説明

抗微生物セルローススポンジ実施形態及びその製造方法

セルローススポンジの内部に結合したビグアニドが、セルローススポンジの耐用寿命を通じてセルローススポンジ内部の細菌、カビ、及び真菌などの微生物の増殖を阻害又は防止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、セルローススポンジ、及びセルローススポンジの耐用寿命の全体を通じてセルローススポンジを永続的に抗微生物性とするための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
セルローススポンジは様々な表面を洗浄する目的で使用することができる。セルローススポンジは、一般にセルローススポンジを軟らかく保つためにわずかに湿った状態で消費者に販売されており、保存期間の間に微生物の増殖を防止するための抗微生物剤を含んでいる。しかしながら、セルローススポンジは慢性的に湿った環境のために使用時に細菌及びカビが発生しやすいことでよく知られている。保存期間に存在する抗微生物剤は、セルローススポンジの寿命の間にしばしば洗い流されるか、あるいは不活性化するか又は活性が不充分となってしまう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
したがって、スポンジは一般に台所やトイレで使用されることからスポンジ内で増殖する微生物は一般家庭において健康上の問題を生じうるものである。使用時に微生物に対するより高い耐性を有するセルローススポンジが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
パッケージ内でセルローススポンジを保存するために通常用いられる抗微生物剤はその後の使用時に作用が継続しないが、ビグアニドとして知られる特定の抗微生物剤は充分な濃度で使用される場合に顕著な持続的効果を示すことが現在明らかとなっている。ビグアニドは繰り返し洗ってもセルローススポンジ内部に結合した状態に保たれる。乾燥スポンジ重量にして少なくとも0.02重量%のビグアニドがスポンジの耐用寿命の全体を通じて存在し、活性を示す場合にセルローススポンジ内の微生物の増殖は劇的に低下した状態に保たれる。
【0005】
例えば、水ですすいでから搾ることを100回繰り返した後でも、少なくとも0.02重量%を維持するようにビグアニドで処理したセルローススポンジでは微生物の増殖が3の対数減少する。これは極めて革新的なことであり、ビグアニドは従来の用途において抗微生物剤として知られたものではあるが、ほぼ永続的に抗微生物活性を示すセルローススポンジを製造するためのビグアニドのこうした特有の使用は潜在的に重要な公衆衛生上の利益をもたらすものである。
【0006】
他の多くの抗微生物剤とは異なり、ビグアニドのカチオン性官能基は、セルローススポンジ材料のアニオン性官能基と結合することにより、ビグアニドが定位置に保持されるばかりでなく、ビグアニドが活性を維持し短時間で微生物を低減することができるようにして保持されると考えられている。
【0007】
したがって、本発明は耐用寿命を通じてその内部の細菌、カビ、及び真菌の増殖を阻害又は防止する抗微生物剤が内部に保持されたセルローススポンジを提供するものである。一実施形態では、抗微生物剤を有するセルローススポンジは、水分を含みうる密封容器内にパッケージングされる。こうしたパッケージでは、抗微生物洗浄用品が、パッケージ内部の水分活性を低下させ、パッケージ内部の微生物の増殖を防止する湿潤剤を更に含むことが望ましい場合がある。
【0008】
一実施形態では、セルローススポンジはビグアニドを含む。セルローススポンジは、水による100回のすすぎ及び搾りのサイクルの後にセルローススポンジの乾燥重量に対して少なくとも0.02重量%のビグアニドを維持することによってセルローススポンジ内の微生物の少なくとも3の対数減少をもたらす。
【0009】
別の実施形態では、パッケージ内のセルローススポンジは、セルローススポンジの乾燥重量に対して少なくとも0.4重量%のビグアニドを含む。パッケージから取り出され、水による100回のすすぎ及び搾りのサイクルの後に、セルローススポンジの乾燥重量に対して少なくとも0.02重量%のビグアニドがスポンジ内に残留することによってセルローススポンジ内の微生物の少なくとも3の対数減少をもたらす。
【0010】
別の実施形態では、セルローススポンジは、セルローススポンジを与える工程と、前記セルローススポンジに0.1〜2.0重量%のビグアニドを含む投入溶液を吸収させる工程と、前記セルローススポンジを密封されたパッケージにパッケージングする工程とを含むプロセスによって製造される。パッケージングされたセルローススポンジは、セルローススポンジの乾燥重量に対して少なくとも0.4重量%のビグアニドを含む。
【0011】
別の実施形態では、パッケージ内のセルローススポンジは、セルローススポンジの乾燥重量に対して少なくとも1.25重量%のビグアニドと、パッケージ内の水分活性(a)を0.91よりも低くするような湿潤剤とを含む。パッケージからセルローススポンジを取り出し、水による100回のすすぎ及び搾りのサイクルの後に、セルローススポンジの乾燥重量に対して少なくとも0.5重量%のビグアニドがセルローススポンジ内に残留することによってスポンジ内の微生物を5分以内に100%低減させる。
【0012】
