説明

抗炎症性ラクトン

炎症に関連した疾患において薬学的に活性な、式(I)
【化1】


〔式中、RはOHまたはNHである〕
のラクトン。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は抗炎症性ラクトンに関する。
【0002】
一つの局面において本発明は、式
【化1】

の化合物、たとえば式
【化2】

〔式中、Rはヒドロキシまたはアミノである〕
の化合物を提供する。
【0003】
式Iの化合物には、式I’の化合物が含まれる。
好ましくは式Iの化合物において、
−Rがヒドロキシである;
−Rがアミノである。
【0004】
他の局面において本発明は、
例えば
酢酸(2E,4E,10E,12E)−7−アセトキシ−1−[1−((2R,3R,4R,6R)−3,4−ジアセトキシ−4’−ヒドロキシ−2’−オキソ−6−スルホオキシメチル−3,4,5,6−テトラヒドロ−2.H.,2’.H.−[2,3’]ビピラニル−6’−イル)−1−メチル−エチル]−4,6,8,12,14,16−ヘキサメチル−オクタデカ−2,4,10,12−テトラエニルエステルを含む、
酢酸7−アセトキシ−1−[1−((2R,3R,4R,6R)−3,4−ジアセトキシ−4’−ヒドロキシ−2’−オキソ−6−スルホオキシメチル−3,4,5,6−テトラヒドロ−2.H.,2’.H.−[2,3’]ビピラニル−6’−イル)−1−メチル−エチル]−4,6,8,12,14,16−ヘキサメチル−オクタデカ−2,4,10,12−テトラエニルエステルおよび
例えば
酢酸(2E,4E,10E,12E)−7−アセトキシ−1−[1−((2R,3R,4R,6R)−3,4−ジアセトキシ−4’−ヒドロキシ−2’−オキソ−6−スルファモイルオキシメチル−3,4,5,6−テトラヒドロ−2.H.,2’.H.−[2,3’]ビピラニル−6’−イル)−1−メチル−エチル]−4,6,8,12,14,16−ヘキサメチル−オクタデカ−2,4,10,12−テトラエニルエステルを含む、
酢酸7−アセトキシ−1−[1−(3,4−ジアセトキシ−4’−ヒドロキシ−2’−オキソ−6−スルファモイルオキシメチル−3,4,5,6−テトラヒドロ−2.H.,2’.H.−[2,3’]ビピラニル−6’−イル)−1−メチル−エチル]−4,6,8,12,14,16−ヘキサメチル−オクタデカ−2,4,10,12−テトラエニルエステル
からなる群から選択される本発明の化合物を提供する。
【0005】
本発明により提供される化合物は、以後「本発明の化合物」と称する。式Iの化合物には、式I’の化合物が含まれる。本発明の化合物には、任意の形態、例えば遊離形、塩形、溶媒和物形、そして塩の溶媒和物形が含まれる。
【0006】
他の局面において本発明は、塩形の本発明の化合物を提供する。
【0007】
かかる塩には好ましくは薬学的に許容される塩が含まれるが、薬学的に許容されない塩は製造/単離/精製の目的で含まれる。
本発明の化合物の塩には、金属塩、または例えば適当な場合には酸付加塩が含まれる。金属塩には例えば、アルカリまたはアルカリ土類塩、好ましくはリチウム、カリウム、ナトリウム、好ましくはナトリウムのようなアルカリが含まれる。
【0008】
遊離形の本発明の化合物は、塩形の対応する化合物へと変換することができ、また逆もできる。遊離形または塩形および溶媒和物形の本発明の化合物は、非溶媒和物形の遊離形もしくは塩形の本発明の化合物へと変換することができ、また逆もできる。
【0009】
