説明

抗生物質存在下における微生物回収のための培地

【課題】抗生物質のバイオバーデンもしくは無菌テスト用又は抗生物質製造区域における環境試験用の培地及びこのような培地を用いる方法を提供する。
【解決手段】抗生物質、抗菌剤、抗真菌剤等の存在下での微生物の存在を検出するために、上記薬剤等の効力を無力化することを主要な解決手段として検討を行った。本培地は、1種類又は複数種の2価又は3価の陽イオン成分、好ましくは、抗生物質が残留している状態でも微生物の増殖が可能となる、マグネシウム、カルシウム、アルミニウム及び鉄を含有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抗生物質存在下において微生物を回収するための培地及び方法に関する。さらに具体的には、本発明は、抗生物質のバイオバーデン及び無菌テスト用の培地に関する。本培地は、抗生物質製造施設における微生物の環境モニタリングに対しても使用し得る。
【背景技術】
【0002】
医薬品、眼科関連品等は、その使用者に対して有害となったり、傷害を与えたりしないようにするため、無菌状態である必要がある。それらに対して、いかなる微生物も、存在量が許容範囲内の低レベルであるか、又は全く存在しないかのいずれかであることを確認するために、製品を販売する前に試験を行う必要がある。
【0003】
粉末又は液体といった、多くの製品に対する試験プロセスは以下のようなものである。
【0004】
液体(又は、液体中に溶解している粉末)の試料を、表面であらゆる微生物を捕らえられるよう十分に小さい孔径の微小孔フィルターを介して濾過する。
【0005】
次に、寒天プレート等の増殖培地上、又はブロス等の培地中のいずれかにそのフィルターを置くか、又は、増殖培地をフィルターもしくはフィルターの下の吸収性パッドに当て、室温又は高温(98°F程度)のいずれかにて、あらゆる微生物が、計数するのに十分なサイズ、必要であれば同定するのに十分なサイズに増殖できる期間、インキュベーションを行う。
【0006】
計数及び同定試験は、目視によるもの(形成されたコロニー数を単純に計数する。)、あるいは、微生物の存在を検出し、目視又は機器を使用して見ることができるシグナル(生物又は化学発光、放射線、比色等)を与えるための様々な試薬を使用して行うものであり得る。
【0007】
フルオロキノロン、アミノグリコシド、テトラサイクリン、β−ラクタム(ペニシリン、セファロスポリン等)、グリコペプチド、リポペプチド、マクロライド、ストレプトグラミン、リンコサミド、オキサゾリジノン、スルホンアミド、ポリペプチド類等の抗生物質、又はアゾール、ポリエン、ピリミジン合成阻害剤、グルカン合成阻害剤及びキチン合成阻害剤等の抗真菌剤は、試験を行うのが困難なタイプの製品に挙げられる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
抗生物質は、細菌及び他の微生物を死滅させ、又は抑制するように設計されている。最新の試験においては、微生物増殖を抑制しないように、フィルターからその抗生物質の痕跡を全て除去するために一連の洗浄液が用いられている。この方法は、時間と費用がかかり、必ずしも有効であるとは限らない。抗生物質のバイオバーデン、無菌テスト及び環境試験を行うためのより優れた方法が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、抗生物質のバイオバーデン若しくは無菌テスト、又は抗生物質製造環境を試験するため等に用いる培地及び方法を提供する。本培地には、抗生物質が残留している状態でも微生物が増殖できるようになる、1種類又は複数種の2価もしくは3価陽イオン成分が含有される。
【0010】
本培地を用いるための方法は、被検微生物を捕らえるのに十分小さい孔径を有するフィルターを介して抗生物質試料を濾過し、次に、1種類又は複数種の2価もしくは3価陽イオン成分を含有する増殖培地上又は中でそのフィルターのインキュベーションを行うというものである。その後、インキュベーションを行ったフィルター又は培地を、微生物の有無を調べるために観察もしくは試験し、存在する場合は、存在する微生物数、及び、望ましくは微生物の種類を調べる。
【0011】
バイオバーデン又は無菌テストの第二の方法は、1種類又は複数種の2価もしくは3価陽イオン成分を含有する本培地中又は本培地上に、抗生物質試料を直接植菌又はプレーティングするというものである。本培地を用いる第三の方法は、フィルターに空気を引き込むか、又は1種類若しくは複数種の2価もしくは3価陽イオンを含有する培地上又は培地中に直接空気を引き込むというものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明は、1種類又は複数種の2価又は3価陽イオン成分をその中に含有する増殖培地に関する。1種類又は複数種の2価もしくは3価陽イオン成分が存在すると、残留抗生物質がある場合でも、微生物が増殖できるようになる。これは、抗生物質が残留していることにより微生物増殖が阻害され、偽陰性という結果が出てしまうといった、抗生物質のバイオバーデン又は無菌テストに対して有用である。これはまた、抗生物質製造環境における空気中の環境モニタリングにも有用である。