別の実施形態では、抗微生物洗浄用品を製造するための方法は、セルローススポンジを与える工程と、前記セルローススポンジに少なくとも0.1重量%のビグアニドを含む投入溶液を吸収させる工程と、前記ビグアニドを前記セルローススポンジ内部に結合させる工程と、前記セルローススポンジを密封されたパッケージにパッケージングする工程とを含み、パッケージングされたセルローススポンジは、セルローススポンジの乾燥重量に対して少なくとも0.4重量%のビグアニドを含む。
【0013】
別の実施形態では、洗浄構造体の抗微生物能力を維持するための方法は、アニオン性官能基を有するセルローススポンジを与える工程と、前記セルローススポンジに、カチオン性官能基を有するビグアニドを含む投入溶液を吸収させる工程と、前記ビグアニドの前記カチオン性官能基を前記セルローススポンジの前記アニオン性官能基と結合させる工程と、前記セルローススポンジを水に繰り返し曝露することによってすすぐ工程とを含む。結合したビグアニドは、セルローススポンジ内の微生物の数に少なくとも3の対数減少をもたらす能力を維持する。
【0014】
セルローススポンジ内部において微生物の増殖に対する活性を有しつつ長期にわたって残留するような充分な結合を与えるカチオン性官能基を有する他の抗微生物剤も本開示に基づけば有用である点も理解されるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0015】
洗浄用品が所定の期間にわたって使用できるためには洗浄用品自体が洗浄プロセスの際に、用品に住みついた拡散する微生物の供給源となってはならない。微生物の増殖にとって適当な環境が存在するかぎり、洗浄用品は分解しうる。一般的に、細菌及び真菌は、特に使用前にパッケージ内で分解が起こる場合に、製品の分解の原因となっている。細菌は増殖するために炭素源、適当な大気、適当な環境温度及びpH、並びに水分を必要とする。真菌は、すべての真菌が酸素を必要とし、必要とされる水分のレベルが細菌と比較してより幅広い範囲である点を除けば、増殖のための同様な必要条件を有する。ここでは増殖とは、個々の細菌細胞が大きくなることではなく、細菌集団全体が増加することとして定義される。
【0016】
スポンジは一般的な洗浄用品である。スポンジは、吸収材の性質を有する、軽い繊維質の結合構造体である。スポンジは、ウレタンのような合成ポリマー、及び本開示ではセルローススポンジと呼ぶ天然ポリマーセルロースなどの様々な異なる材料から形成することができる。セルローススポンジはその優れた吸水性のため独特の洗浄用品である。セルローススポンジは極めて親水性が高く、その重量の10倍の保水能力を有する。セルローススポンジは、また優れた湿潤強度を示し、液体を供与及び吸収する両方の能力を有する。
【0017】
一般にセルローススポンジはビスコースセルロース中に硫酸ナトリウム結晶を分散することによって製造される。硫酸ナトリウム結晶は、ビスコースセルロースと混合されると、ビスコースセルロースを加熱することによってビスコースセルロースが不溶状態へと再形成される、すなわち凝固する際にセルローススポンジから溶け出す。これによりセルローススポンジ中にその高い吸水性に寄与する小孔が形成される。ビスコースセルロースは再形成された後、洗い流される。セルローススポンジは、これらに限定されるものではないが、木材、ウッドパルプ、リサイクルされたセルローススポンジ、又は他の天然繊維などの様々なセルロース含有原料から形成することができる点は理解されよう。セルローススポンジは、染料、香料、芳香剤、界面活性剤、及び強化繊維などの更なる材料を含んでもよい点は理解されよう。強化繊維としては、天然繊維、ティッシュダスト、開放型細断パルプ繊維(open shredded pulp fiber)、綿繊維を使用することができる。天然繊維としては、綿、羊毛、絹、麻、竹、レーヨンなどのビスコース繊維が挙げられる。
【0018】
セルローススポンジの優れた吸水性は問題を生じうる。セルローススポンジに吸収される水分は望ましくない微生物を含むことができる。こうした微生物はいったんセルローススポンジに吸収されるとセルローススポンジ内部に見られる湿潤環境中で生育し、増殖する。これらの微生物は健康及び安全性に関する問題を生じうる。例えば、洗浄時にセルローススポンジ内の様々な微生物が、使用者が洗浄していると思い込んでいる他の表面に移り、実際には微生物を他の表面上に拡散させることができる。
【0019】
この場合にもやはり、セルローススポンジの大きな吸水量のためにすすぎの際に大量の水又は他の洗浄液がセルローススポンジと接触しうる。抗微生物剤で処理された多くのセルローススポンジは抗微生物効果を示すが、抗微生物剤は水ですすぐ際、又は物品が洗浄用途で使用される際にセルローススポンジから洗い流されてしまうために抗微生物作用が長く持続しない。
【0020】
セルローススポンジは廃棄される前に繰り返し使用される。消費者はセルローススポンジを少なくとも1日1回、30日間以上にわたって使用することができる。時として、セルローススポンジは1日2回以上、60日以上にわたって使用される場合もある。洗浄プロセスの際、セルローススポンジはしばしば大量の水に曝される。したがってセルローススポンジ内の抗微生物効果が1回の使用の後にも、特に何度もすすいだ後にも残っていることが重要である。
【0021】
ビグアニドをセルローススポンジ内に取り込むことにより、パッケージング時に、セルローススポンジ内の(これらに限定されるものではないが)細菌、真菌、カビ、白カビ、及び/又はウイルスなどの微生物を部分的又は完全に殺滅する効果を与えるばかりでなく、更に、セルローススポンジを少なくとも10回、好ましくは少なくとも50回、及びより好ましくは少なくとも100回、水中ですすいだ後にセルローススポンジ内の微生物を部分的又は完全に殺滅する効果を与えるものである。「すすぎ」とは、セルローススポンジを流れる水道水の下に置き、水をたっぷりと含ませ、余分な水をセルローススポンジから搾り、これを2〜3回繰り返すことと考えられる。