本発明の化合物は異性体およびその混合物;たとえば光学異性体、ジアステレオマー、シス/トランス配座異性体の形態で存在し得る。本発明の化合物は、例えば不斉炭素原子を含み得、したがってエナンチオマーまたはジアステレオマー、ならびにそれらの混合物;例えばラセミ体の形態で存在し得る。不斉炭素原子に結合している任意の置換基は(R)−、(S)−または(R,S)−立体配置で、好ましくは(R)−または(S)−立体配置で存在し得る。例えば、式Iの化合物におけるテトラヒドロピラニル環およびノナデカ−アルケニル鎖は、不斉C−原子および当該不斉C−原子に結合した置換基、例えばスルホニルオキシメチル基、メチルカルボニルオキシ基、メチル基を含み、ピラニル環は例えば、式I’の化合物において、または本発明の化合物の選択された基において示されたように、(R)−または(S)-立体配置であり得る。さらに、式Iの化合物はノナデカアルケニル鎖に二重結合を含み、そして当該二重結合に結合した置換基はシス−またはトランス−配座異性体であり得る。好ましくは式Iの化合物の不斉C−原子に結合した置換基の立体配置および式Iの化合物の配座異性体は、その製造のための出発物質、すなわち式II(下記)の化合物が発酵により得られる(下記製造法参照)とき、式Iの化合物と同じである。
【0010】
異性体の混合物は、適当に、例えば純粋な異性体を得るための常套の方法と例えば同様に、分離することができる。本発明には全ての異性体および全ての異性体の混合物の本発明の化合物が含まれる。
本発明はまた、互変異性体が存在し得るとき、式Iの化合物の互変異性体も含む。
【0011】
他の局面において本発明は、式Iの化合物の製造法であって、式
【化3】

の化合物、例えば式
【化4】

の化合物の硫酸化またはスルファモイル化、そして得られた式Iの化合物の反応混合物からの単離;そして所望により、得られた式Iの化合物を他の式Iの化合物へと変換すること、例えば
−得られた式Iの化合物を塩形へと変換すること、または
−式Iの化合物が塩形で得られたとき、当該塩を式Iの化合物の遊離塩基へと変形すること
を含んでなる方法を提供する。
【0012】
式IIの化合物は、式II’の化合物を含む。
硫酸化またはスルファモイル化は適当に、例えば常套の方法と例えば同様に、行うことができる。
【0013】
本発明の好ましい局面において
−硫化は式IIの化合物をSO−ピリジン複合体と、有機溶媒、例えば極性有機溶媒、例えばN,N−ジメチルホルムアミド中で反応させ、そして反応混合物からRがヒドロキシである式Iの化合物を単離することによって行う;
−スルファモイル化は式IIの化合物をNaHで処理し、そしてさらにClSONH(例えばクロロスルホニルイソシアネートとギ酸の反応によって得ることができる)で有機溶媒、例えば極性有機溶媒、例えばN,N−ジメチルホルムアミド中で処理し、そして反応混合物からRがアミノである式Iの化合物を単離することによって行う。
塩形成は、適当に、例えばアルカリまたはアルカリ土類金属塩形成について例えば常套の方法と、例えば同様に行うことができる。式Iの化合物は式MET−OHまたは式MET’OH(METはアルカリイオンであり、そしてMET’はアルカリ土類イオンである)の塩基で処理することができる。
【0014】
他の局面において本発明は、遊離塩基形または本発明の化合物について記載した塩を含む塩形の、例えば本発明の化合物の製造における中間体として有用な式IIの化合物を提供する。
【0015】
式IIの化合物は本明細書において、式Iの化合物の「本発明の化合物」と区別して、「本発明の中間体」と称する。
