説明

抗癌治療の活性を促進するための方法及び組成物

本発明は癌細胞の増殖の抑制方法に関する。この方法は、癌細胞を抗癌治療及び有効量のステロイドサポニンにさらすステップを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、癌細胞の増殖を抑制するための方法及び組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
化学療法及び放射線治療は相変わらず癌治療に対する主たるアプローチであり、手術は癌を物理的に切除する手段を提供する。より最近では、抗体のような生物学的物質が抗癌治療として開発された。
【0003】
多くの抗癌剤及び放射線治療の応用は、抗癌治療を用いる治療により生ずる細胞死を生物学的プロセスに活用すると癌細胞は最終的に壊れるという前提に基づいている。
【0004】
上記プロセスの1つがアポトーシスである。アポトーシスは各種刺激によりトリガーされる自滅の複雑な細胞プログラムであり、このプログラムにより死にかけている細胞が縮み、凝縮し、その後断片化する自滅が生じ、通常他の細胞(例えば、食細胞)により飲み込まれる小さい膜結合アポトーシス体が放出される。
【0005】
一般的な化学療法剤はDNAと共有結合して付加物を形成し、これによりDNAがダメージを受け、アポトーシスがトリガーされる。従来の化学療法剤は、(i)健康な増殖細胞にも影響を及ぼすので重大な副作用が生ずる;及び(ii)癌細胞による化学療法剤に対する耐性が高い;という2つの大きな欠点を有している。この点で、癌細胞は経時的に化学療法剤に対する耐性を発現させ得、最終的に多剤耐性を発現させる恐れがある。
【0006】
薬剤耐性腫瘍においてアポトーシスが抑制されると、薬物の死誘発作用に悪影響を及ぼすだけでなく、DNAがダメージを受けた後に細胞が追加の突然変異を受ける可能性がある。原則として、これらの突然変異誘発性細胞はより悪性となり、その後の治療に対する感受性が低下しさえし、例えば抗アポトーシス病巣を含む高耐性腫瘍の治療は有害無益であり得る。
【0007】
癌細胞の特徴の1つは癌細胞がアポトーシスを逃れることである。アポトーシス経路が破壊されると、化学療法の臨床アウトカムに重大な影響が生ずる。化学療法剤が有効であるためには、細胞はアポトーシスを受けなければならない。従って、多くの抗癌剤はアポトーシスを誘発することにより癌細胞に対して初期の抗腫瘍効果を発揮しているので、アポトーシスは癌化学療法における非常に重要な現象である。
【0008】
しかしなから、幾つかの化学療法剤はすぐにアポトーシスを抑制するだけでなく、多くの腫瘍は不完全なアポトーシス経路を有しており、よって多くの腫瘍は本質的に化学療法に対してより耐性である。更に、アポトーシスの割合は腫瘍組織において必ずしも高くないが、アポトーシスの誘発は癌患者における腫瘍応答及び臨床アウトカムと相関している。
【0009】
多くのタイプの癌を治療するための重大な障害の1つは、非小細胞肺癌において生ずるような化学療法剤に対する耐性の発現または存在である。例えば、シスプラチン耐性の発現は治療失敗の主たる原因である。シスプラチン耐性には幾つかのメカニズムが関与しており、その1つはその後アポトーシス経路を抑え、耐性の発現に寄与する恐れがある発癌遺伝子(例えば、Bcl-2)の変容発現である。
【0010】
従って、抗癌治療の癌細胞に対する活性を高めるために抗癌治療と一緒に使用され得る物質が要望されている。本発明は、抗癌剤及び抗癌治療の活性を高めるためのステロイドサポニンの使用に関する。
【0011】
本明細書中の従来技術として挙げられている特許文献等に対する言及は、本出願の優先日にこれらの文献等が公知であったり、そこに含まれている情報が共通の一般常識の一部であったとの容認として受け取るべきでない。
【発明の概要】
【0012】
本発明は、癌細胞の増殖を抑制するステロイドサポニンの能力の研究に基づいている。特に、ステロイドサポニンは癌細胞の増殖を抑制するための多数の化学療法剤及び抗癌剤の活性を高めることが判明した。
【0013】
理論に束縛されないが、抗癌剤の抗癌活性を高めるステロイドサポニンの能力は、抗癌治療と一緒に使用したときのステロイドサポニンの癌細胞におけるアポトーシスを促進する能力による。ステロイドサポニンがアポトーシスを促進する能力についての1つのメカニズムは、さもなければ癌細胞においてアポトーシスを抑える可能性がある分子を標的にするまたは抑制するステロイドサポニンの能力による。
【0014】
よって、本発明は、抗癌剤(例えば、化学療法剤)の活性を促進するため、抗癌治療(例えば、放射線治療)の活性を促進するために使用され得る。
【0015】
従って、本発明は、癌細胞を癌治療及び有効量のステロイドサポニンにさらすことを含む癌細胞の増殖の抑制方法を提供する。
【0016】
本発明は、被験者において癌細胞の増殖を抑制するための薬剤の製造におけるステロイドサポニン及び抗癌剤の使用をも提供する。
【0017】
本発明は、被験者を有効量のステロイドサポニンにさらすことを含む前記被験者における抗癌治療の活性の促進方法をも提供する。
【0018】
本発明は、被験者において抗癌治療の活性を促進させるための薬剤の製造におけるステロイドサポニンの使用をも提供する。
【0019】
本発明は、被験者を抗癌治療及び有効量のステロイドサポニンにさらすことを含む前記被験者における腫瘍の形成及び/または増殖の抑制方法をも提供する。
【0020】
本発明は、被験者において腫瘍の形成及び/または増殖を抑制するための薬剤の製造におけるステロイドサポニン及び抗癌剤の使用をも提供する。
【0021】
本発明は、被験者を抗癌治療及び有効量のステロイドサポニンにさらすことを含む前記被験者における癌の予防及び/または治療方法をも提供する。
【0022】
本発明は、被験者において癌を予防及び/または治療するための薬剤の製造におけるステロイドサポニン及び抗癌剤の使用をも提供する。
【0023】
本発明は、ステロイドサポニン及び抗癌剤を含み、そのステロイドサポニン及び抗癌剤が被験者に対して共投与する形態でまたは被験者に対して別々に投与する形態で提供されている、組合せ剤(combination product)をも提供する。
【0024】
本発明は、抗癌剤及びステロイドサポニンを含む抗癌組成物をも提供する。
【0025】
本発明は、被験者を有効量のステロイドサポニンにさらすことを含む、前記被験者において癌を予防及び/または治療すべく前記被験者に対して与えられる抗癌治療の量の低減方法をも提供する。
【0026】
本発明は、癌を予防及び/または治療すべく被験者に対して与えられる抗癌治療の量を低減させるための薬剤の製造におけるステロイドサポニンの使用をも提供する。
【0027】
本発明は、抗癌治療に対して高い耐性を有する被験者を有効量のステロイドサポニンにさらすことを含む前記被験者における癌の予防及び/または治療方法をも提供する。
【0028】
本発明は、抗癌治療に対して高い耐性を有する被験者において癌を予防及び/または治療するための薬剤の製造におけるステロイドサポニンの使用をも提供する。
【0029】
本発明は、癌細胞を有効量のステロイドサポニンにさらすことを含む癌細胞中で発現している抗癌治療に対する耐性の低下方法をも提供する。
【0030】
本発明は、癌細胞中で発現している抗癌治療に対する耐性を低下させるための薬剤の製造におけるステロイドサポニンの使用をも提供する。
【0031】
本発明は、癌細胞を有効量のステロイドサポニンにさらすことを含む癌細胞を抗癌治療にさらすことによる癌細胞のアポトーシスの促進方法をも提供する。
【0032】
本発明は、癌細胞を抗癌治療にさらすことによる癌細胞のアポトーシスを促進させるための薬剤の製造におけるステロイドサポニンの使用をも提供する。
【0033】
本発明は、デルトニンを含む医薬組成物をも提供する。
【0034】
本発明は、薬剤の製造におけるデルトニンの使用をも提供する。
【0035】
本発明は、プロサポゲニンAを含む医薬組成物をも提供する。
【0036】
本発明は、薬剤の製造におけるプロサポゲニンAの使用をも提供する。
【0037】
本発明は、アスペリンを含む医薬組成物をも提供する。
【0038】
本発明は、薬剤の製造におけるアスペリンの使用をも提供する。
【0039】
本明細書を通じて使用されている各種用語は当業者が理解している意味を有している。しかしながら、容易に参照できるようにこれらの用語の幾つかをここで定義する。
【0040】
本明細書を通じて使用されている用語「グリコシド」は、トリテルペン、ステロイドまたはステロイドアルカロイドアグリコン(非糖類)成分に連結して糖類(糖)部分(単糖、二糖または多糖)を含む化合物を意味すると理解される。多くの場合、糖類(糖)部分はアグリコンのC-3位に連結されているが、他の連結も本発明の範囲に含まれる。例えば、C-26位に結合している糖類を含むフロスタノールグリコシド及びスピロスタノールグリコシドの両方がステロイドサポニンのサブクラスである。
【0041】
本明細書を通じて使用されている用語「サポニン」は、通常アグリコンのC-3位を介してアグリコンに結合している糖類(糖)を含むグリコシドを意味すると理解される。
【0042】
本明細書を通じて使用されている用語「ステロイドサポニン」は、窒素原子非含有アグリコンに結合した(1つ以上の単糖、二糖または多糖単位を含めた)1つ以上の糖類単位を含むグリコシドを意味すると理解される。
【0043】
これに関して、用語「ステロイドサポニン」は抗癌治療の活性を高める能力の点で機能的に均等である化合物の塩または他の誘導体もその範囲に含むと理解される。
【0044】
ステロイド「アグリコン」は「ゲニン」または「サポゲニン」とも称され、これらの用語は明細書を通じて互換可能に使用され、いずれもサポニン分子の非糖類部分を意味すると理解される。
【0045】
本明細書を通じて使用されている用語「糖類A-(1→n)-糖類B」は、糖類AがC-1により糖類BのC-n(ここで、nは整数である)に連結していることを意味すると理解される。
【0046】
例えば、一般名が「カコトリオース」の多糖はα-L-ラムノピラノシル-(1→2)-[α-L-ラムノピラノシル-(1→4)]-β-D-グルコピラノシドである。本明細書中で使用されているIUPAC推奨に従う命名法では、Rha 2,[Rha 4],Glcと略記される。
【0047】
本明細書を通じて使用されている用語「抗癌治療」は、抗癌剤、例えば化学療法剤(例えば、シスプラチン)または生物学的物質(例えば、抗体);或いは抗癌治療、例えば放射線治療を意味すると理解される。
【0048】
本明細書を通じて使用されている用語「被験者」はヒトまたは動物被験者を意味すると理解される。これに関して、本発明はその範囲に獣医学的使用を含むと理解される。例えば、動物被験者は哺乳動物、霊長類、家畜動物(例えば、ウマ、ウシ、ヒツジ、ブタまたはヤギ)、愛玩動物(例えば、イヌ、ネコ)、実験動物(例えば、マウス、ラット、モルモット、鳥)、獣医学的に重要な動物または経済的に重要な動物であり得る。
【0049】
本明細書を通じて使用されている用語「治療する」及びその変形は、有効量のステロイドサポニンを用いる治療介入を意味すると理解される。例えば、この用語はその範囲に以下のアウトカム:(i)切除後の原発性腫瘍の増殖の縮小を含めた被験者における原発性腫瘍の増殖の抑制または予防;(ii)被験者における1つ以上の続発性腫瘍の増殖及び形成の抑制または予防;(iii)非治療状態と比べた被験者の平均寿命の改善;及び(iv)非治療状態と比べた被験者の生活の質の改善;の1つ以上を有する治療介入が含まれる。
【0050】
本明細書を通じて使用されている用語「抑制する」は、プロセスの開始、速度、確率、継続または停止の1つ以上を含めたプロセスの進行の低下を意味すると理解される。
【0051】
細胞に関連して本明細書を通じて使用されている用語「癌細胞」は、不死化されており、その増殖が他の細胞により接触抑制されない細胞を意味すると理解される。癌細胞は外因性増殖因子に対する依存及び/または足場依存性増殖をもはや示さないことがある。
【0052】
本明細書を通じて使用されている用語「生体系」は任意の多細胞系を意味すると理解され、分離された細胞群から全生物までが含まれる。例えば、生体系は組織培養物中の細胞、組織または臓器、或いは癌細胞の望ましくないまたはコントロールされない増殖の影響を受けているヒト被験者全体であり得る。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】図1は、マウスに皮下導入したHT29ヒト前立腺癌における5-フルオロウラシルと併用したデルトニンの腫瘍容積に対する影響を示す。
【発明を実施するための形態】
【0054】
上記したように、1つの実施形態で、本発明は、癌細胞を抗癌治療及び有効量のステロイドサポニンにさらすことを含む癌細胞の増殖の抑制方法を提供する。
【0055】
本発明は、ステロイドサポニンが抗癌治療の活性を促進させる能力を有しているという知見に基づいている。すなわち、ステロイドサポニンは癌細胞の増殖を抑制するために抗癌治療と一緒に使用され得る。
