説明

抗感染活性を有する1,5−ジヒドロ−2H−ピロール−2−オン3環誘導体

【課題】抗感染性のような薬理活性を有し、構造的に1,5-ジヒドロ-2H-ピロールー2−オンに関連する新規な種類の複素環化合物、その製造方法、及び使用を提供する。
【解決手段】式(I)の化合物。
【化1】


式中、Xは、-S-、-SO-、-SO-及び-O-からなる群から選択され、Rは、C-Cアルキル、C3-C5アルケニル、非置換C3-Cシクロアルケニル、4-フェニルベンジル及び特定の式で表される基からなる群から選択される基を表す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薬理活性を有する、特に該活性が抗感染性(ant-infective)、抗細菌性(anti-bacteria)及び/又は抗真菌性(anti-mycotic)である、後記する式(I)の化合物に関する。
【背景技術】
【0002】
化合物(Ia)
【0003】
【化1】

は、CAS登録番号[83923-12-0]を有する 3,4,7,8,10,10a-ヘキサヒドロ-2H,5H-ピロロ[2,1-c:3,4-b’]ビス[1,4]チアジン-5-オン(3,4,7,8,10,10a-hexahydro-2H,5H-pyrrolo[2,1-c:3,4-b’]bis[1,4]thiazin-5-one)であり、そしてアミノエチルシステインケチミン脱カルボン酸2量体としても知られている。それは化合物(I)と構造的に類似しており、そして、健康体の血漿(plasma)中及び尿中、ウシの頭脊柱(cephalorachidian )液中並びに幾つかの植物中にも見出される既知の第二の代謝産物である。
【0004】
前記化合物(Ia)の生理学上の役割は知られておらず、更に、代謝変異は見出されていない。その結果、この化合物は尿中などに排出される、最終代謝物であると推定される。これまでの研究によると、この化合物(Ia)はタウリン及びハイポタウリン等の中間のシステイン代謝物よりも強い抗酸化活性を有していることを示している。生体内の生物学的研究から、この既知の化合物は強い抗酸化性特性及び高服用量でも全くの無毒性を示している。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明によれば、驚くべきことに、化合物(Ia)の構造を複素環エナミノ基のアルキル化によって変えることにより、抗感染特性を有する予期しない薬学活性を有する新規な化合物が得られることが初めて確認された。
本発明は、薬理活性を有する、特に該活性が抗感染性、抗細菌性及び/又は抗糸状菌性である、下記の式(I)の化合物を提供する。
【0006】
【化2】

式中、Xは、-S-、-SO-、-SO-及び-O-からなる群から選択される基を、Rは、C-Cアルキル、C-Cアルケニル特にC-Cアルケニル、非置換C-Cシクロアルケニル、4-フェニルベンジル及び下記式で表される基からなる群から選択される基を表す。
【0007】
【化3】

