説明

抗癌剤として有用なイルジン類似体

腫瘍の成長、特に固形腫瘍の成長を阻害し、in vivoでの処置に有効である適切な治療指数を有するアシルフルベン類似体が本明細書において提供される。本明細書に記載の化合物は、抗腫瘍剤として、即ち、ヒト、又は家畜等の動物といった哺乳動物宿主において、in vitro又はin vivoで腫瘍細胞の成長を阻害するのに有用であり、固形腫瘍、悪性血液癌及び多剤耐性癌/腫瘍に対して有効である。本発明の化合物は単独で使用してもよければ、1種以上の抗癌剤又は抗腫瘍剤と併用して使用してもよい。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
(発明の背景)
悪性腫瘍形成は、心血管疾患に次いで米国で2番目に多い死亡原因である(National Vital Statistics Reports. 2005, 53, 7)。新規の癌化学療法剤、並びに早期の検出及び処置と組み合わせた治療方法は、全体的な癌の発生率、及び全ての癌を組み合わせた死亡率の両方の減少に大きく関与してきた(Jemal, A., et al., Cancer. 2004, 101, 4)。有効な治療法が全く又は殆どない癌患者は依然として多数存在する。更には、最新の治療法に対して最初は癌が反応するものの、その後耐性を備えて、処置がより一層困難又は不可能になる場合もある。従って、単独療法又は他の化学療法剤との併用療法の何れかとしてより良好な効果又は安全性を有する新規の化学療法剤、並びに癌細胞における薬剤耐性を克服する可能性を有する薬剤が依然として必要とされている。
【0002】
キノコであるOmphalotus illudensは、高い毒性を有するセスキテルペンのイルジンS及びMの由来源である(1,2)(例えば、非特許文献1を参照)。
【0003】
【化5】

【0004】
これらの化合物は、国立癌研究所によって試験されており、抗癌活性を有するものの、治療指数が低いことが明らかにされている(例えば、非特許文献2を参照)。しかし、これらの化合物の特定の誘導体は、より良好な安全プロフィールを有する抗腫瘍剤として極めて向上した効果を示す。特に、誘導体のイロフルベン(3)(非特許文献3)は、広範に研究されており、単独療法として(非特許文献4;及び非特許文献5)及び周知の抗癌剤と併用として、現在、卵巣、前立腺及び胃腸癌に対する第2相臨床試験を行っているところである。実際、イロフルベンは、ホルモン抵抗性前立腺癌において許容される安全プロフィールを有する臨床活性を示した(非特許文献6)。臨床的応用に最も関連のある、イロフルベンの活性は、多剤耐性表現型、抗アポトーシスbcl−2の過剰発現、並びにp53及びp21wafl/cip1突然変異等の一般的な耐性機序からは独立している(非特許文献7;非特許文献8;及び非特許文献9)。
【非特許文献1】McMorris, T.C., et al., J. Am. Chem. Soc. 1963, 85, 831
【非特許文献2】Kelner, M.J., et al., Cancer Research 1987, 47, 3186
【非特許文献3】McMorris, T.C., et al., J. Nat. Prod. 1996, 59, 896
【非特許文献4】Cvitkovic E., et al., J. Clin. Oncol. 2004, 22, 4766
【非特許文献5】Falcon−Lizaraso, S., et al., J. Clin. Oncol. 2004, 22, 333
【非特許文献6】Senzer N., et al., Am. J. Clin. Oncol. 2005, 28, 36
【非特許文献7】Kelner M.J., et al., Cancer Res., 1995, 55, 4936
【非特許文献8】Poindessous V., et al., Clin Cancer Res. 2003, 9, 2817
【非特許文献9】Herzig M.C., et al., Biochem Pharmacol. 2003, 65, 503
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、固形(例えば腫瘍)及び非固形、例えば血液、癌細胞成長等を阻害し、in vitroでの処置に有効な適切な治療指数を有する化学療法剤が引き続き必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(発明の要旨)
一実施形態は、癌細胞の成長、特に固形腫瘍の成長を阻害し、in vivoでの処置に有効である適切な治療指数を有するアシルフルベン類似体を提供する。一実施形態において、本化合物は、ヒドロキシウレア又はその誘導体で修飾されたアシルフルベン類似体である。本化合物は、以下の一般化学式(I)であって:
【0007】
【化6】