【0056】
本発明の各種実施形態での癌細胞はヒトまたは動物細胞であり得る。
【0057】
癌細胞はインビボまたはインビトロで存在する癌細胞であり得る。例えば、癌細胞はインビトロ細胞培養物中に存在する癌細胞であり得る。
【0058】
インビボの細胞の場合、癌細胞は原発性細胞、例えば被験者の腫瘍から単離したまたは被験者の腫瘍に由来する癌細胞であり得る。或いは、癌細胞は癌細胞株由来の細胞であり得る。癌細胞株の例にはヒトメラノーマ、結腸腺癌(WiDr)、乳癌(MCF7)、マウスT細胞リンパ腫(WEHI-7)、マウス線維肉腫(WEHI-164/IC)、SKMel28(メラノーマ)、HT29(結腸癌)、CI80-13S(卵巣癌)、A549(肺癌)、DU145(前立腺癌-ホルモン非依存性)、PC3(前立腺癌-ホルモン依存性)、LNCap(前立腺癌-ホルモン依存性)、K562(ヒト赤白血病)及びMM96L(メラノーマ)が含まれる。
【0059】
本発明の各種形態における癌細胞は生体系中に存在する細胞、例えば被験者中の原発性腫瘍及び/または1つ以上の続発性腫瘍に関連する癌細胞を含めたインビボで存在する癌細胞であってもよい。
【0060】
これに関連して、用語「生体系」は多細胞株系を意味すると理解され、分離された細胞群から全生物までを含む。例えば、生体系は組織または臓器、或いは癌を有する被験者を含めた被験者全体であり得る。
【0061】
従って、別の実施形態で、本発明は、生体系中の癌細胞を抗癌治療及び有効量のステロイドサポニンにさらすことを含む前記癌細胞の増殖の抑制方法を提供する。
【0062】
被験者中に存在する癌細胞の場合、その癌細胞は例えば癌腫、膀胱癌、骨癌、脳腫瘍、乳癌、子宮頸癌、大腸癌(結腸、直腸、肛門及び虫垂の癌を含む)、食道癌、ホジキン病、腎臓癌、喉頭癌、白血病、肝癌、肺癌、リンパ腫、メラノーマ、母斑及び異形成母斑、多発性骨髄腫、筋肉癌、非ホジキンリンパ腫、口腔癌、卵巣癌、膵臓癌、前立腺癌、肉腫、皮膚癌、胃癌、精巣癌、奇形腫、甲状腺癌及び子宮癌の1つ以上に関係している。
【0063】
1つの実施形態において、抗癌治療は癌細胞を抗癌剤(例えば、化学療法剤または生物学的物質)にさらすことである。
【0064】
別の実施形態では、抗癌治療は癌細胞を抗癌治療(例えば、放射線治療)にさらすことである。
【0065】
本発明はまた、被験者における癌細胞の増殖を抑制するための薬剤の製造におけるステロイドサポニン及び抗癌剤の使用を提供する。
【0066】
先に検討したように、本発明は、被験者をステロイドサポニンにさらすことにより前記被験者における抗癌治療の活性を促進するために使用され得る。
【0067】
従って、別の実施形態で、本発明は、被験者を有効量のステロイドサポニンにさらすことによる前記被験者における抗癌治療の活性の促進方法を提供する。
【0068】
ステロイドサポニンは抗癌剤の活性を促進するための薬剤の製造において使用され得る。
【0069】
従って、別の実施形態で、本発明は、被験者における抗癌剤の活性を促進するための薬剤の製造におけるステロイドサポニンの使用を提供する。
【0070】
本発明は、被験者における腫瘍の形成及び/または増殖を抑制するためにも使用され得る。
【0071】
従って、別の実施形態で、本発明は、被験者を抗癌治療及び有効量のステロイドサポニンにさらすことを含む前記被験者における腫瘍の形成及び/または増殖の抑制方法を提供する。
【0072】
ステロイドサポニン及び抗癌剤は、被験者における腫瘍の形成及び/または増殖を抑制するための薬剤の製造においても使用され得る。
【0073】
従って、別の実施形態で、本発明は、被験者における腫瘍の増殖及び/または形成を抑制するための薬剤の製造におけるステロイドサポニン及び抗癌剤の使用を提供する。
【0074】
本発明の各種実施形態での腫瘍は原発性腫瘍でも続発性腫瘍でもよい。すなわち、本発明は、原発性腫瘍の形成及び増殖を抑制するために使用され得、及び/または被験者における転移物の形成及び/または増殖を抑制するためにも使用され得る。
【0075】
腫瘍の形成及び/または増殖の評価方法は当業界で公知である。
【0076】
本発明は、被験者の癌を予防及び/または治療するためにも使用され得る。
【0077】
従って、別の実施形態で、本発明は、被験者を抗癌治療及び有効量のステロイドサポニンにさらすことを含む前記被験者における癌の予防及び/または治療方法を提供する。
【0078】
ステロイドサポニン及び抗癌剤は被験者の癌を予防及び/または治療するための薬剤の製造においても使用され得る。
【0079】
従って、別の実施形態で、本発明は、被験者の癌を予防及び/または治療するための薬剤の製造におけるステロイドサポニン及び抗癌剤の使用を提供する。
【0080】
本発明の各種実施形態での被験者はヒトまたは動物被験者であり得る。
【0081】
例えば、動物被験者は哺乳動物、霊長類、家畜動物(例えば、ウマ、ウシ、ヒツジ、ブタまたはヤギ)、愛玩動物(例えば、イヌ、ネコ)、実験動物(例えば、マウス、ラット、モルモット、鳥)、獣医学的に重要な動物または経済的に重要な動物であり得る。
【0082】
1つの実施形態では、被験者はヒト被験者である。
【0083】
本発明の各種実施形態での癌細胞の増殖の抑制は細胞の増殖の任意の形態の抑制である。例えば、増殖の抑制には、増殖の開始、増殖の継続、または特定の細胞が増殖し始めるかまたは増殖し続ける可能性を低下させる細胞の能力の抑制が含まれ得る。
【0084】
本発明の各種実施形態での癌細胞の増殖の抑制は当業界で公知の方法により評価され得る。
【0085】
例えば、インビトロの癌細胞の場合、その癌細胞の増殖は適当な増殖アッセイにより、または細胞DNAへのトリチウム化チミジンの取り込みの程度を所与期間にわたり評価する方法により調べられ得る。
【0086】
インビボで存在する癌細胞の場合、その癌細胞の増殖は例えば当業界で公知の適当なイメージング方法により調べられ得る。
【0087】
本明細書中で先に検討したように、抗癌治療は抗癌剤への暴露及び/または抗癌治療への暴露であり得る。
【0088】
1つの実施形態では、抗癌剤は細胞にさらすと前記細胞でのアポトーシスを促進させる物質である。アポトーシスを促進させる物質の能力を調べる方法は当業界で公知である。
【0089】
1つの具体的実施形態では、抗癌剤は癌細胞でのアポトーシスのインヒビター(例えば、サバイビン、XIAP、Bcl-2またはBcl-XLの1つ以上)の活性を抑制する。
【0090】
別の実施形態では、抗癌剤は化学療法剤、例えばBCNU(カルムスチン)、ビスルファン、CCNU(ロムスチン)、クロラムブシル、シスプラチン、オキシプラチン、メルファン、マイトマイシンC及びチオテパを含めたアルキル化剤;タキソール(パクリタキセル)、ドセタキセル、ビンブラスチン硫酸塩及びビンクリスチン硫酸塩を含めた有糸分裂阻害薬;ドキソルビシン、ダウノルビシン、m-AMSA(アムサクリン)、ミトキサントロン及びVP-16(エトポシド)を含めたトポイソメラーゼ阻害剤;5-フルオロウラシル及びメトトレキセートを含めたRNA/DNA代謝拮抗物質;Ara-C(シタラビン)、ヒドロキシ尿素(ヒドロキシカルバミド)及びチオグアニン(チオグアニン)を含めたDNA代謝拮抗物質である。
【0091】
別の実施形態では、抗癌剤は細胞プロセスターゲッティング剤、例えばイマチニブメシル酸塩、トラスツズマブ及びゲフィチニブである。
【0092】
抗癌剤の投与ルート、用量及び治療レジメの詳細は当業界で公知であり、例えば“Cancer Clinical Pharmacology”(2005),Jan H.M.Schellens,Howard L.McLeod及びDavid R.Newell編,オックスフォード大学出版に記載されている。
【0093】
サポニンは、通常(i)トリテルペングリコシド、(ii)ステロイドグリコシド、及び(iii)ステロイドアルカロイドグリコシドの3つの主要クラスに分類される。サポニンのすべてにおいて共通して1つ以上の糖単位がアグリコンに、通常C-3位に結合している。ステロイドサポニンはHostettmann K及びMarston A(2005),Chemistry & pharmacology of natural products:Saponins,ケンブリッジ大学出版に一般的に記載されている通りである。
【0094】
本明細書中で先に検討したように、ステロイドサポニンはアグリコン部中に窒素原子を含有していない。
【0095】
本発明の各種実施形態でのステロイドサポニンは天然に存在するステロイドサポニン及び天然に存在しないステロイドサポニン(すなわち、化学合成されるステロイドサポニン)を含むと考えられる。加えて、本発明の各種実施形態でのステロイドサポニンはステロイドサポニンのプロドラッグ、ステロイドサポニンの誘導体(例えば、エステル、ケトン、カルボン酸、塩、置換形態、ハロゲン化形態または他のヘテロ原子含有形態、不飽和形態または他の官能誘導体を含む)をも含むと考えられる。
【0096】
本発明の各種実施形態でのステロイドサポニンの糖類部分は1つ以上の糖類単位、例えば単糖、二糖単位または多糖単位を含み得る。
【0097】
本発明の各種実施形態でのステロイドサポニンは、糖類がアグリコン部分の1つ以上の位置で結合しているアグリコンをも含み得る。
【0098】
1つの実施形態では、ステロイドサポニンはステロイドサポニンのサポゲニン成分の1つの位置に糖類が結合しているものを含む。
【0099】
先に検討したように、糖類単位は単糖、二糖または多糖であり得る。糖類は適当な単糖、例えばD-グルコース(Glc)、L-ラムノース(Rha)、D-ガラクトース(Gal)、D-グルクロン酸(GlcA)、D-キシロース(Xyl)、L-アラビノース(Ara)、D-フコース(Fuc)、D-ガラクツロン酸(GalA)から構成され得る。糖類単位が置換糖、例えばアミノ糖、硫酸化糖、アシル化糖類、N-アシル化糖、及び前記した単糖の官能誘導体であってもよい。
【0100】
同様に、二糖は上記した単糖の2つの組合せであり得る。
【0101】
本発明の各種実施形態での多糖は線状でも分岐状であっもよく、本明細書中に上記した単糖を含めた単糖の2つ以上の組合せで含まれ得る。
【0102】
1つの実施形態では、多糖は1〜6個の単糖単位から構成される。
【0103】
これに関連して、また本明細書中に上記したように、多糖は成分単糖の配置に関して一般的に記載されている。
【0104】
1つの実施形態では、ステロイドサポニンの糖類は1つの単糖単位から構成されている。単糖の例はグルコースであり、その化学名はβ-D-グルコピラノシドであり、C-3位を介してアグリコンジオスゲニンに結合すると“トリリン”という一般名を有する。
【0105】
別の実施形態では、ステロイドサポニンの糖類は2つの単糖単位(すなわち、二糖)から構成されている。二糖の例はRha 2,Glcであり、その化学名はα-L-ラムノピラノシル(1→2)-β-D-グルコピラノシドであり、C-3位を介してアグリコンジオスゲニンに結合すると“プロサポゲニンA”という一般名を有する。
【0106】
別の実施形態では、ステロイドサポニンの糖類は3つの糖類単位(すなわち、三糖)から構成されている。カコトリオシドが三糖単位の一般例であり、3つの糖類のグリコシル基はグルコース単位に連結して2つのラムノース単位を含み、前記グルコース単位はグリコシド結合を介してサポゲニンのC-3位に連結している。カコトリオースはα-L-ラムノピラノシル-(1→2)-[α-L-ラムノピラノシル-(1→4)]-β-D-グルコピラノシドであり、本明細書中で使用されているIUPAC推奨に従う命名法ではRha 2,[Rha 4],Glcと略記される。
【0107】
同様に、ソラトリオシドは、各々が第3の糖類単位に連結している1つのラムノース単位及び非ラムノース糖類単位を含む3つの糖類のグリコシル基であり、第3の糖類単位はグリコシド結合を介してサポゲニンのC-3位に連結している。
【0108】
四糖の例は[Rha 4,Rha 4],Rha 2,Glcであり、その化学名は[α-L-ラムノピラノシル(1→4)-α-L-ラムノピラノシル(1→4)]-α-L-ラムノピラノシル(1→4)-β-D-グルコピラノシドであり、C-3位を介してアグリコンジオスゲニンに結合すると“アスペリン”という一般名を有する。
【0109】
四糖の別の例はGlc 4,[Xyl 3],Rha 2,Araであり、その化学名はβ-D-グルコピラノシル(1→4)-[β-D-キシロピラノシル-(1→3)]-α-L-ラムノピラノシル(1→2)-α-L-アラビノシドである。
【0110】
本明細書中で先に検討したように、ステロイドサポニンはアグリコン部分中に窒素原子を含有していない。
【0111】
従って、本発明の各種実施形態でのステロイドサポニンはサポゲニン部分中に窒素原子を含有していない、例えばサポゲニンのE及び/またはF環中に窒素を含有していない。
【0112】
1つの実施形態では、本発明の各種実施形態でのステロイドサポニンは以下の化学式IまたはIIを有するサポゲニン、或いはその製薬上許容される塩または誘導体をベースとする:
【化1】