式IIの化合物は、適当に、例えば常套の方法と例えば同様に、または例えば本明細書に記載のように得ることができる。
【0016】
他の局面において本発明は、式IIの化合物の製造方法であって、式
【化5】

の化合物、例えば式
【化6】

の化合物のアシル化を含んでなる方法を提供する。
【0017】
式IIIの化合物は、式III’の化合物を含む。
アシル化は適当に、例えば常套の方法と例えば同様に、行うことができる。本発明の好ましい局面において、アシル化は式IIの化合物を無水酢酸と、有機溶媒、例えばピリジン中で反応させて、そして得られた式IIの化合物を反応混合物から単離することによって行うことができる。
所望により、および必要ならば、式IIの化合物の塩形成を、適当に、例えば式Iの化合物について記載のとおりに行うことができる。
【0018】
式IIIの化合物は、適当に、例えば常套の方法と例えば同様に、例えば式IIIの化合物を生産する株、例えばMicrosphaeropsis Hohn属、例えば真菌株NRRL 15684を、培養培地の存在下で培養し、そして式IIIの化合物を培養培地から、例えばクロマトグラフィーにより回収することによって得ることができる(例えば、US4753959参照)。
式IIの中間体または式IIIの化合物(出発物質)において、官能基は、存在するとき、所望により保護された形態であるか、または塩形成基が存在するとき、塩形であり得る。所望により存在する保護基は、適当な段階で、常套の方法に例えば従い、例えば準じて、除去することができる。
本明細書に記載のあらゆる化合物は、適当に、常套の方法に例えば従い、例えば準じて、または例えば本明細書に明記の通りに製造することができる。
【0019】
例えば式Iおよび式I’の化合物を含む本発明の化合物は薬理学的活性を示し、したがって医薬として有用である。
とりわけ驚くべきことに、本発明者らは、本発明の化合物が抗炎症性活性を示し、そして例えば炎症に関連した疾患に有用であることを見出した。
【0020】
抗炎症性活性はインビボの、例えば下記実施例3のような試験システムにおいて試験することができる。
【0021】
本発明の化合物は治療的活性を示し、したがって炎症に関連した疾患の処置において、例えば抗炎症性薬剤として使用するために、例えば炎症性障害の処置に、例えば腫瘍性疾患、例えば炎症性皮膚疾患および自己免疫疾患、例えば:乾癬、アトピー性皮膚炎、接触性皮膚炎および関連する湿疹様皮膚炎、脂漏性皮膚炎、光毒性および光アレルギー性皮膚炎、扁平苔癬、天疱瘡、類天疱瘡、表皮水疱症、じんま疹、血管浮腫、脈管炎、紅斑、皮膚好酸球増加症(easinophilias)、エリテマトーデス、円形脱毛症およびざ瘡の抑制に使用するために有用である。
【0022】
他の局面において本発明は、例えば炎症に関連した疾患の処置用医薬として使用するための本発明の化合物を提供する。
【0023】
医薬としての使用のために、本発明の化合物には1個以上、好ましくは1個の本発明の化合物、例えば2個以上の本発明の化合物の組合せが含まれる。
【0024】
他の局面において、本発明は炎症に関連した疾患の処置用医薬、例えば医薬組成物の製造のための本発明の化合物の使用を提供する。
【0025】
実施例1および2の化合物が好ましい本発明の化合物である。
本発明の化合物は炎症に関連した疾患の処置において使用するための既知の標準と同様の方法で投与することができる。
【0026】
さらなる局面において本発明は、炎症と関連した疾患の処置法であって、かかる処置を必要とする対象に有効量の、例えば抗炎症的に有効量の本発明の化合物を;例えば医薬組成物の形態で、投与することを含んでなる方法を提供する。