【0008】
【化4】

【0009】
【化5】

(式中、R6、R、R、R、R10、R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17は、独立に−F、−H、−CHF−、−CHF、−CF、−CH、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cフッ素化アルキル及びC−Cフッ素化アルケニルからなる群から選択され、R18、R19は、独立に-H、-F、-Cl、-OH、-OCH及び-CFからなる群から選択され、nは1又は2のいずれかであり、そしてkは0以外の整数である。)
【発明を実施するための形態】
【0010】
特に、構造式(Ia)中の複素環エナミノ基をアルキル化する第一の方法によれば、原料(Ia)に対して5モル当量まで過剰のR-Y型のアルキル化剤と、水、有機プロトン性溶媒又は有機非プロトン性溶媒若しくはそれらの混合物中で、-78℃と得られる反応系の沸点との間の温度でなされる。上記R-Yにおいて、R-は、式(I)で表されるものと同じ意味を有する基であり、そして-Yは、求核性であり、好ましくは、メシレート、トシレート、オキシホスホニウム誘導体(例えば、オキシトリアルキルホスホニウム又はオキシトリアリールホスホニウム等)、ホスフェート(例えば、ジアルキルホスフェート又はジアリールホスフェート等)、アルキルスルフェニル、アリールスルフェニル、アルキルスルフィニル、アリールスルフィニル、チオホスフェート(例えば、ジアルキルチオホスフェート又はジアリールチオホスフェート等)、塩素、臭素、ヨウ素、ジアゾ、ジアゾニウム及び2,4,6-トリニトロアリールオキシからなる群から選択される。また、アルキル化反応は、アルキル化反応剤R-Yを反応剤(Ia)に加える前に、原料(Ia)に対し少なくとも1モル当量の塩基を使用し、−78℃と+30℃との間の温度で行われる、反応剤(Ia)の事前の脱プロトン化を実施することができる。塩基は、反応条件にもよるが、アルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物、アルカリ金属アルコラート、アルカリ土類金属アルコラート、金属水素化物、アルカリ金属アミド、ナトリウムヘキサメチルジシルアジド、リチウムヘキサメチルジシルアジド、テトラメチルグアニジン、グアニジン、脂肪族アミジン、脂環式アミジン、ナトリウムアミド、リチウムアミド、アルカリ金属アルキル、アルカリ土類金属アルキル、アルカリ金属アリール、アルカリ土類金属アリール、アルキルグリニァール及びアリールグリニァールからなる群から選択される。
【0011】
構造式(Ia)中の複素環エナミノ基のアルキル化は、(Ia)に対して1〜5モル当量程度の過剰のアルコール性反応剤R-OH(ここで、−Rは式(I)に関して先に記載した基である。)を反応剤(Ia)と縮合させることによる、別の方法で行なうことができる。この反応剤R-OHは、0℃と反応系沸点との間の温度で非プロトン性有機溶媒中、縮合剤(好ましくは、N,N’-ジシクロヘキシルカルボジイミド、5価リンハライド(N,N-ジアルキルアミド、チオニルクロライド、オギザリルクロライド、チオホスゲン中の)及びジアゾ化合物中の4価ホスフィンからなる群から選択される。)の存在下に、よく知られたミツノブ(MITSUNOBU)反応と同様の条件下で、反応剤(Ia)と有利に縮合させることができる。
また、アルコールを使った複素環エナミノ基のアルキル化は、他の縮合剤(例えば、1-エチル-3-(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミドの水溶液、アルコール溶液又は水性溶媒(プロトン性を含む。)溶液等)を用い、0℃−反応系の沸点間の温度でも行なうことができる。
【0012】
本発明によれば、前記2つのN-アルキル化による合成的手法を一般的合成方法として、相当する式(Ia)及び式(Ib)の原料から、先に記載の全ての式(I)の構造物の調製に適用させることできる。
【0013】
【化6】

(式中、Xは、-SO-、-SO-及び-O-からなる群から選択される基である。)
【0014】
一般式(I)で表される生成物は、原料(Ia)及び(Ib)の構造上の同族誘導体であるので、それらは実質的に同種の薬理活性よって特徴付けられる新しい部類の化合物と定義される。
アルキル化用の式(Ia)及び(Ib)原料を調製するための種々の合成方法を研究した。
最初の方法は、式(II)のピルビン酸誘導体とシステアミンと縮合させて化合物(Ia)を得るか、
【0015】
【化7】

