレオチドおよびアミノ酸を有するMSAb−1の変異体である。メソテリン特異性結合を実証するために、ELISA分析を、当業者により使用されている方法に従って、96穴プレート中で組換え型メソテリンを用いて実施した。ELISAにより反応することが判明した抗体について、FACSを用いて、製造業者手順に従って、さらにメソテリン結合性について分析した。図1は、FACS分析の代表的なデータであり、これにより、メソテリン発現卵巣および膵臓腫瘍細胞が、ヌル細胞(A549)とは対照に、MSAb−1結合に対して陽性であることを示す。
【実施例2】
【0133】
MSAb−1の免疫エフェクター活性
MSAb−1インアウト抗体の免疫エフェクター活性についての活性を、メソテリン発現OVCAR−3細胞株での標準的な抗体依存性細胞障害活性(ADCC)分析により評価した。簡潔に述べると、OVCAR−3標的細胞を平底96穴マイクロプレートに播種し、完全培地(10%FBS、2mM L−グルタミン含有のRPMI−1640)で培養した。翌日、完全培地を100μlのCHO−CD無血清培地(Sigma)で置換し、50μlの抗体含有馴化培地を標的細胞に添加し、37℃で20分間インキュベートした。続いて、2x10のエフェクター細胞を含有する100μlの無血清培地を各ウェルに加え、細胞を37℃、5%COの条件下で5〜6時間インキュベートした。エフェクター細胞は、健常ドナーより単離されたヒト末梢血単核細胞(peripheral blood mononuclear cells:PBMCs)由来とした(Interstate Blood Bankより購入)。ADCC分析への使用前に、PBMCsを、2.5x10/mlで10ng/mlのヒト組換え型インターロイキン2(R&D Systems)を含む完全RPMI中で37℃、5%COにおいて3日間播種して活性化した。活性化したPBMCsは、その後、5:1のエフェクターと標的細胞の割合でOVCAR−3細胞に添加し、培養物を37℃、5%COで5〜6時間インキュベートした。その後、上澄みを各ウェルから回収し、ELISAプレートに移して、以下のようにしてADCC活性について分析した。ADCC活性を、標準分析法におけるADCCの測定に使用される乳酸脱水素酵素(LDH)の脱離によりモニターした。LDHにより変換されると分光光度法によりOD490で検出可能な化学物質である、LDH基質(Roche)100μlを上澄みに添加してモニターし、環境温度で10分間インキュベートした。LDH活性は、溶解した標的細胞から遊離したLDHの程度に比例している。490nmでの光学密度(OD490)を分光光度法により得た。2%TritonXを標的細胞のみに「最大」陽性対照として添加し、PBMCを有し抗体を含まない標的細胞を「自発的」陰性対照として使用した。LDH値を得て、次式により細胞障害性率を決定した。(試料値−自発)/(最大−自発)x100%、ただし式中、「自発」とはエフェクター細胞の非存在下での標的細胞の溶解であり、「最大」とは2%Triton存在下での標的細胞溶解である。アイソタイプ対照抗体である、MORAb−A92(精製プロテインA)100ng/mlにより誘発された細胞障害性を陽性対照として用いた。非特異的細胞障害性は、正常ヒトIgG1抗体100ng/mlを用いてモニターした。各ウェル/クローンについて%細胞障害性を抗体濃度で割って得られた比(すなわち、比=50(%)/100(ng/ml)=0.5)を、増強されたエフェクター機能を有する可能性のある重要なクローンを選択する基準として設定した。
【0134】
MSAb−1の分析では、対照Igと共に、または抗体なしでインキュベートした細胞を超える、ADCC活性の促進能を示している(p=0.018)(図2)。これらのデータは、MSAb−1が免疫エフェクター機能を介して細胞障害効果を有する所見を裏付けるものである。
【実施例3】
【0135】
MSAb−1の内在化