【0027】
処置には処置および予防が含まれる。
かかる処置について、適当な投与量は勿論、例えば使用する本発明の化合物の化学的性質および薬物動態データ、個々の宿主、投与の形態および処置される状態の性質および重症度に依存して変化する。しかし、一般的に、大型哺乳類、例えばヒトにおける満足のいく結果のために、指示される1日投与量は約5mg〜1500mg(約0.06mg/kg〜約20mg/kg体重)、例えば約50〜約1200mg(約4mg/kg〜約15mg/kg体重)の本発明の化合物であり;簡便には例えば、1日4回までの分割投与形で投与される。
【0028】
本発明の化合物は常套の経路、例えば経鼻、頬側、直腸、経口投与を含む、例えば経腸;例えば静脈内、筋肉内、皮下投与を含む、例えば非経腸;または例えば皮膚上、鼻腔内、気管内投与を含む局所で;
例えばコーティングまたは非コーティング錠、カプセル剤、(注射)溶液、固溶体、懸濁液、分散剤、固体分散剤の形態で;例えばアンプル、バイアルの形態で、クリーム、ゲル、ペースト、吸入粉末、泡、チンキ、リップスティック、ドロップ、スプレー、座薬の形態で投与することができる。
【0029】
本発明の化合物は薬学的に許容される塩、例えば金属塩形で;または遊離形で;所望により溶媒和物形で投与することができる。塩形の本発明の化合物は、遊離形の;所望により溶媒和物形の本発明の化合物と同じ程度の活性を示す。
【0030】
本発明の化合物は、本発明の医薬処置のために、単独、または1種以上の他の薬学的に活性な薬剤との組合せで使用することができる。かかる他の薬学的に活性な薬剤には、例えば炎症に関連した疾患に活性な他の薬学的に活性な薬剤、例えば抗菌剤が含まれる。
【0031】
組合せ剤には、2個以上の薬学的に活性な薬剤が同じ組成物に含まれる固定された組合せ剤;別個の組成物中の2個以上の薬学的に活性な薬剤が、例えば共投与のための指示書と共に同じパッケージで販売されているキット;および薬学的に活性な薬剤が別々に包装されているが、同時または逐次投与のための指示書が付されている自由組合せ剤が含まれる。
【0032】
他の局面において本発明は、少なくとも1種の医薬賦形剤、例えば適当な、例えば増量剤、結合剤、崩壊剤、流動調節剤、滑沢剤、糖および甘味剤、芳香剤、保存剤、安定化剤、湿潤剤および/または乳化剤、可溶化剤、浸透圧を調節するための塩および/または緩衝化剤を含む担体および/または希釈剤との組合せと共に本発明の化合物を含む医薬組成物を提供する。
【0033】
他の局面において本発明は、さらに別の薬学的に活性な薬剤を含む本発明の医薬組成物を提供する。
【0034】
かかる組成物は、例えば常套の方法に従い、例えば、準じて、例えば混合、造粒、コーティング、溶解または凍結乾燥処理によって製造され得る。単位投与形態は例えば、約50mg〜約1000mg、例えば100mg〜約500mgを含み得る。
【0035】
下記実施例において、全ての温度は摂氏度(℃)であり、未補正である。
【0036】
下記略語を使用する:
DMF N,N−ジメチルホルムアミド
【実施例】
【0037】
実施例1
酢酸7−アセトキシ−1−[1−(3,4−ジアセトキシ−4’−ヒドロキシ−2’−オキソ−6−スルホオキシメチル−3,4,5,6−テトラヒドロ−2.H.,2’.H.−[2,3’]ビピラニル−6’−イル)−1−メチル−エチル]−4,6,8,12,14,16−ヘキサメチル−オクタデカ−2,4,10,12−テトラエニルエステル