【0008】
式中、
が−C(X)X(R)又はHであり;
がO又はSであり;
が−O−、−S−、又は−N(R10)−であり;
が、水素、−C(=O)(C−C)アルキル、−C(=O)(C−C)アルキル(C−C10)アリール、−C(O)(C−C10)アリール、又は−(C−C)アルキルであり;
が、水素、又は(C−C)アルキルであり;
が、水素、−SCHCO(C−C)アルキル、−O−(C−C10)アリール、又は−S−(C−C10)アリールであって;アリールが必要に応じてハロ、OH又は(C−C)アルキルで置換され;
が、水素、OHであるか、又は不在であり;
が、水素、又は(C−C)アルキルであり;及び
が、OH又はSi((C−C)アルキル)であるか;
及びRが一緒になってエチレンジオキシであり;
が(C−C)アルキルであり;必要に応じてOH又はハロで置換され;
が、水素、(C−C)アルキル、−(C−C)アルキル(C−C10)アリール、又は−(C−C10)アリール;又は−(C−C)アルキル(C−C10)ヘテロアリール、又は−(C−C10)ヘテロアリールであり;
10が、水素、−OH、又は(C−C)アルキルであり;
nが1、2、3、4、5又は6であり;
−−−で表わされる結合は必要に応じて存在するか、不在である、
化学式;及びその薬学的に許容される塩を有する。
【0009】
一実施形態において、化学式(I)の化合物は抗腫瘍剤として、即ち、ヒト又は家畜等の動物といった哺乳動物宿主において、in vitro又はin vivoでの癌細胞の成長を阻害するのに有用であり、固形腫瘍、悪性血液癌及び多剤耐性腫瘍に対して有効である。一実施形態において、本明細書に記載の化合物は、単独で、又は1種以上の更なる抗癌剤又は抗腫瘍剤と併用して、癌を処置する方法で使用することができる。
【0010】
別の実施形態は、1種以上の本発明のアシルフルベン類似体の有効な抗腫瘍作用量を、薬学的に許容される担体と組み合わせて含む、溶液等の薬学的組成物、又は薬学的単位投与形態を提供する。
【0011】
一実施形態において、本明細書に記載の化合物は、他の活性薬剤、例えば、1種以上の抗癌剤と組み合わせて使用することができる。このような組み合わせは、処置する病態、成分の交差反応性、及び併用の薬力学的特性に基づいて選択される。本明細書に記載の化合物を、患者への同時又は連続投与を目的とした単位投与形態において、1種以上の他の活性成分と組み合わせることも可能である。併用療法は、同時又は連続投与スケジュールとして投与することができる。連続投与の場合、本組み合わせは、複数の投与にて投与される場合がある。
【0012】
併用療法は「相乗効果」をもたらすことができ、即ち、活性成分を一緒に使用した場合に達成される効果の方が、本化合物を個別に使用した場合の効果の合計よりも優れている。相乗効果は、活性成分が以下の場合に達成される場合がある:即ち、(1)共に配合され、混合された配合物にて同時に投与又は送達される;(2)個別の配合物として交互に、又は並行して送達される;又は(3)その他幾つかの投与スケジュールにより送達される。交互療法にて送達される場合、相乗効果は、化合物が、例えば、個別の錠剤、丸剤若しくはカプセルにて、又は個別の注射器における別々の注射によって連続的に投与又は送達される場合に達成される場合がある。一般的に、交互療法では、各活性成分の有効投与量が逐次的、即ち連続的に投与されるが、併用療法では、複数の活性成分の有効投与量が一緒に投与される。
【0013】
一実施形態において、抗癌剤又は抗腫瘍剤は、アルキル化剤又は抗アンドロゲン若しくは抗エストロゲン療法、モノクローナル抗体療法、抗血管新生療法、放射線療法及び/又はその他の抗癌療法等の化学療法剤と併せて投与することができる。
【0014】
化学療法剤の例としては、(トランス,トランス,トランス)−ビス−μ−(ヘキサン−1,6−ジアミン)−μ−[ジアミン−白金(II)]−ビス[ジアミン(クロロ)白金(II)]テトラクロライド、1−(11−ドデシルアミノ−10−ヒドロキシウンデシル)−3,7−ジメチルキサンチン、3’−デアミノ−3’−モルホリノ−13−デオキソ−10−ヒドロキシカルミノマイシン、4−デメトキシ−3−デアミノ−3−アジリジニル−4−メチルスルホニル−ダウノルビシン、5−FU、6−メルカプトプリン、6−チオグアニン、9−ニトロカンプトテシン、アンルビシン(amrubicin)、アナマイシン(annamycin)、アンチネオプラストン、三酸化ヒ素、アスパラギナーゼ、アザシチジン、ベバシズマブ、BCG生菌、ベンジルグアニン、ベキサロテン、ビサントレン、ブレオマイシン、ブスルファン、カケクチン、カペシタビン、カルボプラチン、カルムスチン、クロラムブシル、クロロキノキサリン、シス−アミンジクロロ(2−メチルピリジン)白金、シスプラチン、クラドリビン、クロファラビン、クロレタジン、CPT−11、シクロホスファミド、シタラビン、ダカルバジン、ダクチノマイシン、ダウノマイシン、デシタビン、デニロイキン、デプシペプチド、デキサメタゾン、デキシホスファミド、ジアリジジニルスペルミン、ジブロモズルシトール、塩酸ジブロスピジウム、ドキソルビシン、エリナフィド、エピルビシン、セツキシマブ、エストラムスチン、ET−743、エトポシド、エキセメスタン、フロクスウリジン、フルダラビン、フォテムスチン、ガラルビシン、ゲミシタビン、ゲムツズマブ、グルホスファミド、GPX100、ヘプタプラチン、トラスツブマブ、ヒドロキシ尿素、イブリツモマブ、イダルビシン、イホスファミド、メシル酸イマチニブ、トシル酸インプロスルファン、インターフェロン、ゲフィチニブ、イリノテカン、イロフルベン、ロバプラチン、ロムスチン、ロニダミン、メクロレタミン、メルファラン、MEN 10755、メトトレキセート、ミトラマイシン、マイトマイシンC、ミトタン、ミトキサントロン、ネダプラチン、ニムスチン、ノボビオシン、オキサリプラチン、ペメトレキセド、ペントスタチン、ピナフィド、ピラルビシン、ポルフィリマー、プレドニムスチン、プレドニゾロン、プロフィロマイシン、プミテパ、ラニムスチン、レベッカマイシン、レナリドマイド、リツキシマブ、サトラプラチン、セルテネフ、ストレプトゾシン、エルリノチブ、タソネルミン、タキサン(例えば、タキソール及びタキソテレ)、テモゾロミド、テニポシド、サリドマイド、チオテパ、チラパジミン、トポテカン、トシツモマブ、トランツズマブ、トレチノイン、トロホスファミド、トロキサシタビン、バルルビシン、バーサイト、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビノレルビン、又はゾルビシンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0015】
一実施形態は、医学的治療での使用(利用できる処置法が比較的少ない固形腫瘍の処置における使用を含む)のための化学式(I)の化合物を提供する。
【0016】
別の実施形態は、本明細書に上で記載したような癌又は腫瘍の成長に関連する、ヒト等の哺乳動物における病態又は症状を処置する医薬品を製造するための化学式(I)の化合物の使用を提供する。
【0017】
対象は、感受性を有する癌、即ち、悪性細胞集団又は腫瘍を患う何れかの哺乳動物であってよい。類似体は、in vivoでのヒト腫瘍、及びin vitroでのヒト腫瘍細胞系において有効である。
【0018】
一実施形態は、実質的に等しい有効濃度のイロフルベン(6−ヒドロキシメチルアシルフルベン)を使用した処置に比べて毒性が減少した、癌の処置に有効な医薬品を調製するための本発明の化合物を使用する方法を提供する。一実施形態において、本化合物は以下の化学式を有する:
【0019】
【化7】