【0013】
本発明において、あらゆる2価又は3価陽イオン成分を使用し得る。好ましい例には、これらに限定されないが、マグネシウム(硫酸マグネシウム及び塩化マグネシウムの形態が好ましい。)、カルシウム(塩化カルシウム又はクエン酸カルシウムの形態が好ましい。)、硫酸アルミニウム及び硫酸鉄(第一鉄)が含まれる。
【0014】
本培地中に存在する2価又は3価陽イオンの量は、存在するあらゆる微生物が増殖できるようにするため、抗生物質による阻害を克服するのに十分な量とすべきである。通常、2価又は3価陽イオンの量は、約0.1Mから約0.5Mの量であるが、約0.2Mから約0.4Mの量であるのが好ましく、約0.3Mの量であればさらに好ましい。
【0015】
培地は、一般的には、寒天ベースの培地等のゲルの形態であるか、又はブロス等の液体の形態である。これらのテストで通常用いられる培地は、ダイズカゼインダイジェストブロス(Soybean Casein Digest Broth)又は寒天(SCDB又はSCDA)、液状チオグリコレート培地(Fluid Thioglycollate Medium(FTM))及びサブローデキストロース寒天培地(Sabouraud Dextrose Agar(SDA))である。他の有用な培地には、これらに限定されないが、ミューラーヒントンブロス(Mueller Hinton Broth)もしくは寒天培地(Mueller Hinton Agar)、ニュートリエントブロス(Nutrient Broth)もしくは寒天培地(Nutrient Agar)が含まれる(寒天培地は、特別なカセット中又は標準的な寒天培地ペトリ皿にあり得る)。
【0016】
抗生物質のバイオバーデンレベル又は無菌性を試験する一般的な方法は、あらゆる微生物を捕らえるのに十分小さい孔径を有するフィルターを介して抗生物質試料を濾過し、次に、増殖培地の存在下でそのフィルターのインキュベーションを行い、検出に適したサイズになるまで微生物を増殖させるというものである。
【0017】
このようなフィルターの孔径は通常、0.45ミクロン以下であり、場合によっては、約0.1μmから最大1.2μmの孔径であることが好ましい。このようなフィルターは、これらに限定されないが、再生セルロース、混合セルロースエステル、酢酸セルロース、硝酸セルロース、ニトロセルロース等のセルロースベースのフィルター、PVDF、ナイロン、ポリカーボネート並びにポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリアリールスルホン及びポリフェニルスルホン等のポリスルホン類を含む、このような用途に一般に使用されるあらゆる適切な材質で形成され得る。
【0018】
このようなフィルターは、多くの供給業者から市販されている。適切なフィルターには、Millipore Corporation(Billerica,Massachusetts)より市販されている、S−PakTM混合セルロースエステルフィルター及びDurapore(R)PVDFフィルターが含まれる。
【0019】
このフィルター用のホルダーは、単に漏斗等のステンレスの装置であり得、又はSteritestTM装置、MicropreSureTM装置、Sterisure(R)装置、Milliflex(R)フィルターユニット若しくはMicrofil(R)S装置(全て、Millipore Corporation(Billerica,Massachusetts)より市販されている。)等の装置を含む、使い捨ての滅菌済みフィルターであり得る。
【0020】
特に無菌テストに対して、閉鎖的試験、例えばSteritestTM装置等、を用いると、閉鎖系中で試験全体(サンプリング、濾過、培地添加及びインキュベーション)を行うことが可能となる。このような設計により、偶発的な細菌混入が起こり、それによって偽陽性となるリスクが激減する。
【0021】