又は2-アミノエタノールと縮合させてXが-O-である化合物(Ib)を得ることを含む一般的な製造方法により、式(Ia)及びXが-O-である式(Ib)の化合物の合成を可能にするものである。この縮合反応は、水性のプロトン性若しくは非プロトン性の溶媒又はそれらの混合物中、−78℃と該反応系の沸点との間の温度で、塩基の存在下で行なわれる。使用されるシステアミンと2-アミノエタノールの量は反応剤(II)の量と少なくとも等モルでなければならない。縮合の終りで、反応系を酸性にし、生成物を単離する。
【0016】
ピルビン酸誘導体(II)の置換基-Y’は、好ましくは、メシレート、トシレート、アルキルスルフィニル、アリールスルフィニル、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、チオホスフェート(ジアルキルチオホスフェート又はジアリールチオホスフェート等)、塩素、臭素、ヨウ素、ジアゾ、ジアゾニウム及び2,4,6-トリニトロアリールオキシからなる群から選択される求核性基である。
【0017】
前記方法において、化合物(II)に対して3モル当量を超える量で用いられる塩基は、アルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物、アルカリ金属アルコラート、アルカリ土類金属アルコラート、金属水素化物、アルカリ金属アミド、ナトリウムヘキサメチルジシルアジド、リチウムヘキサメチルジシルアジド、テトラメチルグアニジン、グアニジン、脂肪族アミジン、脂環式アミジン、ナトリウムアミド、リチウムアミド、アルカリ金属アルキル、アルカリ土類金属アルキル、アルカリ金属アリール、アルカリ土類金属アリール、アルキルグリニァール及びアリールグリニァールからなる群から選択される。
【0018】
式(Ia)及びXが-O-である式(Ib)の化合物を合成するための前記した方法の別の形は、前記反応剤(II)と前記システイン又は2-アミノエタノールとの前記縮合で既に用いられたと同じ溶媒を使い、同様の温度条件下で、反応剤(II)に相当する量のモル量より少なくない量で、塩基の存在下で相当するアルカリ金属若しくはアルカリ土類金属チオレート又はシステアミン若しくは2-アミノエタノールのアルコラートを用いて、最終的に反応系を酸性にして生成物を単離することを含む。
【0019】
化合物(Ia)及び(Ib)の更なる合成方法としては、5,6-ジヒドロ-2H-1,4-チアジニル-3-カルボン酸の自己縮合で生成物(Ia)を得る方法、5,6-ジヒドロ-2H-1,4-オキサジニル-3-カルボン酸の自己縮合でXが-O-である生成物(Ib)を得る方法、5,6-ジヒドロ-2H-1-オキシド-1,4-チアジニル-3-カルボン酸の自己縮合でXが-SO-である生成物(Ib)を得る方法、及び5,6-ジヒドロ-2H-1,1-ジオキシド-1,4-チアジニル-3-カルボン酸の自己縮合でXが-SO-である生成物(Ib)を得る方法を包含する。
【0020】
これらの反応は、塩基の存在下に、−78℃と使用する溶媒が水性のプロトン性又は非プロトン性溶媒である反応系の沸点との間の温度で行なわれる。塩基は自己縮合工程で用いられる酸のモル数に相当する量よりも少なくないモル量が使用される。これらの塩基は、アルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物、アルカリ金属アルコラート、アルカリ土類金属アルコレート、金属水素化物、アルカリ金属アミド、ナトリウムヘキサメチルジシルアジド、リチウムヘキサメチルジシルアジド、テトラメチルグアニジン、グアニジン、脂肪族アミジン、脂環式アミジン、ナトリウムアミド、リチウムアミド、アルカリ金属アルキル、アルカリ土類金属アルキル、アルカリ金属アリール、アルカリ土類金属アリール、アルキルグリニァール及びアリールグリニァールからなる群から選択される。得られる生成物(Ia)及び(Ib)は、その後、反応系を酸性にすることにより単離される。
【0021】