【0020】
一実施形態において、医薬品は静脈注射に適合されている。別の実施形態において、医薬品は腹腔内注射又は経口投与に適合されている。一実施形態において、医薬品は、更に第二の化学療法剤も含む。
【0021】
一実施形態において、医薬品は、約0.1mg/kg〜約1.0mg/kgの化合物の投与量を提供するように適合されている。別の実施形態において、医薬品は、約0.25mg/kg〜約0.65mg/kgの化合物の投与量を提供するように適合されている。別の実施形態において、医薬品は、0.50mg/kg未満の化合物の投与量を提供するように適合されている。一実施形態において、医薬品は、週1回の投与スケジュールにより、化合物の有効量を2週間にわたり提供するように適合されている。
【0022】
又、イロフルベンの最小有効量を減少させるか、又は最大許容抗癌量を増大させる方法であって、イロフルベンの6−ヒドロキシメチル部分を(CHN(R)(OR
(式中、
nが1、2、3、4、5又は6であり;
が−C(X)X(R)又はHであり;
が、水素、−C(=O)(C−C)アルキル、−C(=O)(C−C)アルキル(C−C10)アリール、−C(=O)(C−C10)アリール、又は−(C−C)アルキルであり;
がO又はSであり;
がO、S、又はN(R10)であり;
が、水素、(C−C)アルキル、−(C−C)アルキル(C−C10)アリール、又は−(C−C10)アリール;又は−(C−C)アルキル(C−C10)ヘテロアリール、又は−(C−C10)ヘテロアリールであり;
10が、水素、(C−C)アルキルである);或いは
その薬学的に許容される塩、で置き換えることを含む、方法が提供される。一実施形態において、イロフルベンの6−ヒドロキシメチル部分は、−CHN(OH)−C(=O)−NHで置き換えられる。
【0023】
一実施形態において、全投与量(例えば、全投与量とは、癌の処置につき対象に投与した単独投与量の合計である(例えば、0.4mg/kgを週1回、2又は3週間にわたり投与した場合の全投与量は、それぞれ0.8mg/kg又は1.2mg/kgである))は、イルフルベンに必要とされるよりも少なくとも約40%少ない。別の実施形態において、全投与量は、イルフルベンに必要とされるよりも少なくとも約50%少ない。別の実施形態において、全投与量は、イルフルベンに必要とされるよりも少なくとも約60%少ない。
【0024】
一実施形態において、癌は、肺癌、卵巣癌、前立腺癌、乳癌、子宮内膜癌、膀胱癌、腎臓癌、膵臓癌、中枢神経系癌、メラノーマ又は結腸癌を含むがこれらに限定されない固形腫瘍である。別の実施形態において、癌は、B細胞白血病、B細胞リンパ腫、骨髄腫、T細胞白血病、T細胞リンパ腫、小細胞白血病、又は小細胞リンパ腫を含むがこれらに限定されない血液癌である。一実施形態において、白血病は急性リンパ性白血病(ALL)又は慢性リンパ性白血病(CLL)である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
(詳細な説明)
一実施形態は、化学式(I)の化合物、及び化学式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩を含む薬学的組成物を、薬学的に許容される希釈剤又は担体と組み合わせて提供する。
【0026】
別の実施形態は、癌を処置する治療方法、即ち、ヒト癌患者等の哺乳動物に、化学式(I)の化合物、化学式(I)の化合物の薬学的に許容される塩、又はそれらの組成物を、癌細胞(即ち、腫瘍細胞)の成長を阻害するのに有効な治療有効量投与する等により、前記細胞と接触させることによって、in vitro又はin vivoで腫瘍細胞の成長を阻害する及び/又は癌細胞を死滅させる治療方法を提供する。本発明の化合物は、利用できる処置法が比較的少ない固形腫瘍の処置に特に有用な場合がある。このような腫瘍には、肺癌、卵巣癌、前立腺癌、乳癌、子宮内膜癌、膀胱癌、腎臓癌、膵臓癌、中枢神経系癌、結腸癌、メラノーマ等が含まれる。本発明の化合物は又、B細胞白血病/リンパ腫、骨髄腫、T細胞白血病/リンパ腫、及び小細胞白血病/リンパ腫等の血液癌(例えば、血液及び造血組織の癌)に対しても使用することができる。これらの白血病/リンパ腫は、急性又は慢性の何れでもよく、例えば、急性リンパ性白血病(ALL)又は慢性リンパ性白血病(CLL)でもよいと考えられる。
【0027】
別の実施形態は、医学的治療にて使用するための化学式(I)の化合物を提供する。一実施形態において、医学的治療は、癌の処置(利用できる処置法が比較的少ない固形腫瘍及び悪性血液癌の処置を含む)である。このような癌の非限定的な例には、扁平上皮癌及び骨髄性癌(例えば、急性骨髄性白血病(AML)又は慢性骨髄性白血病(CML))、並びに肺癌、卵巣癌、乳癌及び結腸癌が含まれる。本発明の化合物は又、子宮内膜癌、膀胱癌、膵臓癌、リンパ腫、ホジキン病、前立腺癌、肉腫、精巣癌に対する、並びに中枢神経系腫瘍(例えば、脳腫瘍、神経芽細胞腫)、及び造血細胞癌(例えば、B細胞白血病/リンパ腫、骨髄腫、T細胞白血病/リンパ腫、及び小細胞白血病/リンパ腫)に対する医学的治療にて使用することもできる。これらの白血病/リンパ腫は、急性又は慢性の何れでもよく、例えば、ALL又はCLLの何れでもよいと考えられる。
【0028】
一実施形態は、本明細書に記載のような癌又は腫瘍の成長に関連する、ヒト等の哺乳動物における病態又は症状を処置する医薬品を製造するための化学式(I)の化合物の使用を提供する。
【0029】
癌の成長を阻害する、及び/又は癌性細胞を死滅させる化合物の能力は、当該技術分野で周知の薬理学的モデルを使用するか、本明細書に記載の検定を使用して測定することができる。
【0030】
本明細書で使用される「処置する」又は「処置」とは、癌又は癌の症状を処置する、逆転させる、予防する、改善する又は阻害することを包含する。
【0031】
本発明の方法に関連して本明細書で使用される「阻害」という用語は、処置しない場合に生じるであろう速度から癌細胞成長速度を低下させること、又は腫瘍細胞集団のサイズを縮小させることの何れかを意味する。阻害とは又、腫瘍の完全な退行を生じさせる又は癌性細胞を死滅させることも包含する。従って、本発明の類似体は、癌細胞に対する細胞成長抑止性又は細胞毒性の何れかを有してもよい。
【0032】
本明細書で使用される「対象」とは、脊椎動物、好ましくは哺乳動物、より好ましくはヒトである。哺乳動物には、ヒト、家畜、競技用動物及び愛玩動物が含まれるが、これらに限定されない。「動物」という用語には、犬、猫、魚、アレチネズミ、テンジクネズミ、ハムスター、馬、ウサギ、ブタ、マウス、ハムスター、サル(例えば、類人猿、ゴリラ、チンパンジー、オランウータン)、ラット、ヒツジ、ヤギ、乳牛及び鳥が含まれる。
【0033】