設備内の微生物の環境レベルの一般的な試験方法は、微生物を付着させ保持することができる培地カセットを備える装置を介して空気試料を濾過し、次に、その培地上でインキュベーションを行い、検出に適したサイズになるまで微生物を増殖させるというものである。そのような系の1例は、Millipore Corporation(Billerica,Massachusetts)から市販されている、M Air T(R)システムとして知られている。米国特許第6,094,997号及び第6,240,768号も参照のこと。他の方法には、試験すべき環境中で、選択した培地を満たしたペトリ皿を開けた状態でただ放置して、培地表面上で落下微生物を回収するという方法が含まれる。次に、そのペトリ皿のインキュベーションを行い、観察する。その他の方法も、当業者により使用されることが可能であり、使用されている。
【0022】
一般に、捕らえた微生物を容易に検出できるよう、培地に適用した後の試料を、捕らえた微生物がある程度増殖できる時間、インキュベーションを行う。従来の方法において、この時間は、空気中のモニタリング又はバイオバーデン試料の場合の最低3日間から、無菌テストの場合の14日間の範囲であり得る。一般に、それは、約3から14日間であるが、より一般的には、約7から14日間である。室温(20℃前後)から54℃前後という高温において、その試料をインキュベーションし得る。一般的な温度範囲は、20から35℃である。
【0023】
計数及び同定テストは、肉眼で、又は顕微鏡もしくは他の拡大装置を介してのいずれかによる、目視によるものであり得る(単純に、形成されたコロニー数を数える)。あるいは、そのテストはより複雑なものであり得、DNAもしくはRNAに対するプローブ、ATP用の試薬等の様々な微生物成分の存在を検出するための様々な試薬;生物発光及びこれらの成分の存在を指示するための他の周知の化学/生化学試薬等、及び/又は生物の存在及び存在する生物のタイプを指示するこれらの試薬を検出するための機器が使用され得る。例えば、ある周知の系では、微生物のインキュベーションを行い、細胞溶解させ、次に微生物内のATPを検出する試薬を使用する。ルシフェリン及びルシフェラーゼの生物発光反応により、ATPの存在が可視化される。このような系の1つは、Millipore Corporation(Billerica,Massachusetts)からMicrostar(R)システムとして販売されている。クロマトグラフィーによる指標、蛍光指標等を利用した他の系も本分野で公知である。
【実施例1】
【0024】
直接植菌
マグネシウム陽イオン又はシプロフロキサシン抗生物質含有又は非含有のSCDB培地が入った試験管に、200コロニー形成ユニット(cfu)のS.aureus(黄色ブドウ球菌、ATCC 6538)を植菌した。試料Aには、シプロフロキサシン試料(100μg/ml)が使用され、2価陽イオン成分は含まれていなかった。Bには、シプロフロキサシン試料(100μg/ml)が使用され、0.5M マグネシウム陽イオンが含まれていた。Cには、対照試料が使用され、Bと同じ2価陽イオン、0.5Mが含まれていた。Dには、対照試料が使用され、2価陽イオンは含まれていなかった。
【0025】
表1にその結果を示す。
【0026】
【表1】

【実施例2】
【0027】
濾過した場合
Durapore(R)膜を含有する4個のMilliflex(R)漏斗のうち2個を介して、オフロキサシン抗生物質試料(4mg/mlを、10ml)を濾過した。各膜フィルターを、USP Fluid A リンス液100mlで6回リンスしたが、最後のリンスには、約20から60cfuのE.コリ、ATCC 8739)が含まれていた。USP Fluid A中のE.コリの対照も、Milliflex(R)漏斗を介して濾過した。次に、全ての膜を増殖培地(ダイズカゼインダイジェスト寒天培地、Soybean Casein Digest Agar)に置き、試料A、B、C及びDとした。Aには、オフロキサシン試料が使用され、2価陽イオン成分は含まれていなかった。Bには、オフロキサシン試料が使用され、0.5M 2価陽イオン(マグネシウム)が含まれていた。Cには、対照試料が使用され、Bの2価陽イオン、0.5%が含まれていた。Dには、対照試料が使用され、2価陽イオンは含まれていなかった。
【0028】
表2にその結果を示す。
【0029】
【表2】

【0030】
抗生物質存在下での例から分かるように、培地に2価陽イオンが含まれていない場合は、微生物増殖が抑制された。これにより、偽陰性となる可能性を制限又は排除して、抗生物質のバイオバーデン又は無菌テストを行うことができるようになる。
【実施例3】
【0031】
無菌テスト
オフロキサシン抗生物質試料(40mg/mlを、20ml)を、それぞれがDurapore(R)膜を含有する、4対のうち2つのSteritestTMキャニスターセットを介して濾過した。各膜フィルターを3回、USP Fluid A リンス液100mlでリンスしたが、最後のリンスには約30cfuのB.subtilis(枯草菌、ATCC 6633)が含有されていた。USP Fluid A中のB.subtilisの対照も、Steritest装置を介して濾過した。次に、増殖培地(ダイズカゼインダイジェスト寒天培地、Soybean Casein Digest Agar)A、B、C及びDに、各キャニスターを添加した。
