説明

抗微生物剤のための佐剤としての改変バクテリオファージならびにその組成物および使用方法

本発明は細菌および細菌感染の処置および防止に関する。特に本発明は、抗微生物剤による抗微生物効果および細菌死滅を増強するために抗微生物剤と組み合わせて使用される改変バクテリオファージに関する。本発明は、概して、細菌を処置するための、改変バクテリオファージと抗微生物剤とを含む方法および組成物に関し、より具体的には、少なくとも1つの抗微生物剤と組み合わされた、抗生物質抵抗性遺伝子および/または細胞生残遺伝子を阻害する物質を含むバクテリオファージ、および/またはSOS応答遺伝子のリプレッサーもしくは抗微生物防御遺伝子の阻害因子を含みかつ/または抗微生物剤に対する細菌の感受性を増加させる物質を発現させるバクテリオファージ、ならびにそれらの使用に関する。



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【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロモーターに機能的に連結された核酸を含み、該核酸が抗生物質抵抗性遺伝子および/または細胞生残修復遺伝子を阻害する少なくとも1つの物質をコードする、改変バクテリオファージ。
【請求項2】
抗生物質抵抗性遺伝子がcat、vanAもしくはmecDまたはその変種を含む群から選択される、請求項1記載のバクテリオファージ。
【請求項3】
細胞生残遺伝子がRecA、RecB、RecC、spot、RelAまたはその変種を含む群から選択される、請求項1または2のいずれか一項記載のバクテリオファージ。
【請求項4】
物質がsiRNA、アンチセンス核酸、asRNA、RNAi、miRNAおよびその変種を含む群から選択される、請求項1〜3のいずれか一項記載のバクテリオファージ。
【請求項5】
物質がアンチセンスRNA(asRNA)である、請求項1〜4のいずれか一項記載のバクテリオファージ。
【請求項6】
少なくとも2つの異なる細胞生残修復遺伝子を阻害する少なくとも2つの物質をコードする核酸を含む、請求項1〜5のいずれか一項記載のバクテリオファージ。
【請求項7】
RecA、RecBまたはRecCの少なくとも2つを阻害する少なくとも2つの物質をコードする核酸を含む、請求項1〜6のいずれか一項記載のバクテリオファージ。
【請求項8】
プロモーターに機能的に連結された核酸を含み、該核酸がSOS応答遺伝子および/または細菌防御遺伝子の少なくとも1つのリプレッサーをコードする、改変バクテリオファージ。
【請求項9】
SOS応答遺伝子のリプレッサーがlexAである、請求項8のいずれか一項記載のバクテリオファージ。
【請求項10】
防御遺伝子のリプレッサーがSoxRである、請求項8または9のいずれか一項記載のバクテリオファージ。
【請求項11】
リプレッサーがmarR、arcR、fur、crp、icdAまたはその変種もしくはフラグメントからなる群より選択される、請求項8〜10のいずれか一項記載のバクテリオファージ。
【請求項12】
少なくとも1つのSOS応答遺伝子の少なくとも2つの異なるリプレッサーをコードする核酸を含む、請求項8〜11のいずれか一項記載のバクテリオファージ。
【請求項13】
少なくとも1つの細菌防御遺伝子の少なくとも2つの異なるリプレッサーをコードする核酸を含む、請求項8〜12のいずれか一項記載のバクテリオファージ。
【請求項14】
プロモーターに機能的に連結された核酸を含み、該核酸が抗微生物剤に対する細菌細胞の感受性を増加させる少なくとも1つの物質をコードする、改変バクテリオファージ。
【請求項15】
抗微生物剤に対する細菌細胞の感受性を増加させる物質が、抗微生物剤の抗微生物効果の効力を少なくとも10%増加させる、請求項14記載のバクテリオファージ。
【請求項16】
抗微生物剤に対する細菌細胞の感受性を増加させる物質が細菌細胞に対する抗微生物剤の侵入を増加させる、請求項14または15のいずれか一項記載のバクテリオファージ。
【請求項17】
細菌細胞への抗微生物剤の侵入を増加させる物質がポリンである、請求項14〜16のいずれか一項記載のバクテリオファージ。
【請求項18】
ポリンがompFまたはその変種もしくはフラグメントである、請求項14〜17のいずれか一項記載のバクテリオファージ。
【請求項19】
抗微生物剤に対する細菌細胞の感受性を増加させる物質がcraAまたはその変種もしくはフラグメントである、請求項14〜15のいずれか一項記載のバクテリオファージ。
【請求項20】
抗微生物剤に対する細菌細胞の感受性を増加させる物質がcraAまたはその変種もしくはフラグメントである、請求項14〜15のいずれか一項記載のバクテリオファージ。
【請求項21】
抗微生物剤に対する細菌細胞の感受性を増加させる物質が、細菌細胞中で特異的に発現される経路を改変する、請求項14〜15のいずれか一項記載のバクテリオファージ。