【0022】
以上まとめると、出願人は、最初の使用後にビグアニドの一部がセルローススポンジから初めに洗い流されるものの、セルローススポンジの想定される耐用寿命の間にセルローススポンジ内部の微生物を低減させる有効量のビグアニドがセルローススポンジ内部に残留することを見出したものである。
【0023】
セルローススポンジに含ませることが可能な1以上のビグアニド化合物としてはこれらに限定されるものではないが、下記一般式を有する化合物が挙げられる。
【0024】
【化1】

【0025】
(式中、X及びXは、水素又は任意の脂肪族、脂環族、芳香族、置換された脂肪族、置換された芳香族、複素環式脂肪族、複素環族、複素環式芳香族、又はこれらの任意のものの混合物であり、Y及びYは、任意の脂肪族、脂環族、芳香族、置換された脂肪族、置換された芳香族、複素環式脂肪族、複素環族、複素環式芳香族、又はこれらの任意のものの混合物であり、Mは、1以上の数である。)通常、Mはビグアニド化合物の分子量が約1000〜1400g/モルとなるような平均値を有するが、分子量はより大きくても小さくてもよい。一般にMは約2〜20である。Z及びZは、水素又は塩に結合した水素である。上述した有機物質は、その構造内にチオール基を含むように修飾されることによって化合物が金属基材と結合することが可能になるか、あるいは他の官能基で誘導体化されることによって非金属基材上に直接不動化することができる。上述した有機物質はまた、水酸基、アミン、ハロゲン、エポキシ、アルキル又はアルコキシシリル官能基などの基を有するように適宜官能化することによって表面に直接不動化することができる。塩としては、塩酸塩、フッ化水素酸塩、硝酸塩、硫酸塩及び/若しくはリン酸塩などの無機酸との塩、並びに/又は、カルボン酸、酢酸塩、安息香酸塩、酒石酸塩、アジピン酸塩、乳酸塩、ギ酸塩、マレイン酸塩、グルタミン酸塩、アスコルビン酸塩、クエン酸塩、グルコン酸塩、蓚酸塩、コハク酸塩、パモ酸塩、サリチル酸塩、イセチオン酸塩、スクシニメート(succinimate)、モノジグリコール酸塩、ジメタンスルホン酸塩、ジイソ酪酸塩及び/若しくはグルコヘプトン酸塩などの有機酸との塩が挙げられる。これらの化合物の具体的な例としては、これらに限定されるものではないが、ポリヘキサメチレンビグアニド塩酸塩、p−クロロフェニルビグアニド、及び4−クロロベンズヒドリルビグアニドが挙げられる。本実施形態の別の態様では、ビグアニド化合物として、これらに限定されるものではないが、クロルヘキシジン(1,1’−ヘキサメチレン−ビス−5−(4−クロロフェニルビグアニド)及びその塩などのハロゲン化ヘキシジンが挙げられる。特定の好適なビグアニドの1つは、アークケミカル社(コネチカット州ノーウォーク)により商品名VANTOCIL IB(登録商標名)の水溶液として販売される、ポリヘキサメチレンビグアニド塩酸塩、又はPHMBである。
【0026】
セルローススポンジの製造過程では、セルロースの一部が酸化されてカルボキシレート基を与える。ビグアニドはカチオン性ポリマーである。ビグアニドの正に帯電した部位と、セルローススポンジ内の負に帯電したカルボキシレート基との間の静電相互作用によってビグアニドが結合する。ビグアニドはセルローススポンジ内部に強力に結合する。しかしながら、投入される材料及びプロセスの変動性のため、セルローススポンジ内部のビグアニドの結合度は変化しうる。概して本出願人は、パッケージングされたセルローススポンジ(すすがれていないもの)内部のビグアニドの40〜60%がセルローススポンジ内部に結合していることを見出した。このため、本出願人は、セルローススポンジの想定された寿命にわたってセルローススポンジ内部の微生物を部分的又は完全に殺滅するビグアニドの持続的な効果があることを見出したものである。
【0027】
「使用済み」のセルローススポンジは一連のすすぎを経たものである。使用済みのセルローススポンジは100回のすすぎを経たものとして判定される。使用済みのセルローススポンジは、セルローススポンジ内部の微生物を部分的又は完全に殺滅する最小のレベルのビグアニドを維持している必要がある。また、ビグアニド化合物の含量は経済的なコストの観点、配合物の溶解度の必要条件、及び/又はビグアニド含有製品の目的とする用途によって通常制限される。
【0028】
一実施形態では、0.05〜1.2重量%のビグアニドを含有する投入溶液をセルローススポンジが飽和状態となるまでセルローススポンジに吸収させる。このセルローススポンジから余分な液体を搾り出す。一般に、ビグアニド含有投入溶液の吸収及びパッケージング後にはすすぎは行われない。すすぎに先立って、セルローススポンジの乾燥重量に対して少なくとも0.4重量%のビグアニドを含有したパッケージングされたセルローススポンジは、セルローススポンジの乾燥重量に対して少なくとも0.02重量%のビグアニドを含有する使用済みセルローススポンジを与える。この実施形態では、使用済みセルローススポンジは、接種後24時間以内、一般的には1時間以内、より一般的には5分以内にセルローススポンジ内の微生物を3の対数減少をもたらす能力を維持する。
【0029】