特に記載がない限り、以下の定義が使用される。ハロはフルオロ、クロロ、ブロモ又はヨードである。アルキルは直鎖及び分岐鎖の両方の基を示すが、「プロピル」等の個々の遊離基の言及は直鎖遊離基のみを包含し、「イソプロピル」等の分岐鎖の異性体は具体的に言及される。アリールは、フェニル遊離基、又は少なくとも1個の環が芳香族である、約9〜10個の環原子を有するオルト縮合二環式炭素環式遊離基を示す。ヘテロアリールは、炭素原子、及びそれぞれ非ペルオキシド酸素、硫黄、及びN(X)(式中、Xは不在であるか、H、O、(C−C)アルキル、フェニル又はベンジルである)からなる群から選択される1〜4個のヘテロ原子からなる5個又は6個の環原子を含む単環式芳香環の環炭素を介して結合する遊離基、並びにそれらに由来する約8個〜10個の環原子のオルト縮合二環式ヘテロ環の遊離基、特にベンズ誘導体、又はプロピレン、トリメチレン又はテトラメチレン二端遊離基をこれらに縮合することにより由来するものを包含する。
【0034】
キラル中心を有する本明細書に記載の化合物は、光学活性形態及びラセミ体で存在し、これらの形態で単離される場合があることは、当業者により理解されるであろう。化合物によっては多形を示すものもある。本明細書に記載の化合物は、本明細書に記載の有用な特性を有する何れかのラセミ体、光学活性形態、多形、又は立体異性形態、又はそれらの混合物を包含することが理解されるが、光学活性形態を調製する方法(例えば、再結晶法によるラセミ体の分離、光学活性出発材料からの合成、キラル合成、又はキラル固定相を使用したクロマトグラフィー分離による)、及び本明細書に記載の標準試験を使用して、又は当該技術分野で周知のその他の同様の試験を使用して抗癌活性を測定する方法は、当該技術分野で周知である。
【0035】
遊離基、置換基及び範囲について以下に列挙する具体的な値は、単に例示を目的としたものであり、その他の定義された値、又は遊離基及び置換基の定義された範囲内に含まれるその他の値が排除されることはない。
【0036】
具体的に、(C−C)アルキルは、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソ−ブチル、sec−ブチル、ペンチル、3−ペンチル、又はヘキシルであってよく;アリールは、フェニル、インデニル、又はナフチルであってよく;ヘテロアリールは、フリル、イミダゾリル、トリアゾリル、トリアジニル、オキサゾリル、イソキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、ピラゾリル、ピロリル、ピラジニル、テトラゾリル、ピリジル(若しくはそのN−オキシド)、チエニル、ピリミジニル(若しくはそのN−オキシド)、インドリル、イソキノリル(若しくはそのN−オキシド)、又はキノリル(若しくはそのN−オキシド)であってよい。
【0037】
化学式(I)の化合物を調製するプロセス、又は化学式(I)の化合物の調製に有用な中間体を調製するプロセスが、更なる実施形態として提供される。化学式(I)の化合物の調製に有用な中間体も、更なる実施形態として提供される。
【0038】
遊離基、置換基及び範囲について以下に列挙する具体的な値は、単に例示を目的としたものであり、その他の定義された値、又は遊離基及び置換基の定義された範囲内に含まれるその他の値が排除されることはない。
【0039】
の具体的な値はOである。
【0040】
の具体的な値はO又はN(R10)である。
【0041】
の別の具体的な値はN(R10)である。
【0042】
の別の具体的な値はOである。
【0043】
の具体的な値は、−C(=O)OR、又は−C(=O)N(R10)(R)、又はHである。
【0044】
の別の具体的な値は、−C(=O)ORである。
【0045】
の別の具体的な値は、−C(=O)OCHCHである。
【0046】
の別の具体的な値は、−C(=O)OCHPhである。
【0047】
の別の具体的な値は、−C(=O)OC(CHである。
【0048】
の別の具体的な値は、−C(=O)N(R10)(R)である。
【0049】
の別の具体的な値は、−C(=O)N(R10)CHCHである。
【0050】
の別の具体的な値は、−C(=O)N(R10)CHPhである。
【0051】
の別の具体的な値は、−C(=O)N(R10)C(CHである。
【0052】
の別の具体的な値は、−C(=O)N(R10)C(CHである。
【0053】
の具体的な値は、水素、−C(=O)(C−C)アルキル、−C(=O)(C−C)アルキル(C−C10)アリール、又は−(C−C)アルキルである。
【0054】
の別の具体的な値は、水素、−C(=O)(C−C)アルキル、又は−C(=O)(C−C)アルキル(C−C10)アリールである。
【0055】
の別の具体的な値は、水素、−C(=O)CH(アセチル、Ac)、−C(=O)CHCH、−C(=O)CHフェニル、−C(=O)CHCHフェニル、−CH、又は−CHCHである。
【0056】
の別の具体的な値は、水素、−C(=O)CH、−C(=O)CHCH、−C(=O)CHフェニル、又は−C(=O)CHCHフェニルである。
【0057】
の別の具体的な値は、水素、−C(=O)CH、又は−C(=O)CHフェニルである。
【0058】
の別の具体的な値は、水素である。
【0059】
の別の具体的な値は、−C(=O)CHである。
【0060】
の別の具体的な値は、−C(=O)CHフェニルである。
【0061】
の具体的な値は、水素、−CH、又は−CHCHである。
【0062】
の別の具体的な値は、−CHである。
【0063】
の具体的な値は、水素、−CH、又は−CHCHである。
【0064】
の別の具体的な値は、−CHである。
【0065】
の具体的な値は、−OHである。
【0066】
の具体的な値は、−CH、又は−CHCHである。
【0067】
の別の具体的な値は、−CHである。
【0068】
の別の具体的な値は、水素である。
【0069】
の別の具体的な値は、−CHである。
【0070】
の別の具体的な値は、−CHCHである。
【0071】
の別の具体的な値は、−CHPhである。
【0072】
の別の具体的な値は、−C(CHである。
【0073】
10の具体的な値は、水素、又は(C−C)アルキルである。
【0074】
10の別の具体的な値は、水素、−CH、又は−CHCHである。
【0075】
10の別の具体的な値は、水素、又は−CHである。
【0076】
10の別の具体的な値は、メチルである。
【0077】
10の別の具体的な値は、水素である。
【0078】
nの具体的な値は、1、2又は3である。
【0079】
nの別の具体的な値は1又は2である。
【0080】
nの別の具体的な値は1である。
【0081】
nの別の具体的な値は2である。
【0082】
nの別の具体的な値は3である。
【0083】
一実施形態において、化合物の具体的な基は、任意の結合(−−−)を有し;Rが不在であり;R、R及びRはそれぞれ−CHであり;Rは水素であり;Rは−OHであり;nは1、2又は3である。
【0084】
別の実施形態において、R及びRは、一緒になってエチレンジオキシであり、RはHであり;R及びRは不在であり;R及びRはHであり、RはCHである。
【0085】
化学式(I)の化合物を調製するプロセスは、更なる実施形態として提供され、特に限定されない限り一般的な遊離基の意味は前述の通りである以下の手順により例示され、且つ以下のスキーム1に例示される。
【0086】
【化8】