【0032】
表3にその結果を示す。
【0033】
【表3】

【0034】
0.1、0.2、0.3及び0.4Mのマグネシウム陽イオン濃度で、2価陽イオンを含むSCDBを用いた、オフロキサシンによる実験で、同様の結果が得られた。また、さらに2種類のフルオロキノロン類、モキシフロキサシン及びシプロフロキサシンを用いて行った、0.3M 濃度の2価陽イオン(マグネシウム)を含有するSCDBを用いた実験で、同様の結果が得られた。
【実施例4】
【0035】
空気モニタリング試験
抗生物質製造工場における空気のモニタリング方法の1つは、寒天の表面に空気を叩きつけ、その寒天表面の微生物及び抗生物質の両方を回収するというものである。様々な量のマグネシウム陽イオンを含有する寒天表面全体に微生物を広げ、次に抗生物質を含有するディスクをその寒天表面上に置くことで、この試験をシミュレートした。各ディスク周囲の阻害ゾーンを測定して、その抗生物質の影響に対する培地の中和能に関する指標を与えた(次の方法は、臨床微生物学において用いられる、感受性ディスク試験と同様である。)。
【0036】
S.aureus(黄色ブドウ球菌、ATCC6538)、P.aeruginosa(緑膿菌、ATCC 9027)又はE.coli(E.コリ、ATCC 25922)を、0.1M、0.2M、0.3M、0.4M又は0.5Mマグネシウム陽イオンを含有するSCDAの寒天培地表面に広げた。次に、既知の量の抗生物質を浸透させたディスクを、寒天プレート上の細菌の上に置いた。このプレートのインキュベーションを行い、細菌増殖が抑制されたゾーンを測定した。この細菌増殖が抑制されたゾーンが減少していれば、陽イオン含有培地が保護効果を有することが示される。3種類の抗生物質、オフロキサシン(フルオロキノロン)、ストレプトマイシン(アミノグリコシド)及びドキシサイクリン(テトラサイクリン)に対する結果を、表4に示す。
【0037】
【表4】

【0038】
他の8種類のフルオロキノロン剤、シプロフロキサシン、モキシフロキサシン、エノキソシン(enoxoxin)、エンロフロキサシン、レボフロキサシン、レモフロキサシン(lemofloxacin)、ノルフロキサシン及びスパルフロキサシンを用いた場合も、同様の結果が見られた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1又は複数のタイプの微生物のための増殖用培地と、2価及び3価陽イオンからなる群から選択される1種類又は複数種の陽イオンを含有する1つ又は複数の成分を含む、抗生物質存在下における微生物増殖用の培地。
【請求項2】
前記1種類又は複数種の陽イオンが、マグネシウム、カルシウム、アルミニウム及び鉄からなる群から選択される、請求項1に記載の培地。
【請求項3】
前記1種類又は複数種の陽イオンが、硫酸マグネシウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、クエン酸カルシウム、硫酸アルミニウム及び硫酸鉄からなる群から選択される、請求項1に記載の培地。
【請求項4】
前記1種類又は複数種の陽イオンが、マグネシウム及びカルシウムからなる群から選択される、請求項1に記載の培地。
【請求項5】
前記1種類又は複数種の陽イオンが、硫酸マグネシウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウム及びクエン酸カルシウムからなる群から選択される、請求項1に記載の培地。
【請求項6】
前記1種類又は複数種の陽イオンが、マグネシウム、カルシウム、アルミニウム及び鉄の2価及び3価の陽イオンからなる群から選択される、請求項1に記載の培地。
【請求項7】
前記培地が、ゲル又はブロスからなる群から選択される形態である、請求項1に記載の培地。
【請求項8】
前記培地が、ダイズカゼインダイジェストブロス(Soybean Casein Digest Broth)、ダイズカゼインダイジェスト寒天培地(Soybean Casein Digest Agar)、液状チオグリコレート培地(Fluid Thioglycollate Medium)、サブローデキストロース寒天培地(Sabouraud Dextrose Agar)、ミューラーヒントンブロス(Mueller Hinton Broth)、ミューラーヒントン寒天培地(Mueller Hinton Agar)、ニュートリエントブロス(Nutrient Broth)及びニュートリエント寒天培地(Nutrient Agar)からなる群から選択される、請求項1に記載の培地。