一実施形態では、0.1〜2.0重量%のビグアニドを含有する投入溶液をセルローススポンジが飽和状態となるまでセルローススポンジに吸収させる。このセルローススポンジから余分な液体を搾り出す。一般に、ビグアニド含有投入溶液の吸収及びパッケージング後にはすすぎは行われない。すすぎに先立って、セルローススポンジの乾燥重量に対して少なくとも1.25重量%のビグアニドを含有したパッケージングされたセルローススポンジは、セルローススポンジの乾燥重量に対して少なくとも0.5重量%のビグアニドを含有する使用済みセルローススポンジを与える。この実施形態では、使用済みセルローススポンジは、接種後24時間以内、一般的には1時間以内、より一般的には5分以内にセルローススポンジ内部の微生物を100%低減する能力を維持する。
【0030】
場合に応じて、他の抗微生物剤及び/又は抗真菌剤をセルローススポンジ内に取り込ませることができる。場合に応じて用いられる抗微生物剤としては、抗微生物プロトン化三級アミン及び小分子の四級アンモニウム化合物などのカチオン性アミン抗微生物化合物が挙げられる。四級アンモニウム化合物は一般に、グラム陽性(例、ブドウ球菌)及びグラム陰性「例、大腸菌」の微生物の両方に対して効果を有する「広域スペクトル」抗微生物カチオン性化合物と考えられている。したがって、こうした四級アンモニウム化合物をセルローススポンジの抗微生物目的でパッケージ内において取り込ませることが可能であり、こうした目的での有効量で存在させる必要がある。四級アンモニウム化合物の選択はさほど重要ではない。通常、四級アンモニウム化合物は、モノ長鎖でトリ短鎖のテトラアルキルアンモニウム化合物、ジ長鎖でジ短鎖のテトラアルキルアンモニウム化合物、及びこれらの混合物から好ましくは選択される。これらの鎖は直鎖であっても分枝鎖であってもよい。N−複素環化合物もまた四級アンモニア化合物と考えられる。代表的な小分子の四級アンモニウム化合物としては、塩化ベンザルコニウム及びそのアルキル置換誘導体、ジ長鎖アルキル(C8〜C18)四級アンモニウム化合物、ハロゲン化セチルピリジニウム及びその誘導体、塩化ベンゼトニウム及びそのアルキル置換誘導体、オクテニジン、並びにこれらの適合性のある組み合わせが挙げられる。
【0031】
セルローススポンジは濡れた状態では比較的軟らかく可撓性である。しかしながら、セルローススポンジは乾燥後には堅く、剛性である。したがって、セルローススポンジは通常、密封されたプラスチック包装中にわずかに湿った状態でパッケージングされる。パッケージ内の水分のため、最初の使用前にパッケージ内にセルローススポンジがある間に微生物が増殖しうる。抗微生物剤、防腐剤の使用、及び滅菌法など、製品を保存し、パッケージ安定性を高めるための様々な方法が存在する。水分活性(a)は、特定の系内の水のエネルギー状態の尺度である。水分活性は、系内の「自由水」、「結合水」又は「利用可能な水」としてしばしば定義される。パッケージ内のセルローススポンジの水活性を制御することにより、パッケージ内における微生物の増殖を促進するうえで利用可能な水の量が制御される。細菌などの多くの微生物は増殖するうえで0.99の水活性を好み、大部分は0.91よりも高い水活性を必要とする。塩及び砂糖のような湿潤剤を添加することにより水が「結合」し、水活性が低下することによって微生物の増殖が制御される。したがって、洗浄用製品をパッケージ内において保存するため、湿潤剤を加えることによって水活性を0.91よりも低くすることができる。
【0032】
抗微生物効果の可能性以外にも、湿潤剤を添加することによってパッケージ内では軟らかく可撓性であり、パッケージの開封直後に使用できるセルローススポンジが得られる。しかしながら、湿潤剤はセルローススポンジがすすがれるとセルローススポンジ内に残留しない。
【0033】
下記の実施例において、出願人はパッケージングされたスポンジ内のビグアニドの40〜60%がすすぎの後にセルローススポンジ内に保持されることを見出したが、その保持率は湿潤剤の濃度に依存していないようであった。使用者が長期にわたって繰り返し使用することを意図したセルローススポンジでは、セルローススポンジ内に抗微生物剤が保持されることが望ましい。出願人の所見によれば、湿潤剤の濃度はセルローススポンジ内のビグアニドの保持率に影響せず、湿潤剤の量は、湿潤剤がパッケージングされたセルローススポンジに与える所望の「水活性」又は所望の「軟らかさ」などの他の因子に基づいて選択されるべきものであることが示された。
【0034】
湿潤剤をセルローススポンジ内に導入するには様々な方法がある。1つの方法は、パッケージングに先立ってセルローススポンジに吸収させる投入溶液に湿潤剤を加えることである。ビグアニドを湿潤剤溶液に加えるか、あるいは、湿潤剤がセルローススポンジ内に導入される前又は後でビグアニドをセルローススポンジに吸収させることができる。
【0035】
好適な湿潤剤としてはカチオン性塩が挙げられる。塩は、こうした化合物は多くの種類のカチオン性抗微生物剤と比較した場合に一般に安価である点で望ましい湿潤剤である。これらに限定されないが、一価の塩、二価の塩、有機塩などの様々な異なる塩を使用することができる。これらの塩としては、これらに限定されるものではないが、酢酸塩、アセチリド、アンモニウム塩(4級を除く)、ヒ酸塩、アスタタイド、アジド、二ハロゲン化塩、重炭酸塩、二硫化物、ホウ化物、ホウ化水素、ハロゲン化ホウ素、カーコネート(carconates)、クエン酸塩、シアン酸塩、シアン化物、ギ酸塩、ゲルマン酸塩、グリシン酸塩、ハレート(halates)、ハロゲン化物、水素化物、ヒドロセレニド、ヒドロスルフィド、水酸化物、イミド、メタニオブ酸塩、メタアンタレート(metaantalates)、メタバナジン酸塩、硝酸塩、窒化物、亜硝酸塩、酸化物、過塩素酸塩、リン酸塩、ホスホニウム塩、セレン化物、亜セレン酸塩、セレン酸塩、硫化物、硫酸塩、三元塩、テトラアルキルアンモニウム塩、テルル化物、チオシアン酸塩、及び/又はバナジン酸塩が挙げられる。この実施形態の一態様では、抗微生物剤として、これらに限定されるものではないが、クエン酸カリウム、クエン酸ナトリウム、酒石酸ナトリウム、酒石酸カリウム、乳酸カリウム、乳酸ナトリウム、ナトリウム及び/又はカリウムのサリチル酸塩、硫酸マグネシウム、塩化マグネシウム、塩化ナトリウム、塩化アンモニウム、及び/又は塩化カリウムが挙げられる。