【請求項22】
改変が、細菌細胞中で特異的に発現される経路の阻害または活性化である、請求項14〜15または21のいずれか一項記載のバクテリオファージ。
【請求項23】
物質が細菌細胞中の鉄-硫黄クラスターを増加させる、請求項14〜15のいずれか一項記載のバクテリオファージ。
【請求項24】
物質が、細菌細胞中の酸化ストレスを増加させるか、細菌細胞中のヒドロキシルラジカルを増加させる、請求項14〜15のいずれか一項記載のバクテリオファージ。
【請求項25】
物質が、抗微生物剤の非存在下では、細菌細胞にとって実質的に毒性でない、請求項14〜24のいずれか一項記載のバクテリオファージ。
【請求項26】
物質が化学療法剤でもタンパク質毒素でもない、請求項14〜25のいずれか一項記載のバクテリオファージ。
【請求項27】
抗微生物剤に対する細菌細胞の感受性を増加させる少なくとも2つの異なるタンパク質をコードする核酸を含む、請求項14〜26のいずれか一項記載のバクテリオファージ。
【請求項28】
タンパク質がcsrAおよびompFまたはその変種もしくはフラグメントである、請求項14〜27のいずれか一項記載のバクテリオファージ。
【請求項29】
溶原性バクテリオファージである、請求項1〜28のいずれか一項記載のバクテリオファージ。
【請求項30】
溶原性バクテリオファージがM13バクテリオファージである、請求項1〜29のいずれか一項記載のバクテリオファージ。
【請求項31】
溶菌性バクテリオファージである、請求項1〜29のいずれか一項記載のバクテリオファージ。
【請求項32】
溶菌性バクテリオファージがT7バクテリオファージである、請求項1〜29または31のいずれか一項記載のバクテリオファージ。
【請求項33】
細菌が感染した表面に、
(a)バクテリオファージプロモーターに機能的に連結された核酸を含み、該核酸が抗生物質抵抗性遺伝子および/または細胞生残修復遺伝子を阻害する少なくとも1つの物質をコードする、バクテリオファージと、
(b)少なくとも1つの抗微生物剤と
を投与する工程を含む、細菌感染を阻害または排除するための方法。
【請求項34】
細菌が感染した表面に、
(a)バクテリオファージプロモーターに機能的に連結された核酸を含み、該核酸がSOS応答遺伝子または細菌防御遺伝子の少なくとも1つのリプレッサーをコードする、バクテリオファージと、
(b)少なくとも1つの抗微生物剤と
を投与する工程を含む、細菌感染を阻害または排除するための方法。
【請求項35】
細菌が感染した表面に、
(a)バクテリオファージプロモーターに機能的に連結された核酸を含み、該核酸が抗微生物剤に対する細菌細胞の感受性を増加させる少なくとも1つの物質をコードする、バクテリオファージと、
(b)少なくとも1つの抗微生物剤と
を投与する工程を含む、細菌感染を阻害または排除するための方法。
【請求項36】
バクテリオファージが請求項1〜7または29〜32のいずれか一項記載のバクテリオファージである、請求項33記載の方法。
【請求項37】
バクテリオファージが請求項8〜13または29〜32のいずれか一項記載のバクテリオファージである、請求項34記載の方法。
【請求項38】
バクテリオファージが請求項14〜32のいずれか一項記載のバクテリオファージである、請求項35記載の方法。
【請求項39】
バクテリオファージと抗微生物剤の投与が同時に行われる、請求項33〜38のいずれか一項記載の方法。
【請求項40】
バクテリオファージの投与が抗微生物剤の投与に先だって行われる、請求項33〜38のいずれか一項記載の方法。
【請求項41】
抗微生物剤の投与がバクテリオファージの投与に先だって行われる、請求項33〜38のいずれか一項記載の方法。
【請求項42】
抗微生物剤がキノロン系抗微生物剤である、請求項33〜38のいずれか一項記載の方法。
【請求項43】
抗微生物剤がシプロフロキサシン(ciproflaxacin)、レボフロキサシン、およびオフロキサシン、ガチフロキサシン、ノルフロキサシン、ロメフロキサシン、トロバフロキサシン、モキシフロキサシン、スパルフロキサシン、ゲミフロキサシン、パズフロキサシンまたはその変種もしくは類似体からなる群より選択される、請求項33〜42のいずれか一項記載の方法。
【請求項44】
抗微生物剤がオフロキサシンまたはその変種もしくは類似体である、請求項33〜38のいずれか一項記載の方法。
【請求項45】
抗微生物剤がアミノグリコシド系抗微生物剤である、請求項33〜38のいずれか一項記載の方法。
【請求項46】
抗微生物剤がアミカシン、ゲンタマイシン、トブラマイシン、ネトロマイシン、ストレプトマイシン、カナマイシン、パロモマイシン、ネオマイシンまたはその変種もしくは類似体からなる群より選択される、請求項45記載の方法。
【請求項47】
抗微生物剤がゲンタマイシンまたはその変種もしくは類似体である、請求項33〜38のいずれか一項記載の方法。