前記自己縮合において使用される5,6-ジヒドロ-2H-1,1-ジオキシド-1,4-チアジニック系の複素環原料は、それぞれ、一般的な教示や、複素環合成における既知の環化反応(例えば、“ハンドブック オブ ヘテロサイクリック ケミストリー(Handbook of Heterocyclic Chemistry)”(著者:A.R.カトリツキー(.Katritzky)−1985−出版社:ペルガモン プレス(Pergamon Press))、“コンテンポラリー ヘテロサイクリック ケミストリー(Contemporary Heterocyclic Chemistry)”(著者:G.R.ニューカム(.Newkome)及びW.W.パウドラー.Paudler)−1982−出版社:ジョン ウィリー アンド サン(John Wiley & Sons)、“ザ ケミストリー オブ ヘテロサイクリック(The Chemistry of Heterocyclic ”(著者:T.アイチャー(.Eicher)及びS.ハウプトマン(Hauptmann)−2ndエディション−出版社:ジョン ウィリー アンド サン(John Wiley & Sons))、及び“チミカ エテロシクリカ(Chimica Eterociclica)”(著者:G.A.パガニ(Pagani)及びA.アボット(.Abbotto)−1995−出版社:ピクシン(Piccin))中に示される)の理論的同等物に従って合成することができる。
前記複素環物質のスルホキシド及びスルホンもまた、相当するスルフィドから合成することができる。
【0022】
また、5,6-ジヒドロ-2H-1,1-ジオキシド-1,4-チアジニル-3-カルボン酸も相当するスルホキシドから得ることができる。チオエーテルを酸化してスルホキシド及びスルホンとする既知の方法は、有機過酸若しくは過酸化水素、過硫酸カリウム、過マンガン酸カリウム、ジメチルジオキシラン、過ヨウ素酸、塩素、次亜塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸−tert-ブチル、臭素、ヨウ素、過ホウ酸ナトリウム又はN−アリール−スルホニルオキサジリジンの使用を含む。
【0023】
式(Ia)の化合物を出発原料とする、Xが-SO-又は-SO-である式(Ib)の化合物の第3の合成方法は、チオエーテルを酸化してスルホキシド及びスルホンとするために有効な前記した反応剤を使用することが好ましい。先に述べた方法と同様に、Xが-SO-であるスルホン(Ib)は、チオエーテルをスルホキシド及びスルホンに変換するための既述した酸化剤を含む前記文献に記載されている酸化剤から選択される反応剤を用いて、Xが-SO-である相当するスルホキシド(Ib)から得ることができる。
前記したように、反応剤(Ia)のアルキル化に関して記載した方法は、既述の反応剤R−Y又はR−OHと比較して類似の反応性を示す、式(Ib)に包含される全ての化合物に適用できる。
【0024】
最後になるが、反応剤R−Y又は反応剤R−OHのいずれかを使用する、式(Ia)又は式(Ib)で表される反応剤のアルキル化は、反応条件下に一旦形成された化合物(Ia)又は(Ib)を単離することなく行なうこともできる。
【0025】
例えば、式(I)に含まれる、Xが-S-である幾つかの生成物は、Rがメチル(Ii)、エチル(Il)、プロピル(Im)、イソプロピル(In)、-CH2-CH=C(CH32イソプレニル(Io)、-CH-Phベンジル(Ip)、-CH2-CH2-Phフェネチル(Iq)、-CH2-CH=C(CH3)-CH2-CH2-CH=C(CH3)-CH3ゲラニル(Ir)及び-Ph-Phジフェニル(Is)からなる群から選択される基を有する中間体(Ia)のアルキル化誘導体として合成される。これらの生成物は、β―ラクタム抗生物質に抵抗する、すなわち、多種薬剤抵抗体(multi-drug resistant)により特徴付けられる病原菌(pathogenst)、及び酵母菌の両方に対する抗生物質活性を示す。
【0026】
臨床医学的に分離した11のグラム陰性及びグラム陽性菌の変形物(strain)、大部分は多種抗生物質抵抗体(multi-antibiotic resistant)(MDR)、及びカンジダ属(the genus Candida)の2つのタイプの酵母菌に対する、物質(Ii)、(Il)、(Im)、(In)、(Io)、(Ip)、(Iq)、(Ir)、(Is)の抗微生物活性(antimicrobial activity)を評価した。
【0027】
プレート法(plate method)(寒天培地スポット法(agar spot method)又はディスク拡散分析(disk diffusion assay)−スポット量10μl、菌接種(bacterial inoculum)10CFU/ml及びDMSO陰性制御(negative control))を用いた:使用した(Io)及び(Ir)濃度は100mMであった。抗微生物活性をミリメートルで表される微生物成長阻害輪(microbial growth inhibition halo)の直径を測定することにより評価した。報告値は3回の実験の平均値である。
【0028】
既知の化合物(Ia)と比較した化合物(Io)及び(Ir)の結果を以下に示す。
【0029】
【表1】