【0113】
[式中、
R1、R2、R4、R6、R7、R11、R12、R14、R15及びR17は独立してH、OH、=O、薬理学的に許容されるエステル基または薬理学的に許容されるエーテル基であり;
R5はC-5,C-6が単結合のときにはHであり、C-5,C-6が二重結合のときには存在せず;
BがCH2のときにはAはOであり、またはAがCH2のときにはBがOであり;
R27BがCH3のときにはR27AはHであり、またはR27BがHのときにはR27AはCH3であり;
R3は酸素原子を介してステロイドサポゲニンにC-3で連結しているグリコシル基を含む]
【化2】

【0114】
[式中、
R1、R2、R4、R6、R7、R11、R12、R14、R15及びR17は独立してH、OH、=O、薬理学的に許容されるエステル基または薬理学的に許容されるエーテル基であり;
R5はC-5,C-6が単結合のときにはHであり、C-5,C-6が二重結合のときには存在せず;
R22はC-20,C-22が単結合のときにはヒドロキシルまたはアルコキシ基であり、C-20,C-22が二重結合のときには存在せず;
R27BがCH3のときにはR27AはHであり、またはR27BがHのときにはR27AはCH3であり;
R28はHまたは糖類、或いはその製薬上許容される塩または誘導体であり;
R3は酸素原子を介してステロイドサポゲニンにC-3で連結しているグリコシル基を含む]。
【0115】
ステロイドサポゲニンの例には、スピロスタノールアグリコン、例えばジオスゲニン、ヤモゲニン(ネオジオスゲニン)、ユッカゲニン、サルササポゲニン、チゴゲニン、スミラゲニン、ヘコゲニン、ギトゲニン、コンバラマロゲニン、ネオルスコゲニン及びソラゲニン;及びフロスタノールアグリコン、例えばプロトジオスゲニン、シュードプロトジオスゲニン、メチルプロトジオスゲニン、プロトヤモゲニン及びメチルプロトヤモゲニンが含まれる。
【0116】
1つの実施形態では、ステロイドサポニンはカコトリオシド-ステロイドサポニンまたはソラトリオシド-ステロイドサポニンである。
【0117】
カコトリオシド-ステロイドサポニンの例には、C-3位を介してカコトリオースに連結しているサポゲニン“ジオスゲニン”、C-3位を介して別のカコトリオシドに連結しているジオスゲニン、C-3位を介してカコトリオシドに連結しているチゴゲニン、C-3位を介してカコトリオシドに連結しているサルササポゲニン、C-3位を介してカコトリオシドに連結しているスミラゲニン、C-3位を介してカコトリオシドに連結しているユッカゲニン、及びC-3位を介してカコトリオシドに連結しているヤモゲニンから構成される“ジオスシン”が含まれる。
【0118】
ソラトリオシドステロイドサポニンの例には、C-3位を介してソラトリオシド(Rha 2,[Glc 3],Glc)に連結しているジオスゲニンである“グラシリン”、“デルトニン”(C-3位を介してソラトリオシドRha 2,[Glc 4],Glcに連結しているジオスゲニン)、C-3位を介してソラトリオース(Rha 2,[Glc 3],Gal)に連結しているジオスゲニン[これに関連して、(Rha 2,[Glc 3],Gal)に連結しているジオスゲニンは「ジオスゲニンソラトリオース」と称される]、C-3位を介して別のソラトリオシドに連結しているジオスゲニン、C-3位を介してソラトリオシドに連結しているチゴゲニン、C-3位を介してソラトリオシドに連結しているサルササポゲニン、C-3位を介してソラトリオシドに連結しているスミラゲニン、C-3位を介してソラトリオシドに連結しているユッカゲニン、及びC-3位を介してソラトリオシドに連結しいるヤモゲニンが含まれる。
【0119】
単純な単糖ステロイドサポニンは植物界に広く存在している。単糖は通常C-3位を介してアグリコンに連結しており、その例にはC-3位を介してグルコースに連結しているジオスゲニンである“トリリン”が含まれる。C-3位を介してグルコースに連結している他のサポゲニンには、サルササポゲニン、ロデアサポゲニン及びヤモゲニンが含まれる。幾つかのサポゲニンはC-3位を介して別の単糖(例えば、アラビノース)に連結しており、例えばヨノゲニン及びコンバラゲニンはC-3位を介してガラクトース等に連結している。
【0120】
二糖ステロイドサポニンの例には、C-3位を介して例えば(Xyl 2,Gal)、(Glc 2,Glc)、(Glc 3,Glc)に連結しているサルササポゲニン;C-3位を介して(Glc 2,Glc)、(Glc 2,Gal)に連結しているスミラゲニン;C-3位を介して(Rha 2,Glc)に連結しているサモゲニン、チゴゲニン、ギトゲニン、アリオゲニン、ルスコゲニン、ペンノゲニン、セパゲニン及びジオスゲニンが含まれる。
【0121】
ヤムイモ(Dioscorea)種由来のジオスゲニングリコシドはステロイドホルモンの出発物質として商業上非常に興味深いものである。ジオスゲニン及びそのC-25異性体ヤモゲニンのグリコシドは最も頻繁に記載されているスピロスタノールサポニンの1つである。B環中にC-5,C-6二重結合を有する天然に存在するステロイドスピロスタノールサポゲニンの例を表1にリストする。
【化3】