MSAb−1は、メソテリン発現細胞に結合すると内在化する。この所見は、Hum−ZAP分析を用いて図3に示す。第2の免疫毒素は、2次抗体のリボソーム不活性化タンパク質サポリンに対する抱合体である。試験した一次抗体が内在化すると、サポリンは2次抗体への結合を介して細胞内に輸送される。内在化すると、サポリンは、そのIgG抱合体から分離し、タンパク質合成を阻害し、最終的に細胞死を引き起こす。Hum−ZAP(Advanced Targeting Systems、カタログ番号IT−22)は、ヒトモノクローナル抗体を認識するアフィニティ精製したヤギ抗ヒトIgG(分子量210kDa)の二次化学的抱合体である。対照分子、ヤギIgG−SAP(Advanced Targeting Systems,カタログ番号IT−19)は、正常ヤギIgGおよびサポリンの抱合体である。簡潔に述べると、細胞は平底96穴組織培養プレート中に、10%FCS、2.0mMグルタミン、1.0mKピルビン酸ナトリウム、および0.1mM MEM非必須アミノ酸を含有する1ウェルあたり80μlのRPMI640に2500/ウェルで蒔いた。24時間後、10μlの一次抗体ML−1またはMSAb−1を全体積が100μlになるように10μlのHum−ZAPまたはヒツジIgG−SAPと共に添加した。抗体滴定試験の準備を行い、一次および二次抗体のみを対照とした。分光光度法によって生存細胞数を示すPromega CellTiter(登録商標)Cytotoxicity Assay(カタログ番号G3581)を用いて、4日後の細胞生存率を評価した。全試験を3連で行った。処理済みと未処理のウェルとを比較して、データを評価し、それらの結果を対照パーセントで示した。図3に示すように、メソテリン(三角形)を過剰発現しているOVCAR−3細胞は、毒素結合および非結合のアイソタイプ対照ML1抗体(各々、菱形および正方形)、および非結合MSAb−1(X)と比較すると、毒素結合MSAb−1で処理で死亡する。それとは対照的に、TP細胞上に発現している細胞表面高原を認識する陽性対照ML1結合抗体と比較すると、MSAb−1抱合体は、細胞障害性をメソテリン−ヌルTP細胞上にもたない。
【0136】
要約
要約すると、本発明の抗メソテリン抗体は、ADCCを誘発できるが、メソテリン陽性細胞内に内在化する。本発明の抗体は、単剤として、または併用療法において、メソテリン陽性腫瘍細胞の治療に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0137】
【図1】図1は、メソテリン発現細胞(OVCAR−3−卵巣およびPANC1−膵臓細胞)に結合したMSAb−1のFACS解析結果であり、A549細胞については結合が観察されなかったことを示すものである。これらのデータはウエスタンブロット分析によって確認された(図示せず)。
【図2】図2は、MSAb−1が、強力な抗体依存性細胞障害作用(ADCC)活性を誘発することを実証するものである。メソテリンを発現する腫瘍細胞株OVCAR−3(標的と称する)をヒトの末梢血リンパ球(PBLs)単独、(Ab株なし)、MSAb−1およびPBLs、または対照IgおよびPBLs(正常IgG)と共にインキュベートした。これらの細胞培養物は、細胞溶解時に起こる乳酸脱水素酵素(LDH)の放出をモニターすることにより、死滅に関して分析した。本願明細書記載のとおり、MSAb−1は、メソテリン発現細胞上でADCC活性を有する。
【図3】図3は、MSAb−1がメソテリン発現細胞に内在化することを実証するものである。図3は、サポリン(三角形)に結合したMSAb−1の細胞殺傷能力を非結合MSAb−1(X)との比較を示し、アイソタイプの対照抗体であるML1は、結合または非結合毒素型(それぞれ、菱形および正方形)では細胞を殺傷しなかった。対照サンプルとして、メソテリンを発現しない細胞を使用した。毒素結合型MSAb−1は、対照細胞上では結合型でも非結合型でも毒性作用を示さなかった。これらのデータは、MSAb−1がメソテリン陽性細胞に内在化するという知見を裏付けるものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)選択的に、免疫エフェクター活性の誘発或いはメソテリン陽性細胞への内在化を行い、(b)特異的にメソテリンに結合する、抗体。
【請求項2】