【0030】
実験における前記物質のスカラー(scalar)量を用いることにより、抗生物活性の程度は、使用物質の量に直に比例するということが示された。特に、分子(Ir)は、最も広いスペクトルに対する最も優れた活性特性、及びグラム-陽性菌(スタフィロコッカスspp及びエンテロコッカス spp))に対する最も強い活性、の両方を示した。
【0031】
次いで、メチシリン−抵抗性(resistant) のスタフィロコッカス アウレウス菌株(strain)(MRSA)に対する物質(Io)及び(Ir)の最小阻害濃度(MIC)をブロスのミクロ希薄化法(the method of microdilution in broth)で評価した:スタフィロコッカス アウレウス(MRSA)は、病院における重大な問題を引き起こす主な多種抵抗菌(the main multi-resistant bacteria)の1つであるということは注目されるべきである。測定されたMICは、(Io)及び(Ir)についてそれぞれ6.25mmol/l及び1.56mmol/lであった。この微生物学的根拠から、上記物質(Ir)は、多種の抗生物質抵抗菌に対して及び特定の酵母菌に対してさえも、卓越した広い範囲の抗生物質活性を有することで特徴付けられることが見出された。特に、(Ir)は、しばしば、皮膚感染を招く、スタフィロコッカシ(staphylococci)に対して特に有効性を示すので、ローション、クリーム、軟膏(unguent)及び軟膏剤(ointment)等の薬学的配合物の調製に使用可能である。
以下に記載の実験例は本発明を制限するものではない。
【実施例】
【0032】
実施例1
3,4,7,8,10,10a-ヘキサヒドロ-2H,5H-ピロロ[2,1-c:3,4-b’]bis[1,4-]チアジン-5-オン,化合物(Ia)の調製
5mlの水に3.34g(20mmol)の3-ブロモピルビン酸を溶解する。溶解後に、2.27g(20mmol)のシステアミン塩酸塩を10mlの6N水酸化ナトリウム水溶液及び1mlの水からなる溶液として添加する。30分攪拌後、4mlの6N塩酸を添加し、得られる溶液を0〜5℃に冷却する。30分後に、青白黄色沈殿物が形成される。前記沈殿物を濾取し、120mlの水に懸濁させる。前記懸濁液を沸騰するまで加熱し、30分間攪拌する。その後、4℃まで冷却し、その温度で12時間放置して晶析する。沈殿物を濾取し、全量で10mlの水で2回洗浄する。最後に、生成物を減圧下に乾燥して1.15gの化合物(Ia)を得る。
融点:142℃
ε(308nm):6000l/(mol.cm)
FT-IR:3390cm-1,1730cm-1,1685cm-1,1640cm-1
マススペクトル(MS)フラグメント:(m/Z)228,213,200,191,181,167,154,140,126,112,99,90,80,71,54
【0033】
実施例2
化合物(Ii)、(Il)、(Im)、(In)、(Io)、(Ip)、(Iq)、(Ir)、(Is)の調製
イソプロパノールに溶解した生成物(Ia)を出発原料として、(Ia)に対して3〜5モル当量過剰の適切なアルキル、ベンジル又はアリールブロマイドを加えることにより前記化合物を合成した。反応混合物を+40℃で4時間反応させるか、又は+30℃で24時間反応させる。反応終了時に、冷却して選択される生成物(Ii)、(Il)、(Im)、(In)、(Io)、(Ip)、(Iq)、(Ir)、(Is)を沈殿させる。沈殿物を濾取し、エタノールで洗浄した後、減圧下で乾燥する。この方法で得られる9つの全ての生成物は、ガスクロマトグラフィー/マススペクトロスコピー(GC/MS)により測定される、95%以上の純度を示した。(Ia)を出発原料として、適切なアルキル化剤を用いた各生成物の収率を以下に示す。
【0034】
【表2】