1A. 酢酸(2E,4E,10E,12E)−7−アセトキシ−1−[1−((2R,3R,4R,6R)−3,4−ジアセトキシ−4’−ヒドロキシ−6−ヒドロキシメチル−2’−オキソ−3,4,5,6−テトラヒドロ−2.H.,2’.H.−[2,3’]ビピラニル−6’−イル)−1−メチル−エチル]−4,6,8,12,14,16−ヘキサメチル−オクタデカ−2,4,10,12−テトラエニルエステル
25mlのピリジンおよび25mlの無水酢酸中に溶解している5gの(2R,3S,4R,6R)−6’−((3E,5E,11E,13E)−2,8−ジヒドロキシ−1,1,5,7,9,13,15,17−オクタメチル−ノナデカ−3,5,11,13−テトラエニル)−3,4,4’−トリヒドロキシ−6−ヒドロキシメチル−3,4,5,6−テトラヒドロ−2.H.−[2,3’]ビピラニル−2’−オンを18時間撹拌し、溶媒を蒸発させ、得られた蒸発残さをトルエン中に溶解させ、そしてピリジニウム塩を濾過する。得られた濾液から溶媒を蒸発させ、そして得られた蒸発残さを100mlのCHOH中に溶解させる。得られた混合物に4mlの33%NH水溶液を加え、得られた混合物を18時間撹拌し、溶媒を蒸発させ、そして得られた蒸発残さをクロマトグラフィーに供する。
酢酸(2E,4E,10E,12E)−7−アセトキシ−1−[1−((2R,3R,4R,6R)−3,4−ジアセトキシ−4’−ヒドロキシ−6−ヒドロキシメチル−2’−オキソ−3,4,5,6−テトラヒドロ−2.H.,2’.H.−[2,3’]ビピラニル−6’−イル)−1−メチル−エチル]−4,6,8,12,14,16−ヘキサメチル−オクタデカ−2,4,10,12−テトラエニルエステルを得る。
1H-NMR (CDCl3 / CD3OD 4:1) 6.30 (d, 1H, H3, J = 15 Hz); 6.20 (d, 1H, H11, J = 15.5 Hz); 5.91 (s, 1H, H5'); 5.37-5.58 (m, 4H, H1,2,5,10); 5.08-5.20 (m, 3H, H3-ピラニル,4-ピラニル,13); 4.82 (d, 1H, H2-ピラニル, J = 9.4 Hz); 4.75 (dd, 1H, H-7, J = 4.4,7.8 Hz); 3.70-3.85 (m, 2H, Ha-アセトキシメチル, Hb-アセトキシメチル); 3.61 (m, 1H, H6-ピラニル); 2.88 (m, 1H, H-6); 2.58 (m, 1H, H-14); 2.24 (m, 1H, H-5a-ピラニル); 2.20 (m, 1H, H9a); 2.08 (s, 3H, COCH3), 2.04 (s, 3H, COCH3); 2.01 (s, 3H, COCH3), 2.00 (s, 3H, COCH3); 1.83 (m, 1H, H9b); 1.73-1.77 (m, 2H, H5b-ピラニル, H8); 1.73 (2xs, 6H, CH3-4,12); 1.17-1.30 (m, 3H, H15a, 16, 17a); 1.24 (s, 3H, gem-CH3); 1.21 (s, 3H, gem-CH3); 1.05-1.18 (m, 2H, H15b,17b); 0.98 (d, 3H, CH3-6, J = 7 Hz); 0.93 (d, 3H, CH3-14, J = 7 Hz); 0.80-0.88 ( m, 9H, CH3-8,16,18); MS-ESI m/e 829 (MH+, 100).