【表1】

【0122】
B環中にC-5,C-6単結合を有する天然に存在するステロイドスピロスタノールサポゲニンの例を表2にリストする。
【化4】

【表2】

【0123】
B環中にC-5,C-6二重結合及びE環中にC-20,C-22単結合を有するプロトスピロスタンタイプの天然に存在するステロイドフロスタノールサポゲニンの例を表3にリストする。
【化5】

【表3】

【0124】
B環中にC-5,C-6単結合及びE環中にC-20,C-22単結合を有するプロトスピロスタンタイプの天然に存在するステロイドフロスタノールサポゲニンの例はプロトチゴゲニンである。
【0125】
B環中にC-5,C-6二重結合及びE環中にC-20,C-22二重結合を有するシュードスピロスタンタイプの天然に存在するステロイドフロスタノールサポゲニンの例はシュードジオスゲニンである。
【0126】
B環中にC-5,C-6二重結合及びE環中にC-20,C-22二重結合を有するシュードプロトスピロスタンタイプの天然に存在するステロイドフロスタノールサポゲニンの例はシュードプロトジオスゲニンである。
【0127】
1つの実施形態では、ステロイドサポニンはC-3位を介して1つ以上の単糖単位に連結しているサポゲニンジオスゲニンである。
【0128】
別の実施形態では、ステロイドサポニンはジオスシンまたはグラシリンであり、ジオスシンはC-3位を介してカコトリオース(Rha 2,[Rha 4],Glc)に連結しているサポゲニンジオスゲニンであり、グラシリンはC-3位を介してにソラトリオシド(Rha 2,[Glc 3],Glc)に連結しているジオスゲニンである。
【0129】
別の実施形態では、ステロイドサポニンはC-3位を介してソラトリオース(Rha 2,[Glc 3],Gal)に連結しているジオスゲニンである。これに関連して、(Rha 2,[Glc 3],Gal)に連結しているジオスゲニンは「ジオスゲニンソラトリオース」と称されている。
【0130】
別の実施形態では、ステロイドサポニンはC-3位を介して糖類に連結しているサポゲニンジオスゲニンである。
【0131】
別の実施形態では、ステロイドサポニンはC-3位を介して糖類に連結しているサポゲニンチゴゲニンである。
【0132】
別の実施形態では、ステロイドサポニンはC-3位を介して糖類に連結しているサポゲニンサルササポゲニンである。
【0133】
別の実施形態では、ステロイドサポニンはC-3位を介して糖類に連結しているサポゲニンスミラゲニンである。
【0134】
別の実施形態では、ステロイドサポニンはC-3位を介して糖類に連結しているサポゲニンユッカゲニンである。
【0135】
別の実施形態では、ステロイドサポニンはC-3位を介して糖類に連結しているサポゲニンヤモゲニンである。
【0136】
1つの具体的実施形態では、ステロイドサポニンはデルトニン(ジオスゲニンRha 2,[Glc 4],Glc)、ジオスシン(ジオスゲニンRha 2,[Rha 4],Glc)、プロサポゲニンA(ジオスゲニンRha 2,Glc)及びアスペリン(ジオスゲニン[Rha 4,Rha 4],Rha 2,Glc)からなる群から選択される。
【0137】
デルトニン、プロサポゲニンA及びアスペリンの場合、これらのステロイドサポニンのいずれか1つが医薬組成物中で製造され得る。
【0138】
従って、これらのステロイドサポニンは薬剤の製造において使用され得る。
【0139】
前記薬剤は、癌細胞の増殖を抑制する;腫瘍の形成及び/または増殖を抑制する;抗癌治療に対して高い耐性を有する癌を含めた癌を予防及び/または治療する;抗癌治療の活性を促進する;被験者に与える抗癌治療の量を低減させる;癌細胞を抗癌治療にさらすことにより前記癌細胞のアポトーシスを促進する;癌細胞において発現している抗癌治療に対する耐性を低下させる;の1つ以上のために使用され得る。
【0140】
本明細書中で先に検討したように、本発明の各種実施形態でのステロイドサポニンは天然源から入手され得、合成方法から製造され得、または天然に存在する化合物または中間体に適用される部分合成または修飾として製造され得る。
【0141】
本発明の各種実施形態でのステロイドサポニンの抽出、単離及び同定は当業界で公知の方法によりなされ得る。
【0142】
例えば、幾つかのステロイドサポニンは植物源から産生され得る。他のステロイドサポニン源は、例えばHostettmann K及びMarston A(2005),Chemistry & pharmacology of natural products:Saponins,ケンブリッジ大学出版,1〜3章及び6章に記載されているように文献から容易に得られ得る。ステロイドサポニンの一般名は上記文献及びDictionary of Natural Products,Chapman and Hall,CRC(2004)に従って使用されている。
【0143】
インビトロ及びインビボで癌細胞を抗癌剤及び抗癌治療にさらす方法は当業界で公知である。
【0144】
インビトロ及びインビボでステロイドサポニンを癌細胞にさらす方法も当業界で公知である。
【0145】
インビトロでステロイドサポニンを癌細胞にさらすのに適した方法はステロイドサポニンを直接癌細胞にさらすことによる。
【0146】
被験者中の癌細胞の場合、癌細胞をステロイドサポニンにさらすのに適した方法は当該被験者に対してサポニンを投与することによる。
【0147】
抗癌剤の有効量及び抗癌治療の有効レベルは当業界で公知である。インビトロ及びインビボで癌細胞を抗癌剤及び抗癌治療にさらす方法は当業界で公知である。
【0148】
本発明の各種実施形態において癌細胞にさらそうとするステロイドサポニンの有効量は特に限定されない。通常、ステロイドサポニンの有効濃度は0.1〜20μMの範囲である。
【0149】
被験者において抗癌剤の活性を高めるためにステロイドサポニンを使用する場合、ステロイドサポニン及び抗癌剤は被験者に対して適当な形態で別々に投与され、または被験者に対して適当な形態で共投与され得る。
【0150】
例えば、ステロイドサポニン及び抗癌剤は被験者に対して別々または共投与するための組合せ剤中に配合され得る。
【0151】
従って、別の実施形態で、本発明はステロイドサポニン及び抗癌剤を含む組合せ剤を提供し、前記したステロイドサポニン及び抗癌剤は被験者に対して共投与するための形態または被験者に対して別々に投与するための形態で提供される。
【0152】
組合せ剤は、例えば癌細胞の増殖を抑制するため、腫瘍形成及び増殖(原発性及び/または続発性腫瘍)を抑制するため、並びに癌を予防及び/または治療するために適当である。
【0153】
組合せ剤の成分は、適当に滅菌した容器(例えば、アンプル、ボトルまたはバイアル)中に複数回投与形態または1回投与形態で別々にまたは一緒に包装され得る。容器は典型的には密閉されている。成分を包装する方法は当業界で公知である。
【0154】
本明細書中で先に検討したように、ステロイドサポニン及び抗癌剤の共投与は逐次または同時であり得、通常両薬物が特定の時間間隔中に被験者中に存在していることを意味する。典型的には、第2薬物が第1薬物の半減期内に投与されるならば、2つの薬物は共投与されたと見なされる。
【0155】
ステロイドサポニンを投与するのに適した投与レジメは当業者により選択され得る。例えば、被験者に対するステロイドサポニンの投与は、被験者を抗癌治療にさらす前、同時にまたはその後であってもよい。
【0156】
1つの実施形態では、ステロイドサポニンは被験者に対して該被験者への抗癌剤の投与と同時に、または該被験者への抗癌治療への暴露と同時に投与される。
【0157】
1つの具体的実施形態では、ステロイドサポニン及び抗癌剤を被験者に対して投与するための単一組成物中に配合され得る。
【0158】
従って、別の実施形態で、本発明はステロイドサポニン及び抗癌剤を含む医薬組成物を提供する。1つの実施形態では、組成物は抗癌組成物である。
【0159】
従って、別の実施形態で、本発明は抗癌剤及びステロイドサポニンを含む医薬組成物を提供する。
【0160】
組成物は、例えばインビトロまたはインビボで癌細胞の増殖を抑制するために使用され得る。
【0161】
組成物は、被験者において腫瘍(原発性及び/または続発性腫瘍)の形成及び増殖を抑制するため、並びに癌を予防及び/または治療するためにも使用され得る。
【0162】
被験者に対して投与しようとするステロイドサポニンの有効量及び抗癌剤または抗癌治療の有効量は、通常有用なまたは治療効果を発揮する量及び形態の範囲である限り特に限定されない。用語「治療有効量」は、治療を要する被験者に投与したとき該被験者の予後及び/または健康状態を改善する量である。被験者に対して投与しようとする量は、増殖を抑制しようとする1つ以上の癌細胞、治療対象の癌、投与モード、及び被験者の特徴(例えば、全身健康状態、他の疾患、年齢、性別、遺伝子型及び体重)の具体的特性に依存する。当業者はこれらの要因及び他の要因に基づいて適切な用量を決定することができる。
【0163】
これに関して、抗癌剤及び放射線治療の投与ルート、用量及び治療レジメの詳細は、例えば“Cancer Clinical Pharmacology”(2005),J.H.M.Schellens,H.L.McLeod及びD.R.Newell編,オックスフォード大学出版;及び“Cancer and its management”(2005),第5版,R.Souhami及びJ.Tobias編,Blackwell Publishingに記載されているように当業界で公知である。
【0164】
本明細書中で先に検討したように、本発明の組成物の投与またはデリバリーは、例えば静脈内、腹腔内、皮下、筋肉内、経口または局所投与により、或いは手術を含めた別の形態の治療の前、その間またはその後に原発性腫瘍の部位への直接注射によりなされ得る。多くの場合、投与モード及びルートは治療対象の腫瘍のタイプに依存する。
【0165】
投与形態、投与頻度及び投与量は投与モード及びルートに依存する。典型的には、注射可能な組成物は5〜500mg/m2、通常10〜200mg/m2の量で投与される。典型的には、経口投与される組成物は5mg〜5g、好ましくは50mg〜1gの量で投与される。
【0166】
例えば、ステロイドサポニンの有効量は、典型的には約0.1〜約1000mg/kg体重/日の範囲であり、1つの形態では1〜100mg/kg体重/日の範囲である。
【0167】
上記したように、ステロイドサポニンを含む組成物の投与は、投与しようとするステロイドサポニンの具体的物理的、微生物学的及び化学的特性を考慮して、1つ以上の製薬上許容される添加剤(製薬上許容される塩、アミノ酸、ポリペプチド、ポリマー、溶媒、バッファー、賦形剤、保存剤及び増量剤を含む)の使用をも含み得る。
【0168】
例えば、ステロイドサポニンは、各種の製薬上許容される組成物中に水溶液、油性調製物、脂肪エマルション、エマルション、再構成用凍結乾燥粉末等のような形態で製造され得、発熱物質非含有の滅菌筋肉内または皮下注射剤として、臓器への注射剤として、包埋製剤として、または鼻腔、直腸、子宮、膣、肺等への経粘膜製剤として投与され得る。組成物は経口製剤(例えば、錠剤、カプレット剤、カプセル剤、顆粒剤または散剤のような固体製剤;シロップ剤、エマルション剤、分散液剤または懸濁液剤のような液体製剤)の形態で投与され得る。
【0169】
ステロイドサポニンを含有する組成物が1つ以上の製薬上許容される保存剤、バッファー剤、希釈剤、安定化剤、キレート化剤、増粘剤、分散剤、pH調節剤または等張剤を含んでいてもよい。これらの賦形剤は当業者に十分知られている。
【0170】
適当な保存剤の例はp-ヒドロキシ安息香酸、フェノール、フェニルエチルアルコールまたはベンジルアルコールの安息香酸エステルである。適当なバッファーの例はリン酸ナトリウム、クエン酸、酒石酸等である。適当な安定化剤の例は抗酸化剤、例えばα-トコフェロールアセテート、α-チオグリセリン、メタ重亜硫酸ナトリウム、アスコルビン酸、アセチルシステイン、8-ヒドロキシキノリン;及びキレート化剤、例えばエデト酸ジナトリウムである。適当な増粘剤、懸濁、可溶化または分散剤の例は置換セルロースエーテル、置換セルロースエステル、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、カルボマー、ポリオキシプロピレングリコール、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンセスキオレエート、ポリオキシエチレン水素化ヒマシ油60である。
【0171】
適当なpH調節剤の例には塩酸、水酸化ナトリウム、バッファー等が含まれる。適当な等張剤の例はグルコース、D-ソルビトール、D-マンニトール、塩化ナトリウムである。
【0172】
本発明の各種実施形態で、ステロイドサポニンは、投与しようとするステロイドサポニンの物理的、化学的及び微生物学的特性を考慮して、製薬上許容される担体、希釈剤、賦形剤、懸濁剤、滑沢剤、アジュバント、ビヒクル、デリバリーシステム、乳化剤、崩壊剤、吸収剤、保存剤、界面活性剤、着色剤、流動促進剤、抗付着剤、結合剤、着香料または甘味料を含有する組成物の形態でも投与され得る。
【0173】
上記した目的で、組成物は例えば経口、非経口、吸入スプレー、吸収、吸着により、局所、経腸、鼻腔内、口腔内、膣内、心室内、慣用されている非毒性の製薬上許容される担体を含有する剤形の移植レザーバーを介して、または他の慣用されている剤形により投与され得る。本明細書中で使用されている用語「非経口」は皮下、静脈内、筋肉内、腹腔内、くも膜下、心室内、胸骨内、及び頭蓋内注射または注入技術を含む。
【0174】