【0036】
一実施形態では湿潤剤はMgClである。水活性を0.91よりも小さくするためにMgClを加える場合、投入溶液の少なくとも10重量%はMgClでなければならない。しかしながら湿潤剤が多過ぎると沈殿を生ずる場合がある。したがってMgClを添加する場合には投入溶液の14重量%を超えないようにしなければならない。
【0037】
本開示に述べられるような抗微生物セルローススポンジを製造するには、再形成されたセルローススポンジをすすいだものをビグアニドを含む投入溶液と接触させる。すすがれた再形成セルローススポンジは、一般に含水量が40〜70%である。また、ビグアニド含有投入溶液は乾燥したセルローススポンジに吸収させてもよい。投入溶液はセルローススポンジによって吸収され、セルローススポンジを飽和させる。一般に投入溶液は、0.05〜2.0重量%のビグアニドを含むことによってセルローススポンジ内の微生物を部分的又は完全に殺滅するのに充分なレベルのビグアニドを維持した使用済みセルローススポンジが得られる。投入溶液は更に湿潤剤又は別の抗微生物剤を含んでもよい。また、湿潤剤又は他の抗微生物剤を加える場合、ビグアニドの吸収の前、又はビグアニドの吸収の後にセルローススポンジに導入及び吸収させることができる。
【0038】
セルローススポンジに投入溶液を吸収させた後、余分な液体をセルローススポンジから搾り出す。次いでセルローススポンジを適当なサイズに変えてから、密封したフィルム内にパッケージングすることができる。一実施形態では、パッケージングされたセルローススポンジは、通常、セルローススポンジの乾燥重量に対して少なくとも0.4重量%のビグアニドを含有することにより、セルローススポンジの乾燥重量に対して少なくとも0.02重量%のビグアニドを維持した使用済みセルローススポンジが得られる。これはセルローススポンジ内部の微生物を部分的又は完全に殺滅するのに充分な量である。別の実施形態では、パッケージングされたセルローススポンジは、通常、セルローススポンジの乾燥重量に対して少なくとも1.25重量%のビグアニドを含有することにより、セルローススポンジの乾燥重量に対して少なくとも0.5%のビグアニドを維持した使用済みセルローススポンジが得られる。これはセルローススポンジ内部の微生物を部分的又は完全に殺滅するのに充分な量である。
【0039】
以上、本発明の具体的な実施形態を本明細書中に図示、説明したが、これらの実施形態は、本発明の原理を適用してなされうる多くの考えられる具体的な構成をあくまで例示したものにすぎない点は理解されよう。当業者によれば、多数の様々な他の構成が、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、これらの原理にしたがってなされうるものである。したがって本発明の範囲は、本願に記載の構造に限定されるべきものではなく、特許請求の範囲の文言により述べられる構造及びそうした構造の均等物によってのみ限定されるものである。
【実施例】
【0040】
抗微生物溶液の調製
20重量%の市販のビグアニド溶液(Vantocil IB、アークケミカル社(Arch Chemical Company)(コネチカット州チェシア)より販売されるポリヘキサメチレンビグアニド塩酸塩)を水で希釈して所望のビグアニド濃度を得た。
【0041】
セルローススポンジの調製
セルローススポンジのブロックを従来のプロセス(電気凝固によるビスコースプロセス)によって製造した。次いでセルローススポンジのブロックをお湯に通してすすぎ、次亜塩素酸塩を含む水溶液で漂白し、水ですすいだ後、塩化マグネシウム(MgCl)ですすいでから適当なサイズに変えてパッケージングした。あるいは、いずれもスリーエム社(3M Company)(ミネソタ州セントポール)より販売されるO−Cel−O(登録商標)スポンジ又はScotch−Brite(登録商標)スクラブスポンジのようなパッケージングされたセルローススポンジを使用した。
【0042】
上記のセルローススポンジのすべてについて、流れる水道水の下にセルローススポンジを置き、セルローススポンジに水をたっぷりと含ませ、余分な水を手でセルローススポンジから搾り出し、これを50回繰り返すことによってセルローススポンジをすすいで塩化マグネシウムをすべて除去して調製セルローススポンジとした。
【0043】
セルローススポンジへのビグアニドの導入
ビグアニド化合物を、MgClを含む、又は含まない溶液として上記の調製セルローススポンジに吸収させてセルローススポンジを飽和させ、抗微生物セルローススポンジを得た。余分な液体はセルローススポンジから搾り出した。ビグアニドをセルローススポンジから抽出し、抽出した溶液を吸光分光測定法(ベックマンインスツルメンツ社(Beckman Instruments Inc.)(カリフォルニア州フラートン)より購入したDU 640分光光度計)によってビグアニドについて試験した。
【0044】
試験方法及び材料
下記実施例において作製した用品を以下の方法にしたがって評価した。
【0045】
水すすぎの手順