請求項1記載の抗体において、この抗体は、配列ID番号2、6、及び10から成る群から選択されるアミノ酸配列を有する重鎖と、配列ID番号4、8、及び12から成る群から選択されるアミノ酸配列を有する軽鎖とを有するものである。
【請求項3】
請求項1記載の抗体において、この抗体は、配列ID番号2のアミノ酸配列を有する重鎖と、配列ID番号4のアミノ酸配列を有する軽鎖とを有するものである。
【請求項4】
請求項1記載の抗体において、この抗体は、配列ID番号6のアミノ酸配列を有する重鎖と、配列ID番号8のアミノ酸配列を有する軽鎖とを有するものである。
【請求項5】
請求項1記載の抗体において、この抗体は、配列ID番号10のアミノ酸配列を有する重鎖と、配列ID番号12のアミノ酸配列を有する軽鎖とを有するものである。
【請求項6】
請求項1記載の抗体において、前記免疫エフェクター活性は抗体依存性細胞障害作用である。
【請求項7】
請求項1記載の抗体において、前記免疫エフェクター活性は補体依存性細胞障害作用である。
【請求項8】
請求項1記載の抗体において、この抗体は化学療法剤に結合しているものである。
【請求項9】
請求項1記載の抗体において、前記化学療法剤は放射性核種を有するものである。
【請求項10】
メソテリンに特異的に結合する抗体の重鎖をコード化するポリヌクレオチドであって、前記重鎖は配列ID番号2のアミノ酸配列を有するものである、ポリヌクレオチド。
【請求項11】
請求項10記載のポリヌクレオチドにおいて、このポリヌクレオチドは配列ID番号1の核酸配列を有するものである。
【請求項12】
メソテリンに特異的に結合する抗体の軽鎖をコード化するポリヌクレオチドであって、前記軽鎖は、配列ID番号4のアミノ酸配列を有するものである、ポリヌクレオチド。
【請求項13】
請求項12記載のポリヌクレオチドであって、このポリヌクレオチドは、配列ID番号3の核酸配列を有するものである。
【請求項14】
メソテリンに特異的に結合する抗体の重鎖をコード化するポリヌクレオチドであって、前記重鎖は、配列ID番号6のアミノ酸配列を有するものである、ポリヌクレオチド。
【請求項15】
請求項14記載のポリヌクレオチドであって、このポリヌクレオチドは、配列ID番号5の核酸配列を有するものである。
【請求項16】
メソテリンに特異的に結合する抗体の軽鎖をコード化するポリヌクレオチドであって、前記軽鎖は、配列ID番号8のアミノ酸配列を有するものである、ポリヌクレオチド。
【請求項17】
請求項16記載のポリヌクレオチドにであって、このポリヌクレオチドは、配列ID番号7の核酸配列を有するものである。
【請求項18】
メソテリンに特異的に結合する抗体の重鎖をコード化するポリヌクレオチドであって、前記重鎖は配列ID番号10のアミノ酸配列を有するものである。
【請求項19】
請求項18記載のポリヌクレオチドであって、このポリヌクレオチドは、配列ID番号9の核酸配列を有するものである。
【請求項20】
メソテリンに特異的に結合する抗体の軽鎖をコード化するポリヌクレオチドであって、前記軽鎖は配列ID番号12のアミノ酸配列を有するものである。
【請求項21】
請求項20記載のポリヌクレオチドであって、このポリヌクレオチドは、配列ID番号11の核酸配列を有するものである。
【請求項22】
医薬組成物であって、この医薬組成物は、請求項1記載の前記抗体と薬学的に許容される担体とを含むものである。
【請求項23】
請求項22記載の医薬組成物において、この医薬組成物は、化学療法剤を含むものである。
【請求項24】
請求項22記載の医薬組成物において、この医薬組成物は、生体分子を含むものである。
【請求項25】
ベクターであって、このベクターは、請求項1記載の抗体の重鎖をコード化するポリヌクレオチドを有するものである。
【請求項26】
ベクターであって、このベクターは、請求項1記載の抗体の軽鎖をコード化するポリヌクレオチドを有するものである。
【請求項27】
ベクターであって、このベクターは、請求項1記載の抗体の重鎖と軽鎖をコード化するポリヌクレオチドを有するものである。
【請求項28】
発現細胞であって、この細胞は、請求項1記載の抗体の重鎖をコード化するポリヌクレオチドと、請求項1記載の抗体の軽鎖をコード化するポリヌクレオチドを有するものである。