【0038】
1B. 酢酸(2E,4E,10E,12E)−7−アセトキシ−1−[1−((2R,3R,4R,6R)−3,4−ジアセトキシ−4’−ヒドロキシ−2’−オキソ−6−スルホオキシメチル−3,4,5,6−テトラヒドロ−2.H.,2’.H.−[2,3’]ビピラニル−6’−イル)−1−メチル−エチル]−4,6,8,12,14,16−ヘキサメチル−オクタデカ−2,4,10,12−テトラエニルエステル
953mgのSO−ピリジン複合体を、90mlのDMF中の1gの酢酸(2E,4E,10E,12E)−7−アセトキシ−1−[1−((2R,3R,4R,6R)−3,4−ジアセトキシ−4’−ヒドロキシ−6−ヒドロキシメチル−2’−オキソ−3,4,5,6−テトラヒドロ−2.H.,2’.H.−[2,3’]ビピラニル−6’−イル)−1−メチル−エチル]−4,6,8,12,14,16−ヘキサメチル−オクタデカ−2,4,10,12−テトラエニルエステルに加え、そして得られた溶液を12時間撹拌する。得られた混合物から溶媒を蒸発させ、そして得られた蒸発残さをクロマトグラフィーに供する。
酢酸(2E,4E,10E,12E)−7−アセトキシ−1−[1−((2R,3R,4R,6R)−3,4−ジアセトキシ−4’−ヒドロキシ−2’−オキソ−6−スルホオキシメチル−3,4,5,6−テトラヒドロ−2.H.,2’.H.−[2,3’]ビピラニル−6’−イル)−1−メチル−エチル]−4,6,8,12,14,16−ヘキサメチル−オクタデカ−2,4,10,12−テトラエニルエステルを得る。
1H-NMR (CDCl3 / CD3OD 4:1, 330K) 6.28 (d, 1H, H3, J = 15.5 Hz); 6.03 (d, 1H, H11, J = 15.4 Hz); 5.75 (s, 1H, H5'); 5.56 (d, 1H, H1, J = 7.6 Hz); 5.50 (d, 1H, H5, J = 7.5 Hz); 5.44-5.48 (m, 3H, H3-ピラニル,2,10); 5.14 (m, 1H, H4-ピラニル); 5.12 (d, 1H, H13, J = 9.6 Hz); 4.87 (d, 1H, H2-ピラニル, J = 11.1 Hz); 4.77 (dd, 1H, H7, J = 5.3,6.9 Hz); ABX-system (μA = 4.37, Ha-アセトキシメチル, μB = 4.08, Hb-アセトキシメチル, μX = 4.02, H6-ピラニル, JAB = 10.9, JAX = 3.0, JBX = 1.9 Hz); 2.89 (m, 1H, H6); 2.55 (m, 1H, H14); 2.24 (m, 1H, H9a); 2.20 (m, 1H, H5a-ピラニル); 2.12 (m, 1H, H5b-ピラニル); 2.05 (s, 3H, COCH3), 2.02 (2xs, 6H, COCH3); 1.90 (m, 1H, H9b); 1.87 (s, 3H, COCH3); 1.80 (m, 1H, H8); 1.72 (2xs, 6H, CH3-4,12); 1.22-1.30 (m, 3H, H15a, 16, 17a); 1.23 (s, 3H, gem-CH3); 1.18 (s, 3H, gem-CH3); 1.13 (m, 1H, H17b); 1.08 (m, 1H, H15b); 0.95 (d, 3H, CH3-6, J = 6.9 Hz); 0.93 (d, 3H, CH3-15, J = 6.7 Hz); 0.82-0.87 ( m, 9H, CH3-8,16,18); MS-ESI m/e 947 (MK+, 100).