使用されたスポンジを再現するための水すすぎ手順において、ビグアニド含有セルローススポンジを水で飽和させた後、飽和したセルローススポンジを手で搾った。一般に水は流れる水道水を使用した。すすぎ及び搾りのサイクルを繰り返し、サイクルを繰り返した回数をデータに示した。一般に、すすぎ及び搾りサイクルは50回又は100回繰り返した。
【0046】
細菌殺滅アッセイ(AATCC 100参照)
「殺滅アッセイ」又は防腐剤試験は、所定の時間経過における抗微生物剤の効果を判定するものである。この試験における成否の指標は、通常、試験されるべき物体に導入された微生物の数が3の対数減少されることである。
【0047】
調製したセルローススポンジにビグアニド含有投入溶液を吸収させた後、水すすぎ手順を行ってセルローススポンジの抗微生物処理の耐久性を評価した。この試験では、水すすぎ手順において、セルローススポンジを流れる水道水の下に置く代わりに脱イオン水に浸漬した。次いで各試料をプラスチック袋の中に入れた。
【0048】
試験で使用した細菌の懸濁液は、0.5マクファーランド標準比濁液と同じ濁度の0.1%ペプトン水溶液中で調製した。この標準液は、1ml当たり約1.5×10個のコロニー形成単位(CFU)の細菌カウントを通常与えるものである。各セルローススポンジ試料を3.8×6.3×2.54cm(1.5×2.5×1.0インチ)の大きさに切断した(表面積9.52cm(3.75インチ))。各セルローススポンジは2重に準備した。試験に用いた生物は以下のとおりである。
【0049】
a.サルモネラコレレスイス亜種コレレスイス血清型ティフィムリウム(Salmonella choleraesuis subsp. Choleraesuis serovar typhimurium)(ATCC 14028、ATCCバンクでは現在サルモネラエンテリカ亜種エンテリカ(Salmonella enterica subsp. enterica)と呼ばれている)
b.緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)(ATCC 15442)又はシュードモナスプチダ(Pseudomonas putida)
c.黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)(ATCC 6538)
d.大腸菌(Escherichia Coli)(ATCC11229)
e.シェワネラプトレファシエンス(Shewanella putrefaciens)(ATCC 8071)
試験用のセルローススポンジを滅菌Whirlpak(商標)バッグに入れた。100μLの接種物を22mLのペプトン水に加え、セルローススポンジに接種するのに用いた。細菌を混合するため、セルローススポンジをバッグの中で手で繰り返し搾ることによって細菌懸濁液を均一に分配し、液体をセルローススポンジに再吸収させた。セルローススポンジの入ったバッグを室温(20〜25℃)で実験全体を通じてインキュベートした。0時間後及び24時間後の示数として、セルローススポンジの細菌集団を接触時間の5分後及び24時間後にそれぞれ測定した。
【0050】
接種後、5分(接種直後)及び24時間後の時点で各セルローススポンジの試料を採取した。セルローススポンジから液体を搾り出し、100μLの溶液をバックから抜き取った。抽出液を9.9mLのペプトン水中に入れ、ボルテックスで攪拌した。連続希釈液を計数可能な範囲となるまで3M Petrifilm(商標)プレート上にプレーティングした。各プレートを35℃で24時間インキュベートし、3M Petrifilm(商標)プレートリーダーを使用してカウントした。
【0051】
真菌チャレンジ試験(ASTM G21−96参照)
調製したセルローススポンジにビグアニド含有投入溶液を吸収させた後、水すすぎ手順を行ってセルローススポンジの抗微生物処理の耐久性を評価した。この試験では、水すすぎ手順において、セルローススポンジを流れる水道水の下に置く代わりに脱イオン水に浸漬した。次いで各試料をプラスチック袋の中に入れた。
【0052】
各セルローススポンジをASTM G21−96規格化試験法により、既知の濃度の混合真菌胞子懸濁液を試料表面上に噴霧し、この材料を28℃/相対湿度95%で28日間インキュベートすることによって試験した。各試験セルローススポンジは最小塩類(M−9)寒天プレート上に無菌的に置き、接種を行った。使用した培地は炭素源を含んでいなかった。したがって、真菌の増殖は試料成分の分解を示すものである。本標準試験においては以下の生物を使用した。
【0053】
【表1】

【0054】
接種後5日目、12日目、15日目、及び29日目の時点で各セルローススポンジの試料を採取した。各試験セルローススポンジを真菌の増殖について調べ、増殖のレベルを下記に示すように評価した。ポジティブコントロールとして滅菌濾紙にも接種を行った。
【0055】
【表2】

【0056】
セルローススポンジ中の水分活性(a
水分活性(a)は、微生物の増殖を支持するうえで利用可能な自由水の量の尺度である。水分活性は、「結合水」を含む全水分量に対して、水分量の内の活性部分を表わしている。測定は、水分活性を求めるための冷却ミラー/露点湿度測定法を用い、デカゴンデバイス社(Decagon Devices, Inc.)の販売するAquaLab CX−2を使用して行った。セルローススポンジは直径3.8cm(1.5インチ)、厚さ2.54cm(1/16インチ)のディスクに切断した。
【0057】
以下の実施例は、本発明の各態様を更に説明するものである。特に断らないかぎり、部及び百分率はすべて重量基準である。
【0058】
(実施例1)