【請求項48】
抗微生物剤がβ-ラクタム系抗生物質抗微生物剤である、請求項33〜38のいずれか一項記載の方法。
【請求項49】
抗微生物剤がペニシリン、アンピシリン、ペニシリン誘導体、セファロスポリン類、モノバクタム類、カルバペネム類、β-ラクタマーゼ阻害剤またはその変種もしくは類似体からなる群より選択される、請求項33〜38のいずれか一項記載の方法。
【請求項50】
抗微生物剤がアンピシリンまたはその変種もしくは類似体である、請求項33〜38のいずれか一項記載の方法。
【請求項51】
細菌が対象中に存在する、請求項33〜38のいずれか一項記載の方法。
【請求項52】
対象が哺乳動物である、請求項33〜51のいずれか一項記載の方法。
【請求項53】
哺乳動物がヒトである、請求項33〜52のいずれか一項記載の方法。
【請求項54】
細菌がバイオフィルム中に存在する、請求項33〜53のいずれか一項記載の方法。
【請求項55】
プロモーターに機能的に連結された核酸を含み、該核酸が抗生物質抵抗性遺伝子および/または細胞生残修復遺伝子を阻害する少なくとも1つの物質をコードする、バクテリオファージと、少なくとも1つの抗微生物剤とを含む組成物。
【請求項56】
プロモーターに機能的に連結された核酸を含み、該核酸がSOS応答遺伝子または抗微生物防御遺伝子の少なくとも1つのリプレッサーをコードする、バクテリオファージと、少なくとも1つの抗微生物剤とを含む組成物。
【請求項57】
プロモーターに機能的に連結された核酸を含み、該核酸が抗微生物剤に対する細菌細胞の感受性を増加させる少なくとも1つのタンパク質をコードする、バクテリオファージと、少なくとも1つの抗微生物剤とを含む組成物。
【請求項58】
抗微生物剤がキノロン系抗微生物剤またはアミノグリコシド系抗微生物剤またはβ-ラクタム系抗微生物剤である、請求項55〜57のいずれか一項記載の組成物。
【請求項59】
バクテリオファージが請求項1〜7または29〜32のいずれかに従う、請求項55または58のいずれか一項記載の組成物。
【請求項60】
バクテリオファージが請求項8〜13または29〜32のいずれかに従う、請求項56または58記載の組成物。
【請求項61】
バクテリオファージが請求項14〜32のいずれかに従う、請求項57または58記載の組成物。
【請求項62】
プロモーターに機能的に連結された核酸を含み、該核酸が抗生物質抵抗性遺伝子および/または細胞生残修復遺伝子を阻害する少なくとも1つの物質をコードする、バクテリオファージを含むキット。
【請求項63】
プロモーターに機能的に連結された核酸を含み、該核酸がSOS応答または抗微生物防御遺伝子の少なくとも1つのリプレッサーをコードする、バクテリオファージを含むキット。
【請求項64】
プロモーターに機能的に連結された核酸を含み、該核酸が抗微生物剤に対する細菌細胞の感受性を増加させる少なくとも1つのタンパク質をコードする、バクテリオファージと、少なくとも1つの抗微生物剤とを含むキット。
【請求項65】
抗微生物剤を単独で使用した場合と比較して細菌の数を減少させるための、抗微生物剤と組み合わされた、請求項1〜23のいずれか一項記載のバクテリオファージの使用。
【請求項66】
細菌がバイオフィルム中に存在する、請求項62〜65のいずれか一項記載の使用。
【請求項67】
請求項1〜23のいずれか一項記載の少なくとも2つのバクテリオファージと少なくとも1つの抗微生物剤との組合せ。
【請求項68】
抗微生物剤がキノロン系抗微生物剤である、請求項67記載の組合せ。
【請求項69】
抗微生物剤がシプロフロキサシン、レボフロキサシン、およびオフロキサシン、ガチフロキサシン、ノルフロキサシン、ロメフロキサシン、トロバフロキサシン、モキシフロキサシン、スパルフロキサシン、ゲミフロキサシン、パズフロキサシンまたはその変種もしくは類似体からなる群より選択される、請求項67記載の組合せ。
【請求項70】
抗微生物剤がオフロキサシンまたはその変種もしくは類似体である、請求項67記載の組合せ。
【請求項71】
抗微生物剤がアミノグリコシド系抗微生物剤である、請求項67記載の組合せ。
【請求項72】
抗微生物剤がアミカシン、ゲンタマイシン、トブラマイシン、ネトロマイシン、ストレプトマイシン、カナマイシン、パロモマイシン、ネオマイシンまたはその変種もしくは類似体からなる群より選択される、請求項67記載の組合せ。
【請求項73】
抗微生物剤がゲンタマイシンまたはその変種もしくは類似体である、請求項67記載の組合せ。
【請求項74】
抗微生物剤がβ-ラクタム系抗生物質抗微生物剤である、請求項67記載の組合せ。
【請求項75】
抗微生物剤がペニシリン、アンピシリン、ペニシリン誘導体、セファロスポリン類、モノバクタム類、カルバペネム類、β-ラクタマーゼ阻害剤またはその変種もしくは類似体からなる群より選択される、請求項67記載の組合せ。