【請求項29】
発現細胞であって、この発現細胞は、請求項28記載のベクターを有するものである。
【請求項30】
請求項29記載の発現細胞において、この細胞は哺乳動物細胞である。
【請求項31】
細胞であって、この細胞は、請求項1記載の抗体を産生するものである。
【請求項32】
請求項31記載の細胞において、この細胞はハイブリドーマである。
【請求項33】
メソテリンに特異的に結合する抗体を産生する方法であって、前記抗体は選択的に、(a)免疫エフェクター活性を誘発するか、或いは(b)メソテリン陽性細胞内に取り込まれ、前記方法は、請求項31記載の細胞を培養する工程と、培地から前記抗体を回収する工程とを有する方法。
【請求項34】
メソテリン陽性異型細胞の成長を阻害する方法であって、(a)選択的に、免疫エフェクター活性を誘発するか或いは前記メソテリン陽性細胞内に内在化し、(b)メソテリンに特異的に結合するものである、抗体を、前記メソテリン陽性異型細胞を有する対象に投与する工程を有する、方法。
【請求項35】
請求項34記載の方法において、前記異型細胞は卵巣癌細胞である。
【請求項36】
請求項34記載の方法において、前記異型細胞は膵臓腺癌細胞である。
【請求項37】
請求項34記載の方法において、前記異型細胞は中皮腫細胞である。
【請求項38】
請求項34記載の方法において、前記異型細胞は肺癌細胞である。
【請求項39】
請求項34記載の方法において、前記異型細胞は前立腺癌細胞である。
【請求項40】
請求項34記載の方法において、前記対象はヒトである。
【請求項41】
請求項34記載の方法において、前記抗体は、化学療法剤に結合しているものである。
【請求項42】
請求項34記載の方法において、この方法は、さらに、
前記対象に化学療法剤を投与する工程を有するものである。
【請求項43】
請求項34記載の方法において、前記抗体は、非結合抗体として投与されるものである。
【請求項44】
請求項34記載の方法において、前記抗体は、非結合抗体と、化学療法剤に結合した抗体との混合物として投与されるものである。
【請求項45】
キットであって、メソテリンに特異的に結合する抗体であって、選択的に、(a)免疫エフェクター活性を誘発するか、或いは(b)メソテリン陽性細胞内に内在化する抗体と、対象における癌細胞の成長を阻害する方法における当該キットの使用に関する説明書とを有するキット。
【請求項46】
請求項45記載のキットにおいて、このキットは、さらに、
少なくとも1つの化学療法剤または細胞毒性試薬を有するものである。
【請求項47】
請求項45記載のキットにおいて、このキットは、さらに、
少なくとも1つの診断試薬を有するものである。
【請求項48】
請求項45記載のキットにおいて、このキットは、さらに、
前記抗体を治療対象に投与する手段と、説明書とを有するものである。
【請求項49】
メソテリンに特異的に結合する抗体であって、この抗体は、選択的に、(a)免疫エフェクター活性を誘発するか、或いは(b)メソテリン陽性細胞内に内在化する抗体と、インビトロまたはインビボでメソテリン陽性異型細胞の存在を特定する方法において当該キットを使用するための説明書とを有する、キット。
【請求項50】
請求項49記載のキットであって、このキットは、さらに、
少なくとも1つの診断試薬を有するものである。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2008−532523(P2008−532523A)
【公表日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−500966(P2008−500966)
【出願日】平成18年3月9日(2006.3.9)
【国際出願番号】PCT/US2006/008598
【国際公開番号】WO2006/099141
【国際公開日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【出願人】(506031948)モルフォテック、インク. (16)
【Fターム(参考)】