【0039】
実施例2
酢酸(2E,4E,10E,12E)−7−アセトキシ−1−[1−((2R,3R,4R,6R)−3,4−ジアセトキシ−4’−ヒドロキシ−2’−オキソ−6−スルファモイルオキシメチル−3,4,5,6−テトラヒドロ−2.H.,2’.H.−[2,3’]ビピラニル−6’−イル)−1−メチル−エチル]−4,6,8,12,14,16−ヘキサメチル−オクタデカ−2,4,10,12−テトラエニルエステル
36mgのNaHを18mlのDMF中の600mgの酢酸(2E,4E,10E,12E)−7−アセトキシ−1−[1−((2R,3R,4R,6R)−3,4−ジアセトキシ−4’−ヒドロキシ−6−ヒドロキシメチル−2’−オキソ−3,4,5,6−テトラヒドロ−2.H.,2’.H.−[2,3’]ビピラニル−6’−イル)−1−メチル−エチル]−4,6,8,12,14,16−ヘキサメチル−オクタデカ−2,4,10,12−テトラエニルエステルに加え、そして得られた混合物を45分撹拌する。得られた混合物に432mgのClSONHを加え、そして得られた溶液をさらに2時間撹拌する。得られた混合物から溶媒を蒸発させ、蒸発残さを酢酸エチルで処理し、そして得られた有機層を飽和重炭酸ナトリウムおよび塩水で抽出する。得られた有機層を乾燥させ、溶媒を蒸発させ、そして蒸発残さをクロマトグラフィーに供する。
酢酸(2E,4E,10E,12E)−7−アセトキシ−1−[1−((2R,3R,4R,6R)−3,4−ジアセトキシ−4’−ヒドロキシ−2’−オキソ−6−スルファモイルオキシメチル−3,4,5,6−テトラヒドロ−2.H.,2’.H.−[2,3’]ビピラニル−6’−イル)−1−メチル−エチル]−4,6,8,12,14,16−ヘキサメチル−オクタデカ−2,4,10,12−テトラエニルエステルを得る。
1H-NMR (CDCl3 / CD3OD 4:1) 6.26 (d, 1H, H3, J = 15.5 Hz); 6.03 (d, 1H, H11, J = 15.5 Hz); 5.77 (s, 1H, H5'); 5.74 (m, 1H, H3-ピラニル) 5.57 (d, 1H, H1, J = 7.5 Hz); 5.43-5.50 (m, 2H, H2,10); 5.47 (d, 1H, H5, J = 7.8 Hz ); 5.10 (d, 1H, H13, J = 9.3 Hz); 5.09 (m, 1H, H4-ピラニル); 4.80 (m, 1H, H2-ピラニル); 4.76 (dd, 1H, H7, J = 4.6,7.6 Hz); ABX-system (μA = 4.37, Ha-アセトキシメチル, μB = 4.20, Hb-アセトキシメチル, μX = 3.90, H6-ピラニル, JAB = 11.9, JAX = 2.5, JBX = 4.6 Hz); 2.90 (m, 1H, H6); 2.58 (m, 1H, H14); 2.23 (m, 1H, H9a); 2.14 (m, 1H, H5a-ピラニル); 2.07 (s, 3H, COCH3), 2.03 (s, 3H, COCH3); 2.02 (s, 3H, COCH3); 1.93 (m,1H, H5b-ピラニル); 1.89 (s, 3H, COCH3); 1.87 (m, 1H, H9b); 1.79 (m, 1H, H8); 1.74 (2xs, 6H, CH3-4,12); 1.22-1.32 (m, 3H, H15a, 16, 17a); 1.23 (s, 3H, gem-CH3); 1.19 (s, 3H, gem-CH3); 1.13 (m, 1H, H17b); 1.08 (m, 1H, H15b); 0.96 (d, 3H, CH3-6, J = 7 Hz); 0.93 (d, 3H, CH3-15, J = 6.9 Hz); 0.82-0.87 ( m, 9H, CH3-8,16,18); MS-ESI m/e 908 (MH+, 50).