表1の液体ビグアニド溶液を調製セルローススポンジに導入し、液体ビグアニド溶液をセルローススポンジに吸収させてセルローススポンジを飽和させることによって剥離ウェブ上にセルローススポンジをラミネートした。余分な溶液をセルローススポンジから搾り出し、セルローススポンジをパッケージに入れた。次いでセルローススポンジに水すすぎ手順を行って、すすぎ/搾りサイクルの回数を表に示す使用済みセルローススポンジを再現した。
【0059】
【表3】

【0060】
上記の細菌殺滅アッセイ及び真菌チャレンジ試験にしたがって各セルローススポンジを試験した。データを表2〜表4に示す。
【0061】
【表4】

【0062】
恐らくは抗微生物剤活性のために最初の希釈ではプレートに増殖が見られなかった。
【0063】
**使用済み=100回のすすぎ/搾りサイクル
【0064】
【表5】

【0065】
【表6】

【0066】
(実施例2)
下記表5に示す配合の1つを含む溶液中に調製セルローススポンジを20分浸漬することにより抗微生物セルローススポンジを調製した。調製セルローススポンジを投入ビグアニド溶液に20分浸漬した後、MgCl溶液に5分よりも短い時間浸漬することによってやはり抗微生物セルローススポンジを調製した。浸漬後、セルローススポンジをスクイズローラーの間で搾った後、直ちにプラスチック袋に入れてパッケージングした。
【0067】
すすぎ手順では、セルローススポンジを大量の脱イオン水で飽和させた後、飽和したセルローススポンジを搾り、このすすぎ/搾りサイクルを各試料につき10回繰り返した。その後、各試料をプラスチック袋の中に入れた。
【0068】
【表7】

【0069】
表6に示されるデータは、湿潤剤の濃度は、すすぎ後のセルローススポンジ内のビグアニドの保持率に大きく影響しないことを示している。保持率は、パッケージングされたセルローススポンジ(すすぎなし)内のビグアニドと、10回のすすぎ/搾りサイクルの後のセルローススポンジ内のビグアニドとを比較することによって得られる。
【0070】
【表8】

【0071】
(実施例3)
市販の塩化マグネシウム6水和物(MgCl・6H0)(EMDケミカル社(EMD Chemical Company)(ニュージャージー州ギブスタウン)、塩化ナトリウム(NaCl)(フィッシャーサイエンティフィック社(Fisher Scientific Company)(ニュージャージー州フェアローン)、塩化カリウム(KCl)(EMDケミカル社(EMD Chemical Company)(ニュージャージー州ギブスタウン)、及びグリセリン(EMDケミカル社(EMD Chemical Company)(ニュージャージー州ギブスタウン)を混合して所望の濃度とした。デカゴンデバイス社(Decagon Devices, Inc.)の販売するAquaLab CX−2を使用してこの溶液の水分活性を測定した。これらの溶液の水分活性を表7に示す。
【0072】
【表9】

【0073】
(実施例4)
調製セルローススポンジを実施例3のMgCl又はNaCl湿潤剤溶液の1つに20分浸漬した。浸漬後、セルローススポンジをスクイズローラーの間で搾った後、直ちに気密性のプラスチック袋に入れた。各試料を24時間以内に水分活性について試験した。
【0074】
塩化マグネシウム及び塩化ナトリウムはセルローススポンジの水分活性を低下させた。表8に示されるデータは、水中に充分な濃度のMgCl及びNaClが存在する場合にセルローススポンジの水分活性を0.91以下に低下させることが可能であることを示している。
【0075】
【表10】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ビグアニドを含むセルローススポンジであって、前記セルローススポンジは、水による100回のすすぎ及び搾りのサイクルの後に前記セルローススポンジの乾燥重量に対して少なくとも0.02重量%のビグアニドを維持することによって前記セルローススポンジ内の微生物の少なくとも3の対数減少をもたらす、セルローススポンジ。
【請求項2】
前記セルローススポンジ内の微生物の低減が5分以内に起こる、請求項1に記載のセルローススポンジ。
【請求項3】
前記セルローススポンジが、水による100回のすすぎ及び搾りのサイクルの後に前記セルローススポンジの乾燥重量に対して少なくとも0.5重量%のビグアニドを維持することによって前記セルローススポンジ内の微生物を100%低減させる、請求項1に記載のセルローススポンジ。
【請求項4】
前記セルローススポンジの乾燥重量に対して少なくとも0.4重量%のビグアニドを含む、パッケージ内のセルローススポンジであって、前記パッケージから取り出され、水による100回のすすぎ及び搾りのサイクルの後に、前記セルローススポンジの乾燥重量に対して少なくとも0.02重量%のビグアニドが前記スポンジ内に残留することによって前記セルローススポンジ内の微生物の少なくとも3の対数減少をもたらす、セルローススポンジ。
【請求項5】
前記パッケージ内の前記セルローススポンジが、前記パッケージ内の水分活性(a)を0.91よりも低くするような湿潤剤を更に含む、請求項4に記載のセルローススポンジ。
【請求項6】
前記セルローススポンジ内の微生物の低減が5分以内に起こる、請求項4に記載のセルローススポンジ。
【請求項7】
前記パッケージ内のセルローススポンジが、前記セルローススポンジの乾燥重量に対して少なくとも1.25重量%のビグアニドを含み、前記パッケージから取り出され、水による100回のすすぎ及び搾りのサイクルの後に、前記セルローススポンジの乾燥重量に対して少なくとも0.5重量%のビグアニドが前記セルローススポンジ内に残留することによって前記セルローススポンジ内の微生物を100%低減させる、請求項5に記載のセルローススポンジ。