【0087】
本明細書に記載の化合物の調製に有用な前駆体は、イルジンS、6−ヒドロキシメチルアシルフルベン(HMAF、即ち、例えば、Yが−OHであり、nが1であり、RがCHであり、RがHであり、Rが不在であり、RがCHであり、RがOHであり、RがCH及びフルベンである、化学式(III)の化合物)に由来する場合があり、その合成は当該技術分野で既知である(例えば、国際特許第WO91/04754号、第WO94/18151号を参照)。
【0088】
化学式(I)の具体的な化合物には、以下が含まれるが、これらに限定されない
【0089】
【化9】

【0090】
エステル及びアミドの調製に好適な条件は、当該技術分野で周知である。例えば、変換は、実施例に記載の方法と同様の条件下で実施することができる。
【0091】
化学式(I)の化合物の調製に有用な中間体には、以下の化学式を有する化合物が含まれる:
【0092】
【化10】

【0093】
これらの化合物は、当該技術分野で既知の方法を使用して調製することができる。例えば、米国特許第5,932,553号又は米国特許第5,439,936号を参照されたい。
【0094】
化合物が、安定した無毒の酸性又は塩基性塩を形成するのに十分に塩基性又は酸性である場合、塩としての化合物の投与が適切な場合がある。薬学的に許容される塩の例には、トシル酸塩、メタンスルホン酸塩、酢酸塩、クエン酸塩、マロン酸塩、酒石酸塩、コハク酸塩、安息香酸塩、アスコルビン酸塩、α−ケトグルタル酸塩、及びα−グリセロ燐酸塩等の、生理学的に許容されるアニオンを形成する酸により形成される有機酸付加塩がある。塩酸、硫酸塩、硝酸塩、炭酸水素塩、及び炭酸塩を含めた、好適な無機塩が形成される場合もある。
【0095】
薬学的に許容される塩は、当該技術分野で周知の標準的な方法により、例えば、アミン等の十分に塩基性の化合物を、生理学的に許容されるアニオンを形成する好適なアミンと反応させることにより得られる場合がある。カルボン酸のアルカリ金属(例えば、ナトリウム、カリウム又はリチウム)又はアルカリ土類金属(例えばカルシウム)塩も製造することができる。
【0096】
化学式(I)の化合物は薬学的組成物として配合され、例えば、経口又は非経口、静脈注射、筋肉内注射、局所又は皮下経路等の選択された投与経路に適合する種々の形態で、ヒト患者等の哺乳動物宿主に投与することができる。
【0097】
従って、本発明の化合物は、不活性希釈剤又は同化可能な食用担体等の薬学的に許容される担体と組み合わせて、全身投与(例えば、経口投与)される場合がある。本化合物は、硬又は軟シェルゼラチンカプセルに封入される場合もあれば、錠剤中に圧縮される場合もあり、患者の食餌の食物と共に直接取り込まれる場合もある。経口治療投与では、活性化合物を1種以上の賦形剤と組み合わせて、摂取可能な錠剤、バッカル錠、トローチ、カプセル、エリキシル剤、懸濁剤、シロップ、ウェハー等の形態で使用される場合がある。このような組成物及び調剤品は、少なくとも0.1%の活性化合物を含まなければならない。当然ながら、組成物及び調剤品の割合は変化する場合があり、好都合なことに、所定の単位投与形態の重量の約2〜約60%となる場合がある。このような治療に有用な組成物中における活性化合物の量は、有効な投与レベルが得られるような量である。
【0098】
錠剤、トローチ、丸剤、カプセル等は、以下のものを含む場合がある:即ち、トラガカントゴム、アラビアゴム、コーンスターチ又はゼラチン等の結合剤;リン酸二カルシウム等の賦形剤;コーンスターチ、ジャガイモデンプン、アルギン酸等の崩壊剤;ステアリン酸マグネシウム等の滑沢剤;スクロース、フルクトース、ラクトース又はアスパルテーム等の甘味料;ペパーミント、ウィンターグリーン油、又はサクランボ香味料等の着香料を加える場合がある。単位投与形態がカプセルである場合、前記タイプの材料に加えて、植物性油脂又はポリエチレングリコール等の液体担体を含む場合がある。その他種々の材料が、コーティングとして、又はその他の様式で固形の単位投与形態の物理的形態を修飾するために存在する場合がある。例えば、錠剤、丸剤又はカプセルは、ゼラチン、ワックス、シェラック又は糖等でコーティングされる場合がある。シロップ又はエリキシル剤は、活性化合物、甘味料としてのスクロース又はフルクトース、保存剤としてのメチル及びプロピルパラベン、色素、及びサクランボ又はオレンジ香味料等の着香料を含む場合がある。当然ながら、単位投与形態の調製に使用される何れの材料も、薬学的に許容され、使用する量で実質的に無毒でなければならない。更に、活性化合物は徐放性製剤及びデバイスに取り込まれる場合もある。
【0099】
活性化合物は又、輸液又は注射により、静脈又は腹腔内に投与される場合もある。活性化合物又はその塩の溶液は、水中で調製し、無毒の界面活性剤と必要に応じて混合してもよい。グリセロール、液状ポリエチレングリコール、トリアセチン、及びそれらの混合物及び油中で分散液を調製してもよい。通常の保存及び使用条件下では、これらの調剤品は、微生物の成長を予防するために防腐剤を含む。
【0100】
注射又は輸液に好適な薬学的投与形態は、リポソームに封入され無菌の注射又は輸液溶液又は分散液の即時調製に適した、活性成分を含む無菌水溶液又は分散液又は無菌粉末を含んでもよい。何れの場合にも、最終的な投与形態は無菌の液体であり、製造及び保存条件下で安定していなければならない。液体担体又は媒体は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、液状ポリエチレングリコール等)、植物性油脂、非毒性グリセリルエステル、及びそれらの適切な混合物を含む、溶媒又は液体分散媒体であってもよい。適切な流動性は、例えば、リポソームの形成によって、分散液の場合には必要な粒子径の維持によって、又は界面活性剤の使用によって維持することができる。微生物の作用の予防は、種々の抗菌剤及び抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸、チメロサール等によって行ってもよい。例えば、糖類、緩衝剤又は塩化ナトリウム等の等張剤を含んでもよい。注射用組成物の長期間の吸収は、吸収遅延剤、例えば、モノステアリン酸アルミニウム及びゼラチン等の組成物中で使用することによって行ってもよい。
【0101】
無菌の注射液は、上に挙げたその他種々の成分と共に、必要とされる量の活性成分を適切な溶媒中に取り込み、次いで必要に応じて濾過滅菌を行うことにより調製される。無菌の注射液を調製するための無菌粉末の場合、調製方法の例には、真空乾燥及び凍結乾燥があり、これらの方法により、活性成分の粉末に加えて、予め滅菌濾過した溶液中に存在する更なる何れかの所望の成分が産生される。
【0102】
有用な固体担体には、タルク、クレー、微結晶性セルロース、シリカ、アルミナ等の微粉固体が含まれる。有用な液体担体には、本発明の化合物を有効なレベルで(必要に応じて無毒の界面活性剤を使用して)溶解又は分散することができる、水、アルコール又はグリセロール又は水−アルコール/グリセロールのブレンドが含まれる。所与の用途に合わせて特性を最適化するために、香料等のアジュバント及び追加の抗菌剤を加えてもよい。得られた液体組成物は、吸収パッドから塗布してもよければ、包帯及びその他の包帯剤に染み込ませるために使用してもよく、ポンプ型スプレー又はエアゾールスプレーを使用して患部に噴霧してもよい。
【0103】
又、合成ポリマー、脂肪酸、脂肪酸塩及びエステル、脂肪アルコール、修飾セルロース又は修飾無機物質等の増粘剤を、使用者の皮膚に直接塗布するために、塗布可能なペースト、ゲル、軟膏、石けん等を形成するための液体担体と共に使用してもよい。
【0104】
化学式(I)の化合物の有用な投与量は、米国特許第5,439,936号及び第5,523,490号に記載のもののようなイルジン類似体について教示されるような動物モデル(例えば、マウス又は犬)におけるin vitro活性及びin vivo活性と、Borch, et al.(米国特許第4,938,949号)に教示されるような高等哺乳動物(例えば、小児及び成人のヒト)における活性とを相関させることにより測定することができる。
【0105】
一般的に、ローション等の液状組成物における化学式(I)の化合物の濃度は、約0.1〜25重量%、例えば約0.5〜10重量%である。ゲル又は粉末等の半固体又は固体組成物中の濃度は、約0.1〜5重量%、例えば約0.5〜2.5重量%である。
【0106】
処置で使用するのに必要とされる化合物、又はその活性塩若しくは誘導体の量は、選択される特定の塩だけでなく、投与経路、治療する病態の性質、患者の年齢及び病態により異なり、最終的には主治医又は臨床医の裁量による。
【0107】
しかし、一般的に、好適な投与量は、約0.5〜約100mg/kg、例えば約10〜約75mg/体重kg/日、例えば、5〜約50mg/体重kg/日であり、15〜60mg/kg/日の範囲等の6〜90mg/kg/日の範囲を含む。
【0108】
化合物は、例えば、単位投与形態当たり5〜1000mg、好都合なことには10〜750mg、最も好都合なことには50〜500mgの活性成分を含む、単位投与形態で都合よく投与される。
【0109】
理想的には、約0.5〜約75μM、例えば、約2〜約10μMを含む約1〜25μMの活性化合物の最高血漿濃度を達成するように投与しなければならない。これは、例えば、必要に応じて生理食塩水中で、0.05〜5%の活性成分溶液の静脈注射により、又は約1〜500mgの活性成分を含む丸薬として経口投与することにより達成される場合がある。望ましい血中濃度は、約0.01〜5.0mg/kg/時間を提供する連続的な注入により、又は約0.4〜15mg/kgの活性成分を含む断続的な注入により維持される場合がある。
【0110】
類似体の治療有効量は、対象及び処置する癌によって必然的に異なる。しかし、イルジンS及びイルジンMに比べて毒性が減少することから、比較的高濃度の類似体を投与できることが見出されている。静脈投与には、30〜112,000μg/体重kgの治療量が特に有効であるが、腹腔内投与の場合には、300〜112,000μg/体重kgが有効である。当業者が認識する通り、最小有効量又は最大許容量は、投与方法及び処置する癌の型により異なる。イロフルベンの場合、最小有効量及び最大許容量を含む有効量は、当業者に公知であり、及び/又は通常の実験により測定することができる。
【0111】
本発明の実施形態を、以下の詳細な実施例を参照することによって更に詳細に説明する。
【実施例】
【0112】
(イルジン類似体の合成)
一般的な実験方法
反応は、エアフリー操作法を使用し、オーブン乾燥させたガラス器具中でN雰囲気下にて実施した。
【0113】
イルジンS、1、ヒドロキシメチルアシルフルベン(HMAF、3)、及びフルベンの合成は、当該技術分野で既知である(例えば、米国特許第5,523,490号、第5,439,942号、第5,439,936号、第5,563,176号、第5,723,632号、第5,856,580号、及び第5,932,553号を参照)。
【0114】
使用前に、反応溶媒を乾燥させ、蒸留した。塩化メチレン(CHCl)を、N雰囲気下にてCaHから蒸留した。その他全ての試薬及び溶媒は、市販の供給源から入手する通りに使用した。溶媒は、ロータリーエバポレーターを使用して、減圧除去した。
【0115】
全てのクロマトグラフィーは、シリカゲルを使用して実施した。分析用TLCはシリカゲルプレートを使用して実施した。反応は、通常、TLCにより監視した。H−NMR及び13C−NMRスペクトルは、それぞれ400及び100MHzで測定した。
【0116】
(実施例1 N−ヒドロキシ−N−(メチルアシルフルベン)尿素(6))
アセトン及び2M HSOの1:1混合液(8.0mL)中のイロフルベン(200mg、0.812mmol)の溶液に、ヒドロキシ尿素(125mg、1.64mmol)を加えた。混合物を室温にて1時間撹拌した後、酢酸エチル及び水で分配させた。有機抽出物を飽和NaHCO及び食塩水で洗浄した後、MgSOで乾燥させ、濃縮した。粗生成物をクロマトグラフィー(1:3ヘキサン−酢酸エチル)により精製し、206mgの標題の化合物をオレンジ色のゴム状物質として得た(83%)。
【0117】
【化11】