非経口投与する場合、組成物は通常発熱物質非含有の滅菌注射可能形態(使用直前に再構成され得る溶液、懸濁液またはエマルション剤であってもよい)の単位形態であり、レシピエントの血液と製薬上許容される担体が等張性であることが好ましい。滅菌注射可能形態の例は滅菌の注射可能な水性または油性懸濁液剤である。これらの懸濁液剤は適当なビヒクル、分散または湿潤剤、複合化剤、ポリマー、可溶化助剤及び懸濁剤を用いて当業界で公知の技術に従って製剤化され得る。滅菌注射可能な形態が非毒性の非経口的に許容される希釈剤または溶媒中の滅菌注射可能な溶液または懸濁液(例えば、1,3-ブタンジオール中溶液)であってもよい。使用され得る製薬上許容されるビヒクル及び溶媒の中には、水、エタノール、グリセロール、生理食塩液、ジメチルスルホキシド、N-メチルピロリドン、ジメチルアセトアミド、リンガー液、デキストロース溶液、等張性塩化ナトリウム溶液及びハンクス溶液がある。加えて、滅菌固定油が溶媒または懸濁媒体として慣用されている。この目的で、合成モノ-またはジグリセリド、コーン油、綿実油、落花生油及びゴマ油を含めた無刺激性固定油が使用され得る。オレイン酸エチル、ミリスチン酸イソプロピル及びオレイン酸のような脂肪酸、並びにオリーブ油やヒマシ油を含めたそのグリセリド誘導体、特にそのポリオキシエチル化物が注射剤の製造において有用である。この油性溶液及び懸濁液は長鎖アルコール希釈剤または分散剤をも含み得る。
【0175】
担体は、溶解度、等張性及び化学的安定性を高める物質のような添加剤、例えば抗酸化剤、バッファー及び保存剤を含み得る。
【0176】
加えて、ステロイドサポニンを含有する組成物は投与前に再構成される形態であってもよい。その例には、投与前に製薬上許容される溶媒を用いて再構成するための適当な固体形態を生ずるような凍結乾燥、噴霧乾燥等が含まれる。
【0177】
組成物は1つ以上のバッファー、増量剤、等張剤、凍害保護剤及び凍結保護剤を含み得る。賦形剤の例にはリン酸塩、クエン酸、非還元糖(例えば、スクロースまたはトレハロース)、ポリヒドロキシアルコール、アミノ酸、メチルアミンが含まれ、リオトロピック塩がマルトースまたはラクトースのような還元糖に対して好ましい。
【0178】
経口投与する場合、ステロイドサポニンは通常当業界で公知の一般的な装置及び方法を用いて単位投与形態(例えば、錠剤、カプレット剤、カシェ剤、散剤、顆粒剤、ビーズ、チューアブル口内錠、カプセル剤、液剤、水性懸濁液剤または溶液剤、或いは類似の投与形態)に製剤化される。前記製剤は、典型的には固体、半固体または液体担体を含んでいる。担体の例には賦形剤、例えばラクトース、デキストロース、スクロース、ソルビトール、マンニトール、デンプン、アカシアガム、リン酸カリシウム、鉱油、カカオバター、カカオ脂、アルギネート、トラガカント、ゼラチン、シロップ、置換セルロースエーテル、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ヒドロキシ安息香酸メチル、ヒドロキシ安息香酸プロピル、タルク、ステアリン酸マグネシウム等が含まれる。
【0179】
錠剤は、場合により1つ以上の補助成分と一緒にステロイドサポニンを圧縮または成形することにより製造され得る。圧縮錠は、適当な機械において自由流動性形態(例えば、粉末または顆粒状)の活性成分を場合により結合剤、滑沢剤、不活性希釈剤、表面活性または分散剤と混合して圧縮することにより製造され得る。成形錠は、適当な機械において粉末状活性成分と不活性液体希釈剤で湿らせた適当な担体との混合物を形成することにより製造され得る。
【0180】
ステロイドサポニン剤を徐放テクノロジーを用いて投与してもよい。
【0181】
局所投与の場合、本発明の組成物は溶液、スプレー、ローション、クリーム(例えば、非イオン性クリーム)、ゲル、ペーストまたは軟膏の形態をとり得る。或いは、組成物をリポソーム、ナノソーム、リボソームまたは栄養拡散ビヒクルを用いてデリバリーしてもよい。局所投与はメラノーマのような癌を治療するために使用され得る。
【0182】
抗癌剤を含む医薬組成物の場合、上記した考慮が組成物の製剤化に同様に当てはまると考えられる。
【0183】
本発明は、癌を予防及び/または治療するために被験者に対して与えられる抗癌剤または治療の量を減量させるためにも使用され得る。
【0184】
これに関して、抗癌治療の活性レベルを増加させるステロイドサポニンの能力は、所望の治療レベルを達成させるべく被験者にさらす抗癌治療の用量を減量させるために使用され得る。
【0185】
従って、別の実施形態で、本発明は、被験者に有効量のステロイドサポニンをさらすことを含む被験者において癌を予防及び/または治療するために被験者に対して与えられる抗癌治療の量の減量方法を提供する。
【0186】
本発明は、癌を予防及び/または治療するために被験者に与えられる抗癌治療の量の低減用薬剤の製造におけるステロイドサポニンの使用も提供する。
【0187】
従って、別の実施形態で、本発明は、癌を予防及び/または治療するために被験者に対して与えられる抗癌治療の量の低減用薬剤の製造におけるステロイドサポニンの使用を提供する。
【0188】
本発明は、癌細胞を抗癌剤にさらすことによる癌細胞のアポトーシスを促進するためにも使用され得る。例えば、ステロイドサポニンは化学療法剤にさらされる細胞のアポトーシスを促進するために使用され得る。
【0189】
従って、別の実施形態で、本発明は、癌細胞を有効量のステロイドサポニンにさらすことを含む癌細胞を抗癌治療にさらすことによる癌細胞のアポトーシスの促進方法を提供する。
【0190】
本発明は、癌細胞を抗癌治療にさらすことによる癌細胞のアポトーシスの促進用薬剤の製造におけるステロイドサポニンの使用をも提供する。
【0191】
従って、別の実施形態で、本発明は、癌細胞を抗癌治療にさらすことによる癌細胞のアポトーシスの促進用薬剤の製造におけるステロイドサポニンの使用を提供する。
【0192】
本発明は、癌細胞の抗癌剤に対する耐性レベルを低下させるためにも使用され得る。
【0193】
例えば、癌細胞を抗癌剤(例えば、化学療法剤)にさらすと、細胞の化学療法剤に対する耐性レベルが高まる。最終的には、こうすると、多剤耐性を発現する癌が生ずる恐れがある。
【0194】
従って、別の実施形態で、本発明は、癌細胞を有効量のステロイドサポニンにさらすことを含む癌細胞中で発現している抗癌治療に対する耐性の低下方法を提供する。
【0195】
本発明は、癌細胞中で発現している抗癌治療に対する耐性の低下用薬剤の製造におけるステロイドサポニンの使用をも提供する。
【0196】
従って、別の実施形態で、本発明は、癌細胞中で発現している抗癌治療に対する耐性の低下用薬剤の製造におけるステロイドサポニンの使用をも提供する。
【0197】
本発明は、癌細胞のアポトーシス剤に対する耐性レベルを低下させるための薬剤の製造におけるステロイドサポニン及び抗癌剤の使用をも提供する。
【0198】
従って、別の実施形態で、本発明は、癌細胞の抗癌剤に対する耐性レベルの低下用薬剤の製造におけるステロイドサポニンの使用を提供する。
【0199】
医薬組成物の製造方法は、例えばRemington’s Pharmaceutical Sciences,第18版,1990,ペンシルバニア州イーストンに所在のMack Publishing Co.発行;米国薬局方:National Formulary,1984,ペンシルバニア州イーストンに所在のMack Publishing Company出版;及びM.E.Aulton,Pharmaceutics,The Science of Dosage Form Design,第2版,エディンバラに所在のChurchill Livingstone,2002発行に記載されているように当業界で公知である。
【0200】
生体分子の治療デリバリーは、Bladon,C.(2002),“Pharmaceutical Chemistry:Therapeutic Aspects of Biomolecules”,John Wiley & Sons Ltd.に概説されている。
【0201】
(具体的実施形態の記載)
本発明の先の一般的原則を具体化する実験を参照されたい。しかしながら、以下の記載は先の記載の概論を限定しないと理解されたい。
【実施例1】
【0202】
一般試薬及び方法
(i) ステロイドサポニン及び抗癌剤
ジオスゲニン、ジオスシン:ジオスゲニンRha 2,[Rha 4],Glc、及びデルトニン:ジオスゲニンRha 2,[Glc 4],GlcはNingbo Hanpharm Biotech Co.Ltdから、グラシリンはChromaDexから、トリリンはAktin Chemicalsから商業的に入手した。
【0203】
プロサポゲニンA:ジオスゲニンRha 2,GlcはLiら,Carbohydr.Res.,(2001),331,1-7に記載されている方法に従って合成した。ジオスシン及びプロサポゲニンAも七叶一枝葉(Paris polyphylla)から単離した。
【0204】
ステロイドサポニンはジメチルスルホキシド(DMSO)中に溶解して10mMまたは1mMストック溶液を作成し、この溶液から更に希釈物を個々の実験のために所要により調製した。
【0205】
シスプラチン、ドセタキセル、パクリタキセル、ドキソルビシン、ビンクリスチン及びイマチニブは業者から入手し、必要に応じて4℃または-20℃で保存した。これらは、パクリタキセル(anzatax injection(Faulding)、ビンクリスチン硫酸塩(Sigma)、ドキソルビシンHCl(Sigma)、ドセタキセル(Sigma)、シスプラチン(Sigma)及びイマチニブメシル酸塩(Novartis Glivec)であった。
【0206】
化学療法剤は、適切な希釈剤、すなわちDMSO、滅菌水または生理食塩液中で所要に応じてストック濃度(アッセイ毎に測定)で作成した。DMSO溶液は単独で陰性対照として使用した。
【0207】
(ii) 細胞
ヒト癌細胞タイプはA549(肺癌)、CI80-13S(卵巣癌)、T29(大腸癌)、MCF7(乳癌)、PC3(前立腺癌)、DU145(前立腺癌,ホルモン非依存性)、LNCap(ホルモン依存性)、K562(白血病)であった。マウス癌細胞タイプはB16(メラノーマ)であった。
【0208】
癌細胞を薬物投与の前日に96ウェルプレートに3組または4組接種し、薬物の存在下で6日間増殖させ、未処理対照ウェルに対する細胞増殖を染料アッセイで調べた。
【0209】
(iii) 細胞培養
細胞を1マイクロタイターウェルあたり3〜4,000個で90μlのRPMI培地/10% ウシ胎児血清/ペニシリン-ストレプトマイシンミックス中に3組または4組接種し、10μlの薬物(希釈プレートにおいて所要の10倍濃度で調製)で処理し、対照がほぼコンフルエントになるまで(6日間)増殖させた。
【0210】
SRB:プレートをPBSで洗浄し、加メチルエタノールで固定し、水道水で洗浄し、50μL/ウェルのSRB溶液(スルホローダミン,1%酢酸中0.4%)で染色した後、水道水及び1% 酢酸で洗浄し、トリス中に可溶化し、564nmでの吸光度をELISAリーダーを用いて測定した。
【0211】
MTS:細胞のウェルに10μlのMTS溶液を添加し、プレートを暗褐色が発色するまで37℃で1〜4日間インキュベートした。次いで、10μl/ウェルの10% SDSを添加して、細胞を分散させた。次いで、アッセイプレートを2000rpmで15分間遠心し、490nmでの吸光度をELISAリーダーを用いて測定した。
【0212】
データをELISAプレートリーダーソフトウェアのSOFTmax PRO 3.1.2を用いて集めた後、EXCELに取り込んだ。ブランク値(細胞なしのウェル)を差し引いた後、反復の平均及びSDを対照の%として計算した。対照%対薬物の用量及び測定されたIC50(最大抑制濃度の半分)値をプロットしてグラフを作成した。
【0213】
或いは、細胞を2mLウェルに接種し、24時間増殖後0.1、0.5及び1.0μMのステロイドサポニンで処理した。薬物と24、48及び72時間インキュベートした後、細胞を収集した。各時点で、細胞をカウントし、遠心(5分間,1500rpm,室温)によりペレット化し、PBS(1mL)中に再懸濁し、優しくボルテックスした。氷冷メタノール(2mL)を添加し、細胞をボルテックスした。すべての時点で細胞を収集したら、各サンプルを12000rpmで4〜5分間遠心し、PBS(400μl)中に再懸濁し、5×ヨウ化プロピジウム(PI)染色剤(以下参照)(100μl)を添加した。サンプルをボルテックスし、ナイロンフィルターを介して濾過した後、488nmでフローサイトメトリー分析した。細胞亜集団の相対DNA含量は柱状図で表示し、典型的には各サンプルについて20,000個の細胞を分析した。
【実施例2】
【0214】
ステロイドサポニン及び抗癌剤についてのIC50値の測定
以下の癌細胞株:
A549-肺癌
HT29-大腸癌
MCF7-乳癌
PC3-前立腺癌(ホルモン非依存性)
DU145-前立腺癌(ホルモン非依存性)
LNCap-前立腺癌(ホルモン依存性)
K562-ヒト赤白血病
を使用した。
【0215】
以下のステロイドサポニン:
ジオスシン:ジオスゲニンRha 2,[Rha 4],Glc
デルトニン:ジオスゲニンRha 2,[Glc 4],Glc
プロサポゲニンA:ジオスゲニンRha 2,Glc
を単独で使用したときの癌細胞株の抑制についてアッセイした。
【0216】
以下の化学療法剤及び分子ターゲッティング剤:
シスプラチン
ドセタキセル
パクリタキセル
ドキソルビシン
ビンクリスチン、及び
分子ターゲッティング剤:
イマチニブ
を単独で使用したときの癌細胞株の抑制についてアッセイした。
【0217】
ステロイドサポニン及び上にリストした抗癌剤をDMSO中に溶解し、培地で各適用のために必要な溶液に希釈した。陰性対照としてDMSO溶液を単独で使用した。
【0218】
腫瘍細胞を96ウェルプレートにRPMI培地/10% ウシ胎児血清が入れられているマイクロタイターウェルあたり2〜5,000個で2組接種した。対照が5〜6日後にほぼコンフルエントになるまで細胞を増殖させた。次いで、プレートをPBSで洗浄し、エタノール中に固定し、50μL/ウェルのSRB溶液(スルホローダミン,1%酢酸中0.4%)で染色した後、1% 酢酸で洗浄し、トリス中に可溶化した。564nmでの吸光度をELISAリーダーを用いて測定した。
【0219】
IC50、すなわち細胞増殖を50%抑制するのに必要な濃度は、Finney(Finney DJ(1971),Probit Analysis,第3版,ケンブリッジ大学出版)のプロビット計算方法を用いて抑制%対濃度データから求めた。
【0220】
12×8ELISAプレートの8個の細胞に対して表4に示す濃度を使用した。
【表4】