【請求項8】
セルローススポンジであって、
セルローススポンジを提供する工程と、
前記セルローススポンジに0.1〜2.0重量%のビグアニドを含む投入溶液を吸収させる工程と、
前記セルローススポンジを密封されたパッケージにパッケージングする工程であって、前記パッケージングされたセルローススポンジが前記セルローススポンジの乾燥重量に対して少なくとも0.4重量%のビグアニドを含む工程と、を含むプロセスによって製造されるセルローススポンジ。
【請求項9】
前記パッケージングされたセルローススポンジが、前記セルローススポンジの乾燥重量に対して少なくとも1.25重量%のビグアニドを含む、請求項8に記載のセルローススポンジ。
【請求項10】
前記プロセスが、前記セルローススポンジを繰り返しすすぎ、前記スポンジ内に前記セルローススポンジの乾燥重量に対して少なくとも0.02重量%のビグアニドを維持することによって前記セルローススポンジ内の微生物に5分以内に少なくとも3の対数減少をもたらすことを更に含む、請求項8に記載のセルローススポンジ。
【請求項11】
前記プロセスが、前記セルローススポンジを繰り返し水ですすぎ、前記スポンジ内に前記セルローススポンジの乾燥重量に対して少なくとも0.5重量%のビグアニドを維持することによって前記セルローススポンジ内の微生物を5分以内に100%低減させることを更に含む、請求項8に記載のセルローススポンジ。
【請求項12】
前記投入溶液が、前記パッケージングされたセルローススポンジの水分活性(a)が0.91よりも低くなるような湿潤剤を含む、請求項8に記載のセルローススポンジ。
【請求項13】
セルローススポンジの乾燥重量に対して少なくとも1.25重量%のビグアニドと、パッケージ内の水分活性(a)を0.91よりも低くするような湿潤剤とを含む、パッケージ内のセルローススポンジであって、前記パッケージから前記セルローススポンジを取り出し、水による100回のすすぎ及び搾りのサイクルの後に、前記セルローススポンジの乾燥重量に対して少なくとも0.5重量%のビグアニドが前記セルローススポンジ内に残留することによって前記スポンジ内の微生物を5分以内に100%低減させる、セルローススポンジ。
【請求項14】
抗微生物洗浄用品を製造するための方法であって、
セルローススポンジを提供する工程と、
前記セルローススポンジに少なくとも0.1重量%のビグアニドを含む投入溶液を吸収させる工程と、
前記ビグアニドを前記セルローススポンジ内部に結合させる工程と、
前記セルローススポンジを密封されたパッケージにパッケージングする工程であって、前記パッケージングされたセルローススポンジが前記セルローススポンジの乾燥重量に対して少なくとも0.4重量%のビグアニドを含む工程と、を含む方法。
【請求項15】
前記セルローススポンジを繰り返しすすぎ、前記セルローススポンジの乾燥重量に対して少なくとも0.02重量%のビグアニドを維持することによって前記セルローススポンジ内の微生物の少なくとも3の対数減少をもたらす工程を更に含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記パッケージングされたセルローススポンジが、前記セルローススポンジの乾燥重量に対して少なくとも1.25重量%のビグアニドを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記セルローススポンジを繰り返しすすぎ、前記セルローススポンジの乾燥重量に対して少なくとも0.5重量%のビグアニドを前記スポンジ内に維持することによって前記セルローススポンジ内の微生物を100%低減させる工程を更に含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記投入溶液が湿潤剤を更に含み、前記パッケージングされたセルローススポンジが0.91よりも低い水分活性(a)を有する、請求項14に記載の方法。
【請求項19】
前記投入溶液が10〜14重量%の塩化マグネシウムを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
洗浄構造体の抗微生物能力を維持するための方法であって、
アニオン性官能基を有するセルローススポンジを提供する工程と、
前記セルローススポンジに、カチオン性官能基を有するビグアニドを含む投入溶液を吸収させる工程と、
前記ビグアニドの前記カチオン性官能基を前記セルローススポンジの前記アニオン性官能基と結合させる工程と、
前記セルローススポンジを水に繰り返し曝露することによってすすぐ工程であって、前記結合したビグアニドが、前記セルローススポンジ内の微生物の数に少なくとも3の対数減少をもたらす能力を維持する工程と、を含む方法。

【公表番号】特表2011−507610(P2011−507610A)
【公表日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−539614(P2010−539614)
【出願日】平成20年12月8日(2008.12.8)
【国際出願番号】PCT/US2008/085812
【国際公開番号】WO2009/085570
【国際公開日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【出願人】(505005049)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (2,080)
【Fターム(参考)】