【請求項76】
抗微生物剤がアンピシリンまたはその変種もしくは類似体である、請求項67記載の組合せ。
【請求項77】
請求項68〜76に記載の抗微生物剤のいずれかの組合せを含む、請求項67記載の組合せ。
【請求項78】
請求項1〜32のいずれか一項記載のバクテリオファージと少なくとも1つの抗微生物剤との使用。
【請求項79】
請求項1〜32記載のバクテリオファージのいずれかの少なくとも2つと少なくとも1つの抗微生物剤との組合せの使用。
【請求項80】
細菌感染を阻害または排除するための、請求項78もしくは79記載の、または請求項1〜32のいずれか一項記載の、バクテリオファージの使用。
【請求項81】
細菌が対象中に存在する、請求項78または79記載のバクテリオファージの使用。
【請求項82】
対象が哺乳動物である、請求項81記載のバクテリオファージの使用。
【請求項83】
哺乳動物がヒトである、請求項82記載のバクテリオファージの使用。
【請求項84】
細菌がバイオフィルム中に存在する、請求項78または79記載のバクテリオファージの使用。
【請求項85】
細菌感染を阻害または排除するための、請求項55〜57のいずれか一項記載の組成物の使用。
【請求項86】
細菌が対象中に存在する、請求項85記載の組成物の使用。
【請求項87】
対象が哺乳動物である、請求項86記載の組成物の使用。
【請求項88】
哺乳動物がヒトである、請求項87記載の組成物の使用。
【請求項89】
細菌がバイオフィルム中に存在する、請求項85記載の組成物の使用。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図1D】
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【図1E】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図5D】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図6D】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【図7D】
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【図8A】
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【図8B】
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【図9A】
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【図9B】
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【図9C】
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【図9D】
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【図9E】
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【図9F】
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【図10A】
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【図10B】
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【図10C】
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【図10D】
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【図10E】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公表番号】特表2011−518543(P2011−518543A)
【公表日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−542406(P2010−542406)
【出願日】平成21年1月12日(2009.1.12)
【国際出願番号】PCT/US2009/030755
【国際公開番号】WO2009/108406
【国際公開日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【出願人】(301069856)トラスティーズ オブ ボストン ユニバーシティ (15)
【出願人】(596060697)マサチューセッツ インスティテュート オブ テクノロジー (233)
【Fターム(参考)】