【0221】
下表5中のIC50値は抑制データから推定した。
【表5】

【実施例3】
【0222】
IC50値の測定及びステロイドサポニンとシスプラチン、ドセタキセル、ドキソルビシン及びビンクリスチンの混合物中の化学療法剤の用量の減量
2つの癌細胞株の抑制を調べるために実施例1の細胞接種及びELISAプレート方法を使用した。ステロイドサポニンのジオスシン、デルトニン及びプロサポゲニンA、並びにそのシスプラチン、ドセタキセル、ドキソルビシン及びビンクリスチンとの混合物についてのIC50値をLNCap細胞株及びMCF7細胞株を用いて測定した。
【0223】
2成分混合物は各成分のIC50値の50%を混合することにより調製した。ステロイドサポニン及び化学療法剤のIC50値を表6に示す。
【表6】

【0224】
表7に示すように混合物を調製した。
【表7】

【0225】
すなわち、ELISA細胞番号4(倍率=1)の場合、濃度は個々のIC50値の各々の50%、すなわちジオスシンについては1μMの50%、シスプラチンについては0.8μMの50%である。
【0226】
表8にELISA細胞濃度の設定を更に示す。ここでは、ELISA細胞番号4(倍率=1)の場合、濃度はMCF7に対する個々のIC50値の各々の50%、すなわちプロサポゲニンAについては2μMの50%、ドキソルビシンについては0.015μMの50%である。
【表8】