【0118】
(実施例2 N−アセトキシ−N−(メチルアシルフルベン)尿素(7))
CHCl(2.0mL)中の6(20.4mg、67.0μmol)及びAcO(7.0μL、74μmol)の溶液に、DMAP(2.0mg、16μmol)を加えた。混合物を15分間撹拌した後、シリカゲルカラムに直接添加し、クロマトグラフィー(10:1ヘキサン−酢酸エチル)により精製し、23.2mgの6を、オレンジ色のゴム状物質として得た(定量)。
【0119】
【化12】

【0120】
(実施例3 in vitroにおけるアシルフルベン類似体の抗癌活性)
化合物6、7、14、16、18、20、21及び22の抗癌活性を、in vitroでMV522肺癌細胞を使用して、イロフルベン(3)の活性と比較した(Kelner M.J., et al., Cancer Res. 1987, 47, 3186を参照)。2時間の曝露時間において、化合物6及び22は、イロフルベンに匹敵する活性を有していたが、アセチル化誘導体7は、イロフルベンよりも優れた効果を有していた(表1)。類似体14、16、18、20及び21は、2時間の時点では、イロフルベンに比べてMV522細胞に対する効果が低かった。48時間のインキュベーション後におけるアシルフルベンの効果の順位は、イロフルベン>7、22>20>6>14>21>16>18であった。
【0121】
【表1】

【0122】
4種の細胞系である、HT29結腸癌、OVCAR−3卵巣癌、AsPC−1膵臓癌、及びPC−3前立腺癌細胞を使用して、1時間のインキュベーションにおける化合物6及びイロフルベンのIC50値を、MTS生存検定を使用して確立した(Buttke T.M., et al., J Immunol Methods. 1993, 157, 233)。イロフルベンに比べて、化合物6は、卵巣癌、結腸癌及び前立腺癌細胞に対して同様の効果を有していたが、膵臓癌細胞系に対してはより優れた効果を示した(表2)。
【0123】
【表2】

【0124】
(実施例4 in vivoにおけるアシルフルベン類似体の抗癌活性)
MV522異種移植片モデルを、記述の通り(Kelner M.J, et al., Invest New Drugs. 1996, 14, 161)、化合物6及び7のin vivo活性試験に使用した。MV522腫瘍を皮下に有するマウスに、10mg/kgのイロフルベン、化合物6の場合は7.5〜10mg/kg、又は化合物7の場合は5〜15mg/kgの投与量で、週3回3週間(週3回21日間)にわたり腹腔内投与した。化合物6は、MV522腫瘍に対して強力な抗腫瘍活性を有しており、7.5及び10mg/kg投与量で処理したマウスにおいて、それぞれ4/6及び5/5の部分反応を示した。15mg/kgの化合物7を投与したマウスにおいては、部分反応(4/6)が観察されたが、5mg/kg及び10mg/kgの投与群においては、腫瘍成長阻害(それぞれ、56%及び79%)が生じた。最終的な相対的腫瘍重量によると、化合物6及び7は、イロフルベンに比べて同様の抗腫瘍効果を有していた。これらの生物学的試験の結果は、化合物6及び7がヒトの抗腫瘍療法に有効な薬剤であることを示唆している。
【0125】
【表3】

【0126】
(実施例5 in vitroにおけるアシルフルベン類似体の血漿安定性)
化合物6及び7を、それぞれの血漿安定性についてイロフルベンと比較した(例えば、安定性の向上、又は血漿における化合物のin vivo末期排出半減期(T1/2);安定性及びT1/2が向上すると、化合物は腫瘍又は血液癌細胞等の癌性細胞に取り込まれ、この細胞に対する効果を有すると考えられている)。貯蔵した新鮮なヒト結晶を各類似体でスパイクし、化合物の安定性プロフィールを、LC/MS/MSを使用して37℃にて測定した。化合物6の方が安定しており、化合物7は、イロフルベンよりもヒト血漿内において安定性が低かった(図3)。これらの特性は、化合物6及び7をイロフルベンと差別化し、治療効果を向上させ得る。化合物6の血漿安定性の向上は、本化合物が薬剤に対する腫瘍の曝露増大に関連することから、薬学製剤及び送達において特に有利である可能性がある。従って、化合物6はin vitroにおいてヒト血漿中での安定性が向上している(図3)。
【0127】
(実施例6 アシルフルベン類似体の薬物動態)
化合物6の薬物動態(PK)をCD−1オスマウスにて調べた。5mg/kgの静脈注射を1回行った後、連続した採血及びLC/MS/MSによる血漿解析を行った。イロフルベンに比べて、化合物6は、異なるPK特性を示した(図4及び表4)。化合物6ではCmax及びAUCが大きく、Tは有意に長く、全身クリアランス(CLp)及び分布容積(Vdss)は、イロフルベンに比べて化合物6において減少した。従って、化合物6はイロフルベンとは有意に異なる薬物動態プロフィールを有する(図4;表4)。
【0128】
【表4】

【0129】
(実施例7 アシルフルベン類似体の新規の投与スケジュール)
本明細書にはアシルフルベン類似体の新規の投与スケジュールが記載されている。この投与スケジュールでは、週3回21日間の断続的なスケジュールにおける各投与の予め決められた最大許容量(MTD)を超える、個々の投与量の投与がそれほど頻繁に必要とならない。例えば、化合物6を、週1回14日間の投与スケジュールで試験した。このスケジュールでは、全蓄積投与量が、週3回21日間のスケジュールで投与された全蓄積投与量よりも低いものの、同等の効果を有していた(図5)。週3回21日間の投与スケジュールは、イロフルベンの標準的な投与方法である。本明細書に記載される化合物6の週1回21日間のスケジュールは、以前の作業から考えると予想外なものであり、合計量の少ない細胞毒性を有する化学療法剤を少ない頻度で投与する独特の機会を示し、それため患者における全体的な毒性効果を減少する。週1回の投与は、より多くの投与スケジュールよりも容易であることから、これは、ヒトに対する安全性及び服薬率を上昇させる。
【0130】
週1回のスケジュールにおける化合物6の投与のin vivo活性を試験するために、MV522異種移植片モデルを使用した。MV522腫瘍を皮下に有するヌードマウスに、17.5mg/kgの化合物6を週1回14日間、又は7.5mg/kgの化合物6又は10mg/kgのイロフルベンを断続的なスケジュール(週3回21日間)で腹腔内投与した。比較の投与は、週3回21日間のスケジュールの予め決められた有効なMTDsであった(図5)。このデータは、週1回の投与スケジュールで化合物6は合計投与量が少ないにもかかわらず、断続的なスケジュールにおける比較対照に比べて同等の抗腫瘍活性を有することを示した。結果は、化合物6を含むがこれに限定されない、アシルフルベンについて新規の投与スケジュールを使用して投与される、本明細書に記載の化合物が、ヒトにおける癌の処置により安全な治療方法として特に有用であることを示唆している。
【0131】
従って、本発明の化合物は、より少なく頻度が少ない薬剤を使用することをヒトに提供する。更に、本発明の化合物は、イロフルベンと同じ投与量で良好な効果を、及びイロフルベンより低い投与量で実質的に同等の効果を可能とする。有効な単回投与(週に複数回(例えば、週2、3回以上)を数週間(例えば、1、2、3週間以上)又は週1回を1、2、3週間以上投与することができる)には、約0.1〜約1.0mg/kg;約0.2〜約0.8mg/kg、約0.3〜約0.7mg/kg、約0.4〜約0.6mg/kg、又は約0.5mg/kgが含まれる。例えば、有効な単回投与には、約0.5mg/kg未満、約0.45mg/kg未満、約0.4mg/kg未満、約0.35mg/kg未満、約0.30mg/kg未満、約0.25mg/kg未満、約0.2mg/kg未満、又は約0.15mg/kg未満が含まれる。一実施形態において、単回投与は、週1回2週間実施される。
【0132】
例えば、一実施形態は、癌の処置を必要とする対象に、以下の化学式の化合物:
【0133】
【化13】