【請求項9】
前記培地がゲルである、請求項1に記載の培地。
【請求項10】
前記培地がブロスである、請求項1に記載の培地。
【請求項11】
前記培地が、ダイズカゼインダイジェスト(Soybean Casein Digest)、液状チオグリコレート培地(Fluid Thioglycollate Medium)、ミューラーヒントンブロス(Mueller Hinton Broth)及びニュートリエントブロス(Nutrient Broth)からなる群から選択されるブロスである、請求項1に記載の培地。
【請求項12】
前記1種類又は複数種の陽イオン成分が、約0.1Mから約0.5Mの範囲で存在する、請求項1に記載の培地。
【請求項13】
前記1種類又は複数種の陽イオン成分が、約0.2Mから約0.4Mの範囲で存在する、請求項1に記載の培地。
【請求項14】
前記2価陽イオン成分が、前記培地中に約0.3Mの量で存在する、請求項1に記載の培地。
【請求項15】
試験すべき抗生物質を含有する試料と、ホルダーと、および前記ホルダー内部の増殖培地と、を提供するステップ(前記培地はマグネシウム、カルシウム、アルミニウム及び鉄の2価及び3価の陽イオンからなる群から選択される1種類又は複数種の陽イオン成分を含有する。)、
前記試料を前記増殖培地と接触するように配置し、予め選択した時間の間、予め選択した温度にて、前記培地のインキュベーションを行うステップ、および
何らかの微生物の存在を調べるために前記培地を観察するステップ、
を含む、抗生物質存在下で微生物の存在を調べるための方法。
【請求項16】
フィルターを提供することと、該フィルターを介して前記試料を濾過することと、およびインキュベーション前に前記増殖培地の上に前記フィルターを配置することとをさらに含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
フィルターを提供することと、該フィルターを介して前記試料を濾過することと、およびインキュベーション前に前記増殖培地の上に前記フィルターを配置することと、をさらに含み、前記フィルターが約0.1ミクロンから約1.2ミクロンの孔径を有し、前記フィルターが再生セルロース、混合セルロースエステル、酢酸セルロース、硝酸セルロース、ニトロセルロース、PVDF、ナイロン、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリアリールスルホン及びポリフェニルスルホンからなる群から選択される材料で形成されている、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記試料が、液体及び液体中に溶解している粉末からなる群から選択される、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
前記試料が、抗生物質製造の製造区域由来の空気である、請求項15に記載の方法。
【請求項20】
前記フィルター/培地が、約0から7日間の間、20℃から54℃の温度にてインキュベートされる、請求項15に記載の方法。
【請求項21】
前記フィルター/培地が、約7から約14日間の間、20℃から54℃の温度にてインキュベートされる、請求項15に記載の方法。
【請求項22】
前記1種類又は複数種の陽イオン成分が、約0.1Mから約0.5Mの範囲である、請求項15に記載の方法。
【請求項23】
前記1種類又は複数種の陽イオン成分が、約0.2Mから約0.4Mの範囲である、請求項15に記載の方法。
【請求項24】
前記1種類又は複数種の陽イオン成分が、約0.3Mの量である、請求項15に記載の方法。
【請求項25】
前記培地がゲルであり、該ゲルが寒天ベースである、請求項1に記載の培地。
【請求項26】
前記観察が、コロニー形成単位の目視による計数又は微生物成分の存在に対する生物発光もしくは化学発光による検出からなる群から選択される、請求項15に記載の方法。
【請求項27】
前記観察が、微生物成分の存在を指示するために使用される試薬の検出によるものである、請求項15に記載の方法。

【公開番号】特開2006−51028(P2006−51028A)
【公開日】平成18年2月23日(2006.2.23)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2005−227531(P2005−227531)
【出願日】平成17年8月5日(2005.8.5)
【出願人】(390019585)ミリポア・コーポレイション (212)
【氏名又は名称原語表記】MILLIPORE CORPORATION
【Fターム(参考)】