【0227】
使用した濃度が倍率値である各混合物からの抑制データを用いてIC50値のIC50を測定した。2成分混合物中の各成分の実際のIC50寄与を調べるために、IC50値のIC50に個々の成分のIC50をかけた。その後、これを使用して、混合物中のステロイドサポニンの存在による化学療法剤のIC50寄与の減少(すなわち、用量の減量)を調べた。用量の減量を調べるための簡単な方法は以下の簡単な式を使用することである。
【0228】
用量の減量(%)=[(化学療法剤のIC50−0.5×(IC50のIC50))×100]/化学療法剤のIC50
本実施例のステロイドサポニンについて下表9中のIC50値のIC50を求めた。
【表9】

【0229】
化学療法剤及びそのステロイドサポニンとの混合物についてのIC50値のIC50、並びにステロイドサポニンと混合したときに判明した各化学療法剤の用量の減量を表10に示す。
【表10−1】

【0230】
ステロイドサポニンとシスプラチンの混合物ではシスプラチン用量の効果的または一定の減量が見られなかった。
【表10−2】

【0231】
ステロイドサポニンとドセタキセルの混合物では、ドセタキセル用量の一定の減量が見られた。
【表10−3】

【0232】
ステロイドサポニンとドキソルビシンの混合物ではドキソルビシン用量の減量が見られ、ジオスシン及びデルトニンとの混合物ではプロサポゲニンAよりも減量が大きかった。
【表10−4】

【0233】
ビンクリスチンとジオスシン及びデルトニンの混合物ではドキソルビシン用量の一定の減量が見られ、プロサポゲニンAとの混合物ではビンクリスチン用量の効果的なゼロ減量を示した。
【実施例4】
【0234】
IC50値の測定及びステロイドサポニンとパクリタキセルの混合物中のパクリタキセルの用量の減量
2つの癌細胞株の抑制を調べるために実施例1の細胞接種及びELISAプレート方法を使用した。ステロイドサポニンのジオスシン、デルトニン及びプロサポゲニンA、並びにそのパクリタキセルとの混合物についてのIC50値をA549細胞株及びMCF7細胞株を用いて測定した。
【0235】
2成分混合物は実施例2と同様に各成分についてのIC50値の50%を混合することにより調製した。ステロイドサポニン及びパクリタキセルのIC50値を表11に示す。
【表11】

【0236】
実施例2に記載されている計算方法を用いて、本実施例のステロイドサポニンについてのIC50値のIC50を測定し、下表12に示す。
【表12】

【0237】
パクリタキセル及びそのステロイドサポニンとの混合物についてのIC50値のIC50、並びにステロイドサポニンと混合したときに判明したパクリタキセルの用量の減量を表13に示す。
【表13】

【0238】
ステロイドサポニンとドキソルビシンの混合物ではパクリタキセルの用量の減量が見られ、デルトニンとの混合物ではジオスシン及びプロサポゲニンAとの混合物の場合よりも用量の減量が大きかった。
【実施例5】
【0239】
IC50値の測定及びステロイドサポニンとシスプラチン、ドセタキセル、ドキソルビシン及びビンクリスチンの混合物中の化学療法剤の用量の減量
4つの癌細胞株の抑制を調べるために実施例1の細胞接種及びELISAプレート方法を使用した。ステロイドサポニンのジオスシン、デルトニン及びプロサポゲニンA、並びにそのシスプラチン、ドセタキセル、ドキソルビシン及びビンクリスチンとの混合物についてのIC50値をPC3細胞株、DU145細胞株、A549細胞株及びHT29細胞株を用いて測定した。
【0240】
2成分混合物は実施例2と同様に各成分についてのIC50値の50%を混合することにより調製した。ステロイドサポニン及びシスプラチンのIC50値を表14に示す。
【表14】

【0241】
実施例2に記載されている計算方法を用いて、本実施例のステロイドサポニンについてのIC50値のIC50を測定し、下表15に示す。
【表15】

【0242】
化学療法剤及びそのステロイドサポニンとの混合物についてのIC50値のIC50、並びにステロイドサポニンと混合したときに判明した各化学療法剤の用量の減量を表16〜19に示す。
【表16】

【0243】
シスプラチンではいずれの場合も用量が減量した。ただし、DU145及びHT29ではシスプラチン+ジオスシンの減量が最小またはゼロとなり、HT29ではシスプラチン+プロサポゲニンAの減量が最小であった。
【表17】

【0244】
ドセタキセルでは、表17に示されているように4つの細胞株の各々でステロイドサポニン混合物の各々により用量が減量した。
【表18】

【0245】
ドキソルビシンでは、表18に示されているように4つの細胞株の各々でステロイドサポニン混合物の各々により用量が減量した。
【表19】

【0246】
ビンクリスチンでは、表19に示されているように4つの細胞株の各々でステロイドサポニン混合物の各々により用量が減量した。
【実施例6】
【0247】
IC50値の測定及びステロイドサポニンとイマチニブの混合物中のイマチニブの用量の減量
K562細胞株の抑制を調べるために実施例1の細胞接種及びELISAプレート方法を使用した。ステロイドサポニンのジオスシン、デルトニン及びプロサポゲニンA、並びにそのイマチニブとの混合物についてのIC50値をK562細胞株を用いて測定した。
【0248】
2成分混合物は実施例2と同様に各成分についてのIC50値の50%を混合することにより調製した。ステロイドサポニン及びシスプラチンのIC50値を表20に示す。
【表20】

【0249】
実施例2に記載されている計算方法を用いて、本実施例のステロイドサポニンについてのIC50値のIC50を測定し、下表21に示す。
【表21】

【0250】
イマチニブ及びそのステロイドサポニンとの混合物についてのIC50値のIC50、並びにステロイドサポニンと混合したときに判明したイマチニブの用量の減量を表22に示す。
【表22】

【0251】
イマチニブは、K562細胞株でステロイドサポニン混合物の各々により用量が減量した。
【実施例7】
【0252】
ステロイドサポニンと共投与したときの化学療法剤の抗癌活性のインビボ増強度の測定
5-フルオロウラシル(5FU)は大腸癌の治療に使用されている主たる化学療法剤であり、最も一般的には他の化学療法剤と共投与されている。本研究では、5-フルオロウラシルとデルトニンの共投与と5-フルオロウラシル及びデルトニンの単独投与を比較した。
【0253】
72匹の雌Balb/cヌード雌マウスにマイクロチップを付け、体重を量り、体重に基づいて1群9匹のマウスとする8群のマウスにランダムに分けた。
【0254】
いずれもNMP:PEG300:水(1:9:10,v/v)中で処方し、5-フルオロウラシルは静脈注射により、他は腹腔内注射により毎日投与する治療は下表に示す通りである(NMP=N-メチルピロリドン)。
【表23】

【0255】
HT29ヒト前立腺癌細胞を、10% FBS及びペニシリン-ストレプトマイシンを補充したRPMI1640細胞培地(最終濃度50IU/mL)において培養した。細胞をトリプシン処理して収集し、HBSSで2回洗浄し、カウントした。次いで、細胞をHBSS中に再懸濁し、2×107細胞/mLを含有する最終容量に調節した。接種のために、針を皮膚を通して右肩のすぐ下の皮下スペースに刺し、100μLの細胞(2×106)を取り出した。
【0256】
腫瘍容積が200mm3以上の平均に達したら、治療を開始した(0日目)。腫瘍容積を1週間に3回測定し、下記式
V(mm3)=長さ×直径2×π/6
に従って調べた、
治療を17日間継続させた。各投与レジメについての平均腫瘍容積を表24に示し、図1にグラフで表す。
【表24】

【0257】
デルトニンと5-フルオロウラシルの併用治療の場合の腫瘍容積は単独治療、すなわち5-フルオロウラシル治療単独または3つのデルトニンのいずれかの治療単独の腫瘍容積よりも小さい。
【0258】
最後に、本明細書中に記載されている本発明の方法及び組成物の各種修飾及び改変は本発明の範囲及び趣旨を逸脱しないで当業者に自明であると認められる。本発明を具体的実施形態に関連して記載してきたが、特許請求されている発明はこれらの具体的実施形態に不当に限定されるべきではないと理解すべきである。実際、当業者に自明である本発明を実施するための記載されている方法の各種修飾が本発明の範囲内であると意図される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
癌細胞を抗癌治療及び有効量のステロイドサポニンにさらすステップを含む、癌細胞の増殖の抑制方法。
【請求項2】
ステロイドサポニンがステロイドサポニンのサポゲニン成分の1つの位置に結合した糖類を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
糖類がサポゲニンのC-3位に結合している、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
糖類がD-グルコース(Glc)、L-ラムノース(Rha)、D-ガラクトース(Gal)、D-グルクロン酸(GlcA)、D-キシロース(Xyl)、L-アラビノース(Ara)、D-フコース(Fuc)、D-ガラクツロン酸(GalA)から選択される1つ以上の単糖単位を含む、請求項2または3に記載の方法。
【請求項5】
ステロイドサポニンのサポゲニン成分がジオスゲニン、ヤモゲニン(ネオジオスゲニン)、ユッカゲニン、サルササポゲニン、チゴゲニン、スミラゲニン、ヘコゲニン、ギトゲニン、コンバラマロゲニン、ネオルスコゲニン及びソラゲニンを含めたスピロスタノール;及びプロトジオスゲニン、シュードプロトジオスゲニン、メチルプロトジオスゲニン、プロトヤモゲニン及びメチルプロトヤモゲニンを含めたフロスタノールからなる群から選択されるサポゲニンをベースとする、請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
ステロイドサポニンがカコトリオシド-ステロイドサポニンである、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
ステロイドサポニンがソラトリオシド-ステロイドサポニンである、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
カコトリオシド-ステロイドサポニンがC-3位を介してカコトリオースに連結しているジオスゲニン、C-3位を介して別のカコトリオシドに連結しているジオスゲニン、C-3位を介してカコトリオシドに連結しているチゴゲニン、C-3位を介してカコトリオシドに連結しているサルササポゲニン、C-3位を介してカコトリオシドに連結しているスミラゲニン、C-3位を介してカコトリオシドに連結しているユッカゲニン、及びC-3位を介してカコトリオシドに連結しているヤモゲニンからなる群から選択される、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
ソラトリオシド-ステロイドサポニンがグラシリン、デルトニン、ジオスゲニンソラトリオース、C-3位を介して別のソラトリオシドに連結しているジオスゲニン、C-3位を介してソラトリオシドに連結しているチゴゲニン、C-3位を介してソラトリオシドに連結しているサルササポゲニン、C-3位を介してソラトリオシドに連結しているスミラゲニン、C-3位を介してソラトリオシドに連結しているユッカゲニン、及びC-3位を介してソラトリオシドに連結しているヤモゲニンからなる群から選択される、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
ステロイドサポニンが化学式:
【化1】