【0134】
又はその薬学的に許容される塩を、前記癌の進行を減少させるか又は逆転させるのに十分な量で投与することを含む治療方法であって、前記投与量が、癌の進行の治療的に実質的に同等の減少又は逆転を達成するのに必要なイロフルベンの量よりも低く、前記癌が、肺癌、卵巣癌、結腸癌、前立腺癌、又は膵臓癌である、方法を提供する。
【0135】
別の実施形態は、癌の処置を必要とする対象に、以下の化学式の化合物:
【0136】
【化14】

【0137】
又はその薬学的に許容される塩を、0.45mg/kg未満の投与量で静脈注射により投与することを含む治療方法であって、前記癌が、肺癌、卵巣癌、結腸癌、前立腺癌、血液癌、又は膵臓癌である、方法を提供する。一実施形態において、化合物は、0.4mg/kg未満の投与量で投与される。別の実施形態においては、化学療法剤が対象(例えば、癌患者)に一緒に投与される。
【0138】
別の実施形態は、癌の処置を必要とする対象に、以下の化学式の化合物:
【0139】
【化15】

【0140】
又はその薬学的に許容される塩を投与することを含む治療方法であって、前記化合物が、11mg/m未満の濃度で静脈注射によって投与される、方法を提供する。
【0141】
別の実施形態は、癌の処置を必要とする対象に、以下の化学式の化合物:
【0142】
【化16】

【0143】
又はその薬学的に許容される塩を、前記癌の進行を減少又は逆転するのに十分な量及び頻度で投与することを含む治療方法であって、前記頻度が、イロフルベンの繰り返し投与による、治療的に同等の、癌の進行の減少又は逆転を達成するのに必要な頻度より少なく、前記癌が、肺癌、結腸癌、前立腺癌、又は膵臓癌である、方法を提供する。
【0144】
全ての刊行物、特許及び特許文書は、個別に参考として援用されているのと同じように、本明細書で参考として援用される。以上において、本発明を、種々の特定の実施形態及び技法を参照して説明してきたが、本発明の趣旨及び適用範囲内に含まれたまま、多くの変形及び改変が実施される場合があることが理解されなければならない。
【図面の簡単な説明】
【0145】
【図1】図1は、MV522異種移植片モデルに対する化合物6の活性を示すグラフである。
【図2】図2は、MV522異種移植片モデルに対する週3回21日間の投与スケジュールにおける化合物7の活性を示すグラフである。
【図3】図3は、37℃のヒト血漿におけるイロフルベン並びに化合物6及び7の安定性を示すグラフである。
【図4】図4は、マウスにおける5mg/kgの静脈投与後のイロフルベン及び化合物6の血漿−時間濃度プロフィールを示すグラフである。
【図5】図5は、ヌードマウス異種移植片モデルのMV522腫瘍細胞系に対する週3回21日間及び週1回14日間の投与スケジュールにおける化合物6の活性を示すグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の化学式(I)を有する化合物であって、
【化1】

式中、
が−C(X)X(R)又はHであり;XがO又はSであり;XがO、S、又はN(R10)であり;
が、水素、−C(=O)(C−C)アルキル、−C(=O)(C−C)アルキル(C−C10)アリール、−C(=O)(C−C10)アリール、又は−(C−C)アルキルであり;
が、水素、又は(C−C)アルキルであり;
が、水素、−SCHCO(C−C)アルキル、−O−(C−C10)アリール、又は−S−(C−C10)アリールであって;アリールが必要に応じてハロ、OH又は(C−C)アルキルで置換され;
が、水素、OHであるか、又は不在であり;
が、水素、又は(C−C)アルキルであり;及び
が、OH又はSi((C−C)アルキル)であるか;
及びRが一緒になってエチレンジオキシであり;
が(C−C)アルキルであり;必要に応じてOH又はハロで置換され;
が、水素、(C−C)アルキル、−(C−C)アルキル(C−C10)アリール、又は−(C−C10)アリール;又は−(C−C)アルキル(C−C10)ヘテロアリール、又は−(C−C10)ヘテロアリールであり;
10が、水素、又は(C−C)アルキルであり;nが1、2、3、4、5又は6であり;
−−−で表わされる結合は必要に応じて存在するか、又は不在である、
化合物;或いはその薬学的に許容される塩。
【請求項2】
が−C(=O)OR、又は−C(=O)N(R10)(R)である、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
が−C(=O)ORである、請求項1又は2に記載の化合物。
【請求項4】
が−C(=O)OCHCHである、請求項3に記載の化合物。
【請求項5】
が−C(=O)OCHPhである、請求項4に記載の化合物。
【請求項6】
が−C(=O)OC(CHである、請求項4に記載の化合物。
【請求項7】
が−C(=O)N(R10)(R)である、請求項3に記載の化合物。
【請求項8】
が−C(=O)N(R10)CHCHである、請求項7に記載の化合物。
【請求項9】
が−C(=O)N(R10)CHPhである、請求項3に記載の化合物。
【請求項10】
が−C(=O)N(R10)C(CHである、請求項3に記載の化合物。
【請求項11】
10が水素、又は(C−C)アルキルである、請求項7〜10の何れか1項に記載の化合物。
【請求項12】
10が水素、メチル又はエチルである、請求項7〜11の何れか1項に記載の化合物。
【請求項13】
10が水素又はメチルである、請求項7〜12の何れか1項に記載の化合物。
【請求項14】
10がメチルである、請求項7〜13の何れか1項に記載の化合物。
【請求項15】
10が水素である、請求項7〜13の何れか1項に記載の化合物。
【請求項16】
が、水素、−C(=O)(C−C)アルキル、−C(=O)(C−C)アルキル(C−C10)アリール、又は−(C−C)アルキルである、請求項1〜15の何れか1項に記載の化合物。
【請求項17】
が、水素、−C(=O)(C−C)アルキル、又は−C(=O)(C−C)アルキル(C−C10)アリールである、請求項1〜16の何れか1項に記載の化合物。
【請求項18】
が、水素、−C(=O)(C−C)アルキル、−C(=O)(C−C)アルキル(C−C10)アリール、又は−(C−C)アルキルである、請求項1〜17の何れか1項に記載の化合物。
【請求項19】
が、水素、−C(=O)CH、−C(=O)CHCH、−C(=O)CHフェニル、−C(=O)CHCHフェニル、−CH、又は−CHCHである、請求項1〜18の何れか1項に記載の化合物。
【請求項20】
が、水素、−C(=O)CH、−C(=O)CHCH、−C(=O)CHフェニル、又は−C(=O)CHCHフェニルである、請求項1〜19の何れか1項に記載の化合物。
【請求項21】
が、水素、−C(=O)CH、又は−C(=O)CHフェニルである、請求項1〜20の何れか1項に記載の化合物。
【請求項22】
が水素である、請求項1〜20の何れか1項に記載の化合物。
【請求項23】
が−C(=O)CHである、請求項1〜20の何れか1項に記載の化合物。
【請求項24】
が−C(=O)CHフェニルである、請求項1〜20の何れか1項に記載の化合物。
【請求項25】
が、水素、−CH、又は−CHCHである、請求項1〜24の何れか1項に記載の化合物。
【請求項26】
が−CHである、請求項1〜24の何れか1項に記載の化合物。
【請求項27】
が、水素、−CH、又は−CHCHである、請求項1〜24の何れか1項に記載の化合物。
【請求項28】
が−CHである、請求項1〜24の何れか1項に記載の化合物。
【請求項29】
nが1、2又は3である、請求項1〜24の何れか1項に記載の化合物。
【請求項30】
nが1である、請求項1〜24の何れか1項に記載の化合物。
【請求項31】
nが2である、請求項1〜24の何れか1項に記載の化合物。
【請求項32】
nが3である、請求項1〜24の何れか1項に記載の化合物。
【請求項33】
前記任意の結合(−−−)が存在し;Rが不在であり;R、R及びRが、それぞれ−CHであり;RがHであり;RがOHであり;nが1である、請求項1〜24の何れか1項に記載の化合物。
【請求項34】
以下の化学式を有する、請求項1〜24の何れか1項に記載の化合物:
【化2】