【0040】
実施例3:抗炎症性活性
抗炎症性活性をインビボの試験系、すなわちIL−8誘導性白血球遊走モデルにおいて、局所ICD−TPAマウスモデルにおいて、そしてACDマウスモデルにおいて、例えば下記のとおりに、試験することができる。ここで、下記略語を使用する:
ACD アレルギー性接触性皮膚炎
DAE アセチルアセトアミド、エタノールおよびアセトンの混合物
ICD イソクエン酸デヒドロゲナーゼ
IL−8 インターロイキン−8
PBS リン酸緩衝化食塩水
TPA 12−O−テトラデカノイルホルボール−13−アセテート(ホルボール−12−ミリステート)
試験化合物には式Iの、すなわち式I’の本発明の化合物が含まれる。
【0041】
試験系
a.IL−8誘導性白血球遊走モデル
24〜36匹のメスBalb/cマウス、18−20g;IL−8対照群;バッファー対照群および3〜6試験群が含まれる。ヒト組み換えIL−8を100μlのPBS中の1μgで腹腔内注射する。
5mgの試験化合物、または参照化合物をそれぞれ、1mlのPBS中に溶解させる。IL−8の腹腔内注射直後に、100μlの試験化合物溶液を静脈注射する(=500μg/マウス)。IL−8注射の4時間後、マウスを麻酔し、そして血液を眼窩穿刺により採取する。マウスを殺し、そして腹腔滲出細胞を下記のとおり採取する:5mlのPBSを腹腔内注射し、そして1分後できるだけ多くそれを回収する。血液および腹腔細胞の全細胞数計測をToa-Counter (Coulter)により行う。
【0042】
サイトスピン(cytospin)調製をShandon Cytocentrifuge “Cytospin”2で行う。血液標本およびサイトスピン調製物をHemacolor (Merck)で染色する。血液標本およびサイトスピン調製物の区別した細胞計測を顕微鏡下で行う。結果の統計的評価(t−検定)を行う。
本発明の化合物はIL−8誘導性白血球遊走モデルにおいて活性を示す。
【0043】
b.局所ICD−TPAマウスモデル(TPA−誘導性刺激物接触性皮膚炎)
10μlの0.01%TPA溶液を、グループごとに8匹のNMRIマウスの右耳内表面に、炎症性耳介膨潤を誘出するために皮膚上に適用する。試験動物を10μlの試験化合物(DAE中に溶解した)で30分間局所的に処置し、その後TPAを適用する;対照動物をビークルDAEのみで同様に処置する。
TPA処置の6時間後、動物を殺し、両方の耳垂を基底部で切開し、重量を測定する。耳介重量との差を炎症性膨潤の尺度とする[耳の右(処置、刺激)対左(処置なし、刺激なし)、%で]。
本発明の化合物はICD−TPAモデルにおける活性を示す。
【0044】
c.局所ACD−モデル(オキサゾロン感作マウス)
10μlの2%オキサゾロンを、グループごとに8匹のNMRIマウスの右耳内表面に皮膚上に適用する。このマウスはオキサゾロンに対して感作されている。30分後、試験動物を10μlの試験化合物(DAE中に溶解した)で局所的に処置する。24時間後、動物を殺す。炎症性膨潤を上記“b.局所ICD−TPAマウスモデル”に記載のとおりに測定する。
本発明の化合物は局所ACDモデルにおいて活性を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】

【化1】

〔式中、Rはヒドロキシまたはアミノである〕
の化合物。
【請求項2】
Rがヒドロキシである、請求項1の化合物。
【請求項3】
Rがアミノである、請求項1の化合物。
【請求項4】
塩形の、請求項1〜3のいずれかに記載の化合物。
【請求項5】
アルカリ塩形の、請求項4の化合物。
【請求項6】
ナトリウム塩である、請求項5の化合物。
【請求項7】
Rがアミノである、請求項6の化合物。
【請求項8】
医薬として使用するための、請求項1〜7のいずれかに記載の化合物。
【請求項9】
請求項1〜7のいずれかに記載の化合物と、少なくとも1種の薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物。
【請求項10】
炎症に関連した疾患の処置用医薬の製造のための請求項1〜7のいずれかに記載の化合物の使用。
【請求項11】
炎症に関連した疾患の処置法であって、かかる処置を必要とする対象に有効量の請求項1〜7のいずれかに記載の化合物を投与することを含んでなる方法。

【公表番号】特表2007−530630(P2007−530630A)
【公表日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−505504(P2007−505504)
【出願日】平成17年3月31日(2005.3.31)
【国際出願番号】PCT/EP2005/003384
【国際公開番号】WO2005/097771
【国際公開日】平成17年10月20日(2005.10.20)
【出願人】(597011463)ノバルティス アクチエンゲゼルシャフト (942)
【Fターム(参考)】