[式中、
R1、R2、R4、R6、R7、R11、R12、R14、R15及びR17は独立してH、OH、=O、薬理学的に許容されるエステル基または薬理学的に許容されるエーテル基であり;
R5はC-5,C-6が単結合のときにはHであり、C-5,C-6が二重結合のときには存在せず;
BがCH2のときにはAはOであり、またはAがCH2のときにはBがOであり;
R27BがCH3のときにはR27AはHであり、またはR27BがHのときにはR27AはCH3であり;
R3は酸素原子を介してステロイドサポゲニンにC-3で連結しているグリコシル基を含む]
を有する化合物、或いはその製薬上許容される塩または誘導体である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
ステロイドサポニンが化学式:
【化2】

[式中、
R1、R2、R4、R6、R7、R11、R12、R14、R15及びR17は独立してH、OH、=O、薬理学的に許容されるエステル基または薬理学的に許容されるエーテル基であり;
R5はC-5,C-6が単結合のときにはHであり、C-5,C-6が二重結合のときには存在せず;
R22はC-20,C-22が単結合のときにはヒドロキシルまたはアルコキシ基であり、C-20,C-22が二重結合のときには存在せず;
R27BがCH3のときにはR27AはHであり、またはR27BがHのときにはR27AはCH3であり;
R28はHまたは糖類、或いはその製薬上許容される塩または誘導体であり;
R3は酸素原子を介してステロイドサポゲニンにC-3で連結しているグリコシル基を含む]
を有する化合物、或いはその製薬上許容される塩または誘導体である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
ステロイドサポニンがC-3位を介して糖類に連結しているジオスゲニンである、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
ステロイドサポニンがC-3位を介して糖類に連結しているチゴゲニンである、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
ステロイドサポニンがC-3位を介して糖類に連結しているサルササポゲニンである、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
ステロイドサポニンがC-3位を介して糖類に連結しているスミラゲニンである、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
ステロイドサポニンがC-3位を介して糖類に連結しているユッカゲニンである、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
ステロイドサポニンがC-3位を介して糖類に連結しているヤモゲニンである、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
ステロイドサポニンがデルトニン(ジオスゲニンRha 2,[Glc 4],Glc)、ジオスシン(ジオスゲニンRha 2,[Rha 4],Glc)、プロサポゲニンA(ジオスゲニンRha 2,Glc)及びアスペリン(ジオスゲニン[Rha 4,Rha 4],Rha 2,Glc)からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
抗癌治療が細胞への抗癌剤の曝露である、請求項1〜18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
抗癌剤が化学療法剤である、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
抗癌剤がBCNU(カルムスチン)、ビスルファン、CCNU(ロムスチン)、クロラムブシル、シスプラチン、メルファン、マイトマイシンC及びチオテパを含めたアルキル化剤;タキソール(パクリタキセル)、ドセタキセル、ビンブラスチン硫酸塩及びビンクリスチン硫酸塩を含めた有糸分裂阻害薬;ドキソルビシン、ダウノルビシン、m-AMSA(アムサクリン)、ミトキサントロン及びVP-16(エトポシド)を含めたトポイソメラーゼ阻害剤;5-フルオロウラシル及びメトトレキセートを含めたRNA/DNA代謝拮抗物質;Ara-C(シタラビン)、ヒドロキシ尿素(ヒドロキシカルバミド)及びチオグアニン(チオグアニン)を含めたDNA代謝拮抗物質からなる群の1つ以上から選択される物質である、請求項19または20に記載の方法。
【請求項22】
抗癌剤が細胞プロセスターゲッティング剤である、請求項19に記載の方法。
【請求項23】
抗癌剤がイマチニブメシル酸塩、トラスツズマブ及びゲフィチニブからなる群から選択される、請求項19〜22のいずれかに記載の方法。
【請求項24】
抗癌治療が放射線治療である、請求項1〜18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項25】
癌細胞が生体系中に存在している、請求項1〜24のいずれか1項に記載の方法。
【請求項26】
生体系がヒトまたは動物被験者である、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
ヒト被験者が癌腫、膀胱癌、骨癌、脳腫瘍、乳癌、子宮頸癌、結腸、直腸、肛門及び虫垂の癌を含めた大腸癌、食道癌、ホジキン病、腎臓癌、喉頭癌、白血病、肝癌、肺癌、リンパ腫、メラノーマ、母斑及び異形成母斑、多発性骨髄腫、筋肉癌、非ホジキンリンパ腫、口腔癌、卵巣癌、膵臓癌、前立腺癌、肉腫、皮膚癌、胃癌、精巣癌、奇形腫、甲状腺癌及び子宮癌からなる群から選択される癌を患っているかまたは前記癌に感受性である、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
被験者において腫瘍形成及び増殖を抑制するため及び/または被験者において癌を予防及び/または治療するために使用される、請求項1〜27のいずれか1項に記載の方法。
【請求項29】
被験者において癌細胞の増殖を抑制するための薬剤の製造における、ステロイドサポニン及び抗癌剤の使用。
【請求項30】
被験者を有効量のステロイドサポニンにさらすことを含む、前記被験者における抗癌治療の活性の促進方法。
【請求項31】
被験者において抗癌治療の活性を促進させるための薬剤の製造におけるス、テロイドサポニンの使用。
【請求項32】
被験者を抗癌治療及び有効量のステロイドサポニンにさらすことを含む、前記被験者における腫瘍の形成及び/または増殖の抑制方法。
【請求項33】
被験者において腫瘍の形成及び/または増殖を抑制するための薬剤の製造における、ステロイドサポニン及び抗癌剤の使用。
【請求項34】
被験者を抗癌治療及び有効量のステロイドサポニンにさらすことを含む、前記被験者における癌の予防及び/または治療方法。
【請求項35】
被験者において癌を予防及び/または治療するための薬剤の製造における、ステロイドサポニン及び抗癌剤の使用。
【請求項36】
ステロイドサポニン及び抗癌剤を含み、そのステロイドサポニン及び抗癌剤が被験者に共投与するための形態または被験者に別々に投与するための形態で提供されている、組合せ剤。
【請求項37】
抗癌剤及びステロイドサポニンを含む抗癌組成物。
【請求項38】
被験者を有効量のステロイドサポニンにさらすことを含む、前記被験者において癌を予防及び/または治療すべく前記被験者に対して与えられる抗癌治療の量の低減方法。
【請求項39】
癌を予防及び/または治療すべく被験者に与えられる抗癌治療の量を低減させるための薬剤の製造における、ステロイドサポニンの使用。
【請求項40】
抗癌治療に対する耐性が高い被験者を有効量のステロイドサポニンにさらすことを含む、前記被験者における癌の予防及び/または治療方法。
【請求項41】
抗癌治療に対する耐性が高い被験者において癌を予防及び/または治療するための薬剤の製造における、ステロイドサポニンの使用。
【請求項42】
癌細胞を有効量のステロイドサポニンにさらすことを含む、癌細胞中で発現している抗癌治療に対する耐性の低下方法。
【請求項43】
癌細胞中で発現している抗癌治療に対する耐性を低下させるための薬剤の製造における、ステロイドサポニンの使用。
【請求項44】
癌細胞を有効量のステロイドサポニンにさらすことを含む、癌細胞を抗癌治療にさらすことによる癌細胞のアポトーシスの促進方法。
【請求項45】
癌細胞を抗癌治療にさらすことによる癌細胞のアポトーシスを促進させるための薬剤の製造における、ステロイドサポニンの使用。
【請求項46】
デルトニンを含む医薬組成物。
【請求項47】
薬剤の製造におけるデルトニンの使用。
【請求項48】
薬剤を癌細胞の増殖の抑制;腫瘍の形成及び/または増殖の抑制;抗癌治療に対する耐性の高い癌を含めた癌の予防及び/または治療;抗癌治療の活性の促進;被験者に与える抗癌治療の量の低減;癌細胞を抗癌治療にさらすことによる癌細胞のアポトーシスの促進;及び癌細胞中で発現している抗癌治療に対する耐性の低下;の1つ以上のために使用する、請求項47に記載のデルトニンの使用。
【請求項49】
プロサポゲニンAを含む医薬組成物。
【請求項50】
薬剤の製造におけるプロサポゲニンAの使用。
【請求項51】
薬剤を癌細胞の増殖の抑制;腫瘍の形成及び/または増殖の抑制;抗癌治療に対する耐性の高い癌を含めた癌の予防及び/または治療;抗癌治療の活性の促進;被験者に与える抗癌治療の量の低減;癌細胞を抗癌治療にさらすことによる癌細胞のアポトーシスの促進;及び癌細胞中で発現している抗癌治療に対する耐性の低下;の1つ以上のために使用する、請求項50に記載のプロサポゲニンAの使用。
【請求項52】
アスペリンを含む医薬組成物。
【請求項53】
薬剤の製造におけるアスペリンの使用。
【請求項54】
薬剤を癌細胞の増殖の抑制;腫瘍の形成及び/または増殖の抑制;抗癌治療に対する耐性の高い癌を含めた癌の予防及び/または治療;抗癌治療の活性の促進;被験者に与える抗癌治療の量の低減;癌細胞を抗癌治療にさらすことによる癌細胞のアポトーシスの促進;及び癌細胞中で発生している抗癌治療に対する耐性の低下;の1つ以上のために使用する、請求項53に記載の使用。

【図1】
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【公表番号】特表2009−545532(P2009−545532A)
【公表日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−522056(P2009−522056)
【出願日】平成19年8月3日(2007.8.3)
【国際出願番号】PCT/AU2007/001091
【国際公開番号】WO2008/014563
【国際公開日】平成20年2月7日(2008.2.7)
【出願人】(509032885)オンコロジー リサーチ インターナショナル リミテッド (2)
【Fターム(参考)】