【請求項35】
以下の化学式を有する、請求項34に記載の化合物:
【化3】

【請求項36】
癌細胞成長を阻害する治療を必要とする対象における癌細胞成長を阻害する治療方法であって、請求項1〜35の何れか1項に記載の化合物の治療のための量を投与することを含む、方法。
【請求項37】
前記対象がヒトの癌患者である、請求項36に記載の治療方法。
【請求項38】
前記患者が固形腫瘍に罹患している、請求項36に記載の治療方法。
【請求項39】
前記固形腫瘍が、肺癌、卵巣癌、前立腺癌、乳癌、子宮内膜癌、膀胱癌、腎臓癌、膵臓癌、中枢神経系癌、メラノーマ又は結腸癌である、請求項38に記載の治療方法。
【請求項40】
前記患者が血液癌に罹患している、請求項36に記載の治療方法。
【請求項41】
前記血液癌が、B細胞白血病、B細胞リンパ腫、骨髄腫、T細胞白血病、T細胞リンパ腫、小細胞白血病、又は小細胞リンパ腫である、請求項40に記載の治療方法。
【請求項42】
前記白血病が急性リンパ性白血病(ALL)又は慢性リンパ性白血病(CLL)である、請求項41に記載の治療方法。
【請求項43】
医学的治療で使用される、請求項1〜35の何れか1項に記載の化合物。
【請求項44】
前記医学的治療が癌を処置している、請求項43に記載の使用。
【請求項45】
哺乳動物における癌の処置に有用な医薬品を調製するための、請求項1〜35の何れか1項に記載の化合物の使用。
【請求項46】
前記癌が固形腫瘍である、請求項44又は45に記載の使用。
【請求項47】
前記固形腫瘍が、肺癌、卵巣癌、前立腺癌、乳癌、子宮内膜癌、膀胱癌、腎臓癌、膵臓癌、中枢神経系癌、メラノーマ又は結腸癌である、請求項46に記載の使用。
【請求項48】
前記癌が血液癌である、請求項44又は45に記載の使用。
【請求項49】
前記血液癌が、B細胞白血病、B細胞リンパ腫、骨髄腫、T細胞白血病、T細胞リンパ腫、小細胞白血病、又は小細胞リンパ腫である、請求項48に記載の使用。
【請求項50】
白血病が急性リンパ性白血病(ALL)又は慢性リンパ性白血病(CLL)である、請求項49に記載の使用。
【請求項51】
前記医薬品が薬学的に許容される担体を含む、請求項45に記載の使用。
【請求項52】
同量のイロフルベン(6−ヒドロキシメチルアシルフルベン)を使用した処置に比べて毒性が減少した、癌の処置に有効な医薬品を調製するための、請求項1〜35の何れか1項に記載の化合物を使用する方法。
【請求項53】
前記化合物が以下の化学式を有する、請求項52に記載の方法:
【化4】

【請求項54】
医薬品が静脈注射に適合されている、請求項52〜53の何れか1項に記載の方法。
【請求項55】
医薬品が腹腔内投与又は経口投与に適合されている、請求項52〜53の何れか1項に記載の方法。
【請求項56】
前記医薬品が更に第二の化学療法剤を含む、請求項52〜55の何れか1項に記載の方法。
【請求項57】
前記医薬品が、約0.1mg/kg〜約1.0kgの前記化合物の投与量を提供するように適合されている、請求項52〜56の何れか1項に記載の方法。
【請求項58】
前記医薬品が、約0.25mg/kg〜約0.65kgの前記化合物の投与量を提供するように適合されている、請求項52〜57の何れか1項に記載の方法。
【請求項59】
前記医薬品が、0.50mg/kg未満の前記化合物の投与量を提供するように適合されている、請求項52〜58の何れか1項に記載の方法。
【請求項60】
前記医薬品が、週1回の投与スケジュールにより、前記化合物の有効量を2週間にわたり提供するように適合されている、請求項52〜59の何れか1項に記載の方法。
【請求項61】
イロフルベンの最小有効量を減少させるか、又は最大許容抗癌量を増大させる方法であって、イロフルベンの6−ヒドロキシメチル部分を(CHN(R)(OR
(式中、
nが1、2、3、4、5又は6であり;
が−C(X)X(R)又はHであり;
が、水素、−C(=O)(C−C)アルキル、−C(=O)(C−C)アルキル(C−C10)アリール、−C(=O)(C−C10)アリール、又は−(C−C)アルキルであり;
がO又はSであり;
がO、S、又はN(R10)であり;
が、水素、(C−C)アルキル、−(C−C)アルキル(C−C10)アリール、又は−(C−C10)アリール;又は−(C−C)アルキル(C−C10)ヘテロアリール、又は−(C−C10)ヘテロアリールであり;
10が、水素、(C−C)アルキルである);或いは
その薬学的に許容される塩、で置き換えることを含む、方法。
【請求項62】
イロフルベンの前記6−ヒドロキシメチル部分が、−CHN(OH)−C(=O)−NHで置き換えられる、請求項61に記載の方法。
【請求項63】
全投与量が、イロフルベンに必要とされるよりも少なくとも約40%少ない、請求項61又は62に記載の方法。
【請求項64】
全投与量が、イロフルベンに必要とされるよりも少なくとも約50%少ない、請求項61又は62の何れか1項に記載の方法。
【請求項65】
全投与量が、イロフルベンに必要とされるよりも少なくとも約60%少ない、請求項61〜64の何れか1項に記載の方法。
【請求項66】
前記癌が固形腫瘍である、請求項52〜65の何れか1項に記載の方法。
【請求項67】
前記固形腫瘍が、肺癌、卵巣癌、前立腺癌、乳癌、子宮内膜癌、膀胱癌、腎臓癌、膵臓癌、中枢神経系癌、メラノーマ又は結腸癌である、請求項66に記載の方法。
【請求項68】
前記癌が血液癌である、請求項52〜65の何れか1項に記載の方法。
【請求項69】
前記血液癌が、B細胞白血病、B細胞リンパ腫、骨髄腫、T細胞白血病、T細胞リンパ腫、小細胞白血病、又は小細胞リンパ腫である、請求項68に記載の方法。
【請求項70】
前記白血病が急性リンパ性白血病(ALL)又は慢性リンパ性白血病(CLL)である、請求項69に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2009−503110(P2009−503110A)
【公表日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−525225(P2008−525225)
【出願日】平成18年8月3日(2006.8.3)
【国際出願番号】PCT/US2006/030439
【国際公開番号】WO2007/019308
【国際公開日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【出願人】(592130699)ザ リージェンツ オブ ザ ユニバーシティ オブ カリフォルニア (364)
【氏名又は名称原語表記】The Regents of The University of California
【Fターム(参考)】