【0035】
化合物(Ir)のマススペクトロスコピー(MS)フラグメント:(M/Z)364,307,281,228,200,182,154,126,99,84,69,41。
【0036】
実施例3
化合物(Io)の調製
(Io)は、Xが-S-及びRが-CH2-CH=C(CH32である式(I)の化合物である。
119mg(0.5mmol)の(Ia)を1.25mlの1.5/1(v/v)のイソプロパノール/2−メトキシエタノール混合物に溶解し、次いで、0.180ml(1.5mmol)のジメチルアリルブロマイドを添加する。得られる溶液を茶色の沈殿の形成が認められるまで室温で48時間攪拌する。その後、濾取し、少量のエタノールで洗浄し、そして減圧下で乾燥する。140mgの化合物(Io)が得られる。
化合物(Io)のマススペクトロスコピー(MS)フラグメント:(M/Z)296,281,253,241,228,213,200,182,167,154,140,126,112,99,85,69,53,41。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬理活性を有する、特に該活性が抗感染性、抗細菌性及び/又は抗真菌性である、式(I)の化合物。
【化1】

(式中、Xは、-S-、-SO-、-SO-及び-O-からなる群から選択され、Rは、C1-C5アルキル、C3-C5アルケニル、非置換C3-Cシクロアルケニル、4-フェニルベンジル及び下記式で表される基からなる群から選択される基を表す。)
【化2】

(式中、R6、R、R、R、R10、R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17は、独立に−F、−H、−CHF−、−CHF、−CF、−CH、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cフッ素化アルキル及びC−Cフッ素化アルケニルからなる群から選択され、R18、R19は、独立に-H、-F、-Cl、-OH、-OCH及び-CFからなる群から選択され、nは1又は2のいずれかであり、そしてkは0以外の整数である。)
【請求項2】
化合物(Ia)
【化3】

又は、化合物(Ib)
【化4】

(式中、Xは-SO-、-SO-及び-O-からなる群から選択される基を表す。)を、R−Y型のアルキル化反応剤(R−は請求項1の式(I)で表されると同じ意味を有する基であり、−Yは求核性基である。)反応させる、請求項1に記載の化合物の製造方法。
【請求項3】
化合物(Ia)
【化5】

又は、化合物(Ib)
【化6】

(式中、Xは-SO-、-SO-及び-O-からなる群から選択される基を表す。)を、アルコール性反応剤R−OH(R−は請求項1の式(I)で表されると同じ意味を有する基である。)と反応させる、請求項1に記載の化合物の製造方法。
【請求項4】
式(II)のピルビン酸誘導体
【化7】

(式中、置換基−Y’は求核性基を表す。)を、システアミンと反応させて式(Ia)の化合物を得るか、又は2−アミノエタノールと反応させて式(Ib)の化合物を得るか、又はシステアミンのアルカリ金属チオラート若しくはアルカリ土類金属チオラートと反応させて式(Ia)の化合物を得るか、又は2−アミノエタノールのアルカリ金属アルコラート若しくはアルカリ土類金属アルコラートと反応させて式(Ib)の化合物を得る、式(Ia)又は式(Ib)
【化8】

(式中、Xは−O−を表す。)の化合物の製造方法。
【請求項5】
5,6-ジヒドロ-2H-1,4-チアジニル-3-カルボン酸の自己縮合で式(Ia)の化合物を得るか、又は5,6-ジヒドロ-2H-1,4-オキサジニル-3-カルボン酸の自己縮合でXが-O-である式(Ib)の化合物を得るか、又は5,6-ジヒドロ-2H-1-オキシド-1,4-チアジニル-3-カルボン酸の自己縮合でXが-SO-である式(Ib)の化合物を得るか、又は5,6-ジヒドロ-2H-1,1-ジオキシド-1,4-チアジニル-3-カルボン酸の自己縮合でXが-SO-である式(Ib)の化合物を得る、式(Ia)又は式(Ib)
【化9】

(式中、Xは-SO-、-SO-及び-O-からなる群から選択される基を表す。)の化合物の製造方法。
【請求項6】
式(Ia)の化合物
【化10】

を酸化することを含む、式(Ib)の化合物
【化11】

(式中、Xは-SO-及び-SO-からなる群から選択される基を表す。)の製造方法。
【請求項7】
式(Ib)の化合物。
【化12】

(式中、Xは-SO-、-SO-及び-O-からなる群から選択される基を表す。)
【請求項8】
抗感染性薬剤を調製するための請求項1に記載の化合物の使用。
【請求項9】
前記薬剤が、細菌及び酵母菌に対して活性である請求項8に記載の使用。
【請求項10】
前記薬剤が、グラム陽性及び陰性細菌に対して活性である請求項8に記載の使用。

【公開番号】特開2009−173656(P2009−173656A)
【公開日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−15901(P2009−15901)
【出願日】平成21年1月27日(2009.1.27)
【出願人】(509027205)シーピーシー バイオテク エス.アール.エル (1)
【氏名又は名称原語表記】CPC BIOTECH S.r.l.
【Fターム(参考)】